兵庫・宝塚大劇場の2020年の幕開きを飾る宝塚歌劇雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』が、1月1日に開幕した。「宝塚歌劇雪組 ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』」チケット情報1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督によるギャング映画を原作に、小池修一郎が脚本・演出を手がける本作。20世紀のアメリカ社会を背景に、ニューヨークの貧民街で暮らす移民の少年たちがギャングとして成りあがっていく様とその後を、友情や絆、恋模様を絡めて描いた物語だ。移民だからこその苦悩と夢、それゆえに手放してしまったもの…。この宝塚版では、トップスター・望海風斗が演じる主人公ヌードルスを軸に、登場人物それぞれの“生き様”が色濃く描き出されている。黒いスーツにソフト帽を被ったギャングたちが、クールな群舞を繰り広げるプロローグ。ダンディな色気で観客を惹きつけ、舞台は一転、1958年のニューヨーク・マンハッタンの場末、ローワー・イーストサイドの一角に立つダイナーへ。店主ファット・モーを訪ねてやって来た主人公ヌードルス。ふたりが25年ぶりの再会を果たすところから物語が始まり、そこから1920年代の少年期、1930年代の青年期の回想、そして1950年代の今(壮年期)へと、展開していく。ヌードルスを演じる望海は、その3世代を柔軟に演じ分けて魅せる。街では悪事を働きながらも、思いを寄せるデボラの前では“純”な一面を見せる少年期、罪を犯し、7年あまりの刑期を終えて仲間の元に戻った青年期、姿を隠して生きてきた壮年期は、哀切さを帯びた佇まいが印象的だ。孤独や葛藤を覚えるヌードルスを情感豊かに演じるとともに、抜群の歌唱力でも聴かせる望海。時が流れるとともに、ヌードルスと、それぞれの“夢”を求める仲間たちやデボラとの関係が変化していくのも見どころのひとつだ。デボラを演じるトップ娘役・真彩希帆も、バレエのレッスンに励み、スターになる夢を見る愛らしい少女時代から、芯の通った大人の女性へと成長していく様を見事に表現。歌唱のうまさも際立ち、ブロードウェイのスターとして劇場に立つ場面では、大階段いっぱいに広がるドレスをまとい、その美しさでも魅せる。少年期にヌードルスと出会い、行動を共にするマックスを演じるのは、彩風咲奈。非道なことに葛藤を覚えていくヌードルスに対し、仲間の中心となりどんなことをしてでも成功しようとするマックスを存在感たっぷりに表現。また、“裏”の顔を持つ全米運送組合のジミーを演じる彩凪翔、マックスが経営する潜り酒場のショースター・キャロルを演じる朝美絢らが繊細な演技で脇を固めている。アダルトな男の色気と、濃厚な人間ドラマ、そして宝塚ならではのショーアップされたシーンもあり。望海率いる充実の雪組が見応えたっぷりに仕上げた本作は、2月3日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場、2月21日(金)から3月22日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは1月19日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2020年01月09日今年デビューしたばかりの新人グループながらKCON、MAMAと2つの大きなイベントを経験したONEUS。以前このコラムに登場したONEWEとは兄弟グループでもある彼らは、壮大な楽曲とパワフルなパフォーマンス、そしてステージを降りた後の親しみやすさとのギャップが魅力。彼らの仲睦まじさがよくわかるインタビューになりました。写真・大内香織 動画・千葉 諭 文・尹 秀姫【ペンになってもいいですか!?】vol. 121左からコンヒ、ソホ、RAVN(レイブン)、イド、ファンウン、シオン--まず、ONEUSというグループについて教えてください。ONEUSの魅力、見どころ、まだONEUSに出会っていない人に向けてアピールしてください。ファンウン ONEUSはメンバー全員、とても個性的です。それでいて、一緒にいるとグループとしての魅力を感じていただけるのが僕たちの強みです。ONEUSはパフォーマンスや楽曲制作にメンバーが直接携わる部分も多く、ONEUSのカラーというものを探しながら見ていただくと、もっと僕たちのことを知っていただけるんじゃないかと思います。日本デビュー曲にもなった「Twilight 」は、イド兄さんとレイブン兄さんが作詞に参加していますし、振り付けはメンバー6人全員で考えました。韓国で9月にリリースした「LIT」という曲では、ラッパーの兄さんたちが作詞に関わっているんですよ。レイブン 1995年9月2日生まれ、178㎝、ラップ、ボーカル。--続いては自己紹介をお願いします。シオン 僕はボーカルと演技を担当しているシオンです。僕のいいところは…。コンヒ かっこいい!レイブン 愛嬌がある!イド ONEUSの若さ担当です。シオン ONEUSの末っ子なので、愛嬌のある性格でもあります。ファンウン それと、まつげがすごく長いんですよ。ラクダ似です。僕は、ONEUSのメインダンサーとナマケモノを担当しています(笑)。僕はのんびり屋さんなので、いつもメンバーのみんなに助けられてます。レイブン 他のメンバー5人がいつもファンウンの世話を焼いているんですよ。ファンウン そうですね、あらゆることでお世話になっております(笑)。ソホ 僕はメインボーカル担当で、チャームポイントは笑顔です!イド 笑うと細目になる笑顔がかわいいんですよ。ソホ 1996年6月7日生まれ、176㎝、メインボーカル。レイブン 僕はONEUSの最年長です。この中では一番大人っぽいのと、かっこいいのが魅力?(照)ファンウン 兄さんはファッションに興味があって、オシャレ。センスがいいんですよね。いつもひとりで絵を描いていることが多いです。僕たちがデビューする前にリリースしたプロジェクト・アルバム「LAST SONG」のジャケットイラストは、レイブン兄さんが描いたものなんですよ。イド 僕はONEUSのラッパーで、声を担当しています。チャームポイントは、まさに声。普段からこの声ですが、歌うとまたトーンが変わって、ギャップがあるねと言われます。コンヒ 普段もこの重低音ボイスなんですが、もっと低い声を出すこともできるんです。ファンウン 風邪をひくとさらに声が低くなって、何を言っているのかわからなくなりますね(笑)。コンヒ 僕は“食べる口、しゃべる口、歌う口”を担当しているコンヒです。食べるのも大好きだし、ONEUSのおしゃべり担当としてMCや曲紹介をすることが多いです。そしてメインボーカルでもあります。口に関することがチャームポイントです。ファンウン 本当にしゃべるのがうまいので、信頼しておまかせできます!イド ONEUSのMCです。イド 1997年7月26日生まれ、178㎝、ラップ、ボーカル。コンヒ 僕の“食べる口”はたくさん食べることよりも、おいしいものを食べるのが好き。昨日は初めてチーズとんかつを食べたんですが、おいしかったです! よくリアルタイム放送でファンのみなさんにおいしいものを食べている映像をお届けしています!--2019年1月デビューから韓国のみならず、日本、そして欧米圏でも人気となりました。この要因はなんだと思いますか?シオン はっきりとした理由はわかりませんが、きっと、メンバーがみんな一生懸命にいいステージを見せようと努力してきた結果なんじゃないかと思います。それと、これは僕の主観ですけど、メンバー5人がカッコいいから?イド なんで5人? 6人じゃなくて?シオン 一応、謙遜して自分は入れなかった(笑)。ソホ メンバー思いだね!--8月に日本デビューを飾った「Twilight」は切ない歌詞とメロディ、そして吸血鬼を思わせるビジュアルと華やかなお城での撮影という、豪華なMVが印象的でした。この曲の紹介と曲にまつわる思い出を教えてください。コンヒ 「Twilight」は日が暮れた後の“犬と狼の時間”を意味する単語です。“犬と狼の時間”というのはフランスのことわざで、見えているシルエットが、目の前まで、犬なのか、はたまた狼なのか判然としない時間帯のことを意味するのですが、この曲では別れた恋人に会いたい気持ちを表現しています。MVはイタリアに行って撮影したんですが、実際に夕暮れの時間が長くて、この曲のイメージとピッタリだなと思いました。そしてイタリアではおいしいものをたくさん食べました! その前まではMV撮影のためにダイエットしていたし、初めて行く国の食べ物は口に合わないんじゃないかという心配もあったんですけど、みんなそんな心配をよそにたくさん食べて、初日と最終日のメンバーの見た目がちょっと違って見えるんじゃないかと心配です(笑)。イド 毎日おいしいものをたくさん食べました! おもに肉を(笑)。ファンウン ステーキがおいしかったですね。--12月には待望のセカンドシングル「808」がリリースされました。どんな曲なのか、教えてください。コンヒ この曲は「自分の道は自分で切り開く!」という強い意志を感じさせる曲です。8は末広がりで縁起のいい数字でもありますし、また横に倒せば無限・インフィニティを意味する記号にもなりますよね。とてもポジティブなメッセージが込められた曲です。コンヒ 1998年6月27日生まれ、181㎝、メインボーカル。--11月にはアメリカツアーを回っていたそうですが、ツアーでの思い出はありますか?レイブン 僕たちはパフォーマンスで観客のみなさんに力を与えたいという気持ちでステージに立っているのですが、アメリカツアーでは逆に僕たちがパワーをもらうことが多かったですね。イベントでは途中でゲームも行ったところ、みなさん積極的に参加してくれて、僕たちも楽しかったです。みなさんのリアクションも素晴らしかったですね。それに、僕たちがパフォーマンスしていると、観ている方も一緒に踊ってくれるんです。しかもそのダンスがセンスにあふれていて、僕たちの振り付けを同じように踊る方もいれば、自分なりに解釈して踊ってくれる方もいて、驚きもあり、感動しました。いい思い出になりました。ファンウン アメリカでもお肉を食べました(笑)。イド 6人全員の好物がお肉なんですよ。コンヒ アメリカツアーでは6都市をまわったんですが、その都市ごとに異なる文化があって、天候もまったく違うんですよ。アメリカというひとつの国を移動しながら、まるで6つの国を体験したような気分でした。いろいろな食べ物、いろいろな文化を感じられてよかったです。--日本デビューしてから日本に来ることも増えたと思います。日本に来た時にあった忘れられないエピソードは?コンヒ 様々なステージで、TOMOON達に近くで会えたことがとても嬉しかったです!レイブン 日本で食べたものの中で忘れられないのが、和牛! とってもおいしかったです!コンヒ 代表がごちそうしてくださったんですよ。イド たくさん食べすぎて、僕たち6人でほぼ牛一頭分くらい平らげたんじゃないかと思います(笑)。ファンウン 無限に食べられたよね。レイブン でも不思議なのが、食べ終わってすぐは「もう食べられない!」って思うのに、次の日になるともうお腹が空いているんです(笑)。ファンウン 1998年8月26日生まれ、168㎝、メインダンサー。--これから日本活動もますます増えていくと思います。日本でやりたいことは?レイブン 2019年はデビューしてからたくさんの思い出ができましたが、2020年にはもっと大きなステージに立ちたいです。もし叶うなら、ドームまで行きたいという野望があります。ソホ 僕は個人的に、日本には楽しい遊園地が多いと聞いたので、メンバーといっしょに遊びに行ってみたいです。レイブン お化け屋敷はコンヒが得意だよね。きっとひとりでも大丈夫!コンヒ 涙を流して喜びます!(泣き真似)イド 感激の涙ですよね?(笑)--これまでさまざまなコンセプトを消化してきているONEUSですが、これからやってみたいコンセプトは?ソホ 僕は明るくてスポーティなイメージの曲をやってみたいですね。健康的で、ハツラツとした感じの。ファンウン 僕も明るいのがいいなあ。でも、SHINee先輩の「テリロガ」という曲のように、明るさの中にヴィヴィッドさもある、演技も加えたパフォーマンスをしてみたいです。コンヒ 僕たちがデビューする前にやっていたプロジェクトで披露した曲の中で、少女時代先輩の「Gee」を僕たちなりの解釈でアレンジしたパフォーマンスがファンの方にとても人気だったので、そういうステージをまたやってみたいですね。--デビューから今まで、ものすごい速さで駆け抜けてきたと思います。この1年はどんな1年でしたか?シオン デビューできたこと自体が夢みたいに幸せでしたが、僕たちのファンであるTOMOON(ファンの総称)のおかげでいい思い出がたくさんできた1年でした。初めてのKCONもそうですし、先日はMAMAのステージにも立ちました。これから1年後、2年後、3年後、ずっと忘れられない1年になりそうです。シオン 2000年1月10日生まれ、172㎝、ボーカル。--2019年のONEUS的重大ニュースを教えてください。ファンウン 僕たちが待ちに待ったデビューを果たしたことがやはりいちばん大きなニュースだったと思います!レイブン そして僕たちが待ち焦がれたファン“TOMOON”が誕生したこともまた忘れられない思い出です。コンヒ 僕たちが初めて出席したSORIBADAの授賞式も忘れられないですね。しかも、そこで「NEXT ARTIST」賞という、これからが期待できるアーティストに贈られる賞を受賞しました! 初めていただいた賞でもあり、たくさんのファンの方のおかげでいただいたということもあって、とても意味深いものになりました。イド 僕たちが初めてやった9月21日のスペシャルライブが印象に残っています。ここで初めて「LIT」をお披露目して、ファンのみなさんにカムバック前にご挨拶することができました。シオン デビューから今まで3枚のミニ・アルバムをリリースして“USシリーズ”を完結させることができたことです! このシリーズによってONEUSのカラーをお見せすることができた1年だったと思いますし、次の1年につながるシリーズの完結になったと思います。ソホ デビュー前からMAMAを観ながら、いつかはこんなに大きなステージに立ってみたいという話をしていたのが、実際にMAMAのステージに立つことができたのが一番の思い出です。そして今日、こんなふうにインタビューを受けていることも、とてもうれしいです!--今年はデビュー2年めですが、2020年の目標は?コンヒ 2019年はデビューして韓国で3枚のミニ・アルバム、そして日本で2枚のシングルをリリースしました。とても慌ただしい1年ではありましたが、それだけたくさんのファンのみなさんとお会いする機会があったことに感謝しています。2020年にはさらにたくさんのファンのみなさんにいいステージ、いい曲をお見せしたいと思います。メンバーたちとは、僕たちの来年を楽しみにしてもらえるように、今年1年を締めくくりたいねという話をしていたのですが、みなさんに期待を寄せていただいたぶんだけ輝けるONEUSになりたいです。イド そしてこれは目標ではないんですが、いつも健康で幸せでいられるように、というのはいつもメンバーと話してますね。そのためにも、2020年はシオンに運動をさせます!シオン (黙って首を振る)ファンウン 外では嫌がるふりをしているだけなんですよ!イド 照れてるだけなんです。シオン 来年から少しずつ、ひとつずつチャレンジしたいと思います…。コンヒ 兄さんたちの2020年の目標は、シオンの健康のために、シオンに運動をさせることにします!ソホ 僕たちはこの目標を必ず遂行します!ファンウン 1日に1個ずつやれば来年には365の運動をしているはずだよ。イド このインタビューを、その約束の証としたいと思います。来年またインタビューしていただいて、その成果をお話させてください!ONEUSのQ&Aインタビュー動画はこちら!
