<目次> ■ママのプロになるために! 極意を教えてくれるのはこんな人 ■「先生の言うことを聞きなさい」とママである私は言うけれど ■わが子が先生の言うことを聞けない子だったら ■「子どもを枠の中に押し込める大人」は、子どもの敵だった? ■自分の中の「排除される要因」を隠せない子が生きにくい世の中 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 ■ママのプロになるために! 極意を教えてくれるのはこんな人子どもを産んだら、ママになる。あたり前のことなのだが、「ママ業」は、デビューしたての素人も、「プロであること」を求められる仕事なんだと思います。知識も、経験値もないのに、自分が無意識にイメージしている「ママ」は、じつは「プロレベル」のスーパーママなのではないか? と、気がついたのは、わりと最近のこと。周囲からも、「ちゃんとしたママであること」を求められているような気がして、「そんなの、できるわけないじゃん!」と、叫びたいけど、叫べない。そんな、ひとりのママである私が、プロ教師歴45年の木村 泰子先生と、子育ての話で対談をさせていただきました。木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。木村先生については、「 『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 」もぜひご覧ください。今回、この対談を担当させていただくのは、ライターの楢戸ひかる。3人の子持ちの母であり、うちひとりの息子には、発達障害があります。プロ教師の木村先生と、素人ママの私が対談することで、木村先生が教育実践の中で得てきた「プロの極意(知恵)」を、普通のママたちが日常の子育てで使える「ママたちに伝えたい20のこと」としてお届けします。目指せ! ママのプロ!■「先生の言うことを聞きなさい」とママである私は言うけれど楢戸:木村先生は、「学校の授業で正解のあることなんて、6時間の授業があるうち1時間も教えていない」と、おっしゃいました。「学校で教えてもらうことには正解があり、正解を教えてもらうのが学校だ」と思っていたので、とても驚いたのですが…。木村:もし学校が正解だけを教えているとしたら、先生は給料を1千万円くらいもらわないと割にあいません。そんな人間離れしたこと、できるわけないと思いません?それって、じつはママたちが「学校をどう見ているか」という話だと思うんです。ママたちの「学校観」は、ママたちが受けてきた学校教育がベースになっていると思います。「学校で先生の言うことを聞いている子が『良い子』」と、思っている。だから、「先生の言うことを聞きなさい」と、子どもに言い聞かせて、小学校にいれているわけでしょ?■わが子が先生の言うことを聞けない子だったら楢戸:わが子は、「先生の言うこと」をきちんと聞くことができない、つまりは「普通」からハミ出てしまう子です。だから学校生活では、「うちの子が悪い。申し訳ありません」という気持ちでいっぱいになります。木村:では、楢戸さんは小学校時代、本当にすばらしい学びを得たなぁと思っている?楢戸:じつは、1ミクロンも思っていなくて。「小学校」と聞くだけでイヤな気持ちになります。木村:それなのに、何で、自分の子が小学校に行ったら、「うちの子、迷惑かけてすみません」って言うの? そういうものだと思ってしまう根拠はどこにあるの? ■子どもを「枠の中」に押し込める大人は、子どもの敵だった?楢戸:諦めているわけです。「学校なんて、しょせん、そういうところなのだから」と。木村:小学校のときにそう思いながら、乗り越えられたの?楢戸:ただ、ただ、「自分はダメな人間だ」と思いながら、小学校に6年間通いました。木村:「学校なんて、そんなもん」と思ってしまうのは、卒業したあとの価値観でしょ? 小学校生活を送っている6年間は、「何で、こうなんだろう」「学校って、おもしろくない」の繰り返しだったわけでしょ?楢戸:いえ、実際にはもっとダメで。私は「先生の言うとおりにできない自分がダメ」と思いこんでいました。木村:自分が経験したことを、もう1回、自分の子どもにさせたいの?楢戸:そこが大きなジレンマで。「させたくない」。それが本音です。けれども、親としては「世の中で生きていくためには、フォーマットの中にいれないと」という気持ちにもなってくるんです。木村:こういう考え方をする大人が、一番、子どもの敵なの。「普通にやってきた自分」が、異質なものを排除する。その差別する感情を自分自身が持っていないか、省みなければ。■自分の中の「排除される要因」を隠せない子が生きにくい世の中楢戸:「自分は、排除されないようにしよう」。これが、いまの世の中にはびこる空気だと思っています。どんな人の中にも「排除されるようなもの」は、必ずある。でも、自分の中の「排除されるようなもの」を隠さなければいけない。そんな圧力があるのかな、と。木村:それを隠せる子は、いいの。隠せない子が、「育てにくい子」とか発達障害と呼ばれる子になるわけでしょ? 隠せない子が生きにくい世の中でしょ? でも「隠せる子」は、「隠すことで」生きている。そんな世の中、みんなにとって間違っていますよね。楢戸:そうだとは思います。でも、一方で「今日、うちの息子が、学校で迷惑をかけている」という現実もあります。そういう現実と理想の間で、ひとりの母親として戦っていると感じているんです。 木村:卵が先か、鶏が先かの話。息子さんが幼稚園の段階で、楢戸さんの価値観が変わっていたら、息子さんはいま、通常の学級で学んでいたかもしれないですよ。次回は、「自分の子どもがうまく育っていないと劣等感を感じているママへ」 です。【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】1. 学校の授業で正解のあることなんて、1時間も教えていない2. 「普通にやってきた自分(ママ)」が、異質な子どもを排除しようとしている3. 自分の中にある「排除される要因」を隠せない子が、生きにくい世の中になっている。でもそんなの間違っている≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年05月22日LITALICO初のスマートフォンアプリが登場!発達ナビの運営会社である株式会社LITALICOより、2つのスマートフォンアプリが登場しました。ひとつは、発達上の困難さから声でのコミュニケーションが苦手なお子さん向けのコミュニケーションアプリ「えこみゅ」、もうひとつは、ことばの学びに役立つパズルゲーム「どうぶつまるカード」です。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースアプリの開発は、LITALICOが運営する学習教室「LITALICOジュニア」の支援実績と学術研究をベースに、LITALICOジュニアに通うお子さんたちに実際に遊んでもらいながら進められました。現在では教室での学習のサポートツールとして、ご家庭でもご利用いただいています。それぞれのアプリがどういったお子さまの困り感に役立つのか、その理由と使い方を紹介します。発語が難しくても、絵カードで気持ちを伝えられるアプリ「えこみゅ」自閉症スペクトラムをはじめとする、発達障害のあるお子さんのなかには、言葉の発達がゆっくりであったり、言葉は発せても耳で聞いた言葉が記憶に残りにくく、言葉を使って他人とコミュニケーションを取ることが難しいお子さんもいます。一方で、そういったお子さんの中も、目で見たものを理解することは得意である場合も多く、「絵カード」を使うことで、言葉のコミュニケーションを補完したり代替することが有効である場合があります。このアプリは実際にLITALICOの学習教室で使われている絵カードをいつでも、どこでも、どなたでも使えるようにアプリにしたものです。すべての絵カードには音声がついており、意思表示はもちろん、ことばの学習にもお使いいただけます。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースまた、身近な物を写真で撮って音声を吹き込むことで、ご家庭でも簡単にオリジナルの絵カードを作ることができます。基本となるカードのセットに加えて、ご家庭ごとに日常生活でよく使う物や行動に合わせたカードを組み合わせてお使いください。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースえこみゅ●iPnone By LITALICOニュース●Android By LITALICOニュースどうぶつまるカード、なぜ言葉の学びに役立つ?どう使う?そもそも言葉の発達は個人差の大きいものですが、自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害のあるお子さんは、言葉の発達が比較的ゆっくりな場合が少なくありません。私たちが何気なく行っている読み・書き・話し…という、ことばを学ぶ土台となる「意味・音・形」の三つの結びつき関係の理解が、お子さんの発達特性上、難しいからだと考えられています。また「意味・音・形」の三項関係の理解以前にも、同じものと同じものを合わせること、例えば、犬の絵カードともう1枚の犬の絵カードを重ね合わせる「マッチング」が苦手な場合もあります。スマホアプリ「どうぶつまるカード」では、同じもの同士をぶつけるマッチングから始まり、意味、呼び方(音)、文字(形)のそれぞれ結びつきの関係をゲームをクリアしていきながら楽しく学ぶことが出来ます。※以下のモデル画像は英語となっておりますが、アプリは日本語を含めた多言語に対応しており、日本語で安心してお使いいただけます。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースどうぶつまるカード●iPnone By LITALICOニュース●Android By LITALICOニュースLITALICOがスマホアプリをつくる理由これまでLITALICOでは、学習教室「LITALICOジュニア」を中心に、発達が気になるお子さんに向けて一人ひとりに合わせた教育・支援を行ってきました。しかし、子供の発達を支援する教育業界全体を見渡してみると、困難を抱えているご家庭の数に対して、専門的な支援技術を持った人材やサービスが大きく不足しているのが現状であると考えています。そこで、LITALICOのノウハウをITサービスにすることで、これまで学校や事業所での専門的な支援を受けられなかった子どもたちにも発達障害の特性に合った学習機会を提供出来るのではないかと考え、スマートフォンアプリの提供を開始しました。「社会課題を技術で解決する」ことを目指し、今後も発達障害のあるお子さんやご家庭を応援する様々なアプリをリリースしていく予定です。「えこみゅ」と「どうぶつまるカード」、ぜひご家庭で使ってみてくださいね!えこみゅどうぶつまるカード
2017年05月18日民間の発達障害支援施設はどう選べばいいの?専門家に聞きました。発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな民間の支援サービスや学習塾を選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつ。長年、特別支援教育の第一人者として活動を行ってきた大南英明先生に、民間の発達障害支援サービスの種類や選ぶ際に気をつけるべきこと、早期療育の意義などをお伺いしました。Upload By 福井万里【プロフィール】大南 英明全国特別支援教育推進連盟理事長1937年生まれ。公立小・中学校教諭、養護学校教諭を経て、東京都教育委員会指導主事に就任。文部省初等中等教育局特殊教育課教科調査官、東京都教育庁指導部心身障害教育指導課長、都立青鳥養護学校長を経て、98年帝京大学文学部教育学科教授に就任。2003年4月から帝京大学文学部教育学科長を兼任。2005年帝京大学小学校初代校長。2008年帝京大を定年退任、放送大学客員教授。人権擁護推進審議会委員。民間の発達障害支援サービスにはどんな種類が?一般の学習塾も有力な選択肢出典 : ー民間による発達障害支援サービスはどんな種類があるのですか。発達障害支援をする民間サービスというと、大きく分けて、2つの大きな流れがあろうかと思います。・発達障害児への支援を専門として受け入れる療育施設・発達障害児の受け入れをうたっていない一般向け学習塾前者の発達障害児向け専門の事業者は、バックに大学などの専門機関がある場合もあり、担当の指導員だけでは難しい場面には心理の専門家に相談できる仕組みなど、システムや組織が非常にうまくできている傾向があります。例えば、東京未来大学がバックにある三幸学園や、社内に研究所があり専門家の監修体制も敷いているLITALICOジュニア、武蔵野東学園(自閉症児の積極的受け入れを実施)と提携してカリキュラムを作った四谷学院には、発達障害のある子どもに合った専門的なカリキュラムやプログラムがあります。見落としがちなのは、後者である、看板に発達障害児の受け入れを銘打っていない学習塾です。ーそれは盲点ですね。実際、こうした学習塾の中には、30年以上前から現場レベルでさまざまな障害のある子どもの受け入れに取り組んできている施設もあるのです。 そういう施設は、最初は知的障害への支援が主でしたが、近年は発達障害への対応力も高めてきており、私自身どう指導していけばよいか相談にのってきました。独自のノウハウを学習塾ごとにためていっており、コマーシャルやプログラムなどには「発達障害」という言葉はでてこなくとも、今読めば発達障害のある子どもの学びをも想定しているとわかる内容になっています。ーどんなカリキュラムで学習塾が受け入れをしているのですか。障害児と障害のない子どもの内容を分けずに、同じプログラムでステップを細かくして指導しています。今もおそらく障害児を受け入れているとは言っていないけれど、受け入れている学習塾はあると思われます。そういうところは、口コミで広がっているのではないでしょうか。具体例としては、自学でのプリント学習を中心とする学習塾では、実質的には障害児の受け入れをしてきたと思います。療育用のプログラムで指導する民間サービスと、同じプログラムで障害がある子を受け入れる学習塾、この2つの種類の存在が頭にあるといいですね。ー他の種類はあるのでしょうか。最近は中間型も存在します。個人指導や個別指導をしている学習塾で、看板に小さく「学習障害やADHDなどの発達障害のある子どもも受け入れます」などと書いてある事業者です。本当に適切な指導ができるかは確認が必要ですが、わざわざ電車に乗って遠くに行かなくても、身近なところでそういう塾を利用するのも1つの方法だと思います。外からは見えにくい療育施設の質、市町村の無料相談で専門家の積極的活用を出典 : ー発達障害児の受け入れを明記していない学習塾でも、自分の子どもに合うプログラムであれば魅力的な選択肢になると思います。ですが、明示的な情報なしに、わが子に合った学習塾を探すのは難しそうです。障害のある子の親の集まりなどら得られる口コミが参考になります。そういう集まりに参加すると「あそこにいくと、子どもにあったプログラムで良かった」などの声をきけると思います。もうひとつは、自分で判断しないで専門家に相談して確認するといった手もあります。インターネットでも自分で様々な情報を集めることが出来ますが、即断せず、第三者の意見を参考にすることが大切です。ー相談できない専門家が身近にいない場合は、どうしたらよいでしょう。そういうときは、各市町村で実施している発達相談窓口の無料相談がよいと思います。相談する側には臨床心理士などの専門家が担当しているケースが多いです。公の機関なので、特定の施設の相談はできないかと思いますが、「こういう内容のプログラムの学習支援塾を探したのだけど、わが子の特性にあっているか?」などの聞き方は大丈夫です。子どもが3歳ぐらいの小さい時期からでも、相談にのってもらえます。無料で利用できる市区町村の相談機関は、大いに活用するとよいのではないでしょうか。ーなるほど、それは参考になりますね。発達障害のある子どもを受け入れてくれるかどうかも重要ですが、それ以上に気になるのは、実際の指導の質です。民間業者の質はどのようなところから決まってくるのでしょうか。民間事業者の質といった意味では、人、つまりよい指導者がいるかどうかに左右されます。良い指導者が多いところは、その施設の実績として結果がでているはずです。Upload By 福井万里ーよい指導者を探すには、どうしたらよいとお考えですか。一番は、さきほどお話した、お母さん同士の口コミだと思います。コマーシャルだけでは、推し量れない部分です。また、公の機関にも相談してみるといいでしょう。子どもに向くか向かないかは別の問題ですが、悪い情報がはいっているケースなどは、公の機関は意外に情報を持っているので、聞いてみるといいと思います。ただ、その子どもに合わなかった特定のケースの場合もあります。聞ける場合は、苦情の内容も聞き、お子さんの特性に照らし合わせて判断するとよいのではないでしょうか。ー悪い情報が入っているところが、悪い施設とは限らないのですね。そうです。話題になっている業者というのは、いいにつけ悪いにつけきちんとした指導をしています。しかし、ひとつのサービス機関がすべての子どもに合うようになるのは不可能です。コマーシャルや広告などでは、たいてい、どんな子にでも合う指導ができるかのように宣伝されがちです。一方で、口コミなどで伝わる悪い情報というのも、色々工夫はしたけれどやはりその子には合っていなかった、という可能性があります。幅広く展開すればするほど、合わない子もでてきます。そこを加味して冷静に判断するとよいと思います。発達障害のある子どもを受け入れる事業者の側にも、子どもを預かって指導をするわけですから大きな責任がありますが、一方で保護者の側も、施設の見学などの際には自分の子どもの様子をなるべく詳しく説明し、その子とその施設のプログラムや指導が合っているのかどうか、自分でもよく吟味することが大切です。「1対1の個別指導」=良い指導とは限らない出典 : ー次にお聞きしたいのは、指導の方法についてです。保護者の立場からすると、やはり個別指導の方が、自分の子どもの特性にあった対応をしてくれそうに思えます。1対1の個別指導だから良い、ということではなく、お子さんの特性にあった“個別の”指導プログラムを提供できるかどうかが重要です。たとえば、LD(学習障害)でもディスグラフィア(書字障害)とディスレクシア(読字障害)では、困り事が違います。読むことが苦手な子なのに、読むプログラムが多いと困ってしまいます。ですから、個別指導とうたっているところでも、どういう指導内容なのかが大事になってきます。また、1対1の個別指導の方が質が高いというイメージを持たれるかもしれませんが、複数の生徒がいたほうが、緊張感がほぐれて取り組みやすくなる子どももいます。どうしても友だちがいると気が散ってしまう子は別の方法を考えるとして、教えられる子ども側から見ると、生徒が複数の方が精神的に負担が少ないケースもあります。特に、先生と生徒が1対1の個別指導で、相性がよくない先生にあたったときに、子どもにとっては悲劇になります。やっている中で合わなそうであれば、替えてもらう勇気が必要だと思います。相性の問題は、生徒が複数のときはあまり表面化しませんが、1対1になると途端に難しくなってきます。1対1の個別指導の落とし穴だと思います。見学時には教室設備も観察を。子どもが落ち着けないのは、環境要因のケースも少なくない出典 : ー他に民間事業者を選ぶときに、気をつける観点はありますか。学ぶ環境にも目をむける必要があります。設備というと、最新の施設がよいと思われがちですが、そうではなく、子どもが安心する設備に工夫してくれているかです。例えば、天井が高いのが落ち着かないお子さんであれば、布をはって天井を低くすれば、落ち着きますよね。ガラス張りがたくさんあったら、普通の家ではないので、イヤだと思う子どももいます。そういう場合はカーテンをします。どの子にもあった設備をつくるのは難しいですが、あまりお金をかけない工夫ひとつで環境はつくれます。環境について、配慮や相談にのってくれるかどうかも大事なポイントだと思います。ーなるほど。落ち着かない理由を、「障害だから落ち着かない」と言ってしまっているケースをよく聞きます。でもその子が落ち着く環境を作ると、その子は落ち着けるわけですよね。落ち着かない原因が何なのかを見つけることだと思います。ー落ち着かない原因を探ってくれる雰囲気があるところがよい施設なのですね。そうです。ですから、最初のプログラムではすぐに具体的な学習指導などに入らずに、子どもの反応を確認して、もし落ち着いていなければ、何が原因なのかを考えてくれるところがいいですね。いつまでも落ち着かない、指示が入らないというのが、障害のためだと考えてしまったら、そこでストップしまい、子どもの可能性の芽が摘まれてしまいます。子どもの生活スタイルから、民間サービスに何を求めるかを整理しよう出典 : ーカリキュラムについてはどのように選んだらよいでしょうか?その学習施設で何を得たいのか、その子の一日や一年における、その時間の位置づけを考えることが大事です。他にどこにも通えていない子がその学習施設にいくのであれば、他人と触れ合う場所がここしかないので、そこで学ぶことが大事になってきます。しかし、5日間学校に通っている子が、プラスアルファとして通うのであれば、体力、集中力、思考力など総合して、何をどれくらいの時間学んだら良いのか、振り返る必要があります。ー親自身が、要望を整理する必要がありそうですね。そうです。親自身が要望を整理し、「こういうことを望んでいるがそれがかなえられるか?」と聞くことが必要です。また、子どもの成長に対してフィードバックされるような仕組みがあると、より好ましいですね。どんな子も先生が自分のことを褒めているということは、必ずわかります。フィードバックされた親が喜んでいるとさらに子どもは頑張ります。ー他には、どんな観点が必要でしょうか?子どもの興味関心を見極め、子どもが本当に楽しんで取り組んでいるかが大事です。それに合った課題やプログラムを提供するところがいいです。その上で、もう少し欲張ると、家へ帰ってもそこで学んだことを課題として出してもらえるといいですね。同じ課題や教材教具がむずかしければ、「家にある似たもので学習できますよ」とヒントをくれるような場所がいいです。施設での学習時間は限られているので、家庭で関心をもっている内容を毎日できるとなると、ものすごくよいでしょう。ー子どもが楽しんで取り組めているかが重要なんですね。子どもも意外に義務感があって、「ここにきたらこれをやらないといけない」などと考えています。興味も関心も意欲もないのだけど、お母さんに「ちゃんとやりなさいよ」と言われたら、頑張ってやったりするのです。ですが、子ども一人ひとりの関心事や困り事を観察して、楽しみながら取り組ませてくれるところが、真の個別対応です。そういう取り組みができる民間サービスを探すとよいのではないでしょうか。良い指導には、正しい「厳しさ」が重要。見学の際は子どもと指導員の関わり方の確認をUpload By 福井万里ー厳しい指導をするところは、避けたほうがよいのでしょうか。これも、一概に「厳しい」「優しい」と区分けすることはおすすめしません。子どもはある意味、厳しい指導を求めている場合があります。褒められてばかりや、やさしいことばかりしていたら、子どもは興味関心をもちません。そう簡単には達成できないレベルでありつつも、子どもが持ちこたえて乗り越えられるような、絶妙な課題設定ができる指導者がよいでしょう。レベルを段差で例えると、階段は登れないけれど、細分化してレベルアップするスロープ状なら登れる子もいます。その場合は、スロープを作ってくれるような取り組ませ方をしてくれる指導者がよいと思います。座っていられない子に、歩いていいよと放置してしまったら、子どもの姿勢は育ちません。求められる「厳しさ」というのは、強制的に指導するのではなく、子どもが出来ないことを出来るようにしっかり取り組めるようにする指導です。子どもに合わせてしまう指導が現在多いですが、できるようになるためのハードルを作る、正しい「厳しさ」が大事なのではないでしょうか。ー施設を選ぶという観点から考えると、そういう指導者はどうしたら見分けられますか。社会のルールを守るのは障害のある子どもたちも同じです。親が施設を選ぶときは、放置されている子がいないところをみてみるとよいです。動いている子がいても、担当の先生がちゃんと見て、フォローしているのであれば、野放しではありません。教室を見学する際には、他のクラスも見させてもらえるようであれば、その点をみてみるといいと思います。また、他のクラスを見学できなくても、下駄箱ひとつとっても指導が行き渡っているか確認できます。きちんと靴を揃えているかなど、見られる場所はあります。ー大南先生が感じる、民間の発達障害支援サービスの課題は何でしょうか?放課後等デイサービスは、単価が安いので資格がある人が少ない傾向にあります。本来は単価をあげて資格がある人が入ってくる方がよいのでしょう。質の底上げを狙って、厚労省はガイドラインを作りました。ですが、そのガイドラインは、普通の学習施設にとっては、自由度のあるカリキュラムが作りづらくなっているという課題もあります。また、送迎など親への支援を手厚くする一方、子どもも一人ひとりにあったカリキュラムや支援が手薄になるところも多くあります。利用する子ども一人ひとりに寄り添った支援が一番大事なので、そこを見失わないでほしいと願っています。早期療育の利点は「誤った学習や習慣」を未然に防ぎやすいこと出典 : ー大南先生は幼少期の療育についてはどのような考えをお持ちですか。早期の療育にはどのような効果があるのでしょう。比較的学習成果が出るのが早いことや、「誤った学習や習慣」を未然に防ぎやすいことは、早期領域の意義だと言えるでしょう。たとえば、その子に合った指導や支援を受けていないまま6〜8歳になった発達障害の子どもたちが、ちゃんと座れるようになるのにはそこから2〜3ヶ月かかります。それが、幼児の間から指導を始めると、すぐに自分で椅子を動かして座っていられるようになります。そういう状態から小学校で受け入れられれば、その2〜3ヶ月が必要ないことになります。ー早期療育の効果がでやすいのは、なぜでしょうか。まだ、子どもの中に誤った習慣や学習が定着しきっていないからだと思います。例えば、紙があったらぐちゃぐちゃにすることを一度学んでしまうと、紙があるのを見ればなんでもぐちゃぐちゃにしてしまうようになります。しかし、最初から紙をぐちゃぐちゃにしないように教えたり、ぐちゃぐちゃにしていい紙はこれですと教えたりすれば、幼児はよけいな学習をしなくてすみます。ー年齢を重ねたあとに療育をする場合は、どうすればよいですか。人はいくつになっても成長するので、いつから療育を始めても手遅れということはないです。ご家族も本人も大変にはなりますが、どこの時点からでも、人は成長できます。でも、年齢があがればあがるほど、間違った学習が増えてしまいます。そうなると、間違った学習を訂正していくことが、大変になってきます。ですから、子どもの発達障害がわかった時点から、やれることはやっておくことを強くおすすめします。担任、民間サービス、親の3者の連携が、子の発達を促進する出典 : ー民間サービスを利用する際に、小学校の担任の先生と共有する必要はありますか。支援サービスを利用していることを、学校に言いたくないという親もいらっしゃると思います。でも、先程もうしあげたように、支援サービスにどのような位置づけで通わせるのかが大事になってきます。学校で精力を使い果たして疲れ切っていて、支援サービス先で集中できないケースや、学校と支援サービスで内容が重複して飽きてしまっているケースもあります。子どもの抱えている困りごとの解決が、学校と支援先と連携しないとわからないこともあります。親と担任の先生、支援サービスの支援者の3者の連携が、子どもの成長によい影響を及ぼすのだと思います。ー小学校の先生方は、民間サービスの利用に理解があるのでしょうか。子どもの困り事を協力して解決していきたいと、関心をもっている教師はたくさんいます。だから、教師の意欲を見極めた上で、相談していけるとよりよい環境になるでしょう。学校でも取り入れてくれるケースもあります。学校は教科書を消化しないといけないという逃げ口上がありますが、工夫をしようと思えばできることはいっぱいあるのではないでしょうか。現在、小中学校では民間学習塾と連携して、教師の研修をしているところもあります。民間の発達障害支援サービスとも今後連携して、教員を指導ができるとよいと感じます。地域全体で発達障害児教育を盛り上げていくための秘訣は?出典 : ー大南先生は墨田区の社会福祉事業団に50年近く携わってきたそうですが、地域ぐるみで発達障害支援が盛り上がるポイントは何でしょうか。障害がある人たちのニーズを、その地域で公表できる雰囲気があるかだと思います。「何をバカいってるんだ」という地域だったらニーズを公表できません。下町である墨田区は昔から公表できる雰囲気がありました。実際、1953年という早い時期から、墨田区では全国に先駆けて特別支援学級を作ることができました。ーニーズが言える雰囲気づくりの他に、どういう方々が動いたのでしょうか。ニーズが公表できて、中心的に動く人たちがいて、サポートする人たちがいて成り立ちました。そして教育委員会が動いて継続しています。教育委員会を巻き込めるかどうかが、ポイントのひとつです。23区には学校卒業後の余暇活動のボランティアがあります。ただ、充実しているところとそうでないところの格差はありますね。ー余暇活動のボランティアとはどんな内容で、どういう方が携わっていますか。日曜日などにお茶やスポーツなどの余暇活動をサポートする活動です。区民ボランティアも100人くらい登録していただいています。ボランティア講座などを開いて、継続してボランティアに関われるよう工夫しています。高齢者の方のなかには、技能があっても、「お金はいらないからやらせてくれないか」という人が結構いらっしゃいます。眠っている市民の力がもっと活用できるといいなと感じます。ー民間の療育教室でも、地域の商店街との交流が盛んな事例があるようです。放課後に地域の方々が見守るような仕組みができるといいですね。実例を公表していくと、広がりやすいのではないでしょうか。障害がある子をもつ保護者の方々も、そういう雰囲気のある地域は、通いやすくなります。教室を通うこと自体後ろめたさを感じている保護者もいらっしゃいます。それを払拭できるのは地域の雰囲気づくりです。そして、地域の結びつきが深くないと、要望、つまりニーズを伝えづらいですよね。ー最後に発達ナビの読者へ一言をよろしくお願いします。まず第一に、お子様の好きなこと、得意なこと、興味のあることを見つけていただき、一緒に楽しんだり、ほめたりして、お子様を認めることが大切です。「子どもを知る、理解する」ことの第一歩です。お子様の気になること、課題は、保護者の方々の悩みの種になることが多いと思います。しかし、できないこと、課題のない子どもは、どこにもいないことも事実です。お子様のことで悩みをどこへ持ち込めばよいのか、そのことで悩まれることもあろうかと思います。公立の相談機関をまず尋ねることをお勧めします。公立の相談機関が近くにない場合には、NPO法人等が運営する相談機関を訪ねてはいかがでしょうか。それから具体的な指導、支援をしている教室等へ出向かれれば、お子様にふさわしい場所に巡り合えることにつながると思います。そして、お子様の一日のスケジュールを考えて、無理のない、お子様に背伸びをさせない場所と時間を選ぶことをお勧めします。
