ピクニックに退屈していた少女がタキシードを着たウサギに遭遇、思わず追いかけたら暗くて深い穴の中へすってんころりん、という有名な場面から始まる『不思議の国のアリス』。冒頭のウサギに始まり、帽子屋、チェシャー猫、ハートの女王など一風変わったキャラクターが次から次へと登場し、不条理でちょっとおかしな世界に読者もアリスと一緒に巻き込まれていく。1865年の刊行以来、約170か国で翻訳され、続編の『鏡の国のアリス』とともにアニメーションや映画、バレエの舞台にも描かれた本作。その魅力と影響を探る展覧会「特別展アリス‐へんてこりん、へんてこりんな世界‐」がこの夏、日本で開催される。世界中を惹きつける「不思議の国」の秘密を探しに。一番の見どころは、作者のルイス・キャロルとともに不思議の国を創り上げた挿絵画家、ジョン・テニエルの原画をじっくり鑑賞できること。オリジナルが醸すユニークな作品世界に触れる贅沢を味わって。日本展のもととなったロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の展示で、舞台デザイナーのトム・パイパーが手がけた「狂ったお茶会」やチェシャー猫が登場するインスタレーションも、物語のシーンに没入できる体験型展示として評判だ。サルバドール・ダリ、英国ポップアートのゴッドファーザーことピーター・ブレイク、草間彌生らが描く作品には、原作が書かれたヴィクトリア朝時代とは異なる現代的なアリス像が垣間見えそう。彼らの想像力をかきたてたのは物語に潜む影の部分や作者の無意識が形作るイメージ。大人目線で見るアリスの世界にはきっと新しい発見がありそうだ。舞台デザイナーが手がける体験型展示も。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で展示。「狂ったお茶会」のインスタレーションは舞台デザイナー、トム・パイパーが手がけた。Alice Curiouser and Curiouser, May 2021, Victoria and Albert MuseumInstallation Image, Tea Party created by Victoria and Albert Museum,Alan Farlie, Tom Piper, Luke Halls Studio ©Victoria and Albert Museum, Londonファッション写真家が描く不思議の国。写真家ティム・ウォーカーは黒人の俳優や活動家をモデルとして起用しアリスの世界を表現した。アリス、『不思議の国のアリス』をテーマにした2018年のカレンダー、ティム・ウォーカー撮影、ピレリ社制作 ©Tim Walker Studio Courtesy of Pirelli&C.S.p挿絵画家テニエルの原画であの名場面を。ケーキを食べたアリスの体は望遠鏡のように伸びてしまい、文中には「さようなら私の足!」というセリフが。首が伸びたアリス、『不思議の国のアリス』より、ジョン・テニエル画、ダルジール兄弟彫版、1867年版、V&A内ナショナル・アート図書館所蔵 ©Victoria and Albert Museum, Londonマッド・ハッター、三月うさぎ、やまねら独特なキャラクターが登場。マッド・ハッターのお茶会でのアリス、『不思議の国のアリス』初刊行版本より、ジョン・テニエル画、1866年、V&A内ナショナル・アート図書館所蔵©Victoria and Albert Museum, LondonWho’s Lewis Carroll?ルイス・キャロル1832年生まれ。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン。知人の子どもに即興で語った物語をもとに『不思議の国のアリス』を執筆。数学者でもあり、生涯をオックスフォード大学の学寮で暮らした。1898年没。チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン、ドジソン家のアルバムより、19世紀 ©Victoria and Albert Museum, London特別展アリス‐へんてこりん、へんてこりんな世界‐森アーツセンターギャラリー東京都港区六本木6‐10‐1六本木ヒルズ森タワー52F開催中~10月10日(月)10時~20時(月~水曜は18時まで。ただし9/19、10/10は20時まで。入館は閉館の30分前まで)会期中無休一般2100円(平日)ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2022年8月3日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2022年07月31日東京・竹橋にある東京国立近代美術館で『ゲルハルト・リヒター展』が開かれています。ゲルハルト・リヒター(1932~)はドイツ出身のアーティスト。世界で高く評価され、オークションでも作品が高額で取り引きされている現代アートの巨匠です。リヒター作品はなぜ人気があり、何がスゴいのでしょう?プレス内見会で取材してきました。どんな展覧会?© Gerhard Richter 2022 (07062022)【女子的アートナビ】vol. 252『ゲルハルト・リヒター展』では、2022年に90歳を迎えたアーティスト、ゲルハルト・リヒターの初期作から最新のドローイングまでの作品122点を展示。60年にわたる画業のなかで手がけた油彩画や写真、ドローイング、ガラスや鏡などを用いた作品などが一堂に集まっています。本展の注目ポイントは、作家本人にとって大切な作品が揃っている点です。リヒター自身が手放さず、手元に残してきた本人所蔵の作品と、ゲルハルト・リヒター財団コレクションを中心に、かなり見ごたえある作品が展示されています。また、会場構成についても作家本人の希望を反映。リヒターにとって大事な作品を、本人の希望するスタイルで展示した、なんとも贅沢な展覧会です。スゴい経歴リヒターは、ドイツ東部のドレスデン生まれ。芸術系の大学を出たあと壁画制作などを手がけていましたが、1961年、ベルリンの壁ができる直前に西ドイツへ移住。東独でのキャリアを捨て、デュッセルドルフ芸術アカデミーで再び学びはじめます。1964年には初個展を開催。さらに、1971年にはデュッセルドルフ芸術アカデミーの教授に就任し、その後はパリやアメリカなどの名だたる美術館で個展を開催していきます。1997年にはヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞。その後も数々の賞をとり、紹介しきれないほどの実績があります。スゴい値段経歴もスゴいですが、作品のお値段も飛びぬけています。2012年に開かれたオークションでは、存命作家の最高落札額(当時/2132万ポンド=約27億円)を更新。近年でも、さまざまなオークションで30億、40億など高額の落札額が報道され、世界のアート界で常に注目を集めています。スゴい作品――経歴も作品価値もスゴいことがわかりました。でも、リヒターの作品は、抽象的な絵もあれば具象的な絵もあって、作品としてどこがスゴいのか、素人にはわかりづらい作家です。東京国立近代美術館・主任研究員の桝田倫広さんは、リヒター作品について次のように説明しています。桝田さんリヒターはどうスゴいのか、わかりやすく言ってください、という質問を何度かいただきます。いつも、このような問いにどうしようかと困るのです。一言では言い表せない多様な問題を含んでいることこそ、彼の作品の特徴と言えるからです。――実際、リヒターについての本や論文なども数多くあり、本展の図録にもさまざまな解説が載っています。リヒター作品は、“一言で説明できないほどスゴい”ことがわかります。必見!“最後の絵画”では、ここからは作品について見てみます。リヒター作品には、いくつかジャンルがあります。例えば、「フォト・ペインティング」は、新聞や雑誌に載った写真などを正確にうつしとるように描いたシリーズ。「グレイ・ペインティング」は、灰色の絵具でキャンバスを塗り込めるシリーズ。このグレイのシリーズからつながってできたのが「アブストラクト・ペインティング」(抽象絵画)シリーズです。リヒターは、自作の大きなヘラをつかってキャンバス上で絵具を引きずるようにのばしたり削ったりしながら、独自の「アブストラクト・ペインティング」を生み出しました。この抽象絵画シリーズで、今回もっとも注目されているのが、2017年に制作された作品《アブストラクト・ペインティング》。本記事一枚目の画像です。本作は、作家本人が「これを最後にもう絵画は描かない」と宣言したメモリアル的な作品。ぜひ、じっくりご覧になってみてください。ガラス作品はどう見る?――リヒター作品のなかで、「ガラスと鏡」をつかったシリーズがあります。このような作品は、単にガラスを見ればいいのか、ガラスに映っている自分の姿を見るものなのか、ちょっと迷うかもしれません。桝田研究員は、次のように解説しています。桝田さんリヒター作品の根本的な原理は、「見るとはどういうことか。イメージが表れるとはどういうことか。それらの条件自体を問うもの」と言えます。そのことが端的に表れているのが、ガラスや鏡の作品です。この作品の前に立つと、ガラス越しに壁が見え、自分たちの姿も、ガラスそのものも見えます。ガラスに映し出されたものに何を見いだすかは、私たちが“見る”ということの複雑な営み次第。その営みは、私たちの経験や慣習、何を見たいと欲しているか、によって大きく左右されます。――ガラス作品の鑑賞方法、かなり奥が深いですね。ぼんやり見ているとただのガラスですが、「何を見たいと欲しているか」と考えると、とたんにハードルが上がります。ぜひ、ガラスや鏡の作品の前で、いろいろ感じてみてください。アウシュヴィッツの写真をもとに制作…本展で最大の見どころは、2014年に制作された《ビルケナウ》という4点組の絵画です。一見すると、シンプルな抽象絵画ですが、この絵の下層にはアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で隠し撮りされた4枚の残酷な記録写真(死体などが写っています)のイメージが描かれています。しかも、その写真は絵画のすぐ隣に展示されているのです。鑑賞者は、絵画の下に隠された残酷なイメージを想像しながら、リヒターの作品と向き合うことになります。この作品の前に立つと、桝田研究員が教えてくれた「見るとはどういうことか。自分は何を見たいと欲しているのか」という問いを突き付けられる気がします。二度とないかも!何が描いてあるのかわからない抽象絵画や、ただガラスだけが並んでいるようなリヒターの作品は、ぼんやり見ていると「わからない・つまらない・難しい」と感じてしまうかもしれません。ただ、リヒター本人も、「優れた絵画は理解できない」と述べているので、理解できなくてもいいようです。「見るとはどういうことか」と思いながら作品と向き合ってみる。それだけで、自分のなかに何かが残るような気がします。これほど充実したリヒターの大規模展覧会を日本で見られる機会は、もう二度とないかもしれません。かけがえのない鑑賞体験を、ぜひ美術館で味わってみてください。Information会期:~10月2日(日)※休館日は月曜日(ただし9月19日は開館)、9月20日(火)会場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)*入館は閉館30分前まで※最新情報などの詳細は展覧会特設サイトをご覧ください。お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年07月31日高校生徒会を舞台に描かれた恋愛漫画の金字塔『天使なんかじゃない』、’90年代のおしゃれ少女漫画を代表する『ご近所物語』、実写映画化やTVアニメ化もされ社会現象を巻き起こした『NANA』。数多くの読者の青春を彩り、今も背中を押し続けてくれる名作を世に送り届けた矢沢あい。満を持してファン待望の原画展「ALL TIME BEST 矢沢あい展」が開催される。今回の展覧会には、300点におよぶ直筆原画やイラスト、初公開となる関連資料から連載当時のふろくカットに至るまで、本人総監修で厳選されたアイテムがずらりと集結。そのコンセプトは“ALL TIME BEST”。CDアルバムのトラックになぞらえて「Track0」から「Track5」まで、作品ごとに原画や資料を展示。『ご近所物語』に続く世界を描く『Paradise Kiss』、またミステリアスな展開が謎を呼び熱狂的なファンも多い『下弦の月』を含む5作を振り返る。さらに、近年の画業であるファッション解説書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(佐藤誠二朗・著/集英社)の挿絵も展示。時代の流行を捉えた流麗なタッチをじっくり味わうことができる。今回のオリジナルグッズのための新たな描きおろしイラストも多数公開するとのこと。《会場でみなさんに楽しいひとときを過ごしてもらえるようになつかしいもの、あたらしいもの、沢山とりそろえてお待ちしております。》と矢沢先生のコメントも。当時を振り返りながら楽しみたい方も、初めて矢沢あいワールドに触れる人も大満足の展示になること間違いなし。キービジュアルでは、『NANA』の大崎ナナと『天使なんかじゃない』の須藤晃が夢のコラボレーション!©矢沢漫画制作所/集英社’91~’94年連載の『天使なんかじゃない』は出世作に。©矢沢あい/集英社2000年に連載開始の『NANA』は、中島美嘉と宮﨑あおいで実写映画化し話題に。©矢沢漫画制作所/集英社服飾デザイナーを目指す主人公と幼馴染みの関係を描く『ご近所物語』は’95~’97年連載。©矢沢漫画制作所/集英社「ALL TIME BEST 矢沢あい展」新宿高島屋 11階特設会場東京都渋谷区千駄ヶ谷5‐24‐2開催中~8月8日(月)10時30分~19時30分(最終日は~18時。入場は閉場の30分前まで)無休一般1000円ほか※事前日時予約優先※『anan』2022年7月27日号より。(by anan編集部)
2022年07月25日上野の国立西洋美術館で、リニューアルオープン記念となる展覧会『自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』が開催中です。本展では、自然と向き合った芸術家たちのさまざまな作品を展示。プレス内覧会で取材したおもな見どころや展示風景をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 251『自然と人のダイアローグ』では、ドイツ・ルール地方の都市エッセンにあるフォルクヴァング美術館と国立西洋美術館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にした作品100点超を展示。ドイツロマン主義の画家フリードリヒをはじめ、モネ、セザンヌ、ゴッホや20世紀絵画、そして現代ドイツを代表する画家リヒターの作品まで見ることができます。二人のコレクターが受けた苦難…フォルクヴァング美術館と国立西洋美術館は、いくつか共通点があります。まずは、設立者の熱い思い。両美術館とも、同時代を生きたコレクターのカール・エルンスト・オストハウス(1874-1921)と松方幸次郎(1866-1950)の個人コレクションをもとに設立されました。オストハウスは、地元の人々に美を提供するため美術館を建設したいと願い、松方も日本の画学生たちに本物の西洋画を見せてあげたいという熱い思いから作品を収集していました。また、第二次世界大戦により苦難を受けた点も似ています。フォルクヴァング美術館は、ナチス政権時代、「退廃芸術キャンペーン」により1,400点以上の近代美術作品が押収されました。いっぽう、松方のコレクションも戦争末期、フランス政府に多くの作品を接収され、1951年にそれらはフランスの国有財産となってしまいました。しかしその後、フランス政府は多くの作品を日本に返還することを決定。寄贈返還された松方コレクションを基礎に誕生したのが、国立西洋美術館です。1959年に完成した国立西洋美術館・本館の建物はル・コルビュジエの設計によるもので、2016年には国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献 ―」が世界文化遺産に登録されました。リヒターとモネ、夢のコラボでは、本展の見どころ作品をいくつかご紹介します。まずは、現代ドイツを代表するアーティスト、ゲルハルト・リヒターの《雲》と、印象派の巨匠クロード・モネ《舟遊び》のコラボ。リヒターの作品は写真をもとに描いたもので、一見するとリアルなのですが、じっと見つめていると写真とは違う独特の空気が漂っているように感じられます。一緒に展示されているモネの絵にも空が描かれていますが、こちらは水面に反射した空と雲です。同じ空でも、画家によって表現の仕方はさまざま。この二人の作品を隣り合わせで見られる機会はほとんどないと思いますので、かなり貴重な鑑賞体験ができます。ゴッホ初来日の代表作も!本展では、ゴッホが最晩年に取り組んだ風景画の代表作、《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》が初来日。こちらは、展覧会のメインビジュアルにもなっている注目作品です。ゴッホは、麦を刈る人物に「死」を、刈り取られる麦のなかに「人間」のイメージを見たといわれています。本作品が描かれたのは、1889年。当時サン=レミの精神療養院に入院していたゴッホは、その翌年の1890年に麦畑で自分の腹をピストルで撃ち、亡くなりました。リニューアルした美術館にも注目!本展で美術館を訪れたら、ぜひリニューアルした国立西洋美術館もご覧ください。同館は1年半の休館中に、創建した当時の姿に近づける工事を行っていました。前庭にある目地や西門の位置、囲障など、デザイン上も大きな意味をもつ部分が変化しています。世界遺産の美術館に足を運んで、ぜひ巨匠たちの名画を楽しんでみてください。Information会期:~9月11日(日)※休館日は毎週月曜日 (ただし、8月15日(月)は開館)会場:国立西洋美術館開館時間:9:30〜17:30毎週金・土曜日:9:30〜20:00※入館は閉館の30分前まで※日時指定制※最新情報などの詳細は展覧会特設サイトをご覧ください。お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年07月24日代官山アドレス・ディセは、四季をテーマにアーティストと子ども達が共同でアート作品を制作する「キッズアートイベント」を開催します。