あんふぁんWebで実施した「子どもの教育費」についてのアンケート。328件の回答の中で多かった悩みは、「1人につきかかる大学までの教育費の総額はいくら?」「教育費の貯め時はいつ?」でした。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が、教育費について解説します。※2019年6月28日〜7月19日、あんふぁんWebでアンケートを実施。回答数:328件学校に支払うお金だけで、大学までオール国公立でも500万円を超える一般的にかかるとされる「教育費」には、習い事や塾などの金額も含まれていますが、今回は、純粋に幼稚園や学校だけにかかる金額を算出しています。なお、教育費は私立、国公立によって大きく違いがあります。また、給食や通学方法によっても違いが出てきます。今回は、小中学校の項目で給食費は計算に入れていません(給食そのものの有無、お住まいの地域などにより差があるため)。一覧表から分かる通り、幼稚園から大学までオール国公立の場合で500万円を超え、オール私立の場合でおよそ1600万円です。都市部で多い、私立の中高一貫校に進学するパターンでは、およそ1000万円となります。また、入学のための塾や習い事によっても、かかる費用は大きく変わってきます。さらに、大学に進学し一人暮らしをする場合には、これに生活費がプラスされます。月平均10万円程の生活費を補助すると、4年間でかかる費用はプラス480万円必要となります。ただし、きょうだいでの割引や免除や奨学金、特待生など補助もありますので、今回の算出はそのような割引きのない場合と考えてください。細かいところでは給食や通学費によっても変化し、制服など学校で必要なものがお下がりでもらえるかなどでも大きく違ってきますね。みんなはどれくらい貯めているの?「子どもの教育費のために、1人あたり毎月いくら貯めていますか?」のアンケート結果のグラフを見ると、毎月2万円以下が46%で一番多いことがわかります。これをもとに単純に計算すると、だいたい中学卒業までに、2万円×12か月×15歳=360万円は貯蓄できることになりますね。また児童手当を別途教育用の貯金にまわすと、児童手当(※3歳未満は月額1万5000円、3歳〜12歳は月額1万円、中学生は月額1万円/所得により制限あり)によって、約196万5000円は貯蓄できることになります。これらをすべて貯蓄に回すと556万5000円が中学卒業までに貯蓄できる計算となります。安心ラインは、最低あと200万円中学卒業時点ではすでに小中学校の学費を考える必要がないとすると、用意すべきは高校と大学の学費となります。アンケート結果からの試算で、約550万円を中学卒業時点で貯めていたとすると、高校はそれまで貯蓄に回していた分を当てることができそうなので、自宅から通える公立の大学なら十分に賄えることがわかります。ただし、高校・大学が私立の場合、または国公立の大学でも一人暮らしの場合は、少なくともあと200万円は必要となるでしょう。あと月1万円プラスで貯めようとする意識が大切では、貯め時はいつなのか?やはり一番は、子どもが小さい時です。子どもが小・中学生になるとよりお金がかかってくることを考えると、それより以前のできるだけ早いうちに貯め始めることが大切といえます。そして一番お金のかかるのは大学です。大学までは教育資金を崩さずに日々のやりくりで教育費をまかなうとしても、「大学入学までにあと月1万円プラスで貯めること」を目標にするとより安心です。例えば、幼児期の習い事に月1万円、2万円とかけている場合や、大きな学校外教育費となる「塾代」も、本当に必要かを見極めていくことも、教育費の総額を考えると大切です。王道になりますが、大きな固定費の見直しや、レジャーや外食のあり方を見直すことは「あと月1万円プラスで貯めること」への近道になるでしょう。現在の家計を考えて、「これ以上の貯金は難しい!」という場合は、学校選びの段階で、自宅から無理なく通える範囲を検討していくのも一手です。また、学費の免除や奨学金、特待生に当てはまらないかを検討してみること、制服など大きな出費になるものはお下がりがないかなど、「プラス1万円を貯める代わりに、教育費の出費を1万円でも減らす」という工夫をしてみてもいいかもしれません。将来、大学も学費が安くなるのを切に願いますが、今できることは、子どもの選択の幅を広げて応援してあげられる「教育資金」の準備。子どもの学習と同じく、早い時期から無理せずコツコツが大事なポイントです。※参考:文部科学省平成28年度子供の学習費調査<文・写真:ライター結生>
2019年12月20日母子家庭では、病気やケガをしたときが不安だと思います。手術や入院をすれば、医療費の負担は大きくなってしまいます。経済的に厳しい母子家庭の医療費は免除してもらえるのでしょうか?今回は、母子家庭でかかる医療費を支援する制度や申請方法について解説しますので、これから離婚を考えている方は参考にしてください。母子家庭でかかる病院代や手術費用は免除になる?低収入で生活していくのが精一杯という母子家庭では、病気やケガの際にかかる医療費も心配です。健康保険では実際にかかる医療費の2~3割の負担ですみますが、長期間の通院や入院では負担が大きくならないかが心配でしょう。しかし、母子家庭には公的な援助の制度があります。母子家庭の数はどれくらい?まず、日本では現状どれくらいの母子家庭があるのかを見てみましょう。直近の国勢調査によると、母子世帯の数は約75万世帯です。ここでいう母子世帯には、離婚、死別、未婚のシングルマザーすべてが含まれます。また、母親と20歳未満の子供のみからなる世帯で、実家で親と同居しているケースは含まれていません。平成17年までは母子世帯の数は増加傾向でしたが、それ以降は横ばい状態になっています。一方、父子世帯の数の方は、ここ30年であまり変化がありません。母子家庭の収入は?次に、母子家庭の収入の状況を見てみましょう。厚生労働省が行った「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均年間就労収入は200万円となっています。収入の分布は、次のような割合です。平均年収が200万円と言っても、一部の高収入世帯が平均収入を押し上げているだけで、母子世帯の過半数が年収200万円未満であることがグラフから読み取れます。母子家庭の現状はかなり厳しいのが現実です。母子家庭には公的な医療費の助成がある収入の少ない母子家庭でも医療費の心配をせずに病院にかかれるように「ひとり親家庭医療費助成制度」が設けられています。ひとり親家庭の医療費は、一部を自治体が助成してくれます。助成制度があるおかげで、生活に余裕がない母子家庭でも安心して病院にかかれる仕組みになっています。医療費の負担が軽くなる!ひとり親家庭医療費助成制度とは?シングルマザーはひとり親家庭医療費助成制度により、医療費の負担を軽減できます。離婚する際の不安を解消するために、助成制度について知っておきましょう。自己負担額を超えると無料で診察が受けられる医療費助成制度の内容は、自治体によって異なります。一般には、自己負担額が決まっていて、それを超える金額の医療費を市町村に負担してもらえる内容になっています。金額は市町村によって異なるひとり親家庭医療費助成制度は自治体ごとに定められている制度なので、医療費の自己負担額も市町村によって違います。【例:大阪市の場合】1医療機関ごとに、入院・通院それぞれ1日あたり500円が限度額です。同一医療機関では自己負担額を月2回まで支払えばよく、3回目の診察料は無料になります。また、病院で院外処方箋を交付されて薬局を利用した場合には、薬局での費用は無料になります。大阪市では1か月の医療費負担額の上限は2,500円となっており、超過分は払い戻しが可能です。入院費も助成してもらえるひとり親家庭医療費助成制度でお金を払ってもらえるのは、通院の際の診察料だけではありません。入院費も助成の対象になります。手術費用がかかっても、保険適用の治療なら、自己負担額を超えた分は払わなくてもかまいません。親の医療費も対象自治体によっては子供の医療費が無料だったり、子供の医療費の一部が助成される制度が設けられていたりすることがあります。離婚しなくても子供の医療費の心配はないという人も多いでしょう。ひとり親家庭医療費助成制度のメリットは、親の医療費も支援してもらえる点です。自分一人で子供を守らなければならないシングルマザーだからこそ、体調を崩したときには病院にかかって早く治すことを考えなければなりません。医療費の心配なく病院を受診できることは、大きな安心感につながるでしょう。医療費助成の申請方法と受け方ひとり親家庭医療費助成制度の適用を受けたいなら、自治体で申請手続きをする必要があります。離婚したときには忘れないように役所で申請手続きをしましょう。[adsense_middle]申請方法は各市町村で確認医療費助成制度は自治体ごとに定められているので、申請方法も市町村によって異なります。自分の住んでいる市町村の役所で、申請手続きについて確認しましょう。申請に必要な書類は?健康保険証のほか、戸籍謄本が必要になることがあります。必要書類についても、自分が住んでいるところの役所で確認しましょう。医療費助成の受け方医療費助成の方法も、各自治体によって違います。【例:大阪市の場合】ひとり親家庭医療費助成の対象者には、医療証が発行されます。大阪府内の病院を受診するときには、保険証と一緒に医療証を病院の窓口に提出すれば、自己負担額の500円までしか請求されません。一方、大阪府外の病院では医療証は使えないため、通常の健康保険適用の金額を病院で支払った後、大阪市医療助成費等償還事務センターで払い戻しを受けることになります。医療費助成が受けられない人はいる?母子家庭であれば、必ず医療費助成が受けられるわけではありません。支援が受けられないケースについても知っておきましょう。所得制限をオーバーすると受けられないひとり親家庭医療費助成にも、所得制限があります。シングルマザーでも高所得の人は医療費助成が受けられません。所得制限については、ひとり親家庭向けに支給される児童扶養手当と同じになっているところも多くなっています。つまり、高収入シングルマザーは、児童扶養手当やひとり親家庭医療費助成などの優遇制度は受けられないということです。ひとり親家庭向けの優遇制度は、生活に困っている母子家庭や父子家庭を支援するためのものです。単に母子家庭というだけで優遇されることはありません。収入には養育費も加算される医療費助成の所得制限限度額を判断するときには、児童扶養手当と同様、働いて得た収入だけでなく、元夫からもらっている養育費も加算した収入が基準になるのが一般的です。無職のシングルマザーでも、養育費をたくさんもらっていれば、優遇が受けられない可能性があります。生活保護を受けている人は対象外生活保護受給者は、ひとり親家庭医療費助成の対象にはなりません。生活保護では、医療扶助として医療費を全額支援する制度があります。生活保護を受けていれば、ひとり親家庭医療費助成を受けるまでもなく、医療費は無料ということです。医療費助成を受ける際の注意点母子家庭になって自治体から医療費助成を受けることになったとき、注意しておきたいのは次のような点です。公的医療保険の対象とならないものはカバーされない医療費助成制度で負担してもらえるのは、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)が適用される医療費です。保険適用外の治療には助成が受けられません。たとえば、風邪やインフルエンザで病院にかかった際の治療費はカバーされますが、ホクロの除去などで美容外科にかかった際の費用や歯科インプラント、眼科のレーシック手術などの費用はカバーされません。医療費控除で税金を安くできることも母子家庭向けの優遇ではありませんが、医療費の負担を軽減する制度として、医療費控除があります。医療費控除は所得控除の1つで、年間で払った医療費の合計額が10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合に控除が受けられるというものです。保険適用外の治療でも、医療費控除が受けられるものはあります。医療費の負担を軽減するためには、医療費控除も忘れずに活用しましょう。助成が受けられるのは子供の高校卒業まで母子家庭でかかる病院代を自治体に支援してもらえるのは、子供が18歳になった次の3月31日までです。子供が高校を卒業すると、親も子供も医療費の助成が受けられなくなってしまいます。継続的に病院に通っている場合、子供が高校を卒業した途端負担が増えることが考えられます。早めに病院に行って治療ができるものは、早めにすませておくのがおすすめです。シングルマザーも保険に入った方がいい?もしものときの不安を解消するためには、生命保険や医療保険に入っておくのが有効です。保険に入るとなると保険料の負担があるため、生活の厳しいシングルマザーは躊躇してしまうことも多いでしょう。保険に入らなくても、公的な支援が受けられることもあります。シングルマザーが保険に入る必要性について考えてみましょう。[adsense_middle]社会保険による補償も受けられるシングルマザーの場合、自分に万一のことがあったら、子供のことが心配です。リスクをカバーするために、公的な社会保険制度によっても補償が用意されています。保険に入る前に、社会保険制度からどのような補償が受けられるのかを知っておきましょう。遺族年金シングルマザーが亡くなったら、子供には遺族年金が支給されます。遺族年金には、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は年額で約78万円です。これに、社会保険の加入状況により遺族厚生年金が加算されることになります。生命保険に入っていなくても、ある程度の補償は受けられます。遺族年金で足りない分をカバーしたいなら、無理のない範囲で生命保険に入ることを検討しましょう。傷病手当金病気やケガで会社を休まなければならなくなったとき、健康保険から給付が受けられるのが傷病手当金です。傷病手当金としては、給料の3分の2程度の金額が、最長1年6か月の間支給されます。病気等で働けなくなって給料が入ってこなくなっても、会社員なら傷病手当金があるので当面の不安は解消できます。なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はないので、自営業やフリーランスの人は民間の所得補償保険や就業不能保険に入っておくと安心です。もしものときのリスクは収入保障保険でカバーシングルマザーが入っておくと安心できる保険として、収入保障保険があります。収入保障保険は、あらかじめ定められた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金を年金形式で受け取れるものです。収入保障保険に入っておくと、死亡または高度障害になった場合に、残された子供の生活費を賄うことができます。収入保障保険は保険料も安いので、シングルマザーでも入りやすい保険です。遺族年金と組み合わせれば、もしもの場合の安心感が得られます。学資保険で教育費を確保子供が小さいうちに学資保険に加入している人は多いと思います。学資保険に入っていれば、親に万一のことがあっても予定している子供の教育費を用意できます。学資保険では、貯金と同様、毎月保険料を払って学資金を積み立てます。貯金と違うのは、保険期間中に親が亡くなったら、残りの保険料の支払いが免除されるという点です。たとえば、子供の大学進学前に200万円が支払われる学資保険に入っていれば、死亡により保険料を払いきれなくても、必ず200万円を受け取れることになります。シングルマザーの場合、自分が亡くなったせいで子供が進学できなくなってしまうことは避けたいでしょう。学資保険に入っていれば、もしものことがあっても教育費を確保できるというメリットがあります。シングルマザーが医療保険に入るならシングルマザーは医療費助成が受けられるので、治療費についてはあまり心配する必要はありません。しかし、母親の入院によって収入が途絶えてしまうと、子供の生活にも影響が出てしまいます。医療保険に入るなら、入院保障によって子供の生活費を賄うことをメインに考えるとよいでしょう。母子家庭の医療費に関するまとめ母子家庭には医療費助成制度があるので、通院や入院でかかる治療費については心配いりません。ただし、シングルマザーが働けなくなって収入が途絶えたら、子供が即困ってしまいますので、そのための準備はしておいた方がよいでしょう。社会保険でカバーできない部分については、民間の保険を活用し、リスクに備えておくのがおすすめです。
2019年11月21日専業主婦の方は、離婚したくてもお金の問題でなかなか踏み切れないことが多いと思います。本記事では、専業主婦の離婚で経済的な不安を解消する方法について説明します。離婚を考えている専業主婦の方に参考にしていただければ幸いです。専業主婦の離婚。何から準備したらいい?専業主婦が離婚することになったら、引っ越し先を探すよりも仕事を探す方が先です。離婚後は、自分で働いてお金を稼がなければなりません。旦那と別れたら、その後どうする?夫の収入で生活している専業主婦も、離婚すれば夫に頼ることはできません。離婚するなら、自分で収入を得る手段を考えておく必要があります。子供がいれば子供を養っていくためのお金も要るでしょう。離婚後の生活設計についてきちんと考えておくことは必須です。無職のまま離婚するのはリスクがある離婚するまで専業主婦だった人は、自分で働いて稼ぐことを優先的に考えましょう。離婚して一段落してから仕事を探そうと考えていても、すぐに条件のいい仕事が見つかるかどうかはわかりません。できれば、離婚する前に仕事を見つけて、実際に働いてやっていけることを確認してから離婚するのがおすすめです。仕事を「見つける」のと「続ける」のとは違う仕事を見つけることはできても、その仕事が続けられるとは限りません。結婚前は働いていた人も、ブランクがあれば仕事のカンを取り戻すのに時間がかかります。たとえやりたかった仕事でも、職場の人間関係が合わずに辞めざるを得ないこともあります。少なくとも数か月程度は働いてみて、生活のペースを掴むことが大事です。無職だと子供の親権を取るのが大変?無職のままだと子供の親権が取れないのではないかと心配な人も多いでしょう。離婚時に無職の専業主婦でも、子供の親権を取ることはできます。母親に収入がなくても、父親が養育費として子供の生活費を払えば問題ないからです。しかし、養育費だけで生活していれば、養育費の支払いが滞った途端に生活に困ってしまいます。まずは働いて自分で稼ぐ手段を確保することを考えましょう。離婚するまで無職だった人はどれくらい?厚生労働省が行った平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、離婚により母子世帯になった人のうち、母子世帯になる前から就業していた人の割合は全体の76.5%です。離婚する人のうち4人に1人は、離婚するまで無職だったことになります。専業主婦が離婚後の仕事を探すならお金を稼ぐと言っても、どんな仕事でも良いわけではありません。専業主婦が離婚後の仕事を探すときの注意点を知っておきましょう。必要な収入を確保できる仕事を離婚後は、自分の就労収入のほか、養育費や手当で生活費を賄わなければなりません。生活していくのにどれくらいの費用がかかるのかを見積もり、毎月いくら稼いだら生活費に困らないかをシミュレーションしてみましょう。給料だけに注目しない離婚後に経済的な不安がある場合、とにかく時給や給料の良い仕事に目が行ってしまいがちです。しかし、お金に惑わされずに、続けやすい仕事を選ばなければなりません。ハードな仕事は賃金がよくても、長くは続かないからです。子供がいる場合には、子育てとの両立も考える必要があります。その場しのぎの仕事ではなく、安定して長く働けそうな職場を選びましょう。元の職場に復帰できない?育休を取っていた人なら当然元の職場に復帰できますが、一旦退職した人も、元の職場に復帰できないか相談してみるとよいかもしれません。すぐに正社員は無理でも、パートでなら戻って来てほしいと言われることがあります。元いた職場なら状況がわかっているので続けやすいはずです。正社員になれる仕事や資格を取れる仕事がおすすめ継続的に安定した収入を得るには、正社員として働くのがいちばんです。子供が小さい場合、いきなり正社員で働くのは難しいこともあるかもしれません。パートで働く場合でも、いずれ正社員として採用してもらえる見込みがあるかどうかは確認しておきましょう。仕事を続けることで、他の会社でも通用するスキルや資格が得られるとより安心感があります。今高収入を獲得することを目指すよりも、経験を積み上げていくことで将来的に収入が増えるかどうかを基準に判断するとよいでしょう。離婚後に手当はどれくらいもらえる?離婚後シングルマザーになる人は、手当も収入源の1つになります。シングルマザーがもらえる手当には、以下のようなものがあります。[adsense_middle]児童扶養手当児童扶養手当は高校生までの子供がいるシングルマザーに全国共通で支給される手当です。支給される金額は、所得に応じて変わります。児童扶養手当の月額児童扶養手当の月額は、物価スライド制の適用により変動します。2019年4月以降の児童扶養手当の月額は、次のようになっています。専業主婦だった人は2年目以降金額が減る児童扶養手当は前年度の所得を基準に計算するので、離婚まで専業主婦だった人は初年度は全部支給です。しかし、働いて収入が増えていれば、2年目以降は一部支給となり金額が減ります。初年度の金額を基準に生活設計していると、2年目以降は生活費が足りないということにもなってしまいます。児童扶養手当として受け取るお金は使ってしまうのではなく、貯金に回すのがおすすめです。児童手当児童手当は中学3年までの子供がいる世帯に全国一律で支給される手当です。母子家庭に限ったものではありませんが、離婚後に受給するときには手続きが必要になります。児童手当の月額児童手当の月額は、次のようになっています。3歳未満:1万5,000円3歳から小学校修了まで:1万円(第3子以降1万5,000円)中学生:1万円受給者の変更を忘れずに!児童手当は離婚する前からもらっているものですが、受給者が夫(父)になっていることが多いと思います。離婚後、妻(母)が子供を養育する場合には、受給者を変更する手続きが必要です。離婚して母親が親権者になっても、児童手当の受給者が自動的に変わるわけではありません。そのままにしていると、離婚後も児童手当が夫の口座に振り込まれます。離婚したら役所に行って受給者変更の手続きをしておきましょう。その他の手当や助成制度自治体によっては、母子家庭向けの住宅手当や家賃補助を行っているところがあります。その他にも、母子家庭に対してお金の面での支援をする制度はいろいろあります。離婚前に役所で確認しておくとよいでしょう。養育費を請求する方法は?子供がいるシングルマザーにとっては、養育費も大事な収入源です。離婚後は元夫に毎月養育費を払ってもらいましょう。養育費は子供の生活費離婚して子供と別に住むことになった父親にも、子供を養う義務はあります。子供の生活費は両親が収入状況に応じて負担するものです。元夫には養育費を請求しましょう。離婚するときに養育費を決めて公正証書に離婚するときには、夫婦で養育費についてもきちんと話し合っておくべきです。取り決めした内容は、公正証書にして残しておきましょう。養育費の決め方養育費は必ずしも「月○万円」という形で決めなければならないわけではありません。子供の成長に合わせて金額を増額したり、ボーナス月には余分に払ってもらったりすることもできます。大学進学費用のようにまとまってかかるお金については、別に取り決めしておくとよいでしょう。それぞれの家庭の状況に応じた支払いプランを立てておくと、払う側も準備がしやすくなります。離婚するときに養育費を決めていない場合離婚時に養育費を取り決めしていなくても、子供が成人するまではいつでも養育費を請求できます。離婚後に元夫との間で養育費の話し合いができない場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てましょう。離婚後すぐに働けない場合には?専業主婦だった人も、離婚したら元夫に養ってもらうことはできないので、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。どうしても離婚後すぐに働けない場合には、扶養的財産分与を受けるという方法があります。[adsense_middle]当面の間元夫に生活費を払ってもらうことも可能子供がまだ小さいのに預け先がない場合、自分が病気の場合などは、離婚してもすぐに働けません。このような状況ではできるだけ離婚を避けた方が無難ですが、離婚せざるを得ないこともあるでしょう。離婚してもすぐに働けない場合には、扶養的財産分与を受ける方法があります。扶養的財産分与とは扶養的財産分与は、将来にわたってお金を払ってもらう形で、元夫の財産を分けてもらう方法です。財産分与では通常離婚時に夫婦が持っている財産を分けますが、財産がなければ無職の専業主婦は直ちに困ってしまいます。専業主婦だった人も、扶養的財産分与として元夫に当面の間の生活費を払ってもらうと、働けるまでの期間を安心して過ごしやすくなります。いつまでも養ってもらえるわけではない扶養的財産分与として元夫に生活費を払ってもらえるのは3年程度です。また、元夫婦間には扶養義務はないので、年間110万円を超える生活費を受け取ると、贈与として課税されるリスクもあります。離婚後もいつまでも元夫に生活費を払ってもらっていいわけではありません。できるだけ早く自分で生活の目途を立てるようにしましょう。離婚してお金に困らないため大切なこととは?女性は離婚するときに、経済的な不安が大きくなるのも無理はありません。日本は現状、女性が一人で子供を育てていくのには厳しい社会です。離婚後女性がお金に困らないために大切な考え方をお伝えします。お金の正常な流れを作ることを意識離婚するときには、手元にまとまったお金がなければ不安になります。けれど、離婚時に慰謝料や財産分与でお金をもらっても、それだけで一生生活できることは普通はないでしょう。離婚するときには、今ある動かないお金に注目するよりも、今後入ってくるお金や出て行くお金に注目することが大事です。極端な話、貯金がなくても、必要な支出を賄えるだけのお金が継続的に入ってくれば生活はできます。貯金の数字にこだわるよりも、お金の循環を意識するようにしましょう。もちろん、不測の事態が生じることもありますから、ある程度の貯金は必要です。けれど、シングルマザーの場合には、まず正常なお金の流れを作り出すことを優先した方がよいと思います。具体的には、自分で働いて安定した収入を得ることと、養育費を確保することが大切です。ネットワークを作るお金はあるにこしたことはありませんが、お金がたくさんあれば不安が解消できるのかと言えば、実はそうではありません。悩みを相談できる人がいることや、助けてもらえる人がたくさんいることは、大きな安心感につながります。離婚したら何となく後ろめたくて、人付き合いを避けてしまう人もいると思います。ですが、離婚は決して恥ずかしいことではありません。離婚したからこそ、ネットワークを広げた方がよいでしょう。人に助けてもらった恩は、後で返すことができます。困ったときには遠慮せずに人に頼り、自分に余裕があるときは積極的に人のためにできることをしましょう。そうやって信頼関係を深めていけば、単にお金があるだけよりも豊かな人生を送ることができます。専業主婦の離婚に関するまとめ専業主婦が離婚するときには、自分で稼げる手段を見つけておくことが最優先です。離婚後の生活に必要な金額を見積もり、それを賄うために毎月継続的に入ってくるお金を確保しましょう。離婚後生活に困らないためには、信頼できる友人・知人のネットワークを作っておくことも必要です。困ったときに助けを求めることを躊躇しないよう、普段から自分も人のために役立つことをしておきましょう。
