*画像はイメージです:最近日本ではハロウィンやコミックマーケットなどの影響で、コスプレや仮装をする人が増加。アニメのキャラクターや映画の登場人物などかなり凝った格好をする人も多く、見ているだけで楽しい気分になります。これだけコスプレや仮装の文化が進んでくると、人が考えつかないようなものや、本物と見分けをつけることができない精巧な仮装で誰にも負けないオンリーワンを目指したくなるものです。今度はどんな仮装で驚かせてやろうかと考えている人も多いことと思います。しかし、その気持ちが行き過ぎると逮捕される可能性があります。 ■逮捕される可能性があるコスプレコスプレで逮捕される可能性あるものとして挙げられるのが、警察官です。軽犯罪法第1条に「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」とあり、15号に「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」と定められています。本物にそっくりとなっている警察官コスプレは、この条項に違反することになります。また・自衛官・消防士・救急隊などの制服についても同様の理由で逮捕される可能性があります。気をつけましょう。さらに女性男性問わず肌の露出が激しいものについても、軽犯罪法第1条20号の「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」に該当するため、違反となります。また、露出度の高さや部位によっては、刑法174条の公然わいせつ罪に該当してしまう可能性もあります。軽犯罪法違反の場合には、「被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合」に限って逮捕が認められることになりますが(刑事訴訟法199条1項但書)、刑法174条違反の場合には、通常の犯罪と同様に逮捕されますので、より注意が必要です。楽しいコスプレで逮捕されてはたまりません。リスクも承知しておきましょう。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*peach / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月18日季節は冬本番。北海道や東北、北陸地方など雪が多く降る地域では厳しい寒さが続いており、最低気温が氷点下になることも少なくありません。この季節は車のスリップや歩行時の転倒など、気をつけなければならない事がたくさんあり、その1つが、水が凍って雫が凍って棒状になる「つらら」。物によっては非常に鋭利になり、凶器になることがあります。2016年1月には北海道の場外市場で遊んでいた小学生につららが刺さり、怪我をする事故も発生しており、ロシアでは、毎年約100人が亡くなっているそうです。さて、つららによって怪我を負わされた場合、法的責任は誰にあるのか?やはり、建物の管理者ということになるのでしょうか?三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士に見解をお伺いしました。 Q.つららによって事故が起きた場合建物の所有者が責任を問われる?*画像はイメージです:場合によっては責任を問われることもある「建物に看板を設置するような場合と異なり、つららができるのは自然現象であり、その生成・落下による事故についてつららができた建物の所有者や管理者が必ず責任を問われるというものではないと思われます。例えば、建物の構造上、つららが生成されやすく、落下すれば危険であることが明らかである場所につららを放置した、などの場合は責任を問われることがあり得るかもしれません。通行人から見ても落下の危険が明らかな状態であればその下を通っていた通行人側にも一定の過失が認められる場合もあり得ると考えられます」(伊東弁護士)やはり基本的につららは自然現象であることから、事故が起こったとしても建物の所有者や管理者が直ちに責任に問われることはないようです。ただし、高層ビルなど落下によって重大事故が起こる可能性が極めて高いと思われるような場所の場合は、過失を認められる可能性があるとのことです。そのような事故に遭遇しないよう、個人が注意するしかありませんね。 *取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*s_waka / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月17日ジョニー・デップとアンバー・ハードの離婚が13日(現地時間)、ロサンゼルスで成立した。アンバーの弁護士は「今日は素晴らしい日です。アンバーが求めていたのは離婚することだけでしたが、いまそれが叶いました。ジェラルド・フォード(元アメリカ大統領)の言葉ですが、『私たちの長い国民的悪夢は終わった』のです」と声明を寄せた。アンバーは昨年5月に離婚を申請し、ジョニーにDVを受けていたと明かしたことから双方が激しく争う泥沼の離婚劇に発展。8月にジョニーがアンバーに対して700万ドルを支払うことで和解が成立した。アンバーはその全額を慈善団体に寄付すると発表したが、その支払いが遅延するなどトラブルはその後も続いていた。ジョニーは昨年12月、アンバーが意図的に離婚手続きを遅らせたとして、弁護士費用10万ドルの支払いを求めていたが、裁判所はこれを却下した。ジョニーは未払い分の和解金をアンバーに支払い、それぞれが自身の弁護士費用を負担することになるという。ジョニーの弁護士は「デップ氏と彼の家族にとって不快な章を終えることができて、私たちは喜ばしく思っています」「特別にラッキーな13日の金曜日になりました」とコメントしている。離婚の合意文書によると、ロサンゼルスやパリ、バハマ諸島のプライベート・アイランドなどの不動産やヴィンテージカーやバイクのコレクション、船舶など40以上の乗り物を単独所有するという。2015年、アンバーがオーストラリアに不法に入国させて騒動の元となった愛犬のピストルとブーは、彼女が引き取ることになるそうだ。(text:Yuki Tominaga)
2017年01月17日安倍首相は、2017年1月5日の党役員会において、「テロ等組織犯罪準備罪」の新設を目的とした組織犯罪処罰法改正案を今期の通常国会での提出・成立を目指す意欲を示したとの報道がありました。この改正法案については、菅官房長官による「一般人は(適用の)対象外」との発言が批判されたことに表れているように、結局は600を超える犯罪について共謀罪を新設して処罰範囲を広げるための法律だとの意見が出されています。そこで、今回は、テロ等組織犯罪準備罪(以前の共謀罪)とは何かについて、その新設の目的とともに、反対意見を踏まえながら解説したいと思います。*画像はイメージです:■テロ等組織犯罪準備罪とは何か報道によれば、政府案は、(1)4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することを目的とする団体が(2)その団体の活動として、(3)具体的・現実的な犯罪計画に基づき、(4)犯罪実行のための準備行為を行うこと等をテロ等組織犯罪準備罪の成立要件とするようです。そのため、政府は、友人同士の集まりやPTAなどはもちろん、一般の市民団体は同罪の適用対象外であることをプッシュして国民や与党内の理解を求めています。 ■団体の存続目的はどう判断?健全な団体のプライバシーが侵害される恐れもしかし、団体の存続目的が犯罪実行であるのではないかと疑われた場合には捜査が開始され得るわけですから、実際には犯罪目的ではなく適法な活動を行うことを目的とする市民団体に対し、通信傍受等の捜査が行われて、構成員の通信の秘密やプライバシーの権利が侵害されるおそれは否定できません。特殊詐欺(振り込め詐欺など)を行う集団が、会社形態をとって通常の事業活動に見せかけ、法人名義で架電のための部屋を賃借することを行っている事実があるように、団体の存続目的は一見して明確にわかることは多くありません。そして、特殊詐欺集団の場合は、部屋を借りる行為や法人名義の口座開設行為が犯罪実行のための準備行為に当たるわけです。このように、団体の存続目的という外観からは一見して明らかでない要件によって、事業活動行為が犯罪の構成要件に該当するか否かを左右しかねないわけですから、やろうと思えば、政府は、正当な捜査目的を盾に、気に入らない思想を持った特定の団体を捜査対象とすることも可能になってしまいます。 ■今後さらに慎重な議論が必要犯罪遂行意思の連絡・謀議という「共謀」と単純な準備行為のみで犯罪が成立するとすれば、実害発生なしに、共謀にかかわったとされる多数の人を処罰することが可能になってしまい、日本の法体系を破壊するものとの批判も寄せられています。政府は国際組織犯罪防止条約の締結、批准のためにはテロ等組織犯罪準備罪の新設が必要不可欠と説明していますが、日弁連は、国際組織犯罪防止条約締結のためには犯罪の未遂に至る前の段階における処罰規定があれば足り、一定の重大犯罪について予備罪を設ける等の対応によるなど、共謀罪を新設する必要まではないと指摘しています。また、諸外国との協議内容の重要な部分が公開されておらず、共謀罪を新設しなくても足りるとする従前の日本提案が受け入れられなかったという説明の真偽を検証できないことも併せて指摘しています。 2020年の東京オリンピックの開催に向けてテロ対策を整えるという目的は正当なものかもしれませんが、テロ等組織犯罪準備罪の新設、対象犯罪については、さらに慎重な議論が必要不可欠だといえましょう。 *著者:弁護士 木川雅博 (企業法務(会社運営上生じる諸問題)、売買代金・貸金請求、損害賠償・慰謝料請求、不動産を巡る法律問題、子どもの事故、離婚・男女間のトラブル、相続問題,破産・民事再生・債務整理、労働問題など、法人・個人を問わず様々な案件を扱っています。趣味は料理とランニング。東京弁護士会。星野法律事務所) 【画像】イメージです*chepilev / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月16日毎年1度はな冬山での遭難事故がニュースになりますよね。山梨県警が今月12日に発表したデータによりますと山梨での山岳遭難者は160名に上り、うち25名は命を落としているようです。