第1子を出産して3カ月ほど経ったころの話です。慣れない育児の疲労、寝不足に加え、ある日、私は体の関節や骨が痛いなと感じるようになりました。腱鞘炎、腰痛、謎の痛みまず痛くなったのは腕から手首にかけてで、私は慣れない新生児の抱っこ、授乳の姿勢などが原因だと思っていました。湿布やサポーターをしながら姿勢に気をつけることで軽減されましたが、次に襲われたのは腰を中心に背中からの骨の痛みです。 日がたつにつれ全身の骨が痛くなっているように感じ、「ヘルニアとかだったら大変だから病院に行ってみたら?」という夫の言葉もあり、私は整形外科へ向かいました。 レントゲンをひと通り撮ってみた結果整形外科で腰を中心にレントゲンを撮りましたが、特に異常はなし。先生によると、「産後、急に筋肉を使うようになり、無理な姿勢も増え、その結果として痛みが出たのだろう」という診察結果でした。 骨や神経に悪いところは見られないので、病院に通って筋力をつけるようなリハビリをしていくか、もしくは普段の生活で気をつけていくかのどちらかになるとのこと。 ひと安心とはいえショック…骨がきしむような感覚が抜けない中、「異常なし」と言われ安堵しましたが、「運動不足からくるもの」だとわかり脱力……。まだ生後3カ月の息子を長い時間預けながらのリハビリは、授乳時間もあり現実的ではなかったので、私は家で何かできないかと考えました。 育児には筋肉をたくさん使う動きが多いのでは?と思った私。それならと、私は息子を抱っこしながらスクワットしたり、ストレッチをしたりと家の中で育児をしながら軽く運動をするようになりました。 息子を連れて散歩に出かける機会も増え、私も動くようになり、さらに仕事に復帰すると体の痛みはほとんどなくなりました。息子のためにも、これからも少しずつ運動をして、元気な体でいたいと思った出来事でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/ななぎ著者:畑野ナツミ監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年05月02日赤ちゃんの首がすわるのは何ヶ月?首すわりはどうやって分かる?首がすわる前にやってはいけないことなどについて解説首すわりとは、赤ちゃんを縦抱きした際に首がぐらつかない状態のことです。赤ちゃんの運動発達の一部と言われています。一般的には赤ちゃんの首がすわるのは生後3ヶ月頃からと言われていて、生後4ヶ月~5ヶ月で赤ちゃんの約90%は首がすわると言われています。ただ、赤ちゃんによって首がすわるのが3ヶ月よりも早い、5ヶ月よりも遅いということもあります。赤ちゃんの発達には個人差があり、早い子は生後2ヶ月程度で首がすわることもあります。実際に2ヶ月から3ヶ月の間で首がすわった赤ちゃんは11.7%いるという調査もあり、決して珍しくはありません。首がすわる直前には、赤ちゃんが自ら首を動かして保護者を目で追う、うつぶせのときに自ら首を持ち上げようとする、などの前兆が見られることがあります。参考:Ⅱ 調査結果の概要|厚生労働省赤ちゃんの首がすわっているか判断するには、以下の確認方法があります。・仰向けの状態から両腕を引いて起こした際に、身体が45度になっても首が遅れずについてくる・身体が90度になったときに軽くゆすっても首が安定している・うつぶせになったときに自ら頭を持ち上げられる確認方法はおおむね以上の通りですが、乳幼児健診などでは医師により細かい部分も見て判断されます。また、首がすわる前の赤ちゃんは首がとても不安定です。後頭部を支えない縦抱きやおんぶなど首がぐらぐらするような抱き方はしないようにしましょう。参考:乳幼児健康診査身体診査マニュアル|国立成育医療研究センター首すわりが遅い原因は?隠れた疾患はある?首すわりを促す方法など多くの自治体で実施している3、4ヶ月児健診の際に、首がすわっておらず、もしかして疾患があるのではと心配な方もいるかもしれません。子どもの発達は個人差が大きいため、首すわりが遅いからといって過度に心配する必要はありません。ただ、中には原因として背景に疾患がある場合もあります。以下にあげたような疾患がある場合、運動発達が遅れることがあるため、首すわりの遅さに影響している可能性があります。・染色体異常・脳性まひ(胎児期〜新生児期に受けた脳の損傷によるもの)・脳の疾患・脊髄の疾患・筋肉の疾患・先天性代謝異常症などただし、運動発達が遅れても、上記にあげたような疾患が診断されず、原因が明確とならないまま、後に運動発達が追いついてくることも多々あります。赤ちゃんの首すわりを促すには、首を支えた状態の縦抱きを増やしたり、前傾姿勢の抱っこを増やしたりして首すわりに必要な筋肉の発達を促すようにするといいでしょう。また、うつぶせのときに頭の上におもちゃを持っていくなど、赤ちゃんが顔を上げる練習を取り入れていく方法もあります。首すわりの練習をするときの注意点として、縦抱きをする際は赤ちゃんの頭の後ろに手を添えることや、うつぶせのときに赤ちゃんから目を離さないなどがあります。赤ちゃんの安全確保には充分気をつけるようにしましょう。参考:運動について|地方独立行政法人埼玉県立病院機構ホームページ参考:首のすわりが遅い [子育てQ&A]|京都府首すわりが遅いのは、知的障害(知的発達症)と関係がある?上記に挙げた赤ちゃんの運動発達が遅れる疾患のうち、染色体異常や、脳の疾患、先天性代謝異常症などでは、知的障害(知的発達症)を合併することもあります。知的障害(知的発達症)とは、知的機能と社会的な適応能力に遅れが見られる障害のことです。ですが、首すわりの時期だけで知的障害(知的発達症)と判断することはできません。言葉の遅れや非言語コミュニケーション(模倣や指差しなど)の遅れなど、気になる様子がある場合は、かかりつけの小児科などに相談してみるといいでしょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアルまとめ一般的には生後3ヶ月から5ヶ月頃には赤ちゃんの首がすわると言われています。しかし、発達には個人差が大きく、早い子どもだと生後2ヶ月から首がすわるなど時期には違いがあります。生後6ヶ月を過ぎても首がすわらなかったり、ほかにも発達で気になることがあったりする場合はかかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口、保健センターなどに相談してみるようにしましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年04月21日デジタルツールが当たり前になった現代の子どもたち。学校では1人1台タブレットが貸し出されるようになり、少しずつ手書きの機会が減っています。サッカーノートにも、デジタル化の波が押し寄せてくる日が近いかもしれません。そこで今回は、手書きvsデジタルにおいて、子どもに与える影響の違いを京都大学医学部附属病院精神科神経科の特定助教で人間健康科学の博士でもある大塚貞男先生に伺いました。(取材・文小林博子)写真はサカイクキャンプでサカイクサッカーノートを書く選手たち子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>■サッカーノートは手書きがいい?それともデジタル?サッカーノートを書くことは、思いや考えを言語化しながら整理し、課題を明確にするなどのメリットが多数あります。サッカーノートを導入しているチームは多く、日々の練習の記録や目的、改善案などを書くことには一定の意味があることはすでにご存知だという方が多いはずです。そんなサッカーノート、今の主流はまさに手書きの「ノート」ですが、タブレットやスマホで入力できるものや、スマホアプリも登場し始めているのが現状です。チームによってはそういったデジタルツールをすでに導入しているところもあるのでは?