相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」残された家族が相続をめぐって争わないために、「遺言書」を書いておきたいが、「家族が仲よしだから」「面倒だから家族に任せる」などと書かない人が多い。相続コーディネーターで、「夢相続」代表の曽根恵子さんは次のように語る。「夫が亡くなって妻と子どもたちが相続するときには、妻を中心に意見がまとまりやすいのですが、子ども同士で親の財産を相続するときは、ささいなことでもトラブルになりがちです。それを防ぐためにも、遺言書を残すなどの対策が必要になります」一般的によく利用される遺言には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つがあり、公証役場に足を運んで、口述しながら公証人が作成する「公正証書遺言」は、遺産の規模によって金額は異なるが、専門家のアドバイスを受けてから作成して、そのまま預かってもらうと20万円程度の費用がかかってしまう。これに対して「自筆証書遺言」は、作成代はゼロだが、財産目録のすべてを直筆で書くうえ、自分で保管しなければならないので、偽造や破棄、隠蔽などの恐れがあり、「遺言を書いても執行されないで、遺品回収業者がタンスの引出しから見つけた」などという話もあるほど。今年1月13日からこの「自筆証書遺言」のハードルが下げられた。「遺言書の添付する財産目録だけは手書きで作成しなくてもよくなり、パソコンの作成や、通帳のコピーも添付できるようになりました。1枚ずつ署名と押印は必要ですが、高齢者たちにとって作成の手間が大幅に省けるようになったのは大きいです」(曽根さん・以下同)父親の遺産を子どもたちで相続する際、「法定相続分どおりに分けるのは不公平だ」と、考える場合がある。たとえば、《長年同居して父の身の回りの世話をし続けてきた長女夫婦に自宅3,000万円と預貯金1,000万円を残して、遠方に住む長男は生命保険金の受取人に指名しておきたい》、というときには、遺言書が必要になってくる。「特にきょうだい同士で離れて暮らす家族は『親をそそのかして自分の都合のいいように遺言を書かせた』といって、離れて暮らすきょうだいからクレームがつくことも。親の看取り方を話し合う過程で、亡くなったあとの話をするなど、ふだんからきょうだい間で話し合っておくといいでしょう」また「自筆証書遺言」を、法務局で預かる制度が来年7月10日からスタートする。財産を残す人の意思を確実に反映するためにも併せて活用したい。
2019年03月16日相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」大改正の目玉の1つが、来年4月にスタートする『配偶者居住権の創設』。夫が亡くなり、妻と息子2人が財産を相続する場合、現行の制度では、妻が自宅に住み続けたいと願ってしまうと、生活が成り立たなくなったり、反対に追い出されたりしてしまうことさえあった。相続コーディネーターで、「夢相続」代表の曽根恵子さんが解説する。「たとえば、3,000万円の自宅と預貯金3,000万円を残して夫が亡くなったとします。相続する割合(法定相続分)は妻が2分の1、2人の子どもで2分の1になるので、妻が『これまでどおりに自宅に住み続けたい』と望み、3,000万円の自宅を相続してしまうと、預貯金は子どもたちが相続することになります。すると妻は預貯金が受け取れず、手元の現金が不足することで生活が成り立たなくなるケースがあったので、夫に先立たれた妻が安心して生活できるように『配偶者居住権』が来年4月1日から施行されます」(曽根さん・以下同)施行後は自宅を「居住権」と「負担付き所有権」に分ける。居住権と所有権をそれぞれ50%と仮定すると、妻の居住権が1,500万円となるので、預貯金は妻と子どもたちでそれぞれ1,500万円ずつ配分され、妻も現金を得ることができる。「所有権の配分は相続人の間で決めます。居住権については、現時点では妻の年齢が若いほど高くなる評価方法が検討されています。高齢の妻ほど、居住権の金額が少なくなるということは、それだけ受け取れる現金が増えるので、居住権の活用は、終の住処と考える70歳以上の妻にとってメリットが大きくなるといえます」ただし注意点も。「配偶者居住権」を選択すると、妻が死ぬまで自宅で住み続けられるが、その一方で、売却しづらくなるのだ。「たとえば妻が後日『自宅を売却したお金で介護施設に入りたい』と言い出したら、所有権を持つ子どもの同意がないと簡単には売却できません。また毎年、自宅にかかる固定資産税は所有者に請求がいきますので、子どもたちが『所有権』を取得したら子どもたちが支払うことになります」「配偶者居住権」を選択したことで新たに生じる負担を確認するとともに、「いつまで自宅に住み続けるか」といったことも含め、家族で話し合っておくことが大切だ。
2019年03月15日相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」「相続法」40年ぶり大改正のポイントは次のとおり。「施行年月日」「名称」「内容」をチェックしよう。■2019年1月13日【自筆証書遺言の方式緩和】遺言書に添付する財産目録は手書きに限られていたが、パソコンでの作成やコピーの添付が認められることになった。■2019年7月1日【婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置】婚姻期間が20年以上の夫婦は、夫(妻)から生前贈与をされても、その金額は相続税にカウントされない。【預貯金の払戻し制度の創設】亡くなった後、故人の預金口座からお金を引き出すことはできなかったが、一定額のお金を引き出せるようになる。【特別の寄与の制度の創設】妻(夫)が義父母の介護をしていたら、義父母が亡くなった後、妻(夫)は法定相続人に対して、金銭を請求できる。【遺留分制度の見直し】相続財産が主に不動産しかない場合、相続人がほかの相続人から遺留分を請求されると、不動産を分けるしかなかったが、改正後は現金で解決できるようになる。■2020年4月1日【配偶者居住権の創設】妻が自宅を相続すると、現金などを受け取れなくなる恐れがあったが、ほかの財産も受け取れるようになる。■2020年7月10日【法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設】自分で書いた自筆証書遺言を法務局で預かってもらえるようになる。「昔は長男が家督を継ぐのが当たり前だと思っていたので、ほかのきょうだいから異論は出にくい状況でしたが、今は核家族化が進み、相続に関する情報もあふれているので、次男、三男、女のきょうだいでも権利を主張するようになった。今回の改正を最大限活用するためにも、最新情報をチェックして、事前に備えておきましょう」(竹内さん)
2019年03月15日相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」大改正の目玉の1つが、来年4月にスタートする『配偶者居住権の創設』。「たとえば親子が不仲で、夫の死後に子どもたちが法定相続分どおりの金額を要求したら、妻は子どもが相続する分の現金を別途調達しなければならず、自宅を売却したお金で渡す、ということもありました。その不安を解消するため、住む権利である『居住権』が新設されます」(竹内さん・以下同)また相続財産が自宅など不動産がメインの場合、分割の仕方をめぐってトラブルになりやすい。自分以外の相続人から最低限の遺産を手にできる「遺留分」を請求されると、土地の所有権を分ける場合もあった。今年7月1日に「遺留分制度の見直し」が施行されると、土地を相続した人が、遺留分を請求した相続人に現金で渡すという選択肢も明文化される。ほかに、相続税の面で妻の負担が軽減される改正も。「結婚20年以上の夫婦については、夫から妻へ生前贈与された自宅を相続税の課税対象に含まない『婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置』が設けられます。ただし、婚姻期間には事実婚は含まれないので注意が必要です」’16年厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、主たる介護者は「配偶者」が25.2%と最も多く、次いで「子」(21.8%)、「子の配偶者」(9.7%)となっている。義理の両親の介護を無償でしてきた夫の妻は一定数いるが、どれだけ尽くしても法定相続人になれないため、相続で財産を受け取ることはできなかった。「特別の寄与の制度の創設」で、妻が相続人に金銭を請求できるようになる。さらに、葬式等を取り仕切る際に知っておきたいのが、「預貯金の払戻し制度の創設」。家族の死後、故人の銀行口座は凍結され、現金の出し入れがいっさいできなくなる。葬儀費用の支払いなどでまとまった現金をすぐに用意するのが困難なケースも少なくない。「現行の相続法では、相続人の間で遺産分けについて話し合いをする『遺産分割協議』が終了し、相続人全員の署名と実印が押された『遺産分割協議書』などを持って各金融機関で手続きをしてからでないと、故人の口座から現金を引き出すことはできません。亡くなった時点で銀行口座に残っているお金は相続財産になるので、仮に引き出すことができたとしても、後日もめることもあります。『預貯金の払戻し制度』が始まることで、遺産分割協議の前でもほかの相続人の同意なく単独で、故人の預金口座から一定額を引き出すことができるようになります」家庭裁判所の判断がなくても「一定額」であれば引き出せる。その金額は、預貯金額の3分の1に法定相続分の割合を乗じた数(ただし、同一の金融機関に対して150万円が限度)となる。やはり残された家族が相続をめぐって争わないために、「遺言書」を書いておきたいが、「家族が仲よしだから」「面倒だから家族に任せる」などと書かない人が多い。今年1月に始まった「自筆証書遺言の方式緩和」は、遺言書作成のハードルが引き下げられた。「遺言書の本文と同様に、添付する『財産目録』は手書きに限られていましたが、パソコンでの作成や、貯金通帳のコピーなどの添付が認められるようになりました」また、自分で書いた遺言も、自分で保管しなければならず、後に「遺品を整理していたときに仏壇の引出しから見つかった」などと、故人の思いが反映されないことがあった。「法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設」がスタートすれば、市区町村にある法務局が自筆証書遺言を預かってくれるようになる。紛失や改ざん、破棄などのトラブルも防止できる。「昔は長男が家督を継ぐのが当たり前だと思っていたので、ほかのきょうだいから異論は出にくい状況でしたが、今は核家族化が進み、相続に関する情報もあふれているので、次男、三男、女のきょうだいでも権利を主張するようになった。今回の改正を最大限活用するためにも、最新情報をチェックして、事前に備えておきましょう」
2019年03月15日いま、1,500万円までは教育費を一括で生前贈与しても非課税になるって知っていた?今年3月で見直されてしまうこの制度。じつはうまく使えば、相続税を大きく減らすことができるんです。「現在、孫や子どもへの教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税という特例があります。しかし、この特例は今年の3月末で、見直されるんです」そう解説してくれたのは、円満相続税理士法人代表で相続専門税理士の橘慶太さん。’13年4月に始まった教育資金一括贈与の特例。現在、使うことができる代表的な5つの“特例”、「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」「夫婦間贈与の特例」「相続時精算課税の特例」のひとつで、子・孫が30歳になるまで、用途を教育費に限って贈与できる。高齢者の資産を若い世代に移すことで、世代間格差を是正しようというのが教育資金一括贈与の特例の“建て前”だが、じつはこれ、相続税の節税にも効果がある。「相続税は財産が大きくなればなるほど、税率も高くなる累進課税です。だから、生前贈与であらかじめ財産を減らせば、相続税も減らすことができますが、贈与税の基礎控除額は年間110万円まで。これを超えた額には贈与税がかかってしまいます。1,500万円を贈与しようと思えば、贈与の対象が20歳以上で366万円、20歳以下の場合は450万5,000円の贈与税がかかります。でも、この特例を使えば、贈与税はゼロ。つまり、即効性のある節税対策ができるのです」(橘さん)ただし、使用の条件は厳しい。「これは、30歳未満の子どもや孫の教育資金として使うなら非課税となる制度。信託銀行などに専門口座を開設し、教育資金として使われた証拠になる領収書を提出しなければいけません」(橘さん)ここでいう教育資金とは、幼稚園や学校、職業訓練学校の入学金や授業料。さらにPTA会費、修学旅行費、ユニホーム代もOK。塾や水泳教室、自動車学校などの習い事代、寮費用も含まれる。「ただし、留学費用としての渡航費はOKだけど、ホームステイ代はダメ。学校に直接支払われるものは、1,500万円まで非課税だが、業者などに支払うものは500万円までなど、細かいルールがあるので、気を付けなければなりません。領収書の提出を忘れると、教育費用として加算されないので注意が必要です」(橘さん)また、30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかることに。使途は教育費に限るうえに、お金の管理は孫や子ども名義の専用口座で行わないといけないなど、制限が多いこの制度。祖父母から孫に一括贈与する場合、親世代は恩恵をあまり受けていないように感じるかもしれない。『残念な相続』(日本経済新聞出版社)の著書などがある税理士の内藤克さんは利点をこう語る。「親世代にとっては、教育費が浮いたぶんを、ローン返済や貯蓄などに使えるわけです。つまり、祖父母から孫にお金が移動しているように見えて、実質的に自分たちがもらっているのと同じ(笑)。親の生前に確実に確保しておくという意味でも、特例を使うのはアリかもしれません」(内藤さん)また、橘さんも、ある条件のもとであれば、有効な制度だと語る。「死期が近くて、いますぐ相続税を減らしたい人には有効です。それから、『そのつど、教育費を払うね』と約束していても、子育て、孫育ては長期間。その間に、もし認知症になれば贈与が認められなくなりますので、元気なうちに確実に渡すため、制度を利用するという考え方もあるでしょう」ただし、この制度は今年3月末で終わってしまう、現国会で審議されている「2019年度税制改正」で、2年延長される見込みだが、子や孫の所得の上限ができるなど、やや制限される。「子や孫の年間所得が1,000万円を超えると、制度は使えなくなりますが、これに引っかかる人はなかなかいないはず。また、祖父母が贈与してから3年以内に亡くなって、その時に孫が23歳以上であれば、その時点で口座に残っている残高が相続税の対象となるように。相続税対策で始めても、すぐに祖父母が亡くなってしまったら、無意味になることも考えられます」(橘さん)これらの制限が適用されるのは、本年度の4月1日以降に契約した人。制限を避けようと思えば、3月末までの契約が必要だ。銀行で申し込んでから、すべての手続きに2~3週間はかかるが……。「『申込み基準』のため、ギリギリ3月末でもセーフ。でも、駆け込み需要も増えているので3月中旬には決断を」(信託銀行職員)とはいえ、相続税の節税目的なら、年間110万円の基礎控除の範囲内で、毎年贈与を行うのが“王道”だ。通常の贈与であれば、贈与されたお金の使途が問われることはない。さらに、贈与税を払ったほうが“お得”なケースもあるという。「ちょうど、資産の額が、相続税の税率が切り替わる境目にある場合、贈与税を払ってでも資産を減らしたほうが得になることもあります。ただし、非常に複雑な計算が必要なので、税理士などの専門家に相談したほうが安全です。現在は人生100年時代。行きすぎた贈与をすると、贈与した側が将来困窮する懸念もあります。さらに、偏った生前贈与で不平等が生じて、相続トラブルに発展することも」(内藤さん)生前贈与のご利用は計画的に!
