*画像はイメージです:北海道の飲食店で、「客に早く帰ってほしかった」と噴射したスプレーにライターで引火させ、利用客にやけどを負わせるという事件がありました。お店のルールを守らない人を退店させる権利はお店側にもありますが、実力行使は基本的にNGです。退店させる際、強い口調により退店してもらう、あるいは、警察の介入をお願いするなどの方法が考えられますが、上記の件は、違法であることは読者の皆さまもお分かりかと思います。今回は、どういった場合にお店側は強制退店させられるのか、見ていきたいと思います。 ■お店が閉店時間を迎えた場合閉店時間を迎えた場合、いきなり強い口調による退店を強制するのは難しいと思います。徐々に退店を促すコールを強くしていき、30分経っても依然として帰らないというような場合には、威力業務妨害罪にもなりかねませんので、「これ以上居続けると、警察を呼びますよ」と言う警告を発して帰ってもらうというのがよろしいかと思います。 ■入店時に2時間制などと時間が決められていた場合後の予約のお客様を案内する都合もあるでしょうし、予め入店時間についてアナウンスしていたのであれば、時間になる少し前から時間のコールをし、退店が少しでも遅れた場合には、ある程度強く退店を強制しても問題ないかと思います。 ■何も注文しないで居座り続ける場合どの程度の時間、何も注文しないのかによりますが、30分以上何も注文しないまま居座り続ける場合には、退店の要請をしてもよろしいかと思います。「注文します」と言いつつ、その後もしないまま居続ける場合には、威力業務妨害そのものですので、警察を呼ぶなどの対処をしてもよろしいかと思います。 ■禁煙席で喫煙した場合現在は、分煙が常識化していますので、禁煙席で喫煙した場合には、お店のルール違反だということで、即退店を命じてもよろしかと思います。拒否するようであれば、威力業務妨害ということで警察を呼ぶなどの対処をしてもよろしいかと思います。 ■そのほかに一般的には、お店の業務を適正に行える範囲内かどうか、周りのお客様が我慢できる限界を超える程度かどうかが一つの基準になるかと思います。それを越えれば、刑事では威力業務妨害ということになりますし、民事では営業権侵害ということで損害賠償請求の対象となるものと思います。 *著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)【画像】イメージです*wavebreakmedia / Shutterstock
2017年07月21日7月4日以降、自身のブログやYouTubeチャンネルを使って船越英一郎(56)を総攻撃してきた松居一代(60)。サイバーエージェントによる削除要請を受けトーンダウンしたように思えたが、13日に動画を投稿。脚本家・大宮エリー(41)が船越に送ったとおぼしき手紙を暴露し、2人の“深い関係”をにおわせる新たな“爆弾”を投下したのだ。 「松居さんは船越さんが書いたとするノートやパスポートも持っていて、動画で公開しています。これらはすべて、船越さんが別宅に置いていたものを無断で持ち出したそうです。船越さんが被る損失は1億円近いとも言われており、松居さんは裁判を起こされることもありうるでしょう。でも彼女はお金を持っているため、そんなもの怖くない。“バイアグラ男を抹殺したい!”という執念が彼女を突き動かしているのです」(スポーツ紙記者) 実際、船越の別宅マンションでは不審な現象が起きていたという。夫妻の知人が本誌に打ち明ける。 「騒動前、船越さんが住む別宅マンションで郵便物がなくなっていたそうです。船越さんも『何かおかしいな?』と不審に思ったみたいで、ポストに設置された監視カメラを確認したと聞きました」 さらに現場では、こんな“恐怖の目撃証言”も……。 「今年5月の早朝でした。松居さんが船越さんの別宅マンションにいて、ポストを漁っていたんです。夫婦なので問題ないのかなと思いましたが、念のため船越さんに伝えました……」(近所の住人) 離婚問題に詳しいレイ法律事務所の松下真由美弁護士は、松居の行動の危険性を指摘する。 「別宅内のものを勝手に持ち出す行為は、罰せられない可能性が高いです。親族相盗例というものがあって、親族間の窃盗は刑を免除されるのです。ただ夫婦とはいえ、2年以上別居しているならプライバシーが確立していると思います。マンションに無断で入る行為は、住居侵入罪にあたる可能性がありますね。また松居さんの動画は名誉棄損に当たる可能性が高いです。民事・刑事どちらでも違法性を問うことができると思います。民事だと名誉毀損によって被った損害賠償請求ができるでしょう。刑事だと3年以下の懲役、もしくは禁固、または50万円以下の罰金が科せられるでしょう」
2017年07月18日*画像はイメージです:近年、自動車が高速道路を逆走するといったニュースが相次いでいます。道路を逆走しただけではなく、他の自動車と正面衝突し、結果自動車が大破し大怪我や時には人命が失われることも少なくありません。このような逆走事故が起こるケースとしては、運転者が降り口を間違え慌ててターンし元の車線に戻ろうとする場合や、SAから本線に戻る場合に誤って逆方向の車線に進入してしまった場合などが考えられます。また、運転者の高齢化により認識能力が衰え、高速道路の出入口を間違えてしまうといった場合もあります。以下では、もし高速道路を逆走してしまった場合、法律的にどのような罰則や処分が課せられるのかについて紹介します。 ■高速道路逆走で事故を起こすと重い罪にまず、故意に高速道路を逆走して事故を起こし、人を死亡または負傷させた場合、自動車運転死傷行為処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の「危険運転致死傷罪」にあたります。同罪の刑は、逆走して人が死亡した場合は1年以上(20年以下)の懲役、負傷させた場合は15年以下の懲役と定められています。結果の重大性からすると、このように重い罪に問われることはやむを得ないでしょう。行政処分としては「減点62点(死亡)又は55点(負傷)」と定められています(道路交通法施行令)。なお、過失により道路を逆走し、人を死傷させた場合は、同法の「過失運転致死傷罪」にあたり、7年以下の懲役もしくは禁固又は100万円以下の罰金に処せられます。 ■逆走しても事故を起こさなければ処罰は軽くなる一方で、ただ逆走しただけで事故を起こさず、人が死傷しなかった場合、適用される処罰・処分は大きく変わってきます。まず、人が死傷していないということで、上記の危険運転致死傷罪には該当しません。道路交通法という交通の安全や危険防止を図るための法律により、処罰が科せられることになります。道路の逆走について、道路交通法では、自動車が本来の通行部分と異なる部分を通行した場合として、「通行区分違反」の行為と扱っており「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」の刑事罰が定められています(道路交通法119条第1項2の2)。さらに、行政処分として「反則金9,000円(普通車の場合)」及び「減点2点」と定められています(道路交通法施行令)。ただし、反則金納付制度により、上記反則金を納付すれば刑事罰が科せられることはありません。また、通行区分違反の行為については過失犯の定めはなく、過失(うっかり)で逆走したとしても処罰を受けることはありません。 このように、逆走行為は大事故に繋がりかねない大変危険な行為である一方で、法律上定められている処罰は比較的軽微なものであるのが実情です。 ■逆走事故の過失割合は原則「100:0」逆走事故に伴い損害が発生した場合、損害賠償金の支払いについて、逆走車両と他の車両との間での過失割合が問題となります。逆走行為は、それ自体が罪となる行為ですので、事故を起こした場合の過失割合も、基本的には逆走車両に一方的に過失があるとされ、原則として「加害者側(逆走):被害者側=100:0」となります。ただし、被害者側も、逆走してくることを早い時点で遠方から認識し得たにも拘わらず、何も回避措置をとることなく漫然と車を進行していたような場合など、不注意があったとして過失が認められる場合がないわけではありません。相手方の違反行為により損害を被ったとしても、やはり運転者自身も自動車を運転する際には注意をすることが必要です。 ■逆走した人が認知症を患っていたら過失を免れる?まず、認知症を患っている者が高速道路を逆走し、事故を起こして人を死傷させた場合、運転行為に過失があると判断されると、自動車運転死傷行為処罰法の過失運転致死傷罪により処罰されます。この場合に科せられる刑は、7年以下の懲役もしくは禁固又は100万円以下の罰金です。ただ、負った怪我の程度が軽く、また量刑を定めるにあたって斟酌すべき事情(情状)がある場合には、任意的に刑を免除することができます。一方で、運転者が重度の認知症を患っており、そもそも責任能力がないというような場合、刑事責任が問われないケースもあります。この場合、民事上の損害賠償についても責任能力がないとして、賠償責任を負わないことになります(民法713条)。ただ、運転者を監督すべき者がいる場合には、監督義務を怠ったとしてその者が損害賠償義務を負うことはあり得ます(民法714条)。 なお、高齢者による交通事故の増加に伴い、道路交通法が平成29年の3月に改正されました。それによると、高齢者の免許更新時や一定の違反行為の際に、認知機能の検査が義務付けられ、認知症のおそれがあるとされた高齢者には、特別の高齢者講習が課されることになりました。運転手の高齢化に伴う交通事故の増加をいかに抑えるか、今後の大きな課題といえます。 *著者:弁護士 渡部孝至(弁護士法人はるかぜ法律事務所代表弁護士。『身近な弁護士』をモットーに、ご依頼者様の目線で親切・丁寧・迅速な対応を行い、リーズナブルなご費用で良質なサービスを提供することを使命としている。)【画像】イメージです*jamesteohart / Shutterstock
2017年07月16日*画像はイメージです:夏の行楽シーズンが近づいてきました。中には、海外旅行などの計画を立てている人もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、いつにもましてこれからの時期に気をつけたいのが交通事故。浮かれ気分で車でレジャーに向かう人が多いぶん、いつもより危険があります。仮に交通事故に巻き込まれてけがをしてしまい、楽しみにしていた旅行に行けなくなったとしましょう。場合によってはキャンセル料が発生することもありえます。このような場合、事故の加害者に対して、旅行のキャンセル料は請求することができるのでしょうか。今回はこの点について解説していきたいと思います。 ■損害賠償に含まれる損害とはどういうものか?一見、事故と関係がありそうな損害であっても全てが損害賠償の対象となるわけではありません。判例は、事故と「相当因果関係」がある損害に限り、賠償の範囲に含まれるとしています。典型的な例は、治療費や入通院費、後遺障害に対する慰謝料等が含まれます。 ■旅行のキャンセル料も賠償の範囲に含まれる交通事故のために旅行に行けなくなった場合、そのキャンセル料についても賠償の範囲に含まれるという判例が複数あり、原則的に、加害者に対して請求できるという実務が定着しているようです。ただ、例えば、事故が起こる前に仕事の予定が入って旅行をキャンセルする必要が生じ、その後事故が発生したという場合には、キャンセル料の発生と交通事故の間には相当因果関係がないと判断されることになるでしょう。このような場合には、キャンセル料を請求できないと考えられます。 いくらキャンセル料が返ってきたとしても、楽しみにしていた旅行に行けなくなるのは困りますし、その後けがの後遺症が残っては、後々大変な思いをすることになります。事故を起こさないのはもちろんのこと、交通ルールを守るなどして事故に遭わないようできる範囲での自衛をすることも大切です。 *著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】イメージです*kojikoji / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月06日仕事は大概、雇用主と請ける側で契約書が存在するもの。とくに契約社員やフリーランスで仕事をしている場合は、雇用期間の定めやなどを事細かに文書にしておくのが一般的です。しかし、極稀に「じゃあお願いしますね」などと、口約束で仕事を請けることがあります。