修学旅行…楽しみでもあり、不安でもあり?ASDとADHDのある息子コウ、小学6年生。「行けたらいいなぁ」と楽しみにしていた修学旅行が近づいてきました。Upload By 丸山さとこクラスメイトの子に『丸山、迷子になりそう』と言われたというコウは「僕もそう思う」と笑っていましたが、本当に迷子になりかねないコウなので笑いごとではありません。「見学で夢中になって群れから離れないように気をつけてね。周りを見るようにしてね」と改めて念押ししたものの、それで何とかなる子どもであればADHD治療薬の服用をすることもなかったでしょう。「もうあとは祈るしかないな…先生及び班員のみなさま、(多分)ご迷惑おかけします…!」という気持ちで支度を進めました。ただでさえ心配の尽きない修学旅行ですが、荷物の準備中に「日中持ち歩くリュックを自室から持っておいで」とコウへ言うと、「あー、それ、家庭科でつくったナップサックに入れるんだって」と驚きの返答。Upload By 丸山さとこ普段のお出かけはポケットを使い分けることで荷物を管理しているコウです。そんな彼が、ポケットのないナップサックに全ての荷物を入れたらどうなるのでしょうか…?「これだけ沢山の荷物をナップサックに入れたら、何か出すたびに道路や床に物を散らかすことになるのでは?」と、目に浮かぶ光景にゲッソリしながら、「これは何かしらの対策が必要だな」と思いました。Upload By 丸山さとこポーチと大判の袋で、荷物を分けて収納!班行動中にナップサックで持ち歩く荷物の数は結構多くて、全てナップサックへ入れたところ「これだけ荷物がギュウギュウに入ってると、底に沈んだ小さな物を探すのは大変だね…」という感じになりました。そこで、小さな物や薄い物はそれぞれポーチに入れることにしました。カッパ・マスク・ビニール袋は、分けて収納ができるメッシュケースにin!”収納場所のサイズとしまってある物のサイズ”を揃えることで、感覚的に分かりやすい収納になりました。Upload By 丸山さとこスポーツバッグに入れる衣類や洗面用具は、使用シーンごとに分けてまとめることにしました。Upload By 丸山さとこ・入浴時に持っていくタオルやパジャマなどをナップサックに入れた『お風呂セット』・2日目の朝に着替える服を巾着袋に入れた『2日目衣類セット』・予備のタオルや衣類をメッシュケースに入れた『予備の物セット』・そしてハブラシとコップの『ハミガキセット』浴場にいくときは『お風呂セット』、朝着替える時は『2日目衣類セット』、予備の着替えが欲しいときは『予備の物セット』と、使用シーンごとに使いやすいようまとめました。そうして荷物を整理してみた結果もし「細かく分けられると返って使いにくい」などコウから不評であればやめようと思いつつ用意してみた”袋分けシステム”でしたが、「分かりやすいしスゴく便利!」「見たら分かるし取り出しやすいよ」と喜んでくれました。Upload By 丸山さとこ「〇〇はどこ?」と聞いて取り出せるか確かめましたが、どれもスムーズに取り出すことができたので『大丈夫そうかな?』と思い荷物をまとめ、コウは修学旅行へ出発しました。『準備しているときに今分かっていても当日は焦って取り出せなくなるかもな~』と思っていましたが、その後修学旅行から帰ったコウは「大丈夫だったよー」と言っていました。後に担任の先生からも「移動中も集団から離れることなく行動できていましたし、支度も大きく散らかさずにできていました」とうかがってホッとしました。彼の”自称大丈夫”は今一つ信憑性に欠けるため出発前は心配していましたが、『荷物関連で困ったり焦ったりすることなく修学旅行を楽しめたのであれば、それはよかった!』と嬉しく思いながら、家族みんなでお土産のお菓子を食べました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)ADHDのある人のカバンや引き出しの中はゴチャゴチャしてしまうことが多くあります。カバンいっぱいに荷物を詰めすぎることがあるのでチャックが閉まらず開いたままということもあります。このようなことがよくある方の場合、カバンもナップサックも同じようなもので、手を入れて手探りで物を探す光景を私の外来ではよく目にします。カバンの中を見られるならば、色のついた子袋に分けるのも一つの方法でしょう。しかし、カバンの中が荷物で埋まっていて上から下まで見ることは不可能な場合も多いです。そういう場合、今回のように手触りでも分かりやすい袋などに分けておくといいでしょう。今回の場合、「使い慣れたリュックサックでもいい」という学校側の配慮もあったらよかったのかなと思いました。
2022年01月06日■前回のあらすじ自分はADHDかもしれないと思い始めたナギさん(夫)。しかし現時点でそこまで困り事はなく、「今は病院に行かない」と判断するのでした。■特性を知り、夫が考えた対策■夫がADHDなのかは不明のままだけど…ナギさん(夫)は基本的に素直だしとっても優しくて、好きな部分がたくさんあるから結婚したんですよね。長く一緒に暮らすようになり、子どもが生まれて私自身にも余裕がなくなってしまったことから、今まで気にしてなかった部分が目に付くようになってしまった、という感じかなと思います。なので、私にとってはナギさんがADHDなのか違うのかというのはあまり重要ではなく、ナギさんの行動で困っていることが解決できればそれでいいんです。今回ナギさんが「病院は行かない」という結論を出したなら、無理に連れてく必要はないかなと思いました。いろいろ頑張ったけど結果的に病院に行って治療をしないと無理、ってなったら行ってもらうけど。とりあえずは自分とナギさん自身がそれぞれできることをやってみて、改善を図ってみようと思います。日常生活が困難なくらい困っているADHDの方もたくさんいます。そういう方から見たら、ナギさんは大したことないとか、軽々しくADHDの名前を使うな! と思われるかもしれません。今まで、なんとなくしか知らなかったADHDが、思ったよりも身近にあるかもしれないということ。それを超素人の私なりに観察してみた、という感じで受け取っていただければと思います。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月05日微細運動とは、持つ・にぎるなど手指を使った動きで、身の回りのケアに必要な体の動き微細運動は手指のこまかい動きのことで、持つ・にぎるから始まり、道具を使う、操作をするといった動きのことです。立つ・歩くなどの体を移動させるための大きな動きである粗大運動に対して微細運動と呼びます。たとえばフォークを使って食べ物を刺し口元まで運ぶ動作、クレヨンを握って紙に何かを書く動作、さらに服のボタンのかけはずしや、靴を履くなど、自分の身の回りのケアに必要な動作でもあります。微細運動は、いつごろからどんなことができるようになる?目安は?Upload By 発達障害のキホン粗大運動は、脳に近い部分から体の末端に向かって順に発達していきます。一方、微細運動は背骨に近いところから指先に向かって発達していきます。新生児期にみられる原始反射に「把握反射」(はあくはんしゃ)という、手に触れたものをにぎるという動作がありますが、これは体の発達が進む間に見られなくなります。手のひらに何か触れると無条件に指関節が曲がって握るという動作は、人類の祖先が樹上生活をしていた際の、木の枝から落ちないための古い記憶からきているともいわれます。体の中心から末端に向けてだんだんにできるようになっていく微細運動は、どのような過程でできるようになっていくのでしょうか。いつごろ、どんな動きができるようになるのか目安を見てみましょう。●両手を合わせられるようになる(生後2ヶ月ごろから)赤ちゃんにとっていちばん身近にある目の前で動くものといえば、自分の手。肩関節から先を動かすことができるようになる2ヶ月ごろから、両方の手を合わせてさわることができるようになります。●手のひらを使って、にぎることができるようになる(生後5ヶ月ごろから)生後3ヶ月ごろから細い柄のついたもの(おもちゃのガラガラなど)を、手に近づけてあげればにぎっていられるようになります。ただ、このあと自分でさわろうとしたりするのは、興味があるものに手を伸ばすようになる3~4ヶ月ごろからです。また、肘関節が動かせるようになる4ヶ月ごろから、手のひらでものをにぎれるようになります。●手に持ったものを別の手に持ち替える(生後6~7ヶ月ごろから)手のひらでにぎったものを、もう一方の手に持ち替えることができるようになっていきます。また、生後8ヶ月ごろからは、両手につみきなどを持ち、持ったものをカチカチと打ち合わせたりすることができるようになっていきます。両方の手の動きを連携させることができるようになるのです。●親指と人差し指でものをつまむ(生後10ヶ月ごろから)自分の意思で動かせる範囲が、かなり末端まで広がっていきます。指の関節が動かせるようになり、こまかいものをつまむことができるようになります。手をなめるだけでなく、おやつのボーロを手指でつまみ上げて口まで運ぶという動作も可能になります。また、ボタンなどを押すのが面白くなってくるのもこのころです。●肩関節から指の関節までを組み合わせた動きが自在になる(1歳~1歳半ごろ以降)1歳を過ぎるころから、手に持ったものを、目的をもって動かす動作ができるようになっていきます。スプーンやフォークを握って、口がある場所に持っていき、道具の先端にある食べ物を口にこぼさずに入れるという一連の動作は、分解してみるとかなり複雑な動きであることが分かります。また「こうしたい」という心の発達もともなう動作でもあります。こうして体幹からだんだん末端へと、自在に動かせる範囲が広がります。道具を使う手指の動きには、筆記用具を使って「書く」という動作があります。この動きも体の中心に近いところから末端の手指の関節へと、運動神経が伝わっていくことで、こまかい動作ができるようになります。● 10ヶ月ごろ…点を打ち付けます。これは筆記用具をにぎり、肩関節を動かすだけでできます。● 1歳ごろ…線を書く、いわゆるなぐり書きです。肘関節を動かすことで、紙の上に筆記用具を滑らせて書きます。● 2~3歳ごろ…最終的にまるが描けるようになります。手首を動かすことによって、円を描きます。また、手の動きだけでなく、筆記用具の握り方も成長します。0~1歳の前半ごろは、いわゆる「にぎり持ち」、指を使わず手のひらを使って筆記用具をもちます。このころは、柄が太く短いクレヨンなど、手と一体になるようなデザインの筆記用具が使えます。だんだんに、柄が細く、握ったところから遠いペン先で書くようになっていきます。握り方も成長します。人差し指と親指で筆記用具を持ち、その他の指で支えるようになり、複雑な線を描けるようになっていきます。ほかにも、ビーズにひもを通す(1歳ごろ)、ハサミを使う(2歳ごろ)、ボタンをかける(3歳ごろ)、ふたを開ける(5歳ごろ)、ひもを結ぶ(6歳ごろ)などといった細かい動作がたくさんあります。なお、生活に必要な動きのみではなく、手芸や工作などさらに精密な動きをするようになっていくためには、「こういうものをつくりたい」という心の発達が必要であり、どんな人でもトレーニングが必要です。立つ、歩くといった粗大運動とは少し違い、自然にできるようになるものではありません。発達障害(神経発達症)がある場合に見られる微細運動の特徴(併存症として発達性協調運動症がある)それでは、発達障害(神経発達症)があった場合、微細運動の発達には何か影響があるのでしょうか。それはなぜなのでしょうか。●協調運動の課題発達障害(神経発達症)がある場合、神経伝達がうまく伝わらないことがあります。「皿の上にあるボーロを取って、口に運んで食べたい」と脳で思っても、そのとおりに体を動かせないために、ボーロをつまめない、つまめたとしても力が軽すぎて落としたり、逆に強すぎてつぶしてしまう、また、そのあと口元まで運ぶことがうまくできない、ということがあります。●感覚過敏があるため、物に触りたがらないもうひとつの発達障害(神経発達症)の特徴として、感覚過敏があります。そもそも違和感のあるものを触りたがらないために、微細運動の発達の遅れがみられる場合があります。物の温度・手触り・色・材質・形・におい・その物が発する音などについて、温度覚、触覚、視覚、嗅覚・聴覚等が関わってきます。そうしたものについて、いやな思いをしてしまうと、同じ色のものは触りたがらない、といった傾向もあらわれます。また、特に冬場の空気が乾燥しているときには静電気もあり、パチッという感覚を怖がって、物を触らないことがあります。これは、発達障害(神経発達症)がない子どもにも、あることです。こうして、発達障害(神経発達症)がある子どもの場合、微細運動の発達に遅れがみられることがあります。それぞれの動作ができるようになる時期の目安は前述の通りですが、たとえば1歳半を過ぎたころになっても、ものをつかむときに指を使わず手のひら全体でつかもうとしたり、フォークやスプーンがうまく使えなかったりといったことがあります。一般的にいわれる「不器用」というのは、感覚とこうした手指の動きがうまく連動できないということです。体の感覚統合がうまくいっていない場合に起こります。* 感覚統合とは人間の感覚には、既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)に加えて、固有受容覚(手足の状態・筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、前庭覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)といった合計7つの感覚があります。(中略)次々と身体に入ってこようとするこの7つの感覚を整理したり分類したりするのが感覚統合です。このはたらきによって、その場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになります。リハビリではOT(作業療法士)が感覚統合訓練を担当します。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって一番いい療育は、感覚統合訓練が含まれている音楽療法と乗馬療法です。(「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめより)参考:音楽とこころ発達障害(神経発達症)がある子どもの微細運動の発達を促すためにできること微細運動がうまくできない状態は、脳からの神経伝達が体の細部にうまく伝わらず、自分が思ったように手指を動かせないということです。生活する中で身の回りのことを自分でできるようになるためにも、感覚統合を促すようなトレーニングが必要となります。ただ、子どもが興味を示さないようなトレーニングでは、長続きはしません。道具の選び方を工夫したり、遊びの中でチャレンジする機会を増やしたりしてみましょう。うまくできたら、ほめることも大切です。0歳代から遊べる、いわゆる「知育玩具」と呼ばれるおもちゃの中には、手指の動きをトレーニングできるものがあります。ボタンを押したり、ダイヤルを回したりすると音がしたり、形の合う穴に積み木を入れたり、遊びながら手指を使う練習ができます。ユニバーサルデザインの食器類を使うことで、フォークやスプーンが使いやすくなります。通常のスプーンは柄から先端までがまっすぐで、口に入れるためには手首の動きをこまかく調節して角度を変えなくてはなりません。はじめから角度がついているものなら、そのまま口元へもっていくだけで自然と口に先端が向くようになります。自分でうまく食べられたという成功体験を積むことで、いやがらずにトレーニングを進めていくことができます。筆記用具を使う練習は、柄の部分が太く丸いクレヨンなど、手のひらで握ることができるものからスタートします。だんだんと、柄の細い鉛筆やペンに慣れていきます。鉛筆の正しい握り方を伝えるときには、ただ握り方を見せてまねをさせるのではなく、こまかいプロセスに分解して教えることが必要です。親指と人差し指でペンをはさんで持たせてみて、そこに中指・薬指を添えて、小指を紙に接するようにさせて安定した持ち方を覚えます。手指のこまかい動きが必要な、服を着たり脱いだりと言う動作。特にボタンをかけるのは両手の人差し指・親指を使う複雑な動作となります。大きなボタンからトライして、だんだんに小さなボタンも開け閉めできるようにしていきます。靴を履くときには、手指の動きだけでなく、足の動きも連動します。足首をしっかり固定する靴のほうが、歩行の成長には望ましいですが、履き口が深い靴は脱ぎはきがむずかしいこともあります。最近は、ひものないマジックテープの靴(※)もあります。靴ひものある靴は、デザインはよいですが、履くのがとても大変です。特にひもを結ぶ「蝶結び」は、手指の動きの中でもかなり高度なテクニックが必要です。 子どもが自分で脱ぎ履きできるように工夫された靴を選びましょう。※自閉スペクトラム症のある子どもは、こだわりのためマジックテープの位置が気に入るまで何回もはがすことがありますこのほかに、穴にひもを通したり、ひもを結んだり、両手を連動させるより高度な微細運動にトライしていきます。自分の身の回りのことが一通りできる微細運動よりもさらに複雑な動きは、その子がつくりたいものや、やってみたいことに合わせてトライしてみるといいでしょう。いずれにしても、繰り返しトライすることでだんだんにコツがわかったり、腕や手指の可動域が広がったりして、できることが増えていきます。そして、何度もやってみるためには、できたときに「できたね!」とほめられて、成功体験となることも大切です。楽しく遊びながらトレーニングをしていきましょう。微細運動の発達が気になったら、どこに相談する?微細運動の発達が気になったら、まずは1歳6ヶ月健診や、3~4歳児健診などの健診の機会に相談してみましょう。問診の中で指摘されることもあります。また、かかりつけの小児科医に相談してみるのもよいでしょう。リハビリや作業の訓練などをしてくれる作業療法士につなげてくれることもあります。医師の診断のもと、体の動かし方、手指の動かし方をトレーニングしてくれます。個々の骨格や関節の動き方を見ながら、その子に合った動かし方を考えて指導します。トレーニングといっても、楽しく遊びながら自然とできるような方法を教えてくれるでしょう。作業療法士は、単独での判断でリハビリを行うことはできません。医師の診断が必要となります。ケガなどが原因で手指が動かしづらい場合には、整形外科での相談もありますが、発達障害(神経発達症)による感覚統合訓練の場合は、小児科医や児童精神科医との連携となるでしょう。まとめ微細運動の発達を促すのは、何度も繰り返し練習してみること。楽しく遊びながらでなければ続かないし、やらなくなってしまいます。また、「できた!」という成功体験も大切。「訓練しなくては」ではなく、「楽しみながらできるようになる」ことを目指しましょう。(監修:鈴木先生より)かつて、発達障害(神経発達症)は微細脳機能障害(MBD/Minimal Brain Dysfunction)と言われていました。周産期に何らかの微細な損傷が脳内に起こったために多動や不注意など今でいうADHD症状、こだわりや感覚過敏など今でいう自閉スペクトラム症の症状、手先が不器用で協調運動が拙劣など今でいう発達性協調運動症の症状があったと信じられていたのです。しばらくしてそれは否定され、ICDやDSMで「軽度発達障害」という概念が生まれてきたという歴史があります。いずれ、その「軽度」もなくなり、「発達障害」となり、今の「神経発達症」に至っています。今回のテーマである微細運動における障害は、発達障害(神経発達症)のお子さんには比較的多くみられ、「発達性協調運動症」と言われています。手先が不器用でヒモを結んだりボタンをかけたりすることが苦手で、体のバランスや手足の協調運動が悪く縄跳びや球技が苦手なお子さんがこれにあてはまることが多いです。定規を使って線を引くことや字を書くことが苦手なお子さんも多くいます。ただ、根底にADHDのあるお子さんはADHDを治療することによって発達性協調運動症を多少改善することが可能です。非薬物療法としては音楽療法や乗馬療法などもあります。公園やアスレチックなどでバランスを磨き、ブロックなどを使って指先を鍛えることも重要です。トレーニングとしては作業療法士が行う感覚統合訓練が有効です。病院や療育などで行われていますが、感覚統合の講習を受けその資格を持った作業療法士のもとで行うことが重要です。