2020年01月07日映画『午前0時、キスしに来てよ』に出演する片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が、「第4回マカオ国際映画祭」アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワードの授賞式に出席、英語でスピーチも行った。「アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワード」(Star Asia UpNext)は、「マカオ国際映画祭」とアメリカの代表的なエンターテイメントメディアである「Variety」の主催で開催される授賞式。第2回マカオ国際映画祭より新設された賞であり、今年で3回目を迎える。現在、世界で最も有望な次世代スターにスポットライトを当てている同賞。過去には、忽那汐里が受賞している。そんな本賞で「アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワード」として日本人男性が受賞するのは片寄さんが史上初だ。今回この授賞式に参加するため、マカオ国際空港の到着ゲートに姿を現すと、空港に集まったファンから悲鳴のような大きな歓声に包まれ、片寄さんもその熱烈歓迎ぶりに驚く。記者会見には、片寄さんをはじめ「BNK48」プレーワー・スタムポンとジェニス・オープラサート、「少女時代」ユナ、ベトナム出身のリエン・ビン・ファット、インドネシア出身のアスマラ・アビゲイル、フィリピンの女優ベア・アロンソ、インドの女優ブミ・ベドニカルも出席。艶やかなブルーの衣装で参加した片寄さんは、英語で「映画祭とバラエティー誌に選んで頂き感謝します。また、スタッフ、家族、そしてファンにお礼を言いたいです。皆さんのサポートのおかげで受賞することができました。私の夢はエンターテイメントの世界でアジアと日本の架け橋になることです。この賞を頂き、私のキャリアにとっても一つの節目となるとともに、夢の実現への一歩となると思います。ありがとうございます」と力強くピ―チし、大きな拍手を浴びていた。そして黒のタキシードに着替え、「これからレッドカーペット歩きますー!」とにこやかにコメントし、カーペットインした片寄さん。ファンとプレスに「涼太ー!涼太ー!」と呼び止められながら、片寄さんは笑顔でカメラの前でポーズを決める様子も。映画について記者に問われた片寄さんは「この映画は、王子様との恋愛にあこがれている夢見がちな女子高生の現代のシンデレラ物語です。私は、国民的スーパースター綾瀬楓を演じています」と答えると「そのあなたがスーパースターでしょ?」と言われ、「YES!」とはにかむ片寄さん。ランウェイ後片寄さんは「凄く賑やか!」と興奮気味に感想を明かしていた。その後の本授賞式では、とても暖かい雰囲気に包まれながら終了。この日、マカオでは片寄涼太フィーバーが巻き起こっていた。『午前0時、キスしに来てよ』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:午前0時、キスしに来てよ 2019年12月6日より全国にて公開Ⓒ2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会
2019年12月11日精巣がんを宣告された5歳年下の夫・Nosuke(30)の闘病生活を支えながら、自身も激しいめまいが頻発するメニエール病を発症したと公表したmisono(35)。10月に報道番組で初めて病を告白した彼女だが、一部のネット上では「話題作り」「メニエール病くらいで……」といった心ない言葉が多数寄せられたという。「ウチの言葉足らずな文章や病気への理解度が低かったことで、叩かれたんだと思うんです。実際、おっしゃる通りで、私も『この書き方がよくなかったな……』と思うところもありますし。それでも発表してよかったと思ったのが、『私もメニエールなんですが、大変さをわかってもらえなかったので告白してくれてよかった』と言ってくれた人がたくさんいたんです。ウチが発表したあとにYouTubeとかでも整体師さんの方とかが『メニエール病とは?』という解説動画を配信して、また広まったりして。だから誹謗中傷はあったけど、それでも言ってよかったと思っています」これまでも数々の“炎上”を経験してきたmisono。しかし、本人は「でも、原因はウチだと思います。やっぱり日ごろの行いによって自分のイメージが染みついてる部分もあると思っていて」と意外な素顔を覗かせる。「ウチは“人から何言われても気にしない”“自分勝手”って見られがちなんですけど、実は世間の人にどう思われてるかめちゃくちゃ気にしてるんです。だから毎日エゴサーチしていて。この歳と芸歴になってくると友達もファンも私が何しても『いいよ』と許してくれるからこそ、指摘してくれるのはアンチの人くらいしかいなくて(笑)。何か指摘されたらすぐ『そう思われたなら、二度とそういう言い方はしません』みたいに参考にしています。すごくみんなの意見に左右されるし、浮き沈みするんですよ。“炎上上等”なんて思ったことないです」misonoがそう語る裏には、少女時代の壮絶な過去が大きく影を落としていた。「私が小中学校の時ってすごいモテてきたんですよ(笑)。でもそれで調子に乗ってしまったところもあって、昨日まで友達だった子たち全員からいきなり無視されたりして。修学旅行行ったあとに教室の後ろに写真が貼られたんですけど、ウチの顔に全部画びょうが刺されてたり、登校したら机も足跡だらけでした。でもその時に私は『いじめてた人たちを見返そう』ではなくて、『この人たちに口を聞いてもらうためにはどうしたらいんだろう』ってずっと考えていました。そこで当時SPEEDさんとか同世代の子たちが歌を歌っているのを見て『私も歌ったら居場所ができるかも』と思ってオーディションを受けたんです」そうした過去の辛い経験も今の自分を作っている糧だ、と胸を張る。「振り返ってみると奇跡的に17歳から今日までずっと芸能界にいることができました。下積みや苦労話も全然なくて、本当に恵まれた環境にいたなって。だから夫のがんや私の病気で、みんな『かわいそう』と言ってくるけど、不幸と思ったことは一度もないんです。こういう経験があったから強くもなれたし、より夫との絆も深まりましたし。Nosukeも今までは実家にあまり帰らない息子だったんですが、ガンをきっかけにお母さんの手料理を食べに帰ったり、家族の会話も増えるようになって」そして、ガン治療もひと段落した最愛の夫との“愛ある生活”をかみしめる日々だ。Nosukeが甘えることが多いそうだが、交際前はmisonoがゾッコンだったという。「最初はウチがずっと追いかけていたんです。バレンタインの時に告白したんですが、『今の僕は誰かを幸せにできる男性ではないです。付き合ったとしてもヒモになるのが目に見えてるので』ってフラれてしまって。でも逆にそこで男らしいなってまた好きになりました。でも結婚してからはNosukeがご飯作って家で待っててくれたり、仕事から疲れて帰ると『今日も可愛いね』って温かく迎えてくれるんです。“家に絶対的味方がいるんだ”って、思うことができたのがよかったですね。私が何を言っても『よかったね~』と彼は言ってくれるんで嫌われることを恐れてきた自分としては、“こんなに嫌いにならないでいてくれるんだ!”って。お互いに『この人を失うとマジでもう誰もいない』って思ってるはずです」インタビュー後には、別室にいたNosukeを連れてきて2ショット撮影に応じてくれたmisono。波瀾万丈な生活を乗り越えた2人の絆は、どこまでも続いていくことだろう――。
2019年12月09日KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『常陸坊海尊』が、12月7日に同劇場ホールにて開幕した。【チケット情報はこちら】『近松心中物語』で知られる劇作家・秋元松代が1964年に発表した戯曲を、KAATの芸術参与に就任した長塚圭史が演出する本作。主君・源義経を裏切って逃亡した自らの罪を償うため、不老不死の琵琶法師となってその武勇を伝え歩いた──とされている常陸坊海尊の伝説を背景に、戦争で生じた格差や差別に苦しむ弱者の“生”が描かれる。物語は、東京の少年・啓太と豊が東北の疎開先へやって来たことから始まる。2人は海尊の妻と称するイタコのおばば(白石加代子)に出会い、その孫娘・雪乃(中村ゆり)の美しさに惹かれていく。両親を亡くした啓太はおばばに母の姿を重ねて依存し、やがて消息不明に。16年後、東京で成人した豊(尾上寛之)がかつての疎開先で再会したのは、雪乃によって魂を抜かれ、廃人同然の姿に変わり果てた啓太(平埜生成)だった──。疎開児や彼らを引率する教員の視点を通じて、おばば・雪乃をはじめ、東北の雪国に暮らす人々の奇妙な風習が淡々と綴られる1・2幕に対して、3幕は因縁の再会によって物語が加速する。それらを彩る堀尾幸男のシンプルな舞台美術は、静謐さを湛えながらも饒舌だ。白石は、老女ながら山伏の男ですら狂わせる魅力を持ったおばばに1997年以来の再挑戦。時に妖艶に、ユーモアを交えながら役を立ち上げる。特に、啓太に甘く囁きかける媚態は見どころのひとつ。中村は、サディスティックな魅力で啓太と豊を翻弄し、少女時代と成長して巫女になった雪乃を見事に演じ分けた。3幕のみの登場ながらも、平埜は存在感を見せる。「生きながら死に腐れる」現状に絶望する啓太が、海尊との交感によって生気を取り戻すラストは圧巻だ。同じ疎開児ながら、啓太と異なり平穏な人生を歩む豊を演じた尾上も、雪乃との再会で彼女に抗いようもなく惹かれてしまう感情を切々と表現した。上演時間は、190分(休憩含む3幕)ほど。神奈川公演は12月22日まで。その後、2020年1月11日(土)・12日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、16日(木)に岩手・岩手県民会館 大ホール、25日(土)に新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場と巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年12月09日「レット・イット・ゴー」から「イントゥ・ジ・アンノウン」へ。11月22日に公開されたメガヒット中の続編『アナと雪の女王2』が、日本興行ランキングでぶっちぎりのナンバー1をマークし、前作同様に、主題歌も話題になっている。同曲を手掛けたのは、前作から続投したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻。2人はこの曲にどんな思いを込めたのか?物語の舞台は前作から3年後。2人で仲良くアレンデール王国を治めていたエルサとアナの姉妹だったが、ある日エルサが、自分にしか聞こえない不思議な声を耳にする。その声に導かれ、エルサは未知なる世界へと足を踏み入れていく。今回、エルサが持つ魔法のルーツに迫るとともに、アナもいまだかつてない試練に見舞われる。クリス・バックとジェニファー・リーという2人の監督はもちろん、日本語吹替版でも松たか子や神田沙也加たち声優陣が続投した。前作の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」は社会現象を巻き起こし、「ありのままで」が2014ユーキャン新語・流行語大賞のトップテン入りを果たしたが、続編の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」もすでにホットなナンバーとなっている。――クリス・バック監督とジェニファー・リー監督とは、どのようにコラボレートして曲を作っていったのですか?クリステン:前作の時と同じで、まずはジェニファーから電話をもらったわ。続編では、なぜエルサは魔法を使えるのかという理由を明かしたいという話をされた。そこから話し合いをして、ストーリーを作っていき、ある程度、話が固まったうえで、曲を作るというプロセスだった。――「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」は、途中で転調してから、ハイトーンのサビの部分に入る部分がとてもドラマティックな歌ですね。ただ、「レット・イット・ゴー~ありのままで~」は子どもたちも口ずさみやすい曲でしたが、今回はカラオケで歌うにはハードルが高い気がします。ロバート:そうかもしれないね(笑)。ただ、「レット・イット・ゴー」も今回も、あくまでもエルサの心情を描くことが重要だと思っていたので、子どもたちが歌えるような曲調を意識したわけではないから、そこは仕方がないな。――でも、“未知の世界”同様に、自分の“未知の音域”を引き出してくれる歌になりました。クリステン:私もそう思うわ(笑)。でも、1オクターブ上がって、戻って、今度また一番高いところへ上がるけど、その音は、「レット・イット・ゴー」の高音と同じキーなの。急に上がるのは、エルサが危険ゾーンに入っていくということを表しているわ。――確かに、未知の世界へエルサが進んでいく過程をよく物語っています。今回は前作よりも起承転結のある歌が多く、よりストーリーを雄弁に語っている印象を受けました。最初の曲「魔法の川の子守唄」では、今は亡き母親イドゥナが少女時代のアナやエルサに子守唄を歌うシーンで、親子の絆が伝わってきました。クリステン:イドゥナの子守唄には、親が娘を思う心や、ミステリーの要素など、隠されたメッセージが入っていて、それがエルサにとって、指標となるわ。もしもお母さんが生きていたら、そこに連れていきたいと思っていただろうし、この先、何が起こっても、この子守唄を覚えていてほしいという気持ちで歌ったのだと思う。もし、映画を繰り返し観てもらうと、この歌にすべてのストーリーが入っていることに気づいてもらえるのではないかと。この歌には全体のテーマがあり、道標や記憶、真実など、あらゆる情報が詰め込まれているわ。――では、一番苦労したのは、どの曲になりますか?ロバート:エルサが歌う「みせて、あなたを」かな。――あの曲は、まさにエルサが、自身のアイデンティを知りたいと願う曲ですね。そこも作品のテーマの1つだと思いますが、どういう点が難しかったのでしょうか?ロバート:あの曲を作った時、まだエルサのストーリーが完全にできあがってなかったんだ。もちろん今回は、壮大で複雑なシークエンスになることだけはわかっていたけど。そこでまずは我々が曲の一部を提供して、監督たちがそれに合わせてイメージを作り上げた。それを受けて、我々も曲を修正しなければいけなくて、そのやりとりがかなり繰り返された曲だ。何カ月もかかって完成させたよ。――続いての曲「ずっとかわらないもの」は、アナをはじめ、いろいろなキャラクターがリレー式に歌い上げていきますね。ロバート:実は、最初は別の曲の予定だった。それは、アナがどれだけアレンデールの街を愛していて、すべてのものを失いたくないという気持ちを歌い上げる曲で、そこから、クリストフ、スヴェン、エルサ、オラフを紹介していったら、すごく長くかかってしまった。そこで、全員を紹介できるような曲にしようとして生まれたのがこの曲だ。――確かに、あの曲では、主要キャラクターがフィーチャーされています。ロバート:曲を作る時、「こういうのがいいんじゃない?」と思って最後まで書いたあと、監督たちと話し合い、これではダメだとなって、変更するのはよくあることだ。――そういう意味では監督とのコラボレーションですね。クリステン:その通り。最後のほうでジェニファーとクリス、その他20人くらいのクリエイターたちがLAに集まって、またミーティングを開いたの。クリストフのパートなど、物語上でいろいろな変更があり、この歌は「新しいオープニング的な歌にしたい」という話になった。その時は、すべての物語が決まっていたので、そこを踏まえて、最後に書いたのが「ずっとかわらないもの」だ。――これまですばらしい曲を作られてきましたが、映画のサウンドトラックを手掛ける醍醐味についても聞かせてください。クリステン:やはりLAで最高のミュージシャンたちを迎えたオーケストラで収録できることかしら。それは、音楽に関わる者にとってはたまらない仕事だと思う。――『アナ雪』2作は、お二人のキャリアにとってどういう存在になりましたか?クリステン:私たちのキャリアを作ってくれた作品ね。ロバート:この2作で、いろいろなことを学んだよ。もちろん、妻についてもね(笑)。■プロフィールロバート・ロペス:1975年ニューヨーク州生まれ。クリステン・アンダーソン=ロペス:1972年ニューヨーク州生まれ。夫婦で手がけたTVシリーズ「The Wonder Pets」でエミー賞(08・10)、『アナと雪の女王』(13)では主題歌「レット・イット・ゴー」で第86回アカデミー賞歌曲賞、第57回グラミー賞2部門を夫婦揃って受賞。これによりロバート・ロペスは、エミー(Emmy)賞・グラミー(Grammy)賞・アカデミー(Oscar)賞・トニー(Tony)賞の4つの賞を受賞した12人目の人物となり、10年という最短記録で“EGOT”を達成。2017年の『リメンバー・ミー』の主題歌「リメンバー・ミー」でもアカデミー賞歌曲賞を受賞している