フリーライターのBさんもその1人で、ある業者から口頭による執筆依頼をうけ、記事を書いていました。ところが、5ヶ月程度経過したある日、突然「執筆依頼を停止します」とメールで告げられ、以降何の説明もなく連絡も取れなくなったそうです。Bさんはその収入をアテにしていただけに、納得のいかないものを感じているそうです。なんとかならないのでしょうか?ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。Q.口約束でしていた仕事を突然破棄された。不当性を訴えることはできますか?*画像はイメージです:契約の存在やその期間ができれば、不当性を訴えることができる可能性もあります。「ライターへの原稿依頼は、委託契約だと思います。民法でいう請負に近い類型です。口頭でも契約は可能です。口頭契約の問題は、証明の問題です。契約の有無・内容につき当事者間で争いになった場合に、書面があればともかく、口頭の時には立証が困難です。委託が継続していたという実績自体、一つの証明材料にはなると思います。原稿のやりとり、委託料の振込等の痕跡などでその「実績」は示せるでしょう。それにより「契約の存在」を証明したうえで、いかなる場合に解除できるかですが、請負と解釈できる場合であれば損害を賠償しなければ解除はできません(民法637条)。仮に委任だとして同じでしょう。ということで、その旨伝えて、交渉ということになるでしょう」(森川弁護士)口頭だけに契約の立証ができるかどうかが争点となるようです。Bさんに限らず、フリーランスの場合口頭契約が続き、収入の柱になっているケースが少なくありません。やはり仕事を請ける際にはなんらかの書面を残しておいたほうがいいかもしれません。Bさんのようなケースになってしまった場合は、契約の存在やその継続性や期間を証明できるものを集めたうえで弁護士に相談するなどし、対策を考えましょう。 *取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*chombosan / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月03日*画像はイメージです:今年3月、大阪市城東区の分譲マンションに住む男性が、購入した部屋の近くに設置された生ごみ処理機(ディスポーザー)の臭気がひどく住み続けられないとして、不動産会社に約5,800万円の損害賠償請求を起こす事案がありました。購入時、不動産会社から臭気について説明がなく、入居後間もなくひどい臭いと騒音がするようになり、住めないほどになったそう。原告は不動産会社の過失を主張しています。しかし、被告側は「売買締結時には臭気がなく、管理の問題」として請求棄却を求めているようです。このようなことはレアケースですが、分譲・賃貸にかかわらず、物件に住んだあと、知らされていなかった事態が出てくることも稀にあります。そのようなとき、部屋を買った・借りた人間は不動産会社に損害賠償請求することはできないのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお聞きしました。 ■損害賠償を受け取ることができる?「大阪のケースのように、部屋の近くにディスポーザーの排気口があり、臭くて日常生活を送れないというのであれば、正当な家賃を払って住んでいる意味がありませんね。賃貸借契約における貸主の義務は、借主に貸した家屋を支障なく使ってもらう義務がありますし、借主はその義務の履行に対しての対価として家賃を支払うわけです。部屋の近くにディスポーザーの排気口があって、臭くて支障をきたすというのであれば、それをなんとかしてもらう権利が借主に発生し、家主はそれに従う義務があります。家主は、その義務を行わない限り、債務不履行ということになり、家賃の値引きに応じる、あるいは、借主からの解約に応じなければならなくなります。解約の場合には、敷金礼金、引っ越し代などの損害賠償請求をされる可能性が高いものと思います。仲介会社については、あらかじめそのような事情を知っていたながら、借主に説明しなかったということになりますと、やはり支障をきたす物件を仲介したということになりますので、仲介手数料や引っ越しにかかる費用など、損害賠償請求される可能性が高いものと思います。またこれは分譲についても同様です」(小野弁護士) 不動産会社がその事実を知りながら、借主や購入者に説明をしなかった場合は、損害賠償請求される可能性が高いのですね。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*kuro / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月02日*画像はイメージです:高齢者の運転する車の事故報道を見聞きする機会が増えたのではないでしょうか。よくあるのが、アクセルとペダルを踏み間違えるパターン。この操作をすると、意図せぬ暴走で惨事になることもあります。統計によれば、交通事故の総数は減っていますが、65歳以上の高齢者ドライバーによる事故の割合は増加しているようです。このデータもあり、2015年に道路交通法が改正されて75歳以上の認知症対策が免許更新時に行われ、免許返納制度も採用されました。 ■暴走が認知症による勘違いから起こったら問題は、たいていの事故が意図的な暴走運転ではなく、高齢者の勘違いから起こっていることです。もし、その高齢者に軽度の認知症が認められたとしたら、死傷者が出た場合でも罪に問われるのでしょうか?星野宏明弁護士にお訊きしました。「交通事故の加害者には、不法行為責任として、被害者に損害賠償をしなければなりません。これは民事上の責任で、たいていの方は事故に備えて任意保険に加入されていますよね。問題は刑事責任で、自動車運転過失致死傷罪に問われます」では、事故を起こした高齢者が認知症だったら?「これは認知症の進行具合によっては、刑事罰の責任能力がなく加害者本人は無罪となります。民事の場合は、運転していた加害者に監督義務者がいる場合、その人が相当の注意を尽くしていたと認められなければ、監督義務者が本人の代わりに賠償責任を負います。認知症が軽度だったり、減弱がある場合は、有罪に問われますが、執行猶予が付される場合もありえます」 ■認知症が認められたら運転させない環境を作る重度の認知症を患う高齢者が車を運転するというのは、非情に怖いことです。あげく、交通事故を起こして巻き込まれた側にとっては「そもそも、そんな人間が監督義務者が同乗していたとしても、運転させるのが間違っている」と憤りを感じるはずです。となると民事でなんとかしたいと訴えることになるのですが、星野弁護士によれば「認知症患者を介護している親族の負担と責任のバランスも考慮しなければならず、介護に疲弊していたり、運転ではいちいちどちらのペダルを踏んでいるか見るのは困難でしょう。また、高齢者が高齢者を介護することも珍しくなく、監督義務者に賠償するだけの資力がない場合もあります。単に誰かに責任を負わせればいいという問題でないのですが、それでは被害者の気持ちの持って行き場がなく、救済を図る方法の模索をしなければならないでしょう」と、現状では認知症患者に対する法や、被害者への救済が後手に回っています。ただし、「認知症でない高齢者が事故を起こせば、それはただの過失です。量刑は死亡結果や負傷結果にとどまるか、被害者の数、適用罪名等、ケースバイケース」とのこと。アクセルとブレーキの踏み間違いは若い人でもうっかりやってしまうことがあるので、慣れていることとはいえ、加齢に従って感覚も鈍くなりますのでご注意を。そして、高齢者が家族にいるなら、可能であれば運転させずに若い家族がハンドルを握る環境を作るようにしたいものです。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)【画像】イメージです*sacco / PIXTA(ピクスタ)
2017年07月01日*画像はイメージです:医療従事者はそのほとんどが患者の症状を治癒するため、奮闘しているものと思われます。しかしごく一部に、自分の儲けを考え、あくどい診療をする医師もいるようです。例えば、本当は歯を抜く必要がないにもかかわらず、「虫歯」だと言って抜いた挙句、高額な義歯を埋め込んだり、さほど重大でもないのに「深刻である」と告げ、入院を促したりすることがあると聞きます。このような「嘘の診療」を行った場合、どのような罪に問われるのでしょうか?あすみ法律事務所の高野倉勇樹弁護士にお聞きしました。 ■どのような罪に問われる?「医師については、詐欺罪が成立します。傷害罪が成立する可能性も考えられます。まず、詐欺罪ですが、2つの詐欺罪が成立する可能性があります。第1に、患者に対する詐欺罪です。実際には行っていない診療について診療費が発生したかのように装い、支払を請求して受領することは、詐欺罪となります。第2に、社会保険診療報酬支払基金に対する詐欺罪です。医師は、診療報酬請求明細書を社会保険診療報酬支払基金に提出して、診療報酬を請求します。実際に行っていない診療内容を明細書に記載し、診療費が発生したかのように装い、請求して受領することは、詐欺罪になります。次に、患者に対する傷害罪です。医療行為は、患者の同意があって初めて正当化されます。例えば、手術は、形式的には傷害罪に該当します。ですが、患者の同意があるので、犯罪にはなりません。同意したとは異なる内容の治療が行われていた場合、同意がないまま治療行為が行われたときと同じように、傷害罪が成立する余地があります。なお、文書偽造罪は成立しません。文書偽造罪は、作成名義を偽ることで成立します。嘘の内容の文書を作成しても、刑法上の文書偽造ではないからです。診断書を発行した場合には、嘘の内容の診断書ということになります。診療報酬請求明細書も、嘘の内容です。ですが、どちらも作成した医師が、自分の名義で作成した文書なので、偽造ではありません」(高野倉弁護士) ■患者はどのような対応を取ればいい?悪徳医師がいるといわれても、患者はまったくわからないもの。仮に被害にあってしまった場合、どのような対応を取ればいいのでしょうか?同じく高野倉勇樹弁護士にお聞きすると…「被害に遭った患者としては、損害賠償請求を行うことが考えられます。騙し取られた治療の額を損害額として、損害賠償を請求できます。また、実際よりも悪い状態であるという嘘の診断をされたり、望まない治療を受けさせられていたのであれば、慰謝料を請求する余地があります。このほか、詐欺罪で刑事告訴することも可能です」(高野倉弁護士) 実際に被害にあった場合、損害賠償請求などを行うことができるようです。ただし、闇雲に「慰謝料」「損害賠償請求」と言っても、その主張が正当であるか疑問視されてしまうでしょう。「納得のいかない診療を受けた」という場合は、弁護士に相談し、医師が下した診断の正当性などを慎重に議論することをおすすめします。 *取材協力弁護士:高野倉勇樹(あすみ法律事務所。民事、刑事幅広く取り扱っているが、中でも高齢者・障害者関連、企業法務を得意分野とする)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中【画像】イメージです*studiolaut / PIXTA(ピクスタ)