2022年01月05日■前回のあらすじADHDの特性と対策がわかりやすく書かれた本をナギさん(夫)にすすめてみると、「俺ってADHDだったのかも」と言い出して…。■病院に行ったほうがいい?■生きにくさを感じてる?ADHDは必ず診断・治療が必要なものではなく、ADHDの症状によって生活が困難であったり、ADHDによって鬱などの他の症状が出た時、治したいけど自分だけではどうにもならない時…などに病院に行けば良いということらしいです。(そもそもADHDもクラスに2人くらいの割合でいると言われる、とても身近な発達障害です)しかも大人の発達障害は診断が難しく、医師との相性もあるし…、うちは田舎なので病院自体も少ないです。治療に関して、「薬を使う方法と認知行動療法の主に2つがある」と書きましたが、これは私が自分で調べた、あくまで一般的情報にすぎないということをご理解ください。ナギさん(夫)は突然「ADHDかも?」となり戸惑っていたこと、病院にかかることに抵抗があること、今現在はそこまで困ってないこと、等から、この時は病院に行くのはやめておくという決断をくだしました。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月04日■前回のあらすじ忘れ物だけでなく、話が脱線しがちだったり、ケガも多かったり。夫の行動を思い返してみると、ADHDの特性に当てはまる気がするのでした。■ADHDの本を夫に読んでもらうと…■当てはまりすぎる! と泣きそうになり…ADHDの特徴のひとつとして「子どもの頃から同じ症状があった」というものがあるらしいです。ナギさんも小さい頃から今と変わらず、忘れ物が多かったり、先生の話の内容が理解できなかったり、友達としゃべっていて変な空気になったりしていたそう。自分ではちゃんとやってるつもりでもできていないことが多かったりして、落ち込むことも多く、自己肯定感が低いそうです。私から見たナギさんは、得意な事も多くて尊敬できる部分もあるので、なぜそんなに自分に自信がないんだろう? と不思議だったのですが、他人が理解し難いというのもADHDの人が抱える悩みのひとつだそうです。ADHDはさまざまな症状があるので、人によって当てはまったり、当てはまらなかったりする部分ももちろんあります。本の内容で「これは俺は違うな」というものもあったそうですが、「これぞまさに俺!」という事例がかなり多くあったそうで、本気で泣きそうになったと言っていました。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月03日■前回のあらすじごみ出しを2回以上言われないとできなかったり、複数のお願いを覚えられなかったり、ナギさん(夫)の行動を思い返してみると、ADHD(注意欠陥多動性障害)なのではないかと思い…。■優先順位がこんがらがる夫やるべきことがあるのに、目に入ると別のことを優先してしまう夫のナギさん。私からは、けっこう「衝動的」に見えます。過去に私がキレたのは、ナギさんが娘のムーコのオムツ替えの最中に手を止めてメールをしていたこと(股間丸出しで寝かせてる状態)。それって今しなきゃいけないことじゃないよね? 話の脱線も多くて、自分が何を言おうとしていたのか分からなくなるなんてしょっちゅう。私が話そうとして順序立ててナギさんに説明している最中でも、途中で自分の話に持っていってしまい、脱線させるのが得意。「私の話の続きしてもいい?」と言うとハッとします。■ADHDと言われる症状に当てはまる気が…それから、保育園のお知らせプリントを毎回必ず読んでもらっていますが、その中身を理解できません。「運動会の準備期間になるため、15日以降はパジャマはいりません」「玄関の施錠を新しくしました。9時~15時の間は自動でロックされるので、インターホンを鳴らしてください」こんな感じの文章が、理解できないらしいです。「15日から運動会の日までは、パジャマは持って行かなくていい」「9~15時の間に保育園に行く時は、玄関が開かないからインターホンを押す」等の言い方で、口頭で何度か説明して理解できるという感じ。また、以前仕事でパソコンの事務作業をしていた時は相当苦労していたようです。じっと座って作業をする、というのが苦痛なうえに、作業中に次々と仕事を頼まれるので、頭がこんがらがり、優先順位を間違えたり、忘れたり、終わらなかったり…という状態になってしまったと。今は体を動かす仕事なので、自分に合っているようで特に問題なくこなしているようです。こうして改めてちゃんと書き出してみると、ADHDと言われる症状にかなり当てはまるのですが、今までは性格だと思って特にそんなに気にした事はありませんでした。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月02日大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」まとめ第二弾漫画『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』の監修や、発達ナビでもコラムの執筆などでおなじみのフリーランス児童精神科医の三木崇弘先生。今回はそんな三木先生とママコラムライターさんが対談した大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」コラムをまとめてみました。第二弾でご紹介するコラムのテーマは「言い争いにならない伝え方」「不登校と将来」「進路問題」「障害告知」「子どもと親の距離感」「衝動性」などなど…気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてくださいね。当たり前が分からない!息子が理解しやすい伝え方は?おもちゃを拾ってくれた大人を見て「おもちゃとった!」と大騒ぎになってしまったむっくん。もしかして"当たり前"のことが分かってない?発達障害のある息子の癇癪。納得するのに必要なのは…!?小さなころから癇癪が起きがちなむっくん。ウチノコさんが家庭で行ってる対策や三木先生のアドバイスは役に立つものばかりです。中2発達障害長男。進学しても進路や勉強の悩みは尽きず…中学2年生のASDとADHDのある長男くん。理系の私立の中学に進学し、本人の環境にも合っているのに「進路を変えて定食屋になりたい」と言い出して…!?小5ADHD次男への障害告知のタイミング次男くんも小5になり、そろそろ障害告知をする時期が近づいているのかも…と思うスガカズさん。障害告知、障害受容などどのように考えていったらいいのか三木先生にお聞きしました。親は発達障害のある子どもをどこまでサポートしたらいいの?まだまだコウくんにはサポートが必要だと考えているさとこさん。でも一体どこまで関わっていいのかサポートの加減に悩んでいて…。衝動性からの「ついやっちゃった」への対応への理解と付き合い方ASD・ADHDのあるコウくん。理屈では理解していても「ついやっちゃった」「なんとなく」と衝動性で動いてしまうこともしばしば。そんなときに親としてできることとは…?三木先生のコメントには今後の子育てのヒントがたくさん三木先生の優しさと、ときに鋭さのあるコメントに「なるほど…!」と感じる方も多いのではないでしょうか。三木先生とママライターさんたちの掛け合いの様子も楽しい対談コラムです。各ママライターさんたちの描く三木先生の似顔絵も必見!
2022年01月02日■もしかして夫ってADHDなんじゃ…?こんにちは。前回は、ナギさん(夫)のリボ払いの話にお付き合いありがとうございました。 ▼連載「リボ払いで大失態した話」 この話を読んで、夫どうなん? って思った方も多いと思います。私も思いました。(そりゃね…)実は私は、この事件をキッカケにナギさんに対して、ある事を疑うようになりました。ADHD(注意欠陥多動性障害)ナギさんはもしかして、コレなんじゃないか? と。そして、今回は、この疑惑をナギさんにぶつけたところから始まるお話です。ADHDチェックテストをしたサイトは、最初の6問に答えた後、さらに細かいテストに移行するのですが、そこに行く前に「病院へ」で終了してしまいました。■チェックリストでさらに疑いが…私はナギさんに、ネットでできるADHDのチェックテストをやってもらいました。テストでは、ADHDの傾向や特性と言われているような行動が挙げられていて、そのようなことがあるかどうか答えるようになっています。そしてその結果、「病院へ」という案内表示が出たのでした。私から見て、一番困っているのが「物忘れ」。私自身も物忘れは結構ひどいので人のこと言えないんですが、私は自分でもその自覚があるので、何度も確認するなどして結構防げているんです。夫の場合はこの「確認」もしない。というか、完全に別のことを考えてて頭にない感じなんですよね。続きます。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月01日年末年始にやりたい「アナログゲーム」や、その他いろいろなゲーム関連コラムをご紹介年末年始、ゆっくりと過ごす時間の多いこの時期はご家族でゲームを楽しんでみてはいかがでしょうか?発達障害のあるお子さんと一緒にやりたい、コミュニケーション能力を伸ばせる「アナログゲーム」やすぐに真似できそうなお手製カードゲームなどを紹介。オンラインプログラミングでのゲームつくり体験や、YouTube配信、休み期間だからこそ親子で考えたい「テレビゲームとの付き合い方」なども。気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてくださいね。「アナログゲーム」でコミュニケーション能力を伸ばす!ゲームを楽しみながらコミュニケーション能力を伸ばせる「アナログゲーム療育」をご紹介。伸ばしたいスキル別、年齢別など分かりやすく分類されているのでお子さんの特性に合わせたゲームを選ぶことができます。質問力が身につく!療育でも使われているカードゲームお子さんが楽しみながら「質問する力」を身につけられるカードゲーム「わたしはだあれ?」。年齢の離れた子ども同士で遊ぶこともできるので、きょうだいや帰省先のいとこたちと一緒に遊ぶのにもオススメです。子どもの「視覚優位」を活かしながら遊べるカードゲームドイツAMIGO社の「虹色のへび」は、美しい色のカードを並べてヘビを完成させるゲームです。そのカラフルさは自閉スペクトラム症のあるお子さんの特徴である視覚優位性を生かし、心を掴むのに最適です。お仕事カードからさまざまな仕事を知り、「なりたい自分」について考える!『7歳からできるみんなのハローワークゲーム』『7歳からできる みんなのハローワークゲーム』は、仕事をテーマにしたカードゲーム。105枚の「お仕事カード」と42枚の「とくちょうカード」、そして1〜3位の「順位カード」を使って行うゲームは、さまざまな職業との出合いと自分の興味に気づくきっかけになるのではないでしょうか。子どもの語彙力を伸ばすために。お手製のカードゲームで楽しくトレーニング2歳7ヶ月のときから1ヶ月に1回ほど言語訓練に通い始めたあーさん。おうちでもトレーニングを!と思いSAKURAさんは絵カードを作成。発達に合わせて絵カードの使い方が変わっていく工夫の様子が素敵です!ゲームについて親の悩みはさまざまで…寺島さん一家は家族そろってゲームが大好き!兄のタケルくんや妹のいっちゃんのゲーム遍歴など、寺島家のゲームとの付き合い方をご紹介いたします。ADHD息子とテレビゲームの付き合い方を考える5歳でテレビゲームデビューした、ADHDと自閉スペクトラム症のあるむっくん。ウチノコさんはむっくんの特性を考えて最初に「ゲームを楽しむためのルールつくり」を始めます。小1、ASDミミくんの初めてのゲームづくり体験!オンラインプログラミング教室で初めてゲームつくりを体験したミミくん。集中できる?楽しめる?ゲームは完成する!?その様子をtaekoさんにレポートして頂きました。発達凸凹きょうだい、なんとyoutuberデビュー!情報を得たり、ケンカトラブルを減らせる一方で、子どもたちが熱中しすぎてほかの活動の妨げになってしまうなど、悩みのタネになる面もある「YouTube」。そんな中、パパの提案で親子でYouTube配信を始めたスガカズさん一家。前半は配信のためのルールつくりや保護者のやるべき環境調整について、後半は配信で得られた変化や成長などを振り返っています。ゲームで家族のコミュニケーションをさまざまなゲーム関連のコラムをお届けしました。年末年始はご家族みんなでゲームなどをして、楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年12月31日大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」まとめ第一弾漫画『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』の監修や、発達ナビでもコラムの執筆などでおなじみのフリーランス児童精神科医の三木崇弘先生。今回はそんな三木先生とママコラムライターさんが対談した大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」コラムをまとめてみました。第一弾でご紹介するコラムのテーマは「癇癪」「親の心の傷」「きょうだい児問題」「学校トラブル」「将来の方針」「コミュニケーション問題」などなど…気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてくださいね。「怒る」の定義が違う?条件反射のように癇癪を起こす息子への対応方法感覚過敏もあり、刺激に対する不安や癇癪の多いむっくん。本人の恐怖心や不安を取り除くために、親ができることとは。ポイントは『屁理屈』!? 本人が怒られたと感じないための言い回しとは母のウチノコさんの言葉の意図が伝わらず、結果怒られたと思い癇癪につながることのある息子・むっくん。そんなむっくんが納得するのに必要なのは「屁理屈」だった!?発達障害児育児をしている方に読んでほしい。自分自身を大切にするために。育児を通して自分の心の傷に気づく瞬間ってありませんか?自分で自分を癒していくためのヒントがもらえる、そんな素敵なコラムです。きょうだい児の気になる「誤学習問題」について4人きょうだいのスガカズさん一家。障害児ときょうだい児両方の子育てをする中で気になる「誤学習」についての解決方法や確認方法など、参考になるアドバイスがたくさんです。きょうだい児の精神的フォロー、どうしたらいい?長男・次男に発達障害があり、その下の長女・三男が定型発達。障害のある子に手がかかってきょうだい児がガマンしすぎていないか心配…。そんなきょうだい児へのフォロー方法などを三木先生にお聞きしました。発達障害のある子の学校トラブル、先生への相談の仕方は?ADHDのある次男くんが小1のときの出来事です。親と学校側の連携がうまくいかなかった経験のある母のスガカズさん。あのとき、一体どんな対応すればよかったの?「長い目で見て方針になるもの」が知りたい!ASD親子に必要なのは「失敗への準備」?どうしても「現時点での課題」に目が行きがちだと話すコウくんの母、丸山さとこさん。長期的な方針が知りたいと三木先生に聞くと、鋭くも現実的なアドバイスが返ってきて…。成長はしているけれど…ASD息子のコミュニケーション問題以前より落ち着いて会話ができるようになってきたASDとADHDのあるコウくん。ですがまだまだコミュニケーションの課題は多く…。各ご家庭、さまざまな悩みを抱えているけれど三者三様、さまざまなお悩みがありますが、三木先生の回答やお話の中で解決の糸口が見つかっていく様子が素敵ですね。参考になる対応方法や考え方などもたくさんです。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年12月27日小学2年生だった次男がいじめにあう発達障害の中でもADHDとASDのほか、躁鬱病(双極性障害)がある猫ママ(仮名)さん。学生時代はまだ発達障害や躁鬱病が今ほど世の中に知られておらず、周囲の理解が乏しい中、「突然落ち込んで動けなくなる」ことが多かった。「あの子は怠け者」。夏休みの宿題もやり切れたことがなく、いつも「頑張らなきゃ」と無理をしていた。高校卒業後、1年余り会社勤めを経てすぐに結婚。3人の子宝にも恵まれた。ただ、当時小学2年の次男が日に日に元気がなくなっていくのを見て、違和感を覚えていた。すると授業参観の日、担任教師から「お子さんが友達に対して注意をすることが多く、反感を買っている。その話を本人にしたら、最近元気がなくなってしまった」と言われたという。しかし、詳しく状況を確認をしたところ、担任教師の対応がクラスのいじめを助長していたことが発覚。学校に事実を伝え、事態は収拾したものの、猫ママさんの心に引っかかったことがあった。「友達に注意をすることが多い」とは――。周囲に自閉スペクトラム症のある子どもがいたことから発達障害の勉強をしていたという猫ママさんにとって、次男の特性があてはまることに気付いた瞬間だった。Upload By 桑山 知之「勉強もできて友達だってたくさんいる、こんなにいい子なのに、発達障害だなんて有り得ないって最初は思いました。でもある日、夕飯を作っていたときに肉じゃがを見て次男が『これ、何ていう食べ物だっけ?』って言ったんですよね。何度も食卓に出している献立の名前も知らなかったのか、今まで意識したこともなかったのかと――それで次男にはなにかあるという確信に変わったというか。でも、どこか気持ちが軽くなったんですよね」(猫ママさん)その後、学校でのルールに耐えられなくなり、眠れない日々を過ごしたという次男。診断の結果、ADHDとASDがあることがわかった。「しんどいからできない」のか「甘えている」のかが分かりづらく、叱るのを躊躇した時期もあったが、特性を深く理解することで線引きがわかるようになったという。息子が苦手なことは自分も苦手――自身も発達障害の診断をUpload By 桑山 知之次男のあと、長男や三男の障害も明らかになった。そして猫ママさん本人も35歳のころ、診断を受けた。夫は診断こそ受けていないが、息子の担当医によれば「間違いない」という。こうして“発達障害一家”として歩んでいく決意を固めた猫ママさんは、子どものサポートに徹しようと仕事をせず、書類や水筒を忘れたらいつも学校まで届けた。「家族のサポートをする上で、私自身の苦手分野と彼らの苦手分野が被りすぎていることは、ハッキリ言ってかなりの負担です。誰か1人でもいいから、片づけができるといいんですが…。彼らの負担を軽くするために、彼らがどうしてもできないことはやってあげたいと思っています。ですが、私も同じようにどうしてもできません。私だってできることなら誰かに頼りたい」(猫ママさん)Upload By 桑山 知之思い返してみれば、猫ママさん自身も子どものころ、空気が読めなかった。周囲の様子をきちんと理解できていなかった。相手の表情や、何を喋っているか、あらゆる情報が今でもほとんど思い出せない。