2019年11月30日韓国であの『ライオン・キング』を抑え、初登場第1位を記録、940万人動員を越えた大ヒットサバイバル・パニック映画『EXIT』。この度、主演の実力派俳優チョ・ジョンソクと「少女時代」ユナのインタビューと貴重な撮影風景、オフショットなど満載のメイキング映像が解禁となった。本作で映画初主演を果たしたユナは「チョ・ジョンソクさんのおかげで笑いの絶えない現場でした」と笑顔で語る。実際、解禁となった映像では、撮影の合間にユナとチョ・ジョンソクが笑い合うキュートな姿も多くみられ、「本当に思いやりが深く、最高のパートナーだったと思います」と絶大な信頼を寄せている様子が分かる。また、数々の映画・ドラマや舞台に出演し、その演技力に定評があるチョ・ジョンソクは「この映画を見れば、新しいユナさんの魅力に出会えるでしょう」と太鼓判。さらに、劇中序盤のチョ・ジョンソク演じるヨンナムが母親の古希の祝いに参加し、家族が集まり踊るシーンを「とても楽しかった。本当の家族みたいな感じ」とふり返り、主演の2人をふくむ俳優同士の仲の良さが、この後に迫りくる緊急事態の中でお互いを思いやり、助け合う姿に重なってくる。先日発表された、韓国で権威ある映画賞のひとつである「第40回青龍映画賞」にて作品賞など合計8部門にノミネートされた本作。「涙も笑いも全ての感情を体験できるので、老若男女どんな人でも一緒に楽しんでもらえる映画です」(ユナ)、「今までになかったとてもユニークで愉快なパニックアクション映画!次に何が起こるか予想できません」(チョ・ジョンソク)と語る2人のケミストリーにも注目だ。『EXIT』は11月22日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:EXIT 2019年11月22日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
2019年11月20日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/11/18(月)イラストレーション:高松啓二この週末に公開の作品は19本(ライブビューイングを除く)。全国のシネコンで拡大上映されるのは『アナと雪の女王2』『決算!忠臣蔵』『ゾンビランド:ダブルタップ』の3本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が16本です。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作品をご紹介します。『ゾンビランド:ダブルタップ』ウィルス感染で人類がほとんどゾンビ化したなか、数少ない生き残りたちが、まるでアーケードゲームで遊ぶように敵を倒し、お気楽に、世界を生き抜くという2009年『ゾンビランド』の続編。あれから10年、戦いはまだ続いてます。それどころか、ゾンビが進化、スケールアップし、種類も増加していて……。対する4人は、マッチョな親父タラハシー、ゲームオタクの大学生だったコロンバス、元気な姉妹ウィチタとリトルロック。12歳だった妹の方はさすがに大人っぽくなったな、と思いますが、あとの3人はほぼ同じキャラ。相変わらず生き残るためのルールを几帳面に考え、実践しています。“ルール2:ゾンビは2度撃ちして(ダブルタップ)止めを刺せ”、とか。前作で32あったルールは、その後の学習の成果で、どんどん書き加えられていきます。最初の、コロムビア映画のトレードマーク、自由の女神をまず茶化すところから始まって、廃墟と化したホワイトハウス、プレスリー博物館など、舞台は選びたい放題。ゾンビもT-800と呼ばれるターミネーター風だったり、IQが高いのはホーキングとよばれたり、全篇ポップに遊びまくります。あ、前作で確か死んだはずのビル・マーレイも……。ウィチタ役のエマ・ストーンは前作のあと、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、タラハシー役のウディ・ハレルソンは『スリー・ビルボード』で評価され、メインキャスト4人はすっかりビッグネームになったのですが、こういうおバカさん映画だからと気を抜いていません。面白かったあ、と映画館を出て、後に頭に残らない、これは万人向きサタデー・ナイト・ムービー、最高です。『決算!忠臣蔵』大石内蔵助というのは几帳面なひとで、赤穂藩が取り潰しにあったあとの収支をきちんと帳簿につけていたそうで。それをもとに忠臣蔵を金銭面から捉え直す、いわば学術的な新書『「忠臣蔵」の決算書』が原作。なるほどこれは新しい切り口です。『殿、利息でござる!』の中村義洋監督が大胆に脚本化し、時代劇映画にしました。『ゾンビランド』では、生き残りのルールが画面に都度書き出されますが、この映画は、あらゆることを現代の金額に換算して、画面表示します。人が動けばお金がかかるんです。江戸と京都の行き来は現代でいうと海外旅行並みです。これをあまり頻繁にやられると、大石でなくとも、おいおい、目的はともかく、もう少し倹約できんものかと思ったりします。討ち入りだって、陣太鼓がいくらで、はしごにいくら。あの装束も、実は…、これは映画を観てのお楽しみにしますが、説得力あります。大石役は兵庫県出身の堤真一。しぶちんな勘定方役が岡村隆史。みな赤穂藩のお侍、セリフは関西弁で話します。「討ち入り、やめとこか!」「そんな予算、ありまへんで」といった感じ。製作の中心は松竹、そして吉本興業でっせ。『テルアビブ・オン・ファイア』対立するパレスチナとイスラエル、日本の我々にとっては、常に角突き合わせて暮らしているようなイメージですが、ふたつの民族が重なり合って生活するエルサレムはもう少しデリケートです。この映画の主人公サラームは、現代のエルサレムに住むパレスチナ人で、パレスチナ・ドラマ制作の現場で働いています。行き帰りにはイスラエルの検問所を通らなければなりません。この検問所が映画の重要な舞台なのです。スタジオでは『テルアビブ・オン・ファイア』というドラマを制作中。時代設定は1967年、イスラエル軍の将軍から戦争計画を探るパレスチナの女スパイものです。このドラマはアラブではもちろん、ユダヤ人社会でも大人気です。ある日、サラームは検問にひっかかっり、司令官の取り調べを受け、あのドラマの脚本を書いている、とウソをついてしまいます。実は、司令官の妻をはじめ家族中がこのドラマのファン。俺ならこういうストーリーにすると言いだされてしまい……。この司令官、アラブ料理のフムス好き。そんな風に、この地域、いろいろ嗜好がまざりあっているのです。監督はイスラエル在住のパレスチナ人、サメフ・ゾアビ。イスラエルの他にフランスなど3カ国が加わった合作映画。民族間のギャップや、戦争をも笑いとばしています。複雑な環境に生きる映画人の、ぎりぎりの皮肉、ユーモアが魅力です。2018年のヴェネチア国際映画祭で作品賞を受賞した傑作です。関東は、11/22(金)からシネマカリテほかで公開。中部は、11/30(土)から名演小劇場で公開。関西は、1/31(金)からシネ・リーブル梅田で公開。『EXIT イグジット』韓国映画、940万人を動員したこの夏の大ヒット作です。ロッククライミング・アクションときいていましたが、ビルの壁をよじ登るパニック映画とは思いませんでした。主人公のヨンナムは大学の山岳部出身。ボルダリングも得意です。高層ビル群のなかにある宴会場で開いた母の古希祝いのパーティが終了間近、という時、何者かによる有毒ガス大量噴出事件に遭遇します。少しずつそのガスが上昇をはじめ、あたりに蔓延、ビルにいる人々は屋上へ避難します。救助に手間取るなか、家族と招待客はなんとか避難できましたが、ヨンナムと、会場の副支配人ウィジュだけが取り残されてしまいます。実はこのふたり、山岳部の先輩後輩。この宴会場を選んだのもウィジュに未だ想いをよせるヨンナムのアイデアでした。ロープと松ヤニがわりのチョーク、カラビナを頼りに、ビルを壁づたいに逃げまくるふたり。なるほど、ここで山岳部で養ったロッククライミングの技術が役に立つというわけです。トム・クルーズのアクション映画ならビルとビルの間もひとっとびですが、この映画のように、10センチずつおっかなびっくりが現実でしょう。その辺のリアル感がたまりません。ネット社会らしく、いろいろな機器もリアルな面白い使い方で出てきます。ヨンナム役はチョ・ジョンソク、ウィジュ役が「少女時代」のユナです。このユナの運動神経というかアクション・アクトレスぶりがすばらしい。かわいいだけじゃありません。の
2019年11月18日今回、ご紹介する作品は、時代を超えて高い人気を誇る伝説のアニメを同名タイトルで実写映画化した『地獄少女』。本作で主人公の地獄少女・閻魔(えんま)あい役の玉城ティナさんと、彼女と対峙するアーティスト・魔鬼(まき)役の藤田富さんにお話をうかがいました。写真・大内香織 文・田嶋真理 スタイリスト・丸山佑香(まきうらオフィス/玉城ティナさん) 椎名 倉平(藤田富さん) ヘアメイク・今井貴子(玉城ティナさん) 髙橋亮(藤田富さん)【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 51「細かい部分までこだわって、役にアプローチしました」『地獄少女』は、2005年からオリジナルのテレビアニメが放送を開始。その後、コミックや小説、2.5次元舞台、ゲームと幅広いジャンルへ進出し、ファンを増やしてきた人気シリーズです。本作にはさまざまな依頼人が登場。怨みを抱く人間を地獄に送るため、地獄少女・閻魔あいと契約しますが、その代償として依頼人も死後は地獄に流されてしまいます。実写映画版を手掛けたのは、映画『貞子vs伽椰子』『不能犯』などで知られる鬼才、白石晃士監督。原作の設定を活かしつつ、映画オリジナルのエピソードで展開する脚本を自ら書き上げ、魅惑的なダークファンタジーを完成させています。白石監督が閻魔あい役として、「彼女なら絶対いける」と太鼓判を押したのは、モデル、女優として大活躍中の玉城ティナさん。白石監督と玉城さんが、目線や立ち位置、立ち振る舞いのスピード、髪型などのルックにこだわり抜いた実写映画版・閻魔あいは、必見です。閻魔あいと対峙する、独自の世界観を持つアーティスト・魔鬼役には、『仮面ライダーアマゾンズ』でブレイクした藤田富さん。魔鬼の名義で参加した映画オリジナルソングを集めたCDも話題を集めています。ーー閻魔あいを演じるうえで地獄からきた感を出すように心掛けたそうですね。具体的には、役作りとしてどのようなことを?玉城さん 閻魔あいは、独特なキャラクターです。目線ひとつとってもすごく重要でした。例えば、彼女が依頼人と話すとき、通告するのみで対話はしません。ですから、セリフを話す間は瞬きをせず、相手と視線を合わせないように心掛けました。ほかにも立ち姿や、大きく息を吸って肩が上下しないように呼吸の仕方にも気をつけ、細かい部分までこだわって、役にアプローチしました。ーー女優魂ですね!藤田さん すごい!ーー藤田さんは、魔鬼の役作りとしてどのようなことを?藤田さん バンドメンバーを演じた方々と実際にスタジオでバンド練習をしたんです。実践的な練習を重ねるうちに、アーティストとしての感情が自然と芽生えてきました。僕は魔鬼のようなナルシストではないのですが、ナルシストはすごく演じやすかったです(笑)。ーー撮影現場で印象に残ったことは?藤田さん 一見すると、CGを多用していると思われるかもしれませんが、映像の色合いや雰囲気は現場スタッフの努力で作ったものが多くて。僕は、赤の照明がとても印象に残っています。玉城さん 私は閻魔あいとして君臨している設定のため、ほかのキャラクターと一緒に演じるシーンが限られていて。ひとりのお芝居が多かったんです。撮影現場では、藤田さんが支度をされている姿を遠くから眺めているような感じでした(笑)。藤田さん 共演シーンは、とても緊張感あふれる内容でした。僕はビクビクしているほうが良いかなと思いました。玉城さんからは殺気が出ていたのかもしれませんが(笑)。玉城さん 殺気は出していませんが(笑)、こうして取材でお会いするほうが話しやすいですね。撮影現場の藤田さんは、たくさんお話をされている、ムードメーカーの印象がありました。藤田さん そうですか!? こういう役なので、おとなしめにしていたのですが(笑)。ーー藤田さんには、魔鬼に心酔する少女・遥を相手に、セクシーなキス・シーンがありました。藤田さん あのシーンはとても難しかったです。愛情のキスではなく、遥の信頼を得て利用するための、策略的なキスでしたから。しかも早朝の撮影で、気がつけば終わっていたという感覚でした(笑)。ーー閻魔あいと対決するシーンは、いかがでしたか?玉城さん 藤田さんがものすごく叫ばれていて。喉がつらそうでした。藤田さん 撮り終わった後は、抜け殻になりました。全力で取り組んだシーンです。玉城さん 体を張っていました。ーー最後に、これから映画をご覧になる方へ見どころをお願いします。玉城さん 私は映画のなかでいろいろな童謡を歌っているんです。藤田さんのバンド音楽ともどもテンポが良く、音楽の魅力が際立った作品に仕上がっていると思います。白石監督と言えば、真っ先にホラー、怖いというイメージが思い浮かぶかもしれませんが、『地獄少女』の物語の背景は、人と人の関係性といった普遍的なものをテーマにしています。ぜひ、観終わったあとに何が残るのかということを体験していただきたいです。藤田さん 原作ファンの方、『地獄少女』を知らない方、ホラーが苦手な方、すべての方に楽しんでいただける作品です。濃密な人間ドラマも描かれています。ご覧になった後は、いろいろな想いがよぎると思います。インタビューのこぼれ話取材現場は、とても和気あいあいとした雰囲気。最後の写真は、玉城さんと藤田さんの遊び心が垣間見えるキュートなカットです。映画『地獄少女』をご覧になった方は、ギャップ萌えしてしまうかも!?Information『地獄少女』11月15日(金)より新宿バルト9ほか全国公開出演:玉城ティナ、橋本マナミ、楽駆、麿赤兒、藤田富ほか配給:ギャガ©地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会
