Upload By 楽々かあさんこんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。まずはご報告。うちの「あの」長男が、無謀にも約一年間の自宅学習で中学受験に挑戦し、第一志望の中高一貫校に無事、合格しました!小学校時代、字を書くのが苦手で、ノートもロクに書けなかった長男。漢字は何回書いても覚えられないし、得意なハズの算数もミスばかり。折角やった宿題は提出し忘れ、持ち帰ったテストはくっちゃくちゃ!成績表はC評価の「がんばりましょう」ばっかり…。そんな発達凸凹男子の彼の強い希望が叶ったこと、そして、受験勉強をきっかけに「おれ、勉強好き〜」と、今は言えるようになったことが、私は何より嬉しいんです。今回、親子で一緒に歩んだ日々を振り返りながら、「みんなと同じ」学び方が合わない子や、発達凸凹の差が大きい子が「勉強が好きになる」勉強法…そして、しんどい時期の乗り切り方などを、息子にインタビューを敢行!前・後編の2回に分けて、彼自身の言葉で語ってもらいました(文責・インタビュアー:製造責任者・母)。好きなことを入口にした、ボクの勉強法出典 : かあちゃん(以下、母):まずは、第一志望合格おめでとうございます。長男・◯太郎(以下、長男):Thank you!母:(笑)じゃあ、まずは志望校に合格した、今の素直な気持ちは…?長男:1つは嬉しいという気持ち。もう一つは「勉強大丈夫かなぁ」という不安もある。母:なるほど、中学での勉強に対する不安もあるんだね。第一志望の学校、すごく気に入ってたけど、どういうところが良かったの?長男:教育に新しい方法を取り入れてるトコと、明るい感じがしたこと。あと、おれの好きなカレー屋さんが近くにあったから!母:…いや、確か校則で「買い食い禁止」だから、まっすぐ帰ってネ(汗)。でも、かあちゃんも、小規模校でチャレンジ精神を大事にする校風だし、全校でICT導入済みで、すごくキミの個性にピッタリだと思う。自分に合った学校への希望が叶って、本当に良かった。Upload By 楽々かあさん母:じゃあ、具体的に勉強のことを聞くよ。キミは受験勉強を始めたのが正直かなり遅かったけど、そこからすごくがんばれたし、勉強楽しそうになったよね。「勉強ができるようになった」「楽しくできるようになった」その理由は…?長男:…とにかく歴史が楽しかったから。歴史に興味を持てたのは、かあちゃんが買ってくれたPCゲーム「信長の野望」とかがきっかけで!母:(笑)ソレだね。キミは元々PCゲーム大好きだから、「信長の野望」にすぐハマったよね。自分の好きなことからまず入っていって、そこから他の勉強にも広がっていったね。長男:他の普通のゲームでも、例えば、おれが前から大好きな「マインクラフト」でも、世界遺産の歴史的な建造物を再現して作ったりすれば、それは立派な学習になる。母:なんでも工夫次第で活かせるよね。それに、自分の好きなことや興味のあることだと、結構集中できるかな?長男:うん!母:でも、これだけだとゲームで遊んでるだけになっちゃうでしょ?ただのゲーム好きな子が「もっといろんなことを知りたい」って思えるには何が必要?長男:やっぱり、最初のうちは、興味を持てそうなところからやって…興味の輪を広げる!母:「興味の輪を広げる!」いい表現だね、これ。長男:おれは、歴史で興味を持ったけど、これはあくまで一例だから。例えば、算数の分数が好きな子もいれば、理科の元素記号とかが好きな子もいる。だから、まず自分の好きなことからやる!それで、自分の形に合うものからはめていく。母:ほうほう、ちょっとイメージを図に書いてくれる?Upload By 楽々かあさん長男:それぞれの子でいろんな形と穴があって、自分の持っているピースもそれぞれ違うから。だから、自分の好きなものから、ドンドン順番にはめていって、そして最後に、最初はあんまり興味持てなかったことも、埋めていくっていうか…。母:好きなものが広がると、興味も広がっていくよね。キミの場合は「信長の野望」が入り口で、そこから歴史全体が好きになって…長男:そう、戦国時代から…次が同じ武士つながりで、室町・鎌倉・幕末と明治維新とか、プラス江戸時代とかって感じで、次に日本の地理とか…。最初は1コだった「勉強の拠点」が、どんどん広がっていって…。母:なるほど!「信長の野望」と同じで、自分の拠点が増えて領土が広がっていくんだね。まずは歴史を一国制覇したら、地理でも「信濃川」「越後平野」とか、旧国名に因んだ地名は自然と覚えちゃうし、戦国モノは漢字もいっぱい出てくるもんね。長男:そう、漢字も見慣れる。社会を制覇したら、他のところにも勢力を広げる。母:興味が持てれば、勉強は全然苦にならない?長男:うん。母:でも、やっぱり問題集解いたり、「墾田永年私財法」とか覚えることも必要でしょ?(笑)それも嫌じゃない?長男:うん!興味持てれば!「マインクラフト」公式サイト「信長の野望」30周年記念サイト:GAMECITY(コーエーテクモゲームス)Upload By 楽々かあさん母:あとは「体験する」っていうのが、大事だよね。長男:そう!実際に見て、やってみる!まずは、地元の城とか、近所の郷土資料館とかでもいい。それで、実際に体験したら、思ったことをまとめる。ただ見ただけだと「楽しかった〜」で終わっちゃって、ただの観光になっちゃう。母:じゃあ、更にそれを勉強に活かすにはどうしたらいいの?長男:家族に「こういうところが面白かったんだよ」って話す!これだったら家族も、お土産より喜ぶ。母:人に話すって凄く大事だね、アウトプットするの。長男:そう、ノートに絵を入れて描いたり、家族に話して、外側に自分の考えをまとめる。母:実際に甲冑着てみると「もし戦場に出たら、こんな凄い重いのを着て、素早く動けないな」みたいなことも分かったよね。長男:映画だと、普通に歩けているように見えるけれど、あれはプロだから。それか、軽い素材でできてるのかも。実際の戦国時代で身軽に動けてるのは、相当鍛えてるからだと思う。だから、「実際どうなのか」自分で確かめる。火縄銃の実演見学も、空砲でもあんなにすごい音がしたらねえ…実際の戦場では火薬バンバンつめてさ、もっともっとスッゲー音がすると思う!!(瞳キラキラ)Upload By 楽々かあさん母:ああいう音は、体験しないとわからないね。長男:「どんくらい凄い音なのか」とか、まず行く前に予想立てる。母:おお、いいね。長男:城の天守閣からの景色はどんなか…「めちゃめちゃキレイだろう」みたいな予想。火縄銃の音は「スピーカー音30くらいかな」とか。で、実際見た後で、やっぱり「景色高くて怖かった」とか「スピーカー音50位だった」とか。あと本の図では、城のお堀があんまり深くなさそうだったけど、実際は予想以上にめちゃくちゃ深かったとか。実際に感じたことをまとめるといい。母:感覚が敏感なキミは肌で感じ取るのが得意だろうし、更にそれを人に話すのは、すごく◯太郎に合った勉強法だと思う。自分で体験してみないと分からないことは沢山あるよね。それからキミの場合、実際体験したことは、テストでも結構覚えてられるんじゃない?長男:そう結構覚えてる。本だけだと受験用の勉強はなおさら難しい。YouTubeとかの面白動画だったら、覚えるのはカンタンだけど。母:(笑)。やっぱり「楽しい」と思えるかどうかが大事かな?理科の実験もいろいろやってみたけど、家ですべての実験ができるわけじゃないよネ。長男:例えば爆発の実験とか、危険なのは動画で見る。でも、スチールウール燃やす程度だったら、ウチでスグできる。母:そうだね。スチールウール燃えるの、キレイだったね。あとは、YouTubeで塾の先生とかが、面白く分かりやすい解説動画を沢山UPしてたよね。そういうのも含めて「ひたすら問題集を解く」じゃなくて、自分に合った方法で勉強したのがすごく良かったなと思う。長男:結局、勉強の中で一番大事なのは、「興味の輪」を広げられるか、広げられないか、だとおれは思う。受験勉強中に本当につらかったのは、過去の記憶。出典 : 母:じゃあ逆に、この一年間で一番つらかったことを聞いてもいい?長男:……学校。母:うーん、やっぱりそうかあ。学校の何がつらかったかな?長男:もう、ずーっと前に、他の子に言われたヤなこととか…。母:そうだね。何年も昔のことを、ちょっとしたキッカケで何度も思い出しちゃうんだよね…。かあちゃんも、見ててつらかったけど、勉強してる最中に急にイヤな体験を、よく思い出してたよね…。長男:イヤな体験は「忘れようとしても忘れられない」みたいな、そういうのがある。母:そうだね。特に、受験勉強を始めて最初の三か月くらいは、ヤなことしょっちゅう思い出して、一旦ストップしたり…◯太郎にはつらい時期だったと思う。やっぱり、勉強に興味が持てても、いろいろ気になる事があると、余計に集中力が落ちたり、ミスが増えたり、ぼーっとするのが増えちゃうように思うんだよね。長男:うん…。出典 : 母:でも、多分◯太郎と同じように、学校でイヤなことがあって、勉強に集中できなかったり、「学校行きたくないなあ…」なんて思ってる子は結構いると思うんだけどネ。かあちゃんはネガティブなことも、決して思っちゃダメなワケじゃなくて「そういう時どうしたらいいか」が大事だと思う。キミはどうしてきたっけ?長男:うーん。おれは「スクールカウンセラーの先生に話す」とかした。母:そうだね。スクールカウンセラーの先生と、何度も相談させてもらったよね。長男:思い切って話した。母:そうすると、少しスッキリしたりする?長男:する。母:じゃあ、カウンセラーの先生は、どんなカンジで話を聴いてくれたのかな?長男:フレンドリーに話してくれた。あと、相談しながら一緒に給食食べてくれたし。だから、相談するのは「ちょっと恥ずかしい」とか、「初めてだから、よく分かんない」って利用しない子は多いかもしれないけど、友だちだと思って一回やってみるといいと思う。それでも不安な時は、親にも一緒について行ってもらうとか。母:慣れるまでの最初の何回かは、かあちゃん隣にいたもんね。それだと安心して相談できたかな?家の中だけじゃなくて、学校にも味方がいたのは、キミに取って大きいことだったかな、と思う。長男:そう、そう。一緒に勉強してくれた母と、いつも通りにしてくれた家族。出典 : 母:では、キミが勉強してる時、家族や周りの人が「してくれてよかった、助かったこと」ってある?長男:まず、かあちゃん。ずっと一緒に毎日勉強につき合ってくれてありがとう。母:そっか(照)。一緒にやったこと自体が、よかったんだね。長男:それから、弟と妹ととうちゃん。一緒にゲームしたり、フツーに息抜きしてくれて、今まで通りに接してくれたこと…うん。そしてMy dog は癒し。ぺろぺろしてね、おやつをねだってきてね、カワイイ。母:そうか。他の家族はいつも通りだったのが、かえって気が楽だったかな?長男:うん!それから勉強も、休憩を挟んで、朝・昼・夜に分けて、ちょこちょこやるのがいいと思う。母:まぁ無理しすぎないと言うか…集中できる時間も個人差あるもんね。キミはあんまり、毎日何時間も続けて勉強だと、ちょっと負担が大き過ぎるから「それはやめよう」って思ってた。成長期にしっかり睡眠を取るのも大事だしね。長男:それに、遊ぶのも大切なことだから。おやつ食べたりさ。そういう時間を作る方が、より集中しやすいと思う。母:うん、そうだね。じゃあ一旦、おやつタイムにしよう!(笑)その子に合った学び方なら、できる子は沢山いる…!出典 : この一年間での、自分の学び方に合わせた主体的な勉強は、多感な少年の心も成長させてくれました。そして、例え今、お子さんの学校の成績がイマイチでも、それはその子の本当の「学力」を表しているのではないと思います。「自分に合った学び方なら、勉強ができる子は沢山いる!」…私はそう、心から確信しています。☆次回「後編」では、長男が生意気にも、現在の日本の教育制度について思うことを正直に語ります。お楽しみに〜!大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年04月29日障害者雇用枠で再就職。時短勤務を利用して、無理のない就労に出典 : 私は就労移行施設を利用し、障害者雇用で再就職しました。発達障害の診断のショックなどもあり、前職を離職してから1年が過ぎていました。ASD(自閉症スペクトラム)の障害特性で環境の急な変化が苦手なこともあり、最初の1ヶ月の間は、時短勤務にしてもらいました。これにより、フルタイムで働くという感覚を取り戻しつつ、自分の体調を考慮した就労が可能になりました。ASDである私は、自分の疲れを自覚しにくいといった特性や、人混みや雑踏でのノイズといった過敏によって消耗しやすい特性もあります。そうした特性をあらかじめ想定した上で、時短勤務を希望したのです。ただし、定着支援の支援員から、時短勤務は本来、求人票とは異なる勤務体系であるため、求人票通りに働いて欲しいというのが企業側の本音であると間接的に聞きました。私にとって、1日8時間働くことは、それほど大きな問題には感じませんでした。しかし、時短勤務が終わったらフルタイムで週5日…連日となると少し辛いなと感じました。そこで人事に、週5日のうち1日を自宅などで勤務するリモートワークを認めてもらえないか相談しました。疲れに対して鈍感な私でも、流石に木曜日くらいになると身体がだるいと感じていたからです。その際にエナジードリンクや、滋養強壮剤を飲んで対処していたのですが、どうも身体的な疲労とは異なるような気がしていました。現状、成果に対する評価が難しいリモートワーク出典 : リモートワークができないか?と相談した背景には、会社に来て行う業務が、機密情報を扱うわけでもなく、インターネットに繋がったパソコンと専用のソフトが入っていれば、自宅でも支障なく業務ができると考えたからです。しかし、現状リモートワークには、その成果に対して何時間かけて行ったのか、そもそも8時間ちゃんと働いているのか?など、そうした労務管理の問題や情報漏洩の懸念などから、導入するつもりはないと言われてしまいました。障害者として働いているのは自分のみ。職場で困ることも出典 : この会社では、障害者雇用で就労しているのは私のみという環境でした。また私が入社したのは、去年の冬のことで、2018年春の障害者の法定雇用率の引き上げを視野に入れた採用だったのかなと思います。こうした採用は今後、増えてくると思いますが、周囲が発達障害などの障害者との接し方に慣れているとは限りません。理解が得られにくいとも言える環境で、私が実際に体験した困りごとと、どう対処したのかを振り返ってみたいと思います。出典 : 例えば、イベント会場のリストを作成する仕事では、いくつ項目をピックアップするのかが分からないことがありました。そのことを聞くと、「できるだけ、たくさん」といった指示が返ってきます。そんな時「どのくらい必要か?と具体的な数を聞いているのに、どうして返答がそんなに曖昧なんだ。質問の答えになっていないじゃないか」と苛立ちを感じることがありました。私がここから得た教訓は、定型の人にとって、そもそも曖昧な指示が何なのかが分からないらしいということです。私は、普段から曖昧な指示を具体的に変えてもらうために、次のような表現を使っています。■「〜という理解でよろしいでしょうか?」私は、相手の意図を汲み取ることが苦手で、勝手に判断して仕事を進め、怒られるということがありました。それからは分からないことを分からないまま進めることはせず、確認してから進めるようになりました。■「どうすれば、もっと良くなりますか?」上記のように、方向性が間違っていないことを確認できてから、仕事に取り組みます。進捗を2〜3時間くらいで伝えます。PowerPointなど資料の作成業務は、一通り終えたら、報告して確認してもらいます。そこで「どうすれば、もっと良くなりますか?」あるいは、「他に必要な項目はありますか?」と聞くことで、「この項目が欲しいな」と指示が明確になり、私自身も安心して業務に取り組めました。また、このように聞くことによって、例え仕事が上手くこなせなくても意欲はあるというアピールに繋がるような気がします。このことについては、「質問力」について書かれた書籍も参考にしました。出典 : 私は、ASDであると同時に衝動性が高いタイプのADHDです。「〜すべき」「こうあるべきなのに実際はなっていない」といったことに対して怒りを感じることが多く、つい衝動的に相手にぶつけてしまうことなどが多かったです。例えば、先輩社員のやり方より、自分のやり方の方が効率的だと感じた際には、「(先輩社員の)そのやり方は非効率だ、こうした方が間違いなく効率的だ」と言ってしまいました。入社早々、先輩社員のやり方を真っ向から否定するような表現を直接的かつ衝動的にしてしまったのです。その先輩社員とは、にらみ合いになり、喧嘩になりかねない状況に陥ってしまいました。私は昔から、こうした衝動性の強さから好戦的な部分があるなと感じています。加えて物事を白黒ハッキリさせないと気が済まない性格です。しかし、こうした特性は外見からはわかりません。そのこともあって常識がない、先輩に対する敬意がないなど、そういう風に捉えられてしまうのではないかと思っています。上述の先輩社員とは馬が合わないことが多く、周囲には、またやっているよと見られていました。見かねた別の先輩社員からは、「悪目立ちしているから、今は不満に思っても控えた方がいい。新入社員という立場なんだから」といった指摘を受けたこともあります。■感情をコントロールする練習を現在は、そうした点を反省し、アンガーマネジメントの本を読んだりしています。また主治医にも相談した所、漢方の抑肝散(ヨクカンサン)を勧めて頂き、服用を継続しています。出典 : 障害者雇用の担当者は1人で複数の業務を兼任しています。そのため、配属先に伝わっていない障害特性について、自分で説明する必要が生じました。例えば、ADHDによる不注意傾向について伝わっていなかったので、宅急便の伝票を書く際に、先輩社員にチェックして欲しいと自分でお願いしました。こうした説明は、いつ言えばいいかタイミングが分からないのに加えて、「そんなこともできないのか」と周囲に見られるのではないかと感じました。恥ずかしさと不安が同居するような気持ちになり、かなり負担に感じました。■人事や定着支援担当から間接的に伝えてもらう人事の支援体制に関して、相談できる環境があることで、不満や要求を間接的に伝えてもらえることが個人的に一番ありがたかったです。やはり、面と向かっては伝えづらいこともあったりするので、そうした制度の存在は、心強い味方でした。上述の件も、結局、自分自身で説明することになったのですが、最初に人事から伝わっていると良かったなぁと思います。時短勤務が無くなってから…出典 : 時短勤務を経て、2ヶ月目から通常勤務に移行しました。1時間半ぐらい伸びても、さほど影響がないだろうと思っていたのですが、人間関係の緊張や、過敏による疲労は思ったよりも大きかったようです。帰ってくるとごはんを食べて、すぐに就寝せざるを得ないほど、ぐったり疲れているという生活が続きました。時短勤務の際は、夜に洗い物などができていたのですが、それすらもできなくなってしまいました。■朝中心の生活にそこで生活の基盤を変えることにしました。例えば、朝起きてからのSNSを控え、必要な情報は電車内で確認することにしたり、朝食をコンビニで済ます代わりに、洗い物と洗濯物を干すところまでを全て終わらせるなど工夫することで、一度に全てこなすのは難しくても、何とか両立ができていると思います。疲れが溜まってくると、きちんと睡眠を取ったのに朝から眠いということがありましたが、エナジードリンクや、ブラックコーヒーを飲むことで、仕事をする上ではそれほど大きな支障なくできていると思います。使いたくても使えなかった、居宅介護の家事援助出典 : 私は大人になるにつれて、こだわりが少なくなってきたり、妥協できることも多くなりましたが、今でも自分の持ち物やインテリアに関しては強いこだわりがあります。そのため常日頃から室内を清潔に、きちんと整頓された状態を保ちたいと思っていました。そこで、居宅介護の項目の一つである家事援助を利用したいと考えていました。しかし、週5日で勤務している場合、ヘルパーさんとのマッチングが上手くいかず、利用が難しかったのです。担当のケアマネージャーから聞いた話では、土日に家事援助をしてくれるヘルパーさんの登録がほとんどなく、サービスを提供するのが事実上、難しいと言われてしまいました。働いてわかったこと。障害者が輝ける働きかたは?出典 : これまでを振り返ると、障害を抱える私のような人にとっては、ある程度、業務の範囲が定まっている仕事の方がやりやすいのではないかと思います。上述したように曖昧な指示を補完して取り組む仕事は苦手ですが、パソコン操作などのハードスキル面では、それほど大きな問題を抱えているようには思いません。イレギュラーや新しく取り組む業務に関しても、きちんとした指示があれば、仕事量の調節は必要ではあるものの、遜色なく取り組めるのではないかと考えています。しかし、対人関係の構築などのソフトスキル面での課題を抱えている…。このことを採用面接の段階で伝えることが出来たら楽だなぁと思います。やはり会社という場所は、みんなとの協業、団体行動が求められる場である以上、対人関係でうまく行かない障害特性は、事前に知らせておくべきなのかもしれません。しかし、本当に入社したい会社であれば内心、求職者としては伏せておきたい情報です。ここで上手く支援員の方が障害者と会社側の担当者とを結ぶ架け橋となってくれたなら、もっと働きやすくなるかなと思います。今の障害者雇用を巡る状況では、障害を明らかにしつつも一部分を隠して採用面接に臨み、入社後に隠していた特性が出てしまう人も少なからずいるのではないかと思います。私自身も就職活動で使用したナビゲーションブックでは、衝動性の部分は触れないままでした。やはり、怒りやすいとは書けなかったからです。また、リモートワークに関しても、今後、導入が進んで欲しいなと思います。やはり刺激を受け流すことが難しいからこそ、疲れやすいという特性があることは事実です。自宅で身体や脳を少し休ませながら働くことができれば、もっと障害者が輝ける働き方が実現できるのではないかと考えています。
2018年04月29日発達障害のある子どもの遊び場探しは超難関!出典 : 発達障害がある子どもを自由に遊ばせる場所…、実は結構探すのが難しかったりしませんか?わが家の息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD診断済)の場合は、社会性という意味でも、感覚という意味でも、遊び場の選択が難しかったです。社会性という意味では、順番が待てない、お友達の物を衝動的に取ってしまう、「返しなさい」と言うと癇癪を起こして泣き叫ぶ等の問題がありました。感覚という意味では、大きな音楽やまぶしい光で疲れてしまうため、デパートなどに入っているプレイスペースは苦手でした。結果どうなったのか…?私たち家族は、長いこと家に引きこもっていたのです。息子のパニックや癇癪が怖くて、どこへも出かけたくなかったのです。それだったら、家のなかでDVDを見ていたほうがずっとマシ。家にいれば、他人の冷たい目にビクビクしながら、頭を下げて逃げるように帰宅する必要もない…。息子の幼少期、私たち家族は一日中DVDを流しっぱなしにして、家の中で過ごしていたのでした。理想の遊び場を実現しちゃった!?NYのある夫婦出典 : そんな発達障害のある子どもの遊び場探しに頭を悩ます親の気持ちは、世界共通のようです。2017年の11月、ニューヨークのレイサムに、発達障害のある子ども向けのプレイルームがオープンしたことがアメリカで話題になっていました!Ring Around The Spectrum - Facebook Pageこのプレイルーム、Ring Around The Spectrum(リング・アラウンド・ザ・スペクトラム)は、発達障害のある子どもの感覚統合や感覚過敏に考慮したつくりになっています。(リンク先にプレイルームの写真と動画があります。)リング・アラウンド・ザ・スペクトラムでは、普通のプレイルームのように大きな音で音楽がかかっていたりしません。発達障害のある子どもの聴覚過敏に配慮しています。強い明るさの照明もついていません。全てのおもちゃや道具類は、作業療法士が選んでいます。感覚過敏に考慮したつくりになってるだけでなく、感覚統合を促せる遊具やクラスが設置されています。ざっと見回しただけでも、ゆらゆら揺れるスイング、バランスボール、ロッククライミング、ビーズクッションなど、発達障害児の感覚刺激に良さそうな遊び道具が沢山置かれています。さらに、少し明るさを落としてあるクールダウン用のスペースには、キラキラ光る泡のチューブや柔らかな光を放つチューブがあります。このプレイルームを開設したのは、支援が必要な二人の子どもを育てる、アッベ・ロバーツ(Abbe Roberts)とケン・ロバーツ(Ken Roberts)夫婦です。ロバーツ夫妻はある日、こんなことを思ったのだそうです。「地域にこの子たちが遊べる場所が欲しい。この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい。この子たちが支援の必要のない子どもたちと一緒に遊べる場所が欲しい…」そして、ロバーツ夫妻はこのリング・アラウンド・ザ・スペクトラムという場所を開設したのでした。「この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい」という夫妻の言葉にグッときたのは私だけではないでしょう。私も息子が幼少の頃は、いつも同じことを考えていました。「白い目で見られずに遊ばせる場所が欲しい」「発達障害のある子どもが、楽しみながらさまざまな経験を積んだり、力をつけることができる場所が欲しい」と。その想いは世界共通。そして、そんな想いを形にしたのが、このプレイルームなのです。New gym for children with Autism opens in Latham (訳:「自閉症児向けのジムがレイサムに新規オープン」)どの子どもたちも一緒に楽しく!こんな遊び場が日本にもあったら…出典 : リング・アラウンド・ザ・スペクトラムは、発達障害のある子どもに限らず、多くの子どもたちを歓迎しているそうです。遊具などは、発達障害のある子どものニーズに対応していますが、定型発達の子どもも遊ぶことができます。また、発達障害のある子どもの体幹トレーニングや衝動性コントロールなどに効果がありそうな、ヨガやマインドフルネスなどのクラスもプレイルーム内で開講しています。普通のクラスに連れて行くことが難しくても、このプレイルームでのクラスであれば、気軽に連れて行くことができそうですね。料金は一回の利用が12ドル(およそ1,300円程度)で、時間制限はありません。こんなプレイルームが日本にオープンしたら素敵だなあと思うとともに、遊び場探しに苦慮して自宅に引きこもっていた昔の辛い記憶も蘇ります。「この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい」。同じような想いを持って、こうしてプレイルームをつくった保護者がいる…。国境を超えて同じ想いを共有していることに、私は少しジーンときました。日本でもいつか、同じ想いを抱くご家族のために、こんな素敵なプレイルームがつくられる日がくるかもしれませんね。
2018年04月28日LITALICO発達ナビ初の「児童福祉業界の仕事」フォーラム!その概要は…出典 : 月20日(日)に「児童福祉業界、これからの働き方を考える」と題し、LITALICO発達ナビ初の、児童福祉業界で働くことに関心のある方向けのイベントを開催します。「子どもと関わる仕事に興味がある」そう考える一方で、・「長時間働いたり、業務がたくさんあったりするイメージ…実際はどうなんだろう?」・「時短勤務希望だが、融通はきくの?」・「未経験だけど働けるのかな…」・「どんなキャリアアップが見込めるの?」このような不安・疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、すでに児童福祉業界で働いている人の中には・「子どもが生まれた後も働き続けられるかな?」・「キャリアアップをするためにはどうしたらいいのだろう?」・「これから10年20年と働き続けるには、どんな環境が必要なんだろう?」・「他の事業所はどんな取り組みをしているんだろう」といった不安・疑問のある方もいるかと思います。当日は、関東近郊の児童福祉の事業所が参加し、上記のような不安・疑問を中心に、児童福祉業界でのこれからの働き方・キャリアに関してパネルディスカッションを行います。その後、参加者は各グループに分かれ、働き方に関して考えるワークや座談会を行います。参加希望の方は、以下の概要を確認の上、申し込みフォームからお申し込みください。【日時】5月20日(日)13:00~15:30(閉会後、任意参加の懇親会あり)【場所】LITALICOセミナールーム住所:〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー16F(東京メトロ日比谷線・東急東横線「中目黒駅」東口より徒歩1分)【定員】60名【参加費】無料(※申込みフォームからのお申し込みが必須となります。)■当日のタイムテーブル(※当日変更の可能性もあります。ご了承ください。)12:30開場13:00パネルディスカッション「これからの児童福祉業界での働き方を考える」13:40休憩13:50グループワーク15:20アンケート15:30閉会閉会後、任意参加の懇親会があります。申し込み方法はこちら出典 : 【対象】・児童福祉、障害支援といった業界で働いている方、または働くことに関心をお持ちの方など児童福祉業界での働き方にご興味がある方、大歓迎です!【応募方法】以下エントリーフォームからお申込みください。
2018年04月27日斜視とは出典 : 斜視とは物を見るときに両目の視線が合わないという病気です。片目は目標を見ていても、もう一つの目が別の方向を向いてしまいます。子どもの約2%に見られると言われています。子どもの弱視・斜視|公益社団法人日本眼科医会生まれたばかりの赤ちゃんは目を動かす筋肉や視力が発達していません。2~3ヶ月ほどで、やっと物を見つめたり動くものを目で追ったりするようになります。両目で物を見る力(両眼視)は6歳ごろにほぼ完成し、物を見る力が成長するのは8歳ごろまでと言われています。多くの場合、斜視は3~4歳ごろまでに見つかります。保護者が違和感を覚えることもあれば、3歳児健診で指摘されることもあります。斜視は弱視の原因にもなります。斜視になっている方の目は物がぼやけて見えたり、二重に見えたりします。そうすると斜視になっている目を無意識に使わなくなり、弱視となってしまうことがあります。斜視は目の位置によって4種類に分けられます。Upload By 発達障害のキホン・外斜視:片目が「外側」を向く・内斜視:片目が「内側」を向く・上斜視:片目が「上」を向く・下斜視:片目が「下」を向くこの中で最も多くみられるのは外斜視で、次は内斜視です。上下の斜視はこれらに比べると少なくなります。成人斜視手術例の種類と両眼視機能(2016年)また、斜視の症状がどのように出現するかでも分けられます。常に斜視状態のものは「恒常性斜視」と呼ばれます。眠いときや疲れた時など、ときどき斜視状態になるものは「間歇(かんけつ)性斜視」と呼ばれます。斜視のように見えていても実は視線が揃っているということがあります。特に赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いため、内側によっているように見えることが多々あります。このように、斜視ではないものの斜視のように見えるものを「偽斜視」と呼びます。鼻の付け根(小鼻)をつまむと白目が見える場合は、偽斜視の可能性が考えられます。赤ちゃんであれば成長とともに顔だちも変わり、目立たなくなります。本人が両目で同じものを見ているにもかかわらず、他人から見ると視線が合っていないように見えるという状態もあります。この場合も、見かけは斜視であっても実際には両目を使って物を見ているので偽斜視と言えます。斜視の原因出典 : 斜視の原因は大きく4つに分けられます。・目の筋肉や神経の異常・遠視ほとんどは目の筋肉や神経の異常、または遠視です。遠視の場合、強くピントを合わせようとするときに目が内側に寄ります。遠視が強いと、遠くを見ているときもピント調節をすることで内斜視となってしまいます。・片目の視力低下病気やケガで片側の目だけ視力が落ちてしまうと、その目が斜視となるケースもあります。多くの場合、外斜視となります。・両眼視の異常(脳の病気も)両眼視とは、対象を両目で見ることです。脳の一部のわずかな異常などから、両眼視ができなくなると、両方の目がばらばらの動きをすることがあります。斜視は遺伝と環境、どちらの影響も受けます。必ず遺伝するものではなく、遺伝する確率もそれほど高くないと言われています。斜視は放置せず早期に受診することが重要出典 : 斜視を放置すると物が二重に見えるなどの症状があり、それを調節するために片目だけで見るようになります。そうなると遠近感や立体感がうまくつかめなくなってしまいます。また、使わなくなった片目の視力が低下し、弱視となってしまうこともあります。弱視は視力が発達するピークである8歳より前に治療することが重要です。子どもの場合は特に、早期の治療が肝心だと言えます。斜視の検査方法出典 : 斜視が気になって病院へ行く場合、以下のような検査が行われます。状況によってはほかの病気が隠れていないか、眼球を含めた全身の検査をすることもあります。C字の並んだもの(ランドルト環)やイラストなどを使って視力を測ります。子どもの年齢や様子によって、より正確に測れるものを使います。複数を組み合わせることもあります。遠視や近視、乱視の程度を測ります。目に光を当てて反射を図る方法などがあります。正確に測るため、調節麻痺薬(アトロピン)を点眼することもあります。眼位とは、遠くのものを両目で見たときの目の位置のことです。両目をペンライトで照らしたり、片目を隠したりすることもあります。目が正しい位置にあるかどうか、なければどの程度ズレているのかを測ります。上下左右に正しく眼球が動くかどうかを調べます。近くのものを見るときに、しっかりと目が寄るかどうかも検査します。【斜視の治療法1】矯正する出典 : 斜視の治療法の一つは矯正で、目の位置を戻すだけでなく両目で物を見る機能を身につけるという目的があります。眼鏡やコンタクトによる治療だけでなく、訓練や注射といった治療も行われます。定期的な通院と自宅での訓練が必要なため、子どもの斜視矯正には家族の協力が欠かせません。遠視や屈折異常が原因の場合は、眼鏡やコンタクトレンズを使っての治療が有効です。遠視は凸レンズで矯正します。屈折異常ならプリズムを入れた眼鏡をかけ、視線を正常な方向へ向かわせることもあります。左右の視力の差が大きい状態を不同視と言います。この不同視の程度が高い場合は、眼鏡ではなくコンタクトレンズの装着も選択肢に入ります。矯正に使う眼鏡は、普通の視力検査や屈折検査では作れません。眼科でしっかりと検査をしたうえで作ることが重要です。左右の視力の差が大きい不同視の場合、アイパッチや眼帯を使った遮蔽法(しゃへいほう)と呼ばれるトレーニングをすることがあります。斜視でない目をアイパッチなどで覆い、斜視のある目を使います。斜視の治療法ではありますが、直接斜視を治すわけではなく、弱視を改善して視力を向上させることが目的です。遮蔽時間が長すぎると斜視でないほうの目の力が低下してしまうこともあります。自己判断で始めるのではなく、必ず医師の指示を仰ぎましょう。大型弱視鏡はシノプトフォアとも呼ばれ、目の検査のほか、視能矯正訓練もできる器械です。左右それぞれで見たものを脳で一つにする訓練をします。カイロスコープは鏡を使った装置です。左右の目に少し違った絵を見せて、脳で一つにするという訓練をします。どちらも両目を使って物を見る両眼視機能を向上させるために行います。眼球を引っ張りすぎている筋肉を麻痺させるという比較的新しい方法です。目の周りの筋肉にボツリヌストキシンを注射し、筋肉の緊張を和らげます。治療時間も短く入院も不要ですが、効果は数ヶ月しか持ちません。効果が減少してきたら、再度注射をする必要があります。【斜視の治療法2】手術出典 : 斜視の治療には手術という方法もあります。手術は視力を上げるためではなく、眼球の位置を調整するために行うものです。斜視の種類や程度、年齢などから手術をするかどうかを判断します。状態によっては手術の前後に、眼鏡や訓練などの矯正を行うこともあります。眼球には外眼筋と呼ばれる6つの筋肉がついています。それぞれの筋肉を使って眼球を動かします。手術では、この筋肉を切除したり縫い付けたりします。ついている位置を後ろにずらしたり前に引っ張ったりして、眼球を正常な位置へ戻すのです。1つの筋肉を手術するのにかかる時間は約30分です。手術を必要とする斜視は、片目だけで1~2つの筋肉を手術することが多いため、1時間程度で終わります。手術時は、一般に点眼や注射による局所麻酔を行います。麻酔も含めて短時間で終わるため、入院はせず当日に帰ることもできます。状態によっては入院を勧められることもあります。ただし、小学生以下の子どもは全身麻酔で行うことが一般的です。全身麻酔では1~3泊ほどの入院が必要となります。手術前には必ず何度か診察をし、手術の必要性や内容を判断します。斜視の手術は万能ではありません。時間の経過で手術前の状態に戻ってしまうことも少なからずあり、その場合は再手術も検討します。戻ったとしても以前よりは良い状態であれば、再手術はせず矯正で改善を試みることもあります。費用は状態や病院によって異なりますが、片目の手術なら検査や処置を含めて3万円くらいが目安です。ただしこの金額は日帰り手術の場合の目安です。小学生以下で入院を伴う場合は別途費用がかかってくることが考えられます。手術は年齢や状態によって日帰りも可能ですが、術後の生活にはある程度の制限がかかります。洗顔や入浴など顔を水につけることは可能ですが、感染予防のためにも一週間程度は目やその周囲を洗えません。スポーツや屋外作業もしばらくは避け、目の保護に努めます。また、不特定多数の出入りがあるプールや温泉も1か月程度は控えます。手術当日は痛みも多少感じることがあるため、場合によっては痛み止めを使います。翌日以降は目のゴロゴロ感や充血も感じることがあります。手術のあとは翌日、1週間後に診察をすることが多いようです。経過や病院の判断によって、その後も1ヶ月から半年ほど定期的に通院し、経過を見ていきます。発達障害と斜視は関係あるの?出典 : 発達障害の特徴を示す子どもの中には、キャッチボールが苦手だったり集中力が続かなかったりという症状を持つ子もいます。このような症状には、斜視を含めた目の病気が隠れていることもあります。斜視には遠近感や立体感をつかみづらいという症状があります。遠近感がうまくつかめないと、ボールはキャッチできません。物が二重に見えたり立体感がつかめなかったりすると、折り紙やお絵かきも疲れてしまいます。二重に見えることで、学習障害(LD)に見られる文の読み書きの苦手も起こります。斜視を含めた目の病気には「見る力」を弱めてしまうものもあります。斜視であっても視力は良いというケースも珍しくありません。もちろん、発達障害による症状と斜視を含めた目の病気による症状が混在していることもあります。発達障害のある子どもの困難に、目の病気が関わっている可能性があることも見過ごせません。軽度発達障害児における眼疾患の検討(2006年)まとめ出典 : 斜視は「放っておいたら治った」という人もいますが、偽斜視を斜視と勘違いしていただけというケースもあります。本当の斜視は治療しなければ治りません。子どもの斜視は、治療が早いほど改善が期待できます。斜視かもしれないと感じたらすぐに病院で検査を受け、治療を始めるのが大切です。とはいえ、大人の斜視も手術で大きく改善されるケースはたくさんあります。状態を改善する方法はいろいろとあるので、手術を避けたい場合でもまずは検査を受け、医師に相談をしてみると良いでしょう。