2017年05月15日◆「今できないこと」に振り回されず自分の可能性をちゃんと信じられるのが「自信」だと思いますねー吃音のきっかけを知り、浪人を余儀なくされて…その後どう向き合ったのでしょうか。岩元:それが、この行き場のない憤りや怒りは「お前ら見てろよ!!」というモチベーションになったんです。「お前ら」は一体誰なんだって感じですけど。(笑)浪人生活というのは嫌というほど自分に向き合う時間があって、徐々に「障害も環境も言い訳にしない。絶対自分に負けない。」という気持ちが湧き上がってきました。これまでにない程がむしゃらに頑張れましたね。その結果、受験した全ての国立・公立大学と難関私立大学に合格しました。ー平均評定1.5からの大逆転…岩元:いやぁ〜、本当にどうやったら1.5を叩き出せるのか自分でも不思議ですよ!!(笑)岩元:就職活動も先行き不安ではありますけど、浪人時代に培った「自分は自分に絶対負けないんだ」という心構えがあるので、きっと最後は大丈夫だと思えています。ーそういうスタンスが本当の意味の「自信」なのかもしれませんね。自分をちゃんと信じてあげられる、というか。岩元:あ〜、本当にそうだと思います。「今、何ができる、できない」なんて表面的なことに振り回されずに、自分の未来の可能性をちゃんと信じられるのが「自信」だと思いますね。それは本当に大切なことです。ーその原点が、浪人生活…?岩元:そうですね、「上手く行かなくても自分は逃げない」って信じて進めるのはあの時期があったからですね。逃げないというのは受験も就活も障害も一緒ですから、自分の基盤になったと思います。ーなるほど岩元:で、そんなきっかけをくれたのは推薦を勝手に辞退した両親なんですよね。自分が変わるための十分な時間を作ってもらったようなものだから、今は打って変わって感謝しかない、ははは(笑)。出典 : 岩元:結局ね、どれだけ人や環境を恨んでも何も変わらないじゃないですか。だから「自分の人生絶対負けねーわ!!」という気持ちを持って生きています。ー負けないって誰に?何に?岩元:「自分に」ですね!吃音だから出来なくても仕方ないって言い訳したくなる自分、障害理解の仕組みがない社会や学校が悪いって責めたくなる自分、それに「あ〜勉強めんどくせえ」って怠けたくなる自分にも…(笑)ーははは!岩元:今では自分の人生に障害があることに対しても、かなり前向きです。吃音で苦しい経験をした自分だからこそ、他の人の立場をきちんと自分なりに想像して共感して、励ましていくことができるんじゃないか、って。そんな風に捉えられるようになってからは、この吃音にも両親にも感謝しています。ま、大好きとまではいかないですけどね!(笑)◆自分の知っている常識からはみ出る人を「出来ないやつ」と社会が決めて、排除してしまうー教員を目指しているんですか?岩元:教員になりたいと思っていますけど、自分は「学習指導要領に障害についての学習を盛り込むこと」が人生の1つの目標です。今は、「30人クラスで同じように教えられない」とか「電車の中で大きな独り言をやめない」とか…自分の知っている常識や枠からはみ出る人を「出来ないやつ、変なやつ」と社会が決めて排除してしまうことが多いと思うんですね。岩元:だから自分は障害への配慮どうこうの前に、まずは「みんなが知っている枠」の部分を増やしていきたいんですよ。ー枠、ですか。岩元:深く知らなくてもいい、でも少しだけでも知識があれば「困ってるのかもしれないな」と想像することができますよね。「障害がある人もいる、でもその前にみんな同じ人間なんだ」ということを、子どものうちから学んでいけるような教育システムになれたらいいなと思っています。ーなるほど。岩元:…まぁ〜、こんな目標を持つようになったのも両親のおかげですね!なんか感謝ばっかりで悔しい!(笑)
2017年05月11日放課後デイ・教科支援の先生からのメールに母はドキッ。現在高校3年生の発達障害のある娘は、中1の時から学習支援と余暇活動の場として放課後等デイサービスを利用しています。娘を通わせている放課後デイには送迎サービスはないので、公共交通機関を使える娘は1人で通っています。事業者と保護者との連絡は、連絡ノートかメール、電話でやり取りをしています。中1の終わり頃、娘の学習支援の担当者から母にこんなメールが届きました。Upload By 荒木まち子思わずアドバイザーの先生に相談する、心配性なワタシ遅刻もあるようだったので、娘のモチベーションが下がってしまったのかと心配になった私は、放課後デイのアドバイザーの先生に相談をしました。Upload By 荒木まち子放課後デイでは温かな「お母さんみたいな人たち」に囲まれて…Upload By 荒木まち子勘の鋭い娘に母は痛い所を突かれました…Upload By 荒木まち子主人にもグサッとやられました…Upload By 荒木まち子理想のお母さんには程遠い私。でもまぁ、いっか(笑)届けたい「お互いさま」の気持ち娘は主人の転勤で見知らぬ土地(関西)に引っ越後に直後に生まれました。その後、主人が単身赴任となり私と娘は二人きりで生活していた時期もありましたが、おおらかな土地柄のせいか、困った時は近所の方が「お互いさま」といつも助けてくれました。その経験から、今住んでいる地域(関東)に引っ越した後も私は“困りごとは一人で悩まずに周りに相談”し、“自分にできない事や苦手な事は得意な人やプロに助けを求める”ようにしてきました。娘が「放課後デイの先生がお母さん!」と言ったのも、文字通りの意味では母として少しさみしいですが、よーく考えてみると凄く嬉しい言葉でもあります。肉親のように支援者の先生に気心を許し、心底頼れるなんてなんて素敵なこと。頼り頼られる「お互いさま」の精神が娘にも通じていると感じる瞬間でした。
2017年05月11日「子どもが親を育てる」とはよくいったもの。マニュアルのない育児はこちらが泣きたくなる場面に出くわすことも多いですよね。でも、日々を過ごすうちに、いつの間にか自分の育児スキルがあがっていることに気付く人も多いのではないでしょうか。今回は育児力のさらなるアップを目指せるだけでなく、子育てが楽しくなる資格をご紹介! 通信講座で自宅勉強可能なものだけを厳選してみました。■仕事につながる!「チャイルドマインダー」少人数保育のスペシャリストといわれる「チャイルドマインダー」は、自宅で子どもを預かる保育室を開業できるほか、外部運営の保育所で働くことができるなど仕事の可能性が広がる民間資格です。1人のチャイルドマインダーが保育できる人数は年齢により1~4人と厳しく決められており、年齢は0~12歳までが対象となっています。チャイルドマインダーの資格勉強では少人数保育のノウハウ、また子どもの心理や小児救急救護法など安全の守り方を知ることができるので、子育てにも直に役立つ知識が身に付けられそうですね。講座にもよりますが、約2か月~6か月の間、養成講座を受講し試験に合格することで保育の未経験者でも資格をとることが可能です。受講費用は約13~20万円となっています。■子どものやる気を引き出す「チャイルドコーチングアドバイザー」「チャイルドコーチングアドバイザー」は1人1人の考える力を引き出すプロ。対象は小学生~高校生で、子どもがもつ能力を育て、やる気にさせるカウンセリング技術とコーチングスキルを身に付けるのに役立ちます。「子どもとどう接したらいいかわからない」そんな子育て中の悩みに応えてくれる要素をもち、子どもの声を聴き、承認し、質問し、共感するといった心理援助技術の大切さを知ることができそうです。資格の認定は認定教育機関等が行う教育訓練ですべてのカリキュラムを修了し、試験に合格することでおこなわれます。受講費用は3~5万円ほど。カリキュラムごとに添削問題を提出し、最後に試験(WEBから可能)を受け、得点率70%以上で合格となります。■わが子とのスキンシップにも「ベビーマッサージインストラクター」赤ちゃんの肌や身体はどうなっているのかといった基礎知識や、ベビーマッサージに関する理論、実技知識を学ぶことができる「ベビーマッサージインストラクター」。取得することでプロのインストラクターであることが証明でき、育児サポートの場での活動に活かせます。わが子に愛情たっぷりの正しいマッサージをしてあげられるので、親子のスキンシップに役立つのもうれしい! ママ友に教えてあげたり、ベビーマッサージ教室の運営といった選択肢も広がります。チャイルドコーチングアドバイザーと同じく、教育訓練ですべてのカリキュラムを修了したあとで試験に合格すれば取得できます。得点率は70%以上で合格で、講座の費用は5万円ほど。勉強期間は6か月ほどが一般的です。正しい知識を得ることで不安がなくなり、子育てに自信がついて育児がもっと楽しくなるなど、資格の勉強は一石三鳥…!また、相手の反応(心理)に合わせたアクションや反応を引き出すコーチング術などの学びは「愛すべきわが子」の視点だけでなく、「1人の人間」と向き合う客観的な視点をくれるかもしれません。気になったものがあればぜひ調べてみてくださいね。<参考サイト> チャイルドマインダー チャイルドコーチングアドバイザー ベビーマッサージインストラクター
2017年05月11日こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。「子どもの国語の成績が上がらない」「勉強の仕方、させ方が分からない」……そんな悩みを持つパパママは少なくないでしょう。そこで今回ご紹介したいのは、少し変わったアプローチの学習方法である“感情学習”。海外の教育課程ではすでに取り入れられている方法で、近年では日本でも耳にするようになってきました。感情学習とは一体どんなものなのか、実例を交えながら見て行きましょう!●幼稚園で感情表現を学ぶことの大切さインターナショナルスクールの授業には“ドラマ”という教科があります。幼稚園でスタートするプログラムでは、読み聞かせや読書、音読などと共に“表現”を学びます。香港在住15年の日本人家庭Hさんの娘Rちゃんは大人しく、ママが言葉の上達が遅いことを心配するほどでした。でも、幼稚園で出会ったイギリス人教諭の感情学習によって、大きく変化したといいます。『ミス・タニア(教諭名)は大きな体を揺らし、大きな目を見開いたりすぼめたり、大げさに泣いたり笑ったりしながら、娘と一緒に本を読んでいました。娘に「ほら怒った顔はどんな顔?」などと感情表現を促している 様子はまるでコントみたいでした』とHさんは言います。ミス・タニアとの出会いでRちゃんは少しずつ変わり、『Rはいつの間にかよくしゃべりよく笑うようになり、本を読んだり物語を書いたりを楽しむようになりました』と教えてくれました。●感情豊かに育つと国語力がつくMさん一家は、長い海外駐在生活を終えて日本に帰任し、現地でインター校に通っていた長女のAちゃんは日本の中学校へと転入しました。Mさんは『国語の成績が意外に良かったのでびっくりした』とのこと。漢字や文法で点数を取るのは難しかったものの、Aちゃんの国語力の高さはその後、他教科の成績がどんどん上向いていったことで証明されたといいます。『最初はどの教科も日本語で初めて習うからという理由で何もわからない状態だったけど、「ママ、教科書を読んでいるうちに分かってきたよ」って』。Mさんいわく『海外暮らしで家の外では英語漬け。だからこそ家の中ではAと1対1でたくさん日本語を話して本を読み、遊びもしたわ。あんまり密着しすぎてちょっと育児ノイローゼ気味だったのかよくケンカもしたの。その後泣きながらごめんねって二人で抱き合ったりね』。Mさんは感情学習について自分なりに、『でもそうやっていろんな感情に触れて育った からこそ、人の気持ちも文章に隠された意味も読み取る力が育ったのかもしれないわね』と結論付けていました。●読書を国語力アップにつなげるにはコツがある読書はいろいろな感情を読み取るチャンスです。たくさんの本を読めば、それだけたくさんの感情表現に行き当たります。でも、読んだだけではただ“知る”だけ。もちろん、それもプラスですが、読んで知った感情表現を“自分が表現する”ことで、国語力への影響の大きさが桁違いに変わってくるようです。インターナショナルスクールで図書館司書、その後教師として働くようになったミス・パメラは、より効果的な読書法について語ってくれました。『本を借りに来る子どもは大きく分けて2種類。一つは黙々と次々に読み続けるタイプで、話しかけてもあまり会話が弾まない子。もう一つは、同じ本を何度も借りたがり、話しかけるとその本の内容をうれしそうに教えてくれる子』とのこと。その後、小学校の教師として教えるようになったミス・パメラは、『読んだ本の話を人にするのが好きなタイプは表現力が豊か である』と気づいたそうです。『ただ読むだけじゃなく、そこに書かれている表現を自分の言葉で表現することが大事なのよ』とミス・パメラは教えてくれました。●ドラマクラスで表現力を磨いて国語力を上げるイギリス人と日本人のハーフ家庭Lさんの娘Eちゃんは、勉強嫌いで宿題はほとんどしないし読書も気に入った本だけ。Eちゃんが小学生のころ、ママはいつもガミガミと叱りつけていたそうです。でも、そのEちゃんが中学に入学するとみるみる成績を上げていきました。その理由がドラマクラスにあった ようだとママが話してくれました。『読んだ本に出てくる感情表現を使って、自分でエッセイやお話を書くというドラマの宿題だけは面白がって良く書いていた』そうです。『そんな役に立たないことばっかりって思っていたけどね』。中学生になると、ドラマクラスで書くのは“脚本”となり、字数も数千から数万字レベルになります。これをスラスラ書ける子は多くありません。『Eにとって、お話を書くのはお手の物。ドラマクラスで褒められて、そこから自信がついたみたい』とのこと。Eちゃんはエッセイ力を求められるIBカリキュラムの学校に通っていたため、ほかの教科への好影響が特に大きかったそうです。●まとめとして国語の成績を上げたい、ほかの教科の底上げもしたい、作文やディスカッションの能力もつけたい、だからこそ国語力を上げたい。学校教育の中でも、受験のためにも、これらは現実的に必要ですね。そして、この国語力アップには“感情学習”がとても効果的です。人の感情がもっとも劇的に育つのがいわゆる“三つ子の魂”の3歳頃。特にこの時期に感情豊かに過ごすことは後の国語力に影響を与えるようです。もちろん、3歳以降、大人になっても人の感情は成長し続けます。感情の表現方法を学ぶ感情学習は、小学生以降も引き続き国語力アップの強い味方として期待できそうです。●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年05月04日不登校とは出典 : 一般的に不登校とは、子どもが病気やケガ、経済的事情ではない理由で、長期間学校を休み続ける状態のことを呼びます。クラスメートや家族などの身近な人や自身が経験者である場合も含め、おそらく現代の日本ではほとんどの人が不登校の存在を知っているのではないでしょうか?不登校について、文部科学省は以下のように定義しています。連続又は断続して年間30日以上欠席し、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況である(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)このような不登校状態が継続し、十分な支援が受けられない期間が続くことは、学力の停滞、自己肯定感の低下や健康状態の悪化など、本人の学習や社会的自立を妨げる、様々な問題に繋がります。一方で、子どもが不登校になる要因には、社会環境や学校環境、家庭環境の様々な要因が影響しており、無理やりに子どもを再登校させようとするとかえって問題が悪化するおそれもあります。また、不登校問題の「解決」といっても、元々通っていた学校に再登校すること、別の学校に転校をしてリスタートすること、フリースクールや通信制高校といったその子に合った学びの場を見つけることなど、様々な選択肢が考えられます。今日、子どもの不登校問題は日本が抱える社会問題の一つとなっており、その要因を踏まえた適切な対策を行うことが求められています。Upload By 発達障害のキホン図表出典:「平成28年版子供・若者白書」このグラフは、1991年以降の不登校生徒数の推移を表したものです。不登校の子どもの数は2000年ごろまで上昇を続け、その後も高水準で推移していることがわかります。平成27年度現在、不登校の子どもの数とその割合は、小学生:2万7581 人(0.42%、228人に1人)中学校:9万8428 人(2.83%、35人に1人)高校生:4万9591 人(1.49%、67人に1人)となっています。中でも割合の高い中学生に関しては、40人のクラスに約1人以上の不登校児がいる計算となっています。出典:平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」「平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について」不登校の実態を知る上で重要な背景としては、まず一つに近年の子どもたちの社会性等に関する課題が挙げられます。例えば、自己の将来に対する夢や希望を持てずにいることや、自尊感情が低いこと、コミュニケーション上の困難さがあったり、ストレスへの対応が難しかったりするなどの傾向が指摘されています。二つ目に、社会的背景の影響を受けた保護者側の課題にも注目する必要があります。近年、少子化・核家族化・地域内での人間関係の希薄化により家庭が孤立するケースが多くなっています。そして、そのような家庭においては、保護者の不安感も大きくなり、育児をする上での自信を喪失したり、意図せずして過保護・過干渉になることが多いとも言われています。また、長期的不況の影響により生活の余裕がなくなり、保護者が精神的なゆとりを失ってしまい、結果、子どもにもネガティブな影響が生じてしまう、といった傾向も指摘されています。このような社会的背景を受けて、保護者が抱える課題も不登校問題と関連があるのではないかと考えられています。その他、学校に通わせるのが絶対ではないという保護者の間での価値観の変化なども、不登校の増加に影響しているのではないかという見方もあります。出典:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」参考:「不登校児童生徒への支援に関する最終報告 」不登校になりやすい子どもの特徴・傾向はあるの?出典 : 平成4年、文部科学省による報告において不登校は子どもに特有の問題があることによって起こることではなく「誰にでも起こりうる」という認識が示されました。参考:不登校への対応について(文部科学省HP)しかしその一方で、不登校になりやすい子どもにはいくつかの共通した傾向が見られるとも言われています。具体的には以下のような特徴・傾向が指摘されています。・わがまま、自己中心的、非協調的・非社交的・内向的・自発性、自主性、決断力がない・忍耐力のなさ・友人関係がほとんどない・手がかからないですが、上記で不登校は「誰にでも起こりうる」と述べた通り、子どもたちがこのような特徴や傾向を備えるに至った背景や経緯(生育環境や人間関係)についても注意が必要です。また、手のかからない子どもが不登校になるというのは意外に思われるかもしれませんが、まじめで成績も優秀な子どもがある日、なにかをきっかけに不登校になるケースも少なくないようです。子ども自身が持つこれらの特徴・傾向は、次章で説明する不登校発生メカニズムにおける「様々な要因」のひとつとなります。参考:伊藤美奈子「思春期の心さがしと学びの現場―スクールカウンセラーの実践を通して」2000年、北樹出版不登校と発達障害の関連は?出典 : 発達障害がある子どもであるからといって必ずしも不登校や引きこもりになるわけではありません。しかし、周囲の理解のなさや不適切な対応により人間関係がうまく構築できない、学習についていけないといった状況が進み、結果として不登校に至ってしまう可能性が指摘されています。不登校の解決を目指すうえで、その背景に発達上の特性や精神疾患による困りごとが存在していないかどうかを見極めることは非常に重要です。なぜなら、不登校が発達障害や精神疾患による困りごとに起因している場合、そうした困難性への対処を行わない限り根本的な解決は望めないと言われているからです。例えば、発達障害のひとつである学習障害の影響によって文字をうまく読むことができないため授業についていけず、試験で悪い点を取ってしまったことをきっかけに不登校になっている生徒のケースを考えてみましょう。この場合、様々に努力して再登校まで漕ぎつけたとしても、根本となっている学習障害へ対処がないまま授業を受けるとしたら、また同じ困難を抱えて、不登校になってしまう可能性があります。こうしたケースでは、保護者は学校側の協力を得て、文字を読みやすいよう工夫したり、文字以外の方法(レコーダーなど)で学びを支援したりといった手段を取ることで根本的な原因に対処することが求められます。子どもに発達障害があることがわかっている場合であれば、事前に担任の先生などに子どもの特性を伝えることで、子どもがどのような状況下においてどのような困りごとを感じるのかを知ってもらえるよう努力しましょう。そのようなコミュニケーションを取ることで、学校側も適切な配慮をしやすくなります。また、子どもの特性に合わせた具体的な対処法に関しては、医療機関を含めた専門機関による助言や指導に従うとよいでしょう。参考:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」参考:海野和夫「Q&A不登校問題の理解と解決」日本評論社2016年参考:「発達障害が疑われる不登校児童生徒の実態」中野明德不登校が発生するメカニズム出典 : By 発達障害のキホン多くの場合、不登校は様々な要因が合わさり蓄積され下地となった状態に、なんらかのきっかけが加わることで引き起こされると考えられています。要因の種類としては社会・家庭の要因、個人の要因のほか、(本人にとっての)学校環境の魅力の乏しさ、教師の対応能力の乏しさ、他の生徒との関係性構築の難しさといった学校生活上の要因などが挙げられます。参考:伊藤美奈子「思春期の心さがしと学びの現場―スクールカウンセラーの実践を通して」2000年、北樹出版例えば、親子関係上の問題という家庭の要因、学歴偏重社会という社会の要因が絡み合い下地となった状態で、友人関係のトラブルなどの出来事がきっかけとして加わることで不登校になってしまうなどという可能性が考えられます。きっかけとなるのは学校関連の事柄であることが多く、・授業での不適応・成績低下・友人関係のトラブル・いじめ・部活動での不適応・転校などが報告されています。また、適切な対処がなされないまま不登校状態が継続すると、学習の遅れや生活リズムの乱れという新たな要因が生じ、解決の難度が高くなる傾向があります。さらに、家庭内暴力やアルコール中毒など他の問題へと結びつくリスクも上昇します。そのため、解決を目指す上では学校やその他関係機関の協力を得ながら早期対処を行っていくことが求められます。参考:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」不登校の経過出典 : 不登校の経過は、小・中学校、高校共通に1. 前駆期2. 開始・進行期3. 混乱・引きこもり期4. 回復期と辿るのが一般的と言われています。しかし、上記の順番ですべての時期を通過しなくても、周囲が各時期において適切なかかわり合い・支援を行うことで次の時期に進むことなく再登校は実現されます。ただし、以上はあくまで一般論であり必ずしもこうした経過を辿るわけではなく、また発達障害などが絡む場合、求められる対応が異なることに注意してください。前駆期は「学校に行こうか、どうしようか」と葛藤する時期です。学校に行きたくない素振りを見せたり、頭痛や腹痛、吐き気などといった体調不良を訴えたりします。朝起きられない、パジャマを脱がない、制服を着ない、トイレに何回も入り独占する、何回もカバンの中を確認する、前日学校の準備をゆっくりする、といった行為が見られることもあります。この時期の適切な対応は、気分の良い学校生活を送れるよう配慮し、真剣に本人の話に耳を傾けることです。開始・進行期には「学校に行けない」「行かない」という意思を明らかにする「不登校宣言」が行われます。家庭での身体状態は前駆期とほとんど同じですが、子どもによっては症状が変化することもあります。朝目を覚まさない、目を開けても起きない、布団から出ない、教科書や制服などに見向きもしなくなるといった姿勢・行為が特徴で、適切な対応がなされなければ本格的に学校を休み始めます。この時期には、本人が感じている罪悪感や自責の念などに考慮しながら精神の安定を図り、目標設定から具体的な行動化を目指す方策を考案・実行していくことが適切な対処法と言われています。目標設定の仕方と意義については次章で解説します。混乱・引きこもり期は怒りを根源とした荒い言動、沈黙、引きこもり、無気力化が顕著になる時期です。粗暴な言動をする子どものほか、自室に引きこもって食事を運ばせたり、入浴や下着の交換をせずに過ごす子どももいます。また、長期間に渡り欠席を続けたことで久々に登校することへの様々な不安を抱え、再登校の意欲が低下してしまうことも多いです。適切なかかわりがないと、自己制御ができなくなり粗暴な言動を示し、それが落ち着くと引きこもるという流れが多いようです。また、中学2年生以上、特に高校生レベルで暴力が目立つ不登校の事例では、精神疾患があることを疑う必要があり、そうした場合は医療優先の対応が必須となります。この時期には登校意欲を上げるような働きかけや、目標と目標実現のための具体的な行動計画を設定する対応が求められ、放置したり、誤った対応を取ったりすると長期化へとつながる可能性があります。回復期は、子どもが少しずつ自信を取り戻した結果、登校に対して前向きな感情を持つようになる時期です。髪を切ったり、参考書を買いたい、学校の友達に会いたいと言い出したりした場合、それは回復期に入ったサインであることが多いと言われています。本人の自己決定を尊重して書店に連れて行ったり、望まれたら本代を与えるといった配慮をするとよいでしょう。このとき、子どもが動き始めたのを喜び、親はしばしば先回りして世話を焼きがちになります。しかし、そうした家族の過度な世話焼きによって状況が後退してしまう可能性もあるため、注意が必要です。家族のために何かをする、例えば洗濯や料理、掃除などの手伝いなども状況が回復へと向かっていることのサインです。親がこうしたささやかな行動や心遣いに気づいて、「ありがとう。うれしい。」と本人に伝えることで家族間での肯定的な感情交流が生まれ、子どもの自己肯定感にもつながっていきます。参考:海野和夫「Q&A不登校問題の理解と解決」日本評論社2016年不登校から問題解決へ向けて 合意形成と目標達成へのステップ出典 : ある子どもが不登校となった場合、その問題の「解決」とはどのような状態を指すのでしょう。