今後はどちらがいいのか悩ましいところですね。大塚先生は、「漢検」でおなじみの日本漢字能力検定協会の協力を得て、京都大学大学院にて読み書き能力の研究を行っています。お話を伺うと「手で書く」ことは認知・学習面の成長には影響すると思う、と語ってくれました。まずは気になるその理由について詳しく解説します。■書くことは脳の広い範囲を使うスマホやPCを日々扱っている私たち親世代も常々感じているであろうことの1つに、「漢字が書けなくなった」ということはありませんか。読むことは問題ないものの、いざ書こうとすると漢字が思い出せない......。きっと共感してくれる方は多いはずです。ほとんどの人にとっては、漢字を鉛筆で紙に書けるようになるには、手で書いて覚えなくてはなりません。また、「書かないと忘れてしまって書けなくなる」のも前述のように実体験から痛感できます。そんなことから、私たち日本人にとって漢字は「普段から書いているか(手書きしているか)」を測るバロメーターになり、大塚先生はそこに着目して研究をしています。脳で処理される「漢字能力」を分解すると1.読字(漢字を正しく読める)2.書字(漢字を正しく書ける)3.意味理解(漢字や熟語の意味が正しくわかる)の3つになり、それぞれ使う脳の部位が違うのだとか。1の「読む」を経て、3の「意味理解」をしながら2の「書く」までを行うことで、「読む」だけに比べて使う脳の部位が移っていきます。脳は筋肉と同じで使って鍛えるところ。インプットとアウトプットを経て使う部位が広範囲におよび、側頭葉から前頭葉へなど、部位をまたがって情報を伝達することが脳のトレーニングにもなるそう。文字の識別については、デジタルより手書き文字の識別の方が難しく、デジタルの同じフォントばかり見ていると、フォントが違うだけで同じ文字だと認識しにくくなるようです。そのため、色々なフォントを見たり使ったりすることが推奨されています。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■人は「運動を伴った方が物事を記憶しやすい」という性質も持つまた、手書きのメリットは「手と指を動かすこと」にもあると大塚先生は言います。それだけを聞くと「デジタルデバイスに入力する時も手と指を使うのでは?」と思いがちですが、入力は手書きに比べると筋肉をあまり使わずにできるもの。予測変換機能もあることで、記憶を呼び起こしたり考えたりする範囲も少なく「ラク」かつ時短であることは明確です。また、人は「運動を伴った方が物事を記憶しやすい」という性質も持っているため、手指を動かして書いた方が記憶に残りやすいという特徴もあります。■手書きしている→文章作成能力が高まる→言語による認知機能の発達に大塚先生たちの研究チームが以下の結果を示したのは、大学生(大学院生を含む)30名を対象にした研究です。その結果は、漢字を手書きで書けるほど、知識の習得量が多く、文章作成能力が高いというものでした。一方で、中高生719名のデータを解析した研究でも、漢字を手書きで書ける子どもほど、文章作成能力が高いことが示されました。つまり、書くことで「認知能力」が養われ、言葉を使ったコミュニケーション力が発達するというわけです。■デジタル入力にもメリットがある、双方を活用しよう写真は少年サッカーのイメージ手書きのさまざまなメリットをご紹介しましたが、大塚先生はデジタル入力を否定しているわけではありません。比較的短い時間で簡単に一定の言葉を綴ることができるのはデジタルのメリットですし、子どもたちが将来デジタルツールを使いこなすことはリテラシーとして必須事項。双方のメリットをそれぞれ活用することが好ましいようです。ここまでをふまえ、サッカー少年少女を育てる親御さんがやはり気になるのは、サッカーノートは手書きのほうがいいのか?ということだと思います。それについては次回の記事でご紹介します。大塚貞男京都大学大学院医学研究科・医学部特定助教/博士(人間健康科学)公認心理師、臨床心理士。精神科病院や総合病院、公的機関などでの心理職としての勤務を経て、京都大学大学院にて人間健康科学の博士号を取得。その後、同大学にて教鞭をとりながら、漢字の手書きの意義についてなど数多くの研究を行っているサッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2024年01月18日寝ない、飲まない事が心配だったけど、それ以外の発達はおおむね順調。Upload By 鳥野とり子わが家の息子ねこ太は現在小学校1年生。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。ねこ太は在胎27週930グラムで産まれた早産児で、新生児から生後3ヶ月の頃は寝ない・飲まない・とにかくよく泣いていて、私はその育てにくさに違和感を感じ始めていました。しかし、生後5ヶ月(修正月齢2ヶ月)頃になると目が合ったり話かけるとニコニコしたり、クーイングを発するようになってきたので発達はおおむね順調なように感じていました。睡眠も、以前の全く寝なかった頃と比べると、まとめて2~3時間寝てくれる事が時々出てくるようになりました。授乳は相変わらず直接母乳を飲むのは下手でしたが、搾乳し哺乳瓶で授乳回数を増やす事でカバーしました。その結果、1日に飲む量は増え、体重もどんどん増えていきました。私は息子の育てにくさに違和感を感じつつも、このまま少しずつ睡眠も授乳量も増えていくのかなと思っていたのですが……。※編集部注:「修正月齢」について早産児の発達や成長については、実際に生まれた日ではなく、もともとの出産予定日だった日を基準に考えていきます。これを「修正月齢」といいます。授乳に集中せずにキョロキョロしたり……遊び飲み開始Upload By 鳥野とり子生後半年頃から授乳に集中せずに周りをキョロキョロ見たり、クスクス笑ったりするようになりました。やっと少し飲む量が増えてきていたのに、遊び飲みのせいで授乳量は逆戻りしてしまったのです。授乳に集中させるために、授乳の度にカーテンをして照明を落とし、部屋を真っ暗にして、他の物が目に入らない環境をつくってから授乳をしていました。それでも飲みが悪いので、寝起きの寝ぼけている時に哺乳瓶を息子の口に入れ吸てつ反射を利用して飲ませる事に。遊び飲みは成長の証と言いますが、私はなんとなくこれがただの遊び飲みとは思えず、息子の母乳への執着のなさに消えかかっていた違和感が再燃しました。首がすわらない、寝返りしない、お座りできない。一体いつになったらできるのか不安で主治医に相談するも……Upload By 鳥野とり子運動発達の遅滞は早産児にはよく見られる傾向なので、そこまで私は気にしていませんでした。しかし、NICUで教わったリハビリを毎日しているのにも関わらず、生後半年を過ぎても全く首がすわる気配がなく、寝返りもできない息子にだんだん焦りが出てきました。早産児健診の時に主治医に相談するも、「今は様子を見るしかないですね」と言われ、「確かに今できる事はないし様子を見るしかないな」と、どうにもならない現状に対してモヤモヤしたのを覚えています。友達の赤ちゃんを抱っこして驚愕。息子と全然感触が違う……!Upload By 鳥野とり子この頃、息子と同じくらいの月齢の赤ちゃんがいる友達と会う機会がありました。私は、友達の赤ちゃんを抱っこさせてもらって驚きました。なぜなら、息子と全然感触が違うんです。息子は全身がフニャっとしていて柔らかく、力もそんなに強くないのですが、私は他の赤ちゃんを抱っこした経験があまりなかったので、息子のフニャフニャ感を気に留めていませんでした。でも、友達の赤ちゃんは力が強く筋肉がしっかりしていて息子みたいにフニャフニャじゃなかったのです。「赤ちゃんとはみんなフニャフニャしているものだ」と思っていた私はビックリすると共に、やはり息子は早産の影響でかなり発育も発達も遅れているのだという現実を突きつけられてショックを受けました。