大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」まとめ第二弾漫画『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』の監修や、発達ナビでもコラムの執筆などでおなじみのフリーランス児童精神科医の三木崇弘先生。今回はそんな三木先生とママコラムライターさんが対談した大好評企画「児童精神科医 三木先生に聞いてみた!」コラムをまとめてみました。第二弾でご紹介するコラムのテーマは「言い争いにならない伝え方」「不登校と将来」「進路問題」「障害告知」「子どもと親の距離感」「衝動性」などなど…気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてくださいね。当たり前が分からない!息子が理解しやすい伝え方は?おもちゃを拾ってくれた大人を見て「おもちゃとった!」と大騒ぎになってしまったむっくん。もしかして"当たり前"のことが分かってない?発達障害のある息子の癇癪。納得するのに必要なのは…!?小さなころから癇癪が起きがちなむっくん。ウチノコさんが家庭で行ってる対策や三木先生のアドバイスは役に立つものばかりです。中2発達障害長男。進学しても進路や勉強の悩みは尽きず…中学2年生のASDとADHDのある長男くん。理系の私立の中学に進学し、本人の環境にも合っているのに「進路を変えて定食屋になりたい」と言い出して…!?小5ADHD次男への障害告知のタイミング次男くんも小5になり、そろそろ障害告知をする時期が近づいているのかも…と思うスガカズさん。障害告知、障害受容などどのように考えていったらいいのか三木先生にお聞きしました。親は発達障害のある子どもをどこまでサポートしたらいいの?まだまだコウくんにはサポートが必要だと考えているさとこさん。でも一体どこまで関わっていいのかサポートの加減に悩んでいて…。衝動性からの「ついやっちゃった」への対応への理解と付き合い方ASD・ADHDのあるコウくん。理屈では理解していても「ついやっちゃった」「なんとなく」と衝動性で動いてしまうこともしばしば。そんなときに親としてできることとは…?三木先生のコメントには今後の子育てのヒントがたくさん三木先生の優しさと、ときに鋭さのあるコメントに「なるほど…!」と感じる方も多いのではないでしょうか。三木先生とママライターさんたちの掛け合いの様子も楽しい対談コラムです。各ママライターさんたちの描く三木先生の似顔絵も必見!
2022年01月02日「〇〇ちゃんが仲間に入れてくれないの」「〇〇君が急に叩いてきた」などと、お子さまから言われたことはありませんか?それまで楽しそうに園や学校に通っていたのに、なぜ急に……と心配になってしまいますよね。もしかしたら、子どもたちどうしは翌日には仲直りをしているかもしれません。しかし、「これって、いじめ?」と感じたことのある親御さんも少なくないのではないでしょうか。今回のテーマは「いじめ問題」です。何歳からいじめが起こるのか、なぜ子どもは誰かをいじめてしまうのか、などを考えてみました。増え続ける「いじめ」と「ネットいじめ」文部科学省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、いじめの認知件数は2014年度から増え続け、2019年度には612,496件と過去最多となりました。しかし、このいじめ認知件数の増加について、単純にいじめが増えただけではないと見ている専門家もいるようです。『こども六法』著者でいじめ問題に詳しい、教育研究者の山崎聡一郎氏は、いじめ認知件数の増加を以下のように分析しています。「かつては、いじめの定義が狭かったほか、明らかにいじめと見なされる行為があっても学校は報告しないということがたくさんありました。この反省から、今は被害を受けた子が嫌だと感じたらいじめと見なす、という広い定義になっています。そういう定義で文科省が調査し、報告しなさいと言うので学校側も軽微ないじめを積極的に報告するようになり(軽いいじめも見逃さないようにしているから)、認知件数が増えているのです」(引用元:東洋経済オンライン|いじめに気づく大人、気づかない大人の決定的差)※太字は編集部で施したとはいえ、いじめが増加していることは事実です。2020年度はコロナ禍の影響で子どもどうしの接触が減ったため、いじめ認知件数は減少していますが、「パソコンや携帯電話等で誹謗・中傷や嫌なことをされる」などのインターネットを介したトラブル件数はむしろ増えているのです。「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を見てみると、「ネットいじめ」は18,870件と過去最多を更新しています。2020年11月には東京都町田市の小学6年生がネットいじめを苦に自殺――このニュースは各メディアで大きく取り上げられました。文部科学省の資料では、2019年度は6名だった小学生の自殺件数に対し、2020年度は14名。小学生の自殺が増えています。いじめが低年齢化してきているのでしょうか?幼稚園・保育園からいじめは行なわれる!「そんなに早い年齢から?」と思う方もいるかもしれませんが、なんと、いじめは、幼稚園・保育園に通う園児のあいだでも起こっています。東京都教職員研修センターの調査(1997年)によると、1995年頃までは「幼児期は発達的に見て人間関係が未熟な段階なので、幼児間のトラブルも発達には必要な経験であり、小学生および中学生の時期に見られるようないじめはない」と考えられていました。しかし、この調査の結果、約6割の幼児が「いじめられたことがある」と回答したことで、「幼児期にもいじめがある」と認識されたのです。幼児期のいじめ暴力を振るう仲間外れにする悪口を言う物を隠す 幼児期は身体面・言語面での発達の個人差が大きいため、入園して半年が過ぎたあたりから、子どもたちのあいだには力関係が発生します。とはいえ、「幼児期の子どもは成長著しいので、優位な立場に立つ幼児が短期間で交代することも多く、『いじめっ子』と『いじめられっ子』が頻繁に入れ替わることもよくある」とのこと。また児童精神科医の故・佐々木正美氏も「幼児期にもいじめはある」と述べています。そして、子どものまわりで「いじめ」が発覚したら、第一に「親子関係を見直すべき」だとしています。詳しくは後述しますが、子どものいじめは「親の関わり」が大きく関係しているのです。いじめのピークは小学2年生!小学校に入学すると、いじめ問題はさらに深刻化してきます。文部科学省の調査によると、2020年度にいじめ認知件数が一番多かったのは小学2年生(84,298件)で、小学1年生(81,746件)、小学3年生(78,586件)と続きます。ちなみに2009年度までは、中学1年生のいじめ認知件数が最多でした。約10年で「いじめのピーク」が低年齢化しているのは、なぜなのでしょう?『不登校新聞』編集長の石井志昂氏は、その理由をふたつ挙げています。ひとつは、「学校側が軽微ないじめも報告するようになったから」。前述したように、2016年度から文部科学省の「いじめ調査の定義」が変わったため、それまでは「悪ふざけ・冷やかし」ととらえられていた事例なども報告の対象となったのです。そしてもうひとつの理由は「子どもたちのストレスが増加したから」。不登校の子どもたちを長年見てきた「フリースペースたまりば」代表の西野博之氏は、子どもたちのストレスの原因を「子どもを追い詰めるほどの早期教育」だと分析しています。親が子育ての完璧さを求め、その成果を子ども自身に対して要求する。大人が不安だから、子どもは大人に弱音を吐き出せず、つらい感情も抱えこんでてしまう。そしてストレスのはけ口は自分より弱い子どもにぶつける。(引用元:AERA dot.|主犯格がストーカーのように監視親の“教育虐待”が原因?いじめ低年齢化の実態)西野氏によると、これが「いじめが再生産される構図」とのこと。いまの早期教育はかつてないほどに低年齢化しているため、現代の子どもたちは親世代が子どもだったときと比べて、かなりのストレスをため込んでいるのです。いじめ問題の根本にあるのは「子どもの欲求不満」次に、いじめっ子のストレスの原因を考えてみましょう。前出の佐々木氏は、いじめ問題の根本にあるのは「子どもの欲求不満」だと断言しています。欲求不満の度が大きくなったとき、幼い子どもは他の子どもに乱暴をしたり、いじめたりします。そして、そういう子どもは、攻撃的になると同時に赤ちゃん返りをします。自分がちょっとなにかされると「痛い、痛い」と言って大騒ぎをするくせに、他の子どもには激しく攻撃をするのです。(引用元:HugKum|幼児から起こる「いじめ」問題。原因の多くは、子どもの過度な欲求不満です。【子育ての道を照らす佐々木正美さんの教え】)佐々木氏は著書『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』のなかでも、子どもの欲求不満について指摘しています。子どもが他者に攻撃的な態度をとったならば、その子の「欲求不満のタネ」はいったいどこにあるのかを考えるとよいのだそう。佐々木氏、家庭教育アドバイザーの柳川由紀氏、心理カウンセラーの大崎清美氏のアドバイスを参考にしてみましょう。【欲求不満のタネ1】親に話を聞いてもらえない「ママ、見て!」という呼びかけに対し、「忙しいんだから、あっちへ行って」「はいはい、あとでね」などの返事をしていると、子どもは「自分の話を聞いてもらえない」と感じます。また、子どもが「ママ、見て」と言っているのにもかかわらず、「走らないで!」「ちゃんと前を見て歩いて!」など、子どもの言葉を無視し、子どもの行動を否定するのもよくありません。話を聞いてもらえず、親から否定的な言葉を言われた子どもは、「自分の存在そのものを認めてもらえていない」と感じるようになってしまいます。そして、存在を認めてもらえないというイライラが他者に向かってしまうのです。【欲求不満のタネ2】親からの期待が重すぎる親からの期待が大きすぎるような場合も、子どもは欲求不満になります。「100点とれるように頑張って!」「〇〇君がかけっこで1番になったら、ママ嬉しいな」など、子どもにプレッシャーをかけるような言動は危険です。親の期待通りの結果が出ているうちはいいですが、成績が悪かったり、習い事などで思ったような結果が出なかったりしたときは、「ダメな子だと思われてしまう」「自分は愛されていない」という気持ちになってしまいます。そして、その満たされない気持ちが怒りに代わり、自分より弱い相手に向かうのです。子どもに対して過剰な期待をしていないか、一度よく考えてみましょう。「こんなこともできないの?」「あなたってダメな子ね」といった、人格を否定するような言葉もNGです。【欲求不満のタネ3】親が過干渉親が過干渉の場合、子どもは自由に行動できないためストレスを感じます。「自分は完璧ではない、不完全な存在だ」「完璧でないから親から認めてもらえない」と、自分のことを嫌悪するようになるのです。そして、その不安や寂しさを紛らわすために、誰かをいじめるようになります。いじめは悪いことだとわかっていても、いじめをやめられなくなる子もいるのだとか……。また過干渉な親の子どもは、問題解決力が育ちません。なんでも親が先回りしてサポートしてしまうので、考える力が育たないのです。すると、物事がうまくいかないときや、失敗をしてしまったときに、誰かに責任転嫁をするようになります。【欲求不満のタネ4】両親の仲が悪い母親と父親がけんかばかりしている家庭で育った子どもは、大きなストレスを抱えるようになります。本来であれば、家は家族がリラックスできる場所のはず。しかし、夫婦仲が悪い家庭は家族のコミュニケーションが希薄なため、子どもにとって居心地が悪い空間となってしまいます。自分の家なのにリラックスできないのですから、子どもは気持ちが安定しません。すると、両親のけんかを見て、「ママとパパの仲が悪いのは自分のせいだ」と自分を責めたり、「次に怒られるのは自分かもしれない」と不安になったりするのです。そして家のなかでため込んだイライラを発散するために、誰かをいじめるようになります。いじめっ子・いじめられっ子、どちらも「欲求不満が強い子」「欲求不満のタネ」を4つ挙げましたが、どうやら「欲求不満のタネ」をもつ子どもが「いじめっ子」になるとは限らないようです。欲求不満の子どもついて佐々木氏は、「自分を守るために攻撃的になって『いじめる人間』になるか、もしくは自信をなくして萎縮してしまい『いじめられやすい人間』になってしまう。こういった両者が、いじめ、いじめられるの関係になる」と分析。また大崎氏も、アトランティック大学・コンコーディア大学・ウプサラ大学が行なった共同研究の結果を挙げ、精神的に不安定な状態の子どもは、「いじめっ子になるだけでなく、いじめられっ子になる、つまりいじめの加害者、被害者のどちらにもなる恐れがある」と指摘しています。では、子どもを欲求不満にしないために、親はどんなことに気をつけたらいいのでしょう?それは「子どもの話をよく聞くこと」「子どもとふれあう時間をつくること」です。佐々木氏は、子どもをひざに乗せてたっぷり話を聞くだけで、子どもの気持ちは安定すると話しています。ゆっくりお風呂につかりながら、いろいろな話をするのもよいそうです。子どもの話の聞き方については、以下のインタビュー記事にも詳しい説明があります。『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』著者で、ビジネスコーチの石川尚子氏が「子どもの自己肯定感を育む聞き方テクニック」を教えてくれました。ぜひ読んでみてください。『子どもに揺るぎないパワーを与える、親が子どもの話を「聴く」ということ』***親御さんのなかに、「いじめっ子」「いじめられっ子」だった方はいるでしょうか。筆者は後者でしたが、大人になったいまでも嫌な記憶として残っています。当時中学2年生だったことは覚えているものの、いじめのきっかけは思い出せません。ですが、「欲求不満のタネ」についてはいくつか心当たりがあります。「子どもの話を聞くこと」は簡単なようでなかなか難しい――。でも、時間を見つけてしっかり子どもに向き合っていきたいものですね。(参考)佐々木正美 著, 若松亜紀 著(2013),『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』, PHP研究所.文部科学省|いじめ防止対策推進法文部科学省|令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果文部科学省|令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について東洋経済オンライン|いじめに気づく大人、気づかない大人の決定的差産経ニュース|ネットいじめ抑止で意見書小6自殺めぐり町田市議会文部科学省|令和2年 児童生徒の自殺者数に関する基礎資料集東京都教職員研修センター|都立教育研究所時代の研究報告書東京都教職員研修センター|第 1 章 いじめの心理と構造東洋経済オンライン|いじめのピークは「小2」低年齢化の衝撃の実態AERA dot.|主犯格がストーカーのように監視親の“教育虐待”が原因?いじめ低年齢化の実態HugKum|幼児から起こる「いじめ」問題。原因の多くは、子どもの過度な欲求不満です。【子育ての道を照らす佐々木正美さんの教え】マイベストプロ|いじめっ子の心理とは?原因は親や家庭環境に。親として考えるべき役割と接し方MAG2 NEWS|家ではいい子、外では攻撃的。いたずらな子どもにある「不満」とは?
2021年12月17日将来をどう考えておけばいいの?ウチノコ(以下、――):息子のように、自閉スペクトラム症やADHDの診断はあるけれど学習面での困難さをそこまで抱えていない子は、将来の進路は一般就労に向かっていくと考えていたらいいのでしょうか?Upload By ウチノコ三木先生:そうですね、僕は知的な能力が高ければ一般就労を目指していけばいいと思っています。知的障害がある場合は一般就労では難しいケースもありますが、発達障害のある子は環境にフィットして、自分で自分の機嫌がとれさえすれば、凸凹はあっても能力に問題があるわけではないですからね。息子君も、【得意】と【不得意】の差は大きいかと思うのですが【得意】でどれくらい勝負できるかを探っていくといいと思います。――得意で勝負ですか…三木先生:例えば勉強が得意なら、私立の進学校なんてどうでしょうか?――それは…既に不登校を選んでいるので、学校に行かない場合の私立の授業料を考えてしまって(苦笑)三木先生:でも、今彼が学校に行かない理由の周りのがやがやした騒がしさが嫌だとか、授業中の待ち時間が嫌だとか、そういったものが解消できる環境なら案外合うかもしれませんよ? 私立の男子校の中には、息子君と同じような特性のある子も意外と多いのではないかと思います。理解のある学校であれば、落ち着けるような環境をつくってくれるかもしれませんよね。Upload By ウチノコ――そうかもしれませんね!三木先生:息子君の場合、勉強も進路も本人に合っていれば楽しく取り組めて、ご機嫌で過ごせるでしょう? ご機嫌でいられると、易刺激性や感覚過敏なんかもそこまで顕著に出ないんですよね。当然、程度にはよりますが、今までは無理だった環境下でも過ごせるようになったりね。合う合わないはあるだろうけど、進路として検討してみてもいいのかもしれないと思います。それに、そもそも大人に近くなってくると感覚過敏なんかは今より軽減されるというか、丸まってくるものなんですよね。加えて、認知的な理解でもコントロールできるようになってきます。例えば、急によく分からない水の音が聞こえてきたら気持ち悪い。だけど何の音なのか確認して理由が分かれば気にならなくなるじゃないですか。感覚ってある程度までは認知で調整することができるものなんです。だから成長して見える範囲が広がる、理解できることが増えて理解の深さも出てくれば、おのずと今しんどさのある音などへの過敏やこだわりなんかも多少軽減されてくるだろう。そうすると、大人になったころにはある程度落ち着いて暮らせるようになる、という見通しは立てられるようになるのでそこを目指していけたらいいですね。Upload By ウチノコ――なるほど…確かに8歳の今でさえ、以前よりも感覚過敏は落ち着いてきました。三木先生:さらに将来についても、今の時代は認知機能が高ければ就ける仕事が増えてきていますから。外資家のコンサルや証券なんかはわりとロジカルで頭が良い人が活躍されているでしょう。研究者なども、自分の興味をとことん追求するといった特性を生かして活躍できるかもしれません。勉強を頑張っていってもいいし、ほかの分野でも好きそうな興味のあることをガンガン伸ばして、得意で勝負していくことがこれからできることなんだと思いますよ。――ありがとうございます。ただ、息子の場合は学校へ行かないケースも考えておかなきゃと思うのですが…三木先生:そうですね。僕は学校の目的って授業とそれ以外って話をよくするんですけど。究極、勉強と友達(社会性)を学びに行くところなので、その2つができるなら場所は学校でなくてもいいと思うんです。ほかにも、決められた場所で、決められたことを、言われた通りにやる。っていう目的もありますが、それが息子君は苦手ですよね。今の時代、この目的の重要性は落ちてきているようにも感じます。なので、とにかく勉強と社会性の2つをどう担保するのかを考えながら次のステップの進路を考えてもらうといいのかなと思います。まあ正直、学校に行くというのが一番手っ取り早いんですけどね…(笑)――うん、学校楽ですよねー(笑)三木先生:そう、楽なんだけど。息子君のように合わないなら自力でそういうリソースを探して、経験や体験を担保していく感じかなぁ。それをずっとやっていたら、たまに学校行ってないけど起業したよ、なんて人のパターンも聞きますよね。今息子君は8歳だから、就職は15年後とかですよね。そうなると企業の採用の感じがどう変わっているかすらわからないですからね。――必要とされる人財の条件が、現在と同じとは限らないのですね。三木先生:はい、就職も正規ルートじゃなくて、変わったルートもありますからね。好きなことを通して縁があった人に「君、面白いからウチの会社に来てよ」と採用されちゃったとか。学校行かなかったけど大検受けて、大学行って好きなことやっているうちに会社になっちゃいましたなど、息子君の場合はそっちの方がイメージがわくかもしれませんね。Upload By ウチノコ――ああ、確かに。大学は行く気がするのですが、高校は微妙だなと感じているんです。三木先生:その場合、費用はかかるかもしれませんが、通信制高校など、特長あるコンテンツを持っている場所を探していくことが合っている気がしますね。社会性のほうも子どもと関わるだけでなく、彼を面白がってくれる大人の中のほうが過ごしやすい時期だってあるかもしれない。その中で新しい刺激を受けて、何か目覚めることもありますからね。「やりたいことをやるためには、興味のないこともやらなくちゃ!」という所にたどり着けると、嫌いなことや苦手なことにも必然性を感じて学んでいくかもしれません。Upload By ウチノコ――なんだか将来が明るくなった気がします。具体的にいろいろとありがとうございました!あとがき先のことがどうにも霧の中でしたが、何をするかではなく、目的をどこに置くかを明確にして考えていけばいいのだなと感じました。自分の歩いてきた道しか知らない私ですが、もっと視野を広げていろいろな事を知り、考えていけたらいいなと思っています。執筆/ウチノコ
2021年12月05日なんだか、世の中「反省モード」になっていませんか?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私の気のせいだといいのですが……。新型コロナウイルスの影響下での不安感や緊張状態が続き、外出を控える自粛生活が長引いたことや、人との接触機会が減っていたこと、息抜き手段が限られたこと。あるいは、第三者の客観的な意見が聞きにくい状況や、少数の極端な意見や否定的な言葉などが拡大・拡散しやすい状況……などなどの影響もあるのかもしれませんが、内省的で内向きな思考パターンに陥っている人が増えている気がします。そして、文部科学省の調査(R2年度)では、子どもの自殺・不登校も過去最多。うちの子たちの小中高それぞれのクラスでも、「ずっと休んでる子が数人いる」などと聞いています。また、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査(2021.6.8公開)によれば、世界的にもうつ病などの精神疾患が急増しているとのこと。私の身近でも、いつもは朗らかなママさんが、先日久しぶりに会ってお話ししたら、ご自身とお子さんの「できないこと」ばかりを気にされていました。自粛期間中に視力が低下した子どもが増加したと報道などで聞きますが、もしかしたら、家にいる時間が長くなり、いろんな人と話しながら外側に目を向ける機会が減ったことで、物理的な面だけでなくて、「心の視力」も視野が狭くなりがちで、ピント調節がしづらくなっている子・方もいるかもしれませんね。「自分や子どものできないことばかりを責めてしまう」「あれも、これも、できないといけない気がして、落ち込んでしまう」……なんて、つい思いつめてしまう方は、ほんの少し肩の力を抜いて、発想の転換と心の柔軟体操をしてみませんか?かつては私も、子どもが学校に行きたがらないことが続いた時期に、自分を責めて子育てに自信をなくしたり、「ちゃんとさせなくては!」「あれも、これも、できるようにしなくては!」とプレッシャーを感じて抑うつ的な気分になり、外出をつらく感じたこともありました。でも、ちょっとだけ、物事を見る視点を変えたり、部分と全体を柔軟に切り替えたりするクセをつけることで、今では(本来)真面目で思い詰めやすい性格の自分と上手に付き合えるようになりました。こういったものの見方は「リフレーミング」といって、発達障害のある子のペアレント・トレーニングや、うつ病の治療での認知行動療法などでも取り入れられている手法ですが、ご家庭で自分自身・お子さん自身でも手軽に取り入れることができます。今回のコラムでは、図解を交えてできるだけ分かりやすく、発想の転換法のコツを直伝します。文部科学省|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査経済協力開発機構(OECD)|ニュースルーム「失敗の点つなぎ」からの脱出法まず、子育てや、自分自身になんだか自信をなくしがちなときには、「自分や子どものできないことだけを見つめていないかな?」と自問するといいでしょう。私はこの「つい、できないことばかりを責めてしまう」状態を客観的に見るために、「失敗の点つなぎ」と独自に名付けています。では、「失敗の点つなぎ」とは、一体どんなものでしょうか。一つ、例え話をして解説しますね。出典 : うちでも長らく、おうちごはん・テイクアウト・宅配ディナーばかりが続きましたが、少しずつ、外食などへ出かけてみるご家庭も増えていることかと思います。もし、久しぶりにファミレスに行った時には、周りをよく観察してみるといいでしょう。家族や友人と食事やおしゃべりに夢中になっているときや、ぼっち飯でスマホ画面に集中しているとき……誰も周りのことは、そんなに意識していないのではないでしょうか。ところが、突然店員さんが「ガシャーン!」と大きな音を立てて、お皿を割ってしまったら……?たぶん、お店にいる人達は、一斉に注目しますよね。きっと、それまでその店員さんは、次々と注文を取り、できた料理を運び、空いたお皿を回収して……といった努力を地道に続けていたことでしょう。でも、それはお客さんにとっては「レストランでは当たり前」に思える光景なので、お店の内装やBGMと同じような背景になっていたのかもしれません。ところが、大きな音がしたときだけ、なにかあったときだけ、失敗したときだけ、人は気がついてしまうもの……ではないでしょうか。そして、そんな瞬間だけを集めてつなげていくと、いつの間にか「いつも失敗ばかり」であるかのような印象になってしまいます。こうやって、失敗したときだけ気づいて注目し、できなかった瞬間の点と点を結んで、その部分だけを拡大して見つめ続けている状態を、私は自戒を込めて「失敗の点つなぎ」と呼んでいるのです。元々真面目で完璧主義傾向の強い子・方に加えて、現在のように社会的に余裕のない状況が続くと、どんな人でも「失敗の点つなぎ」をしやすくなってしまうように思います。だって、目の前のことで手一杯だったりすると、周りが見えにくくなってしまいますから……。この状態から抜け出すための第1歩は「客観視」です。今、自分が「ああ、失敗だけを見つめているな」と気づくことが、まずは大事なのです。そのために、以下のような解説図をつくってみました。Upload By 楽々かあさん以前、子育てや自分に自信をなくしていたとき、私は毎晩、子ども達の寝顔を見ながら「今日も結局また怒ってしまった」「優しくできなくてごめんね」と、自分の「できなかった」ことばかりを思い出しては、一人反省会をしていました。わが子に対しても「あれも、これも、できなくては!」「ちゃんとさせなくては!」と思い詰めていて、人並みにほめて育てたくても、特に不器用な長男は失敗ばかりのような気がして、ちっともほめるところを見つけられず、結局怒ってばかりになっていました。……でも、果たして当時、本当に私は「怒ってばかり」のダメな親で、長男は「失敗ばかり」のできない子だったのでしょうか?できなかったことや、失敗した瞬間だけをつないで、その部分だけを拡大して何度も何度も反芻しながら見返していたら、自己イメージが低くなって、落ち込んでしまうのは当たり前だったように思います。ところが、少し視野を広げて全体像を眺めてみるとどうでしょう?一日をトータルでよくよく思い出してみれば、さすがに私だって24時間怒りっぱなしではなかったし、子どもだってできたことが少しはあったはずです。もし、全体像を眺めても、成功体験の点をあまり見つけることができない状態の子・方は、「できた!」のハードルを下げてみるといいでしょう。分かりやすい例だと、テストで100点取れたときにしか「できた!」と認めることができなければ、90点のときでも失敗体験になってしまうかもしれません。でも、70点、30点……あるいは5点や0点のときだって、ものの見方次第で「できた!」にカウントできるのです。具体的なコツは……・「大体はできた」「ここまではできた」「これだけはできた」……などと、できなかったことより、部分的にでもできたほうに注目する。・「少しだけでもやってみた」「苦手だけど参加した」「最後までやり遂げた」……などと、挑戦した意欲を認める。・「努力した」「自分なりにがんばった」「下手でも続けている」……などと、良い結果につながらなくても、その過程での努力に気づく。・「前よりもできた」「一年前に比べれば進歩している」……などと、できる子・人と比べずに、自分・その子自身とのタテ軸の比較で見る。……こうして「できた!」のハードルを柔軟に下げていくと、自然と成功体験の点が増えていくのではないでしょうか。そうすると、図のように、できない部分だけをつないで拡大していたときとは、全体像のイメージはずいぶんと違って見えるはずです。「失敗の点つなぎ」状態から抜け出す第2歩は、物事を「0か、100か」で捉えずに、「100以外」の全てを失敗にしないことなのです。そして、当たり前のようなことではありますが、日常生活を形つくるのは、「成功か、失敗か」「できたか、できなかったか」だけでは勿論ありません。子育ての場面でも、子どもを「ほめた/叱った」の二択ではありません。……というよりも、「それ以外」の時間のほうが圧倒的に大部分を占めているのです。「それ以外」の時間とは、毎日の生活の背景にある「ルーチンワーク」「通常運転」「いつも何気なく続けていること」「一見やって当たり前のようなこと」などを、特に意識せずに淡々とこなしている時間もあれば、「何もせずにぼーっとする」「平穏無事にダラダラと過ごす」「不要不急のことに費やす」時間などもあるでしょう。これらの「フツーのとき」は、以下のように、日常生活の背景になってしまっていて、意識しないと見えてこないかもしれません。Upload By 楽々かあさんこの、日常生活の背景に当たり前のように存在する、毎日の小さな頑張りや、ささやかな喜び、密かな楽しみ、何気ない時間の価値に目を向けるように意識すると、特別に何かを頑張れなかった日でも、何ができてもできなくても、ただ一日を普通に終えただけでも、自分なりに満足できるのではないでしょうか。例えば、主婦/主夫であれば、給食・お惣菜・レトルト・宅配込みでも、家族に最低限の食事を出せたなら、十分ヨシとしませんか。お子さんだって、例え学校に行けない日があっても、三食食べて寝るだけでも、昨日よりも確実に成長しているはずです。(※万が一、日々の食事の確保すら困難なほど、精神的・経済的に疲弊している場合は、動けるうちに早めに医療機関や行政サービス、非営利団体などを頼っていただけるよう、お願いします)そうして、自分への目線と子どもへの目線を下げて、「一日を終えただけでも、私は今日もよく頑張った」「(うちの子なりに)毎日よく頑張ってるね」……などと、例え誰もほめてくれなかった日でも、寝る前に一人反省会なんてしなくていいから、自分でご自身とお子さんをほめて認める声かけをしてあげませんか?「失敗の点つなぎ」からの出口である第3歩は、大きな音がしたときだけ注目せずに、日常生活の背景に隠れている「フツーのとき」に目を向けるように意識することだと、私は思っています。何ができても、できなくても……出典 : 最初に新型コロナウイルスのことが報じられてから、もうすぐ2年になりますね。この2年間で、毎日の普通で当たり前の日常が、どれだけ多くの人の膨大で地道な、見えない努力で成り立っているのかを、私は痛感しました。そして、不要不急でムダで何気ない時間にこそ、子育てや長い人生を続けていくために必要なエネルギーが詰まっていることを、再発見しました。一日の終わりは、何ができても、できなくても、親子で「お布団、温かいね」と思えたら、まあ、いいじゃありませんか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者:三木先生より)「良いこと」「できたこと」に注目するのは存外大変なものですが、日々の暮らしを通じて少しずつ癖づけていくことはできると思います。ここに書かれているのはある種のマインドフルネス的な考え方ですね。こういう「日々の一つ一つをかみしめる」ような方法を試してみるのも良いかもしれません。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年11月20日ちょっと変わった不登校?ウチノコ(以下、――):息子は現在不登校を選んでいます。