8月から、「インデックス保険」という新しい仕組みの保険が登場。インデックス保険とは、あらかじめ保険金が出る指標(インデックス)を決めておいて、その状況になったらすぐに保険金が支払われる保険だ。そんなインデックス保険について、経済ジャーナリストの荻原博子が解説してくれたーー。■地震から最短3日で保険金ゲット日本第1号は、東京海上日動の「震度連動型地震諸費用保険(地震に備えるEQuick保険)」。気象庁が発表する震度情報を指標とする地震保険です。実際に大地震が起こったら、保険会社は震度6弱以上の地域の契約者にメールを送信。契約者は住所や振込口座を確認し返信すれば、最短3日で保険金を受け取れます。たとえばプレミアムプランだと、保険料は年9,600円です。地震が起きて受け取れる保険金は、震度7で50万円、震度6強で20万円、震度6弱で10万円。ほかにスタンダードやエコノミーのプランも。この保険はとても合理的だと思います。まず、指標が震度なので、保険金が出るかどうかが一目瞭然。住む地域に関係なく保険料も一律で、シンプルでわかりやすいです。次に、保険会社が被害状況を調査しないので、保険金の支払いが早い。被災直後に助かるでしょう。さらに、加入はインターネットで被害調査もしませんから、保険会社の経費がかなり抑えられています。その分、保険料も安く設定しているのだと思います。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月31日「新型コロナウイルス感染拡大はいまだにおさまっていませんが、このコロナ禍が収束するころには、『税金を増やすことで対策費の支出分をカバーする』という議論が、にわかに進む可能性が高いと考えています」こう話すのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。すでに7月1日、自民党の石原伸晃元幹事長らは、安倍晋三首相に“税収増”の要望をするため、首相官邸を訪れている。石原氏の意図は、“新型コロナウイルス対策への多額の財政支出が将来世代の負担にならないよう”ということらしいが……。「私の考えでは、増税はもはや自民党内での既定路線。この面会はあくまで“パフォーマンス”でしょう。安倍政権や与党の幹部が増税の話題を切り出せば、世論の大反発を招く恐れがあります。この面会は、『元党幹事長からの要望があった』という体で、マスコミや世論の反応をうかがうためのものだったとみています」(加谷さん)政府は先の国会において、第1次、2次補正予算として合計約58兆円の財政支出を決定。財源には国債が充当された。しかし、なぜその支出が、税金でカバーされなければいけないのか。加谷さんが続ける。「Go To トラベルキャンペーンにおいても当初、赤羽一嘉国交相はキャンセル料の補償を『考えていない』と発言していました。つまり、政府はこれ以上、コロナ対策として出せるお金がないと考えているはずです。経済が成長しさえすれば、GDP(国内総生産)が上がることで政府債務の比率は下がるのですが、コロナ禍により経済はたいへん落ち込んでいる。政府は現状、増税しか手段がないとみているのでしょう」国民が、いつ収束するかわからない“コロナ第2波”に再び恐怖している最中に、国は着々と“アフターコロナ増税”の計画を進めているという事態……。では、この増税はどのような規模で、いつから実施されるのか。加谷さんにシミュレーションしてもらった。「財務省が参考にするのは『復興特別税』でしょう。政府は東日本大震災の復興にかかる財源の確保のために、特別措置法(特措法)として同税を導入しました。主な内容は、’13年から’37年までの25年間に、所得税額の2.1%を徴収するものです。これと同じようなプランをもとに、『コロナ特別税』というかたちで、長期間に徴税できるシステムを想定していると思われます」震災復興予算は総額32兆円となっていて、このうちの10.5兆円分を「復興特別税」でカバーしている。その内訳は、ほとんどが所得税額の2.1%として徴収しているもの。これをモデルとして「コロナ特別税」について加谷さんはシミュレーションする。「復興特別税は、支出の天井画が見えないうちに始めたものでした。当初は“とりあえず10兆円集めることを目標に”という意図で、所得額の2.1%ぶんと定めたと思われます。コロナ特別税に関しては、現時点でコロナ関連予算として決定されている58兆円を天井だと仮定し、現状の経済状況も踏まえて『半分は国債(=借金)として経済成長で補填し、半分は徴税する』という条件で試算を行います。この29兆円は、復興特別税の約3倍。しかし徴税期間も3倍にするのは長すぎますので『30年』に設定すると、1年あたり『9,600億円』徴税する必要があるという計算になります。現在の所得税の税収は年間約20兆円ですから、ここから9,600億円を捻出するとなると『4.8%』の上乗せが必要となるんです」つまり、現行の復興特別税の、2倍以上の負担が単純に増すことになるのだ。「会社員の夫の年収600万円、妻は専業主婦、子ども2人」という世帯をモデルに、加谷さんに具体的な負担額も試算してもらった。「給与所得控除、基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除などを差し引いた『課税所得金額』は約268万円。所得税額は約17万円です。現状ここから復興特別税(2.1%=3,570円)を納めていることになりますが、そこにコロナ特別税(4.8%=8,160円)が加算されます。つまりコロナ特別税が施行されれば、’37年までは合計『1万1,730円』を特別税として年額で負担することになるんです」気になるのはそのコロナ税の法制化と施行のタイミングだが……。「安倍首相の党総裁の任期満了は来年9月、衆議院議員の任期満了は10月です。政府や与党は、その前に施行するのが勢力維持には無難である、と考えるでしょう。そのためには秋の臨時国会で議論、そして早ければ年内に可決して、’21年4月から施行という可能性もあります」もしも施行が来年度からといっても、「いまから備えておくべきだ」と加谷さんは説く。「大企業では、’21年3月の決算と来年度予算を見越して、この秋、9〜10月にはコロナリストラを本格的に始めるでしょう。失業率や企業の倒産数も発表数より、実際はもっと増えていくはずです。すると、秋口から景気はさらに冷え込み、来年度の給与や賞与はとても厳しい予測も覚悟しなければなりません。各家庭では、マイカーなどの大きな出費を考えている場合、いまの時期は控えるほうが無難かもしれませんね」新型コロナウイルスがもたらす“恐怖の時代”は、まだまだ終わらなさそうだ。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月30日「もし、あなたが自営業者やフリーランスとして働く夫を亡くした場合、夫が会社員の人ならもらえる『遺族厚生年金』がありません。平均寿命が男性より長い女性は、夫の死後に訪れる生活について、早めに考えておく必要があります」そう話すのは、年金に詳しいファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。年金保険料を25年以上納めていた元会社員の夫が亡くなった場合、夫が受給していた老齢厚生年金の4分の3を妻は受け取ることができる。「夫婦2人の国民年金(老齢基礎年金)は約13万円、夫の現役時の収入で決まる厚生年金の報酬比例部分が約9万円、合計約22万円を受給していた夫婦がいたとします。夫が亡くなった後でも、厚生年金の75%にあたる約6万8,000円が終身で受給可能。自分のぶんの国民年金とあわせ、月に13万円ほどの年金を受け取ることができる」(山中さん・以下同)だが、これは厚生年金加入者だけの制度。自営業者やフリーランスなど、国民年金のみに加入している第1号被保険者にはこれに類する制度はない。国民年金は満額でも月に約6万5,000円、夫婦あわせても13万円程度にすぎない。夫が亡くなった場合、年金額が半減すると思って備えたほうがいい。そこで、山中さんがおすすめの対策を教えてくれた。【国民年金基金】掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限:60歳まで(任意加入者は65歳まで可)受け取れる時期:60歳以降節税効果の例:年約24万円※特徴:現在は予定利率1.5倍で運用されている。ライフプランに応じて、受給の種類を選ぶことができて、終身受給のものもある。保険料は所得控除の対象になり、所得税や住民税を節税できる。【iDeCo(イデコ)】掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限:60歳まで(2022年、年金被保険者については65歳まで引き上げ)受け取れる時期:60歳以降節税効果の例:年約24万円※/運用益非課税特徴:金融商品を選んで、自分で運用する。国民年金基金よりも高い利率で運用できる可能性がある一方、元本割れのリスクも。受け取りは分割と一括で選べて、一括の場合、サラリーマンの退職金と同様に、税金が大きく優遇される「退職所得控除」の対象になる。【小規模企業共済】掛金の上限額(自営業者、年間):84万円加入年の上限:働いている間はいつでも受け取れる時期:原則廃業時節税効果の例:年約24万円※特徴:現在は予定利率1%で運用されている。自営業者のための「退職金制度」。途中解約しない限り、払い込んだ総額を下回ることはなく、受給権の差し押さえも禁止されている。保険料は所得控除の対象。受け取りは分割と一括どちらでも選べる。【付加年金】掛金の上限額(自営業者、年間):4,800円加入年の上限:60歳まで受け取れる時期:65歳以降節税効果の例:年約1,500円※特徴:国民年金保険料に月々400円を足して納めると、将来年金額が月々200円増える。仮に50歳から10年間払い続けると、年金額は2万4,000円増える。国民年金基金に加入していると、付加年金を払うことはできない。※加入時の上限や受取金額は加入状況等により異なる場合がある。課税所得400万円で上限額まで加入した場合の所得控除による節税効果の例。【事業の法人化】メリット:個人事業主よりも煩雑な手続きが必要になるが、法人を設立して、そこに勤めているという形態をとれば、厚生年金に加入できる。また企業型確定拠出年金に加入した場合、掛金は損金として計上できるので、税制上のメリットも受けられる。国民年金加入者のみが入れるのが「国民年金基金」だ。「国民年金に上乗せされて、年金額を増額します。利回りは限定的ですが、亡くなるまで保障が続く、終身のものもあるのがメリット。もう少し増やしたいなら個人型確定拠出年金『iDeCo』です。運用の成果によって受取額が変動します。もし加入中に亡くなっても、積み立てた資産は家族に“継承”できる。掛金の上限額は2つ合わせて月6万8,000円です」(山中さん・以下同)両方に加入したい場合、働いている夫と専業主婦の妻であれば、お得な組み合わせがある。「iDeCoは『小規模企業共済等掛金控除』なので、契約者本人のみの控除ですが、国民年金基金は『社会保険料控除』。夫が妻の掛金を夫の所得から控除できます。よって、収入のある夫がiDeCo、妻が国民年金基金に加入するというのが、控除のメリットを最大限活用できる入り方です」自営業者やフリーランスには退職金はないが、それに代わる制度として「小規模企業共済」がある。「掛金は月1,000円から、500円単位で最大7万円。他の制度と違い、働いている間は何歳まででもかけ続けられ、年齢と関係なく、仕事を辞めたときに共済金を受け取れる」iDeCoと小規模企業共済は、一時金で資産を受け取る場合、「退職所得控除」扱いにすることができる。控除額は勤続20年までは1年につき70万円というふうに増えていくのだが、この二つの制度では、加入期間を勤続年数と読み替えて控除計算できる。「同じ年に両方を受け取ると、控除額を超えて課税される場合は、受け取る時期を一定期間開けたり、一括ではなく分割で受け取るなどの対策も検討しましょう」毎月大きな掛金を払う余裕がない場合は、どうすれば?「月400円で年金額が増やせる『付加年金』を検討しましょう。将来、払った期間分×200円がもらえるので、2年で元が取れます」また、法人を設立するという方法もある。「ややこしい手続きは増えますが、厚生年金に加入できることなど、メリットは大きい」自営業者には定年がない。山中さんは働いている限り、繰り下げをして、もらえる年金額を少しでも増やすことを勧めている。「わからないことがあれば、専門家を頼ってください。年金事務所なら年金について無料で相談できますし、資産運用も含めて包括的に相談したいのであれば、ファイナンシャルプランナーなどに」「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月29日かねてから指摘されてきた国民年金と厚生年金の“格差”。いま両者の統合案が政府内で出ているのだが、それが招くものはーー。「年金財政を延命させるため、6月に年金制度改正法が公布されたばかり。しかし、早くも’25年に予定されている次の年金改正に向け、厚生年金と国民年金の積立金統合案が持ち上がっています。会社員などの年金受給額が減額する可能性もあるため、大きな議論となるでしょう」(経済誌記者)将来の年金給付の財源として積み立てられてきた「年金積立金」。サラリーマンや公務員などの給与所得者を対象にした厚生年金と、自営業者やパート従業員などを対象にした国民年金で、別々に計上されている。厚生年金の被保険者は約3,980万人、積立金は国家予算の1.5倍にあたる157兆円超にのぼる。一方、国民年金のみに加入している自営業者などは1,462万人。積立金は9兆円にとどまる。経済評論家の平野和之さんはこう語る。「厚生年金は収入に応じて保険料が上がりますが、国民年金は一律約1万6,000円。さらに、“将来、もらえないんじゃないか”という年金不信も広がっていて、未納率も3割を超えています」昨年8月に発表された「財政検証」で、国民年金の厳しい状況が浮き彫りになった。「財政検証とは、厚生労働省が5年に1度行う、年金財政の健康診断のようなもの。将来、現役世代の男性の平均手取り収入額に対して、モデル世帯の夫婦の年金給付額がどのくらいの割合になるのかを示した“所得代替率”の未来予測が検証されています」(平野さん)現在の現役男子の平均手取り額は35万7,000円とされている。厚生年金に40年間加入していた夫と、専業主婦の妻というのがモデル世帯。現在の所得代替率は61.7%で、夫婦の年金額はおよそ22万円となっている。しかし、国民年金加入者が受け取れる基礎年金に限れば、現在でも所得代替率はわずか36.4%、夫婦で約13万円に過ぎない。「財政検証では、経済成長率、物価上昇率などを加味して6つのシナリオが示されています。もっとも平均的なケースでも、’40年度の基礎年金の所得代替率は29%になる見込みです。現在の平均手取り額から試算すると、国民年金のみを受給している夫婦は、わずか月額10万3,500円で生活しないといけない」しかも、これは夫婦ともに40年間保険料を欠かさずに払い続けた場合の給付額。未納期間があれば、この金額には届かない。「このまま国民年金の給付額が下がり続けた場合、とても生活は成り立ちません。余裕のある厚生年金の財源に頼らざるを得ないというわけです。当然、厚生年金加入者からは、『なんで厚生年金の積立金で、未納者もいる国民年金も支えないといけないのだ!』という反対の声が上がることが予想されます」厚生年金と国民年金の積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、株式や債券で運用している。年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんはこう指摘する。「新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の落ち込みは、積立金に大きな影響を与えます。さらに、国民年金と統合されることで、厚生年金の積立金の計画は大きく狂ってしまうことになるでしょう」厚生年金はどの程度の影響を受けるのか。平野さんが注目するのは、財政検証で示された最悪のケースだ。「このケースだと、’52年度に積立金が枯渇すると予想されていますが、統合などによって、時期はさらに10年、15年と早まる可能性がある。そうなれば、現在の50代も無関係ではいられません。積立金が使い果たされた場合、厚生年金の所得代替率は36~38%まで落ち込むと試算されています。現在の平均手取り額から計算すると、将来の厚生年金の受給額はわずか月額13万5,000円。現状の22万円よりも、8万5,000円も減額されてしまうことになります」「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日「年金財政を延命させるため、6月に年金制度改正法が公布されたばかり。しかし、早くも’25年に予定されている次の年金改正に向け、厚生年金と国民年金の積立金統合案が持ち上がっています。会社員などの年金受給額が減額する可能性もあるため、大きな議論となるでしょう」(経済誌記者)将来の年金給付の財源として積み立てられてきた「年金積立金」。サラリーマンや公務員などの給与所得者を対象にした厚生年金と、自営業者やパート従業員などを対象にした国民年金で、別々に計上されている。年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんはこう語る。「集まった保険料のうち、年金の支払いにあてられなかったぶんを、将来に備える資金としたのが積立金の始まりです。現役世代が多く、景気も右肩あがりだったバブル期、年金受給者に支払う額を大きく超えた保険料が集まりました。その結果、圧倒的に加入者が多く、給与から自動的に保険料が差し引かれる厚生年金の積立金は膨れ上がってきたのです」これまでほかの公的年金の財政が悪化するたび、財政に余裕のある厚生年金が救済役となってきた。「’97年には、持続困難となった旧三公社(NTT、JT、JR)の共済年金を厚生年金に統合。’15年には公務員共済、私立学校教職員共済を統合してきた経緯があります。今回の国民年金の統合案も、この流れに沿うものです」(北村さん)厚生年金の被保険者は約3,980万人、積立金は国家予算の1.5倍にあたる157兆円超にのぼる。一方、国民年金のみに加入している自営業者などは1,462万人。積立金は9兆円にとどまる。経済評論家の平野和之さんはこう語る。「厚生年金は収入に応じて保険料が上がりますが、国民年金は一律約1万6,000円。さらに、“将来、もらえないんじゃないか”という年金不信も広がっていて、未納率も3割を超えています」厚生労働省「平成30年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、収入が少なく、不安定な若い世代ほど未納が多く、25~34歳では、約4割が未納だという。「今後、コロナ不況が深刻化すれば、この傾向はさらに高まり、未納率が上昇してしまうことも懸念されています」(平野さん)はたして、われわれの年金はどうなるのか。次の年金改革は5年後だが、議論はすでに始まっている。自分の老後のために、その行方を注視しよう。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日こんにちは、婚活FP山本です。20代のうちは誰もが似たり寄ったりですが、30代になるとバラつきが出てくるのが年収といえます。そして「年収が低い」と感じている人ほど、周囲や他人の年収が気になるあまり、平均年収や中央値などが気になるのが実情です。このような情報は「転職の目安」にもなりますから、ぜひ知っておきましょう。今回は、さまざまな角度で30代の年収中央値についてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。日本の統計では基本的に「平均」が使われているまずは、そもそもの「中央値」の基本についてお伝えします。中央値とは、ある対象を順番に並べて「中央の人がどうなのか」を示す数字です。ちなみに似た数字に「平均」というものがありますが、こちらはすべての数字を足して人数で割った数字になります。学校のテストなら100点などの上限がありますが、貯金額や年収などは高い人はどこまでも高いため、平均では数字が大きくなりやすくなる点がネックです。大きく見せたい場合は有効でしょうが、実態を把握するには不向きなため、中央値が重要視されています。ただし、日本の統計では基本的に「平均」が使われているため、多くの中央値は「予想・推計」でしかありません。このような中央値の意味を理解しつつ、以後の数字を活用していきましょう。「中央値」のほうが体感的に正しい?たとえば、「1・10・20・30・40・50・1000」という数字の場合、平均なら164で中央値なら30になります。あなたから見て、どちらのほうが実態に近いと感じますか?一概にはいえませんが、一般的には中央値のほうが体感的に正しいと感じることが多いです。また、このように経済的な数字の場合、一般的に中央値は平均よりも数字が小さくなる傾向にあります。このため何らかの平均数字を見るときには、「実態となる中央値はもう少し低いはず」と捉えておきましょう。30代の平均年収は男性499万円、女性315万円次に、30代の「平均年収」を男女別にお伝えします。すでにお伝えしたとおり、年収については明確な中央値の統計がないためです。そのうえで、国税庁の平成30年「民間給与実態統計調査」によると、以下のような結果になっています。30代前半男性:470万円30代後半男性:528万円30代全体男性:499万円30代前半女性:315万円30代後半女性:314万円30代全体女性:315万円先ほどのとおり、実態となる中央値は少し低い可能性が高いです。また、この統計には非正規の方も含まれていますから、より実態とは違ってくる可能性が高いといえます。しかしそれでも、これ以上に正しい数字は日本にありませんから、これはこれでしっかり知っておきましょう。男性も女性も正社員と非正規では収入が倍以上も違う同調査によると、正社員と非正規の平均給与は以下のようになっています。男性も女性も、正社員と非正規では収入が倍以上も違うのが現実です。また、特に女性は非正規のほうが多いので、平均で見ると大きく実態とは違ってくる傾向にあります。このような数字の裏側・内訳なども気にしつつ、少しでも正しい情報の収集に努めましょう。30代の年収中央値は男性462万円、女性360万円?ここからは参考までに、統計を変えて30代の年収中央値についてお伝えします。国の統計ではないのですが、民間のdodaが自社のサービス利用者10万人の正社員を対象にした2012年の集計結果によると、以下のとおりです。なお、少し情報が古いですが、ここ10年の平均年収はほぼ変わっていないため、この視点で参考に見ておきましょう。この中央値の平均を取れば、30代の年収中央値は男性462万円、女性360万円となります。先ほどの平均年収統計では、男性499万円、女性315万円でしたから、中央値や非正規雇用などの事情を考えれば、より実態に近い数字かもしれません。しっかり覚えておきましょう。いまだ女性の3割は専業主婦、半数超は非正規「女性の社会進出」が一般的になりつつある現在でも、既婚女性の約3割は専業主婦になっています。また、働く女性の半数超が非正規雇用での労働です。男性の非正規は2割程度ですから、特に女性の場合は正規・非正規で年収上の格差が大きくなっています。そしてこのため、どうしても「統計の取り方」によって女性の数字はブレやすくなる傾向です。あまり直接的な年収にまどわされることなく、自分の年収を考えていきましょう。全国の地域別・男女別の年収中央値について今度は、全国の地域別に年収中央値をお伝えします。先ほどの調査によると、2012年の都道府県別の年収中央値は以下のとおりです。ただし、これは年代別の要素はありませんから、都道府県ごとの傾向として見ておきましょう。やはり大都市ほど年収中央値も高い傾向にありますが、一方で地方と呼ばれる県でも相応に高めなところもあるのが実情です。年収が低いと感じている場合は、県をまたいだ引っ越しや転職をするのもよいのかもしれません。都会と地方は収入とともに支出も違う!都会と地方は収入とともに支出も違うという点には注意が必要です。たとえば東京などは、確かに収入は高い傾向にあるものの、特に家賃を筆頭に支出も大きくなりやすいといえます。このため、必ずしも大都市のほうが生活しやすいとはいえない点に注意しましょう。もっとも、だからといって「地方のほうが生活しやすい」ともいえません。その人の考え方や性格・相性にもよりますから、引っ越しや転職をする場合は総合的に考えて判断しましょう。[adsense_middle]給料は手取り額だけでなく額面額も気にしようここからは、年収を考える際の注意点についてお伝えします。まずは「手取り額と額面額」についてです。一般的なサラリーマンの方なら、給料は実際に手元にくる「手取り額」を気にする方が多いといえます。ちなみに手取り額とは、基本的に額面額から諸々の税金や社会保険料などを差し引いた残額のことです。手取り額が気になるお気持ちは分かるものの、実際に何をいくら差し引かれるかは会社によります。そして、どうあがいても手取り額が額面額を上回ることもありません。統計や求人などで使われている数字も基本的に額面額ですから、自分の額面額を正しく把握しておきましょう。また、手取り額は、たとえば生命保険に加入するなどの一定の対策を取ることで相応に増やすことも可能です。今後は手取り額を増やす努力に励む一方で、額面額を上げる努力にも励んでいきましょう。ボーナスや昇給・退職金や各種手当も大切目先の毎月の給料額も大切ですが、それだけで自分の労働環境を考えるのは危険です。たとえばボーナスの有無も会社によりますし、昇給具合も会社次第になります。将来的な退職金制度があるかないかもさまざまですし、毎月の給料に加算される各種手当も本当に会社次第です。他社のほうが高い給料を掲げていたので転職したところ、手当やボーナスがなくてかえって収入が減ったという話もよく聞きます。分かりやすい給料以外についても、しっかり目を向けましょう。「構造的に年収が上がらない業種」には注意が必要次に、「構造的に年収が上がらない業種」についてお伝えします。どんな仕事でも、がんばれば収入は上がって当然と思いたいところですが、実際には違うのが現実です。国税庁の平成30年「民間給与実態統計調査」によると、業種別の平均年収は以下のようになっています。会社規模や営業戦略などにもよるので一概にいえませんが、それでも下位の業種であるほどに「構造的に年収が上がりにくい仕事」といえます。非正規労働やアルバイトということも多いため、なおさらです。できれば、平均年収が高い業種への転職を目指しましょう。年齢30歳頃の給与によっては転職を意識しようこの統計によれば、平均年収は20代前半から後半にかけて、一番上がっています。逆にこの時代に年収が上がらないようであれば、その後の年収上昇も望みにくいかもしれません。年齢30歳ごろの給与によっては転職を意識することもおすすめです。ただ、転職しても同業では年収が上がりにくい事情が変わらないかもしれません。他業種への転職は簡単ではありませんが、できれば平均年収が高い業種での正社員を狙いましょう。収入が上がっても支出まで上がっては意味がない?ここからは、ライフプラン上の年収に関するポイントについてお伝えします。まずは、「収入が上がっても支出まで上がっては意味がない」という点です。多くの方は高い年収を得れば豊かな暮らしができると考えますが、本当にそのような暮らしをすれば自殺行為になります。というのも、サラリーマンの年収というのはほぼ確実に定年で落ちるのが普通です。しかし、年収が落ちても生活水準は簡単には落とせません。このため、実は年収が高い人ほど生活水準が高い傾向にあるため、かえって老後破産しやすいのが実情です。年収は上げても生活水準は変えず、差額は貯金などに回すのがライフプラン上は理想的といえます。「給料は死ぬまでは入ってこない」という現実を、早めに理解しましょう。老後資金も2000万円で足りるかはさまざま令和元年には老後資金として2000万円必要といわれました。しかし2000万円で足りるかはさまざまで、むしろ一般的には倍の4000万円は必要です。少なくとも「2000万円も要らない」は多くの場合で間違っています。贅沢な暮らしをしていて貯められそうですか?30代なら今後は結婚、そして住宅ローンや教育費という高額な支出も待ち受けています。収入が上がっても安易に支出に回すことなく、先々のために貯蓄に励んでいきましょう。[adsense_middle]日本人のサラリーマンにとっては当然だった終身雇用は崩壊中最後に、「終身雇用」についてお伝えします。30代の方ならまだ少し他人事かもしれませんが、日本人のサラリーマンには当然だった「終身雇用」は崩壊中です。大手企業でも40代でのリストラが横行していますし、中には30代後半でリストラ対象になる会社も出てきています。もしリストラされたら、あなたはどうしますか?一般的に40歳前後ともなれば若いとはいえず、相応の実力や経験をともなっていなければ転職も簡単にはできません。一度でも非正規労働になれば、一気にライフプランも狂います。リストラされない保証など誰にもありません。この時代に大切なことは、「起業家精神」です。実際に起業するかは別にして、いざとなれば起業できるだけの実力と経験を身につけておけば、リストラも怖くありません。厳しい時代ですが、ぜひ自分で明るい未来を切り開きましょう。「雇う側」になれば定年すらなくなる!リスクばかりがいわれる起業ですが、実はそれに見合うメリットもたくさんあります。一番のメリットは「定年がない」という点です。理不尽な上司もいませんし、満員電車もサービス残業も休日出勤もありません。有能かつ気の合う人を雇うことさえできるようになります。当面の収入が怖いところかもしれませんが、そこさえ乗り越えれば経営者として相応しい収入を得ることも可能です。盲目的に起業を避けるのではなく、まずは自分の身を守るためにも前向きに考えてみましょう。30代で中央値程度の年収があっても油断は禁物学生時代なら、平均点を取れているか否かが1つの安心の目安だったでしょう。しかし社会人の場合、30代で中央値程度の年収があっても油断は禁物です。むしろ中央値程度の年収だけでは足りないことも多いので、支出面や今後のライフプランを踏まえた家計管理をしていきましょう。