元々通っていた学校に再登校すること、別の学校に転校をしてリスタートすること、フリースクールや通信制高校といったその子に合った学びの場を見つけること、様々な選択肢が考えられます。何より大事なのは、子どもの自尊感情を高め、「学校へ行く」「フリースクールに行く」といったその子の選択のサポートをしていくことです。なぜなら、多くの場合不登校の問題の所在は「自分はだめな人間」という心情にあるからです。具体的には、自信のなさ、集団に参加できない社会化不全、他者への過剰な遠慮や不必要な羞恥心などの否定的な感情です。そのため、解決を目指すうえでは子どもが自分のよさに気づき、それまでより自分に自信を持てる機会を積み重ねていくことが必要です。保護者の姿勢としては、そうした子どものよさを引き出すことに努め、そのために肯定的に関わっていくことが大切です。より具体的には、家族相互の感情交流を増やすことと家族の問題を解決するための目標の設定と実現方法を考案することが求められます。また、親子の関係を見直し、子どもとのより良いかかわり方を探す手段として「ペアレントトレーニング」に参加してみるのもよいでしょう。不登校の解決を目指すうえで目標設定を行うことには大きく2つの意義があります。一つは具体的かつ達成可能な目標を設定することで、問題解決の進展に対する評価と、その評価に基づいたフィードバックを行えるようになるということです。設定された目標に対してどのように向き合い、その結果どうなったのかを判断できるようになるため、現在の対応策を見直したり新たな対応策へのヒントを得たりすることができます。もう一つの意義は、達成に合わせて小さな目標を設定し続けることで、少しずつ本人の自信を育みながらステップアップしていけるということです。本章の冒頭で述べた通り、不登校解決に向けて取り組むうえで重要なのは、子どもの「自分はダメだ」という感情を取り除き、自尊心や自己肯定感を高めることです。何かに向けてがんばった結果、目標を達成することができたという成功体験は子どもの自信を育み、次のステップへとつながっていきます。目標設定の例としては、・学校に間に合う時刻に起床する・制服に着替える・家庭学習に取り組む・家事の手伝いをする・学校の友達と会ってみる・休日に登校する・誰もいない教室に入ってみる・職員室に行くなどがあります。どのような目標を立てるのかを決める上で重要なのは、子どもの意思を尊重することです。本人の考えに耳を貸さず、親の思いを一方的に押し付けてしまうと、子どもの自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。また、子どもが目標を達成できたときには、素直に努力をほめてあげましょう。できて当たり前と思えることでも、様々な感情を抱え葛藤している子どもにとっては大きな1歩です。一つ一つの成功体験を自信とつなげていけるよう、家族全員でサポートしていきましょう。教育機会確保法と不登校出典 : 教育機会確保法は、不登校の子どもたちの教育支援を目的として2017年に施行された新しい法律です。不登校生徒数が一向に減らない現状を背景に提出された本法では、学校に通えていない子どもの教育を受ける機会を確保するための施策を国や自治体の責務として、必要な財政上の措置を講じることを求めています。様々な議論の対象となっている教育機会確保法ですが、本章では中でも第十三条に注目して、この法律における2つの重要ポイントについて解説します。第十三条国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。(太字筆者)まず、1つ目のポイントは「休んでもよい」ということです。無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるという事実を踏まえ、「休養の必要性」が正式に認められました。2つ目のポイントは「学校以外の場における学習活動の重要性」を認めたことです。学校以外の学習の居場所となっているフリースクールなどの役割がこれまで以上に重要視されるようになりました。どのような支援が行われるのかなど、具体的な内容が決まるのはこれからですが、上記の2点が国によって正式に認められたことは、不登校の子どもやその家族にとって大きな意義を持つのではないでしょうか。不登校でも卒業できるの?学校以外の学びの場は?出典 : 子ども不登校が続くと、「勉強の遅れは取り戻せるのか」「ちゃんと進級・卒業できるのか」といった不安を感じることもあるのではないのでしょうか。本章では不登校の子どもの学びの場として大きな役割を果たしているフリースクールと、学習支援を行う通信制高校について解説します。不登校の支援機関の一つであるフリースクールは、しばしば「不登校の子どもたちの居場所・学びの場」と形容されます。フリースクールでは自分の好きなこと・得意なことを中心に学んだり、他の子どもやスタッフとの交流を通してソーシャルスキルを身につけたり、他者と協力することの楽しさを知ることができます。フリースクールは、文部科学省が定めるところの学校機関ではないため設置基準がありません。そのため、規模や運営方式、在籍生徒の学年、などは施設ごとに異なります。自由で独創的な教育を実践しているところも多く、既存の学校になかなか馴染めない子どもにとって新たな選択肢となっています。フリースクールに通う子どもたちは、義務教育期間中はもともと通っていた学校に籍を置いたままフリースクールを利用することになります。また、在籍校の校長による許可が出ればフリースクールへの登校も義務教育上の出席日数として承認される場合もあり、卒業に必要な単位が出席日数単位を満たすことにより、義務教育上の小中学校の卒業資格を得ることができます。平均的なフリースクールの費用や子どもに合ったフリースクールの見つけ方に関しては、以下の関連記事をご覧になってください。参考:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査通信制高校は、テレビなどの通信手段を使った自宅での学習が中心の高校のことです。以下で挙げる条件を満たしたうえで必要な単位を修了することで高校卒業資格を取得することができます。3年間の間に必要な単位を取得していれば卒業できる「単位制」と、毎年進級に必要な単位を取得しなければ次の学年に上がることができない「進級制」の通信制高校が存在しますが、現在ではほとんどが前者となっています。通信制高校を卒業するためにはスクーリング、レポート、試験の3つが必要です。スクーリングとは、登校して先生の指導を受けることで、科目によって単位をとるために必要な日数が異なります。また入学式や卒業式などの行事に参加することもスクーリングとしてカウントされます。スクーリングの出席日数に加え、定期的なレポートと期末試験によって、単位の認定がされます。通学型の通信制高校では、レポート指導の時間が設けられていることが多いため、無理なく取り組むことができるようです。通信制高校には他にも「私立・公立」「必要な出席日数」といった方法でも分類することができます。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。子どもの不登校に関する相談先は?出典 : 文部科学省は、子どもが不登校になった場合にはまず第一に在籍校と十分に連絡を取ることを推奨しています。教育委員会では「教育センター」や「教育相談所」で子どもの教育に関する相談を行うための窓口を設けているほか、「教育支援センター(適応指導教室)」では不登校に関する相談活動や不登校の子どもに対する通所指導(カウンセリング・教科指導・体験活動)を行っています。また、東京都教育委員会が運営する東京都教育相談センターでは、子どもの教育に関する相談電話を平日であれば午前9時から午後9時まで、土日祝日は午前9時から午後5時まで受け付けています(ただし閉庁日・年末年始をのぞく)。東京都教育相談センター厚生労働省が運営する「児童相談所」「保健所」「保健福祉センター」などでも教育相談をすることができます。ただし、地域によって名称が異なるので、詳しくはお住まいの都道府県・市区町村に問い合わせるとよいでしょう。まとめ出典 : 不登校に限らず、思春期の子どもとの接し方に悩む親御さんは数多くいるのではないでしょうか。また、なかには子育てと同時に自分自身の両親の世話や介護も行っており、大きな負担を抱えている方もいると言われています。思春期に起きる子どもの変化は、時として親子関係にも変化をもたらします。そうしたタイミングで子どもが不登校になったとき、親としての責任を感じて自分を責めたり、子育てに自信を失ってしまったりすることもあると思います。子どもの不登校をきっかけにお子さんとの関わり方や親子関係を見直すことは決して悪い事ではありません。しかし、不登校を解決する上で重要なのは状況に応じて具体的なアクションを起こすことです。また、多くの場合、不登校の原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。言い換えれば、子どもが不登校になるのは、必ずしもすべて親の責任というわけではないということです。さらに、本記事でもふれた通り、「不登校は誰にでも起きる」「休息は必要」という考えは文部科学省によって支持されており、今後も社会に広がっていくはずです。フリースクールなど、学校に通っていなくても学び成長できる場の役割も大きくなりつつあります。子どもとの対話を通して、前向きに、少しずつでも前に進んでいけることを願います。
2017年04月30日通級指導教室とは?出典 : 通級指導教室とは、小・中学校に通う比較的障害の程度が軽い子どもが、通常の学級に在籍しながらその子の障害特性に合った「通級による指導」という個別の指導を受けるための教室です。通級による指導とは、小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して、主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら、障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です(学校教育法施行規則第140条及び同施行規則第141条)。参考:平成五年文部省告示第七号|文部科学省通級による指導を受ける子どもは、主に各教科の学習や給食などの時間はみんなと一緒に通常学級で過ごし、週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けることになります。個別に必要な支援や指導の内容が変わるので、障害の種類によって教室の種類もいくつかに分かれています。そのため、在籍する学校にその子のニーズに合った通級が設置されていない場合もあり、地域で定められた他校の通級指導教室に通うこともあります。通級による指導は平成5年より全国で制度化されました。平成18年の改正により、情緒障害から自閉症者が独立して規定され、さらに学習障害(LD)、ADHDが新しく対象に含まれるようになり、指導時間数についても弾力化されました。通常級で学ぶ障害のある子どもが増え、そのニーズの高まりとともに小・中学校での通級指導教室による支援体制の整備が進んでいます。ここ20年間、通級による指導を受けている児童・生徒数は増加傾向にあります。平成27年度の文部科学省の調査によると、全国の公立の小学校3693校・中学校645校に通級指導教室が設置され、義務教育段階の児童生徒全体の0.8%にあたる8万3750人の児童・生徒が通級による指導を受けています。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の対象は?出典 : 学校教育法施行規則第140条の各号のいずれかに該当する、小学校・中学校に通い特別支援学級に在籍していない児童・生徒で、障害に応じた特別の指導を行う必要がある場合、通級による指導の対象となります。・視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・言語障害・自閉症・情緒障害・学習障害・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・病弱および身体虚弱「情緒障害」とは情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態を指します。具体的には心理的な要因による選択性かん黙(場面緘黙症)などが含まれます。上記の障害種別ごとにクラスが設置されますが、市区町村によってはすべての障害種別のクラスが設置されていない場合もあります。参考: 学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)通級の支援対象となる障害の基準は明確にはありませんが、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度とされています。学習面や生活面など、学校生活で子どもが困難を抱えていないか、さまざまな面から判断されます。後述する通り、就学相談などで親の希望や本人の障害の状況や困りごとなどを合わせて検討されます。明確な基準がないために「特別な指導を必要とする程度」の判断は、地域や学校によって異なる場合があります。通級指導教室ではどんな指導をしてくれるの?出典 : 通級指導教室では、障害に応じた特別の指導として、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導をうけることができます。一人ひとりの障害の状況に応じた具体的な目標や計画を立て、特別の教育課程を編成して指導が行われます。特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にした自立活動では障害による学習上・生活上の困難を改善するための指導が行われます。特に必要があるときは、これに加えて児童・生徒の障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための指導を行うこともできます。この「教科の補充」は、単に授業の遅れを補習するということではありません。ですが、その子にあった方法で教科を学び、学習上の苦手を克服する必要がある場合に行われます。例えば言語障害のある子どもが音読が苦手で国語の授業ができない場合に読む練習をしたり、算数障害のある子どもが筆算しやすいようにマス目のあるプリントでかけ算を学んだりする場合があります。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の時間数は、自立活動と教科指導の補充を併せて、年間35単位時間(週1単位時間)から年間280単位時間(週8単位時間)までが標準として示されています。また、学習障害及びADHDの児童生徒の指導時間数については、月1単位時間程度で指導上の効果が期待できる場合もあることから、年間10単位時間(月1単位時間)から年間280単位時間までが標準として示されています。小・中学校では定められた授業内容や授業時間数を学習要領に基づき行うことが義務付けられています。ですが特例として、児童・生徒本人の障害に応じた特別の指導を通級により受けた場合、受けた指導は小学校または中学校の教育課程に加え、またはその一部に替えることができます。つまり他校に設置された通級指導教室で受けた授業でも、自校で行った授業と見なすことができます。出典:学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)第百四十一条子ども一人ひとりのニーズに合わせるため、以下のような計画のもと、具体的な支援が行われます。・個別の教育支援計画…保護者や関係機関と連携を図って個別の教育支援計画が立てられます。それに基づいて通級による指導の教育課程が在籍校の校内委員会で編成されます。・個別指導計画…小・中学校では障害のある子どもの個別指導計画を作成することが学習指導要綱で定められています。特に通級による指導を受ける子どもの場合、通常学級と通級指導学級のそれぞれで支援計画が作成され、お互いの教員が連携し十分な協議を行って支援を進める必要があります。通級指導教室の通い方出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級に在籍し、各教科の授業や給食などの学校生活の大部分を通常学級で過ごします。担任も通常学級の教員がつとめます。週・月に何時間かある通級による指導の時間のみ、通級指導教室に通います。通級指導教室は障害別に分かれているため、必ずしも在籍校に該当する通級指導教室があるとは限りません。他校の通級指導教室に通う場合、保護者による送迎が必要なこともあります。これらの形態は地域や学区によって違いますので、お住まいの地域の制度や通級の設置校がどこにあるか、問い合わせてみましょう。参考:通級について|高知県教育センター通級指導教室と特別支援学級・特別支援学校との違いは?出典 : 特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つの選択肢があります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室は比較的障害が軽度な場合に選ぶ保護者が多いようです。出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。学区内に設置されていない場合、学区外の学校に通うことになります。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得していることが通常です。通級を選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットは?通級を選ぶべきかどうか、子どものことを考えて迷うのは当然です。教育システムや制度の違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級に在籍し、いろいろな子どもとのコミュニケーションなどの経験が積める・通常学級で授業が受けられる・本人の障害に合わせた必要な支援やフォローを通級指導教室で受けられる■特別支援学級・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・給食の時間や昼休みなどには通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・基準があいまいである・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある・制度や対象となるかの基準に地域差が大きい■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある通級指導教室に入るには?出典 : 初等教育(小学校)へあがる前年度に、障害のある子どもや発達が気になる子どものいる家庭が、通常級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校などの選択肢の中からどこへ進学するかを選択する機会が就学相談です。小学校入学後に通級による指導を受けたい場合、一般的には以下のような就学相談のプロセスを経ることになります。しかし、就学相談は、地域によって内容や呼び方、その過程が異なります。お住まいの地域の就学相談についてはご自身で行政や学校に問い合わせてみてください。■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。説明会では小学校全体および通常学級、特別支援学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。■7~9月ごろ:就学相談園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後通級による指導が必要となることもあります。その場合、小・中学校の校内委員会が関係しています。校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し、担任の指導への支援方策を具体化する。・保護者や関係機関と連携して、個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について、全教職員の共通理解を図る。また、そのための校内研修を推進する。・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。※LD、ADHD、自閉症スペクトラムの判断は教員が行うものではない・保護者相談の窓口となるとともに、理解推進の中心となる。こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、通級による指導や特別支援学級の支援を受けることができます。通級による指導が変わる?ニーズの増加と新しい取り組み出典 : 通常学級に在籍する子どもの中に発達障害があったり何らかの支援を必要とする子どものニーズは増えていますが、今までは通級による指導の教員は、加配措置の対象となっていました。そのため通級指導を希望しても先生の数によって、通級を利用できる子どもの数が決まる仕組みになっていました。そのために利用したくてもできない「通級待機児童」が発生してしまうこともありました。そこで2017年3月に、「義務標準法の改正法案」が国会に提出・可決されました。通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導に係る教職員定数の基礎定数化に向けた法律の改正が行われたのです。これにより10年間で通級による指導を行う教員を段階的に増やすことが決まりました。初年度となる2017年度については、通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導合わせての数ですが、計868人の教職員定数を増やすことになりました。またこの法改正により、通級指導の教員1人当たりの子どもの数は2016年度の16.5人から13人になり、よりきめ細やかな指導ができるようになるのではないかとの期待もあります。参考:国立国会図書館 教職員定数と義務標準法の改正通常学級に在籍する学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラムなどの発達障害のある子どもはどの学校にもいるといわれており、さらに適切な支援を受けられるようにすべきとの声も高まってきました。これを受け、文部科学省はインクルーシブ教育の一環として「特別支援教室(仮称)」として、さらに弾力的な支援ができる制度を進めようとしています。◇東京都の特別支援教室東京都では全国に先駆けて2016年度から小学校の情緒障害等通級指導教室が特別支援教室という制度に変わりました。それまで自校に通級指導教室が設置されていない場合、他校に通わなければいけなかったのですが、特別支援教室の制度では、東京都の全ての公立学校に特別支援教室がおかれ、拠点校から教員が巡回して指導を行います。これにより、在籍校で指導が受けられるため、・多くの子どもが支援を受けられる・子どもや保護者の移動・送迎の負担が少なくなる・在籍学級の担任と巡回指導教員の連携が密になるなどの効果が期待されています。東京都では新しく特別支援教室専門員を非常勤で配置したり、臨床発達心理士を巡回させるなど、支援を進めています。一方で、巡回による指導を行い、支援を受ける子どもが増える特別支援教室の制度は、教員の負担が大きくなります。そのため教員の数を増やしたり、制度の導入によって指導の質が下がらないようにする必要があるという指摘もされています。出典 : まとめ出典 : その子のタイプや学校の体制によっても、どのような支援体制が子どもに合っているかは変わりますが、大切なのは子どもにとって何が最善か、どんな支援があれば子どもが困り感を感じずに学校生活を送れるか。通級による指導もその選択肢の一つとしてみる価値は十分にあるでしょう。文部科学省によると通常学級に在籍する6.5%の子どもに特別な配慮や支援が必要だという調査結果があります。そのような子どもたちには、弾力的かつ必要な支援が受けられる通級指導教室の存在は重要になってくるのではないでしょうか。特に、発達障害の子どもの中には、得意なことと苦手なことがある場合があり、通常学級での学習におおむね困難がなくても、苦手なところや特性にあった指導が必要になる場面が出てくることも少なくありません。通級のメリット・デメリットを含め内容をよく知り、またほかの学びの場とも検討した上で、子どもに合うのはどのような環境か考えてみてはいかがでしょうか?まずは学校に問い合わせたり、子どもと一緒に見学に行くのもよいでしょう。
2017年04月29日こんにちは。ママライターのamuです。春は新生活が始まる季節ということで、引っ越しをした友達も多いのですが、聞いてみるとみんな“家や物価が安い”ほうへ、“環境のいい”ほうへ、住まいを移したいという気持ちが大きいようでした。そこで、治安が悪いと感じて引っ越しをした友達に、理由を聞いてみることにしました。●治安が悪いと感じた理由●(1)落書きがたくさんあった『公衆トイレにたくさんの落書きがあった』(30代/2歳女の子のママ)『お店のシャッターや橋、壁などにスプレーで落書きされていた』(30代/1歳・3歳姉妹のママ)スプレーの落書きは、人気のない深夜にしかできない と思うので、納得です。そういうトイレには特に子どもを一人で行かせないように、目の前で待つくらいでいいと思いました。みんなが使うところに落書きをして汚すことはいけないことだと印象づけるチャンスだとも思うので、きちんと教えていきたいですね。●(2)注意喚起の看板があった『痴漢やひったくり、夜道に注意などの看板がある』(30代/3歳男の子のママ)そう言われてみると、今私が住んでいる地域はとても治安がいいのですが、そういう看板はありません。街灯も多く、夜道が明るいのもポイントかもしれません。『四六時中、救急車や消防車のサイレンが鳴り響いている地域から引っ越してみて、夜ってこんなに静かなんだと驚いた』(30代/2歳女の子のママ)という声も。ただ、どんなに治安がよさそうな地域でも、完全に安全というわけではありません。自転車のかごや手荷物を後ろから急に奪う人、夜道で突然抱きつく人、暴力をふるう人、いろいろな危険性があるから、夜道はもちろんのこと、下校中も友達と帰る、ノロノロ歩かない、通学路を守るなど、徹底して指導したいところです。●(3)ゴミが落ちていることが多かった『町中・道路・公園などにゴミが落ちているところは、モラルが低いと感じた。自転車のかごにゴミを入れていく人も多かった』(30代/小1女の子のママ)ゴミが散乱しているなんて、もってのほかですよね。もし気がついたときは、ゴミを拾う姿を子どもに見せたい ですね。●(4)ワンルームのアパートだらけだった『深夜まで騒ぐ学生や、水商売の人が多い地域に住んでいたけど、酔っぱらいが多かった』(30代/2歳女の子のママ)『公営アパートが多い地域はモンペが多いと聞いた。また、金髪にスウェットにサングラスなどガラの悪い人がいて、小さいことでキレて怒鳴られた友達もいた。服装でもある程度わかることがある』(30代/5歳女の子のママ)『大きい一軒家が多いところは、ファミリーが住んでいるし、高台などは昔からの家も多く、治安がいいと思う』(30代/3歳男の子のママ)私が以前住んでいた地域も、学生や夜の仕事の人が多く、深夜も笑い声やケンカの声が聞こえることがありました。でも、どこにどんな人が住んでいるかは全くわからず、隣の人とすら引っ越しの挨拶もしない状態 なので、得体の知れない怖さみたいなものが常にあり、必ず戸締まりしたのを覚えています。また、すべての人がそうとは限りませんが、ワンルームアパートで一人暮らしをする男性の中には、小さな女の子にしか興味を示せない独身男性もいます。もしそういう地域に住むときは、万が一に備えて、娘にはミニスカートは履かせたくないな、防犯ブザーを持たせたいなと思いますし、知らない男の人に声をかけられたら例え道を聞かれたとしても「ごめんなさい!」と一言言いながら走り去っていいと伝えると思います。やはり、隣にファミリーが住んでいる安心感は重要だと感じます。●(5)コンビニのトイレが使用不可だった『都心の繁華街寄りに行けば行くほど、トイレは借りられない』(30代/小1女の子のママ)『治安が悪いところは、コンビニ店員の態度もぶっきらぼうでやる気がない感じだったけど、引っ越した先では、年配の人も多く、感じがよく、トイレも綺麗だった』(30代/3歳男の子のママ)綺麗に使ってくれるからこそ、トイレも貸せるし、またイートインスペースも設けられるのかもしれません。また、『ゲームセンターや深夜まで開いている大型量販店、パチンコ屋の近くは、子育て世帯向きじゃないなと感じた』(30代/3歳女の子のママ)という意見も。近くに繁華街があって、ゲームセンターなどに入り浸ると、子どもはそれが当たり前になってしまいます。私は、両親がタバコやパチンコをしない人だったけど、競馬場はたまに行きました。子どもは親の影響を受けるので、競馬はギャンブルだと感じないし、ギャンブルだけどいいイメージがあります。そのように、もし子どもにしてほしくないことがあるなら、なるべく親もしない、むしろ毛嫌いしているくらいの姿勢を見せることが大事だと思います。