第1回は2022年8月20日(土)~21日(日)、アーティスト『しげおかのぶこ』さんと子ども達が「夏」をテーマに絵をえがく「ガラスアートイベント」を開催します。子ども参加型のアートプロジェクト「キッズアートイベント」「キッズアートイベント」は、代官山アドレス・ディセが春・夏・秋・冬を通じて計4回開催する、子ども参加型のアートプロジェクトです。イベントではアーティストと子ども達が共同でアート作品を制作し、イベント終了後は館内に完成した作品を展示します。「夏」をテーマに開催する第1回はアーティスト『しげおかのぶこ』さんをお招きし、8月20日(土)~8月21日(日)に、子ども達と共に館内共用スペースのガラスに絵をえがくガラスアートイベント。長さ約15メートルの大きなガラスをキャンバスにした、伸びやかなアート体験を提供します。制作に使用するのは、鮮やかな発色が特徴のカッティングシート。太陽の光が差し込むと、よりカラフルで美しい作品となります。子ども向けのワークショップの開催など、かねてより子ども達とアートをつなぐ活動をしているしげおかさんと、子ども達の自由な発想が紡ぐアートがどのような作品に仕上がるか、是非ご覧ください。キッズアートイベント 「夏」イベント実施概要◆期間2022年8月20日(土)~21日(日)<第1部> 11:30~12:30<第2部> 14:00~16:00※1組15分間となります。※制作された作品は常設展示されます。なお、館内他イベントの関係で予告なく展示を終了することがございます。ご了承下さい。◆内容「夏」をテーマに、アーティスト『しげおかのぶこ』さんと子ども達が一緒に作品を作ります。カラフルなカッティングシートを好きな形に切り、長さ約15メートルの大きなガラスに貼っていくことで、季節の花や風景をえがきます。◆参加対象3歳~小学生までの子ども(3歳~12歳)※必ず保護者同伴のもとご参加ください。◆参加方法事前予約及び当日参加※本イベントの参加は無料となっています。1. 事前予約8月10日(水)AM10:00より、受付開始となります。本イベントの予約及び詳細は代官山アドレス・ディセのイベントページをご確認ください。≪PC用URL≫≪スマートフォン用URL≫ 当日参加8月20日(土)、8月21日(日)共にAM11:00より、会場にて受付します。※定員に達し次第、予約受付終了となります。(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2022年07月22日『不思議の国のアリス』にまつわるアートや映画、ファッションなど多彩なカルチャーを紹介する展覧会『特別展アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー』のサポーターに、女優の上戸彩さんが就任。今回、音声ガイドに初挑戦した上戸さんに、展覧会やアリスの魅力について、お話を聞いてきました!上戸さんが音声ガイドに初挑戦!【女子的アートナビ】vol. 2497月16日から六本木ヒルズで開催される『特別展アリス』では、アートや音楽、映画、ファッションなどのさまざまなジャンルで表現されてきた児童文学『不思議の国のアリス』の魅力を紹介。英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)と海外所蔵作品を中心に構成され、ジョン・テニエルの挿絵や、アリスに影響を受けた草間彌生など芸術家たちの作品、映画作品、舞台衣装など、約300点の作品と資料が展示されます。本展は、英国を皮切りに世界を巡回している展覧会。日本オリジナルの展示も加わり、アリスの世界観に没入できる楽しい演出がほどこされています。今回、展覧会の音声ガイドを担当した上戸彩さんにインタビューを実施。展覧会の魅力やアリスについて、語っていただきました。上戸さんにインタビュー!――まず、展覧会の音声ガイドを担当されてみていかがでしたか。上戸さん音声ガイドは、前からやってみたいと思っていたお仕事のひとつでしたので、今回お話をいただいたときに「やるやる!」という感じでした。収録してみて、アリスの役になれるところがあったり、クイズ形式になっているところもあったりして、音声ガイドはこういう感じなんだ、という新たな発見もありました。自分でもいろいろな展覧会をまわって、音声ガイドを聴いてみたいなと思いました。――楽しみにしている作品などありましたら、教えてください。上戸さん一番見てみたいと思った作品は、「ドードーの複合骨格」です。あとファッション関連では、ヴィヴィアン・ウエストウッドの衣裳も見てみたいですし、英国ロイヤル・バレエ団の公演に関する作品も見てみたいと思いました。――どんな展覧会になると思いますか。上戸さん絶対に飽きさせない展覧会になると思います。絵画や音楽など専門の展覧会もありますが、この展覧会に関しては、アリスの原作にインスパイアされた人たちがつくったさまざまなものが展示されています。本の原画ももちろんありますし、いろいろなものを一気に楽しめます。物語に出てくる「お茶会」シーンもプロジェクションマッピングで表現されるみたいなので、それもそそられますね。アリスは、いつの間にか周りにある――絵本や映画などさまざまな「アリス」がありますが、上戸さんはいつごろアリスに出会ったか覚えていますか?上戸さんいつの間にか出会っていました(笑)。小学校のときに見て、すごく衝撃的で……というのではなく、いつの間にか自分も見ていて、いつの間にか周りの友だちもみんなが好きで、いつの間にか誰かがアリスのブーツをはいたりコスプレをしたりしていました。今回、このお仕事をいただいて気づいたのですが、私もアリスがデザインされている服を持っていましたし、娘もアリスの衣裳を持っていました。また、家にはアリスの本が何冊もあって、日本語や英語版の仕掛け絵本も置いてあったり、子どもが遊ぶおもちゃにハンプティダンプティの音楽が入っていたり、いつの間にか自然に周りにある感じなのです。いろいろなところにアリスが影響を与えている、というのが自分の家でもわかりました。娘さんからの評価が…――ご家庭では、お子さんも一緒にアリスの物語を楽しまれているのですね。上戸さん今回改めて、娘と一緒にアリスの作品をいろいろ見てみました。アニメーションになっている物語と、映画の『アリス・イン・ワンダーランド』を見比べて、さまざまなシーンや違いにも気づきました。娘は私以上にキャラクターや役名のことなども気づくので、逆にいろいろと教えてもらいました。――絵本の読み聞かせなどもされるのですか?上戸さん娘は本が好きなので、今では勝手に自分で本を読んでいます。毎日、教科書の音読もしてくれるので、この前は逆に「ママが読むから、〇(マル)をつけてね」と娘に言って、けっこう本気で読んでみました。でも、娘からは「表現力は、表情も」との評価をいただきまして、「私の本職が……」と思いました(笑)。「スラスラ読めている」という部分はマルをいただきましたけど、まだまだだな、と(笑)。ウサギ穴に落ちてみたい…――アリスの物語で好きな場面はありますか?上戸さんアリスがジュースを飲んだら小さくなり、ケーキを食べたら大きくなる、という場面は好きですし、やってみたいですね。あとは、ウサギを追いかけていく場面に出てくる「ウサギ穴」にも落ちてみたいです(笑)。――アリスの中で、お嬢さんや上戸さんはどんなキャラクターがお気に入りですか?上戸さん娘はイモムシが好きです。もともと虫も好きなので、チョウになっていくその変化とかも好きみたいです。私のときは、チェシャ猫が人気でしたね。私たちの世代は、みんなグッズを持っていました。あとは、映画の『アリス・イン・ワンダーランド』では、やはりマッドハッターが好きですね。没入できます!――最後に、展覧会を楽しみにしているみなさんに、メッセージをお願いいたします。上戸さん私は、美術展や展覧会にあまり足を運ぶタイプではなかったのですが、今回音声ガイドのお仕事をいただいて、新たな展覧会の見方を知ることができ、身近なものに感じました。アリスは、子どもから大人まで、いろいろな方に影響を与えて、しかも著名な方の心や才能を動かしている作品だと思うので、展覧会もいろいろな方に見ていただきたいです。音声ガイドも、展覧会に没入できるような内容になっているので、私も音声を入れていて楽しかったです。堅苦しくなくカジュアルな感じで、アリスの世界に入りやすいと思いますので、ぜひ音声ガイドも購入してください!――ありがとうございました!インタビューを終えて…ユーモアを交えながら楽しいお話をしてくださった上戸さん。インタビュー中も撮影中も、キュートな笑顔などさまざまな表情を見せてくれましたが、お子さんの話をされているときの優しいママのお顔が印象的でした。上戸さんのガイドを聴きながら、ぜひアリスの世界に没入してみてくださいね。Information特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界会期:7月16日(土)~10月10日(月・祝)※会期中無休会場:森アーツセンターギャラリー[六本木ヒルズ森タワー52F]開館時間:10:00~20:00(月・火・水曜は18:00まで)※7/18、9/19、10/10は20:00まで※最終入館は閉館30分前まで※会期・開館時間は変更の可能性があります。※最新情報などの詳細は展覧会HPをご覧ください。お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)撮影 : 北尾渉
2022年07月13日2019年に開催され大好評を博した「鈴木敏夫とジブリ展」がこの夏バージョンアップして帰ってくる。『風の谷のナウシカ』をはじめ数々の名作を生み出すスタジオジブリの名プロデューサーとして知られる鈴木敏夫さんとはそもそもどんな人?鈴木敏夫を創ったものとは?来て観てわかる、本とジブリ作品との深い関係。「メインの仕事はプロデューサー業ですが、鈴木さんの書いたキャッチコピーがセリフになったり、書いた文字がそのままタイトルになったり。時には絵コンテも自ら描くなど枠にとどまらない方。果たして頭の中はどうなっているのか。鈴木さんの内部に入り旅をしながら鈴木敏夫の全体像を見ていきたいと思いました」と本展のアートディレクターを務める小松季弘さん。会場では少年期、青年期、徳間書店時代、ジブリを設立してから現在に至るまでの道のりをたどりながら、当時の鈴木さんが何をどうインプットし、アウトプットにつなげていったか、脳内変換の道筋を探る。そして展示の最後を飾るのは、約8800冊の蔵書を再現したという高さ約3mの大本棚。「ラインナップは『少年画報』など少年少女向けの漫画雑誌から、『赤毛のアン』などの児童文学、それから小説、ノンフィクション、詩集、評論、人類学や社会学の本、歴史本にいたる幅広いジャンルがあります。本棚を見るとわかるのは、手塚治虫さん、杉浦茂さんの漫画をこよなく愛していたり、音楽にも造詣が深く、荒井由実さんが大好きだったり。美術にも詳しく、落語もお好き。キリスト教など宗教に関することも、若い頃から勉強されていたようです」驚くべき多趣味、博覧強記ぶり。「とはいえ全部自分から読み始めたわけではなく、高畑勲・宮﨑駿両監督の影響も大きい。『この本読んだよ』と聞くたび鈴木さんの本棚に高畑さん、宮﨑さんが持つ本が増えていき、それが血肉となり3人の体内に膨らんでいった。だから鈴木さんの本棚は実は高畑さんの本棚でもあり、宮﨑さんの本棚でもあるのです」なかにはジブリ作品のキーワードになった本も多数潜んでいるとか。本棚の展示空間は鈴木さんの隠れ家兼事務所の一室を再現。ウィリアム・モリスの壁紙が貼られ、本の隙間にはフィギュアやおもちゃが。居心地のよさと遊び心、まるでご本人を彷彿とさせる空気が漂っている。そのほか、漫画雑誌をすべて捨てずに部屋に溜め込み、繰り返し読んでいたという少年時代の四畳半を再現した展示も見どころの一つ。ジブリ作品の名ゼリフを鈴木さんが書に書き、立体にしたものを空中から吊り下げたゾーンもセリフの力強さが改めて蘇ってくる。「『次の新作はこういうふうに作るんじゃないかな?』、そんな予感をさせてくれる展示になっていると思います。ぜひ会場に足を運んで想像をふくらませてみてください」大好きなトトロと記念撮影。『となりのトトロ』でサツキが初めてトトロに出会ったバス停のシーンを再現したフォトスポットで、トトロや小トトロといっしょにパチリ!大迫力のおみくじコーナー。湯婆婆と銭婆の口からおみくじが飛び出す!リアルなサイズ感の湯婆婆たちの頭部は迫力満点。開くと鈴木さんからの嬉しいメッセージが。名プロデューサーを育んだ約8800冊の本が一堂に。鈴木敏夫さんの隠れ家「れんが屋」を再現した空間に圧巻の約8800冊がずらり。一部は手に取って見ることもできる。『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシが読書中。※写真は2022年4~6月に開催した京都展のもの。『千と千尋の神隠し』のあの建物が目の前に。『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋「油屋」をモチーフにした「油屋別館」が登場。冷やし足湯が楽しめるチケットも数量限定で販売中。※画像はイメージ。鈴木敏夫とジブリ展東京・天王洲寺田倉庫 B&C HALL/E HALL東京都品川区東品川2‐1‐3開催中~9月7日(水)10時~20時(入場は19時半まで。1時間ごとの日時指定入場制)無休(休館日が発生する可能性があります)一般1800円ほかTEL:050・5533・0888(平日12時~15時)TS Studio Ghibliすずき・としおスタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年、愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、徳間書店入社、『アニメージュ』の編集長を務める。’85年、スタジオジブリ設立に参加。’89年以降、ジブリのほぼすべての劇場作品をプロデュースしている。撮影:荒木経惟※『anan』2022年7月13日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年07月11日写真家、映画監督として活躍されている蜷川実花さんの個展が東京都庭園美術館で開かれています。開幕に先立ち開かれたプレス内覧会には、蜷川さんも出席。作家のコメントとあわせて、展覧会の様子をご紹介します。企画展『蜷川実花瞬く光の庭』【女子的アートナビ】vol. 250この展覧会では、幅広い分野で世界的に活躍しているアーティスト、蜷川実花さんの写真と映像を展示。コロナ禍の日本各地で、2021年から1年半かけて撮影された植物の写真と映像約80点が紹介されています。蜷川さんは、これまで木村伊兵衛写真賞をはじめ数々の賞を受賞。日本や台湾、上海など各地で展覧会を開催し、高い評価を得ています。また、映画監督としても多くの作品を手がけ、最新監督作『ホリックxxxHOLiC』も今年4月に公開されました。4万回も心が動いた…蜷川実花さんプレス内覧会に出席された蜷川さんは、「大好きな美術館で個展ができてうれしい」と笑顔でコメント。さらに、次のように述べました。蜷川さんこの1年半で4万枚の写真を撮りました。特に桜の時期は、何かに取りつかれたかのように撮り続けていました。やはりコロナ禍で社会が揺れて、自分自身も不安定だったのかと思うのですが、自分を保つために写真を撮影した1年半でした。花の写真に限らずですが、どれも必ず心が動いた瞬間にシャッターを押そうと決めています。そう考えると、4万回も心が動いたのかな(笑)。撮る、という行為を通して自分自身の感覚がすごく研ぎ澄まされた状態になっていきました。深く思考するというより、感覚だけが伸びて“感覚オバケ”みたいになっていた感じです。いろいろなきらめきや、こうであってほしいと願う未来。でも、それがあまりにはかなくて、あっという間に消えてしまいそうで、それをどうつなぎとめたらいいのかという想いや、いろいろな希望、願いをこめながら撮った4万枚のなかの80枚が今回展示されています。光あふれる希望の写真ーー本展を担当した東京都庭園美術館・学芸員の田村麗恵さんによると、アール・デコ様式で装飾された同館の特徴や持ち味に新しい可能性を開いてくださることを期待して、蜷川さんにこの企画展をオファーされたそうです。では、ここからは本展の特徴や見どころについて、田村さんの解説をご紹介します。田村さん今回の展示では、蜷川さんが当館の建築と室内装飾を活かす形にしてくださりました。特に、南側の多くの部屋では、窓と窓からの庭園の眺めが借景となっています。窓というフレームの中に植物の写真を置き、光の中で光にあふれた写真を見ていただくという重層的な試みが、本展の見どころです。田村さんまた、本展のために、当館で蜷川さんに撮影していただいた写真は、本館2階の「妃殿下居間」に展示されています。今年1月の大雪の日に撮影されたマツの写真で、窓の外には被写体となったマツもあり、一緒にご覧いただけます。田村さん今回展示されている最新作は光に満ちあふれ、極彩色で知られている今までの蜷川さんの作品と異なる新たな世界観が展開されています。光は希望の象徴でもあります。「光彩色」でいろどられ希望にあふれた作品世界と、繊細かつダイナミックで没入感の高い映像インスタレーションは、蜷川さんの今とこれからを示す新機軸です。この展覧会は、新しい蜷川さんの作品世界を存分に楽しめます。ぜひ来て体感して!蜷川さんと田村さんの解説、いかがでしたか。また、蜷川さんは最後に「今はいろいろな情報がネットで見られますけど、この展覧会に関しては実際にこのお屋敷の中で写真を見て、映像を体感していただきたいです」と仰っていました。本当に、美しい装飾のある美術館の空間で、窓からの光を感じながら作品を見るという体験は格別なものです。ぜひ実際に足を運んで、光あふれる作品を体感してみてくださいね。Information会期:6月25日(土)~9月4日(日)※休館日は毎週月曜日、ただし7月18日(月・祝)は開館、7月19日(火)は休館会場:東京都庭園美術館(本館+新館)開館時間:10:00~18:00※最終入館は閉館30分前まで※最新情報などの詳細は展覧会特設サイトをご覧ください。お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年07月10日鮮やかなオレンジやイエローの背景に映えるキュートなこぐまちゃんが印象的な「こぐまちゃんえほん」シリーズ(こぐま社)は、きっと子どもの頃に誰もが目にしたことがあるはず。