昨年末に上演され、大きな注目を集めた新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』のディレイビューイングが開催されている。昼の部を“前編”、夜の部を“後編”として舞台の模様を収録した映像を映画館の大スクリーンで上映。新橋演舞場の公演チケットは即日完売しており、映画館にも多くの人が足を運ぶことになりそうだ。『風の谷のナウシカ』は、宮崎駿の同名漫画、ならびアニメーション作品で、日本だけでなく海外の観客からも熱狂的な支持を集めている。歌舞伎版は全7巻の漫画を2部の通し新作歌舞伎として上演したもので、壮大な世界観、重厚なドラマ、哲学的な主題を古典歌舞伎の技法を用いながら描いている。主人公ナウシカを尾上菊之助、トルメキアの皇女クシャナを中村七之助が演じ、丹羽圭子と戸部和久が脚本を、G2が演出を手がける。前編は2月20日(木)までの上映で、28日(金)から3月5日(木)まで後編を上映する。新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング前編2月20日(木)まで後編2月28日(金)から3月5日(木)まで
2020年02月15日アニメ『赤毛のアン』のオーケストラコンサートが、東京・月島の第一生命ホールにて開催される。なお、当初は2020年6月6日(土)に開催予定だったが、延期となった。高畑勲×宮崎駿×近藤喜文によるアニメ『赤毛のアン』のオーケストラコンサート世界36ヵ国で翻訳され、累計5,000万部が発行されているモンゴメリ著「赤毛のアン」を原作に、巨匠・高畑勲監督がアニメーション化したテレビシリーズ『赤毛のアン』。スタジオジブリの宮崎駿が場面設定を、近藤喜文がキャラクターデザインを担当した本作は、1979年の初回放送から40年経った今も、色褪せない名作として愛されている作品だ。オーケストラ生演奏×再編集した特別映像の上映本コンサートでは、いつも明るく前向きな主人公・アンの感動の物語を彩る、三善晃氏作曲の主題歌「きこえるかしら」や「さめない夢」といった名曲の数々を、シアターオーケストラトーキョーによるオーケストラの生演奏で披露。この演奏に合わせて、アンがグリーン・ゲイブルズに来た日から最愛の養父・マシュウとの別れまで、アニメ本編全50話をストーリー仕立てに再編集した特別編集映像もスクリーンで上映される。アン役・山田栄子が最終話ラストシーンを完全再現また、アン=シャーリー役を務めた声優・山田栄子がスペシャルサポーターとして参加し、最終話のラストシーンを完全再現。さらに、主題歌「きこえるかしら」を歌った歌手・大和田りつこによる歌唱も行われるなど、ファン垂涎の盛り沢山なプログラムとなっている。開催概要アニメ『赤毛のアン』オーケストラコンサート開催日:未定※2020年6月6日(土)に開催予定だったが延期となった。※チケット発売に関しても延期。公式ホームページにて確認のこと。時間:開場13:00/開演13:30会場:第一生命ホール(東京都中央区晴海1丁目8-9晴海トリトンスクエア内)<演奏>(敬称略)指揮:井田 勝大管弦楽:シアターオーケストラトーキョースペシャルサポーター(敬称略):声優・山田栄子(アン=シャーリー役)、歌唱・大和田りつこ
2020年02月10日国民的キャラクター「ドラえもん」50周年に全く新しいオリジナルストーリーとして登場する『映画ドラえもん のび太の新恐竜』。この度、木村拓哉がゲスト声優として『映画ドラえもん』に初参加することになった。最近は、高視聴率を記録したドラマ「グランメゾン東京」や「教場」での熱演が話題を呼ぶなど、長年に渡り幅広い層から絶大な人気を集める木村拓哉。2004年にスタジオジブリ・宮崎駿監督『ハウルの動く城』のハウル役で鮮烈な声優デビューを果たし、今作はその後の『REDLINE』に続き10年ぶり3度目のアニメ映画出演となる。木村さんが演じるのは、白亜紀という時代に存在するはずのない“猿”の姿をした謎の男・ジル。「謎の島」に関する秘密を握っており、のび太たちの行動を監視している、運命のカギを握る大切な役どころとなっている。情報解禁に合わせて行われた取材では、「ドラえもんの横に立つとなったら、やっぱり色は合わせたいでしょ!」と、ドラえもんカラーである青色の服で登場した木村さん。今回のオファーに、「もし『映画ドラえもん』の出演依頼が来たら、木村拓哉はどんな反応をする?」というドッキリ企画かと思ったほど「驚きました(笑)」という。幼少の頃から「ドラえもん」の漫画を読み育ち、「僕たちが弱気になった時、『ドラえもんが助けてくれたらなぁ~』と想像するだけで、一瞬でも寄りかかれるような存在でした。僕たちが歳をとっても、彼らは不変です。慣れ親しんできた、僕ら日本人のDNAの中にあるような感じ」とその思いをコメント。小さい頃から大の恐竜好きで、『のび太の恐竜』(’80)も観たという木村さんは新しい恐竜の物語を描く『のび太の新恐竜』に巡り合ったことに、運命を感じている様子。40作目の今作が掲げたテーマは、さらなる未来へ向けた「進化」。長年エンターテインメントの第一線を走りながら、先日ソロアルバムをリリースするなど、常に新しいことに挑戦し「進化」を続ける木村さんとの強力タッグに注目だ。『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は3月6月(金)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:映画ドラえもん のび太の新恐竜 2020年3月6日より全国東宝系にて公開© 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020
2020年01月16日前田旺志郎が舞台初主演を務める『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』が、1月10日(金)KAAT 神奈川芸術劇場大スタジオにて開幕した。「NIPPON・CHA!CHA!CHA!」の公演チケット情報日本のコンテンポラリーダンスをリードし、世界で活躍し続ける振付家・ダンサー山田うんが演劇の演出に初挑戦となる本作。マラソンでオリンピックを目指し、日本中の期待を一身に背負い必死に生きていく若者の孤独と挫折を描いた、如月小春の傑作戯曲「NIPPON・CHA!CHA!CHA!」を、【演劇版】と山田が作品から着想を得て創作された【ダンス版】で同時上演する。主人公カズオを演じるのは、幼少期より兄の前田航基とお笑いコンビ「まえだまえだ」として活動し、現在では俳優として活躍の場を広げる前田旺志郎。今年、宮崎駿作品の国内初舞台化作品となる「最貧前線」で初舞台を踏み、今回は記憶にも新しい大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で演じた水泳選手・小池禮三役に続き、再びアスリートを演じる。舞台は、高度経済成長期に入る少し前の日本。倒産寸前の小さな靴工場、天下一運動靴店では、社長をはじめ、娘のハナコ、職人達が倒産を逃れようと試行錯誤。そんな靴工場に、両親を飛行機事故で亡くしたヨシダ・カズオが姉のアキコに連れられて、救世主の如く現れる。足の早いカズオは、靴工場、町の人々の期待を一身に背負い、天下一運動靴店の靴を履き走り続ける。少しずつ生活が豊かになり浮き足立ってきた日本。周囲の熱い応援を受け、走り続けるカズオは、ついにはオリンピック選手候補に選ばれる。しかし、大事な大会を前に怪我をしてしまい、その事を周囲に話せないカズオ。カズオは自らがみんなの夢、日本の夢となることで挫折を乗り越えようとするが...。上演時間は2時間45分(演劇・ダンス連続上演、途中休憩含む)を予定。1月19日(日)まで上演。チケットぴあにてチケット発売中。
2020年01月15日グラビアアイドルの宮崎華帆が、最新イメージDVD『気分嬢々』(4,180円税込 発売元:ラインコミュニケーションズ)をリリースした。昨年9月に衝撃の1stDVD『好きやけん…』でグラビアデビューを飾った宮崎華帆は、上からB85・W62・H85というスレンダーボディーが魅力の25歳。デビュー作で見せたセクシーオーラから"令和の女豹"とも呼ばれている。そんな彼女が2ndDVDをリリース。過激さをさらにエスカレートさせている。新人ながらも1stDVD『好きやけん…』で過激なシーンに挑戦してグラドルファンから注目を集めた宮崎。今作ではさらに過激なシーンにチャレンジしている。グラビアの王道でもあるビーチのシーンでは、下の水着の紐を取って際どいシーンを見せ、室内では過激な水着を着用して開脚しながら腰を振る。自らパンティーの中に手を滑り込ませるシーンなどもあり、どれもセクシーなシーンとなっている。なお、同DVDの発売を記念したイベントが1月18日に東京・秋葉原のソフマップAKIBA1号店 サブカル・モバイル館7F(13:00~)で開催される。
2020年01月13日映画の年間興行収入が、過去最高を達成したと発表された2019年。年間興行ランキングには、2位に『アラジン(実写版)』、5位に公開4週目の『アナと雪の女王2』が入っている。ディズニーアニメは子供向けと思われるかもしれないが、これらの作品は大人が見ても楽しめる作品。特に『アナ雪2』は、”女性の活躍”と”民族の分断”がテーマの社会派アニメなのだ。ファンタジーという枠組みを超えて、大人をものめりこませる、3つの理由を解説する。【1】ジェンダー観に縛られないリアルなキャラクターたちディズニーは過去の作品において、”プリンセスが強い王子に恋をしてハッピーエンド”という物語を多く提供してきた。しかし、2019年に公開されたディズニー映画では、今の時代を反映した女性像が描かれている。実写リメイク版『アラジン』のヒロインであるジャスミンは、男性社会を強く生き抜く姿を、アニメ版よりも印象的に見せていた。また、『アナ雪2』では、エルサもアナも国を治める立場についていて、ディズニーの描く女性像の変化を色濃く表現していた。アナとエルサについて、(1)女性は強い男性に助けてもらうのではなく、自分で未来を切り開く必要があること。(2)それは一人で生きていくことではなく、(姉妹や恋人のように)そばで見守ってくれるパートナーがいること。これらをみせることで、だた強く、孤高の存在でいるのではなく、周囲との繋がりを大切にする、等身大の女性像を表現していたと感じる。時に弱さをみせて妹に頼るエルサ、優柔不断だけどやさしいクリストフにも支えてもらうアナ。彼女らの姿は多くの人に共感されるだろう。また、クリストフとオラフのような男性像も好感度が高かった。彼らは、従来のディズニーが描くヒーロー的な王子さまではなく、パートナーとして女性に寄り添いサポートしている。一見ダメ男に見えがちだが、敬意をもった接し方がとても魅力的だった。【2】実在する少数民族の歴史に見るアレンデール王国とノーサルドラの関係日々流れるニュースでは、国家や民族に対する分断と迫害が問題になっている。香港の情勢は刻々と変わっており、アメリカでは来年の選挙に向けて人種間の摩擦が強まっている。『アナ雪2』では、北欧に実在するサーミ人らしき民族が物語の鍵を担う。以前から、『アナ雪』でエルサの妹アナを助けるトナカイ飼いのクリストフは、服装からもサーミ人がモデルと言われていた。ディズニーは今回の作品を撮るにあたって、サーミ人の代表と文化の尊重に関する契約を締結。北サーミ語で吹き替え版を作り、ノルウェー語版と同時に公開などして、良好な関係を築いている。サーミ人はトナカイと共に遊牧して生活する民族で、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4カ国にまたがる形で生活している。サーミ人は先住民とされていて、スウェーデン、ノルウェー両国から迫害を受けていた過去も。そして1970年代後半から1980年代にかけて、アルタ・ダムの建設に関してノルウェー政府との間で闘争があった。『アナ雪2』では、この闘争と同じように、ダムをモチーフにした対立が描かれている。エルサとアナが住むアレンデール王国と、森に住むノーサルドラの闘争だ。民族の差別や迫害については、日本ではどこか対岸の火事的な捉え方をされがちだが、ダムが起点になっていた事で、身近な対立構造として理解しやすかったと思う。歴史的に、先住民はしばしば国家から言語、文化の放棄を強いられてきた。残念ながら、人類は異質なものを排斥するという思考が根底にあるらしい。ディズニーは、『アナ雪2』で民族間の対立と迫害を描くことで、劇中にアナが歌う「The Next Right Thing(今できる正しいこと)」を社会に訴えかけていた。【3】あの名作のような視聴後の感覚”運命を切り開いていく女性”と”民族の分断”をテーマとした作品構造に近い作品をみなさんはご存知ではないだろうか?多くの人が一度は見たことがあるであろう『風の谷のナウシカ』(1984年)がそれである。文明を持つ大国と自然を愛する小国の分断、そしてその状況に向き合う女性。「ダム」という象徴的な人工物により、精霊の怒りを買うというテーマも通ずる部分がある。さらに、エルサがアレンデール王国の前で氾濫する水と対峙するラストシーンは、まるで王蟲(オウム)の群れに対峙するナウシカそのものに見えた。宮崎アニメが海外でも評価されてきたのは、「文明と自然との対立、和解」という普遍的な問題を描いてきたからである。そして、この『アナ雪2』も国家や民族の問題と自然(精霊)の怒りを描くことで、人類が向き合い続けてきた普遍的なテーマを題材とした名作だと感じる。『アナ雪2』はアニメ映画の世界で40年前からメッセージを送っていた宮崎駿監督の素晴らしさに改めて気づくとともに、『アナ雪』という最高の舞台を用いて、今の時代性に合う“女性の活躍”と“民族の分断”をテーマとした社会派のメッセージが描かれた意欲作だった。ディズニーには、映画を通じて「The Next Right Thing(今できる正しいこと)」により一層チャレンジして欲しい。【PROFILE】みる兄さん(ライター)本業はビューティ系SNSの中の人とオウンドメディアの責任者。マーケティングや映画についての熱量を淡々と文字に込める人。主にツイッター(@milnii_san)に生息してます。
