「コミュ力UP」ワークショップで、会話のコツをGET息子リュウ太のコミュ力のなさに悩んだ私は、とあるワークショップに参加しました。それは、発達障害がある人のための自助会が主催する、コミュニケーション向上のためのワークショップでした。この会に参加して、コミュニケーションにはルールやマナーがあることを知ることができたのです。絶賛反抗期の息子は、人の話を聞かない…どうやったら伝わるの?Upload By かなしろにゃんこ。これまでは、会話にそんな気を使ってこなかった私。雑談でも、相手を思いやったり場の空気を悪くしないで盛り上げるテクニックがあることを知りました。発達障害がある人がやってしまいがちな「会話のクセ」を教えてもらうと、息子どころか私にもあてはまることがいっぱいありました。その悪いクセは、ワークショップで学んだ会話のルールやマナーを実践することで、改善することができるのです。ちょっとした物言いで、周りの子と争いが勃発しがちな反抗期の息子です。「早く教えなきゃ!教わったこと全部伝えたい!」と気持ちばかり焦ります。でも、絶賛反抗期の息子に「いいネタありまっせ」と教えたところで、荒ぶる思春期の負のパワーで拒否されるのは目に見えています。自分の話は長々とするくせに、人の話を聞くことは苦手なリュウ太です。どうしたらいいのか、途方に暮れてしまいました。「もしかして」「かも」語法で、自主性・想像力・柔軟性を育む!Upload By かなしろにゃんこ。ワークショップに再び参加したとき、司会進行役のKさんから「イイこと」を教えてもらいました。発達障害がある子はとっても素直な子も多いといいます。親の言うことは絶対守り、親の言ったことを疑わずそのまま大人になってしまう人もいるそうです。でも、親だって間違ったことを言うこともあるし、偏見で発言することもあるかもしれません。世の中にはいろいろな答えがあり、親の言うことがいつも正しいわけではない。自分で選んでいく力も必要です。また、「こうしなきゃダメ」と決めつけるのではなく、柔軟な考え方ができたほうが生きやすい面もあります。そういう考え方を育むためにも「断言しない伝え方をするといいですよ!」と教えてもらいました。言葉の頭に「もしかしたら~」とつけたり、語尾に「かもしれない」とつけて、他の考え方の余地もあることを示す言い方をするのがいいそうです。このアドバイスが私にドド―――ン‼!っと突き刺さりました。そうだ!子どもに「こうしなきゃダメ」とか決めつけて伝えてきたかもしれないと振り返ることができました。これが、息子にコミュニケーションのコツを伝えていくときの一番のポイントかも!と思ったのです。さりげなく刷り込む。反抗されても、聞く耳持たなくても、地道な声かけを続ける!Upload By かなしろにゃんこ。学校で同級生とトラブルになった日は、決まって帰宅後グチることが多かった息子。機嫌の悪いときに「こうしないからケンカになるのよ」と言えば火に油…カチン!ときて親の言うことなんて聞かないでしょう。そこで、グチってイヤな思いを吐き出した後に、さりげな~く「こうするといいかもよ~」と言ってみることにしました。例えば、友だちと音楽の趣味で話が割れたときなら「友だちの好きな音楽も聴いてみると意外といい曲あるかもよ~」と言ってみたり。干渉してくる子がいてムカついたときは「もしかしたらリュウ太のことが気になる存在なのかも。今後仲良くなることもあるかも~」と伝えてみたり。そうしたら、「んなことあるわけねーじゃん!」と怒鳴っていましたけどね。でも、何を言っても、反抗的な返しをしてくるばかりで、イラッとすることや悲しくなることもありました。この子には何を言ってもムダなのかしら?大きくなっても人のアドバイスを受け入れないで一匹狼で孤独に生きていくようになるんだろうか…?と心配もしました。それでも、人間関係でグチってきたときは「かもよ~」を語尾につけながら、さりげなくコミュニケーションのコツを伝えていったのです。刷り込み作戦開始から1年経過。時間差でキテる!?Upload By かなしろにゃんこ。会話のコツを教え始めたのは、息子が中1の頃。何度も何度も、刷り込むように伝えていると…中2の冬ころだったでしょうか?ようやく効いてきたのかも?と思うことがありました。「興味ねー」と言っていた友だちの趣味を受け入れるようになってきたのです。小学校のころは、よくわからないゲームやマンガの話をされると入っていけないと悩んでいたのに、「知らないことは質問するようにした」と言うのです。質問すると、新鮮な情報が得られてオモシロイことに気がついたようなのです!さらに、自分の趣味の話については、その場の雰囲気に合わない場合は控えるようにしているというのです。みんなで共有できるネタのほうが、バカ話で盛り上がれることにも気がついたのだと。私はそれを聞いて「時間差でキテる!!」と確信しました。コミュニケーションのコツを息子はちゃんと聞いてくれていたんだ!とうれしくなりました。少しずつ上がってきたコミュ力。異性とのおつきあいでもその力を発揮?Upload By かなしろにゃんこ。何を言っても反抗ばかりされて「もうこの子には何も言わない!」と諦めることもありましたが、地道に言い続けてよかったなと報われた思いでした。もしかしたら、私のアドバイスは実はスッカリ忘れていて、独自に学んだ結果なのかもしれません。でもとにかく、周りの子といい関係を築けるようになってきたんだな~と、うれしくなりました。ちなみに、「もしかしたらリュウ太のことが気になる存在なのかも。今後仲良くなることもあるかも~」と話した同級生とは、卒業近くには仲直りしていました。高校生になっても、人間関係のトラブルはありました。でもくり返し伝えてきたことで「もうわかってる。ちゃんとやってるよ」という言葉が聞けるようになってきました。自分の話ばかりしないで友だちに話させることや質問すること、相手が嫌がる話を避けることなど気をつけていると言います。ただ、息子を敵視する人には、どんなに会話のマナーに気を付けたり、会話のコツを踏まえて話してみても、イヤな表現で返されてくるから、会話は相手を選ぶ必要もあるな~ということにも気づいたそうです。ちなみに、地道に伝え続けてきた会話のコツとマナーですが、その後、異性とのおつきあいのときにも役に立ったようです!
2018年02月21日日常生活は滅茶苦茶…なのに出典 : 反抗期一歩手前の小学校中学年の頃だったでしょうか。私は母に泣きながら、こう訴えたことがあります。「お父さんが学校に来ると恥ずかしいから、行事には絶対来させないで!!」今思うとひどい娘でした。父はADHDの特性が強くあり、小学生だった当時の私には耐えられないようなことがたくさんありました。父は話し声がとても大きいうえに、父母が行事の観覧に集中しているようなときにもフラフラと抜け出して、校庭でバスケットボールをやり始めるような人でした。「あいつのお父さん、変だよな~」と周囲に言われるたびに、私は恥ずかしくて恥ずかしくて、泣きそうでした。いつもフラフラと動き回って落ち着きのない父。家にいるときは、家族に叱られてばかりの存在でしたが、不思議と会社では結構仕事ができる、やり手な人であると評判だったのです。また、いろんなことをすぐに忘れてしまう特性があったにも関わらず、勉強でそれほど困ったという話は不思議と聞きませんでした。そして父は、同じ特性のある私と息子に、ADHDならではの生活のコツや学習のコツを伝授してくれたのです。父の授けてくれた生活のコツのおかげで、私も息子もさまざまなな困難を克服することができています。秘伝一、ひたすらメモるべし!Upload By 林真紀幼い頃、父の手帳を見て驚いたことがあります。普通の人は、手帳といえば予定ぐらいしか書きこまないと思います。けれども父は、仕事から日常生活の小さなことまで、ひたすら文字に落として書いていたのです。父の手帳は几帳面な字がびっしりです。例えば「花の水のやり方」「ゴミの分別の仕方」というような日常生活の些細なことも、全て文字に落としています。1、2、3、のように丁寧に番号までつけて、それを順番に辿っていけば間違いがないようにしてあります。父も私も(そして息子も)、人から聞いた話をインプットすることがとても苦手です。長いこと話をされると、後になって頭にほとんど残っていません。ですから父は、人から聞いた話をすぐに手帳にまとめます。そして自分が後から見て分かるように、簡潔にメモに残していくのです。「とにかくひたすらメモれ」という父の教えを、私はある程度の年齢になってから忠実に実行しています。そのおかげで、苦手とするマルチタスクの仕事なども、自分のメモを見ながらやることで、それなりにできるようになりました。私も父と同じく、仕事や生活での「自分用マニュアル」が山のようにあります。秘伝二、予行練習は入念にすべし!Upload By 林真紀私が幼かった頃、父はすぐに道に迷っていました。父の運転する車に乗せられて、初めての場所に行くのは、私たち家族にとって苦行でしかありませんでした。「どこだ~、おい、どこだぁ」パニックになって父は、行先の電話番号を調べて電話をかけます。一生懸命電話で行き方を聞きますが、「何がなんだか全然分からん!」と怒り出す始末でした。パソコンもインターネットもなかった時代は、そうするしかすべがなかったとも言えるでしょう。しかし、最近の父は、初めての場所に出かけるときは、パソコンの道路画像を何度も何度も見て、経路を予習します。初めての場所は、普通の地図で見ても風景が分かりません。その点、画像で風景を見ながら経路をシミュレーションすることで、初めての場所でも予測できる情報が増え、パニックになりにくいのです。父にその話を聞いてからは、私も初めての場所に行くときは画像で経路をチェックするようにしています。息子を初めての場所に連れていくときも、息子に行先の画像を見せるようにしています。こうすることで、パニックを防ぐことにもつながりました。秘伝三、とにかくやることを口に出せ!Upload By 林真紀ADHDの特性では、周囲の刺激に弱く、他の刺激が入ると、自分がいまやるべきことを忘れてしまうことがあります。これは集中力の持続の弱さにも繋がってきます。例えば学校生活で、「〇〇をやりましょう」と先生に言われてやっていても、目の前に可愛らしい髪留めをしている子どもがいたら、そちらに注意を奪われてしまいます。父も私も息子も、この特性のために学校生活はかなり苦労したと言っていました。息子の場合はまだ周囲の理解がありますが、私と父は、小学校時代は先生に怒られてばかりだったのです。そんな父が私たちに教えてくれたのは、「今やらなければいけないことを、とにかく口に出せ」ということでした。父は、家の中にいてもしょっちゅう指差し確認をしている人です。指差し確認をしながら、そのときにやらなければならないことを、ブツブツと口で繰り返しているのです。父曰く、独り言を言って自分のやるべきことを確認することで、注意が他に奪われてしまうのを防ぐのだそうです。これは、注意欠陥の特性が強い人にとってはとても効果的で、父も私も息子も常に独り言を言っています。とはいえ、周りには「独り言多いよ…」と少し迷惑そうにされたりするので、ボリュームが大きくならないように注意するようにしています。秘伝四、学習は細切れに!Upload By 林真紀ADHDの特性があると、長い時間集中して学習することが難しいときがあります。私が父から習って一番役に立ったのは、「細切れ学習」のススメです。普通であれば、一科目に50分ぐらいの時間をかけて取り組むものかもしれませんが、私の場合はとても50分も集中が持ちません。そんな私に、父は自分がやっていた勉強法を教えてくれました。それは、15分学習+5分休憩を1セットにして学習する方法です。私の場合は、休憩をはさむごとに科目まで変えていました。15分英語の長文を読んだら5分休憩、次の15分は古文…というようなリズムで学習をするのです。他人から見れば「飽きっぽい」「集中力が続かない」というような印象だったようですが、15分集中すれば良いというスモールステップの目標であれば、比較的達成しやすくなると感じています。息子も同じやり方で学習をしているため、今のところ勉強に対する抵抗感を感じずに済んでいるようです。忍耐を要求せず、「これなら出来るかも」という細切れのハードルを設定することが大切だということを、私は父から学びました。三代ADHDに救われている出典 : このように、私と息子は、自分なりに工夫することで生きづらさを克服してきた父の教えで、困難をなんとかやり過ごし楽しく生きていくことができています。発達障害は遺伝する、というようなことがよく取りざたされます。自分が発達障害だから子どもに遺伝するのではないか、と悩んでいる人たちもよく見かけます。けれども、私は父がADHDで本当に良かったと思っています。そして、自分自身にも特性があったことで、息子に伝えられることがたくさんあります。ほんの少しの工夫と手助けで、生活がぐーんと楽になる、それを自分自身が分かっているということは、財産であると思います。 父からもらった宝物を、今度は私が息子に与える番です。
2018年02月08日「コミュ力UP」ワークショップで、会話のコツを学ぶ!Upload By かなしろにゃんこ。発達障害がある人や、その家族、支援者などいろいろな立場の人が参加できる会が、発達障害がある人の「コミュニケーション力の向上」を目指すワークショップを行っていると知り、行ってみることにしました。そこで教えてもらったコミュニケーションのコツは目から鱗だったのです!どんなコツなのかについては、前回のコラムを読んでいただけると嬉しいです。コミュニケーションのコツを教えてもらったら、いよいよロールプレイングを行います!6~8人のグループに分かれてスタートです。まず、ファシリテーター(会の進行役)からお題が出されます。そして、そのお題に沿った内容について、2人1組で5分間雑談をするのです。2人以外は、周りで2人の会話の様子を見守ります。いざ雑談を…と言われても、初めて会う者同士です。何から話していいのか分かりません。でもとにかく、私と相手役のNさん(男性)は、与えられたお題「和菓子」について話し始めたのでした。いよいよロールプレイング開始!ミッションは「いいところ」さがしUpload By かなしろにゃんこ。5分間は短いようで長い!自分の好きな和菓子の話をしてみたり、Nさんに話を振ってみたり。Nさんが好きな和菓子について掘り下げて聞いたり、和菓子のデザインの話まで広げてみたりと、アレコレ一生懸命話しました。私が気をつけたところは「嫌いなもの」や「苦手なもの」など否定的な会話をしないようにすることです。司会進行役のKさんの「否定的な会話からは何も生まれない」という発言が、私の心に響いたからです。肯定的な会話になるよう意識してみると、雑談もスムーズ!5分間の会話が終わると聞き役の方たちから「どこがよかったか!」を発表してもらいます。周りで見守っているメンバーは、話している2人をよく見て「いいところ」を探すのです。必ず「いいところ」だけをコメントするのが、このワークショップのポイント。会話をしている2人を観察して、長所を見つけることがミッションなのです。もちろん私も、他のメンバーが会話している間は聞き役になって、2人の「いいところ」を探しました。発達障害がある人は周りの人に興味がない、気にしないと言われることがありますが、こういう風に意識することで、変わるんじゃないかと思いました。皆さんから「いいところ」を発表してもらうと気持ちがいいものです。たとえそれがお世辞であっても!「雑談中、うまく話せなかった」「余計なこと話しちゃったかな?」と反省したりクヨクヨすることが多かった私ですが、肯定的なコメントをもらうことで、自己嫌悪を感じることがありませんでした。「私のこのしゃべりでも認めてもらえるんだ!」と自信を持てたのです。グループディスカッションで、会話の引き出しづくりUpload By かなしろにゃんこ。そしてテーマ「和菓子」について、もっと話せることはないか!?とみんなでディスカッションをします。これが楽しい!自分では引き出しが無くて思いつかなかった話や伝え方、テーマについてこんな切り口があるよ!とオモシロイ発想をグループのみなさんから聞くことができました。何度かワークショップに参加者しているという男性(会社員)は、「雑談はこうする!」というコツが分かってきたから「会社でも困らなくなった」と言っていました。コツが分かると、積極的に話したくなるのだそうです。「知識はひけらかさない」あえて避けるのがポイントUpload By かなしろにゃんこ。何度も参加している方に、雑談で気をつけていることを聞いてみると、「テーマに沿って相手も乗ってくれて話がうまくいったとしても、歴史や素材など話が長くなってしまいそうなものは避けます」とおっしゃっていました。そして「話がマニアックになってしまいそうになったら、自分からマニアックになってしまうので止めて違う話にしましょう」と方向転換することも身についたとも。ついつい知識を伝えたくなってしまうけれど、「あえて話さない」ことで雑談の雰囲気がよくなって、会話のイイ流れをつくれるのだと、勉強になりました。最大の難関…反抗期真っただ中の息子に、どう伝える!?Upload By かなしろにゃんこ。自助会でたくさんの情報を得てホクホクな私は早くこの素晴らしいコミュニケーションのコツを息子に話したい!とウキウキ。が!反抗期真っただ中で、親の言うことにはいちいち反発してくる息子です。うまく伝わるものなのか…???どうやったら伝えられるのか、悩んでしまいました。この続きは次回に!少し長い話になりましたが、もう少しお付き合いいただけたら幸いです~♡
2018年02月08日思春期を迎える発達障害の娘。心身の変化、どう伝える?出典 : 発達障害のある女の子は、特性ゆえの困りごとや、女の子ならではの困りごとに悩んでしまうことがあります。特に思春期を迎えると、心身の変化や、異性・同性の付き合い方の違いに戸惑いを感じてしまうことが多くあります。そのため、母親や祖母などの身近な女性が、子どもの特性に合わせて、心身の変化への対処法や必要性を教えたり、交友関係での困り感をサポートすることが重要です。一方で、きちんと教えなければいけないと分かりつつも、デリケートかつプライベートな思春期の諸問題を、どう伝えるべきか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。また、年ごろの子どもには聞き入れてもらえない場合もあるかもしれません。加えて、発達障害のある子どものなかには、特性として、抽象的な話し方が理解しにくい子や、視覚優位の子もいます。そのような場合、口頭で教えてもうまく伝わらない場合があります。そこで今回、女の子の発達障害や第二次性徴、性教育が取り上げられていて、思春期を迎える女の子のサポートに役立つ本をご紹介します。特性がある子どもにとっては、本の文章や図、イラストの方が、口頭で説明されるよりも理解しやすいかもしれません。これらの本を通して親が思春期の子どもについての理解・知識を深める、本を親子で一緒に読んでみる、本を子どもに手渡してみるなど、活用してみてはいかがでしょうか。保護者が発達障害のある女の子を理解するのに役立つ本出典 : はじめに、発達障害の女の子がいる保護者が、女の子の発達障害の特徴や、思春期を迎えた際のサポートを学べる本を2冊ご紹介します。そもそも発達障害とは何なのかという基礎情報に加えて、女の子ならではの特性について分かりやすく解説しています。女の子に多く見られる特徴や、女の子ならではの困りごと(友達関係、身だしなみなど)についても詳しい原因や対処法を紹介しています。乳幼児期から思春期まで網羅されているので、子どもがどの年齢でも役立つ情報が得られる一冊です。この本では、自閉症スペクトラム障害の女の子が、思春期を迎えて困ってしまいがちな、生理との向き合い方や生理用品の使い方、胸の発達に合わせた下着の選び方、性に対する考え方に関して、実例をまじえながら説明しています。特性に合わせた実践サポート術が豊富に紹介されているので、生理や下着、性に関することを教えるときに非常に役立ちます。また、自閉症スペクトラム障害のある女の子は、先のことが想像しづらい、予期しないことが起きるとパニックになりやすいといった場合があります。そのため、思春期を迎える年ごろの女の子がいる親御さんはもちろん、将来に備えて低年齢のお子さんの親御さんが読むこともおすすめです。これから子どもに起こり得る変化をあらかじめ把握し、いつどのように教えていくかを考えるきっかけにもなる本です。発達障害の女の子が思春期を迎えたときに読んでほしい本出典 : 続いて、思春期を迎えた発達障害の女の子向けに、自分や周りの心身の変化などに関して知ることに役立つ本を4冊ご紹介します。この本を手に取ると、自分にはどんな特性があり、それがどんな困りごとをもたらしているのかを把握できます。また、親には聞きにくいけど知りたい体の変化や、心の変化に伴う異性・同性との付き合い方、性に関することを自分で情報収集することが可能です。親子で一緒に読むのも良いですし、子どもにそっと渡してみるのも良いでしょう。この本は、自身も29歳でアスペルガー症候群と診断を受けた当事者であり、現在は自閉症の研究に従事する女性、デビ・ブラウン氏によって書かれた本です。主に著者よりも若い思春期の女の子たちに向けて、恋愛や性のこと、またそれに伴う危険から身を守る方法について、丁寧に述べられています。性や恋愛に関することは、通常すみずみまで教えられることは少なく、同世代の友達との会話やドラマ・漫画などからの情報収集、実体験から自然に把握・習得することがほとんどではないでしょうか。ですが、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー障害の女の子たちは、この「自然に把握・習得」していくことが苦手な傾向があります。そのため、性や恋愛で悲しい思いや危険な目に遭うことが多いといいます。なかなか説明しにくい性・恋愛のことや、そこからくる危険や辛さから身を守り、癒す方法をこの一冊を通して伝えてみてはいかがでしょうか。こちらは女の子の体の変化について詳しく学べる、ワークブック式の本です。自分の体がどのようになっているのか、どう変わっていくのか。そして、徐々に女の子から女性になっていく中で、どんなことに気をつけるべきなのか、具体的に学ぶことができます。また、この本には「着せ替えふろく」もついており、女の子の体の仕組みと思春期を迎えるにつれて現れる変化を、手を動かしながら理解することができます。アスペ・エルデの会/著『おとなになる女の子たちへ』アスペ・エルデの会このハンドブックは、知的障害の方の支援を行う「全国手をつなぐ育成連合会」が出版した、主に性行為に関して取り上げたものです。子どもが読んでも理解しやすい表現で、親の口からはなかなか説明しにくい性に関することが書かれています。男女の体の仕組みから、性行為が遊びではないこと、重要なことであるという内容が分かりやすくまとめられています。支援者向けの解説も記載されているので、子どもに性のことをどう説明すればよいか分からないという親御さんも手に取ってみると、参考になるかもしれません。全国手をつなぐ育成連合会/著『自立生活ハンドブック16性・SAY・生(せい・せい・せい)』さまざまな発達の遅れで、性に関する理解が難しい子ども向けに、男女の体の仕組みや性行動、性的人権などについて、分かりやすい文章とイラストで解説されています。