絵本作家・わかやまけん(1930‐2015)の創作の全貌を紹介する展覧会『こぐまちゃんとしろくまちゃん絵本作家・わかやまけんの世界』が始まる。グラフィカルなのに心に染みる、わかやまけんの世界を網羅。わかやまは岐阜県岐阜市生まれ。グラフィックデザインの仕事を経て24歳で上京し、教科書の挿絵や紙芝居などを手がけた後、絵本創作の道へ進む。代表作「こぐまちゃんえほん」シリーズのほか、詩的な画風で独特の絵本の世界を築いただけでなく、絵本の研究誌の創刊や、絵だけで読む絵本“純絵本”を提唱するなど、絵本文化の普及にも大きく貢献。海外でも高く評価されている。本展では彼の仕事を全5章で紹介。特に「こぐまちゃんえほん」シリーズの誕生から創作の過程をつぶさに知ることができるのが特徴だ。このシリーズは1970年創刊の第一作に始まり、全15作。実は、これらはわかやま一人による制作ではなく、こぐま社創業者・佐藤英和の発案で、劇作家の和田義臣、児童文学作家の森比左志が集まり、テーマからストーリー展開、文と絵に至るまで、全作を4人で制作したもの。子育ての真っ最中だったわかやまは、我が子の日常をスケッチして編集会議に参加していたという逸話も微笑ましい。創作絵本はもちろん、民話の絵本化や、詩集の挿絵など、多彩な創作を続けたわかやま。「日本の子どもたちがはじめて出合う絵本を作りたい」、そんな彼の想いは約230点の展示品からも力強く伝わってくる。Check1代表作・「こぐまちゃんえほん」シリーズ。1.本展ではシリーズが発表される前に描かれたわかやまの貴重な下絵も多数展示されている。2.3.「こぐまちゃんえほん」シリーズは、美しい発色のために6色の特性インクを1色ずつ刷り重ねる方式が採用された。そのためわかやまは1ページの絵のために6枚の原画を描いた。本展ではシリーズ随一のヒット作『しろくまちゃんのほっとけーき』表紙絵の描き分け原画も展示。その制作工程を紹介している。1.「こぐまちゃんえほん」下絵、1970年原画/こぐま社蔵2.『こぐまちゃんのみずあそび』(1971年、こぐま社)3.『しろくまちゃんのほっとけーき』(1972年、こぐま社)Check2多彩な創作活動を総ざらい。4.6.まだ文字が読めない子どもたちのために絵だけで物語を楽しめる本を。そう考えたわかやまは『りぼんをつけた おたまじゃくし』や『おばけのどろんどろん』など絵の力だけで物語を読み解くことができる“純絵本”の制作に力を入れた。5.さらに『あかべこのおはなし』『ごんぎつね』など名作の挿絵や、民話を絵本に再構成、詩集の挿画も手がけるなど、幅広く活動。その美しい色と繊細な原画の数々も必見。4.『りぼんをつけた おたまじゃくし』(1967年、野村トーイ)より原画/個人蔵5.『あかべこのおはなし』(1980年、こぐま社)表紙リトグラフ/こぐま社蔵6.『おばけのどろんどろん』(1980年、ポプラ社)より原画/個人蔵『こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界』世田谷美術館東京都世田谷区砧公園1‐27月2日(土)~9月4日(日)10時~18時(入場は17時半まで)月曜(7/18は開館)、7/19休一般1200円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2022年7月6日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2022年07月04日話題の美術漫画『ブルーピリオド』の世界をリアル&バーチャルで体験できる展覧会『ブルーピリオド展~アートって、才能か?~』が始まった。話題沸騰中の美術漫画のストーリーを追体験できる展覧会。『ブルーピリオド』とは、山口つばさによる漫画で『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載中。2020年にはマンガ大賞を受賞し、翌’21年にはTBS系列にてTVアニメ化。今年3月末からは舞台化もされた注目作だ。成績優秀かつスクールカースト上位の毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きていた高校生・矢口八虎(やとら)は、ある日一枚の絵に心奪われる。その衝撃に八虎は駆り立てられ、美しくも厳しい芸術の世界へと邁進してゆく。美術のノウハウや美大受験の実情など、美術に情熱を燃やす八虎と仲間たちが繰り広げる青春群像劇だ。本展では、キーとなる作中絵画の展示から没入型シアターといったストーリーを追体験できる展示、初心者でもアートを身近に感じられる名画解説など、様々なコンテンツがラインナップ。例えば〈青の渋谷シアター〉は八虎が美術の魅力に気づくきっかけとなった早朝の渋谷を追体験できる没入型シアター。〈キャラ大石膏室〉ではダヴィデやモリエールなど著名な像に扮した登場人物が設置され、来場者はここで自由にデッサンできる(平日限定)。また、キャラクターと共に美術作品を鑑賞しながら自分なりの名画の楽しみ方を発見できる〈名画の見かた〉や、作者・山口つばさの卒業制作の漫画作品、インタビュー動画が公開される〈山口つばさの部屋〉も必見だ。アートとは一体何か?そんな普遍的な問いに真正面から向き合った本展は、美術好きでなくても面白さと発見に溢れた内容になりそうだ。ある出合いにより美術に目覚める八虎。©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会美術部の森先輩が描いた天使の絵。美術室で偶然この作品を見た八虎は衝撃を受け、それをきっかけに美術を志すようになる。漫画(第1巻)の中でもキーとなる作品。森先輩の作品テーマ“祈り”が感じられるはずだ。受験を通じて、より深く自分と向き合う。©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会八虎が描いた“縁”をテーマにした絵(第3巻)。F100号(高さ162cm以上)に初めて挑戦し、自分の絵に呑み込まれそうに感じる。溶鉱炉をイメージした本作は、美術に対する想いが八虎の中で煮えたぎる様子を暗示。苦楽を共にした仲間とともに、挑む実技試験。©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会上:八虎の一次試験の絵(第4巻)。課題は「自画像」。手鏡が割れてしまうアクシデントを逆手にとって描き上げた。下:八虎の二次試験の絵(第6巻)。「ヌード」が課題の本作は体調が悪い中、努力と戦略で完成させた。ブルーピリオド展~アートって、才能か?~寺田倉庫G1ビル東京都品川区東品川2‐6‐4前期:開催中~8月5日(金)後期:8月6日(土)~9月27日(火)10時~20時(入場は閉館の30分前まで)一般2000円ほか(オンラインのみで販売)TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会※『anan』2022年6月29日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2022年06月27日美は生活に宿る。手仕事の楽園がつなぐ民藝の魂。展覧会『復帰50年記念 沖縄の美』をご紹介します。「こんな世界がよくも地上に残っていたという感じがする」1938年、沖縄の地を踏んだ民藝運動の創始者、柳宗悦(むねよし)(1889~1961)は書き残している。「当時の沖縄は厳しくも豊かな自然の中、独自の風習や信仰に基づいて、目には見えないものを信じる生活が営まれていました。そうした生活の中で人の手から生まれる工芸、踊りや音楽などあらゆるものに、柳は美しさを見出したのだと思います」と日本民藝館学芸員の古屋真弓さん。「民藝」とは「民衆的工芸」の略。美術品とは違って生活の中で実際に使うために作られたものを指す。「柳は日本各地や朝鮮半島を巡ってたくさんのものを収集する中で、美しさとは何かを考えたとき、その大半が生活の中で使うことを目的に作られていることに気づきました。自然の素材を生かし、使いやすく、伝統から必然的に生まれた形を持つ。それを『民藝』と名付けたのです」柳の探し求めた美しいものは庶民の営む生活の中にあったのだ。「物の中に全てを見ていました。物の美しさの向こうに風土や民族性を見ていたのだと思います」柳と同人たちが4回にわたって訪琉した数年後に、美しい島は戦火に見舞われる。本展では戦前に蒐集された染織品や焼き物、漆器が披露されることでも貴重な機会だといえる。おおらかな文様と独特の形を持つ焼き物や漆器のほかに、島ごとに特色のある織物も見所だ。「絹に型で文様を染めた色鮮やかな紅型(びんがた)が有名ですが、島に自生する苧麻(ちょま)や芭蕉(ばしょう)、絹、木綿、桐板(とんびゃん)など様々な素材を用いた織物があります。八重山諸島なら苧麻の上布で白絣(しろがすり)を、久米島は山繭から取った絹で紬の衣裳が織られていました。明治12年(1879年)まで続いた琉球王国時代には王府が税として島々に織物を納めさせており、その結果、技術が磨かれ、美しい織物がたくさん生まれました」戦後に工芸の復興に尽力した第二世代の作家たちの作品も注目だ。「悲しい歴史があって壊滅的な打撃を受けたけれど、沖縄の文化、伝統を継承する動きは今も続いていて島の未来へつながっている。そのことも知ってもらえればと思います」紺地鶴亀松竹梅文様紅型風呂敷苧麻、筒描琉球王国時代19世紀110.0×114.0cm白地霞に松山枝垂桜雁文様紅型衣裳絹、木綿首里琉球王国時代19世紀部分紺地杢糸格子に絣袷衣裳絹、木綿首里琉球王国時代19世紀部分白掛緑黒流抱瓶壺屋琉球王国時代19世紀11.8×20.0cm『復帰50年記念 沖縄の美』日本民藝館東京都目黒区駒場4‐3‐336月23日(木)~8月21日(日)10時~17時(入場は16時半まで)月曜(7/18は開館)、7/19休一般1200円ほかTEL:03・3467・4527※『anan』2022年6月29日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年06月26日ドイツのルートヴィヒ美術館が所蔵するコレクションを紹介する展覧会『ルートヴィヒ美術館展』の音声ガイドに、モデルやコメンテーターとしても活躍されているトラウデン直美さんが初挑戦。今回、収録を終えたトラウデンさんに展覧会やアートについて、お話を聞いてきました!トラウデンさんが音声ガイドに初挑戦!【女子的アートナビ】vol. 248『ルートヴィヒ美術館展20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』では、ドイツのケルン市が運営するルートヴィヒ美術館が所蔵する優れた作品を展示。20世紀初頭から現代までの油彩画や彫刻、立体作品、映像、写真など全152点が出品されます。ルートヴィヒ美術館が開館したのは1986年。同館は、ドイツの市民コレクターたちによる寄贈を軸にしながら、コレクションを増やしていきました。本展では、カンディンスキーやウォーホル、ピカソ、リキテンスタインなど、美術館が所蔵する代表的な作品を楽しめるだけでなく、市民コレクターたちの活動も紹介。ドイツにおける美術と社会の強いつながりも知ることができます。今回、展覧会の音声ガイドを担当したトラウデン直美さんにインタビューを実施。楽しみにしている作品やアートの魅力などについて、語っていただきました。トラウデン直美さんにインタビュー!――まず、今回の音声ガイドを担当されて、いかがでしたか。トラウデンさんこういった音声ガイドのお仕事は初めてでしたので、そもそもどういう風に読んだらいいのかな、と家でもイメージをふくらませていました。絵を見ている方の邪魔にならないように、変に意識をとられすぎないようにと心がけました。――どんな展覧会になりそうですか。楽しみにしている作品などありましたら、教えてください。トラウデンさん有名なピカソとか、みんなが知っているアーティストによる目玉作品も楽しみですけど、近現代の作品もけっこうあります。それらは見てわかる、というものではなくて、「これはなんだ?」という不思議な感覚になる作品が多くありそうで、そちらも楽しみです。特に、音声ガイドのなかでご紹介した《天使の5つの翼》(ハインツ・マック作)という作品は、直接見ないとわからないだろうなと思いました。写真で見るのではなく、本物のほうが感じるものがありそうです。この作品だけでなく、すべて本物を見られるのを楽しみにしています。絶対「なんか好きかも」作品があります!――特に現代アートは、わかりづらい作品もあり、難しそうなイメージをもつ人もいるかもしれません。ananの読者はトラウデンさんと同世代の方々が多いのですが、今回の展覧会、若い人たちにも刺さる内容だと思いますか?トラウデンさん思います!私も、まったくアートは詳しくはないのですが、ただ、「なんか好きかも」みたいな感覚って、ありますよね。特に、今の若い人たちは、その感覚を大事にされている方が多いと感じているので、絶対にこの展覧会のなかにひとつは「なんか好きかも」作品があると思います。あと、抽象的な作品であればあるほど、説明のつかない「なんか好きかも」があると思います。私みたいな素人でも、感覚で楽しめる作品がすごく多そうだな、というのを展覧会の資料を見せていただいて感じました。まだ、実物は見ていないのですけど、私が「なんか好きかも」と感じたのは、緑の正方形を描いたアルバースの作品《正方形へのオマージュ:緑の香》。緑色が好きなんです。今日のスカートも緑(笑)。未来の人に見てほしい…――ルートヴィヒ美術館には、文化・芸術を次世代に継承したいと願うドイツの市民コレクターが寄贈した作品が多いと聞きました。トラウデンさんも、「日本の伝統工芸シリーズ」という番組をYouTubeで発信されていますが、やはり、文化を未来に残したいというお考えもあるのでしょうか。トラウデンさん私は、自分で何か(芸術)作品をつくっているわけではないので、そんな高尚な番組ではないのですが、私自身、日本の伝統工芸を「すごくステキだな、美しいな、きれいだな」といつも思って見ています。それをぜひ、未来の人にも見てほしいな、という気持ちはあります。自分が好きだからこそ、未来の人にも「美しいな、いいな」と思ってほしい。たぶん、(市民コレクターのような)みなさんも、好きだったものを残したいという気持ちがあり、アートには価値があるということを未来の人に伝えたかったのだと思います。それで作品が残されてきて、今、私たちの目の前に届いている。このことは、うまく言葉には表せないですが、すごく感慨深いです。――ちなみに、トラウデンさんがコレクションしているもの、したいものはありますか?トラウデンさんコレクションしたいのは、お皿です。ご飯がとにかく好きで、食べるのもつくるのも好き(笑)。お皿は重要だと思うので、いいお皿があれば集めています。最近、祖母が家のリフォームをするため整理をしていて、そのときにステキなお皿や小鉢が出てきたので、もらったりしています。お皿も受け継いでいけるものですし、長く使えたりしますよね。そんな魅力があるので、お皿を集めたいです。壁や境界がないのがアートの魅力――トラウデンさんが思う芸術・アートの魅力を教えていただけますか?トラウデンさん素人目線で私なりの考えですが、「自由さと思い」なのかな、と。アートは、「禁止」がない。自分が感じていることを、アーティストの方がつくっていきます。それがいろいろな時代を経ていくので、第一次世界大戦や第二次世界大戦を経験しているアーティストの作品があり、ピカソも戦争に対する疑問を描いていたりします。そういうことができる場所がアートなんだなと思います。思想警察がいて、捕まってしまうような時代背景のなかでも、伝えていける手段がアート。それに心を動かされる人たちがいるし、守りたいと思う人たちがいる。その部分では、アートは自由であるべき場所。それと同時に「思い」について。アートは、言葉にしてはいけない空気のなかでも「思い」を伝えられるもの。逆に、言葉にできないものを「思い」として表現して伝えていけるし、言語も越える。その意味では、生きている人たちに共通の言語がアートなのかなと思います。全然違う文化で育っている人たちがアートを見ると、つくっている人たちの「思い」とは違う見方をするかもしれません。でも、それも肯定してくれる寛容さがあり、壁や境界がないのがアートの魅力、と素人ながら感じています。――最後に、展覧会を楽しみにしている読者の方にメッセージをお願いします。トラウデンさん目にうれしい、いろいろな作品があります。カラフルだったり、写真があったり、飽きない展覧会になりそうです。もちろん玄人の方は、玄人目線で楽しめると思いますし、私のような素人でも楽しく見られるだろうなと感じました。ぜひ音声ガイドを聴いて、市民コレクターの方の思いも感じていただけたら、よりいっそう楽しく見られると思います。ご自身の「なんか好き」を見つけて帰ってください。――ありがとうございました!インタビューを終えて…インタビュー中も撮影中も、にこやかでかわいらしい雰囲気だったトラウデンさん。アートについては素人と仰っていましたが、その魅力について語る言葉は奥が深く、いろいろ考えさせられました。トラウデンさんが思いをこめて語られた音声ガイドを聴きながら、ぜひ展覧会でご自身の好きな作品を見つけてみてください。『ルートヴィヒ美術館展』は6月29日より東京・六本木の国立新美術館でスタート。その後、京都に巡回します。Information会期:6月29日(水)~9月26日(月)※毎週火曜日休館会場:国立新美術館 企画展示室2E開館時間:10:00~18:00※毎週金・土曜日は20:00まで※入場は閉館の30分前まで観覧料:一般¥2,000、大学生¥1,200、高校生¥800お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)※最新情報などの詳細は展覧会HPをご覧ください。撮影 : 安田光優