2019年12月26日片渕須直監督の長編映画を製作するためのスタジオ「コントレール」が設立したことが分かった。アニメーション映画監督・片渕須直は、日大芸術学部映画学科在学中から宮崎駿監督作品『名探偵ホームズ』に脚本家として参加し、『魔女の宅急便』 (’89)では演出補を務め、TVシリーズ「名犬ラッシー」(’96)で監督デビュー。その後、『アリーテ姫』(’01)で長編映画初監督を務め、『マイマイ新子と千年の魔法』(’09)では異例のロングラン上映とアンコール上映を達成。2016年には、広島・呉を舞台にした『この世界の片隅に』が大きな話題となり、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞、国内外にて高い評価を得た。また、先日からは250もの新作カットを追加したロングバージョン『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開中だ。そんな片渕監督の長編映画を製作するため、新たなアニメーションの制作会社が設立。片渕監督が名付けた社名の「コントレール」は、“ひこうき雲”のことで、天色の空に、長く永く筋を引く白雲をイメージ。「多くの人に、末永く愛されるアニメーション作品を作りたい」という思いを胸に作品製作を行っていくという。(cinemacafe.net)
2019年12月23日俳優、佐藤健が日本のアニメが世界で愛される理由に迫る「東京ミラクル 第3集 最強商品 アニメ」が12月17日(火)今夜、NHK総合で放送される。世界で人気を博す日本のアニメ。ストーリーの持つ力やキャラクターの魅力、声優の演技など、その理由を説明するためのキーワードはたくさん挙げられるが、番組スタッフが取材して強く感じたのは、アニメの制作に携わる人々が心からアニメの仕事を好きで従事していることだったという。「大好きなアニメの制作を仕事にしている」という情熱が世界に誇る日本のアニメを生み出す大きな力となっている一方で、歴史的に見ると業界が制作者たちのやりがいに頼って低賃金、長時間労働を許容してきた背景もあり、結果として日本のアニメが世界的には低予算で作られてきた現実もある。そしていま、外資系インターネット動画配信企業の日本アニメ市場への参入をはじめ、各社の企業努力も進んだことで現場で働くアニメーターの待遇にも改善の兆しが見え、働き方改革が広がっている。大きな曲がり角に立っている日本のアニメ業界の状況を、今回はアニメと並ぶ日本の人気コンテンツである特撮モノの代表作「仮面ライダー電王」に主演、アニメ版も大ヒットしたコミックの映画化作品『るろうに剣心』シリーズで主演を務めたほか、今夏公開の劇場アニメ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』では声優として作品に更なる魅力を与えた佐藤さんが取材。今年7月に公開されると34日間で興行収入100億円を突破し、歴代邦画興行収入ランキングトップ10入りを果たし、米アカデミー賞「国際長編映画賞」の日本代表作品にも選出された新海誠監督の『天気の子』。その背景美術を制作する現場や、日本歴代1位となる300億円を超える興行収入を記録した『千と千尋の神隠し』をはじめ『となりのトトロ』『風立ちぬ』など数々の名作を世に送り出し、78才になるいまも創作を続ける宮崎駿監督にも取材。改めて日本のアニメが世界で人気を博す、その強さの秘密を解き明かしていく。「東京ミラクル 第3集 最強商品 アニメ」は12月17日(火)今夜22時30分~、NHK総合で放送。(笠緒)
2019年12月17日もうすぐ新橋演舞場にて上演される宮崎駿の漫画「風の谷のナウシカ」の歌舞伎化が、来年ディレイビューイングとして映画館で上映されることが決定した。12月6日(金)より公演が始まる新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」は、1984年にアニメ映画化され、世界中で愛されている宮崎駿の名作漫画を基に、映画版では描かれなかった全7巻の壮大な物語全てを新作歌舞伎化。キャストには、ナウシカ役を尾上菊之助、ナウシカと対する皇女クシャナ役を中村七之助。ほかにも、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、尾上右近、中村種之助らが出演する。脚本は、「ゲド戦記」「借りぐらしのアリエッティ」など数々のスタジオジブリ作品を担当した丹羽圭子と戸部和久(松竹)、演出は新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」も手掛けたG2が担当する。そんなチケット即日完売となった本作が、上演からわずか2か月でディレイビューイングし、より多くの人たちに届ける今回の企画。新橋演舞場にて昼の部・夜の部通しで上演される本作を、映画館では昼の部を前編、夜の部を後編として公開する。『新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」ディレイビューイング』は前編:2020年2月14日(金)~、後編:2020年2月28日(金)~東劇・新宿ピカデリーほか全国にて各1週間限定上映。※一部映画館では上映期間が異なる場合あり(cinemacafe.net)
2019年12月05日スタジオジブリ制作、宮崎駿監督の映画『天空の城ラピュタ』が、2020年2月14日(金)から3月8日(日)まで開催される映画祭「映画のまち調布 シネマフェスティバル2020」の一貫として、イオンシネマ シアタス調布でスクリーン上映される。スタジオジブリの名作が、最新音響&大スクリーン上映スタジオジブリ映画『天空の城ラピュタ』は、監督・宮崎駿、プロデューサー・高畑勲、音楽・久石譲で1986年に公開された劇場版長編アニメーション。空に浮かぶ伝説の島“ラピュタ”を発見した父をもつ、見習い機械工のパズーが、空から落ちてきた少女シータと出会い、空に浮かぶ伝説の島“ラピュタ”を目指す冒険のストーリーだ。公開から30年以上の時を経て、今もなお、日本のみならず世界で愛されている。その名作をスクリーンに蘇らせる今回。「映画のまち調布 シネマフェスティバル2020」では、幅約20メートルの大型スクリーンの高画質映像と、イオンシネマ独自の4ウェイ立体音響システム「ULTIRA(ウルティラ)」を組みわせた、臨場感あるサウンドと迫力満点の映像で、壮大な『天空の城ラピュタ』の世界に浸ることができる。話題作や過去の名作も一挙上映さらに同イベントは調布市文化会館たづくりや調布市グリーンホールも開催会場となっており、映画の作り手にスポットを当てた映画祭として多数の催しを用意。日本映画人気投票の中から選ばれた、『キングダム』『日日是好日』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『翔んで埼玉』『新聞記者』『アルキメデスの大戦』『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』をはじめ、アカデミー賞作品賞『グリーンブック』や、新海誠監督の過去の代表作『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『雲のむこう、約束の場所』といった作品が多彩な作品が上映される。制作陣のトークショー付き上映会も中には映画制作の技術スタッフ、監督によるトークショー付きの上映会も用意されているので、ファンの人はお見逃しなく。先行特別上映会で映画『Fukushima 50』公開先行特別上映会では、東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50』を公開。同作は、世界中が注目した現場では本当は何が起きていたのか―、何が真実なのか―、東日本壊滅の危機が迫る中、死を覚悟して発電所内に残った人々の知られざる“真実”を明らかにしつつ、人間の強さと弱さを描いた物語だ。【詳細】『天空の城ラピュタ』上映期間:2020年2月29日(土)~3月8日(日) ※上映時間はWEBサイト参照会場:イオンシネマ シアタス調布 スクリーン10 ほか(全席指定)料金:大人、大学生 1,100円 / 小学生~高校生 1,000円 / 幼児 900円※各種割引、無料鑑賞券、ACチケットの使用は不可。チケット販売日時:2019年12月23日(月) e席リザーブ0:15~ 劇場窓口8:00~■映画のまち調布 シネマフェスティバル2020詳細開催期間:2020年2月14日(金)~3月8日(日)開催会場:調布市文化会館たづくり(東京都調布市小島町2丁目33−1)、調布市グリーンホール(東京都調布市小島町2丁目47−1)、イオンシネマ シアタス調布(東京都調布市小島町2丁目61−1 C館 トリエ京王調布)・人気投票作品上映会(トークショー付き予定)スケジュール:2020年3月1日(日)10:30『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』、15:30『キングダム』3月6日(金)10:30『日日是好日』3月7日(土)10:30『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、15:30『翔んで埼玉』3月8日(日)10:30『新聞記者』、15:30『アルキメデスの大戦』チケット販売日:2020年1月24日(金)料金:前売り500円、当日800円・特別上映会(トークショー付き予定)スケジュール:2月29(土)10:30『羅生門』3月5日(木)10:30『太陽を盗んだ男』会場:調布市文化会館たづくり くすのきホール(全席指定)チケット販売日:2020年1月24日(金)料金:前売り500円、当日800円・特別上映会(トークショー付き)新海誠監督作品上映会『雲の向こう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』スケジュール:3月8日(日)10:30~会場:調布市グリーンホール 大ホール(全席自由)ゲスト:川口典孝(プロデューサー)チケット販売日:2020年1月24日(金)料金:前売り500円、当日800円 ※3作品通し券・特別上映会スケジュール:2月14日(金)~20日(木)『Shall we ダンス?』『いつでも夢を』2月21日(金)~27(木)『グリーンブック』『若おかみは小学生!』会場:イオンシネマ シアタス調布(全席指定)チケット販売日:1月24日(金)料金:大人、大学生 1,100円/小学生~高校生 1,000円/幼児900円・映画賞「第2回映画のまち調布賞」授賞式+先行特別上映会『Fukushima 50』日時:2月29日(土) 授賞式17:00上映会18:10会場:イオンシネマシアタス調布スクリーン10(全席指定)チケット販売日:1月24日(金) 料金:1,400円司会:金児憲史(俳優)、楊原京子(俳優)ゲスト:2月発表予定※詳細情報は、「映画のまち調布 シネマフェスティバル2020」公式HP参照。