この160名という数は統計が残る1965年以降最多で、登山ブームの影響があるのではないかとされています。少し前の話にはなりますが、2009年に遭難したスノーボーダーが亡くなるという事故がありました。亡くなった男性の両親が北海道に対して損害賠償を求めたところ、札幌地裁は北海道に、第一審で約1,200万円の支払いをそして、第二審では約1,800万円の支払いを命じる判決を下しています。当時、判決に対して、救助隊による救助活動が不適切とされて損害賠償が認められるのはおかしいといった否定的な意見が多くありました。では、この問題は法的にどう考えるべきなのでしょうか。*画像はイメージです:■損害賠償請求の根拠亡くなった男性の両親は、国家賠償法1条にもとづき、北海道に対して損害賠償請求をしています。国家賠償法1条によって損害賠償が認められるためには、(1)公権力の行使に当たる公務員が、(2)その職務を行うについて、(3)故意または過失によって、(4)違法に、(5)他人に損害を与えたことの5点を必要とします。本件ではもっぱら救助隊の救助の方法の適切さが論点となっているため、(3)ないし(4)の要件を充たすかが争われています。この判断に当たっては、裁判例の多くは公務員が「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか」という基準に則っているといえるでしょう。 ■本判決に対する私見本判決が批判されるのは、自分からわざわざ危険な場所に行った人を救助隊が(税金を使って!?)命がけで救おうとしたのに、多額の賠償責任が認められるならばだれも救助になんか行きたくなくなるのではないかという感情があるからだと考えられます。私の母も雪山遭難のニュースを見るとよく「そんな危ないところに行かなければいいのに」などと言っています。しかしながら、どんなに相手に道義的・法的な落ち度があったとしても、自分の仕事を果たさなかったらその果たさなかった程度に見合った責任を負うというのが法律の世界なのです。本件では、自分たちも亡くなった男性と共に雪庇(崩落の危険のある雪の塊)を踏み抜いて滑落したなど、救助隊のみなさんは命がけで男性の救助を行ったといえます。しかし、雪庇を踏み抜いたのは救助隊が常時コンパスを確認する等の慎重な方法を採らなかったためであるという本判決の事実認定が妥当なのであれば、男性の過失割合を8割としていることも相まって、本判決が、具体的状況下において救助隊に要求された職務が果たされなかったとして北海道に対して賠償責任を認めたこと(国家賠償法の場合は公務員の個人責任は否定されています)は不当とは言えません。 ■救助したのが一般人だった場合なお、救助者がたまたま居合わせた登山者などの一般人の場合には、限られた場合にのみ賠償責任を負うことになるといえましょう。たとえば、けが人をその場から動かさないほうが安全であることが明白であるにもかかわらず、猛吹雪の中危険なルートを選択して下山中に、折れやすい木の枝にそりを括り付けたために枝が折れて滑落させてしまった場合など、不注意の程度があまりにも大きい場合などです。本件のように、感情的には「おかしい」と思う判決だとしても法的に考えれば問題がないということはよくありますが、念のため付言すると、裁判所も普通の人の常識を無視することはなく、弁護士としても常識や感情に訴える場面は多々あります。結論がおかしく感じるのはその事件で認められた事実関係が原因となっていることが多いので、ニュースで結論だけを見て満足するのではなく、どういう事実があると結論が変わるのだろうと考えてみるとおもしろいかもしれません。 *この記事は2015年1月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)【画像】イメージです*fmostudio / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月14日福島県の小学校で30代の教師が児童4人に対して「デスノートに名前を書くぞ」と発言していたことが今月12日に発覚しました(デスノートは、原作:大場つぐみさん、作画:小畑健さんによる人気漫画で、そのノートに名前を書かれると死ぬ、という設定)。学校は不適切だと判断して、謝罪をしたようですが、この行為に違法性はなかったのか、解説してみたいと思います。*画像はイメージです:■相手が児童ならば脅迫罪が成立するという学説が有力デスノートに名前を書かれると死ぬという設定があるということですから、教師の児童に向けての発言は、生命に対し害を加える旨を告知したと言え、脅迫罪に該当しそうです。しかしながら、デスノートに名前を書くと本当に死ぬのか、ということになると、これは単なる架空の設定であって、そのようなことは現実ではありえないということになります。そうすると、客観的な脅迫行為が存在しないということになります。ところが、学説の中には、「一般人ならば恐怖心が生じない程度の害悪の告知であっても、相手が小心ないし迷信家であることを熟知して告知する場合は、脅迫罪が成立する」という説が有力だったりします。この説に立ちますと、児童が本当に死ぬかもしれないと思っていて、そのことを教師が熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、脅迫罪が成立することになりますね。とはいえこの辺は、検察官のさじ加減一つでしょうね。もちろん、脅迫罪が成立しないとする学説もあります。 ■民事としては民事では、児童がデスノートに書かれると本当に死ぬかもしれないと思っていて、教師がそのことを熟知した上でこのような言動をしたというのであれば、児童たちの人格権を侵害したということで、不法行為が成立し、慰謝料の対象になるものと考えられます。 *著者:弁護士 小野智彦(浜松市出身。H11.4弁護士登録。銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏の漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴、等の代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)【画像】イメージです*しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月13日*画像はイメージです:今年もこの季節がやってきました。大学入試センター試験が今週末に行われます。僕もさかのぼること十数年前にこの試験を受け、奇跡的にそれまでに取ったことが無いような点数を取れたことが今後の人生を大きく変えたように思います。このような大事な試験ということもあってか、2006年~2015年までの過去10年間で2件の替え玉受験を含む65件の不正行為が発覚しています。 ■替え玉受験とは替え玉受験とは、受験者以外の者が受験者本人になりすまして試験を受けることです。もちろん、許される行為ではありません。これが発覚した場合は、当然ですが受験資格を失うことになるでしょう。 ■替え玉受験は法律上どういった扱いになるのか「替え玉受験をした場合にどのような罪が成立するか」については、(だいぶ前になりますが)司法試験の受験の際に勉強したテーマです。結論からいえばこのような場合、「私文書偽造・同行使罪」という二つの罪が成立します。前者は、本来受験すべき人(受験票に名前がある人=受験者)ではない人(回答作成者)が試験の回答を作成したということから、文書の偽造をしたという扱いになります。後者は、偽造した文書(答案)を試験機関に提出した場合に、その偽造文書を行使したという扱いになります。なお、これらの罪の成立については、「名義人(受験者)の承諾があるので罪には問えないのではないか」という批判のあるところですが、承諾があるといってもそもそも違法な目的なので承諾が有効とはいえません。したがって、やはり罪は成立すると考えるべきです。この場合、犯罪の実行行為者は回答者(替え玉を頼まれた人)ですので、その点ご注意ください。もちろん、頼んだ側(本来の受験者)も共犯として罪には問われますけどね。 ■過去の替え玉受験はどうなった?過去に替え玉受験が問題となったケースとしては、某芸人の息子が替え玉受験をさせたことで有名な明治大学受験替え玉事件があります。この事件では20人が替え玉受験に関与していたことが発覚し、そのうち3名が逮捕にまで発展しました。この明治大学の例でもわかると思いますが、センター試験であれ、大学受験であれ、替え玉受験をすれば上記の犯罪が成立する点に何の違いもありません。それどころか、高校入試、中学入試、資格試験等その他の試験でも同じです。いい点数を取りたい、合格したいという気持ちは分からなくはないですが、替え玉受験は犯罪ですので絶対にしないでください。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】イメージです*tabiphoto / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月10日是枝裕和監督と『そして父になる』でも組んだ福山雅治と、是枝組初参加となる名優・役所広司の豪華初共演が実現した最新作が、9月に公開されることが決定。福山さんが勝利至上主義の弁護士、役所さんが前科のある殺人犯を演じることが分かった。勝利にこだわる弁護士・重盛(福山さん)が、やむをえず弁護を担当することになったのは、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所さん)。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されている。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬがれない。はじめから「負け」が決まったような裁判だったが、三隅に会うたび重盛の中で確信が揺らいでいく。三隅の動機が希薄なのだ。彼はなぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?重盛の視点で絡んだ人間たちの糸を一つ一つ紐解いていくと、それまでみえていた事実が次々と変容していく――。