2017年06月30日*画像はイメージです:夕方のニュース番組などでよく見かけるゴミ屋敷問題。近隣にゴミ屋敷があると、臭いや衛生上の問題が気になりますし、「火事が発生したら?」と思わず心配になってしまいます。ただ、マイクを向けられた当の本人は、ゴミは自分のものであり、自分の敷地内だから問題ないと、片付ける意向を示さないこともあるようです。確かに、ゴミはその人の物で、ゴミが放置されているのがその人の家であれば、他人が口出しをすることはできないように思います。そこで今回は、分譲マンション内で発生したゴミ屋敷問題に対象を絞り、「分譲マンションからゴミ屋敷の家主を追い出すことができるのか?」について検討してみます。 ■分譲マンションには共有部分と専有部分がある問題検討に先立ち、分譲マンションの共用部分と専有部分という用語を確認しておきましょう。分譲マンションには、廊下や階段に代表される共用部分と、居室(102号室などの「家」の部分)に代表される専有部分という構造上の区分があります。このうち、共用部分は、居室の持ち主である区分所有者全員の共有に属するとされています(建物区分所有法第11条1項本文)。そのため、共用部分については、区分所有者全員で構成される管理組合という団体で管理することになります。全員のものだから全員で管理するということです。他方で、居室のような専有部分は、原則として、その居室を所有する区分所有者が自由に使用し、管理します。その人の物ですから当然のことです。 ■原則として、居室内(専有部分)のゴミ屋敷問題に口を出すことはできないが……例えば、廊下にゴミを放置あるいは置いている人がいたとします。先ほど述べたとおり廊下は管理組合が管理する共用部分にあたるので、管理組合から違反者に対してゴミの撤去を求めることになります。他方で、居室内(専有部分)は、これを所有する人が自由に使えるわけですから、そこにゴミが溜まっていようが、管理組合が口を出すことはできません。 ■分譲マンションに住む住民全体に不利益が生じている場合は例外しかし、いくら居室内(専有部分)の問題といっても、ゴミ屋敷の場合には、部屋からの異臭が廊下やベランダを通じて漏れ出てくることもありえますし、虫が湧いて出てくるようなこともあります。このような事態が確認されれば、それはもはや居室内の問題に留まりません。異臭や虫の発生が確認できるようなマンションでは、マンション全体の価値が著しく低下し、他の住民にも大きく影響を与えます。このような事態(他の区分所有者らの共同の利益に反する状態)にまで発展した場合には、管理組合が居室内のゴミ屋敷問題に口を出すことができるようになります。 ■追い出しまで可能か?ゴミ屋敷の家主を追い出す方法としては、区分所有法59条に基づく競売請求を行うことが考えられます。競売請求が認められて、競落者が現れれば、ゴミ屋敷の家主は家を失い、マンションに住むことはできなくなります。つまり、追い出された状態になります。ただし、この競売請求を行うことができるのは、「他の方法によっては」障害を除去できない場合に限定されています。つまり、(1)ゴミの撤去の請求(同法57条)や(2)居室の使用禁止(同法58条)の方法によっても解決が期待できない場合にのみ競売請求ができることになります。ゴミ屋敷であっても所有権を奪うということになりますから、所有権を奪わずに解決できるのであればそちらを優先しなさいということです。裁判例の中には、ゴミ屋敷所有者に対して、区分所有法58条第1項に基づき、3ヶ月の居室使用禁止(前記(2)の手段)と損害賠償を認めた事案があります。この事案は、居室の使用禁止ですので、ゴミの撤去は含まれず、また、3ヶ月経過すればゴミ屋敷の家主は戻ってこられるということになります。そのため、判示においては「根本的な解決にならない」とも指摘されています。したがって、ゴミの撤去請求や居室の使用禁止では根本的な解決を図れないような場合には、上記のように競売の請求を行うことができると考えられます。この場合、競売によりゴミ屋敷の家主は自宅を失い、マンションから追い出されるという結論になります。 *著者:弁護士 河原崎友太(浦和法律事務所。2017年2月にマンション管理士に登録。ご相談に際しては、ご相談に見える方が、弁護士に何を期待しているのかを見定め、丁寧な事情聴取、解決方法の提案を心がけています)【画像】イメージです*koti / PIXTA(ピクスタ)
2017年06月14日6月8日の午前9時15分頃に、阪神高速道路池田線の上り線でトラック同士の事故があり、破損した荷台から豚が逃げ出すという出来事がありました。豚は無事に捕獲されましたが、逃げ出した影響で、高速道路は約5時間半にわたり通行止めになりました。豚が高速道路内に逃げ出し通行止めになることは珍しい出来事ですが、このことは何かの罪に問われるのでしょうか?解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■直接の罰則はない事故が原因となり、結果的に通行止め状態を発生させてしまったことを直接罰する規定はありません。事故については、注意義務違反があれば、それに対して自動車運転過失致傷などの罪には問われます。また、積載重量や積載方法の違反があれば、それも道交法違反となりますが、単に事故が原因で結果的に通行止め状態となり、かつ、それが過失であれば罰則はありません。 ■道路往来妨害罪道路を損壊または閉塞して道路の往来を妨害した場合、刑法124条の往来妨害罪が成立する可能性があります。道路を閉塞とは、障害物による道路を塞ぐことを意味しますので、通行止めとすることも、道路を閉塞させる行為に該当はします。しかし、道路の往来妨害罪は、過失犯処罰規定がなく、過失の交通事故によって、通行止めとなっても、刑法上の道路往来妨害罪とはなりません。この点、過失によって、電車の往来に危険を生じさせた場合は、刑法129条の過失往来危険罪という規定がありますが、道路については過失による往来妨害処罰規定はありません。 ■民事の賠償はある以上は刑事罰の話ですが、刑罰法規に該当しなくても、民事上の賠償責任は残ります。したがって、事故による当事者間の損害賠償の他、有料道路であれば、運営元会社に対し、通行止めとなったことによる賠償責任はあります。もっとも、過失による事故にすぎない場合は、通行止めとなったことの賠償責任まで追及されるケースはあまりないと思います。 *著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです* Kichigin / Shutterstock
2017年06月12日先日、ある掲示板の運営者がネットTVに出演。累計30億円という多額の損害賠償請求を受けていることを明かしたうえで、「踏み倒した」と発言しました。彼によると賠償請求は10年経過すると時効となるそうで、「そんなものは払わなければいい」などと発言。その態様が物議を醸すことになりました。*画像はイメージです:民事裁判で賠償義務が認められているにもかかわらず、「無視して踏み倒す」行為は、やはり許されていいものではないように思われます。強制的に支払いを迫ることはできないのでしょうか?星野法律事務所の星野宏明弁護士にお訊きしました。 ■支払いに応じない場合強制執行を行うが……「民事では、債務者の預金や不動産、現金その他財産の差押によって、債権者の金銭債権を回収することになっています。これを強制執行といいます。強制執行するためには、支払いを命じる判決などの債務名義が必要です。損害賠償を命じる判決もこの債務名義となりますが、債務者が判決で命じた内容に従って任意に支払いをするとは限りません。そうすると、判決の内容を強制的に実現するために、強制執行をする必要があります。しかし、強制執行するために、債権者側で債務者の保有している財産を調査し、裁判所からは時に現実的には困難なまでの財産の特定を債権者側に求められることがあります。そのようなとき、賠償を命じる判決に債務者が従わない場合であっても、(1)債権者側が債務者の財産を調査できない(2)債務者に本当に財産がないに該当する場合は、強制執行しても実際には債権を回収できないことになります」(星野弁護士) ■踏み倒しても刑事罰にはならない「実際の事件では支払いを命じる判決があっても、債権者側が債務者の財産を調査できない場合や、債務者に本当に財産がないケースはかなり多数あります。このような場合、執行官の強制執行妨害など積極的な妨害をしない限り、判決にただ従わないだけでは判決を無視して踏み倒しても犯罪ではないので刑事罰になりません。したがって現状は、債務者が判決に従わず財産が不明か不存在のため強制執行による判決内容実現も不可能で、事実上支払いを命じる判決を踏み倒されるケースは多数に上ります」(星野弁護士) ■法改正での改善が期待される「現在の運用では、預金などを金融機関の本店に一括して調査照会できないなどの不都合もあり、踏み倒しとなるケースが後を絶ちません。民事執行法改正により、債務者の預金の金融機関本店への一括調査手続きの導入などが議論されているところであり、今後の改善が期待されますが、それでも債務者に本当に財産がない場合には債権回収の対策のしようがありません」(星野弁護士) 残念ながら損害賠償請求を「踏み倒す」行為は、現状可能となってしまっているようです。今後の制度改善に期待したいところですね。 *取材協力弁護士:星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*buri327 / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月29日*画像はイメージです:住居に関する会社の福利厚生は、住宅手当や社宅制度があります。社宅制度の内容は会社によってまちまちでしょうが、社有社宅にせよ借上げ社宅にせよ、退職時には社宅から退去することが一般的です。では、従業員が退職するときに「退職したんだから明日社宅を出ろ!退去が遅れたら退職日以降の賃料を払え!」と言われた場合、このような即時退去または賃料全額負担の要請に応じなければならないでしょうか。今回は、退職時の社宅退去時期などについて解説します。 ■「明日出ていけ」という要請には応じなくともよいある程度の規模の会社で社宅制度を導入している場合には、社宅管理規程が置かれていることが多く、自己都合退職であれば2週間から1ヶ月程度の退去のための猶予期間が置かれていることが多いです。もし、社宅に関する規程がなかった場合であっても、上記程度の合理的な猶予期間なくなされる即時退去には応じる必要がありませんし、会社の元従業員に対する賃料相当額の損害賠償請求も認められないでしょう。なお、賃料に占める社宅使用料の割合にもよるのですが、社宅制度による補助は給与と同視されますので、会社が即時退去に応じないことを理由に未払給与から社宅使用料を超える金額を天引きすることは違法の可能性が高いです。 ■社有社宅と借上げ社宅とで違いはあるか社宅制度は、居住者が役員または従業員の地位を有する者その他会社の認める者であることを前提に、福利厚生の一環として、一定期間に限定して従業員に安く住居を利用させるものです。ですから、会社が物件を所有している社有社宅であろうと、民間の賃貸物件を借りている借上げ社宅であろうと、会社と従業員との契約は、条件付使用貸借または独自の社宅利用契約であるといえます。賃貸借契約とされることはないといってよいでしょう。そのため、会社と従業員等の関係では、社有社宅と借上げ社宅の場合とでとくに違いはなく、基本的には社宅管理規程によって定まります。「明日出ていけ」という要請に応じる必要がないことも同じです。会社によっては、従業員個人名義の契約でも借上げ社宅制度が利用できたり(まぁこれは住宅補助に当たるでしょうが)、退職時に法人名義から個人名義への変更を認めて退職後も同じ住居に住み続けたりもできるようです。このように、社宅制度は基本的に会社が内容を自由に決められるものですが、「明日出ていけ!無理なら賃料相当額の全額を払え!」という極端な要請についてまで従業員が従う義務はないというのが結論ですね。 *著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)【画像】イメージです*tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月24日東京・新宿や上野などの歓楽街では、道を歩く人に「お遊びいかがですか」「3,000円ポッキリでキャバクラいかがですか」などと声をかける「キャッチ」が存在しています。言葉巧みに誘うキャッチに「それなら良いな」とついていくと、飲食した後に「ビール1杯10万円」など法外な金額を請求される、いわゆる「ぼったくり被害」の報告が、あとをたちません。地元民なら、ある程度危険地帯がどこであるかは理解しているのですが、旅行中の人々などが餌食になってしまい、楽しい旅行が台無しになることもしばしば。法外な値段を要求された場合、ほとんどの人は脅されるなどして金額を支払ってしまっているようです。しかし、本来なら断ることもできるはず。店側が当初の「甘い言葉」と違う「法外な値段」を要求してきた場合、断ることはできないのでしょうか?ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解を伺いました。Q.ぼったくり店からの「法外な請求」支払いを拒否することはできる?*画像はイメージです:できます。諦めずに戦いましょう。「表示の仕方にもよると思いますが、たとえば3,000円で飲み放題の場合、適用範囲が、どの範囲なのか(時間・種類等)、その上で、それがわかる形で表示されていたか、が問題になると思います。