今はとっても元気に過ごせているのですが、不登校初期は母子分離不安からか、私の後追いをしたり、今まで以上に触れ合いを求めたりという時期がしばらくありました。これはやっぱり何か不安を感じていたということなのでしょうか?Upload By ウチノコ三木先生:それは、愛着のサイクル、安心できる人の存在、安全基地の話ですね。外の世界が充実していたら人は安全基地がなくても暮らしていけます。しかし、危険を感じているときは安心して過ごすことができる安全基地が必要になります。だから外が充実していないため安全基地であるお母さんが必要になったと考えることができますね。――そうなのですね。不登校を選んでから1年近く経った今では、以前のように私を求めることはなくなったのでいろいろと回復したってことになるのですね。息子が不登校を選んだ理由はいろいろあるのですが、一番は感覚の過敏さからくる疲れだったのかなと感じています。聴覚過敏があって。いろんな音を聞いていちいち反応したり、同時に数人の会話を聞いて理解して答えようとしたり。それで疲れ果てるのだけど、不安の強い子なのでイヤーマフなどで音を減らすのも不安で仕方ないとなってしまい。特別支援学級に所属しているのですが、それでも学校はうるさくてとても疲れると訴えてました。三木先生:うんうん。――それで、結果的には不登校を選んだのですが、それが…、息子の不登校はちょっと変わっているらしいんです。担任の先生からも息子さんのような不登校は初めて経験しましたと言われていて。例えば、朝は学校に行く友達が外から名前を呼んでくれるので、いってらっしゃーいと窓から見送ったり…親の登校見守り当番に行く!とついてきて、友達を学校まで送ったらオレ帰るわって満足げに帰宅したり…。週に1日1時間だけ、大好きだった図書の授業に行くのですが、嫌がらず登校し、友達と触れ合って、また来週来るね!って満面の笑顔で帰る感じで。放課後も小学校の友達と公園で遊ぶ日もあって。学校への拒否感は少ないけど、学校には行かない。今の形が自分には丁度いいんだって言うんです。Upload By ウチノコ三木先生:へぇ~!――どうこうなるものでもないのでしょうけど、とにかく息子のような子の情報がなくて。いったいこれからどうしたらいいのかなって思うことがあるんです。三木先生:う~ん…そのままでいいんじゃないかなぁと僕は思いますよ。いわゆる不登校の、社会不安が強くて行けないというのとは、息子さんの場合、何か、質か量かは違うんでしょうね。――そんな感じはします。本人元気だし、スクールカウンセラーさんに相談に行くという雰囲気でもなくて…三木先生:そうですよねぇ。楽しく生きてるしなぁ。それなら学校で得られるはずだったものの取りこぼしだけ気をつけていれば、あんまり行かなくてもいいんじゃないですか?学校の目的って、要は【学習】と【社会性】ですよね。社会性って言っても、息子さんの場合、友達などのコミュニティネットワークもある程度持っているし。勉強もそんなに困るタイプではなさそうだし。それなら行かなくても何も問題ないですよね。まぁお母さんからしたら、ずっと子どもが家にいるので大変かもしれませんが…(笑)Upload By ウチノコ――ええ、影響はずっと息子が家にいるってことですね(笑)家では学習もまぁちょっとはしていて。あとはゲームして、好きな番組見て、今は料理がお気に入りで、ほかにもインターネットから情報を集めて科学実験してみたり。パソコンでプログラミングしていたり。好きな本を好きなだけ読んだり。まーぁ生き生きと過ごしています。三木先生:おぉ!話を聴く限り、興味を持っていろんなことして過ごせるお子さんみたいですし、ますますそれならそれでいいんじゃないって気がしてきましたよ。――…いいんでしょうか?三木先生:いいんでしょうね!日本の教育って、標準化されていて。このレールに乗っていくと、最低限ここまでは到達できますよっていうのがはっきり決まっているのだけど、それ以外の選択肢が若干吊り橋状態っていう仕組みなんですよね。だから吊り橋側の道を行く人はドキドキするんですけど、その吊り橋を渡っている理由、要は元のルートに乗れない理由が何かってことを考えるんです。能力的に難しいために吊り橋を行くタイプのお子さんにはサポートが必要だと思いますが、ルールが気に食わない、こっちの道が好きだからなどの理由があるお子さんの場合は、それで全然いいと僕は思いますよ。――そっか…Upload By ウチノコ三木先生:ただ、あんまり前例もないし、先の展開も全く想像がつかないから、大人はドキドキしちゃいますよね。なんとかなるんだろうけど、何をしたらどうなるのか全然分からないという。――そうなんです!何とかなると思うのだけど、息子は私が積極的に関わっても喜ぶタイプではなくて、自分で自由にやりたい人なので。なら私はただこのまま彼が家にいる生活を続けるしかできないけど、それでいいんだろうか?と三木先生:それでいいんですよ。まぁ、大丈夫なんじゃないかなぁ。――そっか、なんかホッとしました。ありがとうございます。周りに変だ変だっていわれるから(笑)三木先生:まぁ正直、変は変かもしれないけど(笑)変上等で行きましょうよ!あとがきなかなかこれから進む道の情報がなくて、どうしようかなぁと思っていたので、三木先生からの力強い肯定に肩の荷が下りた気持ちです。吊り橋を不安がってばかりではなく、楽しみながら、未開の地を息子と一緒に開拓していけたらと思います。執筆/ウチノコ
2021年11月02日そもそも集団生活をする学校が音やニオイなどの環境面で合わない子どもは多いこんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。今回は、感覚過敏のことも含めながら、中学や高校に登校せずオンラインスクールを選んだ場合の生活や、学習面、そしてリアルな現状について僕の体験を通してお伝えします。不登校の理由はさまざまですが、感覚過敏などによって学校の環境に合わない子どもは少なくありません。ホームスクール&ホームエデュケーション家族会がホームスクール&ホームエデュケーションを実践している164世帯に実施したアンケート調査によると、「家庭を拠点とした教育・学びを始めた理由・きっかけ」の1位は「学校の環境が合わない(音、光、匂い、授業時間の長さなど)」で、全体の66.5%を占めていたというデータもあるようです。実際、僕も中学校の教室での、騒がしさやお弁当のニオイなどで教室にいることが苦痛で、休み時間は校内の静かな場所を探して過ごすようにしていましたし、過敏さによる体調不良で保健室に通う回数も増えていました。そのような中で次第に学校にいることに苦痛を感じるようになり、中学1年の3学期からは学校を休みがちになり、最終的に中学2年生の9月に当時通っていた私立中学を退学しました。私立中学を退学した中学生はどうなるかというと、地元の公立中学校の所属となります。しかし、学校生活の音やニオイなどが不登校の要因だと分かっているのに、地元の公立中学に通うという選択を僕はできませんでした。僕が選んだのは角川ドワンゴ学園N中等部でした。N中等部は、学校教育法で定められた学校ではなく、フリースクールやインターナショナルスクールなどのような学びの場と類似するものです。N中等部は「プログレッシブスクール」という表現をしていました。ですので、地元の公立中学に籍をおきながら、フリースクールに通うことになります。参照:N中等部現在は完全オンラインコースもありますが、当時は、N中等部にはオンラインコースはなくキャンパスに通学して学習するスタイルでした。地元公立中学が認めてくれれば、N中等部の出席日数がそのまま地元公立中学の出席日数になる場合もあります。僕も籍を置くことになる地元中学に相談に行き、N中等部の出席日数をそのまま公立中学の出席日数に認めてもらうことなりました。書類上は不登校生ではないのです(笑)したがって、卒業証書は地元中学から出ることになります。N中等部での生活N中等部は通学日数を週1、週3、週5コースから選ぶことができます(現在はオンラインコースもあります)。僕は週5コースを選びました。N中等部で、いろいろな体験や学習ができると期待したからです。N中等部では「他人の意見を否定しない」というような、グランドルールというものがありました。グランドルール以外のルールはありません。ですから、服装も髪型も基本的には自由です。休み時間に、持ってきたSwitchなどのゲームで遊ぶのも自由ですし、パソコンで動画を見たりゲームをするのも自由です。授業中にトイレに行ったり、飲み物を飲むのに先生の許可はいりません。僕は嗅覚過敏が強いので、お弁当の時間は1人で離れて食べるほうが気が楽です。N中等部では、同じように1人で食べている人も普通にいて、1人でいるのも、そんなに目立ったりすることはありません。僕は、ゲームなどやらせてもらうこともありましたが、結構、一人でヘッドホンをして好きな音楽を聞いて、過ごしていました。そういう状態も特別ぼっちという感じではなく、好きなように過ごしているという感じです。学習面は、国語・数学・英語のオンラインカリキュラムはありますが、自分の好きなテキストで勉強してよく、時々オンラインの確認テストがあります。しっかりテストがあるわけではないので本人が真面目にやるかどうかにかかっていて、やらなくても誰も何もいいません。僕は正直、N中等部時代に中学の勉強はほとんどやりませんでした。通っていた私立中学では中学2年の夏の段階でほぼ中学3年生の範囲の学習をしていたこともあり、N中等部でがっつり勉強する意欲はありませんでした。また、プログラミングの授業やプロジェクト学習などは、楽しめる人もいれば楽しめない人もいると思います。通っている生徒の多くは、不登校の代替として選んでいる印象がありました。コミュニケーションが得意でない人も多いように思いました。何かしら、今の学校教育に合わなかった人が集まっているのかもしれません。中学3年生当時は、コロナ禍で通学ができなくなりましたので、僕は通学週1コースに変更しながら、週1回、オンラインで授業に参加しました。2020年度からはネットコースも誕生しましたが、週1コースにしました。ちなみに、オンラインでの動画授業は、24時間好きなときに自由に視聴して勉強できる環境です。学習面は自立と自発が必要で、プロジェクト学習やプログラミング授業は本人次第とは思いますが、僕は総合的にN中等部に進学して満足していました。生徒を個人として尊重して接してくださる先生方と、無理をせず存在できる環境は僕にとって気が楽でしたし、「N中等部」という所属先があることの安心感はありました。そして、ちょっと人とは違う先進的なスクールを選んだというような誇りのような気持ちもあります。Upload By 加藤路瑛高校もそのまま通信制高校へ高校は角川ドワンゴ学園N高等学校へ進学する予定でした。N中等部生がN高等学校へ進学するとき、高校の通学コースを選ぶとき、一般よりも早い時期にエントリーすることができ、早い時期に入学許可をもらうことができます。人気キャンパスで定員いっぱいで申し込み中止になるような自体がない限り、それほど大きな特典ではありませんが、進学先を迷っているとき、お守りとしてN高の入学許可を持っておくのは気持ちが落ち着く人もいるかもしれません。僕の場合は、N高等学校だけでなく、S高等学校が新設されるという情報があったので情報を待ちました。そして、S高等学校を選びました。スクーリングを受ける本校が沖縄かつくばかの違い以外はないという説明でしたので、1期生という言葉の魔力で僕はS高等学校の1期生になりました。通学はいっさいせず、オンライン学習のみのネットコースです。N高・S高の通学コースというのは通学して数学や英語をやるのではありません。一般的な高校卒業に必要な内容は通信制高校としてオンラインで授業を受けて、課題を提出して単位を取ります。では、通学コースは何をしているかというと、簡単にいうと習い事としてカルチャースクールやビジネススクールに通っていると思ってください。プログラミングや英会話、プロジェクト学習をキャンパスでやるのです。僕はネットコースのみなので、これからのキャンパスでの取り組みは一切なく、単純に高校卒業の単位をとるだけの目的で利用しています。N高・S高も大学受験用のコンテンツも用意していますが、活用するかは本人次第です。学習は毎月課題提出内容が決まっており、それまでに動画を視聴し、確認テストに回答していきます。動画は飛ばして見ることはできませんし、視聴しないでテストだけうけるようなこともできないようになっています。好きな場所で好きな姿勢で好きな時間に受講できるのはやっぱり楽です。集団の中で制服をきて、みんなと同じように先生の話を聞き、同じスピードでテストに答えていくようなことが苦手な僕にとって、マイペースに静かに勉強できるのはストレスが少ないです。通信制高校生の生活Upload By 加藤路瑛N高・S高は購入も任意の制服があります。通学コースの生徒も着ても着なくてもOKです。通学の服装も自由です。僕はネットコースで通学したので制服は買っていません。写真は、入学式で新入生代表をさせてもらったときにお借りしたものです。多分、これが最初で最後の制服姿かもしれません。基本的に感覚過敏で服を着るときに痛みを感じるので、制服があるような生活は好みません。普段の勉強は、布団の上で寝転がってノートパソコンで講義を見ています。フリーダムです(笑)ネットコースで友達ができるかどうかも心配される人がいますが、これも本人次第です。N高・S高全生徒が参加しているコミュニケーションツール(Slack)で生徒は交流できます。ゲーム仲間を集めたり、アニメや音楽など共通の話題で繋がったり、同好会もたくさんあります。活用できるかは本人次第で、先生が人間関係のサポートをしてくれる訳ではありません。また、有料・無料のさまざまな特別講座が企画されています。声優の方の講義が聞けたり、写真撮影の勉強ができたり、ワークショップや海外留学の情報セミナーなど。そういうものの中に興味が持てるものがあるかもしれません。情報は全てSlackで流れてくるので、僕はこれが苦手です。ですがセミナーの案内などは保護者のメールアドレスにも届くので、保護者の方もご安心ください(笑)Upload By 加藤路瑛N高・S高の新しい取り組みとしてはVR学習です。先ほど入学式で新入生代表で挨拶をしたと書きましたが、入学式の一部はVR上で行われました。僕も配信スタジオにいましたが、式ではアバターで登場しています。もうリアルボディーも不要です。VR授業を受けられる学び方もあります。Upload By 加藤路瑛仮想空間に地球儀が出てきて回すことができたり、本を開いたりできますが、使用は必須ではありません。僕はVR酔いがひどいので、実はVR学習はあまりやっていません。最近は発達障害の小さい子のソーシャルスキルトレーニングもVRで行ったりするようですが、視覚情報と平衡感覚や固有覚が不均衡になりますので合わない人もいるかもしれません。僕はVR学習は一旦、撤退をしていますが、とても面白い世界なので、VR酔いの解消方法を考えてまた取り組みたいと思っています。ヘッドセットは触覚過敏、聴覚過敏、視覚過敏があるとなかなかつらいものなので、この部分の改善も必要だと思っています。通信制高校は課題さえこなせればあとは自由です。僕は自由な時間で、感覚過敏の研究や商品開発などもしていますし、アルバイトもしています。ゲームもしますし、アニメなども見ます。通学というものから解放された生活は本当に楽です。ただ、自由すぎるので、生活は乱れます。朝4時くらいに寝て昼に起きるということも少なくありません。その生活を不規則だとかだらしないと怒るような保護者だと窮屈だろうと思いますが、僕の親は自由にさせてくれています。まとめ僕は中学から一般的な学校に通う生活をやめています。それを他人は「不登校」と呼ぶのかもしれませんが、僕は自分が不登校だと思ったことは一度もありません。学ぶ場所を自分が快適だと思う場所に変えただけです。もちろん、中学で私立中学を退学するとき、悩みました。それは自分の人生が変わるとか、人と違うことをする不安というよりも、「親に申し訳ないな」という葛藤です。私立中学にせっかく入学して、そのまま高校にも進学できるのに、その道を嫌だと言うのです。普段は自由にさせてくれる親が、僕の中学退学だけはすぐにいいとは言ってくれませんでした。ですから、不登校になるとか、フリースクールに通うとか、通信制高校に通うというのは、本人が自分の人生を悩むと言うより、親が深刻に考えているから、それを子どもが見て、申し訳ないことをしているように感じるのだと思うのです。それは、多分、子どものことを真剣に考えてくれるからこその否定や不安の表現なのだと思いますが、なんとかなると思います。どうか、学校に行くかどうか、人と同じような学校に行けるかどうかで悩みすぎないようにしてほしいと思います。どの道が正解かなんていうことはわかりません。本人も親もわかりません。ただ、今思うのは、自分が快適だと思う場所を選べる自由を、心から感謝しています。今は高校1年生ですが、大学進学も考えています。どの場所が快適か、考えながら自分の居場所を探したいと思います。執筆:加藤路瑛(監修者・井上先生より)他の人と違う道を選ぶことは、親御さんも本人も勇気がいる人も多いかと思います。加藤さんの実際の体験のなかでの感想はとても重要なものです。多様な学びの場があたりまえの選択肢として認知されるようになってほしいと思います。
2021年10月30日コロナの影響で1/3程度だった出席率がほぼゼロに…!わが家のでこぼこ兄妹の妹、ASDのあるいっちゃんも中学3年生となりました。進学を希望しているので、本来ならば志望校を決めて受験対策をしていなければならない時期…ですが…。もともと睡眠障害や聴覚の過敏さがあり不登校がちでしたが、コロナの影響もあって不登校の日が続き、学校で将来のことについて話すこともなく、本人も「これから私どうなるの?来年から高校に行くんだっけ?」と、具体的なイメージもできないまま、不安だけを感じているようでした。高校を目指す人の空気を浴びに…塾に行かせてみたら…すでにいくつかの学校を見学して志望校は絞り込んでいたいっちゃん。「学校に行くのは無理でも、同じように進学を目指す同級生が身近にいれば少しはイメージが固まってくるのでは?」と考え、家から30分ほどのところにある進学塾(のようなもの)の夏期講習に行かせることにしました。そこに決めたのは、娘の志望校に特化した進学指導をしているらしいとネットで見たからです。Upload By 寺島ヒロ絵が好きな同級生に囲まれてやる気に!この塾では自分の行けそうな時間帯に予約を取って通えるので、睡眠時間がまちまちのいっちゃんにも通いやすく、また一緒に指導を受けている子どもたちも、どこか自分に似ているタイプの子どもが多く、いっちゃんにとって居心地は良かったようです。夏休みが終わるころには課題をもらって絵を描くことにも慣れてきて、「ここの人たちみたいな人がいるなら、高校でもやっていけそう」と、頼もしい言葉が出るようになってきました。私も「高校生になろうという意欲が出てきたのかな?」と、少しほっとしました。いきなり「行きたくない…」と言いだした!そのわけは?ところが、夏期講習が終わり、9月からの週2回の講義に移ると、娘が「やっぱり塾行きたくないな…」と言いだしたのです。何か気になることがあるのかと聞いてみると…なんと「音がするのが怖い…」というのです!Upload By 寺島ヒロ聴覚に過敏のあるいっちゃん、ほかのみんなが気にしない程度の「ジー」という電灯の出す音を聞き取ってしまい、不快に感じていたのです。原因は「音」!ノイズキャンセラーイヤホンで解決!さっそく、塾の先生に連絡を取り、いつも学校や外出時に使っている愛用のノイズキャンセラーイヤホンの使用を許可してもらいました。Upload By 寺島ヒロ夏期講習のときは昼間に授業を受けていたので太陽光だけで十分に明るかったのですが、9月からは学校の終わる時間から夜までの時間帯に変わったので、教室内に電灯が点くようになっていたのですね。いやあ、そこには気が付かなかった…!ノイズキャンセラーイヤホンの使用を許可していただいたおかげで、今では問題なく通えています。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)不登校の原因の一つに起立性調節障害があります。車酔い・朝起き不良・頭痛・立ちくらみなどが主な症状です。起立テストといって15分間立つ前後に血圧・脈拍・心電図を計測することで判定できます。治療は「ミドドリン」という起立性低血圧のお薬で改善します。私の外来に来ている子どもの不登校の原因の多くは、実は音過敏にあります。隣のドアの音・定規をこする音・同級生のひそひそ話・椅子のギーギー音・鉛筆でノートやテスト用紙に書く音などなどです。対策としては、イヤーマフ・耳栓・イヤホンなどがありますが、それでもダメな場合は相談室や特別支援学級などの個室か少人数の場所へ移動して勉強をしています。私たちが家では集中できないため図書館の自習室で勉強するのと似ています。ただ、クラスの皆がイヤホン等を使用していないので担任や親からクラスメートに音過敏について説明をする必要もあります。多少の音でも大丈夫な場合はBGMをかけることで雑音が遮断され集中できることもあります。ホテルのロビーなどに噴水があるのは、鑑賞以外にいろいろな音をマスキングする役目もあるからなのです。自閉スペクトラム症のお子さんは音過敏以外に臭い・味・触覚など感覚に敏感なお子さんも多いです。
2021年10月27日10月20日(水)東京都立学校設置条例の一部を改正する条例の公布により、令和4年4月足立区小台に開校する足立地区チャレンジスクールは、校名が「東京都立小台橋(おだいばし)高等学校」に決定したことをお知らせいたします。隅田川に架かる小台橋に因み名づけられ、これに伴い新しい学校の校章も披露されました。同校はこれまで足立地区チャレンジスクールと仮称で呼ばれ、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れるチャレンジスクールとして準備を進めてきました。今後は東京都立小台橋高等学校の校名で募集活動や入学選抜が行われます。新校名と校章■校名の由来校名は校地のすぐ近くの隅田川に架かる小台橋より命名されました。校名には、自他の架け橋となり良き社会の一員として自立する生徒像が託されています。■校章について校章のコンセプトは和。伝統や日本文化を想起させるイメージのデザインです。3種類の輪のデザインはそれぞれ「葉」「水や川」「橋」を表し、6つの輪で小台橋の「小」の字を表します。また輪はそれぞれが光り輝いており、未来に向かって輝く様子を表現しています。なお輪のデザインは、ばらばらにして3種類を1セットとして繰り返し配置することで、地紋や模様等に使用できるようになっています。校章■東京都立小台橋高等学校はこんな高校です・小台橋高等学校は足立地区のチャレンジスクールです。チャレンジスクールは東京都立の昼夜間制総合学科高校で、不登校を経験した生徒や中途退学者等を主に受け入れる高校の名称です(不登校経験のない生徒も多くいます)。<チャレンジスクールの特徴>(1)学力選抜がなく、面接・作文・書類で選抜します。(2)朝昼夕の三部制で、一人一人の生活・健康に配慮します。(3)所定の単位が取れると卒業できる単位制で、多様で柔軟なカリキュラムになります。(4)キャリア教育が充実した総合学科で、多彩な選択科目から自分の時間割を作れます。(5)都立高校で6校目のチャレンジスクールです。・小台橋高等学校は新しい学びに対応する高校です。キャリア教育、ゼミ教育、本物体験を学校の学習活動の中心と位置づけ、地域との連携を通して新しい学びに対応し、総合的な学力を身に付けていきます。・小台橋高等学校は学び直しから国公立大学進学まで学習面を支援する高校です。オンライン学習を授業に組み込んで積極的に活用し、自習時間や長期休業での補習や補講の体制を整備して、学び直しから国公立大学進学まで生徒の多様な学習ニーズに対応します。・小台橋高等学校は心の健康面を支援する高校です。教科を横断して教育活動全体で交流プログラムを実施し、相談体制や問題解決体制を整備することで、一人一人の心の健康面を支援します。・小台橋高等学校は施設・設備が充実した高校です。多くの生徒が活用できる自習室や居場所、DXに対応できるICT環境を整備するなど、施設・設備を充実させます。【学校概要】学校名 :東京都立小台橋高等学校所在地 :東京都足立区小台2-1-31課程・学科・部:定時制課程総合学科(単位制)。午前部・午後部・夜間部の三部制。校長 :杉森 共和設立 :令和4年4月開校概要 :「都立高校改革推進計画・新実施計画(平成28年2月東京都教育委員会)」により計画された都立高校で6番目のチャレンジスクール。母体校は荒川商業高等学校。東京都立小台橋高等学校 校舎完成予想図 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月25日株式会社ウィザス(大阪府大阪市、代表取締役社長:生駒 富男)が運営する第一学院高等学校(全国53キャンパス)は、不登校や高校中退等を経験した生徒や、スポーツ・芸能活動などの「夢の実現と学業の両立」を目指す生徒も多く学ぶ広域通信・単位制高等学校です。このたび、「オフラインとオンラインの両特性を生かしたハイブリッド型のキャリア教育」の一環として、2021年11月1日(月)・8日(月)にオリィ研究所共同創設者 代表取締役 CEO 吉藤オリィさんによるオンライン授業「チャレンジレッスン」を実施します。講師:「OriHime(オリヒメ)」開発者 吉藤オリィさん■「チャレンジレッスン」について各業界で活躍するプロフェッショナルによる、東京のスタジオと全国のキャンパス・自宅をオンラインでつないだ双方向のライブ配信授業です。生徒が将来を見据え、自身の興味や得意分野に気づき、学ぶ楽しさの発見へとつなげることを目的に実施しています。業界や社会の第一線で活躍する講師の方が携わる職業はもちろん、それに関わるさまざまな職業やその職業の裏側を知り、実体験を通じて将来を創造していきます。授業内では、タブレット端末やアプリを使用して質疑応答なども行い、双方向(インタラクティブ)でリアルなやり取りを行います。配信授業の特性を生かし、全国の仲間から配信されるコメントや講師からの即時フィードバックを通してさらなる学びを深めます。チャレンジレッスンについて( )・日時 :2021年11月1日(月)・8日(月)各回13時~14時50分・授業配信場所:第一学院高等学校 東京本部スタジオ(東京都港区芝1-5-9 住友不動産芝ビル2号館5F)・講師 :吉藤オリィさん (オリィ研究所共同創設者 代表取締役 CEO)・テーマ :「"対孤独の発明家"が描くテクノロジー社会のありかた」・授業内容11月1日(月):「できないことが価値になる」→身の回りのできないことや困っていることを自身の周りの方に取材・調査して解決案を考えていきます。11月8日(月):「今困っていることや未来を考えて解決してみよう」→今の時代に困っているけど未来にはできていることを考えるなど、先を見通して考える力を身につけます。当日は、孤独解消を目的とした分身ロボットOriHime(オリヒメ)の開発秘話もお話をしていただきます!■講師プロフィール孤独解消を目的とした分身ロボットOriHime(オリヒメ)の研究開発を独自のアプローチで取り組み、自身の研究室を立ち上げ、2012年株式会社オリィ研究所を設立、共同創設者 代表取締役 CEO。青年版国民栄誉賞「人間力大賞」、スタンフォード大学E-bootCamp日本代表、ほか AERA「日本を突破する100人」、フォーブス誌が選ぶアジアを代表する青年30人「30 Under 30 2016 ASIA」など。2018年デジタルハリウッド大学大学院特任教授就任。■第一学院高等学校について「1/1(いちぶんのいち)の教育」を教育理念とし、東京をはじめとした日本全国に53キャンパス(2021年7月時点)を展開する通信制・単位制高等学校。「生徒第一」「1/1の教育」の想いを大切に、生徒をプラス思考に変える独自の「プラスサイクル指導」をベースとした「『もっともっと自分を好きになる』自分づくり」を実践。時代や世の中がスピードをあげて変化するなか、「社会で活躍できる人づくり」に取り組んでいます。通信制の当校には、サッカー日本代表 香川真司選手・酒井宏樹選手・山根視来選手や女性ヴォーカルグループLittle Glee Monsterなど、スポーツや芸能活動などの夢の実現と学業との両立を目指す生徒のほかにも、不登校や高校中退等を経験した生徒が多数在籍・卒業しています。そのような多様な生徒たちがそれぞれの希望する進路を実現できるよう、生徒一人ひとりの自己成長を支援しています。(第一学院サイトURL: ) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月21日お子さんの進路の選択肢を広げる、企業・サービスを紹介するセミナー動画をお届けします発達ナビユーザーの皆さんから寄せられた、進路選びへのお悩みの声に寄り添う取り組みとして、9/25に開催された「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。イベントの中の「今を支える個別のまなびセミナー」では、進路を考える上で大きな支えとなる可能性がある、企業・サービスのご紹介をさせていただきました。Upload By 発達ナビ編集部今回のセミナーには、不登校や学校への行きづらさを感じているお子さまの保護者のみなさまに向けて、ホームスクーリングに適した学習教材や、日中の居場所となるフリースクール、発達障害や不登校の子の指導に特化した学習塾などが登壇。どのセミナーも、たくさんの方にご視聴いただき、大きな反響がありました.Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部そこでこの記事は、「今を支える個別のまなびセミナー」で各企業からお話のあった内容を抜粋してお伝えするとともに、アーカイブ動画をご視聴いただけるように用意しました。そしてそして、大好評のイベントとなりましたので、当日ご参加いただいた方にもそうでない方にも、資料請求ができてセミナーの様子も動画で見ていただける特設サイトをオープン!アーカイブ動画の公開は10/31(日)までの限定公開となりますので、ぜひこの機会にご覧ください。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから「今を支える個別のまなびセミナー」の特設サイトに遷移します4つの企業の特別セミナーを、動画で一挙ご紹介!学習教材「すらら」は、2020年12月末時点で学習者数が約33万人となりました。お子さん一人ひとりに合った学習が求められる時代、「無学年方式」で多様な学びに寄り添ってきました。全国学習塾1,016校、学校1,026校が採用している「勉強のプロが認める教材」ですが、それに迫る勢いで家庭学習サービスとしてのご利用者も年々増えているようです。Upload By 発達ナビ編集部今回のセミナーでは、「株式会社すららネット 子どもの発達支援室室長」である佐々木様から、すららを受講することで発達障害や不登校のお子さまがどのように変わったか、という実際の例をいくつかご紹介いただきました。中には不登校からすららを活用することで欠席日数がゼロになり、志望校に合格されたというお子さまも!さらに、これまで発達障害や不登校のお子さまを100名以上サポートしてきた、すららコーチも登壇。「一人で悩むより周りに助けを求めて欲しい。新しい視点で世の中が見られるかもしれません」と、優しい言葉で保護者の皆さまにエールを送られたセミナーは、終始温かな雰囲気に包まれていました。そんなすららですが、今なら特別にイベントアンケート経由のお申込みで、入会金が全額無料&すらら担当者おすすめのすららコーチがお子さまの担当になるとのこと!下記のボタンより遷移するアンケートにぜひご回答ください。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからすららのサイトに遷移します明蓬館高等学校の中等部は、一人一人が自分のペースでICTを活用しながら、学びの中で自己肯定感を高めていく学校です。上級生と一緒に高校卒業や、その先の進路に向けて学習をしたり、「安心して安全な環境で挑戦できる」を毎日実践しながら学びを広げていく特徴を持っています。個別最適を目指すためのIEP(個別計画)を大切にし、好きなものを中心としていずれかの教科に結びつけていく、成果物学習で得意を伸ばしていきます。Upload By 発達ナビ編集部今回のセミナーでは、中学校から特別支援教育コースに通い、保育士を目指しているお子さまの事例の紹介がありました。在学中に保育実習を重ね、マイプロジェクトの発表会では保育士さんへのインタビュー内容や、現在の保育園の入園事情、乳幼児のからだづくりを発表し、自分の好きなことを深めていく様子がありありと伝わってきました。