子ども1人でもある程度読むことが可能な本ですが、内容が盛りだくさんなので、「まずはこの部分を読んでみて」など、親が特に読んでほしい部分を事前に話して渡したり、付箋を貼ったりするなどして気軽に読めるように工夫してあげるのもよいでしょう。この本は、発達障害の女の子に特化しているわけではありませんが、女の子に訪れる心と体の変化について、漫画形式で説明されています。生理の始まりのような体の変化や異性への興味など、親から直接教えにくいことが、読みやすく優しい語り口と、かわいらしいイラストによって、子ども1人で読んでも理解しやすくまとまっています。また、同じ著者から『15歳までの女の子に伝えたい自分の体と心の守り方』も出版されています。子どもの年齢にあわせて選んであげるとよいでしょう。大人になったらどうなる?女性の発達障害が分かる本出典 : 発達障害の女の子がいる親御さんの中には、「この子が大人の女性になったとき、どうなるのだろう」「就職や結婚、子育てなどできるのだろうか」など、子どもの将来に関して漠然とした不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。わが子が女の子から女性になるとき、どんなサポートが必要なのか…発達障害の女性を対象に書かれた本を手に取ってみるのも、子どもの将来をイメージするうえで、重要なヒントになるかもしれません。発達障害の女の子は、男の子より問題行動が現れにくく目立たない、という特徴があるため、子どもの頃に発達障害だと気づいてもらいにくいことが多くあります。そして成長し、成人になると就職や結婚、子育てといったより複雑で高度なスキルや社会性を求められるようになり、ますます生きづらさや困りごとを感じてしまう女性が少なくありません。このタイミングで医師やカウンセラーに相談し、自身が発達障害だと分かることも多いようです。この本では、冒頭に「家事ができない」「子育てが苦手」「男性との距離感が分からない」「仕事がうまくいかない」といった、具体的な生活の場面における困りごとが紹介されています。この部分から、「大人になるとこんなシーンで困ることがあるのか」と納得したうえで、読み進めることができます。このような困りごとの対処法はもちろん、女性ならではの発達障害の特徴や幼児期から老年期までの特徴も網羅されています。ADHDの特性がある、働く女性を主人公にした一冊。漫画形式なので、スムーズにストーリーを追うことができ、読み終えるころにはADHDの特性とそのサポート方法が理解できるようになる本です。仕事の「困った!」、片付けの「困った!」、感情・体調の「困った!」の章には、共感できる方も少なくないと思います。ADHDのある女の子を育てる親御さんにとっては、子どもが就職し、一人暮らしをする場面でどんな困りごとが起こるのか、イメージするにも役立ちます。この本は、40代になって発達障害の診断を受けた星野あゆみさんが、社会生活を送るうえで感じた困惑と、折り合いの方法を自ら語る内容になっています。転職を繰り返しながら、仕事や生活のさまざまな困りごと・生きづらさと向き合ってきたエピソードは、女の子の親御さんにとっても参考になること間違いなしです。エピソードは漫画形式で紹介されているので読みやすく、また漫画のイラストは「発達ナビ」でもおなじみの、かなしろにゃんこ。さんが担当されています。気軽に手に取れる一冊ではないでしょうか。まとめ出典 : 「発達障害って何?女の子と男の子でどう違うの?」「思春期の女の子への性教育、子どもの特性に合わせて行うには?」「娘は将来どんな女性になるのだろう?」など、発達障害の女の子を育てる親御さんは、さまざまな不安を抱えていることと思います。また、女の子自身も、成長するにつれて「どうして周りの友達みたいに普通のことができないんだろう」「どうして友達がなかなかできないんだろう」「体の変化に戸惑い、誰かに相談したいけど恥ずかしい」というような悩みを抱えることもあります。そんな親子それぞれの不安を解消する方法の一つとして、この記事で紹介したような本を一緒に読んでみたり、子どもに手渡してみたりすることをおすすめします。ぜひ、気になった本を手に取り、親自身の女の子の発達障害の理解や、自分の成長に戸惑う女の子のサポートに役立ててみてください。
2018年02月01日2周年を迎えたLITALICO発達ナビ、ユーザーの皆さんの声を募集しました!Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビは2016年1月26日、発達障害ポータルサイトとしてオープン!本日2018年1月26日で2周年を迎えました。会員数も2018年1月26日現在、10万人を超え、多くのユーザーの皆様にご利用いただいています。ココで現在、発達ナビにはどんなサービスがあるか、見てみましょう!【タイムライン】…ユーザーさんが自分の気持ちや日々の出来事をつぶやき、ほかのユーザーさんと交流できます【みんなのアンケート】…テーマや質問に回答。みんなの回答も見られるコーナーです【Q&A】…ユーザーさんが自分の聞きたいことや悩みを質問。投稿に対して他のユーザーの回答が集まります【コラム】…当事者ママの体験談や専門家のコラム、発達障害についての概説コラムやニュース記事が読めます【コミュニティ】…「共通の趣味や話題がある人とつながりたい」ユーザー同士が交流できるコーナーです【親子のヒント】…子どもの困りごとに関して、臨床心理士や作業療法士の専門家がヒントを紹介!イラストもたっぷりで対処法がわかります。【施設情報】…発達が気になるお子さまが利用できる全国の施設が検索できるコーナーです。ほかのユーザーさんがどんなふうに発達ナビを使っているのか、どこが気に入っているのか、気になっている人もいるのではないでしょうか?今回は2周年を機に、ユーザーの皆さんのお気に入りのサービスや活用法を「みんなのアンケート」で聞きました!アンケートの回答から、いくつかご紹介します!Upload By 発達ナビ編集部【発達ナビ2周年!】発達ナビでのお気に入りのサービスを教えてください!「私は一人じゃない!」発達ナビで会えるみんなとのつながりが心地いい出典 : 会員さん同士の交流を楽しめるタイムラインやコミュニティの機能。「ここに来れば仲間がいる」そう感じて、育児で孤軍奮闘しているとき、仕事で疲れたとき、たあいのない会話をして笑ったり、日常の小さな報告をしているとの声をたくさんいただきました。コミュニティ、Q&A、タイムラインをみて、みんな真剣に生きている姿勢、パワーをひしひしと感じ、自分1人ではないと、力をもらってます。タイムライン。真夜中のテンションで書くとおかしな事になりそうなので実況はしませんが子供が夜中に起きた時に更新されていくのを見て孤独ではないのだな、と勇気づけられています。みんなのアンケートやタイムラインが好きです。皆さんからの投稿を読み、私だけではない…と思え気持ちが楽になります。何度も読み返してます❤️発達ナビに登録して8ヶ月ほど。はじめは「親子のヒント」の続きが見たくての登録だったけど、利用し始めると、「タイムライン」が興味深い。あとは「Q&A」。勉強になる。やっぱり好きなのはタイムラインとQ&Aです。出会いの場であり、気付きがあり、それから息子の成長記録。気持ちを分かってくれる仲間がここにいる。ここでの繋がりが、すごく力になっています。「ココでだけは本音が言える」自分の気持ちを吐き出せる場所に出典 : 普段は弱音を吐かずに頑張っているけれど、発達ナビでは「疲れた」「悩んでいる」そんなふうにちょっとネガティブなことや愚痴、本音を言っても大丈夫、そんなふうに感じているユーザーさんも。交流するユーザーさん同士が、いろんな人の立場や気持ちを尊重して寄り添える。そんなタイムラインやQ&Aの風通しの良い雰囲気が、みなさんの本音を引き出しているのかもしれません。なかなか定形の方たちには理解して頂けない悩みや気持ちを理解して下さる方がここにはいるという事。これが1番大きいです。勉強させて頂ける事が大変多く有り難い存在です。タイムライン辛い気持ち、本音を遠慮なく吐き出せるところ。初めてこのサイトを利用して、本音をぶちまけたら多くの方が嫌な顔せずに共感して下さってホッとしました。使い方を誤らないようこれからもちょくちょく色んなことを書いていきたいですタイムラインや他のコミュニティーに参加させて貰い、他愛ない会話や時には愚痴、悩み事を相談させても頂きました。慣れないせいか、自分自身のコミュ力にも落ち込み、私の特性上にも初めの時にはリタリコでも気を遣い過ぎていた時期、勝手ながら私のコミュニティーを作らせて貰い、主に呟き場やリアルな本音を吐き出す場所として利用させて貰いました。「知りたい情報がココにある」知識を得るのに活用中!出典 : コラムや親子のヒントでは、専門家によるコラムや、子どもの困りごとに即した対処法をわかりやすく紹介しています。また、当事者や保護者のリアルな体験談コラムは、「うちの子もおんなじ!」という共感や「そういう接し方もあるんだ!」という発見があると人気です。かなしろにゃんこ。さんのマンガは、息子本人の障がい受容の助けに大変お世話になりました。m_ _mかなしろにゃんこ。さんのマンガを見たがるので、「これを見たいなら、お母さんの話を真剣に聞きなさい」と言って、自閉症スペクトラムとは何か、ADHDとは何か、あなたにも同じようなところがあるけれど、苦手なことをほったらかしにしないで、ちゃんと向き合わないといけない。と話しました。ムダなプライドを、私が色々言って下手に刺激するよりも、かなしろにゃんこ。さんの息子さんのリアルなお友達との対応やエピソードの方が、本人のSSTの復習や同学年の子との接し方のヒントになっているようです。楽々かあさんさんは、私はぺアトレを受けたのですが、小学校高学年になってからでしたので、効果はあるにはありましたが息子本人にも難しかったですし、自分の思考改革にもすごく時間がかかりましたし、今もガチガチなので、具体的で効果的な声掛けの復習や気づきに大変お世話になっています。「コラム」が好きです。息子の症状に見合うような内容のコラムであれば尚のこと。そうでなくとも、知らぬ情報が出てきていることも多いので、ここへきてまず最初に開くのは「コラム」と決まってます(^^)息子が未就園の頃は「親子のヒント」に本当~に助けられてました。いまは「コラム」が一番のお気に入りです。以前は「ADHDブログマンガ」とかで検索していろいろ読んでましたが自分で検索するとどうしても当たり・ハズレがあるのでコラムで良質なブログがまとめて読めるのはとてもイイ!です。子どもが成長してることに気づいた!出典 : 「親子のヒント」を利用しているうちに、息子さんの成長に気づいたという嬉しい回答もありました!久しぶりに「親子のヒント」のページを覗いてみたけど、はじめてここにきたときに読みたかった「発語・会話」のページ、今見てみると、読みたいテーマが変わっていることに気付きました。そっか、息子が出来ることが増えたから、読みたいものも違うんだ!そうやって間接的に感じた息子の成長です。「どうしたらいい?」気軽に聞ける!回答で新たな考え方に気づく!出典 : 【Q&A】私もアンサーを書かせて頂く事があるのですが、他の回答者の方の答えがとっても、役立っており、私の拙い回答以上に得るものが大きいです。また、質問されていた時は元気がなかったユーザーさんが、他の方の質問には回答者として、しっかり親身に答えているのをみて、元気になったんだなぁーと勝手に嬉しくなったりしています★「みんなのアンケート」さりげないテーマに沢山の方から色んなアンサーが出る…って言う所を楽しく感じています。当事者・家族・関係者…それぞれ事情は違えど「発達障害」て繋がり、一人一人違う答えや反応があることに面白さを感じています。支援機関や病院などでは受けられないアドバイスや新たな発見があります。先生や支援の方に言いにくい事や相談しても分かってもらえない事に気づいてくれました。自分が神経発達症でよかったとは思わないけど自分がADD.ASD ではなかったら発達のことも含めて色んな方とお話しが出来なかったと思います。「発達ナビにあったらいいな」と思うサービスのアンケートもUpload By 発達ナビ編集部発達ナビにあったらいいな、というアイデアも募集しています!よりよいサイトを目指して。3年目の発達ナビにもご期待ください!2周年おめでとうございます(⌒▽⌒)やっぱり、コラムが一番見ますけど、Q&Aや、コメントが付くと「お知らせ」で知らせてくれるなど、利用者目線な作りがお気に入りです。少しずつでも確実に、使いやすく探しやすく紹介しやすいサイトへと改良を重ねて下さっているスタッフさんには頭が下がります。これからも宜しくお願いします(∩_∩)アンケートでは使ってくださっている皆さんの活用法や感想などの嬉しいご意見や、「こうしてほしい!」というご意見もたくさんいただきました。まだまだアンケートでは皆さんのご意見を募集中です!ユーザーの皆さんのお役にたてるサイトを目指して、発達ナビではたくさんのコラムやニュース、サービスをお届けしたいと考えています。3年目を迎える2018年も、どうぞよろしくお願いします!
2018年01月26日早口・マニアック・自己中…小学校高学年時代の息子は、友だちに敬遠されるようにUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太。小学校高学年の頃は、自分の得意な話題となると、話が止まりませんでした。そのうえ、早口でまくし立てるようにしゃべるのです。学校では、仲がいい子からも「早口すぎて聞き取れない」「言ってることが難しくて分からない」と、ドン引きされることがあったようです。学校から帰ると「誰もオレの話を聞いてくれない」と悲しそうにすることが、よくありました。「(自分の好きな)電車や車の話をすると避けられる」というのです。小学生だと、趣味の話を延々とされても、話を合わせてあげるなんてことはできません。クラスメートが、興味を持てない会話を避けるのも無理はありません。「自分の好きなことばかり話しても聞いてもらえないよ。みんなが興味を持てる話をしてみたら!」とアドバイスしても、自分が興味を持てない会話だと何を話していいかわからないようで、会話に入れず、孤立することもありました。流行のモノを与えても解決しない!?コミュニケーションの根っこを育てたい…!Upload By かなしろにゃんこ。そのころ私は、PTA役員をやっていたので週に2日ほど学校に行くことがありました。すると、休み時間にPTA会議室の前に息子がやってきて「仲間に入れない…」とボヤくのです。休み時間に一人で寂しそうにする姿を見るのは親としてやはり切ないです。もう一度「仲良くしたい子の好きな話題に合わせて話しかけてみたら?」などアドバイスしてみたものの、息子は「がんばってみたけど、モンスターゲームの話が分からないからついていけなかったよ」と…一番仲のいいグループの友だちの間では、モンスターゲームがブーム。休み時間も、その話に花が咲きます。でも、ゲームをやっていない息子は完全にアウェーに。話の輪に入っていけっこありません…。私も、どうアドバイスをしたらいいか途方にくれてしまいました。高学年になると仲間の中でこれから何が流行りそうか、話題の流れはどうなっていくかなど、空気を読んだり鼻をきかせたりなどのテクニックが必要です。でも、息子はそれを知らなかった・できなかったことで、出遅れてしまったのです。そんな姿を見ているとなんとかできないものか?息子に何を伝えれば一番いいのか?考えましたが「じゃあそのモンスターゲームを買ってやろう。早速やらせてみよう!」という、”モノを与えて追いつかせる方法”は違うと思いました。「もっとコミュニケーションの根っこの部分をどうにかしないとどうにもならない」と感じたからです。発達障害者向け自助会が主催する”コミュ力向上”ワークショップへUpload By かなしろにゃんこ。親ならば、孤立しないで会話を楽しんでほしいなと思ってしまいます。中学校生活も待っています。とにかく、息子のこの先のことが心配でした…。そんなとき、発達障害がある人向けの自助会に誘われました。そこは、発達障害がある人や、その家族、支援者などいろいろな立場の人が参加できる会で、発達障害がある人の「コミュニケーション力の向上」を目指すワークショップを全国で開催していました。そこで私も、ワークショップに参加してみることに。そして「発達障害がある人が、なぜコミュニケーションが苦手になってしまうのか!?」ということについて教えてもらうことができたのです!司会進行をつとめるKさんも発達障害がある当事者でした。そして「発達障害がある人はコミュニケーションが不得意になってしまう特徴がありますよね!」と少々耳が痛い(笑) 部分について、一つひとつ丁寧に説明してくれました。コミュニケーションが苦手になる原因ってなんだろう?Upload By かなしろにゃんこ。まず、コミュニケーションが苦手になる原因として、例えば次のような特徴があると教えてもらいました。■相手の話に、否定的な返しを言いがちで、会話が続かない■自分の話ばかりしたがる■不得意な話題になると会話に参加しなくなる■話をしているうちにテーマがそれ、どんどん違う話になる■話題の引き出しが少なく、話が広がらない一つひとつ、事例を交えて教えてもらいました。これはその一部です。Kさんの話を聞きながら「ハッ!!私もそうかも!?」と思いあたることがあったり、息子の特徴そのままだったり…。「人とうまく話せるようになりたい」と思っていても、上にあげたようなさまざまな原因によって「人と話すチャンスが減ってしまうことで、話すことに苦手意識が生まれてしまう。コミュニケーション面で成長できる機会に恵まれなくなってしまう」ということに気づきました。発達障害がある人が”うまく話せるようになるコツ”って?Upload By かなしろにゃんこ。私は、ワークショップで教えてもらったことを「一つ残らず聞き漏らさないで家に持ち帰るぞ~!」と決意し、メモに大忙し。次に、どうやったらうまく話せるようになるのか!?というコツを、教えてもらいました。■相手の話の中で面白く感じたことやいいところだけを見つけて伝える(相手のいいところを見つけるのでもOK)■会話するときは話す前に秒数、間をおく。自分ばかり話さずに相手にも話を振る■不得意な話題も食わず嫌いにならずに参加してみる。分からないことは質問すると会話が続く■どんな内容の話やどんな話し方をしているのか、他の人の話を意識して聞いてみる■公的なところでは、周りの人が分からないマニアックな話題は避ける数秒意識するとか、人の話を意識して聞いてみるということなど、ちょっと意識するだけで変わりそう!と感じました。私自身、トレーニングが必要だった!?ロールプレイングで楽しく学べたワークショップUpload By かなしろにゃんこ。発達障害がある人だけでなく、こうしたコツは定型発達の子(人)もできていないことがあるんじゃないかと思います。私自身、話し方がうまいわけじゃありませんから、気づきがいっぱいありました。ワークショップ前の説明で教わったことは「みんなに効果あるじゃん!」って目からウロコでした。そして、今までは息子のコミュニケーションのことばかり気にしていたけれど、「私自身も改善しなきゃいけないところだらけ」だと気がつけたことも、大きな収穫でした!講義のあとは、数人ずつグループになって、いよいよ個室でワークショップを体験です!説明で受けたコツを意識しながらロールプレイングしたり、ディスカッションをして会話のキャッチボールってどう作られていくのか実践しながら身につけていきます。ワークショップの様子や、獲得したコツを息子リュウ太へどう伝授したかについては、次回お伝えしたいと思います~☆
2018年01月23日こだわりが強い、ちょっと変わった子どもだった出典 : 小さいころの私は、ものに対するこだわりがとても強く、枕とタオルケットはいつも使っているものでないとダメ。外に出るときは、いつも好きな人形を抱えていました。はたから見ると変わった子どもだったに違いなかったけれど、両親はよその子と比べることなく育ててくれていました。おかげで、小学校入学前までは、特に問題になることもなく生活できていました。家庭崩壊の危機へ!?不登校になった小学4年生のころ出典 : 小学校に入ると、周りの子どもたちとの違いに自分でも気づくようになりました。他の子が楽しそうにしていることが、自分はまったく楽しくない、何が楽しいのか分からないのです。でも、家でも学校でも、本当の気持ちを見せないでいました。私には兄と弟がいて、3人兄弟を育てる両親は本当に大変そうでした。それで「いい子でなければいけない」「素直でニコニコしてなきゃいけない」と思い込んでいたのです。だからか、誰も私の違和感に気づいていないようでした。小学校4年になった頃、私は、当時まだ珍しかった不登校になりました。何か決定的な出来事や明確な原因があったわけではありません。でも、ある日突然、学校に行くのが嫌になりました。クラスメートと話が合わず学校生活が苦痛だったことと、家族の前ではいい子を演じていたことなどが重なって、限界が来たのだろうと今は思います。出典 : 不登校になると、両親の態度は一変しました。毎日のように両親と言い争いをするようになったのです。母親からは「今日は学校行かないの?」から始まり「なんで学校に行ってくれないの!」と何度も言われました。父親には「今のうちからこんな生活をして、将来どうやって生きていくつもりなんだ?」と責められました。私からも、母親に対して「親の育て方が悪かったんだ!」とか「親なのになんで分かってくれないんだ!」など、傷つけてしまうような言葉を何度もぶつけてしまいました。以前は笑顔があふれていた夕食のだんらんは、暗い顔で黙って食事をとるだけの時間に。小学校に上がった弟まで「お兄ちゃんが休んでるなら僕も学校休みたい」と言いだす始末で、両親の顔はさらに暗くなっていきました。そのころの私は、両親は自分のことも周りのことも、何でも知ってる万能な存在だと信じていました。それまでは、私が何も言わなくてもいろんなことを察してくれていたし、質問すれば何でも答えてくれていたからです。「今までは何も説明しなくても全部分かってくれていたのに、どうして今のつらい気持ちを分かってくれないんだ!」なんてことをずっと考えていました。両親の変化と、夢中になれるものとの出会いが、私を変えた出典 : 毎日言い争う生活が1年半程続いたころ、徐々に光が見えてくるようになりました。話し合いを通して、両親は何でも知っている万能な存在ではなく、ただのひとりの人間なんだということに気づいたのです。両親はさまざまな本を読んだり専門家に相談するようになりました。そして、私への対応に変化があらわれてきたのです。母は仕事を休職し、不登校で家にいる私とよく話すようになりました。以前は「なんで学校に行かないの?」から始まっていた毎朝のやり取りは、「別に休んでいいからね」「無理していかなくていいよ」という声かけに変わっていました。父親からは「休みたいなら休んでもいいけど、将来のことは自分で責任をとるんだぞ」と言われるようになりました。出典 : なかでも一番大きく変わったのは、両親がちょっとしたことでほめてくれるようになったことです。特に母親はとても大げさにほめてくれるようになりました。ちょっといいことがあっただけで、とてつもなくすごいことをしたかのように大げさにほめてくれたのです!それまではテストでいい点を取ったり家事を手伝ったりしても特に何も言ってくれませんでした。だから、初めて母親にほめてもらったとき、私は心底うれしくて、泣きじゃくりながら母親に頭をなでてもらったことを鮮明に覚えています。