2022年06月26日東京・文京区にある永青文庫で『仙厓ワールド』が開催中です。本展では、ユーモアあふれる書画を多く手がけた禅僧、仙厓義梵(せんがいぎぼん:1750~1837)の作品などを展示。ゆるくてカワイイ禅画の世界をご紹介します!笑ってOKな展覧会!【女子的アートナビ】vol. 247『仙厓ワールド ―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―』では、江戸時代後期に活躍した禅僧、仙厓義梵が手がけた初期から晩年までの選りすぐりの作品を中心に、仙厓の兄弟子などの禅画もあわせて展示。禅画はちょっと難しそうに思えますが、ゆるくてカワイイ仙厓さんの作品を見れば、そのイメージが変わるはず。禅画に親しみがもてるよう、会場内に禅画解説コーナーもあるので、はじめての人でも楽しく見られます。タイトルにもあるとおり、作品を見て笑ってもOKな展覧会です。なお、本展は2016年に開かれた『仙厓ワールド』展の第2弾。大好評だった仙厓コレクションが6年ぶりに再び公開されます。仙厓さんって?仙厓は美濃国(現在の岐阜県)生まれ。11歳のころ得度し、修業を積んでから諸国を行脚。40歳のときに福岡・聖福寺の住職となりました。62歳で住職を引退してから本格的に書画をはじめ、作品の依頼が絶えないほど人気となりました。88歳で亡くなるまで、多くの作品を制作しています。お殿さまのコレクション!仙厓作品を収集したのは、細川家16代当主の細川護立(ほそかもりたつ:1883~1970)。永青文庫の設立者です。護立は、さまざまな禅宗美術を集め、仙厓コレクションは100点以上も収集。ほかにも、江戸時代中期の禅僧・白隠慧鶴(はくいんえかく:1685~1768)や、仙厓の兄弟子にあたる誠拙周樗(せいせつしゅうちょ:1745~1820)などの禅画も集めました。ちなみに、同文庫の所在地は文京区目白の高台にある細川家の屋敷跡。緑に囲まれたステキな空間で、お殿さまのコレクションを楽しめます。カワイイ猫…?では、作品をいくつかピックアップしてご紹介します。まずは、大人気の《虎図》。仙厓は、この絵を前にした人に「猫か虎か当ててごらん」と問いかけています。日本では古くから虎の絵が多く描かれてきましたが、実際に本物の虎を見た絵師は少なく、猫などを参考にしていました。仙厓もまた同じだったそうで、作者の遊び心が感じられる作品です。《龍虎図》も人気作のひとつ。一般的な龍虎図は、虎が龍を迎え撃つ様子を迫力あるタッチで描かれることが多いのですが、この作品の虎はユルさが漂っています。虎も龍も表情がかわいくて、見ていて心和む作品です。人物を描いたものもユニークです。《臨済図》では、こぶしを突き上げて怒った男性が登場。この方は、臨済宗の祖、臨済義玄。有名な故事を題材にした作品ですが、コミカルな雰囲気で親しみがもてます。多少難しいテーマもありますが、どの作品にもわかりやすい解説がついています。禅画初心者の方におすすめしたい、楽しい展覧会です。人気投票もやっています!会場では、作品に登場するキャラクターたちの人気投票も開催中。自分が気に入った推しキャラの投票パネルに、赤いシールを貼ることができます。「禅画キャラBest10」のなかに、つぶらな瞳がかわいいワンちゃんを発見!この作品は、後期展示で見られます。前期だけで消えてしまうキャラもいるので、できれば前期と後期の2回は訪れたいですね。会期は7月18日まで。Information会期:~7月18日(月・祝)※月曜休館(ただし7/18 は開館) 、6/21(火)前期:5月21日(土)~6月19日(日)後期:6月22日(水)~7月18日(月・祝)※前・後期で大幅な展示替があります会場:永青文庫開室時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)観覧料:一般¥1,000、大学生・高校生¥500、シニア70歳以上¥800※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください
2022年06月17日国内外で注目を集めるアーティスト、長場雄さんの個展『Pink Nude』が6月10日から東京・代官山ではじまります。新たな作品集の刊行に合わせて開催される本個展では、新作も登場!展示作品や人気のグッズもご紹介します!注目の個展『Pink Nude』開催!【女子的アートナビ】vol. 246今回の個展『Pink Nude』は、6月10日に刊行される長場さんの最新作品集『Express More with Less』に合わせて開催。会場では、作品集に載っているキャンバス作品を中心に展示されます。また、長場さんが初めて手がけたオイルペインティングによる新作も登場。アーティストの新たな世界観にも触れられます。個展の会場は、代官山駅徒歩3分の場所にあるLurf MUSEUM(ルーフ ミュージアム)。今回新しくオープンするアートスペースで、デンマークのヴィンテージ家具を揃えたカフェスペースも併設。ハンドドリップのコーヒーが提供され、長場さんのアートを見ながらゆったりとした時間を過ごせます。作品集にも注目!新刊の作品集に掲載されているのは、過去に開かれた2つの個展で展示された作品です。ひとつは、2019年に開かれた「Express More with Less」。作品の支持体を紙からキャンバスに変更するきっかけとなった注目の個展で、作品集のタイトルにもなっています。もうひとつは、2020年の個展「The Last Supper」。長場さんが影響を受けたミュージシャンや映画のシーンを描いた作品のほか、4メートルの巨大作品なども展示されました。長場さんの代表作や、人気のポートレートシリーズなど、多彩な作品が掲載された作品集『Express More with Less』。本書に載っている貴重な原画を、今回の個展でたっぷり楽しめます。アパレルコラボやメディアでも活躍!長場雄さんは1976年生まれ。東京の美術大学を卒業後、アーティストとして活動。国内外の名だたるブランドとのコラボレーションや、雑誌『POPEYE』、『anan』などにも作品を提供しており、『anan』では鈴木亮平さんの連載でお馴染み。さらには駅に作品を設置するなど、多方面で活躍されています。ミニマルでシンプルな線で描かれた長場さんの作品は、日本だけでなく世界でも人気。香港や台湾でも個展が開かれたほか、中国のアートフェアにも参加され、国内外で注目を集めています。売り切れる前に!長場さんの個展で毎回楽しみなのが、グッズの数々。男女問わず人気なTシャツやトートバッグをはじめ、マグカップやグラス、帽子なども販売されます。限定グッズもあるため、早めに行かないと売り切れてしまうかも。会期は7月24日(日)まで。ぜひ足を運んでみてくださいね!InformationYu Nagaba SOLO EXHIBITION 『Pink Nude』会期:2022年6月10日(金)~ 7月24日(日)時間:11:00-19:00 (会期中無休)会場:Lurf MUSEUM(東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 1F・2F)
2022年06月09日『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』をご紹介します。「初めて作ったのは、たまたまそのとき食べていた〈アルフォート〉の空き箱で作った『飛空挺』でした」と、空箱職人はるきるさん。美大に在学中、SNSにアップした作品が話題になり、現在ではお菓子などの商品パッケージを使った精緻なクラフトワークで知られるアーティストだ。そのはるきるさんがこれまで手がけた話題作から最新作まで、約60点が勢ぞろいする展覧会『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』が始まった。注目は高度な工作技術と、もともとのパッケージデザインへのリスペクトがうかがわれる作品世界。「スーパーのお菓子売り場をプラプラして、『このパッケージのここの絵柄はに使ったら面白そうだな』とアイデアが浮かんできたら作ります。パッケージのロゴやイラスト、世界観はできる限り生かすのが僕の作品づくりのポイントです」会場では〈ガリガリ君〉〈プリングルズ〉〈カップヌードル〉をはじめ、たくさんのおなじみのパッケージが立体作品として登場する。時にはおとぎ話のような一場面が生まれることもあれば、フィギュアを思わせる研ぎ澄まされたキャラクターの造形として昇華することも。真っ白なキャンバスよりも、むしろ空き箱という制約がある方が、はるきるさんの想像力を刺激するようだ。「設計図は描きません。おおまかに完成図のイメージがあって、それに従ってひたすら手作業です。道具はハサミと接着剤だけ。空き箱以外の材料は使いません。まっすぐな線だけでなく、曲げて曲面を作ったり、グリグリ押して凹ませたり、粘土を加工するみたいな感覚です」美術館での本格的な展示は初めて。けれど「ハードルが高いものにしたくない」とはるきるさん。「僕の作品は『芸術』というより小学1年生でも理解できるもの。展示も工夫しているので、ぜひ足を運んでみてください」ビスケットの箱から生まれたメルヘン。「赤い箱のかわいさを生かして、楽しくなれるような作品に仕上げました」。イラストレーター・おおでゆかこさんとのコラボパッケージに登場する女の子・マリーを主人公に。マリーの秘密の部屋撮影:市瀬真以ガリガリ君の翼は何でできてる!?あのガリガリ君がフィギュアに!?「片方の羽はパッケージにちりばめられたアイスのイラストから。もう片方は《ガリガリ》の文字の尖った部分から」。2種類の作り方に注目!スタイリッシュなガリガリ君撮影:市瀬真以躍動感あふれる鬼、ポージングも注目。新作では、アニメ『鬼滅の刃』からインスピレーションを得て“鬼”をテーマに。「容器のアルミでコーティングされた部分を剥がして、髪と刀に使っています」(はるきるさん)鬼ころしの鬼撮影:市瀬真以※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。はるきる1997年、愛知県生まれ。小学生の頃、NHK Eテレ『つくってあそぼ』のワクワクさんに憧れる。神戸芸術工科大学アート・クラフト科を卒業後、作家活動へ。『お菓子の箱だけで作るすごい空箱工作』(ワニブックス)が発売中。はるきる撮影:市瀬真以『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』そごう美術館神奈川県横浜市西区高島2‐18‐1そごう横浜店6F開催中~7月3日(日)10時~20時(入館は閉館の30分前まで)会期中無休一般1200円ほかTEL:045・465・5515※『anan』2022年6月8日号より。インタビュー、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年06月05日俳優の要潤さんがオフィシャルサポーターを務める展覧会、『ボストン美術館展芸術×力』が、7月23日(土)から東京都美術館ではじまります。本展では、古今東西の多彩な作品が集まるほか、「日本にあれば国宝」ともいわれる作品も来日。今回、アートにお詳しい要潤さんに、展覧会の楽しみ方を聞いてきました!要潤さんがオフィシャルサポーター!【女子的アートナビ】vol. 245『ボストン美術館展芸術×力』では、アメリカのボストン美術館が所蔵する古今東西の多彩な美術作品から、エジプトやヨーロッパ、アジアなどで生み出された選りすぐりの作品約60点を紹介。その半数以上が日本初公開となります。本展で特に注目されているのは、日本の作品です。遣唐使・吉備真備の活躍を描いた《吉備大臣入唐絵巻大臣》や《平治物語絵巻三条殿夜討巻》など、日本にあれば国宝レベルの作品も展示されます。展示は5章で構成。「芸術と力」をテーマに、力を見せつけ、維持するために芸術を利用してきた権力者たちと、芸術のもつ役割にも迫ります。なお、本展は一度、2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっていました。2年の期間を経て、いよいよ待望の開催となります。今回、展覧会のオフィシャルサポーターを務める要潤さんにインタビューを実施。楽しみにしている作品や好きなアートなどについて、語っていただきました。要潤さんにインタビュー!増山雪斎 《孔雀図》江戸時代、享和元年(1801)Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston――まず、今回の展覧会について、どんな印象をおもちですか。要さんボストン美術館は、市民のみなさんの有志で維持されてきた美術館です。日本の作品も多いので、一度は行ってみたいと思っていた美術館のひとつでした。今回、オフィシャルサポーターを務めるという機会をいただき、不思議な縁を感じています。僕自身、いろいろな芸術に触れたり(美術の)番組をさせてもらったりしていますが、ボストン美術館は本当に日本の作品を大切にしているのです。外国の美術館に行くと、外国の作品が主流だと思うのですが、ここまでアジアや日本の作品を大切にしている美術館の姿勢に感銘を受けました。「日本の美をすごく感じる…」《平治物語絵巻三条殿夜討巻》(部分)鎌倉時代、13世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston――今回の展覧会で、特に楽しみにしている作品を教えてください。要さんメインのひとつである絵巻です。《平治物語絵巻三条殿夜討巻》が一番見たい作品です。――日本の作品ですね。絵巻とか日本画は、少し難しそうなイメージをもつ人もいるかと思うのですが、要さんはどんな点がお好きなのでしょうか。要さんこのような作品は、社会の授業で習ったりして、断片的に知っているかもしれませんが、身近にはなかなかないと思います。僕たちも、(時代劇などで)役を演じたりすることもありますが、写真があるわけではないですし、当時の人たちに話を聞くこともできない。リアルに感じることができないのです。今回の展覧会のような機会を利用して本物の作品に触れることで、日本の歴史や日本画に対して、日本人としてすごくインスピレーションを感じる部分があるのではないかな、と思っています。伝 狩野永徳 《韃靼人朝貢図屏風》桃山時代、16世紀後半Museum of Fine Arts, Boston, Fenollosa-Weld CollectionPhotograph © Museum of Fine Arts, Boston要さんモネやピカソとか見ると、確かに「わっ、上手」とは思うのですが、異国の文化が全部自分の身に染みて感じられるわけではありません。でも日本画は、日本人の根底にある何かがしっかりと表現されているのを感じられる気がします。色づかいひとつにしても構図にしても、日本の美をすごく感じるので、僕自身は日本画が好きですし、きっとみなさんも理解していただけるのではないかな、と思うのです。「気持ちをぐっとかき回される感じ」――要さんは美術の番組にも出られ、いろいろな美術館を訪れていらっしゃると思いますが、はじめて行かれた美術館やアートに触れた経験を教えていただけますか?要さんはじめて訪れたのは、地元の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館です。小学生くらいのときに、家族と行きました。――猪熊さんの作品は現代アートで難解なイメージがありますが、お子さんのときに見られてどうでしたか。要さん当時は「なんだこれ」みたいな感じでしたけれど(笑)、周りの大人たちがすごく楽しそうに見ていたので、「きっとこれはすごいものなのだろうな」という感覚でした。作品を見たときの感想は、気持ちをかきたてられ、ぐっとかき回される感じです。はじめてそういうものに触れる経験をして、衝撃的だったという記憶があります。不思議な感覚でした。――今、お好きなアートや美術館はありますか。要さん現代アートの作家さんで、大巻伸嗣さんの作品は好きで、何点かもっています。好きな美術館は、箱根の彫刻の森美術館です。自然が好きで、自然と彫刻が一体化されているところがいいです。地元である香川県の直島とか瀬戸内海の島々でも、自然の中にぽつんとアートがあります。箱根は、そこの雰囲気とも似ているので、好きですね。――ご自身でも絵を描かれるのですよね。油絵もはじめられたそうですが、どんな絵を描かれているのですか。要さん描くのは風景が多いです。自然が好きなので、どうしても描きたくなります。季節の移ろいとか、今このときにしか見られない風景を自分のなかで探して描いています。――いずれ発表されてはいかがでしょうか。要さんいやいや、お恥ずかしいので(笑)。「僕も楽しみにしています」――最後に、この展覧会を楽しみにしているファンのみなさまにメッセージをお願いします。要さんボストン美術館展が、今年ようやく開催されます。この美術館には、日本の作品がたくさんあり、日本にくると国宝級といわれている作品も数点あります。ぜひ、この機会を見逃さないようにしていただきたいです。僕も楽しみにしていますし、一緒に体感できたらいいなと思います。――いろいろお話いただき、ありがとうございました。インタビューを終えて…要さんのお姿は、まさにアートのように端正で美しく、お話されているときの表情も穏やかで、本当にステキな方でした。質問にも丁寧に、やさしいお声でお話くださるのですが、その内容が深く、特に日本画の楽しみ方については目から鱗で、すごく勉強になりました。本物の「日本の美」をはじめ、多彩な作品に出会える『ボストン美術館展』、どうぞお見逃しなく!展覧会は7月23日開幕。チケットは7月1日発売開始予定で、日時指定予約制です。Information会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)※休室日は月曜日、9月20日(火)※ただし8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開室会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30※金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥2,000、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)All photographs © Museum of Fine Arts, Boston衣装ブランド名/カナーリメーカー名/コロネット問い合わせ先/03-5216-6521値段/¥316,800(税込)スタイリスト/今井聖子(Canna)