2019年11月11日8歳の少女と愛犬の物語を描いた映画『駅までの道をおしえて』を紹介。誰かと悲しみを分かち合うことで希望を見つけていく出発の物語。演技の世界に、“子どもと動物のお芝居には勝てない”という格言があるそう。『駅までの道をおしえて』は、まさにそんな格言がピッタリ。とってもキュートで健気な子どもと動物たちの演技に思わず目を奪われてしまう感動作です。主人公は、愛犬ルーの死を受け入れることができない、8歳の少女・サヤカ。いつものように、ルーと過ごした場所を訪れていた彼女は、一匹の犬・ルースに導かれ、古びた喫茶店を見つけます。そこで出会ったのは、先立った幼い息子との再会を願いつつ、年を重ねてきた老人・フセ。共に深い喪失感を抱えたふたりは思い出話をするうち、次第に友情を育んでいきます。そんなある日、サヤカは、フセ老人が待ち続けている大切な“何か”を、一緒に探しに行こうと提案。ルースと海に向かったふたりは、不思議な世界へ迷い込み、一生忘れられない経験をすることになります。サヤカを演じるのは、米津玄師がプロデュースした国民的大ヒット曲「パプリカ」を歌うFoorinのメンバーとして大ブレイク中の新津ちせ。この作品で実写映画初主演を果たした彼女ですが、オーディションで役を勝ち取った直後から約1年間、自宅でルーと共同生活を送ったほどの女優魂の持ち主。天真爛漫な表情で、ルーとの特別な絆を体現し、観る者の心を揺さぶります。サヤカの友人となるフセ老人役には、フランスの最高勲章を受賞し、世界が認めるカリスマ演劇人・笈田ヨシ。サヤカの両親を坂井真紀と滝藤賢一、伯父夫婦をマキタスポーツと羽田美智子、祖父母を塩見三省と市毛良枝、フセ老人の秘密を知る医療関係者を柄本明と余貴美子など、実力派キャストたちが勢揃いし、味わい深い演技を披露しています。さらに、有村架純が10年後のサヤカの気持ちを情感豊かなモノローグで表現。誰かと悲しみを分かち合うことで新たな希望を見つけていく、出発の物語を温かく包み込んでいます。ちなみに、この映画の撮影現場で出会ったルーとルースは瞬く間に意気投合。現在は仲良く一緒に暮らしているそう。後日談にまでほっこりしてしまう『駅までの道をおしえて』。映画館で鑑賞の際は、厚手のハンカチを忘れずに!『駅までの道をおしえて』原作は、直木賞作家・伊集院静氏の同名ベストセラー小説。大切な相手を失い、悲しみにくれる人々に訪れる奇跡を描いた感動作。監督/橋本直樹出演/新津ちせ、有村架純、坂井真紀、滝藤賢一、笈田ヨシほか10月18日(金)より全国公開。©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee※『anan』2019年10月23日号より。文・田嶋真理(by anan編集部)池田エライザさんのヘルシービューティのヒミツ
2019年10月17日今夏、韓国で公開され940万人以上を動員する大ヒットとなったサバイバル・パニック映画『EXIT』から、日本版予告編が到着した。W主演の一角を担うのは、ミュージカル俳優として活躍し、青春恋愛映画『建築学概論』や「EXO」のD.O.(ディオ)との共演で話題になった『あの日、兄貴が灯した光』などに出演、『スピード・スクワッドひき逃げ専門捜査班』の日本公開も決まり、“千の顔を持つ男”と言われる実力派俳優チョ・ジョンソク。そしてもう一人は、韓国が誇るNo.1ガールズグループ「少女時代」のメンバーであり、『コンフィデンシャル/共助』の好演で注目を集め、今作で初めて主演を務めるユナ。先日の釜山国際映画祭の開幕式にはW主演の2人と、イ・サングン監督がレッドカーペットに登場し、翌日には野外ステージでトークイベントも開催され話題を呼んだ。主演2人の高い身体能力で盛り上がる予告編解禁今回解禁された日本版予告編では、仕事なし彼女なしのヨンナム(チョ・ジョンソク)が大学時代、山岳部で想いを寄せていた後輩のウィジュ(ユナ)と再会した喜びもつかの間、トラックからガスが大量に噴出し街中の人々を襲う、緊迫した展開へと向かう。ヨンナムとウィジュの元にも危険が迫り、後半ではガスから逃げるために、ハリウッド映画さながらに地上数百mの超高層ビル郡を走り、登り、跳ばなければいけない状況に!チョ・ジョンソクとユナはリアリティを追求するため、撮影の数か月前からロッククライミングや登山技術を学び、スタントチームと共にワイヤーアクションの猛稽古に励んだそう。さらに、本作のもうひとつの重要要素となるのが、高層ビル群の間を上昇してくる有毒ガス。イ・サングン監督とプロダクション・デザインのチームが本物のガスを使用しながら、構造物の中をどのように移動するかを検証し、総力を挙げてリアルさに迫り、主演2人の身体能力と上昇してくるガスにハラハラドキドキが止まらない映像となっている。また、今回ナレーションを担当したのは、日本テレビ系列「世界の果てまでイッテQ!」のナレーションでもお馴染みの立木文彦。“走れ、登れ、跳べ!”と主演2人の動きに合わせたナレーションで予告映像をさらに盛り上げる。併せて解禁となった場面写真は、ガスの蔓延を知り、ビルからどのように逃げるかを考える2人や、高層ビルの上へと逃げるために、それぞれのロッククライミング技術を活かしてビルを登っていくシーン。それぞれの緊張感あふれる表情をとらえている。『EXIT』は11月22日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:EXIT 2019年11月22日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
2019年10月16日あのお店の、あの一品。私たちをきっと満たしてくれる、おいしそう、気になる、食べたい! スイーツをご紹介。3時のおやつの参考に、ぜひどうぞ。今回は、渋谷発のコーヒーショップ「ローステッド コーヒー ラボラトリー(Roasted COFFEE LABORATORY)」と、今年放映45周年を迎えるアニメ『アルプスの少女ハイジ』のコラボレーションフェアに登場する、アルプスの少女ハイジが頬張るパンをモチーフにした黒白パンセットをピックアップ!今日のスイーツvol.46Roasted COFFEE LABORATORY アルプスの少女ハイジの白パン黒パンセット (10月17日〜30日)「アルプスの少女ハイジの白パン黒パンセット(HEIDI’S BREAD SET)」(550円)1974年に日本で始めてアニメ化された『アルプスの少女ハイジ』。2019年1月に続き、第2回目となる今回のコラボレーションでは、ハイジとヨーゼフがコーヒーブレイクを楽しむシーンを表現したコラボビジュアルを起用し、スイーツやドリンクなど計5種類のメニューが登場する。アニメの中でも印象的な、ハイジがパンを頬張るシーン。そんなパンをモチーフにした白パン 黒パンセットは注目メニュー。白パンは、食パン生地に、Roasted COFFEE LABORATORYオリジナルのブレンド豆を練りこんだクリームをイン。黒パンは、お茶炭を練り込んだ生地にミルククリームを。どちらもコーヒーと合う、朝食にはもちろん、一息つきたいおやつの時間におすすめ!展開店舗は、RoastedCOFFEELABORATORY東急東横店にて。また期間中、本コラボメニューの購入で先着600名にオリジナル缶バッジ(非売品)がプレゼントされる。こちらはなくなり次第終了のため欲しい方はお早めに。
2019年10月09日韓国では『ライオン・キング』を抑え、初登場第1位を記録、940万人以上を動員(9/24現在)する大ヒット中のサバイバル・パニック映画『EXIT』が、早くも日本で公開が決定。日本版ポスタービジュアルも到着した。絶体絶命! 決死の緊急脱出――韓国のある都心部、突如原因不明の有毒ガスが蔓延しはじめる。道行く人たちが次々に倒れ、パニックに陥る街。そんな緊急事態になっているとも知らず、70歳になる母親の古希のお祝いをする会場では、無職の青年ヨンナムが、大学時代に想いを寄せていた山岳部の後輩ウィジュとの数年ぶりの再会に心を躍らせていた。しかし、彼らにも上昇してくる有毒ガスの危険が迫っていた。地上数百メートルの高層ビル群を命綱なしで登り、跳び、走る!果たして、2人は無事に街を脱出できるのか。『新感染』の次は『EXIT』!今年、韓国で7月31日に公開されたばかりの本作は、劇場公開前より大規模な試写会を実施し、その評判が拡散、公開後も口コミ効果抜群で今夏大ヒットの話題作。日本での大ヒットも記憶に新しい『新感染 ファイナル・エクスプレス』では、新幹線の車中、追ってくるゾンビから逃れる人々が描かれたが、本作では上昇してくる有毒ガスに追われ、生き延びるためには高く登り続けなければならないという究極のサバイバルが展開していく。ポスタービジュアル公開命綱なしで地上数百メートルの高層ビル群を走り抜ける主人公2人の奮闘に、ハラハラ、ドキドキさせられること必至の本作。到着したポスタービジュアルでは、高層ビル群を舞台に、どんどん上昇してくる白いガスに追われる2人が映し出されている。主演を務めたのは、『建築学概論』やミュージカル俳優としても活躍、“千の顔を持つ男”と言われるチョ・ジョンソク、さらに『コンフィデンシャル/共助』で映画デビューを果たし、本作が映画初主演となる「少女時代」ユナ。チョ・ジョンソクは無職の青年ヨンナムを、ユナは山岳部の後輩ウィジュを演じている。『EXIT』は11月22日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2019年10月02日駆け出しの脚本家・甲斐千尋は気鋭の映画監督・長谷部香から脚本の題材の相談を受ける。それは、千尋の少女時代に故郷で起きた一家殺人事件についてだった――湊かなえさんの新作『落日』は、創作というテーマとミステリーが絡み合う、読み応え満点の長編だ。凄惨な事件を映画化しようとする監督と脚本家が見つける真実とは。「私はよく、編集者から一言投げてもらって、そこから話を作るんです。今回は、版元の社長から“裁判”、担当編集者から“映画”という言葉をいただき、なら裁判シーンのある映画を作る話にしようと思いました」(湊かなえさん)なんとも意外な出発点だが、「自分の小説が映像化された時、みんな同じ方向を見ているようで、ちょっとずつ違うんだなと気づいたことがあって。それで、監督は真実を知りたいという人物、千尋は自分の見たいものだけを見たいという人物にして、それぞれなぜその気持ちが強いのかを考えていきました」実は香は一時期、その街でのちに殺される一家の隣に住んでいたことがある。香が真相を知りたがる一方、千尋は事件にさほど思い入れがない。「自分の身近で事件が起きたといえば、いろんな情報を知っていると思われがち。でもそうとは限らない。田舎での事件の伝わり方やとらえ方の違いも書きたかったところです」少しずつ調べを進めていく千尋たちにも、実は複雑な過去がある。それが少しずつひもとかれ、二人の創作に対する姿勢や事件との関連も浮かび上がる。この有機的な繋げ方が、まさに手練れの技。また、本作のために、はじめて裁判を傍聴したとか。「ドラマのように真実がさらけだされるのかと思ったら、実際には報告会のよう。加害者の本当の気持ちは、本人が語らない限り誰も知りえない。そこを考える役割を果たすのが、映画や小説なのかなと思いました」事件の真相が見えてきた時、2人の女性の胸によぎるのは、絶望ではない。『落日』というタイトルは最初から頭にあったという。「私は舞台『屋根の上のヴァイオリン弾き』の劇中歌の<サンライズ・サンセット>が好きで。日が昇って日が沈む、人の営みはその繰り返しだという歌です。再生に繋がる一日の終わりもあるんじゃないかと思ってこのタイトルにしました」そう、本作は胸を熱くさせられる、再生の物語なのだ。湊かなえ『落日』かつて小さな町で起きた、兄が両親と妹を殺した事件。真相を知ろうと調べ始めた監督と脚本家は、やがて自分自身の人生と向き合う。角川春樹事務所1600円みなと・かなえ1973年生まれ。2007年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞、同作収録の『告白』が話題に。以降ヒットメーカーとして活躍。‘16年には『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。※『anan』2019年10月2日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年10月01日イランの少女更生施設を舞台に、強盗、殺人、薬物、売春といった罪を犯した少女たちに迫り、第66回ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞を受賞したドキュメンタリー映画『少女は夜明けに夢をみる』から、予告編が解禁となった。イランを代表するドキュメンタリー作家で、小津安二郎、アッバス・キアロスタミ、ロベール・ブレッソンの作品群から映画を学んだというメヘルダード・オスコウイ監督が、撮影許可に7年もの歳月をかけて完成させた本作。予告編では更生施設で過ごす、ときに無邪気な少女たちの姿とともに、彼女たちが犯した罪についてのインタビューカットが連なっていく。世界30か国以上の映画祭で上映され、多くの賞を受賞した本作には、世界中の少女たちが経験し、抱えている本源的な“痛み”が描かれている。少女たちはなぜ罪を犯さなければならなかったのか?家族に裏切られ、社会に絶望してもなお、家族の愛を求め、社会で生きていかざるをえない少女たち。「見えない存在(インビジブルピープル)」として疎外されてきた少女たちとオスコウイ監督が築き上げた強固な信頼関係と親密な時間から生まれたドキュメンタリーとなっている。あらすじ雪が黒い土や建物を覆う、クリスマス前の少女更生施設。雪が降り積もり、無邪気に雪合戦に興じる、あどけない少女たち。その表情は、ここが高い塀に囲まれ、厳重な管理下におかれた更生施設であることを感じさせないほど瑞々しい。やがて少女たちが施設に入ることになった背景が、彼女たち自身の言葉によって、解き明かされていく。むごい虐待に耐えかねて父親を殺してしまった少女。叔父の性的虐待からのがれて、家出をし、生きるために犯罪を繰り返す少女。幼くして母となり、その夫に強要され、ドラッグの売人となった少女…。義父や叔父による性的虐待にさいなまれ、あるいはクスリよって崩壊した家庭は、少女たちにとって安息の場所ではありえない。ストリートにも家庭にも自らの居場所がない少女たち。その心の嗚咽が問いかける。少女たちの罪の深さと、人間の罪深さとを――。『少女は夜明けに夢をみる』は11月2日(土)より岩波ホールほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年09月28日染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏ら日本映画界の実力派が夢の競演を果たす『最初の晩餐』。本日8月31日(土)は、戸田さんの“少女時代”を演じ、大ヒット中の『天気の子』のヒロインとしても注目度上昇中の若手女優・森七菜の18歳の誕生日!岩井俊二、行定勲、新海誠など、世界が認めた映画監督たちも熱い視線を送る森さんの未公開場面写真が解禁された。戸田さんが演じる主人公・麟太郎(染谷将太)の姉・美也子の少女時代を演じているのが、森七菜。