つらくて固まっていた私の心は、少しずつ解けていきました。出典 : 両親との関係で光が見え始めたころ、私は自分だけのRPG(ロールプレイングゲーム)をつくるゲームと出会いました。数少ない友人から借りたそのゲームが、プログラミングの楽しさを教えてくれました。生まれて初めてのプログラミングは「主人公が家に入ると、その中にいる人の前まで自動的に歩いて話をする」という簡単なものでしたが、私にとっては大きな転機となりました。なぜなら自分の考えや気持ちを言葉にして伝えるのが苦手だった私が、自分の考えをダイレクトに表現することができた初めての体験だったからです。画家が絵で自分を表現するときのように、詩人が詩で考えや感情を表現するときのように、私はプログラミングでなら自分を表現できるかもしれないと思いました。将来は絶対にプログラマーになる!と決めた私は、少しずつ学校に通うようになりました。中学校では少し不登校をぶり返しましたが、何とか地元の工業高等専門学校(通称 高専)に入れる程度の学力を身につけられました。出典 : 私が通った高専は寮生活でした。わが家はいまどき珍しいほど貧乏ではありましたが、親が(本人曰く)清水の舞台から飛び降りる気持ちで私専用のノートパソコンを買ってくれました。私はそのパソコンを使って毎日ひたすら、学校でも寮でも、プログラミングの勉強をしました。学校の敷地内で生活できて、しかも変化の少ないスケジュールの中、ひたすら自分の好きなことにのめり込める環境は、私にとって最高でした。それまでは学校に通うことは苦痛でしかありませんでしたが、高専に入ってようやく、学校を楽しいと思えるようになったのです。希望の職に就職…!打ち砕かれた夢と現実とは出典 : その後プログラマーとして、とあるメーカーの子会社に就職しました。毎日プログラムを組めて、専門知識をいっぱい持っている先輩に囲まれて働くという、バラ色の未来を夢見ていました。ですが、残念ながらそんな期待はすぐに打ち砕かれました。プログラムを組むかわりに、毎日のように私が書いていたのは大量の技術文書。私がやりたいと願っていたプログラミングをする機会はほとんどありませんでした。学生時代の半分もプログラミングできない仕事は、私にとってはやりがいを感じられずとてもつまらないものだったのです。出典 : 就職してからは同期や先輩との付き合いが増えてきたのですが、周りの行動について行けなかった私は、ずっと困惑していました。周りの人たちは私だけが知らない決まったルールに従って動いているように見えていました。誰もそのルールを教えてくれず、誰かがリードしているわけでもないのに、なぜかみんな見えないルールに従っているように見えました。誰かが事前に口裏合わせをしているのだろうと本気で勘ぐったこともありました。私は知らない文化圏に迷い込んだ迷子のようになっていました。「顔つきは日本人で日本語を話しているのに、まるで異国のような文化・慣習の人たちが住む町に迷い込み、一緒に生活することになった」という状況を想像してみてください。私がこのころに感じた孤独感や困惑は、そんなときに味わう心境に似ていると思います。出典 : そんなある朝、突然ベッドから起きられなくなりました。何とか起きて外へ出ても、「車にぶつかれば休める」とか「電車に足一本持って行ってもらえればしばらくゆっくりできるなぁ」などというかなり危険なことが頭をよぎるように。精神科を受診し、うつ状態と診断されました。それから数年間さまざまな抗うつ薬を飲みながら生活していましたが、改善する見込みがなく20代半ばで休職することになりました。半年の休職を経て復職しましたが、復職先の上司には、叱責の度にうつ病のことを言われたり、人格否定をされました。就職してからは滅多に親に電話することはありませんでしたが、上司に人格否定された日は初めて泣きながら両親に電話しました。結局その環境に耐えきれなかった私はまた休みがちになり、最終的に会社を退職して実家に帰ることになりました。ようやくADHDとASDだと診断。両親にもらった勇気と自信に支えられ、管理職に…出典 : 実家で数ヶ月過ごすうちに、もう一度プログラマーとして仕事をしたいという気持ちが出てきました。そこで、とある会社に就職しました。その会社は、私のことをとても高く評価してくださったのです。自分が普通にできることをこなしているだけで周りの人たちが喜んでくれ、高い評価もしてくれる。こんなにうれしいことは社会人になってから数年間ずっとありませんでした。私ははじめて、仕事を面白いと感じるようになりました。その後、現在の会社に転職しました。しかし、ここで私はどうしようもないミスを多発してしまいます。悩み、調べる中で、自分がADHDなのではないかと思い至り、精神科を受診。ADHDとASDという診断を受けました。診断前後で大きく生活は変わってはいません。でも、自分が生きづらいと感じていたことの理由を理解できたことは、自分を理解するうえで大きな手掛かりとなりました。両親にたくさんほめてもらえたことで「自分を認めてくれる場所がある!自分はここにいていいんだ!」と思えるようになっていなければ、いまの私はなかっただろうと思います。発達障害があってもなんとか生活していけるだけの勇気を持たせてくれた両親には感謝しています。不登校のお子さんのいる保護者や支援者の皆さんには、お子さんをたくさんほめてほしいと思います。勇気や自信は、生きていくうえでの土台となるからです。浮き沈みを繰り返しながらも、私は今、管理職として働けるまでになりました。【後編】では、さまざまな生きにくさや挫折を経て、私がようやく掴んだ、無理せず、がんばりすぎず「人生をラクに生きる」サバイバル術についてご紹介します。
2018年01月22日発達障害児とその家族を支えるため、発達障害の正しい理解のための講演活動や、発達障害児を持つ家族のための相談支援活動などを行っている団体、一般社団法人「発達障害ファミリーサポートMarble(マーブル)」。その代表理事を務める国沢真弓さんは自身も、高校生になる自閉症児の母であるため、「当事者家族」の視点からのお話にはとても説得力があり、温かみのある方です。本業がアナウンサーであるため、周囲への「伝え方」のアドバイスは、なるほど! と深く納得できるものばかり。500名以上の発達障害児の家族の相談にのってきた国沢さんに、今回うかがったのは、発達障害の子どもを取り巻く、周囲との上手なコミュニケーション方法について。同じく発達障害の息子を持つ筆者が、「カミングアウトはするべきか?」「するとしたら上手な伝え方は?」、また「身近に発達障害児がいる場合、周囲はどう働きかければいいのか?」などを聞きました。■カミングアウトにあえて障害名を言う必要はない――発達障害の程度が重い場合は、あえて説明しなくても周囲は自然とわかるかもしれませんが、グレーな場合はわかりにくいですよね。特に説明する必要を感じない場合は、黙っていてもいいような気もしてしまいますが、身近なところにはカミングアウトした方が良いのでしょうか?「私が相談を受けた中では、カミングアウトした方が良いケースが多かったです。ただし、その際に、障害名をあえて言わない方が、結果的に良かったようですよ」――障害名をあえて言わないのはなぜでしょうか?「保育園や幼稚園だと、保護者が顔を合わせる機会が多いので、保護者の人となりが大体わかるのですが、小学生になると保護者の顔が見えにくくなってきます。残念ながら、中には噂好きのお母さんがいて、障害名だけ切り取って周囲に言われてしまったという例もあります。もちろん、障害名を伝えてうまくいくケースもあるので一概には言えませんが、カミングアウトする際は、どういう保護者がいるかわからないという想定で考えた方が良いと思います」――具体的には、どう伝えれば良いのでしょう?「上手くいった、ひとつの例をご紹介しましょう。『ホップ・ステップ・ジャンプの伝え方』…と私は名付けているのですが(笑)。まず“ホップ”。ユル~リと、子どもの具体的な行動を伝えます。例えば、『授業などの予定が急に変わると、混乱して泣いてしまうこともあるかと思います』とか『息子の〇〇は気持ちが高ぶると時々、乱暴な行動に出てしまうことがあります』など。ただ、この時、できればマイナス面だけではなくプラス面も話してほしいです。例えば、『小さな子には優しかったりするんですよ』など、良い面もくっつけると、聞いた時の印象が和らぎます。次に、“ステップ”として、子どもの行動に対して親として努力している姿勢を伝えます。例えば、『本人が行動を改められるように、1カ月に1回ほど専門家に相談に行っています』などというふうに『何もしていない訳ではないんだよ』と知らせます。最後に“ジャンプ”として、『〇〇のことで、何かありましたらお知らせください』と、いつでも受け入れる姿勢でいるということも伝えておく。そうすると、『ちょっと子どもはやっかいだけど、この保護者は何かあった時に聞く耳を持っているんだ』と、周囲も安心してくれるでしょう。本当は、しんどいんですけどね(汗)そして余裕があれば、最後に『今日は、話す前は緊張しましたが、親子ともども、楽しい学校生活を送りたいと思っているので、1年間よろしくお願いします』などと前向きな言葉で締められたら、グッド! ちょっとハードルが高いかな(笑)。でも、こんな順番でお話しすると、周囲に受け入れてもらいやすいようで、1クラスに2~3人は、応援してくれる保護者が出てくるケースをたくさん見てきましたよ」――なるほど。受け入れる姿勢を示すことはとても大事ですよね。では、もし、実際に子どものことで保護者からクレームがきた場合は、どう対処するのがベストでしょうか?「『周囲から子どものことでクレームがきた』という相談も、とても多いです。例えば、通常学級では『〇〇君がいると授業が進まない。支援学級にうつった方がいいんじゃないんですか?』なんて言われてしまうことも、残念ながらあります。そういう時は、もし、わが子が授業を中断しているのが事実だとしたら、まず謝ることが大切。そのうえで、『この子の居場所ができるように、クラスメートに迷惑がかからないように、学校と話し合いをしているので、もう少し見守っていただけますか?』とか『今、事態が改善されるよう、専門家にも相談をしています』などと、こちらが努力している姿勢を示しましょう。と言っても、こういう局面で、このように伝えるのは、すごくエネルギーを使いますよね。私も、相談する方のつらさがわかるだけに、なんとか力になれたらと思うんですよ」 ■発達障害の子どもに対して、周囲はどう対応すべき?――次は、逆の立場から考えた時のことをお聞きします。例えば、身近に発達障害の子どもがいた場合、周囲はどう接したら良いのでしょうか?「周囲が『歩み寄りたい』という気持ちを持ってくれたら、とてもありがたいです。発達障害の子どもの性質と接し方のコツを、周囲のみんながわかってくれたら、その子だけでなく、きっとみんなも楽になると思うんです。事実、障害児がいることで、その子を落ち着かせるために一致団結したり工夫したり、クラスがすごくまとまるケースもあるんです。…と言うことを、私たちのような“障害児の親サイド”から言ってしまうと、ちょっと押しつけがましいかもしれませんが(笑)。でも、実際、そういう例はあるんですよ」――「あの子はいろいろ問題行動を起こして迷惑」というふうにとらえるのではなく、「どうすればみんなが快適に過ごせるか?」というふうに視点を変えるのですね?「そうです。『授業を中断されて迷惑』とばっさり切り捨てるような一面的な考え方ではなく、『同じ教室に困っている子がいて、どうすれば解決できるか』を多面的にみんなで考える。その子が落ち着けば、自分たちへの飛び火も消えて、お互いに過ごしやすくなるはずですから。ただ一方的に、その子ばかりを特別扱いするというのではなく、みんなにも良いことがあるということを知ってもらえたら良いですね」――具体的には、周囲はどう接したらいいのでしょうか?「発達障害児に接する基本は4つです。1つは、話しかける時は『おだやかに・短く・肯定的な表現で・具体的に・わかりやすく褒める』。例えば、『廊下は走っちゃダメだよ!』ではなくて、『静かに歩きましょう』。『ちゃんとやってよ!』ではなくて、『〇〇を□時までに△△にしまいましょう』というふうに。2つ目は、あらかじめ予定を伝えることです。例えば、今日1日のスケジュールなどを表にして、『どこで、何が、いつ、誰が』を明記してわかりやすく伝えます。3つ目は、その子が集中できる環境を整えることです。好きなモノを手に握らせるなど、ほかにもその子が落ち着いていられるように工夫します。4つ目は、感覚過敏に配慮することです。発達障害児は知覚・触覚・嗅覚・味覚・平衡感覚が鋭かったり、逆に鈍かったりすることが多いので、近くで大声を出さないようにしたり、急に体に触れたりしないように、その子どもに合わせて配慮します。これら4つのことを組み合わせてやっていくと、落ち着いてコミュニケーションを取れることが多いと思います。すごくたくさんあって、大変という印象を持たれる方も多いかもしれませんね! けれど、こういうことを実践して、実際、発達障害の子どもが落ち着いて、クラスにいることができたら、それは周囲の皆さんの“努力賞”だと思いますよ」――なるほど。でも、このコミュニケーション方法って発達障害児だけではなく、すべての子どもに同じように役立ちますよね?「もちろん、発達障害児だけではなく、すべての子どもに有効な方法だと思います。私もこの対応法が身に着いてから、ずいぶん変わりました。例えば、忙しい時に子どもがミルクをこぼしたりすると、以前は『もう…! 何してんの!』みたいに怒ってしまっていたけど(苦笑)、息子への対応法が身についてからは『これでキレイにふきます』とサッと布巾を渡せるようになりました。私がイライラすると息子がそれに影響されて大変になってしまうので、自分の身を守るためでもあるんですけどね(笑)」――対応法が、すっかり体に身に着いたのですね!「10年以上、発達障害児の子育てをしていると、ずいぶん変わりますよ(笑)。難しいことかもしれないけれど、周囲の皆さんにも、どんどん対応法を知ってもらえたらうれしいです。上手に対応できた子は、きっとクラスの中でも『えっ、すごいじゃん!』と羨望(せんぼう)も集まって、その子も鼻高々になるかもしれません。そうやって、お互いコミュニケーション方法を学ぶことで、お互いの理解が深まるような、そんな環境になれば素敵ですよね」集団の調和を乱す子を、単に『みんなの邪魔』と言って排除するのは簡単です。でも、排除するだけでは、そこからは何も学べませんし、成長もありません。自分も、いつ“障害を持つ側”になるかはわからない…。障害を持った時に、悲嘆したり絶望したりすることがないように、誰もが尊重される、暮らしやすい社会が実現できると良いなと、心から思います。ただし、発達障害の子どもが何に困っているかを考え、相手の立場を理解し、一緒に楽しく過ごす方法を考えるのは、手間も忍耐力もとても必要です。けれど、それを根気よく進めていくことで、子どもたち(もちろん子どもだけではなく私たち大人も)は、かけがえのないものを学んでいくのではないでしょうか?国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ調布」アドバイザー、三鷹市教育支援推進委員会委員。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月20日そもそも発達障害とは?出典 : 発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。発達障害はいくつかのカテゴリーに分類されています。この記事では中でも、性別による違いが現れる、女の子ならではの悩みと関連しやすいという観点から、今回はADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害(ASD)について詳しくご説明します。ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、社会的コミュニケーションの困難と限定された反復的な行動や興味、活動が表れる障害のことです。そのほか、感覚過敏・鈍麻や、協調運動の不器用さも併存していることがあります。専門書などを見てみると、発達障害の発現率は男性の方が高いという表記が多いため、発達障害は男の子に多いもの、というイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。近年の研究では、実際のところ、発達障害の発現にはっきりとした男女の差は見られないという説があります。ですが、あらわれる症状や特性が男の子より目立たないことがあり、今まで「女の子」の発達障害についてはあまり指摘されてこなかったのではないか、とも言われています。女の子の発達障害には、特有の特徴があり、生きづらさや悩みを抱えているのではないかと考えられます。この記事では発達障害のある女の子が直面することの多い困りごとと、その対処法をご紹介します。女の子の発達障害、その特徴は?出典 : 発達障害の種類、そして一人ひとりに現れる症状や特性は異なりますが、今のところ、発達障害の女の子にはこのような傾向があることがわかっています。発達障害の特性は、人によって現れ方や程度が異なります。その中でも女の子の場合、問題行動につながるようなことは少ないため、目立ちにくく、周りも問題意識を抱きにくいことが多くあります。例えば、ADHDの場合、上記の通り不注意・多動性・衝動性という3つの症状がありますが、ADHDの女の子は特に不注意特性が強いことが多くなります(これを不注意優勢型とも言います)。この不注意特性は、多動・衝動優勢型の子どもに比べて、周りへの影響が小さいこともあり、ADHDであると気づかれにくい傾向があります。このように、女の子は発達障害だと気づかれず、特性による困りごとを抱えたまま過ごしてしまうことがあります。そのため支援につながりにくいのです。困りごとが解決されず、生きづらさを抱えたまま成長してしまうことが多いと言われています。二次障害とは、発達障害の主症状とは異なる症状・状態を引き起こしてしまうことを言います。発達障害の子どもが、適切な治療・サポートを受けられない状態が続いてしまうと、失敗体験を繰り返してしまい、自己肯定感が徐々に低下していってしまいます。そしてそれが、二次障害として現れることがあるのです。二次障害には、例えば以下のような症状・状態があります。・気分障害(うつ病など)・行為障害・不安障害・反抗挑戦性障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症など発達障害の女の子の傾向として「特性がはっきりと現れにくい」と紹介したように、二次障害の起こりやすさはこの特性発現の曖昧さによってもたらされていることがあります。女の子は周囲・そして自分でも「発達障害である」と気づかれにくい。だから「不真面目な子」「自分勝手な子」などと誤解されてしまったり、自分でも「どうして周りの子のようにできないのだろう…」と思い詰めてしまったりすることがあります。そうしたネガティブな誤解・思い込みが重なり、発達障害の女の子は、二次障害の発症に繋がってしまうこともあります。女の子は、成長に伴ってさまざまな「女の子・女性特有の問題や決まりごと」に直面します。女の子ならではの同性の友人との付き合い、異性との距離の取り方、心身発達への対応、身だしなみなど、女の子には「女の子としてのスキル」を求められることがよくあります。多くの女の子は、このような女の子ならではの問題への対処法を、同世代の子どもとの集団生活の中で、自然と身につけていきます。そして、自分の周りにいる女の子に対しても、このような対処法を習得していることを前提に、関係を築いていくことが多いです。ですが、発達障害の女の子は、こういった「女の子としてのスキル」を周りに合わせて習得することに難しさを感じることが少なくありません。集団の中で浮いた存在となってしまったり、「女の子なんだから…」というような抽象的な指摘の意味がわからず、混乱してしまったりします。例えば、自閉症スペクトラム障害の社会的コミュニケーションの困難という特性は、女の子集団特有の人間関係への苦手意識や、身だしなみへの無関心さにつながりやすいと言えます。女の子の発達障害、年齢ごとに直面する問題とは?出典 : 発達障害の女の子には成長に応じてどのような兆候や困りごとが現れるのか、発達に応じて紹介していきます。一般的に、「自分が男である、女である」という意識が芽生え始めるのは、3~4歳とされています。しかし、乳幼児期では、「女の子かつ発達障害だからこそ、このような困りごとが起こる」ということは少ないようです。自閉症の場合こだわりというよりは感覚の過敏性が見られたり、新しいところが苦手、等の傾向が見られる場合もありますが、男女共通して見られる特徴が現れることがほとんどです。これは、性意識がまだはっきりとはしていないこと、このくらいの年齢では発達障害であると明確にわかるわけではないためです。一方で、症状や困りごとがわかりにくいことから、言葉や知的な遅れがない場合、気づかれにくいことも多いので、注意が必要です。参考:日野原 重明/著『脳とこころのプライマリケア4子どもの発達と行動』シナジー/2010年小学生くらいになると、より高度な社会性が求められたり、学習時間が長くなったりすることから、発達障害による困り感を強く感じる子どもが多いようです。また、小学校高学年になると、女の子ならではの人間関係や、それに伴う暗黙のルールなどが増えたり、早い子では第二次性徴が見られたりするため、女の子としての生きづらさも徐々に感じ始める傾向にあります。例えば、以下の困りごとが現れます。・友達、先生の話を聞かない・忘れ物が多い・整理整頓が苦手・時間や活動の変更への対応ができない・授業に集中することができない・話し始めると止まらない・友達との会話についていけない、周りから敬遠されてしまう・人の言うことをすぐ信じてしまい、からかいを受けてしまうなど参考:「女性アスリート指導者のためのハンドブック2.第二次性徴」‐国立スポーツ科学センター女の子の思春期は、10~12歳ころから18歳までとされています。この時期は心身ともに子どもから大人に変化していきますが、そうした変化に戸惑いを感じたり、周りからの目を気にしてしまったりします。学童期で生じた困りごとのほかに、思春期ならではのこんな悩みを抱える可能性があります。・女性下着の着用を嫌がる(本人の衣服へのこだわり、手先が不器用でブラジャーのホックを留められない、ブラジャーのワイヤーを痛がるなど)・生理用ナプキンの着用を嫌がる、定期的な交換ができない・生理痛やPMS(月経前症候群)の影響を強く受ける、不安になってしまう・異性の前でも生理や下着の話を平気でしてしまう・女子グループから浮かないように、無理に合わせすぎて疲れてしまう・周りとの違いに気づき、落ち込んでしまう・異性との距離感がうまくとれないなどなお、学童期や思春期で多く挙げた第二次性徴にまつわる悩みや、女の子特有の人間関係についてのサポート方法に関しては、次の章で詳しく解説します。成人になると、就職や結婚、子育てなど自分自身でさまざまなライフステージを超えていくこととなります。まだ幼い子どもがいる家庭では、子どもが歩んでいく将来に期待しつつも、大きな不安を感じているところも多いかもしれませんね。人によっては、成人になってこのようなライフイベントを経て、自分の特性の偏りに気づくこともあります。