でも母親や教師からはよく怒られた。当時を知る高校の同級生からは「あのころはマシンガントークがすごくつらかった」とも言われた。どうやら、しょっちゅう友達の間に割って入って自分の話をまくしたてていたらしい。発達障害一家だからこそわかること「ゆっくりだけど、みんな学んでいる。」これはドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』の中に差し込まれたコピーだ。猫ママさん一家も、決して例外ではない。Upload By 桑山 知之社会には、どうしても守らないといけないルールや、やらないといけないことがある。しかし、発達障害のある人にとって、「できないこと」や「わからないこと」があるのも事実。猫ママさんは、自分なりのペースで「誠意を持って生きる」ことが大切だと話す。「そもそも、自分が何をわかっているのか、わかっていないのか、わかっていないことがわかっていないというか。それダメだよって言ってくれれば、ダメなんだってわかるんだけど、言われなかったり酷い目に遭わなかったらわからないんです。そういう人多いんじゃないかな、ラインがわからない人。感覚としてわかんない。備わっていないんです」(猫ママ)Upload By 桑山 知之苦しんで育ってきた自分だからこそ、息子3人が一体どういったことに苦しんでいるのかがわかる。そのサポートをしながら、親がレールを敷くのではなく、本人の意思を尊重してきた。そのうえで、子育てにおいて大切なのは、「何ができるか」ではなく、「愛される人間であること」だという。「いちいち他人を敵に回すようでは、困ったときに助けてあげようと思ってもらうことはできません。逆に、できることが少なくて手がかかっても、いわゆる憎めない人には、ピンチのときに誰かが必ず助けてくれると思うんです。特性ゆえにわからないならなおのこと努力が要るのではないでしょうか。そのためには、障害を受容し、許容することが大前提になるのだと思います。まず親が一番最初に、わが子をしっかりと受け止め、許容すること。できないことを受け止め、その中で一緒に歩いていくこと。そしていつか必ず『手を離す』覚悟を持って」(猫ママさん)長男は25歳になり工場用機械を作る会社に就職。次男は21歳で名古屋のアパレルショップで働いている。三男は全日制の高校に通う1年生だ。猫ママさんは10年前から、発達障害や家族のことを知ってもらおうとブログなどを通じて発信を続けている。特性と躁鬱の症状で仕事は途切れがちだったが、現在はクローズ(※障害があることを申告せずに一般雇用で就労すること)でサポート側として2年半継続して勤務している。ゆっくりだけど、みんな学んでいる。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文/桑山知之取材協力/若者支援ネットワーク研究会in東海(監修・三木先生より)「誠意をもって生きること」「愛される人間であること」はすごく大事ですね。どういった苦手さを持っているかももちろん人生に大きく影響するのですが、その困難に直面したときに誰かに助けてもらえたり許してもらえるようなキャラクターだったり振る舞いができたりすることは、実は何よりも強い武器なのかもしれません。
2021年12月22日発達ナビPLUSがもっと使いやすく、もっと見やすくリニューアル!Upload By 発達ナビ編集部発達ナビのプレミアムサービス「発達ナビPLUS」では、スマホ1つで発達支援の専門家とつながり、ご家庭のお悩みを解決までサポートするオンラインサービスです。「発達ナビPLUS」は、約1年半のあいだサービスをお届けする中で、たくさんいただいたユーザーのみなさまのお声をもとに、2021年12月にリニューアルしました!今回は、サービスの内容やリニューアルしたポイント、またユーザーさまからのうれしいお声も紹介していきます。満足度98%!専門家による個別アドバイスが届く。Upload By 発達ナビ編集部発達凸凹子育ての「こんなときはどうすればいいの?」に幅広くお答えします。 支援経験豊富な専門家が、保護者さまのお困り内容を整理し、お子さまの発達状況や環境情報などの分析と、分析に基づく個別最適な手立てをアドバイスします。Upload By 発達ナビ編集部■ 相談カテゴリが追加!今までも、子育てに関連するお悩みはどんなことでも受け付けていましたが、特に多くのご相談がくるカテゴリについては、新しくカテゴリとして、導入しました!■ 過去の相談と回答が一覧で見やすく!過去のご相談の流れを一覧ですぐに見返しやすくなりました。また、一覧にある過去の相談から「継続相談」を開始しやすくなりました!「相談がびっくりするぐらい丁寧で、ありがたいです。下の子が小さくなかなか相談機関に行けないので、オンラインがすごく助かります。また自分のいい時間にゆっくり相談したい内容を書いたり読んだりできるのがいいです。ありがたい支援システムをつくっていただきありがとうございます。(ASD, ADHD・小学生の保護者さま)」「学校で起こったお友達とのトラブルや、困り事を相談しています。具体的な事例を入力するだけで、専門家の先生が整理してくださり、トラブルや困り事の根本の部分をあげて、さらに具体的な対処法や練習法を教えてくださいます。(ASD, ADHD・小学生の保護者さま)」「一般的には、医師や心理士の予約には時間もかかりまた話したいこともあまり話せなかったりしますが、発達ナビPLUSだったら、文章にして相談できるのでいいです。面と向かって話さないで相談できる場所は、リアルな相談場所に行くまでの支えになります。(ASD,知的障害・未就学児の保護者さま)」その場でチャット質問もできる!ライブ配信Upload By 発達ナビ編集部ここでしか聞けない、幅広く、細かいテーマ設定で、医師・心理士など専門家が疑問を解消するライブ配信では、事前の質問に加え、その場でチャット質問も受け付け、専門家が答えていきます!リアルタイム参加できなくても、録画動画での視聴も可能です。「ライブ配信の録画は、悩んでいることの最新のものがながれることが多いので本をみるより分かりやすくいいです。(ASD, 知的障害・未就学児の保護者さま)」「主にライブ配信や録画動画を利用させていただいていますが、配信内容がカテゴリ別になっていて、子どもの状況や特性に合った内容を自分で選んで視聴できるので、知りたい情報がすぐに見つかり、とても役立っています。内容も充実していて、心理士や作業療法士など、専門の知識を持った方が講師をして下さるので、とても勉強になります。(ADHD・小学生の保護者さま)」「子供の対応の仕方で迷った時に、その時に必要な過去の配信を検索して観て、専門家の意見を学んでいます。通級指導教室、療育にも通っていますが、それぞれの先生の意見を聞いて、発達ナビPLUSの配信動画、を観て自分の意見をまとめてから対応するようにしています。(ADHD・小学生の保護者さま)」解説動画、教材・支援ツールなどがカテゴリ別に見つかる!Upload By 発達ナビ編集部さまざまなお悩み別に、5分~15分でわかる解説動画や、7,000点以上の教材・プログラム、よみもの(記事)にアクセスできます。 今の悩みに合ったコンテンツを手軽に探せます。過去に開催したライブ配信もお悩み別に探せます。Upload By 発達ナビ編集部■ おすすめ機能・お気に入り機能が追加!お子さまの年齢情報をもとにした、おすすめ機能がつき、よりご自身にあった情報が見つけやすくなりました。さらに、「あとで見たい!」と思ったコンテンツを保存♡できる、お気に入り機能も追加!■ カテゴリ検索で、今ほしいコンテンツがすぐに見つかる!画面右上の虫眼鏡マークから、お困りカテゴリを選択し、今困っていることに答えるコンテンツにすぐにアクセスできます。大きいカテゴリが12種類、小さいカテゴリが56種類あるので、あなたの今の悩みがきっと見つかります。「支援にあった教材がダウンロードし放題なので、きょうだいそれぞれ、その子に合わせて使用させていただいています。(ASD, ADHD, LD・小学生の保護者さま)」「支援教材もよくチェックしています。どんな力が身につくか、スモールステップで示されており、また、画像付きなのでとてもわかりやすいです。(LD・小学生の保護者さま)」「解説動画では、実践を含めてわかりやすく説いてくれるので親にとってはとても有難いです。(ASD, ADHD, 知的障害・小学生/高校生の保護者さま)」ライフステージマップで先の見通しまで安心にUpload By 発達ナビ編集部未就学から学齢期、思春期、成人と、ライフステージが変わるごとに、必要な情報や困りの内容も変わります。今後を見据えた情報を一目で把握できるようになりました。マップから直接、解説動画やよみものなどのコンテンツにアクセスすることもできます!入会特典で3万円分の相談がついてくる!発達ナビPLUSは、リニューアルを通して、発達が気になるご家庭の子育てに、より確かな安心を届けてまいります。入会特典として、発達ナビPLUSの相談チケット実質3万円分がついてきます!くわしくは、サイトをご覧ください。Upload By 発達ナビ編集部
2021年12月16日子どもの”発達障害がある可能性”に気づいた、私の母のケースUpload By 丸山さとこ私には発達障害のある小6の息子がいます。また私自身、大人になってから(息子が生まれる前)自分に発達障害があることが分かりました。息子のコウは、幼少期から「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの発達障害あるあるの行動がよく見られましたが、私は3歳児健診まで息子に発達障害があることに気がつきませんでした。一方で私の母は、私の幼少期に「娘には発達障害があるかもしれない」と感じていたそうです。今回は、私自身の幼少期と母が感じていたことについて書きたいと思います。私と発達障害の関係の始まりは、私が幼児だったころにさかのぼります。今よりもずっと発達障害に関する情報が少なかった昭和50年代でしたが、私の母は「娘は何かしら発達に障害を抱えているのではないか」と感じていたそうです。幼いころの私について、母は「言葉の発達は早いものの言葉づかいが子どもらしくなかったり、力は強いのに歩く姿が不器用でよく転んだりしていたのが気になっていた」と言います。その母は、『さとこが少しでも歩きやすいように』と”少しでも軽い靴を探す”などの工夫をしていたそうです。Upload By 丸山さとこ幼いころの私に対して、コミュニケーションの遅れは特に感じたことがなかったそうです。しかし「とにかく子どもらしくないような違和感があった」「甘えない・後追いをしない・大喜びをしない・おままごとをしない、などの行動に引っかかりを感じていた」と母は振り返って言います。幼いころのコウのように「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの、分かりやすい発達障害がある傾向は見られなくとも、母は私の”日常の中のささいな姿”に対して違和感を覚えることが増えていったそうです。Upload By 丸山さとこ健診で総合病院に行った際など、母は何度か娘の発達に関する違和感について医師に相談してみたそうです。しかし「知的にも順調に発達しているし動作にも問題は見られない」と言われ、”不安症な母親への軽い子育てアドバイス”をもらってその場は終わったそうです。私はその後、成人してから発達障害(ASD・ADHD)の診断を受け、現在ではADHD治療薬を服用しています。今になって振り返れば、幼い私に対して母が抱いていた違和感は正しかったわけです。Upload By 丸山さとこ保育園に入園してからの私は、”指示の通らなさ”や”こだわりと見られる行動”によって集団の中でも目立っていたそうです。現在の基準であれば「発達障害がある可能性」を指摘されたかもしれません。ですが、母が違和感を抱き始めたのは私が未就園児のころであり、集団の中での違和感が目立つよりも、もっと早い段階の話だったのです。『なぜ違和感に気づくことができたのだろうか?』と先日改めて母に聞いたところ、意外な…けれど、とても腑に落ちる答えが返ってきました。”自分の子ども”以外の子どもと接することで、分かることもある!?現在60代の母が若かったころは今より子どもの数が多く、近所や親戚の子どもを預かったり見かけたりすることもかなり多かったそうです。公園や広場や園で見かける姿とも少し違う、子どもたちの”家庭での素の姿”を目にする機会も多かったため、経験から漠然と『個性はいろいろあるけれど、子どもには大抵こういうところがある』という”一般的な子ども像”を持つに至っていたのだと思う…と母は言いました。Upload By 丸山さとこ「だから、さとこを育てていて『子どもなら多かれ少なかれするはずの行動をとらない』ことが引っかかったんだと思う」「発達障害の知識はなかったけれど、とにかく子どもらしくなくて妙だな~…と感じていたよ」…と続く母の話を意外に思いつつ、同時に「あ~、でも、ちょっと分かるかも! そういえばそういうことあったな!!」と思い、私はヒザを打ちました。コウが小学生になったころ、未就園児だった親戚の子を預かったことがあります。そのときに「これが定型発達とされる子どもか~!」と発達の違いに驚いた経験があったからです。私も、大人になってからコウ以外の子どもに関わった経験がなかったわけではありません。親戚の子どものお守りをしたことや、友人の子どもと遊んだ経験はありましたし、コウが産まれてからは公園でほかの子どもの様子を見ることもありました。けれども、当時の私はコウとほかの子どもを比べたり周りを見たりする発想が(今以上に)乏しかった気がします。私自身に発達障害があるから…ということも理由かもしれませんが、単純に、初めての子育てで周りを見たり比べたりする余裕がなかったからなのかもしれません。Upload By 丸山さとこそんな私であっても、3歳児健診のおかげでコウが発達障害である可能性に気づくことができたので、「今の時代でよかったな~」と思います。周囲と比べて焦らなくてもよいと考えてはいますが、その時々のコウの発達状況における"必要な手立て"が見つけられるように「『周りの様子』と『コウの現在位置』を見ることは大切なんだな~!」と思う私でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)幼児期は女の子の場合、男の子よりコミュニケーションの発達が早い傾向があるため、発達障害の特性は目立たないケースが多く、今のお医者さんでも女の子の発達障害を早期に診断するのは難しいものです。お母さんがこの当時、さとこさんの発達の偏りに気づいていたということは、周りの人と比較するだけでなく、さとこさん自身を本当によく観察されていたのだと思います。同じ母という立場で、自分の母親と子育ての話をする中で、これからもプラスのヒントが見つかるといいですね。3世代のよい親子関係性が築けているのがすてきだと思いました。
2021年12月09日子育てをしながら、ふと思った「ほかの家庭はどうなんだろう?」Upload By スガカズ私は、4人の子どものママです。中2の長男にADHD+ASD、小5の次男にADHDがあります。子どもたちには、「自分を価値ある存在として障害を肯定的に捉えて成長してほしい」と思っています。わが家は私がメインで子育てをしているスタイルだったのですが、パパに対して「積極的に子育てに参加してほしい」「子どもたちのありのままを受け入れてほしい」と思い、いろいろと関わり方を模索したり、子どもたちとどう関わってほしいかパパと何度も話し合いをしたりしました。ですが、お互いの価値観や子育ての方針は少し違います。私は子どもの気持ちに寄り添っていきたいのですが、パパは子育てにきびしいところがあり、それがきっかけで子どもたちが癇癪を起こしたり、パパと子どもが言い合いになることもしばしば…。タイミングをみて、パパの考えを代弁するなどして子どもへのフォローをしたりしますが、まれに私自身がパパと険悪になることもあります。また、夫婦で言っていることが違ってくるという矛盾が生じることもあります。「子どもたちが親のことを信用しなくなるのではないか?」「家でも外の世界でも安らげる場所がなくなるのではないか?」そういった不安は昔からありました。ですが、今のところ子どもたちは私のことを頼ってくれますし、パパと子どもたちは共通の趣味があり、私ではできない関わり方を持っていることもあって、子どもたちが大きなストレスをためているようではなさそうです。現在は目を光らせつつも様子をみている状況です。そんなわが家での日々を送る中で、ふと、「ほかの家庭はどうなんだろう?」という疑問がありました。そこで、今回SNSを通じていろいろな立場の方にお話をうかがってみました。その中の、3人のママと1人のパパのお話を紹介させていただきます。※お話を伺った方には掲載の許可をいただいておりますYさんの場合(長男小5・ASD・ADHD・LD、次男小2・ASDのママ)Upload By スガカズわが家の小5長男と小2次男は二人とも発達に凸凹があります。長男はASDで、一日のルーティンが決まっていたり、自分が「よくない」と思ったときに相手の行動をつい指摘してしまったりと真面目でこだわりが強いという特性があります。義母に聞いたところ、そんな長男は小さいころのパパと本当にそっくり。パパにとって小5の長男は、小さいころの自分と重なるようです。自分自身が感じた生きづらさを受け入れることが難しいのかもしれません。長男に対して(特に勉強について)厳しくなりがちです。結果、長男の癇癪スイッチを押してしまい悪循環に…。一方で、私はパパの真面目で誠実な性格を素敵だなと思っています。日々頑張って働いており、私にとっては「いつかは息子もパパのような大人になるのかな?」と、希望の光に思っています。土曜日は私が仕事なので、パパはワンオペで子どもたちと一日を過ごします。「公園に連れて行かないと!」と、マイルールにしばられて、イライラしながらも不器用に頑張っているパパをかわいらしく思いますし、頼もしくも感じています。Iさんの場合(長女9歳・ASD、次女5歳・軽度知的障害・ASD、三女5歳・境界領域知能・ASDグレーゾーンのママ)Upload By スガカズ先日、長女の過剰歯を抜くために2泊の入院、手術がありました。手術の一ヶ月前にパパには、「その日は、早く帰って来てね」とお願いしたのですが、パパはスマホをいじりながら「その日は仕事~…」とそっけない返事が…。長女の入院や手術の付き添いは、義母に頼めたのでよかったのですが、私は下の子たち二人の世話をしながら「手術無事に終わったかな?泣いてないかな?」と心配でした。案の定、当日パパは早く帰ってくることも手術の様子を気にかけることもありませんでした。マイペースでやさしいパパなので、子どもたちにもいつもやさしいです。そんなパパの性格を理解はしているものの、今回のことは少しだけがっかりしてしまいました。Sさんの場合(長男5歳・ASD、長女3歳のママ)Upload By スガカズパパに子どものことを頼むときは、一から十まで言わないと後始末を私がしないといけないくらい大変です。例えば、「ちょっと子どもを見ていてね」と言ったら本当に見ているだけ、だったり。「結局私が対応したほうが効率よいな」と思ったことも多いため、私がほとんど動いています。そのため、長男の障害者手帳や受給者証も申請からフォローまで、全部私の担当です。長男には、自閉スペクトラム症(ASD)があり、こだわりが強めで、思い通りにいかないと癇癪を起こしてしまいます。そして、そんなときはだいたいパパが余計なひとことを言って火に油を注いでしまい、クールダウンさせるのがさらに難しくなることがあります。現在、長男は年中。