2018年04月25日赤ちゃんと目が合わない…出典 : 赤ちゃんは人の目を好んで見つめると言われています。赤ちゃんを抱っこしている時や授乳をしている時、パパ・ママが赤ちゃんを見つめていると、赤ちゃんもパパ・ママを見つめ返してくれる時があります。ですが、赤ちゃんと目が合わない、目をそらされてしまうことに悩んでいるパパ・ママもいるといいます。赤ちゃんと目が合わないと、赤ちゃんとのコミュニケーションが取れている気がしなくて辛いと感じることも少なくありません。また、目の病気があるのかも?目が合わないことが特徴の一つと言われている、自閉症スペクトラム障害かも?など不安に思う方も多いのではないでしょうか。以下から、赤ちゃんと目が合わない原因や赤ちゃんの視力発達のメカニズム、目が合わないことと疾患や自閉症スペクトラム障害との関係性について詳しく説明していきます。赤ちゃんと目が合わないのはなぜ?出典 : 赤ちゃんと目が合わない時、その原因としてどんなことが考えられるのでしょうか。育児本やウェブサイトで調べてみると、ついつい「目の疾患」「自閉症スペクトラム障害」という言葉が目についてしまうかもしれません。でも、赤ちゃんと目が合わない原因の大半は、そこまで心配しなくてよいものだったり、成長の過程であったりするものです。例えば、次のような原因があります。まずはそれらに当てはまる様子はないか、赤ちゃんの様子をよく見てみましょう。赤ちゃんにとって身の回りの物はすべて新鮮であり、興味や関心の対象です。大好きなパパ・ママがそばであやしてくれていても、他に何か気になるものを見つけると、そちらへ興味の対象が移ってしまうこともあります。生まれたばかりの赤ちゃんとはいえ、一人ひとり個性があり、性格も異なります。じっと凝視されるのが少し苦手な赤ちゃん、好奇心が強く、目新しいものにきょろきょろと視線を移す赤ちゃんなどさまざまです。育児書など子育てに関する情報から「赤ちゃんは一定の月齢になるとパパ・ママと目を合わせるようになるはずだ」などと思い込んでしまうと、自分の赤ちゃんにそのような様子が見られない場合、途端に不安になってしまいがちです。赤ちゃん自身の育ちのペースや個性を受け入れ、見守っていくという姿勢が大切です。水野 克已/著『笑顔で子育てあんしん赤ちゃんナビ―6か月(はじめ)よければすべてよし! 』2013年/メディカ出版公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ赤ちゃんは自分のことをあやしてくれる人の表情や声にとても敏感です。生まれつき視覚や聴覚からの刺激に敏感な赤ちゃんもいます。急に近づいたり、顔を近づけたり、大きな声で話しかけると顔を背けてしまうかもしれません。目が合わせにくいからと焦って目を合わせようとすると、赤ちゃんもその不安やストレスを敏感に感じ取るかもしれません。赤ちゃんをあやす時、自分がどのような表情をしているか確認することが、赤ちゃんと目が合わない原因を探り当てるヒントになるかもしれません。赤ちゃんと目が合わない時、ここまでで紹介したことが原因となっていることが多数ですが、もしかしたら次のようなことが原因である可能性もあります。目の病気の発症や視力の異常が見られる赤ちゃんは、視線が定まらなかったりきょろきょろしたりする様子が多く見られます。赤ちゃんによく現れる目に関する異常には、斜視・眼振・弱視などが挙げられます。これらの詳しい症状や治療方法に関しては「目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?」の章で解説します。発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害には、「人とのコミュニケーションが苦手・困難」「こだわりの強さ・感覚のかたよりがある」という特徴があります。自閉症スペクトラム障害の症状には視線が合いにくいことも挙げられていることから、目が合わない赤ちゃんに対して自閉症スペクトラム障害かも?と不安になるパパ・ママもいるでしょう。赤ちゃんと目が合わないということだけで自閉症スペクトラム障害であると診断されることはなく、さまざまな視点からの検査・観察から総合的に判断されます。ですが、自閉症スペクトラム障害と診断がつく年齢(3~5歳頃が多いとされています)の子どもが赤ちゃんの時、「目が合わなかったな…」と感じるパパ・ママは少なくないようです。目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害の関係性に関して詳しく知りたい方は、「目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?」の章をご覧ください。赤ちゃんの視力発達のメカニズム出典 : 赤ちゃんは生まれた直後からものがはっきり見えているわけではありません。生まれてから1歳までの間、どのように視力が発達していくのかについて説明します。生まれてすぐの赤ちゃんの視力は、明るいか暗いかが分かる程度と言われています。生後1ヶ月ごろで視力は0.01~0.03くらいで、人や物の輪郭がぼんやり捉えられたり、はっきりとした色は認識できたりします。生後2ヶ月では、お母さん・おもちゃなどの動きを目で追う「追視」が見られるようになります。生後3ヶ月過ぎから生後6ヶ月頃は急激に視力発達する時期です。生後3ヶ月では人や物をじっと見つめることが増えたり、瞬きが上手にできるようになったりします。生後6ヶ月時点での平均的な視力は約0.1まで上昇します。生後6ヶ月になると、見えないところから声をかけるとその方向に目を向けるなど、視覚と聴覚が連動するようになってきます。また、追視も上下左右と細かくできたり、動くものに対しても目で追いかけたりできるようになります。小児の遠視 -弱視、斜視との関連-|沖縄県医師会医師会報生後7ヶ月を過ぎていくと、奥行や距離感も見て捉えられるようになっていきます。1歳にもなると視力は0.2ほどまで伸び、より細かいものも捉えることが可能になります。それゆえに探索活動が活発になり、行動の幅も広がっていきます。立体視の発達、可塑性、個人差解説-空間視の発達山口 真美乳幼児健康診査の手引改訂第5版新潟県福祉保健部新潟県医師会生後1ヶ月から1歳6ヶ月頃にかけては、特に視覚の発達が盛んな時期とされています。視力の発達自体は6歳から8歳くらいまでに成人と同じレベルに達します。視力が発達するこの時期に、両目で人や物をしっかりと見ているかどうかはもちろん、何か異変に気づいたらすぐに対応することが重要です。厚生労働省母子手帳省令様式厚生労働省母子手帳任意様式目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?出典 : 先ほど、赤ちゃんと目が合わない場合、目の病気や視力の異常の可能性もあると説明しました。赤ちゃんの目や視力の問題について、詳しく解説します。◇斜視斜視とは、片目は正面を向いていても、もう片方の目が内側・外側・上側・下側など違う方向を見てしまっている状態を指します。斜視は子どもの約2%に見られる小児眼科の代表的な病気で、眼鏡などの矯正器具で治るものもあれば、手術による治療が必要なものもあります。片方だけ目が合うのに、もう片方は違う方向を向いていることが多く見られると、斜視の可能性があります。斜視のまま放っておいてしまうと、違う方向を向いている目の視力が育たないため、斜視かも?と思ったら早めに小児眼科を受診することが大切です。日本眼科学会子供の斜視公益財団法人日本眼科医会子どもの弱視・斜視-6.斜視の原因◇眼振(がんしん)眼振とは、知らず知らずのうちに目が動いてしまう疾患です。眼球の動きの特徴としては、動き方に規則性がある・周期性がある・本人が意図しているわけではないという3つがあります。原因として先天的な眼振をはじめ、脳や神経の異常で起こるものなど後天的なものがあります。赤ちゃんが注視・追視する様子が見られず、きょろきょろしていたり、不自然に頭を傾けていたりしていたら、注意する必要があります。◇弱視弱視とは、先ほど紹介した視力の発達する期間に、目をうまく使えなかったために視力が悪い状態のまま発達が止まってしまうことを言います。強い遠視や乱視が両目に見られる場合や、片目だけに遠視や乱視、斜視があるために視力が発達しない場合に弱視は起こりやすいと言われています。弱視は早期に適切な治療や矯正(眼鏡着用など)をすることによって、治る可能性は高まります。頻繁に目を細めている、目つきに違和感があるなどわかりやすいサインが見られることもありますが、特に目立った症状が見られないこともあります。乳幼児健診の際に気になる点がないか専門家に診てもらうとよいでしょう。3歳になったら受けられる3歳児眼科検診を受診するのもおすすめです。社団法人日本眼科医会3歳児眼科健診のすすめ紹介したような目に関する病気を赤ちゃんが発症している場合、次のような特徴が見られることがあります。・瞳が白や黄緑色に見えることがある・目が揺れることがある・追視が見られない・片目だけ上下左右に寄っていることがある・片目を順番にふさいでみると、一方の目だけ嫌がったり、顔を背けたりするなど目の健康を調べるチェックシートパパ・ママは赤ちゃんと目が合わないな?と思ったら、それまでよりいっそう赤ちゃんの目や目の動きを観察し、何か異常がないか見てみることが大切です。目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?出典 : この章では、目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害がどのような関係にあるのかについて詳しく紹介します。自閉症スペクトラム障害は、主に「人とのコミュニケーションが苦手・困難」「こだわりの強さ・感覚のかたよりがある」という特性があります。診断基準によっては自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などの診断名で呼ばれている場合もあります。自閉症スペクトラム障害の診断がつくのはだいたい3~5歳と言われています。このくらいの年齢になると、以下のような自閉症スペクトラム障害の特徴が目立ちやすくなります。◇周囲にあまり興味を持たない傾向がある例えば、生活の中で次のような様子が見られます。・視線を合わせようとしない・他の子どもに興味をもたない・名前を呼んでも振り返らない・指さしをして興味を伝えることをしないなど◇コミュニケーションを取るのが困難以下のように、会話や人と関わることが難しいと感じていることがあります。・言葉の遅れや、オウム返しが見られる(知的障害を伴う場合)・一方的に言いたいことだけを言ってしまう・質問に対してうまく答えられない・ごっこ遊びなど、集団での遊びにあまり興味を示さないなど◇強いこだわりを持つ日常生活での強いこだわりとは、例えばこのようなことを指します。・興味を持つことに対して、同じ質問を何度もする・ものごとの手順が変わると混乱してしまう・視覚・触覚・聴覚・味覚・嗅覚に対して過敏、鈍麻があるなど自閉症スペクトラム障害の診断がつく年齢では、このような特徴がいくつか見られるようになります。注意しなければならないのは、単に「赤ちゃんと目が合わない」ということだけで自閉症スペクトラム障害ということではないということです。自閉症スペクトラム障害の診断が出ている子どものパパ・ママが、その子どもが赤ちゃんだった時を振り返ってみて「そういえばあまり目が合わなかったな…」と思い起こすことはあるようです。ですが、自閉症スペクトラム障害はそれだけで判断されるものではなく、子どもの気になる様子と診断基準を照らし合わせ、総合的に判断されます。また、生後すぐに自閉症スペクトラム障害をはじめ発達障害の診断がつくことはありません。パパ・ママが自閉症スペクトラム障害の診断を求めても、赤ちゃんに対しては経過観察のような措置が多く取られることに、心配や不安の気持ちを抱くのも無理はありません。目が合わない赤ちゃんに対しては、「それだけで自閉症スペクトラム障害であるとは言えない」「赤ちゃんの時点で自閉症スペクトラム障害であると明確に診断できる場合は少ない」という2点をまず押さえましょう。そのうえで、それでも不安が残る場合や、目が合わないということに加えて他にも気になる様子が見られる場合は、かかりつけの小児科や近くの保健センター、子育て支援センターなどでその旨を詳しく相談することをおすすめします。一度専門家に赤ちゃんがどのような様子か話してみるだけでも不安や困りごとが解消されることがありますし、自閉症スペクトラム障害に関する、より詳しい情報も得られることもあります。赤ちゃんと目が合わなくて不安…そんな時に考えたいこと出典 : 赤ちゃんと目が合わないと、「赤ちゃんは自分のことをパパ・ママだとわかっているのだろうか」「赤ちゃんに好かれてないのだろうか」「発達が遅れているのだろうか」「病気や発達障害の予兆なのだろうか」など、さまざまな不安を感じることもあると思います。そんな時、パパ・ママが心がけたいことや考えたいことをご紹介します。生まれたばかりの赤ちゃんは、授乳などからどうしてもママの方が赤ちゃんに関わることが多くなると思います。そのため、赤ちゃんと目が合わないという不安を、つい一人で抱え込んでしまうことがあります。子育てに関する不安を感じた時こそ、同じ子どもの親であるパパにも悩みや不安を共有・相談するようにしましょう。またパパは、「気にしすぎだよ」「大丈夫だよ」と安易に言うのではなく、ママの子育てに関する不安感や心細さに寄り添ってあげることが大切です。また、子育ての先輩である自分の母親に相談するのも1つの手段と言えます。大切なのは、子育ての不安を一人で抱え込みすぎないことです。先ほど子育ての先輩である自分の母親に相談してみることをアドバイスの一つとして挙げましたが、そうはいっても子育てへの価値観が違ったり、母親の時代の子育て方針を押しつけられたりした、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。やはり知りたいのはリアルな子育て情報や、現時点の医学などからわかっている子どもの発達に関する情報ですよね。そのような情報を知るには、自分の赤ちゃんと同じくらいの月齢・年齢の赤ちゃんを育てているパパ・ママと交流することが有効かもしれません。地域の子育て支援センターは、赤ちゃんだけでなくパパ・ママの交流も目的とされています。そのような施設でさまざまなパパ・ママと交流し、それぞれの子育て体験談を聞くことで「子育てに悩んでいるのは私だけじゃない」「先輩パパ・ママはこのように悩みを乗り越えたんだ」など、参考になる意見やアドバイスが得られることもあります。また、子育てや子どもの発達に関して不安に感じた際に気軽に相談できる専門家を1人でも知っておくと心強いです。先ほど紹介した地域の子育て支援センターをはじめ、保健センター、またかかりつけの小児科医など、子育てや子どもの発達に関して相談することができる機関や専門家はたくさんあります。きちんとした専門家からの指導を受けることで、より安心感を得ることができたり、不安が軽減されたりするでしょう。その他に、子育てに関する電話相談サービスを行っている自治体もあるので、直接対面で相談することに抵抗がある方は、電話にて専門家に相談してみてはいかがでしょうか。東京都福祉保健局子育て支援情報一覧とうきょう子育てスイッチ-子育てに関する電話相談まとめ出典 : 赤ちゃんと目が合わない場合、赤ちゃんならではの周囲への興味や性格、あやしているパパ・ママの表情など、さまざまな要因が考えられます。また、目が合わないということだけで判断はできないものの、目の病気や自閉症スペクトラム障害であるという可能性もあります。赤ちゃんと目が合わなくて不安、と感じているということは、それだけパパ・ママが赤ちゃんのことを細かく観察し、見守ることができている証拠です。パパ・ママは日々子どもと丁寧に向き合っていることへの自信をもちつつ、子育てに関する悩みや不安を相談できる場を設けるなどして、ママ1人で抱え込んだり、パパ・ママ間だけで不安を溜めたりすることがないようにしましょう。
2018年04月24日てんかんとは?出典 : てんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。日本では約100万人のてんかん患者がいて、およそ100人に1人の割合でてんかんにかかっているという身近な疾患です。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作だけでなく、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといったタイプの発作などもあります。てんかんの“発作を起こしやすい体質”は遺伝する可能性があります。ですが、たとえてんかん発作を起こしやすい遺伝子を受け継いだとしても発作が発症するとは限りません。またこのようなてんかんの多くは良性のため、治療しやすいといわれています。てんかん発作は場所や時間を選ばずに発症するため、たとえば子どもがプールで遊んでいるときや車の運転中などに発作が起こり、大きな事故につながる可能性もあります。早期治療やできる限りの注意が必要です。参考:てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会てんかんは大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮することで発作が引き起こされるものです。そもそも大脳皮質とは脳の表面を覆い、複雑な思考などに深く関わっている部分になります。脳内で情報を伝達しあうために働いているのが神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は微弱な電流を流すことによって、必要な機能にかかわる神経細胞にスイッチを入れていきます。多数の神経細胞が繋がり合うことで脳の必要な部位が連携し、適切な行動を再現しています。ところが、何らかの原因で大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮し、不要な神経細胞にスイッチが入ることがあります。それによって神経細胞が異常に興奮した結果、けいれんなどの発作が引き起こされます。国際抗てんかん連盟(ILAE)が発表している「てんかん発作型分類」によれば脳の病変が原因となる「症候性てんかん」と、発作を起こしやすい体質が原因となる「特発性てんかん」の2種類に分類されています。ですが、今のところ発作を引き起こしやすい原因そのものはまだ分かっていません。参考:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2009)てんかんの主な症状の「発作」とは?出典 : てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があります。ここでは、てんかん発作の種類を紹介していきます。■意識を失い、倒れてしまう大発作目を開いたまま瞳が上転し、歯を食いしばり、呼吸が一時的に止まったり、けいれんをしたりします。体全身がこわばる発作のことを強直発作、全身でけいれんが起こる発作を間代発作、こわばりからけいれんが起こる強直間代発作などがあります。■体の一部が勝手に動く発作起きているときに、両手足が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、首や目が勝手に動いてしまったりする運動発作があります。また力が抜けて立っていられず倒れてしまう脱力発作などもあります。■話の途中などに急にぼんやりしてしまう発作会話の途中などで突然意識を失い、体のすべての動きが止まってしまう複雑部分発作や欠神発作があり、ぼんやりしたままウロウロ動き回ることもあります。おおむね、すぐに回復しますが、意識を失っていた間のことは覚えていません。また脈絡のない言葉を発したり、はっきり喋ることができなくなる失語発作などもあります。■見た目では分からない自覚症状のみの発作体の一部がしびれたり、感覚がなくなる体性感覚発作や気分が悪くなる自律神経発作、視覚や嗅覚、聴覚などに異常が起こる感覚発作がも挙げられます。また不安や恐怖感をあおるような精神発作もあります。症状を一見すると精神疾患と思われますが、脳波などの検査をして、脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされているものだとわかればてんかん発作と診断されます。参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)参考:てんかんの種類|東京都医学研脳神経病理データベースHPてんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?出典 : てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。まず、"てんかん発作"は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。■部分発作部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。Upload By 発達障害のキホン■全般発作全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。Upload By 発達障害のキホンこれら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。参考:てんかんとは|公益社団法人日本てんかん協会HP参考書籍:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2009)Upload By 発達障害のキホン■特発性部分てんかん脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。■特発性全般てんかん上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。■症候性部分てんかん発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。■症候性全般てんかん上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。参考:ウエスト症候群|難病情報センター参考書籍:大槻 泰介/『てんかんが怖くなくなる本』 (法研,2016)参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)参考:てんかんの種類|東京都医学研脳神経病理データベースHPてんかんの診断方法は?てんかんの診断方法は主に問診と検査の結果によって診断されます。検査も大事ですが、もっとも重視するのは問診です。発作がどのようなものだったのかによって、てんかんの分類が決まってきます。てんかんの治療を行うためには、てんかんの原因とどの発作型なのかを把握し、それぞれの発作症状に見合った治療を行います。発作が起こった際には不謹慎だとは思わずに冷静になって動画を撮影するなど、よく観察することが重要です。■問診による診断問診では次のようなことを中心に本人または保護者へ聞き取りを行います。【問診の主な内容】・発作時の詳細な様子・発達面の問題はあるか・てんかんの家族がいるか・頭に大きなケガをしたことはあるか・熱性けいれんを起こしたことはあるか・脳梗塞など、脳の病気をはじめ、治療中の病気はあるかなどその他にも様々なことを問診によって聞き取ります。■検査主に脳波測定や脳画像検査の結果が診断の根拠となります。てんかんに特化した「長時間ビデオ脳波モニタリング検査」があります。脳波の計測に1日~数日間をかけて測定し続け、同時にそのときの様子をビデオに録画しておきます。脳波と映像を解析して症状と原因を見極めていきます。なお、てんかんの診断は次のような手順で行われています。Upload By 発達障害のキホン参考:脳波検査|独立行政法人国立病院ん機構 静岡てんかん・神経医療センター参考:てんかん診療ガイドライン2010|日本神経学会参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)てんかんの大発作が初めて起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合「もしかして、てんかん?」と思うことがあっても、数分でもとに戻ることから日常生活にさほど支障を感じないことがあります。しかしてんかん発作を放置してしまうと、冒頭で述べたような大きな事故に繋がりかねません。できるだけ早期からそういったリスクを避けるため、医療機関を受診するようにしましょう。◆乳幼児から中学生・小児科◆中学校卒業後・神経内科・脳神経外科・精神科を受診してください。なお、次のリンクはてんかん専門の受診機関を示したリストになりますので、受診する際の参考にしてみてください。参考:各地のてんかんセンター|全国てんかんセンター協議会HP参考:てんかん診療ネットワーク||全国てんかんセンター協議会HPてんかんのさまざまな治療方法出典 : てんかんの治療は主に薬物療法によって行われています。そのほかにもホルモン療法や手術などの治療法がありますが発作の種類によって使用する薬の種類や治療法も異なりますので、医師の指示に従って治療を進めてください。医師による診断・指導のもとに、抗てんかん薬を用いた薬物療法を行います。服薬を続ける中で、抗てんかん薬の使用量の調整を行い、その人にとって適性な薬の量にしていきます。抗てんかん薬治療は原則薬を飲み続けなくてはいけません。ただし症状の改善などがみられた場合には治療をやめることができます。参考:社団法人日本てんかん協会 |よくわかるてんかんのくすりウエスト症候群への代表的な治療法の一つで、ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン)といわれています。ACTHとは、脳下垂体から生理的に分泌されるホルモンで、副腎に作用して副腎皮質ステロイドホルモンの分泌を促す動きがあります。ウエスト症候群の治療では、40~80%の発作が抑制されると報告されています。参考:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2012)外科療法が可能なてんかんであれば手術によって治すことができます。てんかんの原因がはっきりしている脳の病変部を切除することによって、てんかん発作を改善することができます。薬をつかっても発作が抑えられないときや、副作用が強いときがあります。その場合は食事療法としてケトン食療法を用いることがあります。ケトン食療法とは体内にケトン体を増やすために、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事を摂る治療法です。日本ではあまり普及していませんが、アメリカや韓国では治療が難しいてんかんがある患者さんに対しての治療法として利用されています。参考:てんかんと食事療法|日本小児神経学会参考書籍:社団法人日本てんかん協会/『よくわかるてんかんのくすり』(クリエイツかもがわ,2012)参考書籍:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2012)てんかんと間違われやすい疾患って?てんかんの原因って?てんかんと症状が似ている疾患がいくつか存在します。ここではてんかんと間違われやすいと言われているいくつかの疾患を紹介します。■てんかんと熱性けいれん熱性けいれんとは38℃以上の発熱に伴って、意識を失い全身がけいれんすることを指します。小児期にみられる一般的な発作性疾患のひとつです。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症し、発熱から24時間以内にだいたい1~3分間のけいれんが起こります。けいれんは一過性のものであることが多いですが、乳幼児期には発熱の度にけいれんを起こす場合もあります。一方で、てんかんの中には発熱によって発作が引き起こされるものもありますが、概ねてんかんは発熱時以外にも発作が起こります。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性けいれんが発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。この数字をもとに熱性けいれんとてんかんに何らかの関連があるのでないかという仮説に基づいて現在も研究が行われています。しかし熱性けいれんを発症したことがある子どもが、てんかんを発症するというはっきりした因果関係の立証は明らかになっていません。■てんかんと急性脳症急性脳症は主にウイルス感染症に感染したのをきっかけに、急激に脳に浮腫(むくみ)が生じ、意識レベルが低下する疾患のことをいいます。ウイルスに対して過剰な免疫反応が全身の血管に炎症をおこすことにより、意識障害、けいれん、嘔吐、血圧・呼吸の変化などが起こります。けいれんや意識障害など、てんかん発作と似た症状を発症しますが、ほとんどのてんかんの原因疾患が分かっていないのに対して、急性脳症はウイルスは身近なインフルエンザウイルスや、突発性発疹などを引き起こすヒトヘルペスウイルス、急性胃腸炎を引き起こすロタウイルスなどが主な病原となっています。てんかんと急性脳症の発症要因は異なるため、治療や予防方法が異なります。■てんかんと髄膜炎髄膜は脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、けいれんや意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。髄膜炎もてんかんと似た症状を引き起こしますが、髄膜炎は髄膜の炎症によって症状が発症するのに対し、てんかんはほとんど原因疾患が明らかになっていません。急性脳症などと同様に発症要因は異なるため、治療や予防方法が異なります。参考:細菌性髄膜炎とは|国立感染症研究所 NIIDてんかんと発達障害の合併出典 : てんかんに合併する症状に自閉症スペクトラム障害やADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害があります。発達障害は脳機能に先天性の障害があるために、幼児期から発達に何らかの遅れや困難が生じる障害です。発達障害とてんかんの一部には共通の遺伝子変異があり、脳内の情報伝達を行う神経回路形成に異常が示唆されています。またてんかんを発症していない発達障害者でも発作性の脳波異常が認められることがあります。脳内の情報伝達は大きく興奮性と抑制性のシグナルによって行われます。てんかんは神経細胞の興奮・抑制バランスが興奮性に傾き、結果として適切な情報伝達が行われず脳波に発作性の異常がみられます。発達障害の場合も同様の偏りが認められています。てんかんでみられる神経細胞の興奮・抑制バランスの崩れが、どのようにして発達障害を引き起こすのかについて、現時点では因果関係は明らかになっていません。参考:自閉スペクトラム症とてんかん|(日薬理誌,2016)参考:小児の発達障害とてんかんへの脳波の応用|(臨床脳波,2008)てんかんで障害者手帳を取得するには出典 : てんかんがある方は障害者手帳を取得することができます。合併症がなく、てんかんのみが疾患としてある方は「精神障害者保健福祉手帳」を取得できます。合併症がある場合は、それぞれ身体障害者手帳や療育手帳などと合わせて取得すれば支援の幅が広がります。精神障害者保健福祉手帳の概要や取得方法はコチラを参考にしてみてください。療育手帳の概要や取得方法はコチラを参考にしてみてください。障害者手帳の取得に抵抗を感じる方もいると思います。次のリンクはてんかんによる障害者手帳取得に悩んでいた家族のエピソードです。“障害者だから”手帳を持つのではなく、家族を助けてくれる“お守りとして”手帳を持つことにしてから、さまざまな社会的サポートが受けられたという家族の体験談です。てんかんの治療を続けるとなると、経済的に家計への影響は小さくありません。自立支援医療制度や高額療養費制度などを利用することで負担を少しでも減らすこともできます。所得制限などもあるので自治体にお問い合わせください。◆自立支援医療(精神通院医療)制度自立支援医療(精神通院医療)は、通院医療費の自己負担を軽減を目的としたてんかんを含む精神障害のある方へ向けた公費負担医療制度です。自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省HP◆高額療養費制度この制度は、負担の上限金額を超えた高額な医療費を支払った際に、その超過分の払い戻しを受けることのできる健康保険制度です。下記の厚生労働省のハンドブックの12-15ページをご参照ください。精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック|厚生労働省HP◆都道府県の心身障害者医療費助成制度重度の心身の障害がある方が、保険証を使って病院に受診した場合、自己負担金が助成される制度です。各自治体ごとに、対象となる障害やその度合い、支援内容がかなり異なります。また、この助成を受けるにあたり注意点が2つあります。1点目は65歳以上で平成27年8月1日以降に新たに障害者の診断を受けた場合には、助成の対象とならないことです。2点目は、所得制限が定められているため、生計を同じくしている人の所得が一定額以上の場合には助成の対象外となることです。詳しくはお近くの市役所などにご相談ください。◆小児慢性特定疾患治療研究事業小児慢性特定疾病の医療費助成制度とは、小児慢性特定疾病に関する治療を受けた場合にかかる医療費を、一定金額の自己負担金額以外は国が助成してくれる制度です。◆乳幼児医療費助成制度など乳幼児医療費助成制度とは乳幼児が医療機関の診察や治療を受けた際の、自己負担費用の一部または全額を自治体が助成してくれる制度です。目の前でてんかん発作が起こったら?いざと言うときの周りの対処法出典 : てんかんの発作は実にさまざまな発作がありますが、なかでも意識を失うような大発作が起こったときはどう対処すればよいのでしょうか?ここではどのような発作にも広く対処できるように、基本的な対処の心得をまとめました。・まずはあわてず、落ち着いて行動するもし「これはてんかんかも?」と思った場合はまずは落ち着き、次の行動を心がけてください。・周りの危険物を遠ざけて、安全を確保する家具を動かすなどし、手足が動いてしまったときにぶつけて怪我をしないように空間を広げてください。また、倒れたときは頭の下にクッションや枕、上着など柔らかいもので頭を支えるようにしてください。・けいれんを押さえつけたり、意識がはっきりしないうちに薬を飲ませたりしないけいれんを押さえつけたり、意識がはっきりしないうちに薬を飲ませたりはしないでください。押さえつけてもけいれんは止まりません。また薬を無理やり飲ませると、むせてしまう危険があります。・発作時の症状を記録する不謹慎と思わず、発作の症状を撮影・観察してください。「発作かな?」と思われる症状が出始めたら、その様子を観察したり、スマートフォンなどで動画を撮影しておきましょう。医師に発作の症状を伝えるときに非常に役立ちます。・全身けいれんが5分以上発作が治まらないときは病院へ行くか、119番通報をする発作がはじまって、5分以上続いたり、何度も繰り返したりするようなら救急車を呼んでください。他にも呼吸の状態がおかしいとき、いつもの発作と様子が違う場合などは、迷わず医療機関を受診するか、119番通報で救急車を呼ぶようにしましょう。てんかん発作の予防策出典 : 現在分かっている段階のてんかん発作の誘発因子および予防策を紹介していきます。発作が起こりやすい状態を避けてできるだけ発作を起こさない配慮を心がけましょう。・睡眠不足をできるだけ避けるてんかん発作の誘因に過労やストレスなどが挙げられますが、もっとも影響が大きいと考えられるのが睡眠不足です。忙しさや緊張が続いているときは何ともなく、それらが和らいだときに発作が起きやすくなるという方もいます。・特発性てんかんの方は飲酒は控える脳の過敏性が高い特発性てんかんの方は、飲酒によって発作が助長されるため、お酒は飲まないほうがよいでしょう。症候性てんかんの場合は、発作の起こりやすさと飲酒は特に関係がないと考えられています。・感覚刺激で発作は誘発される刺激が原因で起こるてんかんのことを「反射てんかん」といいます。発作の引き金になる刺激は人によって異なりますが、強い光や特定の音、計算や読書などがあります。発作の誘因が明らかなら、それを避ければ発作を減らすことができます。まとめ出典 : てんかんは年齢や性別に限らず発症し、多種多様な発作を起こします。場合によってはてんかんと気付かれにくい発作もあります。医師の指示に従った治療を行っても発作が良くならないなど、困ったことがあればもう一度検査をしてみたり、セカンドオピニオンを求めたりすることも一つの手段です。ぼんやりしてしまう意識障害が伴うてんかんの場合は、本人に発作が起こったことに気がつかないこともあります。そのようなときは周りの人が本人や保護者に教えてあげましょう。てんかんは発作によっては周囲の協力や助けが必要になる場面が、多々あります。その時に助けを求めたり、サポートをしたりといった相互の協力が大切になってきます。