契約行為として、認識して飲食したか、ということになると思います。そのような表示がないまま、法外な金額を請求されることは、恐喝や強要、もしくはいわゆる“ぼったくり条例”違反です(東京都など)。適切に料金表示をしなかったり、不当な勧誘・取り立てをした場合には、6月以下の懲役または50万円以下の罰金さらに営業停止命令があり得ます。あきらめずに闘いましょう!」(森川弁護士) ありえないほど高額な値段を「そうなる」と認識させずに店側が請求した場合は、恐喝・強要やぼったくり条例違反に該当する犯罪行為となるようです。怖い思いをするかもしれませんが、安易に支払わず毅然とした態度をとり、戦うようにしましょう。 *取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*つきのさばく / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月21日5月7日、川谷絵音さんが『ワイドナショー』(フジテレビ系)で復帰。メインコメンテーターの松本人志さんやヒロミさんらとトークを繰り広げましたが、視聴者からは川谷さんに対して厳しい声が多かったようです。騒動がここまで大きくなった原因は、不倫発覚後2人が交際が事実であるにもかかわらず、“友達で押し通す予定”といったLINE上のやりとりが発覚したことにあると思われます。このほかにもお笑い芸人と女性芸能人の不倫のやりとりなど、たびたびLINEの内容が流出し、週刊誌などに掲載される事案が発生しています。これは本来極めて私的なやりとりですから、不特定多数に公表されるべきものではないはず。このような行動は、罪になるのではないでしょうか? Q.LINEの内容を勝手に出版社にリーク……これは犯罪ではありませんか?*画像はイメージです:基本的に犯罪にはならないと思われますが、不法アクセス禁止法違反に該当する場合はあります。当然ながらLINEの内容はプライバシーで保護されるべきものですから、この内容を不特定多数の目に触れるようなメディアに掲載することは、プライバシー侵害による不法行為になります。したがって、該当者のLINEをスクリーンショットする、ログを取ってダウンロードするなどして個人情報を持ち出した人間、そしてその情報を不特定多数に公表した出版社・Web管理者は、不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。しかし、基本的にこれらの行為は犯罪行為とはいえません。もっとも、LINEの内容を盗んだ経緯がログイン・パスワードなどを不正入手したうえで、スマートフォンに不正に侵入し、得たものであれば、不正アクセス禁止法違反となり、その罪を問われる可能性があります。芸能人が不倫など不適切なやりとりをしている内容が公表された場合、当人たちの「バツの悪さ」や訴訟費用、世間への心象などから提訴に踏み切らないことが一般的ですが、他人のプライバシーを勝手に公表することは民事上、場合によって刑事上の責任を問われるおそれがあるため、するべきではありません。 *記事監修弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*aijiro / Shutterstock
2017年05月19日*画像はイメージです:自分がカラオケで歌う様子を動画投稿サイト『YouTube』で投稿した男性に対して、東京地裁が、カラオケ機器メーカーの著作隣接権を侵害するとして公開禁止を命じる判決を言い渡したという報道がありました。しかし、YouTubeは、JASRACやNEXTONEなどの著作権管理事業者と包括契約をしており、これらの管理楽曲をYouTubeで使用することは可能なはずです。なぜ、今回、公開禁止を命じる判決が言い渡されたのでしょうか?また、「著作権」とは異なる「著作隣接権」とは何でしょうか?アクシアム法律事務所の高木啓成弁護士にお伺いしました。 ■1.著作隣接権とは?作詞・作曲をした人は、「著作者」として、「著作権」が発生し、この「著作権」は、音楽ビジネスでは、JASRACやNEXTONEなどの著作権管理事業者が管理しています。そして、これらの著作権管理事業者は、様々な楽曲の利用者(レコード会社、放送局、コンサートホール、YouTubeなどの動画投稿サービス)に対して、楽曲の使用を許諾する代わりに著作権使用料を徴収しています。YouTubeは、これらの著作権管理事業者と包括契約して著作権使用料を支払っているので、利用者は、楽曲をカバーしてYouTubeに投稿することができるわけです。他方、作詞家・作曲家ではなく、その楽曲を歌った歌手やバックミュージシャン、多額のレコーディング費用をかけて楽曲の音源を制作したレコード会社には、「著作権」は発生しません。しかし、これでは、たとえば、その楽曲CDの海賊版が出回ったとき、歌手やレコード会社は差止請求や損害賠償請求ができない、ということになってしまいます。これでは不都合なので、歌手やレコード会社(正確にいうと、「レコード製作者」)にも、著作権に似た「著作隣接権」という権利が与えられており、海賊版などに対して法的請求ができるようになっています。そして、重要なところですが、YouTubeなどの動画投稿サービスは、「著作権」はクリアしているものの、一部を除き「著作隣接権」はクリアしていません。ですので、たとえばCDの音源をアップロードすることは、そのCD音源の「レコード製作者」の「著作隣接権」の侵害になってしまうのです。 ■2.今回の判決今回の判決を読むと、「自分がカラオケで歌う様子をYouTubeで投稿した男性は、カラオケ機器メーカーの“レコード製作者”としての“著作隣接権”を侵害している」という判断がなされています。ただ、ひとつ疑問が生じます。「レコード製作者」の権利は、音楽をマスターテープなどに固定(録音)することにより発生します。CDの音源のように、レコーディングを行ってマスターテープに固定(録音)することが典型例です。逆にいうと、音楽を何かに固定(録音)しなければ「レコード製作者」の権利は発生しないはずです。しかし、通信カラオケの音楽は、一部の楽曲を除き、カラオケ店での利用者のリクエストに応じて、専用サーバーから、その楽曲のmidiデータ(譜面やテンポ、音の種類などの情報)が配信され、店内のカラオケ機器が受信し、その都度、その機器付属のシンセサイザーで再生する方法で演奏されているはずです。カラオケ機器や専用サーバーに、カラオケ楽曲の全ての音源が保存されているわけではありません。だから、利用者が、曲のキーやテンポを自由に変更できるわけです。そうすると、それぞれのカラオケ曲については、音楽の「固定」という過程が存在しないように思います。それぞれのカラオケ曲にレコード製作者の著作隣接権が発生するのか、またはカラオケ機器のシンセサイザー音源自体に著作隣接権が発生するのか、検討の余地があるように思います。ただ、今回、被告側がこの部分を詳細に争わなかったので、原告であるカラオケ機器メーカーの主張が全面的に認められたのだと考えられます。 *取材協力弁護士:高木啓成(アクシアム法律事務所。エンターテイメント法務、離婚や不貞行為などの男女関係の法律問題、交通事故(被害者側)、労働問題(会社側、従業員側どちらも対応)を取り扱う。)*取材・文:編集部【画像】イメージです*ろじ / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月16日*画像はイメージです:東京都立川市でカーブミラーを叩き割った男性が、逮捕されるという出来事がありました。同市では2月以降カーブミラーを割られる被害が40件以上確認できており、関与していないか調査しているとのことです。ところで、このカーブミラーを叩き割るというこの行為はどのような罪に当たるのでしょうか?交通事故にも繋がりかねない行為ですが、解説してみたいと思います。 ■カーブミラーを破壊することはどのような罪になるのかカーブミラーを破壊した場合に成立する可能性のある犯罪としては、刑法261条の器物損壊罪や同法124条の往来妨害罪が考えられます。もっとも、このうち往来妨害罪は、「陸路」、つまり道路そのものを損壊したといえる場合に成立する犯罪です。しかし、カーブミラーは道路そのものではなく、道路の付属設備に過ぎないと考えられることから、結論としては、カーブミラーを破壊しても往来妨害罪には該当せず、器物損壊罪が成立するのみということになるでしょう。器物損壊罪が成立する場合、犯人は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料に処せられる可能性があります。なお、刑法上の器物損壊罪が成立するのは、あくまでもカーブミラーを「故意に」損壊した場合に限られます。したがって、例えば交通事故でカーブミラーを壊してしまった場合のように、故意ではなく「過失で」損壊してしまったに過ぎない場合には、器物損壊罪は成立しません。ただし、たとえ過失であっても民法上の不法行為は成立しますので、交通事故でカーブミラーを壊してしまった場合でも、カーブミラーの所有者に対する損害賠償責任は免れません。 ■壊されたカーブミラーが原因で交通事故が起きたら…?また、壊されたカーブミラーが原因で交通事故が発生したといえるのであれば、犯人が事故当事者に対しても損害賠償責任を負う可能性はあるでしょう。しかし、通常は、犯人が事故当事者に対してまで責任を負うことは少ないのではないかと思います。なぜなら、カーブミラーが壊されていた結果、道路の見通しが悪かった場合でも、運転者はそのような道路状況を前提に前方に注意して運転すべきであり、仮に事故が発生した場合も、事故発生の直接の原因は、運転者の前方不注視であると判断されることの方が多いと考えられるからです。他方で、確かにカーブミラーが壊されていたことも、事故発生の一因ではあるでしょうが、それはあくまでも間接的な原因に過ぎず、法律上の因果関係まで認められることは少ないだろうと思います。ただし、例えば犯人がカーブミラーを破壊した際、現に車両がカーブに差し掛かっており、運転者もカーブミラーを見ながら運転していたにも関わらず、突然カーブミラーが破壊された結果、交通事故が発生してしまったというような特殊な事情がある場合には、犯人が事故当事者に対しても損害賠償責任を負うことは十分考えられます。 *著者:弁護士 髙田 英治(髙田総合法律事務所。企業法務をメインとしつつ、相続・離婚・交通事故等の個人に関わる法律問題も幅広く取り扱う)【画像】イメージです*TATSU / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月15日*画像はイメージです:ゴールデンウィークも終わり、これからだんだんと暖かくなっていきますね。ただ、そうなってくると食べ物の取り扱いに気を遣わないといけませんよね。例えば、飲食店で食事をした後に、嘔吐や下痢などに悩まされたり、寄生虫を食べてしまったり……。そういった被害に遭った場合に損害賠償ができるのか、どうすればいいのかについて考えてみました。 ■食中毒!? と思ったら生ものなどを食べた後、おなかの調子が悪い、吐き気がするといった場合、食中毒が疑われます。重篤な症状になる前に病院で診察を受けましょう。食中毒にもさまざまな原因があり、症状が出るまでの期間等も異なるようです。まずは、病院で原因を特定してもらうことが第一歩だと思います。医師との問診等により、特定の食品からの感染が明らかになれば、医師から保健所へ届出をして食中毒と認定してもらうことも出来る可能性があります。食品衛生法では、医師は食中毒患者と診断した際は、最寄りの保健所長に届けなければいけないということになっています。保健所から食中毒であると認定されてしまえば、飲食店は営業停止等の処分を受ける可能性があります。また、そこに至らずとも調査などが入るとそれだけでよからぬ噂が立ち、客足が途絶えることもあります。それを避けるために、示談を求めてくる飲食店も有り得るでしょう。 ■個人で食中毒になった場合よくニュースなどで目にするのは、「集団食中毒」というもので、一人だけが食中毒になったというのは案外目にしません。それは、一人だけが食中毒になったとしても、そのお店で飲食したことが原因で食中毒になったかどうかという原因が特定しにくいからです。例えば、同じ日にその飲食店で食事をした何名もが同じ症状に悩まされているというのであれば、まさにその飲食店に原因があると判断しやすいですが、たまたま一人だけが食中毒になったというと、ほかで食べた物が原因じゃないかという可能性も有り得るからです。