2019年03月04日「現在、孫や子どもへの教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税という特例があります。しかし、この特例は今年の3月末で、見直されるんです」そう解説してくれたのは、円満相続税理士法人代表で相続専門税理士の橘慶太さん。’13年4月に始まった教育資金一括贈与の特例。現在、使うことができる代表的な5つの“特例”、「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」「夫婦間贈与の特例」「相続時精算課税の特例」のひとつで、子・孫が30歳になるまで、用途を教育費に限って贈与できる。高齢者の資産を若い世代に移すことで、世代間格差を是正しようというのが教育資金一括贈与の特例の“建て前”だが、じつはこれ、相続税の節税にも効果がある。「相続税は財産が大きくなればなるほど、税率も高くなる累進課税です。だから、生前贈与であらかじめ財産を減らせば、相続税も減らすことができますが、贈与税の基礎控除額は年間110万円まで。これを超えた額には贈与税がかかってしまいます。1,500万円を贈与しようと思えば、贈与の対象が20歳以上で366万円、20歳以下の場合は450万5,000円の贈与税がかかります。でも、この特例を使えば、贈与税はゼロ。つまり、即効性のある節税対策ができるのです」(橘さん・以下同)ただし、使用の条件は厳しい。「これは、30歳未満の子どもや孫の教育資金として使うなら非課税となる制度。信託銀行などに専門口座を開設し、教育資金として使われた証拠になる領収書を提出しなければいけません」ここでいう教育資金とは、幼稚園や学校、職業訓練学校の入学金や授業料。さらにPTA会費、修学旅行費、ユニホーム代もOK。塾や水泳教室、自動車学校などの習い事代、寮費用も含まれる。「ただし、留学費用としての渡航費はOKだけど、ホームステイ代はダメ。学校に直接支払われるものは、1,500万円まで非課税だが、業者などに支払うものは500万円までなど、細かいルールがあるので、気を付けなければなりません。領収書の提出を忘れると、教育費用として加算されないので注意が必要です」30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかることに。「上限いっぱいの1,500万円を贈与されて、公立中高、国公立大学と進んだ場合、使い切るのは難しいかもしれませんね。また、非課税枠は子ども1人あたり1,500万円なので、両方の祖父母からもらって計3,000万円などとすることはできません」使途は教育費に限るうえに、お金の管理は孫や子ども名義の専用口座で行わないといけないなど、制限が多いこの制度。橘さんは、ある条件のもとであれば、有効な制度だと語る。「死期が近くて、いますぐ相続税を減らしたい人には有効です。それから、『そのつど、教育費を払うね』と約束していても、子育て、孫育ては長期間。その間に、もし認知症になれば贈与が認められなくなりますので、元気なうちに確実に渡すため、制度を利用するという考え方もあるでしょう」
2019年03月04日消費税は、所得に応じて高くなる“累進課税”ではなく、すべての人に同じ税率が適用される税金です。そのため、増税で生活が苦しくなりそう……と感じている人も少なくないでしょう。でも、そんな状況でも得することはできるはず。そこで今回は、“消費税増税後に買った方が得かもしれないもの”について、資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんにご紹介いただきます。文・山田良政■デジタル家電は増税後に得する可能性が耐久消費財のなかでも、比較的安価な家電製品は、増税前にいろいろと買いたくなってしまうもの。しかし、特にテレビやレコーダーなどのデジタル(クロモノ)家電は、そもそも新商品が登場するまでのサイクルが短く、増税後でも型落ち製品の値下がりが期待できるので、急いで購入する必要はありません。次のシーズンの新製品が発売されるまで待てば、ワンシーズン前の型落ち品を非常に安く手に入れることが可能になるので、増税分の差額を差し引いても得することができるはずです。■増税前に売れなかった不動産は狙い目かも!?不動産、特に中古でない新しい物件は消費税の対象になりますので、増税前に買うのが基本です。増税後は不動産が売れなくなり、不良在庫が増えることが予想されるため、不動産販売業者も「増税前に買った方が得ですよ」と言うでしょう。しかし、増税後は必ずと言っていいほど消費が停滞し、恐らく今回も同様でしょう。それに伴って、不動産は増税した金額以上に値下がりする場合もあるので、増税前に焦って買うのは考えもの。さらに、政府が増税後の景気対策で住宅減税のような施策をとる可能性もあります。そのタイミングを狙って、増税前に売れなかった不動産を買えば、意外とお得に買い物できるかもしれません。■車は増税前に買うのがセオリーだが、エコカーは増税後購入で得する場合も車はただでさえ高価なもの。簡単には買えませんよね。さらに、増税のあおりを受けて、購入・維持の金銭的負担が増えることは間違いありません。しかし昨今、政府は自動車取得税を取りやめ、燃費性能がよい車を優遇するため“環境性能割”という制度を導入し負担を軽くしています。また、エコカー減税など、燃費の良い車を優遇する制度があったことを考えると、増税後も同様の制度が設けられる可能性は高く、エコカーを購入した際の実際の出費は、増税前後であまり変わらないでしょう。今後も、環境性能割などの制度によって、環境に優しい車への優遇は続いていくはずなので、エコカーを購入するメリットは大きいと言えます。平成30年10月15日時点で、安部内閣から平成29年4月に予定されていた消費税10%への増税を、予定通り平成31年10月まで延期することが正式に発表されました。増税の波は刻一刻と私たちの生活に忍び寄りつつあります。しかし、政府の対策や企業努力などによって、状況が改善されることも予想できます。みなさんも、増税に負けないやりくり上手を目指しましょう!-山田良政-株式会社オフィサム代表取締役。FXによる資産運用を自動化させた第一人者。自身が開発したFX自動売買システムが、2013年度に「世界一の評価」を獲得。誰でも気軽に資産が増やせる「自動取引システムによる資産運用」を提案し、その分かりやすい切り口はマネーに関するプロ達だけでなく女性からの支持も多い。「億を稼ぐ」ために必要な思考が綴られたインタビュー本『億トレⅡ』『億トレⅢ』も大好評。『月間BIG tomorrow』でも執筆中。・株式会社オフィサム © dotshock / shutterstock© Monkey Business Images / shutterstock© Syda Productions / shutterstock
2019年01月26日消費税は、所得に応じて高くなる“累進課税”ではなく、すべての人に同じ税率が適用される税金です。そのため、増税で生活が苦しくなりそう……と感じている人も少なくないでしょう。だからといって、焦ってアクションを起こすのはむしろ危険。そこで今回は、“消費税増税前に早まってやらない方がよいこと”について資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんにご紹介いただきます。文・山田良政■消費税の課税対象でないものを焦って買わない消費税増税前に大きな買い物をする際、注意すべきポイントがあります。それは、買おうとしているものが課税対象かどうかということ。そもそも消費税の課税対象でなければ、焦って購入する必要はありません。例えば、土地などは消費税課税の対象にはなりません。他にも、国債や株券などの有価証券、商品券やプリペイドカード、介護保険サービスや保険料は対象外です。これらのものを焦って手に入れようとすると、あとからお金に困る可能性もあります。くれぐれもご注意を。■軽減税率の対象商品を把握しよう消費税増税後も、“軽減税率”が適用されることで、現行の消費税率の8%のまま据え置かれるケースもあります。例えば生活に必要不可欠な食料品なども軽減税率の対象です。それを知らずに大量に食料品を買い込んでも、全く意味がありません。食べきれずに賞味期限が切れてしまい、かえって損をしてしまう恐れも。食料品は焦って買い込まないようにしましょう。■家電は購入するタイミングが重要家電は、本当に欲しい商品が決まっているのであれば、増税前に買ってもいいでしょう。しかし、何となく「消費税が上がる前に買っておこう」と思っているだけであれば、増税前ではなく、家電そのものの値段が下がるタイミングを狙った方がいいかもしれません。それは、新旧モデルが入れ替わる時期。当然、旧モデルは在庫処分のためお買い得になります。時期は商品によってだいたい決まっているので、自分が欲しいものが決まったら、そのモデルの前回の入れ替わり時期を調べてみましょう。増税前に焦って買うよりもお買い得になる場合も。■家を購入する場合は新築か中古かを確認して家を購入する場合、消費税が関係するのは主に“新築の物件”です。一般個人が売主である、大半の中古物件には消費税はかかりません。それに、住宅の価格は簡単に2~300万円程度上下するもの。焦って買ってしまうと、かえって損するケースも。特に、個人が売主の中古物件を検討するなら、急ぐ必要はありません。ただし、不動産会社が中古住宅の売主となっている場合の売買価格や、不動産仲介業者への仲介手数料には消費税が課されるので要注意。平成30年10月15日時点で、平成29年4月に予定されていた消費税10%への増税を、平成31年10月まで延期することが正式に発表されました。増税の波は刻一刻と私たちの生活に忍び寄っています。ただし、焦り過ぎるのはよくありません。自分の生活水準と課税される対象を見極めたうえで、柔軟に対応していきましょう。-山田良政-株式会社オフィサム代表取締役。FXによる資産運用を自動化させた第一人者。自身が開発したFX自動売買システムが、2013年度に「世界一の評価」を獲得。誰でも気軽に資産が増やせる「自動取引システムによる資産運用」を提案し、その分かりやすい切り口はマネーに関するプロ達だけでなく女性からの支持も多い。「億を稼ぐ」ために必要な思考が綴られたインタビュー本『億トレⅡ』『億トレⅢ』も大好評。『月間BIG tomorrow』でも執筆中。・株式会社オフィサム © PERO studio / shutterstock© fizkes / shutterstock© Andrey_Popov / shutterstock© Monkey Business Images / shutterstock© PR Image Factory / shutterstock
2019年01月19日iDeCo(イデコ)とは、長寿化・少子高齢化に伴い、不足する可能性のある「老後の資産」形成のための制度です。原則として20歳から60歳までの方が加入できます(一部要件あり)。本記事では、iDeCo(イデコ)加入者が、加入途中で死亡した場合に一時金や相続はどのようになるのかなどにスポットを当てて記します。※本記事内の数値や要件などは、記事執筆時点のものです。iDeCo(イデコ)加入者本人が死亡した時どうなるの?先ほど記しましたように、iDeCo(イデコ)は老後の資産形成のための制度で60歳まで原則としてお金を途中で引き出すことができません。しかし、(あまり想像したくないことではありますが)人生では60歳途中までに加入者が死亡してしまうこともあるでしょう。このような場合は、どうなるのでしょうか。見てみましょう。iDeCo(イデコ)加入者が途中で死亡した場合は?iDeCo(イデコ)に加入している方が引き出し可能年齢(60歳)までに死亡した場合は、死亡一時金が遺族に支払われます。一時金とは、まとめて受け取るお金のことです。ポイントとしては、年金形式で受け取ることができない、というところです。iDeCo(イデコ)加入者が途中で死亡した場合は、死亡一時金が受け取れるiDeCo(イデコ)における死亡一時金とは?死亡一時金の金額については後述しますが、死亡一時金は次のような概要です。確定拠出年金制度において、加入者又は運用指図者の方が死亡された場合、ご遺族の方が請求により受け取ることのできる一時金のことをいいます。年金受給中に死亡された場合、ご遺族の方が残額を受け取ることができます。死亡一時金の請求先は、記録関連運営管理機関となります。出典:イデコ公式サイトここで言う加入者とは、お金を現在出している人です。運用指図者とは、掛け金を出すのを中止していて、資産の運用だけをしている人を指しています。一般的には、加入者のiDeCo(イデコ)口座を開いている機関(銀行や証券会社など)に連絡を取り、手続き方法を教えてもらうとスムーズです。iDeCo(イデコ)加入者が60歳以降に死亡したらどうなるの?iDeCo(イデコ)加入者は原則として60歳以降、お金を引き出すことができますが、お金を引き出す前に亡くなった場合も、遺族が一時金を受け取ることができます。年金として受け取り中であった場合も、残りの金額を一時金として受け取れます。iDeCo(イデコ) 60歳以降の引き出し:生存時のお金の受け取り方法は基本的に①一時金としてまとめて受け取る②年金として受け取るがあります。70歳までに手続きをしないと、自動的に①の一時金として支払われます。iDeCo(イデコ)に未加入の配偶者が死亡した場合はどうなるの?iDeCo(イデコ)はあくまでも個人の資産形成の制度ですので、公的年金とは異なり、iDeCo(イデコ)に未加入の配偶者が死亡をしても一時金などはありません。iDeCo(イデコ)に加入するかどうかは、あくまでも個人の意思です。主婦・主夫はiDeCo(イデコ)に加入すべき?あくまでも個人的な意見ではありますが、iDeCo(イデコ)はあくまでも個人の老後の資産形成のための制度ですので、夫婦であってもそれぞれで加入をすることも検討すべきかと思います。もちろん、節税面を考えますと、iDeCo(イデコ)への加入は収入のある方にとって所得税控除のメリットが多く発生します。一般的に収入のない主婦・主夫にとっては「所得税の控除が私にはないから、働き手だけがiDeCo(イデコ)に加入していればそれでいいでしょう。それが税制面で一番お得でしょう」と思われるかもしれません。それは確かにその通りの一面があります。しかし、iDeCo(イデコ)は公的年金ではありません。自分の意思で加入する(税制面で優遇されている)「個人の私有財産」です。離婚という問題が発生する可能性もありますので、夫婦でも別々に加入するという選択肢も入れておくと良いかもしれません。