2018年04月24日8歳の誕生日の朝、「もう学校には行かない」と宣言した息子出典 : 歳の誕生日を迎えた秋のとある日、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如障害(ADD)のある息子が「もう学校には行かない」と宣言した。登校を泣くほど嫌がったり、「学校にいると心が辛い」と早退することを繰り返し、その頻度が高くなっていることを感じていた私には、さして意外な発言ではなかった。とはいえ、「学校に行きたくない」ではなく「もう行かない」と決意するまでに至った理由は知りたいので、私は質問した。「いいけど、何で?」「うまく言えない」伏し目がちにそう呟いた息子の声色は、「今は説明する気力さえない」と聞こえるように澱んでいた。「いじめられたわけではないし、勉強が嫌いなわけでもない」と、私の質問に対し首を動かす形で答えたあと、小さく、しかしきっぱりと「とにかく今は言えない」。「じゃあさ、気持ちの整理がついて、話したくなったら言ってよ」最初のうちは毎日本人に欠席の意思を確認し、学校にも電話を入れていた。しかし1週間を過ぎるころ、「もう行かないって気持ちは変わらないし、万が一変わったらそのときに言うから、いちいち聞かないでよ!」と叱られてしまったのだ。確かに、私そっくりの頑固者が、一度決めたことをそうそう曲げるとは思えない。私は学校に電話をかけ、「本人がこのように申しているので、欠席連絡は控えさせてもらいたい」との旨、担任の先生に伝えた。そして、2週間に1回、発達障害専門医を受診したあとには必ずこちらから連絡することを約束した。復学を望む学校側との話は平行線で…出典 : 実のところ私は当時、「このままかもしれないけど、もしかしたら復学するかも」などと考えていた。しかし一向に復学する気配はない。1ヶ月ほど経ったころ、「校長や教頭、支援コーディネーターとの四者面談を行いたい」という提案が、学校側からあった。前述したとおり、息子からは「学校に行きたくなったら自分から言う。それまでは聞くな」と釘を刺されている。そして、かかりつけの発達障害専門クリニックの先生にはもちろん相談済みで、「学校が合わないのなら家庭学習でも構わないのではないか」とのご意見をいただいている。「専門家のお墨付きもあるし、ちゃんとお伝えすれば学校の皆さんにもご理解いただけるだろう」だなんて、あのころの私はなんて呑気だったのだろう…。学校では、私が想像していた以上に問題視されていた。そして「1日も早い復学に向けて、ご家庭でも働きかけを」という論調で、こちらの話すことは受け入れてもらえる様子がない。詳しくは割愛するが、直前に行われた担任の先生との個人懇談では、息子や私の思いに寄り添ってくださる談話ができただけに、殊更に衝撃を受けた。在宅ワーカーである私にとって、自宅は仕事場でもある。そりゃ、学校に行ってくれた方が好都合だ。実際に私の仕事を理由に頼み込んで登校してもらったこともある。でもそれだって、かなり無理をさせていたのだろうし、申し訳なかったと思っていた。「嫌がる息子に無理強いをしたくはないので…」「無理強いではなく、お母さんがうまく促してくださらないと」支援コーディネーターさんは、呆れたような表情を浮かべていた。「勉強でしたら、本人も自宅で頑張ると申しておりますし」「学校は勉強だけではなく、社会生活に必要な様々なことを学ぶ場なんです。このまま苦手を克服するということから逃げ続ける息子さんを容認して、成長の機会を奪ってもいいんですか?」内心「出たよ、『苦手を克服』」と思いつつ、口が立たない私はそれについてうまく説明する言葉を浮かべられず、ただ曖昧に「はい」だとかなんとか相槌を打ち、その場をやり過ごしていた。「頑張っても克服できないから『障害』なんだけどねぇ…」学校を出て歩き始めてからようやくその言葉が口から出て、私は自分の至らなさにため息を漏らしてしまった。そしてこうした面談を、以降何度も繰り返すことになる。母子分離の恐怖に怯える息子と、追い詰められる私出典 : ある朝、起き抜けに息子は「人間って、死んだらどうなるの?」と質問してきた。「私、死んだことないからわかんないや。どうしたの突然」「うん…何となく」そのときはその程度のやり取りで終わったと記憶している。しかし事は「その程度」では終わらなかった。息子は、私の姿が見えなくなると不安げに私の名前を呼び、打ち合わせなどで外出したときは、実家から5~10分おきに電話をかけてきて、私が受話できないとなると震えながら号泣していたのだという。「仕事中は出られないよ、何時くらいに終わるよ」と伝えていても、だ。後日聞かせてくれたのだが、「恐ろしい夢を見て(内容は本人ももう思い出せないらしい)、のん(私の呼び名)がいつ死んでしまうのかと不安になってしまった」らしい。わが家は母子家庭、ひとりでこの世に取り残される恐怖に怯えていたようだ。一番辛いのは、もちろん私との分離不安を抱えている本人だ。しかし、8歳の知力と体力を駆使した後追いは、される側の体力や精神力もかなり削られる。実際私は、毎年恒例の冬季うつも相まって、吐き気や動悸を感じやすくなるなど、身心の不調が顕著になってきた。両親は「このままだと希望が潰れてしまう」と感じたようで、物理的な距離を取るための一人旅を提案され、東京出張に合わせて友人に会ったり、観劇などを楽しんで、少なくとも1泊してから新潟に帰るようにしていた。周囲の協力や、日照時間が長くなるにつれ冬季うつから回復してきたこともあり、現在では落ち着いている。恐れていた二次障害は目の前に迫っていた出典 : 話は前後するが、分離不安を訴えるようになった直後の診察で、主治医の先生に相談しており、服薬治療を開始している。その時点では入院も視野に入れられていたほど、息子は不安定だった。12月の半ばのこと。東京でクールダウンしているとき、ひっきりなしに鳴る息子からの電話に応対しながら、私はぼんやりと考えていた。彼がこのようなことになったのは、悪夢のせいももちろんあると思う。でもきっと、それだけではないだろう。入学後、いつごろからかは分からない。苦手を克服しようと頑張って、少しづつ心を削り、こうなるまでに追い詰められていたのではないか。このままでは二次障害まっしぐら、いや、既にこれは二次障害ではなかろうか、と。過日、テレビで発達障害グレーゾーンについての特集が放送されていた。そこで、児童精神科医の先生が「できる・できないで判断してしまうと、グレーゾーンの当事者はできることが多い。でも、できるけど倍疲れていたり、倍の時間がかかってしまい、知らず知らずのうちに負担を抱え込んでしまう」という旨のお話をされていた。息子は診断済みだが、このパターンであるように感じている。倍の労力を使っていることは、見ただけではわからない。そしてできてしまうだけに「やればできる」「特性による苦手も、努力で克服できる」と判断され、場合によってはそれまで「できない、辛いからやりたくない」と発言してきたことさえ、「発達障害を盾にしたわがままであった」とされてしまうかもしれない。未診断であったものの、小学生・中学生時代の私も同様の経験をしている。そして原因不明の体調不良になり、始業から放課までを学校で過ごすことが困難な日が増えた。今にして思えば、これも二次障害だろう。私は従来からの学校教育や制度を批判したいわけではない。しかし同時に、「心を壊してまで通い続けるべき場所ではない」とも、強く思っている。「いつかは復学するかもしれない」と、声にはせずとも、私はどこかでほんのちょっぴり望んでいたのだろう。だからこそ繰り返される面談でも、きっぱりとした態度を取れなかったのかもしれない。その、願ったところでどうにもならない、建設的ではない考えを、私は捨てることにした。ようやく聞けた不登校の理由と、私の決断Upload By 鈴木希望現在息子は服薬治療を継続しながら、自宅学習をしている。精神状態が落ち着いたからか、先日、学校に行きたくない理由を、私に話してくれた。「もっと先に進みたいのに、自分のペースで進められない」といった学習面や「壁の臭いや音の響きが苦手な場所がある」という感覚過敏に加え、私にとっては少し意外な理由も明らかになった。「誰かが悪いことをしていても、それをしたいという人が多いと、みんなそっちに味方してしたり、あっさり考えを変える人がたくさんいるのが嫌」「男子と女子が仲良くしているだけでラブラブだとか言って、囃し立てるのが理解できないし、バカバカしい」「頭のいい人や運動ができる人が羨ましいからって、自分よりそれができない人をバカにして、勝った気になる人を見るのが悲しい」いわゆる「小学生あるある」「学校特有の人間関係」に、強いストレスを感じているようだった。大好きな友人たちの話を笑顔で語っていた息子が、かつての私のような思いを抱えていたなんて…。「それぞれの人のことは嫌いじゃないし、みんながみんなそうってわけじゃないよ。でも、そういう人が多い中で過ごすのは、悲しいし辛い。自分には山形のA君とか、東京のY君とその奥さんのTちゃん、神奈川のR君って友達がいるでしょ?たまにしか会えないけど、いろいろな話をできる友達がちゃんといる。それじゃあダメなの?自分が苦手な人を否定したいわけじゃない。ただ離れたいだけなんだよ」念のため申し上げると、息子は年相応、もしくはそれより幼い面も多分にある。しかし、他者を尊重しつつも自分の心を守りたいというこの願いには強く共感したし、それを大人の都合でねじ伏せる屁理屈なんて、考えたくなかった。「ダメじゃない。いいと思う、私は」正直、不安がないわけではないし、「本当にこれでいいのか」という思いが頭をよぎることもある。けれど今は、悩み抜いて息子が下した「学校に行かない」という選択が最善であると信じて、できる限り支えて行くのだと決めた。かつての自分が、それを望んでいたように。
2018年04月24日学童で出会った、アスペルガー症候群のあるDくん出典 : 保育や教育については素人で経験もない私が、学童クラブ(以下、学童)のアルバイトに採用され配属されたのは、学校の校舎内に併設された学童でした。アスペルガー症候群があるDくんも、学童を利用していました。Dくんは、学校では特別支援学級に在籍していましたが、教室を飛び出し、特別支援学級の先生と2人で過ごすことが多くなっていたようです。ですが、その先生とのコミュニケーションもうまくいっておらず、だんだん学校に行きたがらなくなっていました。学校や友達のことは好きだったので、学童には毎日のように通ってきていました。でも、自分をコントロールできなくて友達や先生に怒られることや、本当は楽しく過ごしたいのに思うとおりにならないことに、悲しみや戸惑い、悔しさが混じったような何ともいえない表情を見せることがよくあったのを覚えています。Dくんにまつわるトラブルにはこんなことがありました。・遊んでいても気に入らないことがあれば癇癪を起こす・掃除などの当番を嫌がり、ほかの子に怒られる・終りの会など集まらなければいけないときに脱走する・人に注意されると殴ったり噛んだりと暴力を振るうほかの学童にヘルプに入ることもあったのですが、「発達障害があるので、細やかに見守ってほしい」といわれる子どもの中には、Dくんと同じようなトラブルのある子もいました。Dくんがトラブルを起こして、ベテランの先生に「ちゃんと対処してください」といわれてもどうしていいのか見当もつかなかった私。なんとかしたいと思い、発達障害についての研修を受けに行きました。でも、話を聞いてもピンときませんでした。自分に発達障害があると知ってからは、「自分のこと」として本を読むためか、さまざまな知識をどんどん吸収できるようになりました。ですが、自分が当事者であることさえ気づいていなかった私には、目に見えない「人の気持ち」を理解するのはとても難しいことだったのです。結局、懸命にDくんに関わろうとしたものの、彼の神経を逆なでしてばかり。今から思えばまったく支援になっておらず申し訳ないことをしたと思っています。そのような私ですが、今、発達障害当事者として気づけたことや、学童で働いていた経験をもとに考えた対処法を、少しでも多くの支援者や保護者の皆さんに伝えたいと思っています。そこで、次にどのような工夫があれば、発達障害のある子ども達にとって学童がより過ごしやすい場所になるかについて紹介していきたいと思います。発達障害のある子が、学童でストレスなく過ごすための「4つの工夫」出典 : 地域によって学童の上限人数やシステムには違いがありますが、比較的共通した問題と、それに対してできる工夫について紹介したいと思います。学童によっては100人近く在籍していて、教室も2つに分かれているところもあります。狭い教室に60人近くがひしめき合うように過ごしている場合もあるのです。騒がしい環境が苦手で騒音で疲れてしまう発達障害の子どもにとって、情緒も不安定になりやすい環境といえます。利用者数や場所を変えることはできませんが、次に紹介するような工夫をすることで、疲れやすい子どもにとって少しでも過ごしやすくなるかもしれません。■一番子どもの多い15時半過ぎ(6時間目が終わって子どもたちが全員帰ってくる時間)の様子をのぞいてみることをおすすめします。あまりに騒がしいなら「イヤーマフ」などの使用を学童の指導員に相談されてみるのもいいと思います。Dくんも、騒音が原因のストレスが大きかったのではないかと思います。■どのお子さんでも人数が多いと集中して宿題に取り組むのは難しいです。段ボールを貼り合わせて簡易的なついたてをつくると、周りからの刺激を少し減らすことができます。試してみるといいかもしれません。■大人数の中で過ごすことに疲れた子のためのクールダウンスペースも必要かもしれません。家具の配置を工夫してつくることもできると思います。つい立てよりは、家具で仕切れたほうが、ほかの子どもが入ってくることも少ないのでおすすめです。こういう話をできるくらいの知識が、その頃の学童のスタッフにあれば、Dくんももう少し居心地よく過ごせたかもしれないと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。学校の時間割は日によって何時間目に終わるか違います。もちろん学年ごとにも違い、1、2年生だけで静かに過ごせる時間がある日、みんな一斉に6時間目が終わって帰ってくる日など、スケジュールは曜日ごとに異なります。それに加えて懇談期間や家庭訪問期間など特別な時間割もあります。さらに夏休み、冬休み、春休みはスケジュールが大きく変わります。見通しが立たないことを嫌う発達障害の子どもたちにはつらい環境とも言えます。「どうして今日はこんなに遊ぶ時間が少ないの?」と納得できないかもしれません。そこで、考えられる工夫はスケジュールの見える化です。■学年ごとに時間入りの絵カードをつくり、教室の見えやすいところに貼っておくと、見通しがつきやすくなります。発達障害のある子どもだけでなく、定型発達の子どもも落ち着くのではないでしょうか。アスペルガー症候群のある私の娘は、当番の仕事の手順が分からないことに困っていました。分からないから、うまくできずに怒られると、当番自体が嫌になるのです。学童でも、こうした困難に対して工夫することができます。■当番の仕事のルールはできるだけシンプルにし例外をなくすこと、やることを分かりやすくリストにするのです。リストは、親がつくってもいいと思います。■ついうっかり当番を忘れてしまう、楽しいことに気を取られてしまうと場合は、指導員の声がけや、できたときに褒めることが大切です。■当番の仕事の必要性を分かっていない可能性もあるので「どうしてその当番が必要なのか」理屈で教えるのも、効果があるかもしれません。Dくんの場合、特性や支援の仕方などをまとめた、サポートブックがあれば学童のスタッフも支援しやすかったと思います。情報はあればあるほど助かりますし、サポートブックのようにまとめていればスタッフ間で情報を共有しやすいからです。これから学童を利用する・利用している方には、サポートブックの活用をおすすめしたいです。「困った子は、困っている子」だから…出典 : 正直に言うと、以前の私は、Dくんのことを「困った子だなぁ」と思ってしまうことがありました。ですが、一番困っていて戸惑っていたのはDくんだったんだと今では思います。「困った子は、困っている子」という言葉があります。その子の行動の背景に何があるのか、どう手助けすればその子が楽になるのか、一人ひとりの子どもに対して必要なサポートができれば、きっと学童は障害のあるなしに関わらず、どの子ものびのびと過ごせるインクルーシブな場になるのではないでしょうか。放課後の子どもたちの居場所が、すべての子どもたちに保障されることを祈っています。
2018年04月22日春は入園・入学・進級の季節。子どもはストレスを感じやすい?出典 : 入園・入学・進級をむかえた親子も多いこの季節。「うちの子も〇年生かあ…」など、子どもの成長をしみじみと実感している保護者の皆さんもいるのではないでしょうか。一方、入園や入学となると、新しい園や学校、知らない先生など、初めての環境で、変化を大きく感じる親子も多くいるのではないかと思います。例えば、この春幼稚園などに入園した子どもは、初めての集団生活やいつも一緒にいた母親がいないといった変化、学校に入学した子は、友達・先生との関係構築がいままでより複雑になったり、学習が始まったりといった変化をむかえます。また、保護者にとっても、本格的なママ友・先生とのつきあいやPTA参加など初めて経験することがあります。子どもにも保護者にも、分からないことや初めてのことだらけの新学期は、疲れやストレスがたまりがちな季節でもあります。特に発達障害があると、環境の変化に不安を感じやすいことが多く、ストレスを過剰に感じてしまった結果、登園・登校しぶりにつながったり、放っておくとゆくゆくは二次障害につながったりする場合もあります。子どもが新たな環境に慣れ、快適に過ごしていくには、ストレスサインや症状を感じ取り、適度に発散させていくことが重要です。この記事では、子どものストレスサインや気をつけたい症状、親子それぞれのストレス発散方法について紹介します。子どものこんな様子に要注意!不安・イライラ…心のSOSサインとは?出典 : 子どもがストレスを感じているサインは、生活場面から分かるものから、細かな行動・しぐさの変化までさまざまです。・学校での活動への意欲がない・挨拶に元気がない・体調不良をよく訴える・保健室へ行く回数が増える・友達と関わろうとしない・他学年の子とばかり遊ぶようになった・赤ちゃん返り・幼児退行のような行動が見られるなど・発熱・腹痛が多くなった・息苦しさを感じている様子が見られる・嘔吐、気持ち悪さを感じる頻度が多くなった・アレルギー症状の悪化、新たな症状の出現・睡眠の質の低下(寝つきが悪くなった、「眠れない」とよく言うようになった、怖い夢を見る、過度に睡眠時間が増えた、朝すんなり起きられないなど)・チックや自傷行為が見られるようになった・急激にやせた、あるいは太ったなど・感情の起伏が激しくなった・ちょっとのことで癇癪を起こしたり、反抗したりすることが増えた・無表情の時が多くなった・何もしないで長い間ぼんやりしている・挨拶をしなくなった・独り言を言うようになった・元気がない などここで述べた症状や状態の変化はあくまでも一例です。子どもが新学期に入って、明らかにこれまでとは違う言動や反応を見せるようになったら、少し注意して見てあげた方がよいでしょう。参考:こころのSOSサインに気づく|厚生労働省参考:学校における子供の心のケア|文部科学省新学期、子どものストレスサインを感じたら…サポート・発散方法は?出典 : では実際、子どものストレスサインを感じたら、どのような発散方法があるのでしょうか。一例をご紹介します。新学期は、親子ともにバタバタとした生活を送ってしまいがち。なかなか親子でゆっくり過ごす時間が取れていない、と感じている方も多いのではないでしょうか?入園や入学などを経て、少しお兄さん・お姉さんになったとはいえ、まだまだ子どもです。慣れない環境にへとへとになってしまったり、学校では気を張ったりしていることもあるかもしれません。親子でゆっくりお話をしたり、スキンシップをとったりするだけでも、子どもの安心感が高まります。また「いつもと違うかも?」という子どもの変化を確かめることもできます。忙しい時期ゆえに、親子でゆっくり過ごす時間は見逃してしまいがちです。少し意識して、子どもと接する時間を増やしてみましょう。特に発達障害のある子どもは、新学期に発生しやすい流動的な時間割のような、「いつもと違う」「見通しがもてない」ことに対してとても不安に感じてしまうことがあります。また、子どもの特性にあった合理的配慮が、新学期になりたてでなかなか受けられず、どうしても学校でうまく活動できずに落ち込んでしまうこともあるかもしれません。家庭でも、子どもの特性にあったサポートを心がけることが大切です。例えば、新しい教室の場所や新学期の予定をあらかじめ伝えておくなど「できる限り事前に伝える」ことで、新しい場所に一歩踏み出せるようサポートしてみるとよいでしょう。また、家庭で子どもの特性に合ったサポート方法を探ることができれば、その方法を学校でも同じように先生に実行してもらうなど、合理的配慮の導入もスムーズになることがあります。園や学校での活動以外にも、好きで熱中している活動がある、というお子さんもいるのではないでしょうか。好きな活動を存分にさせることがストレス発散になることもあります。新学期で疲れて、少しやる気や元気がない様子の子どもでも、もともと好きだったことに誘ってみて、乗り気になれば、この活動がストレス発散や、生活のモチベーション維持のきっかけになるかもしれません。学校終わりや休日などを見て、子ども自身が好きなことに思いっきり熱中できる環境を用意するのはいかがでしょうか。新学期は登園・登校しぶりが多くなる時期。登園・登校しぶりをされてしまうと、親としても仕事に行けなかったり、園や学校に連絡するのに気が引けてしまったりなど、困ってしまうことも多いかと思います。今まで親元を離れた経験がない場合や低年齢の子どもの場合は、慣れるまである程度時間がかかることもあります。次第に学校や園に馴染むケースも多いので、過度に心配しすぎずしばらく様子を見ることも必要です。ただ、登園・登校を嫌がる子どもを無理に行かせることが続いてしまうと、園や学校へのイメージがどんどん悪いものになっていってしまいます。登園・登校しぶりを見せた場合は、まず「行きたくない気持ちを受け止めること」を心がけることが大切です。子どもの気持ちに共感し、認めてあげることで、子どもの感情の波や不安定さが落ち着いて、登園・登校できることもあります。どうしても行きたがらない場合は、強制せず、家で過ごせるように工夫することも一つの手です。そのかわり、園や学校に行かないという選択をした日も、ただ、だらだらさせてしまう・放っておくのではなく過ごし方を工夫することをおすすめします。例えば、その日やることを子どもに決めさせたり、感じていることを紙に書きだしてもらったりするなど、子ども側の活動を促してあげることを心がけましょう。発達障害の子どもの場合、ストレス耐性が弱いことがあり、なかなかストレスを消化できないまま、二次障害につながってしまうこともあります。二次障害には以下のようなものがあります。・うつ・対人恐怖・ひきこもり・不登校環境が変わる新学期は、ストレスがたまりがちです。もし、上記のような症状の傾向が見られたら、スクールカウンセラーや臨床心理士、精神科医などの専門機関に相談しましょう。子どものサポートで余裕がなくなる前に…保護者が気をつけたいことって?出典 : 子どものストレスサインに気づき、サポートをするには、保護者自身もストレスをうまく解消していく必要があります。子どもだけでなく、保護者にとってもストレスを感じがちなこの時期に、どんなことを気をつければよいのでしょうか。「子どもが辛い・苦しいと思っている時は寄り添ってあげたい」「子どもが新しい環境で頑張っているんだから、私も頑張らなきゃ!」子どもに対して、このように感じている保護者の皆さんも多いと思います。ですが、「親の私が『疲れた』『休みたい』など弱音を吐いてはいけない」「ストレスサインがあったかもしれないのに、どうして気づいてあげられなかったんだろう…」このように自分自身を追い込んでしまったり、責めてしまったりすると、保護者の心もどんどん疲れてしまいます。この時期、特に不安定になりがちな子どもを支えるには、保護者自身が心に余裕をもつことが大切です。余裕がなくなると、子どもから伝えられているささいなサインに気づくことが難しくなりがちです。また、登園・登校しぶりが起きた時に、子どもの感情に共感できなくなってしまうこともあります。「子どもも新しい環境で頑張っているし、親の私も新しい環境・年度初めで頑張っている。お互い疲れてしまうことも、休みたくなってしまうこともある」などと、少し肩の力を抜いて、自分の今の状況や心身の状態を認めてあげることが大切です。園や学校の先生をはじめ、スクールカウンセラー、保健室の先生など、保護者以外の大人に、子どもの今の状態や心配事を共有しておくことも大切です。連絡帳や、時には面談などで、子どもに対して感じている不安や、新学期前後での変化を相談してみましょう。そうすることで、担任など複数の大人が子どもに対して目を向ける機会を多くできることがあります。子どもに目を向けてくれる大人が1人増えるだけで、子どもの変化にも気づきやすくなりますし、「自分が子どもをしっかり見なきゃ…!」と追い込まれがちな場合も、「先生と協力して子どもを見守っていこう」と少し気を楽にすることができます。子どものこの季節の登園・登校しぶりやストレスによる症状は、多くの保護者が経験してきています。先輩パパ・ママに「実は今登園・登校しぶりが激しくて…」「新学期に入ってから子どもの様子が変で…」と話してみると、意外と「うちもそうだった!」「こうやって乗り越えたよ」など共感やアドバイスがもらえることもあります。また、発達ナビユーザーの方も、新学期の登園・登校しぶりに関する悩みを投稿し、他の方がご自身の経験談を共有しています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。お子さんを取り巻く環境が一変したことで、落ち着かないのでは?と感じました。交流級と支援級と先生がいて、複数の先生がか関わることで、一番にどの先生を頼ったらいいのかわからない、支援級で受ける授業と普通級で受かる授業とがあり混乱している…またあるいは、1年生のときの同級生から「どうして支援級にいるの?」と聞かれて答えられないでいる…ということがあるかもしれません。転籍時は、自己肯定感が下がりやすいんです。なぜ僕だけ、私だけ、みんなと違うクラスで勉強するのだろう…みんなと何が違うんだろう…なんとなく心の中でもそうした気持ちがあるのだと思います。落ち着かないのは、不安のせいではありませんか?一学期は混乱するものだと割り切って、ちょっと長い目でみられるのも大事かもしれません。うちも一学期は毎年「地獄の一学期」と覚悟してました。落ち着かないまま夏休みに入り、残暑きびしい二学期最初までずっとつらい、10月くらいからやっと様子がつかめてきて、三学期に軌道にのる・・の繰り返しでした。これから何度も一学期がめぐってきます。たくさん一度に新しい先生に求めるとうまくいかないので、一個ずつ確認しながら・・がいいかな、と思います。学校内にお子さんの避難場所を確保する必要があると思います。保健室、図書室、支援クラス、プレイルーム……使える部屋がなければいっそ校長室でもいいです。登校しぶりが出ているのでスクールカウンセラーさんに相談したい、学校での様子を見てもらいたい、と担任の先生に聞いてみてください。スムーズに手配してくれるか、少し様子見がいるかもしれません。あくまでも担任の先生を輪に入れつつ、保健室の先生、主任先生、教頭先生、と相談を広げていけるといいかな、と思います。繰り返しになりますが、子どものストレス症状に気づいたり、登園・登校しぶりに対応するためには、保護者自身もストレス解消を定期的にしていくことが大切です。日々の子育ての中ではなかなか難しいことではありますが、自分の趣味やストレス発散方法(もともと好きなこと・趣味など)を実践できる時間を、短時間でもいいので定期的に設けるよう意識しましょう。自分の親に子どもを少しだけ見てもらう、一時預かり・ファミリーサポートなどの利用検討も含めて、時には子育てから離れ、リフレッシュする時間を作り出すのもよいですね。まとめ出典 : 新学期は、子どもにとって環境が大きく変化するため、子どもにとっても、親にとってもストレスや不安を抱えがちな時期です。「新学期がはじまったばかりだし、そのうち落ち着くだろう」と思ってしまいがちですが、実は子どもの強いSOSサインが隠されていることも。また、発達障害のある子どものなかには環境変化に強い不安感を抱いたり、何気ないことでストレスを感じたりする子どももいます。慣れて次第にストレスがなくなる場合もあるので神経質になりすぎる必要はありませんが、大切なのは、子どもや自分自身の心のSOSがあった時に気づけることです。子どもがストレスや不安を感じた時には、身体・行動・情緒面にどんな変化が現れるのか、あらかじめ把握しておくこと。また、子どものちょっとした変化に敏感に気づくためには、親にもある程度の余裕があることが重要です。新学期は親も子も、新しい環境からくるストレスや不安を感じやすいです。「無理をしすぎない」ように、親子それぞれにあったストレス発散方法を試していくことをおすすめします。
2018年04月21日ついつい後回しにしてしまうこと、ありませんか?出典 : やらなければいけないことはわかっているのに、ついつい他のことに手を取られて後回しになってしまうこと、ありませんか?私にとっては「お風呂掃除」がその最たる例でした。やり始めれば15分で終わることなのに「服が濡れるから後にしよう、子どもに呼ばれたから先にそっちを片付けよう…」などと理由をつけ、結局入浴直前になってから、ようやくお風呂を洗う…。そんな自分をそのまま受け入れることができるのなら、それはそれでいいと思います。しかし、私は「どうして15分で済むことがきちんとできないのか?」と自分を責めてしまうのです。そうして翌日からはさっさとやってしまおうと思うのですが、結局、後回しになってしまって後悔を繰り返してはうんざり。なんとかしないといけないなと思っていた時、SNSで「エネルギーがたくさんある午前中にやるべき事をやってしまえばよい」という情報を目にしました。「1日のエネルギー量」という視点を持っていなかった私には、それはとても新鮮なアイデアだったのです。エネルギーの使い方と充電方法を考える出典 : 発達障害の特性からイライラがたまり殻に閉じこもりがちな子ども達にとっても、これは有益な情報です。2人は普通の生活を送るだけで激しく消耗してしまいます。どんな風に自分のエネルギーを配分をしたらいいのかや、自分なりの充電の仕方を把握できたら、もっと過ごしやすくなるはず!そこで、早速子どもたちにこの新しい考え方を伝えることにしました。「今日、すごくいい情報を知ったの!あのね、1日のうちでエネルギーが満タンになっているのっていつだと思う?」(母)「元気がいっぱいあるってこと?」(息子)「やっぱり朝かな?」(娘)「そうだよね!寝た後だから体も元気になってるし、心もリセットされてエネルギーが満ち溢れてる感じがするよね。そのエネルギーがあるうちに、ちょっと頑張らないといけないことをやってしまうと、そんなにしんどくないんだって!」「じゃあ、今『なりたい自分になるために努力する時間』を午前中にしてるのはいいことなんだね?」以前、こちらのコラムに書いたとおり、わが家では午前中を『なりたい自分になるために努力する時間』という位置づけにして、ピアノの練習をしたり勉強をしたりしているのです。「うんうん!そうなのよ!それでね、ママはいつもお風呂掃除を後回しにしちゃう自分が嫌だなぁと思っていたの。これからはエネルギーが満タンになってる午前中に終わらせることに決めたよ。頑張るから応援してね」「じゃあ、その間に私たちは目標に向かってしっかり頑張るよ~!」自分一人だけではなく、家族がそれぞれ努力していることを感じられると、頑張ろう!という気持ちが大きくなるから不思議です。「でもね、そうやって頑張っていくと、どうなると思う?」「う~ん、エネルギーが減ってしんどくなっていく。だって夕方はいつも疲れてイライラするもん」「いいところに気づいたね。エネルギーって勝手に湧いて出てくるものじゃないから、きちんと充電しておかないと動けなくなっちゃうんだよ。車はガソリンが切れたら走れないし、ゲームは電池がなくなったら遊べないし、人間はエネルギーがなくなったら笑えなくなったり、攻撃的になったりしちゃうよね。どうすればいいと思う?」私の問いかけに娘と息子は相談しながら一生懸命考えます。「ちゃんと充電すればいいんでしょ?」「でも人はどうやって充電すればいいの?コンセントついてないよ」「そうじゃなくて、ママに抱っこしてもらったら元気がでるでしょ?そういうこと」「ああ、そういうことね!じゃあ、ママにいっぱい抱っこしてもらう」「私もいっぱい抱っこしてもらう~!!」相談した結果、2人の答えは出たようですが、これにはちょっとした問題点があります。「必要な時はいつでも抱っこしてあげるよ。でもよく考えてみて。それだとママがいない時とかしんどい時に充電できないことになっちゃうよ?」「ええっ!」 「じゃあどうすればいいの?」「あのね。まずエネルギーを満タンにするには、“心と体”2つの充電が必要なの。この2つは、基本的には自分自身で充電する必要があるの。誰かに充電させてもらうっていうことは、その人のエネルギーを分けてもらうってことでしょ?ステキなことだけど、いつもそれだと今度は分けてあげる人がしんどくなっちゃうからね」「そっかぁ、そうなのか」「でも自分でできるかな?」理解はしてくれましたが、少し不安そうな2人。そこで、こんな提案をしてみました。「例えば、お姉ちゃんは本を読むのがすごく好きだよね?本を読んでると疲れる?」「ううん!全然!むしろワクワクして、いつまでも読んでられる!」「ほら、今すごく目がキラキラして楽しそうでしょ?そう思えるものとやっているときに、心は自然に満たされて、それが次に何かをするためのエネルギーになっていくんだよ」「それだったら簡単!僕はフィギュアで遊んだりユーチューブを見たりすればいいんだ!」こうして、わが家では、午前は『なりたい自分になるために努力する時間』、午後は習い事などに取り組み、夕食以降は『心の充電をするために自分で自分を喜ばせてあげる時間』、『次の日の自分のために夜更かしせずにしっかり寝て体を元気にしてげる時間』にあてるという過ごし方を取り入れることになったのです。明日の笑顔を少しでも増やせるように出典 : 午前中は「さあ、頑張るよ!」とお互いに発破をかける分、夜は「さあ、自分で自分を喜ばせてあげようね~!」と、なんだか楽しい言葉が家の中に響くようになりました。これまで、私や娘に依存して過ごしがちだった息子が 「あれをやってみよう」「これで遊ぶことにする」と自分で決めて一人で過ごせる時間が増えてきました。これはとても大きな変化です。おかげで私も月に1本程度ですが、ここ10年ほど遠ざかっていた映画鑑賞ができるようになってきました。午前中にお風呂掃除を終えられる確率もかなり上がってきました。今までは「家事が残っているのに楽しいことをするのは後ろめたい」という考えに縛られていました。ですが、「きちんと自分を喜ばせて充電してあげなければ明日を元気に過ごせない」と考えを改めることで、堂々と充電作業に向かえるようになりました。「自分で自分を満足させる」というのはとても大切なことなのに、日々の忙しさに翻弄されてすっかり忘れてしまっていました。発達障害のある子どもとしっかり向き合って育てていくためには、膨大なエネルギーが必要です。心も体も疲弊している人も多いのではないでしょうか。なかなか難しいかもしれませんが、1日のエネルギーの使い方や充電の仕方を考えてみてください。1日5分だけでも自分自身を満足させてあげることができれば、明日はいつもより1分多く笑顔でいられる時間が増えるかもしれません。私も自分にそう言い聞かせて、今の暮らしの中で自分を喜ばせる方法を模索していきたいと思います。