また現在大学2年生である卒業生のインタビューもあり、今の学びに明蓬館高等学校で培われた経験が活きていること、同級生や上級生との関わりが印象に残っていることなどが話されました。「自分が中学生の頃の環境では学ぶ姿勢が得られなかった、もっと将来を考える力が欲しかったと感じるので、新設された明蓬館高等学校の中等部はそういう場であって欲しいと思います」と、卒業生ならではの熱い想いも先生へと伝えられていました。そんな明蓬館高等学校では、ご希望の方に中等部についての資料請求も行なっているとのことです。下記のボタンより遷移するページで、お申し込みください。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから明蓬館高等学校のアンケートフォームに遷移しますキズキ共育塾は、発達障害・不登校・中退などの方のための学習塾です。1対1の完全個別指導で、小学生内容から難関大学受験レベルまで対応し、過去10年間で、3000人の卒業生が「次の一歩」に進んで行ったということです。授業内容は、ご希望や特性などに応じて、「ゼロからの学び直し」「志望校対策」「苦手分野対策」「勉強習慣の確立」「学習計画のサポート」などさまざまに対応しています。授業や勉強の方法自体も、特性に合わせてカスタマイズし、授業以外にも進路・悩みの相談やメンタルケアまでを大切にしているようです。Upload By 発達ナビ編集部今回のセミナーでは、進路選択のプロセスと、進路選択の時期別の具体的な動き方について、参考になるお話がありました。例えば「進路を決める前にやっておけるといいこと」、「発達障害に理解のある学校の探し方」、「将来の仕事を見越した学校の選び方」など、どれも考えるきっかけとなるものばかりでした。また、お子さまの困りごと別に、「忘れ物や物忘れ、ケアレスミスが多い」、「強い音や光などの刺激が苦手」、「集中力を保てない」などのお悩みに対して、学習環境や勉強方法、そしてメンタルサポートに至るキズキ共育塾の対応の考え方を教えてくれました。ぜひ動画でもご確認ください。そんなキズキ共育塾では、ご希望の方に今回のセミナーの資料の配布や、無料相談も行なっているとのことです。下記のボタンより遷移するページで、お申し込みください。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからキズキ共育塾のアンケートフォームに遷移しますLITALICOワンダーは、発達障害のあるお子さまも多く通うプログラミング教室です。今回のセミナーでは、専門学校/高校での指導経験を持つ講師の元木から、プログラミング学習の方法や効果について、発達障害のあるお子さんの成長事例を交えて紹介がありました。「プログラミングってなんだか難しそうだけど、どんなものなの?」「プログラミングでどんな力が育まれるの?」「うちの子もプログラミングに挑戦できるの?」といった疑問を解消しながら、将来の選択肢の一つが見つかるヒントを得られるような内容となっていました。Upload By 発達ナビ編集部多くの発達障害のあるお子さんが、自分で考え、試行錯誤し、やり遂げる力を育んできたプログラミング教育が持つこれからの可能性がセミナーの中で明らかに。中でも、プログラミングを学んだ経験を起点として進学の幅が広がっていったという話は期待感も高く、学びの可能性としての大きさを感じさせてくれるものでした。例えばプログラミングがきっかけで、ゲームプログラミングを学べる高校に進学されたお子さま、アニメーション作品を作る中で美術系の高校への進学を決めたお子さま、そして「知りたいことは自分で学ぶ」姿勢が身につき、数学や英語などの学習にもつながったという不登校の中学生のお子さまのお話は、とても印象に残るものでした。そんなLITALICOワンダーでは、限定特典満載の無料体験を実施中です。下記のボタンより遷移するページで、お申し込みください。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからLITALICOワンダーのサイトに遷移します【参加登録者限定】専門家講演のアーカイブ動画も配信中!ぜひご登録&ご視聴くださいUpload By 発達ナビ編集部その他にも、イベントの中で大きな注目を集めた専門家講演では、進路のことで今まさに気になる質問がたくさん寄せられ、その一つひとつに丁寧に井上先生と上木原から回答がありました。「今後、進路のことをどう話し出したら本人が考えるきっかけになるでしょうか」「小学校の学力もままならない状態でも通信制の高校には進学できますか?」「通信制に向いているタイプとそうでないタイプなどありますか?」「進路選択にあたってウィスクなどの発達検査を受けた方がいいでしょうか?」「通信制でも社会性を育てることはできますか?」Upload By 発達ナビ編集部その回答のどれもが気付きになるもので、そして優しく温かく、寄り添ってくれるものばかりでした。専門家講演の視聴には本イベントへの参加登録が必要となります。ぜひご登録&視聴して、進路について考える際のヒントにしていただければ幸いです。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから「今を支える個別のまなびセミナー」の特設サイトに遷移します他にも、通信制高校・サポート校の学校説明会も開催されましたので、詳しくは下記の記事をご覧ください。ここでは紹介し切れないほど盛りだくさんだった「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。今からでも動画視聴や資料請求は間に合いますので、ぜひこの機会にご確認ください。皆さまの進路選びが、実り大きものになるよう願っております。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから「今を支える個別のまなびセミナー」の特設サイトに遷移します
2021年10月15日「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」、大好評だった1日のダイジェストをお届けします!Upload By 発達ナビ編集部発達ナビユーザーの皆さんから寄せられた、進路選びへのお悩みの声に寄り添う取り組みとして、2021年9月25日に開催された「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。イベント当日にはたくさんの方にご視聴いただき、改めて多くの方が進路について悩まれていて、その選択肢を増やす情報やコンテンツを発達ナビにご期待いただいていることを、ひしひしと感じました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部このイベントは、通信制高校・サポート校による学校紹介と、不登校に悩まれるお子さま・保護者さまをサポートする教材・サービス紹介の2部構成でお届けしました。そのどちらも、今まさに進路について悩まれている方にとっての一つの選択肢になったり、長期的な視点で進路について考えるきっかけとなったりするものばかり。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部他にも特別講演として、専門家に進路選びや不登校支援について質問ができるトークライブや、通信制高校の仕組みについて解説する時間も設けられました。多くの質問が寄せられ、その全ての方の背中を押すようなアドバイスが交わされた、学びと発見のある時間となりました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部実際にご参加いただいた方からも、とても嬉しい感想をいただいています。【当日ご参加いただいた方の声】・何をどう検討したらよいかわからない五里霧中の状態だったので、希望がわきました・思っているより、選択肢があることが分かりました。・自力で手探りしながらの情報収集は困難です。様々な進路の情報を一度に発信し見ることができる機会はなかなかないから貴重な機会でした。Upload By 発達ナビ編集部大好評のイベントとなりましたので、当日ご参加いただいた方にもそうでない方にも、資料請求ができてセミナーの様子も動画で見ていただける特設サイトをオープンしました!アーカイブ動画の公開は2021年10月31日(日)までの限定公開となりますので、ぜひこの機会にご覧ください。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移します今回登壇した高校の特徴と当日のセミナーの様子をまとめたサイトを公開!Upload By 発達ナビ編集部今回ご参加いただいた通信制高校・サポート校は、どれも独自の個性を持たれた学校ばかり。簡単にではありますがそれぞれご紹介をさせていただきますので、ご興味を持たれた学校については説明会動画を見て、資料請求をして、お子さまの特性や興味関心と合いそうな学校がないかを探すきっかけにしていただければと思います。Upload By 発達ナビ編集部ワオ高等学校は、少⼈数の対話型教室で深める教養探究と実学、驚きと感動の「ワオ︕」な学びを楽しむ未来学園です。従来の「学校・教室・一律の集団授業」では難しかった「自分の好きな分野を早く、深く学びたい」を実現するために通信制オンライン高校として設立されました。今回の説明会では、まずこれからの世界で必要とされる力を長期的に捉えた上で、求められる教育の形について一つの提案がありました。その視点での通信制高校が持つ強みという話は特に納得度が高く、ぜひ動画で皆さんにも見ていただきたい内容です。Upload By 発達ナビ編集部また、ワオ高等学校のキャリアコンサルタントが登場する別の説明会も開催され、進路の考え方についてもアドバイスがありました。「なぜ個別最適化が必要なんだろう?」という問いを立て、必要なプロセスと環境づくりや、保護者として意識したいことから具体的な声かけの方法まで、多面的に学びがある内容となりました。こちらも上記の説明会と合わせて、ぜひご視聴ください。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部山手中央高等学院は、自分で学び方が選べる、そしてどの学び方でも授業が先生とのマンツーマンである、新しい通信制高校です。キャンパスに通う『通学型』のほか、先生が自宅に来てくれる『訪問型』、パソコンやタブレットで学ぶ『オンライン型』から、自分に合った学び方を選べます。今回の説明会は、山手中央高等学院の特色を端的に知ることができる他、実際に学んでいる一人のお子さんの例も取り上げて、具体的なイメージが沸きやすい内容となっています。また、「長らく学校に行けてないないのですが大丈夫でしょうか?」「全日制高校と通信制高校で学歴上の違いはありますか?」等の気になる質問にもお答えいただいていますので、その答えはぜひ動画でご確認ください。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部ルネサンス高等学校グループは開校から16年目、ICT教育をいち早く導入したオンラインハイスクールです。全国に3校あり、国内外どこからでも入学可能。基本となる登校日数が年4日の通信Webコースは先生のサポート体制に定評があり、進捗管理システムを使い効率的に支援・声かけを行っています。今回の説明会では、先生にインタビューを行って現場の声からルネサンス高等学校の特色を感じることができたり、放課後等デイサービスとの連携についても取材がされていたり、盛りだくさんの内容です。中でもeスポーツコースの1日に密着した動画では、生徒の皆さんの生き生きとした表情や言葉が印象的で、とても充実されている様子を伺うことができます。ぜひご覧くださいね。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部クラーク記念国際高等学校は、1992年に開校し、通信制高校でありながら毎日通う全日型スタイルを持っています。「好き」や「得意」にとことんこだわったこの学校は、全国に拠点があり、現在10,000名以上が学び、約70,000名の卒業生を輩出しています。今回の説明会では、まずは全日制であることに込められた想いや意味について、丁寧にご説明がありました。また、「好き」や「得意」にこだわりながらも「好き」だけ伸ばせばよいという訳ではない、というお話はハッとさせられる内容で、その上での+アルファとして必要な力についても言及がありました。今後の進路を考える上で、ぜひ聞いていただきたい内容です。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移します「専門家講演&個別のまなびセミナー」アーカイブ動画を期間限定公開中!Upload By 発達ナビ編集部大きな注目を集めた専門家講演では、進路のことで今まさに気になる質問がたくさん寄せられ、その一つ一つに丁寧に井上先生と上木原から回答がありました。「今後、進路のことをどう話し出したら本人が考えるきっかけになるでしょうか」「小学校の学力もままならない状態でも通信制の高校には進学できますか?」「通信制に向いているタイプとそうでないタイプなどありますか?」「進路選択にあたってウィスクなどの発達検査を受けた方がいいでしょうか?」「通信制でも社会性を育てることはできますか?」Upload By 発達ナビ編集部その回答のどれもが気付きになるもので、そして優しく温かく、寄り添ってくれるものばかりでした。こちらはイベントへの参加登録者限定の公開となりますので、ぜひご登録ください。進路について考える際のヒントになれば幸いです。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移しますまた「今を支える個別のまなびセミナー」も、5つの企業・サービスにご参加いただき開催されました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部こちらも進路を考える上でのサポートになる内容ばかりで、知っているだけでも選択肢が増えて、よりお子さまにとって相性の良い学びの形が見つかるセミナーとなりました。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移しますここでは紹介し切れないほど盛りだくさんだった「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。今からでも動画視聴や資料請求は間に合いますので、ぜひこの機会にご確認ください。皆さまの進路選びが、実り大きものになるよう願っております。※ボタンをクリックすると、発達ナビのサイトから「進路選び応援セミナー」の特設ページに遷移します
2021年10月04日エンパシオ・コーチング代表の鈴木 理子は、不登校・引きこもり・摂食障がいなどのお子さんをお持ちのお母さまに、心の持ち方やコミュニケーション法をお伝えするオンライン講座「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」の受講生を2021年9月10日から募集しております。「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」 講座風景(1)【提供の背景】現在、不登校の数は18万人と言われていますが、不登校傾向の子どもを入れると33万人とも言われます。子どもが不登校になると、親は子どもを叱咤激励してなんとか学校に戻そうとしますが、逆効果なことがほとんどです。社会問題にもなっている、子どもの不登校、ひきこもり、摂食障がいなどの子どもに表れる問題は、親が心の持ち方を見直し、子どもとのコミュニケーション法を変えていくことで良くなります。今回、私どもは、「家族に笑顔を取り戻す KET理子塾」を通じて、蓄積されたノウハウをもとにお子さまの心の問題を理解し、動き出すエネルギーが貯まるような関わり方を学べる講座の受講生募集を開始いたしました。講師、鈴木 理子自身の子どもが不登校経験者であり、それを克服した経験、月間100時間近くの個人セッションや講座を行なって得たこと、拙著「不登校は子どもからのメッセージ」(ごきげんビジネス出版)にまとめたことなどから、効果があると実感したことを講座に反映させています。【「家族に笑顔を取り戻す~KET理子塾」のサービス概要】<特長>従来、不登校など子どもに表れる問題は、本人に対する治療やカウンセリングが必要だと思われていましたが、本講座は母親が対象です。母親が学び、実践するだけで様々なことが改善されます。国家資格のカウンセリング、コーチング、NLP(実践心理学)などの確かな知識はもちろんのこと、講師自身が子どもの不登校を克服させ、親子関係を格段に良くした母親目線の経験や、セッション、講座を多数行なって効果があると実感した要素が詰まっています。<価格(税込)>全30時間(7日間 特典付き)早期割引(~9月30日まで):220,000円通常価格(10月1日~16日):260,000円<詳細・申込> <講師プロフィール>鈴木 理子(すずき りこ)。慶應義塾大学文学部卒業。日本航空株式会社に国際線客室乗務員として8年間勤務。5年間の海外生活を経て、企業研修講師として独立。15年で延べ約2万人をサポート。三女が中学3年生で不登校になり、親子のコミュニケーションを徹底的に見直すことで、三女は元気になり、希望の大学に合格して学生生活を謳歌している。この経験をアメブロに書くとたちまち上位表示されるようになり、読者から個人セッションをしてほしいと頼まれるようになる。現在は月間約100時間のセッションと講座で、悩める多くの母親をサポートしている。母親としての経験者視点、国家資格の確かなカウンセリング、コーチング技術、実践心理学の知識などを、研修で培った論理的で分かりやすい解説に加え、セラピーも取り入れたセッション、講座は受講生の満足度が非常に高い。講師プロフィール■会社概要屋号 : エンパシオ・コーチング代表者 : 鈴木 理子所在地 : 〒223-0055 神奈川県横浜市港北区綱島上町1-1設立 : 2015年1月事業内容: 人材教育URL : 【本サービスに関するお客様からのお問い合わせ先】エンパシオ・コーチングTel:080-1171-9988 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月16日株式会社ウィザス(大阪府大阪市、代表:生駒富男)が運営する第一学院高等学校(全国53キャンパス)は、2021年9月14日(火)~10月29日(金)の期間、生徒自身が自分で選択した方法で学びの成果を発表する「成長実感発表会」を全国37キャンパス・本校2校にて順次開催いたします。※各キャンパス・本校の開催日時は下記をご参照ください。■「成長実感発表会」について第一学院高等学校の生徒が、学校生活における取り組みや注力したことをテーマに設定し、プレゼンテーションや資料展示などの方法で在校生・保護者・先生に披露する機会です。人前で自分の取り組み・成果を発表することで、生徒自身が成長を実感するだけでなく、生徒の保護者・友人・先生からのフィードバックを通して自信を持ち、更なる成長へつなげていくことを目的に毎年実施しております。開催は前期(9月)と後期(2月)の年に2回です。前期でフィードバックをもらったことは、後期へ1年の集大成として活かしていきます。発表方法やテーマはそれぞれが主体的に選択します。興味関心が同じ仲間とグループでの発表も可能ですし、個人で発表する生徒もいます。4月新学期スタートから半年、これまでそれぞれ個性を発揮し、考え抜いて準備してきた内容を、在校生や保護者・先生が見守ります。■「成長実感発表会」特設URL ■「成長実感発表会」実施の背景日本の高校生が「私は他の人々に劣らず価値のある人間である」と答えた割合は50.4%(※)。日本の学生は、他国(アメリカ・中国・韓国)に比べ、自己肯定感が低いことが見て取れます。第一学院高等学校に通う生徒の中には、不登校や高校中退等、何らかの挫折を経験し、自分に自信が持てない生徒が多数在籍しています。そのような生徒たちに対し、生徒一人ひとりのありのままを受け入れ、共感することから生徒指導をスタートしています。そして、生徒をプラス思考に変える独自の「プラスサイクル指導」を通じて生徒自身が自分を意欲喚起しながら、学校生活で出会うたくさんの方とふれあい、さまざまな経験を重ねることによって自己の成長を実感しながら高校生活が送れるようサポートしています。※国立青少年教育振興機構「高校生の留学に関する意識調査報告書-日本・中国・韓国の比較-」2019年発表■「成長実感発表会」の様子と生徒の成長実感(2020年度後期開催)横浜キャンパス 辻すみかさん テーマ:「フードロスと共育」会場での発表の様子前期が不完全燃焼に終わってしまった部分があったことから引き続き「子供食堂」にまつわるテーマを選びました。今回の活動では小学生へのオンライン授業を実施しましたが、計画を立てることがいかに重要かを改めて学びました。今回4人のチームで取り組む中、一人に負担が偏ってしまったり、スケジュール調整が難航する場面もありました。そんな時も声を掛け合って進められた点もよかったです。成長実感発表会を通して外部の方との関わりをたくさん持つことができ、社交性が身につきました。これまで人と話すことに苦手意識がありましたが、コミュニケーション面での成長を実感しています。入学前は色々心配でしたが、あの頃の自分に「全然心配いらないよ。楽しいよ!」と伝えてあげたいです。成長実感発表会に参加した横浜キャンパスの生徒■更に詳しくQRコード■各キャンパスの開催日時一覧PDF ※開催日時は予定です。またキャンパスにより、近隣の別会場にて開催の場合もございます。詳細はお問い合わせください。問い合わせ先:03-6865-1916(第一学院高等学校 広報担当:清水宛)■第一学院高等学校について「1/1(いちぶんのいち)の教育」を教育理念とし、東京をはじめとした日本全国に53キャンパス(2021年7月時点)を展開する通信制・単位制高等学校。「生徒第一」「1/1の教育」の想いを大切に、生徒をプラス思考に変える独自の「プラスサイクル指導」をベースとした「『もっともっと自分を好きになる』自分づくり」を実践。時代や世の中がスピードをあげて変化するなか、「社会で活躍できる人づくり」に取り組んでいます。通信制の当校には、サッカー日本代表 香川真司選手・山根視来選手・中島翔哉選手や女性ヴォーカルグループLittle Glee Monsterなど、スポーツや芸能活動などの夢の実現と学業との両立を目指す生徒のほかにも、不登校や高校中退等を経験した生徒が多数在籍・卒業しています。そのような多様な生徒たちがそれぞれの希望する進路を実現できるよう、生徒一人ひとりの自己成長を支援しています。(第一学院高等学校サイトURL: ) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月09日90%以上の保護者さまが不安を抱える進路選び。一人ひとりのお子さまが自分に合う学校と出会い、前向きな選択ができるようイベントを開催。「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」は、発達ナビユーザーの皆さまにいただいたお声から立ち上がった企画です。以前発達ナビで行ったアンケートで、90%を超える発達ナビユーザーが進路選びについて悩みや疑問を抱えていらっしゃることが明らかに。少しでもこの不安に寄り添う取り組みをしたいと思い、今回のイベントを開催することにしました。Upload By 発達ナビ編集部さらに、中3生保護者さまが検討されている高校は、半数以上が通信制高校やサポート校という結果に。Upload By 発達ナビ編集部合わせて、以下のようなお悩みや疑問もいただきました。「通信制高校は、わが子に向いている選択なのだろうか」「高校卒業後にはどのような将来が考えられるのだろう」「不登校で学習に遅れがあり、内申点も取ることが難しいが、どんな進路の選択肢があるのだろう」「発達障害や不登校の子の進学事例をもっと気軽に知りたい」特にお子さまが不登校の保護者さまからは、よりお悩みが深いご様子が伝わってきました。そこで「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」では、通信制高校・サポート校による学校紹介と、不登校に悩まれるお子さま・保護者さまをサポートする教材・サービス紹介の2部構成でお送りします!専門家に進路選びや不登校支援について質問ができるトークライブや、通信制高校の仕組みについて解説する時間も!コロナ禍で、実際に学校を訪れることもなかなか難しいご時世。ぜひオンラインで気軽に情報が得られる機会として、ご活用ください。Upload By 発達ナビ編集部■日時:9/25(土)10:00~17:00後日アーカイブ配信あり。■参加費:無料■形式:YoutubeLive配信■参加方法:事前申込必須■内容:専門家講演、通信制高校/サポート校による学校説明会、学習教材・サービス紹介など■対象:小学校高学年~中学生のお子さまの保護者さま向けイベントですが、ご興味のある方はどなたでも参加できます。※予定のため、今後変更となる場合もございます。それでは、情報盛りだくさんなコンテンツをご紹介!どこか一つだけのセミナーのご参加も可能ですので、気になったセミナーがあったらぜひお気軽に参加登録してくださいね。登録された方全員に、当日の視聴用URLと後日アーカイブ配信の視聴用URLをお送りします。Upload By 発達ナビ編集部専門家特別講演:不登校の子・発達が気になる子の進路選びQ&A専門家による特別講演は、皆さまからのリアルなご質問にお答えするトークライブ!鳥取大学大学院教授・臨床心理士の井上先生と、元N高等学校副校長で現場経験豊富な上木原が、皆さまの不安や疑問にお答えします!通信制高校についてはもちろん、その他の選択肢についても触れながら、お子さまの進路を考えるヒントをお届けします。・進路選びにおける親子のコミュニケーションのコツ・情報収集の際に見ておくと良いポイント・高校卒業後の進路の選択肢など、保護者の皆さまからのご質問をもとにお話しいただく予定です。「うちの子に向いているのはどんな高校だろう」「子ども自身が行きたいと思える高校と出会うために、何ができるだろう」そんなお悩みを抱える保護者の方へ、考え方のヒントをお届けします。親子ともに納得のいく高校選びをするために、専門家の話が聞けるこの機会をぜひご活用ください。ただいま事前質問を受け付けておりますので、ご質問がある方は、参加登録の際にフォームにご記入ください!(時間の都合上、すべてのご質問を取り上げることは難しい場合もございます)Upload By 発達ナビ編集部井上雅彦先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授 / 公認心理師 / 臨床心理士/専門行動療法士 / 自閉症支援士エキスパート / LITALICO研究所 客員研究員応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。Upload By 発達ナビ編集部上木原孝伸LITALICOライフ事業部事業企画・開発責任者大手教育企業で講師としてのべ3,000名を超える生徒の指導に携わった後、学校法人角川ドワンゴ学園にてN高等学校の開校準備から参画。同校の副校長を4年間務めた。未来の教育についての情報を広め、一人ひとりの子どもと適した環境へのスムーズなマッチングを行うことを目指し、現職へ。日々保護者の方と向き合い、お子さまの個性に合った教育や進路に関するご提案を行っている。未来を描く通信制高校合同説明会:各高校の特徴や魅力をご紹介「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」第1部は、通信制高校・サポート校の皆さまにご登場いただき、学校説明会を開催します。一口に「通信制高校・サポート校」といっても、特色は各校さまざま。それぞれの学校ならではの特徴や魅力を聞いて、ぜひお子さまの特性や興味関心と合いそうな学校がないか探すきっかけにしていただければと思います。それでは、今回ご参加いただく学校の皆さまをご紹介いたします。Upload By 発達ナビ編集部ルネサンス高等学校グループは開校から16年目、ICT教育をいち早く導入したオンラインハイスクールです。全国にルネサンス高校(茨城)・ルネサンス豊田高校(愛知)・ルネサンス大阪高校(大阪)の3校があり、国内外どこからでも入学可能です。基本となる登校日数が年4日の通信Webコースは先生のサポート体制に定評があり、進捗管理システムを使い効率的に支援・声かけを行っています。また、各地のキャンパスで開講する通学コースの利用も可能です。なかでも話題のeスポーツコースはルネ高を代表する人気コースとなっています。Wスクールコースでは外部スクールを活用して早期に専門分野の習得を可能としています。Upload By 発達ナビ編集部説明会では、通信Webコースでのサポート体制は?人気のeスポーツコースは具体的にどんなことをしているの?放課後等デイサービスとの連携ってどういうこと?など、ルネサンス高校の持つサービス内容を知っていただくことで、失敗しない高校選びのお役に立ちたいと思っています!ブロードメディア株式会社 ルネサンス高等学校グループUpload By 発達ナビ編集部「自分のペースで勉強したい」「確実に高校を卒業したい」「できれば大学に行きたい」山手中央高等学院なら、それが可能です。なぜなら当学院は【自分で学び方が選べる、新しい通信制】だから。キャンパスに通う『通学型』のほか、先生が自宅に来てくれる『訪問型』、パソコンやタブレットで学ぶ『オンライン型』から、自分に合った学び方を選べます。どの学び方でも、授業は先生とのマンツーマン。集団型授業では不可能な《自分に合わせた授業》をしてくれるので、確実な高校卒業も、大学進学も目指せます。1対1の学びだからこそできる手厚いサポートで、生徒さまにとことん寄り添い、共に未来を切り拓きます。Upload By 発達ナビ編集部「通信制って本当に大丈夫?」「どんな学び方が合ってるんだろう?」「マンツーマン授業ってどんな感じ?」「本当に大学に行けるの?」説明会ではそんな疑問を掘り下げながら、当学院の授業やサポートを詳しくご説明いたします!山手中央高等学院がご提案する【新しい学びのカタチ】を、ぜひ一度ご覧ください!株式会社アルファコーポレーション 山手中央高等学院Upload By 発達ナビ編集部みんなと同じに飽き⾜りない、自由と自立を求める君に、45年の歴史ある名⾨塾が本気で創ったオンライン⾼校。少⼈数の対話型教室で深める教養探究と実学…驚きと感動の「ワオ︕」な学びを楽しむ未来学園。従来の「学校・教室・一律の集団授業」では難しかった「自分の好きな分野を早く、深く学びたい」を実現するために通信制オンライン高校として設立しました。新しい時代を生き抜くためにワオ高校では「教養探究」を必修科目として設定しています。自分で調べ、自分で考え、みんなで「答え」を作り出していくことで実社会で求められるスキルを養います。また、大学進学や起業、海外留学、データサイエンスなどの各種オプションプログラムを設置しています。Upload By 発達ナビ編集部今回は、2つの企画をご用意しています。1つは、国数英理社の学び直しへの不安とは関係なく、優等生も吹きこぼれも落ちこぼれも皆が熱中できる、ワオ高校ならではの実学と教養を一気に体験していただく授業体験。これが高校の授業?!と驚かれることもあるかもしれません。当日はお子さまも保護者の方も学ぶ楽しさを実際に体験していただきながら、ワオ高校が考える未来型の学びをご紹介させていただきます。2つめは、「個別最適化」をキーワードに、お子さま一人ひとりに合わせた進路選択の考え方を、国家資格キャリアコンサルタントと共にお伝えしていく企画です。未来の社会情勢を踏まえ、いわゆる「繊細さん」や「ギフテッド」など多様な個性が自己肯定感を高めて活躍していくための方法をご提案します。学校法人ワオ未来学園 ワオ高等学校Upload By 発達ナビ編集部全国にキャンパスを持つ通信制高校「クラーク記念国際高等学校」について知れるセミナーをお届けします。内容に関する詳細は決定し次第掲載いたします!楽しみにお待ちください。学校法人創志学園クラーク記念国際高等学校今を支える個別のまなびセミナー:学習支援や心のケアについて情報をお届け「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」第2部は、不登校や、学校への行きづらさを感じているお子さまの保護者さまに向けて、ホームスクーリングに適した学習教材や、日中の居場所となるフリースクール、発達障害や不登校の子の指導に特化した学習塾など、お子さま・保護者さまの今を支えるための情報をご紹介します。