本作は、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞に輝き、国内興行成績32億円の大ヒットを記録した『そして父になる』や、日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞受賞作『海街diary』、カンヌ国際映画祭「ある視点部門」正式出品『海よりもまだ深く』などの是枝監督がオリジナル脚本で描き出す最新作。弁護士・重盛の目を通して、弁護を担当する殺人犯・三隅の底意を見つめていく法廷心理サスペンスとなっている。主演を務めるのは、是枝監督とは『そして父になる』以来2度目のタッグ、2018年にはジョン・ウー監督の『追捕-MANHUNT』が控える福山さん。また、福山さんに対峙する殺人犯には、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『うなぎ』やモントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ『わが母の記』をはじめ、『蜩ノ記』『バケモノの子』など日本を代表する名優・役所さんが務め、是枝組に初参加を果たす。是枝監督は、本作品の開発にあたり、弁護士や検事たちへの取材に加え、弁護士たちの協力のもと、実際に作品の設定通りに弁護側、検事側、裁判官、犯人、証人役に分かれて模擬裁判を実施。そこで出てきた各立場からのリアルな反応や行動、言葉などの要素を脚本に取り込み、反映させる作業を行っているという映画タイトルは現在のところ未定。クランクインは1月中旬、撮影は3月まで行われる予定だという。<以下、コメント>■福山雅治初めてご一緒させていただく役所さんとの読み合わせは、とても緊張感のある時間でした。より深く、さらに研ぎ澄まされた是枝監督の演出に応えられるよう精一杯演じられたらと思っています。■役所広司準備段階での是枝監督の丁寧な映画作りの姿勢に触れ、すでに緊張しています。福山さんはじめ素晴らしいキャスト皆さんとの仕事を楽しみにしています。■是枝裕和監督福山さんにオファーをするにあたり、近年描いてきたホームドラマに一度区切りをつけ、かねてより挑戦したいと考えていた法廷劇を選びました。そして福山さんに対峙する殺人犯役を、監督としてはある種の覚悟が必要な俳優である役所さんにお願いしました。弁護にあたり真実を知る必要はないと考えていた主人公が、犯人と交流していくうちに事件の真実を知りたいと思うに至る過程を描く心理劇です。役所さんの胸を借りるかたちで、福山さんをいじめ、揺さぶっていきたいと思います。福山さんと役所さんの本読みで感じた「この2人の組み合わせは新鮮で面白い」という、ドキドキした僕自身の感触をどう本編に刻んでいけるか、悩み苦しみ、楽しみにしながら脚本の最終仕上げを現在行っているところです。是枝裕和監督最新作(タイトル未定)は9月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月10日お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志(53)が、8日に放送されたフジテレビ系トーク番組『ワイドナショー』(毎週日曜10:00~11:15)で、才能とお笑いBIG3(ビートたけし、明石家さんま、タモリ)について語った。この日は、過去の放送分から未公開シーンをまとめた総集編。他人の才能に嫉妬することはないのかを犬塚浩弁護士から聞かれ、松本は「本当にない」と即答し、「面白い人がどんどん出てきてほしいと心から思ってるんです」とお笑い界の盛り上がりの方に期待を寄せていることを打ち明けた。しかし、司会の東野幸治(49)の「鶴瓶師匠は?」という探りには「うらやましい」「ええわ~!」と嫉妬発言を連発。「楽しそうやし。あんなにハゲてんのに」と笑いを誘いつつ、「どこの地方に行っても誰とでも仲良くなれるし」「(自分は)どちらかというと避けられる」「若手の芸人に聞いたら、ほとんど『鶴瓶さん』と言うと思う」と自身と比較しながらその魅力を語った。ここで、犬塚弁護士は「同じ話なのかは分からないんですが」と前置きし、「松本さんは以前、タモリさんや(ビート)たけしさんや(明石家)さんまさんを『邪魔な存在』とおっしゃっていたような気がするのですが、それは才能の嫉妬とは関係ないんですか?」と踏み込んだ質問。松本は「若い時はうっとうしかった」と告白し、「でも自分が年をとってくるとね、ちょっと上の人が頑張っているのを見ると『まだ俺もちょっとできるのかな』と思う」と刺激や励みになる存在に変わったことを明かした。
2017年01月08日週刊誌で薬物使用疑惑を報じられ、昨年12月9日に芸能界を電撃引退した元俳優の成宮寛貴氏。所属事務所が否定したことで、週刊誌への批判が相次ぐ一方、薬物使用疑惑の決着についても議論がなされるなど、波紋を呼んだ。週刊誌の報道は果たして適法なのか、また薬物使用が認められなかった場合はどのような展開が考えられるのか。今一度法的なポイントをおさらいするべく、アディーレ法律事務所所属弁護士の吉岡一誠氏に話を聞いた。○真実と信じた理由があれば、名誉毀損罪にはあたらない――今後薬物の使用が認められなかった場合、今回のような報道は名誉毀損にあたりますか?名誉棄損罪(刑法230条第1項)は、多数の人が認識できる状態で、「人の社会的評価を低下させる可能性のある事実」を適示した場合に、成立する犯罪になります。「違法薬物の使用」という事実は、これにあてはまるため、週刊誌の行為は名誉棄損罪に該当する可能性があります。しかし、名誉棄損罪が成立しない場合(刑法230条の2第1項)もあります。「個人の名誉の保護」と「言論の自由」との兼ね合いのため、摘示された事実が公共の利害に関するもの(事実の公共性)で、目的が公益を図ることにあった場合(目的の公益性)に、真実であることの証明ができれば(真実性の証明)、名誉棄損罪とはならないのです。――今回のケースでは、どのように見ることができますか?まず「事実の公共性」についてですが、起訴されるに至っていない犯罪行為に関する事は、「公共の利害に関する事実」にあたるとみなされています(刑法230条の2第2項)。この点をふまえると、本件においては「事実の公共性」はあるといえるでしょう。また、週刊誌側は私怨で今回の記事を書いた訳ではないでしょうから、「目的の公益性」も認められると考えられます。また、報道された事実が真実だと証明されない場合でも、真実であると誤信するような確実な資料・根拠に照らして、相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損罪は成立しないとされています。したがって週刊誌側は、成宮氏の違法薬物使用に関して真実であることを証明するか、あるいは真実であると誤信したことについて、確実な資料・根拠に照らした理由を証明することで、名誉棄損罪の成立を免れる可能性があります。――実際に、週刊誌側は「理由があった」と証明することができると思いますか?私見としては、週刊誌側は、コカインを常用する人でなければ通常は用いない(あるいは、そもそも知らない)「チャーリー」という単語(コカインの隠語)を発言している成宮氏の肉声録音、成宮氏の違法薬物使用に関する友人の証言、成宮氏が自宅で違法薬物を使用している際に友人が撮影したという写真、といった資料群を提出するなどして立証活動を尽くすことで、「相当な理由があった」と判断される余地はあるかと思います。その際には、記事の作成時に、「チャーリー」という隠語が薬物使用者の間で使用されていることを裏付ける資料を参照していたといったことも必要でしょう。成宮氏の肉声録音については、客観的に見て明らかに別人の声であったり、音質が悪くほとんど聞き取れないようなものであれば、誤信の相当性が認められない方向に働きますが、音質もはっきりとしており、本人の声紋との一致を示す声紋鑑定結果が存在するなどの事情があれば、誤信の相当性が認められる可能性が高まるでしょう。――今回の件でもし成宮氏側が訴えた場合、週刊誌に勝てる可能性はありますか?まず、違法薬物の使用に関する名誉棄損を理由とした損害賠償請求についてですが、週刊誌側が真実と信じるについて相当の理由があるときには、不法行為が成立せず、損害賠償責任を負わないとされています。したがって、週刊誌側は、このような各種資料を提出して立証活動を尽くすことで、損害賠償責任を免れる可能性があります。吉岡一誠弁護士(東京弁護士会所属)。関西学院大学法学部卒業、甲南大学法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。友人がとても困っているのに、相談に乗ることしかできない自分自身に憤りを覚え、弁護士になることを決意。現在は悩んでいる方のために、慰謝料問題や借金問題などを解決すべく、日々奔走している。