森さんといえば、岩井俊二、行定勲、園子温、新海誠など、世界が認める映画監督らの作品に関わり、TVドラマ「3年A組ー今からみなさんは、人質ですー」「獣になれない私たち」、映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』などにも出演してきた、いま最も注目される女優のひとり。本作『最初の晩餐』では、父親の再婚に心揺れる美也子の小学生から高校生までを演じている。解禁された場面写真では、父と美也子と弟の麟太郎の3人家族に、新しい母と連れ子のシュンがやってきたことで「つんつん」と反抗的になっている小学生時代の美也子、新しい家族との距離感を縮めていくきっかけの料理・味噌汁を飲む姿、そして高校生になった美也子がロングヘアをハーフアップし、制服を着こなしている姿が収められている。オーディション現場で「“この子だ!”」と大抜擢常盤司郎監督は、森さんのキャスティングについて「会った時にこの作品に対する覚悟を感じ、“この子だ!”と、決意しました。ナチュラルな空気感や集中力など大きく惹かれるものがありました」と、オーディション現場で出会い、彼女の強い存在感に気づいたことを告白。「今作では、小学生時代の美也子、高校生時代の美也子という役柄なので、(他のキャストに比べ)森さんと一緒に役作りをする時間が長ったです。ぶらぶらと学校周辺を歩いてみたり、ランドセルを背負って違和感がないか確認してみたり、小学生の時に撮影していた動画を家から持ってきてもらい、当時の彼女の喋り方をみながら一緒に研究していきました」と語り、美也子を作り上げるために努力を惜しまない森さんとの取り組みもアピール。強い存在感と輝きを放つ、ネクストブレイク必至の森さんに注目してほしい。『最初の晩餐』は11月1日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年08月31日「『なつぞら』の収録で、初めて山田家のセットに入った瞬間、開拓移民で貧しい生活なんですが、あれ、この場所、どこかで見たことあると思ったんです。囲炉裏があって、むしろが敷いてあって、土間があって……『あ、おしんの家だ!』って。雰囲気が似ていたんですね。また朝ドラの現場に帰ってきたんだなぁと、ひとり、懐かしさに浸っていました」女優の小林綾子さん(47)は、現在、放送中のNHKの連続テレビ小説『なつぞら』に出演中。広瀬すず演じるヒロイン・なつの初恋の相手である天陽(吉沢亮)の母親・山田タミ役を演じている。節目となる朝ドラの100作目で、かつてのヒロインたちが出演していることも話題だが、10歳にして『おしん』で主演をつとめた小林さんにとっては、36年ぶりの朝ドラ復帰作となった。くしくも現在、NHK BSプレミアムでは毎朝、『おしん』と『なつぞら』が続けて放送されている。「再放送で初めて『おしん』を見たという方からも、『おしんちゃん、どうなるの』といった感想をたくさんいただいています」『おしん』人気再来を裏付けるように、再放送にして総集編も何度も放送されているのに加え、8月13日には『アナザーストーリーズ』(NHK BSプレミアム)でおしん特集が組まれたばかりだ。『おしん』は、’83年に放送された朝ドラ31作目。橋田壽賀子さん(94)のオリジナル脚本で、ヒロインは明治、大正、昭和を幾多の困難を乗り越えながら生き抜いた山形の貧しい小作農の娘・谷村しん。小林綾子、田中裕子、乙羽信子の3人がリレー形式でヒロインを演じ、少女時代が小林さんだった。平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%は、いまだ破られていないドラマ史上最高視聴率の金字塔だ。「おしんドローム」なる流行語を生み出した番組は国内で社会現象となっただけでなく、世界73の国と地域で放送され、イランでは最高視聴率90%を超えた。『おしん』の放送終了後は、天才子役といわれながらも、語学留学をしたり、その後も私生活では結婚と離婚を経験した。「おしんを演じたあと、いろいろな苦難を乗り越えてこられたのは、私の原点に『おしん』があったからです」小林さんは1972年8月11日生まれ。東京都練馬区の出身。クラシックバレエがやりたくて、東映の児童劇団に入ったのが5歳。『おしん』のオーディションは10歳で、100人を超える少女の中から大抜擢された。「すぐに6冊の台本と方言テープを渡され、まず母が台本の漢字にフリガナを書いて、それから毎日、登校前と下校後に母と向き合ってセリフの練習を繰り返しました」橋田さんの脚本といえば長ゼリフで有名だが、撮影初日までに自分の分だけでなく相手のセリフまで暗記し、山形弁も完全にマスターして周囲を驚嘆させたという。撮影は’83年1月、厳冬の山形ロケからスタート。NHK開局30周年の記念番組で、通常の朝ドラの倍の1年間の放送も決まっており、なんとしても成功させようと、現場は気迫に満ちていた。「最初が、いかだで最上川を下って奉公に出るシーンでした。スタッフだけで80人以上、地方の協力者など合わせて100人単位の方がいらっしゃいました。川上にあるクレーン車からロープが伸びて、いかだが流されないようつながっていて。そのロープもみんなで懸命に引っ張りながらで、カメラマンさんは腰まで水につかっている。ああ、ひとつのシーンを作り上げるというのはこういうことなんだと、子供心に身の引き締まる思いでした」脱走兵の俊作(中村雅俊)との山小屋でのシーンも心に刻まれている。「積雪が胸まであるほどの雪道を30分かけて山の上まで登るんです。その道も、スタッフさんが、まだ暗いうちからラッセル(除雪)して作ってくれました。撮影して戻って昼食の豚汁を食べたら、また30分登る。だから、あの赤いほっぺは、メークじゃなく自然なものなんです」’83年4月、『おしん』の放送が始まると、直後から、小林さんはけなげな国民的ヒロインとして、あっというまに人気子役となる。番組も“お化け視聴率”をたたき出すようになった。「ゴールデンウイークのころには、町をあるいていて、『おしんちゃん、寒かったでしょう』『ちゃんと食べてる?』などと声をかけられるようになっていました。局のほうにも、『おしんちゃんに食べさせて』と米1俵が送られてきたり、なかには現金もあったそうです」1年間の放送が終わるころ、『おしん』はまさに社会現象となっており、小林さんの事務所にも仕事のオファーの電話が殺到した。「もともとバレエをやりたくて児童劇団に入ったように、女優になりたかったわけでもないので、収録後はまた普通の、体育と図工が好きな(笑)小学生に戻っていました。お仕事は少しずつ続けていましたが、ドラマなども、夏休みや冬休みを利用して収録することが多かったです」学業優先とはいえ、仕事を続けていくなかで、おしんのイメージから脱却するまでの苦労はなかったのだろうか。「よく聞かれますが、あまり深刻に考えないタイプです(笑)。いただいた仕事を一生懸命にこなしていくだけでした。“おしんを脱却”より、おしんがあったから、仕事ができていると思っていました。地元の中学・高校に進んでも、将来は先生かCA(キャビンアテンダント)になれたらいいな、くらいに考えていました」『なつぞら』のセットに立って思い出すのは、やはり『おしん』での日々。「なつの家族はじめ、私たち山田家も、みんなで北海道の荒れ地を開墾するシーンは大がかりで、あの最上川のいかだのシーンを思い出しました。ここでも、衣装はもちろん、履物ひとつにしても、考え抜かれて用意されていたり」改めて、目にする小道具が、耳にするセリフが、すべて学びとなっていたことを実感する。「撮影中、私は学校に通えないときもありましたが、『おしん』の現場で、いろんな社会勉強をさせてもらっていたんですね。台本に『箱膳を持ってくる』とあって、何だろうと思って現場に行くと、箱の中に食器が入っていて、ひっくり返すと1人分の食卓になる。ああ、昔の日本にはこんな生活習慣もあったんだと、教科書にはないことを知ったり。そして、多くのセリフからも学びました。中村雅俊さん演じる俊作あんちゃんの『いろんな理不尽も世の中にはあるだろうが、自分を主張するだけでなく、人を許してあげることも大事。つらく当たる相手にも、いろいろあるんだ』という言葉などは、その後の私自身の生きる指針にもなりました」
2019年08月31日“おしん”役として10歳で飛び込んだ「朝ドラ」の現場は過酷だった。厳冬の山形の最上川でいかだに乗るシーン。胸まで積雪がある雪道を山の上まで登るシーン。命がけの現場でプロ意識をたたきこまれた。小林綾子のけなげな演技は感動を呼び、最高視聴率62.9%。海外でもイランで視聴率90%を記録するなど大ブームに。その後、留学や離婚を経て役者を続け、今年、100作目の『なつぞら』で朝ドラに戻ってきた――。「『なつぞら』の収録で、初めて山田家のセットに入った瞬間、開拓移民で貧しい生活なんですが、あれ、この場所、どこかで見たことあると思ったんです。囲炉裏があって、むしろが敷いてあって、土間があって……『あ、おしんの家だ!』って。雰囲気が似ていたんですね。また朝ドラの現場に帰ってきたんだなぁと、ひとり、懐かしさに浸っていました」女優の小林綾子さん(47)は、現在、放送中のNHKの連続テレビ小説『なつぞら』に出演中。広瀬すず演じるヒロイン・なつの初恋の相手である天陽(吉沢亮)の母親・山田タミ役を演じている。節目となる朝ドラの100作目で、かつてのヒロインたちが出演していることも話題だが、10歳にして『おしん』で主演をつとめた小林さんにとっては、36年ぶりの朝ドラ復帰作となった。くしくも現在、NHK BSプレミアムでは毎朝、『おしん』と『なつぞら』が続けて放送されている。「再放送で初めて『おしん』を見たという方からも、『おしんちゃん、どうなるの』といった感想をたくさんいただいています」『おしん』人気再来を裏付けるように、再放送にして総集編も何度も放送されているのに加え、8月13日には『アナザーストーリーズ』(NHK BSプレミアム)でおしん特集が組まれたばかりだ。『おしん』は、’83年に放送された朝ドラ31作目。橋田壽賀子さん(94)のオリジナル脚本で、ヒロインは明治、大正、昭和を幾多の困難を乗り越えながら生き抜いた山形の貧しい小作農の娘・谷村しん。小林綾子、田中裕子、乙羽信子の3人がリレー形式でヒロインを演じ、少女時代が小林さんだった。平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%は、いまだ破られていないドラマ史上最高視聴率の金字塔だ。「おしんドローム」なる流行語を生み出した番組は国内で社会現象となっただけでなく、世界73の国と地域で放送され、イランでは最高視聴率90%を超えた。「いつか、朝ドラで母親役を演じてみたい」映像作品や舞台で活躍しながら、40歳を超えたころから、そう語っていた小林さん。「いつか朝ドラの現場に帰りたいという思いは、正直、ずっとありました。私自身、ファンで見続けてもいましたから。きっと、そう願う女優さんは多いと思います。でも、私の場合、たしかに、おしんのイメージが強いですから、使う側も使いにくいだろうなとも思っていたり。ですから、昨年2月に『なつぞら』のオファーをいただいたときは、ああ、やっと朝ドラに帰れるんだ、という思いでした」36年ぶりの朝ドラの現場。出演者の出番が書き込まれた香盤表を見たときには、当時の記憶がよみがえった。「『おしん』では、私は出ずっぱりで、常に自分のところに◯印が付いていました。収録が終わったとき、母が『最初からこんな大変とわかっていたら、お受けしなかったかもしれない』とポロっと言ったのを思い出したり。『なつぞら』では、すずちゃんがその立場。身をもって体験した私としてはやっぱり心配で、『体調、大丈夫?』と聞くと、笑顔で『なんだか私、平気みたいです』って。若さっていいですよね」『おしん』のときとは逆に、若手俳優らを気遣う自分がいる。迷いもあったが、役者を続けてきて、かつての子役がいま、母親を演じるようになっていた。「つくづく、時間がたったんだなぁと思いますね。実生活では母親ではありませんから、その意味でも、芝居の中で子供ができるというのはうれしくて。まして、あんな美しい息子なんて(笑)」小林さんは、子役のとき以来、ずっと大切にしていることがある。「母に、子役時代からずっと言われ続けたのは、『初心を忘れちゃダメよ』ということ。初心とは、私と母にとっては『おしん』での体験です。あの大変な現場を乗り越えて、これから何が起きても、ちょっとやそっとのことじゃ負けないという自信も持てました。今後も、その初心を忘れず、見た人が元気になったり、笑顔になったりするような、心に残る作品に出ていけたらと思います」
2019年08月31日トップスター・明日海(あすみ)りおの退団公演となる宝塚歌劇団花組公演、ミュージカル『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』、レヴューロマン『シャルム!』が、8月23日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇花組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』/三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』チケット情報『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』は、19世紀半ばの大英帝国が舞台。世界初の万国博覧会が大成功を収めたロンドンでは、異国からの珍しい植物が大ブームとなっていた。ある深い霧の夜、植物研究科のハーヴィーは、枯れ果てた屋敷の庭で“青い薔薇の精”エリュと出会い、かつてこの屋敷に住んでいたシャーロットという少女にまつわる話を知ることになる…。人々が現実だと信じている世界と、目に見えない異次元の世界とを交錯させながら描く本作。美しく幻想的な世界観の中で明日海が扮するエリュは、自然界の掟に背いた罪により、霧に包まれた闇の中で孤独に生きる。悲しみの“青色”に染まったエリュは、気高くも寂しげな空気をまとい、50年もの間、シャーロットを思い続ける。人間離れした妖しげな美しさ、愁いを帯びた佇まい、内に秘めた熱い想い…。圧倒的な歌唱力でも魅せ、男役の集大成として、明日海の魅力が存分に引き出された役となっている。シャーロットを演じるのは、本作で大劇場お披露目となるトップ娘役・華優希(はな・ゆうき)。無邪気で愛らしい少女時代から落ち着きのある老年までを演じているが、その演じ分けは目を見張るものがある。また、次期トップスターが発表されている柚香光(ゆずか・れい)は、植物学者のハーヴィー役。唯一精霊たちとコミュニケーションが取れる人間で、最初は彼らの存在に戸惑いながらも、友情を築き上げていく様を丁寧に表現している。第2幕の『シャルム!』は、花と光の都パリの地下都市を舞台に繰り広げられるレヴュー。華優希扮する愛らしい少女に誘われ、若者たちがマンホールの中に足を踏み入れると、そこには豪華絢爛な世界が広がる…。アダルトな雰囲気のプロローグから目くるめくシーンが展開。明日海をはじめとする花組生の色香に目を奪われながら、組子に囲まれサヨナラを思わせる場面、柚香との絡みも印象的な黒燕尾の場面など、ラストステージならではの演出に心を揺さぶられる。公演は9月30日(月)まで宝塚大劇場、10月18日(金)から11月24日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは9月15日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年08月30日ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)のブランド、ヤミーマート(YUMMY MART)が、少女漫画雑誌『りぼん』のマスコット“りぼんちゃん”とコラボレーションしたルームウエアなどのアイテムを、8月21日より発売する。「YMりぼんシャツパジャマ」(4,980円)少女時代、誰もが一度は手にしたことのある少女漫画雑誌『りぼん』を思い出す、乙女心をくすぐるアイテムがラインアップ。「YMりぼんシャツパジャマ」(4,980円)は、りぼんカラーのピンクのシャツパジャマ。コットン100%で起毛しているため、着心地がよく、クーラー冷えしやすい夏にもおすすめ。右ポケットのりぼんちゃんと、カラフルなボタンがポイント。「YMりぼんバスラップセット」(4,980円)かぶるだけの着脱が簡単なパイル地の「YMりぼんバスラップセット」(4,980円)は、ヘアバンド付きでお風呂上りのケアタイムにぴったり。ビーチやプールのお着替えタオルとしてもおすすめ。サイドのカラフルなストリングがかわいい「YMりぼんパンティ」(1,680円)は、ポリエステルをメインに使用した伸び良い2wayトリコットに“I ♥ RIBON”と、『りぼん』への愛を示すメッセージをプリントしたアイテム。「YMりぼんバンドゥセット」(4,980円)この他、カラフルなドット柄のバンドゥタイプのブラセット「YMりぼんバンドゥセット」(4,980円)や、旅行中のランジェリーやコスメを入れるのに最適サイズの「YMりぼんポーチ」(1,980円)もラインアップ。なお販売は、8月21日よりヤミーマート公式通販サイト()とピーチ・ジョン渋谷店にて。渋谷店では、コラボアイテムの購入者へ“りぼんちゃん”ステッカー、コラボアイテムを含む税別5,000円以上購入者へオリジナル扇子がプレゼントされる。いずれもなくなり次第終了となる。