実際のお子さまの事例をもとに、不登校のお子さまへの接し方や導き方をお話する予定です。早速、第2部に登場する学校・企業の皆さまをご紹介いたします。Upload By 発達ナビ編集部学習教材「すらら」の学習者数が2020年12月末時点で約33万人となりました。お子さん一人ひとりに合った学習が求められる時代、「無学年方式」はこれからの教材トレンドです。全国学習塾1,016校、学校1,026校が採用し「勉強のプロが認める教材」としてブランド先行しておりますが、それに迫る勢いで家庭学習サービスとしてのご利用者も年々、増えてきております。家庭学習の利用者の半数以上が不登校、発達障害、2020年も多くのお子さまを導くことができました。2021年も是非、注目いただけたら嬉しく思います。Upload By 発達ナビ編集部本セミナーでは、保護者さまから絶大な支持を得ている「すららコーチ」の先生をお招きし、不登校からの高校進学事例も交えながら「すらら」が選ばれる理由をご紹介します。さらに、当日イベント内でご案内するアンケートに回答された方には漏れなく500円分のギフト券をプレゼント!株式会社すららネットUpload By 発達ナビ編集部キズキ共育塾は、発達障害・不登校・中退などの方のための学習塾です。1対1の完全個別指導で、小学生内容から難関大学受験レベルまで対応。過去10年間で、3000人の卒業生が「次の一歩」に進んで行きました。担当講師は、お子さん一人ひとりの特性・学力・目標などに最適な人を設定。授業内容は、ご希望や特性などに応じて、「ゼロからの学び直し」「志望校対策」「苦手分野対策」「勉強習慣の確立」「学習計画のサポート」などさまざまに対応。授業や勉強の方法自体も、特性に合わせてカスタマイズします。授業では、進路・悩みの相談やメンタルケアもできます。勉強に不慣れな方は、趣味の話や雑談も行い、リラックスして勉強ができるよう寄り添います。Upload By 発達ナビ編集部セミナーでは、これまで数多くの発達障害・不登校経験のあるお子さまと向き合ってきた経験をもとに、・不登校や発達特性をお持ちのお子さんの進路の選び方や時期別の動き方・実際の生徒さんの進路事例・特性に合わせた学習対策やメンタルサポートのケーススタディなどをご紹介いたします。進路選択の時期が迫っている方も、まだ先だけど早めに情報収集しておきたいという方も、ぜひご参加ください。株式会社キズキキズキ共育塾Upload By 発達ナビ編集部「未来のジブンが好きになれる高校」明蓬館高等学校に、中等部が誕生しました。学び辛さや生き辛さのある生徒のためのSNEC(Special・Needs・Education・Center / スネック)とCONEC(Coder’s NeuroHACK Center / コネック)には、支援員やスクールカウンセラーが常駐して「支援と伴走」の下、生徒たちは興味関心を大いに伸長させながら社会進出に向けて輝いています。そんな明蓬館高等学校が作る中等部では、一人一人が自分のペースでICTを活用しながら、学びの中で自己肯定感を高めています。上級生と一緒に高校卒業や、その先の進路に向けて学習をしたり、特別講座にチャレンジしています。「安心して安全な環境で挑戦できる」を毎日実践するのが明蓬館高等学校の中等部です。Upload By 発達ナビ編集部セミナーでは、実際の学校での活動の様子や生徒の声などをご紹介します。また、ロボットプログラミングやプログラミング言語の学習を通じて、自分の「好き」を見つけられるような中等部CONECコースについてもご案内いたします。スペシャルニーズを持つお子さまに学習支援と心理支援を届ける明蓬館の取組みを、ぜひ知っていただければ幸いです。明蓬館高等学校Upload By 発達ナビ編集部不登校や引きこもりがちなお子さまがいるご家庭向けの勉強会です。復学や居場所など、学校に行かない選択をした子へのサポートや、中学以降の進路の選択肢について解説します。1.不登校支援の選択肢フリースクールや訪問教室など、不登校のお子さまへの支援の選択肢や選ぶ際のポイントを解説します。2.中学以降の進路の選択肢義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなど、不登校に理解のある進路を幅広く知ることができます。3.教育にまつわる準備教育資金やお子さまの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。Upload By 発達ナビ編集部専門学校/高校での指導経験を持ち、発達障害のお子さんも多く通うプログラミング教室「LITALICOワンダー」でも活躍中の講師が、プログラミング学習の方法や効果について、発達障害のお子さんの成長事例を交えてご紹介します。実際に授業で用いるツールを使った授業のデモもお見せします。プログラミングってなんだか難しそうだけど、どんなものなの?プログラミングでどんな力が育まれるの?発達障害のお子さんでもプログラミングに挑戦できるの?という方におすすめのセミナーです。プログラミングを活かした進学実績などもご紹介します。イベントの全体をもっと詳しく知りたい!という方は、特設サイトもご覧ください!さらに、今後も随時メールマガジンやSNSを通して最新情報をお伝えしていきます。こちらもお楽しみに!たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2021年09月01日10代の自殺をストップしたい!不登校新聞発「緊急アピール」LITALICO発達ナビ牟田暁子編集長(以下――)今回の「緊急アピール」では、10代の自殺を止めるためにできることを発表していますが、宣言した背景について、サイトにも書かれていることから、もう一歩詳しく教えてもらえますか?■緊急アピール◎「学校へ行きたくない」という訴えは命に関わるSOSです。◎命を守るために「行きたくない」という訴えを見逃さないでください。◎より多くの命を守るため『TALKの原則』に沿った対応をお願いします。NPO法人全国不登校新聞社石井志昂さん(以下、石井):昨年、10代の自殺者数は1980年代の統計調査開始以来、最多の数字を記録しました。なぜ増えたのかと言うと、これはあきらかに新型コロナの影響です。ウイルスに感染したことや、家庭の経済的困窮ではなく、コロナが子どもの心に直接影響していることは、文部科学省の有識者会議でも指摘されています。Upload By 発達ナビ編集部――グラフを見ると、2020年の数字は2019年より若干下がっているくらいでほぼ横ばい、そして今年ぐっと上がっていますね。石井:そうです。「小中高生の自殺者数・上半期の推移」の暫定数字が今年は234と、昨年・一昨年を大きく上回っていて、さらなる過去最多を記録更新するかもしれない、という勢いです。夏休み明けを含んでいない数字なのに、です。これは記者会見を開いて訴えなければと強く感じました。もうひとつ、月別のグラフも見てください。Upload By 発達ナビ編集部注目してほしいのは、2020年は6月の数字が上がっていること。これは1回目のコロナ休校明けの月です。そして、8月にもう一度ピークがきていますが、夏休みを短縮していた学校が多かったので、例年9月にあったピークが8月にきています。このように、長い休み明けと子どもの自殺はリンクしています。休み明けに自殺者数のピークがきてしまう。かつてない危機が子どもに襲い掛かっているということなのです。「TALKの原則」が、広く知られるようになってほしいUpload By 発達ナビ編集部石井:今、10代の前半を含めてということは小学校4年生から、若者の死因のトップは自殺です。病気よりも事故よりも多いのです。どこの子どもでも起こりうることだから、自殺予防を家庭の中で取り組むことが特別なことではないと思ってほしいです。――家庭でできる自殺予防、それが「TALK」の原則ですね。石井:はい。精神医療の現場では広く知られている原則です。とるべき行動の4つの頭文字をとっています。( 文部科学省『教師が知っておきたい「子どもの自殺予防」』より抜粋)Tell言葉に出して心配していることを伝えるAsk「死にたい」という気持ちについて、率直に尋ねるListen絶望的な気持ちを傾聴するKeep safe安全を確保するいじめがあると思ったら、安全の確保を最優先して、学校に行かせないでほしいと思います。この子のことは目を離せないと思ったら、目を離さない体制をつくる。仕事で忙しいかもしれないけれど、子どもの安全を優先して確保してほしいということです。――「Ask」に関してですが、死にたいとまで思い詰めている子どもには、聞くことがかえってトリガーになってしまうのではないかという心配もあるのですが…。石井:気持ちはわかります。でも、真摯な態度で聞けば、これは有効だと言われています。「死にたい」と言った人に、本人の気持ちを楽にさせようとして「死にたいなんて大げさに考えないで」と言ってしまうと、死にたいくらい苦しい人は、気持ちを軽く扱われたと思ってしまいます。「死ぬなんて考えるな」と言われると、「死なないでほしい」という思いは届かず、「死にたいほどつらい気持ちを否定された」と受け取ってしまうのです。――死を肯定しているのではなく、「死にたいくらいつらい」という部分に共感するのですね。石井:そうです。そのくらい、「つらい思いをしていたんだ」というところを汲んでほしいんです。――大人はつい、子どもに対して正しいことを言わなくちゃと思ってしまいがちなんですが。石井:もし、「死んで楽になりたい」といわれれば「死んでも楽にはならないよ」と言いたくなってしまうかもしれないですね。でもそれは逆効果。まずは「死にたいほどつらい」と言う気持ちに共感してほしいです。自殺をストップするための「TALKの原則」は、医療現場で言われている大原則。一般の人に浸透するには時間がかかるかもしれないけれど、社会通念を変えるためにも、拡げていきたいと思います。自殺予防のために、家庭の中で実際にできる具体的な行動は?Upload By 発達ナビ編集部――今、子どもの自殺は病気や事故による死よりも多いという現状はわかりました。家庭の中で気づいてあげる方法は?石井:子どもは、「学校に行きたくない」と言葉で表現するまえに、SOSが体から出るんです。その代表的な5つが、「体調不良」「食欲不振」「情緒不安定」「宿題が手につかない」「不眠」です。このうち、親が気づきづらいのが「不眠」。親も寝ているから、子どもが起きているか寝ているかわからず、子どもが朝なかなか起きられないという結果だけを知ることになります。そこで、「夜、何してたの?」と聞けば、子どもはスマホ、ゲームと答える。だけど本当は、子どもとしては学校で起こった苦しいことを思い出して眠れず、いやなことを考えないためにスマホやゲームに逃げているということもあるのです。だからここで、「スマホやゲームなんかしているから」という方向で叱るのではなく、「不安があるから眠れないのかな?」ということを考えてほしいです。そして、この5つのSOSに複数当てはまるようだったら、心のケアをしてあげてほしいです。――心のケアはどのようにしたらいいんでしょう?石井:まずは、「様子を見ていて不安なんだけど、何かある?」と率直に聞いてみてください。それと同時に、しばらくは甘やかしてあげてください。好きなようにさせて、休ませる、風邪をひいたときと同じ対応です。そうすると、そのうちに子どもは少し元気が出てきます。苦しいことは言うことすらつらいので、言う元気をためるために休ませることが必要なのです。話してくれて原因が見えたら、例えば学校に原因があるなら少し休むなど、対応を考えていけばいいでしょう。――なるほど。こういうことって、親以外にも言える人がいるといいのかもしれませんね。石井:それが一番いいですよね。思春期は特に、親にだけは言えないということもあるから。私もそうでした。私の場合は、フリースクールのスタッフにたくさん話を聞いてもらいました。ぜひ試してほしいのは、カウンセリングです。スクールカウンセラー、メンタルクリニックのカウンセラー、WEBカウンセリング協会などを利用している人もいます。不登校経験者のカウンセラーもいます。ただ、相性があるものなので、一度話してみて話したくない人には話さなくていい、ということも伝えておきたいところです。まず子どもに自分の気持ちを存分に話してもらう。そのとき、聞き流していてもOK――話を聞くときに、親の側の対応の仕方やどんな言葉をかけるのがいいか教えていただけますか?石井:どういう言葉をかけるか、という前に、まずは話をひたすら聞いてあげてほしいです。ある女の子は、複雑な家庭環境で、学校ではいじめを受けて不登校になって、大変な状況でフリースクールにたどり着きました。フリースクールでは、スタッフを相手にずっと自分の話をしていました。私もそのころ、そのフリースクールにいたので、私のほうが「それもう聞いたよ!」って言いたくなるくらい。それでもスタッフはじっと、ずっと聞いていました。この「聞いてくれる」というのが大事。その子は、「たくさん自分の気持ちを聞いてもらって、はじめて自分を救おうと思えた」と言いました。苦しいときにどんなに「こうしたほうがいい」という提案をされても、自分を救うような行動ってとれないものです。苦しい気持ちを誰かに聞いてもらってようやく、自分で自分のことをなんとかしようと思えるようになるのです。――傾聴、大事ですね。石井:そうですね。傾聴は大切なんですが、そこで親御さんに知っておいてほしいのは、日常の中で子どもの話を聞くときは、「ふり」でもいいということ。子どもの話は、気持ちがまとまっていないから長くて、同じ話を繰り返します。話していることの背景まで考えて、じっくり聞くのが理想ですが、日常生活の中ではいつもそこまではできないでしょう。話7割から半分くらい聞いていればいいです。「そうか、そうだね」「うんうん」と言って「聞いている感じ」が出ていれば大丈夫です。ふだんから、そうして話しやすい状況をつくっておくことが大事です。だからといって、子どもが話す相手が人形ではダメなんですよね。やはり生身の人間に聞いてもらわないと。相談できることが大事、そのきっかけづくりは?Upload By 発達ナビ編集部――石井さんの新刊著書『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』にも、「子どもは雑談したがっている」とありますが、雑談できる関係性がないと「TALKの原則」の1番「Tell」もできないですね。何を言っても諭されない、雑談ができる関係性、大事ですね。石井:このまえ、いいなと思ったのは、ラジオ番組「田村淳のNewsCLUB」に出演したときに、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが話してくれたエピソード。もうすぐ5才の娘さんがパパと相談するときは階段の10段目で、横に並んで話すことにしている、と。相談したいときは、「ちょっと階段いい?」と言うそうです。娘さんの相談は「ごはんを食べていると机の下にもぐりこみたくなる」ということで、淳さんは「そうだね、でもごはん食べてからね」と答えた、というかわいい話もあります。この「階段いい?」というシステムは、いくつもの心理学的にいいことが詰まっている例なんですよね。相談する場所を決めることで相談しやすくする、「相談」ではなく「ちょっと階段」という言葉でやわらげること、それから、横並びで話すこと。いくつも心理学では◎とされていることです。「勉強しなさい」って言わなくなったら、親子の関係性がよくなった!Upload By 発達ナビ編集部――言われてみれば、私も子どもと雑談するとき、横並びですね。新型コロナの時期に入って、息子とはよくしゃべるようになったんですよ。石井:高3の息子さんがお母さんとしゃべる、というところがすごい!――中学時代はあまり口もきかなかったんです。それが、私のリモートワークが増えたので、私が働く姿を息子が見るようになったんです。「意外と母さんちゃんと働いているんだね」と思っているみたい。それと同時に、息子が帰宅したときに母親がいてホッとするということもあるのかな。友達との外出もままならなくなって、ほかに話相手がいないからということもあるかもしれないけれど(笑)石井:すごくいい関係じゃないですか。――あと、「勉強したの?」って、私が言わなくなったんですよね。息子の中学受験のときは100%私の力を注いで息子を見ていたんですけど、私も自分の趣味ややりたいことを楽しむようになったんです。それから、休校になってテストが9ヶ月間もなくなってしまって、「勉強しろ」と言うタイミングを失ってしまった(笑)結果、親子の関係性もよくなったし、自主的に勉強するようになったんですよね。石井:自主的にというのは大事。勉強、勉強って追い込まれるストレスがなくなって、やる気が出たのかもしれませんね。――勉強って言う代わりに、私の趣味のコーヒーを淹れてあげるようになったんですよ。息子も「お母さん、コーヒー淹れて」と言って、コーヒーを飲んだらまた勉強する、という感じになっています。石井:会話になってますもんね、「コーヒー淹れて」って。「勉強したの?」って質問形だけど注意されていてコミュニケーションになっていないんですよね、実は。ところで、もしかして息子さんは勉強をさかのぼってやってみたりしましたか?――いえ、息子の場合はしていないと思います。勉強をさかのぼると、やる気が出るんですか?石井:そうなんです。コロナ休校で途中から勉強がわからなくなってしまったときに、今の学年の単元をやろうとするとできなくてますます焦るという状態になった子も多いはずなんです。そういうとき、自分で理解できる1~2学年前の単元までさかのぼってやってみる。すると「これならわかる」「これもできた」という小さな成功体験を積むことができて、やる気につながるんですね。「2年生の2学期なのに、やっていることは1年生の春の単元をやる」という状況は、一見、勉強が遅れているように見えます。でも、学年はとっぱらって見たほうが実はいい。どこがどうわからないのかが問題なわけですから。みんなのペースに合わせることって、学力向上には効率が悪いんですよね。徹底的に個別最適化することで、実は勉強はできるようになっていくはずだと思います。「子どもを信頼する」がキーワード――この本を読んでいて思ったのは、信頼というか、「この子は大丈夫」と信じることが大事なんだなということでした。私も息子のことを必死で見ていたときって、見ていないとダメになっちゃうんじゃないかと、信頼しきれていなかったんだなと思います。石井:「信頼」は一大テーマですね。今回の本では、教育学者の汐見稔幸(しおみ・としゆき)さんと、角川ドワンゴ学園理事の川上量生(かわかみ・のぶお)さん、ぜんぜん方向性が違う方々との対談を2つ収録していますが、双方から「信頼」という言葉が出ました。汐見さんのような教育学者が「子どもを信頼して」というメッセージを出すのはわかるんです。さらに川上さんも「子どもを信頼して、学習カリキュラムを進めるペースを任せる」と言ったことに、ちょっとした驚きがありました。この学習カリキュラムの決め方が、子どもからのニーズを集めたそうなんです。現実的なニーズとして子どもを「信頼」することの大切さがあらわれていたということなんですね。――私も実感として、子どもを信頼してまかせるようになったら、子どもが自分で勝手に勉強するようになったんですよね。石井:たしかに典型的ですよね、「勉強したの?」っていえば勉強しないし、「コーヒー淹れようか?」って言ったら勉強するようになった、っていう。――私が関わらなくなったら、息子は変わった。こちらが距離を置いたときに、信頼されたんだと子どもも感じたんでしょうね。石井:親から期待されることは誇らしいことだけど、子どもにとってはそのまなざしが苦しかったり、重圧になったりすることもある。そうではなくて、もっと風通しよく、雑談しながら親子で気持ちを交わしていけるといいんでしょうね。まとめ石井さんの著書『「学校に行きたくない」と子どもがいったときに親ができること』は、不登校の子どもに限らず、親子関係がスムーズになり、子どもがのびのび育つために必要なことがたくさん書かれています。それは石井さんの思いだけでなく、たくさんの子どもにも大人にも、話を聞いてきた中から生まれた言葉たちでした。自殺予防のために知っておいてほしい「TALKの原則」は、重く、特別なことのように見えますが、実は日常生活の中の何げなく交わされる雑談の中から生まれやすいということがわかります。アドバイスすることはわきに置いておいて、その子の気持ちにまずは耳を傾けることから、家庭でできる自殺予防は始まるようです。Upload By 発達ナビ編集部取材・文/関川香織撮影/鈴木江実子「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること
2021年09月01日「死なないで、ね……どうか、生きてください……」亡くなる2週間前にこんな言葉を残したのは、2018年9月に亡くなられた、女優の樹木希林さんです。厚生労働省が発表している「自殺対策白書」によると、9月1日に18歳以下の日別自殺者数が突出して高くなっており、長期休み明けは特に注意が必要だとされています。この事実に対し、樹木さんは、学校に行けなくてつらい思いをしている子どもたちにメッセージを贈っていました。この記事では、樹木希林さんの言葉とともに、不登校新聞の石井編集長がウーマンエキサイトの取材に対し話してくださった内容を振り返ります。全国不登校新聞社提供樹木希林さんが残した言葉の意味は娘である内田也哉子さんは、冒頭で紹介した樹木さんが不登校などについて生前語った言葉を書籍『9月1日 母からのバトン』でこのように綴っています。「死なないで、ね……どうか、生きてください……」去年の9月1日、母は入院していた病室の窓の外に向かって、涙をこらえながら、繰り返し何かに語りかけていました。あまりの突然の出来事に、私は母の気が触れてしまったのかと動揺しました。それから、なぜそんなことをしているのか問いただすと、「今日は、学校に行けない子どもたちが大勢、自殺してしまう日なの」「もったいない、あまりに命がもったいない……」と、ひと言ひと言を絞り出すように教えてくれました。この2週間後に、母は75年の生涯に幕を閉じました。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より書籍内で内田也哉子さんとも対談されている不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長は、2014年の樹木さん取材時に「毎年9月1日前後に、18歳までの若い人たちがたくさん自殺している現状」を伝えると「自殺するよりはもうちょっと待って、世の中を見ててほしい」と樹木さんは語ったと言います。子どもが学校に行きたくないと言ったらどうしたらいい?書籍には樹木さんが考える「親の価値観」の持ち方についても書かれています。子どもには子どもの社会があるんですよね。大人から見て「そんなの!」って言ったってだめだから。そういうときはもう、寄り添ってやるしかないかなと思っています。(中略)不登校の子どもよりも、私は親の価値観(の問題)なんだと思うんです。もっと、何かと比べるとかはなしでいいじゃないですか。違っててもいい。出典: 『9月1日 母からのバトン』 よりまた、石井編集長は、親が学校に行きたくない原因を特定するために「なぜ行きたくないのか?」ときつく問うと、子どもはますます追い込まれてしまう、とも話しています。当時小学校の内田さんに樹木さんが掛けた言葉小学1年生になると、日本では義務教育が始まり、社会のあたり前のこととして、子どもたちは学校に通います。そんな「あたり前」という風潮がある学校との付き合い方において、樹木さんは彼女ならではの考え方を発揮し、当時小学生だった娘の内田さんはこんな言葉を掛けたと綴られています。東京の公立だったんですけど、そのときはすごく合わなかったですねえ。私という“異物”が突然入ってきたことで、そのクラスにあったコミュニティがざわざわしてしまって。今思えば“いじめ”だったと思うんですけど、お友達ができないまま数か月を過ごして、毎日泣いて家に帰っていました。(中略)ある日、私があんまりつらそうだったからか、「やめれば?」と言ってきたんですよね。「そんなにつらいのに、何をガマンしてるの。やめればいいじゃない」って。私まだ、「やめる」の「や」の字も言ってないのに(笑)。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より不登校だからって将来は決まらないそれでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 よりコロナ禍で2020年の小中高生の自殺者数は過去最多となりました。そして、学校の長期休業明けにかけて増加する傾向があります。今日は9月1日。どうか樹木希林さんの言葉が一人でも多くの人に届いてほしいと願っています。※この記事は、下記の記事を元に編集しています。
2021年09月01日不登校当事者と保護者のいろいろな経験の取材から得たノウハウがまとめられた一冊――『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき 親ができること』もし子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親はどうしたらいいのでしょうか。現在中学生の25人に1人が不登校、小学生は5年間で不登校の児童の数が倍増しています。増加の背景には、昨年から続くコロナ禍の影響もあるのではないかと言われています。また、昨年小中高生の自殺は過去最多を記録。特に夏休み明けの9月1日に子どもの自殺者が多くなるという分析もでています。著者の石井志昂さんは、日本で唯一の不登校に関する新聞「不登校新聞」の編集長としてこのような実態や、不登校経験者を20年以上取材してきました。過去取材してきた400人以上の不登校経験者は、家族構成も、本人の性格も、不登校になった理由もさまざま。しかし共通する「大切なこと」がありました。自身も不登校経験者である著者の経験と、たくさんの不登校当事者と親への取材を通して導き出したことを一冊の本にまとめました。この本では、親が気づきにくい子どもに見られる代表的な5つのSOS「体調不良」「食欲不振」「情緒不安」「宿題が手に着かない」「不眠」や、親が子どもとどう対話すればよいのか、不登校のきっかけとなる「いじめ」のこと、親の心構え、不登校の子どもたちの将来像など、不登校の経験者でもある著者自身や不登校当事者と親がいろいろな経験を通して獲得してきたノウハウが詰まっています。9月1日、これ以上悲しむ親子が増えないようにという願いが込められた本。子育てをするすべての方、教育に関わる方におすすめの一冊です。学校生活で困っている子どもの小さなSOSサインを見逃のがさないためにーー『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち 2』大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』シリーズの著者によるシリーズ2作目、「マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち 2」。タイトルにある「境界知能」とは実年齢の平均的な発達と比べて、7~8割の発達年齢であると言われています。そのような境界知能やグレーゾーンの子どもは、学習面や身体面、コミュニケーション面で問題が現れることがあります。漢字が苦手、計算や数字が苦手など、学習の土台に弱さがある子ども、手先が不器用でハサミが使えない、力を加減することが苦手で乱暴だと思われてしまう子どもなど…。この本では、少しずつ発達の問題が見え始めると言われている小学2年生の子どもたちのストーリーを中心に、それぞれの困りごとへの正しい理解や対応の仕方、気になる子どものサポートに関して学校で行っている事例検討会についてなど、わかりやすく知ることができます。教育に関わる方、お子さんの学校での様子に悩む保護者、におすすめの一冊です。みんな違ってあたりまえ。自分らしく生きよう!「食の多様性」について親子で学べる絵本――『からあげビーチ』お話は、からあげ家族が夏のビーチに向かうところから始まります。ビーチには世界中から、大豆ミート、グルテンフリー、ハラールなどさまざまなからあげたちが集まっていて…。多様性という言葉はとても身近になりました。でも「多様性」ってどういうことだろう?この本では、からあげ家族のであいを通して「食の多様性」について楽しく学ぶことができます。みんな違ってあたりまえ。『個性はキミの勲章だ!』という応援のメッセージが詰まった、さまざまな個性があるすべての子どもたちにおすすめの一冊です。3つの特長でかけ算・わり算のつまずきを解消――『特別支援教育で役立つかけ算・わり算の計算と文章題のドリル~算数障害のある子への指導法もわかる~』文章題を解くとき何算を使えばいいのかわからない、かけ算九九が苦手、数直線がうまく描けない、買い物のとき算数の知識を活用できないなどの困りごとはありませんか。このドリルは、算数障害のある子への学習指導のノウハウを生かした問題づくりと解説で、算数が苦手と感じる子どもが一つずつ理解しながら進むことができる学習ドリルです。ドリルには、つまずきを解消する3つの特長があります。1.イラストで理解できるかけ算・わり算の「文章題」2.九九の暗記や筆算がわかる「計算シート」3.見積もりや商がわかる「見てわかる図解と数直線」約100枚ある問題プリントと、それぞれの問題の解説ページ付。付属のCD-ROMからプリントと計算シートを印刷し繰り返し使うこともできます。教育に関わる方だけでなく、かけ算・わり算が苦手と感じているお子さんにおすすめの一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年08月29日発達障害がある子の中学卒業後の進路の選択肢わが子の発達状況や特性に合った進学先を選ぶには、まずどのような高校があるのか、それぞれどのような特徴があるのかを知っておく必要があります。ここでは、発達障害グレーゾーン~軽度知的障害があり中学校で特別支援学級を選んだ場合、進学先としてどのような選択肢があるのか、それぞれの高校の特徴などを紹介します。学校選びの際に留意したいのが「大学受験資格」が得られるのかと言うことです。障害者枠での就労の場合は、大学受験資格については考慮する必要はないかもしれませんが、大学進学を検討している場合は考慮する必要があるためです。(また、高等専修学校や特別支援学校卒業後、一般枠での就職を希望する場合、学校卒業時に「高卒」とみなされるのかについては雇用主の判断となりますので、就業の際に確認が必要です)【卒業後高卒認定される学校】高卒認定とは、その名の通り『高校を卒業した』という認定です。・普通科高校(公立・私立)・専門高校(実業高校)・単位制高校・定時制高校・通信制高校・チャレンジスクール(4年制)これらの学校は卒業と同時に高卒認定が与えられます。【卒業後高卒に準ずると認定される学校】卒業時に高卒認定に準ずるとみなされる「大学受験資格」を得ることができる学校もあります。・高等専修学校文部科学大臣が指定する課程を修了した場合、高等学校卒業者と同様に大学入学資格が与えられ、その他の進学についても高等学校卒業者と同等に扱われます。学科により、専修学校の高等課程には1年制~5年制までさまざまなコースがあります。調理学校などは1年制が多く、准看護は2年、理美容学校などは2年以上、そのほかの学校については3年制が多くなっています。高等課程の3年制を卒業すれば専門課程(専門学校)に入学することもできます。大学や短期大学へ進学も大学入学資格付与の指定を受けている学校を卒業すれば可能です。高等専修学校とは?文部科学大臣指定専修学校高等課程一覧(平成30年3月28日現在)・特別支援学校高等専修学校は卒業と同時に大学入学資格が与えられますが、特別支援学校についてはさまざまな学校や科があり、制度上は特別支援学校卒業で大学受験資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合もあります。特に知的の特別支援学校については入学前に確認が必要です。【短大卒に準ずる資格を取得できる学校】・高等専門学校卒業後「準学士」の学術称号と、高専の専攻科や大学への編入資格が得られます。大学・短期大学、高等専門学校、専門学校の制度の比較国立高等専門学校の学校制度上の特色Upload 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発達障害のキホン大学入学資格を得るためには以下の条件のいずれかが必要となります。