2019年12月04日エンターテインメント集団・男劇団 青山表参道X所属の俳優・西銘駿の主演舞台『team』が27日、東京・シアターサンモールにて初日を迎え、公開ゲネプロが行われた。本作は、相馬あこ主催の演劇ユニット「100点un・チョイス!」の5周年記念公演で、とある舞台での最終稽古日に起こるドタバタを描く、笑って泣けるドリームコメディとなっている。公開ゲネプロを終えた西銘は、「主演として、舞台の中心として演じなければならないので、気合いを入れて引っ張っていきたいなって思っています」と決意表明。「稽古を重ねて行くごとに仲間意識が強く芽生えて来て、本当に良い“team”になっていると思います!」と共演者間との結束力をアピールし、「事務所の先輩の金子昇さんもいるので凄く安心して本番を迎えられます」と感謝する。西銘にとって大きな存在となっている金子。西銘演じる武田一真の先輩役者・渡辺隆道を演じ、「みんなステージに出ずっぱりの舞台なので、稽古も集まれる人は常にみんなが集まってやっていたので、団結するのが凄く早かったなと思います」と充実した稽古の日々を振り返っていた。本作は11月27日にスタートし、12月8日までの計15公演を予定。西銘は、「日替わりのネタとかも自分で作っていって、リピートで来てくれるお客さんを飽きさせることなく楽しい公演にしていきたいと思っています!」とアピールし、「是非観に来てください!」と呼び掛けている。
2019年11月29日東京・三鷹の森ジブリ美術館にて新しい企画展「手描き、ひらめき、おもいつき」展が2019年11月16日(土)から2021年5月まで開催されます。今まで三鷹の森ジブリ美術館で開催された企画展示や建物の構造などを、宮崎駿さんが描いた絵やメモをたどりながら紹介されます。ここでしか見ることのできない秘話や貴重な資料、宮崎駿さんが普段どのような考え方で自分自身の構想を伝えるのかなど、魅力たっぷりの展示をご紹介します。三鷹の森ジブリ美術館「手描き、ひらめき、おもいつき」展今回展示される「手描き、ひらめき、おもいつき」展は、今までの三鷹の森ジブリ美術館で行われた企画展示や建物、展示物を仕上げる作業内容などを宮崎駿さんの手描きの絵やメモをたどりながら紐解いていく企画展示です。様々な制作秘話や、三鷹の森ジブリ美術館の巨大な立体模型など、魅力的な展示がたっぷりです。ジブリファンはもちろん、ジブリに馴染みのない方でも宮崎駿さんの独創的な考え方に刺激されるはずです。第一室-企画展の構想やスケッチ第一室には、第一回目の企画展示「千と千尋の神隠し」をはじめとした、宮崎駿さんが携わった企画展示を様々な資料や企画書をもとに解説されています。宮崎駿さんの「伝え方」とは宮崎駿さんには自分が伝えたいことをカタチにする際に、4つの傾向があると言い、そのプロセスを紹介しています。1.“展示内容”や“展示したい物”が頭の中で確立している時は、イメージボードにてその詳細を丹念に描き、展示スタッフに制作の指示を出す。2.“企画のテーマ”の内容や伝え方が難しいものは、思考の過程が伝わりやすい、漫画にて表現する。3.“言葉での表現”が最も伝わりやすい時には、執拗に言葉を紡ぐ。4.“補足”につけるイラスト1枚においても、面白さを追求した絵を描く。宮崎駿さん「乗り物に対する情熱」宮崎駿さんが描く「乗り物」はとても特徴的で見たことがあるような気がするけど、どこか違う世界の乗り物という感じがしますよね。宮崎駿さんは乗り物には特に興味を注いでいて、19世紀のイギリス蒸気機関の発明とともに生まれた初期SF小説に影響を受けた“生き物”のような乗り物を詳細に描いています。第二室 - 美術館創設の経緯やアイディア第一室の次の第二室では、三鷹の森ジブリ美術館がどのようなアイデアで、どのように生まれたかをイラストやイメージボードで詳細に解説しています。中でも特に目を引くのが、見るだけで三鷹の森ジブリ美術館の外観から内部の構造まですべてわかる立体模型です。構想段階のイラストも展示されているので、現在の姿と比較してみることができます。見ているだけでとても楽しい展示です。「手描き、ひらめき、おもいつき」展 開催概要「手描き、ひらめき、おもいつき」展 ~ジブリの森のスケッチブックから~会期:2019年11月16日(土)~2021年5月(予定)場所:三鷹の森ジブリ美術館入場方法:日時指定予約制(10:00~/12:00~/14:00~/16:00~)※2019年11月入場分のチケットは、10月10日(木)より全国ローソンにて発売。入場料金:大人・大学生 1,000円、中高生 700円、小学生 400円、幼児(4歳以上) 100円スポット情報スポット名:三鷹の森ジブリ美術館住所:東京都三鷹市下連雀1-1-83電話番号:0570-084-003
2019年11月21日世界54か国でNO.1となり、第92回アカデミー賞長編アニメ映画部門にもエントリーしている『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』が10月30日(水)、現在開催中の第32回東京国際映画祭にて特別上映。製作・監督・脚本のディーン・デュボア監督が、映画を観終えたばかりの観客とQ&Aを行った。シリーズ最新作にして完結編となる本作を引っ提げて来日したデュボア監督はまず、「日本のアニメはいつも我々にインスピレーションを与えてくれる。そして日本人は子供向けのアニメであっても大切に思ってくれるところが好きです」と挨拶。本シリーズが愛される理由については「ドラゴンというクリーチャーは、世界中の色々な文化に存在しており、ゆえに親和性の高いものです。そんなドラゴンと人間が仲良くなり、背中に乗って空を飛ぶという願望を叶えてくれる物語だから人気になったのかもしれません。そしてそんなドラゴンがこの世に実際に存在するのではないか? と思わせてくれるリアルなストーリーも世界中の人々に愛される理由かもしれません」と考察した。ドラゴンの抱きしめたくなるようなデザインは大型のネコ科がヒントに会場のファンとのQ&Aでは、ヒックの相棒“トゥース”として活躍するドラゴン、ナイト・フューリーのデザインについて質問されると「ドラゴンを造形する場合は、地球上に実在している野生動物を参考にデザインしています」と監督。「ナイト・フューリーの場合は、世界で最強のドラゴンであり、バイキングに恐れられているイメージを与えたかったので、ブラックパンサーのエレガントさやほ乳類的な部分を参考にし、そして犬や猫のような親しみやすさや、抱きしめたくなるような魅力が出るように大型のネコ科の動物たちの動きと資質を加えてデザインを考えていきました」と、クリエイターとしてこだわりを紹介した。『きつねと猟犬』『タイタニック』『E.T.』と共通点も!?さらに、本作のエンディングの意図について問われた監督は、「シリーズ2作まではヒックと仲間たちは、ドラゴンとの共生という道を示しました。今作では人間が抱える問題にも触れられると思い、感情的により複雑なラストを提示しました」と、鋭い質問に笑顔を見せながら回答。「主人公のヒックは、自分にはまったく価値がないというところから始まり、最後には聡明で他人のために何かをするという成長を見せます」と、最終章に相応しいラストについて期待が膨らむコメントを示しつつ、「自然は守らなければいけないのに、人間たちは自然を傷つけるということを繰り返しています。そのような描き方には宮崎駿監督の作品から大きなインスピレーションを受けています」と、日本が誇るアニメ界の巨匠へのリスペクトも覗かせるひと幕も。さらに、ディズニーアニメーション『きつねと猟犬』から映画『タイタニック』『E.T.』『ロスト・イン・トランスレーション』などのタイトルを挙げ、「一時の素晴らしい友情などによりお互いが深く繋がり、それによってお互いが永遠に変えられ、そしてそれぞれの道を歩み始めるというスタイルのストーリーが私は好きです。そういった物語の伝統に本作で貢献したいとも考えました」と、本作に込めた思いについて言及した。最後にデュボア監督は、「ワクワクするし、作品を気に入って楽しんでもらえたら嬉しいです。一人でも多くの日本の方に響くことを願っています。それが作品に携わったスタッフたちのなによりもの喜びだからです」と語り、日本公開に向けて期待を込めていた。『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は12月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヒックとドラゴン聖地への冒険 2019年12月20日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2019 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
2019年10月31日歌舞伎俳優・尾上菊之助が新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に挑む。宮崎駿の全7巻の漫画を原作に、映画版では描かれなかったすべてのストーリーを、昼の部・夜の部通しで上演。あの壮大な物語がどう歌舞伎になるのか。座頭として一座を率いながらナウシカを演じる菊之助の挑戦に、期待が募る。【チケット情報はこちら】宮崎駿が『風の谷のナウシカ』の連載を始めたのが1982年。原作の2巻の途中までを映画化して話題となったのが1984年だった。描かれているのは、戦争によって産業文明が滅んでなお、人間同士が争う世界。主人公の少女ナウシカは、人々が恐れる巨大な蟲や有毒な瘴気を発する腐海と親しみながらその世界に希望を求めていく。「宮崎監督が原作を書かれてから30年以上経ちましたが、このディストピア(反理想郷)のなかで描かれる、環境、エネルギー資源、遺伝子操作、核、戦争といった問題は、変わらず考えていかなければいけない普遍的なテーマだなと改めて思います。歌舞伎もまさしく普遍的なテーマを持つものが古典として残ってきました。また、歌舞伎には『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』など丸1日かけて上演する通し狂言という上演方法があり、この物語のスケールの壮大さはそれに匹敵すると思ったんです」。この作品を歌舞伎にしたいと考えた理由を菊之助はこう語る。確かに、歌舞伎と『風の谷のナウシカ』、意外に遠くないのかもしれない。では、具体的にどのように進めてきたのか。「たとえばナウシカの衣裳に関しては、パッと観た瞬間にナウシカだとわかるように漫画に寄り添っていこうと思っています。漫画そのままではなく、青い色、ブーツ、手袋などのエッセンスを抽出して歌舞伎と上手く融合できればと思っています。それから、王蟲や巨神兵といった大きな生き物たちは、歌舞伎でもキツネや猪などのいろんな生き物が出てきますので、その延長線上の表現方法で考え、登場させようかと考えています。また、映画版に登場した音楽も、古典歌舞伎の黒御簾音楽をベースに、一部和楽器の編成で演奏します」と、菊之助のなかにはすでに構想がある様子。そして何より頼もしいのが、「古典の技法が必ず力になると思っているんです」という言葉だ。「新作歌舞伎を創作するときに助けになるのは、やはり古典の蓄積だと思っています。『風の谷のナウシカ』のあらすじをざっと大づかみして来ていただければ、あとはもう歌舞伎の世界にどっぷり入って楽しんでいただけるはずです」。400年もの間、様々な人間と物語を表現してきた歌舞伎である。『風の谷のナウシカ』の真髄がそこに見えてきても不思議はない。公演は12月6日より新橋演舞場にて。チケットは10月19日(土)より一般発売。取材・文:大内弓子
2019年10月18日ピエール瀧が声を担当していた『アナと雪の女王』に登場する雪だるまの“オラフ”。この度、最新作『アナと雪の女王2』では、声優・武内駿輔がこのオラフの吹き替えを務めることが決定した。大人気キャラクターオラフは、夏に憧れる雪だるま。前作でアナが姉と王国を救うために旅に出る仲間のひとりとして登場した。幼いエルサとアナが作ったオラフは、体は3個の雪玉、腕は枝で鼻は人参、鼻や腕を取り外すことも自由自在。また、エルサが愛を感じた最後の思い出と幸せな記憶で作られているため、決してネガティブなことは言わないキャラクターだ。そして今回新たにオラフ役に決定した武内さんは、「KING OF PRISM」の大和アレクサンダー役や、「アイドルマスター シンデレラガールズ」のプロデューサー役、「ダイヤのA」、「ALL OUT!!」、「遊☆戯☆王VRAINS」などの人気作に出演。キャラクターソングとして数々の歌も披露し、「第10回声優アワード」では新人男優賞を受賞。これからの活躍が期待される注目の若手声優だ。現在Disney DELUXEで配信中の『アナと雪の女王』、11月15日(金)日本テレビ金曜ロードSHOW!で放送予定の『アナと雪の女王』本編ノーカット版でも武内さんがオラフを担当することが発表されていた。『アナと雪の女王2』は11月22日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:アナと雪の女王2 2019年11月22日より日米同時公開Ⓒ2019 Disney. All Rights Reserved