2019年11月05日子育てと家事で忙しいのに偉そうな態度でちっとも手伝ってくれない、仕事ばかりして家庭を顧みない、義母の肩ばかりもってわたしの立場に立ってくれない……など、夫に対する不満が我慢の限界にきている方もいるでしょう。 「離婚」の二文字が毎日のように頭をよぎっては、「まだ子どもも小さいし……」と自分を抑え、でもストレスが溜まる毎日。そんな状況を脱するために、一度、真剣に離婚について考えてみるのも決して無駄ではありません。実際、離婚した場合、離婚せずに我慢して同居する場合、離婚せずに別居する場合とでは、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。実際の例をあげて考えてみましょう。 離婚を選ぶ場合【Aさんの例】夫との価値観の違いから離婚を決意。離婚訴訟を行い夫と離婚。現在2人の子どもをもつシングルマザー。離婚までの過程は大変だったが、離婚してよかったと思っている。 離婚を選択する場合、子どもをどちらが引き取るか、養育費をどうするかなど決定することがたくさんあり、訴訟を起こすとなると、またその手続に時間がとられ、心身ともに疲弊してしまうことがあります。けれど、最も次に進みやすくなるのもこの選択。あとがなくなるからこそ、離婚後は前を見ることに集中ができ、「すっきりした!」という声が多くあるのもこの選択です。 [メリット]・新しい未来を築きやすい[デメリット]・決断をするまでに覚悟がいる・決断をした後にも、手続きや決定しなければいけないことが多々ある 離婚せず我慢して同居する場合【Bさんの例】夫の浮気が止まず何度も離婚を考えるが、子どもが夫になついているため離婚に踏み切れず、また離婚はいつでもできるという思いから、離婚せず今の状況を受け入れることを選択。数年経ち、夫の浮気が落ち着いたこと、また再度浮気をしたところで自分がもう夫への恋心がないので、どうでもよくなってきたこともあり離婚しなくてよかったかなと思っている。 事態が好転、または自分の考え方が変わり、離婚しなくてよかったと思えることも多々あります。しかしながら、事態や自分の考え方が変わるかどうかはわかりません。状況を受け入れることができるまでは、つらい日々を送る可能性が高いのがこの選択です。 [メリット]・家庭の形を壊したくないという気持ちが強い場合、体裁を保つことができる・事態が好転した場合、家族として続けることができる[デメリット]・事態が好転するまで、つらい日々を我慢して過ごすことになる 離婚せず別居する場合【Cさんの例】「もうしない」と言っては浮気をする夫に嫌気がさし、最後通告のつもりで別居を提案。別居したてのころは、反省の色も見せていたが、結局浮気をやめないので、離婚しようと思っている。 男性に限らずのことではありますが、多くの男性は、とりあえず目の前の台風が去ってしまうことを待ち、去ってしまえば何事もなかったかのようにまた同じことをする可能性が高いです。妻がいつも「離婚する、離婚する」と言っている家庭では、夫は「この小言を聞き過ごしていれば、またいつもの状態に戻るだろう」と高をくくっている場合があります。そのため、妻から別居を切り出されて初めて「本気だったのか!」と慌てる夫は多くいます。離婚を覚悟で夫の本音を引き出すには有効な手段ともなりえます。ここで考えを改めてくれ、状況が好転することもありますが、一度は反省するものの、残念ながら変わらない男性がいることも事実です。一緒に過ごすのはもう無理だが、離婚せずに食費や養育費だけ入れてもらえればそれで良いと思っている人にとっては、良い選択となるでしょう。 [メリット]・夫の本音を引き出すには有効な手段ともなりえる・離婚をしない状況で、離婚と同じような状況をつくれる[デメリット]・事態が好転するまで、つらい日々を我慢して過ごすことになる場合がある 今の状況を受け入れるのも決断、離婚をするのも決断。どんな決断にもメリット・デメリットがあり、また、どんな決断も不正解ではありません。離婚をしてもしなくても自分でも思っていなかったような未来が開けることは多々あります。つらいときに離婚について考えることは、さらにつらいことではありますが、明るい未来を信じてあなたなりの決断をしてください。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年10月28日離婚してシングルマザーになったら、子供を養っていくだけの収入が得られるかどうかが心配でしょう。本記事では、シングルマザーの収入はいくら必要かについて説明します。離婚するときには、子供との生活に必要な収入を確保できるよう、しっかりマネープランを立てておきましょう。シングルマザーの平均年収は?母子家庭の実態を知る手がかりとなるのが、厚生労働省の行っている全国ひとり親世帯等調査です。平成28年度全国ひとり親世帯調査の結果をもとに、シングルマザーの収入の実態を見てみましょう。母子家庭の年間収入の平均額母子世帯2060世帯(※離婚以外に死別や未婚も含む)を調査した結果、年間収入の平均額は次のようになっています。調査結果によると、母子家庭の平均年間収入は243万円です。これは、年間に得られるすべての収入の合計額で、給料のほか養育費や手当なども含まれます。1か月あたりにすると約20万円ということになります。シングルマザーの給料はどれくらい?シングルマザー自身が働いて得られる年収の平均額(平均年間就労収入)は、200万円です。ボーナスを考慮しない場合には1か月あたり約16万円ということになります。就業しているシングルマザーの雇用形態は、次のグラフのような割合になっています。シングルマザーは、正規の職員・従業員が44.2%、パート・アルバイト等が43.8%でほぼ半々です。同じひとり親でも父子世帯の父(シングルファーザー)の年間就労収入の平均は398万円で、シングルマザーの約2倍です。シングルファーザーの場合には、正規の職員・従業員が68.2%、自営業が18.2%となっており、パート・アルバイト等は6.4%しかいません。シングルマザーは働いていても非正規雇用のパート・アルバイトの人が多く、自分の給料だけでは十分な収入になっていないことがわかります。養育費の平均額は?平成28年度全国ひとり親世帯調査では、養育費の取り決めについて、次のような結果が出ています。母子世帯のうち半数以上が養育費の取り決めをしておらず、養育費を現在も受けているシングルマザーは4人に1人です。養育費のある人は平均で月4万円程度をもらっているけれど、4人中3人は自分の給料や手当だけで生活していることになります。手当はどれくらいもらえる?母子世帯の収入としては、自治体等から支給される手当もあります。全国共通で支給される児童扶養手当・児童手当の金額を知っておきましょう。児童扶養手当児童扶養手当は18歳までの子供がいるひとり親に支給される手当です。児童扶養手当の金額は、所得(養育費の8割も含む)に応じて変わり、全部支給、一部支給、全部停止(支給なし)が決まります。平成31年4月以降の月額は、次の表のとおりです。児童手当児童手当は15歳までの子供がいる親に支給される手当です。ひとり親に限ったものではありませんが、離婚後は子供を養育している親が児童手当を受給できます。児童手当の金額は、次の表のとおりです。シングルマザーの収入は子育てするのに十分ではないシングルマザーの毎月の平均的な収入は20万円程度、内訳としては給料が16万円、養育費や手当が4万円といった感じです。この金額では、毎月必要な生活費を賄うのにギリギリで、貯金をする余裕などないでしょう。両親がいる世帯の半分以下厚生労働省の「平成28年度国民生活基礎調査」によると、児童がいる世帯全体の平均年収は707.6万円です。シングルマザーの場合には、養育費や手当を含めても、一般的な子供がいる世帯の年収とは比べ物にならないくらい低い年収です。シングルマザーは収入を増やすことが肝心シングルマザーが安心して子育てしていくためには、収入を増やすことが欠かせません。手当はあくまで足りない分を補助してくれるものですから、安定した収入が得られる仕事に就き、養育費を確保することが必要です。母親と子供の生活に必要な収入の目安は?日本のシングルマザーの年収は、かなり少ないのが現状です。実際に離婚後の母親と子供の暮らしには、どれくらいの収入が必要なのでしょうか?[adsense_middle]毎月かかる生活費は15~20万円以上シングルマザーでも、毎月の支出金額は人それぞれです。たとえば、住居費1つとっても、公営住宅と民間の賃貸住宅とではかなり差があります。親と同居すれば家賃がかからないこともあるでしょう。住む地域によって物価も変わりますし、子供の人数によってもかかる生活費は変わります。一般には、1か月あたりの生活費として15~20万円程度はかかるのが普通です。貯蓄に回す分も必要毎月の収入の中から、将来に備えての貯蓄もしておいた方が安心です。特に、子供を大学や専門学校に進学させるとなると、まとまったお金がかかってきます。毎月少しずつでも貯蓄に回せるような生活設計が理想です。教育費はどれくらい必要?子供にかかる費用のうち、大きなウェイトを占めるのが教育費です。特に、将来かかる進学費用については、あらかじめ考えておく必要があります。高校までは家計から出すことも可能中学までは義務教育なので、それほどお金はかかりません。高校も公立高校に進学すれば、授業料も毎月の家計から出せるでしょう。私立高校に進学する場合には、入学時に50万円程度はかかるため貯金が必要になってきます。私立高校の授業料は無償化されている都道府県もあります。大学・専門学校への進学費用は貯金しておく高校までの教育費は、貯金がなくても毎月の生活費でなんとか賄えるかもしれません。しかし、大学や専門学校に進学する場合には、毎月の生活費では対応ができないでしょう。たとえば、私立大学入学時には、入学金や前期授業料で100万~200万円程度かかるのが一般的です。進学費用がない場合には奨学金も検討進学費用を全額貯金で用意するのが困難な場合には、奨学金を利用する方法もあります。低所得世帯の人は返還不要の給付奨学金を利用できる可能性がありますので確認してみましょう。なお、貸与奨学金を借りる場合には、子供が返還義務を負うことになるので、子供とよく話し合って決めることが大切です。収入がいくらあれば安心して子育てできる?シングルマザーが必要な収入について考えるときには、自分の家庭でかかる生活費を知ることが必要です。まずは家計簿をつける生活にかかる費用を把握するために、離婚する前から家計簿をつけましょう。現状を正確に把握することで、離婚後にかかる食費や光熱費、通信費、教育費などもイメージできるようになります。家計簿をもとに生活設計毎月かかる生活費をイメージできたら、自分の給料と養育費でそれを確実にまかなえるように生活設計します。毎月ギリギリではなく、月に1万円以上は貯蓄に回せるようにしましょう。離婚後の生活設計の仕方がわからない場合には、FPに相談してみるのもおすすめです。シングルマザーが収入を増やす方法①正規雇用を目指すシングルマザーが就労収入を増やすために、まず考えたいのが正規雇用を目指すことです。正社員になることで、収入を増やせるだけでなく、将来に向けての安心感も得られます。[adsense_middle]パート・アルバイトではなかなか収入が増えないパートやアルバイトの場合、ボーナスが出なかったり有給休暇がとれなかったりして、十分な収入にならないことがあります。子供が小さいうちは長時間の勤務が難しいこともあるでしょう。しかし、年齢が上がるにつれて正規雇用が難しくなってしまうのも事実です。40代前半くらいまでには正社員になることを目指しましょう。正規雇用のメリットシングルマザーが正社員になると、次のようなメリットがあります。解雇のリスクが低いパート・アルバイトの場合には、勤務先の都合で解雇される可能性もありますが、正社員になれば解雇のリスクも少なくなります。社会保険料の負担が軽い正社員になれば勤務先の社会保険に加入することになります。会社が社会保険料の半分を負担してくれるので、自分で国民年金・国民健康保険料を払うよりも負担が軽くなります。社会保険のメリットを受けられるまた、社会保険に加入していれば、病気やケガで仕事を休んだ時にも傷病手当金がもらえます。一人で子供を育てなければならないシングルマザーにとって、もしものときに公的な手当金が出るのは非常に心強いはずです。社会保険に加入することにより、老後の年金も増やせます。シングルマザーが収入を増やす方法②資格を取得手に職がないというシングルマザーは、資格を取得して就職・転職することを考えてみましょう。特に医療・介護系の仕事の需要は大きく、資格取得が直接収入アップに結び付きます。看護師の資格を取得して収入アップ!女性でも子供を育てていくのに十分な収入が得られる仕事として、看護師を思い浮かべる人は多いでしょう。厚生労働省の行った「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は479.9万円、女性看護師のみの平均年収でも478.4万円です。つまり、看護師になれば、就労収入だけでシングルマザーの平均年収の約2倍になるということです。公的な支援を受けながら看護師等の資格が取れる!シングルマザーが看護師の資格を取る場合に活用できるのが、「ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金」です。給付金を利用すれば、勉強している期間中の生活費の心配もなくなりますし、資格取得後に収入アップも望めます。毎月もらえる「高等職業訓練促進給付金」看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士などの資格を取るため養成機関(専門学校など)で勉強している期間中には、高等職業訓練促進給付金がもらえます。給付金は月額で支給され、概ね次のような金額になります。※給付金の対象となる資格や給付金額は、都道府県によって異なるところがあります。修了時にもらえる「高等職業訓練修了支援給付金」養成機関での勉強の修了時には、一時金として高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。給付金の金額は、次の表のとおりです。シングルマザーが収入を増やす方法③養育費を確保子供を育てていくにはお金がかかります。離婚しても父親には子供を養う義務はありますので、養育費を払ってもらいましょう。養育費の取り決めは公正証書で離婚時には、養育費を取り決めして、公正証書にしておくのがおすすめです。公正証書とは公正証書は公証役場にいる公証人に作成してもらう公文書です。養育費の取り決めを公正証書にすれば、証拠としての力が強くなります。公正証書があれば、元夫が約束通り養育費を支払わない場合に、差押えして回収することも可能になります。公正証書等作成促進補助金(大阪市)とは2019年4月より、大阪市では養育費に関する公正証書の作成に補助金を交付する制度(公正証書等作成促進補助金)が始まっています。大阪市在住の方は、制度の利用も検討してみましょう。養育費保証を付ける方法も養育費を確保するために、養育費保証を付ける方法もあります。養育費保証とは養育費保証は、保証会社に養育費の連帯保証をしてもらえるサービスです。保証会社に保証料を払う必要がありますが、養育費の滞納時には保証会社に最大12か月分を立て替えてもらえるほか、元夫への督促も任せられます。一部の自治体では補助もある2019年9月現在、大阪市及び兵庫県明石市の2つの自治体では、養育費保証料を公費で負担する制度があります。今後、同様の制度を設ける自治体が増えることが予想されますので、情報をチェックしておきましょう。シングルマザーの収入に関するまとめシングルマザーの収入は、毎月の生活費を賄えるだけあればよいというものではありません。将来に備えて貯蓄ができるよう、収入を増やすことを考えましょう。収入を増やすためには、養育費の確保も重要です。離婚時に養育費の取り決めをし、公正証書を作成しておきましょう。
2019年10月05日離婚によってシングルマザーになる女性は、経済的な面がいちばん気になるのではないでしょうか?自分の収入だけで子供と無事生活していけるのか、考えれば考えるほど不安になるものです。本記事では、シングルマザーの生活費がどれくらいなのかについて説明します。離婚するときには、必要な生活費を見積もり、生活費を確保する手段を考えておきましょう。離婚したら自分と子供でどれくらい生活費がかかる?厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」シングルマザー自身の労働による年収は平均200万円母子世帯の母の平均年間就労収入は200万円となっています。ちなみに、父子世帯の父の平均年間就労収入は398万円なので、シングルマザーが働いて得られる年収はシングルファーザーのほぼ半分ということです。シングルマザーの約半数は非正規雇用働いているシングルマザーのうち、正規の職員・従業員である人は44.2%、自営業の人は3.4%、パート・アルバイト等の人は43.8%です。約半数は非正規雇用と考えられるので、年収が少ないのもやむを得ないと言えます。実家暮らしでも「児童のいる世帯」の年収の約半分同居親族の収入を含めたシングルマザーの平均年間収入は348万円となっています。同居親族がいるシングルマザーのほとんどは、実家暮らしと考えられます。ちなみに、厚生労働省の「平成28年度国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯の平均年間所得は707.6万円です。実家暮らしのシングルマザーでも、子供のいる標準的な世帯の約半分の年収しかないことがわかります。シングルマザーの月収の内訳上記の調査結果から、シングルマザーの月収は約20万円、うち働いて得られる収入は約16万円と考えられます。シングルマザーの標準的な月収の内訳は、給料が16万円程度、養育費や手当が4万円程度ということです。養育費をもらっていても、生活していくにはギリギリの収入です。養育費が途絶えるようなことがあれば、直ちに生活が困窮することにもなってしまうでしょう。シングルマザーの貧困は社会問題にもなっています。離婚する前に、生活費を確保する手段については十分考えておきましょう。シングルマザーが毎月の収入を増やすにはどうすればいい?日本の多くのシングルマザーの収入は、必要な生活費を賄うにはギリギリの金額です。まずは、収入を増やす手段を考えましょう。[adsense_middle]養育費の取り決めをして確実に受け取れるようにするシングルマザーは、離婚しても元夫に養育費を請求できます。養育費をもらえば毎月の収入を増やせます。「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費を「現在も受けている」と答えたシングルマザーは24.3%となっており、4人に1人しか養育費を受け取っていません。養育費は離婚時に取り決めしていなくても請求できます。家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることも可能なので、あきらめないで請求しましょう。勤労収入を増やす自分で働いて得られる収入を増やすことも大事です。パートやアルバイトの場合には、正規雇用で働けないかを考えてみましょう。手取りが減っても正社員の方がいい?「社会保険料などで手取りが減るよりも、バイトをかけもちした方がいい」という人もいますが、正規雇用なら急に解雇になるようなリスクもなく、長く安定して働けます。また、社会保険に加入できれば、病気やケガで長期間仕事を休んでも傷病手当金が出ます。こうした制度があることが、1人で子供を育てるシングルマザーにとって大きな安心感になります。収入が増えて手当をもらえなくなったら困る?年収が増えると児童扶養手当の金額は減ってしまい、ゼロになることもあります。ですが、手当をもらうために収入調整をするのはあまりおすすめではありません。児童扶養手当は子供が18歳までしかもらえないので、いずれはなくなります。手当が出なくなってから給料の良い仕事を探そうとしても、年齢的に難しくなってしまうことがあります。手当に頼らなくてもすむよう、早いうちに自分で稼げる手段を確保しておきましょう。シングルマザーが生活費を上手にやりくりするコツは?収入を増やしながら生活費を節約することで、生活に余裕が生まれます。シングルマザーが生活費をやりくりするコツをご紹介します。献立はシンプルにかかる生活費を抑えるために、節約を心がけることが大切です。生活費の中で節約しやすいのが食費ですが、食費を節約するポイントは安い食材ばかりを買うことではなく、献立をシンプルにすることです。毎日の献立をごはんとお味噌汁を基本に考えましょう。ごはんは、まとめて炊いてから小分けして冷凍庫に保存しておくと便利です。ごはんの友として漬物や常備菜も用意しておきましょう。お味噌汁に旬の野菜を使えば、食材費も安く抑えられ、バランスのとれた食事ができます。もう一品おかずを用意するなら、焼くだけの魚やお惣菜を活用すれば手間もかかりません。家計簿をつけてお金を管理お金の不安のほとんどは、お金が足りないのではなく、お金の管理ができていないことから生じます。今月いくら入ってきていくら出て行くのか、今手元にいくらあるのか、こうしたことが常に目に見える形になっていれば、上手にやりくりして乗り切ることができます。お金の管理をきちんとするためには、家計簿をつけることが必須です。家計簿アプリを利用すれば、面倒な計算も不要で手軽に家計簿がつけられます。自分の使いやすいものを探して試してみましょう。シングルマザーに必要な生活費に関するまとめシングルマザーになるなら、生活費を確保するために自分で働いて安定した収入を得ることを目指しましょう。元夫と養育費の取り決めをしておくことも大事です。生活費については、平均的な金額を基準に考えるのではなく、自分の家庭でどれだけ必要なのかを基準にするべきです。支出を正確に把握するためにも家計簿をつけるようにしましょう。