2019年08月15日女優の本仮屋ユイカが、12日(13:00~15:00)に放送されるニッポン放送ホリデースペシャル『本仮屋ユイカ 笑顔のココロエ』のパーソナリティを務めることが決定した。2018年3月まで放送していた同番組が1日限りで復活。本仮屋が愛読する「切なくそして幸せな、タピオカの夢」や「キッチン」の作家・吉本ばななをゲストに迎え、生放送される。番組では、 “いま世間で注目されているもの”を紹介するコーナー「こんなアイテムみっけ」や、本仮屋が注目している音楽をかける「ユイカ’s セレクション」も復活する。また、本仮屋が吉本ばななに対して、作品についてやプライベートについての質問をぶつける。本仮屋は「『よく聴いてました』『寂しいです』という声をかけていただき、私も同じように寂しい気持ちを感じていたので、今回の特番としての復活は本当に本当にうれしいです」とコメント。吉本ばなながゲスト出演することについては、「少女時代から何度も本の中から救っていただいた吉本ばななさんという奇跡にいまだ信じられない気持ちです。この夏、2つも私の夢が叶うという、夢のような時間に、ぜひお付き合いいただけるとうれしいです!」と話した。また、「放送中に皆さんから頂いたメッセージを読んだり、その感想をお伝えできたり、とリスナーの皆さんと同じ時間を過ごせることにとてもワクワクしています! メッセージお待ちしてます!」と呼び掛けた。
2019年08月07日ちゃんみなが20歳になって最初に出したセカンド・フルアルバム『Never Grow Up』について、お話を聞きました。20歳の汚れなきハートを、世界基準の音に乗せて。セカンド・フルアルバム『Never Grow Up』を完成させた、ちゃんみな。今作にも収録されている「Doctor」は海外からも注目を集め、「I’m a Pop」では日・英・韓の3か国語で歌唱するなど、音楽的に攻め続けている。「やっぱり攻めた音楽性の曲を出すと批判的な声も大きくて。でも、その声が大きければ大きいほど、後から絶賛されるっていうルーティンがだんだんわかってきた。インスタに『Doctor』のダンス動画を上げている子がいたり、少女時代のメンバーの子がTikTokで曲を使ってくれたりして海外からSNSのフォロワーが一日に何千人単位で増えていって。筋肉と一緒で、一回壊さないと大きくならないんだなというのは、この1年で痛感しました」そんなちゃんみなは、20歳になって最初に出すアルバムのタイトルを『Never Grow Up』にすると、以前から決めていた。「17~18歳の私がこのタイトルを掲げるには若すぎるし、未熟すぎるなと。なので20歳になった時に『大人になりたくない』と言えるほど経験を積んでおこうと決めたんです。これは昔から大好きなピーターパンの言葉でもあるんですけど、まだ汚れてないこのハートをこの先も持ち続けて、良い意味で子供心を忘れずにいたいという気持ちなんです」10代の頃はコンプレックスやトラウマを赤裸々に歌詞に綴ってきた。20代に突入し第二章の幕開けとなる今作では愛する人と向き合って書いた歌詞が多い。特に「CAFE」や「Can U Love Me」など切ない恋愛ソングが胸を打つ。「私はラップとかしてるから好きな人にも強気でいけそうなイメージがあるじゃないですか(笑)、でも実際は曲でしか言えないんです。恋をすると弱気な自分が顔を出してくる。今作ではそんな自分も出したし、いろんな意味で裸になった感じです」ヌーディかつレインボーカラーをイメージしたジャケット写真が象徴するように、内面を様々な曲調で魅せた。ヒップホップ/R&Bのみならず初めてバンドと制作した「SAD SONG」などロックな曲も入り、バラエティ豊かな仕上がりに。20歳になっても自分らしい道を進む、ちゃんみなのスタンスと覚悟が伝わってくる一枚だ。「音楽を通じて誰かの気持ちを代弁しようとか、共感してほしいとか、一度も思ったことがないです。私はただ自分の経験を曲に焼き付けているだけなので、それを聴いてくれた人がそれぞれに感じてくれたら。でも<ちゃんみなの音楽に救われました>って言われたら嬉しいですよ、その声が私を救っているので。これからも自分が信じた道を直感で進んでいけたらいいなと思っています」2nd Full Album『Never Grow Up』【初回限定盤CD+DVD】¥4,200【通常盤CD】¥3,000進化を遂げたサウンドにピュアな内面を封じ込めた、今のちゃんみなならではの旬な作品。(Warner Music Japan)ちゃんみな2017年2月に「FXXKER」でメジャーデビュー。日本語、韓国語、英語を巧みに操るラッパー/シンガー。幼少期に始めたピアノやバレエで培ったセルフ・プロデュース力とパフォーマンスで多方面から注目を集める。※『anan』2019年8月7日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・馳尾潤子ヘア&メイク・野崎裕子取材、文・上野三樹(by anan編集部)
2019年08月04日少女マンガファン待望の展覧会『萩尾望都ポーの一族展』が東京の松屋銀座ではじまりました。そのオープニングイベントに、萩尾望都先生と元宝塚トップ娘役・仙名彩世さんが出席。おふたりのプチトーク&萩尾先生のミニインタビュー、さらに会場の様子もご紹介!萩尾ワールドにひたれる!【女子的アートナビ】vol. 154デビュー50周年記念『萩尾望都ポーの一族展』では、文学的少女マンガで革命を起こしたマンガ家のひとり、萩尾望都先生の代表作『ポーの一族』シリーズを中心に、人気作品の原画や予告カットなど300点以上を展示。さらにスケッチブックや執筆風景など、普段なかなか目にすることのできない貴重な資料を間近で見ることができます。『ポーの一族』とは、永遠に少年の姿のまま生きながらえていくバンパネラ(吸血鬼)のエドガーが主人公となり、友人のアランとともに旅を続ける物語。1972年から連載されたロングセラーで、2016年には40年ぶりに新作も発表するなど、今なお多くの読者に愛され続けています。また、展示の途中には宝塚歌劇のコーナーも登場。2018年の花組公演『ポーの一族』の華やかな衣装や小道具などが並び、ポーの世界を全身で体感できる夢のような空間になっています。いつのまにか50年…開幕前に開かれたオープニングイベントには、萩尾先生が出席。先生は1969年にデビューし、『ポーの一族』や『トーマの心臓』、『イグアナの娘』など数々の傑作を発表し、2012年には少女マンガ家として初の紫綬褒章を受章。現在も、歴史マンガ『王妃マルゴ』を連載執筆中です。この展覧会をご覧になった萩尾先生は、「イントロダクションでカーテンの向こうに花びらが揺れるような画面が出てきて、あっという間に作品世界に引きずり込まれました」といい、「自分の作品なのに、ちょっとドキドキしてしまい……」と感慨深げ。さらに50年を振り返り、次のように述べました。萩尾先生毎月、毎年締め切りに追われて描いていたら、いつのまにか50年経ちました、という感じで、「50年だよ」といわれて、「私そんなに年をとったの?」と(笑)。でも、まだまだ描きたいものもあるので、もう少しがんばっていきたいと思います。今はわびさびの境地また、改めて50年分の作品を見た感想を問われると、次のようにコメント。萩尾先生昔の絵は頭がでかいな(笑)、と自己批判ばかりですが、それなりに一生懸命描いていたという感じです。昔の絵のほうが線も太く、勢いがありました。だんだん落ち着いてきて、今はちょっとわびさびの境地(笑)。困ったなと思っていますけど、これが寄る年波というものですから、このまま描いていこうと思います。ゲストは、仙名彩世さん!イベントには、元宝塚トップ娘役・仙名彩世さんがゲストとして参加。仙名さんは、2018年の宝塚歌劇団花組公演『ポーの一族』にシーラ・ポーツネル男爵夫人の役で出演されています。展覧会の感想について、仙名さんは「入った瞬間にカーテンがひらっとして『ポーの一族』のシーンが再現されていて……、足を踏み入れた瞬間泣きそうになりました」と感激した様子。さらに、「エドガーとアランの等身大パネルがあったり、舞台の大階段が再現されていたりして、いろいろ思い出しました」と興奮ぎみに語りました。また、『ポーの一族』の魅力については、次のようにコメント。仙名さんキャラクターのひとりひとりがとても生き生きしています。どの人を主役にしても先生は物語が描けると思うくらい、先生はひとりひとりのキャラクターを愛していらっしゃる。ポーをいろいろな角度から勉強させていただきましたが、すごく深いのです。生き続けることの悲しみ、というのは考えたことがなかったので、そういう悲しみもあるのかと感じました。宝塚での作品上演は、萩尾先生も30年ほど切望されていたそうで、「生きていればいいことがある」とうれしそうに話し、「舞台を見たときには、あふれるばかりの愛、台風のような愛に押し寄せられて、ものすごく感激しました」と宝塚愛を語りました。さらに仙名さんは、『ポーの一族』公演時に萩尾先生からプレゼントされたという直筆イラストを披露。「一生の宝物です」と美しすぎる笑顔で話してくれました。先生に直撃!イベント終了後、少しだけ萩尾先生とお話するチャンスがありましたので、ひとつ質問させていただきました。――50年描き続けているなかで、創作の原動力となっているものがありましたら教えてください。萩尾先生私はもともと現実の適応力が非常に低い人間ですので、どうしても異世界とかファンタジー界とか別世界のほうに逃げてしまうのです。だけど異世界に行ったら、そこにもいろいろとおもしろいことがあるので、やはりついそちらのことを書いてしまいます。現実で力強く楽しく生きられれば、それに越したことはないと思うのです。私には現実世界のいろいろな違和感とか不条理さというものが痛いのです。なんとかその痛みをかわしたい、緩和したいという思いがあるので、創作のほうに走っているのだと思います。少女のような笑顔で…1時間ちょっとのイベントを取材しただけですが、萩尾先生ご本人の魅力に圧倒されました。常に穏やかで物腰が柔らかく、たくさんのユーモアを交えながらご自身の50年を振り返り、また宝塚の話をされるときは少女のように目をキラキラさせ、仙名さんとトークを楽しんでいました。最後に、萩尾作品といえば“美少年”ということで、先生に「少女時代に好きだった美少年アイドルはいましたか?」とお聞きしてみたところ、「ウィーン少年合唱団が大好き。幻想の世界から抜け出してきたようなのよね!」と再び少女のような笑顔で答えてくださいました。往年の萩尾ファンも、まだ作品に触れたことがない人も、まずはこの展覧会で先生の生原画に触れてみてください。きっと、作品を読みたくなると思います。会期は8月6日(火)まで。Information会期:~8月6日(火) ※8月4日(日)は19:30まで時間:10:00 ~ 20:00※最終日17:00閉場。入場は閉場の30分前まで。会場:松屋銀座8階イベントスクエア料金:一般 ¥1,000/高校生¥700/中学生¥500/小学生¥300※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。©萩尾望都/小学館©宝塚歌劇団
2019年07月29日映画『駅までの道をおしえて』が、2019年10月18日(金)より全国で公開される。その駅は、ひとりぼっちの2人が信じた小さな奇跡『駅までの道をおしえて』の原作は、伊集院静の同名小説(短編集)。大切な存在を失った少女と喫茶店のマスターは、ひょんなことから出会い、かけがえのない時間を過ごすことになる。心あたたまる交流を通じて、一人の少女の成長を描いていく。主人公サヤカ(新津ちせ・有村架純)学校で孤独を感じていたサヤカを癒し、そして秘密の場所を見つけ親友となった愛犬ルーは電車が好きだった。大人たちはルーはもう戻らないというが、それを信じない。そんな時、同じく大切な存在を失った老人・フセと出会う。交流を通して悲しい現実を乗り越えつつ、前へと進んでいく。少女時代のサヤカを演じるのは、米津玄師プロデュース「パプリカ」を歌う音楽ユニット「Foorin」のメンバー新津ちせ。そして、10年後のサヤカを有村架純が演じ、モノローグを担当する。老人・フセ(笈田ヨシ)サヤカの友人となる老人・フセは喫茶店のマスター。彼もまたサヤカ同様に、心に大きな喪失を抱えていた。サヤカが愛犬ルーの死を認めないことを理解した。演じるのは舞台を中心に活躍する俳優&演出家の笈田ヨシ。ヒロイン・サヤカを見守るキャストたちも豪華。坂井真紀と滝藤賢一はサヤカの両親役、マキタスポーツと羽田美智子が伯父夫婦役、塩見三省と市毛良枝が祖父母役を担当。そのほか、医療関係者に柄本明と余貴美子が演じる。主題歌と劇中歌はコトリンゴ主題歌を担当するのは、『この世界の片隅に』で話題を集めたコトリンゴ。主人公サヤカの背中をそっと押してあげられるイメージで歌い上げている。『駅までの道をおしえて』あらすじ孤独を感じていたサヤカの癒しとなった愛犬ルー。犬は長生きをしても10年程度しか生きられない。周りの大人たちからルーはもう戻ってこないと言われつつも、8歳になるサヤカ(新津ちせ)は、大好きだったルーがきっと帰ってくると待ちつづけている。そんな、サヤカは、ある夏のはじめ1匹の犬に導かれ、喫茶店のマスター・フセ(笈田ヨシ)と出会う。マスターもまた、大きな喪失を抱えていた。別れを受け入れられない2人は、互いのさびしさに寄り添ううちに、思いがけない友情で結ばれていく。『駅までの道をおしえて』公開日:新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開原作:伊集院静「駅までの道をおしえて」監督:橋本直樹脚色:橋本直樹出演:新津ちせ、有村架純、坂井真紀、滝藤賢一、マキタスポーツ、羽田美智子、柄本明、余貴美子、市毛良枝、塩見三省、笈田ヨシ配給・宣伝:キュー・テック