2018年04月17日息子の子育てに疲れていたときに舞い込んだ「被験者募集」出典 : 今から数年前、私は息子の子育てにとても疲れを感じていました。自閉症スペクトラム障害のある息子は、感情のコントロールが苦手なうえに、カーッとくると自分の気持ちを上手に伝えることができなかったからです。一度スイッチが入って泣きわめき始めると、もう私にはどうすることもできませんでした。何をどうしたら良いのか、あてもなく、ただただ疲れていた私のもとに、ある大学の心理学研究室から「被験者募集」のお知らせが舞い込んだのでした。そのお知らせには、「セカンドステップ」というタイトルが書かれていました。当時の私は、このプログラムについて全く聞いたことがありませんでした。「問題行動のあるお子様とその親御さんが対象」と書いてあったので、「ペアレントトレーニングの一種かな。親の声かけのレクチャーかな?」と思った程度です。何はともあれ、そのときの状況を打開したくて、藁をも掴む気持ちで被験者として息子と一緒に申し込んだのでした。アメリカ発「セカンドステップ」Upload By 林真紀こうして、私と息子は「被験者」として、月に一度のペースで大学の研究室に通うようになりました。通い始めてすぐ、私は「セカンドステップ」がペアレントトレーニングやカウンセリングとは別物であることに気付きました。セカンドステップとは絵、写真、人形劇のパペット、音楽等を使って、子どもにソーシャルスキルを学ばせるプログラムです。レッスンは25回ほどあり、指導者が毎回決まったレッスンを行います。ソーシャルスキルとは、具体的には「怒りへの対処(アンガーマネジメント)」「衝動性のコントロール」「共感」といったものです。息子が受けているセカンドステップの教材は、「相互の理解」「問題の解決」「怒りの扱い」の3つの柱から構成されています。(最新の教材では、「学びのスキル」「共感」「情動の扱い」「問題の解決」となったそうです)息子は現在、10回目のレッスンを終えたところです。レッスンでは、怒った子どもの写真を見せられて、「この子はどんな気持ちかな?」「怒っている」「どうして怒っているって分かる?どこを見ればいいかな」「眉毛が上がって…眉間に皺が寄って、口が下に下がっている」「〇〇君はどんなとき怒った気持ちになるかな?」「お友達にうるさいって言われたとき」「怒ったとき、身体はどんな感じになるかな?」「頭がカーッと痛くなって…手がブルブルして…殴りたいって思う!」というようなやり取りが行われます。このように、写真を分析したり、人形劇等を行うことによって、息子は顔の表情、気持ちがわかるようになり、そのときに自分や他人に起こる変化について、冷静に感じ取ることができるようになります。息子は今は感情について分析するレッスンを受けていますが、この後、「どうすれば怒った気持ちが落ち着くか」ということについてのワークも準備されているようです。セカンドステップは校内暴力が多発した1980年代のアメリカで、こどものための委員会(Committee for Children)が開発した教育プログラムです。この教育プログラムの実践により、問題行動のあった児童の攻撃的な態度がおさまり、人間関係にも改善が見られたと言います。アメリカのセカンドステップは、未就学児向け・小学生低学年向け・高学年向け・中学生向け、及びその保護者向けのプログラムが準備されているそうです。日本の教育機関でも出典 : 日本でもこの教育プログラムの効果に着目し、教材を翻訳し、教育機関に導入したNPO団体があります。「NPO法人 日本こどものための委員会」です。この委員会は、2001年4月に設立され、現在は「セカンドステップ」の普及活動を中心に行っています。本場アメリカでセカンドステップを開発したNPO法人であるCommittee for Childrenから、日本国内で普及活動を行う権利を唯一認められた団体だそうです。法人 日本こどものための委員会現在日本でも、東京都品川区の公立小学校をはじめ、保育園や児童養護施設、児童相談所、少年院でも導入されているそうです。わが家の息子は、月に一度セカンドステップに通うようになって一年になります。プログラムを受け始めてから、自分の感情についてきちんと理解し、大人に助けを求めたり、自分の気持ちを説明することがとても上手になりました。パニックになったり、キレてしまったりするときは、ほとんどが自分にわきおこる「何か(感情)」を理解できていないときです。「あ、僕は今怒っている」「手がブルブルしている。口が渇いている。涙も出てきた。」「こういうときはどうしたらいいんだっけ…?」息子は自分がコントロールを失いかけたとき、こんな風に自分自身と冷静に対話することができるようになったと言います。それは、セカンドステップで学んだことです。「怒っちゃダメ」「キレるのは恥ずかしいことだよ」そんな言葉では、子どもが自分自身をコントロールすることは難しいのかもしれません。自分の気持ちを一歩引いて眺めてみる、あるいは相手の気持ちになって考えてみる、そうすることで、自分の気持ちと上手につき合っていくことができるのかもしれません。息子のセカンドステップのレッスンはまだまだ続きます。今後も、息子の変化に期待です。
2018年04月16日精神科は行きにくい場所?出典 : 自分や家族が精神的なつらさを感じている、悩みや困りごとをずっと抱えているという方に精神科の受診をすすめると、「病院に行くほどではないから」と断られることがしばしばあります。精神科はもっと深刻な悩みや症状を抱えた人が行く場所ととらえている方や、子供が行く場所ではないのでは…と考えている方も多いのかもしれません。しかし、もしも何らかの病気や障害だった場合、早めに治療を始めれば症状が軽くなったり、対処法を知ることで生きやすくなったりします。自分や家族だけで悩んでいるだけだと、対応策が見つけられないことも多いものです。専門家の診察があってはじめて、状況を理解して良い方向へ進むことができるようになった人もたくさんいます。そこで今回は、どんな病気の人が精神科にかかっているのか、診察はどのように行うのかなどが理解できる本をご紹介します。これらの本を通して、精神科がどんなところかイメージできるようになると、受診しやすくなるかもしれません。「精神科ではどんな病気をみるの?」が分かる本出典 : 冊目にご紹介するのは、精神科医である斎藤環先生・山登敬之先生の共著である『世界一やさしい精神科の本』。「14歳の世渡り術」シリーズとして出版された単行本の文庫版になります。この本は、発達障害やひきこもり、摂食障害、うつ病、統合失調症といった精神科で診療を行うメジャーな病気や障害、症状について解説されたものです。もともと14歳の子どもたちを対象に書かれた本なので、難しい言葉が使われておらず、とても分かりやすい内容になっています。「発達障害って、そもそもどんな特性があるの?」「ADHDやアスペルガー症候群などと言われるけれど、どう違うの?」といった疑問の解決にも役立つ1冊となりそうです。「精神科医は何を考えながら診察をしているのか」が分かる本出典 : 精神科が対象としている病気や障害について理解ができたら、次に読んでみたいのが『精神科医はどのように話を聴くのか』という本です。精神科医である藤本修先生の著書で、「精神科医はどのようなことを考えながら診察をしているのか」について書かれています。精神科医というと、ただ話を聴いて薬を処方する、というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その行為の裏にはさまざまな思慮が隠されています。同じ病気であっても、詳しく話を聴かないほうがいい場合もあれば、適切な治療をするためにしっかりと聞いたほうがいい場合もあります。また、病気によっては話を聴き過ぎると逆効果になってしまうこともあり、精神科医は場面ごとに見極めながら対応をしているのです。診察中の医師の考えがわかると、受診したときに何を話せばいいのか、医師がなぜそのような対応をするのかなどが理解しやすくなると思います。そうすると、精神科を受診することへのハードルが低くなるかもしれません。巻末には、藤本先生が提案する「聴き上手になるための10箇条」も掲載されています。子供が悩んでいるときにどう接したら良いのかなど、家族と会話をする上での参考書にもなる1冊です。「精神科って行きにくい…」と感じる人に読んで欲しい本出典 : 最後にご紹介するのは、『ラブという薬』。タレントや作家として活躍するいとうせいこうさんと、精神科医でありながらミュージシャンとしても活動している星野概念さんの対談を本にまとめたものです。帯に書かれている、「つらいことを無理に我慢するのではなく、つらいときはもっと気軽に精神科に行こうよ」というメッセージ。精神科ってすごく困っている状況じゃないと受診してはいけないのでは…と思われがちですが、そんなことはありません。実際にいとうさんは、仕事ができなくなるほど深刻な状態ではなかったけれど、診察を受けるようになって楽になったと本書の中で話しています。風邪をひいたら内科へ行くように、怪我をしたら外科へ行くように、心がつらいときは精神科を頼っていい。そのことが腑に落ちると、我慢しすぎていた「きつい現実」が、誰かを頼ってもいいんだという「少しゆるい現実」に変わっていきます。読み物としても非常に面白いので、精神科の本と難しく捉えずに、ぜひ気軽に読んでいただきたい1冊です。まとめ出典 : 「なんだかつらいけれど、これくらいのことで受診していいの?」「病院に行っても、大したことないって言われたらどうしよう…」そんなふうに悩んでいる方もおられるかもしれません。ですが、悩んでいるうちに問題がより深刻になってしまうことも少なくありません。精神科は、こわいところではありません。もし、受診しようかどうか悩んでいるのであれば、今回ご紹介したような本を少し読んでみてください。精神科を受診するためのハードルが、少し低く感じられるのではないかと思います。
2018年04月14日長時間のゲームで、子どもの体や成績に影響が…?出典 : 私は昔からデジタルゲームが大好きで、義務教育の期間は暇な時間はほぼずっとやっていました。それだけ魅力があるデジタルゲームですが、一般的にはあまりいいイメージを持たれていません。・目が悪くなる・攻撃的になる・勉強をやらなくなる etc...悪いイメージを挙げていくとキリがありません。長時間ゲームをやることにはさまざまな悪影響があると言われてもいるようです。デジタルゲームが大好きなお子さんを持つ方の中にも、長時間のゲームによる悪影響が心配だったり、勉強をしないために成績が芳しくないなど、対応に困っている方もいらっしゃると思います。デジタルゲームには「いい影響」もある出典 : 子どものころの私にも、長時間ゲームをやることでの悪影響があったと思います。しかし、デジタルゲームをやっていたからこそ身についた能力もいくつかあり、現在の仕事で役に立っているものもあります。次に、私が感じているデジタルゲームが持ついい影響について書いてみようと思います。もちろん科学的根拠があるわけではないので、そこはご了承のうえ参考にしてみてください。決められたルールの中での問題解決能力が抜群に出典 : 子どものころからゲームをやっていたという周りの人たちを見ると、ある程度ルールが明確になっている状態での問題解決能力がずば抜けている印象があります。例えば、システム開発で問題が発生したとき、問題が発生した状況が分かればすぐに原因と対応策を考えることができる人が多いです。私自身プログラミングをしていて、つくったプログラムが想定しない動きをすることがよくあります。そういうとき、私はそのプログラムが何をできて何ができないのか分かっているため、頭の中でプログラムを実行して問題個所と原因究明を行い、すぐに修正対応を行うことができます。これは世の中のプログラマと比較しても私が飛びぬけて得意な分野だと考えています。出典 : 最近は自由度が高いデジタルゲームが増えていますが、それでも多くのゲームではやれることに限界があります。プレイヤーはその限界の中で目的を達成するための方法を考えます。そして実際に試してみて、うまくいかなければ別の方法を試していきます。つまり、制約の中で最善を尽くすためにトライアンドエラーを繰り返すわけです。このトライアンドエラーはプログラムが想定しない動きをしたときの私の対応ととても良く似ています。「プログラムがやれることの限界を考慮したうえでなぜこのような動きになったのかを考え、その考えが正しいかどうかを検証する。うまくいかなければ別の方法を試す」。どちらも表面上やっていることはまったく違うように見えますが、ある程度定められたルールの中で目的を達成するために試行錯誤するという点は共通しています。デジタルゲームが好きな人はこのトライアンドエラーが苦にならないのだと思います。この能力をひたすら鍛え続けることになり、それが問題解決能力の向上に役に立っているのだと思います。出典 : しかし実社会では明確になっているルールはほとんどありません。私が社会人になった時に感じたように、いたるところにさまざまな暗黙のルールがあります。ルールが分かっていればどうすればいいのか考えることができるのに、肝心のルールが分からないのでどうすればいいのか分からない。20代前半の私はよくそんなことを考えていました。また、ゲーム好きだという、経験が浅いプログラマをフォローしたときに印象的なことがありました。最初は問題が起きても途方に暮れてしまい、どこから手を付けてよいのか分からない様子だったのが、私が質問しながらプログラムができること・できないことをまとめていくと「あっ!」と言って自分で問題を修正できるということがよくありました。つまり、「何を解決すればよいのかを見つける」ことができれば力を発揮できるのに、ルールが分からないために十分な力を発揮できず途方に暮れてしまうのです。問題の周辺にあるルールを探す能力は、発達障害があってもなくても身につけることが難しい能力だと思っています。そもそもルールを探す必要があることにすら気づかない人もいるでしょう。しかしこの能力を身につけることができれば、デジタルゲーム好きの人が持っている問題解決能力と合わさって、強力な武器になると私は考えています。ルールを設定するときのコツとは?出典 : 私のようにASDの傾向がある人にとっては、日常生活でルールを見つけることは困難です。そこで、私がルールを探しているときに気をつけていることを紹介します。一番大事なことは、ルールがまったく分からない状態にいる場合、間違っているかもしれないけれども「自分なりに適当なルールを設定する」ことです。次に大事なことは、ルールに従って行動してみた結果を判断し「勇気をもって最初に設定したルールをどんどん修正していく」ことです。ルールを探すと言いながら自分で設定するなんてどういうことなの?と思われるかもしれません。しかし、まったく何も分からない状況では、頭の中が真っ白になってしまい「何をやっていいのか、何をやってはいけないのか」が分からなくなってしまうと思います。「自分なりのルールの中で試行錯誤し、結果を見ながらルールを修正していく」経験を重ねることで、適切なルールを設定することができるようになっていきます。出典 : 自分だけで考えていてもうまくいかないことが多いので、できれば疑問に思ったことを素直に周りの人に聞いてみることが大切です。しかし社会人になると素直に聞くことが難しくなってくると思います。そこで、自分が行動した結果どうなるかを周りの人の反応を見て判断できるように訓練しておくと、問題解決のためのルールの設定ができるようになるだけでなく、格段に生きやすくなります。ASD傾向がある方には難しい訓練だと思いますし、思春期を過ぎてからようやく訓練し始めたASDの私もいまだに試行錯誤しているところです。私は聞けるときは直接どうだったか聞いてみたり、小説やアニメ、映画やゲームシナリオから、人はどういうときにどんな顔をしてどう思うものなのかを想像したり観たりすることで訓練してきました。相手の反応を見て行動の結果を判断できるようになると、それまでより格段に生きやすくなります。少なくとも私はその実感があります。デジタルゲームは居場所。生きていくためのスキルにつながることも出典 : デジタルゲームは、学校でも家でも居場所がないと思っていた子どものころの私が、唯一心の底から楽しめたものでした。体に悪いとか、目が悪くなるとか、ゲームにのめりこみすぎてはいけないことは、子どもながらにある程度分かってはいましたが、ゲームを完全に取り上げられたら生きる気力がなくなっていたと思います。そのような子は私だけではないと思います。さすがに1日8時間や10時間もやっていたら他のことができなくなってしまうので、周囲の方がゲームをやる時間を減らすよう働きかける必要はあると思います。しかし、ゲームにしか居場所がない、デジタルゲームでしか素の自分を出せない追い詰められた子どももいます。その子たちに素の自分を出せる場所を残しておいていただきたいと強く思います。デジタルゲームに夢中になった経験は、さまざまな形で生きていくための糧になっていきます。他のスキルと合わさることで強力な武器に変身するかもしれませんし、ゲームの中に出てくるものに興味を持つことがきっかけで生涯にわたってやりたいことが見つかるかもしれません。周りの方は心配することも多いかもしれませんが、子どもが好きなのであれば、デジタルゲームを完全には禁止しないでいただきたいと私は思っています。
2018年04月10日発達障害への薬物療法は向き合い方がポイント!出典 : 発達障害の特性によって、家庭生活、学業、友人関係に支障をきたしてしまう…そんな子どもに対しては、さまざまな支援や医療的なケアを利用することができます。その中で、親として最も判断に迷うものに、薬物療法が挙げられるのではないでしょうか。薬物療法を始めても、「薬物療法が本当に良い決断なのか、子どものためになるのか」「副作用などでかえって子どもを苦しめてしまわないか」など、迷いや不安があるのは当然だと思います。薬物療法に対しては、さまざまな考え方や意見があります。中には判断に迷う情報もあるでしょう。そんな中大切なのは、不安な気持ちのまま薬物療法を進めるのではなく、疑問を解消して自分なりに「薬との向き合い方」を考えていくことです。そこで今回、「薬との向き合い方」を考えるうえで感じることの多い不安や疑問を、発達障害や子どもの薬物療法に詳しい、名古屋大学医学部親と子どもの心療科准教授の岡田俊先生にお聞きしました。その答えを一問一答形式でご紹介していきます。【Q.1】薬を飲むメリット・デメリットって?出典 : 前提として、発達障害を根治したり、その特性を消失させるような薬物療法はありません。薬物療法では、発達障害の特性の一部・発達障害のある子どもに伴うことの多い症状を軽減させることができます。例えば、注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもに見られる、不注意や多動性-衝動性が薬によって緩和されたり、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもに多く見られる、かんしゃくやこだわりをやわらげたりすることに効果があります。これらの薬物療法の効果によって、その子の生きづらさが軽減されるだけでなく、親や教師がより適切なかかわりをしやすくなることもあるでしょう。薬に関する副作用や、それに伴う安全性への懸念は、多くの方が感じていると思います。ですが副作用は、どの薬にもあるものです。例えば、ADHD治療薬によって、いらだちが強まったり、こだわりが増強したりするほか、食欲の低下などの副作用が見られる子も少なくありません。また、ASDに対する抗精神病薬の使用で、眠気が増す、そわそわとした感じが出現する、月経不順、体重増加といった副作用が現れる子どももいます。あらかじめ子どもが飲む薬の副作用にはどんな症状が考えられ、万が一起きた時はどう対処すればよいのかを把握しておくことが大切です。以上のことを踏まえ、薬物療法においては、常にメリットとデメリットを天秤にかけて検討することが大切です。何を目標として薬物療法を受けるのかを、明確にしておく必要があります。発達障害の治療に関して、薬物療法が唯一の治療法ではありませんし、薬物療法によって改善しうる症状は、その子の抱える問題のほんのわずかな部分に過ぎません。・他の治療に比べて薬物療法を実施するメリットがあるのか・その他の治療と組み合わせることで相乗効果が得られるのか・薬物療法をいつまで続けるのかこの3点を中心に考えながら、薬物療法を進めることが重要です。【Q.2】薬物療法って、途中でやめられるの?出典 : 精神科の病気に用いられる薬には、一度服用すると、再発を予防するために薬物療法を続ける必要があることがあります。そのイメージが強いためか、発達障害の薬物療法でも「一度始めたらやめることができないのでは?」と考えている親御さんが少なくありません。確かに、子どもの様子を見て、薬の力が継続的に必要であれば薬物療法を続ければよいでしょう。しかし、薬物療法の標的となっていた症状がすでに改善しており、薬物療法を中止しても、概ねその状態が維持できるのであれば、薬物療法を続ける理由はありません。そのためにも、どんな症状を標的として薬物療法を開始したのかを明確にしておくことが、不要な薬物療法を漫然と継続しないためにも大切なのです。服薬を継続することのメリットやデメリットは、子どもであっても感じ取っているものです。親御さんの意見だけでなく、その子の服用感を大切にしながら、継続を検討していくとよいでしょう。【Q.3】薬物療法に対する意見が周囲と合わない時、どうすればいい?出典 : 薬物療法を巡って、子ども本人、親御さんにも迷いがある場合も少なくないのですから、ご家族の意見が一致しないことがあるのも当然のことです。自分の中でようやく決心に至ったのに、家族の意見で、また気持ちが揺れ動いてしまい、煩わしいと感じることもあるかもしれません。賛否を議論していても、何も決まりません。それよりも、現在の状況について、どのように考えているのか、服薬に際して何を期待し、何を心配しているのかを明確にすると、意外に対立点はないはずです。また、家族は薬物療法を開始したいという気持ちで一致しても、当の子ども自身が納得しないことがあります。あなたや周囲の大人がいかに困っているかを話して薬物療法の同意を取り付けようとする前に、子どもが薬に抵抗する理由を聞いてみると、「薬を飲むと自分が変わってしまうように感じる」「薬をのむと自分が病気であることを認め、どこか負けたように感じる」「とにかく特別なことはいやだ」など、その子ならではの理由があるものです。その背景には、発達障害をどのように受け止めているか、発達障害とともに育ちゆくことにどのような経験や思いを重ねているかなど、さまざまな認識が影響しています。薬を飲む・飲まない、ということから離れて、そういう思いの一つひとつを時間をかけて扱うことが大切でしょう。【Q.4】セカンドオピニオンを受けることも有効?出典 : セカンドオピニオンは、かつては「主治医の診断や治療方針に納得がいかないときに受ける」というような印象があり、患者の側も遠慮しがちに希望を申し出ていたところがありました。しかし、今日では、セカンドオピニオンは、安心して医療を受けてもらうため、医療側から見ても歓迎すべきプロセスとなっており、大学病院などでは重要な役割となっています。発達障害の診断は、その特性の程度により、どこから診断閾値を超えていると考えているか、医師によって若干異なることも考えられます。また、発達障害の場合、薬物療法を行うか否かは、診断の有無よりも、現在の状況を改善するためにどのような工夫が可能かという見立てによることが多いです。そのため、これまでの子どもの経過を最も知る主治医が適切な提案をできるとは思いますが、セカンドオピニオンで別の医師の意見を求めることも有益なことがあります。いずれにしても、発達障害の診療にあたる医療機関は限られています。そのため、通院中の医療機関に安心してかかるための工夫の一つとして、セカンドオピニオンも位置づけるとよいでしょう。【Q.5】子どもに対して、服薬をどう伝えればよい?出典 : まず、前提として、服薬の説明にしても、障害の告知にしても、親御さんのみで進めるのは避けましょう。障害の告知は、本来、その子の得意なところや苦手なところなど、子ども自身がさまざまな特性について自己理解を進めるうえで行われます。また、障害告知に関しては、単に障害名が伝えられるだけでは不十分です。その障害特性を踏まえて、直面している問題について可能な工夫を考えたり、新たな問題が生じても、そのことについて医師や学校の先生、家族と一緒に取り組んでいってもらえる安心感のある状況の中で行われたりする必要があります。薬物療法の提案も、その工夫の一つの方法として提案されることが大切です。服薬を説得するために告知をする、というのは、大きなマイナスの結果をもたらす可能性があります。もし、子どもへの伝え方が、1. その子どもが抱えている問題が現状では解決できない2. 解決できない理由はその子のもつ発達障害にある3. そのために薬物療法が必要であるこのような順序になると、「薬物療法を受け入れる=周囲とさまざまな問題を抱える発達障害特性がある」ということを、子どもに受け入れるように迫るということになり得ます。発達障害だから問題と直面せざるを得ないわけでも、発達障害だから服薬をしないといけないわけでもないのです。ですので、服薬のために障害を告知するというタイミングはよくありません。このノウハウは、医師がさまざまな経験のもと蓄積していますので、医師に任せて、親はどのようにそのプロセスに参加すべきか相談していくのがよいでしょう。出典 : その子どもの年齢や能力などを踏まえ、その子に応じた説明を行い、同意を得る必要があります。未成年の場合には、薬物療法の実施にあたり、保護者の同意(インフォームド・コンセント)が必要になりますが、親だけが納得していても子どもは服薬してくれませんし、同時に子どもの思いや決断も尊重する必要があります。そのために、その子の理解力に応じた説明を行い、同意(アセント)を得る必要があります。しかし、アセントを取得するにあたって、どのような説明を行うかは、医師の裁量に委ねられており、そこはその子の理解力を踏まえた医師としての力の見せ所ともいえる一方、そのような説明のもとに行われたアセントが本当に同意といえるかは悩ましいところでもあります。そのような説明と同意の現実をまず踏まえておくことが大切でしょう。その子の困りごとを整理し、その解決に薬物療法がどのように役立ちうるかと、薬物によって生じうる副作用を伝え、薬物療法を希望するかどうかについて子どもと話し合うことになります。その子の困りごとは、その子の視点からみた困りごとでなければなりません。「友達と仲良くなりたいと思っているのに、ちょっとしたことでキレてしまい、けんかになってしまう」「お母さんのことは好きなのに、早くしなさい、といわれるとかっとしてしまい、思わず物を投げてしまう」…これらのことに対して、本人ができる工夫、周囲ができる工夫など、いろいろあると思います。それらを行ってもうまくいかない時に、薬にも助けてもらうかどうかが話題になるわけです。薬には助けてもらうだけで、結局大切なのは本人の努力や工夫です。もし、薬物療法がとても有効であっても、薬ではなく、その子どもの頑張りを褒めてあげることが大切です。【Q.6】子どもの成長につれて、薬を拒否するようになったらどうする?出典 : 薬は対症療法にすぎませんから、その標的とした問題が解決すれば、中止を試みることになります。このような試みは、必ずしも医療主導とは限りません。ご本人やご家族の判断で、週末はやめてみた、長期休みなので飲まなかった、飲み忘れた日があったが問題なかった、など、いろいろなパターンがあります。一度、中止をしてみて、服薬を続けることのメリット、デメリットを再確認するのはよい方法です。服薬開始時点で、「何歳になったら卒業、薬に頼るのをやめよう」などという提案をされたという親御さんの話も聞きますが、このような表現は、薬を使用することが何かよくないことのような響きを持ってしまいます。本当に必要な薬であれば続けたらよいですし、現実には、そのような限界を設定しなくても、その年齢の前にやめてみようという試みが、ご本人やご家族からあることの方が多いものです。子どもが急に薬を飲むのを嫌だと言い出した、というケースもあります。その時には、なぜと問い詰めるより、その思いになったきっかけを確認することが大切でしょう。自意識が高まって「人と違うことはいやだ」と思うようになったのかもしれませんし、「何に対して自分は薬を飲んでいるんだろう」と思い、障害の受容をめぐって揺れ動いていることもあります。その場合、薬の服用については、本人の思いを尊重していったんやめてみることが多いです。ですがそのことよりも、そのような子どもの心の揺れ動きについて、診察のなかで扱うことが大切です。最後に、大切なことは、医師が服薬を薦め、子どもがそれに従う、という関係ではなく、薬物療法を含め、さまざまな話題を医師・親・子どもで一緒に考えていけるような関係性です。そのような関係性のもとでは、服薬をやめたいと思う、といったこともオープンに話し合えます。医師の処方通りに服用していないことがあるのは、医療全体にいえることです。しかし、抗うつ薬のように自己中断が離脱症状をもたらす薬もあります。「医者に通うこと=薬をもらうこと」ではない治療関係であれば、薬をめぐるオープンな話し合いができ、服薬の中止についても医師との相談のうえで、計画的にすすめていくことができるでしょう。まとめ出典 : 親としては、自分の子どもが一定期間にわたって薬を服用することに対し、どうしても不安やためらいを感じずにはいられないと思います。薬物療法の開始を決定した後でも、子ども本人にどう伝えるか、周囲とどのように意見をすりあわせていくかなど、さまざまな悩みが生まれることでしょう。あくまでも薬は対症療法の1つであり、メリットだけでなくデメリットもあります。薬を飲むことがどのような意味をもつのかを基準に考えることが重要です。また、薬を使うことは他の支援方法を諦めるということではなく、常に並行して考えていく必要があります。その子が発達障害とともに育つ、そして発達障害のある子を育むという歩みの中で、医療とどう付き合い、利用していくのか、こういった視点の中で、自分なりの薬に対する向き合い方を考えていきましょう。
2018年04月09日4月の発達障害にかかわる話題やイベントを紹介!出典 : 新年度のスタートは、新しいことを始めるにも良いタイミングかもしれません。今年度の受講者の募集や新年度対応の申請などが続々と始まっています。専門性の高い機関が行なっている支援プログラムなどを知ってどんどん活用していきましょう!また、当事者の声や専門家の話を聞けたり、就労支援における海外の事例も学べたりする講演会なども各地で続々と開催されます。ここでは、今月の話題をピックアップして紹介します!出典 : スカラープログラムは、全国から選抜された障害や病気のある中学生、高校生・高卒生、大学生・大学院生の中から、将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムです。DO-IT Japanが2018年度の参加者の募集を始めました。今年度は、進学や就労を目指す多様な障害や病気のある中学生から大学院生が対象の「2018年度スカラー」と小学生・中学生向けで、スカラープログラムに部分的(夏季プログラムの一部)に参加することができる「特別聴講生」の2つの枠で募集を行なっています。スカラーは夏に開催されるプログラムの参加に加え、インターネットを活用したオンラインメンタリング、ギャザリング、海外研修など年間を通じたプログラムに参加することができます。学びたいという気持ちを後押ししてくれるプログラムです。ぜひ将来に目標がある人は応募してみてください。【応募書類締切り】5月6日(日)(当日消印有効)【定員】各10人程度(選抜制)【問い合わせ】DO-IT Japan事務局(東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野)TEL/FAX: 03-5452-5228(平日10:00〜12:00・13:00〜17:00、「新規スカラー募集問い合わせ」とお伝えください)Eメール:toiawase@doit-japan.org Japan出典 : 通常の印刷された教科書では読むことが困難な児童・生徒のための教科書「平成30年度デイジー教科書」の申請受付が開始されました。デイジーのデジタル録音図書は、視覚障害者のほかに学習障害、知的障害、精神障害の方にも有効であることが国際的に認められてきています。国内でも平成13年度から福祉医療機構の助成により、認知・知的障害者向けマルチメディアデイジー図書の研究開発が進められています。使い方は、デジタル図書をパソコンやタブレットでインストールして再生します。医学的診断はなくても使用することができますよ。初めて教科書を使用する場合はホームページから申請書の提出が必要です。申請は誰でも行えるので、まずは気になったらページを開いてみてください。【お問い合わせ】日本障害者リハビリテーション協会情報センターDAISY担当宛TEL:03-5273-0796FAX:03-5273-0615E-Mail:daisy_c@dinf.ne.jpデイジー教科書 一般提供申請方法(平成30年度)Upload By 発達ナビニュースADHD当事者である著者のあーささんの書籍の出版記念講演会です。あーささんは21歳でADHDであることを知り、「もっと早い時期に知っていれば、あんな辛い思いをしなくてすんだのに」と思ったそうです。ADHDの知名度を上げ、理解を得るために 2003年「マンガで解説『フロンティア★ADHD』のサイトを立ち上げています。対談する高山恵子さんは、ADHD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育の専門家です。著書に込められた思いや当事者、専門家の立場からさまざまなお話が聞けそうです。【日時】4月18日(水)19:00〜21:00【会場】池袋東京芸術劇場シンフォニースペース【参加】2500円(書籍代含む)(定員100人)【内容】講演「ADHD脳でスランプ脱出!」 あーさ氏、対談「支援者として、当事者として」 高山恵子氏×あーさ氏【申し込み・問い合わせ】合同出版 担当:齊藤TEL:03-3294-3506Eメール:info@godo-shuppan.co.jp出典 : 子育ての中で、「何回言っても、うちの子はいうことをきかない」といった悩みを抱いたことはありますか?そんな悩みを解決するヒントが得られるかもしれない講演会が群馬県前橋市で開かれます。発達障害のある子どもの保護者向けのプログラムである「ペアレント・トレーニング」を奈良県で実践する楠本伸枝さんが講師を勤める講演会です。ペアレント・トレーニングは、保護者の方が子どもとのより良いかかわり方を学び、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援するものです。「子どもを叱ってばかりで辛い」「どう実践したらいいのかわからない」という人にはぜひ、おすすめです。楠本さんは、発達障害のあるお子さんのお母さんでもあります。コミュニケーションで悩みがあるお母さんやお父さんたちの気持ちに寄り添ったアドバイスがたくさん聞けると思います。日々の困りごとをポジティブに変える声かけを学びましょう!【日時】4月21日(土)9:30〜11:00【会場】前橋市総合福祉会館【参加】無料(定員90人)【内容】講演「子どもが変わるプラスの声かけ〜子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング〜」榎本伸枝氏(エジソンクラブ奈良「ポップコーン代表」)【申し込み・問い合わせ】ペアレント・トレーニングを学ぶ会(群馬大大学院保健学研究科十枝研究室)Eメール:grow9house@yahoo.co.jpTEL/FAX: 027-257-4701群馬県生涯学習センター まなびねっとぐんま「子どもが変わるプラスの声かけ 子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング」Upload By 発達ナビニュースアメリカから障害者雇用の国際的リーダーとして著名なジョイス・ベンダーさんを講師に招いて講演会が行われます。自身もてんかんによる脳出血を経験し、片方の耳の聴力の60%を失いました。この経験から障害者支援への熱意を持つようになったといいます。IT、エンジニアリング、財務会計、人事などの研修を受けた障害者の求人雇用のために、企業・政府機関と協力しダイバーシティとインクルージョン推進を支援しているスペシャリストです。アメリカ障害者協会会長と全米てんかん協会理事長なども歴任しています。当日は、DPI日本会議議長補佐の崔栄繁さんも日本の障害者雇用の状況を報告します。一般の方も参加できるので、この貴重な機会に海外の事例を学んで日本の障害者雇用の未来について考えてみませんか。(日英通訳・要約筆記・手話通訳・ヒアリングループ・点字資料有り)【日時】4月16日(月)13:30〜15:30【会場】名古屋国際センター別棟ホール【参加】無料(定員100人)【内容】講演・ディスカッション「アメリカの障害者雇用への取り組みと経済効果」ジョイス・ベンダー氏、「日本の障害者雇用の現状と課題」崔栄繁氏(DPI日本会議議長補佐)【申し込み・問い合わせ】愛知障害フォーラム(ADF)事務局:AJU自立の家・愛知県重度障害者団体連絡協議会担当:木下TEL:052-851-5240Eメール:adf.jimu.2008@gmail.com愛知障害フォーラム(ADF)ホームページまとめ気になる話題やイベントはありましたか?実際に参加したり、使用してみることで、困りごとが改善されたり、生活の質を高めてくれる手助けになるかもしれません。今後も月ごとにぜひ知ってもらいたい発達障害のニュースや関連イベントを紹介していきます。5月に開催されるイベントなどを募集します。情報をお待ちしております!