・家事を段取りよくできない・片づけができない・お金や書類の管理が苦手・子育てがうまくいかず、感情的になってしまうのを止められない・恋人や結婚相手、またその家族とうまく関係を築けない・ご近所づきあい、ママ友づきあいが苦手・仕事でのミスが多く、周りの人から責められてしまう・何かハマるととことん依存してしまう(酒、ギャンブル、ショッピング、インターネットなど)・自分への自信のなさから不幸な恋愛をしてしまう(金銭を貸してしまうなど)など女の子ならではの困りごと、対処法って?出典 : 女の子は成長につれて、特有の問題にぶつかりがちです。そのうえ、親とはいえどこまで踏み込んで説明すればよいかわからないこともあると思います。以下、女の子の子育てでつまずきがちな「人間関係」「心と身体の変化」「身だしなみ」の3点について子どもに教えるポイントをお伝えします。小学校高学年を過ぎたあたりから、学校などで、女の子は少人数の仲良しグループをつくるようになります。そのグループの中だけでの秘密話や、グループだけで通じるたわいもない話で楽しみます。このようないわゆる「ガールズトーク」は、次々と話題が変わったり、自分と相手の話す量のバランスを調整しながら話したりすることが多くあります。これが、発達障害の女の子にとっては話にうまく入れない、グループの秘密を守る理由が理解できないなど、友達との関係づくりの苦手意識につながることが考えられます。その時、次のようなサポートを試してみると、本人が女の子の人間関係の構造を理解するきっかけになるかもしれません。■どうしてガールズトークや仲良しグループでうまくできないのか一緒に考える発達障害の女の子は、その子たちに距離を置かれたり、会話に関して文句を言われたりしても、どうしてそんな状況になっているのかわからないことが多くあります。周囲と仲良くすることができない理由を、親や信頼できる友達からわかりやすく説明してあげると、自分の発言・態度が相手にどのように伝わっているのか、理解しやすくなるでしょう。特に、人の表情を読んだり、冗談や皮肉など文字通りの意味ではないニュアンスを読み取ったりするなど、非言語的なコミュニケーションが苦手なことがあります。そのような微妙なニュアンスを言葉にして説明することで、女の子の人間関係のコツを理解するきっかけになるかもしれません。■人付き合いに疲れてしまったときは少し離れてみてもよい、常に一緒にいる必要はないことを伝える発達障害であるかどうかに関わらず、関わる全ての子と友達になる・うまく仲良くするのはなかなか難しいと思います。よく、学校などでは「たくさんのお友達をつくりましょう」などと広い交友関係をもつことを良しとしてしまいがちですが、そのイメージを強く持ちすぎると、「友達がなかなかできない自分はダメな子」というように思ってしまうことがあります。親は子どもをサポートする側として、子どもの交友関係に過度に干渉するよりも、友達への話しかけ方や、スムーズに会話をする方法を教えてあげましょう。そして、多くの友達と関係をつくる・維持するよりも、自分が無理をせずに付き合える友達と過ごす、時には一人になってみる選択肢もある、ということを伝えてあげることがポイントです。■自助グループへの参加高校生~成人くらいであれば、自助グループに参加し、同じ境遇の人と話してみることも良い方法です。発達障害の自助グループをはじめ、二次障害に関する自助グループなどもあります。自分と同じ特性や悩みがある人に、人間関係に関してどうしているかを聞いてみると、当事者ならではの良い改善方法が見つかるかもしれません。参考:アスペ・エルデの会/著『おとなになる女の子たちへ』アスペ・エルデの会成長するにしたがって、子どももその周りの子も心身ともに変化が見られます。その変化に応じて、以下のことを子どもがわかりやすい方法で伝えることが重要です。■ブラジャーの身につけ方、生理用ナプキンの使い方を一緒に実践してみる小学校などで女の子向けの性教育の時間を設けてくれるところは多いですが、集団の中で教えられるので、いざ自分がその時にどうすればよいのかわからないことがよくあります。・ブラジャーの着脱方法・子どもにあった下着選び・生理用ナプキンの交換頻度、交換方法・トイレまでのナプキンの持参方法などこれらのことを、子どもと一緒に実践しながら教えることが大切です。ただ一方的に教えるだけでは、なかなか想像・理解がしづらいことなので、できれば女の子の先輩である母親、姉、親戚などで協力し、実物を見せるなどして子どもに教えられると良いですね。■異性とはどのくらい距離感を保つべきなのか、具体的に教える小さい頃は男女関係なく遊んでいても、成長につれて男女分かれて遊ぶようになったり、お互い異性としての距離を取って付き合ったりすると思います。ですが、発達障害の女の子の場合、思春期頃の男女関係の変化に気づかず、同性と異性それぞれへの行動の区別ができないことが多くあります。そのため、異性に近づきすぎる、体を触る、じろじろ見る、恋愛や性の話題をためらいなくするといった、周囲に誤解を与えかねない行動をしてしまうことがあります。親のサポート方法として、異性の前でしてはいけない行動・話を具体的に教えてあげることが挙げられます。この時、子どもの特性に合わせて、異性の付き合い方のルールとしてリスト化してあげたり、ルールを守らなかった場合、相手にどんな印象を与えてしまうのかというところまで教えてあげたりするなど、工夫するとよいでしょう。一方で、幼児期に男の子にからかわれたりして苦手意識を持つなどして異性と話したり接することができない子もいます。適切な距離感を教えながら集団の中で話しやすそうな男の子と話す機会をつくるなどして少しずつ成功体験を積めるようにするとよいでしょう。■年齢に応じて性に関すること、自分の身を守る方法を教える性に関することは、親から子へはなかなか話しにくいことかもしれません。ですが、思春期を迎えるにつれて、避けられない話であると同時に、発達障害の女の子の場合は、その特性からさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。先ほど紹介した、異性との距離感の保ち方と同様に、性に関するタブー(人前でプライベートゾーンを触る、露出するなど)のほか、異性との性行為のリスクや断り方に関しても、きちんと教えることが大切です。もし、本人が性に関する話に抵抗するようであれば、子どもの年齢に合った語り口で、性に関して解説された書籍・ハンドブックなどを手渡してみるのも、性に関する正しい知識を得る良いきっかけとなるかもしれません。参考:デビ・ブラウン/著 『アスピーガールの心と体を守る性のルール 』2017年/東洋館出版社参考:やまがたてるえ/著『15歳までの女の子に伝えたい自分の体と心の守り方』2012/かんき出版参考:ロリエからだのノート~おとなになるということ~集団生活を送るうえでは、マナーとして身だしなみを清潔に保つことが求められます。それゆえに、身だしなみが整っていないことが、同年代の友達に敬遠されてしまったり、社会的な常識が身についていないと見なされ、怒られてしまったりなど、さまざまな困りごとにつながる可能性もあります。身だしなみの教え方として、子どもに合わせて以下のようなサポートをしてみてはいかがでしょうか。■最低限の身だしなみを整えられるよう、チェックリストをつくる年頃の女の子は自然と「可愛く、きれいになりたい」「周りの視線が気になる」という意識が芽生え、身だしなみにも気を遣い始めると思います。一方、特に自閉症スペクトラム障害の女の子は、他人から自分がどう見られているか想像することが苦手・関心がないゆえに、羞恥心や身だしなみを理解できないことが多くあります。とはいえ、体臭や頭髪の清潔さなど、他者と過ごすうえでの最低限のマナーに関しては、子どもが守れるよう、マニュアルやチェック表を作って洗面所に貼ってみるなどのサポートが必要です。また、大きくなると一人の女性として化粧をすることやむだ毛のケアがマナーとされることもあります。そうはいっても、感覚過敏で化粧品や脱毛が苦手だったり、これらのケアをする意味がわからず、やる気にならなかったりすることもあると思います。その場合、「顔色よく見えるように口紅・色つきリップクリームだけは塗る」「化粧水などのスキンケアでお肌をきれいに保つ」「半袖を着る時期はムダ毛の処理をする」といった無理のない約束事を、年齢・TPOに応じて追加するのもよいでしょう。■服選び、コーディネイトは本人の特性・ペースに合わせて徐々に対応していく発達障害の女の子は、「大きくなっても一人で服を選べない」「好きな色、柄、キャラクターだけでかたくなにコーディネイトしようとする」「気温や気候に合わせて服装を考えられない」など、服選びの場面でも苦労することがあります。1人で服を選べない場合、トップス・ボトムス・靴下のどれか1つだけ選ばせてみる、全身コーディネイトのパターンを数種類用意し、どのパターンにするか選ばせてみるというように、服を選ぶハードルを下げ、少しずつ自分で選べるようにはたらきかける方法がおすすめです。また、コーディネイトに本人なりの強いこだわりがある場合、ある程度は本人に任せてしまってもよいかもしれません。色や柄、肌触りにこだわりがある場合は、同じような服を何枚か買ってそろえてあげる、その服を使ったコーディネートの写真を参考程度に見せてみるなど、本人の好みをある程度尊重する姿勢でゆっくり見守っていくことも大切です。まとめ出典 : 発達障害は、周りの環境とのミスマッチによって、特性の偏りによる困りごとや悩みが膨らんでいってしまうことが多くあります。特に女の子は、それぞれの困り感に合わせて女の子ならではの問題も絡んできます。女の子特有の友達づきあい、異性との距離感、身体の変化をはじめ、「女の子らしさ」「女の子なんだから」という周りからの視線…さまざまな生きづらい環境に身を置きながら、自身の特性と付き合わなければならない場面もあるでしょう。女の子の先輩である母親、祖母、親戚、信頼のおける友達など、周りの女性をはじめ、異性の家族とも協力しながら、一人ひとりの女の子の成長をサポートしていきたいですね。参考文献星野仁彦/著『なんだかうまくいかないのは女性の発達障害かもしれません』 PHP研究所/2015宮尾 益知/監『女の子の発達障害: 思春期の心と行動の変化に気づいてサポートする本』河出書房新社 /2016「レディを育てる親と支援者たちへ」
2018年01月17日文字を書くことに関して何かと残念な長男。(そのたびに私は隠れて笑い、ほっこりしています)たとえば「お手紙」という漢字ひとつ書くにしても、Upload By ラム*カナ材質が変わったり(お毛紙…)Upload By ラム*カナ「糸」がどこかに行ったり(お手氏…)やりたい放題。これまでも長男のあふれるオリジナリティ文字については紹介してきましたが…冬休みの宿題も大苦戦。一行日記という、長男にとって難易度の高い宿題が出たんです。すると今度は…Upload By ラム*カナ苦手なくせに無駄に漢字を使おうとしている8歳児がいる…!Upload By ラム*カナすいみんぐは、カタカナだから。覚えようね…!
2018年01月12日難航する仕事選び。障害者雇用枠で、最も多い求人は事務職。けれども…出典 : 私は、26歳のときにアスペルガー症候群、ADHDの診断を受け、同時に退職も余儀なくされました。就職をするまでの学生生活では、表面上のコミュニケーションや、日常生活、勉強という面では、これといった支障はなく、自分が発達障害であることにも気づいていませんでした。しかし、社会人になってから対人関係の困り事などが表出し、行く先々で、「常識がない」「もう少し場をわきまえろ」と言われてきました。そして発達障害の診断を受けた後、そのことを職場にカミングアウトしたのですが、残念ながら退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。それからは就労移行支援事業所に通うことになり、支援員の方の手を借りながら障害者雇用枠での就職活動を進め、内定を獲得することができました。就労移行支援事業所は障害がある人の就労をサポートする機関で、職業訓練や職場探し、職場への定着支援など、さまざまな支援を受けることができます。しかし、その道のりは一本道というわけではなく、壁に直面したり、どうすればいいかわからないことも少なくありませんでした。特に悩んだのは、自分の特性と仕事の性質の兼ね合いです。障害者雇用枠のおよそ半分以上は事務職と言われれており、一般事務や経理、総務、人事などの職種で就職する場合が多いそうです。しかし、私は何か目新しさがないと注意や集中力を持続することができません。例えばExcelなどで売上伝票などを作成する際に、売上金などのデータ入力が必須になってきますが、ミスしないよう慎重に作業しているとスピードが他の人に比べて明らかに遅くなってしまうのです。するとそれが焦りに繋がり悪循環に陥ります。結果として、雑な仕上がりとなってしまったり、思いもしないようなミスをしてしまうのです。「働く」という字は、人と一緒に動くと書く。でも自分はコミュニケーションが苦手…出典 : また、空気が読めない、他人の気持ちに配慮した言動が難しいなどの特徴から、仕事上での困難に直面することも少なくありませんでした。営業の仕事にかかわっていたときは、相手の意図を汲み取りつつも、相手に探りを入れる高度なコミュニケーション能力が求められましたが、どうやってもうまくこなすことができませんでした。また、営業職は電話応対が頻繁に発生するため、他の人が話している電話の声が気になってしまったり、聞こえてくる会話内容を意図せずメールに書いてしまう事もありました。1つの作業に没頭すると他のことを忘れてしまうことも少なくなかったため、報告・連絡・相談がおろそかになるのは日常茶飯事。こうした自分の特性を考えたうえで就職をしようとすると、どうしても選択肢は数少ないものになってしまい、愕然とせざるえませんでした。自分には一体、何が出来るんだ!?出典 : 次第に頭のなかには、「自分には一体何ができるのか?」という思いが込み上げてきました。考えても出てくるのは「できることなんて無い」という答えばかり。私はどうすればわからず、毎日落ち込んでばかりいました。このとき、前を向く光をくれたのが、前職を退職してから相談を続けてきたカウンセラーさんです。障害の診断を受けて薬が処方されてからというもの、見知らぬ地でひとりぼっちのような気持ちでしたが、どうしたら生きやすくなるかの相談を続けてゆくうちに、自分がたどるべき道を何となくイメージできるようになってきたのです。検査結果ではわからなかった自分の数少ない強みカウンセリングでは、WAIS-III(ウェクスラー式知能検査)の結果を紐解いて、苦手なことと、苦手ではないことを分類していくことを行いました。私のWAIS-IIIの結果は、言語理解の部分が苦手ではない。しかし、決してずば抜けている訳でもないと言えるくらいで、他の項目はすべて平均より低いと言わざるを得ない状況でした。カウンセリングに行く度に話す内容をA4、1枚の紙にまとめて、ときには参考になりそうな資料なども合わせて準備していました。相談したいことがいくつかあった場合でも、話しているうちに相談しようと思っていたことを忘れてしまい、相談室を出た後で、話し忘れたと後悔することが多かったからです。そんな中あるとき、私の作った資料を見たカウンセラーさんが、ひょっとしたら自分の考えをまとめることが得意なのかもしれないと指摘してくれたのです。言われてみれば、心当たりがありました。以前仕事をしていたときは毎日が失敗の連続だったので、なぜ怒られたのか?何がいけなかったのかを自分で分析するために、日記に書くようになりました。1日の終わりに静かな自宅の部屋で、時間をゆっくりとかけながら何が問題だったのかを洗い出し、それはそしてときには視覚的に情報をまとめます。それは私にとってはまったく苦にならない作業であったことに気づいたのです。Upload By ツーちゃんこのことから自分で企画を考え、図やイラストで分かりやすく説明するような仕事内容にチャレンジしたいと思うようになりました。不注意傾向があってもソフトのスペルチェック機能を使えば、ミスが未然に防げたり、取りこぼしが減らせたりすることはできます。なので、Webデザイナーや、ライター、企画職など、クリエイティブ寄りの職種を志望し、就職活動を進めることにしたのです。Upload By ツーちゃん出来ることと(障害特性上)難しいこと=配慮して欲しいことを整理する出典 : 私の場合、障害者雇用枠での就職を目指すということは比較的早い段階で決まっていました。というのも仕事量や、割り振りなどに関して、会社側の配慮がどうしても必要だと強く感じていたからです。そのため、検査の結果なども加味して考え、障害を隠して働くという選択肢は消えていました。次に私は、自分の特性を面接官に分かりやすく説明する、「ナビゲーションブック」の作成に取り掛かります。そこで難しかったことは、障害の程度をいい塩梅で面接官に伝えるということです。文字などでまとめることは苦にならない私ですが、ありのまますぎて、より強烈な印象を与えてしまうような文章を書いてしまいがちでした。あまり欠点のみを書き過ぎてしまうと、人事担当も評価ポイントを見出しにくくなってしまいます。なので、自分自身の障害特性をしっかりと自覚し、そうした過去の失敗を繰り返さないように気をつけていると明記し、加えて過去の自分からの成長をアピールしました。また作成した当初は、できることと、配慮して欲しいことの2つのみを書いていましたが、それだと配慮してもらって当たり前というような印象を受けると支援員の方から指摘して頂いて、障害特性はあるものの、自分自身の努力でカバーできることもあると書くようにしました。Upload By ツーちゃんナビゲーションブックは就職活動を進める上で、どう役に立ったのか?出典 : 障害者雇用枠での面接では、仕事に対する熱意や志望動機以上に、障害のことや、それに対して必要な配慮について質問されました。そういったときにナビゲーションブックが役立ちます。2部、印刷して持参しておいたナビゲーションブックを、面接官と一緒に見ながら、事細かに説明しました。ナビゲーションブックを見た感想を、面接まで進んだ企業の採用担当者に聞いたことがあります。「障害者雇用によく使われる履歴書には3行程度障害について記載する欄があるが、3行程度の説明では、障害の多様さを理解するのは難しい。こういったナビゲーションブック等で障害に関して、詳しく説明して頂けるのは、とても助かる。また人事としても、障害に関してどこまで聞いて良いのか非常に気を遣う。求職者の方からオープンにして頂けると採用担当者からしてもやりやすい」と言われました。また別の面接官は「伝言ゲームだと、聞いた内容があやふやになりやすいが、こうした資料があれば、次の面接官への引き継ぎがしやすい」といった声もありました。総じて、障害を隠すよりも、かえって包み隠さず話した方が好印象と受け止められるケースが多かったです。またナビゲーションブックを用意しておく事で、その内容に沿った質問が多くなり、予想外の質問を減らす事が出来るというメリットもありました。臨機応変力があまり高くない私にとっては嬉しい誤算でもありました。必ずしもナビゲーションブックの作成をしなければいけない訳ではありませんが、ナビゲーションブックを用意する事で、障害についての理解が深まり、企業の採用担当の方にとっても不安が少なくなるのかもしれないなと感じました。参考: LITALICOワークス合理的配慮ガイドブック障害者雇用枠での就職活動を振り返って出典 : こうして就職活動を進めているうちに、半年が過ぎ、やっと内定を手に入れることができました。内定した会社は、スマートフォン向けのゲームアプリを開発する会社です。パソコンなどの扱いに精通していたことや、ADHDで新しいもの好き、好奇心旺盛な部分が、結果的に良い方向に働いたと感じています。配慮の面では、「困っていることはないか?」と人事の担当者が相談する時間を設けてくれたり、上司には指示が曖昧で分かりにくいといった、言いづらいことを代わりに伝えてもらうといった配慮を受けています。ただ、人事部と現場レベルで障害への理解、業務指示などを含めた接し方に対して、温度差が多少あるようには感じられます。また、環境の変化や、刺激の多い環境に対して疲れやすい特性を持っているので、最初の1か月間は、時短勤務を許可してもらっており、とても大事にしてもらっていると感じています。内定を得るまでには、合同就職説明会などで大量エントリーした企業も含めると、30社から40社ほどは受けたと思います。そのうち、面接に進んだのは6社で、最終面接に進めたのは4社。内定はたった1社のみという結果です。正直なところ、綱渡りのような状態で、これに落ちたらまた振り出しのような状況だったので、内定が出て胸をなでおろしたような気持ちです。就職活動が長引いてしまった理由としては、書類選考で落ちることも多く、モチベーションを保つのが難しかったこと、企業が特に精神障害・発達障害のある人の採用に対して慎重な姿勢を貫いていることから、選考期間が長期化してしまうことが挙げられると思います。障害者雇用については、まだどこも手探りのような状態で、書類選考に1ヶ月かかることも少なくありませんでした。新しい仕事は、すべてが未経験で「初めてづくし」な部分は大きいのですが、1年ぶりに仕事が出来ること、就労移行支援を退所した後も、支援員の方が定着支援として、企業と私との連絡係としてサポートしてくださることなどが、前職の時には無かった安心感を生んでいます。今から新しい門出にワクワクしています。私の経験は1つの例でしかありません。他にもさまざまな歩き方があると思います。それでも、私の歩んだ道が、少しでも役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