2019年10月10日東京・三鷹の森ジブリ美術館の企画展「手描き、ひらめき、おもいつき」展が、2019年11月16日(土)から2021年5月まで開催される。宮崎駿の絵やメモで振り返る「三鷹の森ジブリ美術館」「手描き、ひらめき、おもいつき」展は、今まで三鷹の森ジブリ美術館で行われてきた企画展示や、三鷹の森ジブリ美術館設立に至る経緯、建物の構想などを、第一室と第二室の2つスペースで明らかにする展示。三鷹の森ジブリ美術館という建物を建て、展示物をコツコツと作ってきたその作業内容を、宮崎駿監督自身の描いた絵や文章を中心とする約640点の膨大な数の資料と共に紹介する。第一室 - 企画展の構想やスケッチ第一室では、第1回目の企画展示『千と千尋の神隠し』をはじめ、宮崎駿が携わった企画展示について紹介。どのようにして企画が生まれ、何を考えて修正し、伝えたいものに近づけていったのか、という創作のプロセスに、当時描かれた企画書やスケッチなどの資料を通して迫っていく。展示物制作への力の入れ方は様々だが、宮崎監督が自身の伝えたいことを形にする際には、主に下記の4つの傾向があるという。1.“展示内容”や“展示したい物”が頭の中で確立している時は、イメージボードにてその詳細を丹念に描き、展示スタッフに制作の指示を出す。2.“企画のテーマ”の内容や伝え方が難しいものは、思考の過程が伝わりやすい、漫画にて表現する。3.“言葉での表現”が最も伝わりやすい時には、執拗に言葉を紡ぐ。4.“補足”につけるイラスト1枚においても、面白さを追求した絵を描く。例えば2002年の企画展示「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」は、宮崎監督自らが『天空の城ラピュタ』という映画を生んだ“発想の原点”を披露したものとなったが、その中では、映画に登場させた乗り物や炭鉱の町で起こった追撃騒動、空に浮かぶラピュタなどのイラストを新たに作り、さらには短編の映画までをも作って解説している。その中でも宮崎監督が特に興味を注いだのが乗り物だろう。19世紀のイギリスで蒸気機関の発明と共に生まれた初期のSF小説を愛する宮崎監督は、その中に登場する“生き物”の雰囲気を残した珍妙奇妙な乗り物に多大な影響を受けているという。前述の傾向では「1」に該当するものだが、この展示において宮崎監督は、自身の“空想の力”で作り出した乗り物や機械達を、緻密なイラストに描きおこしている。第二室 - 美術館創設の経緯やアイディア一方の第二室では、スタジオジブリが美術館を作ろうと思い立った経緯や、アイデアが描きとめられたイメージボードを展示。中でも特に注目したい展示物は、完成したジブリ美術館の作りが一眼でわかる立体模型だ。その立体模型の周りには、美術館の設計図面にまで修正を入れる宮崎駿の「建物」への思い入れが見て取れる図面や、構想段階のイメージボード、各展示エリアのアイディアを描いた資料などが展示されており、その姿を比較しながら見ることができる。その資料の数々は、何度も何度も試行錯誤を重ねたものから、一瞬の“ひらめき”や、ふとした“おもいつき”で生み出されたものまで様々だ。純粋に“おもしろいもの”、“人々の喜ぶ笑顔”を追求する宮崎監督の創作における楽しさはもちろん、その苦悩までをも感じ取れるような展示内容となっている。開催概要「手描き、ひらめき、おもいつき」展 ~ジブリの森のスケッチブックから~会期:2019年11月16日(土)~2021年5月(予定)場所:三鷹の森ジブリ美術館住所:東京都三鷹市下連雀1-1-83入場方法:日時指定予約制(10:00~/12:00~/14:00~/16:00~)※2019年11月入場分のチケットは、10月10日(木)より全国ローソンにて発売。入場料金:大人・大学生 1,000円、中高生 700円、小学生 400円、幼児(4歳以上) 100円チケット予約TEL:0570-084-003(24時間・各入場時間まで受付・自動音声対応)※Lコード が必要。 ※一部携帯・PHS等は使用不可。※チケット発売初日のみ特別電話予約TEL:0570-084-633(受付時間:10:00~23:59)【問い合わせ先】TEL:0570-055777(9:00~18:00/休館日は休み)【チケットに関する問い合わせ先】TEL:0570-000-777(10:00~20:00・オペレーター対応)
2019年10月04日三鷹の森ジブリ美術館では、11月16日(土)より新企画展示「手描き、ひらめき、おもいつき」展の開催がスタートすることが分かった。2001年10月に開館したジブリ美術館。“お客様に面白いものを提供し、楽しんでいただく”という考えのもと、建物を建て、展示物をコツコツと作ってきた同美術館だが、今回の新企画展では、その作業の内容を宮崎駿監督自身の描いた絵や文章で紹介する。まず第1室では、第1回目の企画展示『千と千尋の神隠し』を皮切りに、宮崎監督が携わった企画展示を紹介。どのようにして企画が生まれ、実現していったのか。当時描かれた企画書やスケッチなどの資料を展示する。そして第2室では、スタジオジブリが美術館を作った経緯やアイディアが描きとめられたイメージボードを展示。設計図面まで修正を入れる宮崎監督の“建物”への思い入れが見て取れる図面も初公開される。また、ジブリ美術館の各階層がひと目で分かる立体模型も設置。構想段階のイメージボードと現在の完成した姿が見比べられる。なお、同美術館の入場は日時指定の予約制。11月入場分のチケットは、10月10日(木)より全国のローソンにて発売される。「手描き、ひらめき、おもいつき」展は2019年11月16日(土)~2021年5月の期間で三鷹の森ジブリ美術館にて開催予定。(cinemacafe.net)
2019年10月01日公開前から140の国と地域での配給が決定していた『天気の子』が、この度、世界一の映画大国・インドにて日本映画初のインドプレミア上映を実施、新海誠監督が現地入りした。ムンバイ、デリーをはじめとするインド全国30都市で、10月11日から公開されることが決定(配給会社:Vkaao/興行会社:PVR Cinemas)している本作。日本映画がインドの劇場で一般公開されること自体が異例で、過去インドで一般公開された作品は『万引き家族』『ドラゴンボール超 ブロリー』の2作品のみ。『天気の子』は日本のオリジナルアニメ映画として、初の一般公開となる。超異例!インド初の日本映画プレミアは署名活動で実現インドでは『君の名は。』が人気を博し、今年の2月にインターネット上で『天気の子』のインド公開を求める署名活動が起こり、5万人を超えるファンの署名が集まったことが新海監督本人や東宝の海外配給担当者、現地配給会社買い付け担当者の耳に届き、署名活動に応える形で公開が決定した。初のインド訪問となる新海監督は、現地時間9月27日(金)に実施するインドプレミアに合わせて現地入り。上映を前に「インド上映は現地の若者たちによる署名活動のおかげで実現しました。インドの若者たちが日本の映画から何を得てくれるか、彼らの反応を楽しみにしています」と期待を膨らませていた。プレミア上映会場となったのは、インドの首都・ニューデリーにあり、いま1番人気のショッピングモールにある劇場「サケットセレクトシティウォークPVRcinema」。インド7都市で開催される「インド日本映画祭」の開幕も兼ねており、当日は全席招待、劇場内の複数スクリーンでインドファン合計約1,000人が本作を鑑賞した。予約チケット200席に半日で約2,000人以上の応募が殺到し、さらに当日チケットにも長蛇の列ができるなど期待値の高さが伺えた。ボリウッドの熱量に新海監督「できれば3年後くらいにまたインドに」10~20代を中心に、映画ファン、アニメファン、新海誠ファンが埋め尽くした劇場には「shinkai!shinkai!」というコールが響き、熱気が場内を包み込む中、上映前の舞台挨拶に登場した新海監督は、待ちわびたファンたちの大喝采と歓迎の拍手で迎えられた。興奮と歓声がやまない中、新海監督は「皆さんの署名活動のおかげでインドに来ることが出来て、心から幸せです。本当にありがとう」とまず感謝の挨拶。「インドという日本からとても離れた国で、文化も異なり、様々な価値観を持つ皆さんに、『天気の子』をどんなふうに楽しんでいただけるのか、心から楽しみにして来ました。皆さんの心の中に、少しでもこの映画が何かを残すことが出来たら、とても幸せに思います。どうか映画を楽しんでください」と語った。舞台挨拶には、インド配給VkaaoのCEO・vaibhav(バベル)氏、インド大使の平松賢司氏も登壇した。本編上映中は随所で、手を叩きながら大声で笑い、隣の席の友人と肩を組み泣き、腰を浮かし腕を高く上げ大きな声援を送るインドの観客たち。ボリウッドを楽しむようにフルパワーで『天気の子』を楽しんでいた。上映後は拍手と大歓声が飛び交い、新海監督が再登壇した際も、割れんばかりの大喝采となった。観客からは、「心に残り続けるような映画」「いつも真の日本の魅力を描いていて素晴らしい」「インドでのアニメの既成概念を打破する力があり、アニメそのものを新しいレベルに引き上げてくれました」「つい最近日本語を勉強し始めたところで、『心からありがとうございます』と言いたい」といった声が聞かれた。前のめりのQ&Aに新海監督、“迷い”を吐露Q&Aでは、前のめりに挙手をしてアピールをする観客で溢れることに。インドの熱を直に感じた新海監督は、「できれば3年後くらいにまたインドに帰って来て、皆さんに新しい映画を見せたいです。また再会しましょう!」とインドのファンへ語った。日本のアニメ―ション映画の作り方と、ハリウッドのアニメ―ション映画の作り方への違いについての質問に、新海監督は「日本のアニメーション映画は“作家主義”。つまり、監督の作家性が映画の軸にあるのが日本のアニメーション映画だと思います。ハリウッドの方は、はるかに分業が進んでいるような気がしますね」と回答。「日本がいま作家主義になっているのは、宮崎駿さんのような強力な監督・アニメーターの影響だと思います。この先ハリウッドから学び、優れたスタッフと分業していく必要性を感じると同時に、ハリウッドと同じ作り方をしても適うわけではなく、宮崎監督や僕のように従来の作り方を続けていくことにも意味があるような気もしていて、迷いますね」と明かした。また、日本のアニメーション映画には子どもが多く描かれている点については、「アニメーション映画を一番必要としているのが彼らの年代だからだと思います。エンターテインメントには10代の子供たちの人生を変えてしまう力があるかもしれない」と新海監督。「ただ、高齢化が進み大人が増えている日本の社会で、これから僕の映画をどういう人たちへ届けていけばよいのか、大人を描くのか、それとも今までどおり10代を主人公にすべきなのか、今ちょうど迷っているところでもあります」と、正直な気持ちを吐露した。インド公開の立役者と対面も!「日本の映画産業の形が少し変わるかも」翌日は、インド上映のきっかけとなった、本作のインド公開を求める署名活動を始めた、現地の男子高校生Divishth Pancholi(パンチョーリ)君と新海監督が対面。歓迎の花束を渡す感無量のパンチョーリ君に、新海監督は「署名活動をしてくれて本当にありがとう!」と感謝を伝え、『天気の子』の感想や、将来の夢など監督がパンチョーリ君を質問責めに。最後は、いつか東京で再会し、監督自ら映画の舞台を案内することを約束した2人。対面を終えた新海監督は、「パンチョーリ君の熱意と行動力によって、この先日本とインドのアニメーション映画の形が少し変わるかもしれないし、日本の映画産業の形が少し変わるかもしれない。心から凄いことだと思います」と語っていた。人口13億人を超えるインドは、年間映画製作本数(約2,000本)と年間映画観客動員数(約20億人)が世界1位、さらに映画市場は年間24億ドルを超える、正真正銘の映画大国。多くのインド人が娯楽として映画を愛し、インド映画=通称ボリウッドは世界の映画産業を牽引している。しかし、国内で他国映画の劇場公開が難しいのが特徴のひとつでもあり、そのことからも一般公開に合わせてインドプレミアを実施したことは異例となった。『天気の子』は全国にて公開中。インドでは10月11日より、韓国では10月30日、ロシアでは10月31日、タイでは11月7日より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:天気の子 2019年7月19日より全国東宝系にて公開(C)2019「天気の子」製作委員会