もちろん、離婚をしても財産分与で話し合いの上に分け合うということもあるようです。iDeCo(イデコ)死亡一時金はいくら?相続はどうなる?それでは、iDeCo(イデコ)加入者が死亡した場合の一時金と相続はどうなるのか見てみましょう。iDeCo(イデコ)の死亡一時金はいくら?まず、iDeCo(イデコ)の死亡一時金は、加入者により異なります。大変乱暴に言いますと、亡くなられた方の運用していた金融商品(預金タイプ・投資信託)を一度清算して現金に戻します。そして、そのお金を死亡一時金として受け取れる、という形です。そのため、加入者の以下3つの状況によって受け取れる金額が異なります。毎月の拠出額拠出した期間投資信託(※1)の場合、その清算時の運用成績※1 投資信託とは、様々な金融商品がパッケージ化されている金融商品。値下がりするリスクあり。経済環境などにより値動きがある。分散投資に適している。iDeCo(イデコ)の死亡一時金は、人それぞれで異なる身近な人のためにできることをしておくのも重要かもしれませんただ、現実にはiDeCo(イデコ)に加入している配偶者の方が亡くなられた場合、遺族にとっては「iDeCo(イデコ)のことなど気にしている余裕はない」のが現実だと思います。また、余裕が生まれても「iDeCo(イデコ)のことを知らなかった・窓口となる金融機関名が分からない」という事態も起こり得ます。親族が亡くなった場合、手続きの一つ一つが、残された遺族にとっては大変な重労働となります。書類一枚を書くにしても、その都度、いろいろな思い出が浮かび、大変に「重い・苦しい・つらい」こともあります。たとえば銀行の預金を下ろすだけでも、場合によっては親族のハンコがいくつも必要になったりと、肉体的にも精神的にも大変につらいことがあります。場合によっては何カ月も何も手につかないこともあるでしょう。現在、iDeCo(イデコ)に加入している方はのこされる方のために、最低限iDeCo(イデコ)に加入しているここの金融機関でiDeCo(イデコ)口座を開いているという旨は書面で残しておくのも愛情かと思います。口頭で伝えると忘れやすいものです。もちろん、受取人(後述)についても記しておくとさらにスムーズだと思います。iDeCo(イデコ)加入者死亡後、相続はどうなるの?誰が受け取れる?相続は遺された遺族にとっては大変にエネルギーを使う手続きです。先ほど少し触れましたが、iDeCo(イデコ)の死亡一時金受取人を指定することができます。あらかじめ指定したい人がいる場合は、生前に運営管理機関に対して、受取人を指定しておくことが可能です。銀行や証券会社などの運営管理機関に問い合わせ、手続きをしておきましょう。指定受取人は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の中から選びます。生前に誰にも死亡一時金受取人の指定をしていなかった場合は、決められた相続順位となります。iDeCo(イデコ)の死亡一時金受取人は生前に指定が可能iDeCo(イデコ)加入者が死亡した場合まとめiDeCo(イデコ)加入者が亡くなった場合は死亡一時金が受け取れるiDeCo(イデコ)の死亡一時金は掛け金・期間・運用成績などにより異なるiDeCo(イデコ)の死亡一時金の受取人はあらかじめ指定できるiDeCo(イデコ)は基本的に自分の老後に備える「自分のための年金」ですが、受け取り前に本人が亡くなった後も、のこされた遺族の力になれます。ムダになりません。また「長生きをするリスク」もあります。どちらにも備えられる制度です。税制面でも優遇されていますので、人生100年時代においては重要な制度かもしれません。
2019年01月15日「“いざなぎ超え”の好景気といわれていますが、生活に還元されているとはいえません。’19年からは、4月の社会保障制度改革と10月の消費税増税により、国民はより負担を強いられます。さらに、4月から施行される『働き方改革関連法』により、大企業に勤める会社員は、軒並み残業代がカット。年収は確実に減少するため、5月以降“生活が苦しい”と感じる世帯は増えるでしょう」そう解説するのは、経済評論家の加谷珪一さん。’19年は、多くの法改正により、家計への負担が大きく変わってくる。「さまざまな負担から家計を守るためには、法改正ごとに、その制度が自分の家族にとって負担を増やすものなのか、それとも賢く利用することで負担を減らすことができるのか、つねに意識することが重要です」さっそく、加谷さん、弁護士の松下真由美さん(レイ法律事務所)とともに、’19年下半期の“お金にまつわる法改正”を見ていこう。【7月】■相続法(民法)改正「長年の見直しの末、’18年7月に相続法(民法)が40年ぶりに改正され、’19年7月(一部は’20年7月)から施行されます。被相続人の妻や相続人の妻に“お得”なケースも増えているので、把握しておきましょう」そう話す松下さんが、改正相続法の重要項目を解説してくれた。《預貯金の仮払い》「夫が急に亡くなり、葬儀費用や当座の生活費が足りないときでも、現状では相続人全員の同意がなければ、夫の預金を引き出せませんでした。しかし今回の改正法では、夫の預金の3分の1の額から、妻の法定相続分の2分の1まで(1金融機関150万円が上限)を妻が単独で引き出せるように改正されました」《相続人でない親族の特別寄与》「同居の義理の父をどれだけ長年にわたって介護してきても、現行法では法定相続人ではないため、相続人の妻は遺産を1円ももらえませんでした。この問題を解消するため、改正法では『義父の財産の維持などに特別な貢献をした』という意味で、相続人以外の親族にも『特別寄与』として請求できる権利が与えられることになります。各相続人に対して、特別寄与の支払いを請求し、協議によって決めるか、家族で決めてもらうというのがおもな請求方法です」【10月】■住宅ローン減税の延長・自動車税減税の見直し住宅ローンの控除期間が、現行の10年間から、13年間に。入居1年目から10年間は、これまでと同様に年50万円を上限にローン残高の1%を控除。さらにローンが残る場合は11年目以降の3年通算で建物購入価格の2%の範囲で減税する方針だ。自動車税減税については、最大で年間4,500円を恒久的に減税するという。「しかし、これらは’19年10月~’20年末の間に新たに契約し引き渡された住宅やマンション、同年10月以降に新車新規登録を受けた自家用乗用車に適用されるもの。すでに住宅ローン減税を受けていたり、自家用車を保有している人にとっては“現状維持”となりそうです」(加谷さん)■消費税増税下半期で家計を直撃するのは、なんといっても8%から10%に引き上げられる今回の消費税増税。小売業に与える影響を加谷さんが解説する。「家電は前回の増税時、駆け込み需要による“バカ売れ”が目立ちました。今回もそれを狙って、8~9月あたりから家電量販店は価格を上げる可能性がありますから、安易な“駆け込み買い”は控えたいところです」さらにこの消費税増税には、もうひとつ“政府の狙い”があるという。「それは決済の“キャッシュレス化”です。銀行ATMは維持費がかかりすぎるため、政府は店舗数を減らしたいのです。今後のために、クレジット決済を中心としたキャッシュレス生活に切り替えることは重要だと思います。政府は消費税増税後、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を使った消費者に対し、購入額の5%分をポイントで還元する施策まで検討しています。還元目的に、むやみに買い物をしては本末転倒ですが……」(加谷さん)「超高齢社会のいま、’20年以降も、現役世代に負担を強いる政策は増える」と加谷さんは語る。自分の消費を見直しつつ、法改正を理解して、賢く’19年を乗り切ろう。
2019年01月07日もしも、あなたが実家を相続したらどうしますか?相続税の納付金は決して少ない額ではありませんので、マイホームを購入するどころではなくなってしまいます。相続税の課税範囲を実質的に拡大した2015年度以降、「我が家は自宅しかないから相続税は納めなくていい」と思っていたのに相続税を申告しなくてはいけなくなったケースが増えています。とくに、都市部に不動産を保有している世帯への影響が大きくなりました。東京国税局によると、税制改正の翌年(2016年)は、相続税課税割合は12.8%と、相続が発生した人のおよそ7人に1人が課税対象となりました。■ 自分は長生きすると思っている親なら、課税の可能性アリかみぞー / PIXTA(ピクスタ)税制改正前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」までが非課税でしたが、2015年の改正で「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に変更されました。夫婦と子ども2人の4人家族で夫が亡くなった場合、基礎控除額は8,000万円から4,800万円に縮小されてしまうのです。4,800万の控除額になると、都市部に自宅があり、預貯金や株式、保険などの金融資産をある程度持っていれば、一般的な家庭でも申告の可能性があります。近年は、長寿化に備えて老後のための金融資産を用意している人が増えています。「自分が長生きするから金融資産を残そう」と努力している親を持っている人は、自分は相続税を納付する可能性があると考えたほうがよいでしょう。■ 小規模宅地の特例と配偶者控除で納付金ゼロの可能性がある白熊 / PIXTA(ピクスタ)申告をしても、相続税の納付はせずに済むケースがあります。「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」という特例制度を使うのです。配偶者には、法定相続分、もしくは1億6,000万円のどちらか大きい金額までは相続税が免除される制度があります。「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が暮らしていた住まいや、経営していた店など事業用の不動産、もしくは貸し出していたマンションなどの土地の相続税評価額を80%軽減できる制度です。HAKU / PIXTA(ピクスタ)「小規模宅地等の特例」敷地面積や被相続人との続柄などで一定の要件を満たした場合に限り適用されますが、要件は複雑です。被相続人が暮らしていた自宅の場合、評価減されるのは敷地面積100坪(330平方メートル)までで、誰が相続するのかも要件になります。夫が亡くなった家の場合、その家で同居していた妻や子どもが相続する場合は、80%軽減の対象になりますが、実家から独立してマイホームを購入した息子が相続すると、特例は使えず、土地の相続税評価額がそのまま課税対象になるのです。つまり、マイホームを購入してから実家を相続すると、控除額が少なくなってしまいます。■ 相続税納付を避けたいなら、生前に財産目録の作成をNOBU / PIXTA(ピクスタ)相続時に税の納付を避けたいならば、自分の親に、財産目録の作成をお願いしておくのが賢明です。どのくらいの財産を持っているかは、親が亡くなってからでは調査に時間がかかり、遺産分割協議の期限(10か月)があっという間に過ぎてしまいます。財産の整理を生前にしておいてもらえば、万が一相続が発生した際、残された家族の負担は軽くなります。また、目録をもとに、課税対象額を試算することが可能です。小規模宅地の特例を使わなくても済むことがあらかじめ分かっていれば、安心してマイホームを購入することもできます。小規模宅地等の特例には細かな要件が多いため、試算の際には、税理士などの専門家に助言を受けることをオススメします。■ まとめ吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)「相続の準備はお金持ちのするもの」と思っている人が、いまだ少なくありません。しかし、上記のように相続税の申告・納付の可能性は誰にでもあるのです。親や自分が亡くなったとき、どのように相続の手続きが進められるのかを、生前に十分検討しておくことが必要です。Writernista/ファイナンシャルプランナー(AFP)吉井希宥美
2019年01月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「社会のじかん」。今回はイラストレーターの五月女ケイ子さんと共に、消費税について考えます!消費税が10%になる。→堀さんの分析:高い税金、高いキャッシュバックの制度作りに向けた議論が始まりそうです。堀:30年前にスタートした消費税。2019年10月には、8%から10%になります。五月女:最初は3%でしたよね?当時、中学生だったので、すごく痛かったです。堀:少子高齢化の進む日本では稼ぎ手が減るので、税収も減って、将来、国の財源が足りなくなる。そこで始まったのが消費税です。国は将来的には20~30%くらいまで上げたいと思っているんです。五月女:そんなに上がるんですか!?堀:段階的に上げてきましたが、税率が上がるたびに消費が落ち込んで景気が悪くなってしまう。そこで国は、いくつかの増税対策を検討中で、そのうちの一つが、「軽減税率」です。五月女さんは普段、どんなものを買いますか?五月女:なんだろう?食料品とか服とかでしょうか。堀:あまり買わないものは?五月女:宝石とか家とか車とか…飛行機?(笑)堀:軽減税率とは、米やパンなど日常的に必要な食料品は8%の据え置きにして、酒や煙草などの嗜好品や、経済的に余裕のある人しか買わない高価なものは、税率を10%にするという仕組みなんです。正確には据え置きなので、「軽減」ではないのですが。五月女:本当だ!名前がずるい!堀:ものによっては複雑になります。たとえば、スーパーのお惣菜は買って帰れば8%ですが、イートインコーナーで食べると「外食」扱いになり10%になるんです。五月女:えー!それは混乱しそう。堀:増税対策はほかに、一定期間、中小小売店でのキャッシュレスでの支払いにはポイントを還元するとか、低所得者と0~2歳児のいる子育て世帯には、購入額以上の買い物ができる「プレミアム付き商品券」を発行するなど、全部で9項目が予定されてます。五月女:お店のポイントとかも、私は活用するのが苦手で、本当に得になっているのかな?と思ったりします。堀:僕もポイントはあまり活用できていません(笑)。ただ、日本の社会保障をこれからも支えていくには、消費税は上げていかないともたないんですよね。北欧やヨーロッパの一部の国では、消費税が30%台と高い代わりに、学校や病院を無償にしています。五月女:日本はそういうふうにはできないんですか?堀:日本は長らく、政治家たちが人気取りのために選挙のたび「減税」を謳う時期が続いて、消費税の制度設計がうまくいっていませんでした。