2020年07月14日事業を始めようと決めたら、個人事業主としてやっていくのか、会社を設立するのか、どちらでやっていくほうがいいのでしょうか。個人事業主か会社設立かどちらにもメリット・デメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握することは重要です。状況に応じて適切な事業形態を選択しなければ、事業の継続が危ぶまれることになりかねません。今回は、会社を設立するメリット・デメリットについて、個人事業主として事業を行った場合と比較することにより、詳しく解説したいと思います。会社の設立を考えている場合は、ぜひ参考にしてみてください。会社設立のメリット社会的な信用が得られる法人のほうが節税対策をしやすい(1)社会的な信用が得られる会社が取引相手を選ぶ際、相手先の信用力はとても重要視されます。取引相手が会社でないとそもそも取引を行わない企業や、取引量の規模に制限を設けている企業もあるほどです。設立手続きが厳格決算書や確定申告書の情報が豊富信用があると融資や資金調達を行いやすい人材の確保がしやすい有限責任である理由①設立手続きが厳格日本においては、個人より会社形態で事業を行うほうが信用されます。会社を設立するにはまとまった資本金が必要であり、設立手続きにおいても設立登記など法律に基づく手続きを実施しなければなりません。その結果、登記事項証明書によって公的に存在することが容易に確認でき、個人の場合より信用力が高まります。この登記事項証明書には「商号」「本店所在地」「設立年月日」「目的」「役員の情報」などが記載されており、会社の重要な情報がひと目で確認できます。理由②決算書や確定申告書の情報が豊富会社形態であれば、決算書や確定申告書を信用力の判断材料とされます。個人事業の場合は決算書や確定申告書を提出することができますが、個人の確定申告書は法人のものと比べると情報量が少ないため、信用力の有無について判断が難しくなります。一方、法人税の確定申告書は添付資料も多く、会社の財政状態や経営状況を把握するのに十分な情報が得られます。理由③信用があると融資や資金調達を行いやすい金融機関からの融資は個人と法人では大きく異なります。金融機関から個人で融資を受けようとすると、保証人や担保を要求されるなど、非常に条件が厳しくなります。一方、法人の場合は上で述べたように社会的な信用力が高く、融資の可能性も格段に高くなります。また、融資以外にも投資家からの出資による資金調達もあります。理由④人材の確保がしやすい個人として事業を行うより、法人として事業を行ったほうが、人材確保(従業員の雇用維持)が有利になるといえます。これは単なるイメージという理由もあるかもしれません。たとえば、会社名に「株式会社」とか「合同会社」のような名称が付いているのと付いていないのとでは、やはり印象は違ってくるのではないでしょうか。求職者から見ると、会社と名の付くところだから、従業員がいて、しっかり事業を運営しているという“イメージ” を持つ人も少なからずいるでしょう。個人事業よりも法人が好印象を持たれる理由なぜ、個人事業よりも法人に好印象を持つのでしょうか。それは、以下の理由によるものと思われます。法人の場合、個人事業と違って給与体系、有給休暇、残業手当などの基準が明確である場合が多いこと法人の場合、従業員の社会保険料を半額負担してくれること福利厚生面も(個人事業よりは)充実しているイメージがあること仕事を探している人も、そこで働いている人も、安心して働ける環境というのは一番の条件になります。人材の確保が個人よりも法人のほうが有利といえるのも、結局は法人のほうが信用できるということで説明できます。理由⑤有限責任である個人事業の場合、万が一事業を廃業しても、税金や給料の支払い、借入金の返済、仕入先への支払いなど、倒産後も自分の財産を処分してでも払わなければなりません。これに対して、法人の場合は、倒産したとしても出資の範囲で有限責任となります。つまり、出資した範囲でのみ支払義務を負うことになり、事業が失敗したときのリスクを抑えることができます。信用性とは直接関連がないように思えますが、会社の社長が法律上有限の責任しか負わないという制度も、法人格に対して信用を与えた結果ともいえます。(2)法人のほうが節税対策をしやすい法人税率と所得税率の比較給与所得控除が使える認められる経費の範囲が増える赤字の場合の損失を10年間繰越できる消費税の免税による節税対策家族・親族への給与決算月を自由に決められる理由①法人税率と所得税率の比較個人事業主には所得税がかかります。所得税では、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる仕組みとなっています。一方、会社の場合、法人税は利益が増えても原則として税率は一定となります。そのため、一定の利益を超えると、法人税のほうが税率は低くなります。したがって、大きい利益が期待される場合は、会社を設立することで支払う税金を抑えることができます。理由②給与所得控除が使える個人事業主の場合、給与所得者ではなく、事業所得という扱いになり、給与所得者に認められる給与所得控除(給与収入に応じて一定金額が所得から控除できる制度)が認められません。しかし、会社から役員報酬として給与をもらえば給与所得者となり、この給与所得控除により、課税される所得を抑えることが可能です。理由③認められる経費の範囲が増える自営業の場合、事業に必要な費用として経費に含めるか、あるいは単なる日常の生活費かという判断が難しく、自営業としての事業に直接必要な費用と認められるかどうかは判断の分かれるところです。たとえば、仕事をしながらの夜食代や、スポーツクラブの会費などの福利厚生費用は、事業に直接必要な費用とは認められないケースが多いといえます。一方、会社であれば、上記のような福利厚生費は経費として事業活動のために支出されたものとすることができます。それ以外にも、自宅兼事務所や自動車、生命保険料、退職金など、会社にしたほうが経費として認められる範囲は広くなります。理由④赤字の場合の損失を10年間繰越できる個人であっても法人であっても、ある年度で赤字となった場合、その損失を翌年度以降の利益と相殺することができます。これを欠損金の繰越控除といいます。これにより、利益が出た年の税金を抑えることができます。個人事業主の場合、損失の繰越は3年間しかできませんが、法人の場合は青色事業者であることを条件に、損失を10年間繰り越すことができます。理由⑤消費税の免税による節税対策個人事業主であっても法人であっても、創業からの2年間は原則として消費税の納税義務がありません(資本金が1,000万円以上の場合や、1期目の上半期の売上高および給与支払額がいずれも1,000万円を超える場合は翌年から消費税課税事業者となります)。また、消費税の課税事業者となるのは、売上高が1,000万円以上となった2年後からになります。したがって、個人で事業を始めて最初に売上が1,000万円以上となった2年後に個人事業主を廃業し、そのタイミングで法人を設立すれば、さらに2年間は消費税免税事業者となることができます。結果として、最長4年間の消費税納税義務を合法的に回避することができます。理由⑥家族・親族への給与個人事業主では原則として家族に給与を支払うことはできません。青色事業専従者給与として税務署へ届出をした場合にのみ認められていますが、それでも一定の制限があります。法人の場合は、特に届出も必要なく、個人事業主の場合のような制限もないため、実際に家族や親族が事業に従事していれば、問題なく給料を支払うことができます。これによって、家族全体で所得を分散することにより、経営者個人の所得税、住民税を節税することが可能になります。理由⑦決算月を自由に決められる個人事業の場合は1月~12月が事業年度と決められていますが、法人の場合は決算月を自由に決めることができます。たとえば、売上が季節により変動が大きい事業の場合は、その月が事業年度の最初にくるように決算月を決めることで、計画的に経営でき、同時に節税対策も行いやすくなります。会社設立のデメリット事務負担の増加会社のお金は自由に使えない赤字でも税金がかかる社会保険へ加入しなければならない設立・運営・解散に費用がかかる[adsense_middle](1)事務負担の増加会社を設立することで事務負担は明らかに増加します。法人税の確定申告書は添付書類が多く、複雑になります。また、社会保険の加入手続きや税務署への届出など、各種官公庁への手続きを漏れなく行う必要があります。(2)会社のお金は自由に使えない会社の資産と社長個人の資産は明確に区別しなければなりません。たとえば、今月は個人的な支出でお金がかかってしまった場合、個人なら事業で受け取ったお金を自分の生活に充てることもできますが、法人のお金は個人用として使うことは認められません。法人の資産と個人の資産が区別され、自由に使うことができなくなるのは会社を設立するデメリットといえます。(3)赤字でも税金がかかる会社を運営していくと、赤字になることもあるかと思います。しかし、たとえ赤字であっても支払わなければならない税金があります。それが法人住民税の均等割です。これが毎年7万円かかるということは覚えておきましょう。(4)社会保険へ加入しなければならない会社を設立すると、健康保険と厚生年金保険への加入が義務づけられます。この保険料は、従業員の給料が増えれば増えるほど高くなっていきます。しかも、保険料の納付は会社と本人が折半する形になります。したがって、従業員が増えれば増えるほど、給料を高く設定すればするほど、会社の負担も大きくなっていきます。(5)設立・運営・解散に費用がかかる①会社設立時にかかる費用会社設立時に設立費用がかかるという点はデメリットといえるでしょう。登録免許税として株式会社の場合は最低15万円、合同会社の場合は6万円を支払うことになります。また、会社設立時にはほかにも定款の作成費用や認証手数料、印鑑の作成や登録などさまざまな費用と手間がかかることになります。②会社設立後の費用会社設立後のランニングコストも決して低いとはいえません。会社の場合には社会保険への加入義務が生じるため、社会保険料の負担があります。従業員を雇うにも費用はかかるでしょう。また、事務所の家賃や自動車費用、税理士費用など、仮に売上が上がらなくても、かかる固定費があることに注意しましょう。③事業の廃止・解散にかかる費用会社設立前から解散を考えることはないと思いますが、会社の解散にも費用がかかります。借金の返済や税金の支払いはもちろんですが、会社の清算手続きに解散登記費用が数万円かかることになります。株式会社と合同会社の比較ここでは、会社を設立する際の会社の種類について、特に株式会社と合同会社について紹介します。同じ会社であっても株式会社を設立するか、あるいは合同会社とするか、それぞれメリット・デメリットがありますので、これについてもしっかり理解しておきましょう。[adsense_middle]①株式会社のメリット・デメリットもっとも一般的な会社形態です。誰もが知っている会社形態であり、社会的信用も高いといえます。資金調達もしやすく、会社が大きくなれば、将来的に証券取引所に上場することも可能です。一方、デメリットとしては設立に手間と費用がかかることが挙げられます。また、役員変更するたびに登記費用がかかります。②合同会社のメリット・デメリット比較的新しい会社形態で、認知度もまだ低く信用も低いといえます。しかし、株式会社に比べて設立費用が安く、スピーディに会社設立手続きを行えることから、徐々にその数は増えていっているのは確かです。合同会社では利益の配分など、社員(出資者)の間で自由に決めることができます。また、会社の重要な決定をする際、株主総会や取締役会での決議を要しないため、スピーディに経営上の意思決定が行えます。株式という概念がないため、証券会社に上場ということはできませんが、小規模事業には適しているといえる会社形態です。会社設立のメリット・デメリットに関するまとめこのように会社設立のときにはメリット、デメリットの両面があります。どちらがよいかはその事業内容によるため、一概にいえませんが、事業をどんどん拡大していく意思があるなら、社会的に信用がある会社設立がよいでしょう。税金に関する事項や設立に必要な費用に関しては、税理士や会計士などの専門家に相談し、検討してみるのがおすすめです。また、最初に個人事業としてスタートし、軌道に乗ってきたタイミングで法人化するといった方法もあります。それぞれの実情にあわせて、もっとも適切な方法を選択してください。
2020年07月11日家財保険と火災保険は同じものでもあり、別のものでもあります。「火災や風水害での損害を補填する」という点においては同じです。しかし、完全に一致するものではありません。今回は火災保険の一部である家財保険の基礎知識と、加入時に注意すべきポイントについて解説します。火災保険と家財保険の違い家財保険は火災保険の一種火災保険の中で、家財のみを補償対象とするものを「家財保険」と呼ぶ場合があります。しかし、「家財保険」という保険商品があるわけではありません。住宅用の火災保険の補償対象は「建物」と「家財」に分かれています。つまり、家財保険は火災保険の一種なのです。家財とは、建物の中にある家具や家電などの動産のことをいいます。住宅用火災保険では建物のみを補償対象にすることも、家財のみを対象にすることも、両方を対象にすることもできます。建物と家財の具体的な補償対象は?「建物」は家屋などの建物本体と付属する物置、車庫、塀などの動かせないものが該当します。「家財」は家具、家電、衣類、カーテンなどが対象になります。ただし、建物と家財の区別は保険会社によって微妙なものもあります。一般的には以下のとおりです。意外にも、建物の範囲は広いのです。家財保険の必要性とおすすめする理由住宅ローンを組んでマイホームを購入するとき、多くの場合は金融機関から火災保険の提案を受けます。その際、「建物のみ」の補償プランを提示されることが多いので注意が必要です。たいていの人は、住宅購入は一生に一度のことなので、火災保険のことはよくわからないはずです。そのまま加入して、建物が全焼してしまった場合、建物は建て替えることができます。けれども、家財道具一式はゼロからそろえなくてはなりません。家財の補償がなければ、テレビや冷蔵庫や洗濯機や家具などをすべて自腹で賄わなくてはならないのです。自己資金に余裕のある人にとっては、建物の建て替えに比べて、かかるお金の少ない家財の保険は必要ではないかもしれません。しかし、ほとんどの人はそんな余裕はないはずです。余裕のない人にとっては家財の保険は必要だということになります。さらに、昨今は大規模な自然災害が増えています。想定外の被害も多く、火災保険は必須です。建物だけでなく、家財の損害にもしっかり備えておきましょう。家財保険を検討する際に知っておきたい注意ポイント[adsense_middle]アパートや賃貸マンションなどの借家の場合賃貸借の対象物件においては、建物本体の火災保険は大家さんが加入しますが、建物内部にある家財の火災保険(家財保険)は居住者が加入する必要があります。賃貸住宅用の家財保険の基本的な補償借家人賠償は必須の補償賃貸住宅の賃借人用の火災保険は、上記のように家財の補償をメインに、賠償責任をオプションにしたセットになっています。賠償責任のうち、借家人賠償はオプションとはいえ、必須の補償です。賃借人には退去の際に対象物件の「原状回復義務」というものがあります。「原状回復」とは、借りる前の状態に戻すということです。自分の部屋から家事を出してしまった場合、「原状回復義務」を果たすことができない「債務不履行」の状態に陥ります。この「債務不履行」に対する損害賠償義務を負うために借家人賠償があります。個人賠償責任は重複加入に注意マンションなどの共同住宅の場合、火災より多いのが漏水です。自分の部屋からの水漏れで、下の階の部屋を濡らしてしまった場合などの損害賠償のために個人賠償責任の補償があります。個人賠償責任は、自動車保険などに付帯されている場合はそちらでカバーされます。1契約で同一生計の家族全員が補償対象になります。重複加入にならないように既加入の損害保険をチェックしましょう。また、借家人賠償、個人賠償責任ともに加入する商品に示談サービスが付いているほうがいいです。地震保険は家財の補償も忘れずに日本では、阪神淡路大震災、東日本大震災などの大地震が起きてから地震保険の加入率が一気に上がりました。通常の火災保険では地震による損害は補償されません。例えば、地震によって発生した火災は地震保険に加入していないと補償されないのです。地震保険は単独では加入できず、火災保険に付加します。過去の震災では家財の損害も甚大でした。よって、地震保険は建物だけでなく家財の補償も必要といえます。地震保険においては建物と家財で災害の認定要件や、保険金の支払い方法が異なります。どちらかというと家財のほうが支払われやすいと言われています。通常の家財保険では補償対象にならないもの家財の補償対象は建物以外全部というわけではありません。通常の火災保険の契約では補償対象にならないものは以下のとおりです。所定額以上に高価な貴金属、書画、骨董など設計書、帳簿、証書など自動車通貨、有価証券、預金証書、印紙、切手など商品、営業用什器、備品などテープ、カード、ディスク、ドラムなどのコンピュータ用の記録媒体に記録されているプログラム、データなど所定額以上に高価な宝石、書画などは「明記物件」として保険会社に申告しておかないと、補償の対象に含めることができなくなります。現金や有価証券は盗難の補償が付いていれば補償の対象になりますが、火災などでは対象外となります。2014年の関東地方の大雪災害では、カーポートが潰れて自動車の車両にも損害が多く発生しました。こうした場合、カーポートは補償されますが、自動車は火災保険では補償されません。車両の損害は自動車保険の車両保険からの補償になります。家財の保険金額の決め方家財の保険金額の決め方は、世帯主の年齢・家族構成によりおおよその目安があります。以下はある保険会社のデータです。家財の保険料の決まり方家財に限らず、火災保険の保険料は建物の構造級別、保険対象の所在地、建築年月、保険金額、補償内容、保険期間、保険料払込方法によって決まります。建物の構造級別は以下のように分類されます。保険料はM構造が最も安く、H構造が最も高くなります。家財保険と火災保険の違いのまとめ火災保険とは、火災や風水害での損害を補填する損害保険です。家財保険は火災保険の中で、家具や家電などの家財の損害を補償するものです。火災保険の中に家財保険は含まれています。家財の補償対象は基本的に建物以外の動産です。火災保険に加入する際は、建物の補償だけでなく、家財の補償も検討するようにしましょう。
2020年07月07日住宅ローンは35年など数十年に及ぶ返済ということもあり、借入額をいくらにするのか迷うものです。金融機関が住宅ローンでいくら融資してくれるかは年収により決まりますが、実際のところ、年収に対してどのくらいの借入をするのがよいのでしょうか。本記事では、住宅ローンの借入可能額の計算方法などに触れながら、年収と適正額のベストバランスについてご紹介していきたいと思います。住宅ローンの借入額はいくらくらいがいい?住宅ローンを組むと数十年にわたり、毎月返済していくことになりますが、年収に対してどのくらいまで借入してよいものなのでしょうか?借入できる金額を目安にしてはいけない年収に対していくらまでなら借りてよいかという疑問に対し、明確な答えはありません。これは、生活費や食費など毎月かかる費用がどのくらいかといったことや、貯蓄額など家庭によって大きく異なるからです。一方、金融機関に審査を申し込むと、「年収○○万円なら□□万円まで借入できる」という借入可能額は明確に計算できることから、この数字を1つの目安とする方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際のところ、金融機関の借入可能額を目安にすると負担が大きくなることが多いです。借入可能額については、あくまでも自分の年収で借りられる最大額でしかないという意識を持ち、住宅ローン借入額の適正額を決める際の目安にしてはいけないということをまずは覚えておくとよいでしょう。住宅ローンの借入可能額の計算ここで、住宅ローンの借入可能額の計算方法を見ていきたいと思います。住宅ローンの借入可能額の計算では、返済負担率と審査金利の2つが用いられます。返済負担率とは返済負担率とは、住宅ローンとそのほかのローンを含めて、年収に対していくら返済しているのかを表すものです。例えば、年収400万円の方が住宅ローンを借りると、住宅ローンの返済額で8万円/月、自動車ローンなどそのほかのローンで2万円/月返済する場合、返済負担率は以下のように計算されます。{(8万円/月+2万円/月)×12カ月}÷400万円×100(%)=30%返済負担率については、金融機関ごとに上限が定められており、その上限を超える金額は原則として借入できないこととなっています。例えば、住宅金融支援機構のフラット35の場合、年収400万円未満の場合で返済負担率の上限は30%、年収400万円以上の場合で返済負担率の上限は35%と定められています。つまり、上記ケースでは返済負担率35%まで借りられることとなり、借入可能額の基準はクリアすることになります。住宅ローン以外のその他ローンに注意返済負担率についてポイントとなるのは、住宅ローン以外のローンも対象となることです。自動車ローンやウェディングローン、教育ローンなどを返済中の方は返済負担率の計算に入れる必要がありますし、ほかにも携帯電話の分割費用や奨学金なども対象となります。これら借入情報については、自己申告ではありますが、審査時には個人信用情報をチェックされるため、申告漏れがあったらばれてしまいます。なお、そのほかのローンについては、自己資金などで住宅ローン実行時までに完済することができれば、返済負担率の計算から除外できます。審査金利とは返済負担率の計算上、住宅ローンの返済額を求める際には、住宅ローンの適用金利ではなく、金融機関ごとに定められた審査金利が用いられます。審査金利は金融機関ごとに異なりますが、3%程度で設定されることが多いようです。例えば、住宅ローンの適用金利が1%で審査金利が3%という金融機関の場合、35年の借入で毎月2万円ほど返済額が異なるのが一般的です。借入可能額の計算上、審査金利は重要なポイントとなります。フラット35の審査金利は住宅ローンの適用金利住宅金融支援機構のフラット35の場合、審査金利は住宅ローンの適用金利と定められており、このことから民間の金融機関と比べて高い借入可能額としやすくなっています。フラット35の場合、場合によっては年収の10倍程度を借入できる計算となることもありますが、冒頭でお伝えしたとおり、借入できるからといって満額まで借りてしまうと、返済が厳しくなってしまうことが少なくありません。年収と毎月返済額の適正額は?年収に対して、住宅ローンの毎月返済額の適正額はいくらくらいなのでしょうか?[adsense_middle]返済負担率20~25%を目指すまずは、返済負担率を20~25%に収めることを目指してみましょう。実際には、年収や年齢、家族構成などによって適正額は異なるのですが、目安としてこの辺りを意識しておくと余裕を持った資金計画を組みやすくなります。例えば、年収400万円の方の場合、返済負担率20%だと年間80万円の支払いで、おおよその毎月返済額は7万円ほどとなります。7万円/月というと、金利1%、借入期間35年の場合で2,500万円程度の借入となる計算です。月々の収入と支払額を把握しよう上記で借入額の目安について、返済負担率をおおよそ20~25%程度に収めるようお伝えしましたが、実際には年収により税負担や社会保険料などが異なるため、注意が必要です。上記は目安として考えつつ、実際に借入額を決めるときは、毎月の収入と支出を洗い出して計算してみるようにしましょう。手取り収入の把握まずは、手取り収入がどのくらいかを把握することから始めます。手取り収入については、預金通帳を見れば毎月の額を把握できるので、まずは確認してみましょう。毎月の費用の把握次に、食費や水道光熱費、携帯電話などの通信費で、月額いくらの費用がかかっているかを大雑把に書き出し、その合計額を求めます。こうして、手取り収入から毎月の費用を差し引き、そこから住宅ローンの返済額を差し引いたら手元にいくら残るかを求めてみましょう。実際には、想定外の費用が発生することも少なくないため、この段階ではかなり余裕を持った資金計画を立てることをおすすめします。年齢や家族構成によっても適正額は異なる年齢また、年齢や家族構成によっても適正額は異なります。例えば、年齢については、30歳で住宅ローンを組むのと、50歳で住宅ローンを組むのとでは計算が大きく変わってきます。というのも、住宅ローンの多くは完済時年齢を80歳前後とする必要があり、50歳の借入だと最長でも30年しか借りることができません。また、65歳で定年退職することを考えると、退職後に住宅ローンをどのように支払っていくのかも考えないといけません。家族構成家族構成については、子どもが何人いて、教育費にどのくらいの費用がかかるかも計算しておく必要があります。とはいえ、ここまで計算するのは一般の人にはなかなか難しいことでしょう。詳細に計算したければ、FPに相談してライフプランニングをしてもらうことをおすすめします。借入可能額いっぱいの借入でも問題ないという考え方もある一方、借入可能額いっぱいの借入でも問題ないという考え方もあります。住宅ローンは、一般的にすべてのローンの中で最も金利が低く設定されています。金融機関からすると、住宅ローンを貸すだけでは人件費などを考えると貸すだけ赤字になると考える人もいるほどです。アベノミクスによる異次元の金融緩和やマイナス金利の導入により金利は下がり続けており、1%以下の金利で借りられることも少なくありません。住宅ローン控除で借りれば借りるほどお得になる?さらに、政府により、住宅取得を積極的に行ってもらう目的で、住宅ローンを組む際にさまざまな特典を受けられるような制度が設けられています。具体的には、住まい給付金や住宅ローン控除が挙げられますが、ここでは特に住宅ローン控除について取り上げたいと思います。住宅ローン控除とは、借入してから13年間、住宅ローン年末残高の1%について所得税や住民税から控除を受けられるというものです。先述のとおり、住宅ローンの金利は1%を切るものも多い中、住宅ローン控除で1%分の還付を受けられるとなると、場合によっては「借りれば借りるほどお得」という状態になるのです。ただし、住宅ローン控除で受けられるのはあくまでも所得税や住民税に対する控除で、これらはそもそも年収がある程度高く、所得税や住民税を納めていないと還付は受けられません。サラリーマンの方は、職場から交付される源泉徴収票で納税額を計算できるので、確認してみるとよいでしょう。借りたものは返さないといけないとはいえ、当たり前ではありますが、住宅ローンで借りたお金は返さないといけません。借りれば借りるだけお得だからといって、例えば無駄に設備にお金をかけるなど、不要な分も借りてしまうのは問題です。手持ち資金が豊富にある場合に、手持ち資金を手付金として入れるのではなく、手元にお金を残しておくといった使い方ではおすすめできますが、手持ち資金がないのにも関わらず多額の借金をしてしまっては、借入後の生活が厳しくなる可能性が高いです。金利1%程度に対して、税金の還付で1%受けられるからといって、無駄に融資額を大きくするのではなく、あくまでも収入に対していくら返済していく必要があるのかを、なるべく余裕のある水準で計算しておくようにしましょう。その際には先述のとおり、1つの目安として、年収に対する返済負担率を20~25%に収められるかどうかを基準にしておくことをおすすめします。住宅ローン借入額の目安に関するまとめ住宅ローン借入額の目安についてお伝えしました。年収に対していくらまで借りてよいかについては、すべての家庭に当てはまる便利な公式などはありません。1つの目安として、返済負担率20~25%程度に収めることを目標にするとともに、より詳しくは、収入と支出の把握や、年齢や家族構成を元にしたライフプランニングを作成するなどして計算していくことをおすすめします。その際には、FPなど専門家に相談してみるのも1つの方法です。