モヤモヤしながらもようやく進み始めた運動発達Upload By 鳥野とり子結局息子は首がすわったのが生後9ヶ月、寝返りも生後9ヶ月、自力でお座りができるようになったのは1歳の誕生日を迎えた頃でした。他の子よりかなり遅い運動発達ですが、ようやく成長し始めたなと少しホッとしました。(しかし、ここから歩けるようになるまで、長い道のりが待っている事をこの時の私は知りませんでした……)。生後9ヶ月で首がすわり。そして、離乳食もスタート!でも……大苦戦の予感Upload By 鳥野とり子運動発達が進み始めた月齢9ヶ月頃に離乳食を開始しました。母乳への執着がないので、食へも興味が薄いかもしれないと思っていましたが、予想は的中!口に運んでも全然食べようとしないし、無理に口に入れても吐き出してしまう状態。何度か挑戦しましたが、ひと口食べさせるのがやっとなので、離乳食は中断する事にしました。ここから長い長い……とても長い食の悩みが始まるのでした。執筆/鳥野とり子(監修:室伏先生より)ねこ太くんの乳児期について、運動発達、睡眠授乳の様子など詳しく共有してくださりありがとうございました。早産のお子さんの運動発達の進み方はさまざまで、将来をご不安に思われたり、やきもきしたり、というお声をよくお伺いしますので共感される読者の方も多いことと思います。早産でないお子さんと比較すると、自閉スペクトラム症やADHDなどの症状も多いとされています。運動面に関しては、身体が柔らかかったとのことで、筋緊張低下症というものであったのかなと思います。筋肉は姿勢保持や体温調節のために、運動をしていない時でも持続的に一定の緊張(張り)が生じています。この持続的な筋肉の緊張は、脳が司令塔となり支配されています。脳からの指令のセットポイントが弱いと、筋緊張は弱い状態となり、筋肉に触れた時に全体的に柔らかく、柔軟性も高くなります。姿勢保持にも影響が生じ、立った姿勢では腰椎前弯(腰がそってお腹が出るような姿勢)や外反足(足を後ろからみた時にかかとの骨が垂直ではなく内側に倒れこんでいる状態)、座った姿勢では円背(背中が丸くなった状態)などがみられることがあります。ねこ太くんの、その後の発達やお食事を応援させていただきつつ、次回の記事を楽しみにしておりますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月24日意外と多い!子どもの口臭に悩む親の声子どもの口臭に悩んでいる親は意外にも多いようです。毎日一緒に生活している親だからこそ、口臭は気付きやすいですよね。しかも、虫歯もなく毎日しっかり歯磨きもしているのに口がくさいとなると、親も心配になってしまいます。どうして子どもの口臭が発生してしまうのでしょうか。まずは、子どもの口臭の原因を知る必要があるようです。子どもの口臭が気になります。何か良い方法はないでしょうか?小学5年生の息子ですが、かみあわせが悪いせいかいつも口があいています。寝るときだけかみあわせの矯正をしています。歳なんですが最近口臭が気になります。今日保育園である先生にも口くさいと言われたみたいで…子どもは気にしてないみたいですが私が気になってショックで(;_;)子どもの口臭について。本気でにおいます。6歳(年長組)の娘の口臭がひどくて悩んでます…。1年半ほど前から気になりだし、歯磨き、口臭予防グッズ、小児科、歯科で相談などいろいろ試してみましたが、全然効果なしです。子どもの口臭の原因虫歯や歯磨き不足虫歯は菌によるものなので、虫歯ができてしまうとにおいが発生します。虫歯は歯や歯肉が炎症を起こして強い口臭となって発生するため、子どもの虫歯や歯磨きが上手にできていないことで口臭となっている可能性があります。また、歯磨き不足で食べ物が歯に詰まったままの状態になるとにおいが強くなりやすいです。口呼吸により口が乾燥するため普段から口呼吸をしている子どもは口の中が乾燥し雑菌が繁殖しやすい状態となっています。唾液には殺菌作用や口の汚れを流れ落とす働きがあるため雑菌の繁殖を防ぐ役割を果たしているのですが、口呼吸により口内が乾燥すると唾液の作用もなくなり雑菌が増えやすくなります。その結果、口臭となって口から嫌なにおいを発します。また、口の中が乾燥していることで虫歯ができやすいという悪循環も引き起こすのです。鼻炎やアレルギーによるもの鼻炎やアレルギーにより、鼻や喉に炎症を起こすことで鼻の奥に膿がたまることがあります。この膿自体が直接の口臭の原因となるほか、膿がたまることで鼻呼吸ができなくなり自然と口呼吸をしてしまいます。そうすると口呼吸により口内の乾燥が進み口臭を発生する原因となっています。風邪や胃腸が弱っている子どもの口のにおいで風邪かなと感じることがありますが、免疫力が低下していると雑菌が繁殖しやすいため、喉の痛みや発熱は口臭の原因となります。また、胃腸が弱っていると悪玉菌が増え悪臭を発します。その悪臭が血管を通って体臭や呼気に混ざり口臭となるのです。ストレス子どもにもストレスを感じることがあります。ストレスを感じると緊張状態となり、緊張することで唾液の分泌が低下するといわれています。このような体調の変化は口内環境を悪化させることとなり、結果として口臭につながります。食べ物が原因ニラやにんにく、ネギといった強いにおいを発する食材を食べたことにより、口臭が気になる場合があります。これは子どもだけでなく大人にもいえることです。子どもだけがにおうのか、食べたものにより口臭が原因なのかにより、子どもの体調が悪いかどうかの見極めになります。子どもの口臭、どう対処する?仕上げ磨きを忘れずに子どもの口臭の原因ともなる虫歯や歯磨き不足に対しては、しっかり親が最後の仕上げをしてあげましょう。歯の表面が溶ける時間をできるだけ減らすよう、だらだら時間をかけて食べるのはNGです。歯医者さんへ行って正しい歯の磨き方を親子で教えてもらうのも子どもの口臭対策になります。鼻呼吸に転換させるトレーニングをしよう口呼吸の子どもは、鼻づまりが原因となっている可能性もありますが、その他にも口の周りや舌の筋肉が発達不足により口呼吸となっている場合もあります。まずは、鼻呼吸へ転換させるためのトレーニングが必要となります。口の周りの筋肉を鍛えるために口を大きく開けてから小さくすぼめる動きを繰り返したり、ガムを1日3回、計1時間口を閉じて噛み続けたりするのもトレーニングになります。このとき、ガムは砂糖なしのキシリトールガムを選ぶと良いでしょう。必要ならば耳鼻科やアレルギー科の受診を鼻炎やアレルギーによる口臭はなかなか自然と直すのが難しいところもあります。そのためには耳鼻科やアレルギー科を受診し、どのように改善していくか相談することが大切です。食物繊維豊富な食事で腸内環境を改善風邪や胃腸が弱っているときには、十分な休養と免疫力を上げる必要があります。しっかり水分補給をすることや、腸内環境改善のため食物繊維豊富な食事を取り入れることが大切です。また、便秘の場合は特に口臭が出やすいため、お腹の調子を整える必要があります。食べ物の場合は一時的なので気にせずににおいがきつい食べ物を食べたことが口臭の原因となっている場合は、一時的なものであるためガムを噛むなどして気にしないようにしましょう。逆に、口臭が長く続く場合は食べ物以外の原因が考えられるため、ほかに考えられる原因を見つけて改善する必要があります。子どもの口臭の原因から受診する病院を決めよう子どもの口臭の原因はさまざまあることがわかりましたね。病気が原因で口臭が発生している場合は、病院の受診が必要となる可能性があります。風邪や胃腸なら小児科、鼻炎やアレルギーは耳鼻科やアレルギー科、または状況により呼吸器科の受診となることもあります。まずは、子どもの口臭の原因を突き止めてその原因に合った対策をしてみてください。もし、対策をしても改善されない場合は病院に相談しましょう。受診する科に迷った場合は、病院へ行く前に電話で問い合わせてみると安心でしょう。子どもの口臭が気になったら、早急に対策を子どもも気にしていないように見えて、実は口臭に気付いて落ち込んでいるかもしれません。周りのお友達に「口がくさい」と言われ悲しい思いをしてしまうかもしれません。そうなる前に、子どもの口臭に気付いたら早急に対処してあげてください。また、ママが子どもに口がくさいことを指摘するときの言い方にも注意が必要です。子どもだから気にしないだろうと思わず、子どもが気にならないよう傷つかない言い回しで伝えてあげることも大切です。