●(6)学習塾が少なかった『学習塾が多い地域は、夜、小学生が一人で通っても大丈夫な地域ということ』(30代/小4男の子のママ)近くにそれなりにスーパーや飲食店などもあり、活気もあるということもわかります。また、親になると不思議と自分の子以外にも目が向くものなので、送り迎えの親御さんがいると、何かトラブルに巻き込まれたときにすぐ気づいてもらえる可能性もありますよね。今住んでいるところや近所の治安があまりよくないと感じたときは、送り迎えをするのがベターですが、ケータイを通話中にして子どもの様子を確認したり、普段から危険が隣り合わせだということを教えて意識させることが大事だと思います。『公立高校の偏差値もポイント。治安のいい地域にある高校は、だいたい偏差値が高い』(30代/小2女の子のママ)私が高校生のころ住んでいた地域でも、学区の中でも綺麗で便利で住みやすいところにある高校は、総じて偏差値が高かった です。----------以上、いかがでしたでしょうか?少し偏った意見もあるかもせれませんが、参考になれば幸いです。●ライター/amu(ママライター)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2017年04月25日DSM-5とは?出典 : とは、米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルです。正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といいます。本来はアメリカの精神科医が使うことを想定したものですが、事実上、国際的な診断マニュアルとして使われています。DSMの初版(DSM-I)は1952年に出版され、以降数回にわたって改訂版が発行されてきました。DSM-5は、2013年に公開された第5版です。なお、第4版(DSM-IV, DSM-IV-TR)まではローマ数字が、第5版(DSM-5)からはアラビア数字が、それぞれ正式な表記です。第二次世界大戦中、兵士の適性検査や帰還兵の治療において精神科医が重要な役割を果たしました。平たく言えば、このときに使われた診断マニュアルが、現在のDSMのもとになっています。第3版(DSM-III)以降、DSMは、精神医学に「共通言語」を与えるという目標を明確に掲げてきました。これは、精神科医の「カン」に頼るのではなく、統一された基準を作り、それにしたがって根拠に基づいた医療行為がなされる環境を整えようということです。この方針が、現在に至るまでDSMのあり方を支えています。これについては、米国精神医学会の説明が簡潔でわかりやすいので引用します。「『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』は、アメリカや世界の多くの国々で、ヘルスケア専門職(health care proessionals)が精神障害の診断に対する権威ある指針として使っているハンドブックです。DSMに書かれているのは、精神障害を診断するための記述、症状、その他いろいろな基準です。DSMは、臨床医に共通言語を与えています。臨床医はこれを使って、患者について情報交換し、精神障害の研究に使えるような一貫した信頼できる診断を与えています。また、DSMは研究者にも共通言語を与えています。研究者はこれを使って、将来[診断基準を]どのように改訂できるか研究し、投薬治療やその他の医学的介入の発展を促しています。」(DSM-5: Frequently Asked Questions | American Psychiatric Association.より上記は発達ナビ編集部による抄訳) Frequently Asked Questions | American Psychiatric Association.また、作られた診断基準が適切かどうかを見直し、場合によっては修正することも、DSMが「共通言語」として機能し続けるためには重要でした。そのために、DSMは大規模・小規模な改訂を繰り返してきました。有名な例では、かつて精神障害としてリストアップされていた「同性愛」が、1974年に削除されたという事例があります。DSM-5の内容は?出典 : では、まず、精神障害が大きく22カテゴリーに分類されます。その下に、一つひとつの診断名が挙げられています。たとえば、ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)は、DSMでは「神経発達症群/神経発達障害群」という大分類の下にあります。「神経発達症群/神経発達障害群」には、ADHDのほかに、・知的能力障害群(知的障害)・コミュニケーション障害群(吃音など)・自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害・限局性学習症/限局性学習障害(ディスレクシアなど、いわゆる「学習障害」)・運動症群/運動障害群(発達性協調運動障害、チックなど)が含まれます。どうしてこれらの障害が同じグループに含まれるのか、疑問を持たれる方もいるでしょう。「神経発達障害群」というグループ名が示すように、このまとめ方の背後には、これらの障害はみな神経の発達のしかたという共通の原因に関連しているのではないかという仮説があります。もちろん、これは現在の仮説ですから、DSMの改訂によって今後分類方法が変わることもあるでしょう。DSM-5ではどのような改訂があったの?出典 : 年のDSM-5発表は、1994年にDSM-IVが発表されてから実に19年ぶりの全面改訂でした(ただし、小規模な改訂は繰り返されてきました。とくに、2000年には、DSM-IVの文言のみを大幅に書き換えたDSM-IV-TRが発表されました)。そのため、近年の精神医学の進歩や認識の変化によって、大きく書き変えられたところがいくつかあります。また、英語で書かれたDSM原著だけでなく、日本語訳においても、大きな変化がありました。ここでは、それをいくつか紹介します。最もよく知られているのは、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)」という概念が導入されたことでしょう。「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」は、DSM-IV-TRで「自閉性障害」「アスペルガー障害」「広汎性発達障害」などと呼ばれていたいくつかの障害をすべて含むものです。つまり、DSM-5では、これらの障害は別々のものではなく、連続した障害なのだ、という見方を新たに採用したのです。「スペクトラム」(連続体)という見方は、DSM-5でとくに重視されている見方です。これは、診断項目に「当てはまるか、当てはまらないか」を判断するよりも、それらに「どの程度当てはまるか」を判断するほうがが適切だろうという考え方です。こうした考え方は、診断名としてはもちろん、診断方法としてもDSM-5を特徴付けている点のひとつです。ところで、「自閉症スペクトラム障害」と「自閉スペクトラム症」と併記されていますが、DSM-5においては、どちらも正しい表記です。DSM-5の日本語訳では、英語の disorder をどう訳すかがはっきりと決まっておらず、「障害」と「症」が併記されています。翻訳の段階では、「障害」をすべて「症」に変えることが提案されました。これは、「障害」という言葉が持つネガティブなイメージを避けることを意図した提案です。しかし、ネガティブなイメージを避けすぎると、今度はかえって過剰診断という別の問題を引き起こすのではないか、という懸念がありました。そうした議論を踏まえて、結局「障害」と「症」が併記されることになりました。日本精神神経学会精神科病名検討連絡会「DSM-5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)」『精神神経学雑誌』116巻、第6号(2014年)429–57ページ高橋三郎・大野裕監訳『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2014年DSM-5はどこで使われているの?いつ必要になるの?出典 : が使われるのは、主に、精神医学を研究したりそれを応用したりする場面です。こうした事情は、日本でも世界の他の国々でもそれほど変わりません。医師がDSMに基づいて診断をしていると、患者にとってはどのようなよいことがあるのでしょうか。最も大きいのは、DSMが「共通言語」として機能することによって、精神科医一人ひとりが独自に診断をするということがなくなり、どの病院・医院でもそれなりに統一された医療行為を受けることができるという点にあるのではないでしょうか。しかし、行政や司法の場で主に使われるのは、DSMではなくICD(国際疾病分類)です。詳しくは下で説明しますが、ICDは、国連の専門機関であるWHOが発表している疾病分類マニュアルです。たとえば、発達障害者支援法は「発達障害」をICDに基づいて定義しています。[…]法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80–F89)」及び「小児〈児童〉期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90–F98)」に含まれる障害である[…]発達障害者支援法の施行について|文部科学省読者のみなさんにとって、「支援やサービスを受けるためにDSMの診断が必要だ」というケースは、あまりないかもしれません。障害年金や障害者手帳のような福祉制度の場合にも、民間の保険会社の場合にも、多くの場合、求められるのはICDの診断コードです。どうやってDSM-5の原文を見るの?診断名の調べ方は?出典 : 残念ながら、DSMの英語原文も日本語訳も、ウェブ上で見ることはできません。DSMは米国精神医学会の著作物であり、一般の書籍と同じように著作権の対象となっています。日本では日本精神神経学会によって日本語版用語監修が行われ、書籍が出版されています。『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(DSM-5の日本語訳) and Statistical Manual of Mental Disorders, fifth edition (DSM-5の英語原文)DSMとICD(国際疾病分類)の違いって?出典 : のほかにも、国際的に使用されている疾病分類があります。有名なものに、世界保健機関(WHO)が作成するICD(国際疾病分類)があります。ICDの最新版として、1990年に発表された第10版(ICD-10)が使用されています。また、2018年には第11版(ICD-11)の発表が予定されています。国際統計分類第 11 版(ICD-11)改訂にむけて|WHO健康開発総合研究センターDSMとICDは、しばしば列挙して参照され、またどちらも国際的に使用されています。両者の違いを挙げるとすれば、以下のようなものがあります。1. 作成機関: DSMは米国精神医学会が作成しています。これに対して、ICDを作成しているのは、国連の専門機関であるWHOです。ただし、DSMがアメリカ国内でしか通用しないわけではなく、事実上どちらも国際的に広く使われています。2. 分類範囲: DSMは精神障害のみを対象とした分類です。これに対して、ICDは身体的疾患を含むすべての疾患を対象としています。3. 使用場面: 日本の行政機関では、ICDが採用されています。たとえば、福祉制度に関する書類には、DSMの診断名ではなくICDの診断コードを書くことになります。とはいえ、実際には、ICDとDSMのどちらを主に使うかは医師・医療機関ごとに異なっています。大まかに言って、ICDのうち精神障害や発達障害に関連するコード(F00–F99)にDSMが対応しています。個々の障害(疾患)の分類方法や診断基準について、DSMとICDの間にはそれほど大きな違いはないと考えてよいでしょう。ただし、「自閉症スペクトラム障害」のような新しい概念については、DSMとICDが必ずしも対応しているとは限りませんので、注意が必要です。おわりに出典 : は、精神科医の診断マニュアルとして作成されたものです。その中には、精神医学に関する最新の知見や、まだ議論の決着がついていない事柄が多く含まれています。これらは、精神医学に関する膨大な知識と訓練がなければ、理解することも使うことも難しい内容ばかりです。読者のみなさんにとっては、DSMに基づく診断がしっくりくる場合もあれば、納得いかない場合もあるでしょう。また、「自閉症スペクトラム障害」のように、改訂によって診断名が大きく変わることに疑問を抱く方もいるでしょう。しかし、これらは精神医学そのものが発展途上にあることの証拠でもあります。精神医学の世界では、以前より格段に多くのことが明らかになったとはいえ、それでもわからないことが多くあります。私たちが普段目にするのはICDですが、DSMには、そうした医学研究の苦労が現在進行形で現れているのではないでしょうか。
2017年04月25日小・中学生の子どもの学習習慣の定着は、どの家庭でも悩んでいる問題。できれば、小学校低学年のうちに毎日の学習習慣を身につけておきたいですよね。まだ学習の習慣が身に付いていないころは、まとめて勉強するよりも毎日の積み重ねが大切。この時期に子どもの勉強にきちんと向き合い、勉強を習慣づけさせることが大事です。さらに、中学生になると、部活動なども忙しくなるので、より効率的で効果的な「質」の学習法が求められるようになります。最近では、より効率的で効果的な学習方法として、音声や動画で学習内容を解説し、子どもが楽しみながら勉強を進められる、ICT(情報通信技術)を利用したタブレット学習サービスが注目を集めています。教育現場でもICT(情報通信技術)を利用した学習が盛んになっており、2017年3月31日に発表された新学習指導要領でも「コンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設ける」ことなどが明示されています。では、タブレット学習のメリットにはどんなことがあるのでしょうか。主にあげられるのは、以下の通りです。1. 情報(指導)を1つひとつ分けて提供できるので、途中でつまずくことなく理解を深められる。2. 解答後、すぐに採点される・正答確認ができるので、解きながらわかるようになる3. 自分の回答や思考プロセスに合わせた指導・採点が受けられるので、より確実に理解できる4. 自分の取り組みに合わせた褒めや励ましをすぐに、頻度高く受け取れるので、やる気が上がる取り組みやすさのメリットが多いタブレット学習。加えて、学習に取り組んだ日時、解答に要した時間、正誤などの学習記録のビッグデータを解析して、お子さまたちの学習に活かせるのも、タブレット学習の魅力のひとつです。そこで今回は、現在小学生タブレット学習利用者数NO.1であり、利用者数100万人を突破した進研ゼミ小学講座「チャレンジタッチ」について詳しくご紹介します。「チャレンジタッチ」はビッグデータを活用して一人ひとりに合った学習を提供「進研ゼミ」ではタブレット教材を利用する50万人以上の会員の膨大な学習データを元に、どのような学習が効果的かを導き出しています。問題の解答状況から学習でつまずきやすいポイント、効果があがる学習方法を発見。学習履歴から、その子の学力や活用方法に合わせた学習を提案しています。また、学力の高い子どもの学習法から導き出した「目標を立てる(プランニング)」と「振り返りを行う(モニタリング)」の両方を重視した学習サイクルを実現しています。他にも、音声・動画による「動く授業」で、まるで先生がそばで授業をしてくれているように直感的に理解することができ、学ぶこと自体が楽しくなります。お子さまがやる気になったら、すぐ始められるのも魅力の一つ。電源を入れるだけですぐ始められる手軽さで、朝取り組むお子さまも多いそうです。また、1回10分から取り組めるので、ちょっとした隙間時間に学習でき、続けやすいことも魅力だそうです。加えて、お子さまが通っている学校の教科書に対応した内容で学べることも好評。学校の授業の予習・復習にも役立つので、毎日の授業で効果を実感できます。タブレットで厳選した約1000冊が読み放題! (「電子図書館まなびライブラリー」)これからの社会で重視される「問題解決力」の基礎となると言われているのが、知的好奇心や教養です。それらを育むことを目的として始めたのが「電子図書館まなびライブラリー」。子どもたちに人気の書籍約1000冊と動画約20本がいつでも自由に好きなだけ見ることができます。「進研ゼミ」の会員は追加受講費なしで、使い放題となることもあって、利用者数は55万人を突破し、小学生に最も使われている電子書籍サービスとなっています。良質な児童書から、読書感想文などにも選ばれる名作まで幅広い魅力的なラインナップに加え、図鑑・新書・一般書も網羅しています。本を読むだけでなく、自分が知りたいことを深く知るツールとして、年齢を問わず楽しんで使うことができます。また、実際に図書館に行く必要が無く、人気の本の順番待ちも不要なので、子どもが興味を持ったときにすぐ読み始めることができ、その興味を途切れさせることなく続巻や関連本に進むことができます。加えて、閲覧履歴から「お勧めの作品」を紹介する機能があるので、自分では選ばないような本に出合えることで読書の機会が増えることもママたちに支持されている理由です。 ママも喜ぶ「チャレンジタッチ」の安心安全設計!タブレット学習で親が心配に思うことの1つが、インターネットの閲覧や長時間利用。そんなママたちにも安心して使ってもらえるように「チャレンジタッチ」では、外部サイトなどの閲覧はできない仕様になっています。加えて、長時間使用時のアラーム機能や学習内容の進捗をお知らせする見守り機能もあるので、親がそばにいないときでも安心して子どもに利用させることができます。最後に「チャレンジタッチ」では、お子さまの確かな学力の定着に向けて、紙の教材も年数回お届けしています。記述式など、紙で学習するからこそ身につく問題は紙でも学習し、タブレット、紙教材、それぞれの良さを活かして学力を伸ばします。タブレット学習で確かな学習効果を感じてみませんか?「チャレンジタッチ」は、日々の予習、復習をタブレットで手軽に続けることができ、紙教材でしっかり確認という学習サイクルを身につけることができます。新学期がスタートしたこの時期、学習習慣を身につける第一歩として、「チャレンジタッチ」を手に取ってみてはいかがでしょうか。「進研ゼミ 小学講座」チャレンジタッチ PR:ベネッセコーポレーション
2017年04月21日4月1日の自閉症啓発デーに合わせ、Appleがワークショップを企画Upload By 発達ナビニュースAppleでは、4月2日の世界自閉症啓発デーをきっかけとして、自閉症啓発のさまざまなイベントを世界各地で行っています。Apple表参道でも、自閉症の方などへの”アクセシビリティ”をテーマにしたワークショップが行われました。アクセシビリティとは、年齢や身体障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できることをいいます。最近は学校の学習でも使われることがあるiPadですが、実は発達障害の各特性に合わせたさまざまなアクセシビリティの機能が搭載されているのです。Appleはテクノロジーについてこう掲げています。「テクノロジーはすべての人が使いやすいものであるべきだと、私たちは信じています。」多くのApple製品にアクセシビリティに配慮した機能が付いているのは、こうした考えによるものなのでしょう。今回の記事では、このアクセシビリティにフォーカスを当てた、Apple表参道でのワークショップの様子をお伝えします!障害のある方にも使いやすい!今日から使えるアクセシビリティ機能をご紹介Upload By 発達ナビニュース今回のワークショップには小学校や特別支援学級の先生などの3名が参加されました。Appleのワークショップでは、参加者に合わせて内容やテーマを柔軟に変えているとのことで、今回はiPadやiPhoneの学習支援の機能についてフォーカスした内容になっていました。紹介されていた機能の一部をここでも紹介します!Upload By 発達ナビニュース「アクセスガイド」とは、特定のアプリを集中して使用したり、学習したりするのを助ける機能です。指定したアプリから別のアプリへの移動できなくしたり、画面上の指定した範囲のタップを無効にしたりすることができます。また、アプリの利用時間制限を行うことも可能です。たとえば、誤操作しやすいボタンが表示される部分へのタップを無効にしたり、切り替えが苦手なお子さんのためにはじめから時間制限を設定しておいたりするような使い方ができます。この機能に対して参加者の先生方からは、アプリの中の機能を制限したり、意図しないページに移動してしまうことを防ぐことができるので、活用したいとの声が上がっていました。Upload By 発達ナビニュース「VoiceOver」や「スピーチ」といった機能は、聴覚から情報を得やすい人向けの機能です。VoiceOverは、タップした位置の情報を音声で読み上げてくれます。操作ガイドのように、音声でタップした場所の詳細を教えてくれるのです。スピーチは、表示されている画面全体を読み上げてくれるほか、読み上げている部分を単語レベルでハイライト表示することもできます。聴覚優位の特性を持っていたり、ディスレクシアのある子どもにとっては、耳からの情報のほうがより理解しやすいこともあります。また、ADHD傾向のある子どもの場合、本などを読んでいるうちに集中力を失ってしまうこともあります。VoiceOverやスピーチは、そうした特性のある子どもの学習支援にも適した機能かもしれません。さらに、一部の電子書籍やPDFなどの文書でも読み上げが可能とのこと。紙の本では、目で文字を追ったり、じっとして集中力を維持する必要がありますが、読み上げの機能を使えばより楽に情報をキャッチしやすくなりますね。Upload By 発達ナビニュースこちらはアクセシビリティの機能ではなく、iPhoneやiPadのブラウザー、Safariの機能です。Webページを閲覧中に出てきたわからない言葉を選択して、「調べる」や「辞書」を選ぶと、言葉の意味をすぐに調べることができます。漢字が苦手な子でも、すぐに自分で調べることができるので、学習意欲も向上するかもしれません。Upload By 発達ナビニュースこちらもSafariの機能です。Webページには画像やバナーなどが多数挿入され、発達障害の特性がある人には、読みにくく写ることも考えられます。そんなときに使えるのがSafariの「リーダー」機能。この機能を使うと、テキストが整理されて表示されます。シンプルな画面で文字を読むことができるので、内容に集中することができます。Upload By 発達ナビニュース参加された先生方は実際にiPadを操作して、紹介された機能を試しながら熱心にメモを取られていました。学習サポートや支援に使える!参加した方の感想Upload By 発達ナビニュースワークショップに参加した小学校教諭の男性は、読み上げ機能が英語の学習に活用できそうと話してくれました。また、この先生の学校では、すでに1人1台のiPadが導入されているそうです。小学校で英語の授業が始まったこともあり、英語の発音などを教える際の大きな助けになるのではないかとおっしゃっていました。また、肢体に障害がある子どもや、知的障害がある子どものサポートをされている女性の方は、iPadなどを使うことで、子どもの積極性を引き出すことができると話してくださいました。たとえば、あるアプリの機能をカスタマイズして、ボタンをタップすると音楽が流れるようにすると、子どもたちは「もっとやりたい!」と強い興味と積極性を持ってくれると語ってくれました。ICT機器の活用で、発達障害の子どもたちの可能性が大きく広がる!Upload By 発達ナビニュースiPadやiPhoneをはじめとするさまざまなICTデバイスは、障害のある人の可能性をさらに広げることができます。たとえば、教科書や本を読むのが苦手だった子でも、今回紹介した機能を使って学習を進めたり、世界の最新情報を得たりすることもできるようになります。また、楽器を演奏できなくても、AppleのSkoogというデバイスを使えば簡単な手の動きで作曲をすることもできるそうです。 Skoog 2.0触知性ミュージックインターフェイス - Apple(日本)他にもAppleでは、普段から視覚に障害のある方のワークショップなどを行っており、今後もこういった取り組みを続けてゆくそうです。このようなアクセシビリティに配慮されたデバイスが増え、その使い方・有用性を伝える活動が続くことで、「障害のない社会」にまた一歩近づいてゆくのではないでしょうか。撮影: Junichi Takahashi
2017年04月21日こんにちは、ママライターの馬場じむこです。小学校までに発達障害と診断された子どもが中学校に進学する際、中学校側にどう伝えていくか悩む保護者の方は多いのではないでしょうか。積極的に話すことで、学校側に変に先入観を持たれてしまったらどうしようと心配する方もいらっしゃるでしょう。今回は、兵庫県尼崎市南武庫之荘で発達障害の6歳から18歳までのお子さんに学習支援を行う、放課後等デイサービス『みらい教室』を運営している平林景さんに“発達障害の子どもの保護者が中学校と連携をとっていく方法”についてお話を伺いました。●怠けているだらしない子と思われるのがいちばんNG『進学時、学校側に最初からレッテルを貼られたくないという気持ちになるのは分かります。専門家である臨床心理士や医師でも、最初から大げさに学校に言わないほうがいいとアドバイスする人もいるぐらいです。しかし、私は診断内容や困っていることを隠すことで、お子さんが悪意を持って怠けている、だらしない子と思われて、自己肯定感が傷つくような指導をされる方がデメリットが大きいと感じるので、診断内容や心配していることがあれば最初から学校側に伝えておいたほうが良い と思います。最近は、学校でも発達障害への理解が進んでいます。ちょっとした学校側の配慮で過ごしやすくなることも大きいですし、何よりもお子さんの理解者になる大人を一人でも増やすということで、お子さんや保護者の心の安定にもつながります』(平林さん)平林さんがおっしゃるとおり、発達障害について書かれている本でも、保護者が学校側に積極的に伝えるかどうかについては、意見は分かれていました。しかし、お子さんが苦手なことに対してツラい思いをしているのに、怠けや悪意を持った行動と誤解されて、人との信頼関係が損なわれることを考えると、最初から特性を知ってもらうほうが良いのではないかと感じます。●新学期になってすぐに校長先生も含めて話をする場を作る『では、いつ学校側に話をするかというと、できれば新学期に校長先生と担任の先生と一緒に話をする機会をもらえないか連絡しましょう。保護者から「校長先生も同席の上で」と申し出た場合、学校側は拒否できません。個人面談の季節を待つより、先に行動した方がよいです。この場合、校長先生にも同席してもらうことがとても重要 になります。なぜなら、学校での配慮の場合には校長先生の許可が必要なことがほとんどです。校長先生にわが子のことを早い段階から知ってもらっていると、配慮が必要な事態が生じたときに話が早いですし、もし、今後、学校になじめないといったことが生じて、日中にフリースクールといった外部機関を利用する場合も、出席扱いとする、内申になるべく不利にならないよう一筆書いてもらうのも、校長先生の判断によるところになるからです』(平林さん)新学期の学校が忙しそうなときに校長先生まで同席を申し出て面談となると、気が引ける保護者も多いと思います。しかし、校長先生に最初から直接話をすることでスムーズに決まることも多く、学校生活や今後の進学についての疑問があったら、その場ですぐ明確な回答をもらえるでしょう。ぜひ、多くの人にお子さんを知って、応援してもらおうという気持ちで臨んでください。----------早い段階から親が中学校と深く関わることで、先生方に理解を深めてもらって、子どもにとって充実した学校生活が送れるといいですね。【取材協力/平林景氏】『株式会社とっとリンク』代表取締役。兵庫県尼崎市南武庫之荘にて、発達障害の就学児童の学習支援を行う放課後等デイサービス『みらい教室』を運営。『学校法人三幸学園』に専門学校の教員として勤務し、その後、『東京未来大学こどもみらい園』副園長、『東京未来大学みらいフリースクール』副スクール長を兼務し、2017年1月に創業。・株式会社とっとリンク●ライター/馬場じむこ(書評ブロガー)●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年04月20日表紙、イラスト、ストーリー、文章…。絵本を選ぶときはさまざまな要素が決め手になりますよね。けれど「いつも似たような本を選んでしまう」という人はたまには変わった基準で本選びしてみるのもおすすめです。たとえば「製作者」に注目してみるのはいかがでしょうか。今回はラインナップのなかから有名人が製作にたずさわった絵本を厳選して紹介していきましょう。ブーアの森作:せがわきり/絵:忌野 清志郎/出版社:TOKYO FM出版 「ブーアの森」 ロックミュージシャン・忌野清志郎さんがイラストを描いたこちらの絵本は環境保護がテーマ。木登りが好きなしょうくんは危険に応じて目の色が変わる不思議な生き物ブーアに出会い、人間がしてきたこと、これからしなければならないことを知ります。環境がテーマでありながら、かたくるしさはなく少年と森の精とブーアの会話で物語が進行していくため、小さな子どもたちにも理解しやすい内容です。危機感をもちにくい環境問題について、親子で話してみるキッカケになるかもしれませんね。オルゴールワールド著:にしのあきひろ/出版社:幻冬舎 「オルゴールワールド」 舞台は700年後の地球。空に住むカンパネラ少年は地上に住む少女に恋をしたけれど、それが叶わぬものと知る。でも諦めきれない少年は50年かけてラッパをつくり続け…。お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんがつくったことで話題となったこちらの絵本は、なんとペン1本で描かれています。目をみはる精密なタッチのイラストと、ちょっぴり切なくてやさしさにあふれたストーリーは大人をも魅了してしまうはず!マボロシの鳥作:太田 光/影絵・文:藤城 清治/出版社:講談社 「マボロシの鳥」 お笑いコンビ・爆笑問題の太田光さんのベストセラー小説『マボロシの鳥』を影絵と融合させた人気絵本。ストーリーは5部構成になっており2つの異なる世界を軸に展開されていきます。人間の欲望、他人と自分との関わり…。内面的な部分がテーマになっていますが、そのイメージを具現化したような影絵はとても美しく、まるで画集をみているよう。藤城さんは40枚の影絵をなんと約3ヶ月で製作したという裏話もあとがきで楽しめます。お話自体は少し長めなので小学生以上のお子さんの読み聞かせにおすすめです。(デジタル)パパコ絵本 バイバイねこバイ作・歌・朗読:博多 華丸(博多華丸・大吉)/構成:川端 明成/絵:大嶌 美緒/出版社:アイフリーク 「(デジタル)パパコ絵本 バイバイねこバイ」 「パパが本当に子どもに読みたい絵本をつくろう!」という思いから生まれた、吉本興業のパパ芸人&電通クリエーターの「パパコ絵本」シリーズのひとつ。親元を離れて自分探しにでかけた「ねこまる」は「○○になれたら、よかろうもん!」と叫びながら、変身を繰り返します。「ねこまる」のモデルと朗読はお笑いコンビ・博多華丸・大吉の華丸さん。方言を使った内容に「どれだけ子どもたちに届くかなと思うところもありますが、マネしやすいフレーズなので楽しんで頂けると思います」と語っています。まわりもステキだけど、自分もステキ。そんなことを伝えてくれる絵本です。南の島の星の砂作・絵:Cocco/出版社:河出書房新社 「南の島の星の砂」 歌手、Coccoさんが製作、イラストを手がけた一冊。小さな島の暗い夜空にかがやく無数の星たちはうさぎの形をしていたり、さかなの形をしていたり…。無限の色をたたえる星たちはいつしか地上に落ちて、砂になってしまいます。けれど砂になった星たちはとてもキレイで…。Coccoさんが12色のクレヨンで描く自然の豊かさはどこかなつかしく、そして幻想的です。文章は子守唄のようにやさしく「素直な気持ちになれる」と感じる人も。子どもたちのなかには「星の砂って本当にあるの?」と思う子もいるよう。本物の星の砂をみせてあげれば、絵本のことがもっと大好きになりそうですね。有名人が製作にたずさわった絵本はまだまだたくさん! テレビなどで日ごろから親しんでいる人がつくる絵本は、読むことでその人の人間性を垣間見ることもできそうです。いつもとは少し違った選び方で絵本を楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