2020年07月06日世界中を混乱に陥れたコロナ禍。いまや、リーマン・ショックに比肩する景気悪化におそわれるとの予想も。そこで、ボロボロ家計を救うべく、使える制度を使い倒そう!利用できる支払いの「猶予・免除」にはどんなものがあるのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが教えてくれたーー。■税金は滞納扱いになる前に手続きを!大手旅行会社のHISが今夏のボーナス支給を取りやめるなど、多くの企業でボーナスが大幅に削られています。みずほ総研は、今夏のボーナスが昨年より9.2%減ると予想(’20年5月)。リーマン・ショックに次ぐ大きな下げ幅です。「ボーナスが出るだけありがたい」声がある半面、「冬までどうやって暮らせばいいんだ」という嘆きは深刻です。住宅ローンのボーナス併用払いや毎月の赤字補填など、“ボーナス頼み”の家計にとって、1人10万円の「特別定額給付金」は焼け石に水。今年後半の家計は、ボロボロになるかも……とはいえ、借金は避けたい!ならば、支払いの「猶予・免除」を利用しましょう。国の要請を受けて、コロナ禍の特別猶予もあります。【1】社会保険料国民健康保険・介護保険や国民年金などの社会保険料は、困窮の度合いに応じて免除があります。一家の大黒柱がコロナ肺炎で亡くなった場合などは、国民健康保険料・介護保険料は全額免除です。注意したいのは、これらが申請主義だということ。国民健康保険の免除申請をすれば、保険料を払わなくても保険証が使えます。国民年金は、免除期間も老後の年金をもらうための受給資格期間に含まれます。手続きせず放っておくと、こうした補償は一切ありません。必ず申請してください。【2】税金税金は、最長1年間の猶予があります。延滞金もありません。自動車税・軽自動車税は5月末が支払い期限でした。「払えない」と思い悩むより、早めに手続きをして家計のこれからを考えましょう。手続きしなかったら滞納扱いとなり、延滞金がかかります。【3】水道・下水道料金もっとも大切なコロナ対策は手洗いですから、ふだんより水道代がかさんだ家庭が多いと思います。上下水道は自治体が管理していますので、自治体独自の判断で、一部免除などの措置を行っています。たとえば兵庫県小野市は、5月請求分から半年間無料にする太っ腹。いくら使っても上水道は無料ですが、下水道料金は使いすぎ防止のため通常どおり徴収します。ほかにも、大阪市は上下水道の基本料金が3カ月間無料ですし、鹿児島市は上水道の基本料金が4カ月間無料です。こうした措置のない自治体でも窓口で相談すれば、猶予に応えてくれると思います。6月24日、世界通貨基金(IMF)が、世界経済は大恐慌以来最悪の景気後退と発表。日本はリーマン・ショックを超える景気悪化になると予測しました。コロナ禍の経済ショックはこれからが本番かもしれません。私たちは、使える手はなんでも使って、家計を死守する覚悟が必要です。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月03日家計の見直しをするには固定費の削減が効果的ですが、その中の一つとして保険の見直しをされることもあると思います。見直しと言っても単純に保険を解約したり、保険料を安くしたりするだけではなく、優先順位を決めた上で必要な保障を確保して、不必要な保障を削減することも必要です。 今回は保険の見直しについて基本的な考え方と状況別の対応方法をお伝えいたします。 保険の見直しの基本的な考え方シンプルに考え方をお伝えすると、 保険の見直しとは、1. 必要な保険は継続して、2. 不要な保険や重複している保険は解約や減額、3. 不足している保険は追加を検討し、4. 同様の機能の保険であれば、保険料が安いものがないか比較することです。インターネット等で情報の比較・検討が得意な方はご自身でも見直しができると思いますが、不得意な方はファイナンシャルプランナーや複数の保険を取り扱う保険代理店・保険ショップに相談することも検討されると良いでしょう。 子どもが生まれた場合の見直しについて子どもが生まれた場合に必要な保険は主に以下の3つです。【1】生計の中心者(基本的にはご両親)の死亡や就労不能に備える掛け捨ての保険(収入保障保険、定期保険等) 【2】お子さんの進学費用を準備するための貯蓄性のある保険(学資保険・外貨建や変額型の養老保険等) 【3】お子さんの医療保険・がん保険・傷害保険 特に【1】はお子さんが社会人になるまでの年齢までは確保することをおすすめします。子どもが生まれたときには最も必要な保険と考えましょう。そのため、解約や減額を検討する場合には、住宅ローンでの団体信用生命保険に加入する場合以外の理由においては最後に手を付ける保険としてください。 【2】は、貯金代わりの側面もありますので、保険料の支払いが当分の間難しい場合には、解約や(解約はせずに、今後の保険料の支払いを止め、保険金の小さな保険にすること)、減額(今後の保険料と保険金を小さくする)を検討しましょう。しかし、将来の進学費用はその後貯める必要がある点は合わせて覚えておきましょう。 【3】については、乳幼児医療費助成等の制度で多くの部分がカバーできるので、必要であれば、掛け捨ての共済や少額の保険の加入に留めておくことが基本的な考え方です。 保険料の支払いが難しい場合の見直しについて新型コロナウイルスの影響だけではありませんが、しばらくの間収入の見込みが難しく、保険料の支払いが難しい場合でも、必要最低限の保険はできる範囲で確保しましょう。 例えば、上記【1】の収入保障保険、定期保険等や自動車保険・火災保険は、可能性は高くないものの、事故などが発生した場合には1000万円単位のお金が必要な状況になりますので、継続できないか検討しましょう。 逆に貯蓄性の高い保険は解約・払済・減額と合わせて、契約者貸付(今までの積立額をベースに貸付が受けられます)や保険料支払猶予(保険料の支払いを一定期間待ってもらえます)ができないか、保険会社や代理店の担当者またはカスタマーセンター等に確認することをおすすめします。 多くの保険会社では、新型コロナウイルス対策で、契約者貸付の利息を0にしたり、保険料の支払猶予の期間を延長したりしていますので、必要に応じて利用しましょう。 その他の見直しのポイント上記以外の保険の見直しについての主なポイントを5点お伝えしますので、参考にしてみてください。 ポイント12017年以前に加入した収入保障保険、定期保険等の有効期間のある死亡保険は、年齢や健康状態によって条件が異なりますが、2018年の保険料の値下げにより、加入をしなおすと安くなる可能性があります。 ポイント22016年以前に加入した学資保険や個人年金、終身保険などの貯蓄性のある保険は、現在より予定利率が高いため、継続できる場合には、解約はせず継続することをお勧めします。 ポイント3医療保険、がん保険は種類が多いため、保険料だけでなく、どのような時に保険金がいくら支払われるかを含めて比較しましょう。 ポイント4保険会社によって、得意な保険、不得意な保険があることが少なくありません。保険の種類ごとに、異なる保険会社の保険を組み合わせることも検討しましょう。 ポイント5火災保険は火災だけでなく、自然災害や汚破損等でも保険金が支払われるプランもあります。洪水や浸水の可能性がない建物に水災が補償されるプランは対象外にすることによって、保険料を下げることが可能な場合があります。 こちらでお伝えしたことがすべてではありませんが、保険を見直す主なポイントを挙げました。保険の見直しだけではありませんが、固定費の削減をすることで家計によって長期間プラスになる可能性がありますので、できることから始めるきっかけにしていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年07月02日生命保険料の適正額が分からずに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?「日本人は保険好き」と言われることもあるように、中には不必要な保険にまで入り、毎月の料金が高額な人もいます。そこでこの記事では、生命保険料の決め方が分からない人向けに、データ別に見た生命保険料の平均額や、保険料の適正額を決める方法をお伝えします。全体で見る生命保険料の月額平均は約3万2千円公益財団法人生命保険文化センターが公開している「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)によると、全世帯の平均年間払込保険料は38.2万円。月額平均にすると約3.2万円です。また、平均年間支払保険料で最も多かったのは12〜24万円でした(16%)。月額平均にすると、1~2万円です。また、最も保険料の高かった年間平均84万円以上の世帯(月額7万円以上)は、全体の5.8%でした。保険料は年齢とともに上がるが、60代以降には下がるどのデータを見ても共通して言えるのは、20代から50代にかけて保険料の平均額は上がるということです。しかし、60代以降には保険料の平均額は次第に下がっていきます。もちろん、保険料は世帯・年代・年収・就労形態などが要因で変化するものです。それぞれ詳しく解説します。世帯別に見る生命保険料の月額平均は?夫婦のみの世帯(40歳未満とそれ以上)・乳児~就学修了する末子がいる世帯・高齢夫婦(有職と無職)の世帯の年間平均は約36.4万円。月額にすると約3万円です。世帯別に見ると、末子が高校・短大・大学生のときに最も保険料が高いことが分かります。年間平均は46.2万円で、月額にすると3.9万円です。以下の図表を参考にしながら、それぞれの世帯ごとの生命保険料の平均額を見てみましょう。夫婦のみ・子どもがいる場合の月額平均保険料夫婦のみの世帯の場合は、40歳未満で年間平均払込保険料は24.3万円(月額約2万円)と最も低い金額です。一方で40歳以上の場合は37.3万円(月額約3.1万円)で、世帯別に見る平均よりは低い数値です。一方で、末子が乳児~就学修了までは、末子が乳児の場合は34.5万円(月額約2.9万円)であり、最も保険料が高額な時期は高校・短大・大学生のときです。子どもの有無で備えるべきリスクが異なる子どもの有無によって、備えるべきリスクは異なります。子どもがいる世帯は、世帯主が亡くなったときなどに備えて、残された配偶者と子どもの生活を保障したいと考える人が多い一方で、子どもがいない世帯にそのような補償は不要です。そのため、夫婦のみ(40歳未満)の年間平均払込保険料が最も少なくなります。また、末子が高校・短大・大学生のときに最も教育費がかかるため、備える補償額も一番大きくなります。高齢夫婦の場合の月額平均保険料高齢夫婦(60歳以上)の場合は、仕事の有無で変わってきます。仕事がある高齢夫婦世帯の年間平均払込保険料は32万円(月額約2.7万円)であり、仕事がない世帯は25.6万円(月額約2.1万円)です。仕事がある場合は、ない場合と比べて収入に余裕があるため、保険料の支出も大きくなると解釈できます。高齢夫婦には今までのストックがあるケースが多い高齢夫婦の場合は、今まで貯蓄型の保険に加入してきているケースもあります。その場合は、いざというときの備えがすでに完成しているため、60歳以降に大きな保険料を支払う必要はありません。大きなリスクに対する準備は整っているため、夫婦のみ(40歳以上)の世帯などよりも保険料は少なめです。保険料の平均は子どもが大きくなるにつれて上がる年間平均払込保険料は、子どもが大きくなるにつれて大きくなります。その理由は、進学するにつれて必要な教育費が上がっていく傾向があるためです。そのため、子どもの就学期間が過ぎた後は保険料の負担は減ります。また、夫婦が定年に近づくにつれて、老後の資金を備えたり、すでに貯蓄型の保険でリスクに対する備えができていたりするため、必要な保険料はさらに減るのです。年代別で見る生命保険料の月額平均は?「生命保険に関する全国実態調査」を参考に、29歳以下の人から90歳以上の人までの年間平均払込保険料を見てみましょう。[adsense_middle]29歳以下の月額平均保険料29歳以下の人の年間平均払込保険料は23.3万円(月額約1.9万円)です。全体平均の38.2万円(月額約3.2万円)と比べると、大きく下回ります。20代は30代以降と比べて家庭を持つ人の割合が少ない分、備えるべきリスクは少なめであるため、全体平均よりも保険料が低いと考えられます。30代の月額平均保険料30~34歳の年間平均払込保険料は29.8万円(月額約2.5万円)であり、35~39歳は38万円(月額約3.2万円)でした。30代後半になると、前半のころと比べて大きく保険料の平均が上がっています。その理由は、夫婦間で子どもが生まれたり住宅ローンを組んだりして生命保険に入る人や、世帯主に何かあったときに備えて医療保険に入る人がいるからです。40代の月額平均保険料40~44歳の年間平均払込保険料は34.5万円(月額約2.9万円)であり、45~49歳は42.7万円(月額約3.6万円)でした。40代は子どもが高校・大学生になる歳であるため、30代より1人あたりの教育費が高くなる厚生労働省の資料「人口動態統計」の資料によると、30~34歳で出産する人が増加しています。もし30歳で出産すれば、子どもが高校・大学生になるのは親が48~50歳になったころです。最も教育費がかかるのも高校・大学生であるため、40代後半は保険料が30代のころより高くなり、さらに全体平均38.2万円(月額約3.2万円)よりも大きくなっています。50代の月額平均保険料50~54歳の年間平均払込保険料は48.3万円(月額約4万円)であり、55~59歳は45.3万円(月額約3.8万円)です。年代別で平均保険料を見たとき、50~54歳の人が最も高くなります。その理由は、40代のケースと同じく子どもの教育費・進学費に備える人や、年齢を心配してがん保険の加入や医療保険を厚くしたりする人が出てくるためです。60代以降の月額平均保険料60~64歳の年間平均払込保険料は44.5万円(月額約3.7万円)であり、65~69歳は32.1万円(月額約2.7万円)です。70代以降は、全体平均の38.2万円(月額約3.2万円)を下回っています。65歳以降から平均保険料が下がっているのは、定年退職して現役時よりも保険料の支出が困難になったことと、今までの貯蓄があることが理由です。年代が異なるだけで平均保険料に2倍近くの差がある年代別で生命保険の年間平均払込保険料を見ると、50~54歳の人が最も多く、48.3万円(月額約4万円)でした。次いで55~59歳の45.3万円(月額約3.8万円)、60~64歳の43.9万円(月額3.7万円)です。一方で、最も少ないのは90歳以上の23.6万円(月額約2万)、次いで29歳以下の23.3万円(月額約1.9万円)です。最も多い額と少ない額で2倍近くの差があることが分かります。平均保険料に差が出る理由は、年代ごとに備えるべきリスクが異なるため年代ごとに備えるリスクは異なります。そのため、年間平均払込保険料には年代により差が生じるのです。例えば保険料が高めな50代は、子どもの教育費だけではなく、自身の健康に対するリスクに備えるための保険に加入します。一方で保険料が低めな29歳以下は、ほかの年代と比べて家庭を持っている人は少ないため、備えるべきリスクは少なめです。このように年代による特徴は、支払保険料に影響します。年収で見る生命保険料の月額平均は?次は年収による生命保険料の平均額です。平均年間支払保険料が最も少ないのは、年収200万円未満の人で21万円(月額約1.8万円)でした。一方で、最も多いのは年収1,000万円の人で、61万円(月額約6.1万円)です。年収が上がるにつれて、保険料も上がる図表と見ると、年収が上がるにつれて、平均年間支払保険料も上がっていることがわかります。最も少ない年収200万円未満の人の保険料と、最も多い年収1,000万円未満の人の保険料の差は約3倍です。年収に占める保険料の割合は、年収の低い人の方が高い下の図表を見ると、年収に占める保険料の割合は、年収200万円未満の人が最も高めです。年収200万円未満の人は、年収の12%を保険料に充てています。例えば年収180万円の人なら、年間21.6万円(月額約1.9万円)です。年収の低い人ほどリスクヘッジが必要その理由は、年収の低い人ほどリスクヘッジが必要であるからです。保険とは、貯蓄だけで対応することが困難な事態に備える手段です。例えば病気で入院して高額な医療費が必要になった場合、年収の高い人なら貯蓄で対応できますが、年収の低い人は困難である可能性があります。このように、いざというときに対応するために、年収の低い人はリスクに備えておく必要があるのです。就労形態で見る生命保険料の月額平均は?続いては就労形態による生命保険料の月額平均です。下の図表では、保険加入者が以下の3パターンに分けられており、それぞれの平均年間支払保険料は次のとおりです。夫就労・妻無職35.9万円(月額約3万円)共働き(妻はパート・派遣)37.5万円(月額約3.2万円)共働き(妻はフルタイム)55.8万円(月額約4.7万円)収入が多い共働き世帯の保険料が最も高いこの中で最も平均保険料が高いパターンは、共働き(妻はフルタイム)です。収入が上がるほど支出できる保険料も上がります。一方で、夫就労・妻無職のパターンは最も平均保険料が低くなっていますが、年収に占める保険料の割合は最も高いと考えられます。その理由は、共働き世帯に比べて貯蓄が少ない分、いざというときのリスクを保険で備える必要があるためです。年齢ごとに見ると50代共働き世帯の保険料がピーク30代から60代までを比較すると、30代から50代にかけて平均保険料は上がり、60代になると下がることが分かります。夫が正社員ではない場合の保険料は?夫が自営業やフリーランスなどの会社員ではない場合、年収の低い人の保険料は平均より少なく、年収に占める割合は高いと考えられます。また、年齢によって保険料も上がるため、30代から50代にかけて年間平均支払保険料は上がり、60代には下がるでしょう。子どもがおらず夫婦だけの2人世帯の場合は、最低限の保険だけのほうが合理的であるため、全体平均よりも保険料は下がります。保険料の適性額を決めるポイント2つここまで保険料の平均額をさまざまな視点で見てきました。平均額を参考に、保険料の適性額の決め方をお伝えします。適性額を決めるときは、以下のことを意識しましょう。どんなリスクに備えたいかいざというときにどれほどの保険金を受け取りたいかそれぞれ説明します。[adsense_middle]ポイント①備えるべきリスクを明確にする保険料の適正額を決める1つ目のポイントは、自分がどんなリスクに備えたいかを明確にしておくことです。何をリスクと捉えるかは年代や収入、本人の価値観などによって異なります。例えば、自分がケガ・入院・死亡などしたとき、誰がどのように困るのかを考えることがオススメです。具体例を用いて説明します。事例1以下のような事例を検討します。家族構成:夫(会社員、月収30万円)、妻(自営業、月収15万円)毎月の生活費:25万円貯金:180万円ある日、夫が病気になって入院し、しばらく自宅療養することになりました。入院・手術の医療費は高額療養費制度で負担を軽減。加えて、働けない間は傷病手当金で、夫の収入の約2/3(約23万円)を受け取ります。このとき考えられるリスクと、リスクに備える方法を検討してみましょう。考えられるリスクについてこの事例を見ると、貯金や生活費を切り詰めれば生活していくことは可能であるように感じます。しかし、もしこの夫婦が住宅購入のために毎月一定額を貯金していた場合は、将来設計に支障が出るでしょう。もしくは、夫の看病のために妻が仕事をする時間を減らした場合は、生活に支障がでる可能性もあります。そのため、考えられるリスクは生活費と将来への備えが不足することです。リスクにどう備えるかこの事例でリスク回避するための保険の例を紹介します。医療保険就業不能保険医療保険は入院日数に応じた給付金や、手術を受けた場合に一時金がもらえます。就業不能保険は働けなくなったときに保険金を受け取れます。しかし保険が必要なのは、この事例をリスクと捉える人のみです。もし多くの貯金があったり、生活費が少ない人にとっては、この事例をリスクと判断しないでしょう。その場合、保険は不必要です。事例2次に、以下のような事例を検討します。家族構成:夫(会社員、月収35万円)、妻(パート、月収10万円)、子ども(1歳半)毎月の生活費:35万円貯金:475万円ある日、夫が事故で亡くなったとします。このときに考えられるリスクと、リスクに備える方法を検討してみましょう。考えられるリスクについて夫が事故で亡くなれば、主な収入がなくなるため、家計が厳しくなります。子どもはまだ1歳半であり、就学修了まで教育費・進学費が必要になるでしょう。そのため、生活費・教育費などの不足がリスクとなってきます。一方で、もし住宅ローンなどを組んでいて団体信用生命保険などに加入していれば、ローンの返済義務はなくなります。そのため、住宅ローンはリスクにはなりません。リスクにどう備えるかこの事例でリスク回避するための保険の例を紹介します。定期保険収入保障保険いずれも、保険金を受け取るのは家族が死亡ないしは高度障害になったときです。定期保険の場合は保険金給付が毎月一定額で、収入保障保険の場合は何千万円といった額の保険金を一括で受け取ります。もしも、夫婦のいずれかの親族が裕福であり、夫が亡くなった後に定期的な支援が期待できる場合などは、保険の加入でリスクに備える必要はありません。リスクを明確にする目的は、人によってリスクの許容度が異なるため人によってリスクの許容度は異なります。例えば世帯主が病気・ケガなどしても、十分な貯蓄があれば生活費が不足することもありません。一方で、貯蓄が少ない人は、生活費をカバーする目的で保険に入る必要があります。このように、人によってリスクの許容度には差があるため、何をリスクと感じるのかを明確にしなくてはなりません。ポイント②いざというときに必要な保険金額を決める保険料の適正額を決める2つ目のポイントは、いざというときに受け取りたい保険金を決めておくことです。先ほどの事例をもとに必要な保険料を考えてみましょう。事例1事例1では、夫が病気になって入院した世帯を例に取り上げました。入院時に保険で受け取れる入院給付金は1万円、1.5万円などと選択できます。貯金が十分ではなく、夫に何かあったときの生活費が不安だという方は、給付金額を多めに設定しましょう。事例2事例2では、夫が事故で亡くなった世帯を例に取り上げました。夫が亡くなった場合の支出と収入を考えてみます。収入額だけで支出額がカバーできなくなった分を、生命保険金で補う形にすれば、毎月の保険料が自ずと決まります。いざというときの収支バランスを考え、不足分を保険金で補おう必要な保険金を決めるときは、いざというときの支出に対して、いくら収入が不足しているかを考えましょう。収支バランスを考えて、補うべき不足分を保険金でカバーすればよいのです。あとはその保険金を受け取るために、いくら保険料を払えばよいのかを明確にします。保険料の総額が家計を圧迫しないよう注意!保険料の適正額を決めるときは、保険料の総額が家庭を圧迫しないように注意しましょう。あくまでも保険は、リスクを回避するために入るもの。保険料のために家計が圧迫されては本末転倒です。そのようなことがないように、注意する必要があります。年間の保険料が家庭にとって負担ではないかどうか年間の保険料総額が家庭の負担にならないようにします。保険料を払いすぎていないかどうか確認するには、自身の年齢・年収などの平均を参考にするとよいでしょう。毎月の掛け金の設定に無理はないかどうか年間総額だけではなく、毎月の掛け金が大きすぎないかどうかも意識しましょう。生命保険料の平均と保険料の適正額に関するまとめ生命保険料の月額平均額は約3万2千円です。しかし保険料の額は世帯・年代・年収・就労形態によって変わるので、あくまで参考程度と捉えましょう。適正額を決めるためには、自分にとってのリスクを明確にしたり、いざというときに必要な金額を把握したりするなどのポイントがあります。ポイントを押さえて、自分に合った保険料を設定しましょう。
2020年07月01日家の購入を考えている人のほとんどは、自分が住宅ローンに通るのか不安に思っているのではないでしょうか。住宅ローンの審査項目には年収や属性、個人信用情報がありますが、自信のある方でもひょんなことを理由に審査に落ちてしまうこともあります。本記事では、こうした住宅ローンの審査項目について解説するとともに、審査に通りやすい金融機関のご紹介や、万が一審査に落ちてしまったときの対応についてお伝えしていきたいと思います。住宅ローンの融資の審査項目とは住宅ローンの融資を受けるには金融機関の審査をパスする必要がありますが、住宅ローン審査ではどのような点が見られるのでしょうか?住宅ローンの審査は多岐に渡りますし、金融機関によって若干の違いがあることもありますが、一般的には以下のような点を重点的にチェックされます。年収属性個人信用情報なお、住宅ローンの審査には仮審査と本審査がありますが、その両方において上記審査項目は重要視されやすいです。それぞれ見ていきましょう。年収住宅ローンの返済は、借入する人の収入からなされるため、年収がどのくらいあるかによって住宅ローンを融資していいのかが判断されます。なお、ここでいう年収とは税金や社会保険料を差し引かれる前の総支給額のことで、審査時には勤め先の会社から発行される源泉徴収票や役所で取得できる所得証明書などを提出する必要があります。年収がいくらあれば審査で有利になりやすいかは金融機関によって異なります。年収100万円以上あることを条件としていたり、中には暗黙のルールで年収400万円や500万円ないと審査に通らなかったりといった金融機関もあります。基本的には、年収が高ければ高い程審査に通りやすくなります。属性属性とは、勤め先の企業の財務状況などを見られるほか、「一部上場の会社員」なのか「中小企業の会社員」なのか、もしくは「公務員」「医者などの資格職」なのかといったことが見られます。一般的に、公務員や医者など難関資格の資格職の方は属性を高く評価されます。公務員の場合、よほどのことがない限り職を失うことがないため、安定してローンを支払っていけると判断されます。また、医者などの資格職の方は、仮に今の職場を辞めたとしても、次の職場で同じ内容の仕事をして、また同程度の収入を得られる可能性が高いため、高く評価されるのです。会社員の場合はどんなところに勤めているかが見られるほか、自営業の方の場合は不安定な仕事として低い評価となってしまいやすいです。なお、自営業や中小企業の社長や取締役といった方の場合、地方銀行や信用金庫など、中小企業や自営業者を中心に融資を行う金融機関のほうが審査に通りやすくなります。個人信用情報個人信用情報とは、過去に延滞や滞納をしていないかを確認できる情報のことで、「全銀協」や「CIC」、「JICC」といった個人信用情報機関のデータを見られることになります。基本的に、過去に延滞や滞納歴がある場合には、それがたとえ1回きりかつ理由があるような場合でも、住宅ローンの審査には非常に悪い影響が及びます。問答無用で否決となってしまうことも珍しくありません。過去に延滞や滞納をした経験がある方は、審査時にそのことを隠したとしても、個人信用情報を見られてしまえばすぐに分かってしまいます。思い当たりのある方は、自分で上記の機関に開示依頼書を提出することで、個人信用情報を見ることもできます。金融機関によっては、年収や属性がいい場合には、1度くらいの延滞であれば融資をしてくれる可能性もあります。まずは相談してみるとよいでしょう。その他の審査項目上記以外にも、さまざまなことが審査されます。例えば、対象の物件の築年数や土地の評価額なども審査対象となります。仮に、借入人が住宅ローンを滞納した場合には、金融機関は対象の住宅を差し押さえ、競売にかけて残債を回収するため、土地や建物の評価額が低いと融資できないと判断されることもあるのです。年収や属性、個人信用情報と比べると重要度が低いことも少なくありませんが、審査時にはこうしたことが総合的に判断されて審査結果が出ます。[adsense_middle]審査金利と返済負担率を押さえておこう住宅ローン審査時には借入人の年収が見られますが、年収によっては「条件付き承認」といったこともあります。例えば、「3,000万円で審査申込した結果が、2,500万円の条件付き承認だった」ということもあるのです。こうした、住宅ローンの借入額については、金融機関が個別に設定する審査金利と返済負担率を知っておくと便利です。返済負担率とは返済負担率とは、「住宅ローンやその他ローンを含めた返済額が、年収の内何割を占めるか」を示すものです。例えば、年収400万円の方が、住宅ローンで毎月8万円、自動車ローンで毎月2万円支払っている場合の返済負担率は以下のように計算されます。{(8万円/月+2万円/月)×12カ月}÷400万円×100(%)=30%住宅ローン審査時には、金融機関ごとに設定された返済負担率の上限を超えていないかが見られます。基本的には、返済負担率を超える額の借入はできません。住宅ローンの支払いだけでなく、自動車ローンなどそのほかのローンも含むことに注意が必要です。特に大学入学時に借りた奨学金などが住宅ローン審査に響くようなケースは少なくありません。なお、住宅ローン以外のローンについては、住宅ローン借入時に完済できるのであれば、その分を差し引いて返済負担率を計算することも可能です。例:先ほどの例で、毎月2万円の自動車ローンを借入時に完済する場合(8万円/月×12カ月)÷400万円×100(%)=24%先述の通り、返済負担率の上限は金融機関ごとに異なりますが、例えば、住宅金融支援機構のフラット35の場合、以下のように設定されています。つまり、先程計算した2例についてフラット35で借入する場合、年収が400万円あるため、返済負担率の上限は35%となり、いずれも返済負担率の条件を満たすことになります。審査金利とは返済負担率の計算では住宅ローンの毎月返済額を用いますが、この毎月返済額の計算は、実際の借入金利ではなく審査金利と呼ばれる金利が利用されます。審査金利は金融機関によって異なりますが、3%程度に設定されていることが多いです。例えば、3,000万円を借入期間35年で借りるにあたり、借入金利1%で計算するとその返済額はおおよそ8.5万円/月となりますが、仮に審査金利が3%の金融機関であれば、審査上の毎月返済額は毎月おおよそ11.5万円/月となってしまいます。この通り、審査金利を高く設定されている金融機関だと、年収に対して十分な融資可能額の提示を受けにくくなってしまう点に注意が必要です。なお、住宅金融支援機構のフラット35の場合、審査金利は借入金利と同じ金利とされており、これゆえ年収に対して高額の借入をしやすくなっています。住宅ローンに通りやすいおすすめ金融機関ランキング住宅ローンの審査に通るか不安であれば、最初から審査に通りやすい金融機関を選ぶとよいでしょう。ここでは、住宅ローンに通りやすい金融機関と住宅ローンを3つご紹介していきます。第1位:(審査が甘い)ARUHI住宅ローン「フラット35」ARUHIは住宅ローン専門の金融機関で、特にフラット35の取扱いが多いです。フラット35はネット銀行から都市銀行、地方銀行までさまざまな金融機関で利用できますが、ARUHIの場合は自己資金が一定額以上ある場合に低い金利で借りられる制度があるなど、ほかの金融機関より充実した内容となっています。また、一般的な金融機関では、融資担当者は住宅ローン以外にも法人融資やそのほかの業務で忙しい中、住宅ローンの融資に取り組むこともあり、場合によっては担当者に知識や経験が不足していることもあります。一方、ARUHIの場合は住宅ローン専門の金融機関のため、スタッフは住宅ローンに関する知識が豊富で、条件が厳しい場合でも審査に通るためのアドバイスをもらえたり、積極的に取り組んでもらえたりといったメリットがあります。第2位:(審査が緩い傾向)楽天銀行住宅ローン「フラット35」楽天銀行は店舗を持たないネットバンクで、こちらもフラット35の取扱い実績が豊富です。フラット35は住宅金融支援機構の提供するローンであり、金融機関は事務手続きのみを行うという性質上、事務手数料が高く設定されていますが、楽天銀行はネットバンクということもあり、事務手数料は低く設定されています。本記事で解説したとおり、フラット35は審査金利の問題などからほかの金融機関と比べ、年収に対して高い融資額の承認を得やすいという特徴があります。第3位:(借りやすい)ジャパンネット銀行「住宅ローン」ジャパンネット銀行は楽天銀行と同じくネットバンクですが、こちらはフラット35ではなく変動金利や10年固定金利などが人気です。ネットバンクということもあって審査時の申込をスムーズにすることができ、かつ2019年7月末にできたばかりの住宅ローンサービスということもあり、積極的に融資を実施しています。審査に通りやすいこと以外にも、業界最低水準の金利設定や団信の補償内容が豊富であることなど、魅力的な商品となっています。[adsense_middle]住宅ローン審査に落ちたときの対応いざ住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、もう住宅を購入することは諦めないといけないのでしょうか?ここでは、住宅ローン審査に落ちたときの対応についてお伝えしていきたいと思います。別の金融機関で承認を得られることもある実は、ある金融機関で落ちたとしても別の金融機関で承認を得られるということは珍しいことではありません。これは、金融機関ごとに審査基準が異なるからです。一般的には審査基準が緩いといわれている金融機関の住宅ローン審査は否決となったのにも関わらず、その逆に、一般的に審査基準が厳しいといわれている金融機関の住宅ローン審査で承認を得られるといったこともあります。1つの金融機関で否決となったからといって諦めることなく、なぜ審査で承認を得られなくなったかを分析し、審査の承認を得られる金融機関を探すようにするとよいでしょう。年収を上げてから再挑戦する複数の金融機関で審査を申し込んでみたものの、全て審査が否決となってしまうようなケースもあります。こうしたケースでは、なぜ否決となったかの原因を分析して再挑戦するとよいでしょう。例えば、年収が原因で否決となったのであれば、年収を上げることを考えてみましょう。「転職して年収を上げる」ことはそう簡単なことではありませんが、有効な解決策ではあります。そのほか、例えば営業職など業績によって給与が異なる職種の方は、高い年収を得られた年に審査申込することで承認を得られる可能性が高まるでしょう(ただし、年毎の年収の変動が大きい場合には複数年の平均を取るなどの処置が取られることもあります)。また、ご両親と親子リレーローンを組んだり、配偶者の方に連帯債務者になってもらったりして収入を合算する方法もあります。仮に夫が年収400万円、妻が年収200万円だった場合、合算すると600万円になります。個人信用情報をきれいにしてから再挑戦する個人信用情報が原因で否決となった場合には、基本的にほかの金融機関に審査申込しても審査で承認を得ることは難しいでしょう。こうした場合には、個人信用情報上の延滞や滞納のデータが消えるのを待ってから再度挑戦するという方法があります。例えば、自己破産した場合でも5年~10年経過すれば個人信用情報上のデータは削除されます。データがなくなってから住宅ローンの審査を提出したら、特に問題なく審査の承認を得られたという方は少なくありません。また、個人信用情報にキズがある方の場合、配偶者やそのご両親を頼るといった方法もあります。例えば、夫の個人信用情報に滞納歴があるようなケースで、妻の年収が200万円、妻のお父様の年収が400万円あるようなケースでは、親子リレーローンを組んで年収600万円として審査に出すことができます。とはいえ、この場合、妻のご両親に夫の個人信用情報にキズがあることが伝わるといったことや、家の所有権を夫が持てないといったことに注意したうえで慎重に進める必要があるでしょう。通りやすい住宅ローンに関するまとめ住宅ローン審査について審査項目など基本的な内容をお伝えするとともに、通りやすい金融機関ベスト3をご紹介しました。住宅ローンの審査においては、フラット35が審査金利などの問題から借りやすいです。また、通りやすいといわれる金融機関の審査で否決となってしまった場合でも、別の金融機関で通ることもあるため、諦めずに再挑戦してみるとよいでしょう。住宅ローンの審査に通るか不安という方は本記事の内容を参考にされてみてください。