2019年09月30日「なつを演じる広瀬すずさんはじめ、『なつぞら』では、さまざまな人物が生き生き描かれていて。日本のアニメーション黎明期の、当時の活気にあふれた現場を思い出しますね」そうほほ笑みながら語るのは、NHK連続テレビ小説『なつぞら』で、アニメーション時代考証を務める小田部羊一さん(83)だ。宮崎駿、高畑勲とともに『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』に参加し、キャラクターデザイン・作画監督を務めた小田部さん。アニメ界の“レジェンド”とも言える人物だ。小田部さんは’59年、東京藝術大学卒業後、なつが勤めていた「東洋動画」のモデルになった「東映動画(現・東映アニメーション・’55年発足)に入社。在学中、日本初の長編カラーアニメーション映画『白蛇伝』(’58年)を見たのがきっかけだった。’63年、すでに先輩として東映動画に在籍し、『白蛇伝』の製作にも参加していた奥山玲子さんと社内結婚。この奥山さんこそ、『なつぞら』のヒロイン・なつという人物設定のヒントとなった女性だ。ドラマで見た“おなじみのシーン”も、小田部さんは「もちろん社内で見た光景ですよ」とうれしそうに明かす。「なつの服装を見て、先輩アニメーターの下山さん(川島明)が彼女をスケッチしていましたよね。奥山も、毎日違った服で出勤するほどの“おしゃれ好き”でした。先輩の大塚康生さんが、こっそり奥山の絵を描いていましたよ」奥山さんとの結婚のきっかけは、社内のイベントでの社交ダンス。「ダンスしているときに、つい彼女の手を握っちゃったんだよね。それでいつの間にか付き合っていて……気が付いたら子どもができていた。宮崎駿も、高畑勲も、みんな社内結婚なんです。奥山の“元カレ”も同じ職場。結婚式にも来ました(笑)」劇中では、なつと坂場一久(中川大志)、三村茜(渡辺麻友)と下山の職場結婚と、子育ての様子が描かれている。奥山さんと小田部さん夫婦も、共働きで子育てに奮闘したという。「いちばん大変だったのは、僕が東映動画を退所した’74年ごろ。僕は『アルプスの少女ハイジ』、奥山は東映で『アンデルセン童話にんぎょ姫』の作画監督として製作に参加していました。僕は夜通し作業をして、朝に家に帰り、小学生の息子にごはんを食べさせて。奥山は朝から仕事に出かけるという、昼夜交代の子育て生活が続きましたね」’07年、おしどり夫婦に突然の別れが訪れる。「奥山は、故郷の仙台に暮らす母のお見舞いを懸命に行っていました。その疲れもあったのか、風邪をこじらせて肺炎になって。病院では『風邪』と言われたのですが、高熱が下がらず、みるみる弱ってしまい……入院から5日で逝ってしまったんです」それから10年後、’17年6月に小田部さんは大病を患い緊急入院。入院生活は5カ月にもおよんだ。「医師からは『もうダメだ』と言われて、息子は葬儀の準備をしていたほどだったんです。それでも、なんとか生き延びることはできましたが、リハビリをしないと歩くことができませんでした」退院から数日後、NHKの担当者が「アニメーション黎明期の世界を描きたいので、当時の話を教えてください」と訪ねてきた。「もちろん、そのときに奥山の話もしました。僕がいまでは自分の足で歩けるようになったのは、きっと『このドラマを、ちゃんと見届けるのよ』という奥山の導きだったのかもしれないね」
2019年09月27日いよいよ『なつぞら』も残すところあと2話。ヒロイン・なつの設定のヒントとなった女性は、その晩年をどう過ごしたのか。夫だけが知る、“もうひとつのなつぞら”。「なつを演じる広瀬すずさんはじめ、『なつぞら』では、さまざまな人物が生き生き描かれていて。日本のアニメーション黎明期の、当時の活気にあふれた現場を思い出しますね」そうほほ笑みながら語るのは、NHK連続テレビ小説『なつぞら』で、アニメーション時代考証を務める小田部羊一さん(83)だ。宮崎駿、高畑勲とともに『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』に参加し、キャラクターデザイン・作画監督を務めた小田部さん。アニメ界の “レジェンド” とも言える人物だ。小田部さんは’59年、東京藝術大学卒業後、なつが勤めていた「東洋動画」のモデルになった「東映動画(現・東映アニメーション・’55年発足)に入社。在学中、日本初の長編カラーアニメーション映画『白蛇伝』(’58年)を見たのがきっかけだった。’63年、すでに先輩として東映動画に在籍し、『白蛇伝』の製作にも参加していた奥山玲子さんと社内結婚。この奥山さんこそ、『なつぞら』のヒロイン・なつという人物設定のヒントとなった女性だ。劇中では、なつと坂場一久(中川大志)、三村茜(渡辺麻友)と下山の職場結婚と、子育ての様子が描かれている。奥山さんと小田部さん夫婦も、共働きで子育てに奮闘したという。「いちばん大変だったのは、僕が東映動画を退所した’74年ごろ。僕は『アルプスの少女ハイジ』、奥山は東映で『アンデルセン童話にんぎょ姫』の作画監督として製作に参加していました。僕は夜通し作業をして、朝に家に帰り、小学生の息子にごはんを食べさせて。奥山は朝から仕事に出かけるという、昼夜交代の子育て生活が続きましたね」なつと一久も、小学生の娘・優を育てながら、自身らが制作する子ども向けテレビアニメ『大草原の少女ソラ』を成功させるため走り続けた――。劇中で『ソラ』が放送されたのは’74~’75年のことであるが、奥山さんは、その後どのように過ごしていったのだろうか。「僕たち夫婦は、『あんていろーぷ』という名義で、映画『龍の子太郎』(’79年)にキャラクターデザイン・作画監督で参加しました」’85年からは、夫婦で東京デザイナー学院アニメーション科の講師を務めた。そして同年、東映動画時代の同期だった池田宏さんから、小田部さんに「任天堂に来ないか」とオファーが来る。「『アニメーションのノウハウをゲームに取り入れたい』と。僕はゲームをしないし、オファーに躊躇していましたが、奥山が『やってみれば?』と背中を押してくれました。妻がそう言ってくれなかったら、まったく違う人生になっていたかもしれない」そこから20年、小田部さんは週に1度、京都にある任天堂本社に足を運び、大人気ゲーム「スーパーマリオ」シリーズのキャラクターデザインや、「ポケットモンスター」シリーズのアニメーションを監修し続けた。奥山さんは、’90年代からは銅版画家としても活動した。「アニメーション以外にも、奥山はたくさんの表現の手段を持っていました。文章を書くのも好きで、デザイナー学院の講師としては、生徒に対して何か気づいたらすぐに手紙を書いていて。教え子たちにも慕われていたようですよ」だが、’07年、おしどり夫婦に突然の別れが訪れる。「奥山は、故郷の仙台に暮らす母のお見舞いを懸命に行っていました。その疲れもあったのか、風邪をこじらせて肺炎になって。病院では『風邪』と言われたのですが、高熱が下がらず、みるみる弱ってしまい……入院から5日で逝ってしまったんです」それから10年後、’17年6月に小田部さんは大病を患い緊急入院。入院生活は5カ月にもおよんだ。「医師からは『もうダメだ』と言われて、息子は葬儀の準備をしていたほどだったんです。それでも、なんとか生き延びることはできましたが、リハビリをしないと歩くことができませんでした」退院から数日後、NHKの担当者が「アニメーション黎明期の世界を描きたいので、当時の話を教えてください」と訪ねてきた。「もちろん、そのときに奥山の話もしました。僕がいまでは自分の足で歩けるようになったのは、きっと『このドラマを、ちゃんと見届けるのよ』という奥山の導きだったのかもしれないね」そして『なつぞら』がきっかけとなり、奥山さんの原画の画集をつくることにも。「資料を探していたら、作品をつくるため、彼女が構想を描いていた絵がいっぱい出てきたんです。奥山はいつも、アイデアが内側から湧きあがってくるような人だったことを思い出しました」『なつぞら』が終わっても、奥山さんと小田部さんの“共同作業”は、いつまでも続く――。
2019年09月27日映画『ルパン三世 カリオストロの城』4D版が、2019年11月8日(金)から11月21日(木)までの期間限定で上映される。映画『ルパン三世 カリオストロの城』とは?1979年にアニメ「ルパン三世」の劇場用長篇第2弾として公開された『ルパン三世 カリオストロの城』は、スタジオジブリ設立前の宮崎駿が監督・脚本を手がけたアニメーション映画。興行収入の面では前作を上回ることはなかったものの、TV放送や口コミでその評判が広がり、多くの映画人にも影響を与えたとされる迫力あるアクションシーンと、後世に語り継がれる名シーンの数々で、今なお多くのファンに愛される作品となっている。カーチェイスや時計塔での激闘をよりダイナミックに今回はそんな名作を、通常の劇場にはないシートの動きや、煙、振動、風、ストロボなどの特殊効果を駆使して、映画の持つ臨場感を引き出したアトラクションスタイルの映画上映システム「4DX」で上映。特に冒頭のカーチェイスや思わず力が入る「カゲ」との戦闘、名場面の一つとして知られる屋根から屋根への大ジャンプ、時計塔での激闘シーンなどは、4D上映ならではのダイナミックな演出で、より一層印象深いものとなりそうだ。あらすじとある国営カジノから五十億の札束をまんまと盗み出したルパンと次元だが、実はそれはゴート札と呼ばれる偽札だった。その偽札を製造し、世界経済の裏側で暗躍していると伝えられるカリオストロ公国をターゲットにしたルパン達は、その過程でカリオストロ伯爵の妻にさせられようとしている公女クラリスに出会う。彼女を救うため、そして国の秘密を暴くため、ルパンとその仲間たちはカリオストロ伯爵との戦いに挑む。上映情報映画『ルパン三世 カリオストロの城』4D版上映期間:2019年11月8日(金)〜11月21日(木)上映劇場:・4DXユナイテッドシネマユナイテッド・シネマアクアシティお台場ほか全58スクリーン・MediaMation MX4DTOHOシネマズ 新宿ほか全8スクリーン※詳細は公式WEBサイトより。入場料金:2,200円均一【作品情報】映画『ルパン三世 カリオストロの城』原作:モンキー・パンチ監督:宮崎駿脚本:宮崎駿、山崎晴哉作画監督:大塚康生音楽:大野雄二美術:小林七郎製作・著作:トムス・エンタテインメント<声の出演>ルパン三世:山田康雄峰不二子:増山江威子次元大介:小林清志石川五ェ門:井上真樹夫銭形警部:納谷悟朗クラリス:島本須美カリオストロ伯爵:石田太郎 他
2019年09月18日「3週連続 夏はジブリ」企画を展開中の日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」。その3週目にしてラストを飾る8月30日(金)今夜の放送は『天空の城ラピュタ』をお届けする。いまや世界的巨匠として知られる宮崎駿監督が『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』に続き監督と脚本を手掛け1986年夏に公開された本作。小さな山里で暮らす少女・シータはムスカ率いる謎の男たちによって巨大な飛行船に乗せられ連れ去られる。だがムスカたちの飛行船を空賊のドーラ一家が襲撃、その混乱に乗じて飛行船から逃げようとしたシータは誤って落下してしまう。だが落下するシータの首にかけられたペンダントが光り輝くと、シータの体はゆっくりと降下をはじめ、たまたまその下にいた炭鉱で働く少年・パズーに助けられる。ペンダントは不思議な力を秘めた“飛行石”だった。その力を求めドーラ一家、ムスカら国防軍がパズーの町に現れる。追い詰められたパズーとシータは谷底に落下するが再び飛行石の力で2人は助かり、その後ドーラ一家とともにかつて栄えた空の王国・ラピュタを探す冒険に出る。実はパズーの父はかつてラピュタを見たことがあり、パズーの夢はラピュタに行くことだった。そしてシータの家にもラピュタの名前は受け継がれていた…というのが本作の物語。『紅の豚』や『風立ちぬ』など数々の宮崎作品で描かれてきた“空への憧れ”。本作ではタイトルに“天空”を冠するように、この空への憧れが凝縮された圧巻の飛行シーンは本作の最大の見どころ。巨大飛行船や昆虫のような翼で飛翔する空賊の飛行機械が飛び交うさまを、手描きで描き上げた空中戦は、いま見ても高いクオリティに仕上がっている。また本作終盤でパズーとシータが放つ「バルス」というセリフに合わせツイッター上で繰り広げられる「バルス祭り」は前回の放送時も話題となったが、今回はどんな盛り上がりを見せるのかも注目したいところだ。後のジブリの基礎を作り上げたといっても過言ではない歴史的名作を、この夏の終わりに改めてじっくりと鑑賞してみてはいかが?金曜ロードSHOW!『天空の城ラピュタ』は8月30日(金)今夜21時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2019年08月30日新海誠監督作の『天気の子』が、2020年2月9日に開催される、第92回アカデミー賞授賞式の「国際長編映画賞」ノミネート候補作品の日本代表に選ばれた。「The Hollywood Reporter」が報じた。今後、ノミネート入りを目指す。「国際長編映画賞」は、今年までは「外国語映画賞」という名称だったが、グローバルな映画製作コミュニティにおいて「外国」という言葉を使うのが時代遅れであるとの理由で、来年から変更になった。新海誠監督作は、『君の名は。』が第89回アカデミー賞授賞式の「長編アニメ賞」でノミネート候補に挙がったことがある。今回はアニメ、ドキュメンタリー映画も参加可能な「国際長編映画賞」でのエントリーで、日本のアニメがこの部門でノミネート候補となったのは、宮崎駿監督の『もののけ姫』以来だという。北米では『天空の城ラピュタ』、『もののけ姫』などのジブリ作品や『海獣の子供』など、数多くの日本の作品を配給してきた「GKIDS」が配給を担当する。『天気の子』は9月にトロント国際映画祭の「スペシャル・プレゼンテーション部門」に出品されることも決定している。(Hiromi Kaku)■関連作品:君の名は。 2016年8月26日より全国東宝系にて公開© 2016「君の名は。」製作委員会天気の子 2019年7月19日より全国東宝系にて公開(C)2019「天気の子」製作委員会