2019年09月18日シングルマザーになると、お金の面が特に心配です。貯金したいけれど、毎月の生活がギリギリで難しいという人も多いのではないでしょうか?今回は、シングルマザーの平均貯金額や必要な貯金額、シングルマザーが無理なく貯金する方法について説明しますので、参考にしていただければ幸いです。シングルマザーの平均貯蓄額はどれくらい?厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査の概況各種世帯の所得等の状況」シングルマザーの平均貯蓄額は327万円平成28年度国民生活基礎調査によると、全世帯で見たときの1世帯当たりの平均貯蓄額は約1,032万円です。一方、母子世帯に限った場合には、平均貯蓄額は約327万円となっています。母子世帯以外の児童がいる世帯の平均貯蓄額を見ても約680万円なので、母子世帯の貯蓄額だけが極端に少ないことがわかります。また、貯蓄がある母子世帯では、貯蓄額50万円未満と答えた世帯の割合が14.4%といちばん多くなっています。平均貯蓄額は300万円を超えていても、一部の人が平均を押し上げているだけで、実際にはわずかの貯金しかないシングルマザーが多いことが窺えます。シングルマザーが子育てするために貯金はどれくらい必要?文部科学省「平成28年度子供の学習費調査調査結果の概要」大学4年間でかかる費用は600万円超!教育費の負担が特に大きくなるのは、大学・専門学校等に進学するときです。大学等の入学時には、まとまった費用がかかります。日本政策金融公庫の平成30年度「教育費負担の実態調査」によると、大学入学時にかかったお金は平均で88.4万円です。学校の種類別では、国公立80.1万円、私立文系90.4万円、私立理系85.5万円となっています。また、大学在学中1年間にかかる費用(授業料、施設費、通学費、書籍購入費などを含む)は平均で約156.9万円です。学校の種類別では、国公立114.8万円、私立文系160.1万円、私立理系185.3万円で、平均では約157万円となっています。つまり、子供を大学に進学させるとなると、トータルで1人あたり少なくとも600万円程度、多ければ1000万円以上かかることもあります。進学費用を準備するために貯金しておくのがおすすめ高校までにかかる費用は月々の生活費から出すこともできるかもしれません。しかし、大学や専門学校の進学費用を準備するとなると、貯金があった方が安心です。経済的な事情で進学を諦めるのではなく、子供に学ぶ意欲があるのなら進学を前向きに検討しましょう。進学費用がどうしても用意できない場合には、奨学金や教育ローンという手段もあります。ですが、借金はできるだけ少なくした方がいいですから、目標額を決めて貯金しておきましょう。シングルマザーが貯金を増やすための工夫シングルマザーになったら、自分が働いて得た収入で生活していくことを目指しましょう。それ以外で入ってくるお金を貯金に回すだけでも、目標額を貯金できることがあります。[adsense_middle]シングルマザーに合った貯金の仕方とは?シングルマザーの場合、自分の勤労収入以外に、手当や養育費をもらっていることが多いと思います。シングルマザーが無理なく貯金するには、手当や養育費をそのまま貯金に回すのがおすすめの方法です。手当は毎月振り込まれるわけではない児童手当は中学生以下の子供がいる家庭に支給される手当、児童扶養手当は高校生以下の子供がいるひとり親家庭に支給される手当です。これらの手当は、毎月入金されるものではありません。児童手当は4か月に1回、児童扶養手当は2か月に1回(令和元年11月以降)、まとめて振り込まれる形になります。たとえば、児童手当を月1万円、児童扶養手当を月3万円もらえるシングルマザーなら、毎月4万円の手当収入があることになります。しかし、実際には毎月4万円入金されるわけではありません。つまり、手当を収入に含めて考えてしまうと、入金される月と入金されない月があるので、管理が難しくなってしまいます。養育費が急に入金されなくなる可能性もある養育費は、毎月振り込む形で取り決めしているケースがほとんどでしょう。ですが、養育費は必ず入金されるとは限りません。元夫側の事情で急に入金が途絶える可能性もあります。養育費が入金されなくなっても、督促すれば払ってもらえることはあるでしょう。公正証書などがあれば給与差押して養育費を回収することもできますし、家庭裁判所に養育費請求調停を起こすこともできます。しかし、いずれにしろお金を回収するまでに時間がかかってしまいます。月々の生活費は自分の勤労収入で賄い手当や養育費は貯金するシングルマザーが生活設計をするときには、手当や養育費はないものと仮定し、月々かかる費用は自分の勤労収入だけでやりくりするのがおすすめです。毎月の生活がギリギリでも、手当や養育費を全額貯金に回すことができれば、それなりの金額を貯金できます。たとえば、1か月あたり児童手当1万円、児童扶養手当2万円、養育費4万円をもらっているシングルマザーの場合、手当と養育費をすべて貯金に回すと、年間で84万円貯金できます。さらに、ボーナスなどを貯金に回せば、年間100万以上貯金することも可能になるでしょう。シングルマザーがお得に貯金できる制度もある!貯金をすると利子(利息)が付きますが、利子には20.315%の税金が課税されるので、実際には税金を差し引きした分しか増えません。今はただでさえ金利が低いので、税金まで差し引かれると、利子は本当に微々たるものになってしまいます。シングルマザーの場合、預貯金の利子を非課税にできる少額貯蓄非課税制度(マル優)を利用できることがあります。マル優を利用できるのは児童扶養手当をもらっているシングルマザーに限られますが、元本350万円まで利子非課税の恩恵を受けられます。シングルマザーなら金利がUPする貯金も!ゆうちょ銀行の「ニュー福祉定期貯金」は、ゆうちょ銀行の通常の定期貯金(1年もの)の金利に0.10%上乗せした金利が適用されるお得な貯金です。遺族年金や障害年金の受給者のほか、児童扶養手当をもらっているシングルマザーもニュー福祉定期貯金の対象者になります。ニュー福祉定期貯金とマル優を組み合わせると、利息を増やせる上に非課税にもできるため、二重にお得になります。シングルマザーが貯金するには毎月の収入を増やすことも必要自分の収入だけでは生活していけないようなら、貯金も当然できません。シングルマザーになったら収入を増やすことも考えましょう。[adsense_middle]バイトのかけもちでは安心できないシングルマザーの中にはアルバイトやパートで働いている人も多いでしょう。貯金ができるほどの十分な収入が得られない場合、アルバイトをかけもちすることを考えるかもしれません。しかし、アルバイトのかけもちは体力的にもきつい上に、子供と過ごす時間も減ってしまいます。また、時給を稼ぐためだけに職種を選ばずバイトを組み合わせても、将来につながるスキルが身につかないことがあります。子供が小さい間は、時間的な制約からアルバイトでしか働けないこともあるかもしれません。いずれは正社員で長期の勤務ができるよう、スキルの身につく仕事を選ぶことが大切です。正社員プラス副業という方法を検討アルバイトの場合、急に解雇になるようなリスクもあります。長い目で見ると社会保険にも加入しておくのが安心です。シングルマザーも、できるだけ正社員で働くことを考えた方がよいでしょう。年齢が上がるほど、正社員では雇ってもらいにくくなります。特に20代~30代のシングルマザーは、早めに正社員の仕事を確保しておくことを考えましょう。今は副業OKの会社が増えたので、給料が安く貯金ができない場合でも、副業して収入を増やす方法があります。どんな副業を選んだらいい?副業をするなら、できるだけ自分の好きなこと、興味のあることをやってみましょう。好きなことなら長く続けられます。子供が小さいシングルマザーの場合、在宅でできる仕事や、自分のペースでできる仕事がおすすめです。たとえば、自分の特技を誰かに教える、手作りのものを売ってみる、不用品をフリマアプリで売ってみる、インターネットのアンケート・モニターサイトに登録してみる、クラウドソーシングサイトで記事作成の案件に応募してみる…など、たとえわずかでも、本業以外でお金を得る経験をしてみましょう。それをきっかけに広がっていくこともあります。シングルマザーの貯金に関するまとめシングルマザーの場合、まずは貯金できる家計にすることが大事です。毎月安定した収入が得られる仕事を確保することを考えましょう。手当や養育費は貯金に回し、自分の勤労収入だけで暮らせるように生活設計するのがおすすめです。
2019年09月14日「離婚をしたいけれど、経済的に苦しくなってしまうのが心配…」という女性は多いのではないでしょうか?シングルマザーの貧困は、社会問題にもなっています。本記事では、シングルマザーがなぜ貧困になってしまうのか、その原因について分析し、母子家庭が抱える問題を解決する方法について考えてみたいと思います。日本のシングルマザーの貧困は社会問題化している日本のシングルマザーの貧困は、思いのほか深刻です。母子家庭の貧困率がどれくらいなのかを知っておきましょう。相対的貧困率からわかるシングルマザーの貧困貧困世帯の割合を知る手がかりになるのが、「相対的貧困率」という指標です。貧困には絶対的貧困と相対的貧困があります。大まかに言うと、絶対的貧困は人間として最低限の生活を維持するのが困難な状態、相対的貧困はその国の経済的・文化的水準を考えたときに困窮している状態になります。日本の相対的貧困率を知れば、日本の標準的な生活水準に満たない世帯の割合を知ることができます。厚生労働省が行っている国民生活基礎調査(平成28年度)によると、日本全体の相対的貧困率は15.7%となっており、7人に1人が相対的貧困の状態です。日本のひとり親家庭の約半数が貧困国民生活基礎調査(平成28年度)では、子供がいる現役世帯のうち大人が1人の世帯、すなわち、ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)の相対的貧困率は50.8%という結果が出ています。ひとり親家庭の約85%は母子家庭ですが、母子家庭に限った場合には、さらに比率は高くなることが推測されます。母子家庭の半数以上が貧困に陥っているのが日本の現状です。先進国の中でも突出して高いひとり親家庭の貧困割合OECD(経済協力開発機構)では、2000年代半ばまでの加盟国の相対的貧困率を公表しています。これによると、日本の相対的貧困率は小さい順から並べたときに30か国中27位で、先進国の中でも相対的貧困率が高い国であることがわかります。特に、日本におけるひとり親家庭の相対的貧困率は、30か国中最も高いという結果が出ています。貧困に陥った母子家庭の実態母子だけで生活していくためには、住む場所を確保し、家賃や光熱費を払わなければなりません。しかし、貧困に陥っていれば、家賃等を払ってしまうと使えるお金がほとんどなくなり、ご飯もろくに食べられないことになってしまいます。値段の安いジャンクフードばかりを食べてしまい、健康を損ねることもあるでしょう。貧困に陥ると、子供を高校や大学へ進学させるのも困難です。母子家庭では、子供も中学や高校卒業後、早い時期から働かなければならくなってしまいます。子供も十分な教育を受ける機会を逃してしまい、貧困の連鎖を起こしてしまうのです。シングルマザーが貧困に陥る原因とは?シングルマザーが貧困に陥る原因としては、いろいろな要素が絡み合っています。シングルマザーの多くが貧困という事実から、女性の働き方や貧困の連鎖など、解決しなければならない問題が浮き彫りになってきます。次項から、シングルマザーの貧困の原因について分析してみます。シングルマザーの貧困の原因①子供がいる女性は正規雇用で働きにくい働く女性が増えたとはいっても、職場における女性の待遇はまだまだ男性並みとは言えません。特に子供を産んだ後、女性は働きにくくなってしまいます。シングルマザーが貧困になってしまうのは、思うように働けないという理由もあります。[adsense_middle]働こうにも子供の預け先がないことがあるシングルマザーが子供を預けて働くには、子供の預け先が必要です。実家を頼ることができるシングルマザーはごく一部ですから、子供を保育所に預けなければなりません。日本ではそもそも保育所が不足している状態なので、入れる保育所がすぐに見つからないことがあります。幼い子供がいると採用されにくい子供を保育所に預けられたとしても、夕方決まった時間までにはお迎えに行かなければなりません。子供の病気の際には、仕事を休んで看病しなければならないこともあるでしょう。シングルマザーは、代わりにお迎えに行ってもらったり子供の看病をしてもらったりする人がいないことがあります。職場に迷惑がかかるおそれがあるため、シングルマザーは正規雇用では採用されにくいのです。パートやアルバイトでは十分な収入にならない子供を預けられる時間が限られていれば、短時間のパートやアルバイトでしか働けません。パートやアルバイトでは、親子で暮らしていくのに十分な収入にならないことが多いはずです。結婚していて共働きの間はパートやアルバイトでも何とかなったかもしれませんが、シングルマザーになると、生活費は全部自分の収入でまかなわなければなりません。切り詰めても生活が苦しいということになってしまいます。シングルマザーの貧困の原因②子供の父親から養育費を受け取っていないシングルマザーになっても、子供の父親が元気で働いていれば養育費をもらうことができます。しかし、現実には養育費をもらっていないシングルマザーが大半です。養育費を払ってもらうには事前に取り決めしておかなければならない離婚しても父親と子供の関係は変わりません。父親は子供と別居していても、養育費を払って子供を扶養する義務があります。離婚後のシングルマザーは、元夫から養育費をもらうことができれば生活も随分楽になるでしょう。日本では養育費を父親側から強制的に徴収するような制度はなく、夫婦間の取り決めにゆだねられています。しかし、実際には取り決めができていなかったり、取り決めしていても養育費が払われなかったりするケースが多くなっています。養育費を受け取っているシングルマザーは4人に1人平成28年度に厚生労働省が行った「全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯のうち養育費を継続的に受け取っている世帯の割合は25.4%となっています。今の日本では、シングルマザーになっても、4人に1人しか養育費を受け取っていないのが現状です。自分が働いて得られる収入だけでは、子供を育てていくのに十分ではないでしょう。養育費を受け取っていないことも、シングルマザーの貧困の原因と言えます。シングルマザーの貧困の原因③周りの人に助けを求めにくいシングルマザーの中には何もかも一人で抱え込んでしまい、身動きできなくなっている人もいるはずです。周りの人にSOSを出すことができなければ、どんどん深刻な事態に陥ってしまいます。子育てを助けてくれる人が身のまわりにいない現代の子育ては、たとえ離婚しなくても孤独なものになっています。大家族で暮らしていた昔と違って、今は子育てを助けてもらう親や親戚が身近にいないことが多いでしょう。近所付き合いもなく、近くに友人・知人もいなければ頼れる人が誰もいません。離婚すれば夫を頼ることもできず、ますます孤独になってしまいます。離婚や貧困は自己責任と思われがちシングルマザーは困っていても人に相談しにくいことがあります。今の日本では、大部分の人が離婚に対してネガティブな印象を持っています。シングルマザーというだけで偏見を持つ人も少なくありません。「離婚は自分の責任だから、困っても自分で何とかすべき」という自己責任の風潮もあり、人に相談すること自体を躊躇してしまうシングルマザーも多いのです。誰にも助けを求められなければ、どんどん状況は悪化してしまいます。そしてひとたび貧困になってしまうと、なかなか抜けられないことになるのです。シングルマザーになっても貧困に陥らないためには?シングルマザーの貧困の現状を知ると、離婚を迷ってしまう人も多いと思います。シングルマザーが貧困に陥らないためには何に気を付けておけばよいのでしょうか?[adsense_middle]自立できる仕事を持っておく女性が離婚後に貧困に陥らないようにするためには、経済的に自立できる力を持っておくことが何よりも大切です。離婚の準備をするなら、安定した仕事を確保することを最優先にしましょう。あまり働いた経験がない人や、結婚してからのブランクが長い人は、好条件の仕事が見つからないかもしれません。しかし、最初は条件が悪くても未経験から少しずつスキルアップし、収入を増やしている可能性もあります。時給だけを見て短期や単発のアルバイトで当座のお金を稼ぐよりも、長く安定して働ける仕事を探した方がよいでしょう。円満離婚を目指す貧困にならないためには、できるかぎり円満離婚をすることも大切です。養育費についても、きちんと話し合って取り決めおきましょう。どうしても顔を合わせて話し合いができない場合には、離婚調停を申し立てる方法があります。養育費をきちんと払い続けてもらうためには、子供と父親との関係が良好であることが欠かせません。離れている父親にも子供の成長を喜んでもらえるよう、積極的に面会の機会を設けましょう。助けを求めるためにネットワークを持っておくシングルマザーになっても、何もかも一人で頑張る必要はありません。母子だけで生活するなら、困ったときに頼れる人がたくさんいることがとても大切になってきます。友人や知人を大事にし、実家などを頼れるなら頼りましょう。人に頼ることは悪いことではありません。迷惑をかけた分は後で返すことができます。人に助けてもらうことで感謝の気持ちを持ち、自分も人のためにできることをしてあげようという気持ちになるはずです。たとえ父親がいなくても、たくさんの人に見守られていれば子供はのびのびと成長します。自分のためにも、子供のためにも、ネットワークを広げておきましょう。貧困に陥ったシングルマザーがすべきことは?母子家庭になったけれど生活が苦しいという場合、決して一人で悩まないようにしましょう。母子家庭向けの支援制度もあります。役所に相談し、今、何をすべきかを整理することが大切です。受けられる支援がないかどうかを確認自治体等で、シングルマザーが受けられる支援制度が用意されています。受けられる支援制度がないか確認してみましょう。シングルマザー向けの支援制度は、自分で請求・申請しなければ受けられません。ホームページを確認したり、自治体の窓口に相談したりして、自分で情報収集をしましょう。養育費を請求することを考える離婚のときに養育費の取り決めをしていなくても諦める必要はありません。未成熟子を養育している場合、離れている父親に対してはいつでも養育費を請求できます。直接養育費を請求しにくい場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることも可能です。どうしてよいかわからなければ役所に相談してみるシングルマザーの貧困は社会問題にもなっているので、どこの自治体でもひとり親家庭向けの相談窓口を設けています。困ったとき、どこに相談に行ったらよいかわからないときには、まずは役所に聞いてみましょう。子供は貧困にしない!教育の重要性を意識しておこうシングルマザーの場合、食べていくだけで精一杯で、子供の教育までお金をかけられないという人が多いと思います。けれど、子供を貧困にしないために教育は重要です。貧困の連鎖とは?貧困は連鎖すると言われています。貧困の連鎖とは、親が貧困であると子供も貧困になってしまうということです。母子家庭では、お金がないからという理由で子供の進学を諦めることもあるかもしれません。けれど、貧困を理由に教育を受ける機会を逃した子供は、十分な収入を得られる仕事につけず、将来的にも貧困になってしまう傾向があります。奨学金を活用すれば進学もできる進学費用が用意できない場合には、奨学金を利用するという方法があります。奨学金は借金なので敬遠する人もいますが、子供自身に学ぶ意欲があるのなら、進学を前向きに検討するのがおすすめです。奨学金の中には返還不要の給付奨学金もありますから活用しましょう。2020年度からは日本学生支援機構の給付奨学金制度が拡充され、対象の大学や専門学校に進学する際に、より多くの学生が給付奨学金をもらえるようになります。たとえば、住民税非課税世帯から私立大学に自宅通学させる場合、要件を満たせば月額3万8,300円の給付奨学金がもらえます。教育の重要性を認識し、母子家庭であっても子供にはしっかりと学ぶ機会を与えましょう。シングルマザーの貧困問題に関するまとめ一人で子供を育てるシングルマザーは、パートやアルバイトでしか働けず、十分な収入が得られないケースが多くなっています。養育費をもらえなければ、生活費が足りずに貧困になってしまうのも無理はないでしょう。生活が苦しくてどうしようもないなら、一人で悩まず誰かに助けを求めることが大切です。これから離婚を考えている人も、自立できる仕事を探すと同時に、ネットワークを築いておくことを重視しましょう。
2019年09月11日手取り20万円でもHappyに暮らすことをモットーに、夫、1歳のお子さんと3人で暮らしているインスタグラマーのsetsukoさん(@setsuko_20)。一番削減効果の高い固定費である通信費を見直して、年間28万円節約できた方法を教えてもらいました。 夫婦合わせて通信費が年間306,000円かかり家計を圧迫! わが家の通信費は、ネット代は賃貸料に含まれているので携帯代のみなのですが、夫婦合わせて年間306,000円もかかっていました。 手取り20万円で家族3人暮らしのわが家では、月25,500円の通信費はかなりの金額。家計をかなり圧迫していたのです。 ちなみにわが家の固定費は家賃41,500円(家賃補助あり・ネット代込み)電気代7,000円ガス代5,500円(節約模索中)水道代4,000円(節水シャワー導入で月1,000円安く)携帯代25,500円(家計を圧迫)保険料14,300円小遣い30,000円(もう少し削りたい…)計127,800円 手取りの半分以上が固定費に消えていました……。そこで、思い切って携帯会社を乗り換えることにしました。 格安スマホに乗り換えて年間306,000円→28,800円に! 携帯会社は元々ソフトバンクで、夫がiPhoneXで月13,500円×12カ月=162,000円、私がiPhone7で月12,000円×12カ月=144,000円、計306,000円かかっていました。 それがUQモバイルに乗り換えた結果、 夫がiPhoneX(9GB・通話5分無料)で月1500円×12カ月=18,000円、私がiPhone7(3GB・通話5分無料)で月900円×12カ月=10,800円になり、年間28,800円に。 なんと年間287,200円も削減することができたんです! ポイントサイト経由で乗り換えて4000円ゲット!UQモバイルで携帯本体とSIMを31,212円で購入して、本体はメルカリで15,000円で売りました。SIMは元々使用していたiPhoneに入れて使っています。 乗り換えの際、ポイントサイトを経由したことも功を奏しました。「ポイントインカム」を経由して4000円分ゲット! ソフトバンクからUQモバイルに乗り換えましたが、本体は元々使用していたものですし、使い心地は何も変わっていません。 変動費を節約しようとすると食費や交際費を削ることになりますが、これらを我慢すると日々のストレスが積み重なり、結局、物欲が増したり浪費につながったりすることも。だからこそ、固定費の削減は家計を黒字へと導いてくれる大切なポイントなんです。重い腰を上げて本当によかったと思います!少しでも節約したい方は格安スマホへの乗り換えを検討&乗り換えの際はポイントサイトの経由を試してみてはいかがでしょうか? この投稿をInstagramで見る 節約のせっちゃんさん(@setsuko_20)がシェアした投稿 - 2019年 5月月14日午前7時12分PDT 著者:節子手取り20万円で夫、1歳の子どもと暮らすママ。めんどくさがりのズボラ主婦で、無理なく楽しく家計管理をしている。ゆるポイ活も実践中。Instagram:@setsuko_20 ※本記事の内容は公開時に確認した情報のため、商品によっては変更となっている場合があります。
2019年08月30日経済的に困窮している母子家庭の数は多くなっています。離婚してシングルマザーになるなら、生活に必要なお金をどうやって確保するかを考えておかなければなりません。国や自治体などでは、母子家庭向けの制度など、支援制度や優遇制度が用意されています。ここでは代表的な手当や補助制度について説明しますので、利用できるものはないかどうかを確認しておきましょう。母子家庭の親や子供が受けられる支援制度について知っておこう母子家庭には様々な支援制度があります。離婚してシングルマザーになるときには、母子家庭向けの支援制度に知っておきましょう。少ない収入で生活していく不安をどうやって解消する?子供がいる夫婦が離婚するときには、母親が子供を引き取るケースがほとんどです。シングルマザーになったときには、特に収入面での不安が大きいと思います。結婚や出産を機に仕事を辞めて家庭に入った人は、また一から仕事を探さなければなりません。しかし、幼い子供がいれば長時間働くことも困難ですから、できる仕事は限られてしまいます。一人では子供を養っていくのに十分な収入が得られないにもかかわらず、別れた夫から養育費を払ってもらえていない人が多いのも現実です。どうやって生活していけばいいのだろうと頭を悩ませてしまうことも多いでしょう。もらえるお金は忘れずに請求しよう母子家庭が安心して暮らすためには、まず、安定した収入が得られる仕事を見つけることや、養育費を確保することを考えましょう。それに加えて、シングルマザーが受けられる手当などの支援制度について知っておくことも重要です。母子家庭は手当をもらえるといっても、手当だけで生活できるわけでは決してありません。けれど、生活費の不足分を多少なりとも補ってもらえれば、随分と心強いはずです。手当などの支援制度は、放っておいても受けられるものではなく、自分で役所などに請求する必要があります。しっかり情報収集し、もらい忘れのないよう請求の手続きをしましょう。シングルマザーが受けられる「児童扶養手当」とは?児童扶養手当は、18歳になった後最初の3月31日までの児童がいるひとり親家庭に支給される手当です。国で設けられている制度なので、全国どこの自治体に住んでいても受けられます。児童扶養手当を請求する方法児童扶養手当を受給するには、離婚後に、住んでいる市区町村の役所で申請手続きを行う必要があります。申請時には、戸籍謄本のほか、住んでいる住宅の賃貸借契約書の写しなどを求められることがあります。申請手続きや必要書類は自治体や家庭の状況によっても変わってくるので、役所に確認してみましょう。申請後、母子で生活している実態の確認のため、民生委員の訪問などがあるケースもあります。児童扶養手当は、離婚したときからではなく、申請が受理された翌月から支給されます。申請が遅れると、手当が1か月分丸々もらえなくなることもありますから、離婚後すぐに申請手続きをしましょう。離婚届を出す前に申請手続きをすることはできませんが、必要書類については離婚前にあらかじめ確認しておくのがおすすめです。児童扶養手当の支給金額と支給月児童扶養手当の支給金額は、どの人も同じではありません。その人の所得に応じて支給額の一部または全部が停止になります。所得額とは児童扶養手当を計算する際の所得とは、次の金額になります。所得額=年間収入金額-必要経費(給与所得控除額等)+養育費(受け取った金額の8割)-8万円(社会保険料相当額)-諸控除(寡婦控除など)所得には、シングルマザー本人だけでなく、同居している父母や兄弟姉妹などの所得も含まれます。離婚後実家に帰った場合、親などの所得も加算されますから注意しておきましょう。1か月あたりの支給金額平成31年4月以降の児童扶養手当の1か月あたりの支給額は、次の表のようになっています。たとえば、子供が1人いるけれど勤労収入も養育費もないような場合には、全部支給となり1か月約4万円がもらえます。収入が増えるに従って、支給金額は少なくなり、ある程度の収入があれば支給停止となります。具体的に年収いくらくらいなら児童扶養手当がもらえるのかは、子供の数などの条件によっても変わってくるので一概には言えません。シングルマザーでも年収300万円を超えるくらいになると、もらえないケースが出てきます。支給月児童扶養手当は、これまで年3回、4か月ごとに支給月が設定されていました。令和元年より支給が2か月ごとに変わり、令和元年11月支給分から次のようになります(支給日は細かくは自治体によって違いますが、だいたい10日頃です)。シングルマザーがチェックしておきたいその他の支援・補助制度児童扶養手当以外でも、シングルマザーが受けられる手当が見つかることがあります。自治体によって支援の内容が異なることもありますので、以下を参考に、お住まいの最寄りの役所で確認しておきましょう。児童手当ひとり親家庭医療費助成制度就学援助児童育成手当JR通勤定期の特別割引住宅手当・家賃補助[adsense_middle]児童手当中学3年までの子供がいる家庭に支給されるのが児童手当です。児童手当は国により設けられている制度で、市区町村から支給されます。児童手当はひとり親家庭のみを対象にしたものではありませんが、離婚前には夫が受給者になっていたケースが多いため、離婚後に受給者を変更する必要があります。親権が母親になったら自動的に母親に振り込まれるわけではありませんから注意しておきましょう。児童手当の支給金額は次のようになっています。ひとり親家庭医療費助成制度ひとり親家庭の通院や入院にかかった医療費について、助成金が支給される制度です。自治体ごとに設けられている制度なので、助成の内容は自治体によって異なっていますが、通院1回あたりの自己負担額が500円程度になるのが一般的です。なお、ひとり親でなくても、子供の医療費には元々助成金がある自治体もあります。ひとり親家庭医療費助成制度があれば、子供の医療費だけでなく親の医療費も対象になりますから、親にとってもメリットがあります。就学援助小学生・中学生のいる低所得の家庭に対し、学校でかかる費用の一部を支給してくれる制度で、自治体ごとに設けられています。