2018年01月03日ウチは低所得家庭…でも、第一志望の私立校に入れあげたい!Upload By かなしろにゃんこ。ちょうど4年前の今頃、息子リュウ太は第一志望の私立の高等専修学校を単願推薦で受験し、無事合格!入学手続きまでスイスイ進んでいきました。ですが、同時に入学金の支払いが迫ります。学校からの請求額は入学金や授業料に設備使用料など含めると、年間平均100万円!?わが家は裕福な家庭ではないので「はたして学費が支払えるの?」と、入学が決まっているというのに怖気ずく私。ぶっちゃけ「ムリムリムリーーーー!」って頭抱えました。お金をどこから引っぱってこようと悩んでいたときに、高等専修学校の広報の先生から「国の『高等学校等就学支援金』や、県の『私立高等学校等授業料減免制度』を使うといいですよ!」と教えてもらったことを思い出しました。授業料の支援を受けることに、少し抵抗感があったのですが申請してみることにしました。学費が払えない…国の支援金と県の制度、ダブルで申請!Upload By かなしろにゃんこ。学費を助けてくれる制度ですが、夫婦の年収によっては申請できない場合もあります。わが家は夫婦でフリーランス。世帯年収が低く、この制度を使えることが分かってホッと一安心!肺の空気全部出し切るくらいホッとしましたよ。マジで。国と県の制度で、年間約50万円助けてもらえることとなりました。でも、支援はされっぱなしはダメ!助けてもらったら必ず恩返しをする必要があることを、息子と話し合いました。健康なうちは必ず納税の義務を果たす。社会とつながり、何かしら社会貢献をする。将来稼げるようになったら、今度は自分が誰かを助ける番になる…世の中はお互いさまで回っている。いい制度を作ってくれた日本に感謝しよう!と親子で話したのでした。小遣いはアルバイト代から、往復25キロを自転車通学。厳しい家計は、節約で乗り切った!Upload By かなしろにゃんこ。高等専修学校に入学した息子は、アルバイトをスタート!自分の小遣いや携帯電話代は、自分でかせいでもらいました。交通費を節約するため、雨の日は電車通学、晴れの日は往復25kmを自転車通学です。毎日お弁当とお茶を持たせて、なるべくお金を遣わないようにやりくりしました。私も仕事を増やしてバリバリ働き、無我夢中で最初の1年間を乗り切ったときに、ようやく「なんとかなるかも!」と自信が持てました。もし授業料が払えなくなったらどうしよう…と怯えるよりも、いざとなったらクレジットでお金を借りればいっか!そして少しづつ返済すればいいじゃない。という案も用意(笑)借金を安易に考えてしまい情けないかぎりですが…借金しないでツラい~と頑張るよりも、困ったときは借りてよい!というルールを設定することで心がふっとラクになりました。気持ちが楽になると、仕事がキツくても乗り切れました、実際借金はせずに済みましたが、わが子のためなら「いつでも数百万借りてやるわい!」と思っていました(笑)同じ趣味の仲間たちと、念願の学校生活を満喫Upload By かなしろにゃんこ。お金の面は親が悩めばいいのですが、大事なのは子どもが入学したことを後悔していないか?です。もともと人づきあいがヘタな子です。私が一番育んでほしかったのは「人づきあい」でした。学校でも入学早々に先輩とのトラブルがありましたが、問題が解決すると逆に、仲良くなれた様子。車やバイクなどが好きな生徒が集まっているので、共通の話題を通してスムーズに打ち解けることができたようです。同じ趣味の友だちと、部活や学校のイベントなどで楽しい時間を過ごしたり、お互い助け合っている姿を見て「この学校に入学できてほんとによかった」と感じました。仲間に恵まれ、3年間を修了!しかし…再び待ち受ける、学費問題!Upload By かなしろにゃんこ。中学までは息子のマニアックなところが「何を言ってるのか理解できない」と煙たがられることがありました。ところが専修学校では、勉強はまったくできなかったものの、車とバイクのマニアックな知識がいい作用をして、友だちづくりにも役立ったようです。やっと話が合う人に巡り会えたことがなにより嬉しかった息子。でも、ここでも「お前ほどマニアックなことは話せないよ」と言われる始末…。落ち着きがなく、衝動的でケンカっぱやい息子ですが、学校の仲間たちに受け入れてもらい、なんとか今年の3月に無事に高等専修学校を修了。春からは、その上の4年制の専門課程に進学することになりました。専門課程進学は奨学金を活用。リュウ太の結婚までに、親子で返済するぞ~!専門課程進学で、またまたお金がかかります(涙)今回は奨学金制度を利用して、子どもと親で一緒に返済することにしました。奨学金の返済が済んでいないと、子どもが結婚適齢期で何かとお金が要りようになったときや、家のローンを組もうと思ったときに借りられないなんてことが起こってしまうので…家族で協力してガンガン返済していきたいものです。まぁ~なんとかなるでしょ!な、ゆるゆるな精神ですが、これからもコレで乗り切っていこうと思います。ん?その前に息子が将来、結婚できるかなって!?んーーーーー?(笑)本人が望めばそのへんもなんとかなる!きっと…♡
2017年12月19日自分が好きな遊びじゃなきゃイヤ!友達に合わせるなんて苦痛すぎた小学生時代Upload By かなしろにゃんこ。息子リュウ太は小学生のころ、友達に合わせて遊ぶことなど苦痛すぎてできませんでした。「ワクワクしないことには付き合いたくない!」、”自分が”楽しいことにだけ全エネルギーを使いたいコテコテのADHDです。ウソでも人の趣味に共感するなんてことはできません。私はそんなリュウ太に、「みんなに合わせられるような柔軟な心を持ってほしいな…」なんて思っていたものです。でも、人に合わせるなんて、ADHDの小学生にとってはまだまだ難しいこと。ところが!中学生になると徐々に、友達オススメのゲームもするようになりました。やっと友達の趣味に合わせることができるようになってきたのです。男子4人、ミッション成功に向けて協力し合う!?コミュニケーション力が自然にUPUpload By かなしろにゃんこ。放課後、ウチに4人くらいの同級生が集まり、友達のソフトでゲームをすることが増えてきました。どうも、海外のギャングゲームをやっていたようで、「アレじゃねー?」「コレだろ!」と協力し合ったり、ときには転がって大笑いしたりワイワイと楽しそうです。海外版のゲームなので、英語力がまだイマイチな中学生には分からないことも多く、みんなで協力して試行錯誤しながらプレイしている様子。私はすぐそばの部屋で仕事をしていたのですが、おかげで全く集中できませんでした…。そのうえ、ハイテンションで遊ぶ男子4人が集う部屋からは、汗臭やら靴下臭やらいろいろなニオイまで漂ってくる~ (笑)でも、息子が友達と楽しめている!と思うと、仕事に集中できなくても、部屋が多少臭くなっても我慢できました。友達の意見を受け入れたり、自分の意見を提案したり、小学生のころには見られなかった”仲間意識”が生まれている感じ。ゲームをしながらコミュニケーション力まで磨かれている!と感じられました。それに、友達と遊んだ日は、疲れて早く寝てくれるのも母として高ポイントでした(笑)ゲーム三昧の「クリスマスお泊り会」を計画!息子がホスト役にUpload By かなしろにゃんこ。クリスマス間近のある日、夫が「家族で楽しもう!」といろいろなスポーツ対戦ができるゲームソフトを買ってきました。ところが息子は、家族でやる前に友達と楽しむんだと「お泊り会」を計画!というか勝手に決めてきたのでした。息子の計画は、ゲーム三昧の「クリスマスお泊り会!」。友達4人でわが家でお泊りして、自分たちでカレーライスをつくり、夜通しゲームをするというもの。夫がいると遠慮して楽しみづらいということで、夫には会社に泊まってもらい(クリスマスなのに!)、気兼ねなく遊べるように準備しました。パーティー当日は、子どもたちだけでカレーを鍋いっぱいにつくって、4人でたいらげてからっぽに。私の分をとっておいてくれるという気の回し方はできなかったようで(笑)そして、家族で楽しむ予定だったスポーツゲームで、中学生らしく健全に汗を流してハッスルハッスル☆ドタンバタン!遠慮なく暴れる男子たち。「息子はホスト役らしく、みんながくつろげるように細かい気遣いをしていました」…といいたいところですが、気遣いなんて全くできてなくて、友達のほうが細かいお手伝いをせっせとしてくれました。そんな空気読まないところが、さすがADHD息子。誰も期待していません(笑)ダサいことがカッコイイ!?”ヘタレでダサい”自分を笑いに変えられるように!Upload By かなしろにゃんこ。その夜の息子たちを見ていて思ったことは、ゲーム中にダサい失敗をして友達にツッコまれることが「オイシイ!」らしく?お互いツッコミ合っては、大笑いしているのです。小学生時代の息子だったら、ツッコまれたら怒り出したり、被害者意識強めでしょげていたはず。でも、ヘタレでダサい自分を笑いに変えられるようになっていたんです。息子が殻を破れた、新しい息子の姿を見ることができた瞬間でした。リーダーの子がまず最初に”ダサいことをやらかすのがオモシロイ!”という雰囲気づくりをしてくれ、他の子がかわるがわる失敗したり、ダサいことをする。そして皆でツッコミ合っては、ゲラゲラ大笑い。これが中学生らしいコミュニケーションなのかな?、ダメなところも見せられると仲間意識が強まるのかも?、カッコよく勝つだけがオモシロイわけじゃないという、新たな価値観を友達から学べてるのかもしれないと思いました。「こんな日があってもいいよね!」息子の成長を感じた夜Upload By かなしろにゃんこ。はしゃぎすぎて、夜中は大人しくボードゲームに流れていった男子たち…ホスト役のはずの息子は、なんと真っ先に寝てしまいました。オイオイ、夜通し遊ぶんじゃなかったの?企画したのはお前だろ!と、ツッコミたくなりました。その日は私まで徹夜することになりましたが、友達と一緒にワイワイ楽しむ息子の姿を見ることができたし、「こんな日があってもいいよね!」と気楽に考えられるようになりました。小学生のころ、あんなに気をもんだ友達付き合いなのに…。はからずも、息子のコミュニケーション力をUPさせられるゲームを買い、クリスマスなのに会社にお泊りしてくれた夫にも、大感謝した夜なのでした。
2017年12月13日「聴覚過敏」のもうひとつのカタチ出典 : 発達障害のある子どもの特性の一つに、感覚の過敏性があります。その中でも、触覚や聴覚に過敏性がある子がいるということは、かなり知られるようになってきました。我が家の7歳児(自閉症スペクトラム障害・ADHDの診断済)も聴覚に過敏性があり、予告なく出される大きな音や人の怒鳴り声などでパニックになってしまいます。この点については、学校側も随分配慮してくださっています。今は、運動会のピストルの音を小さくしたり、大きな声で怒鳴らず耳元で穏やかに話をするなどの工夫をして頂いています。けれども息子と小学校の話をしているうちに私は知ったのです。聴覚過敏のもたらす困難の、もう一つのカタチ。聴覚過敏を和らげるアイテムであるイヤーマフなどが役にたたない、もう一つの困難があることを。そしてその困難は息子にとって、予期せぬ大音量よりも辛いものだったのです。聴覚過敏とコミュニケーション出典 : 学校の休み時間。給食の時間。登下校の時間。子どもたちの楽しいお喋りの声があちこちから聞こえてきます。女の子たちは秘密のひそひそ話。男の子たちはアニメやゲームの話。そしてそれは、息子にとって苦難の時間の訪れです。教室のみんなが一斉にお喋りに興じ始めると、息子はありとあらゆる会話に首を突っ込みます。時には女の子たちの秘密のひそひそ話にも遠慮なく乗り込んで行ってしまうのです。「え!?君は〇〇ちゃんが嫌いなの!!?なんで!?」息子はこんなデリカシーのないことを、大声で言ってしまいます。当然、言われた女の子たちは激怒です。「あなたに話しかけてない!!」「こっちで話してたのに、入ってこないで!!」別のグループの男の子たちも息子に怒鳴りつけます。「おまえに話しかけてない!!」「向こう行け!!!」息子はそのたびに落ち込んで、家に帰ると堰を切ったように泣きます。それでも翌日からは同じことを繰り返してしまうようです。聞こえる会話全てに首を突っ込み、クラスメイトに怒鳴られて帰ってくるのです。私はこの息子の行動は、ADHDの「衝動性」が関係しているのだと思っていたので、どうしたら衝動性を少しでも抑えることができるのか、必死に考えていました。けれども、息子の話をよくよく聞いているうちに、これは衝動性の他にも別の要因が引き起こしていることだということが分かったのです。「聴覚過敏」の引き起こしていたもの出典 : 「また友達にうるさい!って言われた…」と言いながら帰ってくる息子に、私は「自分に話しかけてくる会話以外には入っちゃいけないよ」と言いました。すると、息子からは意外な一言が飛び出しました。「お友達の会話が、全部僕に話しかけてくるように聞こえる…」「声の大きさも全部、同じに聞こえるよ」そして息子はこう続けます。「みんなは、自分にだけ話しかけてくる声がどうして聞き分けられるの?」私は「なるほど…」と頷きました。息子は衝動的に人の話に首を突っ込んでいたわけではなく、自分にだけ語りかけてくる声、とりわけその音量を判別する力が弱かったのです。人には「カクテルパーティ効果」と呼ばれるような必要な情報だけを無意識に選択する能力が備わっていると言います。けれども、聴覚過敏がある子どもは、その過敏性がゆえに、音からの情報を取捨選択する力が弱いのかもしれないと思い至ったのです。息子がみんなの会話に首を突っ込んでしまうのは、まさにこの聴覚過敏が引き起こしていたものかもしれません。自分の当たり前は、この子には当たり前ではない出典 : 私は息子の「聴覚過敏」がクラスの人間関係にまで影響を及ぼしているとは知らず、当初はとてもショックでした。クラスの休み時間にまでイヤーマフを持ち込むわけにはいきません。何よりも、息子はクラスメイトたちと休み時間に話をするのが大好きです。けれども、周囲の話し声が一様に自分に話しかけているように聞こえてしまうため、どの声に応答したらよいのか分からず、オロオロしているようでした。そこで私は息子に、一つの指標を教えました。「息子くん、療育で、人の目を見ると褒めてもらえたよね?なんでだと思う?人の目を見ると、自分に話しかけているかどうかが分かることが多いんだよ。息子くんに話しかける人は、息子くんの目を見ていることが多いから、まずは相手が自分の目を見ているかどうか確認してみると良いかもしれないよ。」息子はこのアドバイスに納得し、最近は人の会話に入るときにワンクッション置くことができるようになったようです。とはいえ、全ての会話が同じ音量で聞こえてくる状態は今も続いており、帰宅するとぐったりとしている様子が見てとれます。ですので、クールダウンの時間を持たせることを心がけています。発達障害の子どもは、私たちが思っている以上に騒がしく、自分向けられた声を拾ってゆくだけでも疲れるような世界に生きているのかもしれません。
2017年12月12日ADHDへの新薬インチュニブってどんな薬?出典 : インチュニブは、グアンファシン塩酸塩という薬の商品名で、小児用のADHD治療薬です。グアンファシンという成分が脳の情報伝達機能を助け、ADHDの多動性、不注意、衝動性の症状を改善する効果があります。日本で製造販売が承認され、販売が開始されたのは2017年5月ですが、アメリカ、イギリス、オーストラリアでは以前からADHDの治療薬として、コンサータ、ストラテラと共に使用されてきました。インチュニブは、患者の体重、症状、薬の効き方を踏まえて飲む量を決めるので、医師の処方が必要です。また、処方される年齢は6~17歳までと決められており、6歳未満、18歳以上の患者が使用した場合の安全性、有用性はまだ確認されていません(2017年12月現在)。従来の薬とは違う作用で働くため、ストラテラやコンサータでは効果を感じられなかったり、副作用などにより継続できなかった人への効果が期待されています。次の章からは、インチュニブが働く仕組み、用法・容量・副作用のリスクなど、インチュニブ使用を考える上で知っておきたい情報を解説していきます。インチュニブが働く仕組み出典 : この章では、インチュニブがADHDの症状に作用する仕組みをより詳しく解説します。ADHDの原因は解明されていませんが、脳の前頭前皮質という部分での情報伝達に問題があるとされています。中でも、シナプスという情報の送受信をする部位がうまく働かないことが原因の一つではないかと言われています。そのため、外から入ってきた情報をうまく取り込んだり処理をしたりするのが難しく、自分の注意や行動をコントロールできなくなると考えられています。そして「落ち着きがない」「注意が長続きしない」「衝動的に行動してしまう」といった”多動、不注意、衝動性”の症状としてあらわれます。ADHDのある人の中には、以下の図のように後シナプス(情報を受け取る側)に伝達された情報が漏れ出てしまい、神経伝達量が減少してしまっている場合があると考えられています。Upload By 発達障害のキホンインチュニブの役割は、後シナプスの情報の取りこぼしを減らすことです。インチュニブの主成分であるグアンファシンが、後シナプス中のアドレナリン受容体という物質を活性化させることで、シナプス内のHCNチャネルという穴を塞ぎ、入ってきた情報を漏れにくくさせます。Upload By 発達障害のキホンしたがって、より多くの情報を伝達できるようになり、覚えられる情報の量や、その持続力も高まります。その結果、多動、不注意、衝動性といった症状の改善に繋がるのです。インチュニブの用法・用量出典 : 前の章では、インチュニブがADHDの症状を改善させる仕組みを解説しましたが、その効果が適切に発揮されるためには、決められた用法用量を守ることが必要です。インチュニブは1日1回服用する薬です。飲む量は、医師が体質、症状、薬のきき方などをもとに決めます。飲む時間帯はなるべく決まっていたほうが良いでしょう。インチュニブと併用すると、効果が変わったり、副作用が出たりする薬や食品があります。もともと服用している薬がある場合や、インチュニブを服用しながら他の薬を服用することになった場合は、主治医に相談しましょう。以下がインチュニブとの併用に注意すべき薬などの一例ですので、確認してみてください。・バルプロ酸・中枢神経抑制剤・インチュニブの血中濃度を通常よりも上げる可能性のある薬(イトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン など)・インチュニブの血中濃度を通常よりも下げる可能性のある薬(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン など)・血圧を低下又は脈拍数を減少させる作用のある薬・アルコール参考:患者用小冊子│シャイアージャパンインチュニブの対象年齢は6歳~17歳です。6歳未満、18歳以上の年齢における有効性・安全性は確認されていません。インチュニブの副作用のリスクと対処法出典 : インチュニブには、いくつかの副作用が認められています。販売元であるシャイアージャパンによって国内での承認時に行われた臨床検査では74.8%に副作用が認められました。主なものは、傾眠(うとうとする)57.5%、血圧低下15.4%、頭痛 12.2%でした。インチュニブ服用時に特に起こりやすい副作用としては、低血圧、徐脈(心臓の拍動数が異常に減少する)、鎮静、傾眠があります。インチュニブの成分であるグアンファシンはもともと血圧を下げる薬として使われていたこともあり、服薬中の血圧の変化には注意が必要です。重大な副作用としては次のような事例が挙げられます。・低血圧(5%以上)、徐脈(5%以上)血圧の低下や、脈拍の低下により失神につながることがあります。インチュニブ服用中は血圧の変化に気を配りましょう。・房室ブロック(0.5%以上)徐脈の一種で、心臓がリズミカルに血流を送る働きに異変が生じることを言います。房室ブロックが悪化すると失神を起こすことがあります。・失神(頻度不明)低血圧、徐脈が悪化すると失神が起こることがあるので観察を十分に行い、めまいやふらつきなどの異常が認められた場合には主治医に相談しましょう。副作用を抑えるためには、適切な使用方法を継続することが重要です。特に、次の2つに注意しましょう。・毎日飲む毎日欠かさず飲むことで、効果が正しく出るだけでなく、副作用の防止にも関係します。グアンファシンは血圧を下げる働きがあるため、適切な量を安定したペースで飲まないと、前述の副作用が起こるリスクが高まるからです。万が一飲み忘れた場合は、主治医に相談しましょう。・服用を勝手にやめないいきなり服用を中断すると、一時的に血圧が上がったり、脈拍数が増加したりすることがあり、海外においては高血圧性脳症(急激な血圧上昇で頭痛、吐き気、けいれんなどが 生じること)に至った例が報告されています。その他、こまめな経過観察をして、少しでも気になることがあれば主治医に相談しましょう。参考:使用上の注意の解説 P.32│シャイアージャパン参考:『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版 』(ADHDの診断・治療指針に関する研究会 齊藤万比古編/株式会社じほう) P.242インチュニブとコンサータ、ストラテラとの違い出典 : ここまで、インチュニブの基本的な情報を紹介してきました。この章では、インチュニブ発売前からADHDの治療薬として使われてきたコンサータ、ストラテラとの違いを説明します。脳内のドーパミンやノルアドレナリンが少ないとADHDの症状が出ると考えられていますが、インチュニブは、後シナプス(情報を受け取る側)に作用し、受け取った情報が流れ出ないように栓をする働きを助けます。一方、ストラテラとコンサータは、前シナプス(情報を送信する側)の働きを助け、前シナプスにこれらの神経伝達物質が再取り込みされてしまうことを防ぐ作用などがあります。つまり、従来のコンサータとストラテラは情報の送信を助け、インチュニブは受信を助けるという違いがあるのです。それぞれの薬は効き方や副作用が異なります。下の表を参考にしてみてください。Upload By 発達障害のキホンこれらの中でどの薬を処方するかは、本人の体質や症状、置かれた環境を総合的に判断して、最適な薬を医師が決めます。なお、一つの薬で効果がみられない場合でも、他の薬で効果がみられる場合もあります。ストラテラの解説記事で詳しく紹介しているのでご参照ください。まとめ出典 : インチュニブは、小児用のADHD治療薬の一つです。脳の情報処理を助け、多動性・不注意・衝動性の症状改善に効果があります。信号を送る側の神経伝達物質に作用していたストラテラ、コンサータとは違う作用機序をとるために、今までの薬物治療で効果を感じられなかった人の選択肢が広がることが期待されています。治療薬の選択肢が広がってきた一方で、薬物治療というのはあくまでも困りごとを解決するための一要素にすぎないということを忘れないでください。本人が自分の力で生きていくスキルを獲得する過程での補助的な役割として治療薬を利用しながら、適切な環境設定やSSTなどの取り組みも並行して行うとよいでしょう。参考:『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版 』(ADHDの診断・治療指針に関する研究会 齊藤万比古編/株式会社じほう) P.242参考:患者用小冊子│シャイアージャパン参考:使用上の注意の解説│シャイアージャパン参考:添付文書│シオノギ製薬参考:インタビューフォーム│シャイアージャパン
2017年12月08日先日、長男の通う小学校でマラソン大会があったので、同じクラスのママ友さんと一緒に応援に行ってきました。ただ、そのママ友のところの息子君は、学校行事を親に見に来られるのが恥ずかしくなってきたようです。Upload By ラム*カナ2年生ともなると、そういう感じになる子もいるんだね…。成長かぁ…。そんなことを思ってた矢先に、先頭集団がやって来ました。速い子は速い!そして続いてやってきた中間グループの中にうちの長男を発見!すると…Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナまるで「パァァァ・・・ッ」と音が聞こえてきそうなほどに、なんとも嬉しそうな表情に変わるではないですか!そして次の瞬間。Upload By ラム*カナ鈍行列車から新幹線に変わったかのごとく、バビュン!とスピードを上げ走り去った長男…。私は思いました…「間違いない。あれはやる気スイッチが押される瞬間だった。」と。(ちなみにこの後、5人くらい抜かして順位を上げたそうです。)そしてその日の下校時間。Upload By ラム*カナいつものように途中の道まで迎えに行くと、Upload By ラム*カナ私の顔を見ての第一声に、そんな嬉しい感謝の言葉を…!(キュン)Upload By ラム*カナそしてサラリとまた嬉しいことを…!(再びのキュン)実は長男、小さいころは癇癪がひどいタイプでした。ちょっとしたことでもパニックになり、そこから大泣きになり、1時間以上泣き続けることもたくさんありました。困ることがたくさんありました。ただ、私はそのときも「この子は感情がストレートなのだな」と思っていました。だからその分、嬉しいことにも全力で喜ぶし、楽しいと感じたら素直にそれを表現してくれる…そんな子でした。この“ストレートな感情”が、今では長男の長所だと思っています。嬉しいから喜ぶ。嬉しいからがんばる。嬉しいから伝える。そんなことが素直にできるって、実は難しかったりもすると思うのですが、感情がストレートな分、素直に表現できてしまう長男。いつもすごいなぁと感心しています。そしてそんな長男が、私はとても愛しいのです。