2018年04月06日心療内科とは出典 : 心療内科とは、何かしらのストレスが招いた体の不調を診ることを専門とする診療科です。「内科」とついているところからも分かるように、頭痛やめまいなど体に表れた症状を主に診ます。精神疾患の中には、症状として頭痛や吐き気、めまいなどの体調不良が現れるものがあります。しかしその不調の原因が精神的なものと分からないまま対処しても、なかなか症状が改善しないことがあります。そんなとき、症状の原因となる精神的なストレスに、カウンセリングなどを通してケアも同時に行うのが心療内科です。そのため、本来は精神科の領域のものでも程度が軽いものは心療内科でも診てもらえます。心と体の関係を考えながら、体の不調をケアしてくれるのが心療内科なのです。精神科・内科と心療内科の違い出典 : 心療内科は1996年に政令で表示を許された、比較的新しい名称の診療科です。名前のイメージから、精神科や内科と混同する人も多いようです。それぞれの科によって、診療できる疾患や得意とする診断領域、治療のアプローチが異なることもあります。心療内科ともっとも混同しやすいのは精神科ではないでしょうか。心療内科は大きなくくりで言うと内科です。体に表れた症状を治す診療科ですが、原因がストレスにあるため、カウンセリングなどで精神的なケアも行います。体と心の両方にアプローチして治療をするのが心療内科なのです。一方、精神科は不安や落ち込み、イライラなど心に現れた症状に向き合います。対象となる病気は躁うつ病、アルコール依存症、統合失調症などです。とはいえ厳密にはっきりと線引きされているわけではなく、両方の看板を掲げる病院も少なくありません。うつ病など、本来は精神科の範囲にある病気でも症状や程度によっては心療内科で診ることもあり、心療内科で相談したら精神科を紹介されたというケースもあります。心療内科も内科も、体の不調を治療するという点では同じです。違うのは、心療内科は体だけでなく心も含めて治療をするということです。内科はさまざまな症状に対応してくれるイメージもあるため、原因のよく分からない不調はとりあえず内科へ行く人も多いでしょう。そのため内科の検査では異常が見つからず、心療内科を紹介されたというケースもあります。心療内科や精神科ではなく、「メンタルクリニック」「メンタルヘルス科」という看板を掲げる病院も多くあります。これらは病院によって診療内容のとらえ方が違います。「精神科」という名前に抵抗のある人が多いと考え、精神科でありながらあえて名前を変えているケースもあります。また心療内科と精神科の両方の診療をするため、メンタル全般を診るという意味合いで看板を掲げるケースもあります。【参考】みんなのメンタルヘルス|厚生労働省心療内科の専門領域は、ストレスが招く体の不調出典 : ストレスが招く体の不調には以下のようなものがあります。・頭痛・倦怠感・めまい・不眠・過呼吸・食欲減退、過食・吐き気・腹痛、胃痛・動悸・発汗・抜毛頭痛や吐き気など、身近な症状が多く並びます。このような不調の背景には、以下のような疾患が隠れている可能性があるのです。心療内科の対象となる病気や障害など出典 : 心療内科の対象になる病気をいくつか挙げました。症状の程度や原因によっては精神科など、他の診療科を勧められる可能性もあります。何らかの理由で学校や会社にいけない、あるいは行きたくても行けないのが不登校・出社拒否です。登校や出社をしたい気持ちはあるのに、体がそれを拒否して腹痛や頭痛といった症状が表れるというケースもあります。休んで家にいれば症状が落ち着くこともあり、休むための嘘だと思われてしまうこともあります。ですが、子どもの不登校や配偶者の出社拒否から、本人だけでなく周りの人までストレスで体調を崩してしまうことも少なくありません。そのため、早めのケアが重要となります。主な症状は吐き気や腹痛、倦怠感、動悸などです。うつ病の中でも、心の不調が体の不調に隠れてしまっているものが「仮面うつ病」と呼ばれています。うつ病によくある気分の落ち込んだ状態が見られず、頭痛やめまい、不眠といった症状が目立つため、内科で診断を受けても異常は見つからず、単に調子が悪いだけだと思い込んでしまうことも多くあります。腹痛や下痢、便秘といった腸の不調が見られる病気です。日常生活への支障は痛みによる不快感だけではありません。急におなかが痛くなってトイレへ駆け込む、出勤前にトイレから出られなくなる日が多いなど、学校や仕事に影響が出ることもあります。症状を訴える人は男性と比べると女性が約1.6倍多く、年齢では30代までの比較的若い人に多く見られます。【参考】機能性消化管疾患心療ガイドライン2014|日本消化器病学会自律神経とは、体のバランスを整える神経です。その自律神経のバランスが崩れているというのが自律神経失調症ですが、自律神経の働きは検査ではなかなか正確に測れません。そのため、何となく体調が悪いのに検査では異常の見つからない状態が長く続いているものを自律神経失調症と呼んでいます。症状は倦怠感、不眠、めまい、頭痛、動悸、食欲不振などさまざまです。寝込んで起き上がれないほどの症状になることは少なく、多くの人は「なんだか調子が悪い」という状態がずっと続きます。片頭痛は名前の通り頭の片側に起こる頭痛ですが、両側に起こることもあります。ストレスなどにより頭部の血管が収縮、その反動で血管が広がったときにズキンズキンという痛みが起こります。主な症状は頭痛ですが、ひどくなると吐き気をともなうこともあります。頭や体を動かすと痛みが増すこともあるので、光や音の刺激を避けて安静にすると症状が緩和されます。発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、症状や特徴でいくつかの種類に分類されます。不登校やうつ(気分が落ち込んでいる)状態をきっかけに心療内科へ行ったところ、発達障害が判明したというケースもあります。発達障害の場合、環境とのミスマッチや人間関係がストレスとなったりすることも多く、発達障害の二次的な障害として、睡眠障害やうつ、不安障害などが併存するケースもあります。甲状腺の機能異常により起こるのがバセドウ病で、動悸や疲労感、発汗が主な症状です。脈拍も早くなり精神的にも落ち着かないため、「体が常に全力疾走をしている」と形容されることもあります。まぶたの筋肉が緊張することで常に目を見開いているように見えたり、眼球の周りの筋肉が肥大して眼球が突出することもありますが、バセドウ病が必ずしも眼球への変化をきたすとは限りません。突然息苦しさを感じ、呼吸が乱れ、息が入ってこないように感じるのが過換気症候群の特徴です。動悸や胸の圧迫感のほか、手足のしびれや筋肉のけいれんを感じることもあります。発症した場合、呼吸を遅くしたり止めたりすると症状は改善しますが、本人が呼吸をコントロールするのは難しいものです。紙袋などを口に当てて呼吸をするという対処法もありますが、医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。【参考】過換気症候群|日本呼吸器学会突然息苦しさや動悸、冷や汗、恐怖感などを感じてパニック状態になり、そのせいで社会生活に支障の出ている状態をパニック障害と言います。電車やエレベーターなど閉鎖された空間では「逃げられない」と感じるため、外出ができず、学校や会社へ行くことができなくなることもあります。状況によってはだれもがパニック状態に陥る可能性はありますが、自宅でテレビを見ているときに突然、寝ているときに突然など、予期しないところで発作が起きるのが特徴です。食事をうけつけなくなる「拒食症」と、無謀な食べ方を繰り返す「過食症」。この両方を合わせて摂食障害と呼びます。食べては吐く、を繰り返すこともあり、その場合は体内のカリウムが下がって不整脈を起こすこともあります。拒食により栄養状態が悪くなり、月経が止まることもあります。拒食と過食、行動は正反対ですが根っこは同じです。拒食から過食へ、過食から拒食へと症状が変化することも少なくありません。「やせたい」という思いから治療を拒むケースもあるため、まずは治療の必要性を理解するところから始まります。生活習慣病と言われる糖尿病ですが、ストレスがホルモンバランスに影響して血糖値を上げることもあります。倦怠感やのどの渇きなどが症状として挙げられます。治療は一般の糖尿病と変わりませんが、運動や食事などの生活コントロールがうまくいかずにストレスをためることにならないよう、注意が必要です。40代以降に見られる、様々な体調不良や情緒面での不安定な状態を更年期障害と呼びます。ホルモンの影響を受けやすい女性に多いのですが、男性にも症状が表れます。症状は自律神経失調症に似ていて、動悸やめまい、疲労感、イライラ、不眠など様々です。ちょうど子どもが就職や結婚で親元を離れる時期と重なることも多く、環境の変化に心がついていけずにうつ状態となることもあります。皮膚に病気や傷がないのに円形に毛が抜けてしまうのが円形脱毛症です。痛みはなく、社会生活に直接の支障はありません。自覚症状がないのが特徴で、美容院で髪を切ってもらうときに指摘され気が付くということもあります。しかし容姿が変わることでショックを受けて、他人の視線が怖くなり外出を拒むなど、間接的に影響が出ることはあります。皮膚に症状が現れるため皮膚科を受診するのが一般的ではありますが、背景にはストレスがかかわっている場合もあります。その点から考えると心療内科で治療を受ける選択肢もあります。心療内科における治療の流れ出典 : 心療内科ではカウンセリングを含めた診察、検査を経てそれぞれの症状に合わせた治療を行います。まずは医師に現状を伝えます。病歴や症状、薬を飲んでいるかなどはもちろん、原因になりそうなストレスや家族との関係、生育歴などを話します。もし同じ病状で他の病院にかかっていた場合はそれも話しておくと良いでしょう。うまくまとめて話せないことも多いため、受診前に簡単に話す内容をまとめてメモしておくとスムーズです。話しているうちに人間関係や仕事の相談をしたくなる気持ちも出てくるかもしれません。ですが、心療内科の医師は体の不調の原因を探るために話を聞いています。悩みを聞いて答えを探してほしいという場合は、カウンセリングルームを利用するという方法もあります。じっくりと話を聞いてもらえますが、保険が適用されないため、1時間で1万円くらいの費用がかかることもあります。問診の後は体の不調の原因や程度を探るため、必要に応じて血液検査、心電図、MRIなどが行われます。心理状態や性格を知るために、心理検査(心理テスト)をすることもあります。簡単な質問に答える検査のほか、カードに描かれた模様を見て何に見えるかを答えるロールシャッハテストなど、あいまいな質問で深層心理を見る検査が行われることもあります。心療内科の対象となる病気は、原因にストレスなどがあると考えられます。そのため、生活習慣や考え方を変えることにより、症状が改善することもあります。内科的な治療としては薬物療法があります。病気やその症状に合わせて抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、自律神経調整薬といった薬が使われます。最終的には薬物を使わなくても安定して社会生活を送れるように、徐々に薬を減らしていきます。ほかには患者の無意識を探りストレスの原因をあぶり出す精神分析療法、行動を変えて不安を減らす行動療法、認知のゆがみ(思い込み)を正して心を軽くする認知療法といった心理療法が用いられることもあります。診療にはどのくらい費用がかかる?出典 : 心療内科へ行こうと思ったとき、気になるのは費用ではないでしょうか。内科と違って問診(カウンセリング)の分の時間もかかるので、高額なイメージはあるかもしれません。しかしカウンセリングルームとは違って保険が適用されますし、カウンセリングと言っても何十分も時間をとれるわけではないため、驚くような額にはなりません。保険適用で3割負担のため、初診で払う費用の目安は2500円~5000円程度です。症状によっては薬や検査代が別途かかることもあります。臨床心理士によるカウンセリングを行っている場合など、別途予約料が必要なところもあります。予約の要不要を含めて、行く前に病院のシステムを調べておくと安心です。心療内科では、子どもが不登校の場合など、本人以外だけで話を聞きたいという要望にも応えてくれます。ただし本人不在の場合は自費診療となるため、費用も高額になってしまいます。パニック障害など、心療内科の対象となる病気には、自己負担が1割となる「自立支援医療制度」が適用されるものもあります。利用には医師の診断書と市町村での申請が必要で、市町村や都市に指定された「指定自立支援医療機関」でなければ適用されません。治療に時間と費用がかかる場合は、制度の適用について医師に相談してみると良いでしょう。【参考】自立支援医療制度|厚生労働省まとめ出典 : 心療内科は、ストレスが原因と考えられる多様な症状に対応してくれます。費用もほかの診療科とそれほど変わらず、特に高額ではありません。症状の中には自覚しづらいものも多くあるので、気になる症状があれば、一人で抱え込まずに一度心療内科へ行ってみるのも良いでしょう。ストレスの内容や症状について話すことで、客観的に自分を見つめることもできます。あわせて普段からストレスをためないような生活を送ることも重要です。ストレスは多くの病気の引き金になります。学校や仕事、人間関係など、ストレスと無縁に生きることはできませんが、できる限りため込まず上手に発散できると良いですね。
2018年04月05日診察室で、日々、出会うのです。親たちの思いと、言葉に…出典 : わが子のそだちに寄り添うなかに生じる違和感、「なにかが違うんです」という親の思い。そこには、わが子のこころに自分のこころが重ならないことの悔しさともどかしさがある。それが時に自分へのふがいなさとなり、自分を責めたり、わが子のわがままとしてつい追い詰めてしまう。発達障害という診断は、生来的にわが子にある特性として、その日その時にできる関わり方で対応するという医学モデルを提案するもの。診断が下ったとしても、誰も責めあう必要はないのです。親は「私の育て方でも、この子が私を嫌っているからでもないのですね」という安堵と、「でもこれからずっと、その特性と私もこの子もつき合っていくしかないのですね」という荷を背負う覚悟を、時には疲れ果てた思いとともに、語る。画期的な治療方法があれば、なにか魔法のようなものがあれば、ある日、朝起きたときにすべての課題が霧のように消えてしまっていたら。そういう願いを、いつもこころのどこかに抱きながら、親は毎日を送っているのだろうなぁ。僕は診察室での出会いから空想する。診察室で話をしながら、僕は、この子と親が自宅で悪戦苦闘している姿を空想する。リビングで、食卓で、トイレの前で。ゲーム機やタブレット、携帯を間に、激しい言葉のやりとり。モノが飛び交い、時に破損していく姿。そうした光景を走馬灯のように頭のなかで巡らせながら、僕はその子と親を診る。わが子のそだちにつき合っていくのは、もちろん楽しみでもある。しかし、苦痛でもある。先のゴールが見えないだけでなく、今歩いているこの道さえも、本当に正しい道かどうかすら、誰からも正しい助言を、親はもらえない。「日々のわが子の言動に迷いと途方にくれる思いを持ちながら、眼の前のわが子の言動に一喜一憂しながら、親としての時間が過ぎていく」「こんな苦労もそのうち終わると思っているのですが、ひょっとして終わりのない苦労なのじゃないかと思うのです」「いつまで私はこの大変さとつき合っていかないといけないのでしょう」「小さい喜びのあと、決まって大きな哀しみが来ます。最近は笑いながら泣いています」「この子が変わらないなら、私が家を出るしかないと、先日荷物をまとめたことがあります」「家族ですら、私の気持ちを分かってくれる人はいません。本当に疲れてしまいました」「本当は、私のせいではないのですか」僕は、診察室で、このような言葉と出会うのです。そしてその言葉の後ろにある、思いにー。子どもの生きる力を、思いを、翻訳して親に伝える。それが、僕ができることー出典 : 診察室でできることは限られている。育ちの見通しを明確に告げる予言は僕にはできない。せめてこの子の行動に裏にある意味や行動を説明する仮説を設定し、それを言葉にして親に伝えようと、僕は苦心する。時にそれは発達段階としての生物学的説明であったり、思いを言葉にできないゆえの行動であったり、強い個性から生じるちょっと分かりにくい個性的思考であったりする。同時に、言葉を届ける相手の気持ちに思いを馳せる。僕にとってそれほど的を外していないと思われる言葉であっても、今の眼の前の親には届かない場合もある。今、欲しい言葉でないときに、聴きたくないときに、言葉は対話とならずに宙をさまよう。今、最大限伝わると思われる言葉を選りすぐり、僕は親に言葉を贈る。何年やっても、その選択には自信がない。語り合うなかでの、微妙な表情の変化を読み取り、僕の言葉がシャットアウトされていないか、スルーされていないか、誤解されて伝わっていないか、恐る恐る微調整していく。気持ちの乗せ方、発語のスピード、抑揚、一期一会のやりとりである以上、できる限りこころを砕く。思いがこもる発話は、侵襲性が高い場合もある。記号化した言葉よりも、思いが過剰に残像となる場合もある。時に僕は紙に説明文を書き、それを説明して音としての言葉でなく、文字としての言葉を遺すこともしている。言葉は、恐ろしいものである。誤解も簡単に作ってしまう。そもそも、育ちという先の見えない、しかも、すべてが例外という育ちを、平均的に説明すればするほど、眼の前の子どもの有り様が消えていく。発達障害臨床、あるいは子どもの精神医療とは、マニュアル、ガイド化しにくいもので、診断名がついたことで、先が見えるというものではない。常に「じゃ、今を、明日を、これからを、どのように生きていけばよいのですか」。答えのない疑問を共有し、今できる小さいことを提案し、それを積み重ねていく作業を応援していく、それがそだちに関わる僕の仕事である。そのために、なにをおいても親には先に倒れることなく、焦らずに、日々の小さいできごとを、きちんと受け止め、喜び、泣き、次に生きる糧にしてもらいたいと、願う。子どもの育ちの速度を変えることは僕の臨床ではできない。子どもの力を一新することも、僕にはできない。僕にできることは、今のこの子の生きる力を捉え、同時に、この子の思いに近づく努力をし、それを周囲に翻訳し伝えることである。そのためには常に、大きく貢献してきた親への感謝と労いを、言葉にすることが重要なのである。「よく、ここまでそだてましたね」「この子に上手に寄り添っていますね」「この子も安心していることでしょうね」「お疲れさまです。ちょっと休んでよいかと思います」いくら言葉にしても、足りないくらいである。その子のこころに近づこうとすることー発達障害を突き詰めることより、大切なもの出典 : 医学は個々の発達のなかで、ある特性を強く持つ状況を、医学的に病態としてグループ化し、それぞれのグループに診断名をつけた。大きな括りは「発達障害」である。そのなかを、自閉スペクトラム症とか注意欠如多動症とかさまざまな名称で区分けをした。その特性の度合いは一定ではなく濃淡というイメージで、非常にバリエーションがあり、個々のなかでも、生活状況によって流動的だ。しかも、その区分けの境界線も非常に脆いもので、時に複数が混じり合っている場合もある。その特性は、突き詰めると、すべての子どもに濃淡があり、まったくないという子どもは、そもそも存在しないのではないか、鍵は濃淡の度合いになってしまう。すると、時にその特性は、医学的に診断されるものに該当し、ある特性は、存在するが診断されるほどの濃さではないと、医学的に判断される、ということになる。もちろん、大きな戸惑いもなく、判断される濃さもある。診断する側によって右往左往してしまう微妙な濃さもある。発達障害があるかないかという境界線は、実際には、明確さに欠ける部分がある、という感想を僕は診察室で常に抱く。それは、問題視するべきではない、全然大丈夫、という判断をしてもよいということではない。少なくとも、これまで述べてきた親の言葉は生活のなかで紡ぎ出された思いである。子どもたちも、どこか生活場面に戸惑い、追い詰められ、自己判断を否定され、思いを拾い上げてもらえず、糾弾されてしまう、という体験のなかで、苦しみうめいている。この事実に、僕はより生活がしやすい方法を探し、環境調整に苦心するのが精神科臨床であると思っている。明確な診断がつかなくても、診断という海図におおよその目途をたて、難破することなく、巡航できることを計画することはできる。あとは天候に応じて微調整を計り続けるだけである。海図は、あくまでも海図である。そこにリアルタイムな関わりを創造していくのが僕たちの臨床なのだ。発達障害を突き詰めるよりも、この子のこころにより近づこうとするほうが、実際は難しいが必要なことであり、近づく人は、この子の生活に実際に関わるすべての人たちでないといけない。その橋渡しが僕の役割である。僕は、日々を送られる子どもたちとその親を、こころから応援したいと思っている。そしてそれを支える周囲の生活者に敬意を払いたいと思います。
2018年04月03日薬ってそもそも何だろう?出典 : 私たちは、誰もが心や体のバランスを崩すことがあり、そのためにつらい体験をすることがあります。病気やけがを治したり、心や体のバランスを取り戻したりするために「薬」が用いられることがあります。薬の歴史は古く、紀元前には、草や木の根、一部の動物や鉱物などが薬として使用されてきました。しかし薬は、適切な状態に対して使用されなければ、利益をもたらすことも害をもたらすこともあります。そこで、薬を使うことは、現在の患者さんの病状を正確に診断し、それに対して処方すること、すなわち医学の専門的領域として発展してきたのです。現代の日本では、主にヒトや動物の病気の診断・治療・予防に使うものを薬機法という法律で定め、医薬品と呼んでいます。今日の医薬品は、漢方薬のように植物や動物などの生薬により生産されているものもありますが、多くは化学的に合成された薬品です。製薬会社はさまざまな候補物質を作成し、薬理学的活性や動物実験などによって、その物質が「薬」の候補となり得るかどうかを調べています。そのなかで有効性と安全性の両面で優れていると考えられる物質が、開発候補となります。これは製薬会社が合成した候補の中のほんの一握りの物質であり、慎重な検討のもと、開発候補(治験薬)が選定されるのです。しかし、実際にヒトで安全であるのか、患者さんで有効であるのかは、明らかではありません。第Ⅰ相試験では、健康人を対象にして治験薬が投与され、その体内での動態や安全性が検証されます。これをクリアした場合に、第Ⅱ相試験が実施されます。この試験では、試験への参加同意の得られた比較的少数の患者さんに対して、治験薬の安全性とともに、投与量と効果の関係が検討されます。第Ⅲ相試験では、第Ⅱ相試験の結果を踏まえ、より大きな規模で有効性と安全性が調べられます。このとき、仮に患者さん100人に治験薬を使用したところ、80人に有効であったということがあっても、この薬が有効であるかどうかは分かりません。第Ⅱ相、第Ⅲ試験では、プラセボ、つまり治験薬とみかけは変わらず薬効成分のない薬との有効性と安全性を比較することが普通です。プラセボは有効成分がないのだから効果も副作用もないだろうと考えるでしょう。しかし、実際にはプラセボでも効果や副作用があるように感じることがあります。人のからだは不思議で、薬と信じて服用すると、その安心感から自然治癒力を引き出すことがあります。このような効果を「プラセボ効果」と言います。この「プラセボ効果」と「薬の候補の効果」を、医者も患者さんも分からないという条件の下で、有効性と安全性を調べ、プラセボに比べて薬の候補が有意な効果を認め、安全性にも問題が無い場合に薬の候補となるのです。最終的には、これらの臨床試験の結果を踏まえて、規制当局が薬として承認することになります。このようなステップを経て開発された新薬には特許があります。新しく合成した化学物質には「物質特許」がありますし、その効能・効果には「用途特許」があります。それ以外に、製造方法に与えられる「製法特許」、製剤上の新しい工夫に関する「製剤特許」です。原則6年間がたつと、物質特許と用途特許は切れて、後発医薬品、つまりジェネリック医薬品の生産が可能になります。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ薬効成分を有しており、服用後の血中濃度の変化が同等であることが求められています。しかし、製法特許や製剤特許は切れていないため、ジェネリック医薬品のメーカーにより製法は様々で、薬効成分以外の成分は異なっている場合もあります。したがって、先発医薬品とジェネリック医薬品が全く同じ、というのは事実ではないのですが、国全体としては医療費を抑制していくことが急務ですし、ジェネリック医薬品メーカーも、より質が高いジェネリック医薬品の提供や安全性情報の提供などに努めています。ドラッグストアなどで一般の人が自分の判断で使用することのできる一般用医薬品もあります。このなかには薬剤師からの指導、文書での情報提供の要否や努力義務によって、第1類、第2類、第3類などの指定があります。軽い身体不調に対して自分で手当てするというセルフメディケーションも現在推奨されている方法の一つです。しかし、この記事でこれからご紹介する向精神薬は、医療機関でしか処方できない医薬品がほとんどです。「薬が効く」ってどういうこと?出典 : 風邪を引いたら風邪薬を飲む、熱が出たら解熱剤を飲む、というのは、幼い頃から当たり前のようにやってきたことで、何の疑問も持たないでしょう。しかし、風邪薬を飲んだから病気が治ったのでしょうか?実際のメカニズムは、それほど単純ではありません。初期の風邪には、葛根湯を飲んで体を温めたり、免疫機能を高めたりすることがあります。これは、身体自体に備わっている風邪を治す機能を後押ししているのです。風邪で病院を受診し、抗生物質を処方されることもあるでしょう。最近では風邪に対してお決まりのように抗生剤を処方されることはなくなってきています。これは風邪の多くがウイルスによるもので、抗生物質は無効であるばかりか、抗生物質の効かない耐性菌を作ったり、腸内の細菌叢のバランスを崩してしまうからです。しかし、風邪をこじらせた場合には、細菌感染を合併していることが、採血の結果や咽頭ぬぐい液の培養によって確かめられることがあります。このような場合には、細菌を殺す(殺菌)あるいは細菌の増殖を抑える(静菌)ことを目的として抗生物質が処方されることがあります。これは原因療法といってもよいでしょう。原因療法とは異なり、症状を軽減する目的で薬が処方される場合もあります。それを対症療法といいます。対症療法というと、なにか原因を踏まえないつけ焼き刃の治療法のように聞こえるかもしれません。しかし、症状を緩和することで、日常生活の質が改善したり、別の治療的アプローチが有効に機能することがあるとしたら、対症療法も一つの治療法というべきでしょう。総合感冒薬(いわゆるかぜ薬)をみると、頭痛を軽減したり、鼻づまりを治したり、痰を出しやすくする一方、咳を止めたり、熱を下げたりする成分が入っています。これらは、風邪を治すというよりも対症療法として、その間の苦痛を軽減し、食事がとれたり、睡眠がとれることで体力の消耗を抑えることによって、身体の回復を助けようとする薬です。発達障害における薬の効き方出典 : 発達障害に対して薬物療法はしばしば行われることですが、発達障害自体を完全に治癒させる薬物療法はありません。発達障害における薬物療法は、対症療法であると言えます。注意欠如・多動症(ADHD)の中核的な症状である多動性—衝動性、不注意に対して、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや副作用のプロフィールが異なっており、患者さんの状況や薬物への反応性に応じて使い分けられます。ADHD症状が軽減すると、全体を見渡して判断したり、順序立てた行動ができるようになったり、感情的になることが少なくなったりしますが、そのような思考や感情表出のパターンが本人にとっては新しい体験であったりします。また、保護者の方にとっても、「この子らしくない」とみえ、戸惑うこともあるでしょう。本当のその子らしさは、ADHDの症状が消えてみるとみえてくるものなのですが、それまでの間は戸惑いの方が大きいものです。日本では薬にまつわる否定的な表現も多くあります。薬に頼る、薬漬け、薬から卒業する、といった具合です。薬を使うことがネガティブに感じられ、本人や家族の努力不足であるかのような表現に聞こえる方もいるかもしれませんね。このような背景には、精神医学的な問題は、根性で立ち直るべき、といったような精神主義的な考え方があるのかもしれません。ADHDの治療においても、薬物療法か、薬物療法をしないかといった対比で語られがちです。ですが、これもそのような単純な図式では語れません。その子が行動上の問題を抱えているとき、望ましい行動を増やし、好ましくない行動を減らすためにはどうすればよいか、行動療法の考え方に基づいて最もよい対応を相談することが大切です。また、そのためのスキルを、ペアレント・トレーニングとして学ぶことも可能でしょう。また、学校や家庭で起こった現実的な困りごとについて、現実的な解決や調整を図ることも大切です。しかし、そのような行動変容を期待するとき、本人の動機付けを高めることも大切ですし、何よりも本人や家族が衝突ばかりを経験しており、疲弊しているようでは効果的な介入を期待できません。ADHDの子どもは小さな報酬に対して、脳の中の報酬系(快と感じる行動を選択しようとする脳の働き)が活性化されにくいと言われています。つまり、言葉で褒められただけでは行動が動機づけられにくく、食べ物やゲーム、お小遣いのようなわかりやすい報酬にしか反応しない傾向があるのです。しかし、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)を服用すると、小さな報酬に対しても報酬系の活性化が見られるという研究結果が報告されています。このことは、行動療法を行う場合にも、これまでには動機づけられなかったような小さなフィードバックに対しても、子どもたちが動機づけられる可能性を示しています。薬物療法は行動療法と相乗的に効果をもたらす可能性があるといえます。また、自閉スペクトラム症(ASD)の易刺激性に対しては、リスペリドン(リスパダール®)やアリピプラゾール(エビリファイ®)といった抗精神病薬が使用されます。易刺激性とは、かんしゃく、人への攻撃的な言動、自傷、気分の変わりやすさとして観察される感情のコントロールの難しさです。しかし、易刺激性の精神医学的な意味は必ずしも明確ではありません。薬剤は、抑うつ症状や気分の波、衝動性、こだわり、感覚過敏などのさまざまな面で効果を示している可能性があります。他方、易刺激性の背後には、相手の気持ちや社会的文脈を読み取りにくい、見通しを持ちにくい、コミュニケーション障害といった認知特性や対処スキルの乏しさがあります。薬物療法の実施がその子の社会適応状況を一時的に改善したとしても、そのうえで認知特性に応じた支援やスキル獲得を目指した援助を実施する必要があります。どういう場合に子どもに薬物治療を行うの?出典 : 発達障害という診断を受けたからと言って薬物療法を受けなければならないわけではありません。発達障害自体を治癒する薬はなく、薬物療法が唯一の治療的アプローチでもありません。そうすると、薬物療法は、どういう子どもの状態が対象になるのか、ということが問題になります。子どもが抱えている問題について、さまざまな治療的アプローチを行った上でなおも残存する問題があり、薬物療法を実施することが、その子の問題の解決を促進すると考えられ、かつ、本人や家族がその治療を望む場合に、薬物療法が開始されることになります。実際に薬物療法を実施し、そのことによって期待される効果が得られるか、効果と副作用のバランスを見て、その治療がポジティブな結果をもたらすと考えられる場合に薬物療法は継続され、その治療が不利益の方が大きいと考えられた場合には、薬物療法は中止されることになります。薬物療法を継続された場合でも、問題が解決し、薬物療法を継続しなければならない理由がなくなってきたならば、薬物療法を中止することになるでしょう。薬物療法を開始する前に大切なことは、いま困っている問題がどのような背景であるのか、ということを見立てることです。たとえば、クラスのなかが騒がしく、いつも話し声が聞こえたり、たちあるく人がいる状況では、その子が不注意になってしまうのは当たり前のことです。その子が不注意だからといってADHD治療薬を使用しても十分な効果があるはずはありません。その状況が、学校や家庭などの複数の場面で発達水準に認められるという診断基準に立ち返り、本当にADHDといえるのかを検討する必要があります。発語がない自閉スペクトラム症の子どもがかんしゃくを起こしているならば、自分の思いが伝えられない状況で起こっているのか、こだわりが崩される状況の中で起こっているのかなどを確認し、コミュニケーション支援や周囲の対応や環境の作り方を考えることが先で、まず抗精神病薬を使えばいい、ということではありません。そのような見立てのためには、その状況について、親御さんや周囲の大人と医師が話し合いを行うことが大切ですし、その見立てを共有する中で、薬物療法の是非についても議論されるはずです。十分な見立てのないまま「問題行動」に対して薬物療法が実施されるとしたら、それはデメリットしかもたらさないでしょうし、漫然とした薬物療法が継続されることとなります。発達障害の治療に使われる代表的な薬出典 : の中核症状である多動性—衝動性、不注意を軽減する薬剤として、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)が使用できます。メチルフェニデート徐放錠、アトモキセチンは、小児のみならず成人に使用可能ですが、現時点ではグアンファシン徐放錠は小児にのみ使用可能です。それぞれの薬剤は、効果が出現するまでの時間や効果の強さ、効果がみられる時間の長さや副作用の現れ方が異なっています。メチルフェニデート塩酸塩|PMDAアトモキセチン塩酸塩|PMDAグアンファシン|PMDA古くから発達障害に適応を有する薬剤として、ピモジド(オーラップ®)があります。添付文書によれば「小児の自閉性障害、精神遅滞に伴う下記の症状:動き、情動、意欲、対人関係等にみられる異常行動、睡眠、食事、排泄、言語等にみられる病的症状、常同症等がみられる精神症状」に有効とされており、これだけをみるとあたかも万能薬のようにみえてしまいます。ですが、当時と現在では適応症の決められ方が異なっており、この薬剤が他の抗精神病薬に比べて広範な効果を特別に示すとは考えられていません。この薬剤は、心電図のQT時間を延長させる作用があり、特に高用量では致死的な不整脈を起こすことがあります。そのため、最近では使用の機会が少なくなっています。自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に使われる薬には、前述のとおりリスペリドン、アリピプラゾールがあります。使用する用量は低用量から中用量であり、鎮静を期待する量を使用することは好ましくありません。一般的には、うつ病や強迫症、その他の不安症に対して用いられる薬剤です。自閉スペクトラム症やADHDに抑うつ症状を伴うことがありますし、自閉スペクトラム症に強迫症状や社交不安などの不安症状を伴うこともあります。これらの症状に効果を示す可能性はありますが、逆にいらいらとした気持ちを高めたり、死にたい気持ちが高まることもありますので、注意が必要です。自閉スペクトラム症に伴う強迫症状には、抗精神病薬の方が有効なこともあります。気分の波やいらいら、感覚過敏などを伴う場合に使用されることがあります。気分安定薬の多くは抗てんかん薬としても使用されます。一般的に使用されるベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬は、脱抑制といって、興奮を強めたりすることがあるので、特に小児では避けられることが多い薬剤です。自閉スペクトラム症に伴う不眠には、メラトニンの有効性を示す報告が多くあります。メラトニンは覚醒と睡眠を切り替えて眠りをうながすホルモンです。日本では、メラトニン受容体に作用するラメルテオン(ロゼレム)が使用可能です。ベンゾジアゼピン系でない薬剤では、オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(ベルソムラ)が使用可能ですが、小児における有効性と安全性のデータが報告されていません。リスペリドン|PMDAピモジド|PMDAアリピプラゾール|PMDAラメルテオン|PMDAスボレキサント|PMDA発達障害の子どもへの薬物療法を行う際に気を付けたいこと出典 : 治療決定についての考え方は、昔と大きく変わってきました。以前は医師が専門的知識に従って治療方針を決定し、患者はそれに従うものでした。薬物療法についても、医師の指示通りに患者が薬を飲むかというコンプライアンス(服薬遵守)が問題とされてきました。近年では、医師は専門的知識に基づいて治療決定に必要な情報を提供し、患者がその方針を決定するものに変化し、その方針への積極性もアドヒアランスという言葉で表現されるようになっています。子どもの場合、法的には保護者が意思決定を行うことになりますが、保護者が決めた意思決定に子どもを従わせるというのは現実的にも不可能なことです。最近では、子どもにおいても自己決定を尊重し、子どもには子どもにわかる範囲の最大限の説明を行い、積極的な同意(アセント)を得ることが求められています。その子どもがわかる範囲というのは、その子の年齢だけでなく、知的な水準やそのパターンによっても異なってきます。病名や薬剤名を伝えるというよりも、その薬がどのような影響(効果、副作用、日常生活に期待される変化)をもたらし得るのか、実際にどのような薬剤(色、味、剤型など)なのか、いつまで服用するのか、など、わかりやすく説明し、子どもの意思を最大限尊重する必要があります。副作用のモニタリングも大切です。とはいえ、発達障害の診療に訪れる子どもは、すでに「お注射はされない」「お話だけ」などと説得されていることもありますし、検査が苦手な子も多く、専門医療機関が少ない現状の中で、子どもに嫌われたくないという医療機関側の思いも相まって、本来期待されるよりも少ないモニタリング頻度になっていることが多いでしょう。それらのモニタリングも含めて治療の枠組みとして説明しておくことが大切かもしれません。一方、モニタリングは採血や心電図など、本人の負担のある検査ばかりではなく、体重、脈拍、血圧、日々の様子など、さまざまな観察で行うべきものもあります。その点についても親御さんと医師で話し合っておく必要があります。まとめ発達障害の治療において、薬物療法だけですべてが解決することはありません。解決したい子どもの行動の成り立ちを医師と家族が一緒に見立て、環境調整や行動療法などと組み合わせることが大切です。いま何のために薬を飲んでいるのか、子どもと保護者、主治医が目的を共有し、その後の効果と副作用を見極めながら、薬物療法を継続していくか否か、意志決定していく必要があります。