2022年05月20日ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」のメンバー7人全員が『ボテロ展 ふくよかな魔法』のオープニングイベントに登場!東京・渋谷にあるBunkamura ザ・ミュージアム内で、トークとフォトセッションが行われました。メンバーのコメントと、彼らが好きな作品をご紹介!BE:FIRSTのみなさん、登場!BE:FIRST(左から)LEOさん、SHUNTOさん、JUNONさん、MANATOさん、SOTAさん、RYOKIさん、RYUHEIさん【女子的アートナビ】vol. 243『ボテロ展 ふくよかな魔法』のオフィシャルサポーターをつとめるBE:FIRSTのメンバーが、展示室に登場!LEOさん、SHUNTOさん、JUNONさん、MANATOさん、SOTAさん、RYOKIさん、RYUHEIさんが、作品《コロンビアの聖母》の前に並び、フォトセッションが行われました。この展覧会では、南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1932~)さんの作品を展示。初期から近年までの油彩や水彩、素描作品など全70点を楽しめます。ボテロさんは、現代を代表する美術家のひとり。1950年代後半から欧米で高く評価され、世界各地で展覧会が開かれています。彼の作品の特徴は、あらゆるかたちがふくらんでいる、という点。人だけでなく、植物や果物、楽器や日用品でさえもふくらんでいます。2022年は、ボテロさんが生誕90年を迎えた節目の年。本人が監修したこの展覧会は、彼の作品をまとめて見られる貴重なチャンスです。ボテロ愛あふれるトーク!ボテロ展の開幕に合わせて開かれた取材会では、BE:FIRSTのみなさんがオフィシャルサポーターとしての意気込みや、展覧会の楽しみ方を語ってくれました。まずは、メンバー全員のコメントを一挙にご紹介!LEOさんこんなステキな絵のオフィシャルサポーターを、デビューして間もない僕たちができるのはすごくうれしく思います。たくさんの人の愛を受けて、この場所に立てることを感謝していますし、誇りに思っています。SHUNTOさんこの機会をいただき、ありがたいと思っています。老若男女問わず、いろいろな目線やその人なりの解釈で絵をご覧になれると思います。すごい魅力がつまった絵画ばかりです!JUNONさん今日、はじめてボテロ展を見て、オフィシャルサポーターになれたことを誇りに思いますし、改めて自信をもって僕たちもみなさんにおすすめしたいと思いました。MANATOさん僕は、もともと美術館に来たことがほかのメンバーよりも少ないと思うのですけど、今回、いろいろな絵に興味をもちました。絵は、音楽とけっこう近い。表現するのが、絵と音楽という違いだけだったので、僕たちが刺激をもらえることが多かったし、勉強になりました。SOTAさん今日までオフィシャルサポーターとして意気込んで、がんばってきました。音声ガイドや映像撮影、僕たちだからこそ感じるボテロ展の魅力を精一杯伝えてきました。それがみなさんに届いて、少しでもここに来たいとか、興味をもつ人が増えたらうれしいなと思いました。RYOKIさん個人的に美術館や展覧会はすごく好きなのですが、ここ数年は忙しくてあまり行く機会がありませんでした。今回、久々に来させていただき、この独特の空間、すごく好きだなと感じました。絵と見つめ合い、ボテロさんはどういう思いでこの絵を描いたのかとか、説明文を読んで妄想し、自分の時間をつくれる場所だなと思いました。忙しければ忙しいほどリフレッシュできるし、自分を見つめ直せる時間になる。ぜひ、お越しいただきたいです。RYUHEIさんボテロさんが長年描いてきた歴史、すべてがこの展覧会につまっています。音声ガイドでは、絵の魅力を正確に説明するためにすごく丁寧にゆっくり話すよう意識しました。今回、美術館に来て、絵の魅力を感じたので、みなさんにもぜひ来てほしいです。「みんなで決めた絵がある」――続いて、展覧会で印象に残った作品について、LEOさんとRYUHEIさんがコメントしました。LEOさんみんなで、「これがいい」と決めた絵があるんです。RYUHEIさん《楽器》というタイトルの作品で、楽器がたくさん机の上に置いてある静物画です。それが、メンバーのなかで「いいんじゃないかな」となって、決めました。楽器は音楽とも関係があり、僕たち全員が音楽をするグループとして関係性がすごく深いと思い、この作品を選ばせていただきました。「自分たちができる芸術は音楽」――さらに、『ボテロ展』で影響を受けた点について、JUNONさんとRYOKIさん、SOTAさんのコメントをご紹介。JUNONさん芸術を見ると、自分たちができる最大限の芸術は音楽なので、改めて音楽でやっていきたいと思いました。RYOKIさんボテロさんの作品は、もともとの絵があり、それをオマージュしてボテロさん風にアレンジしている作品がけっこうあります。元の絵も、ものすごく芸術性の高い絵です。僕たちも、本物の良いエンターテインメントを見て、それで刺激を受け、良いところを吸収して、自分たちなりにBE:FIRST色にして、みなさんに届ける。これも、やはりアートのひとつで、昔から続いているものだと感じました。そこからニュージェネレーションとか、新しいエンターテインメントが派生していく。僕たちも、その影響のひとつになれればいいと思っています。SOTAさん僕は昔、授業でボテロさんの絵に触れたことがありました。ボテロさんの絵は、人だけでなく、楽器や果物を描いても唯一無二の作品に仕上がります。僕たちも、アーティストとして、自分たちにしか出せない声やダンスを追求していますし、そうすることのすばらしさを改めて感じました。収録時のほっこりエピソード――最後に、音声ガイド収録時のエピソードについて、LEOさんとRYOKIさんのトークをご紹介。LEOさん俳優業もやっているRYOKIのナレーションが、すごく上手で勉強になった。噛まないし、声を聴いているだけでちゃんと心に入ってくるんです。メンバー同士で刺激をもらいながら、新たな発見もしながら楽しくできました。RYOKIさん(LEOさんのコメントに対して)素直に、すごくうれしいですね。ブースに入るときにプレッシャーがありました。噛んだらみんなに昼ご飯おごる、と自分で言ったので(笑)。でも、ほかのみんなも声のトーンがよくて。みんなすごく上手。みんな良かった。LEOさんでも、みんなは噛みました(笑)。RYOKIはすごくて、和やかなムードをRYOKIがつくってくれました。音声ガイドを聴いてみた!BE:FIRSTのみなさんのコメント、いかがでしたか?本当にみなさんの仲が良くて、和気あいあいと話をしていました。今回の取材会でも話題になっていた音声ガイド、どんな内容か気になりますよね。実際に、展覧会の会場で聴いてみました!BE:FIRSTのみなさんはプロローグから登場し、スペシャルトラックでは、好きな作品や絵の感想を楽しそうに語っていました。このガイドでしか聴けない貴重なネタもあります。ぜひ音声ガイドを片手に、展覧会を楽しんでみてください!Information会期:~7月3日(日)※5月17日(火)休館会場:Bunkamura ザ・ミュージアム開室時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)※金・土の夜間開館については、状況により変更の可能性があります。※会期中すべての土日祝は【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。観覧料:一般¥1,800、大学・高校生¥1,100、中学生・小学生¥800※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年05月17日ナンセンスでファンタジーな、あの漫画の世界を体感!『コジコジ万博』をご紹介します。さくらももこの漫画『コジコジ』は、宇宙生命体である主人公コジコジと、メルヘンの国の住人たちが繰り広げる日常を描いたナンセンスなギャグ作品。学校でのテストはいつも0点(時にはマイナスも)、空気を読んだり、忖度なども一切なし。向上心はない、悩まない、反省もしない。その一瞬一瞬を楽しく生きるおバカキャラクターのコジコジだけど、「遊んで食べて寝てるだけだよなんで悪いの?」「コジコジはコジコジだよ、生まれた時からずーっと。将来も」など、誰もがふと考えさせられる含蓄ある言葉や、メルヘンの国に広がるファンタジーの物語から、普遍性を感じられる名作だ。その作品の世界観を実世界で体感できる展覧会『コジコジ万博』が始まった。本展ではコジコジたちが暮らすメルヘンの国を再現したインスタレーションをはじめ、漫画やイラストの原画、オリジナル映像を通じて、個性的なキャラクターや名言、名場面を紹介。さくらももこが手がけた原画130点もが一堂に集結する。会場内は、にぎやかな万博をイメージ。巨大なコジコジが名言やギャグをしゃべる「ギャグ50連発」や名場面の原画を絵巻物のように展示する「原画で読む名場面8」、キャラクターたちが抱える心のモヤモヤで埋め尽くされたうず巻き状の廊下「モヤモヤトンネル」など、奇妙なパビリオン(展示)を巡りながら、コジコジや仲間たちと出会い、お話の奥深くへと入り込んでいく構成に。ラストには、テレビアニメのエンディング映像に入り込めるインスタレーションがお待ちかね。電気グルーヴの楽曲「ポケットカウボーイ」に合わせて、ミラーボールが輝くディスコ空間で盛り上がろう!なんて趣向も。また、アニメ制作スタジオ「ドワーフ」が本展のために制作したキュートなコマ撮りアニメーションや、漫画「ちびまる子ちゃん」のまる子とコジコジの交流紹介なども必見のコーナーだ。友情や恋、自分探しなど、仲間たちの悩みも、気ままなコジコジが笑いへと変えてゆく摩訶不思議な世界観。原作を知らない人も、この機会にまずは展覧会でぜひ体感してみて。漫画ではモノクロで描かれているメルヘンの国をカラーで楽しめる。《コジコジの住んでるメルヘンの国の全景》原画 漫画『コジコジ』第1話 コジコジはコジコジの巻 見開きイラスト、1994年12月号より ©さくらももこコジコジの名言も原画で見ると迫力あり。集英社りぼんマスコットコミックス新装再編版「コジコジ」1巻より ©さくらももこNHKキャラクター「どーもくん」などで知られるアニメ制作スタジオ「ドワーフ」によるかわいい仕草の新作コマ撮りアニメ「コジコジと次郎の不毛な会話」も上映。「コジコジと次郎の不毛な会話」©さくらももこ/dwarfCV:あおきさやか(コジコジ役)、高乃麗(次郎役)メルヘンの国の境界を越えやってくるちびまる子ちゃん。コジコジとまる子は旧知の仲。漫画『コジコジ』第29話 まるちゃん達がやってきたの巻 扉絵 原画1997年 ©さくらももこコジコジとは…さくらももこ作の計38話の漫画。1994年から『きみとぼく』(ソニー・マガジンズ)、『富士山』(新潮社)、『りぼん』(集英社)に掲載。アニメ(TBS)は脚本もさくらももこが手がけ、’97~’99年にかけて、全101話が放送された。『コジコジ万博』PLAY! MUSEUM東京都立川市緑町3‐1GREEN SPRINGS W3‐2F開催中~7月10日(日)10時~18時会期中無休一般1500円ほか※1時間毎の日時指定制を導入TEL:042・518・9625※『anan』2022年5月18日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2022年05月16日おなじみ“謎の微笑み”をうかべる膨らんだ風船みたいにふくよかな「モナ・リザ」。日本で26年ぶりの開催となるフェルナンド・ボテロの展覧会『ボテロ展 ふくよかな魔法』で世界に先駆けて公開される最新作《モナ・リザの横顔》だ。今、最も愛される画家の一人であるボテロの名を知らしめたのは1963年のNYで起きたある事件。メトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展示されたとき、ニューヨーク近代美術館ではボテロの《12歳のモナ・リザ》(※今回の出品はなし)を展示。新たなモナ・リザ像の登場は大きなインパクトを与え、以来、西洋美術史上の名画を独自の様式でデフォルメする作品は彼のライフワークに。〈芸術を通して伝えることができるふくよかさ、包容力、官能性が好きだ。現実はドライだから〉という自身の言葉が物語るように、ボテロの描くモチーフは人物も花も動物もはち切れそうに膨らんでいる。まるで世界のすべてが「ふくよかであること」を自らに許したかのように。故郷のラテンアメリカ、信仰、サーカスなどをテーマにした作品は、おおらかでユーモラスながら“ふくよかではない”実際の世界への風刺としても響いてくる。今、私たちの現実があまりに痩せ細り、幸せを感じられないのだとしたら。彼の絵筆がふりまく「ふくよかな魔法」にちょっぴりかかってみたくなる。フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》2020年油彩/カンヴァス136×100cmフェルナンド・ボテロ《守護天使》2015年油彩/カンヴァス130×101cmフェルナンド・ボテロ《象》2007年油彩/カンヴァス112×84cm『ボテロ展 ふくよかな魔法』Bunkamura ザ・ミュージアム東京都渋谷区道玄坂2‐24‐1‐B1東急百貨店本店横開催中~7月3日(日)10時~18時(金・土曜~21時。入館は各閉館時間の30分前まで)5/17休一般1800円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※会期中、すべての土・日・祝日はオンラインによる入館日時予約が必要。公式ウェブサイトを参照。※『anan』2022年5月18日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2022年05月15日東京都美術館で『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が開催中です。本展では、世界最高峰の美術館のひとつ、スコットランド国立美術館から上質な西洋絵画が集結。展示の様子や学芸員さんの解説、おすすめ作品をご紹介します!巨匠たちの作品に会える!【女子的アートナビ】vol. 244『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』では、スコットランドが誇る美術品のなかから、ラファエロやレンブラント、ルノワールなど、巨匠たちの作品や、ターナーやミレイなどイングランド出身の画家たちの作品なども含め、約90点が集結。西洋美術の流れを名画とともに楽しめます。スコットランド国立美術館が開館したのは、1859年。ヨーロッパの他国のように、王室コレクションからスタートした美術館ではなく、購入や地元の名士たちによる寄贈や寄託などによってコレクションを増やしていき、世界有数の美術館となりました。本展では、コレクションのエピソードを楽しめる作品も見ることができます。あだ名が有名!では、おすすめ作品を数点ピックアップしていきます。まずは、第1章「ルネサンス」から、巨匠エル・グレコの《祝福するキリスト(「世界の救い主)」》にフォーカス。イタリアやスペインで活躍したエル・グレコは、ギリシャ出身の画家。本名は、ドメニコス・テオトコプーロスですが、あだ名のエル・グレコ(ギリシャ人)として知られています。故郷のクレタ島で美術の修業をし、その後ヴェネツィアに移住、さらにローマでも働き、最後はスペインに永住しました。本作は、表現力豊かな筆遣いと、赤と青のコントラストが目を引く美しい作品です。学芸員さんのおすすめは…?続いて、第2章「バロック」では、スペインの画家、ディエゴ・ベラスケスの描いた《卵を料理する老婆》をご紹介。ベラスケスは、国王フェリペ4世付きの画家に任命され、「画家の中の画家」と呼ばれた巨匠。国王に信頼され、王室の肖像画を数多く描いたほか、王宮配室長も任されるほど出世した人です。本展担当の東京都美術館学芸員・髙城靖之さんによると、この作品は、ベラスケスがまだ若いころに、自分の力量を知らしめるために描いた野心作。本作の注目ポイントについて、次のように語っています。髙城さん作品の手前には静物を描いている部分があり、金属などの質感をたくみに描き分けています。なかでも一番の注目ポイントは、調理中の卵。素揚げにしているところですが、白身が固まっている最中のものと、すでに固まっている状態のものとがきちんと描き分けられています。卵が固まっていく様子を絵画で見事に表現しているので、ぜひご覧になってみてください。7度も夫を殺された…!?もう一点、バロック絵画で筆者のおすすめ作品をご紹介。オランダ絵画の黄金期に活躍した巨匠、レンブラント・ファン・レインの《ベッドの中の女性》です。一見すると、ふつうに美しい絵画ですが、解説を読んで作品の背景を知ると、あまりに残酷なストーリーに驚愕します。本作品の女性は、聖書の登場人物であるサラと考えられています。彼女は、過去7度も結婚初夜に夫を悪魔に殺されており、この絵は、8人目の夫が悪魔を追い払うところをサラが見守っている場面。この絵を見て、聖書の物語を読み解ける教養や見識が鑑賞者に求められているそうです。絵の背景にあるストーリーを知ると、作品の見え方ががらりと変わります。絵は表面的な美しさだけを見ても十分満足できますが、解説を読むとさらに別の楽しみ方もできます。スコットランド人の故郷愛が伝わる…!最後は、スコットランド国立美術館のステキなエピソードがある絵画をご紹介。本作品は、アメリカの風景画家フレデリック・エドウィン・チャーチの作品です。なぜ、アメリカ絵画が最後に展示されているのでしょう?髙城さんによると、この絵は、スコットランドの貧しい家庭に生まれた人がアメリカに移住し、実業家として成功したあと故郷に寄贈した作品。スコットランド国立美術館は、市民らの寄付などによりコレクションを増やしていった美術館なので、その象徴として最後にこの作品を展示したそうです。巨匠たちの競演を楽しんで!巨匠たちの名画、いかがでしたか?本展は7月3日まで開催。幅広い西洋美術の名品を、まとめて見られる貴重なチャンスです。ぜひ美術館で楽しんでみてくださいね!Information会期:~7月3日(日)※休室日は月曜日会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)※金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)※夜間開室については、展覧会公式サイトでご確認ください。観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥1,900、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年05月14日東京国立博物館で特別展『琉球』が開催中です。この展覧会では、金銀や水晶などで飾られた色鮮やかな国宝の冠をはじめ、キラキラ美しいガラス玉の瓶や、神々しい「神猫図」など、貴重なアートや資料が一堂に集結。琉球の歴史と文化を体感できる展示の様子や、おもな見どころをご紹介します!琉球の歴史と文化を体感!【女子的アートナビ】vol. 242沖縄復帰50年記念特別展『琉球』では、琉球王国として独自の歴史と文化をもつ沖縄ゆかりの文化財を過去最大規模で展示。