2017年04月20日子どもが小学生になるのを機に、再び仕事を始めたママも多いと思います。小学校では基本的に給食があり、お弁当の準備が必要なくなり、朝のあわただしい時間が解消されるのでは? なんて期待を持っている方もいるのでは。でも実際には勉強や教材のチェックなどで、これまでよりも手がかかることも。仕事も学校関連のことも、すべてをママひとりでこなすのはかなり大変! そこでパパとママでお互いの得意分野をいかして、子どものフォローを分担できるようにしましょう。■勉強は誰がみてあげる?これまでの幼稚園、保育園と小学校生活。どこに大きな違いがあるかといえば、もちろん「勉強」です。小学1年生レベルであれば、まだ内容的に難しくないとはいえ、子どもにとってははじめて勉強。親も勉強を見てあげるのも初めて。だから、どうやればいいのか親子で戸惑ってしまうこともあります。そこでまずは大事なことを押さえておきましょう。低学年の場合、大事なのは「勉強する習慣をつけること」。パパかママ、早く帰宅できるほうが勉強を見てあげるなど、親のどちらかが近くでみてあげるといいですね。簡単な問題につまずいていると、つい口を出したくなりますが、そこはグッとこらえて。まずは自分の力でやり遂げるように「問題を声に出して読んでみて」レベルの声掛けにしましょう。それでもどうしてもわからなそうな場合は、絵を書いてみるなどフォローしてあげましょう。パパ、ママがお互いの得意教科に合わせて分担してフォローしてあげてもいいでしょう。たとえば算数はパパ、国語はママのようにすれば、頼る回数の多い教科が苦手ということもわかります。■時間割が何か理解している?幼稚園や保育園では、遠足などの行事を除いては、持ち物は毎日ほぼ同じもの。でも、小学生になると、時間割に合わせて教科書などを用意しなければなりません。時間割さえあれば、子どもにも何が必要なものかわかるだろう。そう思うかもしれませんが、まだ時間割とは何かを理解していない場合もあります。子どもと一緒に確認しながら、何が必要なのか教えてあげましょう。このとき、子どもにも一緒に考えてもらうといいですね。たとえば、「明日は体育があるけど、何を持っていけばいいかな?」、「国語の授業があるね。ノートはどれを使うかな?」という感じ。ひとつずつ確認してあげましょう。パパの帰りが子どもが起きている時間帯であれば、この作業をパパにお願いしてみては。パパも子どもと一緒に明日の準備をしてもいいですね。コミュニケーションが取れて、パパも積極的に育児にかかわろうとしてくれるかもしれません。■学校からのプリントを担当するのは?遠足のお知らせや教材費のことなど、子どもはほぼ毎日のように学校からプリントを持って帰ってきます。家計を預かっていたり、学校行事に参加したりするのはママという家庭も多いでしょう。そんなご家庭の場合では、ママがプリントの確認をするように、子どもにも毎日声がけをしましょう。子どもは、プリントをもらったことすら忘れているときもあります。ママがプリントの確認を行ったら、持ち物については時間割係のパパに伝達を。パパもプリントの有無をチェックすれば、お互い二重チェックができます。明日、着ていく服や、プールの授業で使う水着などの準備も、ママが一緒に行うほうが向いているかもしれません。「明日は雨だよ」「明日はすごく暑いって」など洋服選びに参考になりそうな声掛けをしながら、子どもが用意するのを見守ってあげましょう。■小学生になると人間関係の悩みが…小学生になると、新しい環境になじめない、友だちとケンカしてしまったなど、子どもが人間関係で悩むことが増えてきます。すぐに気づいてあげるためにも、今日は何があったのか毎日聞いてあげましょう。これは夫婦一緒でもいいですし、子どもが話しやすい、一緒に過ごす時間が長いほうでいいと思います。あえて時間を作ろうとすると大変だと感じるかもしれません。でも、ママが食事の片づけをしている最中にパパが話を聞いてあげる、ママとお風呂に入りながら話をするなど、ゆっくり時間をとれるときに、一日の報告をしてもらえば自然と習慣づけられるでしょう。報告会を毎日行うことで、子どもに何かあったときに気づきやすくなるものです。何もなければいろいろと話してくれていたのに、悩みがあると言いたがらない、言葉につまるなどの兆候が見られることも。「おかしいな」と感じても、すぐには問いたださないほうが無難。子どもだって、親には知られたくないことがあるものです。まずは話を聞くだけにとどめ、あとから夫婦で相談する時間を作り、対策を練りましょう。自分のことは自分でできるようになってほしいと思っていても、なかなかうまくいかないこともあります。それを助けてあげるのが親の役割。でもママひとりでフォローするのは大変です。夫と役割を分担しながら、楽しい小学校生活が遅れるようにサポートしてあげたいですね。
2017年04月15日こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。香港で現地系インターナショナル幼稚園に通ったわが家の子どもは、「フォニックス」で英語の読み方を学びました。アルファベットとイラストと英単語を組み合わせたフラッシュカードを嬉しそうに小さな手で抱え込んでは、歌ったり踊ったりといったゼスチャーとともに発音していく様子は、かわいくも滑稽でもありました。しかし、あっというまに発音を身につけていく子どもたちと、そのフォニックスというプログラムには感心させられたものです。今回は、日本でも耳にする「フォニックス」という英語学習方法の魅力や効果 についてご紹介します。●フォニックスって何?「Phonics」は、英語の基本であるABCを、「エー・ビー・シー」という読み方ではなく「ア・ブ・クァ」という“発音”で覚えよう というプログラムです。この違いにどんな意味があるかというと、エー・ビー・シーを覚えても、それらのアルファベットが連なった単語のほとんどは正確に発音することはできませんが、フォニックスのア・ブ・クァという音で覚えると、単語のつづりをフォニックスで追いかけることで、発音できてしまうのです。子どもの幼稚園でも取り入れていたプログラム『Progressive Phonics』が説くように、『子どもたちはアルファベットを学んで、それから次に読むことを学ぶのではなく、フォニックスでアルファベットを学ぶと同時に読むことも学んでいく』ことができます。例えば、「cat」という単語は、エー・ビー・シーをあてはめると「シーエーティー」ですが、フォニックスなら「クァアトゥ」となり「キャット」に近い発音を導き出せます。この方法で、かなり難しい単語も発音できる ようになり、これまでは耳でだけ知っていた単語を文字として認識できるようになり、文章を読み、書くことも可能になっていきます。●どうやって覚えていくのか?フォニックスを学習する方法はいろいろあります。子どもが通っていた幼稚園では、「aはantのア」とシンプルで短く誰もが知っている単語とセットで音を覚えていました。フラッシュカードの表には「Aa」と書かれ、裏には蟻のイラストと単語のantが書かれています。このカードを見ながら、指を使って腕を蟻が這っていく動作をして「ア、ア、ア」の音を発音し、「アンツッ」に結びつけていきます。「Cc」はカスタネットの音とのことで、「クァ、クァ、クァ、クァークァッ」と手でカスタネットを打つフリをしながら発音し、catなどの単語に結びつけていきます。『Progressive Phonics』の無料ブックには、フォニックス初心者が発音しやすい単語が集められていて、『最初のブックから気軽に、(4~7歳の)子どもと一緒に読みはじめよう』とのアドバイスが載せられています。2、3文字の英単語からスタートし、数か月で中学1年生レベルの単語「school」や「holiday」といった単語まで読めるようになっていき、同時進行でシリーズ絵本を使った読書を行い、さらに単語テストでライティングも進めていきます。こうして、小学校入学(約5歳)のころには、日本の中学教科書レベルの英語の本はスラスラと読め、簡単なエッセイが書ける ようになっています。●難解な英単語も自然に読める英語を学ぶ子どもにとって、フォニックスは、日本人の平仮名学習と同じくらい大切な学習といえます。フォニックスを学んできたかどうかで、小学校(プライマリー)・中学校(セカンダリー)以降にワンサと出てくる難解な英単語を読み解く能力に差が出てくるのです。教育機関向けにフォニックス資料を紹介する『オクスフォード』のサイトでは、『あらゆる学校のすべての子どもが読めるようになるためには、しっかりとしたフォニックスの基礎知識が必要』と強調しています。フォニックスを身につけている子どもは、10文字以上の長い英単語もその意味は分からなくても発音できます。それがとっかかりとなり、単語力アップにつながっていきます。ところが、フォニックスを学ばなかった子どもは、意味も発音も分からないあやしい単語にぶつかって四苦八苦し、単語力がつきにくいのです。また、読むだけでなく書く場面でもフォニックスは役立ちます。初耳の単語も、フォニックスを使ってスペリングを想像していくことができる のです。ちなみに、英語ネイティブの子どもたちは初見の英単語を辞書で意味を調べることはあっても、発音を調べることはまずありません。日本人が英語学習時に必ず学ぶ発音記号の存在を知っているかどうかすら疑問なほど。それだけ、自然な形で英語の発音を身につけるのが当たり前であり、どれだけ確かな発音の基礎能力がついているかで、高学年になったときの英語学習に影響が出てくるわけです。●まとめとして上記のフォニックス発音表示は、無理矢理日本語にしたので少々不自然ですが、無料で配布されているフォニックスソングなどを子どもと一緒に聞いてみると、「なるほど、これを英語学習の最初に習っていれば、英単語を読むのが簡単だっただろうな、発音がよくなっただろうな」と思えてくるでしょう。これから英語を学ぶ子どもたちにはぜひ一度耳にしてほしい英語学習メソッドです。そして、すでに英語教育を受けてきた大人のパパママ世代も一緒に、このフォニックスのすごさを体験してほしいです。【参考リンク】・Phonics()●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年04月12日いよいよ新学年。勉強の仕方を見直して、心機一転、がんばるぞ!という意気込みの人も多いでしょう。学年が上がったため、勉強時間をもう少し増やしたい、そんなときには“脳にご褒美”をあげるのが有効!4年生男子を英語力ゼロから半年で英検4級合格に導いた家庭学習ブロガーのなかやまさんに、効果的なモチベーションUPの方法を聞きました。必修科目にまで設定する学校があるほど、人気のマインクラフト(写真:なかやまさん提供)小学生男子も食いつく!「マインクラフト」って?神奈川県在住の主婦、なかやまさんの息子は4年生になってしばらくすると、先生から成績のことで「もう少しがんばりましょう」と注意されてしまいました。このままでは中学で落ちこぼれ、高校受験なんて無理かも!と焦ったなかやまさんは、家庭学習の習慣のなかった息子に勉強をさせようと試みます。途中から、高校受験に有利になるよう科目を英語だけにしぼって学習させたところ、ABCも知らなかった彼はわずか半年で英検4級に合格するまでになりました。4年生の男子がそんな簡単に親の言うことを聞く? これまでほとんど家庭学習をしてこなかったのに、いきなり「やりなさい」と言ったところでやる気なんて出るわけない!というわけで、なかやまさんが自宅での英語学習に取り入れたのはなんと「Minecraft(マインクラフト)」。プレイステーションやXboxなどで遊べるゲームで、画面の中で立方体のブロックを設置したり破壊したりして独自の世界を築き、森林の木々や地下に埋没している鉱石などを利用して武器や燃料を作るなど、とにかく遊び方が多岐にわたるのが特徴的。創造性に充ち、想像力をかきたてるため、スウェーデンのある学校では授業に取り入れられているという、なんだかすごい人気ゲームです。大好きなゲームを日課に取り入れることで時間管理ができるようにマインクラフト(通称「マイクラ」)を息子に買い与え、まずはその遊ぶ時間を1日1回、30分間に設定しました。プレイステーションの“ペアレントコントロール”機能を使えば、1日に遊べる時間を設定できます。遊び始めて30分経つと勝手に使えなくなるので、遊ぶのをやめざるをえません。もちろん「え~、もう終わり?」とぶーぶー言いますが、それは母に対してではなくあくまでもマシンに向かって文句を言っているので、ケンカや言い合いになることなくあっさりと遊ぶのをやめてくれます。そこでなかやまさんは、マイクラができる時間を朝学習の前の早朝に決めました。これには理由があって、英語を話す習慣をつけるためのオンライン英会話(スカイプを用いて海外に住む先生とマンツーマンでの会話ができるサービス)の、お気に入りの先生が早朝にしかいなかったから。また、学校から帰ってからの時間だと、公文や学研など塾に行って帰ってくるだけで勉強する時間がなくなってしまうこともあります。すると、それまでは朝、学校に行くために起こすだけでも一苦労だった息子は、マイクラやりたさに「明日は4時に起きようっと!」と自ら目覚まし時計をセットして、さっさと布団に潜り込むように。朝、寝ぼけた頭を30分間のマイクラですっきりさせてから公文を5枚、そのあとオンライン英会話を2レッスン(1レッスン25分)、というのが日課になりました。マイクラは30分で自動的に切れますが、その後のオンライン英会話は先生から電話(スカイプコール)がかかってきてしまうので、着替えや公文をやる時間など、ちゃんと自分で考えて時間配分をしないと間に合いません。必然的に自分で時間の管理もできるようになってきました。マイクラを通して具体的な目的が見えたマイクラにはほかにも利点がありました。世界中にプレーヤーがいるため、オンラインで英語でチャットしながらいろいろな国のプレーヤーと一緒にバーチャルな世界を冒険したりもできるのです(これはさすがに会話のスピードについていけず、4年生の息子には早かったみたい)。とはいえ、ユーチューブに自分のゲームの進捗を実況する動画がたくさんあるので、発音が聞き取りやすい英国人ユーチューバ―の動画を選んで見せています。実況ですから、画面と言葉がリンクしていて、わからない単語が出てきても彼は興味を持って見入っています。そのうち「僕、もっとダニエル(ユーチューバーのひとり)の言うことがわかるようになりたい!」と言うようになり、英語を学習する意欲がぐんと上がりました。英語が話せるようになりたい、といった漠然とした目標よりも、たった1つ、ダニエルと話がしてみたい。そんな小さな目的でもあったほうが、やる気の出方が違うことをなかやまさんは痛感。親の押しつけではなく、自らやりたいという気持ちにさせることに成功しました。息子が「ダニエル」と呼んでいるユーチューバ―DanTDMさん。確かに、男の子が夢中になりそうなおもしろさ。言葉に出てくる単語も難しくありません(写真:なかやまさんブログのスクリーンショット)”脳にご褒美”でモチベーションがぐんと上がる早起きする理由は「マイクラができるから」。英語を勉強するのは「ダニエルと話せるようになるから」。というように、具体的な“ご褒美”を脳に与えてあげれば、いくらでもモチベーションが上げられる。「これは利用しない手はないよね!」となかやまさんは言います。もちろん、“ご褒美”の内容はマイクラでなくてもよくて、それぞれ子どもの好みに合わせるといいでしょう。なかやまさんによると、大切なのは、“特別感”を持たせることだそう。なかやま家の場合は、遊べる時間がきっちり決められていることで、息子の「この時間だけは逃すまい」という気持ちが働いたわけです。子どもの大好きなものをひとつ見つけて、それを“ご褒美”にモチベーションをアップ。この方法はぜひ取り入れたいものです。なかやまさんの親子学習ブログに細かく学習の様子が書かれています。おやこども英語~目指せエーペラ~<取材・文:フリーランス記者岩佐 史絵>
2017年04月11日支援級って、実際どうなの?出典 : 「支援級って、実際どうなの?」「どんな雰囲気で、何をやってるところなの?」…と、特別支援学級という「未知の世界」が気になっているお母さんも多いかと思います。うちの長男は、発達障害に気づかずに通常学級で入学し、4年生まで過ごしました。そして、5年生になった時、自分の意思で支援級に転籍。さらに今年の4月からは、また通常級に戻る予定でいます。今まで繰り返しお伝えして来た通り、本当に支援級を巡る状況は千差万別です。これは「あくまで一例」ではありますが、長男と私が経験した「うちの」支援級ルポを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。うちの支援級の1日の流れ出典 : まず、朝の風景から。うちの支援級の登下校は、お母さんが付き添って歩いたり、車で送り迎えをしていたりする場合が多いです。我が家では、行けるときは登校班で歩いてゆき、不安定な時期や、行事などで心身の負担が大きな時期は、車で送って行きます。うちの学校の支援級は2クラス。身体・知的障害のあるお子さんのクラス(以下、A組)と、長男が在籍していた、主に発達障害の傾向のあるお子さんが中心となる、情緒クラス(以下、B組)に分かれています。通常級の出席番号とは違い、支援級のそれぞれの子には「専用カラー」が決められています。下駄箱やロッカーには、名前と共に、その子カラーのテープが貼られて目印になっているのです。そこに靴を入れて、クラスに向かいます。うちの支援級は、一階の保健室近くに配置されていて、普通級とはやや離れています。逆に、職員室、1年生のクラスとは同じフロアです。登校すると、子ども達はその日の予定を確認します。スケジュールボードに、それぞれの子の時間割がマグネットで並べられています。時間割はそれぞれの子で違うものになっています。教科によって支援級で過ごしたり、交流級に行ったり、運動場や音楽室に行ったりと、けっこう移動が多いです。交流級というのは、通常級のクラスでの授業・活動に参加することです。「協力学級」「親学級」などとも呼ばれています。B組在籍の子どもは、全部で6人程ですが、B組の教室に常時いるのは2〜3人。なかには1日中交流級で過ごす子もいます。A組、B組の子達が揃うのは給食の時間。机を全部くっつけて、2クラス合同で先生方も一緒に食べています。その様子は、カオスと言っても過言ではないくらい賑やかです。両クラスの最上級生である、A組の6年生の男の子は人気者。下の学年のお子さん達が慕って、おんぶをせがんだり、給食を配ってあげていたりと、微笑ましい様子も見られます。下校時刻は、それぞれの学年に準じたものになっています。上級生になるほど、6時間目の授業も増え、クラブ活動などもあります。低学年の子達が下校する6時間目には長男と先生のマンツーマンになることも多く、学習が捗るようです。チームで子ども達を見守る、先生達出典 : 支援級の担任は、A組はしっかりした女性の先生、B組はベテランの男性の先生です。そして、それぞれのクラスに副担任の先生がつきます。介助員さんも、両クラス合わせて常時2~3名が学校にいる感じで、主に身体介助の必要なお子さんのお世話や、交流級に行っている子の付き添いなどをして下さっています。子ども1人当たりの大人の数が多く、チームで手厚く見守って頂けます。とはいえ、クラスに不安定になっているお子さんがいる時には、複数の先生がその子にかかりきりになる状況などもありました。そして、支援級の担任の先生は、前回の記事でもお伝えしましたが、必ずしも、支援に詳しいとは限りません。長男のクラスの担任の先生は定年間近の大ベテランの先生でしたが、4月の時点では支援について、ほとんど何もご存知ではありませんでした。ですが、「お母さん達のほうがお詳しいでしょうから…」と、親の話を一人ひとり、謙虚に丁寧に聴いて下さり、私は本当に頭の下がる思いでした。その姿を見て、私は「あ、大丈夫だな」と思いました。先生は多少のことには動じないタイプで、個性の強い子ども達に忍耐強くつき合って下さり、長男も信頼している様子で、私は安心して見ていることができました。知識・経験以前に、先生自身が安定していること、子どもと基本的な信頼関係が築けることが、私はまず必要なように思います。そして、その子に合わせたり、親の話に耳を傾けてくれる姿勢があれば、例え支援に対する知識・経験が十分ではなくとも、次第に「プロ」になって下さるように思えます。気になる学習内容は…?出典 : うちの支援級の学習内容は、その子の進度に合わせたプリント学習です。プリントは本当にオーソドックスな問題を、教科書の順に添ってひたすら取り組むような形です。私は支援の本にあるような手作り教具やICT機器などをジャンジャン使って、体感的な授業がそれぞれの子に行われる様子を夢見ていたので、正直、やや肩すかしでした。それでも、通常級の一斉授業のスピードについていけず、ノートも取らずにぼーっと過ごしていた時に比べれば、私にはずっと有意義な時間のように感じられました。算数は、長男がつまづいている九九や、筆算の手順など、何学年も前のところから戻ってスタートし、少人数の環境の中、自分のペースでじっくり取り組んでいました。国語は、学習内容はほぼ理解できるものの、漢字がどうしても出て来ないので、学習補助用のiPadを持ち込んで辞書アプリで調べながら進めました。ただ慣れて来ると、プリント中心の学習はつまらなくなったのか、苦手科目以外のプリントに落書きが増えてきました。その時は先生に相談して、もう少し学習内容を調整して頂けるようお願いをしました。課題のレベルは「大体できるけど、定着してないこと」から「やや難しいけれど、なんとかできそうなこと」くらいが、その子にちょうど良い学習レベルだと思います。長男は「やさし過ぎる」「難し過ぎる」ものは、どちらも集中できないようです。長男の場合は、パソコンなど興味の強い科目から交流級で参加し始め、体育や図工などの実技教科、2学期には理科・社会も…というように、長男の様子をみながらこまめに連携し、徐々に交流級を増やして頂きました。そして算数もマイペースにコツコツとプリントに取り組み続けた結果、学年相応まで進めることができ、3学期には、全科目交流級での授業になりました。通常級でできてしまった大きな段差を、支援級で長男自身のステップで徐々に上がっていったことにより、学習への自信がついたのです。異年齢・多種多様!支援級の子ども同士の様子は…?Upload By 楽々かあさん休み時間、B組(発達障害の傾向のあるお子さんが中心となるクラス)の男の子達は、手作りカードゲームなどをして楽しく遊んでいました。時折、通常級の次男も、支援級に顔を出して、一緒に遊んでいたようです。次男曰く「エアコン、効いてるんだよね~」とのこと。体温調節が身体の機能的に苦手なお子さんもいるため、うちの両支援級はエアコンが完備されています。転籍前、精神面の凸凹差の大きな長男は、通常級の同年齢のお子さん達と、やや話が合わないようでもありました。でも、異年齢で多種多様なお子さんの集まる支援級では、年下のお子さんと気が合ったり、年配の先生方とたくさん雑談できるので気が楽だったようです。とはいえ、B組の子同士の関係は、仲のいいときはすごく良いけど、ちょっとしたきっかけで大げんかするという、ジェットコースター式。気持ちを言葉で伝えたり、妥協することが苦手な子が多いため、実際の所、衝突事故も多かったです。でも、その中で長男は、「ゆずってあげる」「合わせてあげる」ことの大切さに少しずつ気づけたようにも思います。また、B組では長男は一番年長。クラスのお子さん達をまとめたり、お手本になる役割も与えられました。それよって学校での「居場所」ができたようです。支援級で過ごしたことは、長男の心の成長にも大きなプラスになったように思います。支援級に移ったことを、通常級の子たちはどう受け止める…?出典 : 交流級に行くことで、支援級と普通級を行き来していた長男は、通常級の先生の目から見てもさほど違和感なく溶け込んでいたようです。また、支援級にいても、運動会などの行事では今までクラスメイトだった通常級の子達と一緒でした。運動会の組み体操も林間学校での野外活動も、支援級の先生方に見守られながら、不安に思うことをひとつひとつクリアしながら参加しました。少しだけハードルを下げたり、大人が見守ってあげたりすることで、皆と一緒にできることはたくさんあると思います。長男が支援級に移った時は、それまでと態度が変わった子もいました。長男に対して以前より距離を置く子もいれば、かえって優しくなった子もいるし、何も変わらない子もいました。でもさまざまな機会を通して、一緒に過ごすことで、普通級の子達も支援級の子たちに慣れていきます。多感な年頃の子達の間には、お互いに取り扱いが難しい面も少なくありません。さらに、空気を読めなかったり、集団の中で目立つ行動を取ってしまう長男にとって、コミュニケーションのハードルが高いであろうと思う部分は今でもあります。それでも長男は、6年生に進級したら、居心地良さそうにしていた支援級を卒業して、皆と同じクラスに戻ると言います。私は、支援級に転籍したときのように、長男に通常級の良い点、そうでない点の両方を伝えましたが、今回も長男の決意は変わりませんでした。そこには、好奇心の強い彼にとって今の成長に必要な刺激があるのかもしれません。また、合理的に物事を判断する長男にとって、考えられるデメリットを上回る何かを、今は感じているのかもしれません。子どもの成長と学び方は、一律一様ではないのだから…。ここまで3回に渡り、私達親子の実際の体験から、支援級と通常級の間にある選択肢、支援級を検討する際の判断のポイント、そして、うちの支援級の実際の様子をお伝えして来ました。