ひとり親家庭のみを対象とした制度ではありませんが、ひとり親家庭の場合には収入基準が緩くなっていたり、児童扶養手当を受給していれば対象になったりすることが多くなっています。児童育成手当児童育成手当は、東京都独自の制度です。高校生(※18歳に達する日の属する年度末)までの子供がいるひとり親家庭に、子供1人につき1万3,500円が支給されます。JR通勤定期の特別割引児童扶養手当を受けている家庭のシングルマザーや子供がJRを利用して通勤する場合、通勤定期乗車券を3割引で購入できる優遇制度があります。JRを利用して通勤しているけれど勤務先で交通費が支給されない場合には、忘れずに活用しましょう。住宅手当・家賃補助自治体によっては、ひとり親家庭向けに住居費の支援を行っていることがあります。たとえば、東京都武蔵野市の「ひとり親家庭等住宅費助成制度」では月額1万円が、千葉県浦安市の「ひとり親家庭住宅手当」では月額1万5,000円が支給されます。自立するために学びたいシングルマザーの支援制度もある!厚生労働省では、シングルマザーなどひとり親家庭の親の自立のため、「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」「ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金」「ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」などの職業能力開発支援事業を行っています。自治体によっては制度が導入されていないこともありますが、自分が学びたい分野の支援制度があるなら、ぜひ利用を検討しましょう(※給付金の額は、自治体によってさらに加算されていることもあります)。[adsense_middle]ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金通信教育や専門学校を利用して指定講座(医療事務、パソコン資格、簿記資格、ホームヘルパーなど)を受講した場合に、受講費用の60%相当が支給される制度です。雇用保険制度には、指定講座の受講費用の20%相当が支給される教育訓練給付金制度もあり、こちらはひとり親家庭かどうかは関係なく利用できます。ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金は、教育訓練給付金制度の対象にならない人も対象になり、優遇も大きくなっています。ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金等主に医療・介護系の資格取得のために1年以上学校に行く場合に、給付金が支給される制度です。対象となる資格は都道府県によって多少異なりますが、看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師などになります。給付金には、次の2種類があります。高等職業訓練促進給付金看護師等の資格を取るために学校に通うとなると、その間は収入が途絶えてしまうこともあります。勉強している期間中の生活の安定のために、学校に通っている期間中(上限4年)は、次の金額が支給されます。高等職業訓練修了支援給付金学校での勉強を修了したときに支給される給付金(一時金)です。ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業シングルマザーが高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格するための講座を修了したとき及び合格したときに、講座受講費用の一部が支給されるものです。ひとり親家庭の子供(25歳未満)も対象となります。給付金の額は、次のとおりです。税金等の負担が軽減される制度もある母子家庭になったら、税金等を軽減してもらえる可能性もあります。負担を軽くできないかどうかチェックしておきましょう。寡婦控除寡婦控除は所得控除の一種で、離婚や死別などで夫がいなくなった人が受けられるものです。所得から控除額を差し引くことができるので、その分税金の負担が軽くなります。通常の寡婦と特定の寡婦(特別寡婦)の2種類がありますが、シングルマザーは特別寡婦に該当し、控除額は35万円となります。寡婦控除を受けるには、「勤務先で年末調整をする際に提出する扶養控除等(異動)申告書」の「特別の寡婦」のところにチェックを入れます。フリーランスなどで確定申告する人は、確定申告書の「寡婦、寡夫控除」欄に35万円の控除額を記入します。国民年金保険料の免除制度勤務先の社会保険に加入できない場合には、国民年金に加入する必要があります。国民年金の保険料は1万6,410円(令和元年度)ですが、収入が少なく支払いが困難な場合には免除申請ができます。免除申請をした場合には、前年度の所得額によって全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の決定が出ます。国民年金保険料の免除を受けると、将来受け取る年金額が減ってしまうというデメリットがあります。10年以内であれば追納できるので、余裕ができたら追納することも考えておきましょう。シングルマザー向けの手当てに関するまとめシングルマザー向けの手当や支援制度は、ここに書いたもの以外もあります。ひとり親家庭向けの冊子を配布している自治体が多いので、離婚するときに入手しておくと参考になるでしょう。シングルマザー向けの手当などは、勤労収入や養育費だけでは生活費が足りない場合に、最低限の補てんをしてくれるものです。離婚するときには手当をあてにするのではなく、働いて自立することを考えると同時に、夫と養育費について話し合い取り決めしておくことを忘れないようにしましょう。
2019年08月28日離婚は、誰もが経験するものではありません。離婚を経験する人も、人生のうちにそう何度もあるわけでもないと思います。離婚を考えたときに、「いったい何から手を付ければよいのかがよくわからない…」という人がほとんどなのではないでしょうか?今回は、離婚の際の手続きを大まかな手順に沿ってご紹介しますので、必要書類なども含めて知っておきましょう。【離婚の際の手順①】 離婚に合意する離婚したいと思った場合には、まず、協議離婚ができないかを考えてみます。夫婦が離婚に合意すれば、協議離婚が可能です。離婚の合意は簡単ではない離婚は1人だけの問題ではありません。相手が納得しないのに、自分の意思だけですぐに離婚できるわけではないことを意識しておきましょう。法定離婚原因がある場合には、裁判を起こして離婚判決を得ることもできますが、裁判が終わるまでにはかなりの時間がかかります。長期化すると、精神的なダメージも大きくなります。離婚について相手の承諾が得られそうなら、協議離婚するのがいちばんです。夫婦仲が険悪になっていたり、家庭内別居が長く続いていたりすれば、「相手も離婚に応じてくれるだろう」と安易に考えてしまいがちです。しかし、「離婚したい」と言って相手を「うん」と言わせるのは、想像している以上に難しいことがあります。相手にも考える時間は必要です。相手の気持ちや立場を無視して強引に離婚手続きを進めようとすれば、相手も意固地になり、離婚できるまでに余計に時間がかかってしまいます。相手に納得してもらえるよう、じっくり時間をかけて話し合いをしましょう。離婚に合意できない場合には話し合いをしても相手が離婚を承諾してくれない場合、もしくは相手が話し合いを拒否して前に進まない場合には、家庭裁判所で離婚調停をする方法があります。離婚調停をし、調停が成立すれば離婚の条件についても家庭裁判所で決まることになります。離婚の条件は、家庭裁判所で調停調書という書面にしてもらえます。【離婚の際の手順②】離婚の条件を決める離婚に合意ができたら、離婚の条件を決めます。決めるべき離婚条件は、主に次の6つです。(1)~(3)は、子どもがいる場合には必ず取り決めすべき事項になります。(4)~(6)については、必要な場合に取り決めしましょう。親権養育費面会交流財産分与慰謝料年金分割(1)親権子どもがいる場合には、どちらの親が親権者になるかを決めます。親権者は離婚届に書かなければならないので、親権者を決めなければ離婚ができないことになります。(2)養育費子どもと別居する親は、養育費を払う義務があります。養育費は通常は毎月払いにするので、毎月の支払額を決めます。さらに、毎月の養育費とは別に、進学時などにまとまってかかる費用についても決めておくとよいでしょう。支払う側に一括払いできるお金がある場合には、一括払いにしてもかまいません。(3)面会交流子どもと別居する親は、子どもと面会交流する権利があります。面会については、必ずしも月1回などの回数を決めなければならないわけではありません。細かく決め過ぎると、子どもの体調などで面会が実現しなかったときに揉めてしまいます。目安としての回数や宿泊の有無などを決めておき、その都度話し合いをしながら柔軟な対応ができるようにしておきましょう。(4)財産分与離婚するときには、夫婦が婚姻中に築いた財産を財産分与で公平に分けます。必要に応じて、預貯金を移し替えたり、生命保険を解約したりしましょう。不動産のように物理的に2つに分けられないものは、どちらが引き継ぐかを決め、金銭の支払いで清算します。借金についても原則的に財産分与の対象になります。ただし、結婚生活のためではない個人的な借金は対象になりません。住宅ローンについては、家の現在価値や残高、名義などによってどうすべきかが変わってきます。当事者だけで決めないで、専門家に相談して対処するのがおすすめです。(5)慰謝料相手の浮気が原因で離婚する場合には、相手に慰謝料を請求できます。その他にも、暴力を受けた、生活費を渡してもらえなかった、一方的に別居されたなどの理由があれば、慰謝料請求が可能です。逆に、自分の浮気などが原因の離婚なら、相手に請求された場合に慰謝料を払わなければなりません。(6)年金分割夫婦の一方または両方が会社員や公務員の場合、年金分割ができます。女性側は、年金分割をすれば、将来の年金受取額が増えるのが一般的です。年金分割には合意分割と3号分割の2種類があります。専業主婦でなくても、合意分割をすれば年金が増えることがあります。合意分割をする場合には相手との合意が必要なので、離婚時に話し合っておきましょう。[adsense_middle]【離婚の際の手順③】離婚届を用意する離婚届は、役所に行ってそのまま記入して出すような書類ではありません。事前に届出用紙を入手し、記入を完成させておきましょう。市役所や区役所に離婚届を取りに行く離婚届の用紙は、市役所や区役所に置いてあります。「○○市長殿」などの宛先が印刷されているところもありますが、書式は全国共通ですから、宛先を訂正すればどこでも使えます。役所によってはホームページからダウンロードできるようになっていることがありますが、A3サイズの用紙1枚におさまるように印刷しなければなりません。また、すべての役所でダウンロードしたものを受け付けてもらえるわけではないので、事前に確認しておきましょう。離婚届に署名して印鑑を押す記入例や説明を参考に、必要事項を記入します。「届出人署名押印欄」以外は、誰が書いてもかまいません。「届出人証明欄」には、夫婦がそれぞれ自分で氏名を手書きし、別々の印鑑を押します。証人を依頼する協議離婚で離婚届を出すときには、証人2名の署名押印も必要です。証人は、20歳以上の人なら誰でもかまいません。本籍や住所も書いてもらわなければならないので、家族や親戚、親しい友人などに頼むとよいでしょう。戸籍謄本を取得離婚届を提出する役所が本籍地でない場合には、戸籍謄本を添付する必要があります。本籍地が遠方の場合には郵送で取る必要があるので、前もって用意しておきましょう。離婚届不受理申出を取り下げるどちらかが離婚届不受理申出(※離婚届を受理しないよう役所に申し出る手続き)をしている場合には、不受理申出の取り下げをしなければ離婚届を受け付けてもらえません。不受理申出を出している側が離婚届を出しに行かない場合には、事前に取り下げをしておきましょう。【離婚の際の手順④】離婚協議書を作成協議離婚する場合には、離婚時の取り決めを離婚協議書にしておきましょう。離婚の条件を離婚協議書や公正証書にしておく裁判所を通じて離婚する場合と違い、協議離婚の場合はそのままでは離婚時の取り決めの書面が残りません。夫婦で離婚条件を確認し、離婚協議書を作成しておきましょう。公証役場で離婚時の取り決めを公正証書にしておけば、より効力があります。特に、毎月養育費を払ってもらう場合や、慰謝料を分割払いしてもらう場合には、公正証書にしておくことで執行力が付き、お金が支払われないときに強制執行が可能です。離婚協議書を作成するタイミング離婚協議書は、必ず離婚前に作成しなければならないわけではありません。離婚届を出した後でも離婚協議書を作成することはできます。たとえば、「子どもの進学に合わせて名字を変えたいので、すぐに離婚届を出したい」というようなケースもあるでしょう。そのような場合には、離婚届を先にし、離婚協議書を後にしても問題はありません。【離婚の際の手順⑤】離婚届を出す離婚届を出せば、協議離婚が成立します。事前にいつ提出するかを決めて準備しておきましょう。離婚届の提出先離婚届は、本籍地または住所地の役所に提出します。なお、夫婦の本籍地は同じですが、既に別居していれば住所地が別のことはあります。この場合には、どちらの住所地に出してもかまいません。運転免許証などの本人確認書類を持参離婚届を出しに行く人は、本人確認書類として、運転免許証やパスポートなどを持参する必要があります。婚氏続称するなら「戸籍法77条の2の届」が必要離婚後に旧姓に戻らない「婚氏続称」の場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を提出します。離婚届と同時でなくても、離婚日から3か月以内なら提出できます。離婚手続きの手順に関するまとめ離婚に合意する離婚の条件を決める離婚届を用意する離婚協議書を作成離婚届を出す離婚届を出すまでの手続きの流れは、大まかには上記のような手順になりますので、理解しておきましょう。なお、状況によって上記のとおりにはいかないこともありますし、公正証書を作成する場合の必要書類などもケースバイケースです。細かいところは専門家に確認しながら、臨機応変に離婚手続きを進めましょう。
2019年06月19日://専業主婦の人は、経済的には夫に頼って生活しているはずですから、離婚後自立して生活していく方法を考えておかなければなりません。シングルマザーの貧困が取り沙汰されていますが、離婚して生活に困らないためには、しっかりした準備が必要です。本記事では、専業主婦が離婚したい際に知っておきたいポイントをまとめていますので、参考にしてください。専業主婦が離婚するならお金が必要専業主婦が離婚するとき、お金の問題は重要です。準備が不十分なまま離婚すれば、悲惨なことになります。離婚後に継続的に収入を得られる手段を確保し、離婚時に夫からもらえるお金は忘れずに受け取っておきましょう。【離婚後のお金について①】養育費や手当だけでは生活できない離婚するとなると、その後は夫の収入に頼って生活するわけにはいきません。子供がいる場合でも、夫から受け取れる養育費は子供の生活費のみですから、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。母子家庭には児童扶養手当も支給されますが、養育費と手当を合わせても、それだけで生活が成り立つことはないのが普通です。専業主婦の人も、離婚後は仕事を見つけて働かなければなりません。結婚と同時に仕事を辞めた人も、仕事を探して再就職する必要があります。児童扶養手当はどれくらいもらえる?離婚して母子家庭になった場合、条件を満たしていれば、児童扶養手当(母子手当)を受給できます。児童扶養手当の金額は一律ではなく、前年度の収入を基準に支給金額が決まります。専業主婦だった人は前年度の収入がゼロですから、子供が1人の場合1か月あたり約4万2,000円、2人目がいれば約1万円加算、3人目以降がいれば1人につき約6,000円が加算されます。しかし、働いて収入が増えると、次年度から手当の金額は減ることになります。また、児童扶養手当支給の基準になる収入には、元夫からの養育費の8割も加算されます。養育費をたくさんもらっていると、児童扶養手当の金額は少なくなるということです。児童扶養手当を受給するには?児童扶養手当を受給するには、役所に毎年現況届を提出しなければなりません。また、5年以上継続して受給していると、自立に向けて努力していることや病気で働けないことを証明しなければ、支給額を減らされてしまいます。働けるのに働かず、手当だけもらい続けるということはできないのです。離婚後の生活設計を考えるとき、児童扶養手当をアテにしすぎるのは危険です。児童扶養手当は、働いて十分な収入が得られるようになるまでの間、足りない生活費を補充してくれるものと考えましょう。【離婚後のお金について②】仕事はいつ探す?仕事を探しても、すぐに見つかるとは限りません。離婚を考えたら、早い段階から仕事探しを始めましょう。子供を抱えて働くとなると、保育園や学校の都合がありますから、勤務時間にも制約が出てきます。希望する条件の職場が見つかっても、実際に働いてみたら合わないこともあるでしょう。離婚後、急に仕事を辞めなければならなくなったら困るはずです。離婚前に仕事を探し、その職場でやっていける目途が立ってから離婚した方がよいでしょう。【離婚後のお金について③】離婚時に夫から慰謝料はもらえる?離婚するときに、夫から慰謝料を払ってもらえないかも考えてみましょう。一方的に離婚原因を作った側に対しては、慰謝料を請求できます。たとえば、夫の浮気が原因で離婚に至った場合、夫に対して慰謝料を請求できます。慰謝料の相場は200~300万円程度ですから、離婚後の生活の元手として役立てることが可能です。夫に慰謝料を請求したい場合でも、離婚後3年を経過してしまうと時効になってしまいます。慰謝料をもらうのであれば、早めに請求しましょう。【離婚後のお金について④】専業主婦でも財産分与で2分の1をもらえる離婚するときには、財産分与という形で、婚姻期間中築いた財産を分けることができます。財産分与では、専業主婦でも2分の1の割合で財産を取得できるのが原則です。たとえば、夫名義になっている預貯金でも、結婚している間に貯めたものであれば、半分を分けてもらうよう請求できます。財産分与を請求できる期間は離婚後2年間と限定されているため、権利があるものについては忘れずに請求しましょう。【離婚後のお金について⑤】夫がサラリーマンなら年金分割を忘れずに!夫が会社員や公務員の人は、年金分割の手続きもしておきましょう。年金分割は、婚姻期間中の厚生年金保険料の納付実績を分ける制度です。離婚時に夫の納付実績を分けてもらうことで、将来の年金受取額が増えることになります。年金分割を希望する場合には、離婚後2年以内に年金事務所で手続きが必要です。専業主婦の場合、平成20年4月1日以降の納付実績については「3号分割」となり、自分1人で年金分割の手続きができます。一方、平成20年3月31日以前の納付実績については、夫の同意を得て「合意分割」の手続きをしなければ分けてもらえません。離婚するなら夫に養育費を請求できる子供がいるなら、夫に養育費を請求できます。離婚するときには、養育費についての取り決めもしておきましょう。専業主婦でも親権を取ることは可能専業主婦であっても、親権を取ることはできます。親権者を決めるとき、収入の多い少ないは関係ありません。収入の少ない側が親権者になっても、他方が養育費を払って補えば問題ないと考えられるからです。養育費の相場は?養育費を決めるときには、裁判所で使われている養育費算定表を参考にします。たとえば、夫が会社員で年収400万円、妻が年収0円、子供の年齢は全て14歳以下と仮定した場合、養育費の相場は子供の人数によって次のように変わります。子供1人の場合…4~6万円子供2人の場合…6~8万円子供3人の場合…6~8万円養育費を確実に払ってもらうには?離婚時に養育費について約束しても、きちんと払ってもらえるとは限りません。協議離婚の場合には、養育費の取り決めを公正証書にしておきましょう。公正証書があれば、差押えして養育費を回収しやすくなります。夫が納得いく額の養育費を払ってくれない場合には、離婚調停を申し立て、裁判所で解決する方法があります。調停が成立すれば裁判所で調停調書を作ってもらえるので、それに基づき差押えが可能です。[adsense_middle]離婚後の住まいの確保は重要離婚すれば、通常はそれまで住んでいた家を出て行かなければなりません。離婚するなら、住む場所を確保しておきましょう。【離婚後の住まいについて①】持家やマンションに住み続けることはできる?結婚している間に購入した家やマンションがある場合、離婚後もそこに住み続けたいと思うことも多いでしょう。住宅ローンが残っていない場合、夫と話し合って合意すれば、財産分与で家をもらうことも可能です。一方、住宅ローンが残っている場合には、家の名義変更は原則的にできません。住宅ローンの残っている夫名義の家に妻が住み続けることにはリスクがあります。離婚するときには、新しい住まいを探した方が安心です。【離婚後の住まいについて②】公営住宅に入れば家賃を抑えられる生活費の中で、大きな割合を占めるのが住居費です。住居費を抑えるためには、都道府県営住宅、市営住宅、町営住宅などの公営住宅に入るのがおすすめです。自治体によって、シングルマザーは公営住宅に優先的に入居できる扱いがされているところも多くなっています。離婚調停になっている場合には、裁判所発行の証明書を提出することにより、離婚成立前でも優遇してもらえることがあります。【離婚後の住まいについて③】民間住宅を借りるには保証人が必要離婚後、民間の賃貸住宅を借りて住む場合には、保証人も用意しておく必要があります。保証料を払って保証会社に依頼すれば、常に保証人なしで賃貸住宅を借りられるわけではありません。まず保証会社の審査に通らなければなりませんし、保証会社と連帯保証人の両方が必要になる物件が大半です。親が生きていても、高齢の場合には保証人になれないことがあります。親戚や知人など、保証人を頼める人がいないかどうか考えておきましょう。離婚の手続きに関するまとめ専業主婦が離婚するときには、経済的不安を解消するために、準備にしっかり時間をかけましょう。養育費や慰謝料、財産分与について知識をもっておくことも必要ですが、まずは自身の自立が最優先です。離婚後の生活設計について十分考えた上で、離婚を進めるようにしましょう。
2019年06月09日子供を設けた夫婦が離婚する場合、通常親権を持つ側に対し「養育費」が支払われます。その金額はケース・バイ・ケースですが、支払う側の経済力などによって変わってくるのが通例です。離婚を経験したTさん(40代・女性)もその1人。夫とデキ婚したものの、結婚当初から相手の不貞が発覚。耐えきれなくなった彼女は、離婚を決意しました。 「養育費なし」で離婚するも…ところが夫は不貞を一切否定。離婚調停の末別れることになりましたが、あまりにも面倒になったため、養育費を一切もらわず、「とにかく離婚してくれればいい」と告げたそうです。無事離婚することができましたが、子供2人を抱えた生活は困窮。勤務していた会社が倒産してしまい、収入を失ってしまいどうにもならなくなっている状態で、なんとか養育費の支払いを旦那にお願いしたいと考えています。 後から養育費を請求することは可能?Aさんは一度「要らない」と言ってしまった手前、なかなか言い出せずにいて、困っているそう。突っぱねてしまったものの、子供の生活がかかっていますから、背に腹は代えられません。友達に相談しても、「大丈夫じゃない?」「一度決めたことを覆すのは難しいのでは?」と、意見が分かれています。恥を忍んで元旦那に相談するわけですから、失敗したくないと考えているそうです。実際のところ、一度断った養育費を後から要求することは可能なのか?弁護士法人エースの竹内省吾弁護士に解説していただきました。 弁護士の回答は…竹内弁護士:「まず、職を失ったとのことですが、収入状況が大きく変われば養育費の変更を申し入れることができます。このケースだと、調停で養育費を決めているとのことなので、再度調停を申し立て、以前養育費を決めた時と事情が大きく変わり、職を失い収入がなくなったことを主張します。相手の収入にもよりますが、失職したという事情は養育費を変更する事情になると思われます」 遠慮せず主張を離婚時と収入状況が大きく変わった場合は、後から養育費の要求や金額の変更を申し入れることができるようです。Aさんのように「一度断ってしまった」ことで、二の足を踏んでしまう人も多いようですが、正当な権利ですので、遠慮せず主張していきましょう。 *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人エース。企業法務・交通事故・不倫問題・残業代請求をはじめ、多岐分野に対応。弁護士とパラリーガルの緊密な連携により最短ルートで最善の解決へ。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)慰謝料を要求せずに離婚し、その後職を失った妻…元夫に支払いを求めることは可能?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。慰謝料を要求せずに離婚し、その後職を失った妻…元夫に支払いを求めることは可能?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年05月08日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。ほかにも、介護状態になったときに利用を検討したい制度がある。「割と見逃されがちなのが、『障害者控除対象者認定』です。これは確定申告する際に、この認定を受けているかいないかで、税金の控除額が大きく変わってきます」ここで言う障害者とは、障害者手帳がなくても、“障害者に準じており、障害者控除が必要な人”のこと。ただし、自治体によって判断基準が異なり、要介護1から認定されるところもあれば、要介護4からというところもある。「家族の誰かが障害者控除の認定を受けたら、生計を一にするなかで最も多く稼いでいる人が、確定申告の際に控除を受けて節税できます。とてもお得な制度です」要介護に該当するような人ではなくても、65歳以上で生活機能の低下を感じた場合、ぜひ利用すべきだと、横井さんがすすめるのが「総合事業サービス」だ。「『要介護1、2』の人、または要介護認定を受けていない人で、25問のチェックリストを受けてサービス事業対象者と判断された人が対象です。対象となった人は、生活支援や介護予防のためのさまざまなサービスが受けられます」訪問サービスでの部屋の掃除やゴミ出し、通所リハビリテーション(デイケア)など、生活支援、介護予防の両面からサポートしてくれる。ただし、内容や利用料は、自治体によって異なる。「このサービスを利用しようと思ったら、必ず地域包括支援センターに行くことになります。そこで自分の介護についての不安を相談できるうえ、認知症の前段階から利用すれば、介護予防にもつながります」