2023年10月04日子宮筋腫の原因と症状子宮筋腫は、子宮を形成する筋肉の細胞が異常に増殖してできる腫瘍です。女性にとっては身近な病気で、成人女性の4~5人に1人がかかっているとされています。筋腫は発生する場所によって3つの種類にわけられます。「筋層内筋腫」は子宮の筋肉の中にできる筋腫で、大きくなると子宮内膜に影響して子宮の収縮をさまたげます。「漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)」は子宮の表面をおおう漿膜(しょうまく)の下にできて、子宮の外側に飛び出すように成長します。「粘膜下筋腫」は子宮内膜のすぐ下に発生し、子宮の内側に向かって発育します。筋腫は複数の種類が同時にいくつもできることが多く、大きさも米粒ほどのものからメロン大のものまでさまざまです。子宮筋腫の原因子宮筋腫ができる原因は判明していませんが、女性ホルモンのエストロゲンが子宮筋腫の発生や成長に影響しているといわれています。そのため、エストロゲンの分泌がさかんな30代以上に多くみられ、閉経後は腫瘍が小さくなります。子宮筋腫の症状症状は筋腫の種類や大きさによってさまざまですが、主なものは、生理の量が多くなる過多月経や、生理の期間が長引く過長月経、不正出血、生理痛、貧血です。また、筋腫が卵管を圧迫したり、子宮を変形させたりすることで、不妊の原因になることもあります。粘膜下筋腫は筋腫が小さくても症状が強くでやすい一方、筋層内筋腫と漿膜下筋腫は大きくなっても自覚症状がまったくないことも珍しくありません。子宮筋腫の治療法子宮筋腫は良性の腫瘍で、命を脅かすものではないため、基本的には治療を行わないで「経過観察」とします。しかし、症状が強くでている場合や筋腫が急速に大きくなっている場合には「手術療法」や「ホルモン療法」を検討します。手術療法手術療法には、子宮を全部取り除く「単純子宮全摘術」と、筋腫部分だけを取り除く「筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)」があります。子宮筋腫を完全に治し、再発を防ぐには単純子宮全摘術を選びますが、子宮を残さないため妊娠が望めなくなります。一方、将来妊娠を望んでいて、子宮筋腫が不妊の原因になっていると考えられる場合には、筋腫核出術を選択します。しかし、筋腫核出術での治療は将来再発するリスクがあります。ホルモン療法ホルモン療法は、Gn-RHアゴニストというホルモン剤を使ってエストロゲンの分泌を抑える療法です。ホルモン剤により閉経の状態になり、それに伴い筋腫が小さくなります。更年期障害のような副作用と骨粗しょう症になりやすくなるリスクがあるため、6ヶ月以上は治療できません。また、ホルモン剤の投与をやめると筋腫の大きさが元に戻ってしまいます。そのため、ホルモン療法は手術前の準備として筋腫を少しでも小さくしたいときに行うことが多いです。対症療法筋腫そのものを治療する手術療法やホルモン療法とは別に、子宮筋腫によって起こる症状を薬で改善する対症療法を行うことがあります。対症療法で使われるのは、鎮痛剤や増血剤のほか、漢方薬や経口避妊薬のピルです。手術が必要なほど症状が強くない場合や、筋腫が小さい場合に、対症療法で様子をみることが多いようです。ピルの子宮筋腫への効果は?ピルは一般的には避妊薬として知られていますが、女性ホルモンのバランスを整え、生理周期を安定させる働きがあることから、子宮筋腫の症状の改善に使われることがあります。ピルで改善が期待できる症状は、過多月経や過長月経のほか、生理痛、貧血といった月経困難症の症状です。子宮筋腫に効く仕組みは?ピルはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンに似た成分が含まれています。ピルを服用すると血中のホルモン濃度が上がり、その情報が脳の視床下部に伝えられます。視床下部は排卵後のホルモン状態だと勘違いを起こし、本来卵巣から分泌されているエストロゲンとプロゲステロンの分泌を抑制します。すると、子宮内膜が厚くならないため、生理として剥がれ落ちる子宮内膜が減り、経血の量や生理痛が軽減されます。ピル服用中も定期的な検査をピルは対症療法のため、痛みや経血が減ったからといって、子宮筋腫がなくなったり小さくなったりするわけではありません。ピルを服用しているあいだも定期的に検査を受け、子宮筋腫の状態をチェックする必要があります。根本的に解決したい場合は手術を検討します。子宮筋腫の治療に使うピルの種類は?子宮筋腫の治療には低用量ピルピルは女性ホルモンの含有量によって「中用量ピル」と「低用量ピル」にわかれますが、子宮筋腫の症状の改善には一般的に低用量ピルが使われます。低用量ピルはエストロゲンの含有量が50μg未満で、中用量ピルと比較すると5分の1から10分の1の量と極めて少ないため、副作用も軽いです。低用量ピルはさまざまな種類がありますが、子宮筋腫の治療には、保険が適用される「ルナベル」「フリウェル」「ヤーズ」を使うのが一般的です。ルナベルルナベルは日本新薬株式会社が販売している低用量ピルで、月経困難症の治療に使われます。ホルモン含有量が異なる「ルナベル配合錠LD」と「ルナベル配合錠ULD」の2種類があります。「ルナベル配合錠ULD」は「ルナベル配合錠LD」よりエストロゲン含有量が6割少ない超低用量タイプで、副作用がより軽くなっています。フリウェル「フリウェル配合錠LD」は「ルナベル配合錠LD」の後発薬品(ジェネリック)として持田薬品株式会社から発売されました。成分は「ルナベル配合錠LD」と同じです。ヤーズ「ヤーズ」は、バイエル薬品株式会社が月経困難症の軽減を目的に発売した、超低用量タイプのピルです。従来の低用量ピルよりもエストロゲンの量がさらに少ないほか、体内で自然に生成されるプロゲステロンの働きにかなり近い、合成プロゲステロンが含まれています。そのため、副作用がでにくいとされています。2017年4月には「ヤーズフレックス」が発売されました。成分はヤーズとまったく同じですが、定期的な休薬期間が必要なく、国内で初めて連続投与が可能となりました。ピルの服用方法ピルの服用を始めるタイミングは?ピルの服用開始時期は、避妊が目的ならば生理1日目が一般的ですが、子宮筋腫の症状の緩和を目的とする場合は、生理開始日に関係なく服用を始めることができます。ルナベルの服用方法ルナベルは1シートが21日分です。1日1錠を毎日一定の時刻に21日間服用し、その後7日間服用をやめます。この28日間を1周期として、次の周期の分は29日目から服用し、以後同様に繰り返します。ヤーズの服用方法ヤーズは1シート28錠で、4錠は成分が入っていない偽薬(プラセボ)です。従来の低用量ピルでは休薬期間が7日間ですが、ヤーズは4日間と短くなっています。ヤーズは1日1錠を毎日一定の時刻に28日間服用します。この28日間を1周期として、29日目から次の周期の服用を始め、以後同様に繰り返します。ヤーズフレックス配合錠は最長120日間連続で服用でき、その後4日間服用を中止します。ただし、服用25日目以降に連続3日間の出血があった場合は、その翌日から4日間休薬します。ピル治療の副作用軽度な副作用低用量ピルを飲み始めてしばらくのあいだは軽い副作用がでることがあります。