2018年04月02日新生活は引っ越しの季節!「親子で一緒に事務手続き」のススメ出典 : もうすぐ新年度。大学進学や就職をきっかけに子どもが親元を離れ、一人暮らしを始める家庭も多いでしょう。一人暮らしを始めるうえで欠かせないのはさまざまな事務作業の数々。細かい注意事項が多い契約や間違えてはいけない提出物など、注意力が必要とされる作業がたくさんあります。親御さんはこれらの事務作業を子どもに任せるか、やってあげるか、迷うところでしょう。本人の自立のためには任せるべきだけれど、親心としてはトラブルの心配が勝ってしまい、結局全部やってあげてしまう、ということもあるのではないでしょうか。確かに、特性がある子どもに重要な手続きを一任することは心配ですよね。でも、この機会は、子どもが生活インフラや住居環境についてまとめて把握できるチャンスでもあるのです。例えば、生活インフラの手続きを親が全部やってしまうと、子どもはいざ自分で公共料金を支払うときにシステムの理解が足りておらず、トラブルに巻き込まれる場合もあるかもしれません。子どもには何ができて、何ができないのか、そこを理解し、対策を打つことができれば、苦手なことにも前向きに取り組めるのではないでしょうか。次の章から、引っ越しに関連し起こる業務の中でADHDのある人がつまづきやすいポイントと、その対策をご紹介します。引っ越し関連の手続き、ADHDならではのつまづきポイント出典 : 引っ越しに際して、やるべきことはたくさんあります。届出を出すことや、契約の更新、各種サービスの登録内容の変更など、どれも生活に重要なことばかりでミスや抜け漏れはできません。これらの作業をこなしていくうえで、ADHDの特性ならではの困りごとが出てきます。忘れっぽさや注意力の弱さがある場合、事務作業にはどうしても苦手が生じてしまうのですそれでも、どこでつまづきうるのかをあらかじめ把握しておくことで対策が可能です。以下の項目を参考に、それぞれの特性を踏まえて、引っ越しの際に起こりそうな問題をあらかじめリストアップしておきましょう。■忘れっぽい・書類の提出期限を忘れてしまう・各種申請に必要なものを忘れてしまう■気が散りやすい・片づけが終わらない・書類の記入がなかなか進まない■注意の持続性が弱い・書類のミスが多い・提出の抜け漏れがある■感情や欲求のコントロールが難しい・引っ越しに必要な資金が足りない・引っ越しギリギリまで予定を入れてしまい、準備する時間が取れない■優先順位が付けられない・大事な手続きを後回しにしてしまう・やることのスケジューリングができない※上記は一例です。特性を踏まえて親子で注意すべき点をリストアップしてみましょう。ADHDの引っ越し、苦手を知って上手に対策!出典 : つまづくポイントが分かったら、対策を考えていきましょう。■チェックリストをつかう引っ越しの事務作業で難しいところは、細かい作業や必要なものがたくさんあるところです。あらかじめ、するべき契約や申請をリストアップし、それぞれの必要なものをひもづけた表を作ってみましょう。やるべきことを体系的に把握でき、頭の中を整理できるはずです。資金についても、何にどれくらいお金がかかるのかを書き出しておき、半年~1年前から貯金のスケジュールを立ててみるとよいでしょう。引っ越しのやることリストは、引っ越し業者などがネットで公開しているので、そちらも参考にしてみてください。この記事では、日本マイクロソフトが無料で提供しているエクセルシートタイプのテンプレートをご紹介します。引越し To Do リスト | 日本マイクロソフト「楽しもう Office」■カレンダーアプリを使う・リマインダー機能で抜け漏れ防止申請や契約をカレンダーアプリに記入しておくと、期日が近づいたときにリマインダーが教えてくれます。引っ越し3週間前、2週間前、前日、といった間隔で作業の進捗状況を確認する日を設定しておくと、全体の流れも把握しやすくなるでしょう。・契約ごとの持ち物も記入し、忘れ物ゼロへ契約や各種申請には、それぞれ持ち物が必要なことがあります。カレンダーアプリに予定を記入する際に、持ち物も書いておくことで、いつまでに何が必要かを把握し、リマインダーで知らせてもらうことができます。・引っ越し前の忙しさ段階で色を分けるカレンダーアプリに作業する時間を設定しておくと、そこに予定を入れてしまう心配も減ります。また、3週間前は緑、2週間前は黄色、1週間前は赤、のように色分けをしておくことで、忙しさを感覚的に理解することができ、スケジュールの調節に役立つでしょう。■できないことは人の力を借りる書類のミスが心配な場合は家族や知人にお願いすることも大事です。本人以外のダブルチェックを挟むことで、よりミスを防ぐことができるでしょう。期日忘れが心配な場合はカレンダーアプリは複数人で共有することも可能なので、可能な間柄であったら予定を期日を把握しておいてもらってもいいですね。できないことはプロにお任せ!引っ越し関連の相談先まとめ出典 : 工夫をすることで、解消されるお悩みもたくさんあると思います。けれども、お金の計算や引っ越し後の整理整頓、各種契約など、どうしても苦手意識が勝ってしまうこともあると思います。そんな時、相談にのってくれたり、代行してくれるプロがいます。できないことを無理にやろうとしてつかれてしまったり、自己肯定感を下げてしまうよりは、プロの手を上手に借りることも一つの手段です。・整理収納アドバイザー整理収納アドバイザーとは、住まいのレイアウトや収納方法の提案を専門的に行っている人たちです。新しい住まいに家具や、物品をどのように収納するか迷っている人は、相談してみるのもひとつの方法です。引っ越し業者の中には、整理収納アドバイザーの資格所持者が所属しているところもあるので、問い合わせてみましょう。アドバイザー一覧│特定非営利活動法人ハウスキーピング協会・各社の問い合わせ窓口水道やガスの手続きなど、ホームページや書類を見ているだけだと理解できない部分も多いこともあります。そこで、分からないことはまとめて、各社のお問い合わせ窓口に相談し、話しながら整理していくことで、解決できる部分も多いでしょう。※下記は一例です。問い合わせ窓口は、お住まいの地域によっても異なります。確認して連絡してみましょう。受信料関係のお問い合わせ先│NHK HPお引越しの申込み│TEPCO HP水道局お客さまセンター(23区) | 東京都水道局東京ガスお客さまセンター│東京ガスまとめ出典 : いかがでしたか?複雑な作業がたくさんあり難しい印象がある引っ越しも、どこが大変でどんな対策が打てるかを理解できると、少し気が楽になるのではないでしょうか。しっかり準備をして臨むことで、新しい生活が始まった後のことも具体的にイメージできるようになるはずです。少し手間がかかったとしても、本人に任せてみることでお子さんの自立した新生活の第一歩となるのではないでしょうか。
2018年03月31日思いついた。アメリカに行こう。出典 : 成人になってからADHDと診断された私は、言葉で語りつくせないほどの生きづらさを抱えて日々を過ごしてきました。中でも生きづらさのピークだったのが大学生時代です。厳しい受験勉強を乗り越えて、やっと掴んだ自由な生活だと思ったのに、その自由に翻弄されることになりました。私が通っていた大学では、「変わっている」ということが許されないという暗黙の了解をひしひしと感じる日々でした。そこで私の特性(周囲の話を聞かずに喋ってしまう、思ったことをそのまま口に出してしまう等)は周囲から嫌われる原因となり、いつしか「マシンガントーク」「毒舌」「言葉のナイフ」といったあだ名をつけられ、人間関係が良好とは言い難い日々が続きます。当時の私は、大学を中退したいと思うほどに追いつめられていました。けれども、中退して何をするのか、別の大学を受験し直したとしても、またうまくいかないに違いない…と、鬱々とすることになります。そして考え抜いた私は、一旦学生生活の仕切り直しをする決意をしました。アメリカの大学に、1年間留学することに決めたのです。異国の地で周りにかけられた言葉は…出典 : 私のアメリカ留学生活は、大学寮でスタートしました。大学寮では2人部屋になり、ルームメートと寝食をともにすることになります。今まで一人部屋で自由気ままに生活してきた私にとって、ルームメートが常にいる生活はなかなか大変でした。四六時中一緒に生活していると、当然お互いに不満や要求も出てきます。ルームメートは遠慮なく不満や要求を私に言ってきましたが、私はグッと我慢して言わないようにしていました。日本の大学で「言葉のナイフ」というあだ名をつけられ、散々嫌われた思い出がどうしても引っかかっていたのです。しかし、ある日、どうしても我慢ができないことがあり、「前から思ってたんだけど…」とおそるおそるルームメートに話をしました。そのときのルームメートの言葉が忘れられません。"I can’t read your mind!!" (私、あなたの心は読めないわよ!)そのとき、初めてルームメートと深く話をしました。そして、彼女が言ったのです。「言わないで分かってもらおうとするのは、日本の文化なのかもしれない。でも私は、口に出して言ってもらわないと、何も分からない。約束してね、ここにいる間は、心にためないで、全部話して。さっきも言ったけど、私はあなたの心は読めないから。」このときの私の衝撃たるや凄まじいものがありました。それまで「思ったことを言い過ぎる」と注意され続けて嫌われてきたのに、ルームメートは私に「思ったことは全部話して」と言うではありませんか。このときの彼女の言葉。"I can’t read your mind!!"は、今でも私の中で鮮明に記憶しています。日本では散々だった私が、「社交性がある人」と言われて出典 : 自分のマイナスの特性が、ここではプラスに評価される!?私はしばらく混乱しました。世界がまるであべこべになってしまったのです。「だからダメなんだ」と日本の大学でダメ出しをされ続けてきたことが、アメリカでは「そういうあなたが好きよ」と言われることが多かったのです。その後も、同じ授業を履修していたクラスメイトに、こんなことを言われました。「あなたは表情が豊かでとても可愛い。」これも私には衝撃でした。小学校の頃から、私は「感情がすぐに顔に出るから良くない」と周囲から注意され続けてきたのです。けれども、自分を客観的に見る力に欠けていた私は、「感情が顔に出る」という状態が良く分かりませんでした。心の底から、どうやったら感情を隠すことができるかも分かりませんでした。他人からそう言われるのが嫌で、作り笑いをするようになり、怒っているときに限ってゲラゲラ笑っていたりしたものです。けれども、クラスメートはそんな私に、「表情が豊か」という言葉をくれたのでした。今まで忌み嫌われ、治せ治せと言われてきた特性が褒められる滑稽さ。常にカルチャーショックを受ける続ける日々が続きました。そして、ある授業で、教授が私についてこう話したのです。「彼女は、"sociable"の代表みたいな人だからね」クラスメートたちも、うんうん、と頷いて笑っています。"sociable" とは「社交的な」という意味があります。そうです。 「マシンガントーク」で「毒舌」で「言葉のナイフ」と言われて嫌われ続けた私は、「社交的な人の代表」とまで言われるまでになりました。そして帰国までの1年間、私は素晴らしい仲間と先生たちに囲まれて留学生活をおくることができたのです。世界は広い。日本のあの大学の小さな仲間内の評価が全てではない。日本に帰国する飛行機の中で、ただそんなことを考えていました。そして、母になった今。出典 : 悩みで押しつぶされそうだった私にとって、あの1年間の留学生活はその後の人生の大きな支えとなりました。周りのネガティブな評価にくじけそうになったときには、アメリカ人の友達が言ってくれた言葉を思い出し、ポジティブな言葉に置き換えてみました。20歳のときの経験が、その後の20年を支えてくれたのです。そして先日、ある大学教授の発達障害に関する講演会に行ったときのことです。講演者の先生がこう言ったのです。「相手が年長であろうと偉い人であろうと、ズバズバと思ったことを言ってしまうのがASDの方の特性なわけですが。この特性は、アメリカなどでは、割とウェルカムなんですよね。ですから、問題になりにくいし、ご本人もそれが原因で生きづらさを感じることはあまりない。つまり、発達障害は実は社会との関連なんですよ。」この講演を聞いたときに、私は自分を支え続けてくれた20年前のアメリカでの経験が蘇ります。発達障害は社会との関連。まさにこの言葉を、私は20年前に体感していたのでした。だからこそ、今、発達障害児の息子を育てていても、私は全く悲観的になることはないのです。 それは、息子が心地よいと感じられる場所は、この世界には必ず存在していると信じているから。そして、私たちの周りも、今や教育環境も発達障害への理解も大きく変わりつつあるから。今この場所が辛いとしても、それを全てだと思わないことの大切さを、私はあのとき学んだのです。
2018年03月29日世界自閉症啓発デーってなに?出典 : 「世界自閉症啓発デー」は、2007年12月18日に開かれた国連総会で、カタール王国王妃から提案され、決議されました。毎年4月2日は世界中で自閉症の啓発活動が各地で行われます。日本でも世界自閉症啓発デーの4月2日から8日までを発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップなどが実施されています。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深め、身近に考えることで、すべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。世界自閉症啓発デー 日本実行委員会公式サイト自閉症とは出典 : 自閉症は先天的な発達障害の一つで、育児の方法や環境など後天的な原因で生じるものでもありません。対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りといった特徴が発達段階で現れると言われています。具体的には、他の人の気持ちを理解することや、言葉を適切に使うこと、予定外の変化などが苦手な傾向があります。自分の感じたままに話したり、行動したりすることがあります。外見からはわかりにくく、真面目に取り組んでいても、誤解や偏見を受けることもあります。大人のなかでも、自閉症であるのにそのことに気づけずにいる場合もあります。そのため、必要な支援を受けられず、自閉症の二次障害であるうつや不安障害などの精神疾患にかかる人もいます。一方で、自閉症のある人たちは関心のあることにまっすぐに取組むことが得意であることが多いです。鋭い感覚を生かせたり、記憶力が抜群な人もいます。そういった長所を得意な分野で生かして活躍している人もいます。自閉症についての理解や支援が十分に広まることで、自閉症のある人がより住みやすい環境で生活することができるようになるでしょう。全国でイベント開催。自閉症をもっと知ろう!Upload By 発達ナビニュース2018年の世界自閉症啓発デーに合わせて企画された各地の注目イベントを紹介します。自閉症のある人だけでなく、誰もが自分らしく暮らせる社会とは?あなたも自閉症啓発デーに合わせて実施されるイベントに参加して、一緒に考えてみませんか?Upload By 発達ナビニュース今年のテーマは 「知りたい、知らせたい 発達障害のこと ~こども、若者、スポーツ、アートの視点から~」。「安心してください!地域のみなさん」、「やりたいんだ!アート・スポーツ・ミュージック」 、「知ってほしい!街の中の味方」という題材でシンポジウムが開かれます。【日時】4月7日(土) 10:00~16:20【会場】全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル内)【参加】要事前申し込み(定員250名)世界自閉症啓発デー2018出典 : 歌やダンスのパフォーマンスがステージで繰り広げられ、自閉症や発達障害を体感するブースなども設けられます。また、4月2日はSNSのタイムラインをブルーで埋め尽くそうと、「#WB2018」「#MAZEKOZE」のハッシュタグつきで写真の投稿も呼びかけています。イベントにはぜひ青い物を身につけて参加を!【日時】4月2日14:00〜18:30【会場】東京タワー広場 特設ステージ一般社団法人 Get in touch出典 : 月5日から4月13日まで各所で続々と関連イベントを開催。メインとなる4月1日、2日も多数の会場で「青いものづくり」「LD・ADHD等の擬似体験プログラム」といった参加型の企画されていたり、「自閉症啓発デー・アート展」が開幕します。主な会場ごとのイベントはこちら。五稜郭タワー・アトリウム【日時】4月1日(日)13:00【内容】開会式&オープニングセレモニー、「Blueの音楽祭」棒二森屋店【日時】4月1日(日)10:00〜16:00【内容】LD・ADHD等の擬似体験プログラム、「ハッピー」こどもイベントサークル、歌声ライブ&あおいろライブ函館市芸術ホール【日時】4月2日〜7日(月)10:00〜19:00【内容】第5回自閉症啓発デー・アート展、発達相談、羊毛フェルトで作る「地球玉」(2日のみ、14:00〜17:00)世界自閉症啓発デーin HAKODATE 2018出典 : 寸劇や疑似体験をはじめ、キャラバン隊公演や障害のある方々などによるバンド演奏とダンス、ミニコンサートなど。【日時】4月7日 (土)11:00〜17:00【場所】Qiball(きぼーる)1階アトリウム第10回世界自閉症啓発デーinちば~みんな大切な仲間です~自閉症の当事者であり、少年画家として活躍する濱口さんと交流できる小学生以上を対象としたワークショップです。濱口さんのインスタレーションとともに参加者も自由に絵を描きながら、絵で表現することを一緒に楽しみます。【日時】4月8日(土)10:00~11:30、14:00~15:30【場所】海老名市立中央図書館【参加】3月24日から参加券を海老名市立中央図書館で配布。(各定員10人)少年画家 濱口瑛士の世界自閉症啓発デーの4月1日から8日までの「発達障害啓発週間」スペシャルイベントとして企画された、発達障害のあるミュージシャンによるコンサートです。手作り楽器で「キミダケノオト」を奏でて、気持ちを音に乗せて表現する楽しさも体験できます。【日時】4月8日(土)10:15~11:30【場所】三茶しゃれなあどホール【参加】要事前申し込み大人1,000円/小学生以下無料キミダケノオトでフリーセッション!そらコンサートこのほかにも、全国各地で自閉症の啓発に関する活動が展開されています。各自閉症協会や自治体ごとの一覧も公開されているので、みなさんのお住まいの地域ではどんな活動があるのか、ぜひチェックしてみてください。世界自閉症啓発デー 全国都道府県市の自閉症協会の取り組み計画世界自閉症啓発デー2018自治体等啓発取り組み一覧世界自閉症啓発デー2018自治体等啓発取り組み一覧(教育関係)世界を包む青い光。「ライト・イット・アップ・ブルー」出典 : 世界自閉症啓発デーに合わせて、世界中のランドマークや名所旧跡を青色でライトアップするライト・イット・アップ・ブルー(Light It Up Blue)が、近年日本でも広がりをみせています。青色は「癒し」や「希望」をあらわすとして、世界自閉症啓発デーのシンボルカラーになっています。自閉症はわかりにくい障害と言われ、障害を知らない人から誤解を受けたり、うまくいかないことに直面することもあります。そんな自閉症の人の存在を多くの人に気づいてほしいという願いから始まったのがこの青いライトアップなのです。ニューヨークに本拠地のある世界最大の自閉症支援団体「Autism Speaks」が2010年にはじめて以来、日本でも各関係団体や賛同する施設でライトアップが広がり、定着しつつあります。点灯式にあわせてイベントも実施するなど、各地でさまざまな取り組み行われています。誰でも気軽に足をは込めるライトアップ。おすすめの会場を紹介します!画像は過去のものです。実際とは異なる場合があります。【日時】2018年4月2日(月)18:15〜22:00【場所】東京タワー屋外特設ステージ世界自閉症啓発デー2018出典 : 大阪の象徴である通天閣もブルーに!大阪府内では、ほかにも大阪城天守閣や天保山大観覧車も青色に染まります。【日時】4月2日(月)日没から23:00まで(天保山大観覧車は22時まで)「世界自閉症啓発デー」(4月2日)のブルーライトアップ及び発達障がいに係る啓発活動を実施します出典 : 長野県の茅野市民館では、ライトアップだけでなく、日中イベントも企画されています。自閉症をはじめ、発達障害の当事者や関係者のメッセージの展示。誰でも参加できるダンボールと絵の具を使ったアートワークショップもあります。点灯式は4月1日18:00から行われます。【日時】4月1日(日)、2日(月)アートワークショップ「みんなでつくろう 光る!まぜこぜドーム」【日時】4月1日(日)13:00~15:00【会場】茅野市民館 ロビー、他【参加】要問合わせ It Up Blue ちの 2018 ~ひろがれ!青い光がつなげるこころ~出典 : ココウォークでは2014年からこの運動に賛同して参加しています。長崎県ではほかにも、女神大橋、稲佐山、ハウステンボス、大村市周辺施設がライトアップされます。【日時】4月2日(月)~4月8日(土)長崎県こども家庭課4月2日は、世界自閉症啓発デー今年のライトアップは全国100ヶ所余りで行われる予定です。幻想的な青に染められた夜の街を歩いて、自閉症について考えてみませんか?世界自閉症啓発デー2018ライトアップ施設一覧世界自閉症啓発デー2018ライトアップイベント詳細一覧まとめ出典 : 近年、発達障害への社会の関心が高まりつつありますが、誰もが暮らしやすい社会を実現するに正しい理解の広がりがもっと必要です。自閉症のある人はコミュニケーションをとるのが苦手であったり、こだわりがあったり、いつもと違うことが苦手であったりといった特性があります。外見からはわかりにくいため、いまだに「心を閉ざしている」「親の育て方のせい」などといった誤解を受けることもあります。しかし、周りの人が自閉症について理解し、接し方や環境調整といった工夫をすることで、自閉症のある人やその家族が抱える困りごとは減らすことができるのです。イベント会場に足を運べない人も、当日は青い服やアイテムを身に付けてみてはどうでしょうか。青いものを写真に撮ってSNSに投稿することで、同じように自閉症について考えている仲間とつながることもできるかもしれません。世界中の人が自閉症について考える4月2日の「世界自閉症啓発デー」を通じて、あなたも自閉症の人が安心して暮らせる社会への一歩を踏み出しませんか?取材協力:一般社団法人日本自閉症協会
2018年03月28日突発性難聴とは出典 : 突発性難聴は、突然片耳の聞こえが悪くなる病気です。2000年以降、何人もの人気歌手が発症を公表したことで、多くの人にこの病気が認知されました。何の前触れもなく生じた難聴のうち原因が不明、もしくは不確実なものが突発性難聴とされています。診断も治療法も確立していないという、まだまだ分かっていない部分の多い病気でもあります。耳の奥、内耳という部分に何らかの障害が起こっていると考えられています。突発性難聴の原因は分かっていませんが、いくつか有力な説はあります。一つはウィルス感染です。ウィルスと言っても、難聴を引き起こすウィルスがあるわけではありません。インフルエンザやはしかなどのウィルスに感染し内耳が炎症、結果として難聴につながってしまうという説です。もう一つは内耳循環障害説です。内耳に十分な血液が届かない、血流に問題があるとされる説ですが、ほかの器官は正常です。ほかにはストレスも関係しているとも言われます。体調不良や過労を含めたストレスは多くの病気の一因となりますし、直接の原因とはならなくとも、発症をしやすくすることはあります。とはいえすべて原因としては可能性の域を出ません。この原因不明なところが、突発性難聴の特徴なのです。突発性難聴の症状出典 : 突発性難聴の代表的な症状は病名の通り、突然耳が聞こえにくくなるというものです。朝起きたときや店を出たときなど、本人には聞こえにくくなった瞬間がはっきりと分かります。「まったく聞こえない」から「なんとなく聞こえづらい」まで、聞こえにくさの程度は人によって異なります。突発性難聴の診断を受けるまで難聴の自覚がないこともあります。共通しているのは、片耳にだけ症状が表れるということです。両耳の場合は別の病気である可能性が高いです。ほかに突発性難聴でよく見られる症状は、耳鳴りとめまいです。キーンという高音、ジーというセミの鳴くような音などの耳鳴りが起こることがあります。飛行機に乗った時のような、耳の詰まった感じを訴える人もいます。耳鳴りの強さや種類は様々ありますが、それで突発性難聴かどうかを鑑別することはできません。難聴は軽度でも、耳鳴りがあることで突発性難聴と診断されることもあります。めまいには、目が回る感覚の「回転性」、体がフワフワ浮いているように感じる「不動性」、立ちくらみのような「失神性」などの種類があります。突発性難聴で現れるめまいは「回転性」です。耳の病気によく見られるもので、ふらついて立っていられなくなったり真っすぐ立てなくなったりします。嘔吐や吐き気を伴うこともあります。突発性難聴と症状が似ている病気出典 : 突発性難聴は突然片耳が聞こえにくくなる病気ですが、原因がはっきりしていません。難聴、耳鳴り、めまいなどの症状だけでは他の病気の可能性もあるのです。突発性難聴と症状が似ている病気には以下のようなものがあります。・外リンパ瘻(ろう)・メニエール病・急性低音障害型感音難聴・加齢性(老人性)難聴・聴神経腫瘍・騒音性難聴・音響外傷・内耳炎外リンパは内耳の中を満たす液体のことで、それが内耳から中耳に漏れてしまう病気が外リンパ瘻です。主な症状は難聴やめまい、水の流れるような耳鳴りなどで、突発性難聴と誤診されやすい病気でもあります。突発性難聴とは違い、原因ははっきりしています。原因は内耳と中耳を仕切っている部分が破れてしまったこと。気圧の変化や外傷などきっかけが分かることもあれば、はっきりとは分からないこともあります。仕切り部分が破れてしまうときに「ポン」「パチン」という破裂音(ポップ音)が聞こえる人もいます。薬物治療や点滴治療で治らなければ、手術で治療を行うこともあります。激しいめまいが特徴のメニエール病。吐き気や冷や汗、頻脈をともなうこともあります。回転性のめまい、耳鳴り、難聴と、症状が突発性難聴とよく似ているうえ、多くは片耳だけにその症状が見られることも似ています。しかし、メニエール病には繰り返し症状が起こるという特徴があり、発症が一回限りの突発性難聴とはこの点で異なっています。原因は内耳にリンパ水腫ができたことだと考えられていますが、水腫が発生する原因はまだ解明されていません。過労やストレスがメニエール病を引き起こすとも言われ、その点でも突発性難聴と共通しています。低音の難聴や耳鳴り、耳の詰まる感じが特徴の急性低音障害型感音です。突発性難聴の男女比がほぼ同じであるのに対して、急性低音障害型難聴は圧倒的に女性の患者が多いのも特徴です。突発性難聴と比べると症状は軽く、再発の可能性もあります。ストレスや過労で発症しやすくなりますが、原因はメニエール病と同じく内耳の蝸牛部分の水腫です。めまいの有無がメニエール病との大きな違いです。難聴の中では最も一般的なもので、名前の通り原因は加齢です。徐々に聞こえが悪くなるのが突発性難聴との大きな違いです。聞こえの悪さにも特徴があります。年齢を重ねたことで聞こえなくなるのはまず高音で、交通機関のアナウンスが聞き取りづらくなります。また、聞き間違いも増えます。加齢によるものなので治療はできません。日常生活の不便を取り除くため、補聴器をつける人もいます。内耳から脳へ情報を送る聴神経に腫瘍ができる病気が聴神経腫瘍です。腫瘍が神経を圧迫することで、難聴、耳鳴り、めまいといった症状が生じます。聴神経のすぐ近くを通る顔面神経を圧迫すると、顔面マヒが起こる場合もあります。良性の腫瘍で発育のスピードも遅いため、腫瘍が小さければ診断後は経過観察となることもあります。腫瘍が大きくなった場合は耳鼻咽喉科で摘出手術をしたり脳神経外科で開頭手術をします。どちらも音が原因で起こる難聴です。騒音性難聴は、長期間騒音にさらされていたことで徐々に進行する難聴です。内耳にある蝸牛の膜が破れたり血流が滞って細胞が傷ついたりすることで起こります。両耳に症状が現れる点や徐々に進行する点が、突発性難聴とは異なります。長時間騒音を発する場所で働いている人によく見られることから、職業性難聴とも呼ばれます。コンサートの大音量や爆発音など、短時間の騒音が原因で耳鳴りや難聴を感じるのが音響難聴です。耳の痛みを感じることもあります。騒音性難聴と同様、蝸牛の細胞が傷ついて起こります。軽度であれば、時間の経過で細胞は修復され、元に戻ることもあります。主に中耳炎の症状が内耳に広がって起こるのが内耳炎ですが、おたふくかぜやインフルエンザなどのウィルスが内耳に感染する場合もあります。内耳には痛みを感じる神経がないため、炎症があっても痛みは感じません。症状は突発性難聴と同じく、難聴、めまい、耳鳴りなどです。内耳炎は診察や画像診断で判断します。突発性難聴の治療法出典 : 突発性難聴の治療には内服や点滴での薬物治療が一般的ですが、症状に合わせて追加治療を行うこともあります。発症後すぐや症状が重い場合は入院を勧められることもあります。薬物療法の代表はステロイド薬の投与ですが、「米国耳鼻咽喉科頭頸部外科アカデミーが提唱した診療ガイドライン(2012年)」によると、ステロイド投与は選択肢の一つという程度です。強く推奨されるものではないということです。しかしステロイド投与以上に科学的根拠の裏付けがされ、有益で害のない治療法は確立しておらず、難聴に伴うハンディキャップを考えると、ステロイド投与が一般的な初期治療になっています。【参考】突発性難聴治療のEBM(2014) Practice Guideline: Sudden Hearing Lossほかに血管拡張薬や血流改善薬、ビタミン剤などを併用することもあります。原因がはっきりと分かっていないため、薬物といっても直接病気の元を絶つものではありません。内耳の血液循環を良くし、細胞や神経に栄養を与えて動きを活性化させる働きがあるものを用います。