①高等学校又は中等教育学校を卒業②特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了※特別支援学校については大学入学資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので入学前に確認が必要です。③指定された専修学校の高等課程を修了④高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)での合格大学入学資格について文部科学大臣指定専修学校高等課程一覧(平成30年3月28日現在)制度上は特別支援学校卒業で大学入学資格は得られます。しかし、特に知的障害高等特別支援学校、知的障害特別支援学校高等部の場合は自立活動なども多いため、志望する大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があります。したがって、入学時点から大学進学に合わせた教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側と話し合っておく必要があります。卒業後進学を考えている場合は入学前に事前に卒業までに取得できる単位数などの確認をしておく必要があります。学習指導要領「生きる力」知的障害高等特別支援学校とは、知的障害の生徒を対象に、高等部のみ設置している学校です。職業技術科や職業学科、産業科などさまざまな科に分かれ、職業生活に必要な能力や技術を高めるために実践的なカリキュラムを行っており、知的障害特別支援学校高等部よりも就職に特化した学校となります。就職率が高い、就職先とのミスマッチが少ない、学校と企業とのパイプがあるなどのメリットがあります。学費は、公立の場合は公立普通科高校と同じ、私立はその学校のカリキュラムや校舎などの施設によります。卒業と同時に大学入学資格を取得できますが、上記にもある通り、就業にむけた実践的なカリキュラムのため、大学側が定めた科目の単位を取得していない場合があります。大学進学を希望している場合には入学時点から教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側に相談しておきましょう。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので注意が必要)平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)知的障害特別支援学校高等部とは、小学部から高等部まである、いわゆる小中高一貫特別支援学校の高等部です。知的障害高等特別支援学校と同様に卒業すれば大学入学資格を取得できますが、大学受験を希望している場合には高等部入学時点から大学進学に合わせた教育課程を個別に編成してもらえるかどうかを学校側に相談が必要です。一貫校となっていますが、多くの学校が中学部、高等部からの入学も可能です。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合があるので注意が必要)平成30年度新特別支援学校高等部学習指導要領等説明会における文部科学省説明資料(3/3)病弱特別支援学校高等部とは、慢性疾患などで、義務教育終了後も医療・生活上の規制を必要とする生徒、または高校入学後の発病や病状の悪化により学校生活への制約を余儀なくされた生徒が通える、医療や生活管理体制の整った高校です。適切な学習集団を確保する観点からも、近隣の高校と連携を図りながら、校内外でさまざまな学習を行うのが特徴です。療育手帳が取得できない知的レベルの生徒でも、普通科高校では必要な配慮が受けられず通えない場合の選択肢となる学校といえます。卒業すれば大学入学資格を得ることができます。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇病弱・身体虚弱教育:文部科学省普通科高校(公立・私立)とは、いわゆる全日制あるいは定時制の高等学校のことです。平成30年度から言語障害、自閉症、学習障害、ADHD、弱視や難聴などの障害のある生徒に対し、通級による指導が制度化されました。しかし、47都道府県の中でも実施校に大きなばらつきがあり、東京都立高校は2021年から導入されています。また、支援体制が不十分な場合もあるため、過去の特別支援学級からの入学歴の有無を確認したり、個別相談を受ける、通っている人の話を聞くなど、学校の支援体制がわが子に適したものであるかを事前に調べる必要があります。学費は、公立は卒業までに約50万円、私立の多くは公立の倍以上はかかります。卒業と同時に高校卒業資格が取得できます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇高等学校における通級による指導の制度化及び充実方策について(報告)概要専門高校・実業高等学校は、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉など職業教育を主とする学科を設置する高等学校です。各分野に特化した専門的なスキルが学べるので、普通科高校に比べ就職率が高いのがポイントです。学費などは普通科高校とほぼ同様ですが、実習などで使う専門の道具などは別途購入が必要となってきます。平成30年より高等学校においても通級の制度化が始まり、専門学校も同様となりました。しかし、普通科高校と同様に実施にばらつきがある、専門教科・科目については必修科目となるので学校の支援体制、実習内容などに苦手な項目がないか、苦手な項目により必修単位が取得できないことはないか、などは事前に調べておく必要があります。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇専門高校の現状(専門高校に関する諸データ)専門高校紹介高等学校における通級による指導の導入について単位制高校とは、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位(74単位)を取得し、単位認定試験とスクーリング(ある程度決められた日数学校に通えばいい)で高卒資格が得られる高等学校のことです。昭和63年度から定時制・通信制課程で導入され、平成5年度からは全日制課程でも設置が可能となりました。必修科目にとらわれず、自由に単位を選べるのが特徴です。学費は、公立・私立で大幅に変わってきます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇就労などを理由に全日制高校に通うことができない人の教育の受け皿として始まった高校ですが、不登校や特別な支援を必要とする生徒、睡眠障害など心身に何らかの問題を抱える生徒も多く通っています。毎日登校するという点は全日制高校と同じですが、登校時間帯を・夜間定時制・昼間二部制…昼食を挟み、朝と昼の時間帯に行う・三部制…9時~13時、13時~17時、17時~21時のように三部に分けるの3種類から選べる学校が増えています。学費は、公立は年間およそ20万円弱、私立はその約2~3倍となっています(授業料と学校徴収費〔給食を含む学校が多い〕)。3年制と4年制がありますが、いずれも卒業と同時に高卒資格が得られます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇通信制高校は、自宅学習がメインで、単位取得(74単位+ホームルーム30単位)で高校卒業資格が得られます。空いた時間で好きなことをしたり、登校日を自分で選べるなどのメリットがあります。単位制高校との大きな違いは、必修科目がある、高卒資格を取得するには単位認定試験とスクーリングに加え、レポート提出が必須になります。サポート校は、通信制の高校生の卒業をサポートする「塾」のような存在です。連携している通信制高校に籍があり、連携先の通信制高校卒業で高校卒業資格を取得できます。サポート校のみでは、高卒資格は取得できません。卒業や大学受験、資格取得など自分に合ったサポートを選べますが、通信高校+サポート校費用のダブル負担がかかり、公立と私立では学費に6倍もの差が出てきます。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇※通信制高校の場合高等専門学校(高専)は、5年制で一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程で、技術者に必要な教養と体系的な専門知識を身につけることができます。5年制ということもあり、卒業までの学費はおおよそ150万~240万円となっています。5年間の本科を卒業後(短大卒と同じ扱い)、さらに2年間専攻科でより高度な技術教育を学ぶことも可能です。専攻科を修了すると学士の学位(大学学部と同じ)を得ることができます。卒業後の進路は多岐にわたりますが、倍率が非常に高いのが難点といえます。【卒業時に取得】・高卒認定:3年修了時に同等の資格を得られる・大学入学資格:卒業時短大卒扱い参照:国立高専機構 豊田高専高等専修学校は、工業・農業・医療・商業など8分野にわたりバラエティーに富む職業教育を行っています。3年制で基本的に高校卒業資格は得られません(何校かは可能)が専門課程(専門学校)への入学が可能です。小学校や中学校の間にすでに「やりたいこと」「就きたい職」が決まっている生徒には向いている学校といえます。また、不登校や高校を中退した生徒を積極的に受け入れる学校もあります。学費は専門的分野によって差があり、平均して150万~200万円程度かかりますが、奨学金制度があります。高校卒業認定は得られませんが、修業年限が3年以上、総授業時数が2,590時間(74 単位)など条件を満たせば文部科学大臣が指定した学科の修了者は、高等学校卒業者と同様に大学入学資格が得られることになっています。【卒業時に取得】・大学入学資格:〇(文部科学大臣が指定した学科の修了者の場合)専修学校高等課程・一般課程と特徴・資格取得チャレンジスクールは、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や高校を中途退学した生徒が新たに目標を見つけてチャレンジするための都立高校です。三部制・定時制・単位制の総合学科の高校で、現在5校とチャレンジ枠併設の1校があります。卒業と同時に高校卒業資格が取得できます。定時制のため通常は卒業までに4年間必要ですが、単位制でもあるので、授業を多く履修すれば3年間での卒業も可能です。学費は都立高校に準じています。【卒業時に取得】・高卒認定:〇・大学受験資格:〇フリースクールは、不登校の生徒が学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所ですが、公的な機関ではなく個人や民間企業、NPO法人などによって運営されています。入学資格を設けていない、異なる年齢の子どもが集まっているので学校のような決まったカリキュラムがないという特徴があります。高校卒業資格を得るには、高卒認定試験(旧 大検)に合格する必要があります。フリースクールの形式や規模によって学費(授業料)は変わってきますが、ひと月3万円前後のところが多いようです。高卒資格は取得できないため、大学へ進学をする場合には高卒認定試験を受ける必要があります。【卒業時に取得】・高卒認定:×・大学入学資格:×過去10年での進学率の変化10年前の2010年は特別支援学級に在籍する子どもが(特別支援学校以外の)高校に進む割合は約2割でしたが、2019年には約5割と2倍以上に増え、特別支援学校に進む子どもと高校に進む子どもが約5割ずつと半々になりました。文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校」平成22年度版文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校」令和元年度版中学校の特別支援学級から高校進学者が増えた背景には、情緒障害特別支援学級の在籍児童生徒数が近年大幅に増加していることが影響していると考えられます。そしてこれに伴って受け入れる高校側も必要に応じて別室での受験や、試験時間の延長、問題用紙の文字の拡大や読み上げ機能の使用など、受験の際に障害や特性に合わせた配慮を実施したり、通級教室を設置したりする学校も増えてきていることも理由に挙げられます。特別支援学級と一言で言っても特性や障害種別により複数のクラスがあります。それぞれのクラスによって進学率などは変わってきます。すべてのクラスにおいて高校への進学率が増えたという訳でもないので注意が必要です。特別支援学校高等部やフリースクールに進む場合は内申は必要ありませんが、そのほかの学校の多くは内申が必要となってきます。普通科高校の中でも、都立(市立・県立)高校のほとんどは内申が必要です。私立や専修、専門学校の中には内申は関係なく入学試験の点数や書類のみで合否を決める学校もあります。なお、入学試験にあたって内申が必要な場合について、通常学級の生徒と同様の中間・期末テストを受けていない場合は通常学級の生徒とは異なる評価の内申になる場合があります。進路選びのポイント高校で「支援体制がしっかりしている」「障害や特性に合わせた個別カリキュラムが組まれている」というような学校はまだ少ないのが現状です。その中でも、・子どもが学校に合わせるのではなく、子どもを理解し、配慮できる「子どもに寄り添った学校」か・特性や障害からできないことやゆっくりな部分にはじっくりと見守り、今できていることを伸ばしてくれる環境か・教職員が保護者の話を聞いてくれる姿勢があるか・必修科目や実習の内容に苦手なものはないかを見極めることが大切です。学校見学や説明会に足を運ぶ、資料を取り寄せるなどして、なるべくたくさん情報を収集しましょう。実習内容が必修科目になっている場合が多いのでオープンキャンパスなどであらかじめ聞いておくことも重要です。診断がある場合、入学試験でどのような合理的配慮をしてもらえるかなど、事前に話をしておくことも大切です。単位制でない場合、1科目でも欠席日数が既定の日数を超えてしまうと原級留置となりますが、学校によっては、診断があれば配慮がある場合もあります。学校に質問をするほか、通っている子どもや保護者の生の声を聞くことで、困りごとなどへの実際の対応や配慮・支援の様子なども知ることができます。子どもの将来のQOLを上げるためにも、できるだけ「失敗体験」をさせない進路先を選ぶ方がベターです。特性を抱える子どもは、「失敗体験」を重ね続けることで挫折感が強くなり、つまずいてしまうケースも多く見られるからです。就職できても、就職先とのミスマッチがあったり定着率が悪く職を転々としてしまう、というケースも出てきます。科が細かく分かれているか、実践的なカリキュラムが多いか、子どもの特性に合った職業選択を考えてくれるか、職業への連動性が高い指導をしているか、企業とのパイプはあるか、ということも大きなポイントになってきます。グレーゾーンや軽度知的障害の場合、家族や周囲の大人たちが「特別支援学級の生徒は特別支援学校へ」という流れが普通だと思ってしまうことが多く、内情をよくわからないまま特別支援学校に入学してしまうケースも少なくありません。特別支援学校に進んでみて、物足りなさや周囲とのギャップを感じて不登校につながることもあります。子どもとよく話し合い、子どもの意思を尊重しながら進路を選択することが大切です。進路先でつまずいてしまったらせっかく悩み考えて結論を出した進学先でも、子どもの性格や特性に合わず、不登校や二次障害などにつながってしまうこともあります。もしも進路先でつまずいてしまった場合どう対応したらいいのか、そのために保護者が準備できることを解説します。高校の通常級に在籍している発達障害が疑われる児童のうち、平成22年~26年度の間に平均7~10%の児童が不登校になるというデータが出ています。高校で不登校になる理由としては、・学習や実習についていけない・友人との人間関係がうまくいかない・「なぜできないの?なぜ行けないの?」という親からのプレッシャー・発達障害に対する理解がないなどが挙げられます。不登校になってしまった場合、「無理に学校に行かせない」「先生と相談・連携して学びやすく生きやすい環境を作る」ことも選択肢としてありますが、「その学校にこだわり続けない」「環境を選び直す」ことも必要です。なお、単位制の高校でない場合は、欠席日数が既定の日数を越えてしまうと原級留置(留年)となることも認識しておく必要があるでしょう。発達障害者支援に関する行政評価・監視結果報告書「不登校になってしまったけど、この学校は手厚いからもう少し頑張ろう」「せっかく好きなことができる科に入れたから、もう少し様子を見よう」などと進学先にこだわり続けることで、親子で苦しくなる場合もあります。中学生活の様子を担任の先生に聞いたり、わが子の特性や障害の程度を改めて見直したうえで、なるべく多くの高校の情報を収集して複数の選択肢を持っておき、子どもに提示できるようにしておくことも大切です。中学卒業後の進路決め、それはその後の子どもの「長きにわたる将来」につながる重要な選択になってきます。子どもの将来につながる教育や指導をしてくれるかどうか、支援体制はあるのか、入学の選考方法はどうなっているのかなど、事前の情報収集がとても大事になってきます。そして、「発達障害や特性のことをすべて伝えたら受からないかも」と不安になる方が多いようですが、障害があることを理由に落とされることはありません。充実した高校生活を送るためにも、卒業後の将来を考えるうえでも、子どもの障害や特性を包み隠さず学校側に伝えることがとても重要になってきます。また、親子で進路を相談すると衝突して考えがまとまらない、というケースもあります。その場合は保護者だけで抱え込まず、第三者や専門家に相談してもいいかもしれません。「この先子どもがどういうふうに生きていきたいのか」という将来像から逆算して、子どもにとってベストな環境を考えていきたいですね。執筆/田崎美穂子
2021年08月05日5月になるとオープンキャンパスがめじろ押し…のはずが今年はコロナの影響で、公立の高校はオープンキャンパスや学校説明会が軒並み延期に。一応7月に開催される予定になっていますが、それも延期や中止になる可能性があるとか。土日の数は限られているので、見たい学校の説明会の日が被る可能性もあり、スケジュール取りが難しくなることが考えられます。私立の学校は独自に説明会を実施しているところもそんな中でも、いくつかの私立の学校では、人数制限を行いながら説明会を実施しているようです。いっちゃんも中学校から高校、専修学校の説明会の日程のプリントをもらってきました。とりあえず、練習も兼ねてどこか行ってみる?と聞いてみたところ、「興味があるところがある」と言うではありませんか。ネットの年上の友人と高校進学について話していところ「いっちゃんにはこういうところが合ってるかもね」と話題に出たのだそう。それは、芸大の附属の通信制高校でした。いっちゃんは、普段からイラストをよく描いているので、絵の技法について学べたり、美術に興味のある生徒さんが集まってくるところだと良いな、行ってみたいなと思ったようです。通信制の高校ってどういうもの?早速、その高校のホームページから説明会と体験入学の申し込み。申し込みフォームに書き込んで送信すると、すぐ折り返しのメールで予約確定。便利な時代になったものです。当日は20人ぐらいの体験入学生とその付き添いで総勢30人ちょっとの人数が集まっていました。中学新卒で高校を目指す人ばかりではなく、少しシニアな年齢の方も友達同士で参加しているよう。まずは、通信高校とはどんなものかという説明から。Upload By 寺島ヒロお話を伺って、自宅で継続的に勉強してレポートを出さなければいけないので、なかなか卒業に必要な単位を取得するのが難しい場合もあるということや、この学校ではスクーリング(登校する日)が週に3日程度と、ほかの通信の高校と比べてかなり多いことが分かりました。それから、学校の施設や教育内容の特色などの説明があり、その後、体験入学生は美術鑑賞の模擬授業を受けます。美術というところがさすが芸大附属。わたしはその間外に出て休んでいてもいいのですが、付き添いの人だけで、いま体験中学生がやっている授業と同じ授業が受けられるプログラムがあるとのこと。面白い!と思ったので受けてきました。内容については「内緒」なのですが…。先生方の話す様子や説明がとても丁寧で、ディスカッションでも発言しやすい雰囲気をつくってくれているな、発言したことをちゃんと受けとめてくれているなという印象でした。授業はほぼ同時に終わり、いっちゃんと合流してアンケートを書いて、その日は終了。学校を訪れてからの所要時間は概ね3時間ほどでした。気になるいっちゃんの反応は…?Upload By 寺島ヒロ学校の授業や雰囲気は気に入ったようですが、やはり登校日のことが気になるようです。受験先の候補には入れつつ、またほかのところも見てみようと思っています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月16日仕事での学校との出会い僕が最初に「学校」というものに触れたのは、児童精神科医として勤務しはじめてすぐのころでした。当たり前ですが、発達障害や不登校の子どもは学校でも困ったことが発生します。ですから、患者さんが先生方やスクールカウンセラーと一緒に外来を受診することもありました。ところが、僕が小学校を卒業したのはその時点で20年以上前です。外来で話を聞いても「この子が困っている学校って、そもそもどんな場所だったっけな…」とあまりうまく想像ができませんでした。そこで「現場では実際にどう困っているのか」に興味が湧き、折に触れて「学校に行ってみたいです」という話をしていました。学校から仕事が来たそんなことをあちこちで言っていると、少しずつですが学校から仕事の依頼を頂くようになりました。教員向けの研修講師や、ケースのコンサルティング(困っている子どもの様子を観察して教員にアドバイスする仕事)です。そうやって少しだけ学校に出入りするようになった僕は、そこで3つのことを感じました。1 先生たちは納得していない2 自分で見ないと分からないことがある3 やっぱり学校は良い場所だ学校で仕事をして気づいたこと研修では一般的な話もしますし、質問があった場合には具体的なケースの対応策などもお話しします。熱意があって前向きな先生は一生懸命聞いてくださるのですが、全体研修ではそんな先生ばかりではありません。うしろのほうで眠そうにしているベテランの先生や、明らかに興味のなさそうな管理職の先生もおられました。僕が国立病院の医師として「外部講師」に招かれ、話をしている限り、研修を受けても意識は変わらないんだろうなと思いました。その場では「貴重なお話をありがとうございました」とお礼を言ってくださっても、職員室では「あんなことできるわけない」と話しているのではないかと。そこで僕は「外の人」ではなく「中の人」になればいいんじゃないかと思ったのです。先生方がなぜ興味が持てないのか、なぜ納得できないのか、どうすればできるようになるのか。僕が外から偉そうなことを言ってるだけではだめなのではないかと。学校の様子は、診療中には子ども本人や保護者の方から伺います。しかし、見たことのないものは想像することができません。先ほども書きましたが、僕が自分の学校に行っていたのは20年前の話で、しかもいま働いている場所ではありません。時代も地域も違う学校のことを想像するのは難しい。実際に見てみた学校では「授業中立ち歩くってこういうことか」「この位置関係だと先生が個別に指示するのは難しいな」など、現場を見るからこそ気づくこともたくさんありました。僕が学校に行ってみた一番の感想は「学校は良いところだ」です。たくさんの子どもたちが生活を紡いでいて、彼らの成長を願っている大人たちが一生懸命に働いている。一見つまらなく感じるかもしれないような、小さなこと一つひとつを大人と子どもがお互いの視点から悩み、より良い人生になることを願っている。こういう「素敵な祈り」がある場所に、もっと触れていたいなと感じました。学校の「中の人」になりたいそんなエピソードもあり、僕は学校の「中の人」になる方法はないかと考えました。そうやって悶々としていたある日、友達のスクールカウンセラーから「精神科医はスクールカウンセラー採用試験の受験資格あるよ」という話を聞きました。なぜ採用対象に医師が入っているのかは謎でしたが、一も二もなく採用試験に申し込み、無事に東京都教育委員会に採用されました。中の人になってみて思うのは、やはり現場を知らずにコメントをしても実効的ではないということ。そとからの「こうあるべき」と学校現場がマッチしないことはしばしばありますし、全体の流れの中でしか分からないこともあります。定期的に見ているからこそ分かることや、先生たちの考え方、思い、できることとできないこと。教育行政のカタさや、一方でどういう方法ならその難しさをクリアできるのかなど、新しい学びがたくさんあります。(詳しくは次回以降で触れられればと思います)また、実際に働いてみると学校現場は楽しく、生き生きとしたものだと感じています。(ただ、子どもたちのエネルギーを浴びてものすごく疲れますが…笑)※厳密にはスクールカウンセラーは「学校の中の人」ではない立ち位置なのですが、僕的には「中の人=学校で定期的に働いてる人」でいいかな、という整理です。とにかく学校はいい!しつこいようですが、学校というのは本当に素敵な場所です。たくさんの大人が、たくさんの子どもの成長と幸せを願っています。(保護者の方によってはそうは思えないこともあると思いますが、基本的には学校関係者は善良で前向きな方が圧倒的に多いと思います)そういう場に身を置くことによって、また僕自身も子どもたちの未来に思いを馳せられる。誰かの暮らしの中で働くと、こういう楽しみがあるのだなと感じています。
2021年06月01日教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?「教育支援センター(適応指導教室)」(以下、教育支援センター)は、主に小中学校を長期で休んでいる子どものために、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会等が用意した公的機関です。一部高校生を受け入れているところもあります。市町村や都道府県の教育委員会等によって設置されているもので、文部科学省のデータでは1142ヶ所、全国の自治体の63%が教育支援センターを設置しています(平成29年度調査 ※)。もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より標準的な呼称が「教育支援センター」とされました。指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士等の資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家が配置または派遣されている場合もあり、子どもや保護者がカウンセリングを受けるなどの機会を用意している教育支援センターもあります。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 | 文部科学省令和元年10月25日の文部科学省による「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、教育支援センターの定義は以下のように表記されています。2 設置の目的○ センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その社会的自立に資することを基本とする。以前は学校に戻ることが不登校の子どもたちへの支援のゴールとされていましたが、平成28年の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、不登校支援の視点として「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること」が明記され、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保のための場の一つとして、教育支援センターも位置づけられています。そのため、未設置地域での設置や、体制整備、機能拡充等が進められているのです。参考:義務教育の段階における普通教育に相当する 教育の機会の確保等に関する法律施行後の取組 | 文部科学省参考:平成28年「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」文部科学省どんな子どもが利用している?情緒的混乱や人間関係の不安を抱える子どもが多い出典 : 令和元年度の調査では、義務教育課程の不登校児童者数は18万人を超えています。不登校の理由は子どもによってそれぞれ。「友人関係」「勉強が分からない」「先生との関係」「クラブ活動に関する問題」など、学校生活を巡る問題が不登校のきっかけとなった子どもたちが多い一方で、「不安感」「生活の乱れ」「家庭の状況」などを挙げる子どももいることから、不登校の理由が複雑化していることが分かります。参考:令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 P.17 | 文部科学省その中で、教育支援センターに登録している児童・生徒の傾向としては、不安など情緒的混乱で「学校に行きたくても行けないタイプ」、人間関係がうまく築けない「人間関係によるタイプ」が多くなっています。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 P.14在籍者の状況 | 文部科学省また、不登校の子どものなかに、発達障害がある児童が増えているという指摘もあります。特性のある子どもに対する理解は社会全体として進みつつあるものの、一般的な小学校や中学校では適切な指導や支援がまだまだ不十分なこともあります。そのため、それぞれが抱える課題を克服できず、友達関係がうまく築けなかったり、勉強についていけなくなったりなどの問題が生じ、不登校になってしまうケースが増えています。参考:不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実 ~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~P.4 | 文部科学省このように、不登校の子どもたちにはさまざまな背景があるため、教育支援センターでの支援も個々にあわせた内容で実施され、学校復帰に限らないそれぞれにあったサポートの在り方が求められています。利用スケジュールや具体的な指導内容は?全国の教育支援センターは、終日で活動している施設がほとんどですが、なかには午前のみや午後のみで活動している教室もあるため、ホームページなどで確認が必要です。1日の過ごし方は子どもにあわせて調整がされることが多いですが、基本的なスケジュールは決まっているところが多くあります。例えば東京都武蔵野市「チャレンジルーム」の場合、1日の流れは以下の通りです。9:15~朝の会・読書9:30~個別学習学習はそれぞれで進め困ったことがあったら相談員に声をかける12:00~昼食13:00~集団活動スポーツ、調理など14:15~掃除・帰りの会14:45~帰宅通室スケジュールも、個々にあわせて調整される場合が多いようです。少ない頻度から通い始めたり、午後から通室したり、体調にあわせて早退したりなど、職員と相談し、無理のないペースで通うことができます。活動内容も施設によって異なりますが、学習支援、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどが実施されており、季節行事を取り入れている施設もあります。学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われており、授業形式の学習支援をしているのは30%未満となっています(平成29年度調査 ※)。決まったカリキュラムに沿って学習を進めるところと自習を主に行っているところがあり、教材は学校の教科書や持参した市販教材などが使用されます。また多くの施設で子どもとの個別のカウンセリングを取り入れており、相談やカウンセリングが不登校の子どもたちのサポートに欠かせないものとなっていることが分かります。同時に、保護者に対しての相談・カウンセリングも多くの施設で実施されています。子どもが不登校になったのは、自分の責任であると考える保護者も少なくないため、カウンセラーが話を聞きながら子どもへの対応のあり方を共に考えていくのです。必要に応じて家庭訪問が実施される場合もあります。施設によっては保護者会やグループカウンセリングなどがあり、同じ境遇の子どもを持つ保護者同士が話をすることで気持ちが楽になるなどの効果があったと話す保護者も多いといいます。