ホルモンバランスの急激な変化によるもので、代表的な症状は「吐き気」「胸が張る」「不正出血」「頭痛」「むくみ」です。2~3ヶ月間服用を継続すれば、こうした症状は次第に治まるため、過度に心配する必要はありません。血栓症ピルには血液を固めやすくする働きがあるため、まれに「血栓症」を引き起こす場合があります。血栓症は血管内にできた血の塊が血管に突然詰まる病気で、脳梗塞や心筋梗塞の原因となることがあります。アナフィラキシー低用量ピルの種類によってはアナフィラキシーがあらわれることがあります。ピルを飲んだ直後に呼吸困難やじんましん、くちびるの腫れといった症状がでた場合は、アナフィラキシーの疑いがあるため、ただちに服用を中止し、病院で適切な処置を受けてください。ピル治療ができない人は?人によっては、副作用のリスクがあるため、低用量ピルが服用できません。低用量ピルが絶対に飲めない「禁忌(きんき)」となるのは、主に以下のケースになります。35歳以上でタバコを1日15本以上吸っている人血栓症のリスクが高まり、心筋梗塞などの心血管系の障害が発生しやすくなります。乳がんや子宮体がん、子宮頸がんがある人腫瘍が悪化することがあります。コレステロールや中性脂肪の値が高い人血栓症のリスクが高まります。また、ピルが脂質代謝に影響を与える可能性があり、症状が悪化することがあります。前兆のある片頭痛がある人片頭痛の人の中で、目の前に閃光が走ったようになる「閃輝暗点(せんきあんてん)」といった前兆がある人は、前兆がない人に比べて脳卒中が発生するリスクが高いとされています。ピル治療で子宮筋腫が大きくなる?子宮筋腫は、エストロゲンが筋腫の発生や成長に関わっているとされています。そのため、エストロゲンを含むピルを飲むと、筋腫が大きくなるのではないかと不安になるかもしれません。子宮筋腫の治療に使われる低用量ピルは、エストロゲンの含有量が少ないため、筋腫が大きくなることはないとされています。ただし、いつまでピルの服用を続けるかは医師とよく相談する必要があります。ピルの費用は?保険適用できる?本来、低用量ピルは保険適用外ですが、子宮筋腫に伴う月経困難症の治療薬として使う「ルナベル」「フリウェル」「ヤーズ」は保険が適用されます。ルナベルやヤーズの1シート当たりの処方の費用は、自己負担3割の場合、約2千~3千円です。後発薬品(ジェネリック)のフリウェル配合錠LDの場合は約1千~2千円となっています。子宮筋腫の治療法は慎重に検討して低用量ピルは、子宮筋腫に伴うつらい症状を和らげるのに効果的です。しかし、子宮筋腫自体を治療するものではないため、服用をやめると再び症状があらわれる可能性が高いでしょう。また、ピルの服用が子宮筋腫にどんな影響を与えるか、はっきりわかっているわけではありません。ピルはあくまでも子宮筋腫の症状を一時的に抑えるものです。子宮筋腫は閉経になるまで長期的に付き合っていく病気のため、治療法は慎重に検討しましょう。
2023年10月04日脳性麻痺とは?原因や定義など。脳性麻痺とは、妊娠中から新生児期の間になんらかの原因で生じた脳の損傷のために、姿勢や体の動きなどに運動機能の障害が引き起こされる症候群です。厚生労働省脳性麻痺研究班により、次のように定義されています。脳性麻痺とは受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく、永続的なしかし変化しうる運動及び姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する。(厚生労働省脳性麻痺研究班の定義(1968年))公益社団法人日本リハビリテーション医学会/監修『脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版』脳は、体を動かすときに筋肉へどのように動かしたらよいかなどの信号を送る役割を果たしています。そのため、脳が損傷すると、自分が思った通りに動いたり、姿勢を保ったりすることが難しくなります。脳が損傷している部位は一人ひとり異なりますので、動きや姿勢に現れる症状も一人ひとり違ってきます。脳性麻痺の原因には、さまざまな要因による脳形成不全や、胎児期における風疹やトキソプラズマ症などの感染、出産前後の低酸素状態、核黄疸(新生児期の重度の黄疸による脳の障害)などがありますが、はっきりしない場合もあります。脳性麻痺は、運動障害の性質により、「痙直型」「アテトーゼ型」「失調型」、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった「混合型」などいくつかのタイプに分けられています。このコラムでは「アテトーゼ型」について詳しく解説をします。アテトーゼ型脳性麻痺とは?アテトーゼ型は、痙直型に次いで多いタイプの脳性麻痺です。もっともよく見られる痙直型は、脳性麻痺全体の約70%を占めると言われています。主な症状は、筋肉が緊張し続けているために突っ張った状態となるこわばり(痙直)と筋力の低下です。筋肉のこわばりは、両方の手足に起こることもあれば、片側の手足、足のみに起こることもあります。次に多いアテトーゼ型は、約20%を占めると言われています。自分の意志とは関係なく体が動く不随意運動が見られるのが特徴です。この不随意運動のことをアテトーゼといいます。不随意運動は、不安に感じて緊張したときやうれしくて興奮したときなど、強い感情によって激しくなります。睡眠中には見られません。不随意運動は、自分の意志とは関係なく引き起こされますので、例えば、筋肉の緊張が高まって腕がピンと伸びるなどして姿勢を保てなかったり、全身の緊張が高まってうまくしゃべれなくなったりすることもあります。首がすわるのが遅い、寝返りをしない、おすわりができないなど、赤ちゃんが一般的にできるようになると言われている月齢を過ぎてもできないと心配になることもあると思います。しかし、発達の個人差は非常に大きいため、発達がゆっくりだからといって脳性麻痺であるとはかぎりません。赤ちゃんの段階で脳性麻痺かどうかを判断するのは、難しいのが現状です。同じような運動や姿勢の異常が見られても、必ずしも脳性麻痺ではなく、一過性の異常で、成長と共に見られなくなる場合もあります。脳性麻痺の症状として、知的障害を伴うことがあります。軽度〜重度と症例によって程度はさまざまです。アテトーゼ型脳性麻痺は言語療法を必要とすることがありますが、口の動きが思うようにできず、言葉をうまく発音できないために起こる構音障害に対して行われます。赤ちゃんの頃には、さまざまな反射と呼ばれる動きが見られます。赤ちゃんの成長のためには必要なもので、ビクッとして手を大きく広げる「モロー反射」などがよく知られています。アテトーゼ型脳性麻痺の赤ちゃんに残存しやすい反射には、「緊張性迷路反射」や「非対称性緊張性頸反射」などがあります。「緊張性迷路反射」とは、赤ちゃんの頭を前に傾けると体や手足が前に丸まり、頭を後ろに傾けると手足や体が伸びるという反応です。一方、「非対称性緊張性頸反射」とは、仰向けの姿勢で首を一方に向けると傾けたほうの手足が伸びて反対側の手足が曲がるという反応です。反射は、成長するとなくなりますが、それが残存することがアテトーゼ型の脳性麻痺のある赤ちゃんの特徴だと言えます。参考文献:飛松好子「中枢神経の障害(4)不随意運動:特に脳性麻痺アテトーゼ型について」日本義肢装具学会誌(2000年、日本義肢装具学会)脳性麻痺の原因は、妊娠中から新生児期の間に何らかの要因により引き起こされた脳の損傷です。病気ではありませんので、悪化することはありません。また、現在の医療技術では、脳の損傷した部分を直接治すことはできません。しかし、脳のほかの部分が補って、動かない体の部位の代わりに、ほかの部位が発達していくこともありますし、適切なリハビリテーションにより活動範囲を広げ、自立性を高めることはできます。