五月女:何のために増税が必要なのか、わかるように説明してくれれば私たちも納得できるんですけど。堀:高い税を支払う代わりに、子どもの教育費、奨学金、介護や医療費などで高いキャッシュバックが得られる制度作りに向けた義論が、2019年は本格化すると思います。生活の向上につながる還元策になっているか、私たちは見守ることが大事になりますね。堀 潤さん(写真左)ジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)ほか、レギュラー多数。五月女ケイ子さん(写真右)イラストレーター。ツイッターは@keikosootome。楽しいグッズ満載のオンラインストア「五月女百貨店」は@sootomehyakka。※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年01月03日生命保険で受け取る死亡保険金で相続税対策ができるのはご存じですか?もちろん死亡保険金には税金がかかりますが、ほとんど心配しなくていい金額です。今回は生命保険で相続税対策を行い、受け取る保険金にかかる税金の心配が必要なくなる話をご紹介します。死亡保険を受け取った時の相続税死亡保険金を受け取った時に心配なのは相続税ですが、死亡保険金は残された家族の生活を支える資金になるため税制上の優遇があり、所得税や贈与税などのように高額な税率ではありません。ここでは、死亡保険金を受け取った時にかかる実際の相続税をみていきます。実際はあまり心配しなくていい死亡保険金の相続税死亡保険金で受け取るお金にも税金がかかりますが、死亡保険金に対する相続税を心配する必要はほとんどありません。そのことを2015年以降に相続があった場合を例にみていきます。(2014年12月31日以前の相続は計算式が異なります。)夫、妻、子1、子2の4人家族で、保険契約者兼被保険者である夫が亡くなり、夫の保有財産が1,000万円、死亡保険金が4,000万円だった場合、相続税を支払う必要はありません。また、民法で定められた相続人のことを法定相続人といいますが、法定相続人が3名の場合、死亡保険金1500万以上でかつ死亡保険金を含めた相続財産が6,300万円を超えなければ税務署への申告義務は発生しません。(他にも法定相続人が何人なのか、誰が相続するのかで課税対象の金額は変わってきます。)下表は相続税額早見表です。配偶者と子が2人の家庭は1億円相続しても315万円の相続税です。相続人が配偶者や子ではなく孫や他人の場合はこのようにいきませんが、家族のために死亡保障を用意する場合は死亡保険金の相続税や通常の相続税は心配しなくていいことがわかります。注1. 遺産を相続人が法定相続分により相続した場合の相続税額(1万円未満を四捨五入)。注2. 遺産の総額は、基礎控除を差し引く前の課税価格の合計額。注3. 相続税額の計算上、配偶者の税額軽減のみ適用し、未成年者控除などの税額控除は考慮していない。死亡保険金にかかる相続税死亡保険金には非課税限度額があり、非課税限度額は以下の式で計算します。500万円 × 法定相続人= 非課税限度額前項の例の家族の場合は、500万円 × 3人(妻、子1、子2)=1,500万円が、死亡保険金から非課税枠として差し引かれます。ですから、4,000万円の死亡保険金で法定相続人が3人いる場合に実際課税される金額は、2,500万円です。(以下計算式)死亡保険金4,000万円-非課税分1,500万円(500万円 × 3人)=2,500万円各相続人にかかる課税金額は以下の式で計算します。この式をもとに課税される生命保険の金額を算出すると、妻の課税される生命保険の金額は1250万円、子の課税金額はそれぞれ700万円ですが、後述する相続税の非課税枠内におさまるので相続税を支払う必要はありません。相続税で控除される項目生命保険は税制上の優遇が受けられる商品ですが、生命保険を相続対策に役立てるためには相続税に関する知識も知っておく必要があります。以下に相続税で控除される項目をご紹介します。生命保険非課税限度額前項で紹介しましたが、死亡保険金には非課税限度額があり、法定相続人の人数分の金額が死亡保険金から差し引かれた金額が課税対象金額となります。非課税限度額は以下の式で計算します。500万円 × 法定相続人= 非課税限度額生命保険非課税限度額は、法定相続人である「子」が相続を放棄した場合は非課税限度額を計算するうえで法定相続人に含んでいいとされていますが、法定相続人である「配偶者」が相続を放棄した場合は法定相続人の人数には含みません。また、相続を放棄した相続人が死亡保険金を受け取る際には相続人とみなされず、非課税金額の適応を受けられません。基礎控除相続税には基礎控除があり、以下の式で計算します。3,000万円+600万円×法定相続人数夫が死亡した場合、妻と子1、子2がいる場合、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が課税対象相続財産から控除されます。(2014年12月31日までに相続があった場合の基礎控除額は5,000万円+1,000万円×法定相続人数で計算します。)配偶者控除配偶者の相続税額から、以下の式で計算した額が控除されます。相続税の総額 ✕(①②のいずれか少ない額 / 課税価格の合計額)①課税価格の合計額 ✕ 法定相続分と1億6,000万円のどちらか多い額②配偶者が実際に取得した課税価格この配偶者控除があるので、配偶者については1億6,000万円までは実質非課税であり、1億6,000万円を超えた場合も法定相続分の範囲内におさまれば非課税です。債務控除相続では、プラスの財産の他に、借金などのマイナスの財産も一緒に相続します。債務控除では、被相続人が死亡した時に確実にあったとされる債務(マイナスの財産)は相続財産から差し引くことができます。差し引くことができるのは、死亡した被相続人の借金や未払い利息、医療費未払い分、税金の未納分、葬式費用などです。相続対策としての生命保険生命保険を相続対策として利用すると、前項で死亡保険金を受け取った時のように税制優遇される場合が多くあります。以下に相続対策としての生命保険のメリットをご紹介します。受け取りがスムーズ被相続人が死亡した場合、生命保険の場合は、保険会社に申請すると一週間ほどで死亡保険金が支払われます。受取人指定をしてあるのでスムーズに短期間で保険金を受け取れます。一方で、銀行に預金していた場合、被相続人の銀行口座はいったん凍結されます。そして、相続手続きが済んだら口座のお金を動かせます。相続手続きには相続人ごとに必要書類を用意するので手続きには時間がかかります。名指しでお金を残せる相続する場合には、遺言書や遺産分割協議が必要ですが、生命保険で受取人を指定すると特定の人にお金を残せます。また、受取人を指定してある死亡保険金は、相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた「遺留分」の対象には含まれません。死亡保険金で受け取ったお金は受取人固有の相続財産になり、もっと遺産が欲しい他の相続人からの遺留分請求の対象にならないため、相続人同士のトラブルを避けることができます。銀行よりも利回りがいい商品がある貯蓄性の高い保険商品で死亡保障を用意し、被保険者が死亡するまで解約しない場合、銀行の利回りよりもいい利息で資産運用できます。資金に余裕があり、解約しないことが前提なら、貯蓄性の高い生命保険の商品を選択するのもいいかもしれません。まとめこれまで「死亡保険を受け取った時の相続税」「相続税で控除される項目」「相続対策としての生命保険」をみてきました。生命保険で受け取る死亡保険金の相続税はあまり心配しなくていいことがわかりました。そして、生命保険だと誰にいくら残すのかを最初に決めるので、遺産相続争いは起こりにくく、相続税の心配もほとんどないメリットがありましたね。残された家族の生活を守るために、生命保険で相続対策をとられてはいかがですか?[showsns]
2018年12月20日いよいよ来年の2019年10月には消費税が8%から10%に上がります。たった2%とはいえ、住宅においてはその金額の差が大きく表れます。ですから、今のうちに購入しといたほうがいいのか、焦らなくてもいいのか悩む方が多いのではないでしょうか。今回は注文住宅において、消費税増税前に購入すべきか、はたまた増税後でもいいのか、検討していきたいと思います。建てる気がある人は、増税前に建てたほうが良い理由住宅の建てどきは、増税前なのか増税後なのかは正直に言いますとその人の状況によって異なります。ロストコーナー / PIXTA(ピクスタ)まず、増税前に買うべき人はすでに建てる予定がある人です。例えば建築費が3,000万円だとして、8%だと3,240万円ですが、これが10%になると3,300万円となり、60万円の開きがあります。これだけでも差は大きいですが、注文住宅を建てるには建築費以外にもかかる費用がたくさんあります。freeangle / PIXTA(ピクスタ)インフラ関係の工事や仮設工事、また建て替えの場合は解体費用がかかります。消費税はこれらにもかかります。また、インテリア工事費用や諸費用、家具、家電など、どんどん消費税増税分が加算されていきます。これがすべて合わさると数百万という単位になり、8%と10%の差が大きくなります。ですから、もう住宅を建てる予定がある方はすぐに動くことをオススメします。消費税増税にあおられて…という場合は焦る必要なし今建てる予定はなかったけれど、消費税増税にあおられてしまって建てようとしてる方はそんなに焦る必要はありません。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)理由は3つあります。1.焦ってしっかりと検討できない可能性もmakaron* / PIXTA(ピクスタ)引き渡し時期や契約時期に縛られてしまい、間取りや内装をじっくりと検討できない、契約前の見積りを細かくチェックできずに契約してしまう、などデメリットが多いです。そのほか全部決めたは良いものの、駆け込みで建築する人が多く、工事がいつもより丁寧でなくなる、または間に合わなくなるなどの恐れもあります。2.増税後にキャンペーンなどの可能性があるizumi / PIXTA(ピクスタ)こちらは断定はできませんが、増税後には着工数は落ちてしまいます。それを防ぐためにも何かしらキャンペーンを検討しているハウスメーカーは多いはずです。3. 国にもさまざまな制度があるJob Design Photography / PIXTA(ピクスタ)例えば、すまい給付金でも今度の増税に伴い、8%のときよりも増える予定です。これまで年収510万円以下の人が受け取れる制度でしたが、今度は775万円までの人が受け取ることができるようになります。そのほか住宅ローン減税もありますし、増えた分を少しでも軽減させる方法はあります。焦ってしまい、不本意な家づくりをするよりも、一生に一度の高いお買い物ですから、じっくりと検討されることをオススメします。数百万円のために後悔してしまうのは、非常にもったいないことです。まとめ消費税増税前がいいのか、それとも増税後に建てるのがいいのか、とても悩みどころですよね。今回ご紹介したように自分たちは今家を建てることが必要なのかどうなのかをよく検討して、動くことが大切です。住宅展示場などを見に行けば、あおられて焦ってしまうこともあるかもしれません。Ushico / PIXTA(ピクスタ)建てるつもりもなかったのに急かされて……というふうになるのは避けたいところ。でも、建てるつもりでいるなら、ぜひ建てるべきです。家は自分が本当に欲しい、必要だと思ったときが一番の建てどきです。【参考】※国土交通省すまい給付金
2018年12月04日皆さんが生活をする上で、何かと出費がかさむのが消費税ですよね。現在は8%の税率がかかってきますが、来年10月にはいよいよ10%になります。そんな増税のタイミングに備えて、私たちは今からどのようなことをしておけばいいのでしょうか。そこで今回は、資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんに「消費税が上がる前にしておきたいこと」についてご紹介いただきます。文・山田良政■毎月1万円の貯蓄を意識して消費税が10%に増税されると、22~34歳の単身世帯の場合、毎月9290円、毎年11万1488円の負担増となります(第一生命経済研究所調べ)。消費する金額が少ない場合は負担額も減ってくるので、その分差し引いて考えても良いのですが、見落としがちなのがスマホの通話料。これには消費税がかかっています。増税後、突然負担が増えて支払えない…… なんてことにならないように注意しましょう。これまでよりも月に1万円多く貯蓄するように心がけておけば安心です。■食品・日用品は品薄になる前に確保増税直前には多くの人が買いだめに走り、品薄になることも少なくありません。保存できる食品、日用品などは増税数カ月前から計画的に購入することをお勧めします。ただし、賞味期限などがあり、買い過ぎてムダになるようなものはNG。お酒などの嗜好品は、増税後需要が減っても価格が下がりにくいので、増税前に購入するのがいいかもしれません。注意したいのは土地。土地それ自体は消費税の対象外なんです。たとえば、総額3000万円の物件でも、建物部分の価格が1000万円であれば、課税対象はこの建物部分のみ。消費税が10%でも負担額は100万円なので、8%の現在よりも増えるのは20万円程度しかありません。焦って購入して後悔しないように気を付けましょう。■衣料品はセールを利用して。ブランド品は買い!衣料品のセールでは20%OFFや半額になるのが当たり前ですよね。増税後もセールは変わらず続くと見込んで良いでしょう。半額セールともなれば、増税分の負担はそこまで気にならないはず。ただし、大幅な値引き販売をしない機能性衣料やブランド衣料は価格が一定で、増税後、需要が減ったとしても値引き販売されることはほとんどありません。増税前に購入しておくことをお勧めします。ちなみに、現在の円高の傾向を考えると、ブランド品は海外で購入したほうがお買い得になることも。最新の為替レートを調べても良いかもしれません。■結婚式は増税前に挙げようもし彼との結婚が決まっているなら、増税前に式を挙げても良いのかもしれません。結婚式の会場費は値下げをすることがないので、増税分は負担になってしまうからです。ただし、式場の需要が高まる6月には会場費が高くなるなど、季節によって価格が決まる側面も強いので、増税だけを意識しないようにしましょう。また、新婚旅行の際の航空券やパッケージツアーの価格は、時期によって左右されるので、増税をあまり意識する必要はありません。式は増税前に、旅行は後からでも良いかもしれません。消費税10%は、予定通り平成31年10月に実行されることが正式に発表されました。増税の波は刻一刻と私たちの生活に忍び寄りつつあります。お金を使えば使うほど、消費税はお財布に影響を与えます。税率が上がる前に、なるべく大きな買い物を済ませておいた方がいいかもしれません。(C) Nattakorn_Maneerat / shutterstock(C) Stokkete / shutterstock(C) g-stockstudio / shutterstock(C) Shunevych Serhii / shutterstock