お薬に少し助けてもらいながら本人も頑張っていることもあり、パパと長男のケンカは以前より減りました。とはいえ、まだ情緒が安定しない時期なので、長男の対応は私がほとんどしています。その間は、パパには長女の相手をお願いしています。最近になって長女の運動面に課題があることが分かり、療育に通い始めました。私の負担が増えたため、実家の母に協力してもらいながらなんとか日々こなしています。将来子どもたちが成長したころには新しい問題がたくさん出てくると思うので、パパの出番が今よりも増えることを期待しています。Gさんの場合(長男7歳、次男5歳、三男3歳のパパ)Upload By スガカズ私自身、発達障害の当事者でADHD(積極奇異型)があり、子どももある程度特性があり、発達が気になっているので様子を見ています。夫婦の子育てにおける役割は、大きく分けると「社会性」はママ担当、「創造性」は私担当です。私は好きなことは思いっきりしたいタイプで、逆にしたくないことはおざなりになりがちな特性があります。子どもたちと基本的に楽しく過ごしたいので、休日はめいっぱい遊びます。私が全力で遊びすぎるあまり、子どもたちに「気をつけてね」と言われるほどです。子どもたちに怒るポイントは夫婦で違います。私は、例えば危険な行動をしたときなど、行動そのものをやめさせる必要があるときに怒ることが多いのですが、ママは子どものミスを責めるような言い方をするときがあります。例えば子どもがお茶をこぼしたらママはイライラしながら、「何やってんの!?」と怒ります。社会性を育てる上でママが子どもたちと関わることが多いから、そのような対応になってしまうほどストレスが溜まってしまっていることもあるのだと思いますが、ママの子どもたちへの対応がきっかけで夫婦が険悪になることも…。これは逆も然りで、もちろんママが私に対してイライラすることもあります。お互い、相手の怒ってることにイライラしてしまうのです。話し合いを重ね、現在はなぜ妻がそのような態度になるか理解できるようになり、お互いを認め合うことでお互いの関わり方も変わってきました。わが家の場合、仕事の都合上夫婦の生活スタイルが違うので、最近は一緒に子育てする機会が減ってきましたが、タイプの違う両親からいろいろ学んでほしいですし、子どもたちにはたくましく育ってほしいなと思います。話を伺ったあと感じたこと今回4人のママ、パパからのお話を聞けて、「みんないろんな気持ちを抱えながら日常を過ごしているんだな」と感じました。一緒に子育てするパートナーであっても生活スタイルも価値観も立場もそれぞれ違うので、分かってはいても相手の子どもへの対応などに疑問を抱いたりすることはあると思います。私自身、理想の夫婦を見つけたときに、自分の環境と比べてしまい「同じようにできないな…」と少し落ち込んだりする経験もありました。でも、わが家のパパだからこそできる役割をお願いしてみたり、家族が少しでも穏やかに過ごせるサポートをこれからもしていこうと改めて思いました。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)一方が相手に対して「これくらいは察してほしい」と思っても、相手の側から見ると「言ってくれなければ分からない」というギャップがあったり、一方は「共感してほしい」と思って話をしたのに、話を聞いた方が一方的なアドバイスをしてしまい相手を怒らせてしまったり、(そこまで感情的にならなくていいのに…)などと感じることもあるかもしれません。パートナー同士の子育ての方針が異なる場合もありますが、それについてお互いがコミュニケーションをとれることがまず大切だと思います。お互いの得意不得意を認め合いながらいけるといいですね。
2021年11月29日小学校でも支援を受けていたけど、日本語で発達障害を理解し子どもに伝えたかったIさんは25年以上前に渡米し、アメリカ人とご結婚。お子さんは現在9歳で、ADHD、不安症、反抗挑戦性障害(Oppositional defiant disorder ; ODD)と診断されています。Iさんは、2歳ごろからお子さんにADHDの可能性を感じ、診断前から地域の幼稚園で行動療法の先生をつけてもらうなど、支援を受けていました。ところが、小学校に上がるとさまざまなトラブルが起こり、合理的配慮を得るために6歳のときに診断書をもらうことに。そして2021年から、『発達ナビPLUS』を使い始めました。――今、お子さんはアメリカの小学校でどのような支援を受けていますか。Individual Educational Plan(個別教育計画)という、その子に合わせた学習支援として、1週間に1回カウンセラーの先生と個人的なセッションを受けたり、グループで遊びながらスキルを学ぶ時間をとってもらったりしています。aid(支援員)もついています。こう話すと支援が充実しているように思われるかもしれませんが、ここまでたどり着くには、自分で調べて学校に対してかなりしっかり自己主張しなくてはならなかったという経緯があります。主張しないまま学校に居づらくなって転校する人もたくさんいると思います。――そうだったのですね。充実した支援を受けられていながらも、『発達ナビPLUS』を利用しようと思ったのはどうしてでしょうか。日本語で、自分の子どもの特性や状況に合わせたアドバイスがほしいと思ったからです。たしかに、発達障害の支援に関してアメリカは進んでいると思いますし、英語で調べれば多くの情報を得ることができます。普段の日常会話では、いちいち日本語に変換したりはしませんが、こうした発達障害や子育てのことは、頭の中で日本語で一度理解して、今自分が何をしているのか、次は何をすべきかを整理してからでないと先に進めなくて。カウンセラーや行動療法の先生に英語でアドバイスを受けたり相談したりして、言われたことを行動に移してはみるけれど、やはり私自身の身についていない感じ、腹落ちしていない気がしていました。それでは、子どもにも伝わっていないだろうなあと。また、本を読んで理解したとしても、書いてある通りにはいかないですよね。場面によっても違うし、子どもによっても違う反応になります。結局、情報を英語で読んでいても日本語で読んでいても、「わが子ならどうなのか」が重要だと思いました。――それで日本語で検索してみたということですね。はい。日本語で、「ADHD発達障害」といった言葉で検索しました。そうしたらずいぶんたくさんの情報があることに気づきました。なんだ、もっと早くアクセスしてみればよかった!と思いましたね。そして、検索して見つけたLITALICO発達ナビPLUSのオンラインセミナーに参加したところ、『発達ナビPLUS』を知り、良い機会かなと思って入ることにしました。Upload By 発達ナビ編集部アメリカは精神科医のアドバイスを受けるだけでも高額。『発達ナビPLUS』は費用的なメリットが大きかった――『発達ナビPLUS』を利用しようと思われたポイントはどんなところにありましたか。まずは、日本語でさまざまなサービスを受けられるということ。そして、費用の面は大きかったです。アメリカでは医療費が高額で、さらに精神科医による診断は保険がきかないので、1回の受診が最低でも400ドルから、アドバイスや療育を受けようと思うと2,000~6,000ドルくらいかかるのです。アメリカでは、スペシャルニーズがある子どもがいる家庭は、そうでない家庭よりも1年で150万円くらい余計に費用がかかるとも言われているし、私自身も、そのことを実感しています。たしかにアメリカは、療育についての研究は進んでいるし支援もあるのですが、それを利用するには非常にお金がかかるというのが現実です。それにくらべると、『発達ナビPLUS』は、月額3,000円程度で『個別ケース相談』や勉強会の『ライブ配信』で、専門家の意見を聞けるし、教材も自由にダウンロードできる。しかも日本語。こんなに「使える」サービスはないなと思いました。勉強会にオンラインで参加すると、専門家にチャットで質問ができて助かる――実際に使ってみて、特に役立ったのはどのメニューですか。勉強会の『ライブ配信』です。はじめのころは必死だったので、自分の子どもの年齢に当てはまるテーマは、ほとんど参加していました。13時間の時差をこえてでも、参加したいと思う内容でしたね。アメリカで個別の相談をしようと思うと、金額の問題もありますし、とにかく予約待ちの期間が長いのです。それが『ライブ配信』では、勉強会の最後にチャットで専門家に質問できて、核心をついた答えが得られるのです。その場で解決できることに感謝しました。――印象に残っているのは、どのような勉強会でしたか。薬に関しての勉強会ですね。そのころ、子どもに薬を飲ませるかどうかで1年くらい悩んでいたときでした。薬以外のできることをやったあと、2人の医師に全く違う効果の薬を提案されていました。そのことを小児科医の先生にチャットで質問したら、お答えいただける範囲でそれぞれの薬の特徴や用法を聞くことができました。また、「いつ子どもに、発達障害があることを伝えるか」というテーマの勉強会で、精神科医の先生の「今すぐですよ」という言葉も、薬を飲ませることに関してあと押しになりました。どういうことかというと、薬を飲むかどうかは、子ども自身で決めたほうがいいと思っていたのですが、そのためには、子どもにADHDであることを伝えなくてはなりません。本人に、いつ・どう知らせようかと躊躇していたのですが、先生の言葉をきっかけに、子どもに伝えることができました。その結果、子どもが自分で決めて薬を飲むようになりました。――『個別ケース相談』のほうはいかがでしたか。メールでの『個別ケース相談』は、3回ほど利用しました。何科に相談したらいいのかわからないことがあって、症状を説明して聞いてみたら、考えられる可能性を提示していただけました。やみくもに病院に行くことは費用や時間の面からも難しいので、専門家の意見を事前に聞けたことは大きかったですね。ほかの相談をしたときも、いろいろな可能性を考慮して、専門家がこまやかに回答してくれました。「あ、そういう観点からも考えられるか」といった気づきをもらえるので、とても助かっています。日本語で得られたアドバイスは、子どもにも伝えやすく感じています。駐在員の方は、帰国後も療育コンテンツを使えるのではと思います――海外に住んでいる方で、これから『発達ナビPLUS』を使う人へのメッセージはありますか。海外に永住している私のような方には、待ち時間なしで日本の先生に聞きたいことをチャットで聞ける勉強会の『ライブ配信』をぜひ試してほしいと思います。駐在の方はいずれ日本に帰られると思いますが、日本に帰っても継続して『発達ナビPLUS』を活用できると思いますよ。それから、親自身のケアの意味でもおすすめしたいです。子どもが学校で何かトラブルがあったとき、子どもは学校でセラピーを受けられるかもしれないけれど、親自身のセラピーはなかなかないですよね。『個別ケース相談』などを使って、日本語でしっかり吐き出すことも大事なのかもしれません。――ありがとうございました。取材・文/関川香織Upload By 発達ナビ編集部発達が気になるお子さんの保護者さま向けサービス『発達ナビPLUS』では、オンラインで医師・心理士など発達支援にかかわる様々な専門家と繋がり、個別相談や勉強会を通して、子育てをサポートします。― 発達ナビPLUSの3つの特長 ―1.「わかる」から「解決」まで子どもの行動の「どうして?」が分かれば、「こうすればいいんだ!」につながります。『発達ナビPLUS』では、各ご家庭に合わせた個別最適な手立ての実践までサポートします。2.50名以上の専門家がサポート医師、心理士などの発達支援の専門家が50名以上在籍。どこにも相談できなかった悩みも、幅広い専門性で納得いく解決策をご提案します。3.「すきま」でプラス忙しい育児の味方!5分でわかる解説動画も多数あります。スマホ一つでいつでも、どこでも子育てのヒントを。くわしくは、お得なクーポンも配布中の以下よりご確認ください。
2021年11月27日休み時間のたびに友達とのトラブルが…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は感覚過敏やストレスで教室にずっと居ることが難しいことがたびたびありました。休み時間はストレスから解放されてほっと一息いれたいところですが、小学校5年生のころは休み時間もほっと一息とはいかなかったようです。というのも、同じクラスにどうしても息子とトラブルになってしまう3人組がいたからです。3人は息子が気になるのか、休み時間になると近寄ってきて、息子がイライラするような言葉をわざとかけてきていたと言います。息子も反応しなければよかったのかもしれませんが、すぐにカッとなってしまうので、その反応が面白かったのでしょう、休み時間のたびにやり合ってしまうので、毎日とても疲れてイライラしていました。声をかけられないようにしようと、教室から外に出ても、3人組は、学校中追いかけてくることもあったようです。Upload By かなしろにゃんこ。私がPTAの用事で学校にいるときなどは、息子はPTA会議室まで逃げてくるほどでした。そんな様子を見て、私も「学校に通わせたくないな~、休ませようかな?」と悩んでいました。実は、このクラスメイトたちの行動を「いじめ問題」として取り合ってもらえない事情がありましたUpload By かなしろにゃんこ。息子は、たとえ相手が3人だったとしても、やられっぱなしにはならず言い返したり抵抗したりしていたため、「いじめ」の被害者としてとらえてもらうことができなかったのです。また、負けん気の強い息子なので、意地でも「ぼくはいじめを受けている」と先生に言いたくなかったという面もありました。また、わが家では低学年のころから親子で「暴力はふるわない」と約束をしていました。というのも、低学年のころにはケンカが原因でクラスメイトの家に謝罪に行く経験もあったからです。そんなこともあり、高学年になった息子は約束を守って耐えていました。息子が見つけた、「第2の居場所」Upload By かなしろにゃんこ。20歳になった息子に、このころのことを聞いてみると、当時、トラブルになるクラスメイトから唯一逃れられる空間を見つけ、そこで過ごすようになったということを話してくれました。息子は、授業が終わる少し前に教室を出て、「やすらぎルーム」と呼ばれる教育相談室に行って気持ちの調整をしていたのだそうです。教室にいることがつらいときなど、「やすらぎルーム」はいつでも利用ができる駆け込み寺のような癒しの空間でした。「やすらぎルーム」は、誰でも放課後まで利用ができて、机に座らなくてはいけないなど決まりはありませんでした。床で寝転んでもOK。本を読んでもOK。絵を書いてもOK。友達とボードゲームをしてもOK。Upload By かなしろにゃんこ。ただし、「静かに過ごさなければならない」という決まりでした。ですから、騒いだり暴れたりする3人組は入ってきません。「やすらぎルーム」に集うのは、比較的おとなしく静かなタイプの生徒が多かったようで、息子は静かに本が読めたりと、楽で居心地がいい場所だったと言います。とはいえ、ずっとクラスメイトとトラブルを抱えているわけにもいきませんから、私が相手の保護者に電話で事情を説明して、追いかけたり、からかったりすることをやめてもらえるよう伝えました。もちろんすぐに解決したわけではありませんでしたが、徐々に回数が減り、小学校6年生のころにはトラブルはほとんど起こらなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。担任の先生からは、息子とトラブルになる子は、息子と似たようなタイプの子だと報告を受けてきました。似た者同士で気になってしまうことは、やはりあるのかもしれません。息子は「あのやすらぎルームがあったからイライラしたとき、体がだるい日でも卒業まで乗り切れたという感じはしてる、あの場所すごい好きだったな」と、今は少しふっきれているようでした。教室で落ち着いて過ごすことができずつらかった時期に、教室以外の第2の居場所があってよかったと、感謝することは忘れずにいたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:鈴木先生より)昔からあった「駆け込み寺」の学校版ですね。「やすらぎルーム」が校内で唯一やすらげる場としての役割がありますね。そこ以外でも校内で居場所があればいいのです。不登校児などには「保健室」が居場所の代名詞のように使われていますが、先生との相性の問題もあり、必ずしも保健室でなくてもいいと思います。第2の居場所としては、時には校長室・相談室・会議室などを避難場所に使う子もいれば、中には階段の踊り場に避難している子もいて千差万別です。重要なのはそういう第2の場所に避難できることと、その場所でも勉強できるという教員の理解と学校の保証が必要なのです。
2021年11月26日最初に「もしかしたら発達障害かな?」と感じたのは小学1年生のころUpload By かなしろにゃんこ。小学4年生のときにADHDと広汎性発達障害と診断を受けた息子のリュウ太。「もしかしたらうちの子って発達障害かな?」と感じたのは小学1年生のころからでした。リュウ太が小学校に入学してすぐに集団行動ができないことで担任の先生から相談がありました。教室が落ち着かなくて机に座っていられずにソワソワしたりイライラして鉛筆をかじってしまうことがあり、鉛筆はいつもボロボロでした。思い返すと「発達障害なのかな?」と感じたことはいろいろとありますが、「ん!?やっぱり変わってるかも」と思ったのはクラスの子とのコミュニケーション。小学校低学年から小5まで、息子は半端なく人づき合いが苦手でした。それはこんなことからでした。相手の反応は気にせず、話し続ける息子Upload By かなしろにゃんこ。息子は学校から帰ってくると「みんな僕の話を聞いてくれない! 無視する!嫌がって文句言われる!」と頻繁に愚痴を言っていました。私は、(この子ってみんなに嫌われているのかしら…?)と思い心配しました。担任の先生からの説明ではこうでした。「リュウ太くんは早口でまくし立てるように話すので相手が圧倒されてしまったり、突然自分が話したい話題を前置きもなしに長く話すので話された子は困ってしまって、逃げてしまうことがあるんです。話したいことをセーブしたり相手の顔色を伺って話すことは、年齢的にもまだできなくても仕方がないのですが、うまくいかないと感じた経験から少しずつ周りの子とのつき合い方を覚えていけるといいですね」担任の先生からそう聞いてから改めて息子を見てみると、相手の反応を見て“今聞いてもらえそうか?話題に興味がありそうか?”などを考えいないようでした。そんな様子を見て「コミュニケーションが下手すぎるな」と感じました。特に低学年くらいの時期はまだ相手の気持ちを尊重してつき合うなどは難しいのかもしれませんが、息子の場合は特に自分の話題やタイミングがまずかったんじゃないかな?と考えずに同じことを何度も繰り返すことが多くありました。それでさすがに「この子は自分以外の人の気持ちや状況を判断する力が乏しいかもしれない、これって発達障害なのかも?」と思うようになりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。こんなことを小3のときに担任の先生に相談した際に「教育相談所にお話ししてみませんか?」と勧められました。そして、市が運営する生涯支援センターの教育相談所に息子と通うことになります。そこから相談員の方に「発達障害の心配があるのならクリニックで検査を受けてみるのもいいですよ」と勧められて、クリニックを受診しました。でも、発達障害があることが分かっても療育が進むわけではなく、息子の人づき合いの苦手感は高学年になっても続きました。Upload By かなしろにゃんこ。周りの子と趣味が合わないことでも浮いてしまいます。複数の子に混ざって雑談の輪に入っても流行りの話題についていけずうまく混じれない。ですので、輪の中でも仲の良い友達とだけ話そうとするので雑談の雰囲気を壊してしまい、結果仲間に入れてもらえなくなってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子に雑談の空気について聞いてみると、一人ひとりの会話を拾って返答することが結構難しかったのだそうです。だから一対一でつき合う関係が楽なんだ、と。趣味の幅を広げられるようになった中2のころからはいろいろな人と話せるようになったと言います。小学生時代は人間関係でつまづいてしまったときに「自分のやり方の何がいけなかったかな?」と考えて、成長するスピードが遅くて失敗続きの息子を見ては心配してハラハラしていました。勉強ができない心配よりも友達とうまくやれないことが一番心が痛かった母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)お子さんが帰ってきて「みんな話を聞いてくれない!無視する!」と訴えたら、とても心配になりますよね。その後かなしろさんは担任の先生のお話を聞いて、リュウ太くん目線の出来事と、周りの子目線での出来事の見え方の違いに気がつかれたのですね。自分の言動に自覚的であることはなかなか難しいので反省して次に生かすことはとても難しいです。そのために、特別支援教室などでは、スキルとして「人の話を聞く」「自分の好きな話をする」ことをロールプレイやゲームなどを通して学び、その後、生活場面での実践へと至ります。さて、お子さんが人づき合いで苦戦しているのを見ているのは保護者としてハラハラしますし、つらくなることもあると思います。お子さんがそのことについて家でこぼした際に、叱咤激励するのではなく、苦戦を労いつつ、「一対一で話すほうが楽」の話のようにお子さんなりの工夫を聞いてみるのはとてもいいですね。お子さんなりに試行錯誤するのを見守るのはハラハラしますが、そうして身につけたスキルは一生ものだと思います(※あまりにもお子さんが苦戦していてつらそうな場合は、担任の先生や教育相談所の方など、教育・心理の専門家にぜひその旨ご相談くださいね)。