2019年03月25日離婚時に子供の親権をどちらにするかで争いになってしまうことがあります。離婚しても子供のそばにいたいので、何としてでも親権を獲得したいという人は多いのではないでしょうか?本記事では、子供の親権を獲得するために知っておきたいポイントをまとめています。親権は子供のことを第一に考えて決めるものということを理解した上で、親権を取るためにできることを知っておきましょう。離婚時には子供の親権者を決める必要がある夫婦の間に未成年の子がいる場合、離婚するときは夫婦の一方を親権者に指定しなければなりません。親権とは、そもそもどういった権利なのでしょうか?親権とは親権とは、未成年の子を養育監護し、未成年の子の財産管理をし、未成年の子を代理して法律行為をする権利または義務のことです。結婚している間は、夫婦双方が共同親権者としてこれらの権利義務を行使します。離婚すると、夫婦が共同で親権を行使するのが困難になるため、どちらか一方を親権者と定める必要があります。法律上定められている親権の内容親権は、大きく財産管理権と身上監護権の2つに分かれます。財産管理権子供名義の財産を管理したり、子供が契約を行うときに法定代理人となったりする権利義務です。身上監護権子供の養育や教育を行う権利義務です。身上監護権として、民法には具体的に、居所指定権、懲戒権、職業許可権といったものが定められています。親権の決め方離婚時には、特に争いがなければ、親権は話し合いだけで決めることができます。親権で争いになったら、裁判所で決着をつけることになります。協議離婚なら当事者間の話し合いだけで決めてかまわない協議離婚する場合には、夫婦間の話し合いで親権者を決めます。協議離婚は役所に離婚届を提出するだけで成立し、親権者についても離婚届に書くだけです。親権者を夫婦間の話し合いで決められるのは離婚時のみになります。離婚後に親権者を変更する場合には、家庭裁判所での手続きが必要です。親権に争いがあれば家庭裁判所の調停や訴訟で決める離婚時に親権で争いがあれば、協議離婚はできないので、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停で親権者をどちらにするかで合意できれば、調停離婚が成立します。離婚調停で合意できない場合、親権者を決めて離婚するには、訴訟(裁判)を起こさなければなりません。裁判では最終的に裁判官が親権者を決めます。なお、離婚調停不成立となった場合、審判で裁判官が親権者の指定をして離婚の決定を出すこともあります。判断されるポイント子供の親権者をどちらにするかを決める場合、裁判所では、様々な要素を考慮して総合的に判断します。具体的には、以下のようなポイントが重視されます。現状を尊重する親権については、現在子供を養育している側が引き続き監護すべきという考え方があります。虐待などがあるケースを除き、子供と一緒に住んで世話をしている方が親権者になることが多くなります。乳児の親権は母親子供の年齢が小さいほど、母親の養育監護が優先されます。子供を母乳で育てている場合などは、母親を引き離すのは子供の成育にとって良くないのは明らかでしょう。乳児の親権は母親になるのが通常です。15歳以上は子供の意思を尊重子供が大きい場合、子供自身の意思を重視します。基本的に、15歳以上なら子供本人の意思を尊重すべきとされています。ただし、15歳未満でも子供の意向を確認することはあります。概ね10歳以上の子供については、本人の意向も重視されると考えた方がよいでしょう。兄弟姉妹は分けない兄弟姉妹はできるだけ同じ人間が監護するべきと考えられています。複数の子がいる場合、親権者が父親と母親に分けられることはあまりありません。ただし、子供の年齢が大きい場合や、既に父親側と母親側に分かれて住んでいるような場合には、親権者を分けることもあります。面会交流に関して寛容親権者となる側が、相手方と子供との面会交流を積極的に認めていることも重視されます。親権を取ったら相手方とは会わせたくないという側は、親権を取りにくくなります。親権争いを有利に進めるにはどうしても親権を取りたいという場合には、どのような方法があるでしょうか?親権争いを有利に進める方法について考えてみましょう。親権争いの懸念事項親権争いになったら、「自分は親権が取れないのではないか」と心配になるかもしれません。親権争いの懸念事項としては、以下のようなことが挙げられます。父親でも親権を取れる?離婚時に子供の親権者となるのは、圧倒的に母親が多くなります。父親というだけで、親権争いでは不利になってしまうのが現実です。しかし、父親は絶対に親権者になれないというわけでは決してありません。父親側の環境によっては、父親が親権者になれる可能性も十分あります。離婚原因を作った側でも親権を取れる?自分の浮気で離婚に至った場合、親権が取れないのではないかと不安になることもあるでしょう。どちらが子供の親権者になるかということは、離婚の原因がどちらにあるかとは関係ありません。親権者を決めるときには、子供の利益や子供の福祉の観点から判断されます。子供を養育する上で支障がない限り、有責配偶者であっても親権者になることができます。専業主婦でも親権者になれる?子供の親権者を決めるときに、働いているかどうは特には考慮されません。親権者となった側の収入が少ない場合、他方が養育費を多く払えば解決するからです。専業主婦であっても、親権者になることはできます。親権と監護権を分ける方法もある親権は監護権(身上監護権)を含むものですが、監護権を分離して他方に帰属させることも可能です。親権と監護権を分離させることで、親権を取りやすくなることがあります。特に、父親側が親権を取りたい場合、親権と監護権を分けるのは有効な方法の1つと言えるでしょう。父親が親権者、母親が監護権者となれば、子供と一緒に生活して子供の面倒を見るのは母親ですが、子供の財産管理は父親が行うことになります。この場合、子供の法定代理人は親権者である父親なので、子供の学校関係の書類などには父親が印鑑を押さなければなりません。弁護士に依頼すれば親権を獲得できる?弁護士に依頼することで、親権を獲得できる可能性が高まることがあります。弁護士は、過去の裁判例を調べ、似たようなケースにおける裁判所の判断を根拠に、調停委員や裁判官に話をしてくれます。自分の力だけでは、親権を取るために十分な主張がなかなかできないことがあります。法律のプロである弁護士に依頼すれば、親権獲得に有利になるように話を進めてくれますので、非常に心強いはずです。親権を獲得できなかった場合親権を獲得できなかった場合でも、親としての権利や義務はあります。親としてできることやすべきことを確認しておきましょう。親権を取れなくても面会交流権はある親権を獲得できなくても、親である以上、子供との面会交流権はあります。親権を取れなかった場合には、面会交流権を積極的に主張することで、子供とのつながりを維持することを考えましょう。面会交流について決めていなければ、親権者に子供を会わせてもらえないといったことにもなりかねません。面会交流については、回数や方法などをできるだけ具体的に決めておいた方が安心です。宿泊を伴う面会や、学校行事への参加についても決めておき、約束を守ってもらえるようにしましょう。養育費を払うことで子供を支援する親権が取れなくても、子供の親であることには変わりありません。親である以上、子供を扶養する義務はあります。養育費を支払うことを約束し、経済的な面で子供を支えましょう。離婚時の子供の親権についてまとめ親権を獲得したら、相手には子供を会わせなくていいわけではありません。両方の親とかかわりながら生活していくのが子供にとって最も理想的な環境です。離婚後も、子育てにはお互いの協力が必要になります。親権者でない側も、子供に対してできることはあります。単にどちらが親権者になるかといったことではなく、子育てにおいて双方がどのような役割分担をするかといった観点から考えるようにしましょう。
2019年03月17日夫婦関係が破綻した場合、すぐに離婚するのではなく別居期間をおくことは多いと思います。離婚前の別居でも生活費の請求は可能です。ここでは、「婚姻費用」と呼ばれる生活費の請求方法や、生活費の相場がわかる「婚姻費用算定表」について説明します。離婚前に請求できる「婚姻費用」とは?婚姻費用とは結婚生活から生じる費用のことで、主に夫婦が別居したときに問題になります。婚姻費用は結婚している間の生活費婚姻費用は、夫婦と未成年の子供にかかる生活費です。衣食住にかかる費用だけでなく、教育費や医療費、交際費なども婚姻費用に含まれます。夫婦は助け合って生活するのが前提ですから、婚姻費用は、夫と妻で公平に分担しなければなりません。妻が専業主婦の場合には、自分で生活費を稼ぐことができませんから、夫が当然に妻や子供の生活費を払うことになります。妻が働いていても、夫の方が収入が多いなら、妻の生活費をいくらかは負担しなければならないということです。別居しても婚姻費用は分担する必要がある別居しても、夫婦である限り、婚姻費用の分担義務はなくなりません。夫婦関係が破綻して別居した場合でも、婚姻関係を継続していれば、婚姻費用の分担を請求できます。たとえば、夫の方が収入が多い場合、夫と妻のどちらが出て行ったとしても、妻は自分や子供にかかる生活費を夫に請求できます。妻が実家に戻ったとしても、離婚していないのであれば、妻から夫に対して婚姻費用を請求することは可能です。夫婦のみの場合でも婚姻費用は請求できる婚姻費用は、養育費のように、子供がいなければ請求できないものではありません。子供がいない夫婦が別居した場合でも、婚姻費用は請求できます。妻が働いていても、夫の方が収入が多ければ、生活費の一部を夫に負担してもらえるということです。婚姻費用の性質とは?婚姻費用の分担は、夫婦が助け合うという相互扶助義務に基づくものです。夫婦が助け合う義務とはどのような義務なのかを知っておきましょう。扶養義務の2つの種類自力で生活できない人に対しては、親族が経済的援助をする義務(扶養義務)を負うことがあります。扶養義務には、「生活保持義務」と「生活扶助義務」の2種類があり、それぞれで求められる援助の程度が違います。生活保持義務を負う場合には、自分の生活に余裕がなくても、相手を援助しなければなりません。一方、扶養義務が生活扶助義務である場合には、自分に余裕がある範囲内で相手を助ければよいとされています。つまり、生活保持義務の方が、生活扶助義務に比べて重いということです。生活が苦しくても婚姻費用を払う義務はある婚姻費用分担義務は、扶養義務のうち重い方の生活保持義務になります。収入が少ないことを理由に婚姻費用の支払いを免れるということはありません。「余裕がないから生活費を払えない」と言われても、あきらめずに請求しましょう。婚姻費用を請求する方法は?婚姻費用を請求する場合、裁判外(話し合い)で請求する方法と、調停を申し立てる方法があります。話し合いで請求婚姻費用を請求したい場合、まずは話し合いを試みましょう。ただし、口約束では不安です。別居する場合には、婚姻費用について合意した内容を「別居合意書」等の書面にしておきましょう。別居合意書を公正証書にしておくとさらに安心です。婚姻費用分担請求調停を申し立てる相手が任意に生活費を払ってくれない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。婚姻費用分担請求調停では、家庭裁判所の調停委員が夫婦の間に入って意見の調整を行ってくれます。話し合いがまとまれば、調停成立です。調停で合意できない場合には、審判により婚姻費用が決定します。婚姻費用の計算方法婚姻費用を計算するときには、「標準算定方式」と呼ばれる方法を使います。標準算定方式では、生活保持義務の考え方にもとづき、夫婦と子供が同居している状態を仮定して生活費を算出します。算出された生活費を按分する形で、夫、妻の分担額が決まります。標準算定方式による婚姻費用の計算の具体的な流れは、次のとおりです。1. 夫婦の基礎収入を出して合計する基礎収入とは、税込年収に一定の割合をかけたものです。一定の割合とは、給与所得者の場合には0.34~0.42で、年収によって変わります。夫婦それぞれについて基礎収入を出し、合計して世帯収入とします。なお、基礎収入割合の具体的な算出方法について明確な基準はありませんが、以下の計算例では「家庭裁判月報」(62巻11号)に掲載の次の表を引用しています。計算例夫:年収600万円の場合の基礎収入→600万円×0.37=222万円妻:年収120万円の場合の基礎収入→120万円×0.41=49万2,000円世帯収入:222万円+49万2,000円=271万2,000円2. 権利者世帯・義務者世帯の生活指数を出す権利者とは婚姻費用をもらう側(多くは妻)で、義務者とは婚姻費用を払う側(多くは夫)です。生活指数は、成人が必要とする生活費を100とし、0~14歳までは55、15~19歳までは90となります。権利者世帯、義務者世帯のそれぞれの生活指数を計算します。計算例権利者世帯:妻と3歳の子供→100+55=155義務者世帯:夫のみ→100全体の生活指数:155+100=2553. 世帯収入(夫婦の基礎収入合計)を生活指数に応じて振り分ける世帯収入(夫婦の基礎収入合計)を生活指数で按分し、権利者、義務者それぞれの分担額を割り出します。権利者の分担額から、権利者の基礎収入額を差し引きした額が、義務者に請求できる金額です。計算例権利者の分担額=世帯収入 × 権利者世帯の生活指数/全体の生活指数=271万2,000円× 155/255=約164万8,000円(年額)→権利者が請求できる1か月あたりの金額(164万8,000円-49万2,000円)÷12=約9万6,000円婚姻費用の相場を簡単に知るには、婚姻費用算定表を活用しよう!上に書いたとおり、婚姻費用の計算方法はやや複雑です。婚姻費用の相場を簡単に知りたいなら、婚姻費用算定表を活用しましょう。婚姻費用算定表とは?婚姻費用算定表は、婚姻費用を簡易迅速に計算することを目的にした算定表です。東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所の裁判官が中心となって組織されている東京・大阪養育費等研究会が平成15年に公表したものですが、現在は実務で幅広く利用されています。婚姻費用算定表は、裁判所のホームページでも見ることができるので、生活費の話し合いの際に活用しましょう。婚姻費用算定表の見方婚姻費用算定表の見方は、次のとおりです。1. 該当する表を選ぶ婚姻費用算定表には、「夫婦のみの表」「子1人表」「子2人表」「子3人表」があります。子がいる場合の表は、子供の年齢によっても種類が分かれます。まず、自分の家庭がどの表に該当するかを選びましょう。なお、子供が4人以上いる場合や、義務者と一緒に住む子供がいる場合には、算定表は使えません。元々の計算式(※上記「婚姻費用の計算方法」参照)に当てはめて計算しましょう。2. 権利者、義務者の年収を確認婚姻費用算定表では、縦軸が義務者の年収、横軸が権利者の年収となっており、給与所得者と自営業者で区別されています。夫婦それぞれの年収がどこの線に該当するかを確認しましょう。給与所得者の年収は、手取りではなく、保険料や税金を差し引く前の税込年収です。源泉徴収票の「支払金額」を見れば確認できます。自営業者の年収は、原則として確定申告書の「課税される所得金額」です。ただし、税法上控除されているけれど実際に支出されていない費用(基礎控除、青色申告控除、現実に支払われていない専従者給与など)については加算する扱いになります。3. 2本の線が交差したところの金額を確認権利者、義務者それぞれの年収の線が交差したところの金額が、権利者から義務者に請求できる金額です。まとめ離婚前に別居する場合、生活費として請求できる金額を知るために、婚姻費用算定表を活用できます。なお、婚姻費用算定表はあくまで標準的なケースを想定した表で、個別の事情については別途考慮した方が良いことがあります。婚姻費用の金額に不安があるなら、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
2019年03月02日「重篤ながんになったとしても“医療費が払えなくて苦労した”という声はあまり聞きません。日本には『高額療養費制度』という、収入に応じて上限を設けて医療費の負担を抑えてくれる制度がありますから、一般的な保険診療であれば“実費で数百万円”なんてことにはならないのです」こう語るのは、NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長・看護師の賢見卓也さん。「ただし、すべて“病院におまかせ”というわけにはいきません。基本的に、こういった制度は、加入者自らが保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請する必要があるからです。とりわけがん患者となると、診断直後は、家族みんなで慌ててしまうこともあるでしょう。だからこそ、元気なうちから、医療費についての制度とその手続きの仕方について十分に知っておいていただきたい」社会保険労務士で同会理事でもある石田周平さんは次のように話す。「高額療養費制度では、基本的に『自己負担限度額』以上を支払う必要はありません。たとえば月収50万円の世帯であれば、医療費が100万円かかったとしても、1カ月の上限である8万7,430円で済むわけです」(石田さん)過去に大病を患った人でなくても「高額療養費制度」は必ず知っておくべき知識。制度を熟知することで、あなたの“老後の不安”が一つ消えるかもしれない。そこで賢見さんや石田さんが何度も質問されたことがあるという、高額療養費についての“素朴な疑問”を紹介。【Q1】高額療養費は年何回まで?「回数制限はありませんので、最大で『年12カ月(回)』です。ちなみに自己負担額が過去1年間に3カ月(3回)以上、高額療養費に該当していた場合、4カ月(4回)目からは自己負担限度額が少なくなります」(石田さん)【Q2】高額療養費には時効がある?「診療を受けた日の翌月1日から丸2年間で、高額療養費は消滅します。制度自体を知らなかったり、治った病気のことは忘れてしまったりする人もいますので、各保険者から年数回、郵送される明細『医療費のお知らせ』をしっかりと見ておいてください」(賢見さん)【Q3】入院中の差額ベッド代は?「入院費で保険適用になっていないのが個室代(4床以下の部屋が個室扱い)と食事代で、全額自己負担。保険適用になるのは6人部屋のみです。ただし例外もあり、人を感染させる可能性のある症状や、感染しやすい状態で、個室入院が必要と病院が判断した場合は、請求はされません」(賢見さん)【Q4】家族全員分の医療費を申請する「世帯合算」って何?「世帯のうち2人以上が同月に病気やケガをして受診した場合、1人が複数の病院で受診した場合、1人が同じ病院の『入院』と『外来』を受診した場合は、各2万1,000円を超える自己負担額を世帯で合算することができます。ただし、2人以上の合算をする場合、全員が同一の保険者に所属していなければなりません。共働きで夫婦が違う保険者に加入していれば“世帯合算は無効”となりますので注意してください」(石田さん)最後に賢見さんはこう語る。「『高額療養費』という言葉は知っていても、実際の利用方法は、初めて目にする方も多いはずです。保険者によっては個々のケースで条件が大きく異なることもあるし、制度の改定もあるでしょう。不明点が出るたびごとに、問い合わせることをおすすめします」
2019年02月13日離婚すると、夫婦だった相手も法律上他人になってしまいます。他人間でお金の支払いの約束をするときには、多くの人が契約書を作るでしょう。離婚するときにも同様、離婚協議書という契約書が必要です。本記事では、離婚協議書について詳しく説明します。離婚協議書を作る意味を理解し、できるだけメリットになる形で離婚協議書を作成しましょう。離婚協議書とは?離婚協議書とは、協議離婚する夫婦の合意書です。作成が義務付けられているものではありませんが、協議離婚するなら必ず作っておいた方がよいでしょう。離婚協議書を作る目的離婚協議書は、契約書の一種です。契約書には将来のトラブルを予防するという意味がありますが、離婚協議書も離婚後のトラブルを防ぐ目的で作ります。調停離婚や裁判離婚など、裁判所を通じて離婚した場合には、裁判所で離婚の条件を記した調停調書や判決書が作成されます。しかし、協議離婚は離婚届を出すだけで成立するので、そのままでは離婚の条件についての書面が残りません。たとえば、離婚する際に月5万円の養育費を払ってもらう約束をしたとしても、口約束だけでは相手に「そんな約束はしていない」と言われてしまう可能性があります。離婚協議書を作成しておけば、約束した証拠を残すことができます。離婚協議書は離婚後でも作成可能離婚協議書は、離婚届を出す前に作るのが一般的ですが、離婚後に作成してもかまいません。ただし、養育費などは離婚後すぐに支払いが開始しますから、できるだけ早い時期に作成しましょう。なお、離婚協議書はあくまで離婚を前提として作成するもので、「万一離婚することになった場合に備えて離婚協議書を作る」ということは、基本的にはできません。協議離婚は、離婚届を出す時点で双方に離婚の意思がないと成立しないものです。また、民法には夫婦間契約は婚姻中いつでも一方から取り消しできる旨の規定もあります。すぐに離婚する気がない場合、離婚協議書を作っても、どちらかが気が変われば意味のないものになってしまいます。離婚協議書の作成方法離婚協議書には決まった書式などはありません。たくさん出回っているサンプルを参考に作ることもできます。離婚協議書は誰が作る?離婚協議書は、当事者である夫婦だけで作ることもできます。合意事項がそれほど複雑でない場合、インターネットや書籍のサンプルを参考にすれば、それほど難しくはないでしょう。ただし、当事者だけで離婚協議書を作る場合、必要事項が漏れていたり、合意しても無効な事項を入れてしまったりしがちです。リスクを抑えるためには、行政書士や弁護士に依頼して離婚協議書を作ってもらった方がよいでしょう。離婚協議書は手書きでもいい?離婚協議書は手書きで作成しても問題ありません。ただし、手書きだと文字が判別しにくかったり、改ざんしやすくなってしまったりしますから、可能ならパソコンで作成した方がよいでしょう。なお、署名については手書きした方が安心です。印鑑も押しておきましょう。離婚協議書の提出場所は?作成した離婚協議書は、どこかに提出しなければならないわけではありません。同じものを2通作成し、各自1通ずつ持っておきましょう。相手に対して訴訟を起こす場合には、証拠として離婚協議書が必要です。離婚協議書の内容や必要事項離婚協議書に記載すべき内容は、それぞれの夫婦によって違います。サンプルどおりにするのではなく、自分たちの実情に合ったものを作成するようにしましょう。離婚協議書の記載事項離婚協議書には、一般に次のような事項を記載します。親権子供の親権者は離婚届に記載して指定するものですから、必ずしも離婚協議書に書かなくてもかまいません。ただし、養育費について記載する場合には、前提として親権者を書いておいた方がわかりやすくなります。養育費養育費は、通常は毎月払いの形で決めます。毎月の支払額のほか、支払日、支払方法(振込、持参など)、支払期間(成人まで、大学卒業までなど)についても記載します。高校や大学の入学金などは、毎月の養育費と別に払ってもらうべきものなので、これについても取り決めして記載しておいた方がよいでしょう。慰謝料離婚後に慰謝料の支払いをする場合には、支払日や支払方法などを記載します。離婚前に慰謝料の支払いが完了している場合にも、支払いがあった証拠として書いておいた方が安心です。財産分与財産分与について取り決めした場合には、その内容を書いておきます。家財道具まで全部書いているとキリがありません。離婚前に引き渡しをすませた上で、「残っている家財道具については所有権を放棄する」等の条項を入れておくとよいでしょう。面会交流子供と別居親との面会交流について決めておきます。月1回などと決めてもかまいませんが、その都度話し合って決める形でもOKです。訴訟の際の管轄当事者間でトラブルになって訴訟になった場合に備えて、裁判所の管轄を合意しておくことができます。訴訟では原則的に被告の住所地を管轄する裁判所が管轄になりますが、当事者間で合意した裁判所(合意管轄)があればその裁判所で訴訟ができます。離婚後遠方に離れて住む場合には、合意管轄を定めておいた方がよいでしょう。離婚協議書に有効期限はある?離婚協議書は、離婚後将来にわたってずっとトラブルが起こらないようにするためのものです。そのため、離婚協議書自体には有効期限はありません。なお、個別の条項について、支払期限などの期限を設けることはできます。離婚協議書は公正証書にしよう離婚協議書は、公正証書にすることができます。公正証書のメリットや公正証書にする手続きについて知っておきましょう。通常の離婚協議書には強制力がない契約書でお金の支払いについて定めた場合、約束した支払いがなかったら、支払う側に対して「約束どおりに払ってください」と言うことができます。しかし、通常の契約書があるだけでは、相手の財産を差押えしてお金を回収することはできません。差押えなどの強制執行を可能にするには、契約書をもとに訴訟を起こし、判決などの「債務名義」を得る必要があります。離婚協議書も契約書の一種ですから、通常の離婚協議書があるだけでは、強制執行はできません。離婚協議書は、約束をしたことの証明にはなりますが、約束を守らせる強制力まではないということです。公正証書の約束を破ったら強制執行が可能離婚協議書を公正証書にすれば、強制力をもたせることができます。公正証書は公証人が作成する文書で、私文書よりも証明力が高い公文書です。公正証書はそれ自体が債務名義になるため、契約書を公正証書にしておけば、訴訟を経ずに強制執行ができます。たとえば、公正証書で定めた養育費の支払いがなされない場合、公正証書にもとづき相手の給料を差し押さえ、養育費を回収することが可能です。公正証書は再発行も可能通常の離婚協議書の場合、どこかに提出するわけではないので、紛失してしまうリスクがあります。公正証書は原本が公証役場に保管されるため、紛失しても再発行が可能です。約束した証拠が公的機関に残るという意味でも安心感があります。離婚協議書を公正証書にする方法離婚協議書を公正証書にするには、夫婦双方が公証役場に行き、合意内容を伝えた上で、本人確認や意思確認を受ける必要があります。一方の意思だけで公正証書を作ることはできません。実際に公正証書を作成するときには、必要書類を揃え、公証人と事前打ち合わせした上で、予約しておいた日時に公証役場に出頭して調印するという流れになります。行政書士や弁護士に公正証書作成のサポートを依頼すれば、合意内容のチェックをしてもらえるほか、必要書類の取り寄せや事前打ち合わせなどもすべて任せられるというメリットがあります。離婚協議書に関するまとめ離婚協議書には、離婚の際に夫婦間で合意した事項を記載します。離婚協議書を作るときには、将来どんなトラブルが起こり得るかを予想し、できるだけリスクを抑えられる形にしましょう。離婚協議書の内容については、専門家にチェックしてもらうのがおすすめです。