保護者同士で互いの子どもへの対応について学び合う機会を提供している施設もあるようです。参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 P.18 | 文部科学省参考:学校適応指導教室「ひかり」| 長崎市教育委員会このほかにも、発達障害のある子どもに対しては、ソーシャルスキルトレーニングなどのプログラムを実施している教育支援センターもあります。障害の有無に関わらず、子ども一人ひとりの特性や興味関心に沿って、社会性や自信を高めるサポートをするのが教育支援センターの役割の一つです。参考:慢性疾患、心身症、情緒及び行動の障害を伴う不登校の経験のある子どもの教育支援に関するガイドブック | 国立特別支援教育研究所在籍する学校との連携も教育支援センターに通う中でも、やはり在籍する学校のことは気になりますよね。支援についての連携はしてもらえるのでしょうか。「教育支援センター整備指針(試案) 」の中では、教育支援センター(適応指導教室)と学校との連携について以下のように記されており、子どもの様子や支援の方向性、学習の成果などについての連携はもちろん、該当児童生徒が学校に復帰したあとも在籍校と連携して継続的なサポートを実施していくことが大切な役割の一つとなっています。8 学校との連携○ 指導員等は,不登校児童生徒の態様に応じ,その支援のため,在籍校との緊密な連携を行うものとする(定期的な連絡協議会,支援の進め方に関するコーディネート等の専門的な指導等)。○ 指導員等は,不登校児童生徒の学校復帰後においても,必要に応じて在籍校との連携を図り,継続的に支援を行うことが望ましい。○ 指導員等は,児童生徒の実情等の的確な見立て(アセスメント)にそった児童生徒の個々の回復状況を把握し,守秘義務に配慮した上で,本人,保護者の意向を確かめて在籍校に学習成果等を連絡するものとする。○ 指導員等は,不登校に関し,学校に対する専門的な指導・助言・啓発を行う。文部科学省のデータによると、連携方法としては、定期的に文書にて情報共有を行っている施設が約90%となっています(平成29年度調査 ※)。文章でのやりとり以外にも、教育支援センターの職員が在籍校の校長や子どもの担任などと定期的に面談を行ったり、定期的に子どもの面会のために教育支援センターを訪問したりするケースもあります。また、該当の児童生徒の支援会議に教育支援センター職員と在籍校教職員が同席し、ともに支援の方向性を検討することも。ほかにも、学校復帰を望む子どもに対しては、学校からの配布物やプリント教材を適応指導教室に届けたり、行事の案内の連絡をしてもらったりなど、少しずつ学校との接点を増やす関わりをする場合もあります。参考:適応指導教室との連携 |東京都教育相談センターなお、教育支援センターに通うことで、文部科学省が定める「出席扱い等の要件」を満たす場合、在籍校での出欠席について「出席」扱いにすることができます。この点も教育支援センターへ通室する大きなメリットと言えるでしょう。教育支援センターに通う公立学校在籍の小学生のうち約90%に、在籍校での出席扱いとする措置が適用されています。(平成29年度調査 ※)「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日別紙 | 文部科学省参考:「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果 | 文部科学省利用を検討するときには?対象となる条件や必要な手続きについて教育支援センターの利用には、自治体ごとに対象者の条件が定められています。例えば東京都目黒区の場合は、以下の通りです。対象区立小・中学校に在籍する長期欠席児童・生徒で、本人及び保護者が入級を希望し、在籍学校の校長が必要と認めるものです。また、沖縄県宮古島市の場合は、以下のように入室判定基準が設けられています。入室条件本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。保護者が教室への送迎が充分に可能である。入室判定基準学校へ行く意思があるが行けない。登校時になると、腹痛・頭痛・嘔吐・発熱などの身体症状を呈する。家に閉じこもり、ほとんど外出しない。対人的な接触を避ける傾向にある。精神的な疾患ではない。本人に「まてぃだ教室」に通室する意思がある。自治体によって異なる基準もありますが、大切にしたいのは「本人の意思を確認すること」です。不登校の子どもがいる場合、保護者や周囲の支援者が支援のステップを焦ってしまいがちですが、見学などを通して子ども自身が通いたいと思うか、通えそうかなど、気持ちを確認しておけるとよいでしょう。教育支援センターに通うには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的な手続きは自治体によって異なりますが、代表的な流れを見てみましょう。市町村によって「教育支援センター」「教育相談センター」「学校サポート教室」など異なる名称で相談窓口が設置されていることがありますので、まずはお住まいの地域の相談窓口を確認してください。代表的な手続きは以下の通りです。1.「教育支援センター」などへ面談を申し込む本人、保護者、そして学籍のある学校の考えが考慮されます。2.保護者が「入室願書」を記入・提出する保護者が「入室願書」を記入し、在籍学校長へ提出します。3. 在籍学校長が「入室申込書」を作成・提出する保護者から提出された「入室願書」を元に校長が「入室申込書」を作成し、「教育支援センター」に提出します。4.「入室決定通知書」が送付される「教育支援センター」から学校と保護者へ「入室許可通知書」が送付されます。通室が決定したら、職員と本人や保護者が相談しながら、通室スケジュールや取り組む内容などを決定していきます。個別の支援計画を作成し、支援内容などについて利用継続の必要性などについて定期的な検討を行う施設もあります。不登校の子どもが利用する「フリースクール」とはどう違う?不登校の子どもが利用する施設として「フリースクール」の名前を聞いたことがある方も多いと思います。教育支援センターとフリースクールはどう違うのでしょうか。教育支援センターは公的な機関ですが、フリースクールは個人や民間企業、NPO法人等の団体が運営しています。そのためフリースクールの場合、支援の方針やカリキュラム等は運営団体によって異なります。また、公的な機関である教育支援センターは利用に費用が発生しないのに対し、フリースクールは各施設ごとにかかる費用が異なります。身近に教育支援センターもフリースクールも両方ある場合には、見学などを通して支援内容、費用、施設の雰囲気等を確認して検討できるとよいですね。なお、フリースクールへ通う場合に出席扱いとされるかどうかは校長による判断となるため、相談しておく必要があります。不登校の子どもたちが自分に合ったサポートを受けられるように不登校の子どもをサポートする「教育支援センター(適応指導教室)」では、さまざまな方法で子どもたちを支援していることが分かりました。通うことで「出席扱い」になることが多く、学校とも連携してサポートしてくれることから、子どもも保護者も安心して毎日を過ごせるようになるのではないでしょうか。活動内容や利用頻度も個々にあわせて調整されるため、発達障害のある子どもの場合も、相談しながらそれぞれに合ったサポートを受けることができます。不登校の子どもが抱える不安や課題はそれぞれに異なります。それらを乗り越え社会のなかで自立できるよう、焦らずに日々を過ごすための手段の一つが、教育支援センターの活用です。教育支援センター以外にも、不登校の子どもをサポートする制度やサービスはさまざまです。不登校の悩みを抱えている子どもや保護者はまずは抱え込まずに、市町村の相談機関に連絡してみてはいかがでしょうか。※は平成29年度調査、令和元年発表の「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果データを引用しています。
2021年04月30日“自分らしい人生を描くライフプラン”実践するコンサルタント2名をご紹介Upload By LITALICOライフ(写真・左)大手教育関連企業に入社後、会社の経営に従事しつつ、地域に根付いたサービス提供を推進。中学から大学までの入試全般から、普段の学習方法や不登校等々多くのご相談を経験。現在は、進路選択から習い事へのアドバイスや教育費の備え方など広く相談を実施している。(写真・右)中学時代にいじめに遭ったこと・障害のある家族がいることから「人と人/人と環境の境目にある壁をこわすこと」を軸にする。当事者の家族であることから、家族の心のケアや障害年金、また「よくわかる高校受験」勉強会の開発者でもあり、入試全般、不登校問題の相談経験も豊富。LITALICOライフの面談はどのようなことをする?LITALICOライフ編集部(以下、ーーー):お二人は、発達障害・特性のある子のご家庭と日々ライフプラン面談をしています。面談ではどのようなことをするのでしょうか?加藤晋太郎さん(以下、加藤):ご家庭の多くは、子どもや家族の将来について「もっと良くなりたい」という気持ちがあります。そのお手伝いです。髙橋基さん(以下、髙橋):発達特性のある子は、進路や自立後の情報が手に入りにくいですよね。我々は情報を持っているので、整理しながら「どうありたいか」「どうすればそれが実現できるか」を一緒に考えます。よくある相談内容は?意外に多い「何からすればいいのかわからない」Upload By LITALICOライフーーご家庭からはどのようなご相談が多いですか?加藤:「行ける高校はあるか」「将来就けそうな仕事はあるか」など…ご家庭によってさまざまです。「何から考えたらいいかわからない」という方も意外に多いですね。髙橋:多いですね。ーー「相談内容がわからない」ケースもあるのですね。加藤:「何かを変えたい」と思いながらも、整理する時間が日常でとれないのだと思います。髙橋:面談は、そういった保護者さま自身の幸せや「実現したいこと」を再認識していく場でもあります。自分の願いを見つけるコツは「普通」「他の人と同じに」を一度忘れることーー保護者さま自身の「実現したいこと」は、どのように整理・再認識していくのでしょうか?加藤:例えば子どもの進路や趣味探しであれば、保護者さまは、子どもの特性や性格をよく知っています。それらを言葉にして整理していくだけでも、「実はこれが向いているかも」「一度挑戦してもいいかも」と見えてくることがよくあります。髙橋:保護者さま自身のことであれば、例えば「どうやったらうちの子は大学に行けますか」という質問もよく受けます。加藤:受けますね。髙橋:その場合、「なぜ大学に行って欲しいのか」「保護者さまにとって大学とは何か」と会話していくと、中には「やっぱり価値のあるものだから行って欲しい」という方もいれば、「よく考えたら行かなくてもいい」という方もいます。ーー会話していくなかで、考えが変わることがあるんですね!加藤:変わることもありますし、自分でも気づいていなかった価値観が見つかることがありますよ。髙橋:「わたし、こんなこと思っていたんですね」って言われますよね。加藤:「普通にしなきゃ」「他の人と同じにしなきゃ」と感じることがあると思いますが、世の中変化しています。例えば、コロナによってオンラインの活用など、学びのかたちも変わってきていますよね。最終的には自分たちの「こうしたい」という気持ちが大切だと思います。進路選択や相続。一般的に「良い」と言われていることも、詳しく知ると…?Upload By LITALICOライフ髙橋:「情報を正しく知る」のは重要ですよね。加藤:重要ですね。例えば「通信制高校が良いらしい」という情報があったとして…髙橋:卒業率や大学進学率、実際のカリキュラムなどを見てみると、相性の良い子と悪い子がいます。ーー通信制高校は今、注目されていますよね。子どもによって相性があるのでしょうか?加藤:はい。授業の受け方や、同世代とのコミュニケーションは独特な部分があります。「良い」と言われていても、合うかどうかはお子さま次第です。髙橋:面談で、人生にまつわる先の話をしていくと、相続の話にもよくなりますよね。ーー相続というと、親なきあとのお金のことでしょうか。お金持ちのご家庭が気にされそうですね。髙橋:お金のあるなしは、あまり関係ないかもしれません。人の別れは、避けては通れないものですから。加藤:保護者の方は「今」がとても忙しいので、考える機会がない方が多いと思います。面談では、将来や、保護者の方の家族の話になることもあります。すると「意外に時間がない」「突然のことで困る事態は避けたい」という気持ちになる方は少なくないですね。ーー相続というと専門的な印象がありますが、そういったことも相談できるんですね!髙橋:そこが私たちの強みです。現実的な家族関係やお金の問題をクリアしたうえで、「実現したい」ことに向き合いたいですからね。加藤:相続に関しても「子どもにお金を託しても管理できないから遺さないほうがいい」という意見もあります。でも、遺し方はいろいろあります。他の人に託したり、月々一定額届くようにしたり、一部の金額だけ渡したり。髙橋:その子が一人っ子ではない場合は、きょうだいのことも大事ですね。ーー将来のこと、きょうだいのこと、自分の親やお金のこと…。いろいろなことを繋げて相談できるんですね。加藤:相続や法律についても私たちは情報があるので、保護者さまは「どうありたいか」集中して考えられると思います。面談は「自分の意志で人生を描きたいと感じられる」「保護者さま自身の幸せを考える」場Upload By LITALICOライフーー最後に、保護者さまにとって面談がどういう場であってほしいか、教えてください。髙橋:保護者さまは、子どものことをすごくよく考えていらっしゃいます。だからこそ、あえて「今はあなた自身の幸せを考える場です」とお伝えしています。守りたいことや起きてほしくないことを整理して、自分たちにとっての形を追求することを、私は手伝いたいです。加藤:人生の時間は有限だと、私自身よく感じます。これからの数十年を俯瞰すると、自分ができることには物理的に限りがあります。生きているなかで何をしたいのかは、人や家庭によってさまざまです。「自分の意志で人生を描きたい」と感じられる、価値のある場にしたいと思っています。ーーありがとうございました。加藤晋太郎さんのプロフィール・無料勉強会はこちら髙橋基さんのプロフィール・無料勉強会はこちらLITALICOライフでは、発達障害のある子のご家庭と日々、「進路」や「将来」といったライフプラン(人生設計)について相談・面談をしています。14以上のテーマの無料勉強会を開催していますので、気になる方は参加してみてください。勉強会のあとに、個別の無料面談を希望することができます。LITALICOライフは、誰もが「自分らしい人生」を歩んでいけるよう、さまざまな興味・課題に合わせた情報提供や個別相談を通じて、そのひとりに合わせたライフプランニング(人生設計)をサポートしています。無料勉強会では、就学準備、地域ごとの進路情報、通級、支援級、グレーゾーンの子、不登校の子、親なきあと、私立中学受験まで、幅広く家族のための情報提供をしています。
2021年04月29日いじめで引きこもりに…「半分死んでいた」飲食関係の会社で働く父親と、元保育士の母親のもとで育った古橋さん。6歳上の姉とともに暮らしていた。中学1年の10月ごろから不登校になった。原因は、小学生時代から続いたいじめだった。「人がもうダメになって。小学校6年の終わりにいじめが始まったんです。小学校の人たちと縁が切れて、中学校に入ったら中学校で縁ができた人たちにもいじめられて……。あぁ、ちょっと無理、ってなって。自分の中で、引きこもりになるってことはすごくいけないことをしたっていう、人を殺すよりもいけないことをしたって考えていました。当時は、信号の赤を渡ったら地獄に落ちるぐらいの勢いで凹んでいたから。だからもう引きこもりになるってことは死ぬっていうか、半分死んでいるみたいな。生きてはいるけど。なんか死んではいないだけって感じで捉えていました」(古橋さん)Upload By 桑山 知之よく忘れ物をする子供だったという古橋さん。引きこもっている間に、自閉症スペクトラム障害だと診断を受けた。19歳の頃、鬱のため通院もしたが、なんとか苦しみを乗り越え、愛知県内にある通信制の高校や放送大学を卒業した。その後、就労支援のサービスを受け、エクセルやワードなどの資格を取得。2019年、晴れて貸し会議室などを運営・管理する会社にパートとして就職した。業界大手の一流企業だ。「その会社は時給社員っていう肩書きがある会社でした。社員だけどパートっていう、契約社員でも正社員でもなかった。営業の人が使う情報を入力して、資料を作成するような仕事ですね。そういったところでVBA(ビジュアルベーシック・フォー・アプリケーションズの略。Microsoft Officeに含まれるアプリケーションソフトの拡張機能のこと)を 使って、メールの下書きが自動で作れるようにしたりしていました」Upload By 桑山 知之襲い掛かった“コロナショック”就職から1年余りで週4日勤務、時給900円。手取り月収はおよそ7万円。決して裕福な生活こそできないが、それでも古橋さんは「正社員のような長時間労働は自分には難しいだろう」と、無理をせずに仕事に励んでいた。しかし、世界的なパンデミックの波が、古橋さんを襲った。「去年の春からコロナが流行って、不要不急の業務はやめるってことになって、お休みになったんです。それからずっと自宅待機になって、結局9月に退職しました。貸し会議の業界自体がお客さんを集めて運営するようなものなので……。人が集まれない状態ですから」(古橋さん)Upload By 桑山 知之「密を避ける」という時節柄、部屋に人が集まって会議をするという需要は激減した。自宅待機中、古橋さんは雇用調整助成金のおかげで給料のうち6割は支給されていたものの、「会社も運営が難しくなって人員を減らさないといけなくなり、その関係で切られた」という。現に、古橋さんと同じ立場であるパートは全員退職していた。「そりゃショックでしたよ。でも、しょうがないかなっていう思いが強かったですね。だってコロナの状況でしたし。なんでこうなったのかっていうのも、自分のせいじゃないってわかるし。じゃあ、就職活動頑張らなきゃなって」(古橋さん)Upload By 桑山 知之コロナと距離「自分を受け入れてほしい」元々は正社員志望だったという古橋さんだったが、飲食関係の中小企業で正社員として働く父親が朝から仕事に出て、翌日未明の2時や3時まで自宅に戻らない姿を見て、子どもながらに「これは無理だ」と悟った。社会情勢の影響を受けるのは経済面などで「弱い立場」の人間であることが多い。旧来の“当たり前の幸せ”すらまともに享受できない現代において、新型コロナウイルスは、こうした社会と市民との距離をはっきりと顕在化させているのではないかと筆者は思う。「いま、社会に望むことはあるか」との問いに、古橋さんはこう即答した。「そりゃあ自分を受け入れてほしいってことじゃないですか。社会に出て、パートナーを得て、家族ができて、成功できればなって。社会に受け入れられるっていうのは、僕はその2つだと思います」(古橋さん)社会との距離をあぶり出した、新型コロナウイルス。引きこもりで通信教育だったため友達作りの場が不足していた古橋さんは、親以外に相談相手がいない。取材中も「僕たちには相談相手が必要だ」としきりに話していた。古橋さんに愛情を注ぎ続けていた母親は、取材時にガンで入院中だった。その後、3月18日に息を引き取ったという。Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之正しいからおもしろい行き着いた“適者生存”古橋さんは、去年11月から再び就労支援のサービスを受け始めた。幸い、以前も担当していたスタッフが在籍しており、また受け持つことになったそうだ。古橋さんがいま大切にしていること。それは「正しくないとおもしろくない」ということだ。「別に誰かに正しさを教えられたわけじゃないけど、自分の中でいつのまにか形成されたこだわりなんです。正しくないと楽しくないし、おもしろくないんです。正しくないよりは正しいことを楽しく感じますし」(古橋さん)Upload By 桑山 知之図書館に行っては歴史や社会、政治、自然科学といった専門書ばかりを読み漁る。その中で、ある言葉と出会った。いまの古橋さんの心を支えているという。「自分が最近好きな言葉が『適者生存』で。適しているから生き残るっていう意味らしいんですけど、実はそうじゃないんですよね。生物学の本に書いてあったんですけど、『生き残ってるのがすべて適者なんだ』って考え方なんです。適してないものは滅ぶんじゃなくて、すでに滅んでるんだって。だから、発達障害があるってことは環境に適していないっていうことではなくて、『生きているってことはすでに適している』っていう意味で適者なんだって」(古橋さん)Upload By 桑山 知之Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年04月25日発達障害・感覚過敏のある子は、電車通学のハードルが高過ぎる件出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは、通学電車にまつわるお話を…。発達障害&グレーゾーンの子や、感覚過敏のある子は、電車通学…特に満員電車での負担がとても大きいでしょう。なぜなら、・感覚過敏のある子の身体接触等の苦手さ問題・ADHDのある子のうっかり忘れ問題・ASDのある子の予測不能な事態でのパニック問題…などがあるために、ハードルが特に高いのです。これらの問題は、決して大げさではなくて、せっかく受験で希望の学校に合格しても、「通学電車の負担が大きすぎて、不登校になったり、自主退学や転校を考える生徒さんもいる」と聞くほど。(実はうちのパパも若いころ、電車通勤の負担から大企業を辞めて、研究の道に入り直した人なのです)ですから、うちの長男・次男の中学受験では、最初の学校選びの段階で本人と相談しながら、例えどんなに素晴らしい学校でも、通学に1時間以上かかる学校や、複雑な乗り換えや混雑路線を使わざるを得ない学校などは、予め志望校リストから除外してしまいました。そして無事、長男・次男共に、ドア・ツー・ドアで1時間以内・乗り換え1回の私立中高一貫校に入学できたものの、小学校を卒業したばかりの当時若干12歳で、満員電車での通学に挑まなくてはなりませんでした。そこで、うちで親子で行ってきたさまざまな工夫や対策など、通学電車にまつわる諸問題の乗り越え方を、新型コロナの影響下での通学状況の変化も踏まえつつ、ご紹介していきますね。電車の使い方と身体接触に徐々に慣らす!出典 : うちでは、まず、「電車自体に慣れる」ところから、スタート。それまで、うちは地方在住なので普段の移動は車か自転車中心で、電車は年に1度の祖父母宅への新幹線での帰省程度でしたから。そこで、小学生の受験勉強時代から、学校見学や体験授業参加の際には、「実際の通学ルート」を使うことに。そして、本人用の交通系ICカードをつくり、券売機でのチャージの仕方、基本的なマナーなど、”いろはのい”から時間をかけて教えました。基本に慣れたら、次は、時間の余裕があるときに、トラブル時などを想定して、ワザと降車駅を乗り越してみたり、途中駅でトイレを借りたり、別の路線で遠回りして帰ってみたりも…。この際、「こういう時、どうすればいいと思う?」などの声かけで、なるべく本人が自分で判断できるようにして、それでも難しいときには、「駅員さんに聞いてみようか」「この場合は、こうすればいいんだよ」など、具体的に”困ったときには、どうすればいいか”を教えました。こうして、受験シーズンくらいには、電車にかなり慣れたので、「今日は〇太郎についていくから、かあちゃんを〇〇中学まで連れてって」と、(多少間違っても)なるべく手出し口出しせずに、見守るようにしました。出典 : そして、最後の難関、朝の通学時間帯の満員電車!志望校の合格後、長男と試しに朝のラッシュ時に一緒に電車に乗ると、今までとは別次元の混雑ぶり。身体接触が苦手な長男は「人が多すぎて、乗換駅で降りられない!!」「押されてどこにも掴まれない…」「いろんな匂いでキモチワルイ」とパニック寸前の涙目に。やはり、かなりハードルが高かったようです。そこで、本人と作戦会議をし、「満員電車よりも早起きのほうがマシ!」という結論に…。学校に門が開く時刻を聞き、朝は一番乗りで登校することにしました。ピーク時よりはかなりマシですが、それでも結構混んでいるので、入学後の最初の一週間ほどは、私も一緒に電車に乗って、「今日は一駅手前まで」「今日は乗換駅まで」と、様子を見ながら日毎に付き添う距離を短くしていき、最後は最寄り駅から見送るだけに。つまり、うちでは、親は「ステップを踏んで徐々に慣らし、だんだんと手を離す」ことで、子は「それでも無理なことは、人に相談し、できる工夫する」ことで、なんとかしました。ちなみに、3年後の今では、長男も混雑に慣れ、登校時間もずるずると遅くなってきましたが、「コロナのことで、ピーク時も多少人が減ってる気がする」とのこと(確かに、近隣地域ではマイカー・自転車通勤も増えています)。マスク着用の上、車内の換気もされているので、匂いへの負担も減ったよう。また、学校側も感染が拡大している時期は、オンライン授業や分散登校など、柔軟に対応してくれるので、潔癖で心配性の次男もホッとしている様子です。うっかり忘れの自覚と、持ち物の工夫と習慣化Upload By 楽々かあさん身体接触の次に懸念されたのは、うっかり屋の長男の電車での「忘れ物・落とし物」と、降車駅での「乗り過ごし」問題です。そこで、長男の通学用のリュックは、図のようになりました。元々、「よくなくすものには、ヒモをつける!」が、うちの忘れ物対策の鉄則。特に、定期とスマホと財布と家の鍵などの大事なモノは、フックのついたスプリング式のコード(通称「びょんびょん」。100円ショップのキーホルダーコーナー等で入手可能)をまとめ買いし、それぞれつけるように習慣化(※フックがかからない箇所は、カラビナやリング、バッグのタグなどと組み合わせる)。たったこれだけで、長男は今までスマホも定期も、一度も落としたことはありません(「びょんびょん」だらけで、年頃の子には少々カッコ悪いかもしれませんが、背に腹は変えられません!)また、今では長男も"自分はよく忘れる"自覚があるので、電車を降りるときには、座っていた座席を目視したり、制服やリュックのポケットなどを手触りで毎回ポンポンと確認したりする習慣をつけているのだそう。出典 : そして、「乗り過ごし」対策も、あまりに当たり前のようですが、長男自身が「自分で、気をつける!」ことで、対処しました。ここで大事なのは「どうすれば、気をつけられるか」を、具体的に考えることです。長男は、"自分がかなりうっかりしている"ことも十分自覚しているので、例えば、通学中にスマホで好きなサイトや動画を見ていると、つい、目的地の駅で降り忘れてしまうことをよ〜く知っています(実際、何度かやらかしました)。そこで、シンプルですが、学校の最寄り駅の数駅手前の大きな駅で、人が沢山乗り降りするので、「その駅になったら、スマホをやめて、アナウンスを聞く」ように習慣化しているそうです(これだと、視覚・聴覚を使っていても気づくとのこと)。スマホの乗り換え案内系のアプリにも、位置情報から降車駅が近づいたら通知やバイブレーション機能で知らせてくれるものもあるので、長男と似たようなお子さんは、自分が気づきやすく習慣化しやすい方法を見つけるといいでしょう。また、親の私のほうは、最初のころは位置情報アプリなどを使って、学校に無事到着したり、設定した範囲から長男が出たら通知が届くようにしたりもしました。ここでの大事なポイントは、自分(我が子)の特徴を自覚して工夫し、それを「習慣化する」ことだと思います。不測の事態には、事前知識と「こうすれば、大丈夫」という対処法!出典 : そして、「いつもと違うこと」「予測不能なこと」が苦手な子は、"電車が予定通り動かない”ことなどに遭遇すると、強い不安やストレスを感じたり、場合によってはパニックに陥ることもあるでしょう。でも、ご存知のように、電車の運行は、事故や故障などの他、急なゲリラ豪雨や、大雪、台風、地震などの気象条件や自然災害などによっても、突然止まったり、ダイヤが乱れたりすることがあります。うちではまず、「電車には、こういう可能性もある」と、予め、一緒に電車に乗っているときや、テレビのニュースなどを見ながら話し、さまざまなケースを”知識として”教えました。事前知識が少しでもあれば、実際にアクシデントが起こったときの衝撃がかなり違いますから。そして、前出の「通学リュック図」にあるように…・財布の中に非常用の千円札と保険証のコピー、自宅の連絡先・サバイバルセット(応急手当、ビニール袋、非常用トイレ、他)・晴雨兼用折りたたみ傘・頓服薬(頭痛・腹痛用など)…などを、常時入れっぱなしで「もしも」に備えています。それに加えて、特に役立った"不測の事態"への対策は、長男自身による「防災訓練」でした。出典 : 実は長男は、小さなころから「地震怖すぎる」等と、自然災害に対する恐怖心が人一倍強かったことで、逆に知識が豊富になり、日頃から防災意識が高く、何かと災害対策を実践するようになりました。その一環で、中1のあるときに、地震などで帰宅困難になったときを想定して、「おれ、1回、学校から家まで歩いて帰ってみる!」と言いだし、午前授業だけの日の帰りに、3時間ほどかけて徒歩帰宅しました(以来、年1度くらい、徒歩帰宅しています)。これで、「もし電車が止まっても、歩いて帰ればいい」と実感でき、かなり安心できたようです。そして実際に、この経験が大活躍しました。昨年の春のコロナ休校明けに、次男がようやく中学初登校できた日のこと。なんと、帰りの電車が、突然のトラブルで急に全線ストップしてしまいました。学校の最寄駅付近で、周囲が大混乱の中、合流して私に電話をかけてきた長男と次男によれば、「タクシー乗り場はすでに長蛇の列で無理そう」とのこと。でも、私が「もうすぐ長女が小学校から帰ってくるから、スグには車で迎えに行けない」と伝えると、「じゃあ、歩いて帰るか、〇次郎!おれ、道分かるから、大丈夫〜」と、長男は慌てず騒がず、次男と一緒に歩き出しました(乗換駅から復旧していたので、そこから通常ルートで帰宅)。やがて、「ただいま〜」と、ぐったり次男と共に、ケロリとした顔で無事帰宅した長男を見て、「あの〇太郎が、随分パニックに強くなったなあ」と、私は彼の成長を頼もしく感じました(ちなみに、現在は「痴漢冤罪怖すぎる」と、ネットで誤解されない対処法を検索しまくっています)。予測不能な事態も、事前の知識と、「こうすれば、大丈夫」という対処法が分かっていれば、案外落ち着ける場合も多いのではないでしょうか。多様な通勤通学方法の普及で、下がるハードルも…出典 : 現在、新型コロナウイルスによる影響が長期化する中で、発達障害&グレーゾーンや、感覚過敏のあるお子さんは特に、学校・日常生活の中での負担や不安・ストレスを感じる場面も多いことでしょう。その一方で、テレワークやオンライン授業の推進、通勤通学時間の分散化、マイカー通勤や徒歩・自転車通学の増加などによって、多様な通勤・通学方法が社会全体で模索される中で、高かった電車通学のハードルが多少下がってきた部分もあるように思います。これを機に、多様な子どもたちの通学の負担が少しでも減って、本来の学校生活に集中できるように願っています。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年04月20日ウーマンエキサイトの読者のみなさまこんにちは、ちょっ子です。今回は、小学生の息子・きゃん太が学校に行くのを見送る時に決まって行う、ちょっとしたルーティンについてのお話です。見送る時のルーティン、それは行ってらっしゃいのハグをすること。これだけは息子が小学校に入った日から毎朝、絶対に欠かしていません。というのも、幼稚園の時は毎日車で送迎し、幼稚園の中に入るまでをこの目で見守ることができましたが小学生になってからはうって変わって、一人で歩いての登校…!心配で心配でたまらず、新一年生の頃は毎朝息子を抱きしめ、くれぐれも気をつけるよう何度も言い聞かせ送り出していました。その名残で、今もこれをしないと何だか落ち着かないのです。朝、どれだけ怒っても必ず玄関でハグをして、笑顔で送り出します。 夫からは「儀式」と呼ばれ、ちょっとキモがられていますが…。こんなこともふと考えてしまったりするんです。ほら、人生って何が起こるかわからないから?最近は反抗的な態度をとったり、一人で過ごしたがったり、少しずつママ依存状態から脱しつつある息子。いつまでハグさせてくれるのかわからないけど、本人が嫌がるまではこうして送り出したいなあと思っていたら…息子の手がプラーンとしたまま!ぼちぼち「もうやめて」と言われそうな兆候が現れ始めています!