琉球国王尚家400年の貴重な宝物をはじめ、工芸作品や考古遺物、歴史資料など、さまざまな品を見ることができます。さらに、琉球の美と技を今に伝える模造復元作品も展示されています。明治以降、多くの困難を乗り越えてきた琉球・沖縄。その歴史や文化をさまざまな作品で知ることができる展覧会です。研究員さんのおすすめ作品!では、いくつか見どころをピックアップしていきます。まずは、東京国立博物館の研究員さんによるおすすめ作品をご紹介。東洋工芸がご専門の三笠景子さんのおすすめ作品は、重要文化財にもなっている《首里城京の内跡出土陶磁器》です。「京の内」とは、首里城内でもっとも大きな祭祀儀礼の場所。そこから出土した陶磁器は、中国の有名な景徳鎮窯でつくられたもので、ほかの日本の地域では見られないものばかり。かなり貴重な優品とのことです。東洋絵画がご専門の植松瑞希さんのおすすめは、《虎図》。まんまるまなこにふさふさ眉、やわらかそうな足など、愛嬌のある姿が琉球の虎の特徴だそうです。注目ポイントは、寅の額に描かれた「つむじ」。写真ではわからないと思いますので、ぜひ現地で見つけてみてください。ちなみに、筆者が個人的におすすめしたいのは、《虎図》の近くにある《神猫図》。ふさふさした黒い尾をもつ白猫の絵です。神々しいネコさまのお姿に魅入られます!キラキラ&ゴージャス!次にピックアップするのは、キラキラしたまばゆい作品2点。まずは、国宝の《玉冠》(展示は5月15日まで)。国王の正装として用いられたもので、金、銀、珊瑚、水晶、碧玉など計7種類の玉が合計288個もついています。まさにキラキラ&ゴージャス。本作品が飾られている展示室には、ほかにも琉球国王の尚家に伝来した多くの宝物がずらりと並び、すべて国宝に指定されています。これらは、戦前に東京へ移されていたため戦禍を免れたそうです。もうひとつ、美しくまばゆい作品《御玉貫》をご紹介。錫の瓶に、ガラス小玉を麻糸でつづった覆いをかぶせた琉球独特の酒器で、首里城内で行われる祭儀や贈答品として用いられたものです。色彩が本当に鮮やかで、うっとりします。未来への希望を感じるアート最後は、歴史と希望を感じる作品にフォーカス。展示室のなかでもひときわ目立つ彫刻《大龍柱(旧首里城正殿前)》は、戦前、首里城正殿前に設置されていた柱です。本来は、下の部分にとぐろを巻いた姿があったそうですが、沖縄戦で胴体のなかほどから下は失われました。この柱が製作されたのは、1711年と推測されています。「未来へ」と題した最終章では、1992年の首里城再建や、琉球文化の復興と継承のための人々の地道な研究や取り組みを紹介。仁王像や工芸品、衣裳などの模造復元を見ることができます。コラボ企画も!今回ご紹介した作品のほかにも、貴重な衣裳や歴史資料、先史文化を知ることができる土器など多彩な展示品があります。また、沖縄ゆかりの国宝の刀剣と『刀剣乱舞-ONLINE-』とのコラボ企画があったり、サンリオキャラクターズとのコラボグッズがあったりと、さまざまな角度から楽しめます。ぜひ一度、足を運んでみてくださいね。Information会期:~6月26日(日)※休館日は月曜日会場:東京国立博物館平成館開室時間:9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)観覧料:一般¥2,100、大学生¥1,300、高校生¥900※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年05月13日都内の主要なアートスポットと国内外の人々を、「アートバス」と呼ばれる無料のシャトルバスで結びつける「アートウィーク東京」が、11月3日(木)~6日(日)の4日間にかけて開催されることが決定した。「アートウィーク東京」とは、一般社団法人コンテンポラリーアートプラットホーム主催で、日本の現代アートの創造性と多様性、またそのコミュニティーを国内外に紹介する年に一度のアートイベント。2021年11月4日から7日にかけて行った初開催は、美術館、ギャラリー、アートスペースなど都内50ヶ所のアート施設が参加し、2万人を超える来場者数を記録した。今年は日本で初めて、世界最高峰のアートフェア「アートバーゼル」と提携し、国際発信だけでなく国内アート市場の活性化も目指す。さらに、アートウィーク東京モビールプロジェクトは、文化庁の助成を受け、東京都とアートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会が主催し、主要なアートスポットを繋ぐ無料のシャトルバス「アートウィーク東京」を運行。車内での特別なアートプロジェクトも展開する。昨年は、「アーティゾン美術館」、「東京国立近代美術館」、「東京都写真美術館」、「森美術館」、「ワタリウム美術館」と、「東京オペラシティ アートギャラリー」の6つの美術館とインスティテューションがシャトルバスの主要中継地となり、都内各エリアで現代アートを体験する入り口としての重要な役割を果たした。今年はさらに、「国立新美術館」、「東京都現代美術館」、「東京都庭園美術館」、「銀座メゾンエルメス フォーラム」、「資生堂ギャラリー」の5つが加わり、合計11施設に拡大。また、現代アートの魅力をもっと知りたいという人々に向けて、昨年度も好評だったオンライントーク・プログラムを実施する。また、アートギャラリーも老舗から若手まで多様な現代アートを扱う計41軒が参加。1950年創業の老舗「東京画廊+BTAP」、90年代から東京の現代アートシーンの形成に貢献してきた「オオタファインアーツ」、「ギャラリー小柳」、「スカイザバスハウス」、「タカ・イシイギャラリー」、2000年代に台頭してきた「Take Ninagawa」、「MISAKO & ROSEN」、「無人島プロダクション」などのほか、海外に拠点をもつ「Blum & Poe」や「ペロタン東京」らが並ぶ。さらに、本年度は、「KANA KAWANISHI GALLERY」、「KOTARO NUKAGA」、「Fig.」、「LEESAYA」などの新進ギャラリーが参加するほか、日本を代表するアーティストの村上隆が率いる「カイカイキキギャラリー」や、写真専門のギャラリーとしての確固たる地位を築いた「PGI」など、いずれも東京のアートシーンを形成する重要なギャラリーが揃った。さらに、昨年は4つのルートを設けそれぞれ15分間隔でシャトルバスを運行したが、本年度は6ルートに増やし、さらに多くのアートスポットを巡る。新しく、誰でも自由にダウンロードできる無料の「アートウィーク東京」専用アプリが登場。シャトルバスの運行状況の確認のほか、ルートマップや会場案内を調べることが可能となり、鑑賞者を新しいアートアクティビティの体験に導く。【コメント】■アートバーゼルディレクター・アジア:アデリン・ウーイ東京が誇るアートとカルチャーの豊かな土壌の更なる発展に貢献するアートウィーク東京の開催に再び協力することができて嬉しく思います。アートウィーク東京への支援の継続は、東京のアートコミュニティーに対する敬意の表れであり、成長を続けるアジアのアートシーンの発展に長期的に貢献してきたアートバーゼルの理念を反映するものです。■アートウィーク東京ディレクター:蜷川敦子アートウィーク東京は、東京のアートシーンの創造性や多様性を体験する国際的なアートイベントです。東京を代表する美術館やギャラリーの積極的な関わりや、行政の全面的な支援には、東京のアートコミュニティー全体が、健全なアートシステムの構築を望み、より多くの人々が現代アートを身近に体験できる環境を整えたいと願う切実な決意が表れています。豊富な経験や専門知識をもつアートバーゼルをパートナーに、アジアおよび世界における現代アートの都市として、東京の存在を確立したいと考えています。【開催概要】「アートウィーク東京」会期:2022年11月3日(木)~11月6日(日)会場:都内52軒の美術館/インスティテューションとギャラリー/AWTインフォメーションセンター主催: 一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム提携:Art Basel(アートバーゼル)参加美術館等:都内11施設参加ギャラリー:都内41ギャラリー<料金>※ギャラリー41軒と銀座メゾンエルメス フォーラム、資生堂ギャラリーは入場無料。その他美術館9館は「アートウィーク東京」の割引価格適用※一般チケットは無料でダウンロードできる「アートウィーク東京」専用アプリのみ (アプリのリリースは9月予定)※VIPイベント参加者向けの有料パスは9月以降に公式ウェブサイトからご購入いただけます<アートウィーク東京(モビールプロジェクト)>名称:アートウィーク東京(モビールプロジェクト)主催:東京都/アートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会助成:文化庁問い合わせ:info@artweektokyo.com公式URL: (プログラムの詳細は6月発表予定)Facebook: : : <2022年度「アートウィーク東京」参加施設(計52軒)>■美術館/インスティテューション(計11軒)アーティゾン美術館/銀座メゾンエルメス フォーラム/資生堂ギャラリー/国立新美術館/東京オペラシティ アートギャラリー/東京国立近代美術館/東京都現代美術館/東京都写真美術館/東京都庭園美術館/森美術館/ワタリウム美術館■ギャラリー(計41軒)Gallery 38/WAITINGROOM/XYZ collective/MEM/オオタファインアーツ/カイカイキキギャラリー/KANA KAWANISHI GALLERY/カヨコユウキ/KEN NAKAHASHI/KOSAKU KANECHIKA/KOTARO NUKAGA/ギャラリー小柳/ギャラリーサイド2/Satoko Oe Contemporary/スカイザバスハウス/SNOW Contemporary/タカ・イシイギャラリー/タグチファインアート/タクロウソメヤコンテンポラリーアート/Take Ninagawa/TALION GALLERY/TARO NASU/東京画廊+BTAP/NANZUKA UNDERGROUND/日動コンテンポラリーアート/ハギワラプロジェクツ/PGI/ファーガス・マカフリー 東京/Fig./Blum & Poe/ペロタン東京/POETIC SCAPE/Maki Fine Arts/MAHO KUBOTA GALLERY/MISAKO & ROSEN/MISA SHIN GALLERY/ミヅマアートギャラリー/無人島プロダクション/Yutaka Kikutake Gallery/ユミコチバアソシエイツ/LEESAYA
2022年05月10日『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』『ブラック・ウィドウ』など、スーパーパワーを持つヒーローたちが、時に葛藤を抱えながらも人類の脅威と戦う姿を描いたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と呼ばれる映画やドラマのシリーズは、現在32作品。なかでもカギとなるのが、最強ヒーローたちによって結成されたチーム“アベンジャーズ”。その世界観に浸れる「アベンジャーズ展」が、現在開催中。アベンジャーズの世界観を、体験しながら楽しもう!アベンジャーズのトレーニング施設に参加して、“S.T.A.T.I.O.N.エージェント”という諜報員になるプロセスが楽しめるというこの企画展。キャプテン・アメリカが超人血清により、どのような能力を得たのかを明かす極秘ファイルや、感情が高まると超人ハルクに変身するブルース・バナー博士のラボを探索し、ハルクの脳内を見ることができるなど、ファンにとっては興味深いものばかり。また、アイアンマンのアーマーや、キャプテン・アメリカのヘルメット、ブラック・ウィドウやソーのスーツなど、映画で実際に使用された衣装や小物の展示もあるなど、貴重な機会といえる。この企画展は2014年に始まり、ニューヨークやパリ、ロンドンなど世界24都市での巡回を経て、ついに日本に初上陸。よりアップグレードし、世界初公開となる展示もラインナップ。アベンジャーズの頭脳や最先端技術に触れ、ヒーローはもちろん、ヴィラン(悪役)をより知ることができる。Tシャツやキャラクターのトレーディングアクリルスタンドなど、オリジナルグッズの販売もあるので、記念にぜひ。キャプテン・アメリカの秘密に迫るゾーンアベンジャーズの中でも代表的なキャラクターであるキャプテン・アメリカ。そのスーパーパワーの秘密が明らかに!?フォトスポットでは、キャップの武器としておなじみのシールド(盾)と一緒に写真が撮れる。ブラックパンサーのマスク心優しき国王でありヒーローでもあるブラックパンサーの、マスクやスーツが展示。資料とともにワカンダ王国やその民、技術について明かされる。ソーのムジョルニアに触れるフォトスポット作中で、心が清い人のみ持ち上げられるとされているマイティ・ソーのハンマーの展示も。ハルクバスターとアイアンマンの迫力等身大アーマーアイアンマンのスーツは、ハルクに対抗するために作られたハルクバスターなど、さまざまなタイプの展示あり。アベンジャーズ展森アーツセンターギャラリー東京都港区六本木6‐10‐1六本木ヒルズ森タワー52F開催中~6月19日(日)10時~20時(入館は19時30分まで)無休一般2500 円ほかTEL:050・5542・8600(ハローダイヤル)※『anan』2022年5月4‐11日合併号より。文・保手濱奈美(by anan編集部)
2022年05月03日東京・六本木のサントリー美術館で『大英博物館北斎』がはじまりました。本展では、大英博物館が所蔵するクオリティの高い北斎作品が集結。さらに、北斎を愛したイギリスのコレクターたち6名にもフォーカス。アートの目利きである彼らが絶賛&狂喜した、日本人が気づいていない“北斎のスゴさ”もご紹介!イギリスでも大人気…スゴい北斎!【女子的アートナビ】vol. 240『大英博物館北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』では、大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内にある肉筆画も展示。イギリス人コレクターたちの“北斎愛”にも触れながら、彼の画業、特に数多くの代表作が生み出された後半生の作品群を一覧できます。葛飾北斎(1760-1849)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師。彼の作品は、日本だけでなく世界でも有名で、例えばモネやドガなどフランス印象派の画家たちや、ゴッホにも影響を与えています。フランスで人気があったというイメージが強い北斎ですが、実はイギリスでも大人気。すでに1870年代から北斎コレクターや研究者がいて、特に大英博物館には多くの作品が所蔵されています。本展のプレス説明会では、アルフレッド・ハフト氏(大英博物館アジア部日本セクション学芸員)のビデオメッセージが流れ、100年以上前に大英博物館の学芸員だったローレンス・ビニョン(1869-1943)の言葉が紹介されました。とても印象的でしたので、以下に抜粋します。「1908年、ローレンス・ビニョンは、北斎の風景画を見たときの体験を『美と驚きがひとつになった衝撃』と表現し、『世界は我々の想像を上回る驚きに満ち、我々を狂喜させる力の源であることを北斎は明らかにした。それは、これから我々自身で発見していくことができるものでもあるのだ』と語っています」これほどの衝撃をイギリス人に与えていた北斎、すごいです!「芸術家として北斎こそ正真正銘の日本人」では、展覧会のおもな見どころをご紹介していきます。第1章「画壇の登場から還暦」では、貴重な初期作から還暦近くの年齢で描いた作品が登場。ここでの見どころは、北斎が直接筆をとった「肉筆画」の名品《為朝図》。曲亭馬琴の読本『椿説弓張月(ちんせつ ゆみはりづき)』の主人公・源為朝を描いたもので、絵のなかには作者馬琴の祝詞も書かれています。本作品を購入したのは、イギリスの医師、ウィリアム・アンダーソン(1842-1900)。彼は解剖学と外科の教授として明治期に来日し、東京の海軍軍医学校の校長を務めました。さまざまな美術品も入手し、そのうち約2100点が大英博物館の所蔵品になっています。また、アンダーソンは、日本美術についての本も執筆。著書の中で、「芸術家として北斎こそが正真正銘の日本人」と絶賛しています。代表作が次々と…!第2章「富士と大波」では、《富嶽百景》や《冨嶽三十六景》シリーズの作品群などを紹介。大波が印象的な北斎の代表作《冨嶽三十六景神奈川沖浪裏》や、「赤富士」として親しまれている《冨嶽三十六景凱風快晴》もここで見ることができます。また、第4章「想像の世界」では、偉大な歌人や詩に読まれた景色、さらに目に見えない妖怪を描いた作品などが登場。不気味な見た目でも、どこかユーモラスさが感じられる人気作品《百物語こはだ小平二》も展示されています。「これが一人の画家の作品だとは信じがたい」最後の第6章「神の領域―肉筆画の名品―」では、晩年に描かれた肉筆画が登場。特に、88歳のときの作品《流水に鴨図》は必見です。2羽の鴨と水面に落ちた紅葉が描かれた作品で、鴨の描写が本当に細かいのです!近くで見ると、その精緻な美しさに圧倒されます。あの時代の88歳、大家の北斎先生でも老眼になっていると思いますし、集中力や持続力も若いころに比べれば低下しているはず。でも、線のブレもムラもなく、まさに“神の領域”に達した作品です。本作品を所蔵していたのは、イギリスの小説家アーサー・モリソン(1863-1945)。彼は2000以上の浮世絵版画を入手したほか、日本絵画も約600点購入。また、日本美術の研究書も出版し、その中で北斎について「複数の優れた絵師による作品でなく、すべて北斎一人によるものだということが、実に信じがたい」と語っています。究極の“推し活”展覧会本展では、北斎の名品を堪能できるだけでなく、日本美術好き・北斎大好きイギリス人コレクターたちによる究極の“推し活”も楽しめます。彼らが書いた北斎の推しポイントを読むと、今まで気づかなかった作品の魅力も発見でき、改めて北斎の偉大さを実感しました。100年以上前に北斎担当のファンたちが熱心に集めたコレクションを、現代の日本人が見るなんて、考えてみたらステキなこと。推し活をしていたコレクターたちも、きっと喜んでいると思います。究極の“推し活”展覧会、ぜひ足を運んでみてください!Information会期:~6月12日(日)※会期中展示替を行います。※会期は変更の場合があります。