2018年11月17日消費税の税率が来年10月より10%に引き上げられることが先日正式に表明されました。5%から8%に引き上げられたのは2014年4月1日のこと。当時筆者はマンション管理会社でフロント業務に従事していましたが、税率の引き上げが管理組合の一般会計を直撃し、予算を作成するのに大いに苦労したという記憶があります。そこで今回は「マンション管理組合の予算」について書いてみます。■ 管理組合の予算はすごく重要shimanto / PIXTA(ピクスタ)マンションの管理組合は、組合員が納めた管理費や修繕積立金の範囲内でマンションの維持管理や管理組合の運営を実施しますが、限られた範囲の中でやりくりするためにはお金の使い方の管理が大変重要になります。そこで必要となってくるのが予算で、1年間の事業計画を作成して必要となる支出を計算し、収入と突き合わせて予算を作成することにより初めて管理組合を正常に運営することが出来ます。■ 収入はほぼ事前に計算できるtopic-asd / PIXTA(ピクスタ)予算を作成する際はまず収入を計算するところから始まります。管理費収入に加えて駐車場・自転車置き場・ルーフバルコニー・専用庭といった各種の使用料がその柱となりますが、これらはほぼ事前に計算することが可能です。管理費の滞納があればその分だけ収入は減少するはずですが、管理組合会計は「現金主義」と「発生主義」に基づくとされており、滞納の有無にかかわらず所定の額が全額入金されることを前提に計算します。「おかしいのではないか?」という異論が出された場合の話法はひと通りマスターしていましたが、筆者自身も納得していたわけではありません。駐車場の空き区画が増加すればその分だけ収入が減少して一般会計をひっ迫させることになりますが、それに対する対策はまた別の機会に書きたいと思います。■ 「特に変わったこと」がなければ前年並みが基本jyapa / PIXTA(ピクスタ)収入が判明したら次は支出を計算しなければなりません。管理委託費や設備管理業務費は契約に基づくものなので端数に至るまで金額を確定できますが、水道光熱費や諸経費、修繕費(一般会計)に関しては概算で算出するしかありません。大きな工事を実施する場合や何か新しい活動を行う場合はそれに要する費用を予測して予算計上しますが、それ以外で「特に変わったこと」なければ前年並みの金額を記載すれば基本的に問題はありません。■ 組合会計を直撃した消費税引き上げと電気料金の高騰YNS / PIXTA(ピクスタ)「特に変わったこと」として筆者が特に印象深いのが消費税の引き上げと東日本大震災以降に発生した電気料金の高騰です。消費税が引き上げられればその分だけ管理委託費や設備管理業務費が上がります。通常は「毎月の単価×12か月」で計算しますが、消費税が引き上げられればそれ以降の単価が変わるため、引き上げが組合の会計年度の途中になる場合は「旧単価×▲か月+新単価×◆か月」というような計算が必要になります。東日本大震災で発生した原発事故は電気料金の大幅な高騰をもたらしましたが、共用部の電気料金としては年間で数十万円という規模で増加しました。当然ながらこういった事態はマンションの一般会計を直撃します。スイマー / PIXTA(ピクスタ)担当物件が十数棟あれば毎月のように予算の作成業務が発生しますが、筆者の場合は一般会計がひっ迫していた上に繰越金が少なかった組合が多かったため、新たな予算を作成するたびに脂汗を流すことになりました。即効性のある収支改善策を採らなければ理事会に出せるような予算にならないため、自分の方から設備管理業務費の減額提案をせざるを得ず、「俺は一体何をしているのだろう」という気分になったことを記憶しています。消費税の税率引き上げはもともと2015年10月に予定されていたものが度々延期されてきたもので、筆者はその度ごとに大いに安堵したものです。どうやら今回の引き上げは予定通り実施されそうで、これでフロントの頭痛の種がまた一つ増えることになりそうです。
2018年11月03日今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。二世帯住宅を検討する際の心配事は、一緒に暮らし始めたはいいけど本当にうまくいくの?という暮らし方の悩みから、生活費や税金、相続などのお金のこと敷地活用や間取りのこと、介護や孫とのコミュニケーションなど、多岐にわたります。今回は、二世帯住宅の間取りの特長から考える住まいのコツや暮らし方まで、専門家から聞いた快適に過ごせる住まいの基本のコトを紹介!また、二世帯住宅を考える際によくあるお悩みについてもQ&Aで解説します。■ 間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅の基本のタイプから間取り別メリットと注意点など、知っておきたい基本のコトを紹介。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ《あわせて読みたい実例記事》>築80年の実家をリノベ。古材を生かして、快適な二世帯に【住まいの設計】>あたらしい「バリアフリーリノベ」【リライフプラスarchive】■ うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣今は義理両親ともうまくいっているけれど、二世帯住宅にしたら本当にうまくいくの?建築家の米倉拓生さんに「うまくいく二世帯住宅の秘訣」をお聞きしました。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣【建築家米倉拓生さんに聞きました】二世帯住宅を建てる際には、気にするべきポイントがいくつかあります。娘夫婦、息子夫婦のどちらと同居するかでも建て方は変わるようです。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣《あわせて読みたい実例記事》>安心感と好きなインテリアを両立させた二世帯住宅【住まいの設計】■ ハウスメーカー業務経験者が語る!二世帯住宅を建てる前に抱えやすい悩みと解消ポイント二世帯住宅を建てる際、ハウスメーカーに依頼するケースが多くあります。ここでは、ハウスメーカーに5年勤めた経験のあるライターの川添さんに、二世帯住宅を建てる前に多くの人が抱えやすい悩みや不安、その解消ポイントをお聞きしました。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法多くの人が抱えやすい悩みや不安の解消ポイントを解説。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法二世帯住宅で義両親・夫側と妻側がうまくいくカタチとは?Q&A二世帯住宅を建てる前に、夫側、妻側どちらの義両親のどちらの場合でも、うまくいく「住まい」のあり方について確認しておきたい基本ポイントを解説。夫側、妻側どちらの義両親と住んでもうまくいく「住まい」のあり方《関連記事》>「二世帯住宅」ってどう?住んでから分かるメリット・デメリット>「お金、家事、介護…etc.「同居」の前に親と話し合って決めるべきこと《あわせて読みたい親とのコト》>親の介護ではいい嫁になるな!妻が「介護うつ」にならない方法6つ>約55%が相続先が未確定!「実家の相続」親子のホンネとは?>実家の片付けは親を監督兼助手にするとうまくいく!?【実践編】>2025年には5人に1人が認知症に!介護問題って何から始めればいい?>「実家」が汚すぎて片付けが無理…という人は必見!親も納得する整理術とは?
2018年10月05日二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。特に都市部の子世帯にとっては土地代なしで家を持てるメリットが大きく、さらに子育ての協力も得やすいため、検討する人が増えています。また、将来的に相続がスムーズになる点も見逃せません。今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。費用面の優遇、子育てや家事などで協力し合える……と、メリットもいろいろあるようです。■ 二世帯住宅は、数年先より10年先、20年先を視野に入れた計画を!二世帯住宅は、誰と住むのか、その関係性で設計プランが違ってきます。妻にとって夫の親と暮らす場合、独立タイプが賢明です。妻側の親だと同居で大丈夫と思いがちですが、自分たちの空間にサブ的なダイニングキッチンやご主人がくつろげるスペースがあると良いです。もし親を呼び寄せて二世帯を建てる場合は、親が寂しくならない配慮が大切です。子世帯と顔を合わせやすい間取りを考えたいもの。さらに長期的な視野も入れ、いずれ部屋が空いた際、どう使うのか。例えば、ある程度の広さがあり玄関が2つで水回りも独立していれば賃貸転用も可能になります。数年先より、10年先、20年先まで予想して二世帯住宅を建てることをオススメします。■ 知っておこう!二世帯住宅の基本タイプ基本タイプは3つ。分離型の独立タイプと一部共有の共用タイプ、同居に近いけど専用空間も充実させた融合タイプとなります。独立タイプ壁で仕切り、あるいは上下で分けて外階段をつけ、完全に生活空間を分離させたタイプ。玄関をはじめ水回りや食事空間も別で、言わばマンションの隣同士に近いイメージです。千和 / PIXTA(ピクスタ)メリット家族がすぐ近くにいる安心感を持ちつつ、プライバシーを保ちやすい2世帯それぞれの生活時間のリズムや習慣を崩さず暮らしやすいここに注意!壁や天井で完全に仕切り、玄関も設備も2軒分必要になるので、建築コストがアップ!共有タイプ玄関、浴室などの設備を一部共有しながら、お互いの生活ゾーンを分離させたタイプ。同じ玄関を入り、1階に親世帯、内階段を上がった2階に子世帯が住むパターンが一般的K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)メリット適度にプライバシーが保たれ、お互いの空間への行き来もスムーズ玄関や水回りなどの設備を共有するぶん、建築コストが抑えられるここに注意!設備を共有で使うため、お互いの生活時間帯や動線を邪魔しない間取りの工夫が必要!融合タイプ基本的な生活空間を共有し、家事・育児や生活コストの効率化を図るタイプ。それぞれサブリビングやミニキッチンなど専用空間も設け、完全同居とならない間取りが特長K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)メリット共有部分が多いので、3タイプのなかで最も建築コストを抑えられる専用空間があるため、同居に近くても適度にこもれてストレスをためにくいここに注意!全員が集まる場所と専用空間のメリハリをつけ、とくに義理の間柄でも居心地よくできる工夫が必要■ 間取りから学ぶ二世帯住宅共用タイプ共有の玄関からホームエレベーターで昇降。親世帯を日当たりのよい3階に!玄関共有の二世帯住宅。親世帯は日当たりのよい3階、共働きと学校で昼間は家を留守にしている子世帯は1・2階とし、お互いの暮らしを尊重する住まいを実現しています。3階への移動はホームエレベーターの活用でラクラク!ゆったりとした2階の子世帯LDKにも行き来しやすく、3世代での食事も楽しめます。ポイント1. エレベーターで親世帯のムリのない3階住まいが実現以下の写真は、3階建ての外観。玄関ポーチを広く取り、親が近所の人と気軽に会話を楽しみやすい工夫になっています。そして、3階を親世帯に充てられたのは、ホームエレベーターがあるから。重い荷物運びにも大助かりなのです。ポイント2. 子世帯のLDK はアイランドキッチンで広々と開放的!3世代でゆったりと食事や会話を楽しめる2階の子世帯LDK。アイランドキッチンは数人で囲みやすく、壁沿いの長いベンチで大人数のホームパーティもOK!(設計/設計事務所アーキプレイスプロデュース/OZONE家design撮影/大槻夏路)融合タイプ小さくても専用空間を確保し、玄関と水回りは共有で気配がよくわかる親世帯は山が望めるよう角度をつけた平屋、子世帯は2階建てとした二世帯住宅です。両世帯の間に共有の玄関と水回りを設け、高齢の親の気配を感じつつ、子世帯の専用空間も十分にキープしています。親世帯は広いワンルーム仕様で、動きやすさと見渡しのよさが特長です。ポイント1. ゆったりとして動きやすい水回り。着替えもスムーズ!水回りは広めの設計で動きやすく、壁と天井にはサワラの板を張ってまるで和風旅館のよう。洗面室兼脱衣室に設けたベンチで、高齢の親も着替えがスムーズにできます!玄関ホールから子世帯と親世帯が視界に。親世帯は引き戸とフィックス窓の設置で、出入りしやすく、見守りもしやすいポイント2. 庭のテラスは二世帯が出会う共有のリビング親世帯はキッチンから、子世帯はリビングからそれぞれ出られるデッキと石張りのテラス。二世帯が顔を合わせてくつろげる、庭と一体化した第2のリビングになっています。(設計/熊澤安子撮影/大槻夏路)独立タイプ家を挟む2つの接道を生かし、それぞれの玄関を建物の反対方向に設置。将来は賃貸への転用も可能!高低差のある敷地に建てられた二世帯住宅です。東西2方向の接道を利用し、玄関を世帯別に設置。1階を親世帯、2階を子世帯の完全分離型を実現。子世帯南側のデッキは孫たちの遊び場になっていて、ここから1階の親世帯の気配を感じられ、声をかけられる仕組みになっています。ポイント1. 仲はいいけれど玄関は別にして、適度な距離をキープ親世帯は平らな西側道路、子世帯は高低差のある東側道路から外階段でアクセス、と振り分けて適度な距離をキープ。将来的に賃貸への転用も可能なように、生活機能を完全に分離させた設計になっています。ポイント2. 親世帯の暮らしを思いやるアイデアと仕様をプラス2階バルコニーは1階親世帯の天窓とつながり、明かりが消えると就寝の合図。子世帯は静かにするよう配慮されています。子世帯の廊下は床下に防音シートを敷き、音漏れを軽減しています。(設計/中村高淑 撮影/中村風詩人)次ページ>親世帯に配慮した最新設備を取り入れましょう!二世帯住宅とお金のメリット実はお得がいっぱい!