2017年01月07日昨年12月17日、兵庫県川西警察署の巡査部長が覚醒剤所持容疑で逮捕されるという事件が発生。警察官にあるまじき行為だけに、国民から怒りの声が噴出しています。このほかにも盗難、わいせつなど警官による犯罪が多発。大多数の警察官は真面目にその職務を遂行しているものと思われますが、犯罪を取り締まる側であるだけに1人でもそのような人間がいることは許されません。本来なら、権力を持つ警察関係者の犯罪は一般人よりも罪を重くする必要があるようにも思えます。実際のところそのようなことはあるのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に見解を伺いました。 Q.警察官が逮捕されたら…罪の重さはどうなるの?一般人より重くなるケースってある?*画像はイメージです:事件によりますが、重くなることもあります「警察官が職権を濫用して人を逮捕監禁した場合には特別公務員職権濫用罪(刑法194条)が適用され、6月以上10年以下の懲役または禁錮刑に処されます。一般人が逮捕監禁を行った場合にも逮捕監禁罪が適用され3月以上7年以下の懲役に処されますが、警察官の方が重く処罰されることになります。また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行った場合には、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)が適用され、7年以下の懲役または禁錮刑に処されます。一般人の暴行の場合にも暴行罪が適用され2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されることになりますが、警察官の方が重く処罰されることになります。また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行い死傷させた場合には、通常の傷害・傷害致死罪と比べて重い刑により処断されることとなります(刑法196条)。上記のように明文で警察官を重く処罰する規定のない犯罪については、量刑をどうするかについては裁判官の判断によりますが、一般的には警察官であることは刑を重くする理由に該当するのではないかと思います」(大窪弁護士)ケース・バイ・ケースですが、警察官がその立場を利用して犯罪を起こした場合は、一般時よりも罪が重くなるようです。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*spaxiax / Shutterstock【画像】*最高裁が判例変更!「故人の預金債権」が「遺産分割の対象」になると誰が得するの?*自動車検問で「警察官が外からエンジンスイッチを切って」きた!こんなのってアリ?*職務質問で警察官に腕を絡めて止められた!これって違法じゃないの?*職務質問を拒否したらどうなる?拒否する方法とは*断ることは事実上不可能? 警察官による自転車の「防犯登録確認」を断ることはできるのか
2017年01月06日年末年始はペーパードライバーが運転することも多く、それにイライラした車が前方車を煽る様子を目にします。ゆっくりと安全運転で進む車に対し車間距離を詰め「早く行け」とばかりにせかす。当事者はもちろん、周辺を走る車や歩行者も、その様子をみると不愉快な気分になります。事故の引き金ともなる迷惑行為だけに罰せられてほしいもの。交通違反にならないのでしょうか? Q.道路での煽り運転は交通違反になる?*画像はイメージです:基本的に違反になります。煽り運転が原因で死亡事故を起こした場合は厳しく罰せられる可能性が高くなります。道路交通法第26条に「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」とあります。ゆっくりと走る前方の車に対してぶつかりそうなほど車間距離を詰める、速いスピードで迫るなどの行為はこれに違反することになります。さらに煽ったことによって死亡事故を起こした場合、危険運転致死傷罪が適用されることがあります。この場合最長で20年以下の懲役と、かなり重い罪が課せられます。煽り行為は事故を引き起こす原因になる危険行為ですから、行わないようにしてください。 *記事監修弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月05日12月14日、大阪府警の巡査部長が泥酔し、交際中だった女性の両親と口論に発展。駆けつけた別の警察官に職務質問されたところ立腹し平手打ちしたため逮捕されました。犯罪を未然に防止するために警察官職務執行法によって認められている職務質問ですが、泥酔していたとはいえ現職警官であっても質問を受けることはあまり気分のいいものではないようです。最近話題になっているのが、職質の際に男性の股間を掴むという行為。本当かどうかは不明ですが、そのようなことが行われているのではないかと噂されています。法律的にみて、このような行為は違法ではないのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にご意見をお伺いしました。 Q.警察官が職務質問で股間を触る行為は法的に許される?*画像はイメージです:本人の承諾がなければ違法になる「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができます(警察官職務執行法2条1項)。また、職務質問に伴う所持品検査についても、法律上の明文はありませんが職務質問の効果を上げるうえで必要性・有効性がある行為であるから認められるとするのが判例です(最高裁決定平成6年9月16日)。所持品検査ということで衣服等確認を求めることは違法ではありません。ただし、職務質問に伴う所持品検査を強制的に行うことはできません(強制的に所持品を取り出すには強制捜査である捜索差押の令状が必要となります)。したがって承諾なく衣服に手を差し入れて所持品を取り出すなどの行為は違法となります」(大窪弁護士) 本人の承諾がない場合は、違法になる可能性が高いようです。ただし拒否することで、嫌疑をかけられるリスクが発生します。不必要な疑いをかけられたくないのならば素直に応じ、後に意義を申し立てるがベストかもしれません。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Dominique Bonnet / Shutterstock
2017年01月04日テレビでよく放送される警察の取り締まりなどをドキュメンタリー化した番組、『警察24時』。交通違反を検挙する模様が放送されており、高い人気があります。観ている分には楽しいかもしれませんが、捕まるほうにしてみると納得のいかないことも多いのが現状です。スピード違反を取り締まるために目立たない場所に待機し、オーバーした瞬間に捕まえに行く。通称「ネズミ捕り」を呼ばれるこの手法には、多くの人々が不満に感じているようです。これは違法ではないのでしょうか?桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にご意見をお伺いしました。 Q.スピード違反を取り締まる「ネズミ捕り」は法律的に問題ないのですか?*画像はイメージです:現在の法令や裁判例をみるかぎり、基本的には問題ありません「警察官がレーダーで車両の速度を測る速度違反取締については、任意捜査として必要性があるものであれば許容されます(刑事訴訟法197条1項本文)オービスなど自動速度違反取締装置(道路を走行する車両の速度違反を取り締まる装置)で行う捜査については、写真撮影を伴うことから肖像権との関係でプライバシーの侵害ではないか問題となったことがあります。この点最高裁は、写真撮影が現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいって緊急に証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであることから違法ではないとしています(昭和61年2月14日最高裁判決)。以上の通り速度違反取締については今の法令及び裁判例からすると基本的には違法とは言えないことになります」(大窪弁護士) やはり現行法では「合法」となっているようです。ルールを守り安全運転でいくしかありませんね。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*スケッチブック / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月03日年末年始を故郷で過ごそうとする人々で賑わう季節になりました。小さい子供がいる家庭の場合、公共交通機関よりも自動車を移動手段として選択する人が多いのではないでしょうか。未来ある命を運ぶわけですから、お父さん、お母さんには慎重な運転をお願いしたいものです。安全を保つために、幼児を車に乗せる場合はチャイルドシートの使用が義務付けられているのは皆さんご存知の通り。親として子を守るための義務ですが、なかにはそれを果たしていない人もいるようです。この場合交通違反にならないのでしょうか?また、違反免除となるケースはあるのでしょうか? Q.チャイルドシートを使用しなくても違反にならないケースはありますか?*画像はイメージです:あります。基本的に6歳以下の子供を自動車に乗せる際はチャイルドシートシートの使用が道路交通法によって義務付けられており、これに反するのは違反です。ただし、構造上チャイルドシートを取り付けられない自動車に乗っている場合や、子供が身体に怪我などを負い、使用することによって悪影響を及ぼすケース、体調不良で病院に向かうなど緊急性を要すると認められた場合は違反免除となります。いずれにしてもチャイルドシートは未来ある子供を守るものですから、特別な理由がない限りは自動車に装着しなければなりません。事故が起こってからでは、遅いのです。 *記事監修弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
2017年01月03日忘年会や新年会など、なにかと飲酒することが多くなるこの時期。当然のことながら、酒を飲んで自動車やバイクに乗ることは重大事故を引き起こす可能性があるため、厳しく禁じられています。もちろん、飲酒運転を行うような人は存在していないと思います。しかし、飲酒後数時間経過し酔いを覚まして、「もう酒が抜けた」と自動車に乗っている人は少なくないのではないでしょうか?そのようなケースでも、アルコール検知器によって規定の数値がでれば違反となります。場合によっては前夜に飲んだ酒でも警察に捕まることがあるようです。本当でしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。 Q.前夜の飲酒で捕まるケースもあるって本当ですか?*画像はイメージです:本当です!アルコール検知器で法定の数値が出れば、捕まります「実際にアルコール検知器で法定の数値が出てしまえば、捕まるケースは往々にしてあります。前夜ですので、基本的には酒気帯び運転ということになりますね(道交法117条の2の2第3号)。ただ、酒気帯び運転は、故意のある場合のみ罰せられますので、故意がなかったということを裏付けられれば、処罰されることはありません。例えば、飲酒からの経過時間や、睡眠時間などがちゃんとあり、酒気帯びの状態になっているとは誰も思えないという状況が立証される必要があります。そのような観点から無罪判決を下した裁判例があります(那覇地裁平成27年11月5日判決)」仮に前夜であっても、体内にアルコールが一定量残っていれば基本的には酒気帯び運転となるようです。酒飲み運転及び酒気帯び運転は重大な事故につながります。絶対にやめましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Bignai / Shutterstock