2017年12月05日発達障害当事者による、発達障害当事者のための居場所「Necco」Upload By 発達ナビ編集部東京の高田馬場にある「Necco」は、大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のための居場所です。高田馬場にある雑居ビルの1室にあり、18時までは一般のカフェとして発達障害の当事者によって営業され、18時以降はフリースペースとして発達障害の当事者のために場が解放されます。スペースでは茶話会やゲーム大会といったイベントも頻繁に開催されており、発達障害の当事者が気軽に集まれる居場所づくりがなされています。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)取材に訪れた日もたくさんのお客さんで賑わっており、別フロアではフラワーアレンジメント講座が開かれていました。Upload By 発達ナビ編集部本棚には発達障害関連の本が多数並んでいます。Upload By 発達ナビ編集部Neccoは自由に集まれる居場所としては2010年、カフェとしては2011年に活動をスタートしており、大人の発達障害当事者のための常設の居場所としては、日本で最初に出来た場です。今回の記事では、このNeccoを立ち上げた方であり、ご自身も発達障害の当事者である金子磨矢子さんに、活動を始めたきっかけや、長年続けていく中での苦労、活動を続けるモチベーションや今後の展望についてお話をお聞きしました。金子さんは平成28年度厚生労働省より「発達障害者の当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」を受託し、その報告会である「発達障害当事者会フォーラム2017」を開催された主催者のおひとりでもあります。この報告会は、1月にも「発達障害当事者会フォーラム2018」として大阪で開催する予定とのことです。金子さんのインタビューから見えてきたのは、当事者活動を続けることの大切さと、当事者活動としてどう外の社会と関わっていくかという問題意識でした。ずっと自分はちょっと変な子だと思っていたUpload By 発達ナビ編集部―金子さんがご自身の発達障害について知ったのは、どういったきっかけだったのでしょうか。金子さん: 子供のころからずっと、自分はちょっと変な子だとは思っていました。しかし本格的に自分のADHDを知るきっかけとなったのは、子育てに悩み、本屋で調べ物をしていたときですね。子どもが2才の時にプレイグループに参加させたんですけど、どうにもよその子と何かが違ったんです。なかなかうまく他の子どもと交わることが出来ず、自分のやり方で自分なりの遊びをつくるのを好む傾向があって。プレイグループには、参加している子供の他にその子たちの弟や妹にあたる赤ちゃんも何人かが場にいたのですが、赤ちゃんの泣き声を極端に嫌がるそぶりも見せました。うちの子はよその子となにか違うのかしら?という答えが知りたかったんですが、当時はインターネットも普及していなかったので、しょっちゅう本屋に入り浸っては答えを探し求めていました。その時に出会ったのが『のび太・ジャイアン症候群』という本です。落ち着きがない・忘れ物が多い・後先を考えずに行動する・いじめられる…この本を読んで、子どものことはひとまずそっちのけで「これは私だ!」って叫びそうになりましたね。その場で立ちつくし、購入して帰り、何度も何度も読みました。それまでも自分自身に対する違和感はずっと持っていたんですが、こんな変わった人は自分だけじゃない、特性というものなんだと知り、この本にとても励まされたんです。よその子とは何かが違うと感じていた子どもに関しては、その後、2004年ごろですかね…テレビ番組がきっかけで、アスペルガー症候群だということに気付きました。自分が発達障害だと気づいてから起こした私の行動Upload By 発達ナビ編集部―ご自身の発達障害特性に気付いた金子さんですが、当事者としてNeccoの活動をはじめるきっかけは何だったのでしょうか。金子さん: 最初は活動というまでのものではなかったんです。SNSが普及した頃に、そのSNSの発達障害コミュニティのメンバーでリアルでも会ってみようということになり、定期的にオフ会をするようになったのがはじまりです。そうやって集まるようになっていた中で結束が強くなったのは、リタリンの処方が制限されるようになったのがきっかけです。(編集部注:現在リタリンはナルコレプシーにのみ適応)メンバーの中にはリタリンなしではADHDの症状がしんどい人もいて、これはなんとか訴えないと!ということで、厚労省の会議に傍聴に行ったり、ネット上で活動を行ったりしました。結局私たちの訴えは聞き届けてはもらえなかったのですが、この活動がきっかけで2つの願いが強まりました。ひとつは、いつでも私たち発達障害の当事者が集まれる場所がほしいということ。当時は私の家のリビングに集まってミーティングをしていましたので。そしてもうひとつは、自分たちが集まる居場所を得るだけではなく、社会に対して働きかけを行い、当事者発信で発達障害を広く知ってもらうことです。リタリンの処方うんぬん以前に、当時の発達障害の認知度の低さを思い知らされましたね。私自身、自分の発達障害を知ることが出来てよかったと思っているんです。だから今度は私が、まだ自身の発達障害に気付かずひとりで悩んでいる人の気付くきっかけになったり、居場所になれたらいいなと思って、啓発や居場所づくりの活動を続けています。また、最近でこそ「発達障害」という名前だけは知られてきましたが、「それでは発達障害とはいったい何なのか」という本質的なことは、まだほとんどの人に理解されていないのではないでしょうか。発達障害の啓発活動の動機として、生きづらさを抱えながらも自分が発達障害だと気付かずに生きている方本人に、自分自身のことを気付いてもらいたいというのもありますが、本人だけじゃなくてもっと多くの人にも発達障害についてちゃんと知ってもらいたいと思っています。というのも、発達障害に対する無理解によって苦しんでいる当事者の人がたくさんいることを知っているからです。この人たちはこういう人たちなんだよっていうことを、目に見えないのでむつかしいとは思うのですが、発達障害じゃない人たちにも分かってもらいたい。学校の先生、役所の方、会社の上司…出来ないことは出来ないんだと分かってもらえないと、当事者の方はつらいばっかりです。わざとやらない、怠けたくて障害のせいにしている、そういう風にとられてしまいがちなんですが、本当にそんなことないんですよ。むしろ精一杯努力している真面目な方が多いと思います。必要としてくれている人がいる限り、続けていきたいと思ってるUpload By 発達ナビ編集部―Neccoを続けてきた中で、印象に残っていること、大変だったことはありますか。金子さん: もう、大変なことだらけです(笑)まずNeccoをはじめるにあたり、場所探しから大変でしたね。「借りた場所を発達障害の人の居場所にしますので物件を貸してください」と言って、理解してくれた上で快く貸して頂ける場所を探すのに1年ぐらいかかりました。現在Neccoの運営母体は一般社団法人としており、非営利で運営しています。カフェの店員はボランティアで、費用の持ち出しも発生しています。とはいえNeccoを必要としてくれている人がいる限り、なんとかして運営を続けていきたいと思っています。「Neccoという居場所があるから今、学校や会社に頑張って行けている」、そういう方がたくさんNeccoにいらしているんです。なかには毎週末、長野から夜行バスでNeccoに来ている方もいます。月から金までなんとかお仕事を頑張り、金曜の夜の夜行バスで東京に来て、日曜の夜の夜行バスで長野に帰っていくんですね。また以前は40才前後のいわゆる団塊ジュニアといわれる世代の方が多かったのですが、最近は高校生や大学生といった若い方も増えてきました。当事者としてどう社会と関わりを持つかUpload By 発達ナビ編集部―今後、Neccoの将来の展望はありますか。金子さん: Neccoに関していえば、"来たかったらいつでもここに来ていいんだよ"という居場所がある状態をこれからも維持していくだけだと思っています。発達障害の人は、かつての私がそうであったように、いろんな場所で苦労している方が多いと思います。そういった人たちの誰もが気軽に来れるような居場所を準備しておきたい。欲を言えばここだけじゃなくて、もっと日本中のいろいろなところにたくさんNeccoのような居場所ができたらいいなとは思いますね。また最近力を入れていたのは、大人の発達障害当事者会に関する調査報告書の作成ですね。これは厚生労働省から依頼を受けた調査事業で、私は事業責任者をしていました。長年Neccoに関わってきて、自分たちで自分たちの居場所をつくることももちろん大切だと思っていますが、当事者たちだけでやっていくのはなにかと限界があります。というのも、当事者の生きづらさは、自分の努力や行動で解消出来る部分もありますが、当事者の周りにいる発達障害ではない人や社会の理解、配慮や助けがとても重要です。また先ほどお話したように、私は私自身が発達障害だと分かったことですごく人生が楽になった経験から、まだ自分の特性に気付かず生きづらさを感じている人に発達障害というものを知ってもらいたい。ですから発達障害の啓蒙のため、まず私が出来ることとして、当事者や当事者会の情報を取りまとめ、私たちの生きる困難さや活動を社会に向けて発信し、知ってもらう必要があると考え行動しています。長年発達障害の当事者活動に関わってきましたが、課題はまだまだ山積みです。当事者同士の活動に関して言えば、とにかくいろんな特性を持った方が集まるので、運営のむつかしさがあります。こだわりの強い特性の人同士の意見が対立して分裂してしまったり、正直当事者同士での連携のむつかしさは感じています。なんとか意見をまとめてルールをつくってみると、今度は逆にそのルールを文字通りにとらえてしまって、ルールからちょっとずれる人がいるとこだわりから許せない人がいたり。たとえばNeccoでいうと、かつてはフリースペースのクローズ時間は22時だったのですが、スタッフが大変だということで21時に変更したんですね。たまに場が盛り上がってクローズが21時を過ぎてしまうことがあったのですが、そのことに対して「ずるい」と腹を立てる方がいたこともありました。同じ発達障害の当事者同士とはいえ、特性は本当に人によってさまざまなので、いろんな国の外国人同士が集まっていっしょに何かやろうとしているような困難さを感じています。当事者活動をどうしたらいいか、ずっとそればかり考えています。しんどいと思うことも多々あります。だけど続けている、それは、私は子供の頃からずっと自分のことをダメな人間で、人の役に立つことが出来る人間ではないと思っていたんですね。そんな私が今、活動を通して、目の前の人の支えになったり、社会に働きかけを行ったり出来ている。そのことが生きがいであり、生きるよろこびだからかもしれません。見えない障害とどう向き合うか「私は私が発達障害だと気付けて心から良かったと思っています」これは取材中に金子さんが繰り返しおっしゃっていた言葉です。この記事を掲載している発達ナビのユーザーさんからは、病院へ行き診断を受けることへの心理的抵抗感や、障害受容のむつかしさなど、日々さまざまなお悩みが寄せられています。自分や自分の子どもの生きづらさ・育てにくさをどうとらえるかについて、それぞれに多様な悩みを抱えられているのだと思います。「見えない障害」であり、また「ここからこっち側は障害です」と線を引くように切り分けることは難しいからこそ、その悩みは尽きないのかもしれません。いろんな考え方があって当然で、答えはないのかもしれません。金子さんの場合、彼女は子どもの頃からずっと「自分はちょっと変な子だ」「自分は努力不足でダメだ」と思い悩んでいたそうですが、一冊の本との出会いをきっかけとして発達障害を知ったことで、自分は努力不足でもなく、親の育て方のせいでもなかったということが分かり人生が前向きに進んだと語っています。今、人知れずしんどい思いをしている人、一人でつらい思いを抱えている方が、もしこの記事を読んでくださっていたら、こういった考えや経験をもとに活動をしている人がいることや、その人がつくった居場所があることを、選択肢のひとつとして心の片隅にとどめておいていただけるとうれしいです。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)
2017年12月01日息子の志望校とは?中学3年生の夏休み直前に、突然の告白Upload By かなしろにゃんこ。高校受験に向けて塾に通わせたりしたものの、息子は勉強に熱心ではありませんでした。中学3年生になっても「受験のことは話したくない!」と怒り出す始末で、志望校の話はまったくできない状態。当時、私と夫は、普通科の公立高校に進んでほしいと考えていました。地域には、特別教育支援のモデル校となっている普通科の公立高校があり、発達障害がある生徒もそうでない生徒にも丁寧な指導をしてくれる高校だったので、そこがいいんじゃないかと考えていたんです。中学3年生の夏休みに入る直前、ようやく息子から高校受験についての話をしてきました。実は行きたい学校が決まっていて、その学校の夏休み体験授業を申し込んだというのです。そこは自動車整備士を目指す生徒のための、私立の専修高校でした。「この学校じゃなきゃ、すぐ辞める」息子の意思は固かったUpload By かなしろにゃんこ。専修高校は、普通科の学習内容に加えて機械実習のカリキュラムもあり、両方学べる学校でした。ですが、私立です!わが家はぶっちゃけ裕福ではありませんから「ムリ――!私立とかムリ――!」なんです。でも息子は「その学校以外は行きたくない、普通科高校には興味がない!」と言います。オイオイ!親の懐事情考えろや!と先に述べた地域にある公立高校を勧めたのですが「普通科高校なんかでやりたいことない、入学しても面白くなかったらすぐにやめる気がする」と言うのです。大好きなことを学び、仲間と思う存分語り合える高校生活をUpload By かなしろにゃんこ。「親を脅す気か?」と思いましたが(笑)、息子がどうしてその学校を選んだのか聞いてみたところ…「自分と同じ車やバイクが趣味の仲間を作りたい」「普通科高校にはない車の部活動をやりたい」「今までは友達とマニアックな話ができなかったから、思いっきりしてみたい」「メカニックを勉強したい」という答えが返ってきました。確かに友達との会話では、ADHDの特性でもあるマニアックな会話をしてしまうことを避けるように、そして早口にならないようにと注意してきました。そういったことをを注意していたので、中学校では友達と仲良くやってこれたものの、本当は自分の好きな話を思う存分したかったんだネ。アツく語るところはやっぱりADHDだと感じました。息子自ら申し込む、その変化がなによりうれしかった!Upload By かなしろにゃんこ。息子は勉強は苦手ですが、好きなことでは集中力を発揮することができます。だから将来は、自分の好きな車関係の仕事をするのもいいんじゃないかと思いました。発達障害がある子は”好きなことや特技を伸ばして育てたほうがいい”ともいいますから、子どもがやりたいことを見つめたなら、それをバックアップしてあげてもいいかな?と、私も考えるようになりました。なにより、受験に無関心かと思っていたのに、自分で体験授業を申し込んでいたことがとても嬉しかったんです。自分はこの学校でやっていけそうか?体験授業を受けて確認していた息子ですが、それが相当楽しかったようで…。なんと体験授業開催の度に参加し、結局3回も受けていました(笑)ウキウキ高校生活を夢見る息子に、母は…Upload By かなしろにゃんこ。体験授業で、部活の説明も受けて帰った息子は「入学したらどの部活に入ろう?どれも楽しそう。迷う~」と学校のパンフレットを眺めてウキウキしていました。部活はすべて、車やバイクにちなんだ活動なのでマニアには興味深々でたまらないようです。そこまで専修高校に行きたいのならば行かせてあげたくなるのが母親です。志望校について言い出せなかった、本当の理由とはUpload By かなしろにゃんこ。しかし夫は、「将来の職業の幅を広げるためにも普通科高校から4年生大学に行くべき!」と考える人。しつけには厳しいですし、息子にとっては脅えるほどコワイ存在の父親です。今まで高校受験の話をしたがらなかった理由は、何も考えていなかったのではなく「絶対お父さんに反対されるから、言いたくなかった…」という理由だったと分かりました。私が説得したところで夫は反対するだろうと、夫に息子の志望校の話をできないまま、願書提出の期日が近づいてきます。それに私立の学校は入学金や授業料も高い。私自身「支払っていけるだろうか?志望校変更するべきか…」とも悩んでいました。金欠だったわが家が、どうやってお金の問題を乗り切ったか…そして息子は、どうやって父親を説得したのか…それはまた、次の機会にお話させていただきま~す☆
2017年11月28日ADHDの子どもの学校生活出典 : の特性を持つ子どもにとって、6時間近くじっと座って授業を受けるということは、それだけで重労働です。我が家の小学校1年生の息子(ADHDの診断済)は離席こそしませんが、授業中は常に椅子をガッタンガッタン、貧乏ゆすり。それについて叱られると、今度は鉛筆をガリガリと噛み始め、息子の鉛筆は書く側だけでなく反対側の端からも減っていきます。また、姿勢をまっすぐに保ち続けることに大変な労力が必要なため、すぐに姿勢がぐにゃっと崩れ始めます。息子が口癖のように言うのは「僕は6時間もじっと座っているんだよ!褒めてよ!!疲れるんだよ!!」です。これは何の誇張でもなく、息子の素直な気持ちなんだと思います。でもふと思うことはありませんか?「ジッと動かないでいたほうが集中力って高まるんだろうか?」息子の言葉を聞いて、自分が仕事をしているときのことを思い出してみました。確かに音楽や人の話し声などが聞こえてくると、集中力が削がれ、パフォーマンスは落ちます。けれども、私自身、仕事で難しいところにさしかかり始めると、激しく貧乏ゆすりをしたり、身体を左右に揺れ動かしたり、それでもダメなときは部屋中をウロウロと歩き回ったりします。そのほうが、頭が回転するのを感じるのです。実はこれ、海外の研究でも同じようなことが指摘されています。海外でのユニークな取り組みリンク先のアメリカの教育振興センター(Center for Educational Improvement)の記事を見ると、不思議な写真が掲載されています。1枚目のニコニコ笑顔の子どもが座っている学習机をよく見てみると、足元にペダルがついているのです。 Kinetic Classroom: The Pedal-Desk, ADHD, and the Mind-Body Connection (活動的な教室―「ペダルデスク」「ADHD」「心と身体の関係」)このペダルは何だろうと読み進めていくと、「ペダルデスク」と呼ばれているもので、実際にはフィットネス用のエクササイズバイクを子ども用に小さく改造し、さらに発生音を小さくしたものであるようです。海外では、ADHDなどの子どもに限らず、子どもたちの集中力を高めるために取り入れている学校もあるようです。記事の中では、特にADHDとペダルデスクとの関係について触れられています。衝動・多動の特性があったり、集中力の維持が難しかったりするADHDの子どもたちにとって、ペダルデスクがエネルギーのはけ口としてとても役立つということが研究で明らかになっているというのです。さらに、運動をすることで、集中力が高まり、気が散りにくくなることが最新の研究から分かったといいます。また、集中力のほかにも、記憶力や創造性が高まるという報告まであるようです。「ジッと座って静かに授業を受けるほうが集中力が高まり、学業のパフォーマンスが上がる」というこれまでの常識を覆した研究が出てきたことにより、アメリカやカナダの学校で取り入れられるようになったのがこの写真にある「ペダルデスク」なのだそう。Pedal power boosts N Carolina pupils’ performance(ペダル・パワーで成績アップ-ノースカロライナ州)こちらの記事は、「ペダルデスク」をアメリカのノースカロライナ州の学校に取り入れた例です。ペダルを漕がせながら授業に参加させることにより、子どもたちの学業成績は顕著に向上し、授業に積極的に参加するようになったと書かれています。下の動画は、実際にペダルデスクを取り入れた学校を取り上げたものです。動画に出てくる女の子は、「すごく難しい問題を解くときなんかは、ペダルを高速で漕ぐのよ」と話しています。これは、「頭を回転させるためには、身体の運動が付随していたほうが良い」ということを表しているのかもしれません。「ジッとしなさい!」と叱るよりも前に出典 : これまで、勉強しながら手足をモソモソ、鉛筆カミカミ、身体グニャグニャする息子に対して、私は何度「集中しなさーーーい!!」と声を荒げたことでしょう。このコラムを書きながら、大反省しています。集中というのは、身体を動かしているほうができる場合もあるのでしょう。頭を高速回転させるときには、身体も一緒に動いてもおかしくないのかもしれません。これまでの常識が覆される思いです。家庭でペダルデスクを取り入れることが難しいとしても、アメリカの教育振興センターの記事の中にはこんな記述があります。「10分程度の運動時間を取り入れるだけで、学習パフォーマンスの明らかな改善が見られる」「ADHDの子どもは長い時間集中することに苦痛を感じるため、都度休憩を入れることが学習の助けになる」というのです。Scheduling breaks for exercise in the class for periods of as short as 10 minutes can show demonstrable improvements in academic performance and mood (Howie, 2013). For students with ADHD, extended attention can be particularly stressful and cognitively demanding so the very act of taking a break itself can be very helpful to them (Brock, 2002).こうしたアメリカでの取り組みや研究が、日本の子どもたちにも同じように当てはまるものなのかは、まだはっきりとはわかりません。ただ、成績UPの効果はさておき、細切れに休憩を促したり、勉強の前に身体を思いきり動かす時間を作ることは、ADHDの子どもたちにとって心地よい配慮となるかもしれません。運動や休憩の時間が、親子の楽しいコミュニケーションにもつながり、宿題の時間が今までとは違った時間になるかもしれませんね!