休館日:火曜日(5月3日、6月7日は開館)会場:サントリー美術館開室時間:10時~18時※金・土および4月28日(木)、5月2日(月)~4日(水・祝)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,700、大学・高校生¥1,200、中学生以下無料※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年04月30日東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーで、『牧歌礼讃 / 楽園憧憬アンドレ・ボーシャン + 藤田龍児』がはじまりました。本展では、ヨーロッパと日本で活躍した2名の画家の作品を展示。どちらの絵画も、癒される雰囲気のものばかりですが、彼らは破産や半身不随など過酷な人生を送っていました。両画家と作品について、館長の解説もあわせてご紹介します。どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 241本展では、アンドレ・ボーシャン(1873-1958)と藤田龍児(1928-2002)の代表作を含む計114点を展示。ボーシャンは20世紀前半のフランス、藤田は20世紀後半の日本で活躍した画家。生きた時代も国も異なる二人ですが、彼らの作品には楽園のような明るい光と自然への愛情があふれています。この展覧会を企画したのは、東京ステーションギャラリー館長の冨田章さん。冨田さんは、「二人の作品は、いつか紹介したいと思っていた」といい、両者の作品を一緒に展示した理由について、次のように語りました。冨田さん二人には意外な共通点が3つあります。まずは、モチーフ。どちらも自然を描き、自然に対する愛着が感じられます。2つ目は、両者とも50歳頃を境に新しい画家人生をはじめた点。3つ目は、それぞれがノスタルジックで心が休まる絵なのに、どちらも厳しい暮らしをしていたという点。過酷な状況で、安らぎに満ちた絵を描くのはどういうことなのか、いろいろ考えさせられます。半身不随を乗り越えて…ーーでは、二人の画家の経歴と作品を見ていきます。まずは、藤田龍児から。京都で生まれた藤田は、大阪市立美術研究所で絵画を学んだあと、1959年に美術文化展で初入選を果たし、毎年同協会で順調に出品を続けます。しかし、1976年から77年にかけて脳血栓を発症。半身不随となり、利き腕の右手が使えなくなります。藤田は、画家の道を断念し、作品も大量に処分してしまいます。その後、リハビリを経て50歳を過ぎてから左手で描き始め、1981年には個展を開き画家として復活。2002年に亡くなるまで、作品を制作し続けました。大変美しく、ジュエリーのよう…ーーでは、藤田の作品について、冨田さんの解説をご紹介します。冨田さん藤田の作品は、初期のころはシュルレアリスム風で抽象性が高い作品になっています。これが、前半生の重要ポイント。病気のあと、画風ががらりと変わり、メルヘン的でノスタルジックな作品を描くようになります。特に注目していただきたいのが、細密描写と色彩。花や雑草の穂のところに紫やオレンジなど、ちょっとした輝く色を差しているのです。それが、見ているとふっと浮き出てきて、大変に美しく、ジュエリーのような輝きを持っています。この色彩の美しさが見どころのひとつです。また、彼の作品には、エノコログサ(猫じゃらし)をはじめ、白い犬や蛇行した道、トンネルなど頻繁に出てくるモチーフがあります。特に、エノコログサは生命力の強さを感じられるモチーフ。藤田自身は、モチーフについて多くを語っていませんが、彼の人生や考え方を重ね合わせ、誤解でもいいので自分でいろいろ解釈してみるのもアートのひとつの楽しみ方だと思います。藤田は右手で20年、左手で20年描きました。50歳を境に、新しい画家の人生を歩み出したのです。破産や妻の病気を乗り越えて…ーー続いては、アンドレ・ボーシャンの経歴について。フランス中部で生まれたボーシャンは、苗木職人として自分の農園をもち、結婚して順調に暮らしていました。その後、第一次世界大戦が勃発。徴兵され、数年間部隊で活動します。除隊後、地元に戻ると農園は破産し、心労が重なった妻が精神を病んでいました。ボーシャンは妻を連れて彼女の故郷に行き、森の中に家を建てて自給自足しながら絵を描き始めます。1921年、48歳でサロン・ドートンヌに初入選。次第に評価が高まり、何度か個展を開き1949年にはパリで大回顧展を開催します。1958年に85歳で亡くなるまで、精力的に制作を続けました。斬新な描写が魅力ーーでは、ボーシャン作品について、冨田さんの解説をご紹介します。冨田さんボーシャンは、美術教育をいっさい受けていない人で、アンリ・ルソー以来の最も優れた「素朴派」の画家ともいわれています。絵を描くようになったきっかけは、軍隊生活。彼はそこで測地術(測量したデータをもとに正確な地図を描く)を学び、その技術で上官から高い評価を得ました。ボーシャンの作品は、稚拙にも見えますが、それが味わいになっています。プロの画家ではやらないような斬新な画面構成や描写が魅力です。また、もともと苗木職人なので、花や自然をモチーフにした作品が多く描かれています。絵の特徴は、あらゆるモチーフが同じような鮮明さで描かれている点。風景画を見ても、手前の木も、奥の山や川も、すべて同じ強さで描かれています。正確に地図を描く測地術の影響かもしれないが、ひとつひとつの対象に対して同じ注意力で描いています。ボーシャンと藤田は異質な二人ですが、彼らの作品は、のどかで牧歌的で響き合っている感じがします。どちらも見ていて心が和むし癒される。また、細部におもしろいところがあり、じっくり見るといろいろな発見があります。この展覧会で、ぜひ絵を見る歓びを感じてみてください。今しか見られない!館長の解説、いかがでしたか?この二人の作品を、これだけの規模で一緒に見られるなんて、奇跡のような展覧会です。本展は巡回しませんので、今、東京で見ないと次回いつ機会があるかわかりません。くれぐれもお見逃しなく!Information会期:~7月10日(日)※会期中一部展示替えがあります(前期4/16~5/29、後期5/31~7/10)休館日:月曜日*ただし5月2日、7月4日は開館会場:東京ステーションギャラリー開室時間:10時~18時※金曜日は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,300、大学・高校生¥1,100、中学生以下無料※最新情報は公式サイトでご確認ください
2022年04月24日自身のドローイングをベースにした映像インスタレーション作品で高い評価を集めている束芋さんと、フランスの現代サーカスのパフォーミングアーティスト、ヨルグ・ミュラーさんとのコラボレーションによる舞台『もつれる水滴』が上演される。「初めてヨルグの作品を観た時、その面白さに大興奮したんです。彼は14歳からジャグリングをやっている人なんですが、ジャグリングの技術を使いながらダンスのようでもある。舞台上で奏でられる音楽も、ヨルグ自身が作っていて、サーカスの技術を用いたフランスのカンパニー『Anomalie&…』に出演した時は、演劇ともサーカスともダンスともつかない、私がこれまで体験も想像もしていなかった世界を見せつけられたんです。年齢や国籍を問わず楽しめて、驚きもあり、どこか考えさせられる部分もある。しかも私が幼少期に体験した移動遊園地のような後ろ暗さも感じられたり。私が舞台作品に関わり始めた頃から漠然とやりたいと思っていたことが、すべてそこに実現されている気がしました」ただ、制作を開始してからは困難続き。もともと頭で考え、それを言語化することで作品のコンセプトを探っていく束芋さんとは対照的に、ヨルグさんは目の前で起こることを感覚的に掴み表現していくタイプのアーティスト。そこをコロナ禍が襲い、クリエイションも約2年近く日本とフランス間でのリモートに。「昨年9月にようやく渡仏できたんですが、そこで彼と合わせてみたら、それまで想定して作ってきたものが何も機能しなかったんです。ただ、実際に一緒にやり始めると、全然違う展開というのも生まれて、これまで作ったものを全部捨てても、ここで今生まれているものを活かしていったほうがずっと価値があると感じて、約1年かけたアニメーションを全部捨ててリスタートしました」そして生まれた新作は、ヨルグさんのディレクションによる第1章、束芋さんによる第2章、そしてその世界が融合した第3章で構成。「一個人に焦点を当てる作品になりました。ある個人の内外で起こっていることが、さまざまに影響し、ひとりの人間の見え方が変化していきます。舞台作品を手がけるようになって感じるのは、携わる人たちの出し惜しみのない姿勢。それに見合うものをと自分に命じて作ってきました。鑑賞できる人の数に限りがある舞台作品だからこそ、少しでも多くの方にこの作品を体験していただけたらと思っています」日仏共同製作 束芋×ヨルグ・ミュラー『もつれる水滴』構成・演出/束芋、ヨルグ・ミュラー出演/ヨルグ・ミュラー、間宮千晴美術/束芋富山公演/4月28日(木)~30日(土)オーバード・ホール 舞台上特設シアター一般4000円ほか東京公演/5月3日(火)~5日(木)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト一般3500円ほか他に山口、沖縄公演もあり。©watsonstudioたばいも1975年11月30日生まれ。’99年に大学の卒業制作として発表したインスタレーション作品「にっぽんの台所」で注目される。近年は音楽家、ダンサーなどとのコラボレーションも精力的に行っている。※『anan』2022年4月20日号より。インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年04月17日この春始めたい、習い事ことはじめ。ここでは“陶芸”に注目します。「作る」を習う。モノづくりや料理など、何かを作るということは、そこに自分の感性やセンスが反映され、表現力も磨かれる。好きなもの、おいしいものに囲まれ、生活もグッと豊かに!習い事:陶芸習っている人:モデル・長澤メイさん油絵、写真など、クリエイティブな趣味を持つモデルの長澤メイさんが、今ハマっているのが陶芸。「昔からモノづくりが得意で、図工の成績は5以外とったことがありません(笑)。さまざまなモノづくりに興味があり、陶芸は約4年前に始めました。都内のさまざまな工房の陶芸体験に行きまくり、しっかり基礎を学べて、自分の感性やスキルを高めてくれるなぁと思える先生に出会えたのが2年前。今は2つの工房を掛け持ちして、月に2~3回のぺースで通っています。工房によって扱っている土や釉薬も異なるし、窯の大きさも違うので、複数の工房で腕を磨きながら、自分の表現の幅を広げています。4月からは金沢にある工房にも通う予定です。年末にその工房にひとりで訪れて、4日間ずっとろくろを回していました。まさに修業(笑)。陶芸はその土地の風土がすごく反映されるものだし、金沢は空気も水もキレイで、今までとまた違う表現ができて面白いんです。環境も良く、作品づくりに集中できるから、今後は毎月通いたいと思っています」モノづくりも自己表現も得意な長澤さんがそこまでハマる陶芸の魅力はどんなところなのだろうか。「陶芸は、焼き上がるまでどんな作品になるか全くわからない。その待っている間のドキドキワクワク感がたまらないんです。それに作りながら好きなように形も変えられるし、釉薬ひとつで表面の色を多種多用に変えられて、垂らし具合で面白い変化をつけることもできる。まさに自由自在。そこに自分の今の思いが乗っかって、偶然の表情を持つ作品を生み出せた時が一番うれしい。だから毎回何を作るかは決めずに、その時の気分で作るようにしています。土に触っていると、自分が表現したいものがひゅーと上から降りてきて、手が勝手に動くんです(笑)。それに土に触れることで、体内のエネルギーバランスが整う『アーシング』効果も。陶芸をしている時間はメディテーションにもなっていて、すごく心が落ち着きます」長澤さんの作品は、シックなものもあるが、心がウキウキしてくるようなカラフルでキラキラしている、ポップで軽快な作品が多い。「展覧会に行くと、ネガティブなテーマを表現したアート作品が昔から多くてビックリ。私だったら絶対にポジティブなものしか作らない。だって自分が生み出すものは絶対に自分が好きなものだし、それに囲まれるだけでそこがハッピースポットになって、すごく幸せを感じられるじゃないですか…。作品にはその人のエネルギーが宿るので、作品を通して私のポジティブパワーをみんなに届けて、世界中をハッピーにしたい!それが私の野望です。まずは近々の目標として、今秋に国内で個展を開くために、今まで以上に作品づくりを頑張らなきゃと思っていて、大きな作品にも挑戦中。そしていつか海外で展覧会を開きたい。本気と書いて、マジです(笑)」偶然から生まれたユニークな鉢植え今にも歩きだしそうな鉢植えは、釉薬が垂れて自然とこんな形に。「偶然が作り出した奇跡の作品。キラキラの釉薬とクリスタルの天然石を用いているので、光が当たるととてもキレイ!」愛犬そっくり!陶器のお香立て長澤さんの愛犬“uni”をモチーフにした作品も。「お香をたくと、uniの口から煙がもくもく出てきます。uniの姿形は頭にしっかり入っているから、写真も何も見ずに成形しました」ながさわ・めいモデル。1990年12月8日生まれ、愛知県出身。名古屋PARCO開業30周年広告「LOVE PARCO」をはじめ、TVCMやMVなどに多数出演。写真展「Sammy」を開催したり、吸水ショーツをプロデュースするなど、マルチに活動中。※『anan』2022年4月20日号より。写真・小笠原真紀取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2022年04月17日「出版120周年 ピーターラビット(TM)展」が世田谷美術館で開催される。会いに来たよ!世界で一枚だけのピーター。1902年に英国で初版刊行、日本では’71年に出版以来、愛されてきた『ピーターラビットのおはなし』。出版120周年の今年まで、日本語版の絵本では掲載されなかった挿絵の原画を含め、『ピーターラビットのおはなし』の彩色画全点が作者のビアトリクス・ポター(TM)の思い描いた姿で展示される初めての機会だ。そのほかにも見逃せないのが、ビアトリクスが少年に宛てた絵手紙のオリジナル。これは絵本の出版から遡ること約10年前、自分の家庭教師だった女性の子どもである5歳のノエル少年へお見舞いとして描いたもの。後に彼のもとで保管されていた絵手紙をもとに、ビアトリクスはピーターの物語を描き上げることになる。そして出版されるや大評判に。「当時、擬人化された動物を主人公にした絵本はありましたが、ピーターの姿は決してデフォルメされていません。もしウサギが2本足で立って歩くとしたら、どのように描けば自然なのかということがよく考えられていて、喜怒哀楽も姿勢や仕草で表されています。その頃、博物学が流行し、その影響を受けてビアトリクスが小動物の実際の骨格を調べていたこともわかっていますが、そうした博物学的な知識と目を持っていなければ描けない絵だと思います」と本展の監修を務める大東文化大学教授の河野芳英さん。「ヴィクトリア朝の英国の裕福な家庭の常として、ビアトリクスも乳母や家庭教師に育てられました。子ども部屋に弟と二人で『秘密の動物園』を作り、カメや小鳥、ウサギなどのペットを飼い、そのスケッチがたくさん残されています。そのような環境で優れた観察力が培われたのでしょう」出版の翌年にはビアトリクスはピーターのぬいぐるみを自作し、特許を申請。本展には100年以上前に作られたアイテムの数々も登場する。「自分の絵本のキャラクターをグッズとして販売するために特許を申請した初めての人といわれています。先見の明を持ちグッズとともに歩んできたことも、絵本がベストセラーであり続けた要因かもしれません」絵本、キャラクターグッズのビジネスで大成功を収めたビアトリクスは、幼い頃から避暑に訪れ親しんだ英国・湖水地方の自然景観を守るため、東京ドーム約360個分の土地を購入。亡くなった後はナショナル・トラストに寄贈、2017年には世界文化遺産に指定されている。「ビアトリクスが湖水地方の自然を残そうとしたのは、ピーターラビットの舞台となった場所が残れば、自分の絵本も残ると考えていたからとも。今回展示される原画は水彩で描かれた繊細なもの。印刷に表れないすばらしい魅力があります。ご覧いただければ心が洗われるような体験になると思います」原点は小さな友達に送った絵手紙。1893年に療養中の少年を慰めるため送ったお見舞いの絵手紙が『ピーターラビットのおはなし』の原点。最後はピーターがベッドに寝かされ、煎じ薬を飲ませてもらう絵本と同じ場面も。《ノエル・ムーア宛ての絵手紙》 ビアトリクス・ポター 1893年 ピアーソン PLC ©Victoria & Albert Museum,London,2015「ピーターラビット(TM)」シリーズとは?1902年の『ピーターラビットのおはなし』を皮切りに’30年までに全23冊を刊行。主人公はリス、カエル、ネコ、アヒルなど。ビアトリクスが子どもの頃から親しんだ小動物が、湖水地方などを舞台に物語を繰り広げる。《『ピーターラビットのおはなし』初版(濃茶色厚紙装丁版)》 フレデリック・ウォーン社 1902年ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 ©Frederick Warne & Co.Ltd,2021『ピーターラビットのおはなし』彩色画全点が一堂に。《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 ビアトリクス・ポター 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 ©Frederick Warne & Co.Ltd,2017「出版120周年 ピーターラビット(TM)展世田谷美術館」東京都世田谷区砧公園1‐2開催中~6月19日(日)10時~18時(入場は17時30分まで)月曜休(5/2は開館)一般1600円ほか※会期中の土・日・祝日および5/2は日時指定券を販売。詳細は展覧会公式サイトを確認。TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)ビアトリクス・ポター1866年、ロンドンに生まれる。幼い頃から絵の才能を発揮。ウサギなどの小動物が主人公の「ピーターラビット」シリーズは2億5000万部を超えるロングセラー。英国・湖水地方の景観を守ることにも尽力。1943年没。