支援級は本当に千差万別で、私には「うちの」支援級が標準的かどうかも分かりません。でも、具体的な情報が開かれてゆくことで、もっと支援級が身近で気軽に感じられる場所になってほしい、と私は願っています。また、支援級と通常級、それぞれにメリット・デメリットがあり、私にはどちらがいいとも言えません。でも、通常級にいる子達にとっても、長男が5年生を過ごした支援級を「別世界」と感じてるわけではないと感じています。そして、一つだけ確かなことは、日々成長する子どもたちによって、その個性の発達のスピードやその子に合った学び方は、一律一様ではない、ということです。これは長男の今までの育ち方と、興味関心のあり方を見守って来た私が、実感として思うことです。柔軟に、臨機応変に、その子に合った学び方が、どんなお子さんにも安定して提供される日が、なるべく早く来ることを、同時代を生きる子を持つ一母親として、私は願ってやみません。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年04月10日みなさま、こんにちは!海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。お子様に英語を学ばせてあげたい、とお考えのパパ、ママはたくさんいらっしゃいますよね。「かわいいわが子が将来英語で苦労しないようにしてあげたいな」「これからの時代、英語ができたほうが進学にも就職にも絶対有利よね」その一方で、不安もありますね。「パパも私(ママ)も、学生時代、英語が苦手だった。子どもに英語を教えるのは無理」「景気が悪いのに、高い学費を出して英語を習わせるのは難しいな」大丈夫です!パパ、ママが英語ができなくても、高いお金を払わなくても、お子様が英語が大好きになる方法があるのです!娘を英語、日本語、中国語のトリリンガルに育てた私が、自身の経験を交えつつお話させていただきます。●“インプット”と“アウトプット”英語学習には、大きく分けて“インプット”と“アウトプット”があります。簡単に言いますと、・インプット……“聞くこと”と“読むこと”・アウトプット……“話すこと”と“書くこと”となります。英語学習でまず必要なのはインプットです。なぜならば、インプットしなければ、アウトプットはできないからです。まずは、インプットを十分に得る必要があるのです。言語学者による数々の研究結果によると、3歳から7歳までに自然な英語環境の中で生活し始めた子どもほど英語の習熟度が高いということは確かな事実のようです。この年齢までに、英語に慣れ親しむ習慣を身につける、つまり質の良いインプットを十分に得ることがバイリンガルへの第一歩 なのですね。では、各ステップごとに見ていきましょう。●第1ステップ:まずは耳から自然にインプット(1か月目〜2か月目)ご家庭で常に、お子様の好きそうな英語の歌やラジオ放送をBGMのように流しておきましょう。とにかく英語をお子様の耳に入れてあげるのです。たとえお子様が関心を示さなくても一向にかまいません。自然にお子様の耳は英語の音、リズム、イントネーションに慣れていきます。BGMとして英語を流しておくだけで本当に効果があるのかしら、と不安に思われるパパママもいらっしゃると思いますが、子どもの耳は大人の想像以上に柔らかく英語の音を吸い取っていきますので、心配はいりません。このステップでは、パパママが教育熱心なあまり、子どもに「集中して聞きなさい!」と叱りつけることがありがちなのですが、お子様が英語嫌いになってしまう恐れがありますので、叱らないよう気を付けてくださいね。英語のインプットは、自然でリラックスした状況で行われるべきもの です。パパもママも、毎日お仕事に家事にと、本当にお忙しいですよね。でも、パパとママが忙しいそのときが、お子様の耳に英語の音をインプットするチャンスなのです。食事の準備をしたり、お部屋のお掃除をしたり、車の運転をしたりしている間にBGMとして流れる英語のラジオや音楽が積み重なり、そばにいらっしゃるお子様は全体としてかなり長い時間英語のインプットを行うことができるのです。●第2ステップ:目からもインプット(3か月目〜4か月目)(1)DVDや動画共有投稿サイトなどで子どもが興味のある分野の短めの英語の動画や、アニメなどを見せる(2)1回の視聴時間は子どもが集中できる10〜20分くらいで、朝と夜の2回視聴できれば最高幼稚園や保育園に行く前に、英語のDVDや動画共有投稿サイトなどの短い動画やアニメを見せましょう。それが楽しみになって、お子様に早起きの習慣が身に付けば一石二鳥ですよね。動画共有投稿サイトを上手に活用すれば、お金をかけずに質の良い英語のインプットを行うことが可能です。子ども向け番組として作成されたコンテンツは、3〜4分とそれほど長くないものが多いですから、集中力の続かない小さなお子様にも最適です。動画共有投稿サイトで「子ども向け英語」で検索すると、歌からアニメまで実にいろいろな番組が出てきます。英語の歌のコンテンツも効果抜群。子どもは歌が大好きですので、楽しく英語が耳に入ります。ここでは、お子様が興味を示すコンテンツを選ぶ のが重要なポイントです。うちの娘は2歳を過ぎたころからダンスに強い関心を示しておりましたので、お兄さんやお姉さんと一緒に小さい子どもたちがダンスを踊ったり、英語の歌を歌ったりするオーストラリアで人気のあるテレビ番組のDVDを買ってきました(当時は動画投稿サイトのような便利なものはありませんでした)。幼い娘は夢中になってテレビを見ながら踊っておりましたが、そのうちお兄さんやお姉さんの話す英語のマネをしたり、英語の歌を歌ったりするようになりました。娘は大好きなダンスを見よう見まねで踊ったりしながら、ネイティブの英語のインプットを行っていたわけです。子どもは好き嫌いがとてもはっきりしています。せっかくパパとママが一所懸命選んだ楽しいコンテンツでも、興味を示してくれない、という寂しいこともあり得ます。お子様ご自身にコンテンツを選ばせてあげましょう。仮に動画共有投稿サイトでお子様が選んだコンテンツの内容が、多少パパとママのお好みに合わなくても、お子様が夢中になって見ているなら、それが最高の教材 なのです。「こっちにしなさい!」とか「こっちの方がおもしろいわよ」などと親が押しつけては、子どもが英語そのものに興味をなくしてしまう恐れもあります。また、言語学習の助けとなる“あいまいさに関する耐久力”は、一般に子どもの方が優れているといわれています。全部がわからなくても、興味のある内容であれば、子どもは英語をかなり長く聞き続けることができたという報告もあるそうです。内容を理解しているかどうかを心配して、「今何て言ったの?」と動画を見ているお子様にたずねるのはやめましょう。うちの娘も、私の「今何て言ったの?」という質問をとても嫌がっておりました(笑)。理解しているかどうかは別にして、子どもは夢中になって、英語をインプットしているのです。●第3ステップ:徐々にアウトプットにチャレンジ(5か月目〜6か月目)子どもが英語の歌を歌ったり、憶えた英語を口にし始めたりしたら、DVDや動画投稿共有サイトなどの視聴に加えて、英語の絵本を見せてみましょう。絵本はインプットとアウトプットの両方に有効な教材 です。「だって、パパもママも英語が上手に読めないし……」心配しないでください!パパ、ママお二人とも英語が苦手な場合は、ネイティブスピーカーが吹き込んだCD付きの絵本を利用すればいいのです。1文字ずつ追いながらCDを聞いて、その後に声に出して読ませましょう。上手に読めたときには「読めたね!すごいね!」と大げさにほめてあげましょう。絵本には対象年齢が書いてありますが、これは英語を母国語とする子どもの年齢ですから、お子様の年齢よりも少し下の対象年齢の本を選びましょう。子どもは難しいと思うとやる気を失ってしまいますから、注意が必要です。絵本の他には、歌も効果的なアウトプットトレーニング になります。うちの娘もそうでしたが、ほとんどの子どもは歌やダンスが大好きだからです。ただ、アウトプットさせることを決して急いではいけません。**********『日本の小学校では、コミュニケーション重視ということで、クラスの子ども全員に発話させるなど、アウトプット中心の授業をしばしば見かける。発話させること自体は悪くないのだが、強制は好ましくない。十分なインプットのないままにアウトプットを急がせると、児童によっては、逆に英語を話すことへの抵抗感が増してしまうことがあるからだ。子どもには大きな個人差があり、憶えたことをすぐに使ってみたい子もいれば、アウトプットがほとんど見られない沈黙期と呼ばれる期間を体験する子どももいるのである』(『英語学習は早いほど良いのか』バトラー後藤裕子・著(岩波新書)より引用)**********焦らないでください。子どもたちが英語を口にし始めるのは、ほとんどがインプットを始めて6か月以上経ってから です。半年から1年くらいはインプットの期間と考え、焦らずに取り組むことがバイリンガルへの近道なのです。国際的な英語能力試験“TOEFL”で常に上位に入っているオランダでは、小学校で英語の授業をしているものの、学習時間はわずか週1時間程度だそうです。しかし、研究によると、幼いころからテレビで英語の映画やアニメを見ている環境が、英語習得に大きな効果を与えているとのことです。つまり、英会話スクールに通ったり英語授業がある幼稚園に通ったりしなくても、家庭の中で英語の音に頻繁に触れていれば、英語を聞いたり話したりする基礎力を養うことが十分にできるのです。----------いかがでしたでしょうか。英語が苦手なパパとママが、お金をかけずに子どもをバイリンガルにする基礎教育方法をご理解いただけましたでしょうか?1人でも多くのお子様が、音楽や動画で楽しく英語を学び、バイリンガルになれますように!【参考文献】・『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』平川裕貴・著・『バイリンガルは5歳までにつくられる』三幣真理・著・『英語学習は早いほど良いのか』バトラー後藤裕子・著●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年04月06日こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。日本の大学入試は、原則として“高校卒業と成績とテスト”がセットで必要です。ところが、海外で学ぼうとすると、行きたい国・行きたい大学によって、求められる「資格」や「テスト」が変わってきます。今、世界で主に通用している大学入学のための資格試験についてまとめてみました。●(1)TOEFL(Test of English as a Foreign Language)日本の高校または大学から、海外の大学や大学院に入学・編入学を希望するとき、英語力を証明するためにTOEFLの点数を提出するよう求められることが多いでしょう。TOEFL試験を運営する『ETS』によると、『オーストラリアやカナダ、英国、米国を含め130か国9,000以上の大学や機関に認められて』います。世界中、誰でも何度でも受験できるテストで、一定期間内に取得した一番良い成績を使うことが許されます 。またTOEFLは、最近増えている日本人帰国子女の英語力を証明する手段としても利用されています。TOEFLの点数が日本の高校や大学の帰国枠入試で考査材料になることも増えています。●(2)IB(International Baccalaureate)国際的に通用する大学入学資格制度であり、認定校で2年間のディプロマコースを学んだ後に試験を受け、必要とされる得点を取ればIBディプロマという資格を得ることができます。IDディプロマは大学入学資格であり、高ディプロマはハイレベル大学の入学資格となり、2年生に飛び級できたり、単位の一部免除を受けられたり、奨学金を得られたりといったメリットもあります。『IBO』によると、『急速にグローバル化が進む世界で生き・学び・働くうえで必要とされる、知性、個性、感性、社会性を育てる』『3~19歳の学生のためのプログラム』とのこと。IBプログラムはTOEFLとは違い、一般的な高校で学ぶだろう教科すべてにおいて、解析・証明・論説といった学習と試験を受ける必要があり、独学での対応は原則不可能 です。また、IBは2年のIBコースを履修して試験を受ける原則1回のみのチャンスとなります。●(3)SAT(Scholastic Assessment Test)アメリカの大学進学で利用されることの多い学力試験です。語学と数学分野のSATⅠとそれ以外の教科のSATⅡがあり、大学側がSATⅠのみ、またはSATⅡの一部を受験資格として指定します。SATを運営するCollege Boardによると、『多くの大学がCollege Boardから直接スコアレポートを送るように受験者に要求している』とのこと。College Boardは試験結果を登録した大学へと直接送ってくれるため、受験者は無駄なく入学や奨学制度にアプライすることが可能です。試験そのものは何度も受験可能ですが、成績は過去複数回分のスコアがまとめてレポートとして出ます。そのため、一番高得点の分だけを提出するということは原則できません。日本からアメリカの大学へと進学を希望する学生が多いこともあり、国内にSAT対策予備校などもあります 。ただし、アメリカ以外の国の大学への進学を希望する場合には、SATが資格認定として認められていないこともあるので要注意です。●(4)GCE(General Certificate of Education)、GCSE、IGCSE、GCE-A、GCE-ASSATやIBが主にアメリカで通用するのに対し、GCE群はイギリス系の国で広く用いられています。GCEは総称にあたり、GCSEがもっとも基本的な中等教育最終段階に受けるイギリスの統一試験です。いわば、高校卒業試験のようなもの。その科目はオフィシャルサイトであるGOV.UKサイトに掲載されていますが、国語や数学、語学といった主要教科以外に、デザイン、コンピューター、ダンス、ドラマ、宗教など幅広く専門性の高いものも含まれています 。GCSEで一定の成績を収めると、大学進学のためのコースであるGCE-Aレベル、またはGCE-ASレベルへと進みます。A(Advance)は上級、ASは準上級を意味し、ある程度専攻分野を決めて集中的な学習を行います。日本の大学の教養課程、またはカレッジレベルともいわれます。IGCSEはGCSEのInternational版で、世界各地にある英国系インターナショナル校で使われています。大学進学を目指す場合は、IGCSEの後にAレベルを受験します。GCEも原則学校教育を受けた後に受験し、受験回数は1度です。●まとめとしてそれぞれのテストに、通用しやすい得意な国があったり、受けるための条件もあったりするため、どれでも好きなものを選べるというわけではありません。IBやGCEを選ぶ場合には、遅くともIBやGCEの試験用カリキュラムがスタートする中学生のころには必要な環境を準備する必要がでてきます。TOEFLやSATは、日本の普通の高校や大学に在学していても本人の努力しだいで受験が可能であり、その結果次第で海外の大学への進学・留学がスムーズに、または国内の希望校入学も可能になります。それぞれの試験の特徴をよく理解し、さらに変化著しい受験情報をしっかりとチェックすることで、今後の教育の選択肢を広げていきたいですね。【参考リンク】・TOEFL()・SAT Suite of Assessments | The College Board()・International education | International Baccalaureate®()・GCSE subject content | GOV.UK()●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)●モデル/福永桃子
2017年04月05日特別支援教室とは?出典 : 特別支援教室は、発達障害のある子どもたちをはじめとした個別のニーズに対応し、より適切で効果的な教育を行うために、小・中学校への導入が予定されている設備・制度です。文部科学省は、特別支援教室構想を掲げ、それに伴い全国各地でモデル事業が行なわれてきました。とりわけ、2016年4月からは、東京都内の小学校で本格的な導入が始まりました。具体的な導入計画については、後に詳しく説明します。2005年以降、文部科学省は「インクルーシブ教育」の推進に力を入れてきました。インクルーシブ教育(または単にインクルージョン)とは、障害の有無にかかわりなく子どもたちに教育をするという理念・制度・実践をいいます。インクルーシブ教育では、障害のある子どもたちが、単に障害のない子どもたちと同じ学校に通うだけでなく、本当の意味で他の子どもたちと同じ教育を受けるということが目指されています。こうした教育を実現するためには、障害のある子どもだけが「特別なニーズ」を持っているという考えを見直し、「すべての子どもに等しく教育をし、その中でニーズのある子どもには適切に対応する」ことが重要です。たとえ障害のある子どもたちが通常校に通っているとしても、障害のない子どもたちから区別され、普段から別の教室で勉強しているなら、それは同じ教育を受けているとは言えない、これがインクルーシブ教育の基本的な考え方です。文部科学省の特別支援教室構想も、その一環として位置づけられています。文部科学省は、発達障害の診断を受けていない子どもたちの中にも、実際には「特別なニーズ」とされてきた個別のニーズを持つ子どもたちが少なくないのではないかと考えています。そして、そうしたニーズに気づき適切な教育をするために、また、その他の子どもたちが発達障害をよりよく理解できる環境を作るために、特別支援教室の導入を進めています。参考: 中央教育審議会「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(2005年12月)特別支援教室という制度では、「障害のある子ども」と「障害のない子ども」を分けて支援するのではなく、必要に応じて誰にでも支援やサポートを提供します。これは、「障害のある子どもが障害に応じて支援を受ける」という、特別支援学級や「通級による指導」のスタンスとは大きく違うものです。参考:Frank Bowe, Making Inclusion Work (Upper Saddle River, NJ: Pearson, 2005).参考:Gary Thomas and Andrew Loxley, Deconstructing Special Education and Constructing Inclusion, 2nd ed. (Open University Press, 2007).参考:高橋純一、松﨑博文「障害児教育におけるインクルーシブ教育への変遷と課題」『人間発達文化学類論集』19号(2014年)13–26ページ特別支援教室って、どんな制度?出典 : 全国に先駆けて東京都の小学校で特別支援教室が2016年4月から順次導入されています。ここでは東京都の小学校におけるモデル事業をもとに、特別支援教室が実際にはどのような制度なのかを説明します。特別支援教室とは、情緒障害や発達障害のある子どもたちを中心に、教育の場でサポートを必要とする子どもたちにサポートを提供しようとする制度です。基本的には、現在の「情緒障害等通級指導学級」(以下「通級」とする)を置き換えるものだとされています。ただし、「通級」には、情緒障害や発達障害以外の障害(吃音や難聴など)に関連したサポートを行うものもあります。ここで紹介する特別支援教室は、主に情緒障害や発達障害に関連した制度ですので、それ以外の「通級」までまとめて特別支援教室に置き換わるわけではないことに注意が必要です。特別支援教室の最大の特徴は、子どもたちが普段通っている学校でそのまま支援を受けられるということです。これまでは、障害のある子どもたちが特別な支援・サポートを受ける際に、普段通っている学校とは別の学校の「通級」に通ったり、特別支援学級や特別支援学校に籍を置く必要がある場合も少なくありませんでした。しかし、特別支援教室は各小学校にそれぞれ導入されます。2つの学校に通う必要がなくなることで、特別支援教育を受ける子どもたちの負担が軽くなることが期待されています。また、特別支援学級や特別支援学校でのサポートまでは必要としない通常学級に在籍する子どもが、個別のニーズに合わせて弾力的な支援が受けやすくなると考えられます。特別支援教室で教える内容は、基本的には情緒障害等通級指導学級(通級)と同じです。つまり、子どもの障害に応じて、障害の状態に応じて「自立活動」や「教科の補充指導」などが、それぞれに合った方法で指導されます。特別支援教室で指導を受けられるのは、情緒障害や発達障害のあるお子さんです。東京都は、対象として通常学級での学習におおむね参加できる「高機能自閉症・アスペルガー症候群」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」を挙げています。例えば高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもがコミュニケーションを取るのが苦手な場合、ロールプレイなどで適切な会話を学んだり、相手の気持ちを考えるなどの指導が行われます。また、学習障害がある場合、自分に合った学習方法を習得するための指導なども行われます。現在のところ、それ以外の障害(吃音や難聴など)に関連して「通級」に通っているお子さんについては、特別支援教室での指導は想定されていません。出典 : 特別支援教室に携わる人として、「巡回指導教員」「特別支援教室専門員」「臨床発達心理士等」という役割が新たに定められました。「通級」の担当教員は、役割の名前が「巡回指導教員」に変わります。巡回指導教員は、「通級」と同じように特別支援教室で子どもに指導をするほか、在籍する通常教室の担任と密に連携し、特別支援教育を受ける子どもだけでなく子どもが在籍するクラスでも連携して支援を行い、担任に助言をします。「特別支援教室専門員」は、特別支援教室の導入によって新しく配置されます。非常勤の職員で、特別支援教育で必要になる教材を作ったり、対象となる子どもの行動を記録したりします。新たに「臨床発達心理士等」も巡回することになります。「臨床発達心理士」「特別支援教育士」「学校心理士」の資格を持っている人が子どもの行動観察を行い、障害の状態を把握し、巡回指導教員や担任教員に専門的な指導を行います。東京都教育委員会「東京都公立学校特別支援教室専門員について」特別支援教室のメリットとデメリットは?「通級」と比べると?出典 : 保護者にとって最も気になるのが、既存の「通級」から何が変わるのか、また何が変わらないのかということではないでしょうか。ここでは、メリット・デメリットとともに説明します。「通級」が地域の拠点校にのみ設置されたのに対し、特別支援教室は各学校にそれぞれ設置されることが予定されています。つまり、これまでであれば、通級による指導を受けるために定期的に別の学校に出向く必要があったのに対し、これからは普段通っている学校で同じような指導を受けることができるようになります。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン2つの制度の違いは、基本的にはこの点に尽きます。たったこれだけの違いですが、「通級」から特別支援教室に変わることのメリットやデメリットは、必ずしも小さなものではありません。以下ではそれをいくつか紹介します。特別支援教室は、そもそもインクルーシブ教育を推進するための構想です。そのため、特別支援教室のメリットは、何といっても日本の教育をインクルーシブなものに変えるという点にあります。つまり、障害のある子どもたちと障害のない子どもたちが、それぞれに必要なサポートを受けつつ、基本的に分け隔てなく教育を受けることができる、そのような社会の実現に向けた第一歩が、この特別支援教室なのです。しかし、障害のある子どもたちや、その親御さんにも、直接的なメリットがあります。それは、これまでの「通級」とは違い、普段通っている学校でそのままサポートを受けられるということです。子どもにとっては別の学校に通う負担が減り、また障害に関連したサポートをする先生と、クラスの担任の先生との連携が、「通級」の場合よりも一層密になることが期待されます。しかし、特別支援教室にはデメリットや課題も指摘されています。まず、これまでの「通級指導学級」と同じ水準のサポートが特別支援教室で提供されるのかどうか、必ずしも明らかではありません。というのも、各学校に特別支援教室を導入するためには、これまでよりも明らかに多くのスタッフが必要です。加えて、特別支援教室では、将来的には「障害」の有無にかかわらず子どもたちの支援・サポートを行うことを目標としています。裏を返せば、これまでと同様に限られた資源の中で、これまでよりも多くの子どもたちにサポートをしようとしています。つまり、もしスタッフが十分に増えないまま特別支援教室を導入すれば、少ないスタッフでより多くの子どもを支援することになり、サポートの質が低下するおそれがあります。このことから「障害のある子ども」としてこれまで特別に支援を受けてきた子どもたちに対して、従来の特別支援教育が提供してきたサポートの質が保たれなくなるのではないか、と懸念する声もあります。もう一つ、重要な点があります。特に変化が苦手な自閉傾向がある子どもたちにとって、サポート環境が変わるということそのものが重大な出来事となりえます。この観点から見ると、特別支援教室という制度の良し悪しとは別に、制度の移行にスムーズに適応できるような仕組みについて考えていくことが求められます。特別支援教室とその他の制度との違いは?出典 : 障害のある子どもの学びの場は、今までご紹介してきた特別支援教室や「通級」だけではありません。日本の制度では、代表的なものに「特別支援学校」や「特別支援学級」があります。これらの制度は、それぞれどのように違うのでしょうか?特別支援学校とは、かつて「盲学校」「聾学校」「養護学校」と呼ばれていた学校で、現在でも学校名にこうした言葉がついている場合があります。一部の例外を除いて、基本的には障害のある子どもたちだけが学ぶ学校です(一部に、障害のない子どもたちが学ぶ学級を併置した「併置校」も存在します)。また、学校数自体が少ないので、寄宿舎がある特別支援学校もあります。特別支援学校では、特別支援学校学習指導要領に従い、その他の学校で教えられる教科に加えて、それとは異なる特有の教科が教えられます。こうした教科の多くは、学校を卒業した後に就く職業に関連した、職業訓練的な性格の強いものです。また、教える先生の資格という面から見ても、特別支援学校で教える先生は「特別支援学校教諭」という、一般の学校の先生とは異なる免許を持っています。特別支援教室と特別支援学校の最大の違いは、そもそも通う学校が違うという点です。これは比較的わかりやすい違いでしょう。ところで、自閉症・発達障害・学習障害などがある子どもたちを対象とする特別支援学校はあるのでしょうか。基本的には、現在のところありません。ただし、お子さんに別の障害がある場合には、その障害に応じて特別支援学校に通うことができるでしょう。たとえば、視覚障害と発達障害があるお子さんや、知的障害が合併した発達障害のあるお子さんのような場合です。特別支援学級は、かつては「特殊学級」と呼ばれていました。現在でも、関連条文から「81条学級」と呼ばれることがあります。(以下では「特別支援学級」に統一します。)特別支援学級は、一般の小中学校に置かれます(制度上は高校にも設置できますが、実例は多くありません)。多くの場合、障害の種類ごとに分かれ、学校ごとに「あすなろ学級」「なかよし学級」など様々な名前がついています。お子さんが特別支援学級で教育を受ける場合、その学校の通常学級ではなく特別支援学級に在籍することになります。そして、特別活動などを除き、通常学級の子どもたちとは違う教室で授業を受けることになります。制度上は、特別支援学級での教育は一般の小中学校と同じ学習指導要領に則った教育ですが、子どもの実態に応じて特別支援学校を参考にしたカリキュラムが組まれることもあります。先生の資格という面から見ると、特別支援学級で教える先生に求められる資格は、「特別支援学校教諭」ではなく「小学校教諭」や「中学校教諭」です。特別支援教室と特別支援学級の最大の違いは、お子さんがどの教室に所属するかです。特別支援教室の場合は、お子さんは通常学級に在籍し普段は他の子どもたちと同じ授業を受けつつ、必要に応じて別の教室で別の教育を受けることになります。これに対して特別支援学級の場合は、お子さんは特別支援学級に在籍し、別の教室で別の授業を受けることが基本となります。出典 : 最も違いがわかりにくいのが、特別支援教室と「情緒障害等通級指導教室」の違いではないでしょうか。情緒障害等通級指導教室は、「通級指導教室(情緒障害等)」「通級教室」「通級学級」などと書かれる場合が見られますが、どれも制度上は同じものです。以下ではまとめて「通級」と呼ぶことにします。先に説明したように、「通級」には、吃音や難聴のある子どもたちへのサポートを行うものもあります。通級と特別支援教室は、どちらの制度も、お子さんが障害のない子どもたちと同じ学校の同じ教室で学びつつ、必要に応じて別の教育を受けるという点で共通しています。