2017年11月23日夫と兄と弟の3人で公園へ…夫が小2と幼稚園年長の息子の3人で公園に行った日。帰ってきてから「ちょっと聞いてくれ(笑)」と夫が話してくれた内容に大笑いしてしまいました。聞いた話をイラストにしてみました。Upload By ラム*カナ滑り台で遊び始めた長男。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナどうやら濡れた場所があったようです。Upload By ラム*カナお尻が濡れてしまった長男のあとに、次男がつづきます。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ(うんうん、そうなるよねぇ。そりゃ、次男も怒るよ…。なんで急に驚かせたりしたの?)と疑問に思いながら夫の話のつづきを待つと、長男は微笑みながらこう言ったそうです。Upload By ラム*カナ…っ!なーるほ、…ど?通じづらいやり方ではあったけど、長男的には弟を思いやるあまりの優しい作戦だったようです(笑)
2017年11月11日いつも元気いっぱいの息子が1週間も学校を欠席Upload By ラム*カナADHDのある息子キョウタはとてもパワフル、底なしの体力を持っています。普段の生活ではまず「疲れた」などと口にすることはありません。そんなキョウタが今年の3月、インフルエンザBにかかりました。熱が下がったと思ったらまた上がったり、落ち着いたかと思ったら嘔吐下痢が始まったりして、学校をまるまる1週間も休んだときがあったんです。完治してようやく学校に行けた病みあがりの日。私はキョウタがまだ本調子じゃないかもなぁと思い、帰りは学校まで車で迎えに行ったところ、私の迎えを担任の先生がキョウタと一緒に待っていてくれました。担任の先生のお話Upload By ラム*カナほ。良かった。こんなにお休みするのは初めてだったけど、無事に過ごせて良かった。Upload By ラム*カナな、なんですか!?先生ッ!!もしかして、嘔吐しました!?いや、下しましたか!?そ、それとも給食を全然食べませんでしたかーーー!?(ゴクリ…)Upload By ラム*カナ充分ですぅぅ…ッ!!普段の長男は、休み時間や体育では人一倍元気に動き、給食でも誰よりも早く・誰よりも多く食べる…そういう子で、担任の先生からはパワフル男子タイプという認識を持ってもらっていました。(ADHDということも伝えてあります)そんな子が、インフルで1週間休み…病み上がりの登校で、いつものレベルの元気さはない…(←とはいえ平均タイプぐらいのレベル)いつもあんなに食べる給食さえも控えめ…(←とはいえ定量は普通に食べてる)先生が認識していた長男の元気レベルがあまりにも高かったため、(冷静に見れば健康児童となんら変わらない様子だったのですが)「キョウタ君が給食をおかわりしないなんて…!!」と、素直に心配してくださったことに少し笑ってしまい、それと同時に感謝の気持ちでいっぱいになりました。先生、優しい報告ありがとうございました。
2017年10月28日我が家には、自閉症スペクトラムの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子がいます。同じ診断名がありながらも、娘はアスペルガー症候群、息子はADHD不注意優勢型の要素が強く出ており、それぞれ異なる困りごとに直面していることも珍しくありません。そんな2人は幼いころからピアノを習っているのですが、発表会に向けての練習の姿勢もまったく違うものでした。3ヶ月間、練習を重ねる間に、2人の違いが浮き彫りになってきました。アスペルガーの娘に色濃く映る「完璧主義」出典 : 娘は課題曲が決まってからというもの「本当に自分に弾けるのか」「本番で失敗したらどうしよう」という不安が強く、その反動から苦手な譜読みを必死でこなす日々が続きます。大好きな曲をなんとかイメージ通りに弾きたい、でもピアノから響いてくる音は自分の想像しているものとはかけ離れている。そのジレンマから、数小説弾くたびに泣いたり怒ったりを繰り返していました。ピアノに関わらず、絵を書くときも勉強をするときも、娘の頭の中には100点万点の完成図が思い描かれています。そして始めたばかりであるにもかかわらず、完璧にできない自分を呪い、自責の念に駆られているのです。これは、娘の持つ「完璧主義」という特性が作用しているせいだと思います。娘がこの完璧主義という特性を持っているがゆえに困ることは2点あります。・ 娘が自分自身を責めて癇癪(かんしゃく)を起すため、本人も周囲も辛い・ 周囲の人にも完璧さを求めてトラブルを起こすことがあるまた、これを放置してしまうと、・ 失敗を恐れて行動できなくなる・ 完璧に出来ない人を見下してしまうといった弊害が出るのではないかと危惧していました。娘の成長。その第一歩。そこで幾度となく、紙に階段や山の絵を描いて「あなたはまだ登り始めたばかり。頂上にいないのは当たり前だよ?一歩一歩登っていけばきっと目標地点に辿り着けるよ」と話してみるのですが、娘はなかなか受け入れられません。それでも、繰り返しこの考え方を伝えていくことで、他人に対しては完璧を求めることは少なくなってきました。なかなか上手く弾けずに落ち込んでいる息子に「大丈夫だよ、今はまだ階段を登り始めたばっかりでしょ?少しずつ完成に近づいていくから、ね?」と声をかけられるようになってきたのです。この調子で成長してくれれば、他人を見下すことによって歓びを感じるような大人にはならないかな、今まで声をかけ続けてきたことは無駄ではなかったかな、とほっとしながら見守っています。しかし、まだ自分自身に対してはその考えを適用することができず、あっさり癇癪を起こします。今は私がそれを受け止めていますが、あきらめずにその都度「今すぐ100点じゃなくていいし、最終的に100点でなくてもいい」というメッセージを娘に発信し続けています。この考えを伝えていくことで、娘の頭にも完璧でないことを許容する回路ができてくれればいいなと思います。出典 : また、完璧主義であることは、マイナス面が捉えられがちですが、とても良い面もあると思うのです。完璧でありたいという子どもの願いを否定せず、とことん付き合ってあげると、時として驚くべき成長を遂げることがあります。娘の場合は、鞠つきに始まり、二重跳びや逆上がりなど、出来ない自分を罵り泣きわめきながらも着実にマスターしてきました。それこそ、手の皮がめくれても、夜中になってもひたすらずっと練習を重ねるのです。そうして人より随分長い時間をかけてマスターしたことは、何となく出来てしまったお友達よりも形や方法が正確で、がんばってマスターしようとしているお友達をバカにすることなく、的確なアドバイスを送ってあげることができるのです。完璧主義も使いよう、というと語弊があるかもしれませんが、癇癪や他人への攻撃をコントロールすることができるようになれば、とっても良い方向に作用するのではないかと期待しています。いつか娘が私の手を離れるまでに、自分の特性の活かし方をマスターしてくれればと切に願っています。コツコツ努力が苦手な息子が自分で見つけたモチベーションUPの方法!出典 : 一方、不注意優勢型の息子は、過去や未来ではなく「いま目の前にあること」にしか、なかなか注意を向けることが出来ません。ですので、何ヶ月か先のことを話されてもイメージが湧かない様子。「発表会でカッコよく弾くためにしっかり練習をしようね」と声をかけても、「もう弾けるから、大丈夫大丈夫」とあまり本気で練習をすることはありませんでした。そんな息子に変化が訪れたのは、リハーサルの日。リハーサルとはいえ大勢の人が聴いている中での息子の演奏は、ぼろぼろで間違いだらけでした。人前で弾くことを体験し、本番はもっと大勢のお客さんの前で弾かなくてはならないと身を持って知った息子は、それから大慌てで練習を開始しました。日々の私のアドバイスよりも、たった1回の体験が息子には強烈な学びの場となったのです。注意があちこちに向いてしまったり、衝動性が邪魔をしてひとつのことをコツコツと積み上げていくのが苦手なADHDの息子。ですが、リハーサル以来、YouTubeで同じ曲を演奏しているお子さんの動画を自分で観るなど、視覚優位の息子らしいモチベーションの保ち方が見られ、少しずつ自分に合った方法が身についてきていることに気付かされたのです。息子が手に入れた思わぬ「副産物」そして、思わぬ副産物を手に入れていることもわかりました。協調性運動障害を併せ持つ息子は、鉛筆で書く文字がどうしてもガクガクと震えてしまったり、文字の書き始めや書き終わりにいくつも関係のない細かい線が入ってしまいます。しかし、普段より多くピアノの練習をしたおかげで指の筋肉が付き、線がしっかりとしてきたのです。自分の体を上手くコントロールするのが苦手な息子にとって、「筋肉を鍛えればできることが増える!」という発見は、とても大きな自信となり、ピアノの練習にも熱が入るようになりました。ADHDの方の中には、継続した努力が難しく、他の方から怠けているように思われてしまう方も多いとも聞きます。視覚優位の息子がYouTubeを見てモチベーションを持続させたように、「こんなことができたらいいな!」と思える刺激を日々与えていくことが効果的なのかもしれません。親子で目標に向かうことは「生きるヒント」を探し出すこと出典 : ピアノに限らず、スポーツでも勉強でも遊びでも、親子で目標に向かって挑戦することは、子どもたちにとって大切なことだと思います。特に周囲の状況から何かを学び取っていくのが苦手な子どもたちが成長するためには、今の状況を冷静に判断して伝えてくれたり、計画の立て方や実行するサポートをしてくれる大人の存在が必要不可欠だと思うのです。ひとつの目標に向かって親子で進むうちに、親は子の特性をより深く知り、子は嫌でも自分自身と向き合うことになります。目標である頂上を目指して一歩一歩どのように進めばよいのか。どのように休息を取ればよいのか。共に行く家族とどう励まし合えばよいのか。面倒なことから逃げたくなったときはどうすればよいのか。努力の先には何があるのか。練習を重ねてテクニックを磨くことはもちろん大切なことですが、わが家の場合は、テクニックの向上よりもむしろそんな「生き方のヒント」を親子で探る旅をしていたような気がします。そうして目標を達成できたとき、子どもは自信を持って次のステップに進むことができると思うのです。他の子から遅れててもいい、目標を達成するのに時間がかかってもいい。目標の達成はゴールではなく、子どもたちの成長の通過点にしか過ぎない。そんなふうに考えて、お子さまと一緒に何かに挑戦してみませんか?「どうしてできないの!?」ではなく、「どうすればできるようになるかな?」と家族で作戦会議をしてみませんか?ご家族と一緒に取り組んで「できた!」という経験の積み重ねが、きっと「ひとりでできた!」に繋がる日が来るはずです。そんな日を楽しみにしながら、ぜひ小さなチャレンジをしてみてくださいね。
2017年10月22日発達障害における薬物療法とは出典 : 発達障害の症状に対する治療法の一つとして、医師の判断によって薬が用いられることがあります。しかし、発達障害を根本治療する薬は現在ありません。そのため、発達障害で薬を処方する時は、発達障害の特性をなくすという目的ではなく、その症状を抑えることや二次障害を治すことが目的になっています。薬を処方することは医師にしかできません。薬によっては、医師の中でも限られた一部の医師にしか処方することが許されていないものもあります。また、発達障害だと診断されたら、必ず薬を服用するというわけではありません。医師の判断によって、必要に応じて薬を服用していくため、薬を処方されるタイミングで医師から薬に関する説明を受けることになります。発達障害のある人への支援で、お薬に期待されることは?出典 : この章では、発達障害のある人が、薬を服用することによってどのような効果が期待されるのかを紹介します。現在では、発達障害のある人への支援方法の一つとして、薬物療法はある程度の効果があると考えられています。しかし、服用する上で気をつけなくてはならないのは、発達障害における薬はすべて対症療法であることです。そのため、薬に期待されることは、発達障害そのものをなくすためのものではなく、発達障害の症状を和らげることになります。主な発達障害を例に、どういった症状に対して薬を服用していくのか見ていきましょう。◇自閉症スペクトラム自閉症スペクトラムを根本的に治療していく薬はありません。また、このあとで紹介するADHDの場合とも異なり、現在、自閉症スペクトラムの特徴である「社会性・対人関係の障害」 「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動と興味の偏り」といった中核症状を直接軽くするような目的で薬が使われることはあまりありません。しかし、自閉症スペクトラムに伴う以下のような関連症状に対しては、薬の効果が期待されています。・かんしゃく・こだわり・不注意・多動性/衝動性・チック・抑うつ気分・睡眠障害など参考書籍:『精神科治療学Vol.30増刊号』(星和書店・2015)◇ADHDADHDでは、不注意・衝動性・多動性といったADHDに特徴的な症状そのものを緩和させることが期待されています。しかし、薬物療法でADHDを根本的に治療できるわけではなく、薬を服用しながら環境調整やソーシャルスキルトレーニングなどの療育を行っていくことで、困りごとを減らしていくことになります。ADHDにおける薬物療法は、「ADHDをなくす」ためではなく、「社会生活や学業での困りごとを解消する」ための手助けをしてくれるものだと考えるといいのかもしれません。発達障害のある人に処方されるお薬の種類出典 : 発達障害の症状に対して効果があるかもしれないと考えられている薬は多くあります。日本では未認可であっても、海外では認可されている薬や、ADHDで用いられる薬が他の精神疾患のある人に対して効果が見られるようなケースがあります。また日々、発達障害の薬は研究が行われており、オキシトシンなどさまざまな物質が薬として利用できないか調べられています。数多くの薬がありますが、人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあります。現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。ここでは、自閉症スペクトラムやADHDの治療において認可されており、比較的用いられることの多い薬についてまとめました。◇自閉症スペクトラム小児の自閉症スペクトラムの易刺激性に対しては、リスパダール(リスペリドン)、エビリファイ(アリピプラゾール)といった薬が認可されています。易刺激性とは、自傷行為やかんしゃく、攻撃的になりやすいなどの性質のことです。これらの薬は、脳内の伝達物質のバランスを整える作用があります。◇ADHDADHDに対しては、中枢神経刺激薬であるコンサータ、非中枢神経刺激薬であるストラテラ、インチュニブが認可されています。それぞれの薬の詳細については関連記事を参照ください。参考:リスパダール錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構リスパダール患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構参考:エビリファイ錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構エビリファイ患者向医薬品ガイド|特別行政法人医薬品医療機器総合機構また、コンサータと同じく中枢神経刺激薬であるリタリンは、昔は認可外ではありましたが、ADHDに処方される場合もありました。しかし、今ではADHDに処方されません。リタリンとコンサータの違いについては、以下の関連記事内で詳しくまとめてあります。発達障害のある人がお薬を服用するときの注意点は?出典 : 薬を服用するときには、「副作用があるのではないか」や「本当に効果があるのか」など多くの不安がつきまといます。そのような不安を解消するためにも、精神薬を服用する時には、医師と相談したり協力したりすることが必要不可欠です。薬の服用に関しては、具体的に以下のことに気をつけるといいでしょう。発達障害に処方される薬の多くは、対症療法を目的としたものです。そのため、服用する薬が具体的にどんな行動・症状を抑えるための薬なのかを知っておくことが大切です。主治医や薬剤師の方に薬について説明をしてもらったり、不明なことや不安なことは相談するとよいでしょう。また、副作用と、副作用が起きたときの対処法も事前に理解しておくとよいでしょう。発達障害に処方される薬の副作用として生じる症状のうち、早急に対処しなければいけないものはそれほど多くはありません。そのため、心配しすぎる必要はありませんが、急に発疹がでたり、呼吸が乱れたりしたときにどのような行動をとればいいのかは理解しておきましょう。薬の使い方を誤ると、重大な副作用が生じる可能性もあります。基本的に、医師の指示にしたがって服用するようにしましょう。症状が軽くなったからといって、個人の判断で勝手に量を減らしたり服用を中止したり、逆に薬が思った通りに効かなかったからといって、勝手に量を増やしたりしてはいけません。しかし副作用がひどい場合には、いったん服用を中止して医師に相談するようにしてください。精神薬は、効果に個人差があることも多く、最適な量についてもバラバラのため、様子を見ながらその都度修正していく必要があります。副作用が見られる場合もあります。どんな些細なことであっても、なにか気になることがあれば医師に報告し相談するようにしましょう。副作用として、次のような症状が見られることが多いため、このような症状に気を配っておくとよいかもしれません。・食欲不振/食欲減退・軽度な不眠症・体重減少・頭痛・腹痛など参考書籍:太田昌孝 永井洋子 武藤直子/著者『自閉症治療の到達点第2版』(日本文化科学社・2015)また、薬を服用するときに気になることに、薬をいつやめるべきかということがあります。児童精神科医の吉川徹先生は薬のやめどきについて発達ナビのコラムで以下のように述べています。常にやめることを考えながらお薬を使う、というのがおそらく正解であると思います。減薬や中止のチャンスを常にうかがっていないと漫然とお薬を使うことになってしまいます。・標的となっていた症状が改善してきたとき・環境との不適合が小さくなってきたと感じられるとき・他の支援がうまく回り始めたときなどが、お薬を減らす・やめるチャンスです。薬のやめどきについても、医師と相談しながら決めていくようにしましょう。上記や下記のコラムでは、薬のやめどき以外にも、発達障害と薬について詳しく紹介しているので参考にしてみてください。薬物療法と併せて療育的支援を行うことが大切出典 : 発達障害の症状は薬物療法によって軽減することがありますが、これは決して薬任せにすればいいというわけではありません。発達障害の治療においては、薬物療法のみを行うことはなく、薬物療法で症状が落ち着いている間に並行して教育的・療育的なアプローチをすることが重要です。例えば、ADHDの子どもに対して行われる療育には、ソーシャルスキルトレーニングやペアレントトレーニングなどがあります。ソーシャルスキルトレーニングは様々な特性をもつ本人が社会や生活での適切な行動をうまくできるようにトレーニングするもので、ペアレントトレーニングは保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラムです。また、自閉症スペクトラムのある人に対してはTEACCHと呼ばれるアメリカ発祥の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムなどがあります。ここに挙げた以外にも、本人がより生活しやすいような環境を整備したり、本人にあったやり方を模索していったりすることも大切です。療育的支援の詳しい内容については、それぞれまとめてありますのでそちらを参照ください。医療費の助成について出典 : 発達障害の日々の困りごとを解消する手助けをしてくれる薬ですが、実際に服用するとなるとお金がかかることになります。薬の服用頻度や、薬の種類によって金額は異なるため、薬を服用するにあたって、一概にいくらかかるとは言うことができませんが、家計への負担を少しでも軽くするために、薬にかかる費用も含めた医療費を少しでも減らす方法についてまとめました。日本全国どこにいても、受けられる支援に自立支援医療があります。発達障害や精神疾患が原因で、精神科に通院する時にかかる費用の一部を国が負担する制度です。調剤、往診、デイケア、訪問看護が対象となっており、自己負担額が1割になります。しかし世帯の所得などに応じて、窓口負担額の上限金額が定められています。こちらの支援を受けるためには、区市町村の窓口から申請する必要があります。実際に申請するときの流れなどについては、こちらを参考にしてみてください。各地方団体では、それぞれが独自の支援を行っていることがあります。例えば、乳幼児にかかる医療費への助成であったり、自立支援医療での自己負担額をさらに軽減したりするような制度があります。これらの支援は、各地方自治体で受けられるサービスが異なります。また、申請方法についても異なるため、お住いの地方自治体のホームページを見たり、役所に足を運んだりしてみてください。また、医療費以外にも受けられる支援があります。受けられる支援の内容や申請方法に関する詳細はこちらにまとめられています。まとめ出典 : ここまで、発達障害のある人に処方されるお薬にまつわることをまとめてきました。発達障害の薬に限らず、すべての薬は、正しく利用できれば大きな味方になりますが、使い方を誤ると思わぬ副作用をもたらします。発達障害や精神疾患の薬は、風邪薬などに比べると、副作用のでる確率が高かったりと繊細で扱いにくい一面があります。また、効果が現れるかどうかも人によって差があります。そのため、普段以上に使い方を間違えないように注意したり「こんな些細なことを相談してもいいのかな」と思うようなことを含めて、すべて医師に相談するようにしましょう。薬に頼りっきりになることなく、薬で症状が落ち着いている間に療育を行ったり、少しでも本人が生活しやすいような環境を整えたりすることも大切です。
2017年10月20日ADHDのある息子は、思春期真っ只中…母親はどうすれば?かなしろにゃんこ。さんの赤裸々コミックエッセイが発売!衝動性が強くてカッとなりやすかったり、物忘れが激しかったり……小さい頃は可愛いものだと見守っていたけれど、大きくなるうちに対人関係や学業への心配も大きくなって…ADHDのあるお子さんを育てる保護者の方々にとって、「思春期」のわが子とどう向き合うかというのは大きな悩み。そんな、発達障害のあるお子さんの思春期をテーマにしたコミックエッセイ、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(かなしろにゃんこ。著, 講談社)が10月4日に発売されました。著者のかなしろにゃんこ。さん。は、ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太くんのお母さんで、漫画家さんです。これまで、さまざまな発達障害に関係する、ノンフィクション漫画や取材漫画を出版されており、近著に、息子のリュウ太君が幼少期から発達障害と診断されるまでを描いた『うちの子はADHD』や、発達障害がある人の進路選択について描いた『うちの子将来どーなるのっ?!』、人付き合いをテーマに取材した『うちの子、人づきあいだいじょーぶ?!』などがあります。かなしろさんの新刊、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』は、とうとう思春期に突入したリュウ太君の日常、「なんでこうなの?」「どうしてそう考えるの!?」という、反抗期ならではのシーンがたくさん描かれています。ADHDがある思春期のお子さんを育てているパパ・ママはもちろん、「発達障害のある子どもってどんな進路を描くの?」といった将来に対する見通しを持ちたい保護者の方も参考にしていただける内容になっています。それでは新刊の中味を少し覗いてみましょう。子どもの発達障害、本人へ告知するタイミングって?Upload By 発達ナビ編集部赤ちゃんの頃から育てにくく、物音に敏感、保育園時代は衝動的に行動する生傷の絶えないやんちゃ坊主。小学校に入ってからも落ち着きがなく、授業中に教室を抜けだしたり居眠りすることもしょっちゅうあったり…というリュウ太君。小学4年生の時にADHDの診断を受け支援を受け始めました。(幼少期のエピソードは既刊の『うちの子はADHD』も併せてご参照ください)リュウ太君のかかりつけのクリニックの心理士さんのアドバイスもあり、かなしろさんはリュウ太君の愚痴も我慢して聞き、アドバイス役に徹していたといいます。しかし言葉づかいも日に日に乱暴になっていき、「生意気!」と思うこともどんどん増えていきました。ADHDと診断され、服薬も開始していたものの、まだ自分自身に発達障害があるとは知らされていないリュウ太君。「リュウ太本人も、自分の心と体のアンバランスさに戸惑っているんじゃないか?」という思いを募らせていたかなしろさんは「ADHDがあることを伝えるタイミング」について、真剣に考え始めます。リュウ太君を支える支援者は「中2くらいで告知すべき」とアドバイスをくれますが…。かなしろさんの決断はそれとは別のものでした(是非本編でご確認ください)。息子について伝えるオリジナル通信Upload By 発達ナビ編集部本人への告知を契機に、かなしろさんはリュウ太君の発達障害と、その特性を踏まえた周りの人たちとの付き合いについて、さらに考えを巡らせます。発達障害の支援は医療ケアだけではなく、学校や家庭をはじめとする生活環境も大きく育ちに影響するからです。「どのような方法でお友達にリュウ太のことをわかってもらえばいいだろう」と思っていたかなしろさんは、とあるウェブサイトに出会いました。自閉症スペクトラム当事者の「○○(名前)通信」という配布用告知シートを見つけたのです。かなしろさんは、それを真似て「かなしろリュウ太通信」(学校配布用告知シート)を作ります。(もちろんリュウ太君には了承済み)さて、このシートを配った結果、クラスメイトは?そして保護者会のメンバーの反応は?Upload By 発達ナビ編集部*新刊の巻末には、かなしろさんオリジナルの告知シートも付されています(男の子バージョンと女の子バージョンあり)。是非ご活用いただきたい付録となっています。中学入学…社会の現実を突き付けられ…Upload By 発達ナビ編集部本音と建前、理想と現実。社会の中には様々な矛盾もあります。発達障害がある子どもの教育に関して、その子の特性に合わせた支援や合理的配慮の重要性が語られる昨今ですが、実際の学校現場の教職員の認知度は様々…温度感のばらつきがあるのは、想像に難くありません。かなしろさんがリュウ太くんを通わせようと検討していた中学校でも、校長先生の反応はかなしろさんの願いに100%沿う形ではありませんでした。不安が募るかなしろさんですが、あまり強く主張して「モンスターペアレント」と思われるのも辛いし…とジレンマ。考えた結果、まずは入学後の息子さんの様子を、つぶさに見守ることにしました。「とにかく朝、元気に登校できているか?先生や友達の話を楽しそうにするか?」リュウ太君に対するセンサーを敏感にして、学校側の体制に意見するということは極力しない姿勢でいます。すると、当初の親の不安とは裏腹に、リュウ太君本人はなかなか機嫌よく通えている様子。校長先生との面談に同席していた担任の先生も、「体育会系っぽくて大丈夫かな?」と心配していたところ、絶妙な距離感でリュウ太くんをフォローしてくれていて、とても相性が良いようです。「面談で私が話したことを、先生なりに意識してくれているのかも…?」と思い直すかなしろさん。大切なのは、学校と不必要に対峙することではなく、子ども自身がどう感じて過ごしているかをしっかり見極めること。学校に対する母親としての正直な願い・期待と、現実を受け止めての折り合いの付け方、揺れる親ごころの機微を味わうことができるのも、この漫画の魅力の一つです。等身大のかなしろさんの姿勢に、きっと共感が持てることでしょう。あ、財布のお金減ってる…!思春期ならではのトラブルも、かなしろ流で見事に対応Upload By 発達ナビ編集部思春期は、社会と自分との繋がり、友達との繋がりをより意識し始め、家庭から距離を置こうとする巣立ちの準備をする時期です。しかし、そうは言ってもまだまだ子ども。大人に憧れ、いろいろ遊んだり買い物などをしてみたい気持ちはあっても、金銭を得るために働ける年齢ではありません。働けない立場の子どもがさあどうするか?ある日、かなしろさんは自分の財布のお金が減っていることに気付きました。(明らかに犯人はわかってる…、でもなんか言いづらい…。)そんな日々を過ごしていましたが、ある日とうとう犯行現場を押さえます…!裏表のない特性を持つ、リュウ太くんならではの「言い逃れ」も爆笑ものですが、この「家庭内での盗難事件(!)」を機に、お金のことを学ばせようとするかなしろさんの様々なアイディアも見どころです。こんな面白いレクチャーをされたら、みんなしっかり金銭感覚が身に付きそう!漫画家のかなしろさんならではの「金銭教育のテクニック」が記載されています。そこにはある飛び道具が…(かなしろさんの敬愛する有名漫画も登場します。どうぞお楽しみに)進学、就職、やがて来る「自立」の日を見据えて…Upload By 発達ナビ編集部学校、療育施設、病院など、さまざまな社会資源と繋がりを持ちながら、息子リュウ太君を育ててきたかなしろにゃんこ。さん。いつもハラハラしながら、まだまだ育児真っ最中です。新刊の後半では、自分の夢を見つけてまっすぐに挑戦しようとするリュウ太くんの受験・進学エピソードも。ADHDのあるお子さんが、自分の特性を理解しながら、どのように成長し、そして自立していくのか…ここから先は、ぜひ本書をお手に取って確かめてみてくださいまた、本著の巻末には、発達障害のあるお子さんを持つ親御さんならではのリアルな悩みに対して、精神科医の田中康雄先生が答えるQ&Aが掲載されています。掲題の「思春期を迎えたADHDの子どもたち」について、漫画では描き切れなかった話題や日々の子育てで感じる疑問について、田中先生のアドバイスが満載。思春期にまつわる悩みについてはもちろん、「服薬やカウンセリングについてどう考えれば良いの?」「イライラはADHDの特性によるの?それとも思春期だからなの?」など、発達障害がある子どもの親御さんが直面しやすいお悩みについても分かりやすく解説されています。かなしろさんの漫画本編と合わせて、大変参考になりますので、ぜひ手に取ってご覧いただきたいと思います。