2021年11月08日「学習障害(LD)」「 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」とは?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン文部科学省の定義によると、学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について(文部科学省)医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、診断名が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」になっています。限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」に限定されます。※「限局性学習障害・限局性学習症」が正式名称ですが、一般的に「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。学習障害の原因はいまだにはっきりとは解明されていません。有力視されているのは、先天性の遺伝要因にさまざまな環境要因が相互に影響し、脳の中枢神経系に何らかの機能障害が生じることが原因だという説です。親のしつけや養育方法、本人の努力不足が原因ではないことが医学的にわかっています。「読めるのに書けない」など苦手や困りごとは、人によって一部だけに極端に表れることもあれば、いくつか重複していることもあります。自閉スペクトラム症やADHD、協調性運動障害や感覚過敏などのほかの障害を合併している人もいます。特定の学習にだけ困難がある場合、周りから理解されにくく、「怠けている」などと誤解され、苦しんだり、不登校やうつなどの二次障害に陥ってしまう子どもも少なくありません。障害の名称や診断の有無などにこだわりすぎず、一人ひとりどのような特性や困りごとがあるか理解し、対処していくことが非常に重要になります。学習障害の3つのタイプと特徴・症状学習障害の困りごとには以下の3つのタイプがあります。症状や困りごとが全てあてはまる人はかえって少なく、特徴は人それぞれです。年齢によって困りごとや特性が変化したり軽減することもあります。複数のタイプが混じっていることもあります。※以下で紹介する症状・困りごとは年齢や学習の習熟度などによって、誰にでも見られるものもあります。当てはまるからといって学習障害であるとは限りません。◆読字障害(ディスレクシア)…「見た文字を判別し、音にして読むのが苦手」学習障害と診断された人の中で一番多く見られるタイプで、見た文字を判別して読んで理解したり、音にするのが苦手です。読むことに障害があると、結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。Upload By 発達障害のキホン◆書字表出障害(ディスグラフィア)…「文字を書くという動作が苦手」「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難があるタイプです。文字が読めるのにもかかわらず書けない場合もあります。Upload By 発達障害のキホン◆算数障害(ディスカリキュリア)…「算数、推論が困難」数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害のタイプを算数障害・ディスカリキュリア(dyscalculia)と呼びます。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっていることもあります。Upload By 発達障害のキホン
2021年10月24日息子に発達障害があることを本人に告知したのは小5のころでしたUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太が発達障害の診断を受けたのは小4のときでした。児童精神科のクリニックの臨床心理士さんには「本人への告知は道理がわかる年ごろになってからがよい」というアドバイスをもらっていた私ですが、リュウ太への療育のことを考えると本人に告知したほうがやりやすいと思い、リュウ太が小5の秋に告知したのでした。Upload By かなしろにゃんこ。その後、中学生になったリュウ太は学校に置いてある発達障害の本を読んで、自分でも発達障害とは何なのかを更に勉強したと言います。ですが、反抗期の期間は親を避けることが多かった息子は、療育などがあまり進まず母は焦るばかりでした。トホホ…Upload By かなしろにゃんこ。告知はしたものの親を避けている時期、息子とは発達障害や特性についてあまり話すことができていなかったのですが、反抗期が終わりかけた17歳くらいから(終わるの遅っ)私は、親子の会話の中でADHDや発達障害などの言葉をよく出すようにしました。Upload By かなしろにゃんこ。発達障害があることは、隠さなければならないものではないと思っていたので、特性が原因での困りごとやトラブルが起こったときには「ADHDの特性で思いついたらやっちゃうこともあるから、相談してね」と伝えたり、生活の中で何か工夫できないか親子で考えるためにあえて言葉にして、言うようにしました。そうして忘れ物対策、衝動的に夜間騒音をたてないための相談や話し合いなど、親子で大ケンカにならずに進んでいったと思います。…でも、「告知はあの時期で良かったんだろうか…?」とその後も私はずっと考えていました。Upload By かなしろにゃんこ。息子が20歳のときに「発達障害の告知を受けたときにどう思った?」と聞いてみました。息子は「地獄に落とされたようにショックだったな」と言いました。そして、発達障害という言葉にショックを受けたと当時のことを思い出しながら語り出しました。「子どもだったから“発達障害って何?ADHDってどういう意味?”って、そもそもよく分からなかったけど『障害』って言葉に驚いたんだよね。お母さんに『ADHDってこうなんだよ、リュウ太が忘れ物をよくするのはADHDの特性で~…』とか説明されたときは落ち着いて聞けなかったんだけど、数日頭から離れなくって。でも、あぁ…だからオレってみんなと違うんだって分かった。」というリュウ太。Upload By かなしろにゃんこ。息子は集団行動をうまくとれなかったことや、周りの人と興味が違って遊びの話が合わなかったことなどを振り返ったそうです。「自分に発達障害があることは仕方がないことだけど、それで差別みたいなことを受けるかもしれないって思うとイヤだった」と話してくれました。ですが、中学では仲のよい友達には自分がADHDであることを話していたと言います。「友達に『オレ発達障害でADHDなんだ~』って話しても『へーそう』って言われるだけで別に付き合いは変わらなかった。友達の兄弟も発達障害だよってヤツもいたし。ただ『障害』っていう言葉のショックを受け入れるのに7年くらいかかったな~」とも息子は言いました。Upload By かなしろにゃんこ。そんな息子は、専修学校の高等課程2年生のときにSNSの『ADHDあるある』という掲示板を読んで笑ってしまったと話します。「オレと同じヤツが世の中にいっぱいいること。同じ失敗をしていること。あるあるや大喜利で失敗をネタにしちゃってること。そんなのを見ていてADHDの自分を徐々に受け入れていけた感じかな~?」息子が言うには、自分でも「ここから受け入れた」とハッキリは分からないけれど、だんだん癒えてきた感じなんだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。今でもオモシロイ『ADHDあるある』の書き込みを見つけると私にも読み上げてくれて、一緒に笑ったりしています。同じ特性がある人の書き込みを自分の特性と重ねたり、自分でも気がついていなかった特性を知ったりして、ADHDがあることを悪いことだと思わないくらいに息子の受け止め方が変わっていってくれたことは嬉しいです。私は息子に発達障害があることを受け入れるに5年かかりましたが、息子もまた自身に発達障害があることを受け入れるのに同じくらい時間がかかっていたんだとわかりました。告知をした時期は本当にあれで良かったんだろうかと考えていた私でしたが、わが家はこれでまぁ良かったのかもしれないと最近思えるようになりました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)「告知の時期はいつがいいんでしょうか」という悩みはよく聞きます。告知の時期というのは、特にいつごろがいいと決まっているわけではなくて、一人ひとりそのタイミングは異なります。基本的には、自分の得意なことや、苦手なことを整理しながら自己理解を進めつつ、必要に応じて告知を行うのがよいと思います。またお子さんの発達に合わせて、かなしろさんのように何段階かに分けて伝えると、本人が受け入れやすくなるかと思います。
2021年10月23日「息子のチックで悩んでいます」第6話。息子さんが忘れっぽいこと、落ち着きがないことを医師に相談すると、ADHDの可能性を告げられました。「ADHDは性格のようなものだと思っています」という先生の言葉に励まされたまめねこさんでしたが、息子への対応をどうしたらいいのかわからなくなり……。2人の息子さんのママであり、自身のお子さんの知育体験や「まめねこマンガ相談室」としてママから寄せられたお悩みをマンガ化しInstagramに投稿しているまめねこさん。今回ご紹介するのは、まめねこさんが現在進行形で抱えている不安を描いた自身の体験談です。 6話不安の沼に落ちて… 先生から「ADHDは性格みたいなもの」と言われたものの、叱ってどうにかなるものでもないし……と考えれば考えるほど、息子さんへの対応がわからなくなり、不安に陥ってしまったまめねこさん。 しかし、いろいろな本を読みながら「こうしたらいいかも?」と試してみたいと思うことが発見できたそうです。 まめねこさんと息子さんにとってのぴったりの方法が見つけられますように! ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター まめねこ4歳差男子2人のママ。クセの強い長男と、自我芽生えまくりの次男、ふわっとした夫、ブッサかわな愛犬とで5年前から山奥暮らしを満喫中。Instagramでは日々の知育あそびや、フォロワーさんのお悩みをマンガ化して投稿しています。
2021年10月14日「息子のチックで悩んでいます」第5話。7歳になり首回しチックを疑う行動が出始めたまめねこさんの長男。不安の種だったピアノ発表会では一度も首を回すことなくみごとに曲を弾き終えることができました。そして迎えた2回目の受診では……。2人の息子さんのママであり、自身のお子さんの知育体験や「まめねこマンガ相談室」としてママから寄せられたお悩みをマンガ化しInstagramに投稿しているまめねこさん。今回ご紹介するのは、まめねこさんが現在進行形で抱えている不安を描いた自身の体験談です。 5話先生に告げられた言葉 2回目の受診で、先生から息子さんがADHDではないかという可能性のお話が。まめねこさんも、息子さんが2歳ごろから「もしかしたら?」と感じていたことでした。 動揺してしまったまめねこさんですが、 「ADHDは性格みたいなものだと考えてます」 「うまく付き合えばいいだけだって僕は思っています」 という先生の励ましの言葉で、前向きに頑張ろうと思えたのでした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター まめねこ4歳差男子2人のママ。クセの強い長男と、自我芽生えまくりの次男、ふわっとした夫、ブッサかわな愛犬とで5年前から山奥暮らしを満喫中。Instagramでは日々の知育あそびや、フォロワーさんのお悩みをマンガ化して投稿しています。
2021年10月13日ごく平均点の子ども時代。絵を描くことや細かい作業はとても好きだった葉っぱ切り絵作家として、TwitterやInstagramで大人気のリト@葉っぱ切り絵さん。発達障害の診断を受けたあと、葉っぱ切り絵で発信するようになったいきさつをはじめ、ご自身のことについて伺いました。牟田暁子編集長(以下――)リトさんが小さいころのことから、教えてください。どんなお子さんでしたか。リトさん:小学生のころは、どちらかというとおとなしいタイプでした。スポーツはあまり得意ではなくて、家の中でファミコンで遊んでいるような子でした。勉強の成績は真ん中程度、学校で特別な問題を起こしたこともなく、友達もそれなりにいて、ごく平均点の子どもでした。親からは、「よく忘れ物するね」とは言われていました。だけど、それでものすごく困ってしまったとか、あるいは誰かをすごく困らせたといったことはなかったです。いじめられて居場所がなかったとか、そういったこともありませんでした。――葉っぱ切り絵、とても素敵です。やはり、絵を描いたり、何かつくったりすることは好きだったんですか。リトさん:絵を描くのは好きだったし、小学校のころはクラスで絵がうまいと言えば僕、と思っていました。けれど、中学生になって周りの友達の絵を見たときに、自分の絵は下手なんだということを自覚しました。筆圧がとても高いこともあってか、シャッシャッとした線でリアルに描くデッサンがうまくできなかったんです。細かい作業には没頭しがちなところはありました。食事のとき、カニの身をほじるのとか、魚の小骨を1本1本とるのが好きで、お味噌汁が冷めて怒られるまでやっていました(笑)。そういうことは得意でした。――学生時代は生きづらさや困りごとはそこまで感じずにいたけれど、社会人になって困難を感じるようになったということでしょうか。リトさん:そうですね。社会人になってから、どうしてこんなにうまくいかないことばかりなんだろうと、学生時代とのギャップに苦しみました。仕事は、自分としてはまじめに取り組んでいたし、やる気もあるつもりでした。なのに、自分が頑張っている意識とはどうも違うところで失敗してしまうんです。Upload By 発達ナビ編集部――仕事の失敗って、具体的にはどんなことでしたか。リトさん:そこでは上司に「おまえはすぐ自分の世界に入ってしまう」と言われました。作業していると没頭してしまって、目の前の世界がどんどん狭くなってしまうんです。たとえば、時間があるうちにと明日の商品の仕込みをしていたら、急に今すぐ売る商品を先に作らなくちゃならない、ということがあるわけですが、周りがバタバタと忙しくしている様子が僕には見えていなくて、明日の仕込みに集中し続けてしまう。切り替えが苦手なんです。仕事自体はとても丁寧で、売り子のパートさんには「あなたがつくったお寿司がいちばんきれい」といつもほめられました。一方で、忙しいときに「多少雑でもいいから、パッパとつくって早く出して!」と言われると、今度は雑過ぎて商品にならないものをつくってしまう。0か100かしかできなくて、みんなが自然にやっている「いい塩梅(あんばい)」というところが、僕にはできなかったんです。その後、回転ずし事業部に異動になったら、もっと臨機応変にマルチタスクで仕事をこなさなくてはならなくなり、それがつらくて最初の会社を辞めました。転職して2社目は、作業に没頭できそうな工場の仕事に就きました。でも、残業が非常に多くて、体を壊しそうになって3ヶ月で辞めました。3社目は和菓子の販売でした。最初のうちは、まじめによくがんばっているねと言われ、そのうちに店長候補として発注なども任されるようになりました。でも、ミスがとても多く、スケジュール管理も難しい。上司からも、どう接していいかわからないと言われ、僕自身も困っていました。――そのころは、発達障害の診断を受けられる前ですよね。リトさん:はい。どうしたものかとインターネットで調べるうちに、発達障害という言葉に出合いました。ADHDの特性を見ると、1~10まで自分のことに当てはまると思い、すぐにクリニックにかかり診断を受けたのです。発達障害だと分かって、今のような働き方を続けても未来がないのではと感じ退職しました。次にまた似たようなところに就職しても、同じところでつまずくのは分かっているから、生き方をガラッと変えないといけないと思ったんです。発達障害と診断されたときが、大きなターニングポイントになりました。発達障害があることを活かした仕事を作ろうとしていたUpload By 発達ナビ編集部――サラリーマンを辞めて、最初から葉っぱ切り絵で大成功!というわけではなかったですよね。リトさん:はい。自身の障害に関する発信用のアカウントを持ち、SNSで発信することから始めました。発達障害のことを世に広めたい、同じような苦労をしている人の助けになる仕事がしたいと思っていたのです。はじめのうちは、テキストのみでした。専門書を何冊も読み込んで、難しいことを分かりやすい言葉にかみ砕いて140字にまとめて発信する、というスタイル。ADHDの当事者にしか分からないことが僕には分かる、ということを発信し続けたら、そこから何か仕事のオファーがあるのではと思っていたのです。毎日発信することが就活代わりでした。――アートでやっていこうと方向転換したきっかけはなんでしょうか。リトさん:ハローワークで紹介された就職支援講座を受講中、課題をやる時間が余ったときにプリントの端に小さく細かい集合体の絵を描いていたんです。それがなんだか面白かったので、今度はノートにびっしり書いてみた。発達障害の過集中を使うと、こんなこともできるんだ!という発信ができると気づいたんです。