2020年06月29日緊急事態宣言が5月25日解除されしばらく経ちましたが、地域やご家庭によってコロナ以前の状況に近い方もいらっしゃる一方、状況が緊急事態宣言解除前とあまり変わらない方もいらっしゃると思います。今回は状況別の家計についての考え方と第2波に備える点をお伝えします。 家計がコロナ以前と比べて厳しくなった場合に取り組むこと家計が厳しくなることは、大きく分けると、収入が減った場合と支出が増えた場合に起こります。収入が減った場合と支出が増えた場合に主に取り組むことは以下のとおりです。 【1】収入が減った場合に取り組むこと①当面の生活費の貸付または給付の相談を社会福祉協議会等に相談する。②電気・ガス・水道・通信料金・住宅ローン等の支払猶予を各事業所に申請する。③税金、社会保険料の支払猶予を自治体、税務署、年金事務所等に相談する。④固定費(光熱費・通信費等のプラン変更、生命保険・月額料金等の掛かるサービスの見直し等)が削減できないか確認する。⑤不用品の売却やストックの多い食品や日用品の在庫調整をする。⑥失業の場合は、雇用保険(いわゆる失業保険)の申請と就職活動を検討する。⑦個人事業主・フリーランスの場合は、持続化給付金の申請や特別貸付(日本政策金融公庫、各金融機関等)を検討する。 【2】支出が増えた場合①一過性の場合は、特別定額給付金や貯蓄等を充て、早いうちにコロナ以前の収支になるよう調整する②収支が赤字で、継続しそうな場合は固定費の削減や不用品の売却を検討する。③食費、日用品、お小遣い等の固定費以外の支出を見直す。家計がコロナ以前と変わらない場合でも取り組むこと現時点では家計の収支が変わらない場合やほとんど変わらない場合は、貸付や支払猶予は検討しなくても良いのですが、固定費の削減や日々の節約はできることから始める機会にされると良いでしょう。コロナ以前の経済活動に戻るまでしばらくかかる可能性が高いため、手持ちの現金・貯金は多めに持っておくことに越したことはありません。特別定額給付金も本来の目的は、新型コロナウイルス感染症に対する家計への支援ですので、欲しいものを買うというよりは、家計の赤字や支出の補填や第2波に備えるための資金とされることをおすすめします。 第2波やコロナ克服前に備えること緊急事態宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスそのものが無くなったわけではありません。専門家や各報道が感染拡大の第2波の懸念もありますので、新型コロナウイルスの影響がワクチンや治療薬の登場で終息するまでは、支出はなるべく少なめにすることをお勧めします。上記でもお伝えしましたが、手持ちの現金・貯金はなるべく多い方が、経済や家計の落ち込みには有効です。なお、マスクや消毒用アルコール、手洗い用のハンドソープ等は地域によっては、販売しているところも増えてきました。買い占める必要はありませんが、緊急事態宣言中には購入も難しかったので、ある程度のストックはしておきましょう。 新型コロナウイルス感染症の経済的影響は、ワクチンや治療薬が登場して克服できたとしても、しばらくは続きます。働き方や家計は今までと異なる方も少なくないかもしれません。そのためにも家計をできるだけ工夫して今後に備えましょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年06月25日こんにちは、婚活FP山本です。意外に知らない人もいるのですが、実は医療費の支払いには「限度額」があります。知らない人は病気やケガとは無縁の人生を歩んでいるでしょうが、病気やケガは誰がいつなっても不思議はありません。誰かが教えてくれるとは限りませんから、自分でも相応に正しく知っておくことが大切です。そこで今回は、医療費の限度額である高額療養費制度について詳しくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。医療費の自己負担額には一応の限度額がある!まずは、医療費の限度額についての基本をお伝えします。結論からいえば、医療費の自己負担額には「一応の」限度額があるのが実情です。「一応の」というのは、この限度額とは後述する健康保険などの「高額療養費制度」が使える範囲に限っての話という意味合いになります。簡単にいえば、「保険の対象にならない費用」については青天井で必要です。とはいえ、保険の対象にさえなれば限度額がありますから、かなり嬉しい制度といえます。高額な医療費が気になって病院へ行くことを控えていた方には、ぜひ利用してほしい制度です。ただし、医者によっては「あえて保険適用外の治療や手術」を勧めてくることもあります。その意図はさまざまですが、経済的に厳しい場合は、その旨を伝えて保険適用の範囲で治療してもらいましょう。自動的には免除されず、社会保険上の手続きが必要!たとえ限度額を超える医療費が発生したとしても、差額が自動的に減額・免除されるわけではありません。差額を減額・免除してほしい場合は、社会保険上の手続きが必要です。このような制度があることを知らなかった方は、それだけ損をすることになります。本当に今は、「知っているか否か」で大きく違ってくる時代です。限度額を超えるほどの大金であれば、なおさらといえます。まずはしっかりと、このような制度があるということを知っておきましょう。医療費の限度額とは「高額療養費制度」のこと!次に、医療費の限度額である「高額療養費制度」についてお伝えします。細かくは健康保険と国民健康保険で少し違いますが、理屈はほぼ同じです。健康保険の場合は、以下の表で計算した金額が「自己負担限度額」になり、差額についてはあとで戻ってくることになります。なお、総医療費とは「保険適用される診察費用の10割総額」のことです。そして上記の表からも分かる通り、おおむね医療費の限度額とは「25万円少々」になり、収入が少ないほどに限度額もさらに小さくなります。この限度額を見ても「十分に高い」と感じる方もいるかもしれませんが、制度がなければ青天井で医療費が必要なのですから、嬉しいはずです。医療費が高額な場合は、ぜひ高額療養費制度を活用していきましょう。上限金額を超えた部分は手続きすれば戻ってくるあくまで高額療養費制度そのものは、「自己負担限度額を超えて支払った医療費を、あとで清算する」という制度になります。つまり、病院での窓口では普通に全額を支払うことが必要です。そして、上限金額を超えた部分は手続きすれば戻ってくることになります。この制度だけでは、結局は大金を動かす必要があるという点には注意が必要です。貯金がなくて大金を動かせない……という方は、並行的に後述するさらなる制度の活用をしていきましょう。申請方法は健康保険組合や役所に申請書を送るだけ今度は、高額療養費制度の申請方法についてお伝えします。この申請方法は実に簡単で、健康保険組合や役所に「高額療養費支給申請書」を送るだけです。なお、基本的に「年収区分や本人を確認できる書類(時には病院の領収書も)」も合わせて添付することになります。たったこれだけで、限度額を超えた医療費が返ってくるのが高額療養費制度です。強いていえば、高額療養費は「診察を受けた月の翌月の初日から2年」で時効になります。この制度を知っていれば2年も放置することはないでしょうが、一応の注意は必要です。また逆にいえば、過去2年以内に制度の対象になるような医療費を支払ったことがあれば、今から申請することもできます。ちょっと過去を思い返してみましょう。申請してから3ヶ月程度もかかる点がネック高額療養費制度のネックは、「申請してから支払いまで3ヶ月程度もかかる」という点です。最終的には戻ってくるのですから嬉しい限りではありますが、中には「そんなに待てない」という方もいるかもしれませんね。別の急な支払いが発生することも往々にしてあります。そのような場合は、後述する「高額療養費貸付制度」が使えるかもしれません。ひとまず、このような時間への感覚を持って、高額療養費制度を使っていきましょう。「高額療養費貸付制度」なら8割相当を無利子で借りられる今度は、先ほど触れた「高額療養費貸付制度」についてお伝えします。すでにお伝えした通り、高額療養費制度は極めて嬉しい制度ではあるものの、「支払いまでに3ヶ月程度もかかる」という点がネックです。このネックを穴埋めするためにあるのが、高額療養費貸付制度になります。この高額療養費貸付制度とは、高額療養費の支給見込み額の8割相当を無利子で借りられる制度です。利子がいらない訳ですから、実質的に「お金を受け取れる時期を早められる」といえます。ただし、この制度も利用するには別の申込書が必要ですし、振り込みに2~3週間はかかる点には注意が必要です。また、返済は高額療養費との相殺になりますが、高額療養費のほうが少ない場合は差額を返納しなければなりません。ちょっと注意も必要ですが、必要に応じて利用してみましょう。特に入院・手術をするときには健康保険組合に確認しておこう一般的に、高額な医療費が必要になるのは「入院や手術をするとき」です。一方で、健康保険組合などは組織によって少しずつ違いがあります。「高額療養費制度がない」などの大掛かりな違いはないでしょうが、それでもあとで「想像と違った」となれば大変です。このため特に入院や手術をするときには、事前に健康保険組合などに確認をしておいたほうが無難といえます。後述する「限度額適用認定証」の件もあるのでなおさらです。ぜひ賢く立ち回りましょう。[adsense_middle]合わせて知っておきたい「限度額適用認定証」とは?ここからは、高額療養費制度に関係する補足情報についてお伝えします。まずは、「限度額適用認定証」についてです。高額療養費制度は、「あとで清算する」という制度なので、一旦は大金が必要という点がネックでした。この点を解消するのが限度額適用認定証です。この限度額適用認定証とは、簡単にいえば「病院での支払いそのものが高額療養費制度の限度額までになる」というものになります。つまり、一旦は必要だった大金が不要になるという証書です。貯金が乏しいという方には、極めて嬉しい証書といえるのではないでしょうか。この認定証を手に入れる方法は、高額療養費制度の申請と同じく、健康保険組合や役所に「限度額適用認定申請書」を送るだけです。ただし、すでに支払った医療費には適用できません。入院や手術を受ける前に余裕を持って、この限度額適用認定証を手に入れましょう。窓口で保険証と一緒に提出するだけ!限度額適用認定証の使い方は、病院の窓口で保険証と一緒に提出するだけです。これだけで、あとは病院のほうで限度額以内の支払いになるよう計算してくれます。またこの認定証を使った場合は、すでに限度額以上の支払いがなくなった訳ですから、高額療養費の申請も不要です。強いて言えば、「病院側がこの認定証の存在を知らない」という可能性があります。そのような場合は事情を説明しつつ、健康保険組合などに確認の連絡をしてもらい、対処してもらいましょう。自己負担額は個人単位のほか世帯合算もでき、多数該当もある次に、高額療養費制度の応用についてお伝えします。そもそも高額療養費制度上の療養費とは、「同一月」の医療費の総額です。この医療費の総額というのは、一人暮らしの方なら個人単位になりますが、家族がいる場合は世帯で合算して計算することもできます。ただし、70歳未満の方の合算できる医療費は、2万1000円以上のものだけです。また高額療養費制度には、「多数該当」という制度も用意されています。これは診察を受けた月以前の一年間に、3回以上の高額療養費を受けた場合、4回目からはさらに自己負担限度額が下がるという制度です。病気がちな人にとっては、実に嬉しい朗報ではないでしょうか。ちなみに多数該当は、先ほどの限度額適用認定証を使って限度額を負担した場合もカウントされます。それほど病院に行くようなケースは避けたいところですが、行かなければならなくなったら、せめて医療費については抑えられるよう努めていきましょう。健康保険と国民健康保険で少し違うが、どちらでも使える高額療養費制度は、健康保険にも国民健康保険にもある制度です。限度額適用認定証や多数該当なども同様になります。自己負担限度額の計算式もほぼ同じですが、「被保険者の所得区分」が少し違う点には注意が必要です。一方で、どちらにも高額療養費制度はあるからこそ、利用できるときはしっかり利用することが大切といえます。長い人生、ほかのことにもお金は必要です。使えるときは、ありがたく制度を使わせてもらいましょう。ついでに知っておきたい「高額介護合算療養費」とは?今度は、高額療養費制度と似て非なる「高額介護合算療養費制度」についてお伝えします。高額介護合算療養費制度とは、簡単にいえば「医療保険とともに介護保険も使っている場合の自己負担限度額を定めた制度」です。要件に当てはまれば、高額療養費制度と同じくあとで費用が返ってきます。なお、その肝心の要件とは健康保険なら以下のとおりです。医療費用と介護費用を合算した自己負担額が以下の限度額より高ければ、差額をあとで清算してもらえます。ただし、高額療養費制度とは違って「年額で」です。上記の自己負担額とは、高額療養費制度や何らかの助成制度で給付を受けた場合、それらを差し引いて計算します。正味の自己負担額が世帯として苦しいときには、ぜひ利用しましょう。比較的新しい制度なので知らない人も多いかもこの高額介護合算療養費制度で計算する一年とは、基本的に「8月1日から翌7月31日」です。またこの制度は、平成18年の制度改定で始まったので、比較的新しい制度といえます。もしかしたら、知らずに使っていない方も相応にいるかもしれません。高額療養費制度と同じく、自動的に限度額が適用されるわけではないからこそ、しっかり知ったうえでの手続きが必要です。使えそうな方は、まずは健康保険組合などに相談してみましょう。[adsense_middle]保険料を滞納している方は、それも含めて相談しよう最後に、国民健康保険について大切なことをお伝えします。会社員が加入する健康保険なら、加入も保険料の納付も強制です。しかし国民健康保険の場合、厚生労働省の2018年度調査によると、実に対象世帯の約15%、約269万もの世帯が保険料を滞納しています。保険料を滞納したままでは、高額療養費制度が使えないどころか、10割負担になるかもしれません。一般的に保険料を滞納する人は、非正規労働などで保険料を支払うのが困難なことが多いですが、だからといって支払わないと最終的に困るのは自分自身です。どうしても保険料を支払うのが困難だったり、保険料を滞納したりしている人は、高額療養費制度と同じく「まずは相談する」ことが大切といえます。救済制度がある可能性もありますから、しっかり自発的に動きましょう。「何もしない人」が一番損をする社会!高額療養費制度もそうですが、知らなければ使えません。そして知るためには、自分で調べたり、誰かに相談したりする必要があります。今は、「何もしない人」が一番損をする社会です。自発的な行動は、この情報化社会に必須といえます。お金がなければ生活できませんが、お金を稼ぐ労働には「健康」が必要です。その健康を維持するための「国民健康保険」の維持にも、今後は気を使いましょう。医療費の限度額は「教えてもらえるとは限らない」日本は国民皆保険制度があり、そして医療費の自己負担も高額療養費制度によって限度額があります。ただし、自動的に限度額に抑えてもらえるわけではなく、病院などから教えてもらえるとも限りません。知っているか否かだけで大違いですから、ぜひこの機に高額療養費制度のことを知っておきましょう。
2020年06月25日「新たな年金改革法が成立し、’22年の4月からは段階的に制度が変わっていきます。年金を損なく受け取るには、これまで以上に働き方や受給開始のタイミングが重要となるでしょう」こう語るのは“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。パート主婦が注目すべき改革の内容はおもに2つあるという。1つ目は、パートを代表とする短時間労働者の厚生年金適用拡大だ。「これまでの厚生年金の加入条件は、労働時間が週20時間以上、月収8万8,000円(年収106万円)以上、企業規模が従業員501人以上などでしたが、段階的に企業規模の条件を緩めることになりました」具体的には、’22年10月に従業員数101人以上に、’24年10月には従業員数51人以上に緩和される予定。最終的に、約65万人が新たに加入するようになると、社会保障審議会は試算している。加入で、まず大きな影響を受けるのは、パートの手取り額だ。「月収8万8,000円だと、新たに厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料がかかるようになり、概算ですが、手取りは月1万3,000円ほど減ります」こう聞くと減収ばかりに目がいってしまう。ただ、北村さんはメリットも考慮すべきだと語る。「将来、老齢基礎年金に厚生年金を上乗せできるのです。公的年金の特徴は亡くなるまでもらえること。“長生きリスク”を考慮すると、もらえる年金額を増やすことは重要です」上乗せされる厚生年金の目安は、北村式計算法によると《年収の百万の位の数字×5,500円×勤続年数》。たとえば、55歳のパート主婦が10年間、年収106万円で働いたとすると、《1.06×5,500円×10年》で、年間5万8,300円が、生涯にわたって上乗せされる計算になる。もうひとつ今回の改革で注目すべき点は、年金受給を開始する年齢の選択肢が増えたこと。「受給開始年齢は通常65歳ですが、現状でも最大で5年、開始時期を繰り上げ(早め)たり、繰り下げ(遅め)たりできます。繰り下げた場合、1カ月ごとに年金は0.7%増額(最低1年以上繰り下げなければならない)。最大で42%増えますが、今回の改革で繰り下げの上限が、’22年4月からは10年となり、最大で84%増額できるようになります」年金を損なく受け取るには、こうした厚生年金による上乗せや繰り下げ受給をうまく活用することが重要になってくる。そこで、10年間、年収106万円のパートを続けた主婦が、平均寿命の87歳で亡くなる場合、何歳で年金を受給し始めると、得するのかをシミュレーションしたーー(ブレイン社会保険労務士法人への取材をもとに編集部が概算。年収は106万円、厚生年金加入期間は10年とし、女性の平均寿命である87歳まで生存すると想定した。年金の内訳は基礎年金が年間78万1,700円、厚生年金の上乗せ額が年間5万8,300円。パート期間中の社会保険料は10年間の厚生年金保険料や健康保険料などの総額である)。【A】厚生年金なし、65歳から受給受給率:100%年金額(年間):78万1,700円87歳までに受け取る総年金額:1719万7,400円パート期間中の社会保険料:0円保険料を引いた総年金額:1,719万7,400円【A】と比較した場合の損益:0円87歳時点での受給年金総額は約1,700万円。このケースを基準にして以降は損得を計算する。【B】厚生年金あり、65歳から受給受給率:100%年金額(年間):84万円87歳までに受け取る総年金額:1,848万円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,689万8,160円【A】と比較した場合の損益:▲29万9,240円厚生年金による上乗せで、【A】に比べて、87歳までにもらう年金総額は約128万円多い。だが、前述のようにパート期間中は社会保険料の支払いが発生。その金額を差し引くと約30万円の赤字に。収支がプラスになるのは93歳以降だ。【C】厚生年金あり、70歳から受給受給率:142%年金額(年間):119万2,800円87歳までに受け取る総年金額:2,027万7,600円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,869万5,760円【A】と比較した場合の損益:149万8,360円繰り下げにより年金額は42%増額。パート期間の各保険料を差し引いても、87歳時点では【A】より約150万円の黒字となり、長生きするほど黒字額は増えていく。【D】厚生年金あり、75歳から受給受給率:184%年金額(年間):154万5,600円87歳までに受け取る総年金額:1854万7,200円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,696万5,360円【A】と比較した場合の損益:▲23万2,040円84%増額されるものの、受け取れる期間は12年と短く、結果的に【A】と比べて約23万円の赤字。翌年の88歳以降からはプラスとなる。「シミュレーションだと改革後は、会社員の夫は65歳から受給し、厚生年金に加入のパート妻は70歳まで繰り下げるのが、ベストでした。今回の制度改革では、“75歳まで繰り下げると84%も増額”が強調されますが、目先の数字に惑わされずに、平均寿命や健康寿命を考慮して年金受給計画を立てましょう」年金財政悪化により次々に改革が打ち出される。柔軟に対応して、損なく年金を受け取ろう。「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月25日会社形態には4種類あるのはご存知でしょうか。最もよく知られているのが株式会社ですが、それ以外にも合同会社、合資会社、合名会社があります。今回は合同会社にフォーカスし、合同会社とは何かについて解説するとともに、設立手続きの流れについて、さらに合同会社を設立するメリット・デメリットを解説していきます。合同会社(LLC:Limited Liability Company)とは?合同会社は2006年の会社法改正により設立できるようになった会社形態のひとつです。合同会社は、会社に出資した人がそのまま経営者になるという特徴を持ち、その点においては「合資会社」や「合名会社」と似た点を持っています。ただし、合同会社の社員(経営者)は合資会社や合名会社と違い、有限責任社員のみで構成されています。つまり、合同会社の社員は、負債を抱えて会社が倒産した際など、自分が出資した金額以上の負債に対して責任を負う必要はありません。合同会社は新しい会社形態であり、まだ認知度も低いと言えますが、昨今その数は徐々に増えつつあります。アマゾン・ジャパン合同会社やアップル・ジャパン合同会社、合同会社西友など名の知れた合同会社が存在するのも事実です。合同会社と株式会社の違い合同会社と株式会社の違いは、「所有」と「経営」が分離されているかという点にあります。つまり、株式会社では出資者(株主)が会社の所有者であり、経営者は出資者(株主)から会社の経営を任された人とされています。株式会社は所有と経営が分離されていて、株式会社の経営者は、株主の意向に沿って経営を行う必要があります。一方、合同会社は出資者がそのまま経営者となり、出資者と経営者は同じ人になります。したがって、合同会社では出資者だけで経営方針や利益配分を決めることができるので、自由度が高い会社経営ができることになります。合同会社の作り方・設立手続きの方法や流れそれでは、合同会社の設立手順について見ていきましょう。(1)合同会社の設立方法・手順作成しなければならない書類や一部の手順が異なりますが、「株式会社」も「合同会社」もおおまかな流れは同じです。会社の基本的事項を決める定款の作成定款の認証(株式会社のみ、合同会社は不要)資本金の払い込み登記申請書類の作成登記申請会社設立後の各種行政などへの手続き①会社の基本的事項を決める会社名(商号)や本店所在地、事業目的、資本金額など会社の根幹となる基本的な事項を決めます。②定款の作成会社を設立するには、定款は必ず作成しなければならない重要書類となります。①で決定した基本的事項を定款記載事項として定款を作成します。定款の作成方法には「用紙」を使った紙媒体による方法と、PDFなどを使う方法(電子定款)との2通りあります。どちらの方法で作成しても構いませんが、紙媒体で作成した場合4万円の印紙代がかかるのに対し、電子定款で作成する場合は印紙代がかかりません。電子媒体で作成したほうが印紙代4万円お得になるかもしれませんが、電子定款は作成に手間がかかるうえ、専用の機器が必要になってくる場合もあり、結果的に紙媒体の場合よりも高くなってしまうこともあります。実際には、何度も作成するものではありませんので、紙媒体による定款を作成する人も多くいるのは確かです。③定款の認証(株式会社のみ、合同会社は不要)合同会社は株式会社よりもスピーディに設立手続きが行われるよう図られています。株式会社の場合は作成した定款について公証人の認証が必要ですが、合同会社は定款の認証は必要ありません。④資本金の払い込みまだ会社設立登記ができていませんので、この段階では合同会社の出資者代表の個人口座に、出資者全員が資本金額に相当する金額を振込みます。⑤登記申請書類の作成会社設立登記を行うため、法務局に提出する書類を作成します。登記申請書、登記すべき事項、定款、印鑑証明書など必要書類を作成します。⑥登記申請法務局(登記所)に⑤の登記申請書類を提出します。その際、登録免許税額として収入印紙(最低額6万円)が必要になります。そして、登記申請書を法務局に提出した日付が会社設立日になりますが、登記手続きが完了するまでは数日~2週間程度かかります。⑦会社設立後の各種行政などへの手続き登記手続きが完了したら、税務署、都道府県税事務所、市町村役場、社会保険関係(年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク)などに必要な手続きを行います。(2)合同会社の設立費用はいくら?合同会社の設立にかかる費用は、株式会社の場合よりも安くなっています。主な費用は以下のとおりです。・定款に貼る収入印紙代4万円(電子定款の場合は不要)・登録免許税が資本金の額に0.7%をかけた金額(資本金に0.7%をかけた金額が6万円に満たない場合は6万円)株式会社設立の際に必要な定款の認証代(約5万円)などは必要ありません。したがって、合同会社の設立費用は電子定款の場合ならば6万円から、そうでなければ10万円から設立することができます。(3)合同会社設立手続きに要する期間合同会社の設立には定款の認証がありません。つまり、その分早く手続きを進められるため、株式会社よりも設立にかかる期間は短くなります。会社設立にかかる期間(登記申請までの期間)の目安は、おおよそ1週間から2週間ではないでしょうか。