2017年10月18日精神的にほんの少し余裕が出てきた頃に気がついた衝撃の事実出典 : 自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子を抱え、日常生活を送るだけで精一杯だったこの数年間。何かをしようと思っても、すぐにヘルプが必要になる子どもたちに呼ばれ、洗い物も掃除も洗濯も最後までできた試しがありませんでした。我が家では娘も息子も、小学校に籍はあるものの、日常的に通学はしていません。代わりに、自宅でホームスクールを行っています。子どもたちの絶え間ない呼びかけに対応していると、思考は常に分断され、ゆっくりと頭の中を整理する時間はほとんどありませんでした。精神的にも肉体的にもゆとりのない状態が続きましたが、昨年、ようやく毎日麦茶を沸かすことができるようになりました。普通に家事をこなされている方からすると「麦茶を沸かせるようになるってどういうこと?やかんに水とお茶パックを入れて火にかけるだけでしょう?」と思われるかも知れません。ですが、たったそれだけのエネルギーを絞り出すことすらできないほど、いっぱいいっぱいの日々だったのです。そして、ついに今年の夏は日に3度、麦茶を沸かせるようになりました。書いてしまえば他愛もないことで自分でも笑ってしまうのですが、家事にまわす余力が出てきたということは子どもたちが成長した証でもあるので、なんだかとっても嬉しいのです。こうして少しゆとりが出てきたところで、ふと気がついたのです。「そういえば...これまで息子の爪を切った記憶が1度もない!」起こす、食べさせる、着替えさせる、お風呂に入れる、歯磨きをさせる、寝かしつける。それをこなすのに精一杯で、すっかり爪のお手入れのことが頭から抜け落ちてしまっていたのです。息子の爪をチェックしてみると...出典 : 慌てて息子の爪をチェックしてみると、なんと白い部分が一切なく、えぐられたような状態になっていました。考えてみれば、息子は幼い頃からずっと指を口に入れており、手をグーにしてすべての指が口に吸い込まれていることもありました。不潔だからやめるように注意をしてはいたのですが、アスペルガーの娘がタオルを手放せないのと同じように、安心感に繋がっているのかも知れないと強制的にやめさせることは考えていませんでした。とはいえ、こんなになるまで爪を噛んでいたとは......一番近くにいる私がなぜこんなことにも気づけなかったのかと落ち込んでいる間も、息子は口で爪を削り続け、ついには足の親指から出血も化膿してしまったのです。(もちろん足の爪も口で削っていたのです!)いくら悔やんでも過去は変えられませんから、後は改善あるのみ!まずはどうして息子が爪噛みをやめられないのかを考えてみることにしました。やめられないのは足りない刺激を補うため!?出典 : 爪噛みについて調べてみると、親の愛情不足や欲求不満という文字が踊っていて、落ち込んでいる私にさらに追い打ちをかけてきます。しかし、息子の爪噛みは生まれたときからずっと続いています。愛情不足や欲求不満ならムラがあってもいいような気がするのですがそれもありませんし、1日中いつでも、気がついた時にはずっと口に指を入れているのです。そこで発達障害の特性が原因なのかと思いを巡らすと、ADHDの息子は刺激を求め続ける傾向が強いことに思い当たりました。「爪を噛む」という口腔内への刺激と「指の痛み」という二重の刺激を手軽に得られる爪噛みは、息子にとって常に刺激を得られる手段として定着しているのかもしれない。そんな私なりの仮説を立ててみました。ならば手軽に別の方法で刺激を得られれば、爪に向かう意識が薄れるかもしれません。そこで役に立ちそうないろんなグッズを試してみることにしたのです。息子の爪噛み防止グッズをご紹介今話題のハンドスピナーは、自閉症スペクトラムやADHDの方と相性がいいと聞いて試してみました。確かにある程度の刺激は与えられますし、情動行動を好むタイプの子どもたちにはピッタリのアイテムです。しかし、以下の理由からあまり効果は得られませんでした。・ 幼い息子の手には少し大きい・ 読書中などの爪噛みには効果がない・ 飽きるとその辺にポンと置いてしまって、その存在をすぐに忘れるおもちゃとしてはとても気に入っていますので、今はおもちゃ箱にしまってって遊びたいときに遊んでいます。そこで、次に常に手元に携帯できるものをと思い、くるくる回せる指輪を購入してみました。息子の小さな手に合うのは8号サイズしかありませんでしたが、これなら置き忘れることなく常に指にはめておけるのでとっても便利です。しかし、さすがは年季の入った爪噛み癖!指輪をクルクル回しながら爪を噛むという合わせ技を繰り出されてしまいました。私もつけてみましたが、例えば歩きながら、読書をしながらもくるくると回すことで不思議な安心感が得られます。とてもよいグッズだと思いますので、小さなものを飲み込んでしまうお子様がいらっしゃらないご家庭にはおすすめです。こうなったら、こちらも合わせ技で対抗するしかありません。今度は片手いっぱいで握れるフィジェットパッドというものを購入してみました。カチカチなるスイッチや、ゲームコントローラーの様にくるくる回せる仕掛けなどがあちこちに施されているものです。これも、購入当初はあちこちにポンと置いて探し回ることが続いたので、百円均一のネックストラップを買ってきて、首からぶら下げておくことにしました。刺激が欲しいとき、読書など片手が余ってつい口に入れそうになってしまったときなどはこれを利用するよに。でもこれだけでは、くるくる回せる指輪と同じように、この仕掛けを触りながら指を口に入れてしまう可能性もありました。なので、息子が幼いころに使用していた「マヴァラバイターストップ」という苦い味のするマニキュアを爪に塗っておくことにしました。この苦さを知っている息子は「もう噛まないから大丈夫!」となかなか塗らせてくれませんでしたが、「もう噛まないんだったら苦くないよ?おまじないみたいなものだから塗っておこうね。早く爪が伸びてきますように」と話しながら塗っています。そして1週間の月日が流れ…出典 : こうして、さまざまな対策を講じてから1週間。息子の爪にはようやくうっすらと白い部分が見えてきました。とはいえ、毎日チェックしていると、ときどき特定の爪がきれいになくなっているので、苦さをこらえて噛んでしまっているのだと思います。それでも、爪を噛まないためにどうすればよいかを息子と話し合いながら試行錯誤することで、不思議な連帯感が生まれ、うっすらと生えてきた爪に2人で感動しています。爪がないと指先に力を入れにくくなったりすることもあるそうなので、爪が伸びきったあかつきには、不器用な息子の震える文字が少しでも改善されればいいのになと淡い期待も抱いたりしています。完全に爪噛みから卒業するにはまだまだ時間はかかりそうですが、爪を噛む欲求を別の方法で代替することができれば、息子のストレスを最小限に抑えながら進めていけるのではないかと思っています。発達障害のある方には、こだわりや独特の癖を持つ場合も珍しくありません。それが安全な行動なのであれば、できる限り自由にさせてあげることも大切だと思いますが、息子のように身体に害が出てしまったり、危険が及ぶことのあるような行為はなるべく避けてもらいたいと思ってしまいますよね。そんなときはどうか無理にそれを取り上げてしまうのではなく、他に代用できるものがないか、少しでも安全なものに変えられないか、お子さまと一緒に相談し、いろんなものを試してみることが近道なのかもしれません。一方的な指示を受けるのではなく、大人の方が一緒に取り組むことで、子どもが安心して次のステップに進む勇気がわいてくるといいですね。
2017年10月11日子どもの成長は嬉しい。でも反抗期は超たいへん!?ーかなしろにゃんこ。さんの漫画エッセイ新刊、第2話を先行公開!発達ナビにも漫画コラムを連載中、かなしろにゃんこ。さんの新刊『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(講談社)が、10月4日に発売されます。注意欠陥と衝動性のADHDなどがある、著者・かなしろさんの息子さんのリュウ太くんがとうとう反抗期に突入!この漫画では、発達障害と診断された小学校高学年から、高校受験までの様子が、描かれています。発達ナビでは、新刊の第1話・第2話を特別に先行公開!(第1話は以下のリンクから読めます)第2話「ADHDのことを伝える」です。(画像提供: 講談社)Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部監修は田中康雄先生(北海道大学名誉教授、こころとそだちのクリニックむすびめ院長)、かなしろさんの漫画のほか、著書内には田中先生の書き下ろしの解説も収録しています。
2017年10月03日子どもの成長は嬉しい。でも反抗期は超たいへん!?ーかなしろにゃんこ。さんの漫画エッセイ新刊、第1話を先行公開!発達ナビにも漫画コラムを連載中、かなしろにゃんこ。さんの新刊『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(講談社)が、10月4日に発売されます。注意欠陥と衝動性のADHDなどがある、著者・かなしろさんの息子さんのリュウ太くんがとうとう反抗期に突入!この漫画では、発達障害と診断された小学校高学年から、高校受験までの様子が、描かれています。発達ナビでは、新刊の第1話・第2話を特別に先行公開!第1話「反抗期のまえぶれ!?」です。(画像提供: 講談社)Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部監修は田中康雄先生(北海道大学名誉教授、こころとそだちのクリニックむすびめ院長)、かなしろさんの漫画のほか、著書内には田中先生の書き下ろしの解説も収録しています。
2017年10月02日ソーシャルスキルテストで正解したら、息子に「老害」といわれました(笑)現在19歳の息子は大学で就職に向けてソーシャルスキルを学んでいます。先日ソーシャルスキル検定のテストがあり、その話題になった私たち親子。Upload By かなしろにゃんこ。ソーシャルスキルのテキストにある問題の一部に納得がいかない!とブツブツ文句を言うので、どんな内容なのか聞いてみました。(みなさんも一緒に考えてみてください)Q:定時で帰ろうとしたら上司が「残業をしてくれないか?」と言ってきた、貴方は体調が悪いので定時で帰りたいが、さぁどうする?あなたならどう答えますか?うちの息子はというと、「んなの具合悪いんだから残業は無理でしょ!上司も帰らせてやるのが普通でしょ!」と言うのですが、正解は息子が望んだものではありません。上司と話し合ってできる範囲で残業を行う、自分の代わりをしてくれる人がいないか相談するなど答えはいくつかあると思うのですが、まだ若い息子は、模範解答は分かってはいるけど無理に残業をさせようとする大人の都合が問題文からにじみ出ててイヤなのだそうです。「体調が悪い部下に対して、そこは話し合いを求めず帰らせるもんだろう」と言います。私もそうは思うのですが、やはりお互い交渉はしないとダメでしょ!と息子に言うと、「そういうとこ、お母さんも老害だね!」とピシャリ。ムム…大人の我々もいけないのか?Upload By かなしろにゃんこ。「これまでの大人が作ってきた就労ルールはもうやめたほうがいい!」「時間を守ることが大事というけれど遅刻すると怒られるのに定時で帰っても怒られるのはナゼ?労働者の権利が守られていないことがいっぱいあるよね?」などなど、不満だらけのようです。私も実は労働者の権利が守られていないことに不満はありました。仕方なく雇用主の言うがままに求められるままに働いてきた世代です。それでいて、不服を申し立てることはありませんでした。生活するために残業や休日出勤などなど我慢して受け入れていることもあります。私も本当はそんな働き方はツラいし体も疲れるしイヤなのに、言えないで今日まできてしまいました。息子に「そんなに頑張る必要ってあるのかな?仕事辞めたくなるんじゃないの?」とズバリ言われても、後ろめたくて何も返せません。まだ就職もしていないひよっこが何ナマイキ言ってんだ!という面もありますが、日本の社会は暗黙のルールや作法が多すぎて働きやすいとは決していえないのが現状です。息子の意見を聞いて「私たち大人の働き方ってマゾだし、変…」と目が覚めました。我慢してばかりでツラいことばっかりなのに、それが大人だ!と受け入れているのは確かにおかしい(笑)子どもに働くって楽しいよ!という姿を見せたくてもできていないのだから情けなくなります…。私たちはそんなに積極的に働き方の変化を起こしてこなかった世代な気がするので、このときばかりは息子に「変えてあげられなくてごめん」と素直に謝りました。これからの若い人たちで年配の人が代々伝えていった"おかしな刷り込み"を変えていってネ!と託し、親子会議は閉幕。でもリアルでは雇用主に逆らえない息子。SSTの問題にからめて世の中に文句を言う息子。世間的には「ソーシャルスキルが身につかなくてどうしよう…」なのですが、自分のリアル世界では、逆に空気を読み過ぎてハッキリ文句言えていない事実もあります。高校生のときに、バイト先でテスト休みを取っていたのに雇用側の都合で休み無しにさせられたことがありました。息子は頼まれると「イヤです」と言えないので働いていたのです。実際はソーシャルスキルの重要性には気付いているし、雇用主とうまく付き合っていかなければならないと分かっているのだな…その経験を通して文句も言ってるのだな、と納得しました。Upload By かなしろにゃんこ。
2017年09月26日学校へ行かなければ、どうなるんだろう?出典 : いつの頃からか娘は小学校へ行くのを渋るようになりました。学校から帰ると疲れ果てて荒れ狂い、登校前日には足の痛みを訴えて泣くようになりました。学校へ行かすのはもう限界かな、と私が感じていた小学校3年生の2学期の初め、娘は自ら「学校をやめる」という決断を下しました。今でも学校に籍はあり、先生との交流を続けてはいますが、一般的には不登校と呼ばれる状態が続いています。わが家では学校に行かないことを後ろ向きに捉えるのではなく、「学校に行けないなら家で楽しく学ぼう!」と前向きに考えています。なので「不登校」という言葉ではなく「ホームスクール」という言葉を使うようにしています。そして、娘に続いて息子も幼稚園をやめることになり、365日親である私が子どもたちと共に過ごすホームスクールをはじめてから、ちょうど一年が経ちました。その中で、子どもたちにも私にも大きな変化がありました。ホームスクールを始める前、学校生活を楽しんで育った私の頭にあったのは学校へ行かないデメリットばかりでした。・ 小学校にも適応できない子が、社会に適応していけるのだろうか・ 同学年の友達に揉まれることでしか学べないこともあるのではないだろうか・ 365日子どもが家にいることに、自分は耐えられるのだろうか・ 勉強はどうすればいいんだろう・ いつか子どもが学校に行きたいと思ったとき、戻る場所はあるのだろうかそんなことばかりを考えていたような気がします。しかし、少しずつ子どもたちが365日家にいる生活に馴染んでゆく中で、学校に行かずに過ごすメリットも見えてきたのです。「自分と他人の違い」は家の中ならじっくり学べる!出典 : わが家は『安心して過ごせない場所には行かなくてもよい』という方針で子どもたちを育てて来ましたので、ホームスクールを始めるにあたって、まずは家の中を「子どもたちが安心できる場所」にする必要がありました。もちろん、それまでも子どもたちにとって一番安心できる場所は家だったのですが、ずっと家族が家にいると、親も子も一人になる時間がほとんどなくなり、そのストレスから摩擦が増えてしまいます。時間はたっぷりありますので、問題が起こった時は、親子でゆっくりと話し合いました。私が一方的に指図をするのではなく、「どうすればいいと思う?」とみんなで考えるところから始めたのです。そうやって、1つ問題を解決すると、また次の問題が発生します。でも、問題に対して皆で工夫しながらストレスの少ない暮らしを模索してゆくことで、今まで受け身だった子どもたちも、徐々に時間の使い方を自分で決め、必要なときには助けを求められるようになりました。自閉症スペクトラム+ADHDの診断がおりているわが家の子どもたちは、その特性から他人の動向に注意を払ったり、他人の気持ちを推察することが苦手です。なので、トラブルが起こるたびに話し合い、どういうケースでどういったコミュニケーションをすればいいかを一つひとつ学んでいきました。「自分の物を使われるのは、お姉ちゃんにとってはとても辛いことだ」「弟にはこういう風に接すればパニックを起こさずに意思疎通ができる」このように、身近な人でも自分とは違うこだわりや、苦手があるということを学べる時間を作れたことは、子どもたちにとって、大きなメリットとなっています。学校ではできないような、子ども達に合わせた勉強法!勉強は私が見ることで、それぞれの特性に沿った学び方を考えられるようになりました。言語優位のアスペルガーである娘には、とにかく興味のある分野の本をたくさん図書館で借りてくることで、飛躍的に知識量が増えました。自分に自信が持てない娘の場合、努力の成果が目に見える形であらわれる方が向いていることがわかり、学年を越えた漢字検定などにチャレンジしています。ADHD要素が強く、すぐに注意が逸れてしまう息子にはドリルを少量ずつ与え、目標時間を決めてタイマーを使います。終わったらすぐに丸つけをして、間違った問題は一緒に解くことで「やりとげる」ことができるようになってきました。視覚優位の息子には文字から学ぶよりも、iPadのアプリやDVDなどを使った学習の方が正確な情報を速くインプットできることがわかり、デジタル機器も積極的に活用しています。また、発達性協調運動障害を併せもつ息子は上手に文字を書くことができません。そこで、計算問題では読みずらい文字を書いたとしても不問とし、文字を書く練習は別ですることにしました。どの教科でもキレイな字で書くことを求められる学校の宿題には、きっと耐えられなかったことでしょう。子どもの特性に合わせて学習を進められるのも、ホームスクールの大きなメリットだと考えられます。こうして安心して過ごせる場所を作り、楽しく学習できる環境を整えることで、子どもたちは精神的にとても安定しました。学校や幼稚園に行っている間は疲れ果て、心を荒し、どんどん表情がなくなっていっていた子どもたち。しかし、今では毎日のびのびと笑いながら、嬉しいときにはくるくると踊りながら過ごしています。心に余裕が生まれたことで、いろんなことに意欲的に取り組めるようになってきました。「レールから外れてしまった」ことに対する不安を払しょくすることはできませんが、何よりも大切なことは子どもたちが楽しく健康に生きることだと、子どもたちの笑顔に励まされる日々です。「学校に行きたくない」という選択は、身を守るためのSOSかも知れない出典 : 残念なことに、9月1日は子どもたちの自殺が最も多い日だといわれています。「学校をやめる」と決断する前の娘も、顔中にチックが出て、絶えず足が痛み、全身からSOSが出ている状態でした。「普通は学校へ行きたくないと言っても『行きなさい』って言われるでしょ?私は『行かなくてもいいよ、ここにいればいいんだよ』って言ってもらえて救われた。あともうちょっとで、心が死んでしまうところだった。」「本当に学校に行かなくなっても責められなかった。学校から逃げてダメな人間だと思っていたけど、毎日幸せだからこれでいいんだなと思えるようになった。」娘は今、そんな風に話しています。学校生活を楽しめる人にとって、学校はとても素敵な場所でしょう。でも、心が苦しくて張り裂けそうになっている子供には、「行かなくてもいいよ」「体が辛いときと同じように、心が辛いときも休めばいいんだよ」という選択肢を示してあげることは、とても大切なことだと思うのです。そして「行かない」という選択をした子どもたちが自分を責めることなく、安心して過ごせる環境を整えていくことが、親にできる最大のサポートではないでしょうか。子どもたちが命をかけてまで行かなければならない場所など、一つもありません。同時に「行かない」という決断を下すことも、とても勇気のいることです。子どもたちが、ギリギリのところで必死に出したSOSを受け止めてあげませんか?「なぜ行けないんだ」と子どもを責めるのではなく、ゆっくりとお茶を飲んだりお喋りをしたりして、お子さまを安心させてあげることから始めませんか?大切なのは、どこで生きるかではなく、どう生きるか。私はそう思います。学校に行かなければすべてが終わるわけではありません。ホームスクールで心を回復させたわが家の子どもたちは、習いごとを増やしたり放課後等デイサービスに通うことで、新しい居場所や友達を見つけて、新しい一歩を踏み出しはじめています。いろんな状況のご家庭があると思いますが、今一度、親としてお子さまに「どんな風に生きてほしい」のかを考えてみませんか。そして、お子さまが「どう生きたいのか」を聞き出してみてください。そうやって言葉にすることで、大切にすべきものが見えてくるといいですね。
2017年09月17日今回はスピンオフ「ADHD息子の母、自分の子ども時代を語る」です!こんにちは。かなしろにゃんこです。いつも発達ナビで注意欠陥と衝動性のADHDと広汎性発達障害が少しある息子リュウ太のコラムを描いています。私自身、発達障害の診断は受けていませんが、自己診断は「グレーゾーン」です。息子リュウ太とバトルを繰り広げている私ですが、ADHDの症状、実は心当たりありありなのです。注意欠陥は生活の工夫をして改善されてきましたが衝動性や極端なものの考え方はあまり変わっていません…てへへ。これまで息子の話でマンガを求められることばかりだったため自分のことを描く機会がありませんでした。でもグレーの人も発言できる発達ナビという場でコラムも書かせていただけるようになって「よし!自分のことを描こう!」と思ったのです。幼稚園~小学生まで感情をむき出しにする人が恐かった。Upload By かなしろにゃんこ。私は臆病者で積極的にみんなの輪に入れない子で、小学校高学年までは未知の経験の度にすぐに情緒不安定になってしまうような性格でした。話したことがない人に話しかけられると「えーなんで私のこと知らないのに声かけてくるのーーー?コワーイ」と、しばらくフリーズしてしまいます。お互いに自己紹介をした後に友だちになるものだと思っていたので、子どもでも自然にいつの間にか仲良くなる!なんてことはできませんでした。この辺が変な考え方です(笑)。臆病な理由は、プンプン怒る人や口調がキツイ人が側にいるだけで恐くて恐くてたまらなくなるためでした。怒りを身近に感じると、その場から離れなければ!と家に帰りたくなっていたのです。怒る人は暴力をふるってくる気がして恐怖でした。当時、プンプンよく怒る私の息子のようなタイプが側にいたら一目散に逃げていたでしょう。怒るという感情を軽蔑して封印!Upload By かなしろにゃんこ。35年前はプロレスが流行っていてクラスにプロレス技で暴力を振るういじめっ子の男子がゾロゾロいました。休み時間の教室は暴力が横行しているバイオレンスな空間です。いじめっ子の暴力を阻止しようとすれば目をつけられエルボー(肘で背中を打つ技)で思い切り痛めつけられてしまいます。なるべく目立たないように反抗的な目をしないで生きていくしかありません、毎日びくびくして脅えていました。次第に怒りや暴力をあらわにする人を心から軽蔑するようになっていったのですが、私は他者から危害を加えられても怒りの感情よりも恐怖が大きかったので、人に対して腹を立てたりしたことがありませんでした。「怒り」というものがどんな感情なのか実は理解していなかったのです。「怒りを表す人はキライ」から、「感情をむきだしにする姿はみっともない」という考えに変わっていったのです。Upload By かなしろにゃんこ。喜怒哀楽が激しくADHDがある息子の特徴と真逆の私は、グレーの無表情女子。外から見たら単に「平和主義」の子にみえたかもしれません。しかし実際は不注意が多く親や教師に怒られることが多かったので、内面は悲しみの感情が常に渦巻いていました。その悲しみを葬り去るために「自分は人には怒らないようにするんだ!」と心に誓っていたのです。なぜなら相手の怒った顔や残念に感じている姿を見たくなかったのです。頼まれ事はなんでも断らず引き受けたりするのも、そんな理由です。根っから臆病なのに、常に無理をして頑張っちゃってテンパっていました。自己肯定感を自分で上げないと潰される気がしていたのです。しっかりものを演じていたのです。ムリしていると次第に自分の感情が今どんななのか分からなくなっていきます、表情も無表情になっていたようで、4年生の頃は友だちから「何考えてるのか分からない。今楽しんでいるのか、悲しいのか分かりにくいから困る」と言われていました。自分でも分からないから答えようがありません、嬉しいのか?辛いのか?判断できないのです。そんな小学校生活ではストレスを抱えていても誰にも言えないし我慢するしかありません。高学年になると夕方に偏頭痛が起こりました。しかし、自分にムリをしていた結果だとは気がついていませんでした。だんだんと自分の心に閉じ込めていた感情のエネルギーが反社会性へと動きだしていきます。私の感情を解放してくれたのは、「ワルい友人」の存在でした。~続く~
2017年09月05日育児に遅れと混乱が生じてる !!
ムスメちゃんとオコメちゃん
ドイツDE親バカ絵日記