これまで絵の勉強をしたことはなかったし、アーティストとしての発信というよりも、「ADHDの特性によって、こういうことができる」ということを伝えたかったのです。Upload By 発達ナビ編集部リトさん:最初は家族からも反対されましたよ。アートなんかで食えるわけがないって。実家暮らしとはいえ、貯金も切り崩して残金2万円を切り、1日も早く家にお金を入れないと、と焦っていました。親にも申し訳なかったし、先が見えない中で家にこもって毎日絵ばかり描いている状況は、何より自分が怖かった。とにかく、どうやったら作品が売れるようになるのかをひたすら考えていました。ただ、バイトしながらでは集中できないので、この間はほんとに働いていません。ひたすら、過集中の特性を活かして普通なら1日では描ききれないようなものを1日で描き、それを発信する日々でした。葉っぱ切り絵を始めたのが、2020年1月。急激にバズったのがその年の8月なので、その間8ヶ月、「いつか売れる」と思いながら作品をつくり続けていた期間がいちばんつらかったですね。8ヶ月は短いと、あとから振り返れば思うかもしれないけれど、その間、1円も稼ぐことはできず、失業給付金の期限も迫ってくるなかプレッシャーは相当なものでした。弱みを輝かせられる場所を見つけて成功する、ロールモデルになりたいUpload By 発達ナビ編集部――そんなプレッシャーがあっても、よく耐えましたよね。リトさん:ただサラリーマンをやっていただけのお金もコネもスキルもない30過ぎの人間が、自身の障害を武器にアートの道でゼロから挑戦する。そんな前例のないチャレンジはとにかく孤独で毎日が不安でした。でも、前例がないからこそ僕自身がこの道を開拓して一つのロールモデルになりたいと思ったんです。過集中によって生み出すアートで食べていけるようになったら、発達障害であることを逆に活かして活躍できるという証明になる!と信じていたんです。ADHDやASDのお子さんを育てる親御さんから「うちの子も診断を受けて、どう育てたらいいかわからないと思ったときに、こういう生き方もあるんだと思えました」と言われたときには、僕は背中を見せなくてはいけないと思いました。――こうなるんだ!という強い意志が、実現させたんですよね。すごいです。リトさん:切り絵アートの前にも、スクラッチアート、粘土に絵付け、白い紙袋に絵を描くとか、いろいろやったけど、それらはうまくいかず、うまくいかなければ次を試してきました。趣味として自分が作りたいものを作るのであればそれでもいいですが、お金を稼ぐとなると、僕だけが満足していてもしかたないのです。SNSでヒットするには、しつこく続けることが必須条件ですが、これだけしつこくやってこれたのは、切り絵が自分に合っているから、でもありました。それでも、ただの切り絵だったら、僕よりもっとすごい人たちもいて、SNSに投稿してもあっという間に埋もれてしまう。そこで、ネットで「切り絵種類海外」とかのキーワードでたくさん調べて、たまたまスペインの人がやっている葉っぱ切り絵を見て、これだ!と思いました。「自分もこれをつくりたい!」と思い、すぐに葉っぱを拾ってきて、その日から始めました。こうしていろいろやってはみたけれど、一貫していたのは「過集中によってできた作品」ということ。子ども時代の魚の小骨を1本1本とるのが好きだった、その集中力があったからこそ、なんです。――それにしても見れば見るほど細かいですよね。カッターだけで切っていくんですか。リトさん:そうですね、普通のカッターより細いデザインナイフを使っています。慣れればそんなに難しくはないですよ。大人はみんな「これは自分にはできない」と言うけれど、子どもはやってみたいと言います。やると意外とできるものなんですよ!もったいないなと思うのは、子どもがやりたいと言っているのに、「あなたにできるわけないでしょ」と、大人がやらせないこと。こういうときに、子どもの可能性の芽をつぶしてしまうんだなと思います。――集中していても、それが素晴らしいことだと思えなくてやめさせてしまう。無駄だからやめなさいとか言ってしまいがちかもしれませんね。リトさん:親は、子どもの強いところよりも弱いところをなんとかしよう、弱みをカバーしようと考えてしまいますよね。僕の作品は、弱みの部分を隠すのではなく、弱みを強みとして生かせる場所を見つけることで生まれたんです。もし、僕が小さいころから、味噌汁が冷めるまで魚の小骨をとっているようなころから、その面を伸ばすような教育をされていたら、もっと若いころからいろいろな芽が出た可能性があったんじゃないかとも思っています。子ども時代は、大人になるための準備期間じゃないUpload By 発達ナビ編集部――リトさんの作品は、心根のやさしさやあったかさがありますよね。そこは、温かい子ども時代の記憶があるからなのでしょうね。リトさん:ある意味子どもっぽい。それが僕の個性です。それは、子どものころから自分の好きなことを親に否定されずに育ててもらってきたからこそ生まれる世界なのだと思います。僕のこの作品に反映されているのは、子どものころに連れて行ってもらった遊園地の記憶や、1日何時間もやっていたゲームのストーリー、そういうものが随所に反映されています。無駄なことなんて一つもないんです。今まで経験してきたさまざまなことが、どこかでアウトプットされていくものなんです。子どもには、今熱中できることをさせて、将来大人になっても「あのころ楽しかったなぁ」と記憶に残る体験をさせてあげることが大事だと思っています。――楽しい、おもしろいと思っていたことが、人生の中で生きてくるんでしょうね。リトさん:やりたくないのに無理やり詰め込んだことは、生きてこないもの。だけど、本当に楽しかった記憶は残ります。将来のことを心配して、「今のうちにこれやっておかないと」ということではなく、目の前にいるこの子が、何を楽しんで熱中するのかを、今を見てあげてほしいです。子ども時代は、大人になる準備期間じゃないってことですよね。これから先のこと。発達障害のある子どもと一緒に作品を作っていきたいUpload By 発達ナビ編集部――私たちも、リトさんの作品が今の時代に生まれてくれてよかったと思っています。リトさん:自分がしていることが人の役に立ったと胸を張って言えることが、ようやくこの歳になってできました。「寝る前に必ず僕の作品を見てから寝るんです」と言われたり、「朝起きてスマホを開いて作品を見ると、1日頑張ろうと思う!」というコメントをいただいたりしたら、やる気が出ないから投稿はお休み、というわけにはいきません。僕自身が、こうしたコメントに助けられています。――今後の活動は、どのようなことを考えていますか。リトさん:活動を始めて1年半、個展も今年の1月からだし、5月にようやく作品集が出たところ。それでもありがたいことに、全国各地から、うちの地方でも個展をやってください!というメッセージがたくさん来るんですよね。ぜひ日本各地、海外も、まだ行ってないところに行きたいです。今は難しいけど、ワークショップなど、直接お客さんと触れ合えるイベントもしたいです。最終的には、こうしたアートを作る人を育てたいと思っています。発達障害がある子どもたちの話をじっくり聞きながら、一緒に作品作りができたらいいなと思っています。取材・文/関川香織撮影/鈴木江実子(リトさんより)できあがった作品は、空にかざして撮影するのが僕のこだわりです。光に透かすことできれいに撮れるし、葉っぱがもともとあった自然を額縁にすることで、よりイキイキして見えます。なので、片手で持って撮影するときに葉が倒れず自立するように考えながらカッティングしています。真ん中の太い葉脈を柱にすると、無茶なデザインでカットしても意外と葉っぱは倒れないんです。これは、たくさんの作品を作るうちにわかってきたことです。葉っぱはあらかじめ特殊な液に浸けて加工し、これ以上枯れずに保存できるようにしています。
2021年10月12日発達障害のある子どもの障害受容についてUpload By スガカズ私、スガカズは、現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 、ADHD)・長女(年長 、定型発達)・三男(年中、定型発達)次男はADHDがあり、通常学級に在籍していますスガカズ(以下、――)発達障害のある子どもの障害受容について相談したいです。わが家の次男はADHDがあり、通常学級に在籍しています。次男の3歳上の長男(ASD、ADHD)には小4のときに私が本人に障害告知をして、小5のときに他者(クラスメイト)に自分の障害について知ってもらう機会がありました。そのときには、クラスメイトに自然と受け入れてもらえたのですが、次男の場合は同じように受け入れてもらえるのか不安な部分があります。「次男ももう小5だし、障害告知をする時期が近づいているのかも…」と思ってはいるのですが、次男は他者の感情に敏感だったり、自己肯定感が低いところがあるので、自分の障害に対してネガティブに受け止めてしまうのではないかという懸念があります。また、友達とケンカをすることもあるので、「発達障害がある次男」を周りに受け入れてもらえるのだろうか?といった漠然とした不安があります。本人に障害告知をする前に親である私からできることはあるでしょうか?三木先生:次男くんは周りの子とどんな関係をもっていますか?Upload By スガカズーー毎年クラスに何人か仲良くしてくれるお友達がいるようです。低学年のころはうまくいかないことが起こると癇癪を起こすこともあったのですが、本人なりにクールダウンしたり折り合いをつけたりと努力している姿が見られますし、先生からもそのようにうかがっています。仮に友達と口論になったとしても、時間をおいて自分から謝る面も見られます。友達がいるのはよいのですが、一方で大人しいタイプの子からこわいと思われている面がありそうです。「クラスの女子が(仮にAさんとします)、オレのことこわがっているかも知れない。この前ちょっとぶつかったときに、Aさんは悪くないのに『ごめんなさい』って謝ってきたんだ。その子に昔なにかした訳じゃないんだけど。」と次男が言っていました。三木先生:なるほど。キャラが立っているほうが敵味方がハッキリしやすいですが、そういったタイプなんでしょうかね。ーーそうですね。敵味方がはっきりしているタイプだとは思います。周りのお友達も、次男が自分からいじわるするタイプではないと理解してくれているようなのですが、次男を苦手な子も一定数いるだろうと思っています。私からは、次男に「周りに優しく接したら女の子にもモテるんじゃない?」「どうしても言い合いになってしまった場合は、ライオンさんの声(大きい声)は出さないでね」とは言ってはいるんですが、まだ行動に落とし込むのは難しそうです。なので発達障害があると周りが知ったときに、「だから恐いんだ。もう関わらないでおこう」と思われるかも知れないなと…。「障害があるからしょうがない」と周りが思うのは、あながち間違いではない…?三木先生:障害受容って、「受容」に「障害」って名前がつくととたんに難しい問題になるんですよね。「障害があるからしょうがないね」っていうのはちょっと違うと思っていて…。「だから恐いんだ。もう関わらないでおこう」と思う気持ちを否定したり、だからと言って「障害があるんだからしょうがないよ」と「気持ちのついていかない受容」を強制するのも逆に差別になってしまいますよね。ーーそうですね。他者の気持ちを強制するつもりはありません。トラブルが起こったとしても次男が障害のせいにするのは避けたいと思います。ただ、過去に「しょうがないね」と思うことで解決した経験がありまして…。Upload By スガカズUpload By スガカズーー次男が小4のときに公園に1人で遊びに行った日がありました。しばらくして私が迎えにいくと次男がその日初めてあった男の子(仮にBくんとします)とケンカをしていました。きっかけは水鉄砲を次男だけ貸してもらえなかったという、子ども同士でよくありそうな理由だったのですが、Bくんとのやりとりを見たときに、次男と似ている発言も見受けられたため、「もしかすると次男と同じように、情緒に課題のあるお子さんかも知れない」と感じました。そのときBくんのことを知っている子が近寄ってきて「Bくんは〇〇小学校の特別支援学級に通っている子だよ」と教えてくれたんです。そのあと、次男とBくんは無事に仲直りしたのですが、家に帰ってきたときに次男は、「特別支援学級に通っている子だって分かったから、次会って同じような態度をとられても怒らないし、仲良くする」と言って納得しているようでした。これって事実(Bくんが特別支援学級に在籍していること)を知らないままだと、次男にとっていじわるな子で終わってしまったと思うんです。三木先生:確かにその時期(学童期)の子どもには「障害」という名前がついているほうが分かりやすいこともありますね。次男くんが納得したように、直感的に「そういうものだからそうしましょう」という考えで、世の中が平和になるわけですし、悪くはないと思います。ただ、それが当事者が開き直る場合だととたんに周りと仲良くできなくなってしまいますから、次男くんが自身の発達障害に対して、「しょうがないでしょ」とならないように保護者のほうで働きかけることは大事ですね。当事者も周りの人も、考えはその人によるし親が強制できるものではないし、強制するべきではないと思うので采配は難しいところですが。「周りに受容してもらう」ではなく、「自分の属性を理解して仲間を作る」Upload By スガカズ三木先生:次男くんのよいところは、「受容してもらえるであろう仲間」が何人かいることです。そこを掘り下げて、「周りは次男くんのどんな能力や人柄を気に入って仲間になっているのか」 「どうすれば理解・評価の幅を広げられるのか」を教えてあげるといいと思います。それによって「周囲の理解やサポート」という間接的なリソースをさらに獲得できるわけで、障害があろうとなかろうと受容してもらいやすい結果につながると思います。次男くんだけでなく外的要因もありますよね。おそらく今までのクラス編成がよかったり担任の先生に恵まれたり、あるいは家庭側でやってきた関わりの結果、彼の味方をしてくれる人たちを失わずに済んだこともあると思うので、今までの学校生活を振り返ってみましょう。ーー次男との話し合いで過去の物事を振り返るとき、「いい友達がいてよかったね。先生は次男のことよく理解してくれているね」といった結論に至ることはよくあります。ただ、先ほど言った大人しいお子さん(Aさん)の話なんかは、「自分は嫌われているかも」というネガティブな情報があるので、考えることは嫌みたいです。Upload By スガカズ三木先生:Aさんとの関係性は、本人が歩み寄れる努力をしたいと思っている問題なら、Aさんに直接「何がそんなに恐いの?」と聞くことも解決策の一つですね。例えばAさんが率直に「怒り方が恐くて」と理由を言ってくれたなら、共通理解ができます。その上で、次男くんが歩みよろうと思うのなら、学校や家庭、あるいは本人自身が「どうするべきか」考える機会ができます。あるいは、「分かってはいるけどできない(怒り方を変えられない)」という段階かもしれません。そうすると別の問題を解決する必要があります。「できない自分に対してどうすべきか?」という問題です。Aさんが「学校に行きたくなくなるほどの問題」なら解決すべき問題ですが、相手にそこまで迷惑でもなく「ちょっと嫌だな」くらいなのであれば、受け入れてもらうことを諦めて距離を取るのも一つの方法です。「あなたも苦手な子はいるでしょ?」「全ての人に受け入れられることは難しい」と教えてあげる、でいいと思います。ーーなるほど…。私は親なので「できるだけ仲間を増やしてほしいな」とどうしても思ってしまいますし、「障害のある次男を受け入れてもらえるにはどうしたらいいんだろう?」と漠然とした心配がありましたが、三木先生に言語化してもらえたことで情報がクリアになりました。Aさんとのことも、現在はクラスが違うので話す機会はほとんどないため、現時点で大きな問題ではなっていないようなのですが、同じような状況が今後発生したときの参考になりました。三木先生:人と共存する中で一番大変なのは小中学校の時期なんじゃないでしょうか。ただ、同じ地域に住んでいるだけなのに否応なく同じ教室に集められ、集団で生活させる訳ですから。大人になればなるほど属性が絞り込まれていくのでだんだん暮らしやすくなっていくはず。良くも悪くも、この先こんなに幅広く人と付き合う環境はなかなかないと思います。無理にその環境に合わせる必要はないですが、本人の意思と次男くんに合った環境整備をしつつその場、その場で寄り添ってあげれば次男くんも少しずつ成長していくんだと思いますよ。感想次男自身が自分の障害を前向きにとらえていけるように、障害告知するタイミングを大事にしたいと思っています。「障害」は三木先生がおっしゃるように、他者の考えを強制できるものではないと思うので学校など外の世界でどんなやりとりが行われるのか親は予想できません。「自分の属性を理解して仲間をつくる」ことをよく考えて寄り添っていき、次男自身がもう少し他者への理解も進む段階(おそらく小6あたり)で障害告知したほうがよさそうだなと感じました。執筆/スガカズ
2021年10月11日マイブームがコロコロ変わる息子Upload By かなしろにゃんこ。小さいときから絵を描いたり工作することが大好きだったADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太でしたが、人物画を描くことは苦手。小6のときに胸のあたりから手が生えている絵を描いて私を驚かせました。デッサンなど気にせずに自由に描く子どもらしい絵であり、「大人になると人の目を気にして感性が濁るものだ、この絵はスゴイ」と褒めたのですが、息子は「腕の位置が違うのか…」とショボン。「子どもらしい絵」をバカにされたと解釈したようで「絵のセンスなし!?」とガックリ落ち込んでしまいました。そこから人物画のコンプレックスが育ってしまったようで、人物を描くことを避けていました。しかし中学生のときにイラスト制作の楽しさを覚えた息子にマンガデッサン(美術のデッサンとは異なります)を教えると一生懸命絵を描き続けたのです。特に夢中になれることもなくて毎日イライラ気味だった息子が自信をつけて取り組んでいけるものになりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。“好きこそ物の上手なれ”で、息子はハマると強い特性からデザインソフトなどデジタルの操作にも徐々に慣れていきました。(就活に向けて!? 勉強嫌いのADHD息子にパソコン操作を伝授! すると意外な一面があらわれて… というコラムにしました) 現在はスマートフォンやiPadなどのデザインアプリで手軽に絵が描けたり動画編集ができるようになり、イラストだけではなくアニメ動画も作れるように。創作の幅が広がり作品を発表する場所も増えたことも息子をあと押ししました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は専修学校の高等課程に入学したあともコツコツと絵を描いて人気クリエイターに触発されたり、同じ絵を描く仲間とSNSでつながったりして楽しむようになりました。車の整備士を目指してたので専修学校の高等課程を修了して、その上の専門課程に進み本格的に整備のための進路を選択する時期がやってきたときのことです。専門課程で学んだあとはいよいよ整備士になるため資格試験へと進み、就職するんじゃないかな~と思っていたのですが、息子の口から出た進路希望は「クリエイター養成専門学校に入学したい」でした。イラストや漫画、映像技術などさまざまな学科がある学校です。行きたいと言われてもわが家は入学金や授業料を払える経済状況にありませんから「学校で習う以上のことをお母さんが教えてあげるから我慢しなさい」と伝えました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太はどうしても諦めきれなくて3ヶ月間しつこく「同じ趣味の友達をつくりたい」と私にお願いしてきました。整備士の専修学校に進むときも確か同じこと言っていたな~と思い出しました、学校=友達をつくる場所。このように考えて間違いはないと思うのですが、将来の仕事にうまくつながっていけないことには困りますから諦めてもらいました。「マイブームがコロコロ変化するから、また気が変わるんじゃない?」こんなことも諦めてもらいたい理由だと息子に言うと「確かに…3つのマイブームが3日周期で変動するんだよね、好きなことには変わらないんだけど熱量がコロコロ変化するな~」と自分を分析して、そのときは納得してくれました。そのあと一年間は「専門学校行きたかったな―」とイヤミたっぷり言われ続けましたけど…(泣)Upload By かなしろにゃんこ。人付き合いを学ぶ意味でも専門学校などに通わせるのはアリかと思いますが、今でもこの選択は合っていたのか悩みます、トホホ…。現在息子は、車の整備士として働いていますが、まだ諦めていないみたいで「会社にバレない程度に副業でやりたい」と言っています。二兎を追う者は一兎をも得ずともいいますが、コロナ禍もあり以前と違い2つの仕事を持ち生きることもありではないかと思います。何歳になっても夢を諦めないで地味にコツコツやっていってほしいと母は、思うのでした。(監修:井上先生より)たいぶ昔に関わっていたお子さんで、アニメと車が好きな方がいました。その方は今では、車体にアニメのキャラクターなどの塗装をした自動車(通称「痛車」)をつくれる整備士になっています。好きなことややりたいことの何を「本業」にして、どう活かすか、かなしろさんとお子さんとが話し合われた様子が目に浮かぶようです。小さなころは就職に役立つかどうかに関わらず、いろいろな趣味を楽しませたほうが子どもの心の健康に役立つと思います。また、かなしろさんのお子さんのように人物画が苦手な子は、美術の教科書や絵の教科書で教えるよりも、アニメやイラストの描き方のハウツー本のほうが本人が理解しやすいことがあります。輪郭や目の描き方などが、段階的に詳しく説明されていていることが多いので、それに沿って真似て人物を描くことで、人物画への苦手意識が薄れたり、描けたことの達成感を味わえる機会になるかもしれません。