もちろん、どれだけスムーズに手続きを進められるかにもよるため、3日で済むケースもあれば、1ヶ月近くかかるケースもあるでしょう。会社設立をスムーズに行うためには、事前に必要な手続きを把握しておくことが重要です。しっかり準備を整えてから手続きを行うことで、会社設立までの期間を短くすることができます。また、法務局に登記申請をした日が会社の設立日となりますが、登記が完了するまで1週間から2週間ほどかかります。実際に会社が活動し始めるのは登記が完了してからになることに注意してください。合同会社を設立するメリット・デメリットここからは、合同会社のメリットとデメリットについて、株式会社と比較して見ていきましょう。[adsense_middle](1)合同会社のメリット合同会社設立のメリットとしては、一般的に以下が挙げられます。設立費用を安く抑えられ、スピーディに設立手続きができる出資者全員の合意により、自由に会社運営を行える決算公告をしなくてもよい①設立費用を安く抑えられ、スピーディに設立手続きができる合同会社の大きなメリットとして、株式会社と比較して設立費用を安く抑えることができることが挙げられます。株式会社の設立に際しては、公証役場における「定款の認証」が必要ですが、合同会社の場合は「定款の認証」が不要です。この点において合同会社は設立手続きが簡略化され、スピーディに設立が行えます。また、定款認証にかかる手数料5万円の負担もありません。さらに、登記申請の際の「登録免許税」についても、株式会社の場合は課税額が最低15万円であるのに対し、合同会社では最低6万円と安く抑えられています。②出資者全員の合意により、自由に会社運営を行える株式会社においては、株式という概念が重要な意味を持ちます。株主の持つ株式数に応じた議決権によりすべてが決められるため、経営者が自由に会社の運営方針を決めることはできません。一方、合同会社では株式という概念がないため、出資者全員で会社の運営方針を自由に決めることができ、機動的な意思決定が行えます。③決算公告をしなくてもよい合同会社のメリットとして株式会社とは違い、決算公告をする必要はありません。株式会社は、毎決算において貸借対照表や損益計算書を官報や新聞、インターネットで決算を公表(決算広告)しなければなりません。決算公告を官報や新聞、インターネット上に掲載するには手間も費用がかかります。その手間や費用がかからないという点は合同会社のメリットといえます。ただし、以下の場合においては合同会社であっても官報に公告しなければなりません。資本金の減少吸収合併、吸収分割などの組織再編解散(2)合同会社設立のデメリット合同会社設立のデメリットとしては、一般的に以下が挙げられます。企業として社会的な信用度は低い社員(出資者)の退社によって、事業の継続に支障をきたすおそれがある①企業として社会的な信用度は低い合同会社は2006年の会社法改正で認められた比較的新しい会社形態といえます。したがって、認知度で言えばまだまだ低いといえます。また、設立手続きも簡素化され、簡単に設立できることや、決算公告の必要がないことも信用面では不利になるケースがあるでしょう。②社員(出資者)の退社によって、事業の継続に支障をきたすおそれがある合同会社は社員(出資者)と経営者が同じ人であるため、社員の退職に際して出資額の払い戻しをしなければなりません。社員の退社によって資金が流出(資本金が減少)することが考えられます。また、退社した社員の技術やノウハウが事業の核となっている場合には事業の継続そのものが難しくなる可能性もあります。合同会社設立に向いている人とは?個人事業主が節税を目的に法人化する場合や、許認可が必要な業種などですぐに法人格が必要な場合は、少ない費用でスピーディに設立できる合同会社がおすすめです。自らの技術やノウハウをもって、仲間同士で資金を集め、出資額にかかわらずメンバーそれぞれの得意分野を結集してビジネス展開したいと考える場合にも、合同会社の仕組みが合うでしょう。また、設備投資などに大きな資金を必要としない事業、たとえば、デザイナーやコンサルタントなど無形の技術やノウハウを武器とする事業の場合や、飲食や美容など、自分のブランド力を武器にビジネス展開していく事業など、資金調達や会社の知名度をあまり必要としない場合にも合同会社が向いていると考えられます。合同会社設立は自分で手続きする?専門家に依頼する?会社設立をする際、できるだけ費用を抑えるために自分で手続きするという人もいるでしょう。自力で会社設立を行うことはできます。ただし、会社設立には設立登記や定款認証、資本金の払い込みなど、法律に基づく手続きが必要になります。 法律の知識に乏しい人にとって、会社設立手続きはかなりの時間と労力がかかるでしょう。そうなると、手続きを代行してもらえる専門家の存在が必要になってきます。会社設立についての専門家としては、税理士や司法書士、行政書士が一般的です。これらの専門家はそれぞれ得意とする分野が異なるので、自分が必要とする内容によって、誰にどの手続きを依頼するかを決めましょう。それぞれに依頼する場合のメリット、デメリットについて見ていきましょう。[adsense_middle](1)司法書士に依頼する場合司法書士は登記業務の専門家です。法務局への登記申請は司法書士の独占業務なので、行政書士や税理士は行えません。実際に設立登記の申請をするには、ゼロから情報収集を始め、きちんと法律を理解して手続きを進めなければならず、かなりの時間と労力を要するでしょう。自分で会社を設立できるといっても、申請書類を不備なく作成するのは簡単なことではありません。会社設立までスムーズに短期間で行うためにも、自分でやるより司法書士に任せたほうが効率的なケースもあります。(2)行政書士に依頼する場合行政書士は行政書類の作成や認可申請の専門家です。設立登記は行えませんが、行政書士に依頼するメリットも多くあります。まず、定款の作成及び、認証手続きは行政書士の得意分野です。また、飲食業、介護事業、古物商、運送業、建設業など許認可が必要な業種で会社を起こす場合、行政書士ならそれらの申請を代行してもらえます。会社設立と一緒にお願いすることで、スムーズな会社設立が行えるでしょう。多くの行政書士が会社設立のサポートをHP上で謳っていますが、行政書士は書類の作成などを手伝ってくれる存在であり、法務局への登記書類の提出など自分でやらなければならない手続きもあることに注意してください。(3)税理士に頼む場合税理士は税金に関する専門家であり、会計や税務、決算に関するプロです。実際に依頼するのは会社を設立した後、事業を運営していくにあたり、会計記帳や決算、税務申告などにおいて税理士に依頼することになります。税金に関する相談ができることは司法書士と行政書士にはない魅力といえるでしょう。そして、会社設立を税理士に依頼するメリットは、設立後の顧問契約を前提に、設立に関するサポートを格安で依頼できるという点にあります。基本的にサポートしてくれる範囲は行政書士と同じとなります。法務局への申請手続きは代行してもらうことはできません。しかし、税理士は資金調達方法についても詳しいため、事業計画の策定や、事業の運転資金にどれくらい必要なのかといったところまで、税理士のサポートが受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。合同会社の会社設立に関するまとめ今回は合同会社の設立手続きの流れや合同会社のメリット・デメリットについて解説しました。合同会社は新しい会社形態で、認知度も低いといえますが、費用も安くスピーディに設立できるというメリットから、徐々に合同会社の数は増えつつあります。小規模な事業者が会社設立にあたって、株式会社ではなく合同会社を選択するメリットは十分に大きいといえるでしょう。
2020年06月24日今回の年金改革の目玉である「75歳からの繰り下げ受給で84%の増額」。数字だけを見れば飛びつきたくなるが、そこには落とし穴もーー。「新たな年金改革法が成立し、’22年の4月からは段階的に制度が変わっていきます。年金を損なく受け取るには、これまで以上に働き方や受給開始のタイミングが重要となるでしょう」こう語るのは“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。パート主婦が注目すべき改革の内容はおもに2つあるという。1つ目は、パートを代表とする短時間労働者の厚生年金適用拡大だ。「これまでの厚生年金の加入条件は、労働時間が週20時間以上、月収8万8,000円(年収106万円)以上、企業規模が従業員501人以上などでしたが、段階的に企業規模の条件を緩めることになりました」具体的には、’22年10月に従業員数101人以上に、’24年10月には従業員数51人以上に緩和される予定。最終的に、約65万人が新たに加入するようになると、社会保障審議会は試算している。加入で、まず大きな影響を受けるのは、パートの手取り額だ。「月収8万8,000円だと、新たに厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料がかかるようになり、概算ですが、手取りは月1万3,000円ほど減ります」こう聞くと減収ばかりに目がいってしまう。ただ、北村さんはメリットも考慮すべきだと語る。「将来、老齢基礎年金に厚生年金を上乗せできるのです。公的年金の特徴は亡くなるまでもらえること。“長生きリスク”を考慮すると、もらえる年金額を増やすことは重要です」上乗せされる厚生年金の目安は、北村式計算法によると《年収の百万の位の数字×5,500円×勤続年数》。たとえば、55歳のパート主婦が10年間、年収106万円で働いたとすると、《1.06×5,500円×10年》で、年間5万8,300円が、生涯にわたって上乗せされる計算になる。「さらに厚生年金の適用に伴い、いざというときは健康保険から疾病手当金が支払われます。病気やケガなどで長期間仕事を休むことになったとき、未加入だと、療養している間は無収入となります。一方で加入していれば、3日連続で仕事を休んだ場合、4日目から最長1年半までの間は、給料の約3分の2がもらえるようになる。民間の保険ではありえないような手厚い保障もセットになっているのです」もうひとつ今回の改革で注目するべき点は、年金受給を開始する年齢の選択肢が増えたこと。「受給開始年齢は通常65歳ですが、現状でも最大で5年、開始時期を繰り上げ(早め)たり、繰り下げ(遅め)たりできます。繰り下げた場合、1カ月ごとに年金は0.7%増額(最低1年以上繰り下げなければならない)。最大で42%増えますが、今回の改革で繰り下げの上限が、’22年4月からは10年となり、最大で84%増額できるようになります」年金を損なく受け取るには、こうした厚生年金による上乗せや繰り下げ受給をうまく活用することが重要になってくる。「たとえば、男性の平均寿命は約81歳。増額狙いで75歳から受給を始めても、もらえる年金総額が65歳から受け取り始めた場合を超えるのは86歳10カ月以降と、平均寿命の約5年後からです」一方で女性の平均寿命は約87歳と先が長く、’70年生まれの女性が90歳まで生きる確率は67%だ。「夫が65歳で定年を迎えて収入が減ることも考慮すると、夫の年金受給開始は65歳にして、預貯金と相談しながら妻の年金のみを繰り下げるというのが、1つの基本的な考え方になるでしょう」「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月24日新型コロナウイルス感染症の影響軽減のため、1年間の納税猶予制度が設けられましたが、節税に悩む個人事業主の方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、節税を考える個人事業主や起業したばかりで税金対策について知識がない方に対し、節税のポイントと効果的な具体策をご紹介します。個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えること個人事業主の節税のポイントは課税所得を抑えることです。税金は売上ではなく課税所得に税率をかけて計算するため、課税所得を抑えられれば税金も安くできます。1.個人事業主にかかる税金と課税所得個人事業主にかかる税金は次の4つです。消費税以外は確定申告した課税所得に対する税金であるため、課税所得を抑えることができれば所得税や住民税、個人事業税が下がり節税できます。2.課税所得を抑える3つの要素個人事業主の税金を左右する課税所得は次のようにして求められます。(課税所得)=(売上)-(必要経費)-(各種控除)計算式より、課税所得を抑える3つの要素は次のとおりです。売上(収入)を抑える必要経費を増やす各種控除を増やすこの3つの要素を満たすことが、個人事業主の節税対策となります。3.課税所得を抑えるための3つのポイント3つの要素を満たし課税所得を抑えるためのポイントは次のとおりです。3つの要素のうち節税効果の大きい必要経費、各種控除をメインに節税対策を行う。必要経費、各種控除に対する優遇制度などを活用する。まめに、漏れなく必要経費を計上し、各種控除を利用する。以上の3つのポイントをふまえて、必要経費・各種控除の優遇制度や、経費計上(以下、「必要経費として計上すること」)を忘れがちな費用などを具体的に紹介します。個人事業主の節税に必要経費を活かす方法最初に、必要経費を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。事業に関係するものは必要経費、まめに漏れなく計上事業の関係する費用はすべて必要経費です。1件1件の額は小さくても、1年間の必要経費を合計すると思った以上に高額になることもあります。必要経費として計上できるものを理解し、可能なものはまめに漏れなく経費計上することが節税の基本です。経費計上できるもの個人事業主が必要経費として計上できる主な費用は次のとおりです。売上原価(原材料費・仕入費用など)従業員への給与、・賃金事務所などの地代、家賃固定資産の減価償却費(費用を所定の法定耐用年数に分割して計上)上記以外にも、消耗品費(文具・備品など)や交通費・出張費、光熱費、通信費、接待費など仕事に関係するさまざまな費用が対象となります。税金も必要経費に必要経費で落とせる税金や公的な負担金のことを「租税公課」といい、下記の税金などが該当します。国税(登録免許税、印紙税、収入印紙など)地方税(固定資産税、不動産所得税、償却資産税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税、個人事業税など)公課(印鑑証明書、住民票の発行手数料、公共サービスに対する手数料など)所得税や住民税は必要経費にはなりませんので注意しましょう。家事按分による必要経費の計上個人の私的な支出と、事業用の支出の両方を兼ねる費用について、事業用分を経費計上することを家事按分といいます。起業したばかりで自宅を事務所として使用している場合の家賃、水道光熱費、通信費などが対象です。たとえば、自宅の1/3を事業用として使用している場合、家賃の1/3を必要経費として計上できます。自動車を個人用と事業用で兼用している場合も、レンタル料やガソリン代を家事按分することができますので、漏れなく必要経費にしましょう。短期前払費用の特例の活用短期前払費用の特例を活用すれば、本来は資産計上すべき費用を、支払った事業年度の必要経費として計上可能です。短期前払費用は、「前払費用」として支払った金額のうち、支払日から1年以内に継続的にサービスの提供を受けるものが対象で、下記のものが該当します。地代・家賃工業所有権の使用料保険料システムのリース料ただし、1年以上先の費用や製造物の原材料費(サービスではない、収益に直接かかわる費用)は対象外です。少額減価償却資産の特例の活用少額減価償却資産の特例を活用すれば、本来は数年に分けて減価償却すべき費用を、支払った事業年度に一括して必要経費として計上できます。通常は、文具・パソコン・自動車などの物品を購入した場合、10万円未満なら「消耗品」として一括経費計上し、10万円以上の場合は法定耐用年数に分割して経費処理します。少額減価償却資産の特例では、青色申告者限定で10万円~30万円の物品購入費についても一括して必要経費として計上できるため、特例を有効に活用しましょう。ただし、必要経費にできるのは1年間の合計が300万円までなので注意が必要です。経営セーフティ共済の活用経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入すると掛け金は必要経費として計上できます。経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した場合に無担保・無保証人で借入れできる制度です。掛け金は月額5,000円~20万円、融資額は掛け金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れることができます。個人事業主の節税に所得控除を活かす方法次に、所得控除を活かして個人事業主が節税する方法・テクニックを解説します。[adsense_middle]青色申告特別控除の活用青色申告によって確定申告を行うことにより最大65万円の所得控除が受けられる青色申告特別控除を活用すれば、課税所得を大きく削減できます。青色申告するためには、税務署への「所得税の青色申告承認申請書」提出や複式簿記による記帳、決算書(損益計算書・賃借対照表)作成などの手間がかかりますが、節税効果が大きいためチャレンジすることをおすすめします。青色申告特別控除を受けるための条件青色申告特別控除を受けるための条件は令和2年分より変更されました。特別控除額は、確定申告方法により10万円、55万円、65万円と異なります。白色申告にはない青色申告だけのメリット青色申告には、白色申告にはない税制上のメリットがあります。下記の税制上のメリットを活かせば、「青色申告特別控除」や前述の「少額減価償却資産の特例」以外により大きな節税効果が期待できます。法人化していれば、家族だけでなく自分の給与まで必要経費にできたり、純損失の繰越し可能期間が9年になるなど、税金を安くする方法が増えます。しかし、法人設立時の費用や時間、手間のかかる法人税の申告、従業員の労働・社会保険料の会社負担分など、さまざまな負担が増えることになります。iDeCo(イデコ)の活用iDeCo(イデコ)を活用すれば、掛け金全額が課税所得から控除されます。また厚生年金未加入の個人事業主にとっては、老後生活資金準備にも有効な一石二鳥の制度とも言えます。iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とも呼ばれ、自分で掛け金を拠出し資産運用を行う年金制度です。掛け金は全額が所得控除されるうえに、運用益は非課税、受け取る年金は公的年金等控除の対象となるため税制上の大きなメリットがあります。ただし、掛け金には上限があり就業形態によって上限が異なります。個人事業主の場合は、掛け金の上限が月6.8万円(年間81.6万円)です。資産運用はリスクがあって嫌だという人についても、安全性の高い預金商品で運用を行えば、利回りは低いですが節税効果が大きいため魅力ある制度といえるでしょう。その他の各種控除個人事業主は、事業に関する所得控除以外に個人に対する各種控除を受けることができます。基礎控除(※令和2年度より基礎控除額が38万円→48万円に変更(所得2,400万円以下の場合))医療費控除(※セルフメディケーション税制と選択)配偶者控除・配偶者特別控除生命保険料控除・個人年金保険料控除・地震保険料控除など社会保険料控除※国民健康保険料・国民年金保険料など小規模企業共済等掛金控除※iDeCo(イデコ)など寄附金控除会社員なども同様ですが、毎年使える控除なので、まめに漏れなく申告する習慣をつけましょう。最初はわからないところがあったり面倒ですが、習慣化することや、前年度の確定申告資料を残しておくことで早めに慣れることをおすすめします。個人事業主の節税対策に関するまとめご紹介したとおり、節税対策として必要経費に計上したり所得控除できたりする費用や優遇制度は数多くあり、必要経費と各種控除を漏れなく確定申告するかどうかで税金は大きく異なります。節税のためにわざわざ車を買ったり保険に入ったりしなくても、最初は面倒かもしれませんが、青色申告という手続きを踏んできっちりと申告するだけで税額を下げることが可能です。節税だけでなく老後生活資金の準備もできるiDeCo(イデコ)も、一度は検討してみることをおすすめします。
2020年06月22日会社員の方は住民税が給与から天引きされているので滞納することはまずありませんが、自営業やフリーターの人など普通徴収になっている人については、納付が遅れると住民税の滞納状態になります。税金の支払いを甘く見ていると、実は結構あっさりと差し押さえされてしまうことがありますので注意が必要です。そこで本記事では、住民税が差し押さえられる流れと、差し押さえを回避するための対処法について詳しく解説します。住民税を支払う期間とタイミング住民税の滞納について考える前に、まずは住民税の正しい納期について確認しましょう。納期限は会社員とそれ以外とで次のように異なります。特別徴収の場合会社員の場合は給与から差し引かれて自動で支払われているので、あまり納期限について意識したことはないかもしれませんが、基本的には年間の税額は6月から翌年の5月までの12回に分けた税額が、毎月の給料から差し引かれていきます。そして翌月の10日までに会社が納税するという流れです。普通徴収の場合自営業の人やバイトを掛け持ちしている人については、自分で住民税を納税する普通徴収になります。普通徴収は年間の住民税の金額を全部で4回に分割して納税します。期日としては、次のとおりです。1期:6月末2期:8月末3期:10月末4期:翌年の1月末また、一括で納税することもできます。滞納した場合には連絡がくる住民税を期日までに支払わずに放置していると、住民税を請求している市区町村から納税催告書という通知が届きます。これが届くといきなり差し押さえというわけではありませんが、その前段階の催告状という形になります。未納者に届く納税催告書という通知住民税を滞納すると届く納税催告書にはどんなことが書いてあるのでしょうか。内容は地域によって微妙に違いますが、おおむね次のようなことが書かれています。住民税の滞納について、これ以上放置することができない旨指定期日指定期日までに支払わない場合、差し押さえなどの滞納処分を前提に財産の調査を開始すること財産が発見されたら滞納処分を執行すること延滞金が納付日によって増額すること要するに、差し押さえの前段階の通知といった感じです。この催告書を無視すると、やがて時間の問題で差し押さえされてしまうので必ず対応する必要があります。ただ、まだ納税催告書が最後通告というわけではありません。差押予告書納税催告書を無視して記載されている指定期日を過ぎると、自治体から差押予告書といういかつい見た目の書面が届きます。そしてこの通知が事実上の最終通知です。差押予告書には本当の最終日となる期日が記載され、その日までに納税がされない場合は、差し押さえする旨記載されています。また、すでに勤務先への給料照会などの財産調査も行っている旨も書かれているため、いよいよ逃げ場がない状態になります。差し押さえのその後差押予告書をもらったその後も無視し続けると、最終的に給与などの財産が差し押さえられることになります。給料が差し押さえられた場合、すべてが取られるわけではなく、地方税、所得税、社会保険料などを除いた振込金額の1/4までと決まっています。また、手取りの給料が44万円を超えると、33万円を超えた部分は全部差し押さえの対象です。ただ、住民税を滞納するケースというのは自営業者などの場合が多いので、実際は給料そのものではなく、銀行口座を差し押さえられることが多いでしょう。口座差し押さえとは口座差し押さえとは簡単にいうと、本人の口座から勝手に滞納している住民税を差し引いて持っていくということです。口座を差し押さえられると、そのときの残高から滞納分を回収することになるので、口座への入金が多い月末近辺に差し押さえられることがよくあります。ですので、口座に残高があるのであれば催促状が届いた段階ですぐに支払ったほうが、延滞税が加算されない分マシです。[adsense_middle]住民税の滞納で取引先に通知がいく?税金を滞納すると、滞納額がそこまで高額ではなくても金銭以上に失うものが出てきます。それは信用です。特に住民税が特別徴収で差し引かれない個人事業主の場合、差し押さえられるのは銀行口座だけとは限りません。個人事業主はほかの事業者と取引をしていれば、事前に請求書を発行していた売掛金などが、月末に取引先から入金されることになるので、税務署はこの売掛金を狙って差し押さえすることがあるからです。売掛金を差し押さえられる例えば会社員の場合、給料を差し押さえられるということは、すなわち会社に自分が税金を滞納していることを知られるということになります。会社には第三債務者あての差押通知が届き、給料のうち一定額を本人に振り込まないよう指示されるのです。実務上、このような処理は勤務先の総務経理にとって非常に面倒なので、会社から怒られますし社内での信用も大きく失うことになります。対して個人事業主の場合は、給与ではなく取引先から入金される予定の売掛金が狙われるのです。売掛金を差し押さえられるということは、すなわち取引先に住民税を滞納していることがバレることを意味しています。住民税を滞納するようなところと、今後取引をしたいと思う事業者はいないでしょう。つまり、売掛金を差し押さえられたことで、すぐに取引先の信用を失ってしまうのです。失った信用はすぐに回復することは極めて難しいので、差し押さえられたこと以上のダメージを受けることになります。差し押さえを回避するには住民税の滞納による差し押さえを回避するには、いつ督促されるのかと待っているのではなく、自ら役所に出向いてすぐに納税することが難しい旨を正直に相談して、適切な解決策について話し合うことが大切です。役所も差し押さえするとなると手続きが面倒なので、できれば一定の条件のもと分割でも任意で支払いに応じてもらいたいと思っています。滞納しているからといって逃げるのではなく、誠意を持って対応する心構えが何より重要ということです。税金の支払いが第一優先個人事業をしていると、住民税の支払い以外にも家賃や光熱費、取引先への支払いなど支出が多岐にわたると思います。ただ、忘れてはいけないのは、税金の支払いは最も優先しなければならないということです。住民税だからといって甘く見てはいけません。納税は国民の義務ですから、いかなる支払いよりも優先されます。通常、口座を差し押さえるとなると、裁判を起こして勝訴し債務名義を取得してからでなければすることができません。ですが、税金の滞納はそういった手続きを経ることなく、いきなり差し押さえできることから、いかに税金の支払いが優先されるべきかがわかります。債務整理を弁護士に相談どうしても資金繰りに困ってしまったら、まずは弁護士に相談して債務整理などを検討することをおすすめします。キャッシュフローが赤字になってしまうと、立て直すためには法律の力が必要です。早い段階で相談すれば、自己破産を回避して任意整理などで解決できる場合もありますので、1人で抱え込まず早めに相談しましょう。住民税と差し押さえに関するまとめ住民税を滞納したまま放置すると、気がついたときには口座を差し押さえられている可能性があります。また、売掛金を差し押さえられると、信用を大きく失うことになるので、絶対に回避しなければなりません。税金は自己破産しても支払いを逃れられないので、必ず決着をつける必要があります。何よりまずは役所に出向いて現状の資金状態を正直に話した上で、分割払いなども含めて今後の支払いについてどうしたらいいのか相談しましょう。