2021年04月19日学校のルールが理解できず、独自路線で突き進むコミックエッセイ『毎日やらかしてます。』シリーズや、ドラマ化もされた『透明なゆりかご』などの作品が人気の漫画家、沖田×華さん。『毎日やらかしてます。』シリーズでも公表している通り、沖田さんにはADHD、ASD、LD(学習障害)のトリプル発達障害があります。「漫画家になってからは、別の世界に転生してきたみたいだ」と語る沖田さんに、現在の仕事に至るまでのお話をお聞きしました。――沖田さんは幼少期、どのようなお子さんだったのでしょうか?沖田×華さん(以下、沖田):小学校入学前は、漢字を読むことが得意で、通っていた公文式では算数で満点をとっていました。だから、親は「頭がいい子どもだ、きっと小学校でもうまくいくだろう」と思っていたらしいのですが、実際は入学式のときから浮いていましたね。Upload By 姫野桂沖田:入学式当日、靴下も上履きも忘れて、集合写真は1人だけスリッパを履いて写っていて(笑)。周りはきちっとした姿勢なのに、自分だけ姿勢もふにゃんとしてて、じっとしていられない感が写真にもあらわれていました。入学式の日って、自己紹介があって、仲良くなった子と一緒に帰ったりしますよね。わたしは、そのとき一緒に帰った友達が「一生一緒に帰る友達」なんだと思い込んで、毎日同じ子に声をかけていました。一度起こったことが、ずっとそのまま再現されるわけではないと理解できないことがよくありました。――そうだったんですね。他にも、何か周りの子と違う行動をとっていたことはありましたか?沖田:ハサミやノリなどが入った「お道具箱」の扱いで先生に叱られて、納得できずに意見を曲げなかったこともありましたね。わたしはお道具箱を大変気に入って、家に持ち帰り、中身を1つも学校に持って来なかったんです(笑)。それを見た同級生たちが代わりのお道具箱を作ってくれたんですが、喜んでいたら先生に取り上げられてしまって。先生からは「なんで自分のお道具箱があるのに家から持ってこないんだ」と言われましたが、「だってこのお道具箱はわたしのものなんですよね?だからわたしがどういう使い方をしてもいいんですよね」と答えて、納得しないことには絶対に謝らなかったらしく…。何かこだわりがあって、クラスの中でわたし1人だけが止まってしまうことも多々ありました。あとは、「テスト」というものの意味を理解していませんでした。例えば、学校の算数のテストだとランダムに足し算が出てきますが、わたしは丸暗記していた公文式のテストの答えをそのまま書いていたんです。母親には「これは公文式の問題じゃないんだから、問題文をちゃんと見ろ」と何度も言われましたが、まったく理解していなかったらしいです。Upload By 姫野桂――となると、自然とテストの点数は低くなりそうです。沖田:そうですね。算数はよく0点をとっていました。でも、全部の教科が悪いのではなく、算数だけが異常に悪くて国語は答えをすごく暗記できる、みたいな、凸凹のある子でした。成績が悪いと親に怒られるので、小・中学校ではいつも成績を改ざんすることを考えていましたね。数学のテストで200点満点中30点しかとれていないのを、数字の「1」を加えて130点にしたり、通知表の「1」に線を付け加えて「4」にしたりとか(笑)。結局バレて怒られるんですが、勉強どうこうというよりも、どうしたら親に怒られずに済むかで頭がいっぱいでした。家に帰ると「学校モード」ではなくなってしまうので、そこからうまく切り替えられず、宿題をするのも苦手だったんですよ。「どうしたらこれをちゃんとできるのかな?」と考えて、町内で勉強のできる同級生のところへ「勉強教えてー」とお菓子を持って行き、やってもらっていました。友達がほしくて入っていた文通部でも、わたしは字がキレイに書けなかったので、友達に「50円あげるから書いてくれ」って頼んで文面を言ったりして(笑)。そんな風に、お菓子やお金を渡して等価交換みたいなつもりで、できないことを人に代わりにやってもらっていました。人と関わろうと思ってはいるのですが、どこかやり方が間違っているというか、子どもらしくないというか…。そんなことばかりしていましたね。Upload By 姫野桂発達障害の自覚がないまま過ごした思春期――沖田さんは、発達障害の診断を小学生のときにすでに受けていたと漫画にも描いてらっしゃいますよね。Upload By 姫野桂沖田:はい。小学4年生のときにADHDとLDの疑いがあるとの診断を受け、ASDの診断は中学生のときに受けました。でも、発達障害の自覚はまったくなくて、「前ならえ」のような集団行動をこなしたり、おとなしく授業を受けたりしている同級生を見て、「この子たちは全員ロボットで、わたしこそが人間」と思っていましたね。「こっち来て」の一言で言うことを聞く人たちが人間に見えなくて。パッと顔を上げると、わたしが1つのことを続けているうちに、全然世界が変わっているんです。昼休みが終わって席に戻ってきたら、みんなが席についてわたしを見ていたこともありました。なんだろうと思ったら、給食が終わった瞬間に、わたしが「ごちそうさま」を言い忘れて教室を飛び出していったから、連帯責任で全員の昼休みがなくなってしまったらしいんです。でも、肝心のわたしは「みんな戻るの早いな」と思っていて、一切その罰がこたえていなかったので、先生は悩んでいたようです。――連帯責任や根性論の時代だったんですね。沖田:そうですね。忘れ物をしたときは「なんで忘れるのか」と理由を問い詰められましたが、「忘れました」以外に答えようがなくて。「忘れた」という言葉が通用しないなら、もう何も言えないなと、小学3年生のころには、場面緘黙症になってしまいました。担任にもひどくいじめられていたのですが、「一生は続かないだろう」「これさえ耐えれば、わたしはもう自由!」と思っていましたね。でも、中学ではもっと地獄を見ました(笑)。Upload By 姫野桂参考: LITALICO発達ナビ「場面緘黙(かんもく)の原因とは?声が出ない要因、子どもの緘黙はなぜ起こる?大人の場合は?について解説」――中学校ではどのようなことがあったのでしょうか?沖田:特に中学1年生のときは、担任との相性が最悪でした。わたしが生まれた時代は第二次ベビーブームの終わりごろだったので、中学は1学年330人ぐらいだったんです。その中で、わたしは成績が330人中280番ぐらいで。「あ、良かった、わたしの下にこんなにいっぱいダメなやつがいる」と思っていたら、成績が悪いのは男子ばかりで女子はわたしだけ。それで目をつけられてしまって…。体罰自体は小学生のころもあったのですが、中学からは胸をつねるような性的な体罰もありました。良くないことですが、当時はそういうことが学校でまかり通っていた時代で、私自身もまだ中学生のころは、体罰と性的な加害の区別が難しかった気がしますね。他には、生理に対する嫌悪感も強かったです。生理が始まってからは、感覚過敏で、とにかく下着をつけるのが苦痛でした。スポーツブラのゴムでかゆくなってしまったり、生理用の小さいショーツそのものや、ナプキンに経血のつく感じがすごく嫌だったり。自分がにおいに敏感だったからかもしれませんが、生理中は周りにバレないかとすごく気にしていました。今は下着や生理用品の選択肢も増えましたが、そこで大変な思いをしている女の子はいると思います。親のすすめで看護師になるも、人と働くことの複雑さに悩む――高校では看護のコースに進み、その後専門学校を卒業して看護師として働き始めたとお聞きしました。なぜ看護師になろうと思ったのですか?沖田:これはもう親の刷り込みですね。家は自営業のラーメン屋、母親は「とにかく手に職をつけろ、看護師がええ」「とりあえず女は免許を取ったら一生食いっぱぐれないし幸せになれる」ということを口癖のように言っていました。わたしは一生一人でいいやと思っていたし、特になりたいものもなかったので、親がやれっていうならやったほうがいいのかなあと受け身で選択しました。結果、大失敗でしたけど(笑)。Upload By 姫野桂――大失敗ということは、看護師の仕事はうまくいかなかったのでしょうか。沖田:看護師に限らないと思いますが、まず社会に出たときの人間関係の複雑さには困りましたね。はっきりした役割もないし、「この人はフレンドリーに話しかけてくれるけど内心は違う」とか、「実はこの人たちは敵対しているから、聞いた悪口をそのまま伝えちゃいけない」とか、そういう暗黙のルールが全くわからなくて。わたしが入ってきたことにより、職場の人間関係がめちゃくちゃになってしまうこともありました。聞かれたことに答えていただけなので、どうしてわたしのせいだと言われるのかもわかりませんでしたが、気がついたら自分が嫌われてしまっていたという…。日によって相手のテンションが変わることにも対応できませんでした。昨日同じことをやって「うん」と言っていても、翌日は機嫌次第で「ダメ」となることもある。そうなると、もう何もできなくなってしまいました。わたしの場合は、最初に教えてもらったことが一生のマニュアルになってしまって、新しいルールが加わってもアップデートできないんです。「タオルを畳む」という作業ひとつとっても、前に勤めていたところで覚えた畳み方を、いくら注意されても繰り返してしまって。自分としては丁寧に畳んでいたつもりでも、職場の人にとっては使い勝手が悪くて迷惑だったみたいです。そういう認識のズレを、当事者はわかっていない。就職しても、そういうところでつまずいてすぐに辞めてしまう人もいると思うので、できれば学生のうちに、コミュニケーションのとり方の基礎を教えてほしかったです。学校でSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)も受けられたらよかったんですが、当時は先生たちも知らなかったんだろうと思います。参考: LITALICO発達ナビ「ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて」 By 姫野桂22歳ではっきりと「人と違う」ことを自覚する――沖田さんは、漫画家になる前に性風俗で働いた経験についても、コミックエッセイで描かれています。沖田:看護師として働いている途中から、昼は病院、夜はおっぱいパブという働き方をしていました。看護師時代はワーカホリックで、「働いていないと生きている意味がない」と感じることもあったんです。当時はお金を貯めることが唯一の生きがいになっていましたし、肉体労働としての共通点も感じていたので、あまり抵抗もなくおっぱいパブで働き始めました。それまではあまりにも人のことに興味がなかったので、わたしなりに「人間を知りたい」とも思っていたんです。お客さんには「明日結婚するから最後に遊びに来た」「嫁さんがもうすぐ出産で、しばらく性的なことはできないから来た」などと話す人がいたり、社会的地位は高いけれどマナーの悪いお客さんもいたりして、「人って、普段外から見える部分だけではないんだ、いろんな要素が固まって人格になっているんだな」ということを知りました。これは、後々漫画をつくるにあたって非常に役立つ考察になりましたね。Upload By 姫野桂沖田:風俗の仕事は、中身のある会話をしなくていいところも息抜きになりました。60分チヤホヤしたら対価がもらえるというのが、シンプルですごく性に合っていたんです。同僚の女の子たちとの希薄な関係も好きでしたね。仮の名前や性格でも通用する世界は、とても気が楽でした。それでも、当時は看護師をメインの仕事に据えていました。本当は看護師の仕事に一生を捧げたかったんですが、正看護師として美容整形科で仕事を初めて3日目ぐらいで、初めて「人と違う」という自覚が出てきたんです。22歳のときでした。――「人と違う」というのは、どういう感覚ですか?小学生での、周りがロボットに思えるという感覚とは違うものでしょうか。沖田:日本語はわかるのに、相手が何を言っているかわからないことが多々あったんです。みんなが何か一言言われるだけで動けているときに、自分だけわからないという問題が、すごくはっきり出てきました。学生時代は「わたしはいいかげんな性格だから」とすませていましたが、国家試験にも受かって准看護師から正看護師になっている今回は、「あれ?」と思いました。そのとき、自分の頭にはごそっと何かが足りなくて、それが補えずに苦しんでいるんだなとぼんやりわかったんです。それでも、具体的にどんな風に困っているのかはどうしても説明できませんでした。――すでに診断されていた発達障害とは、沖田さんの中で結びついていなかったのですね。沖田:今になってみれば、それが発達障害を自覚したときだったと思うのですが、当時は自分に発達障害があるということも全部頭から抜けてしまっていましたね。わたしには、自分と特性の似た、不登校経験のある弟がいて。彼みたいな状態こそが「発達障害」なのだと思っていたんです。弟とは似ているところも多い分、昔はすごく嫌っていたので、かえって発達障害フォビア(憎悪)のようになっていた面もあると思います。そうやって、原因はわからないながらも自分は人と違うんだと思っていたころ、同い年の看護師の先輩に「本当に役に立たないね」と言われたんです。同い年だから余計につらくて。その人に「死ね!ハゲ!」などと言われたときに、「もう死んじゃおう」と、一度自殺未遂をしてしまいました。ロープが切れて自殺には失敗し、「ああ、今日死ぬ予定だったのに死ねなかった」とがっくりしました。でも「とりあえずルーティーンをしよう」と、いつも通り病院に行ったんです。上司に怒られながら仕事をして、家に帰ってからはめちゃくちゃになった部屋を片付けていたら、なんか、やっと…「わたし、病院以外のところでも生きていけるかもしれない」と思い始めました。その日からが、おまけの人生みたいな感じになったのかな。トーン貼りにハマり、4コマを描いたのがきっかけで漫画家に――その後はどうされたのですか?沖田:これをきっかけに本格的にリセットし、親の手の届かない、知らない土地でイチからやり直そうと、看護師を辞めて名古屋へ向かいました。23歳のときです。しばらくはまた性風俗業で働いていたのですが、当時の彼氏が漫画が好きで。彼の持ってきたルポ漫画がものすごく面白くて、ファンレターを送ったのが、現在の夫との出会いでした。電話をしたり、会って話したりする中で、夫がわたしを面白いと気に入ってくれたようで。東京に来ないかと誘われたときは一瞬考えましたが、そのほうが面白そうだと思って行くことを決めました。そのときはまだ、漫画は何もやっていません。夫と一緒に暮らすようになったときに、初めて漫画のトーン貼りを手伝って、「もっとない?」「わたし一生これで生きていく!」と言うぐらいハマってしまいました(笑)。Upload By 姫野桂――トーン貼りを手伝っていたところから、どのようにしてご自身も漫画家になろうと思ったのでしょうか。沖田:ある日、わたしがあまりにも「暇だ」と言うので、彼が4コマの枠だけを出して「これで何か描いてみてよ」って言ったんです。そうしたら、わたしは5分で書き上げたらしくて。それを見た彼が「お前、漫画家になれ」って。そのたった一言で漫画家になりました。わたしはコマが4つしかないからラッキーと思ったのですが、4コマ漫画って描くのが難しいらしいんですね。その時点で、漫画の基礎ができていたみたいです。ただ、絵は全然ダメで。4コママンガの中でキャラクターがどんどん痩せていって、4コマ目には別人になっているんです。左右の区別がつかないので、指の位置を逆に描いてしまうこともありますし。書けない文字がたくさんあることにも、漫画を描き始めてから気づきました。自分で漫画にセリフを書き込んだら、4コマ漫画なのに30個も赤字で修正が入っていたんです(笑)。とくに横の線は苦手で、ペンネームである沖田×華の「華」の字も3年ぐらい間違っていました。同じ字を何度も修正しているうちに、「見え方が他の人と違っているようだ」ということにもやっと気づきました。横線が動いたり、滲んだり、広がったりして見えるんですよ。どうも明朝体はダメらしくて。学習障害の一種であるディスレクシアも、そこで初めて自覚することになりました。ゴシック体だと理解できることは、最近わかりましたね。Upload By 姫野桂漫画家になったのは、「異世界転生」レベルの変化。湧いてくるアイデアをすくい、編集者と仕分けして漫画をつくる――他のお仕事も経験した上で漫画家になった沖田さんですが、漫画家という働き方はいかがでしたか?沖田:まったく怒られなくなったのには驚きましたね。締め切りを守るのは大前提ですが、わたしが出したものに対して、基本的に誰も文句を言わないんですよ。本当は不満もあるのかもしれませんが(笑)、言ってはこない。それがすごく新鮮で、別の世界に転生してきたようなレベルでしたね。どの仕事も、つまずくときは仕事内容そのものというより人間関係ですよ。漫画家のすごくいいところは、上司も部下もいないところですが、代わりにアシスタントや編集者との関わりがあります。わたしの場合、デビュー時に、同業者である夫が、アシスタントや編集者とのコミュニケーションの仕方を教えてくれました。わたし、アシスタントのことを友達みたいに思っちゃうんですよね。「疲れました」と言われたら「あ、いいよ、それやっておくよ」と言うような、なあなあの関係になってしまう。仕事をしてくれるのが嬉しくて、アシスタントの言うことをどんどん聞いてしまうんですが、本当はそういうのはよくないんですよね。仕事上の立ち位置を理解するのは、少し難しいです。漫画をよいものにしていく中で、修正を編集者から頼まれることもあります。「ここはこういう風に直してほしい」と言われた際、最初に思ってしまうのは、「この人はわたしのことが嫌いだからこんなことを言うんだ」ということなんです。そういう考え方のクセがあるんですね。でも、そうやって友達みたいな関係として捉えていると、「じゃあわたしも嫌いになってやる!」となってしまうので、作品をつくる上でよろしくない。そういうときは、夫が「編集者は友達じゃありませんよ」「仕事だから仕方なく!」って教えてくれるんです。そう言われると、編集さんが調子の良くない日もニコニコしたり、ご飯を一緒に食べたりするのも理解できて、関係性をとらえ直せます。そして、「そっか、これは仕事なんだ」「漫画をよくするための直しの要求なんだ」と納得して、うまく仕事のやり取りができるようになるんです。夫はいつも、自身の昔のしくじりを元に、怒鳴らずいろんな方向から説明してくれますね。Upload By 姫野桂――漫画を描くときに、どんなことを考えているのかもぜひお聞きしたいです。最近では、4コマやコミックエッセイだけでなく、ストーリーものの漫画も描かれていますよね。沖田:ストーリー漫画を描くことになったときは、どうやって描けばいいんだろうと途方に暮れましたね。編集担当さんが、ものすごく根気よく教えてくれました。先日、最終回を迎えた『透明なゆりかご』は、ネームにすごく時間がかかっていました。わたしは、そのコマ1つに一点集中型。今どんな話が広がっているのか、描いている最中はまったくわからないんです。それを見て、編集さんが「あ、見えてきました」とか言うので、わたしは「何も見えないじゃない」と思うんですが(笑)。これで話が繋がっているのかなと半信半疑で描いて、いざ掲載されたものを見ると、ちゃんと漫画になっているんですよ。そういうズレみたいなものがあります。だから、わたしは編集さんに「直して」と言われたら、「はい」と直すんです。多くの漫画家さんは、自分の作品への愛ゆえにこだわりがあって、編集者と衝突することも多いと聞きますが、わたしはまったくそういうことはなく。その道のプロである編集さんのほうが正しいだろうと思うんですよね。――そこを割り切っているのはすごいですね。沖田:ADHDの特性なのか、自分が描いたキャラクターや、その名前も忘れちゃうんですよ。キャラクターが5人程度でも、過去の単行本を引っ張り出してキャラを確認しています。『透明なゆりかご』については、読者さんから「泣いた」という感想をよくいただきますが、自分は泣いたことがなくて。他人のことが描かれているのに、なぜ泣くのかは不思議なのですが…きっと何か、思うことがあるんですよね。わたしはそういった共感がなく、看護師としての経験があるとはいえ、妊娠・中絶は経験していませんが、「それでも描けるんだ!」と今回わかりました。だからといって、適当に描いているわけではないんです。ADHDの脳みその特徴のようなものだと思うのですが、常にアイデアがポコポコとあぶくみたいに出ている状態で。それをすくってポイッと出し、編集さんと一緒に仕分けするのが、わたしの漫画の描き方です。今は、20ページぐらいの漫画であれば半日ほどでストーリーの構成ができるようになりました。Upload By 姫野桂自分よりも大切なものができて、仕事に「全て」を賭けなくなった――働く中で発達障害だと自覚し、仕事も変えて年を重ねてきた沖田さんですが、最近新たに気づいたことや変化したことはありますか?沖田:40歳に近くなって、性格がいい意味ですごく変わりましたね。昔は弁当に柴漬けが入ってなかったとか、そういうちょっとしたことで「わたしの今日1日を返せ!」ぐらいに怒っていたんですが、丸くなったというか。上京して夫と一緒に住み始めてからは、心のざわつきがあまりなくなりました。また、以前は「他人のことはわからなくて当たり前、それで相手に不快な思いをさせても仕方がない」と思っていましたが、最近は「向こうの心を知ろうとしたほうが、もうちょっと楽にコミュニケーションが取れる」というふうに考え方が変わってきました。歩み寄りが生まれているような気がします。それはきっと、自分よりも大切なものができたからなんでしょうね。昔は「若くて元気で整形もしていて、いっぱいお金を貯めている自分大好き!」だったのが、今はパートナーだったり親だったりを大事にしたいという気持ちが出始めていて、自分のことは別にいいかなと。好きなことをやり尽くした感じがあるからかもしれません。Upload By 姫野桂――では、仕事についての考え方も変わったのでしょうか。以前はお金を貯めることが生きがいで、「働いていないと意味がない」と思っている時期もありましたよね。沖田:今は、あまり仕事に人生を賭けないほうがいいと思っています。あくまでも仕事は仕事で、人生の一部。あまりにも仕事だけに集中していると、うまくいかなくなったときに墓穴を掘って爆発しちゃうこともあるので、やりたいことや趣味をいっぱい見つけたほうがいいかな、と思います。たしかに仕事はお金を稼ぐ上で大切なのですが、わたしにとってのおっぱいパブのように、ちょっと副業をかじってみたり、息抜きになるものがあったりしてもいいと思うんです。――ありがとうございます。先ほど自分の好きなことはやり尽くしたというお話がありましたが、何か今後やってみたいことはありますか?沖田:『透明なゆりかご』でも描きましたが、最近はコロナ禍の妊婦さんに取材をしていて。ある方は仕事を切られてしまい、車に1人で暮らしながら、大きなお腹を隠して臨月までUberEatsの配達員をやっていたんですよ。そういった行き場のない妊婦さんに住まいをつくるプロジェクトは、クラウドファンディングなどでもいくつかあるものの、数が圧倒的に足りていない。その方を少し支援しながらこの状況を見て、もっと手軽に困っている妊婦さんを支援できないか、滞在できるような施設をつくれないか、と思い始めているところです。また、話に出てきた弟は今、グループホームに入っているのですが、そういった施設やその住人は、社会から排除されやすいところがあります。開設に反対する近隣住民に、職員が菓子折りを持って回ったという話も聞いたことがあって。何も悪いことをしていないのに、なんでそんなに嫌がるものなんだろうと不思議なんです。だから、そういったことを『毎日やらかしてます。』シリーズで描いたり、グループホームを兼ねた何か大きなところをつくったりして、発達障害のある人が困らないような場所をつくりたいなと漠然と考えています。――最後に、進路について考えている読者にメッセージがあれば、お願いします。沖田:学生なら、親と先生、先生と子ども、みたいに、1対1でやりとりをするとスムーズなんじゃないかと思います。小さいときから自分を知っている親って、近すぎるんですよね。話し合いや進路の相談のときに、自分からしたら関係ないような昔の話も引っ張り出されることがありますし。わたしもマザコンなんですが、あんまり親の言うことは聞かんでもいいかなって思います(笑)。親だけに頼らず、できれば仲のいい先生をつくっておくのもいいかもしれません。わたしの場合は、同性のおばあちゃん先生が話しやすかったです。保健の先生も仲良くなっておくといいかな。わたしは専門学校卒ですが、金銭的に余裕があれば大学に行くのがおすすめですね。大学に入ることで、もっと選択肢が広がって、社会的にも学べる気がするので。学生のときって、自分のやりたいことをすごく集中してやってみたいときもあるじゃないですか。悪いことでなければ、それに没頭するのもいいと思います。Upload By 姫野桂明るく軽快に話してくれた沖田さん。仕事以外で趣味や好きなことを見つけたほうがいいという点には、個人的に「自分には何があるのだろう」と考えさせられてしまいました。しかし、年を重ねるにつれて、その回答がちょっとずつでも見えてくるのかもしれません。取材・文:姫野桂編集:佐藤はるか撮影:鈴木江実子
2021年04月18日つらい思いを抱えている人にーー『明日、学校へ行きたくない言葉にならない思いを抱える君へ』子どもの自死が一番多いのは夏休み明けの9月1日…この本はそんな「9月1日問題」から子どもたちの命を守るための取り組みのひとつ、ニコニコ生放送番組『明日、学校へ行きたくない』をもとに書籍化された本です。本書では、不登校、DV被害、いじめ、将来のことなど、当事者の子どもたちや保護者、かつてそうだった大人たちの投稿を元に、「こども六法」を出版し、法教育を通じたいじめ問題の解決を目指している山崎聡一郎さん、カウンセラーとして多くの人の悩みや不安を聞いてきた公認心理士、臨床心理士信田さよ子さん、脳と心の関係を探求し、子どもの脳の発達や個性を発揮する学びについて社会に発信している脳科学者茂木健一郎さんの三人の専門家とともに一緒に考え、語る形で進んでいきます。山崎さんの「まず生の声をていねいに聞いていきたい」という言葉通り、寄せられた投稿に対して解決方法を提示するだけではなく、ひとりひとりの声に真摯に耳を傾けて寄り添うようなアドバイスが印象的な本書。学校へ行きたくない、生きづらいなど、うまく言葉にできないモヤモヤにそっと寄り添う『居場所』になってくれそうな一冊です。発達障害のある子どもとゲームの関わり方を解説『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』ICTとはどんなもの?という基本的な説明から、発達障害のある子どもとICTの関係、子どもの特性別のネットやゲームとの関係、ICTと付き合っていくために必要不可欠なリテラシー問題などを詳しく解説しています。「ゲームがうまくいかず暴言を吐く」「スマホばかりで昼夜逆転、朝起きられない」など『わが子はゲーム依存?』と悩んでいる家庭が増えています。まずは大人が子どもの世界を知り、親子でICTとうまく付きあっていくきっかけを考えてみてはいかがでしょうか。「依存かな?」と思ったときに親ができること、適切な支援方法など、これから欠かせない存在となっていくICTを前向きにとらえていくための参考になりますので、子育て中の方、学校の先生、福祉関係者の方など様々な方に読んで頂きたい一冊です。その就職活動、「得意」を活かせてますか?『ちょっとしたコツでうまくいく!発達障害の人のための就活ハック』発達障害特性のある人は就職活動においてもその特性ゆえにうまくいかないことが往々にしてあります。この本には、発達障害のある人や働きづらさを抱えた人の就職活動を支援し、発達障害支援や障害者雇用に関わるセミナーやコンサルティングを多数手がけてきた、就職のプロたちが教える就職活動をうまく進める知識や工夫、『就活ハック』が詰まっています。自分の強み、発達特性を知るところから始まり、エントリー方法や見出しなみやマナー、面接の対策など就職活動の流れを表やイラストを使い分かりやすく説明。今急増しているオンライン面接についての対策も紹介されています。発達特性別の向いている仕事一覧などもあるので、特性の苦手をカバーしながら得意を活かせる『就職ハック』が見つかる一冊です。今日からすぐにチャレンジできる!『1日5分で運動能力と集中力が劇的アップ 5歳からの最新!キッズ・トレーニング』運動能力の発達は脳の発達にもつながると言われています。子どもにとって、基本的な運動は野球やサッカーなどのスポーツにつながる運動能力をアップさせるのはもちろん、脳を適度に刺激して集中力(学力)を上げることに役立ちます。子どもからトップアスリートまでの競技サポートをするトレーナーが紹介するキッズトレーニングは、身体感覚を育てる9つのパーツ別体操、全身を協調して動かす6つの運動感覚、運動能力を上げるための12の運動機会と段階別に紹介されているので、子どもの発達状態に合った体操を始めることができます。科学的な研究結果をベースに作られたトレーニング内容は未就学児~小学生のこどもにぴったり。簡単にできて、運動能力が伸びるコツが盛りだくさんです。すべてのワークは図解はもちろん、動画(QRコード)もついているのでとてもわかりやすく、今日からすぐにチャレンジできる一冊です。性への教育と介入を伝える『性の教育ユニバーサルデザイン 配慮を必要とする人への支援と対応』人の性体験には大きな自由度と多様性があります。この本では配慮を必要とする人たちへの支援と対応、教育などを解説しています。本書は4部に分かれており、1部は性体験の自由度と多様性を各世代の人々の語りを通して紹介する『いっぱいあってな』、2部は配慮を必要とする人たちが持っている知識の現状や教え方、教材などを使った実践方法などを紹介する『教育』、3部は男性、女性それぞれの性的逸脱行動の事例とその対応を解説した『介入』、そして4部ではLGBTの人との面接などで留意すべき事項を中心にその対応の道筋などを提示していく『LGBT』で構成されています。研修会や講習会などで、実際に保護者や教員のかたから受けた質問など、気になるけど聞きづらい性の問題に対する答えがたくさん詰まっています。従来の性に関する支援書とは一味も二味も違う、性の学習法と性への介入法、そのすべてを伝える一冊です。