発症からの時間や症状に合わせて、薬物治療と並行して別の治療法が用いられることがあります。たとえば内耳に大量の酸素を送る高気圧酸素療法や星状神経節ブロックなどです。高気圧酸素療法は循環改善を目的に行われます。地上よりも気圧の高い環境で高濃度の酸素を吸入し、内耳へ多くの酸素を送り、症状の改善を促します。脳梗塞や一酸化炭素中毒などの治療に使われていましたが、突発性難聴にも活用されるようになりました。同じ循環改善でも交感神経(星状神経節)を麻痺させて緊張を緩めるのが星状神経節ブロックです。交感神経が過緊張になると血管は収縮し、血流が悪くなります。星状神経節の近くに局所麻酔を注射して交感神経の働きをブロックすることで、緊張がゆるんで血流も良くなるという治療法です。突発性難聴の治療は通院でも可能ですが、症状が重い場合は特に入院を勧められることがあります。集中して治療に努めることができ、安静にもしやすいというのが理由です。一般に早期に治療を始めたほうが治りが良いとされています。突発性難聴の診断後すぐに服薬や点滴で治療を開始すると考えると、入院は有効な手段と言えます。また、ストレスも一因と考えられます。家事や仕事などをせず休養や睡眠をしっかりとって安静にする環境を作るのにも、入院は有効です。たとえ重症でなくとも、入院できると治療も安静もしやすくなります。病院で診断を受けるときには入院という選択肢も考えておきましょう。突発性難聴は完治するのか出典 : 年の論文には、121例を観察したところ76%が聴力改善に至ったとのデータがあります。聴力改善とは完治以外に、ある程度回復したという状態も含みます。突発性難聴で完治する、つまり以前の聴力まで戻るのは約3割です。残りはある程度まで聴力が改善した、もしくは変化なし(不変)です。参考:突発性難聴における聴力改善経過と改善率に関する検討(2016年)症状が軽ければ治りやすいと思われがちですが、一概にそうとも言えません。確かに難聴の初期症状が軽いほど治療によって完治する可能性は高いと言えます。しかし同時に、まったく症状が改善しないことも多くあるのです。たとえ症状が軽くとも、しっかりと治療をするのが良いでしょう。参考:突発性難聴の治療成績(2016年)突発性難聴は原因、治療法とも確定されていませんが、できるだけ早く治療を受けることが良いとされています。特に「発症から2週間以内の治療を」という文言は多くの病院で言われています。ですが、早期に治療を開始すると治りが良いというデータの中には、自然治癒の症例が含まれている可能性もあります。治療が早かったことで症状が改善されたのか、自然治癒によるものかは判別できません。もちろん治療は早く始めるに越したことはありませんが、発症から時間をおいてしまったからといって諦める必要はないのです。参考:突発性難聴 ―診断・治療の問題点とそれに対する対応―(2010年)後遺症には、程度に差はありますが聴力障害や耳鳴りが挙げられます。高齢であったり難聴の症状が重かったりした場合は回復しにくいと言われます。また、発症して2週間以降に治療を開始した場合も同様です。聴力が改善せず、日常生活に不便さがあるなら補聴器を使うという選択肢があります。補聴器を使うことで会話もスムーズになり、仕事や人間関係での不便が緩和されます。難聴と一口に言っても、聞こえの状態は様々です。補聴器も耳穴に収まる小型のものや耳にかけるタイプのものなど、さまざまな種類があります。症状の変化に応じて再調整も必要です。最近ではインターネットで手軽に買うこともできますが、補聴器を検討する場合はまず耳鼻科で聞こえの状態をチェックしましょう。病院に補聴器外来があったり補聴器相談医がいたりするなら、相談してみるのが良いでしょう。参考:補聴器相談医名簿 | 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会販売店で補聴器を購入する場合は以下の項目が参考になります。・日本補聴器販売店協会の加盟店・認定補聴器技能者の在籍店・認定補聴器専門店しっかりと話を聞いてくれ、対応にあたってくれるお店を選びましょう。参考:補聴器が必要になったら | 一般社団法人日本補聴器販売店協会ストレスも突発性難聴の一因とされているため、治療と並行して生活習慣も見直してみると良いかもしれません。家事に仕事に子育てと、ストレスは気づかないうちにどんどんたまってしまいます。趣味や休養などで定期的に発散させましょう。突発性難聴の症状としてあげられるめまいや耳鳴りのせいで、寝つきが悪くなったりすぐに起きてしまったりすることもあります。ですが、まとまった睡眠がとれないことを気にしてしまうのは逆効果です。時間ではなく、自分が寝られたと感じられる睡眠をとることが重要です。突発性難聴の治療法に血流を良くするものが多くあります。その点では適度な運動や入浴も効果的です。食生活では塩分を控え、血流を促進させる食材を積極的にとりましょう。お酒は適量であれば良いのですが、たばこは血管を収縮させてしまうので避けます。まとめ出典 : 突発性難聴は、ある日突然発症します。まったく聞こえない状態ならすぐ病院へ行く人がほとんどでしょうが、少し聞こえないくらいだとそのまま放置してしまう人もいるかもしれません。ですが、早めに受診することで症状が改善することもあります。発症に気づいたらすぐに耳鼻科へ行きましょう。同時に、しっかりと休養をとる準備もしましょう。家事や育児、仕事など、毎日を忙しく過ごしていた場合はストレスがたまっている可能性もあります。リラックスしてゆっくり休める環境を作ることも大切です。
2018年03月24日高校の卒業式で大号泣。小・中学校の式では涙を見せなかった娘なのに…。出典 : それは卒業式の中盤での出来事でした。「卒業生の言葉」の途中で娘が泣き出しました。嗚咽だった泣き声は、徐々に号泣に変わっていきました。小学校でも中学校でも卒業式で涙を見せたことがなかった娘。ましてや高校では「学校を辞めたい」と遅刻や欠席が続いた日もあったのに、なぜ?その理由を私は知っていました…。卒業式の数日前に開かれた、ナゾの学習発表会出典 : 卒業式を目前に控えたある日、学校から「学習発表会のお知らせ」が届きました。卒業式の数日前に開催される学習発表会って?授業参観とも違うみたいだけど、今さら何を発表するというの?娘に内容を聞いても「学習発表会は学習発表会だよ」としか教えてくれませんでした。ナゾの学習発表会、その内容とは…?出典 : 客席には在校生と卒業生の保護者、先生達。会場の外では卒業生たちが円陣を組んで掛け声を掛けあっていました。らしからぬ雰囲気の中始まった学習発表会は司会進行もスクリーンの映像もすべて卒業生が主体となって行っていました。一般的に学校の学習発表といえば、一年間で学んだ学習の内容を保護者の前で発表したり、歌や楽器の演奏、お芝居などが主です。確かに今回の学習発表会も生徒が高校生活で学んだこと、身につけたこと、感じたことの発表でしたが、その内容は赤裸々で「発表」ではなく「告白」に近いものでした。一味も二味も違う学習発表会の内容は出典 : 「私は一年生の時は一人ぼっちでした。クラス行事の時、私は一人で行動してました。すごく辛かったです。でも二年生になって徐々に友達ができました。今“友達がいない”“一人ぼっち”だと思っている一、二年生も、あきらめなければきっと友達ができると思うよ。」と発表する生徒。「私は学校を辞めたくて仕方なかった。休みや遅刻ばかりで一年生の時点で出席日数が足りなくてやばい状態だった。」そう語ったのは今までそんな風に悩んでいたようには見えなかった生徒。「ダルマって凄いと思うんです。僕は転んでも転んでも起き上がるダルマのようになりたい。」とニコニコと語った生徒はそれまでどれだけ多くの壁にぶちあったてきたのでしょう。「○○先生から愛をもらった!」と言って先生を驚かせた生徒。「私は将来、実況者(ユーチューバ―)を目指してます。でもね、後輩のみんなはネットやラインの時間を5分減らしてその時間を家族や自分の為に使うといいよ。きっとそれが将来の役に立つと思うから。」確たる夢を持ち自分の経験を後輩に伝える生徒。表面上は毎日を飄々と過ごしていたように見えていた生徒たちが、実は皆、娘と同じような悩みを持ち葛藤していたんだと私は知りました。「ありのままの自分」って?娘が発表したこととは…出典 : スクリーンに映し出された「ありのままの自分」というメッセージの前で、娘は、はにかみながら語りました。「このタイトルからして、皆さん某アニメを思い浮かべるでしょ? 私はずっと周りの大人が望む“良い子”を演じていました。自分を良く見せようとしていた私は“張りぼての優等生”で、就活も空回りして上手くいきませんでした。でも、ありのままの自分を出したら就職も上手くいきました。本当の自分を出すのは怖かったけど、出したら何だか楽になって今みたくなりました。えへへ」素の自分を出せるようになった娘に、思うこと出典 : 学校に心を開ける友達がいない。学校を辞めたい。就職や自立が不安で仕方ない。感情のコントロールができない。大人に反抗したくてたまらない。もっと自分の好きなことをしたい。私は高校の三年間、娘のさまざまな悩みを目の当たりにしてきました。私が一番心に残った娘の言葉は、最後の娘の「えへへ」でした。(本当の自分を出せて良かったね。実はあなたの周りにはそんな素のあなたを受け入れてくれる人ばかりだったんだよ。時間がかかったけどそれに気が付けて良かったね。)私は心から思いました。発表の内容を知らなかった先生方も意外な生徒たちの一面を知ったようでした。それまでの娘の様子を知っていたお友達のお母さんも「娘さん、吹っ切れたみたいで良かったね。」と言っていました。この学習発表会を見ていなければ卒業式の娘の号泣の本当の訳は、私には分からなかったと思います。卒業後にも、きっと深まる関係に出典 : 卒業式では娘以外にも沢山の生徒が泣いていました。その背中を優しくとんとんと叩く同級生の姿を見て、私は(娘はあの時この学校を辞めなくて本当に良かった)と思いました。素の自分を受け入れてくれる先生と友達が傍にいた。気づくのが少し遅かったかもしれないけれど、きっとその分これから長く長く素敵な関係が続いていくことでしょう。
2018年03月22日世界中で広まる、てんかんの啓発活動出典 : 月26日は、世界的なてんかん啓発の日である「パープルデー」です。てんかんという病気について、正しい情報を多くの人に知ってもらえるように、さまざまなイベントが企画されています。ここでは、2018年のパープルデーに関するイベントについてご紹介します。てんかんって、どんな病気?てんかんの発作には、突然倒れて意識を失いけいれんを起こすといったいわゆる大発作と、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった小発作などがあります。子どもからお年寄りまでどの年齢にもみられる脳疾患です。治療によって発作をコントロールできる人も多くいますが、約2割の人は発作をコントロールできずにいます。周りに受け入れてもらえず、てんかんを打ち明けられないまま悩みを抱える人も少なくありません。パープルデーとは?出典 : パープルデーは、7歳でてんかんと診断されたカナダのキャシディー・メーガンさんが、9歳を迎えた2008年に周囲にてんかんを打ち明けた時の葛藤がきっかけで生まれました。てんかんによって差別や孤独を感じている人たちに「あなたは一人ではない」と伝えるために始まった活動です。今では、世界中で賛同が広がり、さまざまな活動が展開されています。参考:PURPLE DAY | The Anita Kaufmann Foundation日本では、全国てんかんリハビリテーション研究会の医師を中心としたパープルデー企画実行委員会や関係団体が、啓発活動に取り組んでいます。パープルデーにちなんだライトアップも各地で同時に行われ、その規模は年々拡大しています。世界に広がる「てんかん」啓発キャンペーンPURPLE DAYてんかんをもっと知ろう!パープルデーに合わせて開催される講演会&イベント2018年のパープルデーイベントとしては、まず「皇居RUN&WALK」が3月4日に行われました。このイベントでは、参加した人たちが紫の物を身につけて、皇居外周をそれぞれのペースで走ったり歩いたりして汗を流しました。出典 : 月26日に向けて、パープルデーの関連イベントはこれから数多く開催される予定です。みなさんも紫の物を身につけてパープルデーのイベントに参加してみませんか。出典 : 「チャレンジ」をテーマに開催。専門医によるてんかん講座や、地元アイドル・アーティストのパフォーマンスステージがあります。プロレスの特設リングでは「何事にもあきらめない気持ち」を伝えるために伝説のマスクマン「パープルマン」が戦うなどユニークな企画が盛りだくさんです。【日時】3月25日(日)11:00~16:00【場所】久屋大通公園名古屋テレビ塔下パープルデーNagoya2018出典 : パープルデー仕様の大型フラワーウエルカムボードが設置され、風船が配布されます。小児、成人のてんかん、教育関係者向けの公開講座や親子で参加できる紫の花を仕様したフラワークラフト教室、てんかんクイズラリーも計画されています。また、インスタグラムに「#パープルデイ大阪」「#パープルデー大阪」のハッシュタグをつけて投稿すると、公式ホームページに写真がアップされます。紫を取り入れた写真を投稿しパープルデーを応援する仲間とつながりましょう!【日時】3月24日(土)11:00〜16:00【場所】花博記念公園鶴見緑地・咲くやこの花館パープルデー大阪2018 鶴見緑地・咲くやこの花館 in 3/24東北大学病院てんかんセンター長の中里信和教授による啓発セミナーや東北ゴールデンエンジェルスによるパフォーマンスも予定されています。【日時】3月26日(月)18:00〜19:00【場所】楽天生命パーク宮城内イーグルスドームてんかん啓発活動「PURPLE DAY in イーグルスドーム」パープルデーについての展示、てんかんに関する相談会などを実施。来場者には紫色のグッズが配布配布され、数量限定で「パープル」にちなんでラベンダーの苗のプレゼントがあります。【日時】3月24日(土)25日(日)各日10:00〜16:00【場所】葵スクエアSBSラジオパーク会場てんかん啓発キャンペーン パープル・デー 静岡「もっと知ろう!てんかんのこと」と題し、市民公開講座や専門医の個別相談を行います。スペシャルサポーターにサッカーJ1のV・ファーレン長崎を迎えた特別企画もあります。【日時】3月25日(日)13:00〜16:30【場所】長崎県庁エントラスホール・大会議室パープルデーながさきシンボルカラーの紫にライトアップイベントの開催地や全国各地の名所でライトアップも行われます。パープルデーのシンボルカラーである紫色に照らされ、普段とは違った雰囲気になった街を散策しながら、てんかんについて考えてみませんか。出典 : 月26日鳥取駅前市道太平線バード・ハット鳥取市3月26日(月)バード・ハットで『パープルデー』ライトアップ演出を行ないます3月23日〜26日【場所】江ノ島シーキャンドル(24日〜26日)、川崎マリエン(24日〜26日)、横浜象の鼻パーク(23日〜26日)、横浜開港記念会館(25日〜26日)、大船観音(26日)てんかんパープルデーライトアッププロジェクト in Kanagawa3月15日〜28日静岡市役所ライトアップ・セレモニー ~市庁舎を紫に~パープルデー応援サイトFrom Shizuoka2018年3月26日長崎市稲佐山山頂電波塔パープルデーながさきまとめ出典 : 「てんかん」という言葉を聞いたことはあっても、正しい理解はまだ十分ではありません。パープルデーのほかにも、毎年2月の第2月曜日に国際てんかん協会と国際抗てんかん連盟が定める「世界てんかんの日」があります。今年は2月12日に日本てんかん学会、日本てんかん協会主催のイベントが開催されました。プログラムでは昨年秋の練習中に倒れ、てんかんによる発作だったことを公表し、注目されたサッカーJ1のコンサドーレ札幌FWのジェイ選手から寄せられたビデオメッセージも上映されました。クラブでは、薬の保管をしてジェイ選手をサポートするとしており、こうしたケースがモデルとなって社会に広がっていくことが望まれます。大発作が起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合、数分でもとに戻ることから、てんかんではないかと疑うのは難しい場合もあるかもしれません。てんかん発作は場所や時間を選ばずに発症します。水辺にいるときや、入浴中、車の運転をしているときなど、日常生活を送る中で発作が起こる可能性もあります。本人がてんかんを打ち明けやすい環境をつくり、周囲の人がサポートすることで安心して生活を送れるようになります。そのためには、多くの人がてんかんについて正しい知識を身につけることが必要です。どんな人も生活しやすい社会になることを願って、3月26日のパープルデーには、イベントに足を運んだり、紫の物を身につけて応援の意思を示したりしてみませんか?取材協力:全国てんかんリハビリテーション研究会パープルデー企画実行委員会
2018年03月21日我が子の取扱説明書「サポートブック」Upload By 楽々かあさんこんにちは。楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちでは、通常学級・支援級の担任の先生に、発達障害のある長男のことを詳しく知って頂き、集団生活の中でのパニックやトラブルを事前に予防したり、困ったときの伝え方のコツを伝えるために、「サポートブック」を作って渡してきました。「サポートブック」とは、いわば「我が子の取り扱い説明書」のようなもの、と思って頂けたらと思います。(※今回ご紹介するのは、私の自作の「楽々式サポートブック」のフォーマットが前提ですが、支援機関や行政機関等でも配布されています。ご家庭のニーズに合ったフォーマットのものをご使用になるといいでしょう)それを毎年の担任の先生に渡しながら、試行錯誤で学校と連携し、小学校時代をなんとか乗り切ってきました。ただし率直に言うと、「発達障害」という言葉がようやく広まったばかりの現在の日本では、残念ながら、まだまだ「レッテル貼り」と背中合わせの面があるようにも感じられます。それでも、発達障害のある子の困り感やその具体的な対応は、こちらから言わなければ伝わらないこと・気づかれないことは沢山あるように思います。特にうちの長男は、知的・言葉の発達面で大きな心配がなく、一見「フツーの子」と見分けがつきにくいタイプのため、通常学級の中で「障害」として伝えるメリット・デメリットの間で悩みながら、迷いながら、私も歩んできました。それでも、長男にとって環境との段差の大きい時期は、学校で注意や叱責を受け続けたり、友だち関係でつらい思いをしたり、授業中を無為にぼーっと過ごし続けるよりは、キチンと「形にして」対応を伝え、サポートをお願いしたほうが良いと判断したのです。その伝達手段の一つが「サポートブック」でした。では、その具体的な内容を、うちの実物の写真とともに、著書『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』より転載し、【特別公開】致します。Upload By 楽々かあさん私たち親子の「サポートブック」の内容と渡し方のコツ学校とよりしっかり連携したい、毎年の担任の先生にノウハウを引き継いで欲しい、という場合「サポートブック」を作って渡してみるといいかもしれません。「サポートブック」は、支援者(担任の先生や支援機関のスタッフさんなど)に我が子をサポートしていただく場合に、具体的な対応や話のきっかけのヒントになる、子ども本人の情報をまとめたものです。私が作った「楽々式サポートブック」では、次のような内容を必要に応じて記入します(サポートブックの記入内容は配布機関等によって異なります)。Upload By 楽々かあさん①プロフィール: 名前、生年月日、家族構成、住所、緊急連絡先、かかりつけ医、相談先・支援機関②発達の特徴・特別な個性: 診断の有無、診断名、投薬の有無、薬名、発達・知能検査の有無、言葉の心配の有無、知的な心配の有無、多動性・衝動性・不注意性の有無、学習の困りの有無、感覚の過敏性の有無、言語理解の特徴、その他発達上の心配③検査結果のまとめ: 検査の種類、実施機関、検査年月日と当時の年齢、IQ値、特に優れた項目、特に心配な項目、全体的なバランスや発達の特徴、主治医または臨床心理士等の意見・助言のまとめ(またはコピーを添付)④人間関係MAP: 家族、同居・別居の親族、本人が心を開いている友人、よく トラブルになる友達、頼れる先生や近所の人など、人的な援助資源の書き込みMAP⑤発達の凸凹~体質的な得手・不得手〜: 得意な行動・作業、苦手な行動・作業⑥いいところリスト: できること・がんばっていること⑦すごいところリスト: 特技・とても詳しいこと⑧好き・嫌い: 好きなこと・もの、嫌がること・もの、落ち着くこと・もの⑨パニック・問題行動記録: いつ、前の状況や要因、本人の行動、その時の対応⑩サポートの必要レベル: 生活面・学習面・社会面のサポートの必要性の程度⑪サポートテクニック集: 本人のつまずき、その困りの理由、サポート方法(家庭で実際に効果があり、学校でも対応可能なアイデアを、具体的な実例や声かけ例で書く。必要なら写真も添付)⑫引継ぎ時のサポートブック取り扱いの希望: 進級時等の引き継ぎの希望などUpload By 楽々かあさん検査結果などの実際の資料を添付したり、第三者にチェックしてもらえると、説得力があり、信頼性の高いものになります。そして、先生と子どものコミュニケーションのヒントとなるよう、少しでもできていること、がんばれていること、いいところ・長所や、特別な才能のあるところなど、ポジティブな情報は必ず入れます。子どもの心配な面については、「行動・困り」でみるようにします。「ワガママ」といった人格的な表現は避け、どんな具体的な行動が心配なのか、その背景にはどんな発達上の困りがあるのか、を書いていきます。お母さんの育児テクニック・うちの子ノウハウは、対応の「実例・具体案」として伝えます。声かけなどもできるだけ具体的な台詞を書き、写真も添付したりするといいと思います。Upload By 楽々かあさん進級等で担任の先生が変わっても支援のノウハウを活かして欲しい場合は、直接担任の先生個人に渡すのではなく、まず、特別支援コーディネーターやスクールカウンセラーなど、発達障害に理解の深い先生にアポイントをとって「サポートブックを作って渡したい」旨を相談し、内容をチェックして貰うといいと思います。担任の先生に渡す場合も、できれば管理・指導的立場の先生にご同席いただき、一緒に説明しながら手渡せるといいと思います。これは、継続的なサポートをお願いするのと同時に、担任の先生1人に過大な負担を強いることを避けるためでもあります。Upload By 楽々かあさん家庭での対応はあくまで「参考」ですので、学校の集団教育の中ではそのまま取り入れるのは難しい場合もあります。私は、あまり多くを期待し過ぎず、実際の状況に合わせて、先生自らの判断にお任せする気持ちで渡しています。「サポートブック」は、我が子をサポートして貰うことと同時に、支援者である先生もサポートするもの、という視点を持って作ると、学校と家庭がお互いにサポートし合う、良好な連携関係につながって行くと思います。(以上、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』p.226-p.229より転載)本文出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p.226-p.229より「サポートブック」を先生に渡して、実際どうだったの…!?出典 : では、ここからは更に一歩踏み込んで、「ぶっちゃけ、どうだったの?」という実際の結果と、率直な私の意見です。先述の通り、うちでは、サポートブックを記入したら、まず内容を一度スクールカウンセラーの先生にもチェックして頂きました。私の親としての想いはどうしても強くなりがちなので、第三者の客観的な意見も伺えればベターです。そして、事前にアポイントを取って面談をお願いし、特別支援コーディネーターの先生同席の元、その年の担任の先生に渡しました。面談のタイミングは、新学年のクラスに早めに慣れるためには、1学期の早いうちがいいのですが、新しいクラスへの子どもの反応と、担任の先生の個性や教育方針などを見極めた上で、ご判断するのがいいかもしれません。ですから、最初の授業参観の後や、家庭訪問の時期などが良いのではないでしょうか。そして、実際に毎年渡してみての結果ですが…正直に言うと、先生によって受け止め方に差があり、子どもにとって、プラスにも、マイナスにもなる可能性があると言えると思います。うちの場合、1.快く受け取り、よく活用して、自分でも工夫を考えて下さった先生2.パラパラと目を通す感じで、参考程度にして下さった先生3.一切目を通さず、かえって「できない子」「面倒な親」として扱われてしまった先生…がいます。私は「お母さんがその子の最大の専門家」だと思っていますが、教育者として自信のある先生程、現実的には素人扱いされがちなお母さんの家庭でのノウハウは、すんなりとは受け容れにくいのかもしれません。但し、3.の先生の場合、私は後に、近隣の福祉系大学の発達相談室に、知能検査の結果や長男のテストやノートを持参して相談にゆきました。そこで、臨床心理士でもある大学の先生からご助言を頂き、それを自分で文書にまとめて「◯◯大学の◯◯先生が、こうおっしゃってました」と伝えると、急に動いて頂けました。例え、同じことを伝える場合でも「相手によっては、伝え方を変えたほうが良い」という教訓です。サポートブックに限らず、学校連携で「うまくいかないな」「なかなか分かってもらえないな」と思った時、無理にお母さん1人でなんとかしようとすると、ただでさえ大変な育児の上に、更に消耗してしまいます。また、子どもが先生と親の板挟みになってしまうのも避けたいところ。ここは、管理職の先生やスクールカウンセラーに間に入って頂いたり、医療・福祉教育の専門家や第三者の外部機関・支援団体、周りの人達(パパや同じクラスのお母さん達など)にも頼るなど、省エネしながら、上手に「別ルート」を考えましょう。出典 : もちろん、サポートブックが長男にとって良い結果につながることもありました。1.の先生は、元々工夫するのが好きなタイプ。サポートブックをヒントに、以前のコラムでご紹介した「ファイルに紐を一本つけて、プリントくちゃくちゃ対策」のアイデア等、ご自身でも柔軟にいろいろと考えて下さったようです。2.の先生は、真面目で根気強いタイプ。サポートブックの対応そのままではないけれど、「こういう子に伝わりやすい方法があるんだな」ということに気づいて下さり、ご自身でも発達障害に関する書籍を手に取ってみて、ご多忙の中勉強して下さったようです。ですから、うちの試行錯誤の経験上言える事は、集団教育の中では家庭とは状況も違い、担任の先生にも個性や教育方針があるので「ダメ元」で渡してみる。それで少しでも何かのきっかけになればラッキー!もし、うまく行かなければ、別のアプローチをしたり、家庭でフォローすればいい…くらいの気持ちでいるといいと思います。そして、子ども・周りのお子さん達の成長や関係性、授業内容、環境の変化などによって、困っていることが変わったり、できるようになったこともあるので、うちではサポートブックは毎年学年末に回収して、情報の見直し・更新をしました。また、グレーゾーンの次男の場合は、もう少し簡潔にまとめた、紙一枚の「サポートシート」をワープロ打ちの文書で作成し、それを元に面談で相談させて頂くと、話がスムーズに運びました。(詳しくは、文末「楽々かあさん公式HP」または、本書の続編「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」p.186-をご参照下さい)その上で、「成長に伴い、やや落ち着いてきた」「サポートや療育で、できることが増えた」など、比較的集団教育への適応が良くなってきた場合、「もう大丈夫」と思ったら「特別扱いが必要な子」というイメージを固定化させないためにも、サポートブックは返却して頂くのがいいと思います。そして、長男が6年生の時には、中学以降を見据えて、学校生活上で困った事があれば「自分で周りの人に相談できるように」練習したかったので、「サポートブックはナシ」で挑戦してみました(私自身は、長男の話や意思を聞きながら「誰になんて相談したらいいか」教え、裏で根回し…いえ、補助的にフォローしました)。大場美鈴/著「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」2017年/刊/ポプラ社どうか、子ども・親・先生に、社会全体でサポートを…出典 : 「子どもも頑張っている、親も頑張っている、先生も頑張っている…それなのに、なんでうまくいかないんだろう」「その子のために何かしてあげたい、という気持ちは同じなのに、なんで親と先生がスレ違ってしまうんだろう」…私は、そんなもどかしさを、今だにまだまだ存在する学校側の理解不足や対応の遅れに直面した、お母さん達からの切実な訴えのお声と、毎日お疲れ気味の現場の先生方の姿を目にする度に、痛切に感じます。「個人の努力」でできることには限界もあります。私は、「サポートブックが、子どもと親と先生をつなぐ架け橋になれれば…」と願っています。ですが、本来公教育があるべき姿は、サポートブックがなくても、どんな学校でもどんな先生でも、発達障害のある・なしに関わらず、どんな子でも安心してお任せできる状態だとも思っています。どうか、学校全体、地域全体、社会全体で、毎日本当に頑張っている子ども・親・先生を支えてあげて下さい。楽々かあさん公式HP「楽々式サポートブックの書きかた・渡しかた」大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社
2018年03月20日間違えた自分が許せない完璧主義の娘出典 : アスペルガー症候群の9歳の娘は、小学校に通うことが困難になり、現在は「ホームスクール」として自宅で自分にあった学習方法を模索しながら生活しています。そんな娘は近頃、得意分野の検定を受験することを決めました。努力家な娘は合格すべく毎日決まった時間にその課題に取り組むのですが、問題を解いて丸つけをしたら、間違っているところを見返しもせず終わりにしてしまいます。「きちんと間違った問題を確かめないと勉強したことにならないよ?」と声を掛けるものの、バツがついた問題に取り組もうとはしません。これには私が見ていてもわかる、娘なりの理由があります。わからない問題が出てきては激怒、丸つけで1つでも間違いがあれば激怒と、怒りの感情に振り回される娘は、1枚のプリントを1回やるだけで満身創痍。振り返りの体力も気力も残っていない状態になってしまうのです。いつしかプリントを見るだけで嫌な顔をするようになり、取りかかるまでにも「間違える自分がバカで情けない」「生きていく価値がない」という呪いの言葉を延々と語るようになってしまいました。完璧主義、0−100思考、白黒思考とよばれるアスペルガー症候群の特性が顕著に現れているのだと思います。とはいえ、それはそれで理解できるのですが、このままではせっかくの学ぶチャンスを自らの呪いによって遠ざけてしまうことになりますし、怨念のこもった言葉を聞かされ続ける私にも限界がやってきます。一体どうすれば、この状態から抜け出せるのでしょうか?学習のステップを視覚化し、今どの段階にいるのかを明確に出典 : そこで、「そもそも勉強ってなんだろう?」というところから娘との話し合いをスタートさせてみました。「勉強ってなんだと思う?」「まだ知らないことを知って自分のものにしていくこと?」「そうだよね。じゃあ、このやるだけやって置いてあるプリントはどんな状態だと思う?」「どんなって、私は勉強したつもりだけど?」「うん、そうなんだよね。プリントを終わらせたら、なんだか“勉強した~!”っていう気になるんだけど、実はまだこれは勉強したことにはならないの」「なんで!?がんばってやったのに!」「がんばったよね。でも、丸つけをして間違ったところをそのままにしてあるでしょ?これだと『今できることやった』だけになっちゃうんだよ。わかる?」「わかってるよ!どうせ私は何にもわかってないし、全然できてませんよ!」「ううん、そうじゃないよ。できてないことを責めてるんじゃないの」そう諭しながら、紙に勉強のステップを書いていきます。後で私がパソコンで清書したもののがこちら。Upload By GreenDays「あのね、あなたがやっているのはまだステップ1の段階なの。単純に『今できること』と『今できないこと』を振り分けてるに過ぎないんだよ。ここでがっかりしたり、自分に腹を立てたりしなくていいんだよ」でも娘は腑に落ちない様子です。「でも、×があるってことは、できてないってことでしょ!?」ここが、完璧主義の娘の引っかかりポイント。×がひとつでもある状況が許せない。だからこそ、自分の間違いに向きあうことができなかったのでしょう。私はこう続けました。「ここでいう×は『まだ知らない』か『知っていても自分のものになっていない』部分っていうだけで、あなたを否定するものではないの。『あ、ここはまだ自分のものになっていないんだな』って思えばいいの。自分のものになっていない箇所は、あなたにあったやり方で理解を深めていけばいいんだよ。それが勉強するっていうことだと思うの」「まだ自分のものになっていないところか・・・。うん、わかる。わかるけどでもどうしても自分を責めちゃう・・・」「うんうん、責めちゃう気持はよくわかるよ。でもいつまでも責めるだけでプリントを放置していたら、勉強する機会をどんどん逃してしまってもったいないと思わない?たとえば、気持ちを切り替える言葉を考えて自分に言い聞かせてみるのはどうかな?」「う~ん、じゃあ『できないままはイヤ!どうすればできるようになるか考えろ!』って自分に言い聞かせてみる」こうして勉強のステップを親子で確認し、翌日からそれを活かしながら学習に取り組むことになったのです。呪いの言葉は少しずつ減少傾向に出典 : もちろん、すぐに気持ちを切り替えられるほど持って生まれた特性というものは簡単なものではありません。解けない問題がでるたびに怒り、間違うたびに怒ることは今の娘にとっては避けられない道程です。それでも、勉強のステップをまとめたプリントを見せながら、「今どの段階にいるんだったかな?」「どんな風に自分に声をかければ切り替えられそう?」「できていない問題はまだ自分のものになっていないだけだよ」と声をかけ続けることで、取りかかる前に呪いの言葉を延々と吐き続けることはなくなってきました。そうして一か月ほど経った頃、プリントを始める前に自ら「できなくても『今は自分のものになってない』っていうだけ」「今から知ればいい」と言いながら取り組めるようになったのです。それは娘の学習への足枷となっていた『学ぶことは大好き → 大好きだからこそ間違えたくない → 今すぐ100%こなせる自分でなければならない』という意識が少しずつ崩れ始めた瞬間でもありました。もちろん、まだこの考え方が定着したわけではありませんので、私が声を掛けなければまた元の状態に戻ってしまう可能性も多いにあるのでしょう。それでもこれは勉強だけに限ったことではなく、家事をするにせよ、仕事をするにせよ、娘の人生のあらゆる場面で役に立つことだと思うので、この思考が彼女のものになる日まで気長に声を掛け続けていこうと思います。