2020年06月19日こんにちは、婚活FP山本です。退職金といえば、サラリーマンにとっては数少ない大金を得られる機会といえます。しかしだからこそ、退職金にも税金がかかるのかどうかが気になる方も実に多いです。「退職金があるから老後も大丈夫」と考えている方も多いですから、ぜひ事前に実際のところを知っておきましょう。そこで今回は、退職金と税金の関係や計算方法、受け取り時の注意点についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。退職金は税制上、税金の課税対象になる収入!まずは早速、退職金と税金の関係についてお伝えします。結論からいえば、残念ながら退職金も税制上、税金の課税対象になる収入です。税金がかかると知るだけで残念に思う方も多いかもしれませんが、そういうルールですから、しっかり税金が必要なら納めましょう。ただ、退職金というのは国から見ても「長年の勤労に対する報償的給与」と捉えているため、多額の税金を課すのは不適当とみなしています。だからこそ、多額の税金がかからないように複数の対策が講じられているのが実情です。とはいえ、税金が発生するのは変わりません。可能であれば、少しでも事前に何らかの対策を取っておいたほうが安心です。まずは、このような基本について、しっかり知っておきましょう。税率表をもとに、事前にシミュレーションしておこう退職金にかかる税金とは、所得税と住民税です。そして、令和元年分の所得税の税率表は以下のようになっています。一度この税率表をもとに、事前に税金額や退職金の受取額などをシミュレーション計算しておくと、心の準備に繋がるのでおすすめです。※計算方法はA×B-Cちなみに退職所得はほかの所得と分離して課税されますから、それだけ税額も割安になり、税金計算も簡単といえます。計算が苦手な方も、ちょっとだけ励んでみましょう。退職金の税金計算の方法は少し特殊!次は、具体的な退職金の税金計算の方法についてお伝えします。退職金の税金計算においては、最初に以下の公式で「退職所得控除額」を計算することが必要です。なお、1年未満の勤続年数の端数は、たとえ1日でも1年に切り上げて計算します。また障害者になったことで退職した場合は、上記の計算結果に100万円を加えた金額が退職所得控除額です。そして、控除しきれなかった残額の「半分」が、課税退職所得金額になります。ほかの所得とは分離して計算でき、大きな所得控除が使え、しかも課税する場合も半分だけ……これが退職金の税制です。実際には、税金がかからないというケースも多いといえます。あとは先ほどの税率表をもとに、実際の税額と受取額を計算してみましょう。勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなる先ほどの表を見ると分かるとおり、退職金は勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなります。また勤続年数が20年を超えると、さらに所得控除額が増額される設計です。これは、定年までの終身雇用が当然の、一昔前の常識がもとになっています。だからこそ、今後この退職金に関する税制は見直される可能性が高いです。とはいえ、見直されるまではこのようなルールのままですから、しっかり覚えておきましょう。退職金を「年金形式」で受け取ると損になりがちここからは、退職金の受け取りに関する注意点をお伝えします。まずは、退職金を「年金形式で」受け取る場合です。最近では大手企業を中心に、退職金を年金形式で受け取れる会社が増えています。そして年金形式のほうが、総額が増えることが多いので一見するとお得です。しかし年金形式で受け取る場合は、先ほどお伝えした「退職所得控除」が使えなくなります。代わりに「公的年金等控除」が使えるものの、退職年金の金額によっては控除しきれないのが実情です。厚生年金と重なるころには、税金が増えてしまうこともあります。このため、退職金を年金形式で受け取ると損になりがちです。選べる場合は、できれば退職金は一時金で受け取り、その後は自分で何らかの運用をしていきましょう。所得税や住民税だけでなく、社会保険料も……退職年金と厚生年金が重なってしまうと、所得税や住民税などの税金だけでなく、社会保険料も上がってしまう可能性があります。「総額が増える」というのは確かに魅力的に映る人もいるでしょうが、税金なども含めて考えれば損になる可能性がある点には注意が必要です。一方で、急に大金が入ってきたことで気が大きくなり、「使ってしまうリスク」が上がる点には注意が必要といえます。自己管理には気を付けて、退職金を有効活用していきましょう。退職金を受け取る前に特別な申告書を提出しよう今度は、退職金に関係する書類についてお伝えします。これは必ず必要というものではありませんが、できれば事前に提出しておきたいのが「退職所得の受給に関する申告書」です。これを会社に提出しておけば、税金のことは源泉徴収で終了し、確定申告が不要になります。この申告書を提出していない場合は、退職金の額面金額から一律に20.42%もの所得税(と復興特別所得税)が源泉徴収されますから、後が大変です。正確な税金額で清算するために確定申告が必要になりますから、できれば退職金を受け取る前に申告書を提出しましょう。なお、良識のある会社なら事前に指導や指示があるでしょうが、そのような会社ばかりではありません。自分の身を守るためにも、自分でもしっかり知っておきましょう。最終的な税率は同じだが源泉徴収のほうがラク!退職所得の受給に関する申告書を提出してもしなくても、最終的な税率や税額は変わりません。しかし一般的な会社員は、税金や確定申告に不慣れな方も多いといえます。そういう方なら、会社が代わりに税金額の計算や手続きをしてくれるほうが断然ラクなはずです。退職金を受け取るということは、文字どおり会社を退職することになります。ということは、ほかにもさまざまな手続きが必要です。できれば少しでも労力を減らせるよう対処していきましょう。死亡時に遺族が受け取る退職金は非課税?今度は、当人の死亡にともなって受け取る退職金についてです。勤め先によっては、本人が亡くなったときには残される遺族に死亡退職金が支払われることがあります。そしてこの死亡退職金には、通常の退職金で必要だった所得税などはかかりません。ただ、代わりに「相続税の課税対象」になります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる扱いです。なお、生命保険も同様の非課税扱いがありますが、あくまで別枠となります。それぞれで、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。当人が亡くなったということは、以後の収入が不安定になる可能性が高いです。最大限に死亡退職金を活用して、その後の生活を安定させていきましょう。生命保険と合わせて死亡時対策をしておこう保険料や想像への抵抗感などから、「死亡時対策」をしていない方も意外に多いといえます。幸運にも死亡退職金がもらえたとしても、その後の生活には全然足りないということも多いです。独身者ならともかく既婚者、特に子供がいる夫婦は要注意といえます。死亡時対策の代表格は、先ほど触れた「生命保険(死亡保険)」です。亡くなってから焦っても手遅れですから、万が一のことが起こる前になるべく備えておきましょう。[adsense_middle]退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できない最後に、退職金に関係する大切な補足情報をお伝えします。結論からいえば、退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できないという点です。勤め先によっては2000万円程度の退職金がもらえることもありますが、それでも足りないことが多いといえます。というのも、この問題の2000万円というのは「最初の目標数字」であることが多く、実際には倍の4000万円程度が必要ということが多いです。2000万円もの退職金がもらえないことも多く、仮に定年後に再雇用されても収入は半減することも多いといえます。つまり、この老後資金問題は老後の直前になってから焦っても手遅れで、もっと前の段階から備えを続けることが必要です。理想としては「結婚直後の生活水準や子供の数を選べるころ」、もっといえば「結婚相手を選べる婚活中」から、未来を見据えて動きましょう。そもそも時代は終身雇用が崩壊中……そもそも時代は終身雇用が崩壊中です。「長年勤めあげる」ということが難しく、最近では大手企業でも40代でリストラされることもあります。このため、多くの場合で退職金をアテにした老後対策というのは、そもそも無理があるのが実情です。一方で、最近では年収の低い非正規労働の方も多く、新型コロナによって正社員でも雇用を失いやすくなっています。このため、老後対策がしにくいというのも確かな現実です。しかし、しなくてもよいとはなりません。できる限り、将来や老後に対して備えていきましょう。税金計算も大切だが、退職金の増額や別の対処法も考えよう退職金に対する税金計算は大切です。しかし一方で、退職金の増額や別の老後対策も重要になってきています。今は、ただ真面目に働いていれば生涯安泰が当たり前という時代ではありません。働くことさえ新型コロナで難しい方もいるでしょうが、ぜひこんなときこそ、未来を見据えた行動を取るよう心掛けていきましょう。
2020年06月18日こんにちは、婚活FP山本です。制度がある会社自体が減りつつあると言われるものの、まだまだ多くのサラリーマンが期待しているのが「退職金制度」になります。しかし昨今では終身雇用が崩壊しているといわれていますから、仮にもらえるにしても、いくらもらえるのか平均相場が気になるという声も多いのが現実です。確かに、気になりますね。そこで今回は、最新の退職金動向を様々な角度でお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。【企業規模・産業別】退職金制度の有無についてまずは、そもそもの「退職金制度の有無」についてお伝えします。厚生労働省の平成30年「就労条件総合調査」によると、企業規模・産業別の退職金制度の有無は以下のとおりです。なお、数字は割合になっています。※制度の有無で100%、アリの場合の内訳で100%表示ですひとまず大企業ほどに退職金制度は残っており、全体として8割程度の企業に退職金制度があるという結果です。また、大手企業ほどに年金形式の退職金制度を導入しているというのは興味深い結果といえます。まずは、このような退職金制度の状況を知っておきましょう。現在の一般的な民間企業はともかく、今後は……現在の一般的な民間企業では約8割で退職金制度があるという結果でしたが、同時に今は「終身雇用が崩壊している」ともいわれています。そして退職金制度は、勤めている最中に制度の中身が変わってもおかしくありません。特に今は新型コロナの影響で、目まぐるしくさまざまな産業の環境が変わっています。だからこそ、退職金制度の変更についても注意深く推移を見ておきましょう。【学歴・退職理由・勤続年数別】退職金金額について次に、肝心の「退職金金額」の平均相場についてお伝えします。厚生労働省の平成30年「就労条件総合調査」によると、まず学歴・退職理由別の退職金金額は以下の通りです。そして、学歴・勤続年数別の退職金金額は、以下のような結果になっています。退職理由や勤続年数はともかく、まだまだ学歴でここまで退職金金額が変わっているのが現実といえます。最近では格差や貧困の連鎖が問題視されていますが、何とも悲しい現実かもしれません。ひとまず、このような平均相場を知っておきましょう。まだまだ勤続年数で金額が変わる名残が残っている学歴もさることながら、終身雇用が崩壊したといわれている現在においても、勤続年数で相応に退職金金額が違うという点も驚きかもしれません。特に34年以下と35年以上を比較すると、高卒の場合は倍程度も金額が違っています。ただ、そもそも35年以上も同じ会社に残れる方が少なくなっていますから、そのような一部の優秀な方の結果といえるかもしれません。ひとまず、このような事情を知っておきましょう。【学歴・勤続年数別】会社都合の退職金金額についてここからは、統計を変えて退職金の事情についてお伝えします。日本経済団体連合会(経団連)の2018年度「退職金・年金に関する実態調査結果」によると、学歴・勤続年数別の「会社都合の退職金金額」は以下の通りです。おおむね、先ほどの統計と似通った結果といえそうです。産業や企業規模にもよりますが、相応に長く勤めれば1000~2000万円程度の退職金がもらえる可能性が高いといえます。今は長く同じ会社に残ることが難しい時代ですが、何とか残れるよう励んでいきましょう。3年間勤めるともらえることが多いが、中には1~2年目でも!一般的な会社においては、3年間勤めることで退職金をもらう権利が発生しがちです。ただ中には、1~2年目でその権利がもらえる会社もあります。どのような退職金制度なのかは本当に「会社次第」ですから、しっかり会社のルールを確認しておきましょう。ただし、あくまで退職金制度は「数ある福利厚生制度の一つ」に過ぎません。退職金制度だけでその会社を測ることはできませんから、バランスよく見ていきましょう。【勤続年数別】「ポイント制退職金」の要素配分割合今度は、ポイント制退職金の要素配分割合についてです。そもそも退職金制度とは、大きく「基本給連動型・別テーブル方式・ポイント制」の3つがあります。そして、日本経済団体連合会(経団連)の2018年度「退職金・年金に関する実態調査結果」によると、約7割の企業が導入しているポイント制の要素配分割合は以下の通りです。※数字はパーセント割合先ほどまでの統計を見ていると、つい「勤続年数」に重きを置いているかのように錯覚しますが、実際には最近は年功要素は高くありません。やはり確実に、時代は「実力主義」になってきているといえる結果です。しっかりと理解し、実力を身につけていきましょう。今後ますます「終身型雇用」は失われるのか?サラリーマンにとって、終身型雇用が失われるのかどうかは関心が高い要素でしょう。今まで通りの終身雇用や年功序列の継続を望む方も、けして少なくありません。しかし先ほどの結果を見ても明らかなとおり、時代は確実に変わりつつあります。とはいえ終身雇用が崩壊するというのは、「実力さえあれば転職が容易」という意味合いです。今後、ますます退職金制度も変わるでしょうから、しっかり時代の変化に合わせた行動を取っていきましょう。[adsense_middle]退職金受取額の計算方法は「20年勤務か否か」で変わるここからは、退職金受取額の計算方法についてお伝えします。退職金というのは、残念ながら丸々もらえるお金ではなく、税金が必要です。そして退職金の税金事情は少し特殊で、以下の公式に沿って計算します。そして、控除しきれない部分には所得税が必要です。※1年未満の端数となる勤続年数は1年に切り上げわかりやすく、退職金の税金事情は「20年勤務か否か」で変わってきます。20年以上勤めた場合は、より控除が手厚くなる設計です。ちなみに大卒の定年退職なら、「800万円+70万円×18年」ですから、総額2060万円までなら退職金は税金不要となります。先ほどの平均相場程度の退職金なら、多くの場合で税金が不要です。また税金がかかるにしても、退職金は差額の半分のみが税金の対象になります。このような税金事情についても、しっかり押さえておきましょう。退職金を増やしたいなら長く勤めるに限る?税金計算上は、退職金の受取額を増やしたいなら長く勤めるに限るといえます。しかしすでにお伝えしたとおり、退職金の金額そのものの配分要素において年功要素は縮小気味です。税金上は、昭和の発想・常識が未だに残っているに過ぎません。おそらくですが、この税金ルールも将来的には変わります。むしろ変わらなければヘンといえますから、今後の変更をじっくり待ちましょう。退職金受取額は「年金形式」のほうが得?損?今度は、退職金の「年金形式」についてお伝えします。すでにお伝えした通り、大手企業を中心に年金形式の退職金制度も登場・導入しているのが実情です。そして一時金のものと比べると、総額をもらえる時期が遅れる代わりに「総額が増える」傾向にあります。これは、退職金を会社などが運用しているためです。ただし、退職金を年金形式でもらうと先ほどの特殊な退職所得控除を使うことができず、「公的年金等控除」で税金額を計算することになります。また、もらう期間によっては、厚生年金などと重なることによって税金や社会保険料が上がる可能性があるので注意が必要です。このため一概にはいえませんが、一般的には「年金形式のほうが損」になりやすいとされています。それほど退職所得控除の効果が大きいといえますから、しっかり覚えておきましょう。なるべく一時金でもらい、自分で運用していこう「年金形式のほうが総額が増える」という点に、魅力を感じる方も多いです。運用に不慣れな方ならなおさらかもしれません。しかし総合的に考えれば、なるべく一時金でもらって退職所得控除を使い、その後は自分で何らかの運用をしたほうが得といえます。強いていえば、「手元に大金があると使ってしまう」という方なら、年金形式もアリです。しっかり自己分析をして、選べるなら「退職金のもらい方」を選びましょう。一般的な価格の退職金があれば、老後は働かなくても安泰?ここからは退職金に関する補足情報をお伝えします。中には、一般的な価格の退職金があれば、老後は働かなくても安泰と考える方もいますが、それは誤りです。ちなみに先般、「老後資金として2000万円必要」といわれましたが、これも基本的に間違っています。というのも、今や昔とは違って「人生100年時代」です。平均寿命が延び、100歳まで生きてもおかしくない時代に変わっています。100歳まで生きると考える場合は「倍の4000万円」は必要なことも多く、人によっては更なる高額が必要なこともあるのが現実です。少なくとも、将来的に一般的な平均相場価格の退職金をもらえたとしても、それだけではまず足りません。もらえない場合はなおさらですから、十分に注意しておきましょう。「退職金を如何に使うか」が老後の分かれ目退職金が、その後の人生に活きてくるのは間違いありません。そのまま生活費に使ってもいいですし、起業資金にする方もいます。資産運用の軍資金にする人もいるのが実情です。「退職金を如何に使うか」が、老後生活の分かれ目といえるかもしれません。特に定年退職で退職金を受け取る場合は、基本的に相続を除いて、その後の人生において大金は入ってきませんから、使い方は肝です。しっかり考えて有効活用していきましょう。[adsense_middle]退職金対策として「iDeCo」を積極的に検討しよう最後に、退職金対策になるかもしれない「iDeCo」についてお伝えします。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称であり、この年金制度は簡単にいえば「自分で掛金を運用して資産形成する」という制度です。この制度には、大きく以下の3つのメリットがあります。掛金が全額所得控除になる運用益が非課税になるもらうときのお金は「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象になる自分で運用するのを避けたい人もいますが、もはや通常の退職金や貯金だけで十分な老後資金を用意するのは極めて困難です。なるべく、積極的に検討することをおすすめします。今や女性の投資家もたくさんいる!iDeCoには、基本的に60歳未満のすべての人が加入できます。専業主婦の方でも加入できますし、今や女性の投資家もたくさんいるのが実情です。投資を避ければ老後資金の準備が難しくなりますから、「投資をしないリスク」を十分に考えることをおすすめします。終身雇用の崩壊もそうですが、人生100年時代や老後資金2000万円問題など、確実に時代は変わってきたのが現実です。しっかりと現実を見据え、それに合わせた行動を取っていきましょう。平均相場の退職金がもらえても、人生100年時代の老後資金には足りない!退職金の平均相場は、勤続年数にもよるものの1000~2000万円程度といえます。一方、平均相場の退職金がもらえても、人生100年時代の老後資金には足りないのが実情です。もらうものはしっかりもらうとして、そのほかの角度でも何らかの老後対策を実行していきましょう。
2020年06月18日病気やケガが原因で介護が必要になった場合、真っ先に思い浮かべるのは「介護保険が使えるかどうか」ではないでしょうか。まさしくそのとおりで、「介護状態になったら介護保険」というイメージで合致しています。では、医療保険では全く介護のサポートができないのかというと、そうではありません。今回は、介護保険と医療保険のそれぞれの制度の概要と、どのような場合に、どちらの保険が適用されるのかを詳しく解説していきます。介護保険とは介護保険とは、40歳以上になると加入義務のある制度です。40歳から65歳までの第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に分けられます。要支援1または2、要支援1から5までの7段階に区別され、それぞれの支援や介護の度合いによって、被保険者の負担割合が違います。介護保険が適用された場合、認定された区分に応じた介護サービスを受けることができます。要支援・要介護のそれぞれの区分に応じて、支払限度額が設定されており、それを超えた分は全額を自己負担として支払う必要があります。介護保険の被保険者介護保険の被保険者(対象となる人)は2種類に分けられます。65歳以上:第1号被保険者40歳以上65歳未満:第2号被保険者介護保険の適用条件第1号被保険者と第2号被保険者で、介護保険の適用される条件が違います。介護状態になった理由を問わず、介護状態になった場合に適用されるのは、65歳以上の「第1号被保険者」です。一方、40歳から65歳までの第2号被保険者の場合、加齢が原因とされる16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険が適用されます。介護保険料の支払い介護保険料は、加入している健康保険に上乗せして納付します。40歳の誕生日を迎えると、当月分から介護保険料が上乗せされた金額を納付することになります。自営業者やアルバイトの方など、国民健康保険に加入している方は、納付書(または自動引き落とし)にて支払います。会社員や公務員など社会保険加入の方は、介護保険料の上乗せされた金額を給与天引きにて支払うので、未納がなく安心です。すでに退職後で年金受給者の方は、受給する年金から、あらかじめ介護保険料を差し引いた金額が2カ月に1度振り込まれます。これを「特別徴収」といいます。申請すると、特別徴収ではなく、それぞれ納付書で介護保険料を納める「普通徴収」に変更することもできますが、万が一の未納などの恐れを考えると、特別徴収のほうが利便性は高いといえます。医療保険とは医療保険(公的健康保険制度)とは、日本国民全員が加入する義務のある制度です。「国民皆保険」という言葉で表されることもあります。医療保険は「病気やケガに対して広く保障する」という役割があります。なお、医療保険はお勤めの形態によって2種類に分けられ、加入要件などが少々違います。医療保険の概要は違いますが、どちらの医療保険に加入していても、一般的には自己負担3割で医療を受けることができます。お子さんを対象として、お住まいの地域ごとに乳幼児助成制度があります。未就学児の医療費は全額無料になる地域もあります。または、1か月の医療費上限が1000円程度で済む制度を取り入れている自治体もあります。該当する子どもの年齢も、就学前までなのか、義務教育期間中なのか、行政によって規定はさまざまです。主に2つの健康保険制度自営業者やアルバイトの方などが加入するのは「国民健康保険」です。会社員や公務員などが加入するのは「社会保険」です。その中には協会けんぽや、企業独自の健康保険組合などがあります。いずれの場合でも、ひとりに1枚「健康保険証」が発行されます。医療機関でこの健康保険証を提示すれば、かかった治療費のうち、自己負担分の3割のみを清算すればよいという決まりになっています。もうひとつの健康保険制度として、後期高齢者医療制度という制度があります。75歳以上になった方は、どなたでもこちらの健康保険制度に移行することになります。75歳以前に加入していた健康保険制度に関わらず、一律「後期高齢者医療制度」の加入者ということになります。一般的な分類でいくと、自己負担割合は1割です。ただし、現役並み所得のある75歳以上の方は、3割負担です。介護保険と医療保険の関係ここまで、介護保険と医療保険のそれぞれの概要についてまとめました。介護と医療は密接な関係にあり、混同してしまいがちですが、相互に作用する部分もあれば、全く違う部分もあります。似通ったイメージのある2つの保険ですが、2つの関係について項目別に解説していきます。[adsense_middle]併用できる?介護保険と医療保険は、基本的には併用できません。どちらかのみを利用する決まりです。何らかの理由から介護状態になった場合、介護や支援の認定が受けられれば「介護保険」の適用となり、認定が受けられない場合は「医療保険」で可能な限り介護のサポートをすることになります。末期がんなどで、医療も介護も手助けが必要であると判断された場合は、一部例外的に2つを併用できる場合もあります。介護保険が優先介護や支援の認定を受けることができ、介護保険も医療保険もどちらでも受けられる状態となった場合、その2つが併用ができないのはおわかりいただけたと思います。この場合、優先されるのは「介護保険」です。介護や支援の認定を受けたということは、その区分に応じたサポートが必要であるということです。介護保険と医療保険のそれぞれの概要でも説明しましたが、医療はケガや病気の治癒と目的としていて、介護だけに特化しているわけではありません。つまり、介護や支援に認定を受けたのであれば、介護保険を使ったほうがよりよいサポートが受けられるということです。適用範囲の違い似ているようで違う部分も持ち合わせている2つの保険ですが、まず全く違うのは「適用範囲」です。根本的に、介護保険が適用されるのは「介護認定を受けてから」です。そもそも40歳以下の場合であるなど、介護認定を受けることができなければ、介護保険を使うことはできません。一方、医療保険は、国民健康保険または社会保険のいずれかの健康保険証を持っていれば、かかる医療機関にその保険証を提示することで、必要な医療を受けることができます。介護認定の有無は関係ありません。介護保険でできること介護保険は、介護だけのために使うことができます。病気やケガによって介護状態になった場合、行政から要支援や要介護の認定を受けます。その認定された区分の範囲内で、介護サービスを受けることができます(介護サービスについてはこの後詳しくまとめます)。ただし【介護保険の適用条件】でも書きましたが、40歳から65歳までの第2号被保険者では、16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険の適用を受けることができます。介護保険の第2号被保険者で、この16種類が原因ではなく介護状態になった場合や、脳疾患や交通事故などが原因で、40歳未満で介護状態になった場合は、介護保険の適用がありません。医療保険でできること医療保険は、保険証さえ提示すれば、誰でも医療機関を3割負担で利用することができます(後期高齢者制度や、市町村の乳幼児医療費助成などを除く)。介護保険と違って、何かしらの認定を受けなければ医療保険を使えない、ということもありません。なおかつ、医療保険は国民全員が加入義務のある制度なので、医療機関にかかる理由・原因を問わず、どなたでも必要な医療を全国の医療機関で平等に受けることができます。2つの違い介護保険は「介護認定を受けなければ使えない」医療保険は「保険証を提示すれば誰でも使うことができる」対象となる介護サービスの違い医療保険と介護保険が併用できないことはおわかりいただけたかと思います。では医療保険、介護保険、それぞれで受けられる介護サービスとは何があるのでしょうか。ここからは、医療保険、介護保険それぞれの概要をご紹介します。介護サービスの中でも、今回は主に、在宅のままで受ける訪問サービスについてまとめます。訪問サービスには「訪問看護」と「訪問介護」の2つがあります。これまでに解説したとおり、「看護(医療)」と「介護」は似ていますが実は全く違います。「訪問看護」とは在宅で医療行為を行うことで、「訪問介護」とは介護サービスを行うことです。[adsense_middle]医療保険における訪問サービス医療保険で訪問サービスを受けるには【医師が必要と認めた範囲内】という条件が付きます。医療保険の根本的な考え方は【必要な医療行為を受けること】ですので、それに則って行われることになります。医療保険による介護サービスの場合は、看護師や保健師などの看護に携わる専門職の方が行います。訪問看護の場合では、主に血圧や脈拍など健康状態の把握から始まり、点滴や注射など、医師の指示に基づいた処置が行われます。要支援・要介護認定を判断する役割も看護師や保健師など、看護の専門職の方が訪問看護を行うもう1つの役割は、医療保険ではなく介護保険に切り替えたほうがよいのではないか?という点を判断することです。簡単にいうと、看護職の方の訪問看護を通じて、要支援や要介護の認定をする際の判断基準となるということです。最初は医療保険上の訪問看護のみでよかった方でも、状態によっては後に支援や介護が必要となることも十分ありえます。その判断の1つとして、専門職の方による訪問看護は大切な役割を担っているということです。介護保険の訪問サービス介護保険における訪問サービスは、言語聴覚士や作業療法士、理学療法士などのリハビリを専門に行う専門職の方や、訪問介護専門のヘルパーさんなどが行います。ここで一番の注意点は、【介護では看護はできない】ということです。ヘルパーさんは医療行為はできません。訪問介護での在宅サービスの一例としては、入浴の介助や食事の手伝いなど、主に日常生活のサポートをすることがメインです。介護サービスの一環として、自宅のリフォーム費用も対象となる場合があります。介護のために必要とされるリフォームを実施した場合や、必要な介護用品のレンタルも認められる場合があります。これらのサービスを利用する前に、リフォーム業者や介護用品レンタルショップに、あらかじめ訊ねておくことをおすすめします。いずれも現金の給付はない介護保険と医療保険、どちらのサービスを受けることになっても、現金での給付はありません。介護は長期化する場合がほとんどです。そのリスクに備えて、民間の生命保険会社が販売している介護保険(介護特約)などで費用を準備しておくと安心です。民間の介護保険も、所定の介護認定を受けたら「一時金」として給付を受けられるものから、一定期間あるいは一生涯に渡って「年金形式」で介護年金を給付するものなど、いろいろな商品があります。公的な介護保険と併用することを前提に、介護費用の準備として検討してみるのもおすすめです。判断に迷うときは医療保険と介護保険、どちらをどのように利用したらよいのか、なかなかわかりづらい場合もあるかと思います。特に医療的な判断というのは、医療や介護に携わる方ではない限り判断に迷うのも当然です。適用されるのが医療保険か介護保険か、よくわからない場合には、お住まいの地域の医療や介護に関する相談窓口に尋ねてみましょう。また、かかりつけの医療機関がある場合は、医療機関内に相談窓口が併設されている場合もあります(大きい病院ではほとんどが相談窓口があります)。ご自身やご家族だけで抱え込むのではなく、早めに然るべき相談機関に相談し、先々の対策を取っていくようにすると安心できます。介護保険と医療保険・まとめ介護保険と医療保険は、一見すると似ている制度です。どちらも加入義務がありますが、介護保険は利用するのに一定の条件があり、医療保険は保険証さえあれば誰でも使うことができます。今回はこの2つの違いと、同時に併用できない場合がほとんどであるということを、少しでもご理解いただければ幸いです。似ている制度とはいえ「介護は介護」「医療は医療」それぞれ専門の役割があります。然るべき医療サービス、介護サービスを受けることができるよう、基礎知識だけは覚えておくときっと役に立つでしょう。