2021年10月07日経験をかみ砕いて消化するのが苦手なコウですUpload By 丸山さとこ子どもが物事への理解や気づきを得て学習していくためには、経験というデータの積み重ねが大切なのだろうと思います。けれども、ASD・ADHDである息子のコウは、経験をかみ砕いて消化することが苦手なようです。そんな彼に対してサポートを心がけつつも「どこまでどのように親が関わってよいものなのか?」と日々迷うことについて、児童精神科医の三木崇弘先生に伺いました。丸山(以下、――)経験というデータを得ていくことに関して気になっていることがあります。息子の場合、むき身のまま経験をたくさんしても、理解の解像度の低さによって「そこで得るもの」が凄く少ないことがありまして…。それを私が拾い出して「ここにはこういうことが含まれているんだよ」と今まで教えてきましたが、『この関わり方で良いのだろうか?』という迷いがあります。Upload By 丸山さとこ――例えば、幼児に対しては親が「痛いね・楽しいね・おいしいね」と感情を表現して、「今ここで何が起きているのか」も言葉で構造化して子どもに共有する形で教えていきますが…それは最初、思考の代弁みたいなところから始まっていきますよね?三木先生:うんうん。――それを小さい子にするのは何もおかしくないけれど、大きい子にすれば過干渉や支配みたいな話にもなりかねないわけで…それをどの程度していって、どのあたりからどの程度手を引いていくのか。息子の身体的な年齢ではなく発達に合わせてやっていくのが良いのだろうと思いますが、「教えていることは幼児の発達段階にあたる内容だけれど、息子の自意識は幼児ではない」という状況についてどう配慮するとよいのか、お手本のない難しさを感じています。Upload By 丸山さとこ三木先生:(成人の発達障害者向けの書籍の話から)僕、大人のやつあんま見たことないんですけど、どんな書き方になってるんですか?――ビジネス書などのノウハウ本の書き方に近いなと感じます。三木先生:なるほど、大人向けの言語で書いてあるっていうことですね。じゃあ、僕それでいいと思うんですけど…えっと、その話から先にすると…定型発達の子って中身の発達と表面の発達が、ある程度リンクして進んでいくじゃないですか。一方で、発達に障害のある子はそこにギャップがあるよねっていうのが、ひとつ焦点になってると思います。伝え方は表面の言語に合わせて、でも中身のレベルは中身に合わせるっていう、僕はシンプルにそうだと思うんです。成人向けの発達の本がそうなってるのは…中身はあんまり一般的な大人向けじゃないと言ったら失礼ですけど、大人になるに当たって必要な基本的なスキルの説明を、でも大人になってる人向けに説明するために、大人の言葉で書いてある。子ども向けみたいに「こんなことをしましょうね~!」っていう書き方にはなってないわけじゃないですか。――そうはならないですね。三木先生:それと同様に、発達に障害のある子たちっていうのは、表面も同年代の子たちよりはちょっと幼めのことが多いんじゃないかなと思うので、伝え方と内容をその子向けにアレンジする。例えば「実年齢12歳だけど、言語は10歳相当でいけるな!でも中身は8歳だね」みたいなところで、8歳の中身を10歳相当の表現で実年齢が12歳の子に向けて出すっていう感じでしょうか。そこはね…なんかもう、感覚になっちゃうと思う…。――感覚ですね、難しいですが…普段から凸凹の凸に注目すると凹が、凹に注目されると凸が見えづらいというところがあるので、本当にそうなのだろうなと思います。発達の凸凹が大きめな子どもの場合、凹に注目されることで叱責が増えたりするほか、「あれができないのだから、これもできないだろう」との考えからチャレンジの機会が減ることもあり、保護者としては凹だけに注目しないよう意識するシーンも多いかと思います。一方、凸への注目は”長所を伸ばす”などの理由から良いこととされがちですが、それにより”凹による困難・苦手さ”が見えにくくなることもあります。三木先生にも、今振り返ると「凸により凹が見えなくなっていたのではないか?」と思う経験があるそうです。Upload By 丸山さとこ三木先生:人によると思うんですけど、IQ高めというか、表面言語が高めの子に対して、僕たちがけっこう騙されてるかもしれないという自覚を持つことが凄く大事だと思っています。「しゃあしゃあと喋ってるけどホンマに分かってるかなー」みたいな目線を持ってみて、その子の理解をこちらが過信していないか考えてみる。なのって、結局、僕もよく分かんないんですけど(笑)。僕の患者さんでも、中学生くらいのときに「大学院生ですか?」みたいなしゃべり方をする子がいて、でもやっぱり今思うと、もうちょっと子ども扱いしてあげたほうがよかったかもっていうところはあって。相手の理解とか、あるいは情緒的な納得・受け入れの度合いを見極めるのは難しいっていうことがよく分かったケースだったなと思っています。――表面言語の高さに騙されるというお話よく分かります。理解や感情などが伴っているかどうかは表面言語の高さとは別の話なのだな…と、息子と接していて思います。それとは逆に彼の”幼さ”のほうに引きずられる場合もあって、『それも大変そうだな』と思うときがあります。学校も含めて、世間で起きるそれらのズレは”起こるもの”としてやっていくのが現状としてはベターかな?と思っているので、今は「私がそれをしていないか?」ということが気になっている状態です。三木先生:それはまぁでも、常に振り返りをしながらやっていってもらえれば、そんなに大きなトラブルにはならないと思いますよ。一番危ういのは、「保護者として私ちゃんとやってる」って思ってる人なんだと僕は思うんですよね。――それはとても気がかりなところです。「常に振り返りをしながらやっていく」ということ――保護者として、『私は子どもの現状を把握して対応している』という思い込みの落とし穴に落ちてないかな?っていうのは凄く…ハラハラしながらの毎日で。三木先生:あーいやでも、そこまでちゃんと考えてる人って思ったより少ないんで、いいんじゃないですかね?――そうなんですか?ずっと手探りできていて…「今日の彼は、今の彼はどんな感じ?」と息子から返ってきた様子を見ながら手探りで接していくものの、これで合っているのかどうかもよく分からなくて。この子を見ていこうと思いつつやってはいますが…。Upload By 丸山さとこ三木先生:今日おっしゃってる構造の理解とかで、「いやーそれはマズイやろ」と思ったところは一ヶ所もないんで…なんか、いいんじゃないかなーと思いますよ。ただその、「これでいいのかな?」っていう確認をできる場所みたいなのは、確かにどこかにあるといいかもしれないんですけど…。――そうなんです。私の話はあくまで『私が見た息子の姿を私の視点で話していること』に過ぎないので…。お世話になっているスクールカウンセラーの先生は「お母さまからお話を伺っていた通りですね」とおっしゃってくださいましたが、今でも”私目線の悩み”だけを伝えて相談している現状には変わりなく、『息子の客観的な現状を分かった上で相談できる場があれば…』と思っています。三木先生:これはでも…これから先どんどん減っていくでしょうね…。――年齢的に…。三木先生:そうそう年齢的に。やっぱり年齢の壁は厚いなぁ…!と感じる話になりましたが、以前書いたコラムで触れていた「思春期の子どもにとっての学びのネットワーク」が、私の”身近な家族ゆえの思い込み”に対する緩衝材になってくれるといいな、と思いました。濃くなってしまいがちな親子の関係を相対的に薄めるシステムがあることで、少し安心できそうです。とはいえ、それだけでは「コウが学びのネットワークを作れば万事解決!」と大船に乗ることはできません。ASD・ADHDであるコウは、特性の影響もあるのか安定した人間関係を築くことが苦手だからです。友達付き合いが長くなると、「最初はコウに付き合ってくれていた子がコウのルーズさとしつこさで嫌になってしまう」「最初は仲良く遊んでいたのに次第に命令をされるようになる」などのトラブルが起こりやすく、特に後者のパターンは一度トラブルが起きると長期化しやすい傾向があります。そんなコウの状況に対して、三木先生からは『彼自身もまた人との関係性について振り返りをしながらやっていくことが大切』なのだとアドバイスをいただきました。Upload By 丸山さとこ三木先生:うーん…そうですね~…関係性の問題ってすごく何ていうか…表現の仕方が難しいのですが、「トラブルを引き寄せがち」なお子さんっているなって思うんですよ…子どもに限らず大人もなんですけど…。――いますね。三木先生:何ていうか、とにかく、人生にトラブルが起きがちな生き方をしてる人とか…まぁ物事の捉え方も含めそうなんですけど、そこをある程度客観視できるといいですよね。そうすることで、無用なトラブルは減らしていくことができると思うんです。最初は大人と一緒に始めるのでいいんですけど、自分で振り返って整理していくみたいなプロセスは多分自分で進んでいかないと、その手のトラブルはなくなっていかないと思うんですよね。――そうなんですよね。親としては見ていてハラハラする気持ちもありますが、同時に『小学生の内に本人が多少懲りるまでトラブルがいきついて良かったな』と思うこともありました。三木先生:あーそれはそうですね。それはやっぱり本人が自覚していくっていうのはめちゃくちゃ大事なので。――そうですね。でも今後、もっと大きなトラブルとか…「ちょっと誘われて断れなくて」と言いながら悪いことをしでかしたり、そういうことも息子はありえるだろうな…みたいな覚悟は、もうこっそり決めてはいます。サイフも隠しておこうかと(笑)。三木先生:なるほどなるほど(笑)。まぁでも、丁寧に構造化してフィードバックしていけば理解ができるお子さんのようなので、それは凄くよかったですよね。自信の有無に関わらず必要な「振り返り」の大切さに気づきました今後起こりそうなトラブルのことを想像すると頭と胃が痛くなることもありますが、トラブルは「成長の種」でもあるのだろうと思います。以前、「Aくんが断っても断っても無理やり『そこを何とか』って誘ってくるんだよ」とコウが悩んでいた時期がありました。それが落ち着いてからしばらくたったある日、彼は「Aくんの強引なところに困ってたけど、僕、よくお母さんに同じことをしているんだなって気づいたんだ…今までごめんね」とポツリとつぶやきました。それを聞いて、『コウも人との関係を通して自分を振り返ることがあるんだ!』と驚いたのを覚えています。Upload By 丸山さとこまた、今回三木先生のお話を伺う中で『自信のなさと”振り返りができているかどうか”は別のことなんだな…』と気づけたのは、私にとって大きな収穫でした。・「自信があるから」と振り返ることをしない、自信満々な状態・ただ不安なばかりで振り返りをしない 、自信がない状態自信の面からは一見真逆に見える両者の状態ですが、振り返りをしないのであればどちらも同様の危うさを抱えているのだということが分かると、何だか不思議な感じがします。目から鱗を落としつつ、『自信の有無に関わらず、振り返ることは大切。そのために人の手を借りることも大切!』なのだと改めて思いました。
2021年10月05日小6になり、少しずつ中学校を意識した学びがスタートUpload By かなしろにゃんこ。ADHDとASDのある息子が小学校6年生のころ。このころから小学校では教科ごとに専門の先生が授業をするようになったり、中学校の授業を意識させる学びがスタートしました。秋からは提出物の練習も始まり、毎日ノートを提出。提出していない子には先生が一生懸命促していました。…していましたというか、はい、うちの息子が提出を促されていた張本人です。「その日の授業の板書ができているか放課後先生に見せてくださいね! 」と毎日言われても平気で提出せず帰る息子……(汗)小6の2学期の個人面談、担任の先生からのアドバイスUpload By かなしろにゃんこ。そんな小学校6年生のときの2学期の面談で、担任の先生から中学生になってからの家庭での指導について、とってもためになる話がありました。「息子さんが中学に入ったら今とは別人に感じられるかもしれません。今のかわいい僕ちゃんから、急に大人の男の人に見えてくることもあります。力も強くなってくると思うので、お母さんは力では勝てなくなるかも。ケンカでは逆にやられないように気をつけてくださいね」と初っ端からドキッとするようなことを言う先生。小学校6年生の息子は、まだまだ私に甘えて膝にのってくることもありましたので、別人に感じるなんてすぐには想像ができませんでした。ほかにも「もし人間関係のトラブルなど学校で起きたことは、学校の先生と生徒で解決できる年頃になってくるので基本的には口を出さずに見守ってください」など、先生がおっしゃったことはどれも大事なことだと思い、私はしっかり記憶しました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。また先生はこんなことも教えてくれました。「中学生になると無口になってきて、お家ではあまりしゃべらなくなる傾向の子もいます。その場合は、子ども経由で学校の情報が入ってこなくなってしまい、困ってしまうことがしばしばあります。その一方で、学校であったことなどを普段から積極的に話す子もいます。ですからお子さんがお家でしゃべらなくなる傾向がある場合は、同じ中学に通うお家でもよくお話する子と仲良くなり『お家でよくお話しする子→その子の保護者→自分』のルートを築いておくと学校での出来事などを把握しやすくなります。『必ずしなければならない』という訳ではありませんが、このような方法も有効ですよ」そう話す先生も、実は思春期の子育て経験者の大先輩でした。先生のお子さんは中学では保健室にこもりがちになっており、その様子を知るすべがなかったことで、ケアが遅くなってしまったそうです。そんな経験から小学校6年生の担任になると保護者にこの話をするようにしているとのことでした。半年後、中学生になった息子はUpload By かなしろにゃんこ。半年後、中学生になった息子は当時の担任の先生が言った通りになりました。もう私の膝の上には乗らないし、声変わりはしてくるし、本格的な反抗期に突入してニコリともせず、私が話しかけてもうっとうしそうにして、無視するようになりました。当時の担任の先生から教えてもらった通りに同じ中学校に通うお家でもよくお話をするという女の子のママから、息子の中学校での様子を教えてもらいました。息子の良いことも悪いことも第三者の言葉から聞くことになり、心が痛いこともありましたが、ほかの人からの評価を知ることができました。猫背で立たないことや寝ぐせを直すことなど、身だしなみや立ち振る舞い、言葉遣いなど、同じ学年の子の意見や、息子の様子を教えてくれる子のママからの助言がきっかけになり、息子本人が気づいていない直したほうがいいことを改善するように促すことができました。問題が起きたときも基本的には中学校に任せて、担任の先生から報告があったときだけ関わるようにしたことで、息子は何かあったとき信頼している担任の先生に相談するようになっていきました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。もう包み込む愛情で守ってあげる年齢ではなく、息子が困ったときに相談をするのは信頼できる先生や先輩、友人になっていったのだとわかり、保護者としての役割が変わってきたことを感じた瞬間でした。今振り返ると、小学校のころは息子のやることに口も手も出せたから、実は子育ては楽だったのかもしれないと感じています。口も手もほどほどにしないといけない中学生の育児は、さじ加減が難しいと思いました。私はおいしいご飯の提供など、家庭でのサポート役に徹してアレコレ口を出さずに見守るしかないのかもしれないなと思いました。小学校6年生のときの担任であり、思春期の子どもを育てる先輩でもあった、先生の経験からの意見があったらこそ、息子が中学生になる前にちょっと先の未来を予測し、心構えができたので、慌てずに息子の思春期を乗り切れたと思っています。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:三木先生より)思春期の見守りはつらくもあり歯がゆくもあるものです。態度の悪いわが子にイラっとさせられながらも、心配なので無視もできず…。でもかなしろさんのように普段は見守りつつ、ちゃんと情報収集して必要なときだけはしっかり考えを伝える、というメリハリの利いた関わりは有効だと思います。