2019年07月26日●『トイ・ストーリー』アフレコ秘話女優・モデルの新木優子が、ディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー4』(7月12日公開)に登場する新キャラクター“ギャビー・ギャビー”の日本語吹き替えで声優に初挑戦した。おもちゃたちと子どもたちが織りなす感動のドラマを描く本作での経験を「すべての作業がすごく新鮮で楽しかった」と振り返る新木に、アフレコの舞台裏、声に抱いていたコンプレックス、演技の楽しさを教わった恩師との出会い、女優としての転機などについて語ってもらった。――アンティークショップで暮らすギャビー・ギャビー役で声優初挑戦となりました。多面的なキャラクターであるギャビー・ギャビーからは、可愛らしさや切ない思いが感じ取れますが、収録ではどんな面を楽しめましたか?私にとっては全てが初めての経験だったので、すべての作業がすごく新鮮で楽しかったんですけど、中でも特に楽しかったのは、自分の声を収録した後にその声が映像とともに流れてくることですね。すごくうれしかったですし、「これが皆様に届く映像になるんだ」と実感できました。自分の声を改めて画と照らし合わせて聞くことによって、より一層、どんな風に表現しようとイメージすることもできました。――以前から声のお仕事もしてみたいとおっしゃってきたかと思います。今回の作品を通じて、自分の声をもっと好きになれたり、自信を持てたといった、ポジティブな変化はありましたか?もともと、普通の人よりも1トーン低い声がコンプレックスではあったんです。でも自分の声を「いいね」と褒めていただけるようになって「自分の声はコンプレックスに思うようなものではないんだな。むしろ、人とは違う強みにしていけたらいいな」と、ずっと思っていました。そうやって褒めていただくことがうれしかったんですけど、今一歩、自分の自信につながるものがなかったんですよね。でも今回、ギャビー・ギャビーを演じ、完成品を見せていただいたことで、自分の声に対して自信が持てるようになったというか、彼女の魅力の一つになれていたのかなと思うことによって、自分の声も受け入れることができたんです。それは今回のお仕事のお陰だなと思っていますね。――ギャビー・ギャビーも、自分の声を出すための「ボイスボックス」がうまく作動しないことが、おもちゃとしてのコンプレックスになっていますよね。そういう意味で、ギャビー・ギャビーに共感できました?共感できる部分はすごくありました。声以外にも、私には細かい部分で女の子らしいコンプレックスがあったりするんです。そういう悩みは人一倍ケアするんですけど、それが逆に楽しかったりもするんですよね。むしろ、悩みがあったからこそプラスの経験をたくさんさせてもらっているなあとも思うんです。ギャビー・ギャビーも後々に気づくけど、コンプレックスをいかに次のステップとして進んでいけるかが大事だと思うので、コンプレックスを活かしてこれからも向上していきたいです。この作品によって自分の声を受け入れることができたので、どんどん強みに変えていけたらいいなと思います。――ギャビー・ギャビーには印象的なシーンがたくさんありますが、新木さんのお気に入りのシーンは?ボニーのためにフォーキーを取り返さなきゃいけないと思い、1人でもやることをやると決めたときに、ウッディとギャビー・ギャビーが話すシーンです。ギャビー・ギャビーの思いがすごく強いこともわかるし、それを聞いているウッディも、ちゃんと心が動かされている感じがあるんですよね。私自身、夢のようなシーンでした。『トイ・ストーリー』の中でしっかりとギャビー・ギャビーの思いを声に乗せて表現できたのかなと思うシーンでもあったので、すごく印象に残っています。――ウッディとの掛け合いは、唐沢寿明さんの声がすでに入っていた状態でしたか?最初に自分の声を合わせたのは、英語版声優のトム・ハンクスさんのお芝居でした。自分の声を入れ終わった後で聞くときに、ウッディの声が唐沢さんの声になっているという感じだったので、リアルなお芝居の間とかは英語版だったので、ちょっと難しい部分はあったんです。でも、照らし合わせるときには唐沢さんの声が入っていたので、すごくイメージしやすかったですし、楽しくやらせていただきました。――本作で声優を務めたことは、女優としてのキャリアにどんな面でプラスになっていくと思いますか?今回挑戦してみて、声だけで表現することがすごく大変だと学べました。今までは映像で出させていただいて、声だけじゃなく、表情や仕草で表現していて、どれだけ助けられていたか、頼りすぎてしまっていたかということをすごく感じましたね。本作を通じて、声に説得力があることはすごく大切なんだなと思いましたし、声のトーンや表現一つで、相手への伝わり方が変わることを実感できたので、この経験を映像でも活かしていきたいなと思いました。●少女時代から大切にしているもの――ボニーやギャビー・ギャビーが出会う子たちも含め、本作では女の子の姿が印象的に描かれています。新木さんは子どもの頃、どんな女の子で、どんなことをして遊んでいましたか?活発でしたね。どちらかというと、中で遊ぶよりも外に出ていました。おままごとよりも、木登りしたり(笑)。割とそういう遊びの方が好きでした。――そんな新木さんが、子どもの頃から大切にし続けているものはありますか?すごく小さい頃に買ってもらった豚のお人形があって、それは今もありますね。――いくつぐらいの時に買ってもらったものなんですか?5歳くらいかなあ。今年で26歳になるんですけど、20年以上もずっとそばにいるんです。――どういうところが気に入っていますか?すごく癒やされるというか…。親豚の上に2匹、子どもがいるんですよね。なぜかそれまでは物を欲しがらなかったらしいんですけど、ある日にお出かけしたときに、珍しく、その人形だけ手放さずに動かなかったらしくて。それくらい、物心ついた頃から安心感があったのかな(笑)。今でも見ると癒やされますし、すごくほっこりします。――『トイ・ストーリー』はシリーズを通じて、観客の子供たちが成長できる物語になっています。新木さんが「大人になったなあ」と実感したエピソードはありますか?すべての感覚が違いますよね。金銭感覚だったり、人間関係も。本作のボニーは、保育園に行っても友達がいなくて葛藤しているんです。そういうのって大人になってもあることですけど、経験を積み重ねていくことによって自分なりに苦じゃない人との距離感を学習していったりする。最初はボニーのように「怖い」と思っていたことを「今思うと、何で怖がっていたんだろう?」と思うようになったのは、すごく大人になったなあと感じます。人との距離感は、小さいときとは全く違うし、学生の時と比べても全然違いますね。あの頃は友達がすべてというか、自分だけじゃなくて周りにいる人たちがすべてでしたけど、今は自分のことをしっかり中心に据えて考えられるようになりました。もちろん、周りの人も大事だけど、自分も大事だと思うようになったのは、すごく大きいかなと思います。●恩師から教わった芝居の楽しさ――新木さんは小学生の頃にスカウトされて芸能界入りし、モデル・女優として活躍されてきました。最初にお芝居の楽しさを実感したのはいつのことでしたか?中学生の頃に、事務所の演技レッスンに通わせていただいていたんです。あの頃はすべてが新鮮で、その時の先生がすごく厳しかったんですけど、一人の役者・女性として扱ってくださる先生だったんです。その時は「怖い」と思っていたけど(笑)、自分の中で「先生がどうやったら楽しんでくれるかな?」「どうやったら先生を驚かせられるかな?」と、頭の中で方向転換していけた時期がありました。レッスンに行く電車の中とかで「今日の演技レッスンでどういう風に先生を面白く思わせよう?」と考えていたときは、すごく楽しかったです。演じる楽しさは、その先生から教えていただけていたかなと思いますね。――その後、様々な作品に出演してきたわけですが、これまでのキャリアを振り返って、ご自身の転機になった出来事や作品は?より一層自分に自信がついたのは『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』ですかね。本当に全く経験がない中で、大御所の先輩の方々とご一緒する機会がありました。その後、すぐに『コード・ブルー』に出させていただいて。『コード・ブルー』でも大先輩の方々とご一緒させていただく機会がありました。それまでも気を抜いていたわけではなかったですけど、より一層気を張って、脇を締めて、しっかり自分の役と向き合わなきゃいけない!という状況に、作品を通して置いていただいていたのが、私の中ではすごく大きかったかなと思います。――ピクサー作品は世界的なコンテンツです。世界的と言えば、先日にはDiorのショーを鑑賞するために、フランスのパリを訪れていましたよね。そういった国際的なお仕事は、どんな面で刺激的なのでしょうか?本当にすごく貴重な経験だなと思います。海外に行くと不思議なことに「なんで自分ってこんなに小さいんだろう」と感じますし、自分の存在がまだまだどれだけ小さいかに気づいて「もっともっと大きくなりたい、ならないといけない!」と、自分が今まで想像もできなかったような自信が漲るんです。それが海外のパワーですね。悩んでいたり、仕事で不安だったり、そういうことも「なんでこんなに不安に思っていたんだろう?」と、海外に行くことによって思考が全く変わるんです。世界のフィルターを通して見ると、自分が思っているよりも自分が悩んでいることはちっぽけで、どれだけ狭い視野の中で不安になったり、落ち込んだりしているんだろうと思えますね。落ち込んでいるときに行くと、すごく元気になるし、元気な時に行くと、より一層「もっと頑張りたい!」「もっと色々なことをしたい!」というポジティブな気持ちになります。もともとそんなに悲観的ではないんですけど、そういう気持ちにさせてくれるので、定期的に行かせていただく機会があることは、すごくありがたいなと思います。とは言っても、お仕事で自信がない時期もあったりするんですよね。そういう時に、どれだけ忙しくても海外のお仕事があると、自分の気持ちをリフレッシュできるし「頑張ろう!」と思えるので、すごく大切ですし、これからもご縁があれば、どんどん海外のお仕事も挑戦させていただきたいですし、頑張りたいなと思っています。■プロフィール新木優子1993年12月15日生まれ。東京都出身。小学生の時にスカウトされたことがきっかけで芸能界入り。2014年から女性ファッション誌『non-no』の専属モデルとして活動中。Diorのコレクションなどにも出席している。『錨を投げろ』(08)で映画初主演、ドラマ『ラブラブエイリアン』(16)で連ドラ初主演。映画では『あのコの、トリコ。』(18)、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(2018)、『悪と仮面のルール』(18)などにも出演。ドラマでは『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(2017)、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(17)、『SUITS/スーツ』(18)、『トレース~科捜研の男~』(19)などに出演してきた。
2019年07月12日“怪物新人”“次世代ライジングスター”と呼ばれるヤン・セジョンが主演する癒し系ラブコメディ「30だけど17です」から、DVD特典映像となるヤン・セジョン、アン・ヒョソプ、シン・ヘソンの和気あいあいとした撮影現場のメイキングの一部が公開された。心を閉ざして人との関わりを持たない冷血漢でありながらも、根は優しくて繊細な主人公ウジンを抜群の演技力で演じ、「ヤン・セジョンでなければウジンは考えられない」と視聴者から絶賛された本作。ヒロインのソリを演じるシン・ヘソンは、親しみやすい愛らしさと卓越した演技力で人々をひきつけてやまないことから“平凡さが個性”と称される実力派。外見は30歳でも中身は17歳というソリを、あるときは天真爛漫に、あるときは繊細に表現して視聴者の共感を呼び、大いに愛された。韓国では放送スタートと同時に同時間帯視聴率トップの座を得ると、最終回まで1位を独走。2018年末に行われたSBS演技大賞では、シン・ヘソンが最優秀演技賞を受賞したほか、ヤン・セジョンが優秀演技賞(共に月火ドラマ部門)、イェ・ジウォンが助演賞、アン・ヒョソプが新人賞、ソリの少女時代を演じたパク・シウンが青少年演技賞を受賞して5冠を達成し、ドラマの人気ぶりを証明した。そんな本作のDVDリリースを記念して、特典映像の中から撮影現場のメイキングの一部が公開。有能な舞台デザイナーであるウジンを演じるヤン・セジョンと、ウジンの甥っこチャンを演じるアン・ヒョソプが、一緒に暮らす家で怪しい物音を聞き、2人で様子をうかがいに行くシーンでは、驚いてヤン・セジョンがアン・ヒョソプに抱きつき“胸に顔を埋め”ながら、動きや見え方を確認していると、「張り付くみたいに」とさらにぴったりくっつくようスタッフからの指示が。また、シン・ヘソン演じるソリが涙をながすシーンでは、「ウジンはかがんでソリの目線に合わせる」「向かせて顔を寄せる」など動きの一つ一つを声に出しながら監督に確認するヤン・セジョン。その後も涙をふく順番を「サッ、サッ」と左右の手を動かしながら1人で確認する姿などもいちいち可愛い。アン・ヒョソプが一気にドリンクを飲み干すシーンでは、量が多くて大変だろうと本番直前に量を減らして調整してあげるヤン・セジョン。まるで本当の甥っことおじさんのような、微笑ましいやり取りにも注目。このほかにも、本作の名シーンや胸キュンシーンのメイキング映像が盛り込まれている。「30だけど17です」DVD-BOX1は発売中、DVD-BOX2は8月2日(金)リリース。<「30だけど17です」リリース情報>TSUTAYA先行でレンタル中DVD-BOX1発売中DVD-BOX28月2日(金)発売各\15,000(税抜)発売・レンタル販売元:PLAN Kエンタテインメントセル販売元:TC エンタテインメント※TSUTAYA TV にて先行配信中(C)SBS(text:cinemacafe.net)