2020年06月16日今回のテーマは「介護保険」です。介護保険といっても、40歳以上になると加入義務のある、行政が主体の「介護保険」ではなく、生命保険会社が販売している民間の介護保険について、制度の内容から加入要件についてまとめていきます。本記事をご覧になっている方ご自身にすぐに直結する内容ではないかもしれませんが、親御様など身近な方のためにも知っておくと役に立つ内容です。民間介護保険の仕組み民間介護保険の仕組みは、公的介護保険制度とは違って、保険会社が定めた所定の介護状態になった場合に、保険金として現金が給付されます。公的介護保険制度では、現金給付ではなく介護サービスの提供がメインです。その大きな違いを把握しておくと、これから民間の介護保険について解説を進めるにあたって、整理がしやすくなります。参考・公的介護保険制度とは公的介護保険制度とは、40歳になったら必ず加入しなければならない制度です。保険料の徴収方法は、国民健康保険加入の方は、毎月の保険料に上乗せされて納付します。会社員などで社会保険加入の方は、毎月給与天引きで自動的に納付しています。要支援・要介護合わせて7段階に分けられており、それぞれの段階に応じた介護サービスの提供を行政から受けられることになっています。民間の介護保険の内容現在、国内の生命保険会社のほとんどで介護保険を販売しています(介護特約も含む)。昭和の時代ごろまでは、医療保険と死亡保険、せいぜいがん保険が販売されている程度でしたが、平成に入り、平均寿命も毎年伸びていることから「長寿化」へのリスク対策として「介護保険」が注目されるようになりました。もちろん加入している医療保険でも、補うことができる部分もあるでしょう。しかし、介護には介護の、より充実した保障内容があるほうが安心ですよね。現在販売されている商品の主な概要について、これからご紹介します。公的介護保険に連動している介護保険に加入している方が、その保険から給付を受ける場合に、ひとつの目安となるのが「公的介護保険の認定」です。たとえば、保険会社が独自で定めた介護状態にならなければ給付金がもらえないのでは、少々わかりにくさが残ります。一方、近年販売されている介護保険では、給付の対象が「公的介護保険における要介護2以上で給付金をお支払い」など、公的介護保険で一定の基準以上の認定を受ければ、給付金がもらえるというわかりやすい仕組みになっています。給付金が受けられる所定の要支援・要介護状態は、保険会社・保険商品によって基準が違いますので、ご加入の際にはあらかじめ調べておきましょう。要介護・要支援認定だけでなく、公的介護保険の介護サービスを利用したら給付金が支払われるタイプの介護保険もあります。一時金として給付される場合もある保険会社によっては、所定の要介護状態になった後、一生涯に渡って年金形式で一定の金額を支払う商品も販売されています。また、介護保険として別に加入していなくても、ベースは医療保険で、介護に関する特約を付加することで、一時金としてまとまった金額の給付金を受け取ることができる商品もあります。介護保険単体で加入するよりも、特約で付加する場合のほうが保険料が安い場合もあります。ぜひ見積もりを作成してみて、ご自身のニーズにより近いものへの加入を検討しましょう。介護保険の主な種類一般的な民間介護保険の商品の中には、大きく2種類があります。保険期間や保険料に、それぞれ正反対の特徴を持っています。介護に対する考え方や、必要としている保障内容によって使い分けをされるとよいでしょう。貯蓄型(終身)介護保障が一生涯続くタイプの介護保険は、終身型であることがほとんどです。終身型とは、一般的に貯蓄性が高いので、掛け捨ての定期型保険よりも保険料が割高です。しかし、終身型で貯蓄性の高い介護保険に加入するメリットとしては、「保障は一生涯」「保障に代えて年金としても受取可能」などがあります。特に「年金として受取可能」という点は、貯蓄型が人気であるポイントです。介護状態に該当しなくても、まとまった額の死亡保障として遺族へ遺すこともできます。さらに、ご本人の生前に、解約してまとまった資金として使うこともできます。貯蓄性の高い介護保険では、介護状態に該当しない場合の使い道もあり、より自在性に富んでいます。掛け捨て型(定期)一定期間の介護保障を目的とした定期タイプの介護保険は、いわゆる「掛け捨て」ですので保険料が安価で済みます。前述した「終身型」とは正反対の特徴を持つ掛け捨ての介護保険は、貯蓄性がほぼない、または少しだけ解約金が戻る性質を持っています。高い保障が欲しい場合でも、保険料が割安なので、使い方によっては非常に合理的です。預貯金やほかの生命保険商品で十分な備えをお持ちの方は、それらに掛け捨ての介護保障を上乗せをするイメージで加入を検討してもよいでしょう。民間介護保険の加入条件民間の介護保険に関しては、加入条件は特にほかの生命保険と変わりがありません。既往症がなく、加入時にありのままを告知し、保険会社所定の加入条件を満たしていれば、介護保険に加入できます。ただし、すでに介護状態である場合や、認知症であるなど、そもそも加入できない場合もあります。民間介護保険・加入のピーク公益財団法人・生命保険文化センターの取りまとめたデータによると、介護保険(特約も含む)の加入率は50代がピークだということです(平成30年度生命保険に関する全国実態調査・民保の特定の機能を持つ生命保険や特約の加入状況・参照)。50代というと、一般的には子育てがひと段落し、定年を前に、老後ご自身の生活について立ち止まって考える時期でもあります。実際に、親御さんの介護が始まるのも50代くらいが多いと推定されます。そのような環境の変化から、50代が介護保険(特約)の加入のピークであると推測されます。[adsense_middle]比較・検討のポイントこれまで、民間の生命保険会社による介護保険(特約)について、制度の内容や仕組みについてまとめてきました。ここからは、実際に加入しようとする際の目安となるポイントについて、いくつかご紹介します。①受取方法の違いまずポイントとなるのは「介護保険の給付金を、どのような受け取り方でもらいたいか」という点です。受け取り方法は、以下の3パターンがあります。【一時金】所定の介護状態に該当したら「一時金」としてまとまった金額の給付を希望する【年金形式】介護状態になったら、その後の長期間に渡って「年金形式」で年に一度受け取りを希望する【一時金+年金形式】最初は「一時金」として大きな金額を、その後は年金形式で、少しの額でも長期間受け取りたい一時金民間の介護保険に加入した場合、一番シンプルでわかりやすいのは「一時金で受け取る」内容の商品です。保険会社が定めた条件に該当すれば、加入時に設定した金額を「一時金」として一括でまとまって支払われます。デメリットとして考えられるのは、介護が長引いた場合に、最初に一時金で受け取った給付金が足りなくなる場合があるという点です。年金形式年金形式で介護保険を受け取る保険商品は、長引く介護生活の支えになります。ただし、年金形式での受け取りを希望する場合、一時金受取タイプよりも保険料が割高の場合がほとんどです。加入年齢と保険料のバランスを見て検討してもよいですね。一時金+年金形式とても合理的な受け取り方法は「一時金+年金形式」です。介護保険を請求した際に、まずは「一時金」としてある程度まとまった給付金を受け取ります。その後、毎年一定額(加入時に設定した年金額)を生涯に渡って受け取ります。とても理想的で、安心できる受け取り方法ですが、3パターンの中で一番保険料が割高です。例えば独身の方で、万が一老後にご自身の介護のお手伝いをしてくださる方がいらっしゃらない場合などは、このような安心できる保険で備えるとよいでしょう。②加入するタイミング先にも書きましたが、介護保険の加入年齢のピークは50代です。50代になって、ご自身やご家族の介護に触れることでリスクに直面し、介護保険に加入する方が多いようです。公的介護保険制度では、40歳以上になると公的介護保険の第2号被保険者となります。主に加齢が原因の16種類の特定疾病が原因で介護状態になったと認定されれば、公的介護保険制度から介護サービスを受けることができます。ただし、介護状態になるリスクは40歳から突然増えるというわけではなく、例えば脳卒中の後遺症などで40歳以下でも介護状態になるリスクもあります。ご自身の現在の環境などを踏まえ、いつごろから備えたほうがよいか検討してみましょう。介護保険だけでなく、生命保険の保険料は「若ければ若いほど安価で加入できる」システムです。本当に介護のリスクが迫ったときに加入しても、保険料が高くて加入を断念することがないよう、早めに検討することをオススメします。民間介護保険・まとめ公的介護保険制度が適用となるのは、40歳以降です。しかし実際は、40歳から65歳が含まれる第2号被保険者では、16種類の特定疾病に該当しなければ介護保険制度を利用することができません。若年層でも、脳疾患、心疾患の後遺症などで介護状態になるリスクはあります。生命保険の本来の意義どおり「リスクに備える」としたら、より若いうちから、安価な掛け捨て型でもよいので、介護に対する備えはスタートしておいたほうがよいのではないかと考えます。また、民間介護保険を選ぶポイントとして、保険金受取の方法があります。3パターンのうち、ご自身のニーズにより近い方法はどれなのか検討してみるとよいでしょう。
2020年06月15日現在サラリーマンで会社に勤めているけれども、「副業してみたいな」と考えている人は多いでしょう。「でも、副業したら所得税も取られるかも。損したらどうしよう」と心配になっているかもしれません。実は、サラリーマンの方なら一定範囲では所得税はかかりませんし、もしその範囲を超えても、できるだけ所得税を抑える方法があるんです!この記事では副業の所得税、所得の仕組みと副業をした場合の所得税の計算方法について解説していきます。サラリーマンが本業以外で副業したら所得税がかかる?サラリーマンなら、本業のほうで自動的に所得税が天引きされています。この上でさらに副業をしたとして、税務署はどうやってそこから所得税を徴収するのでしょうか?黙っていればわからないのではないでしょうか?結論をいえば、副業の所得が一定以上になれば所得税の支払いをしなければいけなくなります。そしてそれは、自分から「副業と本業を合わせてこれだけ所得がありました」と税務署に確定申告をすることによって、所得税を支払うということを意味します。いったいどういうことなのか、以下で説明いたします。副業で確定申告が必要になる理由通常、サラリーマンであれば年間の収入が2,000万円を超えない限り確定申告は不要です。年収2,000万円なんて、よほどのトップか外資系のエリートサラリーマンでもない限り手が届きませんよね?ところが、普通のサラリーマンでも副業を始めた途端に、その所得が一定以上になれば確定申告が必要になります。その理由は、副業をして20万円の所得があれば、本業の収入にかかわらず確定申告が必要と決められているからです。そうしないと税務署が副業分の税金を徴収することが難しいからでしょう。では、具体的にはどのような状態であれば申告が必要になるのでしょうか?おおよそ下記の2つのケースで目安が異なります。副業が給与になる場合副業が給与以外の場合以下でそれぞれについて説明いたします。副業が給与の場合の目安こちらは、本業で働く以外にパートやアルバイトという形で別の会社で働き、そこからも給料をもらうという場合になります。派遣会社に登録して、派遣先で働いて派遣元から給料をもらう場合もこのパターンになります。この場合には、年間収入が20万円を超えれば確定申告が必要になると判断しましょう。月あたりですと1万6千円強ですね。すぐに超えてしまうような金額です。なぜかというと、給与で副業収入をもらっている場合には「収入=所得」ですので、収入が20万円を超えれば確定申告の対象になってしまうからです。副業が給与以外の場合の目安これが、副業が個人事業といった給与以外での収入ということになると話が変わってきます。なぜなら、確定申告が必要なのはあくまでも所得が20万円以下だからです。そして、給与以外であれば「収入ー経費=所得」という考え方が効いてきます。つまり、収入が20万円を超えたとしても、経費が多ければ所得を20万円以下に収めることができます。すると、確定申告が不要になるというわけです。これはお得ですね。だからといって、経費にならないものまで経費にしてしまうことはNGです。あくまでも常識の範囲内で経費を計上しましょう。ただし、逆に経費になるべき費用なのに、確証がないために経費にできなかったというのでは非常にもったいないです。経費にできそうな領収書やレシートは普段から集めておくようにしましょう。不要と思っても確定申告をするメリットでは、確定申告はできればしないほうがいいのかというと、そうとも言い切れないのが悩ましいところです。実は、確定申告が不要と思われる場合であっても、場合によっては申告をしたほうがよいケースも存在します。それはどんなときなのかというと、給与や法人からもらう報酬などの場合で、源泉徴収された報酬を受け取るケースです。例えば、サラリーマンをやりながらクラウドソーシングサイトに登録して、そこで法人からの案件を請け負うと、受け取る報酬は源泉徴収がされています。このケースでは、確定申告をしなければ源泉徴収されたままです。確定申告をすると、場合によっては源泉徴収された額が引かれすぎていると判明して、いくらか戻ってくることがあります。なので、確定申告は避けるべきとは必ずしも言い切れません。給与以外の副業での所得の仕組み一口で副業といっても、その中には色々な種類の仕事があります。そして、副業の種類によって所得を計算する方法はさまざまです。ここでは、主な副業について所得の計上方法を見てみましょう。下記の4つの所得について取り上げます。パート・アルバイトなどの給与所得原稿料・アフィリエイトなどの雑所得不動産賃貸の不動産所得事業を行っている事業所得[adsense_middle]1.パート・アルバイトなどの給与所得まずは、先ほども出てきたパート・アルバイトなどです。この場合には、本業・副業ともに給与所得に分類されます。ということで、本業と副業の1年間の収入を合算して、そこから給与所得控除を差し引いたものが給与所得金額となります。つまり、「給与所得金額=年間の給与合計額ー給与所得控除」となります。給与所得控除とは何かというと、サラリーマンには経費をいちいち計上するのではなく、一定分を経費とみなして差し引くという控除の仕方がなされます。それを給与所得控除といい、サラリーマンはいちいち経費のことを考える必要がないわけです。なので、会社から源泉徴収票をもらうときには、給与所得控除された給与所得金額が掲載されています。確定申告の際には、その額を足し合わせて転記するだけでOKです。2.ライターやブログなどの雑所得次に、サラリーマンをしながらライターの仕事をして原稿料を得たり、ブログを運営してアフィリエイトの収入を得たりしたケースです。この場合には、本業は給与所得で副業は雑所得になります。この雑所得は、「雑所得金額=売上ー経費」で計算されます。この売上金額や経費の金額については、自分で計算する必要があります。雑所得の売上を立てるのにかかった費用を適切に計上するようにしましょう。ただし、雑所得の場合には一点注意すべきことがあります。ほかの所得と違い、雑所得は損になった場合、ほかの所得と合算ができないという点です。その場合には雑所得の税金が0となり、給与所得はそのまま計算されます。3.不動産賃貸は不動産所得かなりの資産を有しているサラリーマンの場合になりますが、マンションやアパートを所有していて、その物件を賃貸に出している場合には不動産所得の対象となります。やはり「売上ー経費」で所得を出しますが、先ほどの雑所得よりもお得な特典があります。青色申告特別控除確定申告に青色申告を適用した場合には、青色申告特別控除を使うことができます。複式簿記を記帳して貸借対照表・損益計算書を確定申告の際に添付すると65万円の、それ以外の場合には10万円の控除を受けることができます。せっかくですから、ここは65万円の控除を受けたいですね。しっかり条件を満たしましょう。ということで、この場合には本業の給与所得の金額と合算するのは、「不動産所得金額=売上ー経費ー青色申告特別控除」ということになります。4.継続して事業を行っている場合は事業所得クラウドソーシングや内職などの個人事業を毎年継続して行っている場合には、事業所得と判断されることとなります。ただし、サラリーマンの場合は継続した仕事であると税務署に認められる必要があります。認められない場合には「雑所得」になりますので、どうしても事業所得として認めてもらいたい場合には事前に税理士に相談してみましょう。事業所得と認められた場合、不動産所得と同じく青色申告特別控除を使うことができます。なので、総所得は給与所得に「事業所得=売上ー経費ー青色申告特別控除」を合算した金額になります。副業を合わせた税金の計算方法所得の算出の仕方はこれまで述べた通りですが、最終的にはそこから所得税を計算する必要があります。数字に弱い人であれば「もうついていけない」と逃げ出したくなるかもしれません。しかし、心配は無用です。所得を算出すれば、あとはWebサイトに必要項目を入力するだけで計算は自動で行ってくれます。電卓をたたく必要はほとんどありません。ただし、どのような方法で所得税が算出されるのかを把握しておくと、支払う税金にも納得感が出るというものです。ということで、ここではサラリーマンが副業をした場合の税金の計算について述べていきます。[adsense_middle]それぞれの収入から所得を計算して合算まずは、本業と副業それぞれの所得を合算していきます。そして、税金を算出するもとになる総所得の金額を決定します。ここで、もしも副業のほうで所得がマイナスになっていたら、その分の通算をすることができます。ただし、先ほども言ったように雑所得はマイナスの通算ができません。この点には気をつけましょう。所得合計金額から所得控除を除く次に、総所得金額から所得控除を引いていきます。まずは、全ての人に与えられる基礎控除38万円を差し引くことができます。あとは人それぞれですが、代表的なものでは医療費控除や生命保険料、地震保険料、社会保険料の控除などがあります。ただ、こういった控除は病院へ行ったり保険に入っていたりするだけでは自動的に控除されません。確定申告の際に自分で申告し、場合によっては税務署に確証を提出する必要があります。また、提出しなくても確証は一定期間保存しておかなければなりませんので注意しましょう。税率を掛けて所得税を計算ここまでで算出された課税対象所得に、所得税率を掛けて所得税額を計算することになります。「課税総所得金額×税率-控除額」で計算されますが、この計算は自動で行われます。最後に、住宅ローン控除といった税額控除を差し引き、復興特別所得税を加えた金額が納付する所得税となります。ただし、実際には源泉徴収されている所得については差額を納付し、払いすぎていたら還付を受けることになります。所得税を納税する納付する必要がある場合には、その金額を税務署へ支払いに行くだけになります。まずは確定申告で申告して、実際に税務署から通知が来て納付を行います。納付する方法には、実際に現金を支払う現金納付と、引き落としをする振替納付があります。副業と所得税に関するまとめ副業と所得税について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?一般に、サラリーマンが副業をしても、年間所得20万円までは確定申告が不要で所得税はかかりません。また、副業の種類によって所得の計算方法は異なります。「副業をしてみたい、でも税金は取られたくない」という人は、まずは年間所得20万円以下の枠内でトライしてみましょう!
2020年06月15日火災保険の保険の対象には建物だけでなく、家財があります。例えば、火事で建物が全焼した場合、建物の再建だけでなく、家電や家具などの家財も1から揃えなくてはなりません。食器や衣服などを含めると一体いくらくらいかかるのでしょうか。今回は家財の保険の過不足のない保険金額と選び方のコツをお伝えします。家財に必要な保険金額の目安は平均するといくらくらい?そもそも家財の保険は必要?住宅ローンを組んでマイホームを取得する場合、銀行などの金融機関から火災保険の加入を義務付けられることがほとんどです。その際、金融機関はローンで貸している建物のお金を火災保険で担保できればいいと考えるため、金融機関が提案する火災保険は建物のみの補償になっている場合が多いです。だからといって家財保険はいらないかというと、そうではありません。火事で建物が全焼した場合に、家財一式を預貯金で全部揃えるのは難しいでしょう。そのため、金融機関で建物のみの火災保険に加入した場合、それとは別に家財の保険に加入する必要があります。火災保険の加入が必須でも、金融機関から加入することまでは義務ではありません。できれば自分で、建物と家財に対して最適な補償がなされる火災保険に加入するようにしましょう。家財の保険金額を決める評価方法では、家財にはいくらの保険金額(補償額)を設定するのがいいのでしょうか。一番いいのは、所有する家財の主なものを新規に買った場合の金額を合計していく方法です。1人暮らしで家財の少ない人なら、簡単に求められるでしょう。しかし、年齢が上がったり、家族の人数が多くなったりすると持ち物は増えますし、いちいち計算するのは面倒です。そこで、世帯主の年齢や家族構成で保険金額を決める「簡易評価」という方法があります。簡易評価は保険会社によって違いはあるものの、平均的な金額を知ることができます。この金額をそのまま使ってもいいですし、家庭の状況によって調整してもいいでしょう。家財の保険金額の目安以下、ある保険会社の2020年4月現在の簡易評価です。筆者の感覚ですと、若干高すぎる印象です。極端に減らすことはおすすめしませんが、大雑把に主な家電や家具の金額を見積もって調整したほうが保険料も抑えられます。ちなみに単身世帯の場合、300万円がひとつの目安です。住宅のタイプ別に見る保険料・補償のポイント一戸建ての持ち家で新築の場合一戸建てを新築した場合、家具などは新しいものを揃える場合も多いでしょう。また、それまで住んでいた住居より広いスペースになる場合がほとんどで、必然的に家財道具も多くなる傾向にあります。保険料を抑えるために低い保険金額にしたいという人も多いのですが、「4人家族で300万円」など、あまりに低い設定はおすすめできません。一戸建ての持ち家で新築以外の場合新築以外ですと、新規だけでなく既加入の火災保険を更新する場合もあります。家族構成の変化も考えられますので、家財の保険金額は考え直すタイミングです。家財は増えても不用品ばかり、などというケースも見られます。現在使っていて、なくなったら買わなくてはならないものだけを保険金額として設定しましょう。分譲マンションの場合マンションの火災保険の場合、注意したいのは補償範囲です。一戸建てにないリスクに水濡れがあります。給排水管の水漏れは建物にも家財にも損害が及びます。水濡れを補償範囲に入れることを忘れないようにしましょう。アパート、マンションなどの賃貸住宅の場合賃貸住宅の居住者が火災保険に加入する場合、建物の補償は必要ありません。家財と借家人賠償が最低限の補償になります。家財保険の選び方のポイント[adsense_middle]「新価」と「時価」なら新価を選ぶ火災保険における建物や家財の評価の算定基準に、「新価」と「時価」があります。通常、新規で火災保険に加入する場合の保険金額は、特に指定しなければ「新価」で契約されています。「新価」とは、建物や家財を新しく調達しなおすのに必要な金額のことです。保険金額が新価で設定してあれば、火災で建物が全焼して家財をすべて失っても、保険金で新たに調達しなおすことができます。これに対し、「時価」とは経年劣化を考慮した保険の対象の評価額を言います。「時価」方式で火災保険を契約すると、保険金を受け取るときに、損害を受けた家財を元に戻すことができなくなります。もし、既に契約している火災保険が「時価」方式である場合、早めに契約しなおしましょう。補償範囲を適切に選択する火災保険の補償の対象になるのは火災だけではありません。基本的な自然災害以外にも、さまざまなリスクが補償対象になっています。当然、補償範囲が広ければ保険料も高くなりますので、どこまでをカバーすべきかよく検討しましょう。火災・落雷・破裂または爆発風災・雹災・雪災水災建物外部からの物体の衝突等水濡れ騒擾または労働争議等盗難不測かつ突発的な事故(汚損・破損等)火災・落雷・破裂または爆発火災保険の補償で外すことのできない基本の「き」です。日本では「失火責任法」により、もらい火の火事は損害賠償請求ができないことになっています。自分で火事を起こした場合も、もらい火の場合も、自分の火災保険の補償が必要になります。落雷の場合は、家の電気設備や家電などがショートしたときなどに補償されます。破裂や爆発は漏れたガスに引火して爆発した場合などです。風災・雹災・雪災強風・雹・雪などによる損害の補償です。雹で窓ガラスが割れた場合などに補償されます。水災台風や暴風雨によって洪水や土砂崩れが起きた場合の補償です。大雨による河川の氾濫で床上浸水した場合などが該当します。水災は付けるか付けないかで保険料が大きく変わる補償です。ハザードマップなどを確認し、水害の心配のない地域やマンションの高層階の場合は外して保険料を抑えてもいいでしょう。ただし、明らかに川の近くに建物がある場合などは必須の補償です。建物外部からの物体の衝突等建物の外部からの物体による損害の補償です。例えば、家にクルマで突っ込まれた場合などが該当します。水濡れ漏水などによる水濡れの損害の補償です。給排水設備の故障で部屋が水浸しになったり、マンションの上階からの水漏れで部屋が濡れてしまったりした場合などに補償されます。騒擾または労働争議等騒擾や集団での暴力・破壊行為の損害を補償します。暴動に巻き込まれて家を壊された場合などが該当します。盗難盗難にともなう盗取・損傷・汚損による損害を補償します。泥棒に窓ガラスを破られた場合や金銭を盗まれた場合に補償されます。不測かつ突発的な事故(汚損・破損等)不測かつ突発的な事故により、保険の対象が損害を受けた場合です。簡単に言うと、自分のミスで建物や家財を壊してしまった場合の補償です。小さいお子さんやペットがいるご家庭などは付けておくといいかもしれません。汚損・破損は使いようによっては便利な補償「買ったばかりのパソコンを落として壊してしまった」などという場合、家財保険に汚損・破損の補償が付いていれば補償の対象になります。汚損・破損は火災保険の中でも使われる頻度が高い保障です。自分のうっかりミスで建物や家財を壊してしまうことは、大人の場合は少ないかもしれません。でも、よちよち歩きのお子さんがいるご家庭なら、いたずらなど思いがけないことが起こる可能性が高いです。もちろん保険料はかかりますが、たいていの場合、1回の保険金請求で保険料をペイできます。複数の保険会社の見積もりを取る家財保険に限らず、すべての保険に言えることですが、加入を検討する場合は必ず複数社の見積もりを比較しましょう。例えば、上記の汚損・破損の補償を付けたいけれど保険料が高くて諦めていた場合、別の保険会社なら予算内に収まる、などということはよくあることです。ただし、安く見えても補償内容が同じ条件でない場合もあります。比較する場合は費用の補償などを含めて同じ条件で比較するようにしましょう。家財保険の相場のまとめ適正な保険金額がわかりにくい家財保険ですが、「簡易評価」を参考にすれば、簡単だということがわかりました。多くの場合、「簡易評価」による保険金額は高めなので、「簡易評価」を上限としてちょうどいい金額を設定するといいでしょう。また、加入を検討する際には複数の保険会社の商品を比較するようにしましょう。
2020年06月11日介護保険は、40歳以上の方は全員加入する必要があります。加入している健康保険の形態によって納付方法は違いますが、毎月必ず保険料を納付します。では、納めた介護保険料によって、私たちはどのような介護サービスを、どのような自己負担額で受けることができるのでしょうか。本記事では、介護保険料の自己負担額についてを軸として、介護保険制度全体についても解説していきます。介護保険制度とは介護保険制度は、市町村による運営です。40歳以上になると、必ず加入・保険料の納付の義務があります。保険料の徴収方法は、加入している健康保険によって違います。国民健康保険加入の方であれば、毎月払っている国民健康保険料に、介護保険料が上乗せされた金額を納付します。社会保険加入の方は、毎月のお給料から給与天引きされ、自動的に納付を済ませることができます。年金受給者の方は「特別徴収」という納付方法が一般的です。特別徴収とは、2カ月に1回支払われる公的年金から、あらかじめ介護保険料を差し引くものです。社会保険加入者の「給与天引き」のシステムと似ています。介護保険制度上の区分介護保険制度上では、被保険者を2つに区分します。以下、表にまとめますのでご参照ください。16種の特定疾病とは、末期がん、関節リウマチ等、一般的に加齢に伴い発症しやすい疾病を定めたものです。第2号被保険者では、この決められた16種に該当しなければ、介護保険を利用することができません。介護保険料の計算方法上の表でまとめたとおり、介護保険の被保険者は2つの区分に分けられます。被保険者ごとの介護保険料の計算方法は以下のとおりです。第1号被保険者運営している市町村が条例で定めた基準額に、所得に応じた保険料率をかけたものが介護保険料となります。第2号被保険者会社員など、介護保険料が給与天引きで徴収されている場合は、標準報酬額(標準賞与額も含む)に介護保険料率を掛け合わせたものが、介護保険料となります。国民健康保険加入の方は、お住まいの地域の市町村によって所定の介護保険料算定基準がありますので、市町村ホームページなどでご確認ください。概算の一覧表を掲載している市町村もあります。自己負担額の決め方介護保険における自己負担額とは、介護保険制度を適用した後の実際の利用料のうち、被保険者が負担する金額のことです。一般的に、介護保険の自己負担額は「1割」です。詳しくは後述しますが、所得に応じて「2割負担」または「3割負担」となる場合もあります。介護の度合いに応じた自己負担額要支援、要介護と認定された場合、認定された支援度、介護度に応じた介護サービスの範囲が決められます。これを「支給限度額」と呼びます。この「支給限度額」を超えた料金や、そもそも介護サービスの範囲外で利用した料金に関しては、全額自己負担となりますので必ず事前に確認しましょう。【参考】介護サービスの種類介護保険が適用される介護サービスには、大きく3種類があります。「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」です。「居宅サービス」とは、ご自宅に住んだままで受けられる介護サービスです。(例・訪問、通所、短期入所など)「施設サービス」とは、施設に入居している被保険者に対して行う介護サービスです。「地域密着型サービス」とは、住んでいる地域で受けられる居宅サービスと施設サービスの中間のようなイメージです。地域密着型サービスは、2006年の介護保険法の改正により新設された介護サービスです。介護が必要になった高齢者が、住み慣れた地域を離れずに介護サービスの提供を受けることができるようにという意図が込められています。なお、認知症対応のサービスも、この地域密着型サービスに含まれています。7種類の区分に応じた限度額実際に要支援・要介護と認定され、介護保険が適用される場合、介護保険対象者の認定された区分に応じて、受けられる介護サービスの利用限度額が違います。(要支援1から要介護5までの7区分に分けられます。)厚生労働省ホームページ「区分支給基準限度額」を参考に、区分と利用限度額を一覧にまとめますので、ご参考になさってください。介護費用を準備するポイント上記のように、支援や介護の度合いによって上限額はさまざまです。自己負担がほぼない、あるいは自己負担額が少額で済む場合でも、介護の長期化により経済的な不安は増すことが予想されます。特に第2号被保険者に該当する40歳~65歳といえば、働き盛りの時期です。まだマイホームを建てたばかりの場合や、お子さんに教育費がかかる場合もあるでしょう。これらのリスクに備え、民間の生命保険の介護特約などでリスクに備えておくことも検討するとよいでしょう。また、金融機関によっては、所定の介護状態になった場合に住宅ローンの残高がゼロになる商品もあります。これからマイホーム購入を検討する場合は、こちらもあわせて調べておくと安心ですね。[adsense_middle]自己負担率に応じた自己負担額上記でまとめた「限度額」のうち、所定の割合を自己負担することになります。たとえば、限度額50,030円の「要支援1」と認定され、1割負担に該当する被保険者である場合、自己負担額は5,003円ということになります。この自己負担率(自己負担の割合)は一定の決まりの上で算定されています。実際の自己負担率は、被保険者の「介護保険負担割合証」が手元に届いてから確認できます。本記事で紹介する負担率については、あくまで目安としてお使いください。65歳以上の第1号被保険者の場合、以下の概要にそって負担割合が定められます。40歳から65歳の第2号被保険者、非課税世帯の負担割合は一律「1割負担」です。一割負担二割負担三割負担介護保険における自己負担額・まとめ介護保険の自己負担額については、支援や介護の度合いと、被保険者の負担率によって決まります。要支援1から要介護5のうち、認定された区分の利用限度額のうち、さらに所得で分けられた負担割合に応じて、自己負担額が算定されます。正式な数字は「介護保険負担割合証」が届いてからではないとはっきりしませんが、1つの目安として本記事を参考にしていただければ、と思います。