ただ、一人だけが食中毒になったといっても、絶対に損害賠償が認められないというわけではありません。はっきりとした原因さえ判明すれば、賠償は受けられます。 ■損害賠償の中身賠償の対象となるのは、まずは食べた料理の代金でしょう。誰も、食中毒になるような料理を注文したわけではありません。まともな料理を出していない以上、少なくとも食中毒の原因であると特定された料理の代金は返還を受けられます。次に、病院にかかった費用、交通費なども賠償を受けられます。すでに支払った病院代やタクシー代などのレシートは取っておくようにしましょう。その他、慰謝料、仕事を休んで収入が減った分を補てんするための休業損害分なども賠償の対象となります。慰謝料は、基本的には完治までにかかった入院、通院期間などをもとに算定します。収入が減った分については、例えば直近3か月分の平均的な金額からその治療期間にいくらくらい収入が減ったかなどを計算すれば算定できます。損害の計算は個別的な事情にも左右されます。お近くの弁護士さんにご相談することも一つの手です。きっと、皆さんのお力になってもらえると思いますよ。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】イメージです*freeangle / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月12日車の維持費は思った以上に家計を圧迫するものです。効果的な節約方法があればぜひ実践したいですよね。また普通車と軽自動車それぞれの場合の維持費を比較して、車の買い替えを検討するのも手かもしれません。今回は車の維持費について詳しく解説していきましょう。■車の維持費の内訳は?車の維持費としてはどのようなものがかかってくるのでしょうか。以下で内訳を見てみましょう。【自動車税(軽自動車税)】自動車税は、車を所有するすべての人に対してかかる税です。車を持っている人はナンバープレートを登録することにより納税義務者となります。納税額は自動車の排気量によって決まります。後述する軽自動車を除いた1,000cc未満から6,000cc超まで500ccごとに納税額が変わる仕組みです。さらに自家用か営業用か、貨客兼用車かなどによっても納税額が変わってきます。納税先はナンバープレートを取得した都道府県です。納税方法は、毎年1回納税通知書が送られてくるため、その内容にしたがって納税します。軽自動車の場合は、自動車税とは別に軽自動車税を支払います。軽自動車税の対象となる法律上の「軽自動車等」の定義は、660cc以下の自動車および二輪車、小型トラクターなどの小型特殊自動車です。納税額は自動車税と同様、排気量によって決まります。納税先は市町村です。納税方法は、毎年1回送られてくる納税通知書にしたがいます。【自動車重量税】自動車重量税は自動車の重量区分にもとづいて課税される税金です。もともと、「重い車が走ることによる公道の劣化を補填するための税」という位置づけで、使途も道路特定財源に限られていました。ただし現在では道路特定財源が一般財源化されているため、使途は限定されていません。納税対象は公道を走るすべての車です。車を持っているだけでは課税されませんが、車検を通すために自動車重量税を払う必要があるため、必然的に公道を走る車はもれなく納税することになります。納税額は自動車の重量によって決まります。普通車は500キログラム以下から3,000キログラムまで、500キログラムごとに6段階の納税額が設定されています。軽自動車は重量によらず一定です。なお自動車重量税にはエコカー減免があり、エコカー以外では車を所有する年数によって納税額が上がっていきます。納税方法は、車検のときに車検料金とあわせて納税します。【自賠責保険料】交通事故を起こしてしまった際に被害者へ保証するための保険です。自動車を取得した人全員に加入が義務づけられています。車検のタイミングで車検料金と一緒に支払います。【自動車保険料】交通事故に対する損害賠償に備え、任意で加入する保険です。自賠責保険だけでは補填できないことも多いため、加入がすすめられます。【車検費用】おもに検査・登録費用、車検整備・点検費用、登録代行費用がかかります。また劣化した部品を交換する必要が出てきた場合には、その際の部品代もかかってきます。【燃料費】自動車の燃料となるガソリンの料金です。【駐車場代】駐車場を借りる場合に必要な料金です。一般的に月極めで支払います。【日常点検・整備費】消耗品や修理、点検にかかるお金です。おもな消耗品には、エンジンオイルやタイヤが挙げられます。洗車を依頼する場合にはその料金も含まれます。■普通車と軽自動車の維持費を比較すると?車の維持費を考えるとき、軽自動車のほうが普通車より安く抑えられるというイメージがあるかと思います。実際にはどのくらい維持費が違ってくるのでしょうか。以下で1年間にかかる費用を比較して見ましょう。なお普通車は2,000ccクラスの想定です。ガソリン代は年間10,000キロの走行距離で、1リットル当たり140円のガソリン代、燃費はリットル当たり15キロという数字で試算しています。駐車場代は月10,000円とします。自賠責保険料と自動車重量税は2年分をまとめて払うことになっていますが、2で割って1年分を算出します。【普通車の場合】自動車税は、排気量1.5リットル超~2リットル以下の車で39,500円です。自動車重量税は、1トン超~1.5トン以下でエコカー減税対象外、登録から13年未満の車の場合は、2年間で24,600円、2で割って1年で12,300円の計算になります。自賠責保険料は15,520円です。自動車保険料は一般的な契約内容で考えた場合70,000円程度になります。車検費用は60,000円程度が目安です。燃料費は、10,000キロ÷15×140≒93,000円程度になります。駐車場代は、10,000円×12か月=120,000円です。日常点検・整備費は多めに見積もって年間50,000円程度かかります。合計は460,320円です。【軽自動車の場合】軽自動車税は平成27年4月1日以後に最初の新規検査をした場合、年間10,800円です。自動車重量税は、エコカー減税対象外で登録から13年未満の場合、年間6,600円÷2=3,300円の計算になります。自賠責保険料は15,130円です。自動車保険料は一般的な契約内容で50,000円程度です。車検費用は40,000円程度になります。燃料費は普通車の場合と同様に計算して約93,000円です。駐車場代も普通車の場合と同様に計算して120,000円です。日常点検・整備費は多めに見積もって年間30,000円程度になります。合計は362,230円です。【普通車と軽自動車の違い】以上を見てみると、税金関係、保険料、車検費用、日常点検・整備費など、軽自動車のほうが安く抑えられていることがわかるでしょう。年間98,000円程度差があります。毎月10,000円未満の差ですが、積み重なると大きな差になるでしょう。■都内と全国平均の維持費の違いは?維持費のうち、駐車場代と自動車保険料は地域差があります。以下で詳しく見ていきましょう。【駐車場代】駐車場代は地代によって変化するため、地域差があります。都道府県別に平均の駐車場代を見てみると、都市部ほど駐車場代が高くなっているのがわかります。もっとも高い東京では30,000円超、次いで大阪は20,000円台後半です。また宮城、千葉、埼玉、神奈川、愛知、広島、京都などが10,000円台となっています。その他の地域は4,000円台~6,000円台で、都内と比べると25,000以上の差があることがわかるでしょう。なお同じ都道府県内でもエリアによって駐車場代は異なってきます。たとえば東京都内でもっとも駐車場代が高いのは港区や中央区で、月50,000円程度かかってきます。これに対して荒川区、葛飾区、練馬区などは料金が低めで、月20,000円程度です。【自動車保険料】自動車保険料は、加入者ごとに事故リスクが細かく分析されて算出されます。その際、地域も事故リスクの分析対象になっているため、地域ごとに保険料が変わる仕組みです。たとえば東京都の平均自動車保険料は48,536円となっています。47都道府県のなかでもっとも自動車保険料が高いのは愛知県で、平均53,698円です。一方もっとも保険料が低いのは沖縄県で38,770円という調査結果でした。このように地域によって10,000円以上の差が出ることがあるのが現状です。■必見!車の維持費を節約する方法!車の維持費はどう節約すればいいのでしょうか。税金や駐車場代などは節約が困難ですが、その他の項目については以下のように節約が可能です。詳しく見ていきましょう。【自動車保険の節約】自動車保険は適宜見直しをしましょう。最初に保険を申し込んだときに比べて、より現状に見合った保険が出てきている可能性もあります。場合によっては、月々の保険料が10,000円近く安くなることもあり、定期的なチェックが必要です。なお自動車保険を抑えるには、代理店を通さず申し込むのもおすすめです。「ダイレクト系」の保険と呼ばれ、電話やインターネットなどで直接申し込めます。【車検費用の節約】車検費用は申し込む事業所によってさまざまです。相見積もりを出し、安い事業所を厳選して申し込むようにしましょう。一般的に、ディーラーは安心感があるかもしれませんが、車検料金は高めです。フランチャイズ店やカー用品店、ガソリンスタンドなどは料金を安く抑えられたり、割引キャンペーンを利用できたりします。また民間の整備工場に当たってみるのも手です。さらに最近ではユーザー車検も注目を集めています。ユーザー車検とは、車の所有者自らが検査場に行って車検に通すシステムです。手数料がかからず法定費用のみであるため、車検費用を安く抑えられます。ユーザー車検を受けるためには、自動車検査証、自賠責保険証明書、自動車納税証明書、自動車重量税納付書などの必要書類を集め、インターネットで申し込みましょう。【燃料費の節約】ガソリン代を節約するためには、まず安いガソリンスタンドを利用するのが基本です。特にセルフスタンドは人件費を抑えられるため、1リットル当たり1~5円安くなっています。またガソリンスタンドでは、プリペイドカードやクオカードを活用しましょう。たとえばクオカードであれば、5,000円のカードで5,050円分、10.000円のカードで10,150円分使えるなど、数円分お得になることがあります。さらに車の走らせ方で燃費をよくすることも大切です。アイドリングストップを徹底する、急発進や急加速をやめる、エンジンブレーキを活用するなどして、燃費の向上に努めましょう。ガソリンを入れるたびに燃費を記録して意識するだけでも効果が期待できます。整備をきちんとしておくことも燃費の向上につながります。エンジンオイルの劣化やタイヤの空気圧不足は燃費を悪くしてしまいます。エンジンオイルは走行3,000キロから5,000キロで交換しましょう。またタイヤの空気圧はガソリンスタンドに行ったときなどにこまめにチェックしてください。なおもし古い車で燃費が悪いなと感じたら、燃費のよい車に買い替えるのもひとつの手です。初期費用はかかりますが、長い目で見て節約できる方法を選ぶのも重要でしょう。【日常点検・整備費の節約】急を要する修理の場合は別として、消耗品を買ったり定期点検を行ったりする際は、比較して安い店を利用するのが基本です。なかでもインターネットを利用すると費用を安く抑えられる傾向にあります。ポイントを上手に活用したり、オークションを活用してみたりするとよいでしょう。また自分でカーメンテナンスをするのも有効な方法です。洗車やワイパーゴムの交換といった気軽なところから始めてみましょう。また少し知識をつければ、タイヤに空気を入れたり、エンジンオイルやバッテリーを交換したりということもできるようになります。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。【その他高速道路代などの節約】高速道路代はETCを活用して節約しましょう。ETCには時間や曜日ごとに割引があります。おもな割引の時間は以下のとおりです。高速道路を利用する際は、この割引の時間帯や曜日を中心にするとよいでしょう。・平日朝夕割引:地方部で、平日朝6時~9時、夕方17時~20時に割引されます。ETCマイレージサービスに登録している人限定ですが、利用回数に応じて無料通行分がつくお得な割引です。・休日割引:地方部で土曜・日曜・祝日に30%割引されます。普通車と軽自動車等限定です。・深夜割引:すべての車種について、毎日0~4時に30%割引されます。■まとめ今回は車の維持費について、その内訳や節約方法を詳しく解説しました。いかがでしたか?これまでなんとなく納税通知や請求書にしたがって維持費を払っていた、という人は、維持費の内訳を意識するだけでも費用を節約できるかもしれません。さらに今回ご紹介した節約方法もぜひ実践してみましょう。維持費を抑えて、負担の少ない快適なカーライフを過ごしてみてくださいね。