2019年07月09日「7月スタートの連ドラの撮影が始まっていますが、22年ぶりとなる反町隆史(45)と和久井映見(48)の共演も注目されています」(テレビ局関係者)2人が共演するのは7月22日スタートの『リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~』(テレビ東京系)。和久井は反町が演じる弁護士の妻役だという。「’97年に反町と和久井が出演した『バージンロード』(フジテレビ系)は平均視聴率21.4%の大人気ドラマでした。キャリアを積み重ねてきた2人の演技も話題になることでしょう。また和久井は10月から6年ぶりに舞台『不機嫌な女神たちプラス1』にも出演予定です。デビューからすでに31年、48歳という年齢ですが、着実に活躍の場も広げていますね」(前出・テレビ局関係者)舞台が始まる10月は和久井にとってはプライベートでも“節目”にあたる。長男・Aさんが20歳の誕生日を迎えるのだ。俳優・萩原聖人(47)との離婚からすでに16年。親権を勝ち取り、ずっとシングルマザーとして育ててきた一人息子の成人は何よりうれしいことだろう。だが和久井を昔から知るドラマ関係者は言う。「実は息子さんの“進路”のことで悩んでいるそうです。息子さんはいま俳優や声優の勉強をしているのですが、和久井さんとしては芸能界入りには反対しているそうです……」どちらかといえば顔立ちは父・萩原似のAさんは現在、専門学校の2年生。彼を知る学校関係者は次のように語る。「この学校に入学する前は、ミュージカルを学ぶスクールにも通っていたそうです。いわゆる腹式発声もきちんとできていて、歌唱の授業でも先生に褒められていました。Aさんが選択したのは俳優と声優の両方のレッスンを受けられるコース。『両方勉強できるのが気に入っているんだ』と、彼自身も語っていましたが、コースの生徒のなかでも将来を期待されている存在です。2年生にもなると、授業をサボりがちになる生徒も増えてきます。でも彼は毎回真面目に出席していて、真剣に芸能界で生きることを目指しているのです」すでに昨年秋には、オーディションを受け、プロたちにまじって舞台にも出演している。「彼は来年3月に卒業予定。プロを目指す卒業生たちは、芸能プロダクションなどの養成コースに入り、正式契約を狙います」(前出・学校関係者)和久井とAさんの関係は良好だという。前出のドラマ関係者は、次のように語る。「3年前に和久井さんはドラマ『お義父さんと呼ばせて』に出演しました。撮影現場でスタッフが息子の運動会を話題にしたときに、『私ももっと(息子と)いっしょに遊んであげたかったな』と言っていたのが印象的でした。仕事が忙しく、息子さんとの時間が思うようにとれなかったことを残念がっているようでした。寂しい思いをさせないようにと、小さいころからCDはたくさん買ってあげていたそうで、最近は息子さんから借りたりもしているそうです。『息子に借りたCDが良かったから、(そのバンドの)ライブも行きたいんです』とも、言っていました」和久井が掌中の珠のように育ててきたAさん。だがその将来に関しては、母としての強い思いもあるようだ。離婚後から2年後の夕刊紙のインタビューでは、次のようにキッパリ語っていたのだ。《息子を芸能界に入れようとは考えません》「お母さんが結婚と離婚を繰り返すという複雑な少女時代を過ごした和久井さんは、萩原さんとの家庭生活に大きな期待を抱いていたのです。しかし萩原さんはギャンブルで家を空けることも多く、夫婦生活は破綻してしまいました。和久井さんは離婚後、Aさんをいっさい父親に会わせようとしませんでした。それだけ失望が大きかったということでしょう。“息子を芸能界に入れない”という発言も、“息子を元夫のようにはしたくない”という決意からだったと思います」(前出・ドラマ関係者)萩原は俳優としてだけではなくドラマ『冬のソナタ』の吹き替えや、アニメなどで声優としても活躍している。「Aさんがいま勉強しているのも俳優や声優になるための技術です。和久井さんからすれば“会わせなかった父親”に憧れているように見えるわけですから、複雑な気持ちを抱かざるをえないのでしょう」(前出・ドラマ関係者)女優として存在感を増し続ける和久井だが、いまだ“元夫の陰”と闘い続けているようだ。
2019年06月27日「私が、物議をかもしては、WANのアクセス数の増加に貢献しております、理事長の上野千鶴子でございます……フェミニズムは、日本の美しい伝統を破壊し、家族を壊し、少子化を推し進めた戦犯と言われまして、私のような“おひとりさま”は生産性のない非国民でございます(笑)」5月18日午後、京都の同志社大学で開催された女性支援のNPOであるWAN(ウィメンズ・アクション・ネットワーク)の創設10周年記念シンポジウムの冒頭で、挨拶に立った上野千鶴子さん(70)。小柄な体に、いまやトレードマークの真っ赤に染められた髪の毛がよく似合う。毒あり、ユーモアあり、そして問題提起を含む話しぶりで、一瞬にして会場の女性たちのハートをつかんでしまった。日本の女性学やジェンダー研究を牽引し、近年は介護分野のエキスパートとしても知られる。研究のかたわら、ベストセラー『おひとりさまの老後』や、かつてのアグネス論争のように、出版や発言のたびに議論を呼び、論客として、学会だけでなく一般でも有名だ。その上野さんが社会に投げかけた真骨頂ともいうべきスピーチが、この1カ月ほど前にもあった。4月12日に日本武道館で行われた東京大学の入学式。東大名誉教授としてステージに立った上野さんの祝辞が、またも日本中で賛否両論を巻き起こしたのだ。「男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときからかわいいことを期待されます……だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです」女性差別が明らかとなった東京医科大学の不正入試問題や、自ら切り開いてきたフェミニズムの歴史を織り交ぜながらの祝辞は、力強く、こう結ばれた。「フェミニズムは、弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です……。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化をおそれる必要はありません。人間が生きていくところでなら、どこでも生きていけます」話題作を次々と送り出し、論争では“不敗神話”を持ち、学生からは「いつ寝てるの」というワーカホリックぶりを驚嘆される強い女性。そんな上野さんの研究者としての第一歩は、“かわいい”ことを求められた少女時代に、母の姿を見て思った「主婦ってなんだろう?」というシンプルな疑問だった。「父は内科の開業医でした。家庭ではワンマンの亭主関白で実は小心者という、典型的な日本の家父長ですね。それを専業主婦の母が耐えつつ支え、父方の祖母が同居で嫁姑問題もあって。私は、5つ年上の兄と、2つ下の弟にはさまれた一人娘で、ねこっかわいがりされました。いわばペット愛ですね」1948年7月12日、富山県に生まれた上野さん。活発で、超がつくほど好奇心旺盛。夏休みの課題で、家の前の道路に小銭を置いて物陰から人間観察したことも。10歳の正月、父が兄と弟に将来の話をしていたので、上野さんも自分について尋ねた。父は、「チコちゃんは、かわいいお嫁さんになるんだよ」。瞬間、私は期待されないんだ、と疑問が浮かんだ。「えっ、お嫁さんって、お母さんのようになるってこと?これが私の将来だとしたら、あまりに割に合わないと。母は、私たちに『離婚したいけれど、お前たちがいるからできない』と愚痴りました。そうやって自分の現在の不幸の原因を、子どもに負債として背負わせる普通の日本の母でした」中学に上がるころには、疑問はより鮮明になっていた。「おまけに、母と気の強い祖母との同居は35年続きました。でも、私は孫娘として祖母にもかわいがられました。一人ひとりは悪い人でなくても、長男の嫁や姑、家父長という立場にはまると、こうなる。まして母と父は、恋愛結婚でしたからね。だから、自分の夫選びの間違いの責任を誰にも転嫁できない。それで『結婚相手を間違えた』と子どもたちに言い、私はジーッとその様子を見て思った。『お母さん、夫を代えても、あなたの不幸はなくならないよ』。よしっ、私はこの構造にはまらないでおこうというのが、私の女性学の原点です」WANのシンポジウムの翌日の夕刻。京都は鴨川沿いにある中華料理店のテラス席に、上野さんと関西在住の元ゼミ生らが集まり、ミニ同窓会が開かれた。上野さんが定年より2年早く東大を退職したのが’11年3月、翌月にはWAN理事長に就任し、その後も、執筆や講演などで多忙な日々を過ごしており、今日も十数年ぶりの再会という顔ぶれも。かつての研究室でそうだったように、この日も上野さんはぎりぎりまで教え子たちと談笑し、日曜最終の新幹線で帰京。翌日も早朝からスケジュールをこなしたという。「体にいいことは、何もしてません(笑)。温泉とスキーは好き。今年もスキーは40回行きました。仕事場のある八ヶ岳にホームゲレンデがあって、シーズン券をシニア割で利用して、朝8時半のリフトオープン待ちで、1時間滑って、パッと帰るんです」取材の最終のポートレート撮影中も、話は尽きない。「最近よかったのは、#MeToo運動で年長の女たちが、二度と同じ悔しさは若い世代に味わってほしくないと『ごめんなさい』を言いだしたこと。昔は『みっともないこと、やめなはれ』でしょ。長い時間をかけて変化をつくったのは一人ひとりの力。私、いつも若い人が就職したら、『お茶くみ、コピー取りは誰がやってる?』と聞くの。ところで、おたくの編集部はお茶は誰が入れてる?個人個人ね。そう、よかった!」70代を迎えなお好奇心は健在、いや、ますます旺盛だ。
2019年06月17日映画『おしえて!ドクター・ルース』が、2019年8月30日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開。ドクター・ルースとは?1981年のアメリカ・ニューヨーク。日曜日の深夜にラジオから流れるトーク番組「セクシュアリー・スピーキング」に人々は夢中になった。当時、誰も教えてくれなかった性の悩みに、ドイツ訛りの英語でズバリと解決していく女性。それがドクター・ルースであった。以降、評判は全米中を駆け巡り、全国ネットでテレビ番組がスタートするなど、一大ブームを巻き起こしていく。性の話はタブーだった時代に、エイズへの偏見をなくすべく立ち上がり、中絶問題で女性の権利向上を後押し。また、LGBTQの人々にも寄り添ってきた。彼女は現在91歳。アメリカでもっとも有名なセックス・セラピストとして今日も活動している。元スナイパー、3度の結婚...型破りな人生を描いたドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』は、そんなドクター・ルースの人生を描いたドキュメンタリー作品だ。パレスチナでスナイパーを経験し、現在の夫と出会うまで3度の結婚を繰り返すなど、“波乱万丈”とも言える経験を常に笑顔で前を向きながら乗り越えてきた“ドクター・ルース”はいかに誕生したのか。彼女の口から紡ぎ出される“自分らしく生きるヒント”と共に、これまでの彼女の軌跡を追う。ドクター・ルース初のドキュメンタリー映画作品ドキュメンタリーの依頼を断り続けてきたルースにとって、本作は初の映画となる。許諾の理由について、90歳を迎えるにあたり、自身の家族に人生を語り継ぎ、アメリカ社会の性教育においての自分の役割を記録する必要があると感じたという。そんな彼女を見事口説き落としたのが、監督を務めるライアン・ホワイト。ビートルズを支えた元秘書の独白を記録した『愛しのフリーダ』などを手掛けてきた注目のドキュメンタリー監督だ。ストーリー家族をホロコーストで失った少女時代、終戦後はパレスチナでスナイパーとして活動し、女性が学ぶことが難しかった時代に大学で心理学を専攻。アメリカに渡り、シングルマザーとなり娘を育てた。そして、30 歳の時に、3 度目の結婚で最愛の夫フレッドと出会う。自分らしく生きるために学び、恋し、戦い、働く。いつだって笑顔で前を向く“ドクター・ルース”はいかに誕生したのか。【詳細】映画『おしえて!ドクター・ルース』公開日:2019年8月30日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開監督:ライアン・ホワイト出演:ルース・K・ウエストハイマ―配給:ロングライド
2019年06月09日映画『ディリリとパリの時間旅行』が、2019年8月24日(土)恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次ロードショー。ミッシェル・オスロ監督作。ベル・エポック時代の美しいパリを舞台にしたストーリーミッシェル・オスロ監督は、『キリクと魔女』『夜のとばりの物語』を手掛けたことで知られる、フランスアニメーション界の巨匠。そんな彼が最新作で描くのは、美しき時代<ベル・エポック>と呼ばれた、19世紀末から20世紀初頭のパリを舞台にした物語だ。主人公となるのは、ニューカレド ニアからやってきた少女・ディリリ。好奇心と正義に満ち溢れたディリリは、パリで出会った最初の友人オレルとともに、町を騒がす少女たちの誘拐事件の謎を解いていくことに。事件解決に手を貸し出すのは、キュリー夫人やパスツール、ピカソ、マティス、モネ、ロートレック、プルースト、サラ・ベル ナールら、この時代を彩った天才たち。果たして彼らは少女たちを救い出すことができるのか?“黄金時代”のパリの光景が広がる美しいアニメーション本アニメーションの見どころの1つとなるのは、黄金時代のパリを彩る、息をのむほどの美しい風景。夕暮れのヴァンドーム広場、着飾った人々の集うオペラ座、チュイルリー公園や凱旋門…と、アニメーションに広がる美しい景色は、監督自身が約4年間に渡り撮りためたフォトグラフをもとに制作したもの。また黄金が滴り落ちるようなオペラ座の大休憩室の豪奢な輝きは、当時の華やかさをそのままに再現している。キャラクター紹介物語を彩るキャラクターたちを紹介。女性の台頭が著しかった当時の次代背景を取り入れながら、劇中では、それを快く思わない悪者たちによって、虐げられる女性たちの姿も描いているという。ディリリ主人公である黒人の少女。ニューカレドニアからパリ行きの船に忍びこみ、伯爵夫人の助けを得てパリにやってきた。フランス語はルイーズ・ミシェルに学んだ。パリで出会った人の名前をノートにメモしている。オレルディリリが初めてパリで出会った青年。配達人であり、三輪車の名手。たくさんの人と知り合いでパリの街をすみずみまで知りつくしている。エマ・カルヴェベルエポックの時代に最も有名だった実在のフランスのオペラ歌手。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場やロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスに定期的に出演するなど国際的にも活躍した。その美しい歌声は、現代世界最高のオペラ歌手の一人ナタリー・デセイが担当。ヴァン クリーフ&アーペルもサポート幻想的かつ現実性をもった舞台背景の中で、よい雰囲気をより20世紀初頭のパリを豊かに再現。特にファッションやジュエリーでも当時の様子をより深く再現している。ヴァン クリーフ&アーペルはヘリテージ コレクションから2つのジュエリーのイメージを監督に提供。例えば、ソプラノ歌手エマ・カルヴェは、劇中で「コルレット ネックレス」からイメージしたジュエリーを着用している。日本語版吹き替えキャスト映画『ディリリとパリの時間旅行』は、日本語吹き替え版も上映。主人公のディリリを担当するのは、『3月のライオン』『駅までの道をおしえて』出演の人気子役・新津ちせ。またディリリの友達となるオレルは、『去年の冬、きみと別れ』『Diner ダイナー』の斎藤工が務める。音楽にガブリエル・ヤレド音楽は、『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞最優秀作曲賞を受賞したガブリエル・ヤレドが担当。劇中で何度も歌われる「太陽と雨」を始めとする、美しい旋律で物語に彩りを与えていく。【詳細】映画『ディリリとパリの時間旅行』公開日:2019年8月24日(土)監督:ミッシェル・オスロ音楽:ガブリエル・ヤレド声の出演:プリュネル・シャルル=アンブロン エンゾ・ラツィト ナタリー・デセイ日本語版キャスト:新津ちせ、斎藤工2018年/フランス・ベルギー・ドイツ/フランス語/94分
2019年06月06日兄の連れてきた婚約者は…
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