どちらの制度も、特別支援学校(障害のない子どもたちとは別の学校に通う)とも、特別支援学級(障害のない子どもたちと同じ学校に通うけれども、普段から別教室で学ぶ)とも、大きく違う制度です。その上で、「通級」と特別支援教室の最大の違いは、その「別の教育を受ける」教室がどこにあるかです。「通級」の場合には、お子さんは別の教育を受けるために普段とは違う学校に出向く必要がありました。これに対し、特別支援教室は各学校に設置されますので、「通級」とは異なり別の学校に行く必要がありません。現在、特別支援教室は導入に向けたモデル事業が行われている段階で、その形態や指導内容についてはまだ研究や検討が行われています。そのため、自治体や学校によって、今回ご紹介した東京都の特別支援教室とは違う方法で導入されていたり、今後導入される可能性もあります。また、横浜市は、2004年に「横浜市障害児教育プラン」を定め、独自に先駆的な特別支援教育を進めてきました。その中で「特別支援教室」という言葉を使っています。しかし、この「特別支援教室」は、名称は同じでも文部科学省が推進する「特別支援教室」(この記事で説明しているもの)と必ずしも同じではありません。具体的な説明は省きますが、横浜市の「特別支援教室」は文部科学省の「特別支援教室」よりも少し狭い概念だと考えていただければよいでしょう。どのように特別支援教室が導入されているか、また今後導入されるかはそれぞれお住まいの地域によって異なるので注意が必要です。横浜市特別支援教育推進会議「「特別支援教室」の展開方策などについて 」(2006年8月)特別支援教室を利用するために必要なことは?出典 : 一例として、東京都中央区の事例を紹介します。ただし、実際に必要な手続きは自治体ごとに異なりますので、詳しくは学校や各自治体の担当者にお問い合わせください。まず、すでに「通級」を利用されていて新年度も継続して指導を受けたい場合です。この場合は、原則そのまま移行しますので、特別な手続きは必要ありません。新年度も継続して指導を受けたいという旨を、在籍校の担任教員や通級指導教員にご相談ください。次に、まだ「通級」を利用されていない場合についてです。新年度に新たに入学する子どもについては、就学相談でご相談ください。それ以外の子ども(すでに学校に通っており、新たに特別支援教育を受けようと考えの場合)については、在籍校の担任教員にご相談ください。このように、特別支援教室で指導を受けるためにまずすべきことは、新入生の場合は就学相談、それ以外の場合は担任教員への相談だといえます。繰り返しになりますが、具体的な手続きにつきましては学校や各自治体にお問い合わせください。特別支援教室|東京都中央区特別支援教室の今後は?出典 : 最後に、特別支援教室構想の展望について簡単にご紹介します。東京都の小学校では、モデル事業として特別支援教室の導入が既に始まっています。都の計画では、平成28年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成30年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。これに対して、中学校への特別支援教室の導入は、まだ始まっていません。都の計画では、平成30年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成33年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。東京都以外に目を向けると、いくつかの自治体では特別支援教室の導入に向けた動きが見られます。しかし、それらの動きは、基本的にはまだ本格化していません。東京都のモデル事業にならった特別支援教室が全国的な制度となるかどうかは、まだ未知数だといえます。東京都教育委員会「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画――共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進」(2017年2月)まとめ出典 : 特別支援教室は、インクルーシブ教育を実現するための制度として、長年の構想を経てようやく実現に向かいつつある制度です。今後の展望にはまだ不確定な面が多くありますが、これから少しずつ、障害のある子どもたちが少ない負担で適切な教育を受けられる制度として確立していくことでしょう。既に「通級」で指導を受けられている場合はもちろん、そうでない場合でも、また「障害」という診断の有無にかかわらず、少しでもお子さんにとってメリットがあるとお考えであれば、一度担任の先生や各自治体に相談されることをおすすめします。
2017年03月30日「エーペラ」とは「英語ペラペラ」のこと。息子さんが4年生になったある日、担任の先生から成績について「もう少しがんばりましょう」とコメントをもらってしまった、神奈川県在住の主婦なかやまさん。これはいかんと勉強の仕方を見直すことにしたのだそう。それまでほとんど英語教育をしてこなかった息子に集中的に英語学習をさせたところ、なんと10月の英検で5級にパス。1月の4級も難なくクリアし、驚くほどの速さで英語を習得しました。どうすればそんな短期間で英語力をUPできるのか? そのノウハウをなかやまさんに教えてもらいました。ABCを習い始めてから半年で英検4級に合格。9歳からでも遅くない!(写真:なかやまさん提供)公文で“毎日学習する”というクセをつけるこのままでは義務教育の中学まで進めても、それ以降が怪しい。先生からの注意を受け、それならば中学の内申書に有利な検定モノをとっておくのがいいのでは、となかやまさんは考えました。しかしながら、とにかくこれまで学習に関しては放置状態だった息子に、どうやって勉強させるか?まず始めたのは、公文。学習する習慣をつけたかったためで、お試しで算数、国語、英語の3教科で通塾したところ、もっとも彼が興味をもったのが英語だったそう。2016年6月の終わりのことです。海外旅行やプチ母子留学は経験があるものの、英語教育はほとんどしたことがかなったなかやまさん。ご本人も英語にはあまり自信がなく、息子にいたっては9歳にしてABCから学ぶ状態からのスタートです。だけど、予算が限られている中、やみくもにあれこれやっても仕方がない。英語には興味を持っているし、英検でも合格していれば、高校受験の際に有利になる。というわけで、学習教科を英語1本に絞り、とりあえず10月にある英検5級の合格を目指すことにしました。「フォニックス」で英語のシステムを知る英検に申し込むと、「スタディ ギア」という英検の公式スタディアプリを利用することができます。こちらは無料で利用できますが、アップグレードして有料のプレミアムコースに申し込むことも可能。まずは無料のギアに申し込み、基本的にはスタディギアと公文が学習の二本柱となりました。ほかに、ネットで見つけた英語圏の小学校でおなじみの学習法、「フォニックス」も家庭学習に取り入れました。これはアルファベットの母音と子音の発音から、その組み合わせでどのように単語を読む(発音する)のか、英語の読み書きのシステムを学びます。利用したのはLeap Frogという教材。英語圏では未就学児向けではありますが、息子くんもゲーム感覚で楽しく学べたようで、街を歩いていて、アルファベット表記のものを見つけるとそれを自分で発音してみるようになりました。無料で読める英語の教科書で多読にトライなんとなく英語が読めるようになってきたら、今度は多読に挑戦です。なかやま家が取り入れたのは、Oxford Reading Tree。英国の小学校の国語(つまり英語ですね)学習によく使われる教材で、ここでも未就学児のレベルからスタート。フォニックスによって英語のしくみを知った彼にとっては読んでみること自体が楽しいので、自ら進んで本を開くように。CD付きの本なので、それを聴かせることで耳も鍛えます。ただ、これらは洋書なので、日本で購入となるとけっこうな値段になります。そのため、なかやまさんはコンテンツを公開している出版社の、ライブラリを発見し、こちらを利用。もちろん音声までも再生可能な優れものです。無料で閲覧できるものが200冊以上もあるため、とても重宝したといいます。意味がわからなくても読む。単語をそれだけ覚えても使えるようにはならないので、ストーリーから入る、というネイティブが英語を学ぶのと同じ方法を取り入れました。1セット6冊、CDが付いて4500円。レベルが上がると値段も少々上がる。主人公の生活を追いながら、レベルに応じた英語で学ぶ(写真:なかやまさん提供)英語を学習する習慣でほかの教科も自然にアップこうして迎えた10月。英検5級にいよいよ挑戦です。公文でいえば英語の基本中の基本、アルファベットの学習がAで、Bは単語の勉強、Cはもう少し難しい単語、と続いていくのですが、この進み方でいえばGあたりから英検5級の合格圏に入るそう。このときまでに彼の進捗状況はFまででしたが、すでに英検には申し込んでいたので受けさせます。かくして結果は…合格!5級合格は未就学児も多いものの、英語知識がゼロからわずか3か月での合格ですから、よくがんばったといえるでしょう。同じように英語学習を続け、スタディギアをプレミアム(ベーシックを利用中の人は半額。3カ月チケットにしたので、4875円)にアップグレード、加えてオンライン英会話もはじめて2017年1月の4級にもトライ。こちらも見事、合格しています(ちなみにオンライン英会話は、スカイプを使って、講師とマン・ツー・マンで英会話をするもの。なかやまさんは「DMM英会話」を利用)。継続的に学習する習慣がついた息子くんは、算数や理科などほかの教科でも成績があがったのだそうで、算数のクラス分けではトップに、好きな科目は理科と、勉強に対して意欲的になりました。伸びそうなものをいち早く見つけ、そこに照準を絞ったことで勉強することの楽しさを見出すことができたのです。小学校卒業までに3級に合格していればいいかな、程度に考えていたなかやまさんですが、今では「子どもの脳は使わなければ損!」と言い切り、さらなる上を目指しています。ちょうど息子の誕生日に自宅に届いた5級合格証。よくがんばりました!(写真:なかやまさん提供)なかやまさんが使った教材をざっと整理してみると以下のとおり。・公文(勉強の習慣をつけるために)1教科6480円・英検の「スタディ ギア」ベーシックコース⇒ 無料・「スタディ ギア」プレミアムにアップグレード⇒3カ月で4875円※ベーシックコース利用者はアップグレード料金が半額になります・Leap Frog(フォニックスの勉強に)⇒3000円前後・Oxford Reading Tree(多読に)⇒6冊セットCD付き4500円~、ネットで公開されているものなら無料・DMM英会話(会話の練習に)⇒スタンダードプラン月5500円なかやまさんの親子学習ブログに細かく学習の様子が書かれています。おやこども英語~目指せエーペラ~<取材・文:フリーランス記者岩佐 史絵>
2017年03月28日世界自閉症啓発デーとは出典 : 世界自閉症啓発デーは2007年12月18日にひらかれた国連総会において、カタール国のシェイカ・モーザ・ビント・ナサ・アル・ミスネッド首長妃殿下の提案により決議された記念日です。毎年4月2日を世界自閉症啓発デーにすることが世界共通で定められました。さらに日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間と決められています。世界自閉症啓発デーにはそれぞれの加盟国が、自閉症のある子どもについて、家族や社会全体の理解が進むように意識啓発の取り組みを行うことなどが求められています。現在、日本には自閉症についての偏ったイメージやあいまいな情報が数多く存在しています。自閉症は脳機能の発達の仕方が少し異なることから生じる発達障害です。「心を閉ざす」病気ではありませんし、育児の方法や環境など後天的な原因で生じるものでもありません。自閉症のある子どもは一見ふしぎな行動をとることや、感覚が過敏なことがあります。そのため、育てにくさがあり、適切な接し方が難しい場合があります。また周囲の子が自閉症について知らないために、自閉症の子独特の行動や感性を必要以上に避けてしまうことも少なくありません。しかし周囲の自閉症についての理解や支援が十分であれば、自閉症であっても住みやすい環境で障害をあまり感じずに生活することができます。大人のなかでも、実は自閉症であるのにそのことに気づいていない人がいます。そのため、必要な支援を受けられず、自閉症の二次障害であるうつや不安障害などの精神疾患にかかる人も多くいます。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深めたり、自閉症のことについて知ったりすることで、自閉症のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。世界自閉症啓発デーに行われる「ライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)」とは出典 : 世界自閉症啓発デーのシンボルカラーは青色です。青色は「癒し」や「希望」をあらわすと言われています。ライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)は世界自閉症啓発デーに合わせて、世界中のランドマークや名所旧跡を青色でライトアップするイベントです。ライト・イット・アップ・ブルーはニューヨークに本拠地のある世界最大の自閉症支援団体「Autism Speaks」が2010年にはじめたのが起源です。ライトアップだけではなく、さまざまな取り組みが行われています。現在では、誰でも参加できる活動として世界中に広がっています。2016年は7大陸157ヶ国がライト・イット・アップ・ブルーに参加しました。日本でも169ヶ所でライトアップが行われました。今年は、日本国内192ヶ所でライトアップされる予定です。ライトアップの様子を2分程度の動画で紹介します。世界自閉症啓発デーを自閉症について理解を深める日にしよう出典 : 世界自閉症啓発デーは自閉症についての理解を深め、世界に広く知ってもらうことを目的にしています。ぜひ、世界自閉症啓発デーをきっかけに、記事や書籍を読んで自閉症に関する知識を得たり、自閉症を描いた映画を見たり、自閉症の理解を深めてはいかがでしょうか。この章では自閉症について説明します。自閉症は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴が発達段階で現れると言われています。自閉症の原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、先天的な脳機能の偏りであると考えられています。親の育て方や接し方、愛情不足によって自閉症になるのではないことが医学的にわかっています。また、自閉症の根本的な治療は現在のところできませんが、親や周りの人が環境を整えたり、接し方を変えたりすることで、症状や困りごとを緩和できる場合も多いと言われています。もともと自閉症は、広汎性発達障害という発達障害カテゴリーの一つと分類され、知的発達の遅れを伴うカナー症候群や、知的発達の遅れのないアスペルガー症候群などとは区別されていました。しかし近年は自閉症とアスペルガー症候群などは明確に区別することができないのではないかということから、これまで広汎性発達障害のサブカテゴリーとして分類されてきたいくつかの発達障害をまとめて、「自閉症スペクトラム(ASD)」と呼ばれるようになったり、診断されたりするようになりました。◇社会性・対人関係自閉症の人は、会話の途中に目線を合わせることや相手の身ぶりや表情から心情を読み取ることが苦手な場合があります。そのため、周囲から空気が読めないと思われたり、他人に興味がないように見られたりする傾向があります。雰囲気のわずかな変化を察したり、比喩やたとえを理解したりすることが苦手なので、自閉症のある子に対してはあいまいな表現を避けてはっきりとわかりやすい言葉だと伝わりやすくなります。◇コミュニケーションや言葉の発達の遅れ言葉を習得するのが遅い場合があったり、たとえや皮肉を理解できず言葉通りの意味を受け取ってしまったりすることもあります。ほかにも、自分の話したいことを話してしまうなどの行為がみられることもあります。相手に自分の気持ちがうまく伝わらず、もどかしい思いをしてしまうこともありますが、本人が理解しやすく伝えやすい方法を工夫すれば、コミュニケーションが取りやすくなります。周りの人もあいまいな表現を避けたり、絵や写真などの視覚的な表現をすることで伝わりやすくなる場合もあります。◇行動と興味の偏り行動と興味に偏りがあり、毎日決まった行動をとることを好む傾向があります。予定外のできごとや初めての経験に対して嫌悪感を抱くことがあります。その一方で、自閉症の人は自分の興味のあることに熱中する傾向もあります。自分の興味のある物事をとことん調べ、深く専門的な知識を活かして活躍している人も少なくありません。自閉症のある人が困っている具体的な事例をいくつか紹介します。自閉症の症状は幅広く、全員が同じ症状を発症するわけではありません。◇いつもどおりじゃないことに対して強い不安にかられる自閉症のある子どもは、自分のおもちゃがいつもの場所においてなかったり、授業を受ける教室が普段と異なったりすることに対して不安に感じます。誰でも、いきなり言葉が通じない見知らぬ土地で一人になったら先行きがわからず不安になると思います。自閉症のある子どもは、想像することが苦手なため些細に思われることでも今後の見通しがつかず不安に思ってしまいます。この不安を取り除くために、自閉症の子が見通しがたてられるように絵や写真を使って今後の流れを示すといいでしょう。◇感覚過敏たとえば、味覚過敏がある場合、特定の味付けや食材を食べると砂やゴムを食べているように感じてしまうこともあります。聴覚障害だと、人ごみでのざわつきが耳元で楽器を鳴らされているように感じて耳をふさいでしまう人もいます。感覚過敏のもとを減らしたり避けたり、落ち着くことができるスペースを確保すると、感覚過敏のある人が生活しやすくなります。周りの人は、自分とは感覚の受け取り方や物事の感じ方が違うことがあると理解することが大切です。◇全身運動が苦手自閉症の子は、脳からの指令がうまく手足に伝わらず、不器用になってしまうことがあります。テレビで見たスポーツ選手のうごきをその場ですぐ再現できないように、自閉症の子は座る・歩く・走るなどの動作がうまくできないことがあります。自閉症のある子ども一人ひとりにあわせて、療育を行ったり発達課題を設定したりすることが大切です。世界自閉症啓発デーに参加してみよう世界自閉症啓発デーへの参加の仕方をいくつか紹介します。出典 : 出典 : ライト・イット・アップ・ブルーでライトアップされた施設を見に行ったり、自閉症のシンポジウムに参加したり、各地域で行われているイベントに参加したりしましょう。各地域でのライトアップ予定地は以下のサイトから確認できます。世界自閉症デーライトアップ施設一覧/世界自閉症啓発デー日本実行委員会各地域自治体の啓発取り組みは以下のサイトから確認できます。世界自閉症啓発デー自治体の活動/世界自閉症啓発デー日本実行委員会出典 : 月2日に青い服を着たり、ネクタイを青にしたり、アクセサリーでワンポイント青を取り入れたりしましょう。SNSのプロフィール写真に青色のフレームを付けるなどもいいかもしれません。世界最大の自閉症支援団体Autism Speaksが、TwitterとFacebookのプロフィール写真に世界自閉症啓発デーのデザインをいれるサービスをしています。利用してみてください。 Speaks Light It Up Blue Frame / Autism Speaksメッセージを募集しているイベントもあります。応援や共感の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。NPO法人あっとオーティズムのサイト上では、セルフィサインをダウンロードすることができます。印刷して、署名するだけですので気軽に参加してみてください。セルフィサイン/NPO法人あっとオーティズムUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン世界自閉症啓発デー日本実行委員会の公式サイトでは、応援メッセージを募集しています。以下のサイトで、過去の応援メッセージを見たり、応援メッセージを投稿したりすることができます。応援メッセージ/世界自閉症啓発デー日本実行委員会4月2日~8日は発達障害啓発週間でもあります出典 : 日本では4月2日から4月8日までは発達障害啓発週間とされています。この発達障害には自閉症以外の障害も含まれています。たとえば、学習障害(LD)やADHD(注意欠陥・多動性障害)があります。自閉症を含む広汎性発達障害と学習障害、ADHDの複数の傾向がある人も多くいます。発達障害かどうかは明確に線引きできるものでなく、グレーゾーンの方も多くいらっしゃいます。そのため、発達障害の診断を受けていない人のなかにも発達障害の特徴的な行動や思考のくせが見られることは珍しくありません。まとめ出典 : 近年、発達障害への正しい理解が進んだり社会的関心が向けられたりし始めましたが、まだまだ十分だとは言えません。自閉症がどのような障害で、どのようなことに気をつけるべきかを理解するまでは時間がかかるかもしれません。また、自閉症のある人の特性や困りごとは個々に違います。しかし自閉症について知ったり身近に感じたりする中で、自閉症のある人一人ひとりのことを考え、一緒に過ごしていくことができれば、自閉症のある人もない人も、生きやすい世界になっていくかもしれません。世界自閉症啓発デーを通して、自閉症をはじめ発達障害への自分自身の理解を深めたり、発達障害の認知の輪を広げていきましょう。
2017年03月27日特別なニーズにもこたえる、通信制サポート校「しんあい高等学院」って?出典 : 今春から大阪府大阪市に設立される通信制サポート校「しんあい高等学院」。日本でもまだ珍しい発達障害のある子どもたちの受け入れに特化した通信制サポート校です。これまでの通信制サポート校と、一体どのような違いがあるのでしょうか。しんあい高等学院/明蓬館SNEC 大阪・玉造入学試験には作文と心理検査結果の提出、そして子どもと保護者それぞれの面談があります。事前に障害特性・認知特性・学習特性などを見極めたもとで授業カリキュラムを作成していきます。入学前から生徒ひとり一人のニーズを見極め、万全な受け入れ態勢を作っています。もし心理検査を受けたことがない場合は、見学や入学相談とあわせて専門職員による検査を受けることも可能です。SNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)とは、特別支援教育のための通信制サポートシステムです。このシステムは、「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」で有名な東田直樹さんや、学習障害の理解を広げる活動を行っている講演家の南雲明彦さんなど社会で活躍している人たちを輩出した、福岡県にある明蓬館高等学校の日野校長によって発案されました。専門職員による面談・心理検査を通じ、入学前の検査結果をもとに個別のニーズにあわせて支援・指導計画を作成し、学習面を中心に身辺自立や人とのかかわり方、就労観など将来を見据えた訓練を含めてサポートをしていきます。また、進級にともなう試験も点数評価だけでなく各自にあわせた提出課題をつくることで着実に学習の定着をおこなっていけるようにしているのも特徴です。学習環境に関しても、通信制なので年1回(4日間)のスクーリング以外はサポート校への通学と自宅学習を自由に選ぶことができます。ひとクラスで一斉授業を行うのではなく、本人の望む環境で課題に集中することができる点は魅力的です。ただ高校に通うのではなく、それぞれの個性を生かせるような教育を目指しているのです。東田直樹オフィシャルウェブサイト南雲明彦オフィシャルウェブサイトそして何より注目したいのは、高校には臨床心理士・社会福祉士・特別支援の知識を持つ専門スタッフが常駐している点。学力面だけでなく生活支援もあわせたサポートを目的として動いてくれるので、思春期特有の問題があったとしてもすぐに相談できるところが魅力的です。気になる卒業後の進路もしっかりとバックアップする体制をつくっています。大学や専門学校への進学支援はもちろんのこと、就労の際は連携先の企業とのインターンシップ制度を用意していたり就労継続支援へつなぐこともできるようになっているのです。明蓬館高等学校品川・御殿山SNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)学院長にインタビューしました学校を運営するのは法人事業で福祉に15年携わってきた真田明子学院長。今回、発達障害に特化した通信制サポート校を開設するに至った経緯について、発達ナビ編集部がインタビューを行いました。Upload By 発達ナビニュース―なぜ「しんあい高等学院」を設立しようとお考えになったのでしょうか?真田明子さん(以下、真田さん):わたしたちは15年間、福祉事業に携わってきました。2006年からは児童デイサービスを開始し発達障害のお子様や親御様と接する機会が増える中で、高校以降の進路があまり用意されてない現状に気付いたんです。そんなとき、明蓬館高等学校のSNECを知り、ぜひ関西でも同じような高校が作れないかと思いたちました。―これまで関西にはSNECのような発達障害のお子さんをサポートするような高校はなかったのですか?真田さん:実は、関西は全国で比べても通信制高校が多い地域なんです。発達障害や不登校のお子様は自然と通信制高校に進学する流れができていたので問題があまり表面化しなかったんですね。ですがその裏で、進学後に最後まで通えずまた不登校になってしまったというケースも、多く発生していたのです。その大きな要因は、お子様の障害ケースに合わせられる専門家がおらず、適切なサポートを受けられなかったからではないかと推測しています。―だから、SNECサポートシステムの通信制サポート校の設立が必要だったんですね。真田さん:そうですね。しんあい高等学院には、臨床心理士や社会福祉士などの専門資格を保有した職員を常に配置しています。教育面だけでなく生活面のサポートも行っており、お子様が困っていればすぐにこちらからフォローを入れられるようにしています。―とても手厚いサポートが受けられるようになっているんですね。なぜ、ここまで万全のサポート体制を敷いているのでしょうか?真田さん:SNECサポートシステムを考案した明蓬館高等学校の日野校長から、以前こう言われました。「多感な思春期こそ大切にしなくてはならない」と。10代に受けた考えや環境は後々大きな影響を及ぼします。この時期をしっかりサポートすることにより生徒たちが安心して社会に出られるようにしたい、と。この考えに非常に感銘を受けまして、本校でもその精神を大切にするため発達障害に詳しい専門スタッフをおくようになりました。今後も本校のように遠隔授業を用いてサポートできるような通信制サポート高校が全国に広がり、より多くの支援を必要としている子どもたちに届けばと考えております。これからの新しい通信制サポート校のカタチに期待出典 : 真田学院長にインタビューした際、このようなこともおっしゃられていました。「海外では不登校という概念自体がない国もあるんです。」学校に通うということ自体を目的とせず、どういう学び方ができるかを本質的に探っていくという考え方が根付いていれば、子どもが「不登校」かどうかを問題とする必要もなくなるのでしょう。しんあい高等学院のように「それぞれの発達にあわせた学び方」を掲げる高校が全国に広がり、新しい学びの選択肢として定着していけば、子どもたちの進路にも新しい道が開けていくのではないでしょうか。しんあい高等学院、入学についての詳細はこちら