2021年09月23日片付けの秘訣を伝授?「物の数を少なくしてみよう!」Upload By 丸山さとこADHDの特性によるものなのか、コウはとにかく片付けることが苦手です。それでも、覚えやすく出し入れしやすい収納環境を整えることで、小学校低学年くらいまでは声をかけたときに片付けることができていました。ところが、コウの年齢が上がるにつれて片付けは少しずつ“難しくて嫌なもの”になっていき、5年生になったころには部屋がいつも散らかっている状態になってしまいました。その原因は、物の量の増加でした。年齢と共に入れ替わりつつも、教科書や本や工作道具はゆっくりと増えていきます。基本的にはゲーム機やタブレットで遊ぶことの多い年齢とは言え、けん玉・パズル・ボードゲームなどのオモチャも地味に増え続け…気づけば管理しなければならない持ち物の総数が大分増えていました。Upload By 丸山さとこそうなると、物を使う度に出しっぱなしにしていくコウは「大量の物」を前に嫌になったり疲れたりしてしまいます。食事や就寝の前など定期的に片付けるようにはしているものの、「2時間でよくここまで散らかせたね!?」と驚くほどグシャグシャになった部屋を前に親子共々、茫然とする日が増えていきました。厳しすぎ!?「15分で片付けられる量だけ出す」ルール大きくなり過ぎた片付けの負担に立ち向かうのはかなり大変で、次第にコウ一人では「今日中に終わらなかった…」という日も現れ始めました。Upload By 丸山さとこそんなコウをときに励ましときに見守り、ときに(ケンカしつつ)手伝いながら片付けを進めていく中で、『これはもう、コウが把握管理できる物の量を越えてるんだな…』ということをひしひしと感じるようになりました。1つひとつの物をしまうところは分かってはいるものの、物が多すぎて、”しまう”という作業自体が面倒になっている様子のコウ。そんな彼を見て、私は「これはもう物を減らすしかないな」と思うに至りました。観察や話し合いや試行錯誤を繰り返した結果、コウが集中力を保ったまま片付けをできる時間は15分くらいだろうということが分かってきました。20分を過ぎてくると次第に動きが鈍くなり、しまう場所も適当になっていくのが見て取れます。Upload By 丸山さとこ15分を過ぎた時点で一度切り上げ、休憩を挟んでから続きを行う方法も試してみましたが、どうやら完全に飽きた状態からのスタートになってしまうようでした。「それはそうだよな。嫌いなことを休憩後に再開するのは面倒だよな…」と思うと納得の結果だと感じられました。それらのことから、”15分で片付けられる物の量”が現在のコウにとっての適切な量なのだろうという仮定を立てて、片付けを組み直すことになりました。少しずつ物を減らして「散らかっても片付けられる部屋」に!片付けについて話し合いつつ「物の量が多すぎて管理できる限界を超えていると思う」と伝えると、「そうなってると思う。片付けにかかる時間が長すぎるし…」と、うなづくコウ。それなら一度減らしてみようか…ということで、「今これは部屋に出ていなくてもいいかも?」という物をコウに選んでもらい、“普段遊ぶときには開けない箱”に入れてもらいました。(出したいものがあるときは、同数の物と入れ替えるシステムにしました)そうして15分で片付けられる量まで物を減らすようにすると、コウの部屋は“散らかっても片付けられる部屋”になりました。Upload By 丸山さとこ使い終わった物をいつでも戻せるようになったわけではないため、今でも部屋はだいたい散らかっていますが、コウの負担は減ったようで以前よりも気楽に片付けをするようになりました。物を減らすまでは片付けに半日から数日かかることも珍しくなかったので、15分で片付けられるようになってからは「そろそろ片付けて~」と言いやすくなったのが何よりありがたいです。これからも「ごはんだよ~部屋片付けて~」と言いながら地道に片付けを推奨しつつ、方法を一緒に模索していきたいなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)片付けが苦手な人は多いですね(かく言う私も片付けがとても苦手です…)。片付けが苦手なコウくんに対して、低学年時は環境調整で対応し、高学年になってからはお母さんが鋭い観察とアイデアでうまくご対応されたという今回のエピソード。とても素晴らしいです。片付けに挑むコウくんのキャパシティとコンディションを観察によってよくぞ見極められ、そして例えば「どうして片付けできないの! 」のような叱責に傾くことなく対応されています。物には執着がある割に、片付けてしまうと(物をしまって見えなくなると)「ない」ことになり、執着も薄れるお子さんもいると思います。片付けにまつわる困難さはさまざまですが、大人が怒っても片付けはできるようにならないので、今回のような工夫でお互い納得のいく手立てが取れるといいですね。
2021年09月16日中学2年生の長男の「勉強や進路について」の悩みUpload By スガカズ私、スガカズは、現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 、ADHD)・長女(年長 、定型発達)・三男(年中、定型発達)長男がせっかく入学した学校を変えたいと言い出しました。勉強へのモチベーションが影響しているようですUpload By スガカズスガカズ(以下、――)わが家の自閉症スペクトラムとADHDのある長男の進路と勉強について相談したいです。最近まで、「ゲームプログラマーになりたい」と言っていたのですが、1ヶ月前急に、「将来定食屋を開きたいから学校を変えたい」「今やっている勉強って意味あるの?」と言い出しました。ものづくりの仕事に精通しそうな工業大学付属の中学校に進学したのに、コミュニケーション能力が重要で、マルチタスクが必要そうな接客業への希望に、正直私は困惑しています。どうやら勉強へのモチベーションも関係していそうです。中2なのでいろいろと悩みの多い時期だとはわかっていますが、本人にどうやって現状を納得してもらえるでしょうか?三木先生:中2は難しい年頃ですよね。長男くんはどんな特性があるのでしょうか?――知覚推理指標が高くパズルや工作など、一人でもくもくと一つの作業に打ち込むことが好きです。社会秩序は守れるのですが、周りの状況を理解したり自分の考えをうまく伝えることが苦手です。勉強では、文系が苦手で理数系はまだ大丈夫な方ですが、その中でも得意不得意はかなりばらつきがあります。小学校のころからそういった特性を見てきたので、本人がやりたいことを応援したいのはやまやまではあるのですが、「定食屋はこの子に合った職業ではないのでは…」と、どうしても感じてしまいます。そういう点で言うと今の学校は理数系で、文系よりも理数系のほうが得意な長男には合っているように思いますし、長男と似た性格の子も多く、友達も増えてコミュニケーションの幅が広くなったと感じます。環境としては最適だと思うので、母親としてはできる限り今の学校に通い続けてほしいと思っているのですが…。三木先生:なるほど。ただ、長男くんの特性や意向を考えたときに、「(勉強を)やりたくない」と思ったらやらないんじゃないでしょうか。――そうです。ちょうど今、否定したい時期みたいです。こういう時期は、親として静観してあげたいという気持ちがあるのですが、長男の特性を考えると「こっちより、あっちのほうがいいんじゃない?」と意見するのも親の支援だし、子どもへの理解でもあると考えています。ただ、無下に否定するのではなく、「定食屋を開きたいならまずは料理する機会を増やしてみよう」と長男に提案をして、学校のお弁当を本人がつくるようにしたり、日曜の家族の昼食は長男につくってもらったり、と料理をする経験の場はつくるようにしています。嫌がっている様子はないのですが、あまり本気ではないようにも見えます。普段、長男が本気の場合は明らかに目がキラキラしているので…。どうやら、進路に関しては「勉強への逃げ道」として利用しているようでもあるんです。本人も「勉強から逃げたい気持ちもある」と言っていました。ほかの学校(高校)に変えたからといって、定食屋のスキルが身につくかと言われると疑問があるので「まずは今の学校に通い続けて、調理の専門学校にいく(大学は内部進学しない)のがいいと思うよ」と伝えてはいるのですが…。Upload By スガカズ三木先生:勉強するしないに関しては、日本の教育就労システムが難しくしていますよね。勉強がある程度できればOKで、勉強以外はOKとしない仕組みなので。ただ、「定食屋」といった風に、内容で絞るのはそのあと仮に失敗したときに修正が難しくなると思います。本人の意向も大事にしたいところですが、そこは大人が間に入ってうまくコントロールしてあげる必要がありそうですね。子どもの進路への親子の向き合い方Upload By スガカズ三木先生:例えば定食屋になって何を実現したいのか?もくもくと作業するのが好きなら料理じゃなくてもいいのでは。そこを大人と一緒に見極めていくことが重要だと思います。方向性を見据えるために抽象度を上げた彼の願望を知って、理解したら親としてほかの選択肢も提示できると思います。一生懸命一緒に考えた結果、もし違う方向にいったとしても彼の気持ちがやわらかくなるのでは。実は私は、もともと医者がやりたい訳じゃなくて、「困っているご家庭の方々を笑顔にしたい」というのが抽象的なモチベーションなんですよ。Upload By スガカズ三木先生:今の年齢でもできる実践を積んでおいたり他者からの話を聞くのも良いと思います。例えば抽象的な願望が「もくもくと何かを作りたい」というものであれば、もくもくと作っている人と、もくもくと作っていない人に「仕事の楽しいところ、大変なところ」をインタビューしてみるのもいいかも知れませんね。――そういえば私の職場の元同僚に、システムエンジニアからサンドイッチ屋さんに転身した人がいます。エンジニアから接客業(起業)なので、開業する際に自分で店のウェブサイトを作って集客したり、顧客分析をして結果繁盛しているので、元同僚の話から得られることは多そうだと思いました。三木先生:それはいいですね! 丸腰(思いつき)で定食屋をやって繁盛する確率って低いのではないかと思うんですが、その同僚の方からは、一度社会人をやってから起業してみてよかったという意見も聞けるんじゃないでしょうか?スポーツ選手なんかは小さいころからやっていないとできない職業ですが、定食屋の経営は、人間的に成熟してからでもいい職業ですからね。まわり道をしたほうが特長や付加価値がでてきますし。長男くんが成長していく中でこの先「思ってたのと違う」という経験は出てくると思います。たくさん親子で悩んで乗り越えましょう。子どもの勉強への親子の向き合い方Upload By スガカズ三木先生:先ほども言いましたが、長男くんの特性や意向を考えたときに、「やりたくない」と思ったことはやらないと思います。それに、「これをやるとだれでも勉強するようになる!」という魔法の支援はないんですよね。――そうですね。私からできることってあまりないと思っていて…。先ほどの進路のお話にあったように、根回しして他者から言ってもらうのはどうかなと思うんですが。例えば家庭教師の先生に「とはいえ勉強も大事だよね」と言ってもらうとか…。Upload By スガカズ三木先生:本人が気を許していたり尊敬しているなど、「この人なら」と思える相手にお願いするのはいいと思います。あとは、「勉強したくないから言ってるんじゃない?」という印象も含めて、保護者は一歩下がって見ていきましょう。子どもって「親にこれを言ったら嫌がる」と分かっていることって、正直に言わないということが多いので、子どもの意見をはなから否定してしまうと、「勉強が嫌」とも言わなくなりますから。「勉強は嫌でいいけど最低限これはやってね」という「枠の提示」は必要です。枠を提示をしながら、時間をかけて本人のやる気の芽を見つけてあげましょう。――分かりました。お話を聞いていて思ったのですが、総じて親子関係を悪化させる発言は避けて、あまり干渉しすぎず普段ニコニコしているのがいいのだろうなと思いました。否定するべきか肯定するべきか悩んでいたので、「嫌なのは分かるけど、最低限これだけはやってね」と提示をしてもいいと言ってもらえたので少し安心しました。「勉強が嫌」「学校を変えたい」と言ってくる今の状況は、「多少なりとも私を信頼しているのかな?」と思うようにします。感想その後、長男とこれからの進路や勉強について話をしましたが、先生のお話にあった、「抽象度を上げた願望」を深堀りするまでには至っていません。思春期ということもあるのか、「あまり深く考えないようにしている」という様子が伺えるので、もうしばらく様子を見てみます。しかし、枠の提示をしたところ「高校行かないで、すぐ働きたい」と言いながらも理解はしてくれているようでした。「がんばって勉強する」と言っているときもあって、やはりコロコロ言っていることが変わりますが、私も長男の気持ちを受け止める努力はしていこうと思います。親の熱量と子の熱量は、近いほうがよいと思っているので、あまりしつこく話をもちかけて、「やる気の芽」をそぐ形にならないように、長い目でこれからも見守っていこうと思います。執筆/スガカズ
2021年09月10日障害ではなく個性なのか。発達障害のある子どもを育てる親の思いお子さんに障害がある親御さんが、「うちの子には障害はない、個性的なだけ」と言っているのを耳にしました。このように話す背景には、わが子の発達の凸凹を障害ではなく個性と捉えて、「前向きに育てていこう」という気持ちから出ている言葉かもしれないと感じました。個性だから特別視はしない!? 園での対応知り合いが、わが子が通う保育園に「うちの子は発達障害があるかもしれないので、特別な配慮をしてほしい」とお願いしました。すると、園側から「それは個性の一つですよ。どの子も性格も違い個性があるのですからお宅のお子さんだけ特別扱いは出来ません。みんなと一緒に分け隔てなく保育をしていきますから」と言われたそうです。この場合は、「個性」という言葉が、「特別視せずに平等に見る」とか、「配慮をしない」という意味で使われています。「個性」という言葉を使うとき、その背景にある思い・考えは、人や場面によって異なっているようです。自閉症の息子を育てる、私の思い私自身は「障害か個性か」の論争にはあまり関心がありません。あえて言うならば、「障害そのもの=個性」ではなく、障害によって、むしろ自閉症や知的障害によって、息子の個性が見えづらくなっているような気がします。こんな絵を描いてみました。私は、個性の上に大きく障害が被さっているように感じています。Upload By 立石美津子もしわが子に障害がなかったら…妄想する息子に障害がなかったら、あなたはどんな性格、個性をしていたの?お母さんと普段どんな会話をしていたの?定型発達の20歳だったら、彼女くらいはできていたかな?友達と週末は出かけたりしていたのかな?こんな風に思い始めると切なくなります。けれども、息子から知的障害と自閉症を取り去ったら、息子ではなくなってしまうのでそれはそれで嫌だと思うわがままな母親です。Upload By 立石美津子障害=個性、ではないと思うから現代の医学では発達障害について、採血などの検査で明確に数値が出て、それだけで客観的に「はい、発達障害です」とわかるような生物学的マーカー(指標)はありません。そのため、どこまでが個性でどこからが障害か、の線引きが難しいのかもしませんし、育てている親にとっても分かりにくい部分です。そもそも個性は、万人に存在します。それは、障害の有無に関わりません。障害のある子どもの親に対して第三者が「障害のある子は天使よね」などと、「障害そのもの=性格」のような言い方をしているのを耳にすることがあります。私自身もそのように言われたことがあります。でも、そんな型にはまったものではないと思います。知的障害、ダウン症、自閉症…、確かにそうやって「障害名」ごとに分類したときに、ある程度共通する先天的な特性はあるでしょう、けれど一人ひとりが育つ環境の中で、優しかったり、好奇心旺盛だったり、いたずらだったり…、さまざまな性格が形成されていきます。「障害そのものがイコール個性だ」としてしまうのは、違うのではないかなと思うのです。(監修:鈴木先生より)私はいつも外来で「障害は個性ではなく“特性”と考えてください」と保護者のみなさんに話しています。個性であれば外来受診する必要性がなくなります。自閉スペクトラム症+ADHD+二次障害によってその人本来の姿が見えなくなっていると考えていいと思います。ADHDなどを治療すれば本人や家族の肩の荷が下り、自閉スペクトラム症の特性は治らなくてもそれ以外の要素を軽くすることはできるのです。自閉スペクトラム症を完全に取り去ることはできません。周りの人たちに発達障害を理解してもらい、発達障害の特性と共生していけばいいのではないでしょうか。
2021年09月05日ADHDの診断・検査Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンADHDの診断ができるのは、専門医だけです。子どもの場合は、大学病院や総合病院の小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。いきなり外来の予約をとるのはハードルが高いときには、保健センターや児童発達支援事業所、かかりつけの小児科などに相談するのもおすすめ。診断を希望することを伝えれば、医療機関を紹介してもらえるでしょう。診断では、子ども本人への面談や検査のほか、家族への聞き取りも行われます。ただ、通常1回の受診で確定診断に至ることはありません。それは、他の発達障害や自閉スペクトラム症との区別や、併存があるかどうかの判断が非常に難しいためです。発達障害の専門機関は他の病気に比べるとまだ少ないものの、発達障害者支援法などの施行によって年々増加しています。日本小児神経学会の「発達障害診療医師名簿」では、発達障害の診療を行える医師の一覧を確認できます。日本小児神経学会「発達障害診療医師名簿」診断を受けるタイミングや目安は?定型発達の子どもでも2~3歳ごろまではじっとしていることが難しく、集中力も長く続かないものです。乳幼児期は、ADHDの症状かどうかを見極めるのはむずかしいとされています。このため、診断を受けるのは4~5歳ぐらいからが多くなっています。4~5歳になると、多動や衝動性のほかにも言葉の遅れ、不器用などの特性が明らかになることが多く、また集団行動をするときの課題もだんだんと分かってくるからです。受診をする一つの目安は、日常生活に支障をきたすことがあるかどうか。・同じ世代の子どもと比べて、著しく不注意・多動性・衝動性に基づく行動が多い・不注意・多動性・衝動性の症状のために、友達とトラブルになりやすい・学校の授業についていけない、学力の低下が著しい例えば、こうした困りごとがあれば、一度、専門機関を受診してみるとよいでしょう。また、本人には困った様子がなくても、保護者や周囲の人が強く感じている場合も診断を受ける目安になります。診断・検査の流れは?ADHDの診断は、医師の問診がメインになります。子ども本人に自宅や学校でどのような生活を送っているのかを詳しく聞いたり、本人の様子を見たりして、症状や特性を判断します。また、保護者との面談では、これまでの生育歴・既往歴・家族歴などの聞き取りも行われます。正確な情報を得るために、保護者や担任の先生にチェックリストを記入してもらうこともあります。併せて発達検査や心理検査を行い、総合的に判断します。こうした問診は1度ではなく、何回かに分けて行われます。正確な診断のためには、時間をかけてじっくり子どもの特性や症状を見極めることが不可欠! 子どもがリラックスして医師と話せるよう、病院に行く前には「明日は先生とお話するよ」など、あらかじめ予定を伝えておくといいですね。診断に必要な準備や持ち物は?普段の行動や学校での様子なども、診断のための大切な情報です。医療機関を受診する前に、「不注意」「多動性」「衝動性」のADHDの3つの特徴がどのくらい現れているか、本人の状態を把握しておきましょう。資料として役立つこともあるので、日常生活でのようすがわかるメモを持参するのもよいでしょう。医療機関から持ってくるように、と言われるものには、たとえば次のようなものがあります。□担任に記録してもらった学校での様子のメモ、連絡帳など□保育園や幼稚園時の連絡帳□通知表□母子手帳□子どもの自筆のノート診断に必要な持ち物は受診する医療機関によっても異なります。持ち物や事前の準備については、予約時に確認しましょう。
2021年09月04日