2019年08月27日『宮崎駿の雑想ノート』は、『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』などで知られる巨匠・宮崎駿が、1980~90年代に模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」に不定期連載していた連作絵物語と漫画だ。戦争の時代に人間と兵器が織りなしたドラマが描かれており、あの『紅の豚』もここから生まれたのだとか。8月27日に神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホールでの横浜公演で幕を開けた舞台『最貧前線』は、『~雑想ノート』の11番目の物語。また宮崎のオリジナル作品を国内で舞台化するのは、今回が初の試みとなる。物語は太平洋戦争の末期、小さな漁船・吉祥丸の中で展開。特設監視艇となった吉祥丸に乗り込んだのは、元々の船長(内野聖陽)と漁師たち、さらに艇長(風間俊介)とその副官(溝端淳平)ら軍人の面々だ。航海経験に乏しい軍人たちは、クジラを敵の潜水艦と間違えたり、嵐になる予兆に気づかなかったりと右往左往。漁師たちとも対立するが、やがて艇長らは、経験に裏打ちされた深い見識をもつ船長らと、信頼感で結ばれるように。戦況が厳しさを増す中、ついに吉祥丸は最前線である南方への派遣を命じられ……。原作はわずか5ページながら、宮崎らしいユーモアと透徹した視点で描かれている本作。原作単行本の巻末インタビューで宮崎は、「“絶対に死なないぞ!”と、なんとか犬死をしないで、“また魚をとるんだ!”っていうね、そういう人たちが出てきて、それをまっとうする話をね、僕はやってみたいと前から思ってたんです」と語っている。今回の舞台版には、内野をはじめ手練の役者たちがそろった。彼らなら、宮崎氏のそんな想いを、血肉の通った人物像でしっかりと具現化してくれるに違いない。『最貧前線 「宮崎駿の雑想ノート」より』8月27日~29日神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール9月6日~8日愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール9月12日~15日茨城・水戸芸術館ACM劇場9月21日~22日長野・サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)9月28日~29日新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場10月5日~13日東京・世田谷パブリックシアター10月17日~20日兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール10月26日~27日神奈川・大和市文化創造拠点 シリウス(1階芸術文化ホールメインホール)文:佐藤さくら
2019年08月27日この夏も話題のアニメ映画が次々と公開を迎えていますが、美しいものが好きな大人女子たちにオススメしたいのは、フランスから届いた注目のアニメ作品。まるで宝石箱をひっくり返したようなきらめきを味わえる最新作とは……。夢の世界へと誘う『ディリリとパリの時間旅行』!【映画、ときどき私】 vol. 254ベル・エポック真っ只中のパリ。ニューカレドニアからやってきた少女のディリリは、配達人の青年オレルと出会い、パリで初めてのバカンスを一緒に楽しむ約束をする。そんななか、パリでは男性支配団と名乗る集団による少女誘拐が多発していた。ディリリはオレルが紹介してくれるパリの有名人たちに手がかりを質問しながら、誘拐事件の謎に迫っていくことに。ところが、ついにディリリも誘拐の標的とされてしまうのだった。彼らを待ち受ける運命とは……。ベル・エポックとは、フランス語で「良き時代」という意味を持ち、19世紀末から1914年までのパリが栄えていた時代のことを指していますが、その華やかさが見事に再現されているのが本作。そこで、こちらの方に創作の裏側について語っていただきました。フランスアニメ界の名匠ミッシェル・オスロ監督!これまで、『キリクと魔女』や『アズールとアスマール』などで高く評価されているオスロ監督。今回は、本作のテーマに惹かれた理由や日本のアニメに対する思いなどについてお話いただきました。―今回の作品には、ベル・エポックに対する尊敬や憧れが詰まっていると感じましたが、もともとこの時代へ特別な思いがあったのでしょうか?監督実は、特に思い入れがあったわけではありませんでした。どちらかというと、フランスなら18世紀の歴史や、才能のある人たちを輩出した第一次世界大戦と第二次世界大戦の間が文化的に発展したモダンな時期として好きだったので、そんななかで今回ベル・エポックを選んだのは偶然だったのです。―というのはどういう意味でしょうか?監督最初は「女性がロングドレスを着ていた最後の時代だった」という表面的な理由で選んだからです。そういう時代の特徴に惹かれて描くことにしましたが、私が映画を撮るときに大切にしているのは、観ている人に夢を見させたいという思い。だからこそ、そういった美しいドレスを着ている女性たちを登場させたいという目的もありました。もし、女優のサラ・ベルナールがショートパンツをはいていたら、あまり魅力的ではないですよね(笑)。―では、この時代を描くにあたって意識したことはありましたか?監督私は、作品に取りかかるときはいつもその時代や国についてかなりリサーチをしますが、今回もどういう時代だったんだろうかと、いろいろと調べました。その過程でどんどんとこの時代に魅了されていったところはあったと思います。というのも、世界中からやってきた素晴らしい人々とどこに行ってもぶつかるほど、たくさんの天才たちがパリに集まっていた時代だということに気がついたからです。当時のパリには自由の精神が漂っていて、それが人々を引き付けたんだと思いますが、そういった風潮があったからこそ、ひとりひとりが自己表現をすることを認めていた時代でもありました。そんなふうに文化的にも科学的にも非常に優れた活動が行われてきた時代であると同時に、いっぽうでは女性が台頭し始めた時代でもあり、女性のステイタスが変わり始めた境目であったとも言えるでしょう。女性たちが自ら壁を壊していった情熱があった―まさにそういう女性たちの姿はこの作品のなかでも、印象的に描かれていたと思います。監督ただ、実際は女性が表に立つことをよしとしない男性もいましたし、それまでは女性を優遇するような法律もありませんでした。それでも、女性たちが自ら少しずつ“壁”を壊し始めていったのです。そのおかげで、初めての女性教授や女子大学生が誕生しましたが、ほかにも女医や女性の弁護士、女性の編集者など、多くの女性たちが戦った末にそれぞれのポジションを勝ち取ることになりました。そういう意味でも、すごくワクワクするような情熱のある時代だったんだと思います。女性を軽蔑し、侮蔑し、虐待するという現実があったからこそ、男性支配という“悪”を描くにあたって、それと対極にある素晴らしい女性たちの進出を描きたかったのです。―劇中では数々の著名人たちが重要な役割をはたすために登場しており、その数は100人を超えていますが、監督が影響を受けたアーティストはいらっしゃいますか?監督昔から好きなのは、画家のロートレック。なぜなら、彼はとても自由な気質の画家で、彼が描く人物像は生き生きとしているからです。おいしい料理を愛し、友達もたくさんいて、自分自身の人生を謳歌しているところが彼の魅力だと思います。―監督はアニメーションに関しては独学ということですが、日本の作家や作品から影響を受けている部分もありますか?監督もちろん、宮崎駿さんと高畑勲さんは避けては通れない巨匠だと思います。あとは、細田守さんの作品も非常に興味深いですね。とはいえ、日本のアニメはあまりにも素晴らしいので、誰の作品がいいのか迷子になってしまいそうなくらいです。(笑)日本のアニメは他が到達できないところまで来ている―監督の目には、いまの日本のアニメはどのように映っていますか?監督日本のアニメは、ほかの国のアニメ業界が到達できないほどの評価を得ていると思っています。というのも、日本のアニメ作家たちというのは、どの階級の人たちにも興味を抱かせるアニメを作り出し、子どもだけではなく大人の観客にも響くような世代を超えた作品を生み出しているからです。同じことをほかの国のアニメ作家たちもやろうとはしていますが、なかなかできず、日本ほど成功していません。私がデビューした80年代頃から『マジンガーZ』などが大ヒットし始めて、日本のテレビアニメが世界を席巻しましたが、そういった影響もあって、僕が一緒に仕事をしている若い子たちや生徒たちの頭のなかは、日本のアニメでいっぱいなんですよ。たとえば、フランスでは1週間くらい研修をさせますが、男の子も女の子もみんな日本のアニメのような絵を描いているほど。だから、いまはジャポニズムの第二の波が来ている感じです。―とはいえ、日本の作品にはない監督の作風も非常に魅力的で、今回はパリの街並みがとにかくリアルで美しかったです。描くうえで苦労した点はどのあたりでしょうか?監督実はこの作品の背景は写真を加工して作っているので、4年間かけて写真を撮り続けました。ただ、私はパリに住んでいますし、カメラを持って散歩していただけなので、苦労や困難はまったくありませんでしたよ。(笑)それよりも大変だったのは、最初の頃にプロデューサーも資金を出してくれるテレビ局も誰も見つからなかったことです。ただ、そういう状況に反して、パリの美術館や役所の方々がもろ手を挙げてこの企画に賛成してくれたことによって助けられました。そのおかげで、美術館の休館日にひとりで中に入らせてもらって、好きなだけ写真を撮ることを許可してもらえたり、オペラ座の地下から屋根裏だけでなく、普段立ち入りが禁止されているところやパリの下水道にも入ることができました。だから、私自身は背景となる写真をとても楽しく撮り収めていましたし、ここの景色が足りないと思ったらカメラを持って外に出る、ということを繰り返していただけなんです。私はいまの時代も悲観的にはとらえていない―監督から見て、ベル・エポックの時代にあって、いまの時代に失われてしまったものは何だと思いますか?もし、私たちが取り戻すべきものがあれば教えてください。監督フランス人をはじめ、悲観的な人がいまの世界には多いですが、私は悲観主義者ではありません。というのも、すべては相対的だと私は思っているからです。たとえば、フランスも日本もいまは平和だし、ヨーロッパの歴史のなかで70年もの間戦争が起こっていないというだけでも、すごいことですよね?それに、私はパリに住み、豊かに生きている実感がある自分の運命にとても満足しているのです。もし、ほしいものがあったとしても、アパートを出ればすぐに手に入れることができますからね。あと、私は自分のことを「世界市民である」という自覚を持つようにしています。だから、東京にいてもちゃんと地下鉄に乗ったり、公共の交通に乗って空港に行ったり、そういう世界市民的なところは大事にしていることです。ただ、いまの時代に欠けているものがあるとすれば、公共や民間の建物に対するリスペクト。フランスやそのほかの国でも、不法な落書きが街にあふれていますが、これは本当にひどいことだと思いますし、美しくないと感じています。でも、そういったものが生まれてしまうということは世の中で何かがうまくいっていない、どこか調子が狂っているということの表れでもあるのです。そういったことに対しては、悲観的な気分にはなってしまいますね。―時代背景としては100年以上前ですが、作品にはいまにも通じるメッセージが数多く込められていると思うので、最後にananweb読者へ向けて伝えたい思いをお願いします。監督いま言ってもらったようにメッセージは映画のなかで伝えているので、ぜひ作品を観ていただきたいですが、女性たちに伝えたいとすれば、「ルイーズ・ミシェルやサラ・ベルナール、そしてキュリー夫人のような素晴らしい女性たちを目指してがんばって欲しい」ということですね。目も心も奪われる美しさ!一瞬でベル・エポックのパリにタイムスリップしたような感覚を味わえる本作。華やかさと美しさを満喫できるだけでなく、女性たちが声を上げ、自らの足で一歩を踏み出した瞬間にも心を動かされるはず。ディリリと一緒に、見たこともないパリへと冒険の旅に出てみては?輝きの詰まった予告編はこちら!作品情報『ディリリとパリの時間旅行』8月24日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開配給:チャイルド・フィルム© 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFFLIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION
2019年08月23日映画『小さい魔女とワルプルギスの夜』が、2019年11月15日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー。『パディントン』のスタジオカナルが、世界的児童文学を初の実写映画化する。人気児童文学『小さい魔女』が実写映画化人気児童文学『小さい魔女』が初の実写映画化。『大どろぼうホッセンプロッツ』『小さいおばけ』など、数々の名作を世に送り出してきた、ドイツの児童文学者オトフリート・プロイスラーの『小さい魔女』は、宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』にも影響を与えたといわれる名作。現在、全世界47ヶ国で翻訳され、誕生から60年経た今なお世界中で愛され続けている。『パディントン』のスタジオカナルが贈る映像美実写映画化を実現したのは、『パディントン』『ハイジアルプスの物語』を手掛けたスタジオカナル。半人前の“小さい魔女”と相棒のおしゃべりカラス・アブラクサスの成長をいきいきと描き出し、至極のファンタジー作品を完成させる。“小さい魔女”×相棒のカラス・アブラクサスによる成長物語劇場公開に先んじて公開となった予告編は“大きい魔女”のみが招待されるお祭り“ワルプルギスの夜”にこっそり忍び込んだ“小さい魔女”が、その罰として7,892個の魔法を覚え「よい魔女」になる約束をさせられる場面からスタートする。相棒のカラス・アブラクサスに励まされながら奮闘するものの、失敗ばかりの“小さい魔女”。呪文を間違えるたびに大変な目に遭わされるアブラクサスと、いつでも明るい“小さい魔女”が、美しい映像で描き出される。坂本真綾&山寺宏一が吹き替え担当また、吹き替え版は坂本真綾&山寺宏一が担当。楽観的で天真爛漫、「良い魔女」になるために頑張る“小さい魔女”を坂本真綾が演じ、数々のアニメーション作品に参加してきた山寺宏一がカラスのアブラクサスに命を吹き込む。ストーリー森の奥でカラスと暮らす “小さい魔女”の夢は、魔女のお祭り“ワルプルギスの夜”に招待されること。しかし、参加できるのは大きい魔女だけ。127歳の“小さい魔女”はまだまだ半人前で、今年も招待状は届かない。あきらめられない“小さい魔女”は、こっそりと祭りに忍び込む。だが、喜んだのも束の間、ルンプンペルおばさんに見つかってしまった。大目玉を食らいながらも、何とか一番えらい“大きい魔女”から、来年の〈ワルプルギスの夜〉で〈良い魔女〉のテストに合格したら、踊ってもいいと約束してもらう。ただし、もし出来なければ、恐ろしい罰が待っている。帰宅した“小さい魔女”は、さっそく“大きい魔女”から渡された〈魔法辞典〉を開き、1年で7,892個の呪文をすべて覚えるという宿題に取りかかる。果たして、小さい魔女は無事に〈良い魔女〉になれるのか……。【作品情報】映画『小さい魔女とワルプルギスの夜』公開日:2019年11月15日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー監督・脚本:マイク・シェーラー出演:カロリーネ・ヘルフルト、ズザンネ・フォン・ボルソディ、アクセル・プラール吹き替えキャスト:坂本真綾、山寺宏一原作:「小さい魔女」(学研プラス刊)
2019年08月17日東京の中央線西荻窪駅から徒歩3分。信用金庫のビルの4階に「ササユリカフェ」はある。白で統一された店内は清潔感にあふれ、半アーチ形の天井もオシャレだ。テラス席には色とりどりの花が咲き乱れ、見上げれば青い空。そこは、空の広さと風を感じる居心地のよい場所だった。店内のテーブルには、放送中のNHK連続テレビ小説『なつぞら』(月〜土)の台本がうずたかく積まれている。この店のオーナー・舘野仁美さん(58)は、『なつぞら』のアニメーション監修だ。朝ドラ100本目の本作は、戦災孤児の奥原なつ(広瀬すず)が、北海道の酪農一家に愛情深く育てられ、やがてアニメーターを目指して上京。日本アニメの黎明期を支える女性に成長していく物語。オープニングのタイトルバックは、朝ドラ史上初の全編アニメーション。その肝となる監督・原画・作画監督を担当した刈谷仁美さん(22)を発掘し、抜擢したのも、舘野さんだった。「刈谷さんは、もともとカフェのお客さんだったんですよ」と、舘野さんは目を細めた。「卒業制作もここで構想を練っていました。ヒロイン・なつもドラマ劇中でよくやっていたように、刈谷さんもこのカフェで、身ぶり手ぶりで手足の動きを確認しながら、絵コンテを描いていたんです」舘野さん自身、宮崎駿監督率いる「スタジオジブリ」で27年間働いた、ベテランアニメーターだ。ジブリを退職した年に、貯金と退職金を注ぎ込んでオープンしたこのカフェを、訪ねて来たのがNHKの制作統括・磯智明さんだった。’17年10月のことだと磯さんは振り返る。「アニメの歴史に沿ったさまざまなタイプのアニメーションを、柔軟に作り分けられる人がいないと、このドラマは成立しません。ところが、大手の制作会社を当たってみると、どこも2〜3年先まで予定が埋まっていたんです」そこで、舘野さんの著書『エンピツ戦記誰も知らなかったスタジオジブリ』(中央公論新社)を読んでいた磯さんは、舘野さんに白羽の矢を立てたのだ。「舘野さんなら、日本のアニメ制作の歴史を肌で知っている。アニメ業界にも顔もきく。『うん』と、引き受けてもらうまでは帰らないという決意でした」『なつぞら』には、日本アニメ界の伝説のアニメーターを思わせる人物が何人も登場する。なつの才能をいち早く見抜いた仲努役の井浦新さんはこう話す。「舘野さんからは、仲のキャラクターの参考となった森康二さん(アニメの神さまと呼ばれ、『白蛇伝』の作者)のお話をたくさんうかがいました。森さんの次の世代に、高畑勲さん、宮崎駿さんがいて、舘野さんはその次の世代。『どれだけ私たちが森さんのことを信頼し、好きだったか』というお話を聞いて、役作りにもすごく生かせたんです」井浦さんは「高畑勲展」(東京国立近代美術館)にも足を運んだ。「高畑さんの仕事を見て、『そうか、ドラマで言ったら、高畑さんは坂場一久(中川大志)のような人か〜』と(笑)。高畑さんは絵を描かないので、高畑作品の原画マンたちの原画や絵コンテが展示されているんです。そのなかに舘野さんの名前もあり、うれしくなってしまいました」舘野さんは’60年12月13日、福島県南相馬市生まれ。高校卒業後、上京しデザイン専門学校のアニメーション科に。卒業後は小さなスタジオに入り、仕事の初歩を教わった。1年ほどでフリーになり、個人外注の仕事をもらって自宅で動画を描き始めた。「動画1枚160〜180円でしたね(苦笑)。30分で1枚描けるものもあれば、群衆シーンなどが来ると何時間もかかる。家から仕送りしてもらっていた時期もあります。下井草のアパートも、友人とのルームシェアでした」アニメーターの作画担当には、基本となる絵を描く原画マンと原画と原画をつなぐ絵を指定された枚数で描き、動いているようにみせる“中割り”の作業をする動画マンがいる。個人外注は動画の仕事だったが、続けるうちに欲も出てきた。「もっと勉強しないとダメだ」と、つてをたどって、大塚康生さんに会い、テレコム・アニメーションフィルムの入社試験を受けた。大塚さんは東映動画時代、宮崎さんを育てた人だ。入社試験の面接官は大塚さん、高畑勲さん、宮崎さんと、そうそうたるメンバーだ。テレコムには入社できたが、そこで自分の限界を感じてしまう。「私には、原画は難しいかなと。テレコムには、絵のうまい人ばかりいます。私は動画をきちんとやることだけで精いっぱいだな、とひしひし感じていました」舘野さんは23歳になっていた。次の目標は“一流の動画マン”。動画マンの先輩から、叱られ、直されたりしながら、辛抱強く動画の腕を磨くうち、先輩女性アニメーターから声がかかった。「今度、私、『となりのトトロ』という作品の動画チェックをやるんだけど、補佐やらない?」’87年、動画をチェックする動画チェッカーとして、スタジオジブリの『トトロ』班に参加。これは線の美しさや動き方をチェックして、よくないところは描き直し、作品のクオリティを高める仕事だ。以後、数々のジブリ名作アニメに携わり、宮崎さん、高畑さんという巨匠の作品づくりを目のあたりにすることになった。「宮崎さんは、誰よりも仕事をする。有言実行で、怒ると怖いけど、自分の家の周りのゴミは拾うし、ぜいたくしない。深酒もしない。本当に人として尊敬できます」舘野さんは、ジブリの制作部門解散を機に、’14年12月、退職。これまでとは全く別の道を歩もうと開いたカフェだったが、店でアニメの展示や個展などを開くうち、アニメファンや制作者、アニメーターを目指す若者たちが集まってくるようになっていた。磯さんが『なつぞら』の台本を抱えてやってきたのは、そんなタイミングだった。「絵コンテを描いてほしい」「監督をお願いしたい」「タイトルバックだけでも」と、熱心に通ってくる磯さんに、舘野さんの心が動いた。「最初は、辞退したんです。ただ、私には原画は描けないけれど、制作を請け負って、演出、原画、動画、美術、仕上げ、撮影と、ふさわしい人を集めたら、素敵なものができるかもしれないというふうに考えるようになりました。新しい才能を見つけて、アニメの世界に入れてあげられたらいいな。そういう形のアニメーションへの恩返しもあるのかなって、いまは思っています。アニメーション監修なんて、考えもしなかったけれど、ジブリで体験したことが、全部、肥やしになっていたんだなぁって」刈谷さんの仕事を見て、舘野さんは思う。「とても素敵な絵コンテや原画を描いてきてくれて。手だれの完璧さはないけれど、とても若々しい。その危うさも魅力です。ジブリのころは、完璧さを求めてキリキリしたけれど、いまでは細かいところにこだわりすぎない豊かさを、私が逆に気づかされました。完成品はとても心ひかれるものになりました」舘野さんは、アニメーター役の俳優たちの技術指導も担当した。鉛筆の持ち方、線の引き方、紙を指でパラパラとめくって、動画の動きを確認する練習もした。「広瀬さん(なつ役)は集中力のある方で、仕事が丁寧で線がきれいでした。線には人が出るんです」磯さんは言う。「宮崎駿さんのような天才アニメーターを頂点に、1つのチームでアニメーションを作るやり方もあります。でも、個性的なアニメーターが集まって、それぞれの適材適所を見極め、面白いものを作っていくやり方もあると思います。そういう新しい可能性を舘野さんが中心となって切り拓いてくれたら、日本アニメの未来は、もっと素敵なものになると思います」周囲の期待は大きいが、舘野さんは謙虚だ。「もしかしたら、『なつぞら』は今までの苦労に対する私へのご褒美なのかな。『もう一度、アニメの現場に戻ってごらん』ってアニメの神様が言ってくれたのかな。ご褒美って、忘れたころにやってくるのかもしれませんね」宮崎さんや鈴木敏夫プロデューサーは、『なつぞら』を見てくれているのだろうか?「ご覧になっているかわかりませんが、怒っていなければうれしいです」