2018年10月03日国税庁のデータでは、家庭裁判所への相続関係の相談件数は10年で約2倍に増えている。「家裁の相続に関する裁判のデータでは、3割が1,000万円以下の財産をめぐる争いです。逆に、5,000万円以上の財産の争いは約2割。つまり、相続では、金額が少ないほどモメることが多い。そこでは嫁やきょうだいの配偶者が口を出し、露骨に金銭を求めたりして骨肉の争いになりがち。残された家族が、平穏に暮らしていくためにも、親が1人になったら遺言書を残してもらうべきです」そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。とはいえ、まず遺言書を親に書かせるのが至難の業というのが実情だ。「『遺言書を書いて』と親に詰め寄るのは逆効果。『縁起が悪い』『早く死ねというのか』などと、へそを曲げられるのがオチ。それより、お盆の墓参りのタイミングなどで、『うちのお墓も古くなっちゃったわね。この先、どうする?』とソフトな話題から入っていくのがいいと思います」500件以上の相続トラブルを扱ってきた大竹夏夫弁護士はこう語る。「日本には遺言書を残すという文化が浸透していないのが、根本の問題。遺言書については、相続争いなどデメリットばかりが注目されますが、“人生の棚卸しになる”“作ったあとは自分も家族もスッキリする”といったメリットが多い。遺言に関する本やセミナーに参加してもらうなど、子は親に対して、書く“きっかけ”を作ってあげるというスタンスが大切だと思います」親がその気になったら、いよいよ遺言書の作成だが、法律文書だけに、うっかりミスやたったひとつの記入漏れで無効になる場合もある。そこで、トラブルになりにくい遺言書の基本的な書き方を、大竹弁護士が解説してくれた。【親が元気なうちに書く】「認知症の疑いがある人が遺言書を書く場合は、本人に判断能力があることを証明するために、医師の立ち会いが必要になることも。意思が明確なうちに書いてもらいましょう。意思が明確でないと、不動産の売却などの行為もできなくなる場合があります」(大竹弁護士・以下同)【残す額は割合を指定する】「財産は貯金なのか、不動産なのか。金額まできっちりと書くべき。預金などは、作成後に使われて額が変動する場合もありますから、『預貯金のうち2分の1は長男に、2分の1は長女に』と割合を指定する書き方がベターな場合も」【日付や押印は必須】「多いのが、『2018年8月』まで書いてあるのに、最後の『◯日』がない場合。きっと、あとで書こうと思って空欄にしていたのでしょうが、日付、署名、押印のどれかひとつが欠けても無効となります。金融機関も、認めません。ただし印鑑は、実印でなくても認印でもオッケーです」【墓守りの指定もする】お墓や仏壇などは相続財産にはならないが、「祭祀財産」といって、地域の慣習などで家族の誰かが引き継ぐもの。「しかし昨今、押し付け合ったりトラブルになるケースが多い。これも事前に話し合って誰が引き継ぐか、遺言書で指定しましょう」【トラブル回避のカギ「付言」】法律では認められないことを、遺言書に付言として書き加えることができる。「長年の介護への感謝など、なぜ財産をその人物に残したいのか理由を書き加えておく。付言があることで、ほかの家族が納得してトラブルを防ぐことにつながります」
2018年08月04日最近、よく耳にするタワーマンション(以下、タワマン)税についてご存知でしょうか?タワマンでは、上層階ほど価格が高くなるのが一般的です。しかし、今まで固定資産税や相続税は、上下階による違いがないためタワマンの高層階が税金面で優遇されていました。ところが、平成29年度税制改正により固定資産税にメスが入れられることになったのです。そもそも不動産購入は税金面でお得まず、現金を不動産に換えるだけでも節税効果があります。なぜなら、不動産の評価方法は、固定資産税評価額や路線価を使用するからです。固定資産税評価額は、目安として実勢価格の6~7割であり、路線価は7~8割と現金よりも割安になります。一般的に、固定資産税の場合は土地も建物も固定資産税評価額がそのまま使われるのですが、相続税の場合は土地について路線価が使われます。固定資産税相続税土地の評価額固定資産税評価額路線価建物の評価額固定資産税評価額固定資産税評価額たとえば、相続の場合など、現金を相続するよりも不動産を相続するほうが税額は下がります。不動産の場合、特例が適用されると支払う税額が更に下がるので、節税のために不動産を購入するケースが少なくありません。タワマン購入は税金面で更にお得タワマンの場合、土地の評価額が更に下がります。評価額の計算方法は、敷地全体の評価額に各戸の床面積の持分を乗じて計算します。つまり、タワマンのように戸数が多いと各戸の持分が少なくなるため戸別の土地の評価額は下がるのです。建物については、高層階ほどお得といえます。タワマンの場合、高層階は価格が高くなるのはご存知でしょう。しかし、評価額としては、上下階に差がないのです。つまり、高層階の場合、購入価格が高いにもかかわらず税金の評価額は低層階と変わりません。固定資産税も相続税も評価額に一定の税率を乗じて計算するため、タワマンの高層階の住民は税金面でかなり優遇されることになります。タワマンの高層階が手に入るのは、富裕層と言えるため、「金持ち優遇制度」と苦情があがることもありました。今回の税制改正は、金持ち優遇制度の解決策のひとつになると期待されています。タワマン税の仕組みとは?平成29年度税制改正により変更されたタワマン税が、平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションに適用される予定です。今まで富裕層のみが受けてきた節税効果が薄れることになるのです。具体的には、目安として高さ60m(20階程度)以上のマンションであれば、高層階の固定資産税と相続税が引き上げられることになります。そして、低層階は引き下げられることになるのです。計算方法は中層階の評価額を基準にします。簡単に説明しますと、中層階から1階上るごとに約0.25%評価額が高くなり、1階下がるごとに約0.25%低くなるという仕組みです。そこで、おおよその計算をしてみましょう。なお、相続税については、今のところ固定資産税のような見直しがされていないため影響を受けることはありません。しかし、今後の動向には注意が必要でしょう。たとえば、30階建てのマンションであれば、中層階が15階程度になるので、目安として最上階で3.75%の値上がりになり、1階で3.75%の値下がりになります。この率が固定資産税や相続税に反映するのです。30階建ての場合の計算階数計算式最上階0.25%×15階=3.75% Up1階0.25%×15階=3.75% Down税制改正後のタワマンは?今までのような節税対策としての効果は見込めなくなります。節税の効果が弱まると言うことは、実益的な判断をするしかありません。つまり、高層階と低層階とで、どちらが住みやすいかということになるでしょう。たとえば、防災面から見ると火災が起こった場合、エレベーターが止まったとすると高層階からの脱出は、なかなか手間がかかりそうです。消防のはしご車がとどく高さも10階程度。昨今の防災意識の向上を考えると10階までの低層階が無難なところでしょう。災害大国と言われる日本では、防災意識の高い人が増えてきています。安全面を考慮すると、タワマンの人気は、だんだんと低層階へ流れていくのかもしれません。しかし、相変わらずタワマンのステータスを求める人も少なくないはずです。高層階から見下ろす夜景に自らの成功を実感するのでしょう。今後、タワマンの高層階は税金なんて気にしない本当の富裕層のニーズに支えられるのではないでしょうか?
2018年02月03日いきなりですが、フランスって消費税が20%なんですよ。慣れましたけど、最初は買い物するたびに、なんじゃ〜こりゃ、となっておりました。でも、消費税が高いのには理由があるんです。欧州はどの国もだいたい20%前後。その代わり、たとえばですけど、がんになったら国が負担してくれます。病院への往復タクシー代も請求すれば出してくれます。フランスでは、子供の学費は幼稚園から大学卒業まで無料です。日本は進む少子化のせいもあり年金の将来が危ぶまれて久しいですが、フランスはいまのところ大丈夫。消費税が高くても、将来の不安を先払いしていると考えるならばどうでしょう?逆に日本の場合、欧州に比べ、消費税が驚くほど安いですけど、その分、老後、貯金や保険に頼らないといけないかもしれません。 さらに心配なことに、日本は莫大な国の借金がありますよね?ご存知ですか?IMFの各国総債務残高ランキング、私は先進国借金ランキングと呼んでいますが、なんと日本は世界一。2位のギリシャをぐんと抜いてのダントツ1位!国内総生産の2.37倍の債務があります。数字にすると、1千231兆5千億円というのだから、眩暈がします。とはいっても日本には他国に貸し付けた金があるじゃないか、と言いたい気持ちはわかりますが、それを計算し差し引いても、ギリシャに辛うじて勝って2位なんです。不安要因ばかりは言えませんが、異常事態であることに変わりはないんですよね(日本の債務は国内からの借金がほとんどですけど……)。じゃあ、そのような債務がある日本の未来をどうするか。政治に関心がなくても必ず未来はやってきますものね。 私のように海外で暮らして高い消費税を払っている者からすると、日本がうらやましい一方で、教育や医療や年金という将来の難問に対して備えは大丈夫か、と心配になります。消費税20%はいま、ヨーロッパの常識です。ゆりかごから墓場までを謳う社会福祉国、スウェーデンやノルウェーなどももちろん高いです。消費税に反対をする政党の皆さんは、選挙の時は声を揃えて消費税反対と言いますが、じゃあ、どうやって国民の未来を守ってくださるのでしょう?国民の老後はどうなるんでしょうか?子供たちの未来はどうなるのか、私たちはよく議論し理解しないとならないところにいると思います。 さて、消費税とはぜんぜん関係ない料理をご紹介します。実は毎週、2回、近所に市場が立ちます。パリは鮮魚店が少ないので新鮮な魚は市場(マルシェ)で買います。行きつけの鮮魚店で天然のスズキを見つけました。スズキの刺身を今日は昆布締めにしまして、それを使ったパスタ料理をご紹介しましょう。題して、スズキの昆布締めカッペリーニ。スズキはちょっと高いので、消費税の話のあとだけに、スズキにこだわらなくて大丈夫です。新鮮な白身魚であればなんでもオッケー! 材料2人前:刺身用のスズキ(ほかの白身魚でも可)200g、昆布2枚、カッペリーニ160g、バター15g、生クリーム大さじ2、すりごま20g、昆布茶小さじ2〜3、オリーブオイル大さじ2、ごま油少々、塩・こしょう少々。 まず、前の晩にスズキの両面に昆布を張り付け、ラップをして冷蔵庫で保管しておきます。一晩寝かせるとぷりぷりになります。ボウルにバター、生クリーム、すりごま、昆布茶、オリーブオイル、ごま油、塩・こしょうを入れ、カッペリーニが茹で上がったら混ぜ合わせます。それを皿に盛りつけ、周囲に薄切りにしたスズキを張り付け、全体にオリーブオイルを振りかけたら完成。 お好みで、のりの千切り、大葉の千切り(分量外)などを振りかけて、召し上がれ。白ワインとの相性抜群ですぞ。 ボナペティ! 本誌連載の料理をえりすぐったレシピ本『パリのムスコめし世界一小さな家族のための』も絶賛発売中です!