リハビリテーションには、次のようなものがあります。・理学療法(PT)歩く、立つなどの運動や姿勢を改善するための運動療法や、マッサージや電気刺激で痛みを軽減する物理療法を行います。・作業療法(OT)食事や着替えなどの生活動作や仕事で使う動作などのスキルが高まるように、実際の作業を通じて訓練を行います。・言語療法(ST)話すことや聞くこと、ものを飲み込むことなどに困難がある場合、それらができるように訓練を行います。発声がうまくできるようになるために行う構音訓練も、言語療法のひとつです。このほか、関節を固定させたり歩くことを補助したりする装具を用いる装具療法があります。また、必要に応じて投薬や手術などの治療が行われることもあります。リハビリテーションは、通院だけでなく、入院でも行われます。また、病院のリハビリテーション室で行う訓練だけでなく、日常生活での環境調整が大切です。家庭や学校で日常の動作として立ったり歩いたりする機会を多く持つことが重要になってきます。参考文献:朝貝芳美「教育講座脳性麻痺時におけるリハビリテーションの実際―運動機能を中心に―」The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine(2017年、日本リハビリテーション医学会)まとめここでは、アテトーゼ型の脳性麻痺についてご紹介してきました。アテトーゼ型の脳性麻痺は、自分の意志とは関係なく手足などの体の部位が動く「不随意運動」が見られるのが特徴です。赤ちゃんの頃から運動面の発達に遅れが見られますが、発達がゆっくりだからといって、必ずしも脳性麻痺とはかぎらず、成長とともに改善する一過性のものであることもあります。赤ちゃんの発達で気になったときは、医師に相談しながら、成長を見守っていくことが大切だと言えるでしょう。また、アテトーゼ型の脳性麻痺も、ほかの脳性麻痺同様、脳の損傷による障害ですので、現在の段階では、直接治療する方法はありません。しかし、理学療法や作業療法など、姿勢や運動機能の改善を目指すリハビリテーションが行われています。症状は一人ひとり異なりますので、それぞれに合ったリハビリテーションを受け、環境調整を行うことで、日常生活での困りごとを軽減し、主体的な生活がおくれるようになっていきます。
2023年08月25日脳性麻痺の原因とは?脳性麻痺は、妊娠中、分娩中、出生時、出生後のいずれかの時期に、脳が傷つくことで生じます。脳が傷つく原因として、以下が挙げられます。・ビリルビン脳症(核黄疸):新生児黄疸で起こる病気。ビリルビンという色素が脳に損傷をもたらす・低酸素性虚血性脳症:仮死状態で生まれてきたとき、脳に酸素が行き渡らずに脳が損傷する・脳室内出血、脳室周囲白質軟化症:未熟児や早産が原因で、脳出血を起こしたり、必要な部分に血液が行き渡らずに脳が損傷するそのほかにも、・感染症(風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス感染症、ジカウイルス感染症など)・遺伝子異常による脳の形態異常・頭部外傷・髄膜炎・敗血症・重度の脱水なども原因として挙げられます。感染症はワクチンによって予防することが可能なものもあります。感染したからといって必ず脳性麻痺になる、というわけではありません。また、脳性麻痺は原因を特定することが難しい場合も多くあります。脳性麻痺の症状とは?脳性麻痺の発生率は、1000人に約2人の割合ということが明らかになっています。脳の損傷部分や程度は人によって異なるため、ひとことで「脳性麻痺」といっても、症状はさまざまです。動きにぎこちなさがみられるぐらいの人もいれば、四肢をまったく動かせないという人もいます。ここでは症状による分類を紹介します。大脳で運動神経を司る錐体路系という場所が傷つくことで生じるタイプで、脳性麻痺がある子どもの70%以上が痙直型です。おもな症状は筋肉のこわばり(痙直)です。体のさまざまな部分の筋肉が緊張しつづけ、突っ張った状態になっています。症状があらわれる部位は以下です。・両腕と両脚(四肢麻痺)・両脚(両麻痺)・片側の腕と脚(片麻痺)・両脚と下半身(対麻痺)症状が出ている部位は、筋力が低下したり、高い緊張状態が続くために、望ましくない姿勢に変形してしまうことがあります。また、こわばりが出ているために、脚を交差して歩くハサミ足歩行やつま先立ち歩行をすることもあります。四肢麻痺がある場合、けいれん発作や嚥下障害、知的障害もみられることがあります。両麻痺、片麻痺、対麻痺の場合は、知的障害はあまりみられません。大脳の奥深くにある大脳基底核という場所が傷つくことで生じるタイプで、脳性麻痺のある子どもの約20%がアテトーゼ型です。体の筋肉が自分の意思とは関係なく動いてしまうこと(不随意運動)が特徴で、筋肉の緊張が突然変わったり、左右の筋肉で緊張度が違ったりするため、姿勢を保つのが難しくなります。心理状態により、筋肉の緊張度合いが高くなります。知的障害はあまりみられませんが、言葉をはっきり話すのが難しいことがよくあります。筋肉が適度な緊張状態を保てないことを低緊張といいます。低緊張があると、首や腰の座りや立つ、歩くなど運動発達に遅れがみられます。筋肉の緊張度をコントロールする、脳の神経に関わる部分が、なんらかの原因で傷ついたことで起こると考えられています。肩や肘などの関節や、股関節まわりの筋肉の緊張も弱いため、腕を持って起こそうとしたり、無理に立たせたりしようすると、脱臼してしまうことがあるので、注意が必要です。小脳、または小脳に通じる神経の通り道が傷つくことで生じるタイプで、四肢麻痺や震えがあります。正常な筋緊張と低緊張をくり返すため体のバランスがとりにくく、歩けるようになっても転びやすいという特徴もあります。そのほか、これらのタイプのいくつかが組み合わさった混合型もあります。混合型でもっとも多いのは、アテトーゼ型と痙直型の組み合わせです。脳性麻痺の治療や合併症について傷ついた脳の部分を修復する薬や手術は、今のところありません。そのため、脳性麻痺を完治させることはできないといわれています。しかし、脳はさまざまな神経細胞が複雑に絡み合い、互いに影響しあって働いています。そのため脳の傷ついた部分は、傷ついていないほかの部分がカバーすることで、いろいろなことができるようになる可能性があります。そのために大切なのが、リハビリや療育です。専門機関と連携しながらリハビリを行うことで、運動や言語などの能力を高めることができます。リハビリには、PT、OT、STの3種類があります。・PT=理学療法生活するうえでの基本的な運動能力を回復、維持するために行います。前述しましたが、脳性麻痺は基本的に運動麻痺の障害なので、PTは必須です。脳性麻痺があると、手足をはじめとした体の部位をうまく動かすことができません。無理やり動かしたりすると、関節や筋肉が傷つくことがあるので注意が必要です。PTでは、正しい体の使い方を介助しながら実行し、粗大運動の改善、関節の動きの制限がこないように予防していきます。・OT=作業療法PTで体の動かし方を覚えたら、それを日常生活で必要な動作に活かしましょう。それを教えてくれるのがOTです。衣服を着る、脱ぐ、食事のときにカトラリーを持つ、入浴のときに体を洗う、などの具体的な動作を、子どもがどうやったらやりやすいか、環境を整えながら援助します。ときに子どもの能力にあった食器やおもちゃなど、道具の制作なども行います。・ST=言語聴覚療法コミュニケーション手段としてとても有効な言葉の理解、獲得を援助するのがSTです。ただし、脳性麻痺の子どもは口腔器官の運動麻痺のことがあるので、まずは食べ物をかんだり(咀嚼)、飲み込んだり(嚥下)するための機能を改善することから始めます。そのため、OTと連携して食事のときの姿勢保持や、食事の形態、種類、食器類の選択も指導します。脳性麻痺には運動障害が主な症状として認められますが、知的障害やてんかんなどの合併症を伴うこともあります。知的障害の程度は、軽度〜重度と症例によって程度はさまざまです。脳性麻痺が疑われた際には、合併症についても主治医に相談することをおすすめします。脳性麻痺の症状はさまざまです脳性麻痺は、妊娠中から出産後4週までの間に、脳が損傷したことによる後遺症です。おもに運動機能に影響があり、発達の遅れがみられます。運動だけでなく、知的障害やてんかんがあることもしばしばあります。現時点で傷ついた部分を完全に治す方法はありませんが、早いうちから医療機関やリハビリの専門家、教育機関などと連携していくことが大切になります。