2017年01月02日12月21日、阪神高速で2トントラックがワンボックスカーに追突する事故が発生しました。同じ車線にいた6台の車が玉突きで次々にぶつかり、6人が怪我で病院に運ばれました。この時期は年越しに向けて仕事が忙しくなることや、年末の休みを故郷で過ごそうとする人で交通量が増加するため、事故が起こりやすくなり、玉突き事故に発展することも少なくありません。そのような場合、追突した自動車の運転手が法的責任を負うものと思われますが、中間にいた車はどうなるのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。Q.複数台が絡んだ玉突き事故…中間にいた車の法的責任はどうなる?*画像はイメージです:ケース・バイ・ケース。事故の発生状況によって責任が発生することもある。「中間にいた車が先頭車との車間距離をちゃんととっていなかったということであれば、先頭車との関係で加害者となることがあります。その場合追突車との過失割合の話になります。中間車が前方不注視などで急ブレーキをかけたということであれば、先頭車との関係でも追突車との関係でも加害者になりえます。特にそのような事情がなければ、中間車は単なる巻き添えを食っただけの話ですから、法的な責任は発生しません」(小野弁護士)玉突き事故による中間車の法的責任は、その事故の状況によって変化するようです。場合によっては責任を問われることもあるということは、留意しておいたほうがいいかもしれません。内閣府が平成27年度に発表した交通安全白書によると、12月はもっとも交通事故の多い月となっており、非常に危険な季節。とくに普段ハンドルを握らない人がドライバーとして道路に出る年末年始は、危険を感じることが多くなります。時間と心に余裕を持ち、安全運転で目的地に向かいましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)*参考:内閣府「交通安全白書」【画像】イメージです*Cartoonresource/Shutterstock
2016年12月30日12月は忘年会、クリスマスパーティーなど夜遅くまで飲み会が続くことも増えて来ます。終電を逃してしまった人が、タクシーを捕まえるために列に並んでいる姿も、年末年始の風物詩ですね。深夜タクシーは、割増料金がつくので、誰もが最短の距離で家路につきたいと思うでしょう。しかし、そんな時に限って、運転手が近隣の地理に詳しくなくて遠回りばかりしていたり、道を間違えたりするといったことを経験した人も多いのではないでしょうか。悪気がない場合は、仕方ないと諦めもつきますが、中にはわざと遠回りしたり、道を間違える運転手もいるのではないかと、疑心暗鬼になることも多いと思います。そこで、以下のような質問に関して、法的にどのような解釈ができるのかを専門家に伺ってみましょう。Q)タクシーがわざと道を遠回りして運賃割増し請求…支払い拒否は可能?*画像はイメージです:)YES(増額分について)タクシーと乗客は旅客運送契約を結ぶことになります。タクシーは合理的な経路で、目的地まで安全に乗客を運送する義務を負いますから、わざと遠回りして運賃を上げることは契約違反であり、乗客は増額分を損害賠償請求できる(支払わなくてよい)と考えられます。わざとではなく道を間違えて遠回りした場合も同様です。もっとも、常に絶対的な最短距離を求めるのも無理な要求ですし、道路状況や交通規制の影響もあり得ます。まずは運転手さんと話し合い、納得できないようであれば所属のタクシー会社やタクシーセンターに相談・苦情を申し出るのが現実的な対応に思います。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)【画像】イメージです*BLACKY / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月29日前回、新幹線の自由席で4歳未満の子供を1席座らせることについて、混雑時は親の膝に乗せて座ることがマナーですが、空いているときは問題ないという事例を紹介しました。知らない方もいたのではないでしょうか。また自由席の場合、子供が無料になることを知らなかったという人もいるようです。仮にそのような人が子供の乗車券を購入してしまった場合はどうなるのでしょう?当然代金を返してもらうのが筋だと思われますが、「間違えたほうが悪い」といわれ、自己責任として返してもらえないケースもあるようです。返金してもらえるのかもらえないのか。弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士に見解を伺いました。 Q.新幹線の自由席で小学生未満の子供の切符代金を支払ってしまった場合代金の返金は可能?*画像はイメージです:料金がかからないということを知らなかったのなら、可能なこともあるでしょう。「返金は可能であると思われます。小学生未満の子供だけでない限り、小学生未満の子供の乗車料金はかかりません。本来、大人が小学生未満と乗る場合には、その子供の運賃の支払債務を負いませんので、その分については、不当利得として返還を要求できるのではないでしょうか。ただし、料金がかからないことを知っていたような場合には、その返還を請求することはできません。また指定席の場合には、一人分として座席を取る以上、小学生未満でも料金がかかるので、乗車後の返金は請求できません。間違いであることがはっきりしている場合は、返金を要求できるようです」(竹内弁護士) *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】*三日月 / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月29日*画像はイメージです:月29日から冬のコミックマーケットが開幕しますね。昨今はその注目度が増しており、東京ビッグサイトには日本からはもちろん、世界から多くの人々が集まります。様々な問題も指摘されていますが、やはり参加するのは楽しいものです。今年はあの叶姉妹も参戦を匂わせるなど有名人も注目。企業も出展しており、その規模は年々大きなものになっています。そんななか、重大な問題とされているのが権利の問題。既存のキャラクターを使用して創作された作品、いわゆる「二次創作」については著作権を侵害しているのではないかとの指摘があります。コミケの根幹を揺るがす問題だけに、気になるところ。一体現行の法律ではどのような解釈になるのでしょうか?パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解を伺いました。 ■二次創作は著作権の侵害になる?二次創作は著作権の侵害になるのでしょうか?「コミックマーケット、いわゆる「コミケ」で販売されている雑誌には、商業作品として発表されている漫画やアニメのキャラクターを利用して描かれた作品が掲載された「(漫画・アニメ系)同人誌」と呼ばれるものがあります。漫画等に出てくる(具体的な絵として表現されている)キャラクターは、「美術の著作物」(著作権法10条1項4号)にあたると考えられていますから、著作権法の保護の対象となります。ですから、例えば、漫画等のキャラクターを著作権者に無断で利用した作品を同人誌に描き、それを販売することは複製権(著作権法21条)を侵害する違法な行為になりますし、無断でキャラクターの画像をインターネット上に掲載すれば公衆送信権(著作権法23条)の侵害になります。また、キャラクターを改変することは、翻案権(著作権法27条)侵害になります(ただし元になったキャラクターが持つ「表現形式上の本質的な特徴」を感じられるかどうかという観点からみて、単にアイデアが共通しているにすぎない場合や、ありふれており創作性が認められない部分が似ているにすぎないような場合には、著作権侵害が否定されることもあります)。」(櫻町弁護士)どうやら既存のキャラクターをそのまま複製し販売することや、ネットに流す行為は、著作権の侵害になるようです。逆に、「ちょっとあの作品と似ているなあ」くらいのレベルであれば、侵害にあたらないようです。 ■自分の趣味で書くレベルなら問題なしさらに櫻町弁護士に、二次創作物の著作権侵害の現状についての意見を聞いてみました。「好きなキャラクターを自分が趣味で描くこと自体は、何ら問題ありません。しかし、それを不特定多数に公表したり、さらにはそれによって利益をあげるという形になってしまえれば、そうした行為が著作権侵害にあたることは当然と思います。現状は、そうした行為について都度著作権者が差止めや損害賠償等を求めることが時間・労力・コストがかかり、困難な場合もあることから「黙認」されているに過ぎないといえます。他人の著作物に対する尊敬の念があれば、きちんと許諾を得て利用するというのが、創作に携わる人が最低限守るべきことなのではないかと思います(例えば、キャラクターの認知度が高まるから著作権者にとってもメリットがあるという意見は著作権者が言うなら理解できますが、利用している方が言うものではないと思います)。例えば一案として、著作権者の許諾を得るということがスムーズにできるように、楽曲を管理しているJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)のような、キャラクターの著作権について一元的に管理し、利用者からは著作権料を収受、それを著作権者に支払うという仕組みがあるとよいかもしれませんね。」(櫻町弁護士)現在の状況は「黙認状態」で、原作をそのまま複製した作品を販売し利益をあげたり、ネットで公開するなどの行為は原作者が訴えを起こせばやはり著作権侵害として損害賠償を請求することができるようです。櫻町弁護士もおっしゃられていますが、アニメなどキャラクターの著作権を一元管理する組織があってもいいかもしれませんね。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。