2018年01月30日そろそろ相続の話をしなくてはならないけれど、なかなか親に切り出しにくい……と、思っている方も決して少なくありませんよね。しかし「いつかは」と思いながら話すチャンスを逃してしまい、いざその時がきて、兄弟間で揉めてしまった……という、いわゆる相続ならぬ“争族(そうぞく)”になってしまったというお話もあります。とくに、親に介護が必要になり、兄弟間で“介護をした人”と“しなかった人”がいる場合には、揉める要因にもなりやすいようです。では、そういったトラブルを未然に防ぐためには、いったいどうすればいいのでしょうか。今回は、兄弟姉妹間でのトラブルを未然に防ぐために、知っておきたい相続への備えをご紹介します。親に公正証書で遺言を残してもらうと安心親の遺言があれば、兄弟間でのトラブルを未然に防ぐ方法のひとつになります。あらかじめ、誰に何を相続するのかを親に決めてもらい、その内容を文書で残しておいてもらうと、いざその時が訪れても、親の意向に沿って進めていくこともできます。ただし、遺言は公証役場でつくる「公正証書」で残しておくほうが確実なものの、そこまでしている家族は、まだまだ少ないようです。日本公証人連合会によれば、平成28年の遺言公正証書作成件数は10万5,350件とのこと。まだまだ件数としては、そこまで多くありません。公正証書と自筆による遺言の違いは公正証書による遺言も、自筆で書いて家に置いておく遺言も、どちらも「遺言」であることには変わりませんが、その性質にはやや違いがあります。公正証書公正証書による遺言は、遺言の要件や方式を満たしているものとなるので、後日の争いが少なくなります。また、遺言者が亡くなったあとに行う家庭裁判所の検認手続きが不要なので、相続が速やかに行えるメリットがあります。ただし、公証役場に出向かなくてはならない手間がかかります。自筆遺言自筆による遺言は、まず遺言としての要件を満たしているかも重要です。すべて自筆で書かれている必要があり、日付や記名がなされている必要があります。ただし、公正証書と異なり、相続が発生したときには家庭裁判所の検認を受けてからでないと遺言の効力が発生しないので、相続手続きに時間がかかる場合もあります。作成時には、ペンと朱肉さえあれば自宅で作成できるので、最も手軽な遺言書の作成方法です。弁護士や司法書士、行政書士に相談を兄弟間の相続トラブルを未然に防ぐためには、専門家の助言を受けながら準備をするのが、最も確実な方法です。自筆の遺言を作成してもらっても、要件を満たしていなければ「無効」になることもあるので、注意が必要です。「兄弟間で話し合っておけば足りる」と思っている人もいるのですが、いざ相続が発生した際には、兄弟間の意見だけでなく、その妻や夫の意見によって、もともと決めていた話し合いの内容が反故(ほご)にされるリスクもあります。また、あらかじめ話し合っていた財産以外の財産が出てきた場合に、その財産をどちらがもらうのか、で揉めるケースもあります。いざというときに兄弟間のトラブルを防ぎたい場合には、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家にあらかじめ相談しておくほうが賢明と言えるでしょう。法律で相続の割合は定められているものの、実務になると揉めてしまう話も決して珍しくありません。なかなか相続の話を家族間で出しにくい、という方も多いのですが、帰省などで親族が集まるときに「うちはどうする?」と話しておく心がけは、後々のトラブルを防ぐためにも有効です。仲がいいうちに将来を見据えた行動に移せるかどうかも、相続ならぬ“争族”にならないためには、必要な行動と言えるでしょう。争族・・・遺産相続などをめぐって争う親族。また、その争いのこと。争続。
2017年12月30日はじめに相続と聞くと、一見お金などの財産を受け取れるのかと思いがちですが、実は負の財産を相続するケースも少なくありません。たとえば親が自営業をしていて、その会社の借金を背負う・・・・などといったケースが挙げられます。自分の知らないところで借金を作って、突如、その返済を強いられてはたまったものではありませんよね。こんな場合に、あなたならどうしますか?相続は法律の一種であるため、私たちのような一般人は詳しく知らないのではないかと思います。たとえば上記のケースでいえば、借金を放棄することもできるのですが、コレを知らずに損をした人もいるといった事例が多くあります。(相続放棄)。最近では不動産に関する相続が話題となっていますが、今回は相続の種類についてご紹介していきます。それではさっそくみていきましょう。相続の種類3つ相続の方法には主に3つあります。単純承認相続発生時に、被相続人の財産に加えてすべての権利・義務を相続人が包括的に引き継ぐことを単純承認といいます。注目すべき点は財産部分で、これはプラスの財産(資産)もマイナスの財産(借金などの負債)もすべて受け継ぐということです。限定承認プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方式のことをいいます。この方式はマイナスの財産(借金)の金額が、プラスの財産より明らかに多い場合や、発覚していない借金が残っている場合などに有効です。つまりこの方式を採用することで、マイナスの財産が後からわかったとしても、プラスの財産の範囲内でしか相続しなくて済むのです。たとえば資産3000万円(プラスの財産)があり、後から4000万円の借金が発覚したとしても、資産3,000万円の範囲でのみ、借金を返済すればよいということになります。相続放棄プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない方式のことをいいます。相続放棄を行う選択する状況としては、◆プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)を確認したうえで、マイナスの財産(負債)の方が多い場合や◆マイナスの財産(負債)でも、特に残しておきたい財産が無い場合に相続放棄は有効的といえます。また限定承認ができなかった場合にも、利用することができます。限定承認を行うには、法定相続人全員の意思統一が必要であり、法定相続人がひとりでも限定承認に反対すれば、限定承認制度を使用することはできません。この場合に、相続放棄を行うというのもひとつの手といえます。限定承認と相続放棄の違い限定承認と相続放棄の共通ポイントと異なるポイントがあります。共通するポイントポイント:借金などのマイナスな財産を判別する「熟慮期間がある」借金などのマイナスな財産を判別する期間が設けられています。そのため、法律では「相続の開始を知った日から3か月以内に相続する旨を、被相続人の住所地の家庭裁判所(以下、家庭裁)に相続する旨を申述する」必要があります。異なるポイント【限定承認】「全員」でこれ(家庭裁への申述)を行う限定承認では、相続人全員が共同でこれを行う必要があります。誰かひとりが「イヤだ」といえば、これを行うことはできません。この点には十分注意しておきましょう。【相続放棄】「個人」でこれ(家庭裁への申述)を行う相続放棄は、相続人が個人で相続するかどうかを決めることができます。ただし、これも上記で述べたように家庭裁への申述を行わない限り、相続を放棄することはできません。意外とこれを知らない人が多いので、注意が必要です。まとめ相続の種類には3つあり、その中でも「限定承認」と「相続放棄」には共通点と相違点があることを説明しました。上記2つのどちらかを選択するには家庭裁への申述が必要であり、これを知る人は実に少ないのです(そもそも相続放棄があることなどを知る人も少ない)。相続放棄を知らず、何億といった莫大な借金を背負って人生がメチャクチャになった人もいます。一見、利益を得るであろう相続。しかしその仕組みを「知っているか知らないか」が、今後の人生を大きく左右する分かれ道になることを覚えておくと良いかもしれません。
2017年12月24日消費税とは、消費者が物を買うときに徴収される税金のことで、法人が物を売る際に徴収し、まとめて納税をします。では、マンションを売却するときにも消費税はかかるのでしょうか。物を購入するときに徴収される消費税は、「マンションを売却するときも同じように徴収し、消費者に代わって納税する必要があるではないか?」と疑問を抱いておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、マンションの売却時における消費税の仕組みについて解説します。居住用マンションなら消費税はかからないマンションを売却するとき、消費税がかかる場合とそうでない場合があります。どういう仕組みなのか、順を追って説明していきます。【消費税とは】まず、消費税とは以下のように定義されます。「物の販売やサービスの提供などの取引に対して課される国税・地方税のことである」上記の「取引」とはいわゆる「消費」のことであり、消費する税金だから「消費税」というわけですね。もう少し詳しい定義は下記の通りとされています。「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する」(※引用消費税法4条(課税の対象))「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供を言う」(※引用消費税法2条8項(資産の譲渡等の定義))つまり、「資産の譲渡」が行われるものは、消費税が課される取引となります。では、具体的はどのような取引を指すのでしょうか。【消費税が課される取引】・国内における取引である・事業として事業者が行う取引である・対価を得て行われる・資産の譲渡、貸付及びサービスの提供であるこれを不動産に当てはめると、下記の取引が消費税の対象になります。・建物の売買代金・建物の建築工事やリフォーム時の建築請負代金・仲介手数料・住宅ローン事務手数料・司法書士への報酬料・事務所・店舗などの家賃非課税になるのは下記の通りです。・土地の売買代金・住宅ローンの返済利息・保証料・火災保険料・地代・家賃(居住用)・保証金・敷金消費税の場合、「課税の対象として馴染みが薄いもの」「社会政策的配慮によるもの」などの理由で、課税の必要がないと判断された非課税の取引もあります。不動産で言うと上記の取引が該当します。つまり、上記の理由から建物に関する代金は消費税の対象になり、土地代は異なるということになります。ただし例外があって、マンションを売却する人が個人の場合は、建物も非課税となります。消費税が課される取引として「事業として事業者が行うものである」という項目があり、「事業」は不特定多数の人に商売をすることなので、個人が居住用のマンションを売却するのは商売には当たりません。そのため、消費税の対象にはならないのです。マンションの価格を無料査定してみる不動産売却にかかる仲介手数料の相場とは仲介手数料とは、自分の代わりにマンションの買い手を見つけてくれた不動産会社に支払う代金のことです。先にも述べた通り、マンション売却の際、不動産会社への仲介手数料には消費税が発生します。仲介手数料はマンションを売却するときの費用の中でも金額が大きく、売り手の利益にも影響を与えます。一般的には「マンションの売却価格の3%+6万円」程度を支払います。しかし、必要以上に仲介手数料を請求してくる悪徳業者もいるので、注意が必要です。原則、消費者が不必要に仲介手数料を払わなくて済むように、法律で上限が決められています。主な目安は下記の通りです。・売買価格が200万円まで……売却価格の5%+消費税・売買価格が200万円以上400万円まで……売却価格の4%+消費税・売買価格が400万円以上……売却価格の3%+消費税基本的に、不動産会社は上記で挙げた上限額ぎりぎりの仲介手数料を請求してきます。値引き交渉ができるケースもありますが、仲介手数料は不動産会社の収入源です。なかなか難しい面もあるかもしれません。ただし、上限額以上の金額で請求された場合は不当である可能性があるので、注意しましょう。仲介手数料は購入希望者と売買契約が成立したタイミングで全額請求が可能となります。ただし、一括よりも分割で支払うパターンが多いようです。支払い方法や支払い時期については、不動産会社としっかり確認しておきましょう。マンション売却時の消費税における注意点ここまで、マンション売却時における消費税について説明してきましたが、ほかにも注意点が2つあります。【一括繰り上げ返済手数料】マンション購入時に金融機関からお金を借り、返済期間が残っているタイミングで売却した場合、売却代金によって残金を返します。その際、「一括繰り上げ返済手数料」という手数料が発生し、消費税の課税対象にもなります。【司法書士の報酬】住宅ローンを契約するには、不動産を担保にすることで抵当権を得ています。抵当権は、マンションを売却するときに買い手に権利をスムーズに移せるよう、ローン完済のタイミングで「抵当権抹消登記」をしなくてはなりません。この処理を司法書士に依頼すると、報酬を支払わなくてはなりません。報酬金額には消費税がかかります。まとめマンションの売却にも消費税がかかる取引とかからない取引があります。やはり、お金のことは詳しく知っておいた方が、安心ですよね。特に仲介手数料については、少しでも知識を身に付けておくと、後で悲しい思いをせずに済みます。疑問点などは不動産会社や税理士など専門の人に確認しながら、上手にマンションの売却を進めましょう。まずはマンションの価格を無料査定してみる
2017年11月14日マンションなどの不動産は購入するほかにも、相続によって思いがけず手に入ることがあります。譲り受ける資産がある方は、事前にしっかりと知識を身につけておきたいものです。今回は、相続したマンションの売却を検討されている方へ、知っておきたい気をつけるべきポイントをご紹介します。相続したマンションは売却したほうがいい?売却のメリット相続によって手に入れたマンション。移り住むのも選択肢の1つですが、すでにマイホームをお持ちの方であれば、処分の方法を考えなければなりません。マンションを売却するメリットとしては、コストの削減が挙げられます。いつか住むかもしれない、いつか誰かが使ってくれるかもしれない……。そのような考えから、当分の間はそのままにしておこうと考える方もいるでしょう。しかし、マンションを含む固定資産は、所有しているだけで税金が課せられてしまい、放っておくのは得策とはいえません。また、所有しておくには固定資産税のほか、管理費もかかってしまいます。管理を怠ることでマンションの価値が下がってしまうことを考えると、住まないのにマンションを所有し続けるには大きなリスクがあるのです。相続したマンションを売却するならここに気をつけて!相続したマンションを売ると決めたら、次のことに気をつけましょう。【マンションの名義を確認】相続したマンションを売却したい場合、まずはマンションの名義人を亡くなった方から相続した方へ変更する必要があります。この名義変更を「相続登記」といいますが、相続登記を行って初めて、売却などの処分が自由にできるようになります。【売買契約書を確認】次に、マンション購入時の売買契約書を探しましょう。売買契約書などの取得費用を明確にできる資料があれば、場合によっては後に説明する売却時の税金をゼロにすることが可能です。契約書が手元にない場合でも売却はできますが、その際は取得費用を概算で計算するため、支払うべき税金が高くなる傾向にあります。【信頼できる不動産会社を見つける】不動産会社によってマンションの査定価格は大きく変動しますが、査定価格=売却価格となるわけではありませんし、最も高い査定額を提示する不動産会社がいい会社であるとも限りません。必ず複数の会社に相談し、担当者から直接説明を受けましょう。マンションの価格を無料査定してみる相続したマンションを売却する際にかかる費用は?不動産を売却する際には、次のような費用が発生します。・相続登記費用弁護士や司法書士などの専門家に依頼する際に支払う費用です。相続登記は法律知識のない一般の方にはわかりづらいことも多いので、専門家に依頼すると安心です。・不動産仲介手数料不動産仲介手数料は、売買の仲介に入ってもらう不動産会社に払う費用です。マンションの売買価格に応じて上限が決められています。・税金マンションを売却した際に売却益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税と住民税が課せられます。譲渡所得は次の式により算出します。譲渡所得=譲渡収入-譲渡費-取得費譲渡収入とは、売却により購入者から支払ってもらった金額、つまり、マンションの売却価格を指します。譲渡収入は売却代金が未払いでも、マンションを引き渡した年に計上されることになっています。譲渡費は、相続登記費用などマンション売却時にかかった諸経費、取得費はマンションを購入した際に支払った取得代金とそれにともなう諸費用です。取得費は、もともとのマンション所有者であった故人がマンションを購入したときの費用を受け継ぐものであり、相続で取得したからといってゼロにはなりません。また、「相続税の取得費加算の特例」があるので、相続税として支払った金額の一部を費用に計上することができます。ただし、この特例は、「故人が死亡したときから3年10ヶ月以内に売却したとき」のみ適用されるという条件に注意しましょう。あるいは、相続を受けたマンションにもともと住んでいたのであればマイホーム特例が受けられるので、特別控除が可能です。税率はマンションの所有年数に応じて異なり、所有期間も取得費同様、故人が購入したときから算出します。所有期間が5年を超えると税率が安くなりますが、一方で土地の悪意ある転売を防ぐため、所有期間が5年以内の場合は税率が高くなります。なお、所有期間が10年を超えると、さらに税率が安くなる特例が受けられます。・そのほかの費用そのほか、契約書作成時の印紙税や、売却にともなってリフォームなどが必要な場合は、それらの費用もかかります。まとめ相続で所有した物件の売却は手続きが煩雑で、税金についてもよく考えなければなりません。期限が定められているものもあり、手続きを放っておくと思わぬ損を被る可能性もあります。この機会にぜひ一度、相続で得たマンションの処分方法についてしっかりと調べてみましょう。まずはマンションの価格を無料査定してみる