2023年08月21日漢方薬の「抑肝散」とは?神経発達症(発達障害)のある子どもにも処方される?自閉スペクトラム症には、イライラや過敏、癇癪など、その特性から生じる症状があります。これらを抑えるためには、環境を調整することが大切ですが、それでも難しい場合には、薬が用いられることがあります。抑肝散の「肝」は「怒り」を意味します。このことからも想像できるように、抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。抑肝散は、神経が高ぶりやイライラを伴う不眠症、子どもの夜泣き、神経過敏などの精神症状に対して処方されます。筋肉の緊張を緩める働きもあるため、けいれんや手足の震え、ひきつけなどへの適応もあります。また、抑肝散によく似た名前の漢方薬に、「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」があります。これは、抑肝散にチンピ(陳皮)とハンゲ(半夏)という成分を加えたもので、胃腸にやさしく、長期服用しやすいのが特徴です。抑肝散の特徴、効能、効果抑肝散は、複数の漢方の生薬を配合した漢方薬です。ブクリョウ、ビャクジュツ(またはソウジュツ)、センキュウ、チョウトウコウ、トウキ、サイコ、カンゾウが配合されています。「抑肝散加陳皮半夏」は、これにハンゲを加えたものです。抑肝散には神経の高ぶりなどを抑えて、筋肉の「つっぱり」「こわばり」などを緩める効果があります。それにより心と体の状態を良いものにしていきます。・イライラ感・不眠などの精神神経症状・手足のふるえ、けいれん・子どもの夜なき、ひきつけ「疳」が強いと言われる子どもに用いられることが多く、腹直筋が緊張していることも使用の目安となります。抑肝散は乳幼児や子ども向けの漢方薬となりますが、神経症、不眠症、さらには認知症や統合失調症、躁うつ病、てんかん、パーキンソン病など、さまざまな精神・神経疾患の補助薬として処方されています。抑肝散を服用すると、脳内の神経伝達物質であるグルタミン酸の働きが抑えられるため、神経を落ち着かせてくれます。セロトニン受容体への作用もあり、攻撃行動や不安を改善して心身を穏やかな状態にします。また、サイコには熱や炎症をさまし、腹直筋など筋肉の緊張をゆるめる作用が、カンゾウには筋肉の緊張を緩める作用があります。このように、本来は神経痛や不眠症、子どもの夜泣きなどの改善に用いられていました。しかし、現在では怒りっぽい、興奮しやすいといった認知症の周辺症状への改善効果があることが認められており、認知症に対しても処方されています。抑肝散の用法、容量は?病院で処方してもらえるの?抑肝散は、市販薬として販売されているので薬局で購入できますが、病院でも処方されます。通常、成人ですと1日分の7.5gを2~3回に分けて経口服用します。年齢や体重、症状により適宜増減が必要です。薬の形状は、錠剤、顆粒、内服液があります。飲むタイミングは、食前と食間が基本です。抑肝散に限らず、漢方薬は、食前か食間に服用します。食事の約30分前や空腹時に飲むようにしましょう。しかし、空腹時に胃もたれなどの症状が起こるようでしたら、飲むタイミングを医師や薬剤師に相談し、タイミングを変えるとよいでしょう。一般的に漢方薬の服用量は、成人と比較して、・7歳以上15歳未満:3分の2・4歳以上7歳未満は2分の1・2歳以上4歳未満は3分の1・2歳未満で4分の1以下と規定されています。年齢のほか、体重から量を換算する場合があります。また、病院で処方される場合は、症状や経過を見て量を調整することもあります。自分で増減せず、医師に相談しましょう。また、漢方薬独特の匂いや苦みがありますので、感覚過敏のある自閉スペクトラム症の子どもの場合、長期服用が困難なことがあります。感覚過敏でなくても、子どもにとっては飲みにくい匂いや臭みがあるので、飲み方に工夫が必要です。次のような方法をためすとよいでしょう。・細かくつぶしてココアや溶かしたチョコレートにまぜる・1歳以上ならはちみつに混ぜる(1歳未満の子どもは、「乳児はちみつボツリヌス症」)を発症する恐れがあるため、摂取することはできません)・薬を飲むためのゼリーオブラートに包んで飲む・水に溶かして製氷機で凍らせてから口にふくむ・アイスに混ぜ込んで食べる抑肝散に副作用はあるの?副作用としては、発疹などの過敏症や、食欲不振・胃部不快感・吐き気といった消化器の症状、倦怠感などがあらわれることもあります。重い副作用はまれにしかないと言われていますが、配合されているカンゾウ(甘草)を大量に服用すると、むくみや血圧上昇などの副反応が起きる(偽アルドステロン症)場合があります。カンゾウはほかの漢方薬にも配合されていますので、複数の漢方薬を服用している場合も、注意が必要です。重大な副作用としては、「偽アルドステロン症」のほか、次の4つが挙げられます。・心不全(息苦しさ、動悸、疲れやすいなど)・横紋筋融解症(手足のしびれ、痙攣、力が入らないなど)・間質性肺炎(から咳、息苦しさなど)・肝臓の重い症状(怠さ、食欲不振、吐き気、発熱など)これらの重い副作用は、頻度は高くありませんが、万が一、体の不調を感じたり、このような副作用の恐れがあると感じたりしたときは、服用をすぐに中止して医師や薬剤師に相談しましょう。抑肝散はどのくらいで効果が表れる?即効性が期待できる漢方薬ではありませんので、ある程度の効果が実感できるまでには時間を要します。そのため、2~3ヶ月は継続的に服用するのがよいとされています。しかし、1ヶ月ほど服用しても症状がよくならないときは、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。抑肝散は自閉症スペクトラム症をはじめとした神経発達症の症状の改善に処方されますここでは、子どもの癇癪やイライラ、過敏などの症状にも効果がある漢方薬、抑肝散についてご紹介してきました。自閉スペクトラム症を根本的に治療する薬はありませんが、その特性からあらわれる癇癪やイライラなど、情緒面や行動面の症状をやわらげることはできます。漢方薬である抑肝散の服用もその1つです。抑肝散の歴史は古く、今から500年以上も前の中国の古典には「母子同服」といって、母子が同時に抑肝散を服用することで母子ともに気の高まりを鎮める効果があると記載されています。また、自閉スペクトラム症をはじめとする神経発達症の症状の改善には、環境の調整や、声かけの仕方・関わり方を変えるなどの取り組みもとても大切です。薬の服用と併せてほかの取り組みも行うことが大切だと言えるでしょう。漢方薬は、年齢や体重、症状によって服用する量を調整したり、服用する期間を決めたりします。効果がある薬には、副作用もつきものです。医師や薬剤師に相談し、一人ひとりに合わせて用いるようにしましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月30日思春期のころから生理不順に悩まされていたママぺいさん。ある日婦人科のクリニックを受診すると、医師から「多嚢胞性卵巣症候群」の診断を受けることに。仕事が一段落した際に、通いやすくて本格的な治療を受けられるクリニックを探し、受診することを決意するのですが、検査の段階で想像を絶する痛みに早くも限界を感じてしまったのでした。