ブログ「ネットイージス.com」)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*naonao / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月28日年末年始、新幹線で帰省する予定という人も多いとことと思います。ご存知の通り、帰省・Uターンラッシュ時には恐ろしいほどの乗客でごった返します。なかには指定席をとることができず、自由席に座らざるをえない人もいることでしょう。非常に混雑している場合は、一人でも多くの人が座ることができるようにするものです。また、そのようなとき小学生以下の子供を持つ親が座る場合は、膝に乗せて座るのがマナーとされています。では、空いているときに1人でイスに座らせるのはどうでしょうか?4歳以下の子供は自由席が無料となっているだけに、親としては法的に問題があるのではないだろうかと悩んでしまいます。法的にみてどうなのでしょうか。弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士にお話を伺いました。 Q.新幹線で4歳の子供を自由席の座席ひとり分に座らせるのは法的に問題ない?*画像はイメージです:問題なし!「法的に問題ありません。一方で、指定席では子供一人分であっても料金が発生します」(竹内弁護士)どうやら法的には無料となる4歳以下の子供を自由席に座らせることは、まったく問題ないようです。なお指定席については、子供が乗車する場合は大人の半額の運賃がかかります。この場合、当然1席占有することができます。なるべくなら、指定席に座りたいものですね。 *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】*nashie / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月27日2020年の東京オリンピックに向けたインバウンドマーケティングが注目される中で、外国から訪れる観光客を、いかに「おもてなし」するのかというトピックが、メディアでも数多く取り上げられています。そのような流れの中で、特に注目されている日本の観光資源は温泉などの温浴施設です。先日、経済産業省が、外国人にわかりやすくするために温泉マークのデザイン変更を検討が伝えられたところ、多くの反対意見が寄せられたため、現在のデザインで継続となったという報道がありましたが、同じように、外国人に温浴施設を利用してもらう上で、議題に上がっているのが「タトゥー入浴お断り」の温泉についてです。そこで、以下のような質問に関して、法的にどのような解釈ができるのでしょうか?和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に見解を伺いました。*取材協力弁護士:渡邊寛(和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。個人事案は子どもいじめ事件から相続争いまで、企業事案は少額の債権回収から渉外買収案件まで、あらゆる案件に携わる。) Q.オシャレ目的でタトゥーをしている人が「タトゥー入浴お断り」の温泉に入浴することは、法的にNGなのでしょうか?*画像はイメージです:!法令上、タトゥーに関する入浴制限はない。「法令上の入浴制限はありません。公衆浴場法やこれに基づく各都道府県の条例は、伝染病患者の入浴の拒否など衛生・風紀の維持を義務付けていますが、タトゥーに関する規制はないのです。タトゥーのある方の入浴制限は、温泉施設運営者が自主的に利用を断っている状態です。警察や自治体が入浴制限を要請することもあるようですが、施設運営者に対する任意のお願いベースのルールであると捉えて問題ありません。逆に、温泉施設がタトゥーをお断りすることが法的に許されるかを考えてみたいと思います。温泉施設に限らず、営業の自由がありますので、レストランがドレスコードを設定したりするように、誰を顧客とするのかは基本的にお店の自由です。ただし、顧客の選別が不合理な差別になると不法行為となり損害賠償責任を負うことになります。不法行為になるかどうかは、社会的に許容しうる限度を超えるかないし公序良俗に反するかが個別具体的に判断されます。裁判で店舗側の損害賠償責任が認められた事例として、公衆浴場の外国人入浴拒否、インターネットカフェの障害者入店拒否、賃貸マンションの外国人入居拒否などがあります。タトゥーの入浴制限に関する裁判例はまだないようですが、温泉施設は日常生活において必要性の高い銭湯とは性格が異なることや、オシャレ目的かどうか(威圧的か否か)は線引きが困難なことなどから考えると、今のところは、温泉施設が一律にタトゥーのある方の入浴を拒否することが裁判において“公序良俗に反する”と判断される可能性は低い(したがって、温泉施設はオシャレ目的のタトゥーでも入浴をお断りすることができる)ように思います。」(渡邊弁護士)*取材協力弁護士: 渡邊 寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:塚本建未(トレーニング・フットネス関連の専門誌や、様々なジャンルのWebメディアを中心に活動するフリーランスライター。編集やイラストも手がける。塚本建未Website 「Jocks and Nerds」)【画像】*IYO / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月26日帰省ラッシュで混雑が予想される高速道路。通常よりも速いスピードで走るわけですから、重大事故の危険性も高まることはいうまでもありません。通常、自動車を利用して遠くに出かける場合は、高速道路の利用の有無にかかわらず、エンジンやタイヤの状態を事前にチェックしておくもの。しかし、忙しさにかまけて「大丈夫だろう」とばかりに整備を怠ったうえ、ガソリンを満タンにせず「どこかで入れればいいや」と出発してしまうと、高速道路上で故障やガス欠などで立ち往生してしまうことがあります。そのよう場合、道路交通法違反になるケースがあるようです。本当でしょうか?Q.高速道路で故障やガス欠となった場合、道交法違反になるケースがあるって本当?*画像はイメージです:本当です。高速自動車国道等運転者遵守事項(道路交通法第75条の10)違反に問われることがあります。道路交通法第75条の10は、自動車の運転者の遵守事項として、下記のように規定しています。「自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」そして、これに違反した場合には、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処するとも定められています(道路交通法第119条第1項12号の3。ただし過失の場合は同条2項により10万円以下の罰金)。したがって、高速道路での整備不良による故障やガス欠は、ケース・バイ・ケースですが道路交通法違反として処罰を受けてしまうことがあります。それ以前に、高速道路での不意な停車は重大事故に繋がるとても危険な行為です。そのようなことがないように心がけたいものです。自動車で遠くに出かけるときは、必ず事前に整備を行うようにしましょう。 *記事監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:佐藤俊治(複数メディアで執筆中のフリーライター。真面目な話題からくだけた話題まで手広く記事を執筆中。趣味は将棋、好物はカツカレーとパインアメ)【画像】*Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月25日年末年始は、とにかく高速道路が渋滞します。渋滞の距離が30キロは序の口、ひどい場合になると70キロになることも少なくありません。今年のクリスマスは12月23日から3連休ですので車で出かける人も多くなるでしょうし、年始は1月4日が平日で仕事始めのケースが多いため1月3日にUターンが集中し、かなりの混雑が予想されています。高速道路はその名の通りかなり速いスピードで走る道路ですから、停滞する渋滞の入り口はかなり危険なもの。一般的にそのようなとき最後尾の車はハザードランプをつけて後ろの車に危険を促すのがマナーとされています。しかし、なかにはハザードランプを出さない人もいます。これは道路交通法違反に問われないのでしょうか?Q.「渋滞の最後尾の車がハザードランプを出さない」という行為は違反に問われないの?*画像はイメージです:違反ではありません。あくまでも注意を促す自主的な行動です「渋滞の入り口でハザードランプを出さなければならない」という規定はありません。したがって仮に出さなかったとしても道路交通法に抵触せず、違反にはなりません。ハザードランプについては、出していても事故になることがあり、その効果については意見が別れるところ。様々な見解がありますが、安全面から考えるとハザードを出すことによって防げる事故もありますので、マナー的には出したほうがいいといっていいのではないでしょうか。 *記事監修弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)*取材・文:佐藤俊治(複数メディアで執筆中のフリーライター。真面目な話題からくだけた話題まで手広く記事を執筆中。趣味は将棋、好物はカツカレーとパインアメ)【画像】イメージです* おちやっちゃん / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月24日今年も残り1週間程度。もう少し頑張れば、楽しい年末年始休みが待っています。自動車で遠路はるばる実家に帰る人も、多いことでしょう。一方でこの時期は高速道路での交通事故も多発します。普段一般道中心で、滅多に高速道路を運転しない人も多くハンドルを握るだけに、事故が起こりやすいのです。特に多いのが、渋滞に気が付かず追突してしまうケース。おもに前方不注意が事故理由で、過失割合は追突した車が100%であることが一般的です。しかし場合によっては100%にならないこともあるようです。一体どのようなケースなのでしょうか。弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士にお話を伺いました。 Q.高速道路の渋滞で、追突した側の過失割合が100%にならないケースはありますか?