2019年02月08日毎年2月16日から3月15日までの期間は、確定申告書の提出期間となっていますが、今年は2月16日が土曜日となるため、2月18日(月)~3月15日(金)と若干提出期間が短くなっているので注意が必要です。医療費が発生している人(一定の金額以上医療費が発生している場合に限る。)は確定申告を行わなければなりませんが、高額療養費の支給を受けた人については、高額療養費の金額については確定申告は不要となります。それ以外の医療費部分については、医療費控除として確定申告を行わなければなりません。今回は「高額療養費とはどのようなものか?」を解説したうえで、なぜ「高額療養費に相当する部分が確定申告不要」なのか、そして「医療費控除との違い」について解説します。高額療養費は健康保険から行われる給付の一つそもそも、高額療養費は健康保険法に規定されている保険給付の一つです。高額療養費の金額の計算方法については、法令によって定められており、具体的には、被保険者の所得を基準とした標準報酬月額によって区分された自己負担額の上限額の算式を用いて高額療養費の計算を行うことになります。高額療養費の金額の計算の仕方高額療養費の金額の計算は70歳未満の者と70歳以上75歳未満の者では、計算方法や自己負担額限度額の計算区分が異なります。70歳未満の者の自己負担限度額70歳以上75歳未満の者の自己負担限度額高額療養費の自己負担額計算ポイント自己負担額の計算を行う際には以下の点に注意が必要です。自己負担額が21,000円を超える診療分が対象となります個人単位で計算を行います。診療を受けた医療機関ごとに計算します。入院分と外来診療分とは区別します。保険が適用される診療分が対象となります。高額療養費の手続きの流れ高額療養費支給申請書を保険者(協会の場合は協会けんぽ、組合の場合は健保組合)に提出することで、高額療養費の申請を行います。なお、ケガが原因の場合については「負傷原因届」の提出(協会けんぽの場合)が必要となります。また、住民税非課税区分に該当する場合は、被保険者の非課税証明書を併せて提出する必要があります。高額療養費はいつまでに申請しなければならない?高額療養費は月(1日から末日まで)ごとに計算されるため、申請することができる時期については、実際に自己負担額を支払った日の属する月ではなく、その翌月1日が申請開始時期となります。なお、高額療養費は時効により、自己負担額を支払った日の属する月の翌月1日から2年以内に申請する必要があります。高額療養費の払い戻しの目安は?高額療養費の払い戻しまでの時期の目安としては、保険者が実際に自己負担額を支払った医療機関のレセプト等を確認したうえで支給の決定を行うため、早くても2~3カ月後に払い戻しが行われることが多いです。医療費控除と高額療養費との違い医療費控除とは、所得税の計算において合計所得金額(各種所得の合計額)から控除することができる所得控除の一つで、1年間に支払った医療費の合計額から一定額を控除したものです。医療費控除の計算対象とは?医療費控除の計算対象は、高額療養費とは違い、21,000円を超えるような診療分に限らずに、治療を目的とする診療に関する支払を行ったものが全て対象となりますが、予防や美容などに関する支出については医療費控除の対象となりません。(例)予防接種の費用、疲労回復のための栄養剤購入費用など医療費控除の計算方法医療費控除の計算方法は、1年間の総所得の金額によって以下のように計算式が変わります。注意してほしい点としては、総所得金額は、所得控除をする前の所得金額の合計であるということです。(つまり、サラリーマンであれば、「給与所得控除額を控除した後の所得金額」がこれに該当するということです)高額療養費と医療費控除の確定申告手続き方法高額療養費と医療費控除は併用することができます。確定申告の際に手続きを行わなければ、適用を受けることができないものとなりますので、確定申告の手続きについて、最低限抑えておいてほしいポイントについて説明します。高額療養費の確定申告手続き方法高額療養費は確定申告をする際には、なんら手続きは不要です。これは、高額療養費が健康保険により給付される保険金の一つであると考えるためです。つまり、高額療養費は公的保険から出る保険金と扱われるため、医療費控除の計算においては医療費総額から控除されるものとなります。また、高額療養費は先程も述べたように、公的保険の保険給付の一つとなるため非課税です。そのため、確定申告においては、非課税となる以上は手続きは不要となるわけです。医療費控除の確定申告手続きの方法医療費控除については、年末調整では処理が行われない為、確定申告を行う必要があります。医療費控除を行う際に注意してほしい事としては、医療費控除の対象となる医療費の支出を証明できる領収書等を確定申告書に添付する必要があるということです。つまり、複数回の医療費の支出があった場合であっても、それらの全てに関する領収書を添付する必要があるため、医療費控除の申告を考えている人は、その点に注意が必要となります。高額療養費の確定申告手続き方法:まとめ高額療養費と医療費控除は性格的には似ている部分がありますが、実態は全く異なる性質のものとなります。年末調整や確定申告が近くなるにつれて、こういった部分について気になる人が増えてくると思います。そのため、医療費の支出が高額療養費の対象なのか、それとも医療費控除の申告の対象となるのかをある程度明確に区分しておくことも重要になります。また、医療費控除の申告については、領収書が添付されていることが必要となるため、1回あたりの医療費が少額のものであっても、回数が多かったり、診察に要する期間が長かったりするもの等がある場合については、領収証の保存に関してもしっかりと行う必要があります。確定申告に関する内容について、不明な点がある場合は、国税庁のHPや税理士の先生に確認することを活用していくことが大切です。
2019年01月30日昨今外国人労働者の受け入れが進んでいます。日本の少子高齢化を補う意味で今後さらに進められていくものと思われますが、トラブルも多くなりつつあるようです。 外国人の元彼が妊娠後帰国20代女性のBさんもトラブルに巻き込まれた1人。外国人留学生だったA氏と恋愛関係になり交際していた彼女は、ある日妊娠が発覚。Bさんは結婚を考えていましたが、元々遊び相手としてしか考えていなかったA氏は、その事実を告げられると逃げるように帰国してしまいました。裏切られたBさんは中絶を決意しますが、納得できない気持ちでいっぱい。A氏の所在地は把握しているとのことで、損害賠償を検討していますが、国をまたぐ形となっているだけに請求できるかどうか不安に思っているそうです。Bさんは損害賠償を請求することができるのか。虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きました。 損害賠償を請求することは可能?齋藤弁護士:「日本法では、金銭債務の義務履行値は債権者の現在の住所地とする民法484条の規定を根拠として、日本の裁判所において審理を求めることは可能です。ただし、実際に手続を継続していき、債務名義という判決で勝訴を得るのは極めて困難です。理由は、領事館を通す、外務省を通す、など、手続に時間がかかってしまいますし、費用対効果を得られる請求なのかどうかの判断が必要になります。ただし、ご指摘の事情ですと、認知ですとか、養育費ですとか、子の将来にわたる重要事項が問題になっていますので、あきらめる必要はないかと考えられます。慰謝料請求を根拠とせず、認知・養育費の問題と整理してみるべきではないでしょうか」 外国人との交際はリスクもある国際結婚は今後増えていくものと思われますが、国をまたぐことになるだけに、「法的リスク」も存在することは間違いありません。そのことを理解したうえで交際したほうがよいかもしれませんね。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。) *取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)外国人彼氏が妊娠発覚で国外逃亡︎損害賠償は請求できるはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。外国人彼氏が妊娠発覚で国外逃亡‼︎損害賠償は請求できる⁉️はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年01月28日高額療養費は、医療費が高額になった場合において、自己負担分について上限を設定し、その上限額を超えて支払った医療費の部分について払い戻す仕組みとなっています。ただし、健康保険の適用される診療に限りますので、出産に関する費用の中には、高額療養費の適用を受けることができない事もあるのが注意すべき点です。今回は、高額療養費制度と出産費用との関係性について、これだけは理解していただきたいという内容を解説していきます。出産に関する費用で保険の適用が受けられるものと受けられないもの出産に関する費用には、健康保険の適用を受けることができるものと適用を受けることができないもの(全額自費負担)があります。高額療養費は保険適用対象の治療などに対して支給されるため、保険適用対象なのかどうかを確認しておくことも重要なことになります。実際に窓口で支払う場合においては、3割負担の部分と全額自己負担部分とが混在する形で支払うことになることが多いため、保険適用が受けられるかどうかについては、明確に区分することが必要になります。出産費用で保険の適用が受けられる場合保険の適用が受けられる出産費用としては、帝王切開や切迫早産などの異常分娩や妊娠・出産に伴う合併症などのように治療が必要とされる場合に健康保険の適用が受けられます。つまり、これらの出産に関わる費用の総額が自己負担額の上限額を超える場合については、高額療養費の申請を行うことで上限額を超えた部分について払い戻しが行われます。出産に関しては、予定日を過ぎると早まることなどがありますが、高額療養費の申請期限は自己負担額を支払った日の属する月の翌月1日から2年間とされています。出産費用で保険の適用が受けられない場合保険の適用が受けられない事例としては、自然分娩で出産を行った場合が該当します。自然分娩の場合は、治療となるような医療行為がないため、保険の適用対象とはならず、高額療養費の対象とはなりません。高額療養費の対象とはなりませんが、出産に関する給付である「出産手当金」や「出産育児一時金」の支給があるため、これらの給付により、実質的な自己負担がほぼないものとなります。出産費用に関する高額療養費はいくらぐらいもらえるのか?初めにも述べたように、出産費用は正常分娩の場合は保険適用外となり、高額療養費の支給を受けることができませんが、帝王切開や切迫早産、妊娠中の合併症などといった治療が必要な場合であれば保険適用されます。では、具体的に出産費用について高額療養費が発生した場合、いくらぐらいになるかについて見ていきます。帝王切開による出産を行った場合帝王切開による出産の費用は保険の適用対象となりますので、高額療養費の対象となります。帝王切開による出産の費用は平均すると約55万円(平成26年度時点)であるといわれていますが、保険の適用対象となる部分は、帝王切開にかかる費用のみとなっているため、それ以外の入院時の食事代などの費用の負担分については保険の適用外となる点(つまり、この部分については全額自己負担となり、高額療養費の適用を受けられないということです。)に注意が必要です。具体例(条件)帝王切開による出産にかかった費用(10割負担であった場合の支払総額):60万円実際に病院に支払った医療費(3割負担による支払額):18万円被保険者の標準報酬月額:40万円高額療養費の金額の速算表自己負担額の上限額標準報酬月額が40万円ですので、上記の速算表から「80,100円+(医療費総額(10割負担の場合の医療費総額)ー267,000)×1%」で算定することが分かります。この計算式を当てはめてみると、この人の自己負担額の上限額は、「80,100円+(600,000円-267,000円)×1%=83,430円」となります。高額療養費の金額実際に支払った自己負担額から、先程計算した自己負担額の上限額を控除することで、この人が支給を受けることができる高額療養費の金額が算定されます。これより、「180,000円(実際に支払った自己負担分)ー83,430円(自己負担額の上限額)=96,570円(高額療養費の金額)」が高額療養費として申請することで払い戻される金額となります。いつまでに申請すればよいか?実際に帝王切開による出産が行われた日の属する月の翌月1日から2年以内とされています。(つまり、出産日が平成31年1月6日であれば、その翌月である「平成31年2月1日から2年後の平成33年1月31日まで」に申請をすればよいということになります。)出産に関する高額療養費についての注意点出産に関する費用は基本的には医学的な治療ではない為ため、保険の適用はありませんが、帝王切開や切迫早産等の異常分娩や妊娠による合併症などの場合は保険適用があるため、高額療養費の適用はあります。しかし、保険の適用があるのは異常分娩などの出産に関する費用に限られているということです。そのため、実際に負担しなければならない額についても、3割負担の部分と全額自己負担の部分とが混在する形になってしまうため、医療費を支払った際に区分しておくことが必要になります。なお、1年間に4回以上高額療養費の支給が行われる場合は多数回該当といい、4回目以降の高額療養費の自己負担額の上限額の基準が変わります。入院期間が長期化する恐れがあったりする場合には注意が必要になります。高額療養費の適用があるもの異常分娩などによる出産費用以外にも、出産に関する費用で保険適用を受けることができる内容として、以下のような症状があげられます。つわり(重症妊娠悪阻)流産・早産子宮頸管無力症妊娠高血圧症候群逆子・前置胎盤の超音波検査児頭骨盤不均衡の疑いでのX線撮影微弱陣痛などで陣痛促進剤を使用分娩停止や胎児機能不全などによる鉗子分娩・吸引分娩頸管損傷・会陰裂傷Ⅱ度以上による縫合術赤ちゃんの新生児集中治療室への入院 などいずれの症状についても、保険適用があるため、高額療養費の支給対象とされます。高額療養費の適用がないもの以下に該当するものについては、保険の適用が受けられないため、高額療養費の適用を受けることができません。差額ベッド代入院時の食事費病院への交通費外来診療の医療費が21,000円未満のものなどこれらの費用については、出産に関する費用であるかどうかは関係なく、基本的に保険の適用を受けることができない費用とされています。出産に関する高額療養費まとめ出産に関する費用は、保険の適用があるものと保険の適用を受けることができないものがあるため、どの費用が保険の適用があり、どの費用は保険の適用外であるかを理解することが大切です。そうすることで、窓口で支払をした後に申請を行う上でもスムーズに進めることができるようになります。忘れてはいけないこととしては、高額療養費は健康保険の給付の一つですので、保険の適用がなければ、高額療養費を支給すること自体できないということにもなります。出産に関する高額療養費については、治療が必要かどうかという点に注意すれば、保険適用の有無についても判断ができることが多いですので、不明な点があった場合は、保険者(協会けんぽや健保組合など)に問い合わせをすることで、事前に疑問点を解消することも併せて行うことが望ましいです。
2019年01月24日女性が離婚するとき、いちばん考えておかなければならないのが、生活費の問題ではないでしょうか?離婚後は働いて収入を得るにしても、一人で子供を育てていくのは大変です。離婚前に別居する場合には、別居中の生活費も気になるでしょう。今回は、離婚前や離婚後の生活費を相手にどこまで請求できるかについて説明します。離婚を考えるなら、必要なお金を確保する方法を知っておきましょう。離婚するまでの生活費は当然に請求できる離婚するまでには準備期間も必要です。離婚前に、とりあえず別居期間を設けることも多いでしょう。別居中も夫婦である以上、生活費の請求は可能です。離婚するまでは生活費の支払い義務がある離婚するまでは法律上も夫婦ですから、たとえ別居しても相手に生活費を請求できます。民法には、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(760条)という夫婦の婚姻費用分担義務が定められているからです。婚姻費用とは、夫婦と子供の生活費とされており、衣食住の費用のほか、医療費や子供の教育費なども含まれます。これらの費用は、夫婦が収入に応じて分担するものとされているため、自分一人で負担する必要はないのです。離婚前の生活費の計算方法婚姻費用として請求できる額について、実務では「養育費・婚姻費用算定表」を用いて計算します。養育費・婚姻費用算定表を見れば、夫婦の収入や子供の人数別に生活費の相場がわかります。ただし、生活費の金額は、本来、それぞれの家庭の事情によって異なるものです。算定表に該当しないケースもありますし、算定表の額は一般に少なすぎるとも言われています。婚姻費用としていくら請求したらよいかわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。離婚前に生活費をもらえないなら調停も可能離婚前に相手に生活費を請求しても払ってもらえないときには、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。調停で話し合っても相手が生活費の支払いに応じないなら、そのまま審判に移行されることになり、裁判官が生活費の額を決定します。調停や審判で婚姻費用が決まった場合には、裁判所で調停調書や審判書が作成されます。裁判所で決まった婚姻費用を払ってもらえないときには、調停調書や審判書にもとづき強制執行も可能です。離婚前の生活費を話し合いで決めるなら公正証書を別居する際に生活費について話し合いをして取り決めした場合、取り決めの内容を公証役場で公正証書にすることもできます。婚姻費用について公正証書にしておけば、調停調書や審判書がある場合と同様、支払いがないときの強制執行が可能になります。離婚後の子供の生活費は養育費として請求可能養育費とは、離婚後子どもにかかる生活費のことです。離婚の理由にかかわらず、子供の生活費については、別居する方の親に対して当然に請求ができます。親は子供の生活費を負担する義務がある民法上、親は未成熟子(経済的に自立していない子供)に対する扶養義務があるとされています(820条、877条1項)。夫婦が離婚しても、子供と親との関係は変わりません。同居していなくても、子供の生活費を負担する義務があるということです。扶養義務には、「生活保持義務」(自分と同水準の生活をさせる義務)と「生活扶助義務」(自分の生活に余裕がある範囲で助ける義務)の2種類があります。親の未成熟子に対する扶養義務は、より強力な「生活保持義務」とされています。「生活に余裕がない」という理由で、養育費の支払い義務を免れることはありません。妻が子供を引き取る場合には、当然夫に対して養育費を請求できます。離婚後子供にかかる生活費の相場養育費として請求できる額は、婚姻費用と同様、裁判所の養育費・婚姻費用算定表で相場を知ることができます。ただし、養育費・婚姻費用算定表の金額をもらえば、十分というわけではありません。子供の習い事や塾費用、私立高校の学費など、算定表ではカバーされていないものも多くあります。養育費を請求するときには、離婚後にかかる子供の生活費をしっかり見積もり、それを夫婦でどう負担するかを話し合うことが大切です。養育費については、こちらの記事をご参照ください。協議離婚なら公正証書で養育費の支払いを確保協議離婚の場合には、養育費についても話し合いで決めることになります。取り決めした証拠を残し、かつ、支払いがなかった場合に強制執行を可能にするために、公正証書を作成しておきましょう。妊娠中の離婚で生活費は請求できる?妊娠中に離婚した場合、出産・育児のためしばらく働けないこともありますから、生活費が不安です。離婚時に相手に請求できるお金は、きちんと請求するようにしましょう。妊娠中の離婚でも養育費は請求可能結婚している間に妊娠した場合、たとえ出産前に離婚したとしても、子供は法律上も別れた夫の子として扱われます(民法772条)。また、子供の親権は原則として母親が持つことになりますから、父親である別れた夫に養育費を請求することが可能です。扶養的財産分与として離婚後の生活費をもらう夫には、別れた妻の離婚後の生活費を負担する義務はありません。ただし、離婚時に扶養的財産分与として夫に当面の間の生活費を支払ってもらう取り決めをすることは可能です。扶養的財産分与を請求できるのは、3年程度になります。協議離婚で扶養的財産分与の取り決めをしたときには、養育費と合わせて公正証書にしておきましょう。慰謝料を請求する浮気など相手が一方的に離婚原因を作った場合には、慰謝料を請求できます。慰謝料請求は証拠がなければ困難なことが多いので、証拠を集めておきましょう。熟年離婚で生活費を確保する方法熟年離婚の場合には、老後の生活費の確保についても考えておかなければなりません。年金や退職金などはもちろん、老後のために準備しているお金があれば、離婚の際にきちんと分けておきましょう。年金分割で老後の年金を確保熟年離婚の場合には、年金分割で老後の年金を増やすことも忘れないようにしましょう。年金分割は、離婚後2年以内に手続きする必要があります。年金分割については、こちらの記事をご参照ください。将来の退職金や私的年金の財産分与を受ける夫が退職間近なら、将来受け取る退職金についても財産分与できます。確定拠出年金、個人年金、国民年金基金などの私的年金に加入して保険料を払っている場合も同様に、受け取り時期が将来であっても、財産分与が受けられる可能性があります。老後の生活費として準備しているお金など、財産分与を受けられるものがないかを確認しておきましょう。離婚時に生活費を請求するときの注意点離婚前や離婚後に相手に生活費を払ってもらうときには、次のような点に注意しておきましょう。過去の生活費を請求することはできない婚姻費用については、原則として、過去の分を遡って請求することはできません。離婚が決まってから離婚までの生活費の支払いを要求しても、相手が任意に応じてくれない限り、支払いを受けるのは困難です。離婚調停をする場合には、調停成立まで時間がかかることが多いので、婚姻費用分担請求も同時に申し立てておきましょう。なお、過去の生活費の支払いを受けていない場合、財産があれば、財産分与で調整することは可能です。離婚後に生活費をもらうと税金がかかる可能性も離婚後は、夫婦は他人になってしまうので、お互いの扶養義務は消滅します。たとえ扶養的財産分与であっても、離婚後に別れた夫から年間110万円を超える生活費を受け取ると、贈与税がかかる可能性があります。なお、養育費については、未成熟子に対する扶養義務にもとづくものですから、贈与税の課税対象にはなりません。離婚の生活費に関するまとめ別居していても、離婚成立までは別れた夫に生活費を払ってもらうことができます。離婚後は原則として生活費の請求はできません。ただし、子供にかかる費用については、養育費として当然に請求できます。離婚時には、慰謝料や財産分与、年金分割などを請求できることもあります。請求できるお金はもれなく請求し、生活費を確保するようにしましょう。