2021年04月03日まわりの音がすべて音符で聴こえる。不協和音にならないように気をつけながらしゃべる子どもだったUpload By 発達ナビ編集部数々のヒット曲を産み出してきた、音楽家・作曲家の広瀬香美さん。最近ではYouTubeオフィシャルチャンネルでの「歌ってみた」シリーズが大きな話題を呼んでいます。音楽の天賦の才をもつと同時に、生きづらさも感じていた思春期を経て、才能あふれた明るい「広瀬香美」が誕生するまでを、LITALICO発達ナビ編集長・牟田暁子がインタビューしました。牟田暁子LITALICO発達ナビ編集長(以下――)広瀬香美さんご自身の、音楽的な感受性の強さを表すエピソードをぜひ教えてください。子ども時代、どんなお子さんでしたか?広瀬香美さん(以下広瀬)「ええと~、ええっと~…」って、言うでしょう。すると、それが私には、「ド ミ~、ド ミ~」って、音符で聴こえるんです。空気の音は和音に聴こえます。たぶん電気や電磁波みたいなものの音だと思うけれど、Eフラットの和音に聴こえるんです。だから、どんな静かな場所でもベースに和音があって、そこに自分が話す声をメロディーとして乗せようとしちゃうんです。そうしないと不協和音になってしまうから。具合が悪いときには、聴こえている和音には反抗するように全然違う音で喋りたいけれど、そうすると不協和音になってしまうので、黙り込んでしまう習性がありました。今だったら、生活音が全部音楽になってしまうということは、なんて素晴らしいと思えますが、昔は、「うるさいよね、人生って」と思っていました。ただ、いつもオーケストラみたいに音が鳴っているのは、食べたり眠ったりと同じ当たり前のことだと思っていたから、誰かに悩みを打ち明けるということもありませんでした。だって、お父さんもお母さんも友達もみんなそうだって思っていたから。――それが自分だけにあることだと気づいたのは何歳ごろでしたか?広瀬「私っておかしいの?」と思ったのは、仲間意識ができたりする小学校3~4年ごろかな。「あの子、なんかちょっと言うことがおかしいよね」と言われるようになったんです。たとえば、「なおこちゃん」と呼びかけるとき、「ミレドちゃん」と聴こえたままに言ってしまったりすることがあって、「ミレドじゃない!」となおこちゃんから言われてしまう。私としては「あれ?私ミレドちゃんて言った?」というようなことがありました。だから、学校のクラスメートから「あの子は変なこと言う」と言われて、ちょっとした仲間はずれのような、いじめみたいなことになってきたころから、「みんなの世界はオーケストラのような音の世界ではないの?もしかして私だけ?」と、だんだんわかり始めたんです。小学校の高学年のころからだんだんと、そのことが自分の中で処理できなくなってきて、微熱が出るようになり、学校を休むようになりました。実際、37度7分くらいあったので、親も学校を休ませてくれるわけです。親はとても心配していろいろな病院に連れて行ってくれました。精神科、思春期内科、東京から九州から、ありとあらゆる心の病気の先生のところに連れて行ってくれたし、自分でも治したいと思っていましたよ。薬もね、こんなに(両手ですくうようにして)飲んでいました。ただ、「私は病気じゃないのに、なんでこんな薬を飲むんだろう」と思っていたので、途中から薬は飲んだふりをして、親には隠すようになりました。ゴミ箱に捨てるとバレちゃうから、ソファの隅に押し込んだりしてね。ほかにも、過呼吸症候群や脳貧血を起こして、一度発作が起こると20分くらいしないと収まらないので、寝込むこともありました。不登校時代を経て、高校を卒業。「私だけじゃない!」と分かる環境になったら、スパッと元気になった!――大変でしたね。ずっと学校には行かなかったんですか?広瀬そんな日々が高校2年生くらいまで続いて…けっこう長かったですね。小学校は日数が足らなくてもなんとか卒業して、中学高校は私立でしたが、調子がいいときは行けるんですけど、行けない日もありました。高2のときは3分の1くらいの日数しか登校できなくて、最後の期末テストだけはなんとか受けて、留年ギリギリまでいったんですが、なんとか高3になれました。でも、体調もすごく悪かったんですよね。――そんな元気のない様子は今からは想像もできませんが、今のように元気な広瀬さんになったのはいつごろから?広瀬大学に入ってから、そういう体調の悪さは、スパッとなくなりました!東京の音楽大学に通うようになったら、周りに変な人がいっぱいいたんですよ(笑)。感受性が強い人たちね。私よりも変な人がいて、なんだかほっとしました。そしてラッキーなことに、大学1年生の夏休みに、ロサンゼルスに行けたんです。ロスに行ったら、「私が一番まとも?」と思うくらい、周りの人たちが変だったんですよ。言うことも変だし、全然平気で約束破るし、「この人たちが普通なの? この国!」と思ったときに、苦しかった部分が、サーッと溶けたようになって、すっごく楽になりました。自分たちが変わっているだけでなく、私がわがままや変なことを言っても、「お~!いいね」なんて言ってくれる人たち。私が「生活音もすべての音が、音階になるの」と話すと、「すごいね! 天才じゃん!」と、全部肯定してくれるんですよ。ここが私の住みかかもしれないと思った瞬間に、何の症状も出なくなりました。とはいえ、せっかく音楽大学に入ったし、親からはとにかく卒業だけはしてほしいと言われ、卒業証書だけはもらう約束をしました。大学側にも、アメリカと日本を行ったり来たりするけれど、卒業はしたいと直接交渉しました。もうとにかく必死で、最初の2年間で、4年分の必須の単位をとりました。3~4年生はとにかく作品だけ提出すればいいようにしてもらったのです。課題も、ほかの人が1曲のところ2曲アメリカから送るから、と。しょうがないな、OKと言ってくれる理解ある先生に出会えて、ほんとによかったです。卒業に必要なギリギリの単位だけとって、一応卒業証書はもらいました。――すごいですね。たしかに恵まれた環境なのかもしれないけれど、広瀬さんの人柄もあるかと思います。広瀬いえいえ! アメリカが私をこういう人柄にしてくれたんです。思春期の私はずっと、暗くて、泣き虫で、自分のことを何も言わない子でしたから。だってしゃべると不協和音になっちゃうから。大声で泣けない、自己主張もしない、自分の悩みを打ち明けられない、友だちもいない。その当時の写真を見ると、笑顔は1枚もないんです。笑顔の作り方、知らなかったんですよね。聴こえてしまう音をコントロールする方法を教えてくれた仲間に出会えたUpload By 発達ナビ編集部――すべてが和音になってうるさくて、というのは、今も続いていますか?こうして話していて、大丈夫ですか?広瀬今はね、大丈夫です。自分でボリュームを上げ下げできる技を覚えたんです。アメリカに行ったら、同じような感性をもった友だちがたくさんいたので、どんなふうに対応しているの?と聞いてみたら、「ボリュームが変えられるんだよ、ちょっと訓練したらできるよ」と教えてくれたんです。それでコントロールできるようになりました。今は、もうずっとボリュームはゼロにしています。最近は鈍感になってきたのか、ものすごく頑張って聴こうと思わない限り、聴こえなくなりました。たまに、スタッフやメディアの人が面白がって「今、何の音が聴こえる?」と聞かれたら答えられるけれど。自分の特性を仕事に活かして、ポップス作曲家・広瀬香美が誕生するまで――そうした感覚、感性を、今のお仕事に活かせるようになったのはいつごろから?広瀬音楽しか教育されなかったし、親は音楽家にしたかったんだと思うんですよね。センスがあると思うからこそ、音楽のレッスンや、いい先生を見つけてくれたりして、音楽の才能を伸ばそうとしてくれました。私自身も、音楽の勉強しかしませんでした。自分でも音楽のセンスがあると思っていました。音楽を分析して、直す能力が自分にはあるんだな、って。子ども時代、テレビからや街で聴こえてくる音楽を、「自分ならもっといいメロディーにするのにな~」「そこ、ちょっと違うんだよな~」なんて考えていました。ただ、親が勉強させようとしたクラシックの音楽は自分の中ではしっくりこなくて、変なの!暗い音楽だなと思っていて、学ばせられる音楽にはまったく共感しませんでした。とはいえ、これは違うとは思っても、どうしていいか分からなくて……。その当時、ポップス音楽大学のようなものも、コンピューターミュージック科といったものもなかったし。だから、好きじゃなくてもクラシック音楽の勉強をするしかなかったわけです。どの科に行くかについても、行くなら作曲学科かな、というところでした。そこで、大学1年で行ったロスで聴こえてきた音楽に「ああ、この音楽がいい!」って思ったんです。マイケル・ジャクソン、セリーヌ・ディオン、ボビー・ブラウン、そうした人たちの音楽を聴いて、「すごい!そうそう、これよ!!」って、思いましたよね。じゃあ、こういう音楽を勉強するにはどうしたらいい?というところから、先生を探しました。ポップスの勉強を始めて、やっぱりこういう音楽を作るには技術が要るし、クラシックとは書き方、作り方が全然違うんだなと知りました。好きなことだから、がむしゃらに勉強しました。そうこうするうちに曲が書けるようになったけれど、お金が足りないんですよ!ロスでのアパート代だけは親に出してもらっていましたが、勉強を続けるお金が足りなくて、曲を買ってもらうことはできないか、と考えたんです。その当時はバブルで、予算がたっぷりあった日本のレコード会社さんたちが、ロスにレコーディングのために来ていました。そこで、日本語ができる現地のアシスタントとなり、自分の楽曲をレコーディングクルーに売り込んでみたんです。そしたら、曲も褒めてもらえたけど、仮歌で入っていた私の声が気に入られて、歌の仕事をするようになりました。結局そのときは、曲はあんまり買ってもらえなかったんですけどね。そのうち、日本に帰国したときに、スタジオに行って歌うようにもなりました。ただ歌うだけでなく、音楽大学の頃の技術が重宝されました。譜面をパッと見てすぐに歌えたり、アレンジャーさんから「コーラスの和音が濁るので、ハーモナイズを直してください」と言われたり。どんどん仕事が入って、日本にいる間に1年分の家賃稼げちゃう、というくらいでした。日本で稼いで、アメリカで3ヶ月勉強して、それでまた日本に戻って…という生活。そこから私の遊牧民生活が始まりました!(笑)。気がついたら、アメリカと日本を行ったり来たりの人生ですね。ようやく、自分の話をできるときがきた!Upload By 発達ナビ編集部――最近、こうして自分のことを発信するようになったきっかけは?広瀬自分のことを、発信したいという気持ちはずっとあったんですが、「広瀬香美」という人格は、私だけのものではないんですよね。レコード会社の人のものであり、事務所のものであり、ファンの方々のものなんです、ありがたいことに。だから、自分の個人的な話や悩みを、そうそう話すわけにはいかなかったんです。元気に明るく楽しく、「冬の女王」として突っ走っていくということで、最初の15年ぐらいはトークもしてこなかったんです。歌声だけを、冬の時期に元気に届ける人として生きてきたのが、「広瀬香美」でした。その後、ちょっと病気をしたこともあって少しお休みしたあと、第2期として復活したころに、ちょうどTwitterなどのSNSが流行り始めました。当時、事務所はそういう発信を絶対許してくれなかったんです。だって冬の女王様のはずなのに、「寒いのはちょっと苦手」なんて絶対言えないじゃない?(笑)そんな制約もあって、個人的につぶやくことが咎められた時代だったんですよね。だけど、何度も事務所に呼び出しをくらいながらも、やめなかった(笑)。そのうち、広瀬香美のSNS面白いよねと言われるようになり、それがYouTube配信へとつながっています。その間に、オールナイトニッポンやUstreamでの発信もありました。私みたいな人たちが、たくさんいることを知ってほしい!Upload By 発達ナビ編集部――そのYouTubeの配信が、オフィシャルチャンネルで人気の「歌ってみた」シリーズですね。広瀬曲の解説は、子どものころから有名な曲をああだこうだ言っていたわけで(笑)、得意だから、弾いた曲を自分なりに解説をして、自分のキャラクターを発信するようになりました。それがちょうど、あの自粛生活の時期で、なかなか外に出られないときだったので、皆さんがたくさん聴いてくださることになり、楽しいねと評価されて今に至ります。そして、メインチャンネル以外に「バックヤードチャンネル」を開設して、自分の思いや演奏以外のことをお話するようになったんです。そこで話しているうちに、ふっと昔のことがフラッシュバックしてしまって、話が止まらなくなっちゃったときがあって。そのときは、これはどうせボツだからいいやと思って、泣きながら喋ったんです。そしたら、そのボツだと思ったほうの内容をスタッフが選んだんですよ。【広瀬香美】浜崎あゆみ/Mを歌い終えて…まさかの号泣【今だから言える】――こうした発信は、生きにくさを感じているお子さんとその保護者の希望になると思います。広瀬ありがとうございます。そう言ってもらえると本当に嬉しいです。私は、この国の仕組みに弾圧されたと思っているんです。弾圧のおかげで今があると思っているから、あえて弾圧という言葉を使うけれど、弾圧されてギューって抑え込まれたからこそ、パーン!とはじけることができました。日本には、パーンとはじけられないまま一生を終えてしまう人たちだってたくさんいるし、苦しんでる人たちが今もたくさんいると思います。だからといって、そういう方たちに、「あなたたちもはじけてごらん!」なんて言う気持ちは全然ないです。だけど、私が自分のこういうお話をすることによって、皆さんが何か考えるきっかけのひとつになったら嬉しいです。こういう、私みたいな人たちがたくさんいるということを、ある一部の特別な人たちではないということを、みなさんを代表として世の中に伝える広報になりたいと、心から思っています。――最後に、「発達ナビ」読者の皆さんへひとことお願いします。そういう子どもに、親はどう関わったら、いいでしょうか。広瀬私の親も、いろいろな病院に連れていってくれたり、勉強させてくれたりしました。ただ、私にとっては、別にありがたいことだったかといえば、そうではありませんでした。でも、子を思う親の気持ちは、みんな同じで、よかれと思っているわけですよね。こうした方がいいですよ、ということは私には言えません。私からの「こうしたら」という回答はないけれど、ひとつの例として、今していることをそのまま続けていったら、私みたいにはじけるときがくるかもしれません。こういう実例があるということを私がお話することによって、誰かの救いになればいいなと思っています。Upload By 発達ナビ編集部広瀬香美 Backyard channel広瀬 香美 Official YouTube channel
2021年04月01日いじめが続いて気づいた「これは私に問題がある」東京・目黒に生まれたコッピーさんは、研究者の父と専業主婦の母、それに姉の4人家族。「外交的だった」小学生の頃から、生きづらさを抱えていたという。「小4ぐらいのときに、お腹が痛くなることが増えました。今思えば仮病のようなもので、保健室によく行っていました。無理矢理休もうとしていたんですよね。友達もいたし、なんなら中心的な存在で楽しかったんですけど、今思えばその空間がつらかったというか……。朝から夕方まで椅子に座ってじっとしているっていうのがつらかったんじゃないのかなって。たぶん教室にいられなかったのかな」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之女性のASDは男性よりも分かりづらいという。コッピーさんはその正義感の強さから、廊下を走る上級生などにも物怖じせず注意していた。「今考えれば、ASD特性も出ていたのかな」と当時を振り返る。さらに都内にある中高一貫の私立女子校に進学すると、いじめの標的にされてしまう。「中1の春からいじめに遭いました。仲良かったグループから仲間外れにされることがあって。なんか話しかけても無視されたり、目の前でヒソヒソ言われたり。仲良くなった別の子もいじめの主犯格で、その子にもガッツリいじめられました。廊下ですれ違うと舌打ちされたり、ブスって言われたりしました。それを相談してた相手も実はいじめっ子とつるんでいて、『裏でアイツこんなこと言ってたよ』って面白がっていたみたいで……それを最終的に知って人間不信になりました」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之その後も、グループに所属しては仲間外れにされることがあった。「これはたまたま失敗したのではなく、私に問題がある」――。そう気づいたコッピーさんは、そこからどうしたら人間関係をうまく結べるのかを考えるようになった。悪目立ちをしないように、無難に会話をやり過ごすといった“暗黙の了解”を学び始めたのだった。マルチタスクができない夢のために受験へ中高一貫校だったが、高校2年の頃に週に4日通えばOKだという単位制の私立高校に編入した。ADHDの症状として多くみられる過眠症はコッピーさんも例外ではなかったが、授業のコマも好きに組むことができることで朝もゆっくり過ごせるようになった。クラスメイトは「ギャルみたいな子」がいて怖かったものの、コッピーさんも髪を染めるなどして適応。そして、アルバイトをやってみたいと思い立つ。Upload By 桑山 知之「コンビニバイトが簡単だって聞いたからやっていたんですけど、意外と覚えることが多くて、マルチタスクなんですよ。それが致命的にできなかったんですよね。年上のお姉さんとかにすごく怒られて。品出し(商品を陳列すること)している最中に列ができちゃっていて、だけどまったく気づかなくて。ハッとして走っていくんですけど、そのあとめっちゃ怒られる。あとお金の勘定ミスがすごくて、マイナス5000円とか出しちゃうんですよ。けっこう深刻に悩んでいたんですけど、フリーターの上の人に自腹を促されて、泣く泣く支払ったりしていました」(コッピーさん)その後、制服がかわいいということでカフェでのバイトに切り替えたが、結局マルチタスクをこなさなければならない状況は変わらなかった。そんな17歳という悩み多き頃、気になった邦画を片っ端からレンタルしていたとき、とある映画に出会う。舞台はタイ。臓器移植や人身売買などを描いた『闇の子供たち』(監督:阪本順治、原作:梁石日)だ。「子どもたちが人身売買されている現状が描かれていて、売春のシーンもあったり、めちゃくちゃ衝撃的なんですね。私は人間関係とかしょうもないこととかで悩んでいるけれど、こんな壮絶な状況の人がいるんだって衝撃を受けました。私の悩みは贅沢な悩みだったんだなって。今思えばそれぞれの立場があってそれぞれの悩みがあるんだって思うんですけど。当時はすごく罪悪感に近いものを感じたんですね。普通に暮らしていることに不満を持って、途上国支援がしたいと思いました」(コッピーさん)国際協力や途上国支援ができるような仕事に就きたいと志すも、それには大学を出る必要があると感じたコッピーさんは、死ぬ気で受験勉強に励んだ。友達付き合いも一切やめ、インターネットはすべて遮断。集中力などとっくに切れているのに、1日に十何時間も机にへばりついていた。精神的に病みかけながら臨んだ受験当日、周囲の他の受験生が気になった。「第一志望の受験の日に覚えているのは、近くの人が貧乏揺すりをしていたんですよ。それがずっと気になっちゃって。あと、ページをペラペラめくる音が気になったり、試験官がどこにいるかとか、些細な刺激が気になって、ずっと集中できませんでした」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之自分と向き合うということ行き着いた「マイノリティの尊重」カンボジアやミャンマーなど、東南アジア諸国を実際に自分の目で見た。しかし、“この人生を歩んできた私”がそこで働く必然性をなかなか見出せなかった。大学のカリキュラムに加え、児童養護施設でのボランティアや、雑誌『ビッグイシュー』のインターンシップにも自主的に参加した。国内の貧困問題を学んだ末、「貧困」と「人間関係」には密接な関わりがあると感じた。不登校児を専門に対象とする『東京家学』で家庭教師も経験した。こうして“自分が関わるべき必然性”を追求していった結果、日本での社会問題に目を向けること、さらに当事者と研究者両方の視点での発達心理学にたどり着いた。Upload By 桑山 知之「心理学で『アタッチメント理論』っていうものがあって。簡単に言うと、初期にお母さんと言うか主な養育者との間に築いた関係性は、生涯に渡って人間関係に応用されていくよって言うこと。それぐらい1番最初の人間関係って大事だと。家庭環境でつまずくと、その後の人生にまで影響があるって衝撃だったんですよね。家庭環境のように、自分にはどうにもできないのに人生に影響してしまう要因がたくさんあるのに、世の中ではほとんど考慮されていないことに大きな違和感を覚えたんです。それって貧困とか障害に関してもそうですが、『みんな頑張っているんだからあなたも文句言わずに頑張れ』という世の中のスタンスに、それはおかしいぞって思うようになって、心理学的観点から自分の障害についても向き合っていきたいと思うようになりました」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之修士論文のテーマは「成人期のADHD者の質的研究」。レジリエンス(逆境から適応に至る現象)について、ADHDの人はどういうプロセスで適応するのかを当事者へのインタビューを通してまとめ上げた。現在、コッピーさんは東京大学大学院で心理学博士課程の1年。一般就労をしているADHDのある人に適応状態や働き方をヒアリングし、論文にまとめている。「社会に出たADHDのある人ってどうやって生活しているんだろう?というのがすごくあったんですね。でも、スティグマ(負のレッテル)のせいで公表しながら生活している人にまったく出会えない状態だったので、じゃあみんなコソコソどうやって生活しているんだ?というのが、疑問のスタートでした。正直怖さもあって向き合ってこなかった部分で、感情移入しすぎてしまわないかと思ったんです。なんかもう世の中ひどい、辛いみたいな気持ちになるかなって避けていたんですけど、それをテーマにすることで発達障害に関する知識が深まりました。私自身、ASDだったかもしれない、かつてその傾向が強く出ていたかもしれないってことも、そこまで深くやらないとわからないことだったと思うので、結果的にたどり着いてよかったなと思います」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之「しっくりきた」両親マイノリティ尊重する働きかけをコッピーさんは発達障害について研究を続ける傍ら、「ブラインド当事者会」と題しTwitter上で当事者同士が情報を交換するハブになるなど、少しでも生きやすい世の中になるように活動している。「多様な立場の人のことをインプットする。自分が想像できないぐらい違う感じ方の人がいて、それも網羅できないぐらいいるんです。発達障害に限らず、マイノリティを尊重することであったり、想像力を働かせる方向に、そういうことができる人を育てるような働きかけができたらいいなって思っています」(コッピーさん)Upload By 桑山 知之コッピーさんが自らを障害者だと名乗ることについて、「両親はきっと当初、自分たちの子育てが否定されたように感じ、抵抗があったのではないか」と言う。しかし、時間をかけて説明した。過去のコッピーさんの行動が発達障害の特性として体系的に説明されていくにつれ、「しっくりきている」のが目に見えてわかった。今となっては両親とも、コッピーさんの取り組みの社会的意義を理解した上で応援してくれていると言う。将来的には、心理学の授業を通じてあらゆる社会問題を考えていくような授業ができるようになりたいと語るコッピーさん。多様な立場の人のことをインプットできる授業を通して、自分が想像できないくらい違う感じ方をする人達が網羅できない程いるんだという感覚を持つことで、相手のことを決めつけずに思いやりを持って接することができるような人が増えて欲しいと願っているそうだ。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年03月09日新型コロナウイルスの流行が長引き、終わりの見えない不安のせいか、大人だけでなく子どもたちも精神的に不安定になっていると聞きます。実際、国立成育医療研究センター発表の 「コロナ×こどもアンケート第4回調査 報告書」 によると、アンケートに回答した小学4~6年生の15%が中等度以上のうつ状態にあり、中学生で24%、高校生は30%にも上っています。親として、不安を抱える子どもにどう接していけばいいのでしょうか。ウィズ・コロナの新しい生活様式で、親が気をつけるべきポイントをご紹介しましょう。■コロナ禍で子どもが不安になる2つの理由長引くコロナ禍で、子どもの様子が少しずつ変わってきて心配だというお話をよく耳にします。「園や学校に行くのを泣いて嫌がるようになった」「イライラがたまっているのか、子どもが家で物に当たったり、暴言がひどくなった」慣れない生活様式の中で、不安定になってしまった子どもにどう対応していいかわからないというお父さん・お母さんは少なくありません。では、どうして子どもは精神的に不安定におちいり、問題行動をとってしまうのでしょうか? その原因は、大きく分けて2つあると思われます。一つは、一番身近であるお父さん・お母さん自身がコロナウイルスに対し、強い不安やストレスを感じている状態であること。コロナウイルスもたらす健康への影響、さまざまな社会環境への変化などをまだ理解できない低年齢の子どもは、本来、大人のように目には見えないコロナウイルスに不安や恐怖を感じることはありません。しかし、お父さんやお母さん、周囲の大人が精神的に不安定になっていたり、これまでとは違う生活にストレスを感じていたりすると、その気持ちは子どもに多かれ少なかれ伝染してしまうものです。いつも守ってくれる頼りになるはずのお父さんやお母さん自身の不安を子どもは敏感に感じ取ってしまうものです。それが子ども自身の不安となっているのでしょう。二つ目の原因は、コロナ対策で変わってしまった園や学校での生活です。飛沫感染を防ぐため、話すときは必ずマスク着用、給食は一方向を向いて無言、音楽の時間も合唱禁止、楽しい園・学校行事も次々と中止。あれもダメ、これもダメと言われる生活に、大人以上に子どもは疲れてしまっています。また、習いごとや塾で多くなっているリモートのレッスン、授業は、子どもによって向き不向きがあります。自分で積極的に取り組める子どもには向いていますが、そうではない場合は対面より習熟が難しいシステムです。対面よりも不便なことが多いリモート授業は進度が遅くなると思われがちですが、実は逆、早くなってしまうようです。対面授業やレッスンでは、先生が子どもの様子を見ながら進められますが、リモートではそこまで目が届かないからです。先生は子どもの理解度を確認しながら進められず、子どもも質問しづらい環境なので、授業が自然と早く進んでしまうのです。習いごとや塾の進度についていけない、好きな先生にも会えないし質問もできないため、子どもにフラストレーションがたまるのでしょう。■コロナうつから子どもを守る親の言動・行動子どもが不安がってモヤモヤしている、ちょっとしたことでイライラするようになったと感じたら、主に次の2点に気をつけて、お父さん・お母さんの日頃の行動や言動を見直しましょう。・意識的にポジティブな発言や行動を心がける。・子どものことを園や学校に丸投げしない。例えば、新型コロナウイルスの新規感染者数を発表するニュースに触れたとき「え、まだそんなに?」と反応するのではなく、「重症者数は減ってるから心配ないよ」と子どもに声をかける。おでかけ先から帰ってきたら、子どもに「手を洗わないとコロナにかかって大変なことになるよ」と言うのではなく、「手を洗うとコロナが逃げていっちゃうね」と言い換える。たった一言でも、大人がどう受け止めているかを子どもはよく観察しています。思わず出てしまったネガティブな言葉に、子どもは大きく影響を受けて不安に感じます。コロナ関連の発言はネガティブになりがちなので、意識的にポジティブな表現に変換しましょう。大人が発する不安が子どもに伝わらないように、親の判断で、不安をあおるテレビ番組やニュースは、あえて見せないというのも一つの方法です。大人なら信用できる情報だけ、必要な情報だけをピックアップできますが、子どもはそのまま真に受けてしまうからです。また、子どものことを園や学校に丸投げしないことも大切です。今は未曾有の状況のため、園や学校は感染予防に注力し先生たちもギリギリの対応に追われています。そのため、これまで通りの役割が担えないこともあるでしょう。最終的に子どもを守れるのは親、子どものSOSに気づけるのも親ではないかと思うので、「これは園(学校)の役割でしょう?」と丸投げは厳禁です。例えば、園のお迎え時や学校から帰宅した子どもに、まずは「今日、園(学校)はどうだった?」「勉強難しかった?」と何でもいいので声をかけましょう。そんなたわいのないやり取りでも、「お父さん・お母さんはちゃんとあなたのことを見ているよ、大丈夫だよ」というサインになります。園や学校の目が行き届いていないとしても、お父さん・お母さんはあなたをいつも気にかけているよと、何となくでも子どもに伝わればいいのです。登校・登園がこわくなってしまった子どもは、学校や園で「あれもダメ、これもダメ」と否定的な言葉をたくさん言われ、「楽しい場所だったはずなのに安心できなくなった」と不安が増したのかもしれません。やさしかった先生に厳しい、強い語調で手洗い・うがい・マスク着用を指示されたなどがあると怖い、不安という気持ちが植えつけられることもあるでしょう。だからこそ、子どもを守るうえで必要なことは園や学校への丸投げするべきではないのです。子どもが不安に思っている状況を先生とも共有すると同時に、どんなときでも家は安全だと親は子どもに伝える続けることが大切です。まだまだ収まる気配のないコロナ禍で、何が正解なのかわからず、頼るものがない世の中。そこでは、自分の経験や直感で判断するしかありませんが、一番に子どもに与えるべきものは安心感です。園や学校に無理やりは行かせないという選択肢も含め、親の行動や姿勢が試されているときです。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2021年03月08日ヲタママだっていーじゃない!
ムスメちゃんとオコメちゃん
猫の手貸して~育児絵日記~