*画像はイメージです:追突された側の停車理由によっては100%にならないこともあります。「まず、高速道路上では、駐停車は原則として禁止されています(道交法75条の8)。ですから、駐停車した車両、あるいはブレーキをかけた車両が追突された場合、『やむを得ない事情』がなければ、追突された側も過失責任が発生することとなります。例えば、整備不良や事故に巻き込まれたりして停車した場合に、適切な停車措置(路側帯への移動や停止表示器材の設置等)をとれたのにこれをせずに追突されたような場合には、過失が問われることとなるでしょう。また、停車の原因について、自己に過失があるのか否かによっても過失割合は変わってきます。自己に過失のある停車、例えば、整備不良や自己の過失による事故による停車の場合の方が、当然に、追突された場合の過失割合は大きくなります。一方で、渋滞等で停車せざるを得ず、前の車両に伴い適切にブレーキをかけ減速、停車中に追突をされたような、専ら追突車両の運転手の前方不注視が原因となるような事故では、当然ですが追突された側は過失責任を負わず、追突車両側の過失割合が100%となります」(竹内弁護士)追突される側がなぜその位置に停車したのかということが、過失割合を判断するうえで重要になるのですね。 *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)*取材・文:佐藤俊治(複数メディアで執筆中のフリーライター。真面目な話題からくだけた話題まで手広く記事を執筆中。趣味は将棋、好物はカツカレーとパインアメ)【画像】イメージです* nanD_Phanuwat / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月23日12月に入り、イルミネーションが輝き、クリスマスが近づいてきたことを感じさせてくれます。今年の12月25日は3連休の最終日ということもあり、クリスマス絡みのイベント予定を入れているカップルやご家族も多いのではないでしょうか。クリスマス当日にはトナカイを先頭に、ソリに乗ったサンタクロースが街中の子ども達にプレゼントを配ってまわります。雪の降るに夜に鈴の音を響かせながら…とロマンチックなお話ですが、弁護士としては見過ごす訳にはいきません。なぜなら、サンタクロースの行為は様々な違法行為をしている気がするからです。そこで今回は、夢も希望もありませんが、一般的に言われている「サンタクロース」の5つの行動パターンとそれによって引き起こされる2つの事象について、犯しているかもしれない犯罪行為とは何か?また、それはどのような罪に該当するのかを紹介します。*画像はイメージです:①ソリで空を飛ぶ航空法により原則として飛行計画の承認が必要です。航空法97条は、航空交通管制圏、航空交通情報圏の空港等から出発し、または航空管制圏等を飛行しようとするときは、国土交通大臣から飛行計画の承認を受けなければならないことを定めています。自家用・事業用は問いません。なお、そもそもトナカイは航空法の規制対象である「航空機」に当たらないのではないかという疑問もあります。航空法では、「航空機」を、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、……飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機器、としていますので、航空機に含まれる可能性はあるでしょう。 ②煙突からの侵入定番の侵入方法ですが、皆様の予想どおり、無断で入る場合は住居侵入罪となるおそれがあります。しかし、世間や少なくともその地域で、サンタクロース(あるいはサンタクロース役の人)が煙突から入ってプレゼントを置いていくことが一般的な慣習となっていたり、むしろ歓迎され、その家の管理者(通常は居住者である親)の黙示の承諾や招待があれば、住居侵入罪とはなりません。 ③外国から勝手に飛んできて入国入管法違反です。場合によっては、領空侵犯とされて自衛隊機がスクランブル発進することもあるかもしれません。サンタクロースは見つかり次第、入管法違反の刑事手続と、行政手続である強制退去措置を採られる憂き目に遭います。 ④トナカイで道路を走行自転車と同じようにルールを守れば、通行することは可能です。馬や牛、トナカイ、像といった動物に乗って通行する場合、トナカイ等の動物は道交法上の軽車両となり、自転車と同じ扱いとなります。トナカイによって引かれるそり(リヤカー)も自転車と同じ軽車両扱いです。自転車と同じということは、基本的に通行させることは適法です。ただし、各都道府県によって規制内容が若干異なりますが、例えば、京都府道路交通規則では、「牛、馬、めん羊等の家畜を道路に放し、または交通の妨害となるような方法でつないでおくこと」などは禁止されています。ちなみにトナカイから下りて引いている場合は歩行者として扱われます。 ⑤勝手にプレゼントを置いていく行為欲しいプレゼントならいいですが、欲しくもないものを置いていかれ、しかも、後日代金を請求されるような場合は、特定商取引法での送り付け商法(ネガティブオプション)に該当する可能性があります。この場合は、承諾しない限り、売買契約は成立せず、送付されてから2週間経過してもサンタが引き取りに来ない場合は、処分できます。サンタが無償でプレゼントを置いていく分には問題ありません。 ⑥朝起きたら欲しかったプレゼントと違っていたもちろん文句はいえません。心遣いに感謝しましょう。 ⑦小学生くらいになってサンタは演出だったと親に告白されたサンタの夢は壊されましたが、大人になってもっと大きな夢を自分で追いかけましょう。慰謝料等は請求できません。 *この記事は2014年5月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*vvvita / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月23日2016年12月19日に、最高裁の判例変更がなされました。内容は、「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」というものです。実は今までは、「預金債権(※)」は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されていました(最判平成16年4月20日家月56巻10号48頁)。サザエさん一家の事例をもとに、下記の3点をわかりやすく解説したいと思います。※預金債権…銀行などの金融機関に対して寄託された金銭債権のこと。 預金債権には、普通預金や定期預金などがありますが、いずれも預金債権。(郵便貯金は含まない)①預金債権に関する今までの判例だとどのような処理されていたのか②郵便貯金の判例(最判平成22年10月8日民集64巻7号1719頁)だとどのように処理されていたのか③預金債権に関する判例が変更されることによってどのように変わっていくのか【相続の事例】磯野波平さんには、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんという3人の子どもがいます。波平さんは、5000万円の土地・家屋を可愛がっていた末っ子のワカメちゃんに遺言で贈与することにして、1億2000万円の預金については何も遺言を残さずに亡くなりました(波平さんの配偶者であるフネさんはすでに亡くなっていたとします)。*画像はイメージです:サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの相続分(波平さんの遺産を相続すべき割合)は、3人で割るため、3分の1ずつです。5000万円の土地・家屋がワカメちゃんのものになったことについて、サザエさん、カツオくんは不満でした。そこで、亡くなった波平さんの「預金債権」について、波平さんの財産を最終的に誰のものにするかという話し合い(法的には遺産分割協議といいます)によって、サザエさん、カツオくんは、ワカメちゃんよりも多くの「預金債権」を払い戻すことができるでしょうか?これが、今回の最高裁で判例変更があった判決のPOINTとなってくる要素です。 ①今までの判例(最高裁が出した判断)だと、ワカメちゃんが得をしていた波平さんの財産をサザエさんたちがみんなで相続した場合、亡くなった波平さんの土地と建物、預金を最終的に誰のものにするか決めるまでの間、亡くなった波平さんの財産は、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんが共有することになります。今までの判例(平成16年の判例)によると、「預金債権」(銀行預金に関する権利)については、相続分に応じて当然に(つまり、相続人同士で話し合う余地がなく)分割されて単独に、持っていることになっていました。今回のケースだと、亡くなった波平さんの1億2000万円の預金債権について、サザエさんたちが相続を開始すると、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんたちは、A銀行に対して、それぞれ1億2000万円の3分の1である4000万円ずつを返してくださいという権利を持つことになります。※ワカメちゃんが預金債権を遺産分割協議の対象とすることに反対した場合 法的にみると、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの3人が合意をした場合は、「預金債権」を遺産分割協議の対象とすることができるのに対して、ワカメちゃんが預金債権を遺産分割協議の対象とすることに反対した場合は、「預金債権」を遺産分割協議の対象とすることはできず、サザエさんとカツオくんは、それぞれの相続分より多くの預金債権を払い戻すことができなかったのです。ワカメちゃんが反対した場合、ワカメちゃんは9000万円分の財産を相続できるのに対して、サザエさんとカツオくんは4000万円ずつの財産しか相続できないことになり、末っ子のワカメちゃんだけが得をしていました。 ②「定額郵便貯金債権」だと、3人の話し合いで最終的に誰のものかが決まるところが、亡くなった波平さんが残したのが「定額郵便貯金債権」だった場合は、相続分に応じて当然に分割されるのではなく遺産分割手続で定額郵便貯金債権が誰のものか決めると、平成22年に最高裁は判断しました。