2019年08月16日東京の中央線西荻窪駅から徒歩3分。信用金庫のビルの4階に「ササユリカフェ」はある。店内のテーブルには、放送中のNHK連続テレビ小説『なつぞら』(月〜土)の台本がうずたかく積まれている。この店のオーナー・舘野仁美さん(58)は、『なつぞら』のアニメーション監修だ。朝ドラ100本目の本作は、戦災孤児の奥原なつ(広瀬すず)が、北海道の酪農一家に愛情深く育てられ、やがてアニメーターを目指して上京。日本アニメの黎明期を支える女性に成長していく物語。オープニングのタイトルバックは、朝ドラ史上初の全編アニメーション。その肝となる監督・原画・作画監督を担当した刈谷仁美さん(22)を発掘し、抜擢したのも、舘野さんだった。「刈谷さんは、もともとカフェのお客さんだったんですよ」と、舘野さんは目を細めた。「卒業制作もここで構想を練っていました。ヒロイン・なつもドラマ劇中でよくやっていたように、刈谷さんもこのカフェで、身ぶり手ぶりで手足の動きを確認しながら、絵コンテを描いていたんです」舘野さん自身、宮崎駿監督率いる「スタジオジブリ」で27年間働いた、ベテランアニメーターだ。ジブリを退職した年に、貯金と退職金を注ぎ込んでオープンしたこのカフェを、訪ねて来たのがNHKの制作統括・磯智明さんだった。’17年10月のことだと磯さんは振り返る。「アニメの歴史に沿ったさまざまなタイプのアニメーションを、柔軟に作り分けられる人がいないと、このドラマは成立しません。ところが、大手の制作会社を当たってみると、どこも2〜3年先まで予定が埋まっていたんです」そこで、舘野さんの著書『エンピツ戦記誰も知らなかったスタジオジブリ』(中央公論新社)を読んでいた磯さんは、舘野さんに白羽の矢を立てたのだ。「舘野さんなら、日本のアニメ制作の歴史を肌で知っている。アニメ業界にも顔もきく。『うん』と、引き受けてもらうまでは帰らないという決意でした」舘野さんは’60年12月13日、福島県南相馬市生まれ。高校卒業後、上京しデザイン専門学校のアニメーション科に。卒業後は小さなスタジオに入り、仕事の初歩を教わった。1年ほどでフリーになり、個人外注の仕事をもらって自宅で動画を描き始めた。「動画1枚160〜180円でしたね(苦笑)。30分で1枚描けるものもあれば、群衆シーンなどが来ると何時間もかかる。家から仕送りしてもらっていた時期もあります。下井草のアパートも、友人とのルームシェアでした」アニメーターの作画担当には、基本となる絵を描く原画マンと原画と原画をつなぐ絵を指定された枚数で描き、動いているようにみせる“中割り”の作業をする動画マンがいる。個人外注は動画の仕事だったが、続けるうちに欲も出てきた。「もっと勉強しないとダメだ」と、つてをたどって、大塚康生さんに会い、テレコム・アニメーションフィルムの入社試験を受けた。大塚さんは東映動画時代、宮崎さんを育てた人だ。入社試験の面接官は大塚さん、高畑勲さん、宮崎さんと、そうそうたるメンバーだ。テレコムには入社できたが、そこで自分の限界を感じてしまう。「私には、原画は難しいかなと。テレコムには、絵のうまい人ばかりいます。私は動画をきちんとやることだけで精いっぱいだな、とひしひし感じていました」舘野さんは23歳になっていた。次の目標は“一流の動画マン”。動画マンの先輩から、叱られ、直されたりしながら、辛抱強く動画の腕を磨くうち、先輩女性アニメーターから声がかかった。「今度、私、『となりのトトロ』という作品の動画チェックをやるんだけど、補佐やらない?」’87年、動画をチェックする動画チェッカーとして、スタジオジブリの『トトロ』班に参加。これは線の美しさや動き方をチェックして、よくないところは描き直し、作品のクオリティを高める仕事だ。以後、数々のジブリ名作アニメに携わり、宮崎さん、高畑さんという巨匠の作品づくりを目のあたりにすることになった。「宮崎さんは、誰よりも仕事をする。有言実行で、怒ると怖いけど、自分の家の周りのゴミは拾うし、ぜいたくしない。深酒もしない。本当に人として尊敬できます」宮崎さんは仕事に対して非常に厳しかった。「アニメーターの勘は、ものの観察から生まれる」「自分の目で見たもので描け」宮崎さんの言葉は簡潔に本質をついたものだったが、聞く人にとって理解が及ばないことも多々あったという。たとえば『魔女の宅急便』のとき。動物の絵が上手な原画マンの絵を見て、宮崎さんが怒りだした。「俺が言ったのと違うだろう!」何がどう違うのか、舘野さんにはさっぱりわからない。ところが、その数年後、奈良に社員旅行に行ったときのこと。猿沢池のほとりで、降りてくる鳥を見ていた宮崎さんが、こうつぶやいた。「おまえ、下手だねぇ。飛び方、間違ってるよ」そのとき、舘野さんはハタと気づいた。「本物の鳥に『飛び方下手』って言っていて、ただのリアルじゃダメなんだ。リアルのなかにもうまい、下手があったんだ、と」“ジブリのこころ”は、そんなふうに体験を通して、ゆっくりと舘野さんのなかに染み込んでいった。30代になると、動画チェックだけでなく、「カット出し」も任された。複数の動画マンに、担当するカットを振り分ける仕事だ。舘野さんは効率よく仕事を回すために、スタッフの技術力を考慮して、適任者に振り分けた。「それがうまくいっていないと、動画チェックの段階で、修正箇所が増えてしまうんです」チェックした動画は仕上げに回り、そこで彩色をして、背景と一緒に撮影。編集、音響を入れると、アニメーションが完成する。動画チェックの仕事が遅れると、後に続く作業が滞る。完璧主義の舘野さんは、ささいなミスも直したいが、時間は限られている。そのうえ、動画スタッフのリーダー的な役割を担っていた彼女は、多方面からせっつかれ、いつもピリピリしがちだった。「遅れると、最終的な部署の人に『動画のせいでスケジュールが遅れた』って言われたこともあって。原画の方の中にものんびり仕事をしている人がいるんですよね」思い余って、その原画マンに注意すると、「生意気な女」「感じ悪い」という視線が飛んでくる。「遅れがちな原画の人には、制作が注意してくれたらいいのに、気を使ってハッキリ言えないんですよ。中間管理職の悲哀です(苦笑)」’88年の『トトロ』以降、数年ごとに新作を公開していたジブリ。公開する年の正月が明けると、舘野さんはフル回転。食事はおにぎりなどでササッと済ませ、トイレ以外はずっと仕事。そんな日々が公開直前まで続いた。’98年、父親が余命宣告を受け、夏休みに帰省した舘野さんはそのまま看病に当たった。舘野さんは『ホーホケキョとなりの山田くん』(’99年)の動画チェックを辞退して、帰省していたが、父親を看取って、10月半ばに仕事に復帰した途端、鈴木敏夫プロデューサーに呼び出された。「『山田くん』の動画チェックをお願いします。そしてこの作品を終わらせてください」制作は、遅れに遅れていた。「絶対に、公開予定に間に合わない」と、誰もが思っていた。舘野さんは自分を奮い立たせた。「間に合わせることができたら、私の勝ちだ」遅い人のカットを取り上げ、別の人を指名するなど、徹底的に仕事の手順を見直した。クビを覚悟で、言いにくい人にも厳しいことを言いまくった。風当たりはそれまで以上に強かった。「『また、あの生意気な女が』と思った人もいたでしょう。きつかった。苦しくて、独りぼっちだと思っていたら、父がヘリコプターで助けにきてくれる夢を見ました」過酷だった『山田くん』の仕事から解放されたとき、舘野さんは、「お話ししたいことがあります」と、宮崎さんにお願いした。制作期間中にため込んでいたうっぷんについて話しているうちに、抑えていた感情があふれ出し、涙が止まらなくなってしまった。すると、宮崎さんは、ズボンのポケットからハンカチを出し、そっと差し出してくれたのだった。その後も、宮崎さんは『風立ちぬ』(’13年)まで、動画チェックを舘野さんに依頼し続けた。舘野さんは、ジブリの制作部門解散を機に、’14年12月、退職。『エンピツ戦記』は、退職後の彼女がジブリの広報誌に寄せた、ジブリでの27年間の回顧録をまとめた著書。連載のきっかけをくれた鈴木プロデューサーからは、「『私は宮崎駿のせいで結婚できませんでした』という書き出しではじめてください」と依頼された。その連載がはじまることについて、宮崎さんはこんなことを言っていたという。「舘野さんはずっと下級管理職として耐えてきた人です。涙あり、歯ぎしりあり。舘野さんのなかには恨み節が渦巻いているんです」面と向かって褒めなくても、宮崎さんにはわかっていた。舘野さんの頑張りを。アニメーションに対する真っすぐな愛情を——。カフェをオープンしたときも、「4階で飲食業は厳しいし、家賃も高いから、やめなさい」と、言いながらも、お祝いにオリーブの木を1鉢、贈ってくれた。「宮崎さんが『たくさん実りますように。元気に育ちますように』と、念を込めてくださって。そうしたら、ほかの方から頂いた2つの鉢より元気なんですよ」
2019年08月16日「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」が、2019年9月16日(月祝)まで、三重県総合博物館にて開催される。「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」では、高畑勲・宮崎駿から厚く信頼を寄せられた日本屈指のアニメーター・近藤喜文を特集する。アニメ制作の第一線で活躍するとともに、その丁寧で繊細な絵は、多くのアニメーターに影響を与えてきた。近藤喜文は、高畑勲が手掛けた『赤毛のアン』『火垂るの墓』など、日本のアニメーション史に残る名作において作画監督やキャラクターデザインを担当。1995年には『耳をすませば』で初めて長編アニメーション映画の監督を務めた。会場には、スタジオジブリの全面的な協力のもと、アニメーションの原画やイメージボード、スケッチなど、500点以上が集結。企画だけで成立しなかった作品のラフスケッチや、『魔女の宅急便』のイメージボード、『紅の豚』や『もののけ姫』などの原画、『耳をすませば』の絵コンテ、キャラクター設定、セル・背景原画など、作品の裏側を感じられる、貴重な資料を揃える。その他、原画をパラパラできる体験コーナーや、撮影コーナーなども設置される。【開催概要】この男がジブリを支えた。近藤喜文展会期:2019年7月6日(土)~9月16日(月祝)観覧時間:平日9:00~17:00、土日祝日9:00~19:00(ただし入場は閉場30分前まで)休館日:毎週月曜日(9月16日は開館)会場:三重県総合博物館(MieMu:みえむ)住所:三重県津市一身田上津部田3060観覧料:一般1,300円、大学生800円、小中高生500円、ペアチケット(2枚1組) 2,300円※未就学児童は入場無料※身体障がい者手帳等持参者とその付添1名は観覧料無料。※各種割引の併用不可。【問い合わせ先】三重県総合博物館TEL:059-228-2283
2019年08月09日話題のスポットやエンタメに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今週は、日本のアニメ草創期に携わり、昨年死去した高畑勲氏の業績をたどる「高畑勲展」へ行ってきました。■「高畑勲―日本のアニメーションに遺したもの」東京国立近代美術館 1階企画展ギャラリーにて10月6日まで開催中本展は、未公開資料も含め約1,000点の資料が全4章にわたって公開されています。大きく分けると、(1)演出助手時代、(2)海外児童文学を手がけた時代、(3)日本らしさを描いた時代、(4)新たなアニメーションへの挑戦という構成。同じく演出家である宮崎駿氏はアニメーターでもあるけれど、高畑氏は絵を描かない演出家として有名でした。しかし、高畑氏による絵コンテや細かく書かれたプロットなど貴重な資料を見ることができます。そして豊かな原画と企画書などの制作資料からは、ひとつの作品に多くのクリエーターが携わっていることがわかります。『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』など、世界名作劇場シリーズで育ってきた記者は、第2章が特にテンションアップ!日本のアニメとして初めて海外現地調査(ロケハン)を行った『アルプスの少女ハイジ』のロケハン時の写真もあります。昨年、舞台となった村まで行ってきた記者、アニメと変わらないそのままの風景を目の当たりにし、すごく感激したものでした。高畑氏の型にはまらないスケールの大きさと豊かな想像力は、大人も楽しめる作品を作ったのです。朝ドラでもアニメーターがフィーチャーされる現在。日本アニメーション界の功労者の足跡を見ることができます。
2019年08月05日義父母がシンドイんです!
うちのダメ夫
あの日、私はいじめの加害者にされた