2019年01月16日医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、本人や配偶者をはじめ生計を同一にしている家族の医療費を支払った場合で、支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる税金の軽減制度です。ただし、実際に、医療費控除で税金の軽減を受けるためには、年末調整では受けられず、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をしなければならないほか、確定申告をする方の収入(所得)によって、医療費控除が適用できる、できないといった判定も異なる特徴があります。このようなことを踏まえまして本記事では、確定申告で医療費控除を受けるための方法や医療費控除で押さえておくべきポイントをわかりやすく紹介していきます。確定申告で医療費控除が適用になる金額医療費控除が適用になる金額の計算式確定申告で医療費控除の適用になる金額は、確定申告をする方の収入(所得)によって、金額が異なりますが、実務上、医療費控除が適用になる金額は、以下の計算式によって求めることになります。(実際に支払った1年間の医療費合計額-保険金などで補填される金額)-10万円たとえば、1月1日から12月31日までの1年間で、実際に支払った1年間の医療費合計額が30万円、医療保険から保険金を15万円受け取ったと仮定した場合、上記の計算式にあてはめますと、医療費控除の金額は5万円(※)となります。※(30万円-15万円)-10万円=5万円なお、保険金などで補填される金額には、医療保険から支給される入院給付金や手術給付金といった受取保険金のほか、健康保険などから支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などがあてはまります。ちなみに、1年間の総所得金額などが200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額を超えた場合に医療費控除が適用できることとされていることから、先に紹介したように、一概に、1年間に支払った医療費が10万円を越えなければ医療費控除が適用できないといったわけではありませんので注意が必要です。総所得金額ってどのように判断する?1年間の総所得金額などが200万円未満と言われても、そもそも総所得金額って何?と感じられている方も多いと思いますので、ここでは、1年間の収入が給料のみである会社員や公務員を想定して、総所得金額の確認方法について、源泉徴収票を例に紹介しておきます。国税庁No.2260 所得税の税率納めるべき復興特別所得税:355円(16,950円×2.1%)納めるべき所得税および復興特別所得税の合計金額:17,305円→17,300円(100円未満切り捨て)還付される所得税:2,800円(17,300円-20,100円(源泉徴収票の源泉徴収税額)=▲2,800円)医療費控除の適用によって、本来納めるべき所得税および復興特別所得税は、17,300円で良いのですが、20,100円が源泉徴収されているため、結果として2,800円、多く税金を納めていることがわかります。そのため、差し引きした2,800円の所得税の還付が受けられるほか、翌年から納めるべき住民税も少なくなる効果が得られます。確定申告で医療費控除の対象となる医療費を知ろう先に紹介した医療費控除の計算式において、実際に支払った1年間の医療費には、医療費控除の対象となるものと医療費控除の対象にならないものがあり、医療費控除の対象になる医療費が計算式の結果よりも多くなければ医療費控除を受けることができません。医療費控除の対象となる医療費と対象にならない医療費国税庁のWEBサイトでは、医療費控除の対象となる医療費や対象にならない医療費は、以下の通りとしていますが、治療のための医療費は、医療費控除の対象、予防のための医療費は、医療費控除の対象外と考えながら読み進めてみるとわかりやすいでしょう。1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)2 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)3 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価4 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)5 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)6 助産師による分べんの介助の対価7 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価8 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの(1) 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)(2) 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯などの購入費用(3) 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)(3-1)医療費の中には、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや前記(1)・(2)の費用に相当するものも含まれます。(3-2)おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。10 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金11 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金12 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます。)出典:国税庁No.1122 医療費控除の対象となる医療費確定申告で医療費控除を受けるために必要なことこれまでの解説より、確定申告で医療費控除を受けるために必要なことをまとめますと、以下のようになります。医療費控除の適用を受ける方の1年間の総所得金額が200万円未満なのか、200万円超なのかを確認しておく医療費控除の対象となる医療費が、計算式で計算した結果よりも多くなっているのかを確認しておく確定申告で医療費控除を受けるための必要書類確定申告で医療費控除を受けるためには、原則として、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に作成した確定申告書に医療費控除の明細書を一緒に提出する必要があります。なお、医療費控除の明細書を作成するための基となった医療費の領収書は、5年間に渡って自宅などで保管する必要があるのですが、所定の事項が記載された医療費通知(医療費のお知らせなど)を医療費控除の適用を受ける際に提出する場合は、医療費控除の明細書や領収書の保管を省略することもできるようになっています。ちなみに、平成29年分の確定申告より、医療費控除を受けるために、医療費通知(医療費のお知らせなど)を添付することで、医療費控除が簡単に受けられるようになりましたが、1年間の支払った医療費が、すべて網羅されているわけではありません。たとえば、薬局で購入した市販の風邪薬や公共交通機関を利用して通院した場合の交通費も医療費控除の対象になるわけでありますから、このようなことを踏まえますと、少しでも多くの医療費控除を適用するためにも、やはり、医療費控除の明細書を作成することが望ましいのではないかと筆者は感じています。確定申告で添付が必要な医療費控除の明細書とは国税庁平成30年分確定申告特集(準備編)医療費控除の明細書は、医療費の領収書を見ながら必要事項を明細書へ記入していく流れとなりますが、すべてを個別に記入する必要はなく、医療を受けた方の氏名や病院・薬局などといった支払先の名称ごとにまとめて記載しても良いことになっています。国税庁医療費控除に関する手続について(Q&A)上記イメージ図のように、まとめて記入し、明細書を作成することで、手間や時間が省けることにつながります。医療費控除を受ける際に領収書の添付をしても差し支えないこれまでは、医療費控除の適用を受けるためには、医療費控除にかかる領収書の添付が求められておりましたが、平成29年分の確定申告からは、領収書の添付が省略できるようになっています。一方で、これまで通りのやり方で医療費控除の適用を受けたい方や多くの領収書を自宅で保管することに対して煩わしさを感じている方は、経過措置として、平成31年分まで引き続き領収書の添付をすることで医療費控除の適用を受けることが認められています。仮に、5年間に渡って保管しなければならない医療費控除にかかる領収書を紛失したり破棄する恐れがあると感じている方は、これまで通りの方法で確定申告の際に領収書を添付してしまう方が確実、かつ、安心と言えるでしょう。医療費控除で交通費がある場合は、忘れずに領収書などの添付を病院へ治療に行かれる際に、電車やバスなどの公共交通機関やタクシーを利用される方もおられると思いますが、これらは、医療費控除の対象になるため、忘れずに領収書の添付をするように心掛けておきたいものです。中には、領収書が発行されないものもあると思いますが、メモに残しておくことやエクセルなどの表計算ソフトへ入力して保存しておくなどの方法も認められているため、何かしらの証拠として残しておくことがとても大切になります。なお、ご自身が自ら自動車などを運転して通院するためのガソリン代や駐車場の代金は、医療費控除の対象とはなりませんので、こちらも合わせて注意しておくことが大切です。確定申告で医療費控除を受けるための方法まとめ医療費控除は、医療費通知(医療費のお知らせなど)を確定申告書に提出することで簡単に受けられるようになったため、医療費控除の適用を受ける方にとって手間や負担が前よりもかからなくなったことは確かです。ただし、医療費控除の対象となる医療費の範囲はとても広いことから、普段から家族にかかった医療費の領収書を1つの場所にしっかりと保管しておき、年末になりましたら一通り合計金額を算出される習慣を身に付けておくことをおすすめします。これは、長い人生の中で、病院へ入院したり、高額な医療費がかかる場合が将来的に十分考えられることから、いつかは必ず役に立つ内容のものであると考えられるからです。日常生活を振り返ってみて、普段と違った特殊な事情が生じた場合は、医療費控除が受けられる可能性も高くなるとも考えられますので、ケース・バイ・ケースではありますが、本記事で紹介した医療費控除のポイントを、ぜひ、今後に役立てていただければと思います。
2019年01月13日協議離婚するときには、離婚協議書を作成しておくと安心です。養育費など金銭の支払いがある場合には、支払確保のために、離婚協議書を公正証書にしておきましょう。本記事では、離婚協議書を公正証書にする作り方、必要書類、費用などについて詳しく説明します。離婚公正証書を作成した方がよいケースとは?離婚公正証書とは、離婚協議書を公正証書の形で作成したものです。公正証書には、通常の契約書や合意書にはない効力があります。協議離婚するなら離婚協議書を作成離婚協議書とは、協議離婚する際に夫婦間で取り決めした事項を記載した合意書です。調停離婚など裁判所を通じて離婚する場合と違って、協議離婚は離婚届を出すだけでできるので、取り決め事項の書面が残りません。口約束で別れてしまうと後々トラブルになることがあるので、離婚協議書を作って残しておきましょう。公正証書とは?離婚協議書と公正証書の違い離婚協議書は、公正証書にすることもできます。公正証書とは、公証人に依頼して作成してもらう文書です。公証人とは、公証役場で文書の認証などの業務を行っている公務員になります。公正証書を作成するときには、当事者が公証役場に出頭し、公証人に本人確認や意思確認を受けます。契約書や合意書を公正証書の形で作成すれば、偽造などを疑われる可能性もきわめて低くなるということです。離婚公正証書は、離婚協議書に比べて証明力が高くなります。離婚の際に合意した条件を離婚公正証書にしておけば、「そんな約束はしていない」という言い訳ができなくなってしまいますから、相手に約束を守らせる上でも効果的です。養育費の確保には公正証書が有効離婚協議書を公正証書にした方がよいのは、離婚後に養育費などのお金の支払い義務が残るケースです。というのも、公正証書には、強制執行認諾約款を付けることができるからです。強制執行認諾約款とは、「本証書に記載の金銭債務の履行をしないときは、強制執行を受けることを認諾する」といった条項です。公正証書に強制執行認諾約款を入れておけば、裁判などを経ることなく、公正証書にもとづき強制執行ができます。慰謝料などは離婚時に一括払いすることも多いですが、養育費はほとんどの場合、長期間にわたって支払いを続けることになります。途中で支払いがされなくなるリスクも高いですから、公正証書を作成し、強制執行に備えるのが安心です。離婚公正証書作成の流れ協議離婚で公正証書を作成するまでの大まかな流れは、次のようになります。1. 離婚条件の合意夫婦で離婚協議をし、離婚の条件及び公正証書作成について合意をします。2. 公証役場に依頼公証役場は全国に約300か所ありますが、どこに依頼してもかまいません。公証役場がどこにあるかは、日本公証人連合会のホームページで検索できます。3. 事前打ち合わせ・作成日時の決定離婚公正証書に記載する内容について、公証人と事前に打ち合わせをします。また、公証役場に行って公正証書を作成する日時を決定します。4. 公正証書作成あらかじめ予約した日時に夫婦で公証役場に行き、内容を確認の上、公正証書の原本に署名押印します。離婚公正証書の必要書類公証役場で離婚公正証書を作成してもらう際には、次のような必要書類を提出しなければなりません。戸籍謄本離婚前の夫婦は同じ戸籍に入っているので1通でかまいません。離婚届を出した後に公正証書を作成する場合には、戸籍は別になっているため、それぞれの戸籍謄本が必要です。身分証明書・認印公正証書作成時には、本人確認のため、身分証明書の提示が求められます。運転免許証があれば、免許証を出しましょう。免許証がない場合には、顔写真入りのパスポートやマイナンバーカードなどを提示します。身分証明書がなければ、印鑑証明書と実印をセットにして本人確認してもらいます。なお、公正証書作成当日には、認印も持参する必要があります。代理人が出頭する場合の必要書類当事者本人が公証役場に出頭できない場合には、代理人が出頭することも可能です。ただし、1人が夫婦双方の代理人を兼ねることはできません。代理人が出頭する場合には、委任状、本人の印鑑証明書、代理人の身分証明書が必要です。その他の資料公正証書の内容によって、資料の提出を求められることがあります。たとえば、不動産の財産分与がある場合には、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書の課税明細)が必要です。公正証書で年金分割の合意をする場合には、年金分割のための情報通知書や基礎年金番号がわかる書類を提出します。離婚公正証書の作成費用公正証書を作成するには、費用がかかります。公正証書作成費用の目安を知っておきましょう。公証役場で公証人手数料がかかる公証役場で公正証書を作成してもらうときには、公証人手数料を支払う必要があります。公証人手数料の主なものは、公正証書作成手数料です。その他に、正本・謄本作成費用(用紙代)や送達費用(公正証書の送付手続きにかかる費用)などが加算されます。公正証書作成手数料目的物の価額(公正証書に記載した支払金額や財産額など)によって変わります。(以降略)公正証書作成手数料は、養育費、慰謝料、財産分与などの種類別に計算し、合計します。養育費については、10年を超える場合には10年で計算します。離婚公正証書の公証人手数料は2~5万円程度離婚公正証書作成時に支払う公証人手数料は、一般には2~5万円程度です。公正証書作成を行政書士、司法書士、弁護士等の専門家に依頼した場合には、別途専門家の報酬が発生します。離婚公正証書の内容と文例離婚公正証書には、主に、次のような事項を記載します。なお、通常は夫を「甲」、妻を「乙」、子を「丙」「丁」などとします。離婚の合意離婚の合意をすること及び離婚届の提出方法などを記載します。甲及び乙は協議離婚することとし、本証書作成後、甲又は乙において速やかに離婚届を提出する。養育費養育費の金額、支払期間、支払方法を記載します。振込の場合には、振込手数料の負担についても書きます。甲は乙に対し、丙の養育費として、○○年○月から○○年○月まで、毎月末日限り、1か月当たり金○万円ずつを、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は、甲の負担とする。財産分与財産分与がある場合には、内容を記載します。不動産の名義変更が必要になるケースでは、登記費用の負担についても書いておきます。甲は乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、甲所有の下記土地・建物を分与することとし、財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。ただし、登記手続費用は甲の負担とする。慰謝料慰謝料の支払いがあるときには、支払方法等を記載します。分割払いの場合には、強制執行に備えるため、期限の利益喪失条項を入れておきます。甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として、金○○円を支払う義務があることを認め、これを下記のとおり分割して支払う。(中略)甲が前項の分割金の支払を怠り、その遅滞額が金○万円に達したときは、甲は乙からの通知催告を要せず、当然に期限の利益を喪失し、直ちに乙に対し、既払金を除く前項給付金全額を一時に支払う。面会交流子供がいる場合には、別居する親との面会交流についても定めておきます。乙は甲に対し、甲が丙と月1回程度面会交流することを認める。面会交流の具体的な日時、場所、方法等については、甲と乙が、丙の意思を尊重し、かつ、丙の福祉に十分配慮して協議決定するものとする。清算条項公正証書に記載した以外の債権・債務がないことを明確にする清算条項を入れておくことができます。清算条項を入れた場合には、双方とも、追加の請求などはできなくなります。甲乙は、本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、今後財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず相互に財産的請求をしない。また、甲乙は、本証書に定めるほか相互になんらの債権債務がないことを確認する。まとめ:離婚公正証書は必ず作成しよう協議離婚で養育費の支払いがある場合には、公正証書を作成しておきましょう。公正証書作成には手間や費用がかかりますが、支払いを確保するには有効な手段です。公正証書作成は、行政書士等の専門家に依頼できます。専門家に依頼した場合には、公正証書原案の作成や必要書類の取り寄せ、公証人との打ち合わせなどを任せられます。離婚に関する以下記事もおすすめ☆
2019年01月11日子供がいる世帯について支給される給付と聞くと「児童手当」を思い浮かべる人が多いかと思います。児童手当は、15歳の誕生日を迎えた日以降の最初の3月31日までにある子の人数に応じて支給される給付の事です。児童手当以外にも、子供がいる世帯について支給されることがある給付として「児童扶養手当」というものがありますが、児童手当に比べると、受給している人が少ないため、知っている人は少ないのではないかと思われます。今回は「児童扶養手当」について、児童手当との違いを交えながら、くわしく解説していきます。児童手当に関しては以下の記事で詳しく説明しています。児童扶養手当とはどのような制度なのか?児童扶養手当は、父母が離婚した児童、父または母が死亡した児童、父または母が一定の障害状態にある児童などのように、何らかの理由によって、子の養育が困難な状態にある世帯の養育者に対して支給されます。そのため、養育する子がいることが支給要件とされている児童手当に比べると、受給している人の数は少ないということになります。具体的な支給対象者児童扶養手当の受給対象者は、父母が離婚をした児童、父母のいずれかが死亡した児童、父母のいずれかが一定以上の障害状態になっている児童などが対象となります。つまり、ひとり親世帯の児童や両親のいずれかが障害状態になってしまった世帯などが支給される対象とされている点が、児童手当とは大きく異なる点です。児童扶養手当と児童手当の相違点(支給対象者)【児童手当】:15歳に達した日後の最初の3月31日になるまでの子がいること【児童扶養手当】:ひとり親世帯、両親のいずれかが一定の障害状態である世帯など児童扶養手当の申請から支給までの流れ児童扶養手当は、支給要件に該当した時から申請をすることはできますが、注意点としては、他の手当等についても同様の事が言えますが、「さかのぼっての支給はない」ため、要件に該当したらできる限り早く、申請手続きを行うことがです。※児童手当の場合は、申請した月以降最初の支給月に、その支給月の前月までの4ヶ月間の児童手当がまとめて支給されます。つまり、該当することとなってから2,3カ月経過してから申請したとしても、支給要件に該当することになった時から支給開始となったときまでの期間については、さかのぼってその期間分をまとめて支給するということはないため、申請が遅れた分だけ、もらえたはずのお金がもらえなくなるということが出てしまうので注意が必要です。なお、申請から受給までの流れについては、児童手当の場合とほぼ同じような流れとなりますが、用意しなければならない書類は世帯に関する証明が必要になるところがあるため、児童扶養手当のほうが多くなります。支給を受けるための手続き児童扶養手当の支給を受けるための手続きは、住んでいる市町村の窓口(民生こども課など)に直接行います。申請の際に必要になる書類は、受給要件を満たす内容によって異なります。また、申請の方法についても、住んでいる自治体によって若干異なる部分がありますので、事前に確認をすることが望ましいです。申請に必要な書類(名古屋市の場合)戸籍謄本(手当を受ける方と対象児童のもの。1か月以内に発行されたもの)請求者の個人番号カード(マイナンバーカード)または通知カード請求者の身元確認書類(運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)など)支給要件が分かる主なもの印鑑(認め印も可)振込みを希望される金融機関の通帳またはキャッシュカード(コピーで可)【注】振込先名義は、手当を受ける方に限られます。健康保険証(手当を受ける方と対象児童のもの)年金手帳、ねんきん定期便、年金支払い通知書等(現在受給している年金額が分かるもの)家屋名義の分かるもの(賃貸契約書、固定資産税課税明細書など)そのほか個別の事情に応じて、各種申立書、除籍謄本、ご家族の個人番号、独身証明書(婚姻要件具備証明書)などが必要となる場合があります。支給開始時期支給開始時期は、最短で「申請を行った月の翌月」からとされていますが、申請を行った時期や申請書類の精査に時間がかかることがあるため、目安としては「申請をした日の属する月の翌月又は翌々月」となると考えられます。児童扶養手当の金額児童扶養手当は、児童手当の場合と同様に「所得制限」があり、支給額についても所得状況によっては、「全部支給」と「一部支給」の2種類に分かれています。そのため、児童扶養手当を受給するには、支給を受けるための要件を満たす。そのうえで、所得制限をクリアし、さらに、所得によって支給される額が全額または一部に変わってしまいます。児童扶養手当の所得制限児童扶養手当の所得制限は、実際の収入金額を基準に判定するものではなく、所得税の計算上、課税対象とされる金額(給料等の場合は「収入金額から給与所得控除額を控除した金額」の事です。)を示していますので、所得制限や全額支給・一部支給の所得制限の判定を行う際には注意が必要です。つまり、給料をもらって生活している人であれば、源泉徴収票の中に記載されている「給与所得控除後の給与所得の金額」が所得制限の判定に使われる金額となるということです。具体的な所得制限の判定の流れ(1)前年の所得の金額の計算前年の所得の金額は、基本的に1年前の所得の金額をもって前年の所得の金額とするのですが、1月から6月までに申請を行う場合は、前々年の所得の金額をもって判定を行います。(2)養育費の金額の計算養育費は、前年中に実際に子供の養育のために支払われた金額(1月から6月までについては、前々年に支払を受けた分)をもって計算した金額の8割相当額をもって、養育費として計算されます。(3)各種控除金額の計算扶養控除や障害者控除などの一定の要件に該当する人がいる場合については、その内容に応じて控除金額が設定されています。(1)から(2)と(3)の金額の合計額を控除した金額が、所得制限の判定の際に用いられる所得金額となります。なお、この金額については、全部支給と一部支給の判定にも用いられます。全額支給と一部支給児童扶養手当は、所得金額によっては全額が支給される場合(全額支給)と一部しか支給されない場合(一部支給)とがあります。これは、児童手当とは大きく異なる点です。(児童手当の場合は、子供の人数、年齢などによって、支給される金額に変化がありますが、所得によって支給される額の調整は行われません。)全部支給の場合全部支給とは、児童扶養手当を毎月満額(平成30年度は月額42,500円(子供が1人の場合)です)支給されることで、平成30年8月からは所得限度の金額が30万円引き上げられ、全部支給の対象となる範囲が拡大されました。【全部支給となる所得上限額】子供が1人の場合:57万円子供が2人の場合:95万円子供が3人の場合:133万円※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定一部支給の場合一部支給とは、所得制限によって、全額支給とはならなかったが、一部の金額については児童扶養手当を支給するという制度です。一部支給の場合は、所得金額に応じて10円単位で引き下げられます。【一部支給の具体的な金額】子供が1人の場合:42,490円~10,030円子供が2人の場合:52,530円~15,050円子供が3人の場合:58,550円~18,060円※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定「住んでいる地域 児童扶養手当」で検索すると市のHPにて詳しく説明されておりますので合わせてご確認ください。まとめ児童扶養手当は、ひとり親世帯や、両親が離婚してしまった世帯など、一定の要件を満たした場合に支給される給付です。そのため、児童手当に比べるとあまり知られていないところがありますが、万一の事態に陥った時には、児童扶養手当の内容を知っていることで備えをすることは可能です。また、改正によって、児童扶養手当の支給回数が年3回から年6回に増えるため、児童扶養手当の制度を利用することができる人については、ぜひとも、新しい情報を確認しておくことが大切になります。他の制度についても同様の事が言えますが、情報は常に最新の状態にすることで、さまざまな備えをしておくことが望まれます。