2017年05月12日*画像はイメージです:沖縄で宅配郵便業をてがける運輸会社の運転手が、ダイレクトメール約500通を破棄していたことが明らかになりました。最近では、再配達や宅配便の利便性の向上から、運送業界の負担が増加している傾向にありますが、こういった行為はどのような法に触れるのでしょうか。解説していきたいと思います。 ■民事上も刑事上も違法結論からいうと、送り主のダイレクトメール(荷物)を配達せずに廃棄している以上、民事上も刑事上も違法となります。民事の面では、損害賠償責任を負うことになりますが、捨てたドライバーが直接荷主に対して損害賠償責任を負う他、運送会社もドライバーの不法行為につき使用者責任(民法715条)を負い、賠償義務があります。ダイレクトメールを配達せずに捨てたドライバーは運送会社の業務を履行する者なので、運送会社は荷主に対して運送契約上の債務不履行責任として賠償義務を肯定することもできます。いずれにしても、民事上の賠償責任が発生することになります。 ■刑事上の責任ドライバーがダイレクトメールを配達せずに廃棄した行為は、刑法上、いくつかの罪と関連します。可能性があるのは、信書隠匿罪、(業務上)横領罪、窃盗罪、器物損壊罪、私用文書毀棄罪などですが、結論からいうと、器物損壊罪のみ成立すると考えられます。まず、ダイレクトメールは基本的には「信書」に当たらない場合が多いので、信書隠匿罪にあたる可能性は低いです。横領罪や窃盗罪は、不法領得の意思という物を自己の所有物とする意思が必要であり、廃棄目的の場合には成立しません。私用文書毀棄罪にいう私用文書とは、権利義務に関する文書をいいますので、やはりダイレクトメールは基本的に該当しないことになります。したがって、ドライバーがダイレクトメールを配達せずに廃棄した行為は、刑法上の器物損壊罪となります。 ただし、運送会社が荷主に謝罪し、自主的に補償するなどした場合は、実際には刑事事件としては立件しない可能性も高いでしょう。再配達や荷物量の急増による輸送網の疲弊が大きな問題ともなっており、対策が求められるところだと思います。 *著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*Quang Ho / Shutterstock
2017年05月10日(左:ユニコーンフラペチーノ/右:ユニコーンラテ) あまりの人気にバリスタが悲鳴を上げていると話題の、米スターバックスコーヒーの「ユニコーンフラペチーノ」。“インスタ映え”する鮮やかなピンクとブルーの飲み物はSNSで爆発的に広まり、提供されていない日本でも発売を希望する声が多く聞こえてくる。しかし、この快進撃に、あるカフェが「待った」をかけた。 ニューヨーク・ブルックリンにあるカフェ「The End」は、ユニコーンフラペチーノが自社の商品「ユニコーンラテ」の模倣品であると主張。顧客を混乱させ、元祖であるユニコーンラテの陰を薄くしているとして民事訴訟に打って出たのだ。 今年1月からのThe Endの利益の内、25%を昨年12月に発売したユニコーンラテの売り上げが占めているという。同店はスターバックスコーヒーが自社の看板商品の意匠を盗作したことで不当に得た利益の返還と、損害賠償を求めている。 ここで問題の飲み物を比べてみよう。ユニコーンフラペチーノはマンゴーシロップ入りのクリームフラペチーノをベースに、ピンクのパウダーと酸味のある青いシロップを混ぜ込んでヴィヴィッドな紫色に。その上にホイップクリームをたっぷりと絞り、仕上げにピンクとブルーのパウダーが振りかけられている。 一方ユニコーンラテの成分は生のカシューナッツや、コールドプレスされたショウガとレモンの果汁など。スチームミルクがピンクとブルーのパウダーで着色され、星形の小さな砂糖菓子が散りばめられている。 スターバックスの代理人は、「ユニコーンフラペチーノは、楽しくて勇ましい、カラフルなユニコーンにインスパイアされたもので、これは今、ソーシャルメディアで流行中のテーマです」とコメント。ユニコーンをテーマとしたフードやドリンクがトレンドとなっている今、その流れに乗っただけであり、特定の商品を模倣したわけではないと主張している。
2017年05月09日時間に正確な日本の鉄道ですが、まれに発生するトラブルには無力です。特に多いのが、踏切の「人立ち入り」。「なかなか開かない」「遮断機が降りそうだけれど行けると思った」などの理由から鉄道車両が近づいたにも関わらず踏切内に立ち入り、鉄道を止めてしまうことがあります。その場合、後日鉄道会社から損害賠償を請求されることがあるのは、皆さんご存知のとおりです。しかし、仮に止めてしまったとしても、「故意」でなく、自動車の故障や急な体調不良など、致し方ない理由で踏切内に立ち入り、鉄道の運行を止めた場合は、情状酌量があっても良いように思いますし、「わざとじゃないので」と支払いを拒否したくなります。そのようなことは可能なのでしょうか?星野法律事務所の木川雅博弁護士にご意見を伺いました。Q.故意ではなく、急な体調不良などで踏切を通過できず、電車を止めてしまい、鉄道会社側から請求があった場合、それを拒否することはできる?*画像はイメージです:故意でなくとも過失があれば損害賠償義務は生じる。「鉄道会社の電車を止めた人に対する損害賠償請求は民事上の責任追及であるところ、民法709条は、故意ではなく過失(注意義務違反)により他人に損害を与えた場合でも損害賠償義務を負うと定めていますから、理由のいかんを問わず、電車を止めた人に過失がある場合には鉄道会社に生じた損害を払わなければならなくなります。実際には、電車を止めてしまった場合でも鉄道会社から損害賠償請求をされることは少ないのですが、それは、(1)自動車の故障や急な体調不良で電車を止めてしまったことについて過失があるとまではいえない場合(そのように鉄道会社が判断した場合)(2)電車を止めた人に過失はあるが、鉄道会社に振替輸送費や旅客対応のための余分な人件費等の損害が生じなかった場合(3)電車を止めた人に過失があり、かつ、鉄道会社に損害は生じたが、諸々の事情により鉄道会社が請求をしない場合上記のいずれかに該当するからだといえます。つまり、法律上は、電車を止めた人の過失によって鉄道会社に損害が生じたときは、鉄道会社からの請求を拒否することはできないということなのです。踏切の警報機が鳴らなかったために踏切内に閉じ込められてしまった場合など、電車を止めてしまったことについて鉄道会社にも過失がある場合には、過失相殺により実際の賠償額は低額になります。また、自動車と列車が接触し、車両の修理費や乗客の治療費が生じたときは、自動車保険(対物・対人)を使うことができるので、その場合は実際に多額の負担を強いられることにはならないでしょう。もし、鉄道会社から損害賠償請求をされてしまった場合は、まずは自身の落ち度と保険適用の有無を検討し、次に過失相殺が適用されないかを検討することになります。なお、このように解説すると、踏切や線路内に人がいるのを見かけたときに非常停止ボタンを押すのをためらってしまうかもしれませんが、正当な理由で非常停止ボタンを押して電車を止めても鉄道会社から損害賠償請求をされることはないでしょうから、緊急の場合には非常停止ボタンを押して人命を救うことを優先していただければと思います」(木川弁護士)法律上、止めた人の「過失」によって鉄道会社に損害が生じた場合は、いかなる理由があろうとも拒否することはできないようです。ただし、減額などの余地は残されているよう。この場合は、弁護士に相談してみるのが賢い選択と言えそうですね。 *取材協力弁護士:木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*moga / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月08日自転車は原則として1人乗りが義務付けられています。幼児席が設置されている場合などの例外はありますが、基本的に2人乗りは道路交通法に違反した行為となり、赤切符が切られることになります。自転車の2人乗りが道路交通法に違反した行為であることは周知されていると思いますが、映画やドラマのなかでカップルが仲睦まじく一緒に自転車に乗る様子に憧れた人や、移動手段の共有から2人乗りをする人がいるようです。軽い気持ちで自転車に2人乗りして走っていたら、自動車と衝突してしまった。この場合、通常の自転車対自動車の事故との過失割合は変わってくるのでしょうか?ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解を伺いました。Q.自転車で2人乗りをしていたら、車とぶつかった…2人乗りだと過失割合は変わる?*画像はイメージです:変わる可能性が高い。「“二人乗り”は、自転車側の過失割合が重くなる要素になると思います。事故の態様によるでしょうが、自転車側の運転手の過失が事実上、推定されると思います」(森川弁護士)やはり通常の「自転車対自動車」の事故よりも、自転車側が2人乗りしていた場合は過失割合が高くなるようです。そもそも、違反行為なわけですから、当然ですね。2人乗りが禁止されている理由は重大な事故につながりやすいということが一番大きな要素です。非常に危険であるということを認識してください。安易な気持ちで2人乗りをすると、取り返しのつかないことになります。絶対にやめましょう。 *取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*8suke / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月05日強風時や豪雨、設備の不具合などが原因で起こる停電ですが、この停電時に交通事故が起きた場合、過失の割合はどうなるのか、ご存知の方はいらっしゃるでしょうか?過失割合とはどういったことか、過失割合の考え方などと併せて解説していきたいと思いますので、ご覧ください。*画像はイメージです:■過失相殺・過失割合(過失相殺率)とは?交通事故に遭っても被害者側に何らかの不注意(=過失)があったと考えられる場合、被害者は、被った損害に相当する金額全額について請求したとしても、加害者側の主張や裁判所の判断によって減額されてしまいます。このように被害者側の過失を理由に加害者の賠償すべき額を減額することを過失相殺といいます。過失割合とは、損害の全額のうち被害者が自身の過失を理由に責任を負う(=減額されてしまう)割合のことです。過失割合は、「20:80」とか「○の過失は6割」といったように表現されます。 ■交通事故の過失割合(過失相殺率)交通事故の過失割合(過失相殺率)については、「大量の同種事案を公平・迅速に処理するため、古くから賠償額や過失相殺率に関する基準化が図られて」います。(※1)交通事故の過失割合(過失相殺率)は、道路状況・当事者の状況・交通規制・運転態様等を類型化して、こういった類型の場合は基本「○○:○○」で、修正要素に該当する事実がある場合は「-○○」・「+○○」といったように判断されるようです。 ■停電時の交通事故の場合『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂四版)』は、交通整理の行われている交差点と交通整理の行われていない交差点を分けて過失相殺率を類型化していますが、「信号機が設置されていても、黄色や赤灯火の点滅信号が表示されているだけの交差点は、「交通整理の行われていない交差点」(法36条)である」(※2)としています(同43頁)。「黄点滅」の場合を「交通整理の行われていない交差点」というのであれば、停電時の交差点についても「交通整理の行われていない交差点」としていいのではと考えます。したがって、信号機が作動しておらず誰がどのような進行をするのか予測不能なわけですから、車を運転する者としては、誰がどのような進行をしても事故を起こさないように徐行・安全確認をすべきであり、そうしないと著しい過失ありと判断されかねません。