2020年06月08日現在会社に勤めていてこれから副業をしてみようと考えている人や、最近複数の仕事を始めた人は、「副業をしたら税金はどうしたらいいのかな?」と、今後の税金の支払いについて心配をしているかもしれません。働き方のパターンは人それぞれですが、いずれの場合でも税金はすべて確定申告をして支払うことになります。ポイントを押さえてしまえば確定申告は決して難しくはありませんが、思わぬところでつまずいてしまうこともあります。この記事では、個人事業主の働き方ごとの所得の計算方法、確定申告の仕方および注意点について解説していきます。個人事業主の副業のパターンとは?収入別の所得計算方法について副業をした際の税金の計算の仕方・確定申告のやり方について本やネットで調べていても、なんだかモヤモヤして、いまいち腑に落ちないような気がする人がいるかもしれません。その理由は、先ほど申し上げた「働き方のパターンは人それぞれ」だからです。本当に自分はここで述べられているケースに当てはまるのかな、と感じてしまうわけです。収入の内訳はいろいろなパターンに分かれているため、まずパターン別の所得の計算方法をきちんと理解することで、「ああ自分はこのパターンに当てはまるな」と納得していただけると思います。ということで、まずはパターン別の所得の計算のやり方について述べていきます。ちなみに、収入とは勤務先やクライアントからもらう金額そのもののことで、そこから控除や経費を差し引いた金額を所得といいます。そして、税金は所得をもとに算出されます。収入を得るパターンはいろいろでも、副業をしていれば基本的には全員が確定申告をすることになります。1.給与所得者が副業を始めて個人事業主を兼業する場合などまずは、普通にサラリーマンをしている人が副業をする場合です。この副業にも2種類あって、別の会社でダブルワークをする場合と、個人事業者としてクラウドソーシングなどで事業をする場合があります。ダブルワークをしている場合、本業の会社と副業の会社それぞれから源泉徴収票を毎年受け取りますので、それぞれの「給与収入ー給与所得控除額」で給与所得を算出します。そして、確定申告時にそれぞれを合算することになります。ちなみに、いちいち「給与収入ー給与所得控除額」を計算しなくても、国税庁のWebサイトに収入額その他を入力すれば自動的に給与所得を計算してくれますので、「給与所得控除額って?」と悩む必要はありません。副業で個人事業をする場合また、副業で個人事業をする場合には、副業は事業所得となり「収入金額ー必要経費」で所得を計算します。こちらは、源泉徴収票のようにまとまった書類がない場合も多いので、自分で計算して算出する必要があります。そして、本業の給与所得と副業の事業所得を合算して確定申告する、という手順になります。給与所得者は確定申告をしなくてもよい場合もあるただし、このケースでは唯一「確定申告をしなくてもいい」という例外があります。実は給与所得者の場合、「副業の所得が年間20万円以下の場合には確定申告をしなくてもよい」というルールが存在しています。収入ではなく所得が20万円以下ですので、副業で30万円収入があっても経費が11万円かかったら確定申告は不要となります。2.個人事業主・フリーランスが副業として給与収入を得る場合こちらは、会社を脱サラした人などが個人事業主として活動しているが、副業としてパートやアルバイトのような形で会社で仕事をする、という場合です。この場合、所得の計算としては、先ほどの会社勤めをしている人が個人事業者として事業をしているケースと同じになります。何が違うのかというと、単に給与所得と事業所得の金額の大小だけです。ただし、この場合には源泉徴収に注意が必要です。ここでわざわざフリーランスと書いたのは、フリーランスでこの問題が発生しやすいからです。フリーランスの方は、自分では個人事業主として営業していると思っているかもしれません。しかし、たとえばクラウドソーシングサイトで仕事を獲得するウェブライターなどの場合、クライアントは個人の場合と法人の場合があります。実は法人の仕事を請け負っている場合、事業所得であるにもかかわらず収入から給与所得のように源泉徴収されているんです。したがって、確定申告で事業所得を計算する場合、法人から受け取っている報酬に源泉徴収額を加えたものが収入となります。ここは間違いやすいので注意しましょう。なお、ここで源泉徴収として加えた金額は、税金計算の際には差し引いて計算されますので決して損にはなりません。3.個人事業主が本業以外の事業を副業として行う場合最後に、個人事業主が副業として別の事業を始めた、という場合もあります。ただ、この場合にはあまり本業・副業の区別に意味はありません。それぞれの収入から経費を差し引いて事業所得を出し、それらを合算して確定申告するだけとなります。副業をした場合の税金を確定申告で申告する方法それでは、副業をした場合にはどのように確定申告を進めていけばいいのでしょうか?実は、副業をしていれば合算の手間がかかるだけで、あとは通常の確定申告と何も変わりません。そして合算で一番わかりにくいのは収入の部分ですが、それはこれまで説明した通りです。ただ、副業をして初めての確定申告を迎える場合、税務署から「確定申告をしてください」といった案内はきませんので注意しましょう。申告をして初めて、「この人は確定申告の対象」と税務署が認識することになります。なので、2回目からは案内をもらえる場合があります。ちなみに、確定申告は所得税に関する申告で、住民税とは別です。ただし、確定申告すればその情報が住民税の方にも送られるので、失業中で申告する所得がないなどの場合を除き、住民税の申告をする必要はありません。確定申告は、下記の手順で進めていきます。事前に白色申告か青色申告かを決めておく確定申告書を入手する収支内訳書を作成する確定申告書の作成・提出以下で、それぞれについて見ていきましょう。[adsense_middle]白色申告と青色申告のどちらで納税するかを決定経理について詳しい人なら最初から青色申告してもいいでしょうが、副業を始めたばかりの人には帳簿作成などのハードルが高いので、最初は白色申告をするのをお勧めします。ということで、ここでは白色申告の仕方について述べていきます。確定申告書を入手まずは申告する書類がないと始まりませんので、確定申告書を入手しましょう。入手方法には以下の3つの方法があります。税務署などに行って、直接入手税務署に連絡して郵送してもらう国税庁のWebサイトからダウンロードただし、おすすめは何といってもサイト経由です。作業はWeb上で完結し、他帳簿の転記も自動で行ってくれます。このあとの説明もWebベースとなります。収支内訳書を作成次に、確定申告書の中の収支内訳表を作成します。副業をしている場合には、所得を受け取った会社やクライアントごとに収入や経費などを記入していきます。相手先の住所までいちいち記入しなければならないので、数十社と仕事をしている人などは相当面倒な作業になります。さらに個人事業の場合、相手先が源泉徴収票などのきっちりとした書類をくれないケースもあるため、自分で資料を作成して金額を算出する必要があります。初めて確定申告をする場合にはあまりの煩雑さに心が折れそうになるかもしれませんが、実はここがヤマですので、ここさえ乗り越えればあとは楽です。また、申告の時に大変にならないように毎月管理をしておくことがおすすめです。確定申告書の作成・提出収支内訳表さえ作成してしまえば、所得の金額などは確定申告書の必要な部分に自動的に転記されていきます。あとは医療費、生命保険、社会保険費といった控除項目に金額を入力していきます。そして、人によっては雑所得・雑損などに金額を入力して完成させます。そのあと、データを保存して印刷し、税務署に提出します。どの税務署に持っていくかは、Web上に自動表示されます。マイナンバーカードを持っていれば、e-TAXで電子的に送付することもできます。確定申告する際の注意事項確定申告の大まかなやり方はこれまで述べてきたことに尽きるのですが、そうはいっても初めて申告をする場合にはいろいろと注意しておいた方がいい点もあります。そこで、以下では確定申告に関する注意事項について解説いたします。[adsense_middle]会社を退職した人はサラリーマン時代の所得や退職金も申告する年の途中で会社を退職して個人事業主になった人は、サラリーマン時代の所得も含めて確定申告をする必要があります。退職した際に受け取る源泉徴収票は大事に取っておきましょう。また、退職金については退職所得として申告する必要があるので覚えておきましょう。申告期限に注意!申告開始日と申告期限は忘れないようにメモなどしておくことをおすすめします。税金を支払うのではなく、支払い過ぎていて還付を受けられる場合には、申告開始日を待たずに年明けすぐから申告ができます。万が一申告期限に遅れてしまった場合、税金に延滞金などが加算されてしまいます。遅れに気づいたら、税務署から通告される前に支払いに行くと、少し加算金が安くなる場合もあります。医療費控除できるのは10万円以上?また、確定申告で医療費控除ができるのは医療費が10万円以上のときと思っている人が多いですが、実は所得が200万円以下の場合、所得の5%を超える部分を控除できます。退職して個人事業主になったばかりのときは、副業しても所得が200万円を超えない場合もありますので、間違えないようにしましょう。いずれは青色申告者として登録しようここでは白色申告の話をしましたが、経験を積んで収入が増えてきたら青色申告にチャレンジしましょう。帳簿作りは大変ですが、白色申告にはない控除などの特典があります。何も届けなければ白色申告になりますが、青色申告の登録をするには期限までに申請書を税務署に提出する必要があります。まとめ:個人事業主の副業について個人事業主と副業について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?個人事業主が副業をするといっても、サラリーマンが副業で個人事業主をやることから、個人事業主が副業する場合までさまざまなケースがあり、それぞれの働き方に応じて所得の計算方法があります。ただし、いずれの場合にも最終的には確定申告をすることになり、そのやり方もほぼ同じです。ただし、特に初めて申告する場合には注意すべき点もあります。「確定申告することになるのか」と思うと、サラリーマンの方はなかなか副業に踏み切れないかもしれません。でも、ポイントさえ押さえれば確定申告は決して難しくはありません。自分にやりたいことがあれば、ぜひ副業にチャレンジしましょう!
2020年06月07日今回のテーマは【介護保険料】です。20代、30代の方は「まだまだ先だ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。40代以降の方はすでに支払っている状況で、大変身近に感じるのではないでしょうか。本記事では【介護保険料】の支払いなど、実際の制度全体についてわかりやすくまとめていきます。ぜひ参考になさってください。介護保険制度の概要介護保険制度の概要について、簡単にご紹介します。介護保険制度とは介護保険制度とは、40歳以上の健康保険加入が対象となり、必ず加入しなければならないものです。要介護状態、要支援状態になり介護サービスを利用する際には、収入に応じた自己負担額で必要に応じた介護サービスを受けることになります。加入者区分は年齢に応じて2つ介護保険は強制加入ですが、年齢に応じて2つの区分にわけられます。また、それぞれの区分によって、どのような場合に介護保険を利用できるのかも違います。以下、表にまとめますのでご確認ください。第2号被保険者が、介護保険を適用したサービスを利用する場合の16種の特定疾病とは、末期がん、関節リウマチ、パーキンソン病関連疾患などがあります。この16種類は、主に加齢が原因で発症しやすいとされている病気です。これらを理由として要支援・要介護状態に該当した場合にのみ、公的介護保険サービスを受けることができます。自己負担額65歳以上の方で、公的介護制度を利用した介護サービスを受ける際、ほとんどの場合が自己負担額は1割です。中には、所得に応じて2割や3割の負担となる場合もあります。65歳以上の年金受給者の方で、お1人暮らしの方は以下のように区分されます。年金収入とその他の所得の合計が年間280万円以上340万円未満…2割負担年金収入とその他の所得の合計が年間340万円以上…3割負担ご夫婦2人暮らしの場合は以下のとおりです。年金収入とその他の所得の合計が年間346万円以上…2割負担年金収入とその他の所得の合計が年間463万円以上…3割負担支払い開始の時期・納付方法支払い開始の時期40歳になると必ず加入しなければならない介護保険制度ですが、40歳の「いつ」から支払いが開始するのでしょうか。定義として【満40歳に達したとき】となっています。具体的には、40歳の誕生日の前日を基準とし、その日の属する月から介護保険料の支払いが開始します。6月5日が誕生日の方は、誕生日の前日である6月4日の属する月から介護保険料の支払い開始なので、6月分からスタートということになります。納付方法現在働いている世代の方の納付方法は、主に2つあります。1つは自営業者などの方で「国民健康保険に上乗せして納付」、もう1つは、会社員や公務員の方で「給料天引き」です。また、すでにリタイア後の方で公的年金を受給している方は、あらかじめ介護保険料を天引きされ、その残りの額を年金として受給します。社会保険料控除の対象納付した介護保険料は、確定申告などの場合に社会保険料控除の対象となります。社会保険料控除とは、実際に納付した全額が所得控除となります。社会保険料控除では、同一生計の配偶者や親族の分も同時に控除対象とすることができます。ただし、公的年金受給者の方で、受給している年金から天引きされている場合は、年金受給者ご本人のみの控除となり、ほかと合算することはできません。ケース1:国民健康保険加入者国民健康保険に加入している方は、介護保険料を「国民健康保険料に上乗せ」して支払います。年度の途中で誕生日を迎えた場合は、介護保険料が上乗せされた新しい納付書が送付されて手元に届きます。すでに手元に届いている国民健康保険の納付書は使わず、介護保険料が上乗せされた新たな納付書で国民健康保険料を納付すれば、介護保険料も同時に支払ったことになります。自営業者などが対象国民健康保険に加入しているのは、自営業者や、社会保険の加入条件を満たさないパートやアルバイトの方です。[adsense_middle]ケース2:社会保険加入者社会保険に加入している方は、勤務先から毎月の給与をもらう際に、介護保険料が天引きされます。会社員・公務員が対象社会保険に加入しているのは、企業や団体にお勤めの「給与所得者」の方です。健康保険料、介護保険料、厚生年金なども給与から天引きされる場合がほとんどです。毎月天引きされるため、年金や各種保険料などの滞納の恐れがないので安心です。ケース3:年金受給者年金を受給するようになれば、本来受け取る年金受給額から、あらかじめ介護保険料を差し引いた額が、2カ月に1度の年金受給日に振り込まれます。これを「特別徴収」と言います。一般的に65歳以降の年金受給者の方が、その都度介護保険料を払い込みに行く手間や負担を減らすために、年金からあらかじめ差し引く徴収方法をとっています。「特別徴収」とは言いますが、ほとんどの場合はこの支払い方法です。「特別徴収」のほかに、「普通徴収」と言う支払い方法もあり、こちらは天引きではなく払込票によってその都度払い込む方法です。一定の基準を満たせば、年金受給者の方でも普通徴収とすることができる場合もありますが、お住まいの行政に相談が必要です。払えなかったらどうなる?年金受給者の方で「特別徴収」として天引きされている場合や、社会保険加入者で「給与天引き」されている方は、毎回自動的に差し引かれているので未納や滞納の恐れはほとんどないと言えます。しかし、年金受給者の方で「普通徴収」としてご自身で払い込む方法の方や、国民健康保険加入の方で、払込票により毎回支払っている方の場合は、事情により滞納する場合も考えられます。滞納はデメリットしかない介護保険料の滞納は、デメリットしかありません。まず、本来受けられるはずの介護サービスが、一部しか利用できないことがあります。さらに、延滞金が加算されますので、当初の介護保険料よりも金銭的な負担が大きくなります。滞納は2年までであれば、延滞金を加算した額で「追納」ができますが、2年以上経つと「未納」となり、遡って追納することができなくなります。このことで、本来受けられる介護サービスに制限がかかったり、自己負担割合の引き上げ対象となります。また、高額介護サービス費の払い戻しも受けられなくなるなど、本当に介護支援が必要になったときに金銭的な負担が大きくなります。払込票で支払う方は、払込を失念しないよう気をつけましょう。国民健康保険料を納付している方は、納付書払いではなく、銀行口座からの自動引き落としを利用することをおすすめします。介護保険料をいつから払うかに関するまとめ介護保険は、40歳になったら必ず加入しなければならない制度です。国民健康保険に加入している方は、介護保険料が上乗せされた新しい納付書が届くことで、ご自身が介護保険の対象になったことにお気づきになるかと思います。社会保険加入の会社員、公務員の方は給与天引きなので通知が来てもあまりピンとこない場合もあるかもしれません。しかし、どなたでも40歳以上では必ず支払うことになっており、将来ご自身が介護サービスを受ける際の手助けとなります。介護保険料は年々上がる仕組みですので、年齢が上がれば保険料が負担になることもあるかもしれません。しかし、滞納や未納はデメリットしかありません。ご自身の将来の安心のために、払い漏れがないように心がけましょう。
2020年06月07日税金にはさまざまな種類がありますが、中でも住民税については、サラリーマンの場合は給与から天引きされて納税していることもあり、いまいち金額が理解できていないという方が多いようです。そこで本記事では、住民税の特徴や計算方法について詳しく解説します。住民税の金額と所得の関係とは住民税は所得割と均等割の2つに区分されているそもそも住民税とは、厳密にいうと都道府県民税と市町村民税を合わせたもので、地方税法に基づいて各市町村が一括で徴収します。ただ、自分自身がいくら課税されているのか、どういう計算で税額が決定されているのかについては、いまいち理解できていないまま納税している人が多いのではないでしょうか。実は住民税は所得割と均等割という2つに区分されており、それぞれ計算をしたうえで合算した金額がその人の納税すべき住民税となるのです。所得割の計算方法所得割の計算方法と課税対象所得所得割とは住民税のうち、その人の所得に応じて税額が変動する部分のことをいいます。所得とは、その人が1月1日から12月31日までの間に得た収入から必要経費や所得控除を差し引いたあとの金額のことです。例えばサラリーマンの場合は、社会保険料控除、基礎控除、住宅ローン控除、医療費控除、生命保険料控除などがありますので、それらを差し引いたあとの金額に対して住民税が課税されます。税率は地域によって若干の違いはありますが、東京都の場合は都民税4%、区市町村民税6%で、概算では区や市によって大きな違いはありません。市によって基準となる税率は違うのか住民税の税率については全国統一の基準ではないので、都道府県や市町村によって若干のずれがあります。ただ、違ったとしても小数点以下の小さな変動だけなので、概ねどの地域でも合計で10%程度と認識していれば大きくずれることはありません。むしろ、地域によって差が出ることがあるのはもう一つの均等割の方です。以下で詳しく解説します。均等割(定額で課税される割合)による住民税の地域差均等割とは、収入に左右される所得割とは違い、定額で課税される割合のことをいいます。つまり、その地域に住んでいる人の住民税のうち、均等割部分については同じ金額が課税されているということです。例えば東京都の場合、個人都民税は1,500円、個人区市町村民税の税額は3,500円となっています。ちなみに、令和5年までの間は自治体の防災対策に充てるために、均等割が500円加算されています。均等割は自治体ごとに金額を変えることが可能で、住民税の安い自治体が出てくるのはこの均等割を抑えているからです。住民税の課税関係について住民税の計算についてはなんとなくイメージができたと思いますが、そもそもどの地域の住民税が課税されるのでしょうか。実は、同じ住民税でも所得割と均等割で課税されるかどうかが変わってきます。基本的には1月1日時点において住所を置いている自治体については、所得割も均等割も課税されますが、事務所や家屋敷を持っていても、その自治体内に住所がない人について所得割は課税されず、均等割のみ課税されます。このように1月1日時点を基準に、どこに住所があるかが目安となってきます。住民税に関する注意点[adsense_middle]住民税が年によって変わる理由サラリーマンの方の中には、突然住民税の引かれる金額が大きくなって驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。住民税の金額は、上記の計算を前年の所得に用いて算出されます。順調に出世をしていて給料が上がっている人については所得割部分がどんどん増えていくので、納める住民税額も住民税から逆算すればわかる通り、上昇していくのです。よくプロ野球選手の年収が下がると、翌年の税金が大変ということをテレビなどで口にすることがありますが、これは住民税の負担が翌年にくることを意味しています。プロ野球選手に限らず、サラリーマンであっても営業職でインセンティブの占める割合が大きい人については、今年たくさん契約をとって年収が上がった場合は翌年の住民税が上がるので、上がった収入をある程度維持できるよう頑張らなければなりません。住民税が変動すると副業がバレることがある住民税の金額が年によって変化することで、実はある重大なことが会社にバレることがあります。それは副業です。就業規則の原則が変わってきていることもあり、以前は会社員が副業をするなんてことは本業の妨げになるため禁止が当たり前でした。ですが、最近では副業禁止の文言が就業規則から削除されたケースや、企業によってはむしろ副業を推奨して社員のスキルアップにつなげようとするケースなどが出てきています。ただ、中には副業を禁止している会社も未だに多くあることから、隠れてこっそり副業をしている人も増えているんです。そんな方からよく「副業すると会社にバレますか?」と聞かれることがあるのですが、残念ながら副業をすると住民税によって会社にバレます。住民税決定通知が会社に届く先ほど解説したとおり、住民税の所得割部分については本人の所得によって変動することから、副業を始めて所得が増えると住民税も増えてしまいます。住民税決定通知が会社に届いた時点で、「あれ、給与は上がっていないのに、なぜ住民税が上がっているんだろう」という状態になり、詳しく問い詰められるという結末が待っているのです。副業をしている会社員の中には、自分で確定申告しているから会社にはバレないと思っている人がたくさんいるようですが、住民税については会社に通知がいってしまうため、変動によって知られてしまうことになります。賃貸経営をしている場合も注意本格的な副業をしていなくても、いわゆる不動産投資で賃貸経営をしている人は不動産所得が発生することから、住民税が増えて会社に不審に思われる可能性があります。会社によっては不動産投資は一定規模まで容認しているケースもありますが、禁止しているケースもありえますし、そもそも副業の疑いをかけられると厄介なので、給与以外の所得が発生する場合については、事前に勤務先に伝えておく方がおすすめです。独身者の住民税はなぜ高い?独身の方の住民税は割高というイメージがありますが、なぜ独身の場合は住民税が値上がりするのでしょうか。独身だからといって住民税の税率が割高になっているわけではなく、住民税の課税対象となる所得に大きな違いがあるからです。所得控除による違い例えば独身者の場合、所得から差し引くことができる所得控除で利用できるものとしては次のようなものがあります。給与所得控除基礎控除各種保険料控除対して結婚している人については、次の控除が利用できます。配偶者控除扶養控除扶養控除は子供の人数1人当たり38万円が控除されるので、子供が多い家庭については住民税が結果的に割安になるのです。ちなみに、今の日本は少子高齢化であるとともに晩婚化が進んでいることから、独身者に対する課税を強化する動きがありますので、今後独身者に対する税負担は拡大するかもしれません。住民税を節税する方法[adsense_middle]住民税を節税できる住宅ローン控除住民税は、所得に応じて変動する所得割部分については、所得税と同じように必要経費を使ってある程度は節税できますが、均等割部分については定額のため節税はできません。また、サラリーマンの方についてはそもそも必要経費の計上ができないので、節税自体が難しいところです。そんな中、住民税を効果的に節税できるのが住宅ローン控除になります。住宅ローン控除とは住宅ローン控除とは、一定の要件を満たす物件をマイホームとして住宅ローンで購入した場合に、年末のローン残高の1%相当額の税額控除が受けられるという非常に節税効果の高い制度です。サラリーマンの場合、マイホームを購入した翌年だけ自分で確定申告をすれば、それ以降は勤務先の年末調整で対応できます。基本的には年末調整で所得税から税額控除されるのですが、人によっては全額控除しきれずに金額が余ることがあります。この場合に、残りを住民税から差し引くことができるのです。人によってはかなりの節税効果があるので、非常に魅力的といえます。住民税は還付されるのか会社員には住民税の還付が発生することも住民税の納税方法は、大きく分けて2パターンあります。会社員の場合は特別徴収といって、会社が本人の給与から住民税を天引きして納税をします。自営業者の場合は普通徴収といって、自治体から送付される納税通知書を使って納税をするのです。自営業者の場合は、自身の確定申告をベースにして税額が決まっているので還付という状況は起きにくいのですが、会社員の場合は住民税の還付が発生することがあります。先ほどの副業の部分でもお話ししましたが、副業の影響で所得が変動すると所得割部分が変動します。このとき、副業が赤字の場合は給与所得と損益通算して所得を引き下げられます。となると、本来納めるべき税額よりも多く納めていることになるので、住民税の還付が受けられるのです。住民税がかからないケースとは新型コロナウイルス感染症に関連して支給される給付金の受給要件に、住民税非課税世帯を対象としていることが時々ありますが、具体的にどのようなケースなのでしょうか。具体的には主に次に該当する人は、住民税がかかりません。1月1日時点において、生活保護を受けている人障害者、未成年者、寡婦で、前年の所得が125万円以下(給与収入なら204万4千円未満)の人前年の所得が一定の所得以下の人前年の収入が一定額以下これらいずれかに該当すると、住民税は課税されません。住民税と年収の関係に関するまとめ住民税の計算をする機会はあまりないので、どのような根拠で金額が決まっているのか知らなかった人は多いと思います。住民税は所得割と均等割があり、所得割については所得の金額によって変動することになるので、自分の年収が上がった際には翌年の住民税が上がるということを念頭に、収入を維持する努力をしましょう。今回解説した内容を覚えておけば、今後ご自分の収入が変動した際に、住民税にどの程度影響が出るのか自分で試算することも可能です。ぜひ活用してください。
2020年06月03日義父母がシンドイんです!
ネットに毒され過ぎた兄の末路
お義母さん! 味が濃すぎです