2018年03月18日新卒時代、会社で出会った「暗黙のルール」の壁。周りを観察して「具体的なルール」に翻訳出典 : 新卒で入社した会社には、数多くの「暗黙のルール」がありました。誰も教えてくれないのに、ルールを守らないと孤立してしまいます。ですが、発達障害があると、「暗黙の」ことを察するのが、困難なのです。ちなみに、私が新卒で入った会社ではこんな「暗黙のルール」がありました。■若い考えを取り入れたいと言われるけれども実際に発言すると聞いてもらえないことが多い■打ち合わせや会議では議論になるような考えを言ってはいけない■周りの人たちに対して敵意がないことを示すために適度に雑談をする必要があるルールを理解できていないと、自分は普通だと思って行動しても批判されたり、社会人として失格だ!というレッテルを貼られてしまうこともあります。せっかく頑張って仕事をしようと思っているのに、ちょっとした意識のずれで同僚や上司とうまくいかなくなってしまうのは残念です。「何かルールがありそうか」周りの人たちの行動を見てみましょう。話を聞いてくれそうな先輩や同期がいたら、「こういうことってやっちゃいけないんですか?」なんて聞いてみてもいいかもしれません。「暗黙のルール」を「具体的なルール」に翻訳することで、自分も周りの人も気持ちよく仕事をできるのではないかなと思います。1日中、同期と一緒の寮生活。いつの間にか集団から外れ、迷惑をかけてしまう…予防策は?出典 : 私が新卒で入った会社では研修期間の数か月は同期の人たちと寮生活を行っていました。そこでは同期全員がいつも集団で行動していました。このころは朝ごはんを食べるときから帰宅後、そして休日もずっと全員一緒に行動しなければならないような雰囲気がありました。そうしないと孤立してしまい、今後の会社生活にも悪影響を与えてしまうという雰囲気がありました。会社の寮ですから、仲がいい友達とばかり一緒に行動する学生時代とは違って、いろんなタイプの人がいます。加えて、自分の行動を自分で決めることができないことにストレスを感じていました。その上、何も意識していないと、集団から外れてどこかにいってしまうことが多いようで、よく同期に迷惑をかけていました。「これから何をするのかよくわからないまま移動する状況が怖い」と感じることも多かったと記憶しています。現在もこうした傾向は多少残っています。そこで、集団から外れてどこかに行こうと思ったときには近くの人に一声かけたり、これから何をやるのかがよくわからない場合には、何をやるのか知ってそうな人に聞いてみるなどの対応策をとり、トラブルにならないよう気をつけています。判断基準や行動パターンが、周りの人たちと違うことに気づく出典 : 入社して半年くらいたったころ、自分の判断基準や行動パターンが、周りの人と違うことに気づきました。例えば交流を深めようと思った場合、当時の私は相手の部屋や自分の部屋でじっくり話すようにしていました。しかし、周りの人たちはお酒を飲みに行ったり焼き肉を食べに行って、そこで話すことが多いようです。また、同期の人たちはお互いに何も話していなくても意思の疎通が取れているようで、私からすると事前になにか決めごとをしているのではないかと思うくらい状況ごとの行動が一致していました。何か具体的なエピソードがあるわけではないのですが、日々一緒に行動している中で少しずつ「なんだか違うなぁ」と思うことが積み重なっていき、それが不安の原因になっていました。みんなが楽しがっていることが自分は全然楽しくなかったり、面白いなと思うポイントが全然違っていたり、つらいなぁと思うことが違っていたりと、その違いを痛感するようになっていきました。別の人間なんだから、他の人たちと感じ方が違っていても問題ないと今なら思えますが、当時は「どうして自分だけがこんなに違うんだろう…」と悩んでいました。自分の思う「当然」で答えてしまうと、話がかみ合わなくなる出典 : 上司「凸庵くん、これどうやって実装したらいいと思う?」私「○○のようにするのがいいと思います」上司「どうしてそう思ったの?」私「それが一番いいと思ったからです」これは新卒のころによくあったやり取りです。メールなどで連絡するときにも、同じような状況でした。上司の「どうしてそう思ったの?」という質問は、私が「○○のようにするのがいい」と思った理由を聞いているのですが、当時の私はそれをよくわかっていませんでした。私が答えるべきだったことは「今後機能を増やしていくときにこの方法なら修正が簡単になるとおもったからです」ということでした。でも、相手が何を聞いているのかを想像することは当時の私には難しいことでした。「自分がなぜそう考えたのか。相手は自分の考えの何を知りたいのか」…そういう意識がそもそもなかったのです。自分の中では当然だと思っていることは、他の人がまったく思いもよらなかったことかもしれませんし、実は問題があることがわかっていてすでに却下された考えなのかもしれません。自分の考えや、なぜそう考えたのかの理由を伝えられれば、答え合わせをすることができます。その結果自分の知識が増えたり、お互いにどんなことを考えているのかを知ることができます。最近の私はこれがとても面白いと思うようになってきました。自分の知識を深めることができるし、それにより自分と違う考えの人がいることを歓迎することができるからです。珍しい経験をしていて他の人と違う考え方をしている方は、私と同じように自分の考えを伝えるところでつまずくことが多いのではないかと思います。しかし自分の考えやその理由を相手に伝えることができるようになると、他の人と違う考え方をしていることそのものが強力な武器になります。とても難しいことだと思いますが、自分がなぜそう考えたのかを自分なりに伝える訓練を続けてみると、それまで見えていなかった道が開けるかもしれません。人と違う特性は、ターゲットにされやすい。心に傷を負う前にすべきことは…出典 : もう一つ気づいたことは、人と違うところを指摘したり馬鹿にしたりして面白がる文化が日本にはあるようだということです。周りと少し違う特性がある人は、社会生活を送る上で、このターゲットになりやすいと思います。私には考えるときに人差し指を立てて唇をなぞるクセがあります。ある日私が考え事をしていたとき、当時の上司が「なんでそんなことしてるの?」といいながら私のマネをして笑っていました。周りの人たちもそれをみて笑っていました。それ以降、私がこのクセをしてしまうと、他の人がマネするようになりました。その後、飲み会でもネタにされ、どんどん広がっていきました。その後数年して転職をし、ネタにされることはほとんどなくなりました。私自身そういうマネを無視できるようになったこともあるのかもしれませんが、何を面白いこととするかは会社の文化によるところが大きいのだと思います。もし自分がいろいろやってみても辛いなと感じる職場なら、転職などで環境を変えてみるのが有効なのだと思います。環境を変える活動はとてもエネルギーを使いますし、必ずしもうまくいくわけではありませんが、周りの人たちの意識や考え方を変えたり変わるのを待っているより現実的な方法です。心が元気ならいくらでも次の職場を探すことができますが、一度心に傷を負ってしまうと私のようにうつ病を患ってその後何年もその影響を受け続けるかもしれません。そうなる前に他の環境へ逃げてもいいと私は思います。発達障害のある新入社員が、会社でうまくやっていくための4つのアドバイス出典 : 社会人となると、学生時代にくらべて、さまざまな年齢層、さまざまなバックグラウンドを持つ人と一緒に仕事をすることになります。人と違う特性のある人の場合、つまづいてしまうことも多くあると思います。私自身、試行錯誤中のところもあり、すっきりと解決策を紹介できない部分もあります。ですが、次のポイントを意識して生活すると、トラブルを減らすことができるのではないかと思います。■会社の「暗黙のルール」を「具体的なルール」に翻訳する■トラブルを起こしがちな行動パターンに気づき、予防策をはる■自分の「当然」は人と違うかもしれないので、なぜそう考えるのかを言葉にして説明する■いじめのターゲットにされたら環境を変える今回のコラムでは、私が新卒時代につまづいたことと、そこから学んだことを紹介しました。これから社会に出る人や、社会に出たものの困っている人の力になればうれしいです。
2018年03月17日新学期は新たな先生との出会いでもある出典 : 新学期は環境や人がガラッと変わるという親子が多いと思います。入学の場合はなにもかも初めての環境・人になることがほとんどですし、進級の場合も、これまで一緒にいた友達と離れる・新しい教室になるといった変化があります。入学・進級する我が子を誇らしく思いつつも、「新しい学校でうまくやっていけるだろうか…」「クラスメイトと仲良くやれるかな…」と、不安を感じる…揺れる思いを抱えている保護者の方も多くおられるのではないでしょうか。また、やはり気になるのは「新たに子どもの担任となる先生」のこと。新学期はこれまでお世話になった先生から、新しい先生にかわるタイミング。そのため「今年の先生は誰だろう…うまくやっていけるかな」「発達障害による特性に理解のある先生だろうか」など、新しい先生に関して気になったり、不安を感じたりしているという方も多いと思います。発達障害がある子どもにとって、学校が過ごしやすい環境になるためには、先生と保護者がうまく連携し、協力してサポートをしていく必要があります。新学期、子どもは環境の変化でただでさえストレスを感じやすいので、先生とスムーズにコミュニケーションをとり、子どもが元気に学校で過ごせるよう支えていくために、どんなことができるでしょうか。以下から詳しく、先生と連携するための関係構築や、子どもの特性の伝え方、「先生と合わないかも?」と感じた時の対処法を順にご紹介します。家庭と学校で協力して子どもをサポート!出典 : 発達障害の子どもが学校でのびのび過ごせるかどうかは、学校側に子どもの特性に合わせ必要な対応をしてもらえるかで変わってきます。このとき、大切なのは「合理的配慮」という考え方です。合理的配慮とは、障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障され、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせておこなわれる配慮のことを指します。合理的配慮には例えば、「周りの音など刺激に敏感で勉強に集中しづらい子どもに、仕切りつきの机を用意する」「指示の理解に困難がある子どもに、見通しが立つようにその日の予定をカードや表にする」などの対応があります。発達障害のある子どもは、特性の偏りによって社会や環境とのミスマッチが生じやすく、生きづらさや困り感を感じることが多くあります。そのため、学校においては先生(とくに担任の先生)に子どもの特性をきちんと伝え、子どもにあった環境調整や配慮をしてもらうことが大切です。その一方でそのような配慮が学校側の過度な負担にならないよう、親としても気をつける必要があります。参考:LITALICOジュニアー合理的配慮とは新学期、新しい先生に合理的配慮を頼むときの6つのポイント出典 : 新しく子どもの担任になった先生に、どのようにして子どもの特性や、合理的配慮のお願いを伝えるときに心がけたいことを6つ、ご紹介します。2016年4月に施行された、通称「障害者差別解消法」により、ゆっくりではありますが以前より「合理的配慮」をお願いしやすい環境になりつつあります。ですが、だからといって子どもの特性による困りごとを全て学校にお任せする姿勢では、先生との連携はうまくいきません。発生した・発生するかもしれない困りごとに対して、どのような対策が子どもにあっているのか、まずは親子間で色々試してみることが大切です。その中で、ここまでは親子で工夫する、ここからは先生にも協力してもらいたい、などとお願いする範囲をはっきりさせ、先生への負担が大きくなりすぎないように心がけましょう。先生に合理的配慮をお願いしようとすると、ついつい「うちの子、ADHD傾向で、じっと座っていられないんです」「自閉症スペクトラム障害があり、見通しが立たなかったり予定変更があったりするとパニックになるんです」など、子どもの「できない」情報だけを伝えてしまいがちです。ですが、「できない」「苦手」など、ネガティブな情報だけを伝えてしまうと、先生が不安感を強めてしまったり、伝えられたネガティブ面ばかり目を向けてしまったりすることがあります。そのため、「じっと座っているのが難しいですが、ときどき体を動かす機会を与えてもらえればまたすぐ座れます」「見通しのたたないことには不安になりがちですが、決まったことを黙々と取り組むことがとても得意なんです」など、ポジティブな情報(子どもができることや得意なこと)を合わせて伝えるようにしましょう。先生にとっても子どものよりよい理解につながりますし、子どものがんばりや強みに目を向けやすくなります。子どもがすでに発達障害の診断を受けている、知能検査などを受けている場合は、その際の結果や主治医の報告書を、先生との相談の際に添えることをおすすめします。検査結果や報告書は客観的かつ説得力があるため、持っていくとよりスムーズに合理的配慮のお願いが進みます。また、「診断を受けたわけではないが、子どもの特性にあった配慮をお願いしたい…!」ということもあると思います。その場合、自分の子どもと同じような特性の子どもが、配慮を経てどのように過ごしやすくなったのか、などが記された先行事例を紹介するとお願いしやすくなります。例えば、発達障害について解説された本の多くに困りごとの具体例と、その解決方法が掲載されています。このような本を持参して説明するのもよいですし、学校での合理的配慮の実例がまとまっているサイトもあります。これらの活用が、子どもの特性と配慮をうまく伝えるヒントとなるでしょう。参考:インクルーシブ教育システム構築支援データベース-独立行政法人国立特別支援教育総合研究所子どもによっては、家での様子と学校での様子が異なる子どももいます。家庭という環境や家庭でのやり方であればためらいなくできるのに、学校ではできなくなってしまうといった様子が見られることも。その場合、家と学校でのギャップを伝えないままでは、先生もなかなか配慮する範囲のイメージがしづらくなってしまうことがあります。子どもが家ではどのように過ごしているのか、家ではどこまで子ども1人でできるのかなども先生に伝えると、先生も配慮がしやすくなるでしょう。サポートブックとは、入園や入学・進級など子どものライフステージが変わる際に、子どもの普段の様子や関わり方・知っておいてほしい情報を、園や学校の先生と共有するためのツールです。保護者の多くが、新学期前に先生と面談をし、「配慮をしてほしい」と伝えると思います。ですが、限られた時間で子どもの特性・配慮をじっくり話しきることはなかなか難しいことです。また、合理的配慮の内容によっては子どもの担任の先生だけではなく、学年主任・教頭・校長先生や、スクールカウンセラーなど多くの人の協力が必要なときもあります。その場合、子どもの個性と対応方法を一人ひとりに直接伝えていくことは時間もかかりますし、伝えきれないこともあります。そのため子どもの特徴などをサポートブック・サポートシートにまとめ、先生に提出するのも有効な方法です。面談の際にも、子どものことがわかりやすくまとまっている資料があるだけで、話し合いも円滑に進められます。サポートブックの詳細やテンプレートは、以下をご参照ください。ジュニア-サポートブックとはジュニア-サポートブックテンプレートサポートブック「TSUNAGU(つなぐ)」愛知県長久手市 福祉部子育て支援課・福祉課ここまで、新しい先生にどのように頼めばスムーズに合理的配慮を受け入れてもらえるか、そのコツをお伝えしてきました。その中でも一番と言っていいほど大切なのは、配慮してくれた場合に、先生に感謝の気持ちを伝えるということです。複数の子どもを同時に見なければならない中、子どもへの配慮を受け入れてくれたことに対して丁寧にお礼を伝えましょう。また、「先生が声をかけてくれたおかげで、最近は授業も楽しんで取り組めているようです」「先生に授業での取り組みをほめられて、とても嬉しかったようです」など、先生がしてくれた配慮やそれに対するわが子の反応を定期的に伝えると、先生との信頼関係構築につながります。新学期がはじまり…先生と合わないかも?と感じたら出典 : 新学期、新しく出会った先生とどう関係づくっていくかについてご紹介してきました。とはいえ、先生の中でもまだ発達障害への理解があまりなかったり、実際に配慮をしてくれるわけではなかったりと、先生との関係づくりに苦労することもあると思います。以下では新学期が明けてしばらく過ごしてみたら、「もしかして先生と合わないかも…?」と感じたときの対処法をご紹介します。「親の私自身と先生が合わないのか、子どもと先生が合わないのか…」どちらにせよ、その要因はどこにあるか具体的に挙げ、本当に先生との相性の問題なのか、改めて考えてみましょう。例えば、先生に子どもの特性を伝えたにもかかわらず、なかなか配慮をしてくれていない様子が見られると、つい「この先生には合理的配慮をする気はないんだ」と思い込んでしまいがちです。子どもへの配慮をお願いしたのに、それが実現されず、子どもが困り感を抱えたまま通学しているとなると、保護者としても何とかしたいという思いから、先生を責めてしまうこともあると思います。ですが、もう一工夫、先生にアプローチすることで状況が変わることもあります。「子どもの特性はわかったけど、じゃあどうすればよいのかがわからない」「配慮したい気持ちはあるけど、ほかの子との兼ね合いでなかなか実現できない」といったジレンマを先生自身が抱えている可能性もあります。ですので、この例の場合は先ほど紹介した6つのコツをもとに、改めて先生の実現しやすい配慮方法を提案してみるなどの改善策が挙げられます。このように、「この先生とは相性が悪い!」とすぐ決めつけてしまうのではなく、本当に相性の問題なのか、それとも頼み方・頼む先生・頼む内容に関してこちらでまだできることがないか一度立ち止まって考えることが大切です。先生は同時に何人もの子どもを見ています。合理的配慮をしたいと思っていても、手が回らなかったり、ほかの子どもとの兼ね合いで実行できなかったりすることも多くあります。そのような状況の中で、子どもの特性だけ伝えて、配慮方法は先生にお任せになっていたり、クラス全体を巻き込む必要があったりするとなると、先生も対応しきれないことがあります。つい、親心として、わが子が学校で困っているとなると、自分の子どもへの対応や配慮のことだけを考えてしまいがちです。しかし、他の子どもに対しても平等に見る必要があり、日々さまざまな業務がある先生にとっては、対応できる範囲に限度があることも事実です。先生が普段から多くの業務を抱えているということを念頭に、先生側に負担がかかりすぎていないか今一度チェックしてみましょう。なかなか配慮がされない、となると子どももだんだん困り感が溜まってきたり、先生への不満を感じたりすることがあるかもしれません。そんなときは、否定も肯定もせず、「大変だったね」「困ったことがあったのに、よくがんばったね」と共感の姿勢を見せることが大切です。一方、「あの先生はお母さんも好きじゃない」「先生の○○なところ、嫌だよね」というような先生に対するネガティブなイメージを親の口から子どもに伝えることはおすすめしません。親・子どもどちらにとっても、先生への信頼感を築きにくくなってしまうからです。子どもが感じる先生への気持ちと、親が察知する子どもから先生に抱く感情は同じだとは限りません。あくまでも中立的な立場で、子どもの気持ちに共感の姿勢をもちましょう。とはいえ、担任の先生に障害のことや合理的配慮をなかなか理解してもらえないこともあります。その場合、担任の先生以外の先生や職員で頼れる人はいないか、視野を広げてみましょう。例えば、学校だと学年主任・教頭・校長先生や保健室の先生、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどが主に挙げられます。他にも医師や各種支援センターなど、協力をあおぐことができる可能性のある人はさまざまです。担任の先生にすべての配慮を委ねると、どうしても他の子どもへの対応もあるため、こちらの要望通りにうまくいかないこともあると思います。担任の先生以外に親子が頼れる存在を見つけられると、別の角度からサポートの糸口を見つけられるかもしれません。「こんな風に先生と協力しています!」合理的配慮の体験談を紹介出典 : ここまで先生とどうやって関係を構築していくか、どう配慮を依頼するかを解説しましたが、実際他の親子はどのように先生と協力体制を築いているのでしょうか。それぞれの工夫や体験談をご紹介します。これならできそう、と思えるアイディアがあったら、さっそくこの新学期に試してみるのもよいですね。さきほどご紹介した合理的配慮のお願いのコツにもある「サポートブック」。また、日々先生とのやりとりで使う連絡帳をうまく活用している、という声が多く寄せられました。新学期になり担任の先生が決まったら電話で伝え、必要な書類を渡しに行きました。検査結果のコピーと服用している薬の説明と本人がどうしてもらえると不安じゃなくなるのかをわかってもらう為に絵と解説文が載っている本をコピーしました。5パターンくらいだったと思います。予定の書き忘れ、切り替えが難しいなど。わかりやすいように大事な部分に線を引きました。スモールステップが必要だった時は担任の先生にも1ヶ月のスケジュールを渡し協力してもらえました。普通級だけど配慮が必要なことは、入学時に「教員で共通理解して、毎年新担任にも伝えます」とお約束してもらっていますが、それ以外にも、毎年家庭訪問の時に息子の苦手なこと(聴覚過敏など)とその対応を書いた紙(私は息子のトリセツと題名をつけています)を渡し、実際に家の中を見ていただいて、家ではこういう工夫をしていますなど見ていただいています。その時気を付けているのは、家でこうやってるから学校でもこうやってくださいと押し付けないこと。先生方もプロなんだから、色々なアプローチのしかたがあるだろうし、家で一人に対応するのと、クラスでやるのでは違って当然。プロとしてプライドもあるので、あくまで我が家では…的な感じで。あとは、気になることがあれば年2回の個人面談で先生と一緒に課題の洗い出しと対応を考えています。+年1回の療育相談の結果を連絡帳で報告しています。緊急用件は連絡帳を使って。新学期の先生が変わる時期には、サポートブックや子どもの特性と配慮がわかりやすくまとまった資料があると、先生の理解も得られることが多いようです。また、この体験談のように「家での方針を押しつけすぎない」「クラスの中で対応してもらっていることを忘れない」ということを意識していると、先生との関係も構築しやすくなるでしょう。多くの方が実行しているのが、本格的に新学期が始まる前の面談・話し合い。具体的に誰と、どんな風に面談をしているのでしょうか。担任や同じ学年の他クラス担任、そして校長などと面談してもらってます。そして、伝えるべきことは伝えており新学年にあがるときはそれら引き継いで一緒にやっていきましょうってスタンスです。学校にいるときは学校になじむことは大事です。が、それが行き過ぎないよう、学校側にも配慮をお願いしつつコチラも学校と連携して今後もやっていく所存です。(中略)今年度、さまざまあったのですが担任や他クラス担任たちの配慮ある見守り・行動などにより息子も落ち着いてきました。今の通級学級担任の先生には、本当にお世話になりました。年配のベテラン先生で、凸凹発達の息子を良く見てくれ、別け隔てなく、誉めて育てる‼がモットー。支援クラスの先生は、入学当時からお世話になっています。息子は、アスペルガーで、とにかく、事前の流れが解らないと不安で…。聴覚過敏、味覚過敏、嗅覚過敏…等過敏症な子です。だから、イヤーマフ持参、偏食な為おにぎり持参、等予め、先生同士の申し送りはしてくれていますが、春休み最後の日は、必ず学校に行き、教室の場所、下駄箱の場所、トイレの場所、新担任の先生に挨拶を済ませています。その時に、こうして欲しい!って事は予め伝えています。面談は、一番密接に関わる担任の先生以外にも、他クラスの先生や校長先生とも行っている方も多くいます。他の先生とも話しておくことで、さりげなく子どもをサポートしてくれる人を増やしていけそうですね!また、先生と話すだけでなく、教室の位置や設備を見ておくのも、新学期をスムーズにはじめるきっかけになりそうです。小学校や中学校、適応指導教室、教育支援センターや子ども家庭支援センター、医師などに相談しながら子ども家庭支援センターの方と共に色んな所と連携して息子の配慮のために色々、動いてます。感覚過敏や聴覚過敏、視覚障害に必要な精密検査を受けたり診断書や指示書を書いて貰ったり息子の特性や今の様子などを中学校へ報告したり通級の見学もしてます。学校の教職員以外にも、協力を求めることができます。この保護者は、適応指導教室、教育支援センターや子ども家庭支援センター、医師など、さまざまな人と連携しているそうです。診断書や報告書などが、合理的配慮に必要なこともあります。先生だけにとどまらず、子どもをサポートしてくれる人すべてを巻き込んでいくこともよい方法です。まとめ出典 : 新学期、「新しい先生はどんな人か、うまくやっていけるか」気になる保護者も多いと思います。とくに発達障害の子どもに関しては、担任の先生をはじめ、学校とうまく連携できるかどうかで子どもが元気に学校に通えるかどうか変わってきます。親子で取り組めること・先生にお願いしたいことを考えたうえで、先生と良好な協力関係を築き、子どもの学校生活をサポートしていきましょう。
2018年03月15日いよいよ就職が決まり、憧れの一人暮らし。けれどもトラブル続出!?出典 : 私が一人暮らしを始めたのは、大学を卒業し都内の企業へ就職したタイミングでした。後にアスペルガー症候群、ADHDと診断される私ですが、このときはまだ、自身の特性を自覚しておらず、新しく始まる新生活の期待に満ち満ちていました。しかし、新しい生活のスタートするやいなや、それまで両親がやってくれていたことを自分一人でこなすことが必要になり、新たな困難さに直面することになったのです。それまではやはり、両親が私自身の苦手な部分をカバーしてくれていたから問題が表面化しなかっただけなのでしょう。今回は、私が特に困った重大なポイント4つをご紹介したいと思います。1. ゲームやスマホがやめられない。出典 : 一人暮らしをすればゲームに夢中になる自分に「もういいかげんにしなさい」と両親が声かけをしてくれることもなくなり、「あと少し…あと少し」と繰り返していくうちに、気づけば深夜だったことが何度もありました。私は、過集中の傾向と凝り性な一面があり、やり出したら止められなくなってしまうことが多くあります。また、最近のゲームの多くは、強いカードや珍しいキャラクターを手に入れるためにお金を使わせる仕組みになっています。射幸心を煽る演出もあいまって、もう1回もう1回と衝動的にのめり込んでしまうことに。結局、ゲーム課金で、気付いたら1万円近く使ってしまったことがありました。2. 給与をもらってすぐに、欲しいものを衝動的に買ってしまう。出典 : ヶ月に生活費がいくら必要なのかを考えずに、衝動的に欲しいものを買ってしまうことがありました。私は、衝動性が高いタイプのADHDだと自覚していますが、特に新しい物好きです。パソコン関係などの家電や新製品を見つけると、ついつい目を奪われてしまいます。同時に、手元にあるお金を今自由に使えるお金と錯覚してしまい、即使ってしまうのです。その結果、給料日の1, 2週間前になって、「アレ?足りない…。…。あのー…母さん、お金が足りないんだけど…」とお願いすることがしばしばありました。実際の一人暮らしでは、振り込まれた給料から、家賃や光熱費、上下水道代....その他諸々のお金が引かれるので、今あるお金は、今使えるお金ではない。ときちんと認識することが大切だと痛感しました。3. どこに何を置いたのか、しまったのかを忘れる。出典 : 思いがけないタイミングで、かつ高頻度で発生するのがコレです。不意に置いたメガネや自宅の鍵、定期、スマホなどをどこに置いたか、翌日になるとすっかり忘れてしまっていました。出かける直前になって、コレがないッ!!アレがないといことが日常茶飯事。特によく無くすものは、キーケース。ちょっと出かけるためにテーブルに置いていたり、ポケットに入れておいたりと、絶対的な位置に置いておくのが難しいものは、日常的に捜索をかけなければならない状況になってしまいます。その結果、家を出る時間が予定よりもだいぶ遅くなり、遅刻しそうな状況に陥ることも珍しくありませんでした。4. 自分の疲れているサインに気づかず、無理をしてしまう。出典 : 自分が疲れていることに気づかず、無理をしてしまうことが今でもあります。中でも一番多いのが過集中による休憩を全く挟まないことで生じる疲れです。過集中でいる間は疲れを感じないだけで、疲労が蓄積されていないわけではありません。ゲーム、パソコンを12時間以上、朝から晩までぶっ続けで行って、目に痛みを覚えて鏡を見たら、目が酷い充血をおこしていることが今でもあります。もう一つ多いのが、外出中の刺激過多による疲れです。特に都心部では街のネオンや、たくさんの雑音、人混みなど、自身が疲弊してしまう刺激が雨のように降ってきます。そうした環境下で無理をすると、翌日に寝込んでしまうことまでありました。やっぱり、一人暮らしは難しい。だけど、出典 : 一人暮らしの中で日々直面する多くの困りごと。しかし、そんな毎日であっても、一人暮らしは決して不可能でないと私は確信しています。それでは私が実践してきた一つひとつの対策を見ていきたいと思います。過集中に関しては、自分一人の力では解決が難しく、東京発達・家族相談センターを訪ね、「大人のADHD時間管理セミナー」のグループセラピーに参加して、少しずつ出来るようになりました。それらを含め、実際に私が取り組んだ内容をご紹介したいと思います。(1)睡眠ログを取る1日を睡眠不足と感じること無く、有意義に過ごすために、自分は何時間寝ることが必要なのかを把握します。睡眠時間の把握には、スマホアプリが便利です。iPhoneでもAndorodでも、無料で使えるアプリが公開されています。睡眠のログをとり、自分の日々のコンディションと対比してみることで、自分の特徴というのがだんだんとわかってきました。私の場合であれば、23時頃に寝て、6時くらいに起きる生活であれば、日中に眠くなることなく、仕事に熱心に打ち込めるようです。(2)自動で消灯や調光ができるLEDライトを使用する。また自宅ではスマートフォンアプリで調光や消灯が設定出来るLEDライトを使っています。今は、23時前になると明るさが段々暗くなり、23時に消灯するように設定して、寝る時間が迫っていることを体感的に分かるようにしています。私の場合、家電量販店などの白色灯が眩しいなと感じるため、調光機能を使って、自分好みの明るさと色温度に設定しました。(※製品は一例です。各機能の利用の可否、利用に必要な条件については、製品情報を参照してください。)後先考えずお金を使ってしまうことへの対策は、今現在使った金額を直感的にわかるようにすることで解決しようとしています。まずレシートの量で、視覚的にどのくらい使っているのかを分かるようにするために、ポケット収納を壁に吊り下げました。また私は、視覚優位なタイプなので、項目ごとに色分けしてあると、より直感的に理解しやすいように思います。次の画像の場合だと、外食のカテゴリーに失費が多いということがひと目で分かります。Upload By ツーちゃんまた、Excelなどの表計算ソフトや家計簿アプリなども併用しています。レシートを1回1回撮影するのは、手間が掛かるので、仕事がお休みの日に表計算ソフト上で合計金額を計算し、その値を家計簿アプリで把握しています。さらに家計簿アプリは、ネットバンキングとも同期できるため、非常に使い勝手が良くなっています。鍵、腕時計、ハンカチなど忘れると困るものを、こんな風に置き場所を決めています。Upload By ツーちゃんまた、バッグの中でごちゃごちゃで汚い、探し物がすぐに見つからないことでも悩んでいましたが、バッグインバッグという方法を用いて、今ではスムーズに必要なものが見つかります。障害者手帳や、お薬手帳、受給者資格証など比較的よく使うものなどの場所を取り出しやすい手前のポケットに入れるなど対策をしています。Upload By ツーちゃんそれから、出来るだけ平積みをしないように心掛けています。場所を区切って置き場所を作る事で、一番下のものを引っ張り出す必要がなくなり整理整頓が簡単になります。Upload By ツーちゃん出典 : 週に1度、休憩を取る、早く寝る日を作っています。その日は家事も、夕飯作りも、友達づきあいも全てしないと割り切り、シャワーだけを浴びてすぐに就寝します。強制的に脳と体を休ませることによって、たとえ、疲れているサインに気づかなかったりしても、問題がないようにしています。私の場合は、初対面での対話や、刺激がたくさんある場所を複数箇所訪れるような場合に、疲れが溜まりやすいと感じます。また、疲れているサインとしては、眠気のない疲労によるあくび、刺激過多による偏頭痛などの予兆が起こることがわかってきました。この予兆を感じとれるようになったことで、事前の対策が可能になってきたのです。そして4年の月日が流れ…出典 : 上述したような困り事もあり、大変ではありますが、もうすぐ一人暮らしを初めて4年になります。これまで失敗することも数多くありましたが、それだけ対応策を作ることもできました。もし、この記事を読んでいる親御さんがいらっしゃったら、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。それはそれはどう頑張っても一人では対策が難しい面があるということです。それを前提にした上で、失敗そのものを責めずに、どうすれば出来るようになるか、一緒に考えるパートナーとして温かく見守って欲しいなと思います。このコラムが、将来の一人暮らしを考えるときの参考になればと思います。
2018年03月10日こどもと見つけた小さな発見日誌
育児に遅れと混乱が生じてる !!
ムスメちゃんとオコメちゃん