例えば、停電時の交差点で、一方の車(A車とします)が(A車から見て)左の方から交差点に進行してきた車(B車とします)に衝突したとして、双方同程度の速度であれば、Aの過失60、Bの過失40といった感じになりますが(左方優先)、A車が減速しておらずB車が減速していたとすれば、Aの過失80、Bの過失20といった感じになるわけです(ただし、道路の幅員等その他の条件は同じで他に特段の事情もないものと仮定します。)。 ■国・県・電力会社の責任原動機付自転車と大型乗用自動車が交差点で衝突した交通事故について、遺族が、国・県・電力会社を相手に、交通事故の時点で信号機が停電により作動していなかったとして賠償を求めた裁判例もあります。(※3)この事案の停電は、配電線の強化工事のための停電であり、人為的な停電でした。電力会社は、県に停電にする旨を通知していましたが対応が不十分であったようです。この裁判例で、裁判所は、信号機の設置・管理の権限について、国にはないから国には損害賠償責任はない、県には権限があるから損害賠償責任がある、電力会社には独占的・継続的に電力を供給する地位にあるので損害賠償責任があると判断しました(ただし、原告らが請求する損害賠償額は全て填補済みなので原告らの請求を棄却)。このように県や電力会社の賠償責任を認めた裁判例もありますが、事案次第であり、停電に至った経緯・停電を把握した後の県や電力会社の対応状況・交通事故の状況等によって認められる場合もあれば認められない場合もあるのではと考えます。強風や豪雨等の自然災害によって停電になったということであれば、強風・豪雨が治まり修繕や事故防止の対応ができるようになったにもかかわらず放置していたといった事情がないと責任は認められないのではと考えます。 *著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)【参考】※1:東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂四版)』別冊判例タイムズ第16号39頁※2:一方が黄点滅、他方が赤点滅の場合につき最一小決昭44・5・22刑集23巻6号918頁、黄点滅の場合につき最一小判昭48・9・27判時715号112頁※3:浦和地方裁判所昭和57年5月17日判決【画像】イメージです*Good morning / PIXTA(ピクスタ)
2017年05月02日*画像はイメージです:話題の新SNSマストドン(Mastodon)、あなたはもう使い始めてますか?この4月からユーザー数が急増中で、ポストTwitterとも目されているそうです。スマホの普及やサービスの充実によって多くの人が様々なSNS活用するようになった現在、中には「こんな変な人がいた!」と街中などで見つけた他人の写真をアップする晒し行為も見受けられます。このような行為は、法的に問題ないのでしょうか?パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に質問しました。 ■無断撮影やネットにアップは肖像権侵害の可能性あり電車内など公共の場で目立っている人の写真や動画を撮影し、SNSやYouTubeにアップする行為は、何か罪に当たりますか? 該当する罪があればその法律の内容や成立要件などを教えてください。「まず前提として、撮影行為自体が犯罪となる場合があります。例えば、東京都の『公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例』では、『(略)公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影(略)』すること(いわゆる「盗撮」)が禁止(条例5条1項2号)されており、違反した場合は『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』に処せられる(条例8条2項)ことがあります。そうした『盗撮』にあたるものではなく、例えば、電車内でお酒を飲んでいる人を撮影するといった行為は、犯罪にはあたりません」(櫻町弁護士)盗撮という罪は、下着姿や裸でなければ成立しないのですね。ということは、ちゃんと服を着ている人なら他人を勝手に撮影してもOKということでしょうか?「いいえ。人には『みだりに自己の容ぼう等を撮影され、これを公表されない人格的利益』(最高裁平成17年11月10日判決)がありますので、対象者に無断で撮影をした場合には、『肖像権侵害』として違法とされることがあります。そして、撮影が違法な場合には、画像等をSNSにアップロードする行為も違法となります」(櫻町弁護士)無断撮影自体を禁止する法律はありませんが、無断撮影は肖像権の侵害にあたるのです。なお、撮影について承諾を得ていた場合でも、SNSへのアップロードはまた別。撮影は許可されていてもアップロードが許可されていなければ、肖像権侵害とされる可能性があるそうです。 ■晒されたら損害賠償請求できる!晒された人はこの行為に対し、訴えたり損害賠償請求したりできますか?その際に必要な手続きや、すべきことなどを教えてください。「無断撮影及びSNSへのアップロード(=不特定多数への公表)について、撮影・アップロードをした人物に対して肖像権侵害を理由とする損害賠償請求や、画像等の削除請求をすることができます。また、画像等の削除については、画像等がアップロードされている媒体のサービス管理者(コンテンツプロバイダ)に対しても請求することができます。なお、撮影・アップロードした人物が誰か分からない場合は、まずはその人物を特定する必要があります。手続としては、コンテンツプロバイダに対しIPアドレス等の開示を請求し、IPアドレスが開示された場合には、そのIPアドレスを管理しているプロバイダ(インターネット接続事業者)に対し、当該IPアドレスを使用して画像等をアップロードした人物の氏名・住所等の開示を請求します。そして、氏名・住所等が開示された場合には、その者に対して損害賠償や削除を請求する、という流れになります」(櫻町弁護士)知らないうちに撮影され見世物にされるのは不愉快なものですし、それがもとになって生活や仕事に悪い影響がもたらされることも考えられます。自分がおもしろいと感じたものを不特定多数と共有することもインターネットやSNSの楽しみのひとつではありますが、誰にでも肖像権があり安心して暮らす権利があることを忘れず、節度を持って活用していきたいものです。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。ブログ「ネットイージス.com」)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月30日*画像はイメージです:月に、大阪府警天王寺署は、某有名企業の偽名刺を見せて「荷物を積んだクルマを別の社員が乗っていって帰れない、あとで返すので交通費を貸してもらえないか」と見ず知らずの他人から金をだまし取っていた40歳の男を詐欺容疑で逮捕しました。同様の被害は警察や同社に寄せられただけでも20件、190万円にのぼるということです。これ以外にも西日本を中心に60件以上被害があるとみられ、男は指名手配されていました。この男のように偽名刺を作成し、金をだまし取ると、刑法上はどうなるのでしょうか?男は詐欺の容疑で指名手配されていました。桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にお話を伺います。 ■偽名刺で相手を騙して財産を処分させれば詐欺罪!「その場合はやはり詐欺罪に問われます。詐欺罪が成立するためには、相手を騙して財産を処分させたと言えることが必要ですが、“信用ある会社の社員からの申し出で交通費を貸す”ということが事実でなければ、言われた方もお金を見ず知らずの人間に渡すということは通常ないでしょうから、偽名刺で社員を名乗り交通費名目に金を受け取ろうとすることは、相手を騙して財産を処分させる行為にあたることになります」男が社員であることを偽名刺で偽った企業は、今は世界中で知られるブランドです。国内ならどこでも知らない人はいないでしょう。その知名度とブランドイメージを、この男は利用し、さらに傷をつけたわけで、同社が損害賠償を請求することもあり得るのでしょうか?「会社の偽名刺を犯罪に使われ、それが大きく報道されたということで会社の信用が毀損したということはあると思います。 ただ実際に損害賠償をするにあたり、信用棄損をどう損害額として評価するかは難しいところがあるかもしれません」確かに損害が大幅な株価下落などを招いていたなど明確な事実や、逮捕前にネットで噂が広がり不買につながる風評被害があったかなど、検証は難しそうです。男は無事に逮捕され、社員でなかったことがはっきりしたことで、社の信用は揺るぐことがなく収束したとも言えるでしょう。 ■偽名刺で合コンでモテようとしたら罪になるのか?では、ここで、視点を変えて、偽名刺を別の目的に使った場合はどうなるのかについて考えてみましょう。たとえば、合コンに偽名刺を持っていき、ブランド名を利用してモテようという最も浅はかなケースです。「偽名刺を合コンで配ることは、相手を騙して財産を処分させるための行為とは言えないため、これだけでは詐欺罪には該当しません。名刺は作成者の意思・観念を表示しているものではないため、私文書偽造罪の文書にあたらず、私文書偽造罪にも該当しません」私文書偽造にも該当しないのは意外ですが、だからといって調子に乗って偽名刺で身分を偽るのはモラルに反する行為です。「偽名刺を使うことは仮に罪に問われない場合でも、なりすまされた相手から信用や名誉を棄損されたとして損害賠償責任を問われるリスクはあります。当然のことながらお勧めすることはできません」 大窪弁護士の忠告をキモに命じて、悪用せず、素の自分で勝負してください。 *取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)【画像】イメージです*kuro / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月29日先日、居酒屋を営む男性がTwitter上で「予約のあった29名の団体客に連絡がないままキャンセルされた」と被害を訴える事案が発生。店は29人入るといっぱいになるようで、事実上貸し切り状態。料理も人数分用意し、準備万端で到着を待っていましたが、時間になっても客は来ず。連絡先に電話をしても出ないそうで、「バックレ」られたそうです。Twitterで来店を呼びかけたところ、同情した常連やネットユーザーが多数来店。料理を無駄にすることなく、なんとか赤字は回避することができたようです。このケースはネットでの訴えにより様々な人々が協力したため、難を逃れたようですが、居酒屋などではこのような団体客予約客による「バックレ」が頻発しています。店側としては、このような行為については厳しく接したいところ。損害賠償を請求することはできないのでしょうか?Q.予約を「バックレ」た団体客に損害賠償を請求することはできる?*画像はイメージです:予約が確定している場合はそこで契約が成立していますので、賠償は可能であると思われます。団体客が予約を入れ、店との間で開始時間とスペースの確保を合意した時点で契約が成立しています。そのような状況で時間になっても姿を現すことなく、店側に損害が発生した場合は、「契約不履行」ですから、当然ながら損害賠償を請求することは可能であると思われます。しかし、今回のケースのように団体客側との連絡手段が途絶えてしまえば、賠償を請求することは事実上不可能です。予約時に電話番号だけではなく、住所などを聞いておいたほうが良いでしょう。もちろん、それも全てウソである可能性も否定しきれません。店側としては、団体客の予約については身分証明書の提示させたうえ、事前にキャンセル料や損害賠償請求の可能性があることを取り決めるなどして、自己防衛しておく必要があります。悲しいことではありますが、人を簡単に信用せず、常に不測の事態を想定した行動が求められます。それが、店を守ることになります。 *記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月28日*画像はイメージです:ロックバンド「ONE OK ROCK」が4月8日に幕張メッセで開催したコンサートで、熱中症や過呼吸などの体調不良を起こす観客が続出したそうです。50人以上が症状を訴え、21人が病院に搬送されました。