2019年01月06日離婚したいのに相手が応じてくれない場合、裁判になったら費用がかかるのが心配でしょう。ここでは、離婚裁判でかかる費用の相場や費用が用意できない場合の対処法について説明します。裁判費用が払えないという理由だけで離婚をあきらめることのないよう、知識を持っておきましょう。離婚で裁判になるケースはどれくらい?日本では、話し合いによる協議離婚が大半で、裁判になるケースはかなり少なくなっています。離婚で裁判になるのは3%未満厚生労働省の人口動態統計によると、平成29年度の離婚件数の総数は21万2,262件で、離婚の種類別の内訳は次のとおりです。上記の表からわかるように、日本では離婚の約9割は協議離婚です。また、裁判する前に調停を経なければならない「調停前置主義」が採用されているため、調停までで離婚が決まるケースが多く、協議離婚と調停離婚で全体の97%を占めます。なお、審判離婚とは調停で合意できない場合に、裁判所が職権で離婚を決める手続きです。離婚に合意しているものの一部の条件で折り合いがつかないようなケースでは、調停から審判に移行され審判離婚となることがあります。離婚裁判になるのは、協議離婚が不可能で、調停や審判でも決着がつかなかった場合ですから、全体の3%にも満たないということです。ほとんどの場合、調停をすれば離婚問題は決着します。裁判になっても和解離婚となるケースが多い離婚裁判になった場合でも、判決まで行くケースはむしろ少数で、裁判上の和解により離婚が成立するケースが多くなっています。平成29年度のデータでも、判決離婚は1%であるのに対し、和解離婚は1.6%となっています。ちなみに、認諾離婚とは、裁判になった後、被告が原告の要求を全面的に受け入れて離婚が成立することですが、まれなケースです。離婚裁判でかかる費用の種類とは?離婚裁判でかかる費用は、大きく分けると、裁判所に払う費用と弁護士費用の2つになります。そのうち大半を占めるのが、弁護士費用です。裁判所に払う費用裁判所に訴状を提出するときに、次のような費用がかかります。収入印紙代裁判所に訴えを提起するときには、法律で定められた手数料を収めなければなりません。手数料の額は訴訟で争う内容や請求する金額によって変わります。離婚裁判では、離婚のみを請求する場合には、手数料の額は1万3,000円です。財産分与を請求する場合には1,200円、養育費を請求する場合には1人につき1,200円が加算されます。離婚と同時に慰謝料を請求する場合には、慰謝料の金額に対応する手数料と離婚の手数料(1万3,000円)のうち多い方に、財産分与や養育費の分を加算する扱いになります。手数料は、収入印紙を訴状に貼って納付します。郵便切手代訴状と一緒に、裁判所からの連絡用の郵便切手(予納郵券)も提出する必要があります。予納郵券の切手の種類や組み合わせ、枚数は裁判所ごとに決まっており、金額も多少違いますが、概ね6,000円程度です。弁護士費用離婚裁判を進めるためには専門的な知識が欠かせませんから、弁護士に依頼した方がよいでしょう。弁護士に払う弁護士費用は、着手金と報酬金の2つに分かれます。現在、離婚の弁護士費用に統一基準はなく、依頼する弁護士によって費用は変わります。着手金弁護士に事件を依頼したときに払う費用です。裁判で敗訴になった場合でも、着手金は返金されません。日弁連が2008年に行ったアンケートによると、弁護士に離婚訴訟から依頼した場合に払った着手金は30万円前後という回答が52.7%、20万円前後が26.4%となっています。報酬金成功報酬とも呼ばれるもので、事件終了時に、成功の程度によって支払う費用です。報酬金は、固定された金額に、慰謝料や財産分与で獲得した金額に応じた額を上乗せした形で請求されるのが一般的です。日弁連のアンケートでは、離婚訴訟からの依頼で払った報酬金は、30万円前後が37.1%、20万円前後が20.1%、50万円前後が17.1%、40万円前後が16.5%と、ばらつきがあります。その他の費用交通費や通信費などの実費を負担しなければなりません。弁護士に遠方の裁判所などに出張してもらう場合には、交通費とは別に日当を請求されることもあります。裁判所に払う費用も、通常は弁護士に立て替えてもらうことになるため、請求されたら払う必要があります。離婚裁判でかかる費用の総額たとえば、離婚裁判で、離婚と財産分与、子2人分の養育費を請求する場合の収入印紙代は、次のようになります。1万3,000円(離婚請求)+1,200円(財産分与)+1,200円×2(養育費)=1万6,600円これに予納郵券代約6,000円を足すと、裁判所に払う費用は約2万3,000円です。弁護士費用として、着手金30万円、報酬金30万円を払うとすると、かかる費用の総額は約63万円となります。離婚裁判の費用はどっちが負担する?裁判費用というのは安くはありませんから、相手のせいで離婚になった場合には、裁判費用も相手に請求したいでしょう。離婚の裁判費用の負担については、次のようなルールがあります。裁判に勝てば訴訟費用は相手に請求できる一般に、弁護士が訴訟を提起するときには、被告に対して、本来の請求に加え、訴訟費用の請求もします。これを受けて、原告が勝訴した場合には、「訴訟費用は被告の負担とする」という判決が出るのが通常です。訴訟を提起する時点では勝ち負けはわかりませんから、訴訟費用も一旦は自分で払わなければなりません。裁判に勝った場合には、後で相手に訴訟費用を請求できます。弁護士費用は自己負担裁判で相手方に請求できる「訴訟費用」には、弁護士費用は含まれません。相手方に請求できるのは、裁判所に払った収入印紙代や郵便切手代などにとどまります。裁判で勝っても、自分が依頼した弁護士に払う弁護士費用は自己負担です。離婚裁判の費用が払えないならどうする?お金がないからと言って、裁判をあきらめる必要はありません。まとまった費用が用意できなくても、離婚裁判をすることは可能です。弁護士費用は分割払いできることも離婚裁判で、裁判所に払う手数料は、分割払いできません。一方、弁護士費用については、少数ですが、分割払いに応じてもらえる事務所もあります。弁護士費用の分割払いの可否については、ホームページに記載されていないこともありますから、直接問い合わせてみましょう。法テラスで弁護士費用を立て替えしてもらえる法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に余裕がない人のために、弁護士費用の立て替えを行っています。収入や資産などの要件をみたしていれば、着手金、報酬金、必要な実費を法テラスに立て替えてもらえます。法テラスに立て替えてもらったお金を返すときには、月5,000円から1万円程度の分割払いが可能で、利息や手数料はかかりません。離婚事件の場合には、配偶者の収入や資産が加算されないので、要件をみたすケースが多くなります。弁護士費用が用意できない場合には、法テラスに相談してみましょう。なお、法テラスの立て替え制度が利用できるのは、法テラスと契約している弁護士に依頼した場合のみです。どの弁護士でも立て替えてもらえるわけではありませんので注意しておきましょう。まとめ離婚裁判をすれば、高額の費用がかかります。離婚するときには、早めに弁護士などの専門家に相談し、裁判になる前の解決を目指しましょう。離婚裁判になった場合、弁護士費用の支払いが困難なら、法テラスの立て替え制度を利用する方法もあります。弁護士費用を払っても、裁判をした方が慰謝料や財産分与で受け取れる金額が多くなることもありますから、あきらめないようにしましょう。
2018年12月23日子供がいる人なら、離婚するとなると最も気になるのが養育費ではないでしょうか?離婚しても親子関係は変わりませんから、養育費は当然請求できます。本記事では、離婚後に母親(妻)が子供を引き取る場合を想定し、養育費の支払方法や金額の相場、父親(夫)が払ってくれない場合の対処法などを説明します。離婚したら必ず養育費を請求できる養育費とは、子供を扶養するためのお金、すなわち子供の生活費のことです。離婚しても子供の父親には養育費を請求できます。離婚した夫にも子供を扶養する義務がある親子間には、民法上扶養の義務があります(877条1項)。離婚すれば夫婦は他人になりますが、子供と双方の親との関係は変わりません。離婚して子供と別居することになった父親にも、子供の扶養義務はあります。子供と同居する母親は、子供のために父親に養育費を請求できるということです。離婚の理由は養育費とは関係がない養育費は、離婚の理由に関係なく、当然に請求できます。養育費は親子間の問題で、夫婦間の問題とは関係ないからです。たとえば、妻の浮気で離婚になった場合、夫は妻に慰謝料を請求できます。この場合、「慰謝料を請求しない代わりに、養育費を払わない」というのは認められません。養育費は子供のために必ず確保されるべきお金であって、慰謝料などと相殺できるものではないのです。養育費は離婚後でも請求可能離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、離婚後に養育費を請求できます。養育費は親子の関係から当然に発生する義務ですから、子供の親に対しては、いつでも支払いを請求できます。養育費の支払方法と支払期間養育費について話し合うときには、支払方法や支払期間について決めておきましょう。養育費は毎月払いが基本養育費は、月額いくらという形で決めるのが一般的です。養育費は日常的にかかる生活費ですから、毎月払いでその都度支払うのが望ましいと言えます。大学進学した場合の支払期間は22歳まで親が子供に対して扶養義務を負うのは子供が成人するまでなので、養育費も子供が成人するまで請求可能です。成人年齢は現状20歳ですが、民法改正により2022年4月以降は18歳に引き下げられる予定です。なお、子供が大学に進学した場合には、大学在学中は働いて自立できないため、親に扶養義務があると考えられています。そのため、子供が大学在学中の場合や、大学に進学する見込みの場合には、22歳の3月までの養育費の支払いを取り決めするのが一般的です。養育費は一括払いでもかまわない養育費は、当事者双方が納得すれば、一括払いにすることも可能です。養育費を一括払いにすれば、母親側は、離婚時に将来の分まで養育費を確保できます。父親側にとっても、長期間にわたって養育費を払い続けなければならない煩わしさから解放されるのは、メリットといえるでしょう。なお、養育費の一括払いでは金額が大きくなってしまうため、贈与税の課税が心配になるかもしれません。養育費は基本的に非課税ですが、養育費であることを明確にするため、離婚協議書を残しておいた方がよいでしょう。養育費の相場は?養育費の金額は話し合いで自由に決められますが、相場が気になるでしょう。一般に、養育費の相場というと、養育費算定表の金額を指します。養育費算定表とは、双方の親の年収、子供の年齢、子供の数から、平均的な養育費を知ることができる早見表です。裁判所の実務においては、養育費を決めるときに、養育費算定表の金額を参考にします。養育費算定表はこちら養育費算定表の金額では十分でないことが多い現行の養育費算定表の金額はかなり低めになっており、裁判所でも見直しが進められています。日弁連では裁判所基準よりも高額の新養育費算定表を作っており、現状でも弁護士は新算定表にもとづき交渉を行っているのが実情です。また、養育費算定表の金額は、小・中・高を公立に通わせる場合を想定した金額になっており、私立に通わせる場合に余分にかかる費用は含まれていません。塾費用や大学進学費用も養育費算定表ではカバーされない費用です。つまり、養育費算定表の金額では、養育費としては十分でないケースが多くなります。養育費算定表は、養育費の相場を知る上では便利です。しかし、養育費算定表があるせいで、「算定表を超える金額は一切払いたくない」という人も多いように思います。相手から提示された養育費に納得がいかない場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。子供に実際にかかる費用から考えることが大事養育費を決めるときには、一般的な相場よりも、現実にいくらかかるかを基準に考えるべきです。算定表を見て機械的に決めるのではなく、現実にかかる費用を考えて納得のいく額を請求するようにしましょう。子供にかかる費用は、双方の親が分担するのが原則です。たとえば、病気や障害があったり、特殊な習い事をしていたりで、子供に普通よりもお金がかかるケースはあるでしょう。その場合には、父親が負担しなければならない養育費も当然多くなります。まずはそれぞれの家庭の事情に合わせて子供にかかる費用を見積もり、双方の親でどう分担するかを話し合うようにしましょう。養育費は増額や減額も可能養育費は、離婚後の双方の親の状況の変化(事情変更)により、増額または減額できるものとされています。事情変更の代表的なものは、どちらかの親の再婚です。たとえば、父親が再婚した場合、養育費の支払義務が当然になくなるわけではありません。しかし、再婚後の家族についても扶養義務が発生するため、養育費の減額が認められる可能性はあります。母親が再婚し、再婚相手と子供が養子縁組をした場合にも、再婚相手に子供の扶養義務が発生しますから、養育費の減額が認められるでしょう。また、事情変更により養育費を増額する場合としては、当初の取り決めで大学進学費用を考慮しておらず、養育費が足りなくなった場合などが考えられます。養育費の減額や増額についても、話し合いで合意できるのであれば、話し合いで決めてかまいません。話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所に養育費増額調停や養育費減額調停を申し立てましょう。養育費を払ってもらうためにできること離婚するときには、養育費の取り決めをしておきましょう。養育費について話し合いができない場合でも、裁判所を利用して決めることができます。養育費の取り決めは公正証書にしておく養育費について話し合いで決めて協議離婚する場合には、離婚協議書を作成しておきましょう。離婚協議書は、公証役場で公正証書にしておくと安心です。公正証書は、公証役場で公証人に作成してもらう契約書です。養育費の取り決めを公正証書にしておけば、相手が約束どおり払わなかった場合に、すぐに強制執行の手続きをとることができます。話し合いで決まらない場合には調停を養育費について、夫婦間の話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。離婚成立前は離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てますが、離婚後は養育費請求調停を申し立てることになります。養育費のみで争っている場合には、調停が不成立になるとそのまま審判に移行し、審判で裁判所に養育費を決めてもらえるのが通常です。相手が話し合いに応じてくれそうにない場合でも、あきらめずに調停を申し立てましょう。なお、調停や審判で養育費について決まった場合には、裁判所で調停調書や審判書が作られます。約束どおり払ってもらえない場合には、調停調書や審判書にもとづき強制執行することも可能です。まとめ離婚後に母親が1人で子供を育てていくには、お金がかかります。離婚するときには養育費の取り決めをし、子供のためのお金を確保できるようにしておきましょう。養育費の金額を決めるときには、養育費算定表が参考になります。ただし、養育費については、相場を意識するよりも、現実にかかる費用を考えて決めることが大切です。養育費について取り決めしたら、支払いを確保するため、公正証書を作成しておきましょう。
2018年12月18日既婚者という事実を隠して不倫しようとする、最低な男性が世の中にはたくさん…。そのなかでも、なぜそんな嘘をついたのか不思議に思ってしまうような、作り話の “離婚シチュエーション” を2つご紹介します。文・三谷真美【アンアン総研リサーチ】作り話の離婚設定とは?慰謝料と養育費「『1年半前に離婚して、今は慰謝料も養育費も払ってるんだけど…それでもいい?』と言われ、子どもと会う頻度や支払っている金額まで教えてくれました。あまりにも具体的だったから、すっかり信じてしまった」(36歳・その他)Facebookで検索をしたら発覚したそうで「いやいや、なんですか? その細かい設定。慰謝料も養育費もいいけど、既婚者は無理だよ!」と、すごく怒っていました。騙して不倫をしようとしたうえに、ケチな男性だったのかもしれませんね。離婚直後だから…「『半年前に離婚したばっかだから、書類の関係とかで元嫁と会わなきゃいけなくて。でもだんだん会う頻度が減るだろうし、少しだけ我慢してほしい』と。でも、つじつまが合わないことや細かな嘘が多く、問い詰めたら白状しました」(32歳・事務職)いったいそんな嘘でいつまで引っ張るつもりだったのでしょうか? 週末に会えない理由を必死に考えたのかもしれませんね。どんなに嘘の設定を決めていても、行動に違和感があれば女の勘が働くみたいです。不倫男に気をつけて女の子に結婚していることを隠してだまそうとした、最低な不倫男のバカバカしい嘘エピソードでした。不倫相手を探している男性は、ナンパや合コンだけでなく、結婚式の二次会のような神聖な場でもターゲットを狙っているそうです。変な男に引っかからないように気をつけましょう。©PIKSEL/Gettyimages©filadendron/Gettyimages※2017年7月28日作成
2018年11月01日夫婦が仲良く協力して子育てをする。本来はこの形を保ち続けるのが大切です。しかしやむを得ない理由で離婚に至ってしまうケースもあります。お子さんへの影響も考えて、離婚する方法やその後の子育てを進めていく方法をパピマミ編集部が紹介します。離婚に踏み切るか意思を確認これからの生活をどうすればいいのか、そんな悩みを抱えることもありますよね。夫婦だけの関係であれば、離婚してスッキリする のも1つの手です。しかし、子どもがいると事情は変わります。離婚すると、子どもは片親と離れることに。2人の親もとで育つことで得られるはずだった価値が得られなくなってしまうのです。その点を考えると、子育て中の離婚は影響が大きくなります。子どもへの影響を考え、離婚に踏み切るかどうかをしっかり検討 しましょう。離婚を考え始めたら準備を子育て中の離婚は、どちらが親権を持つかで争いが長引きがちに。そのため、当事者間での話し合いではなく、調停や裁判に進むケース も多くなっています。その場合、いかに有利に進めていくかを考えると、事前の準備が重要。相手に非があっても、それが証明できなければ裁判では勝てません。また、収入が不安定だと子どもを育てられない と判断されることも。とくに女性は、収入面の問題にぶつかります。離婚後も子どもを育てていきたいのであれば、離婚原因の証拠集めや安定した仕事につく ことなどを離婚準備として取り組んでいきましょう。子供を育てる費用についてはしっかり主張子育てにはお金がかかります。高校・大学まで進むのであれば、学費の負担は厳しくなります よね。離婚が原因で子供の学習の機会を減らすのは避けたいものです。離婚を早めたいために、夫からの養育費をあきらめるケースも多々あります。しかしそれは、必ずしも子どものためにはなりません。養育費は自分のためだけでなく、子どものためにも負担してもらうのが得策 です。養育費についての取り決めは、書面にしておくのがおすすめです。念には念を入れておきましょう。別れた夫と子どもとの面会についても考えたい離婚してからの子育ては、今まで以上に大変です。子どもを一人で育てるに等しい わけですから、どうしてもカバーできない部分はあるものです。女性だけではむずかしい力仕事など、男性の力が必要になります。感情的には夫を許せなくても、子どもにとってはたった一人の父親です。父親との接触を親の都合で断ってしまうのは、子どもの成長に悪影響です。離婚したあとも、父親と子どもが会う機会を設けましょう。スムーズに子どもを健やかに育てていくために、子供と夫との面会のルールを離婚の際に決めておく という事も重要なポイントとなります。まとめ離婚が避けられなくても、親の都合で子どもに悪影響は与えたくありませんよね。離婚は様々な原因で起こるもの。事前にしっかりと準備しておくことで、スムーズに手続きを進められます。子供が、離婚後も両親の庇護を受けて健やかに成長していけるように、離婚の条件については子供を優先して考えていきましょう。●文/パピマミ編集部
2018年10月23日離婚したいけどお金のことが心配でなかなか踏み出せないという人は結構多くいます。ひとりで子供を育てていくにはどのくらいの費用がかかるのか、将来のことも考えて養育費を算出することが必要です。養育費は子供が何歳になるまでもらえるのか、養育費の相場はいくらなのかなど、養育費の気になる疑問について解説します。お金の問題を解決して、モヤモヤした気持ちを解消しましょう。離婚する前にまずは子供の養育費について考える養育費という言葉自体は聞いたことがあるけど、詳しくはわからないという人も多いのではないでしょうか?養育費とはどういうものなのか簡単に説明します。養育費とは離婚をするときに夫婦の間に未成年の子供がいる場合、まずは子供の親権をどうするかを決めなくてはいけません。そして子供を監護する親権者に対して、子供を育てていくための費用を支払うことを養育費といいます。どこまでの範囲が養育費になるの?養育費は子供の養育全般に関する費用です。子供の衣食住に関わる費用から、学費や習い事などの支払いを補填するものだと考えるとよいでしょう。子供の養育費については、「夫婦が相応に負担する」ことが原則です。相手にすべて負担してもらえるわけではないので注意しましょう。 養育費は子供が何歳になるまでもらえる?養育費については理解できたけど、子供が何歳になるまでもらえるのかも気になりますよね。子供が大学に進学したり、私立に通う場合などで教育費は大きく変動します。いつまで養育費がもらえるのか、大学まで通う場合の教育費はどのくらいなのかを確認しましょう。養育費がもらえる期間養育費は原則子供が20歳になる月まで毎月支払われます。基本的に養育費は請求した時点以降からもらうことができ、過去に遡って請求することはできません。子供が高校卒業後に就職した場合は、養育費の支払いが終了することもあります。高校進学まではいくら必要?文部科学省の統計「子供の学習費調査(平成28年度)」によると、子供一人あたりの1年間の学習費総額は以下のとおりでした。公立幼稚園 23万4千円 私立幼稚園 48万2千円公立小学校 32万2千円 私立小学校 152万8千円公立中学校 47万9千円 私立中学校 132万7千円公立高等学校(全日制)45万1千円 私立高等学校(全日制)104万円平成28年度子供の学習費調査の公表について(報道発表資料)より引用学習費総額は、入学金や授業料に加えて、制服や教科書の購入費用、給食費など、学校に対して支払う全てのお金のことです。高校までの費用は進学先が公立か私立かで大きく異なっています。子供の将来のことをしっかりと考え、前もって相手と話し合っておくことが大切です。公立ではなく私立の高校に通うなら子供が公立高校ではなく私立高校に進学する場合は、教育費は約2~4倍の差があります。相手との話し合いで私立への進学を納得している場合は、養育費算定表の金額が増額されます。しかし相手が私立への進学に反対していたり、資産や収入などから増額分を負担する必要がないと判断された場合は、養育費を増額することはできません。大学まで行く場合はどうなる?日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査(平成30年2月14日発表)」によると、大学の入学費用は平均85万円、在学費用は年間平均153万円となっています。養育費が支払われるのは原則として子供が20歳になるまでですが、大学費用は相手に払ってもらえるのでしょうか?実はお互いの合意があれば、大学費用を支払ってもらうことができます。ただ裁判所で審判、判決となる場合は「子供が20歳になるまで」と決まることがほとんどです。特別な事情がない限りは、裁判官が養育費の延長を命じることができません。 子供の養育費の月平均は?相場が気になる養育費で一番気になるのは、やはり相場ではないでしょうか?養育費の月平均金額を知ることで、自分が養育費をもらうときの目安になります。どのように養育費を計算するのかも合わせて確認してみましょう。養育費の相場はどのくらい?計算方法とは一般的に養育費は月に3万円~6万円が相場だといわれています。夫婦それぞれの年収や年齢、子供の人数によって違いますが、目安として考えておくといいでしょう。養育費は 夫婦の年収と未成年の子供の数によって決められます。養育費を支払う側の年収が高ければ、それだけ養育費を支払う金額も高くなるのです。養育費の算定方法については、家庭裁判所で採用されている「養育費算定表」を使って計算できます。「養育費算定表」は、裁判所のホームページなどでも掲載されているので、一度チェックしてみるといいでしょう。養育費には上限がある?「養育費算定表」で養育費は決められるのですが、増額することは可能なのでしょうか。家庭裁判所の審判や訴訟で養育費が決められている場合は、特別な事例を除いて、算定表以上の金額をもらうことは難しいケースが多いです。ただし当事者同士の話し合いで決めた場合は、算定表以上の金額に設定することができます。算定表はあくまで一般的な基準であり、必ず守らなくてはいけないものではありません。相手が納得するかが最大のポイントです。子供が多いとそのぶん養育費はもらえるの?子供が二人以上いる場合、もらえる養育費が多くなります。ただ単純に倍になるというわけではありません。子供二人なら1.5倍程度、三人ならもっと増え幅が少なくなります。金額は子供の年齢などによっても変わってくるので、個別で計算する必要があります。 未婚や再婚した場合に養育費はもらえるの?養育費にはいろいろなケースがあります。「このようなときはもらえるのかな?」と悩むこともありますよね。2つのケースをご紹介しますので自分に当てはまれば、ぜひ参考にしてみてください。未婚の場合の養育費はどうなるの?未婚の場合は子供の父親に認知してもらうことが大切です。もし認知してもらうことが難しい場合でも、父親が確かであれば「強制認知」といって法的に認知させることも可能となります。応じてもらえない場合は、家庭裁判所で手続きをしましょう。認知してもらえれば法律上の親子関係が生じるので、扶養義務が発生し、養育費を支払ってもらうことができます。再婚しても大丈夫?基本的には再婚相手には連れ子の養育義務はありません。そのため再婚しても養育費の支払いをストップされる理由にはなりません。新しい夫が子供の父親となり、扶養義務が生じるのは「養子縁組」をした場合になります。 相手に収入や貯金がない場合の子供の養育費は?離婚相手が働いていて収入があるのならよいですが、もし低収入だったらどうすればいいのでしょうか。気になる疑問にお答えします。相手に貯金や収入がない場合養育費は月払いなので、貯金がない場合でもとくに問題はありません。養育費の支払い金額に資産は関係ないからです。ただ相手に収入がない場合は、養育費を請求することができなくなります。売却すればお金になるような資産があればいいのですが、何も無ければどうしようもありません。ただ養育費を逃れるために一時的に退職したり、収入を減らしたりしている場合は別です。その場合は弁護士に相談してみましょう。離婚後に養育費が支払われなくなったときの対処法養育費の取り決めをしても支払いが滞ってしまうケースもあります。その場合は相手に支払ってもらえるよう話し合うことが大切です。もし相手が応じない場合は、相手の給料や財産を差し押さえる手続きが必要になります。これは協議離婚か調停離婚だったかによって異なりますので、しっかりと確認しておきましょう。 まとめ養育費を必要なだけもらうためには、正しい養育費の知識が必要です。離婚を考えたときに子供の教育にかかる費用はどのくらいなのか、しっかり把握しておきましょう。養育費の支払い交渉や調停などの手続きは、弁護士に依頼するというのも一つの手です。子供の将来のことも考えて、あとでトラブルにならないようにしっかり話し合っておきましょう。 参考:厚生労働省養育費相談支援センター内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」の公表について」日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」裁判所「養育費・婚姻費用算定表」
2018年10月20日