2017年03月23日みなさま、こんにちは!海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。子育て、お仕事、お買い物、お料理、お掃除……。ママは毎日、大忙しですよね。英語を学びたいのだけれど、時間がなくって……。そう嘆くママの声が聞こえてきそうです。ただ、効率の良い学び方で時間を有効に使うと、たった15分でも多くのことが学べます 。もともと、人間が集中し続けていられる時間というのは長くありません。短い時間の中で集中して学習することで、だらだらと長時間使って学ぶこと以上のものを身につけましょう。無理にまとめて時間をつくる必要はありません。むしろ、空き時間を利用して、何度も英語に触れることが大切です。理想は15分の細切れを繰り返すことです。子どもは、ママが楽しそうにしていることに興味を持ち、自分もやってみたいと思うものです。お子様に英語が大好きになってもらえるように、まずママが楽しみながら英語を学んでみましょう!●(1)英語学習そのものを楽しめる目的を持つ英語上達の秘訣は、学ぶ楽しみを一番に考える ということだと思います。英語学習の“楽しい”目的をはっきりとイメージすることで、英語を学ぶ時間はとても楽しいものになります。赤ちゃんがもう少し大きくなったとき、英語の絵本を読んであげられたらいいなあ……。子どもが通い始めたインターナショナルスクールの先生と英語で話し合えたらなあ……。来年の夏休み、家族でハワイに旅行に行って、英語が苦手なパパの代わりに現地の人と英語でぺらぺら話せたら、みんな尊敬の目で見てくれるだろうなあ……。このように、想像するだけでわくわくして楽しくなるような、あなただけの目的 を持ちましょう。●(2)目的達成のための計画を立てる目的達成に向け、計画を立ててみましょう。無理は禁物です。楽しく毎日コツコツと続けることができるように、内容は小刻みにして、達成感を感じられる ようにしましょう。楽しい目的を持ち、達成のために無理のない計画を立て、毎日それをコツコツと実行していくことで、子育てママの英語は着実に上達していくこと間違いなしです。●(3)具体的学習方法では、具体的な学び方について見ていきましょう。●文法のおさらいをする英語の構造の理解に不安のある方の場合は、まず文法のおさらいをしましょう。最近は、英文法の基礎がわかりやすく書かれた良い本がたくさん出ております。中学校3年間で習う基礎的な文法 で十分ですので、薄くて読みやすそうな本を選んで読んでみましょう。受験勉強ではありませんので、記憶しなければならないとか、理解しなければならないとかプレッシャーを感じる必要はありません。楽しみながら読みましょう。●英語のテレビは最高の教材12、13歳以降になってアメリカに移住した人々でも、ネイティブ並みに英語を操る人々がたくさんいらっしゃいます。どのように英語を学んだのかと質問してみると、その方々のほとんどが、テレビを見て英語を学んだ のだと答えたそうです。マレーシア教育省は子どもの英語力を向上させるために、「子どもはもっと英語のテレビ番組を視聴するべきだ」と異例の提案をしたそうです(時事通信『内外教育』メールマガジン(2005年3月11日)第20号)。日常使われるリアルな英語会話を学ぶのには、英語のテレビドラマが最適です。映像を見ながらだと、音声のみよりもずっと理解しやすいのです。私もオーストラリアで勤務していたころ、相手の顔を見ながらの会話はある程度理解できるものの、電話での英語がさっぱり聞き取れないという体験をしたことがあります。視覚的な情報は、理解を大きく助けるのです。日常会話で頻繁に使用される英単語はたったの200〜300程度 だそうです。しかし、その単語の組み合わせによる表現の知識が足りないことが、ネイティブの会話が理解できない原因なのです。テレビドラマを視聴することで、リアルな表現を学びましょう。●スマホで細切れ時間に英語を学ぶ子育てママは忙しくて、座る暇もありませんよね。しかし、今やテレビを見るのに、テレビやパソコンの前に座る必要はなくなりました。場所や時を選ばず、スマホの動画共有投稿サイトで好きな動画を見る人が増えているのではないでしょうか。スマホを使って、いつでもどこでも学べる、5〜15分の細切れ時間を使った英語学習の方法を紹介したいと思います。私は現在上海に住んでいるので、日常は中国語を使うことがほとんどですが、娘がインターナショナルスクールに通っているため、娘の成績や進路などについて学校の先生と英語で話す必要があります。英語力を身につけるため、仕事の合間や寝る前の細切れ時間 にスマホを使って英語を学んでいるのですが、本当に効果絶大です!簡単にできますので、ぜひ、実際にお試しください!●スマホで“英語学習に適したドラマ”を探してみる英語テレビドラマの中でも、コメディタッチの楽しいホームドラマが子育てママにはおすすめです。まず、スマホの動画共有投稿サイトで「英語学習に適したドラマ日本語スクリプト(台本)」というキーワードで検索してみましょう。たくさんの海外人気ドラマが紹介されています。【“英語学習に適したドラマ”の長所】動画共有投稿サイトで紹介されている“英語学習に適したドラマ”の良い点は、・比較的わかりやすい英語が使われていること・内容が明るく楽しいこと・そしてここが重要なのですが、日本語のスクリプト(script、台本)がついているものが多いこと・英語の字幕がついていること・一本の時間が約5分ほどと短く、忙しい子育てママでも細切れ時間に視聴することができることなどです。【スマホ英語ドラマ学習法のステップ】(a)スマホに動画共有投稿サイトのアプリをダウンロードする(b)スマホの動画共有投稿サイトをクリックする(c)「英語学習に適したドラマ日本語スクリプト」で検索する(d)気に入ったドラマ(日本語スクリプト付)を選ぶ(e)約5分のドラマを視聴してみる。何を言っているかわからないと思いますが、気にせず「こんなことを言っているんじゃないかしら?」と想像しながら視聴してみましょう。英語字幕が出ていますが、できるだけ英語字幕を見ずに想像力を働かせてみましょう。できれば3回視聴しましょう 。(f)日本語スクリプトに目を通しましょう。想像した内容と随分違うのではないでしょうか?(笑)しかし、それがまた楽しいのです!(g)もう一度ドラマを見ます。今回は、英語字幕を見ながら視聴してみましょう。早くてわかりにくい英語も、字幕があればなるほどこう言っているのかとわかるはずです。もし、セリフが長く、スピードも速い場合は、一時停止で英語字幕の内容を確認するのもいい方法です。3回繰り返しましょう。(h)次は、英語字幕を見ずに、ドラマを視聴してみましょう。最初に比べて、随分と聞きとれるようになっていることにご自身でも驚かれるはずです。3回視聴しましょう。(i)日本語スクリプトと、それに併記されている英文を紙に書き出してみましょう。紙に書いても、パソコンに入力してもどちらでもいいですが、自分で書くことで、そのフレーズが記憶に残りやすくなります。(j)もう一度、ドラマを見ます。今回はスピーキングの練習です。ドラマの登場人物が話したら、そのたびに一時停止をかけ、書き出した英文台本を見ながら同じセリフを口に出してみましょう 。赤ちゃんになったつもりで、今耳にした英語の発音を素直にまねしてみましょう。おうちにお子様や旦那様がいらっしゃっても、恥ずかしがらず口の筋肉を動かして、大きな声で発音しましょう。3回繰り返しましょう。この方法はリピーティングと呼ばれ、情報処理と記憶の理論にもとづいた科学的な方法なので、スピーキングの練習として十分な効果が期待できます。以上の方法で、ネイティブが使っているリアルな英語のリスニングとスピーキングをいつでもどこでも、細切れ時間を使って効率よく学ぶことができます。もちろん、全ての過程を一度に行う必要はありません。子育てママは多忙です。空いた細切れ時間を利用して学び、それを積み重ねていってください。初めは、気に入ったひとつのドラマシリーズを繰り返し見るのが効果的 です。子どもが言葉を覚えるときは、最初はママの言葉を集中的に聞きます。同じように、英語の学習もなるべく少人数の英語の発音を集中して聞いてリスニングの基礎を作りましょう。基礎ができると、微妙にアクセントの違う他の人の英語も聞きとれるようになります。ひとつだけご注意いただきたいのは、ハリウッド映画は良い教材ではないということです。日常生活で使うには、適切ではないセリフが多く含まれているからです。テレビドラマは、不特定多数に対して放送されるので、不適切な表現は使用されていないので安心です。----------いかがでしたでしょうか?スマホを使えば、英会話学校に通わなくても、いつでもどこでも、細切れ時間を使ってかなり効率的にリアルな英語を身につけることができることがご理解いただけましたでしょうか?気負わず、気軽にスタートしてみてください。そして、楽しんでください。一人でも多くの子育てママが楽しく英語を学び、夢を実現できますように!【参考文献】・『「達人」の英語学習法ーデータが語る効果的な外国語習得法とは』竹内理・著・『英会話学校に行かない人ほど、うまくなる』古市幸雄・著●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)●モデル/神山みき(れんくん)
2017年03月18日小さい子にとって、あらゆることが「はじめて」の経験になります。大人にとっては当たり前のことでも、驚いてみたり感動したり。そんな、みんなのうちの子の初体験をご紹介しましょう。■予想と違う反応!? 食べもの編離乳食が終わると、いろいろな食べものが食べられるようになります。いままで食べたことのない味に、おいしいと感動するだけでなく、驚いてしまうことも多々あり。「梅干しに挑戦した息子は、まるでマンガのように顔をすぼめていました。すべてのパーツが中央に集まるような表情に、夫と一緒に大笑い!」(32歳・3歳児のママ)「カレーを初めて食べたとき、目を見開いていた息子。それから勢いよく食べ続け、『こんなにおいしいものをどうして食べさせてくれなかったの?』と責められました」(33歳・4歳児のママ)「納豆を食べさせようとしたら、ネバネバがおもしろいのかしばらく見つめていました。実際に食べてみると眉間にシワを寄せて…。嫌いではないけど、想像した味と違ったようです」(32歳・2歳児のママ)「ジュースを初めて飲ませたとき、喜ぶかと思ったけど泣き出してしまいました。味がイヤというよりも、ストローからピュッと飛び出してきたのがダメだったみたい」(31歳・2歳児のママ)予想外の表情に、思わず笑ってしまいそう。その瞬間を写真におさめたくなりますね。■怖いものがたくさん? お出かけ編お出かけすると、子どもの「はじめて」にたくさん出会えます。そこで見せた子どもたちの表情とは?「遊園地で着ぐるみを見た息子は、大泣きしてしまいました。そのキャラクターのことは好きだけど、こんなに大きかったとは思わなかったようで…」(32歳・2歳児のママ)「着ぐるみが遠くにいるのに怖がっていた息子は、もしかしたらビビリなのかも?」(30歳・2歳児のママ)「海へ初めて連れて行ったとき、波が打ち寄せる様子をこわがっていました。足元に来るだけでギャン泣き。結局、その年は海に入れず、翌年にやっと慣れることができました」(33歳・3歳児のママ)「球場で行われる花火大会。わざわざいい席を予約しておいたのに、息子が泣き出してしまって…。大きな音がこわかったみたいです」(34歳・2歳児のママ)大人にとってはたいしたことではなくても、初体験の子どもには恐怖を覚えてしまうことも。ちょっとかわいそうな気もしますが、これも大きくなるための試練!?■反応がわかれる!? 動物編リアルな動物との遭遇は、子どもの意外な表情を引き出します。「実家の犬は臆病で、よく吠えるのですが、息子はまったく怖がらなくて。なでようとするからあわてて引き止めました」(31歳・1歳児のママ)「野良猫を見るや走り去ろうとした息子。ただ寝ているだけだったのに…」(33歳・3歳児のママ)「動物園にパンダを見に行きました。喜ぶかと思っていたのに、動きがないからか、つまらなそうな表情に…」(32歳・1歳児のママ)「水族館へ行ったら、いきなり『おいしそう!』といった娘。魚好きとはいえ、恥ずかしかった」(27歳・3歳児のママ)「息子は牧場の牛を見て、『これっておいしいかな?』と言いました。食いしん坊なことは否定しないけど、ほかの感想はないの?」(34歳・3歳児のママ)親にも想像できない発言の数々。外では「おいしい」発言はやめてほしいかも…。思わず笑ってしまうエピソードが集まりましたが、私も子どものころは花火が怖かったことを思い出しました。突然、未知の存在が現れたり、いままでとは違った現象を目の当たりにしたりすれば、驚くのは当然のこと。そんな反応を楽しみつつ、温かく見守っていきたいですね。
2017年03月18日うちの学校の支援級、わが子に合ってる…?出典 : 「支援級か、通常級か…迷ってるけど、どうやって判断すればいいの?」「うちの子が通う学校の支援級、どんな環境だろう?どういうところを気にしたらいいの?」現在、希望者急増で過渡期にある、特別支援学級(以下、支援級)をめぐる状況は様々です。情報を探すと、「うちの子も是非お願いしたい!」と思える素晴らしい支援級もあれば、残念ながら、現場の事情が追いつかずに、十分な理解や子どもに合った対応が得られない支援級もあるようです。支援級をご検討の際には、実際に、お子さんが通う「その」支援級がどうなのか、自分の目で確かめてみることが必要です。長男が自ら通常級から支援級への転籍を希望した際、私はまず、特別支援コーディネーターの先生の案内で、実際にクラスを見学させて頂き、事前に疑問な点、不安な点の詳しいご説明をお願いし、長男本人も見学・体験させて頂きました。それでも、後から「もっと早く確認しておけば良かった」と思ったことも少なからずありました。そこで、支援級を選択する前に「確認してよかったこと」「確認しておけばよかったこと」の、判断のポイントを、あくまで「うちの経験上」ではありますが、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。支援級見学の際にぜひ確認しておきたい!4つのポイント出典 : 長男が通っている支援級は、身体・知的に障害のあるお子さんのクラスと、長男のように、大きな知的・言葉の遅れの心配はないものの、発達障害の傾向のある子が中心となる、情緒級に分かれています。学校によっては、どの障害の状態のお子さんも一緒のクラスになる場合もあります。その場合でも、個別に学習内容を調節して頂ける場合はいいのですが、そうでない場合、お子さんに学習面での理解力がある程度あっても、学習内容や課題が簡単過ぎるケースがあります。そうなると本人の理解度とのミスマッチが起こり、その支援級がその子の力を伸ばせる環境とは言いがたくなる可能性があります。逆に情緒級がある場合も、その子の学習の進度に合わせた課題でない場合もあります。本人の能力や理解度に合わせた学習ができるかどうかは、よく確認しておきたいポイントの一つです。万が一合わない場合でも、先生と学習内容を調整して頂けるか、相談の余地があるかどうか、見極めておいたほうがいいでしょう。また、基本的に支援級の成績表は、「国語は漢字ドリルをがんばり、丁寧に漢字を書けるようになりました」というような、言葉による表現がされることが多いようです。特に将来的に、中学受験の可能性がある場合には、念のため希望した際には通常級と同じ評価で対応可能かどうか、確認しておいたほうがいいでしょう。(中学受験の際、全ての学校で成績表の提出が必須という訳ではないようですが、一部の入試日程や推薦、A.O.入試の場合などには、成績表のコピーの提出が必要になる場合があります。)出典 : 次に気をつけたいのは、今のところ、すべての支援級の担任の先生が、特別支援教育の知識・経験が豊富であるとは限らない、ということです。支援級の担任には、特別な資格などは必須ではなく、今まで通常級で担任してきた先生が、急に支援級を受け持つ場合も多いようです。長男の今年の担任も、長年通常級を受け持ったベテランの先生ですが、支援級の担任は人生初でした。ただし私は、支援に詳しくない先生=子どもにとって良くない先生、とは限らないと思っています。確かに、凸凹のある子に伝わりやすい方法を多く知っている先生なら心強いと思います。しかし、詳しい先生1人に負担がかかり過ぎてしまったり、クラスの他のお子さんの状況などによって、少人数であっても十分に子ども一人ひとりを見ることができない…など、先生お一人の力では解決できない現場の事情がある場合もあります。そのため支援に対する知識・経験の有無で、一概には判断できないと思います。もし、先生が支援に詳しくないからと、あからさまに保護者が落胆してしまうと、それが子どもや先生にも伝わって、その後の信頼関係に影響が出てしまうかもしれません。私は、知識・経験の有無よりも、・先生が子どもを肯定的に見ようとしてくれるか・子どもに合わせた指導をしてくれるか・親の話に耳を傾ける余力があるかのほうが大事だと思っています。しかし、見学の時点で気持ちよく応対してくれた先生に会えたとしても、翌年に我が子を担任してくれるとは限らないというのは注意したい点です。通常級に比べれば、支援級の先生は比較的長く同じクラスを担当することが多いようですが、異動がないわけではありません。また、大変残念なことながら、今まで毎年のように支援級の補助教員や介助員の先生が、年の途中で1人、2人とお辞めになってしまうことも、私は学校のお便りで度々知らされてきました。厳しい現場の現実があるように感じます。出典 : 人事異動がある先生方と違い、子どもたちは比較的同じメンバーでともに支援級で過ごすことが多いです。もちろん、入学や卒業、転籍などによる入れ替わりはありますが、クラス替えもなく、ほぼ同じメンバーで何年間も過ごすことになります。支援級は、学年を越えて、多種多様な子ども達の集まりとなるため、それが合う子、合わない子がいると思います。支援級の低学年のお子さんは、かなり自由気ままな印象がしたりで、見慣れてないと「これで大丈夫かしら…」と少々不安に感じられるかもしれません。そういう時は、何年もその環境で過ごしてきた、高学年のお子さんの様子が参考になると思います。その子なりに落ち着いていたり、交流級に意欲的に参加している様子が見られれば、その支援級の環境がプラスに働いていると受け取ってもいいのではないかと私は思っています。また、掲示物が破れっぱなしになっていないか、といった備品の様子、ロッカーに分かりやすいマークなどの工夫があるか、といった教室環境も、その支援級が安定しているかの参考になると思います。(ちなみに私は、教室の備品の乱れが放置されている場合、先生に余裕がなく、かなりお疲れ気味…というシグナルだと受け取っています。)出典 : 私が見学した時、1クラス6~7名と聞いていた支援級の情緒クラスには、いつも低学年の2~3人のお子さんしかいませんでした。他のお子さんは「交流級」に行っているのだそうです。長男の学校の場合、大抵は学年が上がるほど交流級で過ごす時間が増えていき、最終的に通常級に移籍する子も多いそうです。ご家庭で「いずれは、できれば通常級へ」と希望している場合には、交流級の活用状況は要チェックです(また、そもそも支援級から通常級への転籍が可能かどうか、よく確認しておく必要がある学校もあるようです)。交流級の活用状況は学校によって様々です。長男の小学校はかなり積極的なほうだと思います。後に担任の先生からその理由を伺うと、「年々、支援級への希望者が増えているので、◯太郎くんのように、交流級の授業に意欲がでてきたお子さんは、どんどん”卒業”して、通常級に戻って頂けると助かります」…とのこと。なかなか厳しい内情もうかがえます。とはいえ交流級を充分に活用できている学校は、通常級の子達も支援級の子に日頃から馴染んでおり、支援級”卒業”後も、比較的クラスに溶け込みやすいのではないかと思います。交流級の活用については、見学時、私はあまり気にしていませんでした。でも今思うと、重要なポイントだったと思います。どんな状況の支援級も、本人が体験してみるのがイチバン!出典 : 見学をする際には、参観日のようなよそ行きの状態ではなく、支援級のありのままの状態を子ども本人が、できるだけ何回も見られるほうがベターです。長男が普通級から支援級へ転籍する前に、私は長男本人が何度も支援級を見学・体験できるよう、お願いしました。でも見学を予定していたある日、突然見学がキャンセルになったことがありました。先生によると、「今日は、落ち着けてないお子さんがいたので、見学は中止させて頂きました。また日を改めて、予定を調整させて下さい」とのこと。それを聞いて、私はこう言いました。「是非、そういう時も本人に見せてください。ご迷惑になるようでしたら、廊下からでも構いませんので。支援級は、皆が落ち着いている時もあれば、そうでない時もあることを、本人が十分知って、納得したうえで転籍したいです。」支援級は、長男と同じように、あるいはそれ以上に、特別な配慮・支援を必要とするお子さんの集まりです。当然のことながら、少人数とはいえ、いつもクラス全体が落ち着いているとは限りません。そんな支援級で過ごすイメージを本人が持てると、入級後の環境の変化にもついていき易いと思います。長男の場合は実際に何度も授業を見学させて頂き、給食の時間を支援級の子達と一緒に過ごしたり、といった機会を作って頂きました。すると、「今日はすんごい泣いてる子もいたよ」「一年の子が途中で教室出てっちゃった」なんて言うときもありました。私は「支援級はそういう時もあるよ。それでもいい?」と聞きましたが、長男は「それでもいい。支援級に行く」と決心は変わりませんでした。「うちの」支援級には良いところも、そうでないところもあることを、十分納得の上で転籍をした私達。結果的にこの一年は、長男の成長のプラスになりました。実際に自分の目で確かめて、後悔のない選択を出典 : 長男の先生からの話にもありましたが、近年、支援級を希望する子どもが急増している傾向があります。なかなか現場がそれに追いつけないという裏事情もあり、全てが保護者の希望どおり、理想どおりという訳にはいかない場合も、多いかと思います。それでも、事前にメリット・デメリットを良く比較検討し、納得のゆくまで説明をして頂き、実際に自分の目で確かめて、体験して、自分たちの意思で決められれば、後悔するリスクを減らすことができます。学校生活でお子さんが自信をつけてゆける、プラスの選択ができるよう、祈っています。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年03月13日松葉づえをついていた息子。大人のマナーについイライラして…Upload By かなしろにゃんこ。中学の校外学習で、息子が電車に乗り継ぎながら遠出をしたときのことです。その頃、足を骨折して松葉杖で歩いていた息子はもうヘトヘト。電車の優先席で休みたかったのですが、席が空いていませんでした。優先席の前に松葉杖で立てば気がついて席を譲ってくれるかな?と思ったそうなのですが、座っている大人は誰一人譲ってくれず…気がついていないフリを決め込む大人に「そこは優先席だろっ!健康な人はどけよ!」と腹が立ってきたそうで、優先席の前でわざとイヤミをぼやいたというのです。目には見えない、いろんな可能性があることを学んでほしい!親子で話し合ってみたものの…Upload By かなしろにゃんこ。ぼやき足りなかったのか、息子は帰宅してからも優先席のマナーが悪い大人について文句たらたら…。確かに健康な人が優先席を陣取ることはマナーが悪いし、息子の言い分は正しいのですが、ここは「見えない痛みや疲れ」を抱えている人もいるということに目を向けてほしいと思いました。「座っていた人は妊娠中だったかもよ?」「重労働で疲れていたのかもよ?」「気持ちはあったけど、人見知りで声をかけられない人だったかもよ?」など、席を譲らない理由には実は隠れた原因があったのかもしれないね!といろいろな可能性の話をしてみました。見た目が健康だから元気なハズ!と決めつけて怒らないで欲しいと思ったのです。いろいろな可能性を考えることができれば腹が立つことは少なくなるし、自分よりも疲れている人を優先しよういう心も芽生えるんじゃないかと考えたのですが…反抗期なこともあり、社会への反発が鋭くって私の言葉は入っていないようでした…ショボン…。人に親切を求める前に…自分はどーなの?息子に聞いてみるとUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そのくせ息子は、気持ちよく親切にされたのにお礼を言うのをコロッと忘れます。校外学習から帰るまでカバンを持ってくれた友だちの親切は当たり前に受けていいかのような態度だったので、「バカ野郎!スゴク助けられているのに気がつきやがれ!」と怒鳴りました(笑)。いつも人に助けてもらってばかりの子だから「やってもらって当たり前」になってしまっているのかしら…?息子のこの感覚はヤバイ!早いとこ正さないと!と息子のマナーの悪さにも気が付けた出来事でした。
2017年03月07日特別支援学校に通う息子が、将来「働く」ということ出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。私には、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う1年生です。特別支援学校高等部のカリキュラムは、一般的な高等学校とは少し異なります。国語や数学と言った教科学習だけでなく、入学直後から3年後の就労に向けて必要な知識、技能、態度についての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習も行われます。今回は、障害のある子どもが「働く」とはどういうことなのか、働くことで得られる喜びとは何なのか考えてみました。知的な遅れがある自閉症の息子。その人生の先にあるものは出典 : お子さんが特別支援学校の高等部を卒業した先輩ママが、ある日こんなことを呟いていました。「18歳までは“学校”という障害があっても守られた環境のなかで、先生や友達と一緒に充実した毎日を送っていた。でも卒業後は朝から夕方まで作業所でナッツをビニール袋に詰める作業をしている。わが子はこれで幸せなんだろうか…?」「猛暑の中で、来る日も来る日も公園のトイレ清掃。わが子の人生は、これでよかったのだろうか…」この話を聞いた私は、息子が支援学校を卒業してから1日中、袋詰めの作業をしている姿を想像しました。そして…こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが…「なんのためにこれまで一生懸命育ててきたんだろう」と悲しい気持ちになってしまいました。誕生したときの喜び、診断されたあとのショック、療育に必死に通った過去の日々が蘇り……。どんなに一生懸命学校に通わせたり、療育をして本人に出来ること増やしたとしても、その先にあるのは結局ひたすら単純作業をこなす人生なのかもしれない、そう考えてしまいました。授業参観で、ひたすら単純作業を行う息子を見て。浮かんでしまった正直な気持ちUpload By 立石美津子昨年の7月に、息子が通う高等部の授業見学に行きました。知的障害の度合いが重度の子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」に、中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の就労に向けての訓練を受けていました。施設班のグループの生徒達は猛暑のなか、ほうきの毛束についたゴミをひたすらとる作業をしていました。これを“けがき”と呼ぶそうです。(私はそんな言葉があることを初めて知りました)接客班の生徒達はテーブルを囲んで輪になり、一人ずつテーブルを拭く練習をしていました。私語禁止のなか、左端から右端、上から下とロボットのようにテーブルを拭いている子は「よくできました」と先生に言われ、丸く拭いた子は「やり直しです」と注意されます。息子は事務班でしたが、ネクタイをしめながら、同じ紙を3時間大型カッターで切る訓練を受けていました。Upload By 立石美津子人として生まれ、 15 歳まで義務教育を受け、高等部で職業訓練を受けて…。社会からたくさんの恩恵をもらったぶん、息子も働いて社会に恩返しするのが望ましいのでしょう。また息子が将来自立するためにも、働くための技能を身につける必要があります。特別支援学校という設備の整った恵まれた環境で、息子に合った訓練を受けられることは幸せなことです。そういう意味で息子は充実した高校生活を送れていると思います。しかし頭でそれを分かってはいながらも、延々と同じ作業を続ける息子の姿を見ていたら涙が出てきました。「普通の子に産まれていたら、もっと楽しい変化のある充実した高校生活なんだろうな…」という気持ちが正直に、浮かんできました。他のママも「ちょっとショックだった」とこぼしていました。働く喜びは、息子自身が決めるものそれでも気を取り直して授業参観の日の夕方、帰宅した息子に「事務班でのお仕事の練習、すごーくがんばっていたね」と褒めてやりました。すると、「カッティング上手になったから綺麗に切れた」と嬉しそうに自信満々にこんなのを見せてくれました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子そして、息子の様子を見て気がつきました。「そうだ。『こんな作業つまらないだろうな』『苦痛だろうな』 『こんな簡単な作業しかできないなんて不憫だ』なんて感じてしまうのは、健常者である私の奢った感情だったんだ」私がどう思っていようと、何も関係がないのです。息子さえ「この作業が楽しい」と感じていれば、それが息子の働く喜びなのです。公園清掃だって箱折り作業だって、工賃が1万円以下の仕事だって、それが本人の適性に合っていてやりがいを感じていれば、「それが最高の仕事なのだ」と思いました。仕事や職業に感じる価値ややりがいを決めるのは私ではなく、本人なのです。Upload By 立石美津子そんなことを考えながらも、心のどこかでは、「ああ、どんどん年齢を重ねないで欲しい。就労のことなんか考えないでいられたらなあ~。ずっとかわいい子どもでいて欲しいなあ」「温かい先生に見守られている学校のような居場所が、 18 歳以降もあったらいいなあ」と思うのでした。これって、親のエゴなんでしょうか?皆さんはどう思いますか?出典 :
2017年03月05日めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
チッチママ&塩対応旦那さんの胸キュン子育て
発達障害と診断された息子の中学高校生活