このように、コンサート会場で熱中症や怪我などの事故があった場合、観客は治療費などを支払ってもらうことはできるのでしょうか?あすみ法律事務所の高野倉勇樹弁護士にお伺いしました。 ■主催者には観客の安全確保義務がある「“事故が起きる可能性を予測できたのに、対策しなかった”という場合には、請求できます。コンサートの主催者は、観客との間で、コンサートを提供することを内容とする契約を結びます(=チケット購入)。この契約には、契約条項として明示されていなくても、観客の安全を確保する義務が付随します。“事故が起きる可能性を予測できた”場合において、“対策しようと思えばできたのに、対策しなかった(=過失がある)”というときは、この義務に違反したということで、損害賠償責任が発生します。ただし、以下のふたつの問題があります。(1)どのような場合に「事故が起きる可能性を予測できた」と言えるのか。(2)対策はとれたのか(対策できるような事故だったのか)例えば、“野外や熱のこもりやすい構造の建物内での開催”“気象庁から「高温注意情報」が発表されていた”“熱中症を発症しても非難できないほど観客が多かった”などの場合は、熱中症を発症する可能性を予測できます。また、“救護活動の準備をしていない”“飲み物や避難場所を確保していない”“熱中症注意のアナウンスをしていない”などがあれば、とれるはずの対策をとっていないと言えるでしょう」(高野倉弁護士) ■治療費や休業補償など請求できる?コンサートで熱中症や怪我などを負った場合、治療費を始め、タクシー代や休業補償、慰謝料などを請求できますか?「可能です。ただし、“熱中症になったから、その出費=損害が発生した”といえるだけの因果関係がなければなりません。熱中症になって、タクシーで病院まで行ったという場合には、タクシー代は認められると思われます。どうしても具合が悪く、タクシーで帰宅せざるを得なかったという場合も、認められやすいと思います。休業損害は、それによって本当に損害が発生している必要があります。給与所得者は休んでもお給料が出るので難しいかもしれませんが、個人事業主であれば、比較的認められやすいと思われます。また、入院するなど重症化した場合には、慰謝料も認められると思います。ただし、金額はさして高くありません。死亡した場合には、1,000万円単位での慰謝料もあり得ると思います」(高野倉弁護士)主催者の過失によって被った損害には、費用を請求する権利があります。ただし、損害額を立証するためには、診断書や領収書などの資料が必要です。また、休業損害を請求するのであれば確定申告書などから1日あたりの利益を計算して損害額を算出します。 ■覚えておきたい!損害賠償請求の条件コンサートだけでなく、その他のイベント会場、公共施設、飲食店などで過剰な混雑や運営者の不手際などにより被害を被った場合も、費用などを請求することは可能ですか?「可能です。場所毎に、事故が発生する可能性を予測できたかどうかや対策の内容は異なりますが、予測すべきを予測せず、対策すべきを対策しなければ責任が認められるという基本的な考え方は変わりません。例えば、サッカー場で落雷の可能性があるのに試合を続行させ、落雷事故が発生した場合について、運営者の責任を認めた裁判例があります。また、明石市の花火大会で、歩道橋を渡っていた人たちに死傷者が出た事故でも賠償責任が認められています。見物客の誘導計画について、他の計画を丸写ししたいい加減なもので済ませ、事故発生にも気が付かないといった杜撰な運営をした事例です。運営会社、明石市、警察がそれぞれ賠償責任を負いました」(高野倉弁護士)どんなイベントでも、開催する者には安全に運営する義務があります。そもそも責任があるのか無いのか(事故を予測できたのか、対策はとれたのか)という点を見極めるのは少し難しいところですが、万が一事故などあった場合には損害賠償を請求できる可能性があることを知っておきたいものです。 *取材協力弁護士:高野倉勇樹(あすみ法律事務所。民事、刑事幅広く取り扱っているが、中でも高齢者・障害者関連、企業法務を得意分野とする)*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)【画像】イメージです*graphicalicious / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月27日釈放されて、東京・原宿署の通用口からうなだれて出てきたのは坂口杏里(26)。待ち受ける報道陣は、約100人。くたびれた白いトレーナーにグレーのスウェットパンツ、ピンクのサンダル姿は2日間を過ごした留置場での姿そのまま。2世タレントとしてバラエティ番組を賑わせた面影はなかった――。 交際中の30代ホストを「ホテルで撮影した写真をばらまく」と脅し、3万円を要求。現行犯で逮捕された杏里。 「4月13日に最新作が発売されたばかりでした。現在、彼女はセクシービデオメーカーと5本出演する契約を結んでいると聞いています。推定ですが、芸能人からの転身で話題になったデビュー作は別にして、彼女の場合、ギャラは1本出て1千万円ほど。もちろん破格ですが、契約している5本分はすでに前払いで受け取っているはず。約5千万円が彼女の懐に入っていたはずなんですが……」(セクシービデオ関係者) だが、逮捕時に所持金はほとんどなかったという杏里。その5千万円は使い果たしたということなのだろう。あれから4カ月。釈放の際の着替えを買う余裕もなかったのだろうか――。釈放はされたものの「彼女には茨の道が待ち構えている」と前出の関係者は話す。 「ギャラは5本分を全額前払いで受け取っているのに、まだ3本しか実際には発売されてません。今回の逮捕で残りが“お蔵入り”でもしたら、ギャラを返すだけでなく、損害賠償を求められることもありえます。でも、手元に金はなく、守ってくれる母親ももういません。結局、彼女はまたセクシービデオに出て稼ぐしか生きる道はないのです。蟻地獄にはまって、どんなにもがいても逃げられない獲物のようです……」(テレビ局関係者) 天国で母・坂口良子さんは血の涙を流しているはずだ――。
2017年04月26日*画像はイメージです:月を迎え、新入社員や大学入学等の歓迎会が各地で開かれていることかと思います。そんな中、毎年のように目にするのが、急性アルコール中毒による事故のニュースです。ひどいものでは、死亡に至るケースもあり、社会問題となっています。本日は、飲酒につきまとう法律問題についてお話しします。 ■飲酒を強要するとどんな罪になる?もし、脅して飲酒を強要するようなことがあれば、強要罪(刑法223条)が成立する余地があります。また、酔い潰す(急性アルコール中毒などを引き起こす目的で)お酒を飲ませた場合に傷害罪(刑法204条)、さらにその上死亡してしまうと傷害致死罪(刑法205条)が成立する可能性があります。さらに、酔い潰れた人を放置して立ち去った場合には、保護責任者遺棄罪(刑法218条)、その人がそのまま亡くなってしまえば保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)が成立する余地があります。このように、飲酒の強要等から派生して様々な犯罪が成立することがあり得ます。 ■飲酒を強要した結果死亡した場合の法律問題例えば新歓コンパ等で新入生にイッキ飲みを強要した結果、急性アルコール中毒となり死亡したケースで考えてみます。この場合、上記のとおり、刑法上傷害致死罪(3年以上の有期懲役)が成立し逮捕される可能性があります。また、民事上も損害賠償請求の対象となります。就業前の学生が亡くなった場合、将来得られるべき逸失利益が非常に大きくなる可能性が高く、高額な損害賠償義務が生じえます。 ■未成年が自主的に飲酒した場合の罰則についてここまでは、飲酒を強要した場合についてお話ししてまいりましたが、新入生などの未成年者が自ら積極的に飲酒をした場合はどうでしょうか。まず、その結果何が起きても、これまでお話ししたような第三者に何らかの責任が発生する可能性は低くなります。自ら飲酒をした未成年者は罰せられるのかと言われると、そういうことも無いといえます。「未成年者飲酒禁止法」という法律はありますが、未成年者を罰する規定はありません。これは、未成年者の飲酒を知りながら止めなかった親権者らやお酒を提供したお店などが罰せられる法律です。 ■最後に楽しいはずの飲み会が、飲酒の強要等により急性アルコール中毒などの事故、事件により一転トラブルに発展します。死亡者が出る可能性もあるということを十分に自覚して、楽しい集まりになるようにしてください。そんな筆者は全くお酒が飲めない下戸です。大学に入りたての時は、「飲まないとしらけられる」という空気が非常に気になりました。お酒を飲める人は、全くお酒が飲めない人もいるということをご理解いただき、無理な飲酒の強要やそれに至らなくても飲めない人にとって気兼ねがしない雰囲気づくりを心掛けるようにしていただきたいものです。 *著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)【画像】イメージです*jazzman / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月25日*画像はイメージです:ようやく寒さも落ち着き、過ごしやすい気候になったと感じる人も多いのではないでしょうか。暖かくなると、アウトドアの活動も増え、郊外でキャンプやハイキング、山登りなどをする機会も増えるかと思います。中には、スカイダイビングやバンジージャンプといった危険の伴うレジャーを楽しむ方もいるかと思います。上記のようなレジャーを楽しむ際には、運営側から、事故が起きてしまった場合、責任は参加者にあり、運営側は責任を負わないといった内容の「念書」を提出することになろうかと思います。事故が起きず、無事に終わればよいですが、怪我をしたり、最悪の場合には死亡してしまうこともあるでしょう。 そういった場合でも、念書を提出している以上、責任は参加者が全て負うことになり、運営側に責任は問うことが出来ないのでしょうか?解説してみたいと思います。 ■刑事責任が発生しないこともありえるまず、刑事上の責任ですが、参加者が怪我をしたり、死亡したりした場合、運営者は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われる可能性があります。もっとも、形式上は犯罪の要件に該当する場合であっても、有効な「被害者の同意(承諾)」があれば、行為の違法性が阻却されて犯罪は成立しないとされています。そのため、自分は怪我をしても構わないということを承知で参加し、事故で怪我を負った場合には、行為の違法性は阻却されて運営者には犯罪が成立しないことになります。ただし、同意が有効になるためには、運営者が、参加者から念書を提出してもらうだけではなく、参加者に対して、事前に当該レジャーの危険性や事故が起こった場合の怪我の程度等について十分に説明義務を尽くしていることが前提です。一方で、生命を放棄するような同意は許されないので、仮に、自分は死んでも構わないことを承知でレジャーに参加し、結果、死亡してしまった場合には、そのような同意は無効なので、被害者の同意の法理では違法性は阻却されません。もっとも、被害者の同意が無効であったとしても、当該レジャーの危険性について社会に広く認識されているような場合には、社会的相当性の観点から違法性が阻却される余地があります。 ■損害賠償責任はどうなる?次に、民事上の責任ですが、運営者は、不法行為(民法709条)や債務不履行(民法415条)に基づく損害賠償責任を負う可能性がありますが、刑事責任と同様に、被害者の有効な同意があるか、そのレジャーが社会的に相当なものであれば、違法性が阻却されて賠償責任が発生しないということになります。まさか自分が事故に遭うはずがないと思ってレジャーに参加される方がほとんどかと思いますが、万一、事故に遭って怪我等をした場合には運営者の責任を追及できない可能性がある、ということを十分に認識したうえでレジャーに参加するようにしてくださいね *この記事は2015年5月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)【画像】イメージです*sho / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月15日うちのダメ夫
あの日、私はいじめの加害者にされた
編集部の「これ、気になる!」