2017年11月12日「政府は、『出国税』という新しい税金の導入を検討中です。出国税とは、日本を出て海外に行く際にかかる税金。日本を訪れた外国人や、日本人の海外旅行者なども含めた出国者全員から、1,000円ずつ徴収する案が有力です」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。昨年1年間の訪日外国人は約2,404万人(日本政府観光局調べ)。日本人の出国数、約1,712万人(法務省調べ)と合わせて、4,000万人以上の人から1,000円ずつ徴収すると、400億円を超える新たな税収が生まれる。 「今後、訪日客が増えれば、さらに大きな税収減になると期待する声があります。いっぽうで観光客誘致に水を差すとの反対意見もありますが、政府は来年度の税制改正大綱に盛り込み、’19年度からの実施を目指しています」(荻原さん・以下同) また、先の衆議院議員選挙では、希望の党が大企業の「内部留保に課税」する政策を掲げ、物議を醸した。 「内部留保とは、企業が得た利益のうち、企業外へ分配せずに企業内に留保した分です。政策自体には批判も多く、希望の党も惨敗したので、実現の見込みはほぼないでしょう。しかし、国としての借金が1,000兆円を超え(’17年6月末・財務省)、財政難が叫ばれるなかで、税金を新設するのは、『取りやすいところから取ろう』というもくろみが透けて見えるように思います」 ほかにも、政府は“取りやすいところ”の代表ともいえる「たばこ税」の引き上げを検討している。 「特に、最近人気が高まっている『加熱式たばこ』は、通常の『紙巻きたばこ』より税率が低いため、増税の標的になっています。これも来年度の税制改正大綱に盛り込み、早期に実施したい模様です」 さらに、’20年以降の導入を目指す「森林環境税」の新設も議論されている。 「目的は、地球温暖化対策として森林整備の財源にすることで、年間数百円を住民税に上乗せして徴収するといいます。しかし、すでに自治体独自の税金として、高知県など37府県と横浜市には、同様の税金が導入されています。このままでは二重課税になる恐れがあります。なにより、たとえ少額でも、国民が新税をきちんと理解しないまま、『いつの間にか、よくわからない税金が徴収されている』事態は避けねばなりません。活発な議論を重ね、国民にわかりやすく説明してほしいと思います」 これから年末にかけて、税制改正議論が始まる。 「私たちは、きびしい目で見守り、無茶な増税や突然の新税には、『断固、反対!』の声を上げたいものです」
2017年11月10日*画像はイメージです:近年、「終活」という言葉がクローズアップされてきていますが、それに従って、自分の財産の整理や相続について計画をする人が増えているように感じます。そのような人が、自分の死後の財産をどのように残すかを決めるために、どのような方法があるかを考えた場合、真っ先に思い浮かぶのは、遺言書ではないでしょうか。しかしながら、遺言は場合によっては記載通りに遺産が継承されないこともあるのです。どういったことなのか解説していきたいと思います。 ■遺言は無視される?日本における相続では、民法で法定相続分という割合が決まっており、相続人の間で、この法定相続分に従って、亡くなった人(法律用語で「被相続人」といいます)の遺産を分割するのが原則です。ただし、遺産分割は、被相続人の財産の死後における処遇を決めるものですので、被相続人の意思を反映させるべきとも考えられています。その意思表示の方法が「遺言」です。法律上、遺言は、相手方の受領を必要としない相手方の無い単独行為であるとされています。要するに、遺言をした人が死亡すると、原則として、受け取る相続人の意思にかかわらず、遺言に書かれた内容どおりに財産が承継されるということです。ただし、 判例上、相続人の間で、被相続人が残した遺言の内容と異なった遺産分割協議を行うことは禁止されないとされています。「遺言は無視されちゃうの?何で?」と思うかもしれませんが、財産の承継を指定された相続人において、遺産を受け取りたくないという場合もあります。例えば、親が実家の土地建物を長男に継いでほしいと思い、これを長男に相続させるという遺言を残していたけれども、長男は実家を出ており、自分の家も所有してるため、実家に戻る予定はないというような場合です。このような場合に、長男が引き継がなければならないとすると、長男は「自分は住まないし、維持費用もかかるので、実家を売却して手放したい」などと考えることも十分にありえます。もし、他の兄弟が承継して実家を残してくれるというのであれば、遺言にこだわらずに、他の兄弟に承継してもらったほうが、実家は残るので、そのほうがかえって被相続人の意思にも適うという見方もできます。このような考えもあり、相続人が遺言と異なる遺産分割の合意をすることは認められていて、その場合は、結果として、被相続人が思い描いたような財産承継がなされないということになります。遺言を残す側からしたら、遺言が守られない場合があるということに納得がいかないかもしれません。しかし、財産を残したい被相続人の側だけでなく、もらう側の相続人にも立場や事情があります。 ■相続対策よりも…遺言を残すことを考えている人にとっては、自分の遺志をしっかり残すということが、なによりも大事かもしれません。しかし、その前に、遺志を受け取る側の迷惑になっていないかをよく考えたり、いざ自分が亡くなってしまった後に、受け取る側の相続人に迷惑だと思われないように、生きているうちに家族・親族としっかりコミュニケーションをとっておくということを忘れないようにしてほしいです。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、コミュニケーション不足による親族間のトラブルは少なくありませんし、お金の問題ですから解決も難しいです。問題が大きくなってしまうと疎遠・絶縁となってしまったというケースも珍しくはありません。普段からのコミュニケーションを大切にしているという前提があってこそ、われわれ弁護士の専門的な助言が、遺言を残したい方の想いを実現するためにより役立ってくるのだと思っています。 *著者:千屋全由(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。企業関係の相談・紛争処理から貸金返還や交通事故等の損害賠償請求といった個人の法的トラブルまで、様々な案件に携わっている)【画像】イメージです*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
2017年08月25日「相続に関する民法規定の見直しが検討されています。古い民法の規定を、今の時代に合った内容に変えようとする動きです。来年の国会で議論される予定ですから、注目しておきましょう。いっぽう、相続税はすでに’15年1月から、引き上げられています。課税対象者は’14年の4.4%から、’15年には8%に増加しました(国税庁調査)」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。とはいえ、約9割の人が相続税とは無縁。「たいした財産がないから相続の心配なんて必要ない」と思う人が多いのでは。 「ですが実は、相続でもめるのは遺産が少ない家庭が多いのです。裁判所に持ち込まれ、調停成立した相続事案のうち、32%が遺産1,000万円以下です。遺産5,000万円以下まで含めると、全体の約8割を占めます(’15年度・裁判所調査)」 親戚が集まるお盆は、相続を話し合うには絶好のチャンスだという。そこで、“争族”に陥らないように、少しずつ話し合っておくべきポイントを、荻原さんが解説してくれた。 【1】資産をまとめる 「元気な親に、面と向かって相続の話を持ち出しづらい方は、親の資産をまとめて保管することから始めましょう。親は、複数の銀行預金通帳や保険証券、自宅の権利書などを持っています。また、貴金属や子どもに内緒の金融資産などもあるかもしれません。親が亡くなった後、それらを探し出すだけでもひと苦労。『盗難にあうと危険だから』と説得して、金融機関の貸金庫の利用を勧めましょう。資産の中身を聞かなくても、一括して保管していれば、もしものときに役立ちます」 【2】親の意向を聞いておく 「相続について世間話ができそうなら、それとなく意向を聞いておくことが大切です。たとえば、持ち家はついのすみかとして住み続けたいのか。あるいは、自宅を売って老人施設への入居を考えているのかなど。元気なうちに聞けば、意向に沿った形で、早めに対策をたてられます」 【3】先祖のお墓問題 「先祖のお墓についても、ぜひ相談してください。お墓が遠方の故郷にある場合などは、親の代で、お墓の引越し問題を解決してもらうととても助かります。子ども世代は、新しいお墓について情報を集めるなど、サポートしましょう」 【4】「財産は土地だけ。相続税を払う現金がない」場合 「広い土地を所有している、あるいは都心にある持ち家の土地が高騰している場合などは、相続税を納付するケースもあるでしょう。相続税は原則、死後10カ月以内に現金で納付します。現金がすぐに用意できない方も多いので、課税対象者は早めからの準備が必要です」 実の親子といえども、なかなか言い出しづらい相続問題。親が若くて元気なうちから、長期計画でゆっくり進めていこう。
2017年08月18日「一般の方がアパート建設に踏み出すのは、相続税の節税が目的です。相続税は’15年の改正で、課税対象が広がりました。相続税を払わねばならない人が増え、節税ニーズも高まっています」 そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今、特に地方で増えている賃貸アパートの建設。貸家の建設数は5年連続の増加で、’16年は8年ぶりに40万戸を超えた(国土交通省)。アパート建設の増加は、従来の業者ではない一般の人の参入が一因と考えられるという。銀行でお金を借りることで資産額が相殺され、相続税対策になるといわれるが、そんなにうまくいくものなのか?荻原さんが解説してくれた。 「節税の仕組みは、次のとおりです。まず、相続税はすべての資産を評価し、現金に換算して課税されます。5,000万円の現金はそのままの金額で評価されますが、周辺地価から5,000万円とみなされた土地は、その70~80%、3,500万~4,000万円と評価されます。つまり現金より土地のほうが、相続税の基になる評価額が低くなり、そのぶん納税額が安くなります。また、『土地に建物がある』『賃貸物件がある』などの場合、さらに評価は下がり、節税になります。加えて、アパート建設のためにローンを組むと、負債であるローン残高は相続財産と相殺できます。1億円の資産があっても、ローン残高が5,000万円なら、相続財産は5,000万円とみなされるのです。こんな説明を受け、『超低金利の今がチャンス』などと言われれば、前向きになる方もいるのではないでしょうか」 年初からの金融庁の調査で、一部の地方銀行が、顧客を建設業者に紹介している実態が明らかになった。契約が結ばれると、銀行は建設請負金額の0.5~3%を手数料として受け取るという。 「とはいえ、アパート経営など初めてという方は不安が大きいでしょう。これに対し建設業者は、建てたアパートを一括で借り上げ、空室があっても一定の家賃を保証する『サブリース契約』を提案します。面倒な手続きや管理はすべてお任せで、家賃が保証されるなら……と心が動き、アパートローンは安定した家賃収入があれば返済できると判断する方もいるでしょう。しかし、ここに落とし穴があります。家賃保証は多くの場合、一定期間ごとに見直され、空室が多いアパートは保証額が引き下げられます。家賃収入がローン返済額を下回って、困窮する方もいます。また、リフォームなども指定業者が行うことが多く、費用が割高になる場合もあります。建設請負契約の際に、さまざまなコストについてきちんと説明していないケースも見受けられます」 だが、荻原さんは「アパート経営そのものが悪いわけではない」と語る。 「ただ業者任せにするとコストがかかり、儲けは減っていきます。決して人任せにせず、自分自身でアパートを“経営する”という覚悟が必要なのです。相続税対策は、アパート経営のほかにもさまざまな方法が考えられます。税務署や税理士などにも相談し、幅広い選択肢を集めたうえで、じっくり検討してください」
2017年05月11日・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ ・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ ・住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人 ・聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点 の続きです税金制度が、じつはすごい勢いで変化しているということをご存じだろうか? 2015年4月に課税ラインが下がったことで、一部の裕福な人の悩みだった相続税が、多くの人に影響してくる時代となった。こんな時代にパパ、ママの親のお金をうまく生かす方法はないものだろうか。税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんに、相続税対策について、そしてパパ、ママの親にとっての「孫への教育資金贈与」についてもお話を伺った。■相続税対策は、大きくわけて2つ2015年4月、相続税の基礎控除額(税金が免除になる境界ライン)が、ほぼ6割に切り下げられた。本格的な相続税対策のすべては説明できないが、方向性として相続税対策は、大きくわけて2つある。対策1:相続税がかかる財産の評価を落とす対策2:生前贈与対策を検討する前回の記事( 聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点 )では、対策1 についてお話をした。今回は、対策2の「生前贈与対策」について説明しよう。■「生前贈与対策」のポイント まずは制度を知ろう親や祖父母などの個人から贈与を受けると「贈与税」がかかる。贈与税には、次の2つの制度がある。将来、相続税がかかる人 ⇒ 暦年課税制度将来、間違いなく相続税がかからない人 ⇒ 相続時精算課税制度相続税の課税ライン引き下げにより、「将来、相続税がかかる人」は増加すると予想される。他人事だと思っていると、もしかしたら損をするかもしれない。なぜ、「将来、間違いなく相続税がかからない人」だけが、「相続時精算課税制度」を使うべきなのだろうか? そもそも「相続時精算課税制度」とは? 次ページから、そのポイントを説明する。 ■そもそも「一度に多額の贈与」は、いったい何が問題なのか?通常、一度に多くの贈与を行うと多額の贈与税がかかってしまうが、「相続時精算課税制度」を利用すると、一度に2,500万円まで贈与しても贈与税がかからない。しかし、この制度は、せっかく生前に贈与しても、相続税の計算のときには贈与した財産の金額が、また相続財産として扱われるので、相続税がかかる人にはメリットがあまりない制度だ。つまり、「相続時精算課税制度」は一度に大きなお金を贈与できるかわりに、実際の相続発生時には、その金額は相続財産として計算される。一方で、「暦年課税制度」は、年間110万円までの贈与なら税金がかからない。子どもに贈与した財産は、相続発生時に「子どもの財産」として計算され、相続財産とはみなされない。●「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」のメリット・デメリット(Woman excite編集部作成)前述の通り、相続税の課税ラインが引き下がったので、「将来、相続税がかかる人」は増加すると予想される。それを考えると、「相続時精算課税制度」を使う人は少なくなっていくだろう。■孫への教育資金の贈与は「コツコツ行う」のがおトクところで孫への贈与というと、「教育資金贈与」が話題となっているが、この制度は、「1,500万円までなら贈与時に贈与税がかからない」というものだ。教育に限ってしか利用できなく、また贈与した孫が30歳になるまでに使い切らなかった場合には、贈与税が課税されてしまう。「将来、相続税がかかる人は、親に『暦年課税制度』を使って、コツコツと時間をかけて相続財産の移行を行うのが得策だと伝えてほしいです」(湊さん)時間をかけて相続財産を移行させることで、パパやママの世代が教育資金など必要なときに役立ってくるのではないだろうか。次回は、「身近な「医療費控除」も新制度がスタート! 家計を元気にする節税のきほん」です。この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)湊 義和さんプロフィール中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
2017年04月14日兄の連れてきた婚約者は…
いきすぎた自然派ママがこわい
義父母がシンドイんです!