写真:1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Courtesy of the Victoria and Albert Museum※『anan』2022年4月13日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年04月11日人気の若手歌舞伎俳優、中村壱太郎さんと尾上右近さんが、『没後50年 鏑木清方展』のイベントに登場!歌舞伎をテーマにした展示室で、トークとフォトセッションが行われました。さらにその後、インタビューも実施。アートやエンタメの魅力、東銀座界隈の思い出など語っていただきました!中村壱太郎さん、尾上右近さん、登場!左:尾上右近さん右:中村壱太郎さん《道成寺 鷺娘》の前で撮影【女子的アートナビ】vol. 239東京国立近代美術館『没後50年 鏑木清方展』の展示室に登場したお二人。さすが歌舞伎俳優さん、立ち姿がとても美しいです!中村壱太郎さんは、歌舞伎俳優だけでなく日本舞踊の吾妻流七代目家元、さらに現代劇でも活躍。尾上右近さんも、歌舞伎俳優と家業である日本古典音楽の清元、映画やバラエティ番組にも出演し、多方面で活躍されています。まずは、鏑木清方の華やかな作品《道成寺(どうじょうじ) 鷺娘(さぎむすめ)》の前でフォトセッション。《道成寺 鷺娘》とは、歌舞伎の演目『京鹿子娘道成寺』と『鷺娘』をテーマに描いた作品。お二人とも、歌舞伎では女方を中心に演じられているので、作品にも興味津々なご様子。撮影の合間にも、絵に描かれている着物や仕草などについて、楽しそうに話されていました。続いてのトークセッションは、《京鹿子娘道成寺》の作品が並ぶ展示室で実施。お二人が鏑木作品の魅力について、語りました。壱太郎さん清方先生の作品は、一言で言うと、眼福。幸せになれます。美しいものを見ると人間は幸せになれる、と改めて感じました。特に、僕らは着物や日本の文化に触れて仕事をしているからかもしれませんが、日本人のどこかに眠っているものと紐づけられるのかなと思います。右近さん品格が高いと思います。画家がどんな人だったのか、絵を見ながら僕はよく人物像を想像してみるのですが、清方作品には品格があふれ、知性があります。江戸っ子の粋や風流、時代からくるモダンさなどに楽しみを感じます。心静かにカブいているのがいいですね。お二人にインタビュー!続いて、本展覧会の目玉作品である清方の美人画三部作《築地明石町》、《新富町》、《浜町河岸》が並ぶ展示室でインタビューを実施。まずは、三部作について、お聞きしてみました。――こちらの美人画で、どの作品、どの女性がステキだと思いますか?右近さんやはり、築地明石町のお姉さんでしょう。この凛とした姿。この瞳で見つめられたいです。男目線でも、女方の役者として見てもステキです。男性の画家が描く女性は、理想の女性の姿で、男が演じる女方も理想の女。そのリンク性も作品から感じられますし、とにかく断然美しいです。男としては、こういう女性に振り返られたいですね(笑)。壱太郎さん浜町のおぼこさんもいいと思う。僕らも踊りを習うと、この絵のように「振り」をおさらいするのです。「今日習ったことは、こんな振りだったのかな」とこの絵を見てすぐにわかります。着物の袖を持ち、扇子を口に当てるというのは、日常にはないしぐさ。これを切り取っている清方先生のセンスはすばらしいですよね。右近さん確かに、浜町の作品もいいですね。どの作品も凛としてさわやか。そして、首がキレイ。九州系だね。――九州系とは?右近さん九州の女性は色白で、首が細くて、毛の流れがきれいというのが僕の勝手な思い(笑)。尾上右近の統計。九州の女性は色白で、輪郭がいいのです。壱太郎さんハハハ。でも、これ大丈夫?九州以外の人を敵に回していない?右近さん大丈夫、大丈夫!「想像させる絵がステキ」――全体を通して、お好きな作品はどれですか?右近さん僕は《墨田河舟遊》(※筆者注:屋形船で姫や若侍が楽しむ様子を描いた屛風)。人間が生き生きと描かれ、楽しそうでワクワクします。当時の時代の最先端が感じられ、若いエネルギーで楽しんでいる。僕らも結局、同じことを繰り返していますよね。カラオケ行ったり、クラブ行ったりするのと同じです。上品に遊んだほうが楽しいよ、ということもこの絵から感じます。壱太郎さん僕は、《佃島の秋》(※男性が女性に花を手渡している場面を描いた絵画)。勝手な解釈だけど、下に描かれている美しいアヒルと女性がリンクしていると思うのです。ぶっきらぼうな男の人が、白くてきれいなアヒルに花をあげてみた、という感じで、この絵をもとに芝居を書けるくらいの情報量があります。想像させる絵がステキです。見る楽しさを感じさせてくれます。「エンタメは、非日常を感じるのがいい」――お二人は、とても楽しそうにこの展覧会をご覧になっていますが、一般的に、特にanan世代の多くは、「日本画の展覧会ってハードルが高そう」と感じているような気がします。右近さんハードルが高い、とすでに存在を認識しているのなら、そのハードルを越えてみたらいいんじゃないのかな。触れてみたらいいと思います。知らないよりは知っているほうが絶対いいです。見に行ったら、「知っている」というステイタス以上に「おもしろい」という純粋な感情が生まれる。ハードルが高いと認識しているものは、もっと触れてみたほうが楽しいですよ。壱太郎さん歌舞伎も、同世代や若い方に「勉強しに行きます」とよく言われます。でも、別に勉強するものではないんですよね。右近さんそうそう。勉強するのは僕らの仕事ですから。壱太郎さんまさにそう。清方先生の《佃島の秋》みたいに、想像する楽しさをみんながもてる。絵を見ていると、それ以上のものを感じるのが絵画のおもしろさで、歌舞伎も一緒。「この人どうしてこんなにきれいなのかな」と素朴な疑問をもつとか、それだけでいいのです。そのきっかけさえ見つければ、それ以上のものをもって帰れると思います。右近さんエンタメは、非日常を感じられるのがいいです。美術館という空間自体いい。おならもできない静寂な空間(笑)。壱太郎さんもうちょっとananらしい良いたとえはないの(笑)。でも、展覧会なら、好きな絵をひとつ見つけに行こうと思って友達と出かけて、感想を伝え合うのもいいよね。朝イチで山盛り海鮮丼!――鏑木清方は築地界隈で暮らしたことがあるので、それらの地域が作品にも描かれています。歌舞伎座からも近いエリアですが、お二人にもなにか築地の思い出はありますか?右近さん以前、二人で歌舞伎座に出ていたとき、朝の築地に行きました。一幕目は昼の11時に開演するので、だいたい10時に楽屋入りします。その前にということで、朝7時に集合して行きました。壱太郎さんあれはよかったね。海鮮丼食べて。右近さんそう。高いのを食べました。よかったですよ、山盛りで(笑)。あの界隈のあの空気感も独特。浅草とか上野の江戸っ子も僕らは知っていますが、築地あたりの江戸っ子の空気は、また違うんですよね。河岸の人間の時間軸を感じて、いいなぁと思いました。『芝浜革財布』という芝居があり、河岸に通う男の話なのですが、築地にいると「こういう空気なんだな」とわかります。夕方には寝るという雰囲気。僕も、いつも午前中はちょっと眠いのですが、築地に行った日は、朝7時から食事をしているものだから、元気モリモリで(笑)。みんなと時の流れ方が違って、すごく充実感がありました。うまいもの食って来ているから(笑)。壱太郎さんこっちはもう始まってんだぜ!っていう感じだったね(笑)。「過去の自分は常に良くない…」――鏑木清方は、自分の作品を自己評価し、その記録が残っています。本展では、その記録をもとに、会心の出来には三ツ星など、作品に星がつけられていますが、そのような画家の姿勢をどう思いますか?右近さん目に見える絵画作品の場合は、いやでも冷静に評価が見えてきますよね。僕らは毎日同じことをやっていても、毎日コンディションも違うしお客さまも違うし、お互いのコンディションも違うし、状況が毎日違うので、自己評価の仕方が難しいです。常に揺れ動いているものなので、実態がわからない。後から振り返るとわかるときもありますが、この時が良かったというのは120パーセントないです。壱太郎さん清方先生の絵は、このまま一生残っていきますが、僕らの演技はその瞬間でしか残らない。だからこそステキさがあると思うので、その意味で評価の仕方は絵とは違うと思います。ただ、自己評価というより、仲間がいるから目指せるものはあるので、高め合いは常に意識しています。右近さん例えば過去の映像を見ると「ひどいな」と自分で思うのです。なんでこんなに拙いことやっているんだ、と。過去の自分は常に良くない、というのが植え付けられているので、冷静に判断ができない。成長がどこにあるのか、自分ではまったくわからないのです。へたに過去の映像など見てしまうと、進歩していない自分が目の前に立ちはだかって舞台に立つのが嫌になる。今日はいい舞台ができるぞという自己催眠がかけられなくなるのです。壱太郎さんこれは役者の宿命。今はビデオがあるから、僕らも頼るし必要だとは思います。でも、あまりにも見すぎると、自分は果たして何なのか。わけがわからなくなる。そこの難しさは僕らにはあります。右近さん客観性を持つのが難しいです。自分で三ツ星つけては取り消しての繰り返しです(笑)。アートとは「極上の…」――絵画作品だけでなく、歌舞伎などの舞台芸術もすべてアートといえると思うのですが、お二人にとってアートとは?右近さんアートとは、「人間の証明」。芸は人なり、という言葉から置き換えてみました。壱太郎さん人生においてのいろどり。人間のいろいろないろどりを総称すると、アートになるのではないかなと。時代時代において、いろいろな人や作品と関わり見ることによって人間力が増していく。これは生きた証です。右近さん僕、先ほどプレーヤー目線で言ってしまいました。すみません、はき違えました(笑)。アートとは、「極上のひまつぶし」です。壱太郎さん「人間の証明」からの落差がすごいね(笑)。右近さん生きるうえでは、いらないのかもしれないけれど、暇ができたら、その暇をやはり上質につぶしたい。それが、生きることへのこだわり。例えば、おにぎりとピカソの絵なら、食うに困るときはおにぎりしか選ばない。でも、食うに困らなくなったらピカソの絵に気づく。おにぎりもいいけど、この絵を見て心を潤うのもいいと気づく。だから、「極上のひまつぶし」です。「先に死なないで!」――お二人の関係、とてもいい感じですね。プライベートでも仲が良いのですか?右近さんいちゃこらしています(笑)。anan読者の女性たちも、僕らを見習って、いちゃこらしてください!壱太郎さん僕らは盟友、親友、ボイスメッセージ友達。同じ時代に生きて、同じものに取り組み、同じ感覚があります。もしかすると、今は追い求めるもの、求められているものが違っているかもしれないけど、いつかのゴールは絶対一緒のものを見ていると思います。一緒の思いをもてることに「ありがとう」と言いたい人です。右近さん僕にとって(壱太郎さんは)うれしいときも悲しいときもすべて報告したい人です。そんな人、清方先生にはいなかったのかな。(ここで、担当学芸員の鶴見香織さんが登場)鶴見さんそれは奥さまだと思います。奥さまは、清方が亡くなる数年前に他界され、その後、清方もがっくりとされていたそうですよ。右近さんがっくりきますよね。(壱太郎さんに向かって)先に死なないで!たとえ死ぬとしても、同じ年の同じ月の同じ日じゃ!壱太郎さん同じ刻限でね(笑)。右近さん芝居のようだね(笑)。――本当にステキなご関係ですね。楽しいお話、ありがとうございました!インタビューを終えて…立ち居振る舞いがとにかく美しいお二人。スーツを着ているとふつうにカッコイイのですが、少しでも動くと足の運びや指先の動きなど、一つひとつの所作が本当に優雅で、見とれてしまいました。くだけた話や楽しい話をしていても、品格が漂っているお二人。固い絆が感じられる友情にも感動しました。『没後50年 鏑木清方展』は5月8日まで開催。ぜひハードルを越えて、美しいアートに触れてみてください!Information『没後50年 鏑木清方展』会期:~5月8日(日)休館日:月曜(※5月2日は開館)会場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開室時間:9:30-17:00(金・土曜は9:30-20:00)(入館は閉館30分前まで)観覧料:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料撮影:山本 嵩
2022年04月03日東京・町田にあるスヌーピーミュージアムで、企画展『しあわせは、みんなの笑顔』が開かれています。スヌーピーと仲間たちの楽しそうな笑顔、ニヤニヤ笑い、やさしい微笑みなど「笑顔」がテーマの本展は、この春のお出かけにもぴったり。ワクワク感いっぱいの館内や、映えるフォトスポット、楽しい作品を一挙ご紹介!笑顔のスヌーピーがお出迎え【女子的アートナビ】vol. 238スヌーピーミュージアムの最寄り駅は、東急田園都市線の「南町田グランベリーパーク駅」。そこから歩いて4分ほどで、大きなスヌーピーが描かれたかわいい建物に到着!外観も、今回の企画展に合わせて「笑顔」だらけ。建物だけ見てもワクワクします!館内では常設展と企画展を開催中。まずは、常設展から見てみましょう!常設展では、スヌーピーが登場するコミック『ピーナッツ』の作者、チャールズ・シュルツ氏の創作の歴史を知ることができる「チャールズ・シュルツ・ギャラリー」や、「ピーナッツ・ギャング・ギャラリー」などがあり、スヌーピーたちの基本情報を知ることができます。最初は四足歩行で、ふつうにペットの犬っぽかったスヌーピー。初期の複製原画や貴重なフィギュアなど、お宝がいっぱいあります。映えるフォトスポット!常設展エリアには、映えるフォトスポットもいっぱいあります!まず、3階にある「スヌーピー・テラス」。南町田グランベリーパークを一望でき、天気が良ければ富士山も見える気持ちのいいテラスです。ここにあるのが、かわいいスヌーピーがいっぱいのフォトスポット。雑誌やテレビなど、いろいろなメディアの撮影にも使われているそうです。モデル気分で撮影すると楽しいかも!2階の人気撮影スポットは、「スヌーピー・ルーム」。全長約8メートルの巨大スヌーピーをはじめ、お腹でスケートをしたり、ハロウィンの変装をしていたりするユニークなポーズのスヌーピーがずらりと並んでいます。さまざまな「笑顔」が集結!続いて企画展エリアへ。入り口でスヌーピーとウッドストックが、めちゃくちゃ楽しそうに笑っています!企画展『しあわせは、みんなの笑顔』では、スヌーピーたちの豊かな笑いを描いたコミック『ピーナッツ』の貴重な原画や複製原画約60点を展示。6つのグループにわけて、さまざまな笑顔が紹介されています。まずは、『笑わせておくれよ、チャーリー・ブラウン』のコーナーから。いつも何をしてもうまくいかない残念なチャーリー・ブラウン。ジョークを言った覚えがないのに笑われてしまうなんて、ちょっとかわいそうですが、逆に彼はみんなを笑顔にする才能があるのかも。開き直って笑ってしまえ、という豪快なスタンスをとるキャラたちも憎めません。『笑って笑って吹き飛ばせ!』のコーナーには、ペパーミント パティやマーシーたちのポジティブ思考が満載。ストーリーを読むと、自然に頬が緩んで元気になれます。ちなみに、作品が飾ってあるケースにもご注目。スヌーピーの犬小屋スタイルになっています!ブラックなスヌーピーも…!『ニヤニヤがとまらない』では、歯をむき出してニヤッと笑うスヌーピーが登場。ウラがありそうなアヤシイ笑顔にも出会えます。スヌーピーは、ちょっとしたイタズラが大好き。本気の意地悪ではないのですが、おふざけしているときは、歯を出して笑っています。ときどき、短いセリフでブラックなジョークをボソッとつぶやくことも。グッズのキャラクターとして、癒し系のかわいいスヌーピーに見慣れている人は、ちょっとビックリするかもしれませんが、本来のコミックとしてのおもしろさを味わえます。スヌーピーは小説家!?続いてのコーナー、『ハッピー!ハッピー!ハッピー!』では、「いい仕事して、笑おう」というストーリーの原画などを紹介。小説家のスヌーピーが、いいものを書いたときの喜びの笑顔を見せています。『ピーナッツ』ファンにはおなじみかもしれませんが、スヌーピーは屋根の上でタイプライターを打ちながら小説を書いたりしています。文豪トルストイの名著『戦争と平和』の続きも打っているとか。犬であることを誇りに思いながら、犬小屋の屋根の上でさまざまな夢を見ているのです。続く『ついニコニコしちゃうしあわせ』のコーナーには、友情や小さな幸せなど、ほっこりするストーリーがいっぱい。スヌーピーをハグしたり、膝の上に乗せたりしている仲間たちと過ごす穏やかな日常の姿を描いた絵は、見ているだけで優しい気持ちになれます。スマイルの連鎖…最後は、『スマイルの連鎖』。毎日コミックを描き、いつもおもしろいことを考えていたシュルツ氏は、アメリカだけでなく世界中に笑いをひろめていきました。このコーナーには、キャラクターたちのハッピーな笑顔があふれています。いろいろな出来事がある今、特にこのコーナーは刺さります。『ピーナッツ』の世界に触れて、楽しく笑ってスマイルが連鎖していけば、みんなハッピーになれるはず。スヌーピーのストーリーは、大切なことを教えてくれます。企画展のあとに続く展示室には、スヌーピーの「ベリー・ハッピー・ホーム」が登場!ここも「映えスポット」です!ショップもかわいい!展示を見終わったら、ぜひ立ち寄りたいのが「ブラウンズストア」。チャーリー・ブラウンをイメージしたおしゃれな店内には、ステーショナリーや雑貨など、ここでしか買えないオリジナルグッズがいっぱい!2022年の今年は、チャールズ・シュルツ生誕100周年を記念した限定商品もあり、どれもこれも集めたくなります。特に心を惹かれたのが、箸置き。四足歩行タイプと、ニコニコ笑顔で背中を丸めたタイプの2種類あったので、ひとつずつゲット。どちらも本当に愛らしく、食事をするたび笑顔になれます。春のお出かけにぴったりなスヌーピーミュージアム。南町田グランベリーパークには、アウトレットモールやレストラン、映画館、鶴間公園などのアクティビティがあり、一日中楽しむことができます。ぜひぜひ足を運んでみてくださいね!© Peanuts Worldwide LLCInformation<スヌーピーミュージアム企画展『しあわせは、みんなの笑顔』概要>会期:~7月10日(日)会場:スヌーピーミュージアム時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)観覧料:前売り一般・大学生¥1,800、中学・高校生¥800、4歳~小学生¥400当日券一般・大学生¥2,000、中学・高校生¥1,000、4歳~小学生¥600
2022年03月31日