つまり、波平さんが残したのが「定額郵便貯金債権」だと、ワカメちゃんだけが得をするのではなく、遺産分割協議で、サザエさん、カツオくんは、ワカメちゃんよりも多額のお金を払い戻すことができることにもなったのです。最高裁が定額郵便貯金債権についてこのような判断をした理由は、「定額郵便貯金債権」についてのルールを定めた郵便貯金法という法律が分割払戻しをしないという制限を加えていたためでした。 ③今回の判例変更によって「預金債権」も遺産分割協議の対象にそもそも、「預金債権」は現金と同様、遺産分割を柔軟に行うために役に立つものです。現に、金銭については調整要素として最高裁も分割を否定していました。実際、今回のケースのように、波平さんの遺産に5000万円の土地・家屋のように高額の財産が含まれる場合、サザエさんやカツオくんが「預金債権」を、ワカメちゃんよりも多く払い戻せるほうが望ましいでしょう。また、亡くなった波平さんの全財産である1億7000万円のうち、「預金債権」が1億2000万円を占める場合(全体の約70パーセント)、これまでは具体的相続分に応じた遺産分割審判が難しくなってしまっていました。このような扱いはふさわしくありません。今回の判例変更により、「預金債権」も、当然分割させるものとはできなくなりました。誰か(たとえばワカメちゃん)が反対しても、「預金債権」を遺産分割協議の対象とすることができるようになったのです。図表作成:編集部■鈴木弁護士から一言12月19日の判例は、今までの相続実務を一変させるものです。今回のケースのワカメちゃんのように相続財産をもらいすぎだと思われる相続人がいる場合は、ぜひご相談ください。 *著者:弁護士 鈴木謙太郎(1972年の設立以来40年以上の歴史がある、虎ノ門法律経済事務所の池袋支店で支店長を務める。注力分野は遺産相続、不動産取引、交通事故、債権回収、労働問題、債務整理、刑事事件、離婚等。「皆様の人生の一大事を共に解決するパートナーとして、真摯に業務に取り組んでまいります。」)【画像】イメージです*マハロ / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月23日*画像はイメージです:師走に入って仕事の追い込みもあり、急いで移動しないといけないビジネスパーソンも多いと思います。そんな移動時にタクシー乗車を選択し、運転手に「とにかく急いで」と指示したところ、タクシーがスピード違反で捕まってしまった…。指示をした乗客は何らかの法的責任を負うのでしょうか。 Q.スピード違反の処罰対象はタクシー運転手だけ?A.急ぐ指示をした乗客も指示の仕方によっては「教唆犯」として処罰される可能性アリ。スピード違反は、道路交通法に違反する犯罪行為(速度違反)にあたります。そして、刑法上、他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせた場合、「教唆犯」として処罰されることがあります。ここで、他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせる手段は問われません。つまり、乗客がタクシーの運転手にスピード違反を唆した場合、運転手は速度違反の「正犯」として処罰され、乗客は「教唆犯」として運転手と同じ処罰を受けることになります。もっとも、単に乗客がタクシーの運転手に「急いでくれ」と指示しただけで、直ちに乗客が責任を負うことにはなりません。“最高速度を超えない範囲で急いでほしい”というつもりで、運転手にこのような指示をすることが考えられるからです。これに対し、ストレートに「スピード違反をしろ」と指示した場合や、「無謀な運転をしろ」と命令した場合など、運転手が速度違反を犯すことについて積極的な立場を取っていた場合には、「教唆犯」として乗客も処罰を受ける可能性があります。 Q.乗客はタクシー運賃を支払う義務はある?A.捕まった場所が目的地でない場合、支払い義務は発生しない。まず、乗客がタクシーに乗り込み、行き先を告げて運転手が了承した段階で、タクシー会社と乗客との間で、「旅客運送契約」という契約が成立していると考えられます。この「旅客運送契約」の内容は、「乗客が指定した場所まで運転手が乗客を安全に運び、それに対する運賃を乗客が支払う」という内容であると考えられます。そうすると、タクシーが途中で事故に遭ったり、運転手が警察に逮捕されたりした場合、タクシー会社は「乗客を指定された場所まで運ぶ」という債務の本旨に従った履行をしていないことになります。よって、今回のようにスピード違反で捕まり、乗客の指定場所まで運べなかったケースでは、乗客は運賃を支払う義務がなくなると考えられます。 なお、「旅客運送契約」には、「運転手は目的地まで合理的な経路を選択する」という内容も含まれていると考えられるため、タクシーが遠回りしたことによって運賃が増えた場合、乗客は余計に発生した分の運賃について支払う義務はないと考えられます。もっとも、タクシーの運転手の選択した経路が合理的といえるか否かは難しい問題です。道路工事等により迂回する必要がある場合や、乗客の指示により結果的に遠回りしてしまった場合は、運転手に責任はないといえますし、複数の経路がある場合に最短距離を通らなかったからといって、直ちに合理的な経路ではないとはいえないと考えられます。合理的な経路ではないといえるためには、運転手がわざと遠回りした場合や、乗客の指示に従わなかったなど、運転手の不注意が明らかな場合に限られると考えられます。 *著者:弁護士 鈴木翔太(鈴木法律事務所。東京弁護士会所属。①依頼者の立場に立って考える、②難解な法律問題をわかりやすく説明する、③迅速に対応し、随時報告をすることを基本に据えている。)【画像】イメージです*Job design Photography / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月21日12月19日、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されていた歌手のASKAさんが「嫌疑不十分」で不起訴となり、釈放されました。理由としては、本人の尿として任意提出された液体が、本人の尿であると立証できなかったためと報道されています。皆さんの中には、この「嫌疑不十分」という言葉にあまり馴染みがない方も多いかと思いますので、今回はこの法的解釈について、解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■不起訴処分の理由には「嫌疑不十分」の他にも「嫌疑なし」「起訴猶予」が存在この「嫌疑不十分」というのは、犯罪の疑いはあるものの、公判維持ができるほどの証拠が不十分という理由で、不起訴処分となる場合に使われます。報道によれば、尿が本人のものではないというASKAさんの主張を警察が覆せなかったとのことで、この点の証拠が不十分ということでの不起訴となった模様です。ちなみに不起訴処分には、「嫌疑不十分」の他、「嫌疑なし」というものと、「起訴猶予」というものがあります。「嫌疑なし」というのは、例えばアリバイが証明されたなど、犯罪の疑いが晴れた場合をいいます。また、「起訴猶予」とは、公判維持が可能であったとしても、例えば、示談が成立した、本人が反省している、身元保証人が付いたなど、敢えて前科者にする必要がない、あるいは、社会内での更生が期待できるような場合に、検察官の裁量により不起訴にする場合を言います。 ■今回の再逮捕におけるメディア報道のあり方について「逮捕=有罪」と決めつけた報道が多数見られた現状については、通常は、尿検査で「陽性」反応が出たら「有罪」推定が働きますので、その意味ではやむを得ないのではないかと思います。とはいえ、傍目から見てメディアからのバッシングが強すぎ、ASKAさんの逃げ道を残してあげたら良かったかなと思ったりしました。再犯率の高い覚せい剤事犯において、ASKAさんがこれまでどのような努力をされてきたのか、一般的にはどのような治療施設があるのか、などの再犯しないための周りの援助について、もっと報道しても良かったのかなと思います。 *著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)【画像】イメージです*twinsterphoto / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月21日お笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次(47)が、20日に放送された日本テレビ系情報番組『スッキリ!!』(毎週月~金8:00~10:25)で、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されていた歌手・ASKA(58)が嫌疑不十分で不起訴処分となったことを受け、コメントした。ASKAは先月25日、「盗聴されている」と自ら110番通報。任意の尿検査で陽性反応が出たことから同月28日に逮捕されたが、ASKAはその直前に投稿したブログで「尿から、覚せい剤反応が出るわけなんてことは、あるわけがない」と否定した。その後、提出した尿は「お茶」だったと主張。警視庁が本人の尿と立証できなかったことから、不起訴処分となった。この話題がトップニュースとして取り上げられ、加藤は菊地幸夫弁護士による解説を聞き終えると、いくつかの疑問点は残るとしながらも、「ASKAさんの逮捕が2度目ということもあって、さらに覚せい剤反応が尿から出たという発表が警察からあった」と振り返りつつ、「僕自身も起訴の方向になると思っていて、発言した部分はある。この部分に関しては僕自身もしっかり考えないといけないなと思った」と番組司会者としての反省の弁を述べた。一方の菊地弁護士は「尿鑑定で陽性反応が出たという段階で、それが有罪のほぼ唯一の"最強の証拠"なんですよね。これで、有罪判決が将来出るんだと私も考えてしまいました」と同調し、「いろんな理由でこういうケースになるんだということを踏まえて、これから考えてコメントしていきたいと思います」と語った。
2016年12月20日うちのダメ夫
あの日、私はいじめの加害者にされた
東京マウントガールズ