後日、検査結果を聞きにクリニックを受診したママぺいさん。医師によると、「右の卵管は疎通確認ができたものの、左の卵管は確認ができなかった」とのことでした。さらに医師からは、「この日は筋肉注射を打って、期間内にタイミング療法を取った結果次第で再検査をしましょう」と告げられ、さっそく筋肉注射を打つことに。しかし、注射の痛みによる迷走神経反射を起こし、ママぺいさんは急にバタンと倒れてしまったのでした。その後、ママぺいさんは無事に回復! 後日、妊娠検査薬を確認する日になったのでトイレで妊娠チェックをすると、結果は陽性! クリニックでも調べてもらうと、「おめでとうございます」と言葉をかけられたのでした。 諸々の検査を受け、紹介状を手渡されると、妊娠生活がスタートしたのですが……? 妊娠してすぐ、新型コロナウィルスが猛威を振るい始めて… ママぺいさんが妊娠したタイミングと同時にコロナ禍に突入したことで、ママぺいさんの職場も在宅ワークに切り替わることに。 (ちょっと早いけど上司には妊娠を伝えておこう……) 上司を呼び止めて妊娠を報告したママぺいさん。 「妊娠で免疫下がるんで、リモートになるのは助かりますわ」 「あ、でもリモートは臨時対応だからそんなに長くないかも。でも母健連絡カードってのを病院から出してもらえたら延長できそうだけど……」 その言葉を聞き、さっそく紹介状を書いたもらった産婦人科を受診することに。 医師に母健連絡カードを書いてもらい、出産までの間、ママぺいさんは在宅ワーク勤務となったのでした。 上司の説明で「母健連絡カード」の存在を知ったママぺいさん。医師や会社の配慮もあって、出産するまで家で仕事ができるということになり、よかったですね。妊娠してから体のだるさやつわりなどがつらそうだったので、家で仕事ができるというのは、かなり助かったのではないでしょうか。監修/助産師 松田玲子著者:マンガ家・イラストレーター ママぺい2020年生まれの男の子のママです!関西在住です。インスタグラムで、私(ママぺい)、夫(パパぽん)、息子(子ぽん)の日常のお絵描きを更新してます!
2023年06月28日思春期のころから生理不順に悩まされていたママぺいさん。ある日婦人科のクリニックを受診すると、医師から「多嚢胞性卵巣症候群」の診断を受けることに。仕事が一段落した際に、通いやすくて本格的な治療を受けられるクリニックを改めて探し、受診することを決意するのですが、検査の段階で想像を絶する痛みに早くも限界を感じてしまったのでした。後日、検査結果を聞きにクリニックを受診したママぺいさん。医師によると、「右の卵管は疎通確認ができたものの、左の卵管は確認ができなかった」とのことでした。さらに医師からは、「この日は筋肉注射を打って、期間内にタイミング療法を取った結果次第で再検査をしましょう」と告げられ、さっそく筋肉注射を打つことに。しかし、注射を打ち終わってからしばらくすると、注射の痛みによって迷走神経反射を起こし、ママぺいさんは急にバタンと倒れてしまったのでした。※迷走神経反射は、睡眠不足や疲れているとき、痛みや緊張などの精神的ストレスを感じたときなどに起こりやすくなります。通常、頭がふらふらしたり、吐き気、発汗などの症状を伴い、意識を失うことも。横になって休むことなどで治りますが、転倒により怪我をしてしまわないよう注意が必要です。 そして後日、妊娠検査薬を確認する日になりました。さっそくトイレで確認してみたのですが……? 「期待せんとこう」ドキドキしながら検査薬を確認すると!? (※1):卵管造影検査の結果、右の卵管は疎通確認ができたものの、左の卵管はそれが確認できませんでした。しかし、左の卵巣で卵胞が育っていたため、排卵を促す筋肉注射をし、タイミング療法をすることで経過をみることに。うまく排卵するかどうかがわからなかったため、このように発言しています。 (妊娠検査で確認する日か。緊張ー……。期待せんとこうー……) いざトイレで確認すると、結果は陽性だったのです! ママぺいさんはさっそくクリニックを受診し、そこでも検査を受けると……。 「おめでとうございます! 妊娠されていますよ!」 (間違いないんだー!) 医師の言葉に思わずホッとするママぺいさん。 次の段階の心拍検査を受けて問題がないことがわかると、出産できる病院に紹介状を書いてもらうことに。 出産への不安があったママぺいさんは、無痛分娩ついて調べてみるのですが、想像していたよりも金額が高く、驚いてしまいます。 そしていろいろと調べて迷いながらも、無痛分娩はあきらめてニコニコ産婦人科を選択。 「ではニコニコ産婦人科の紹介状です。無事に出産できたらまたご連絡くださいね!」 お世話になったクリニックの医師からそう言われると、ママぺいさんは紹介状を受け取ったのでした。 無痛分娩希望だったものの、総合的な判断でニコニコ産婦人科を選んだママぺいさん。妊娠自体は喜ばしいことではありますが、コロナ禍という先行きが不透明な状況を考えると、妊婦さんの不安や恐怖は大きかったことかと思います。このような状況下での出産になりますが、頑張って乗り越えてほしいです。監修/助産師 松田玲子著者:マンガ家・イラストレーター ママぺい2020年生まれの男の子のママです!関西在住です。インスタグラムで、私(ママぺい)、夫(パパぽん)、息子(子ぽん)の日常のお絵描きを更新してます!
2023年06月27日思春期のころから生理不順に悩まされていたママぺいさん。ある日婦人科のクリニックを受診すると、医師から「多嚢胞性卵巣症候群」の診断を受けることに。「妊娠を希望されるなら、本格的に治療しましょう」と言われたことから一時的にクリニックに通うことになったのですが、職場から遠かったこともあり、いつしか足が遠のくように……。しかし、仕事が一段落したタイミングで本格的なクリニックで治療を受けようと決意し、さっそく通いやすい職場近くのクリニックを探して受診。医師から検査について詳しく説明を受けると、「妊娠確率がアップするなら!!」と気合を入れて検査に臨むことに。ところが、いざ検査が始まると、あまりの痛さに目の前は真っ白になってしまいます。痛みに耐え、なんとか最後まで検査を受け終わったのですが、「先が思いやられる」と絶望感を抱いてしまったママぺいさん。 後日、検査の結果を聞くためにクリニックを受診したのですが……? 医師から先日受けた検査の結果を説明されて… 医師は検査結果の説明をし終えると、「今回のタイミング療法が残念な結果だったら、子宮鏡検査で再検査しましょう」と提案します。 「ちなみに今回の卵子は左が育ってます!今日は排卵を促す筋肉注射をして帰って、この期間にタイミングとってください」 注射という言葉に反応したママペイさんは、「注射をされると倒れちゃうので、横になれますか?」と要望を伝えます。 「それならお尻にしましょう」 さっそくお尻に筋肉注射を打つため、うつ伏せになったママぺいさん。 しかし、お尻にチクッと注射を打たれると……。 (痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い) あまりの痛みに、思わず目からは涙が! なんとか痛みに耐え、受付で会計を済ませて、トボトボと歩き出したママぺいさん。 すると、次第に視界がぼやけていき、思わずバタンと倒れてしまったのです。 なんとかクリニックまで戻ることができたものの、ママぺいさんの顔色は真っ白に……! (私、出産乗り切れる気がしませぇぇん) 検査や治療と、次から次へと続く痛みに不安でいっぱいになってしまうのでした。 倒れたあと、ママぺいさんはなんとかクリニックまで戻れたようですが、倒れた際に頭を打つなどのトラブルがなくてよかったです。迷走神経反射は、睡眠不足や疲れているとき、痛みや緊張などの精神的ストレスを感じたときなどに起こりやすくなります。通常、頭がふらふらしたり、吐き気、発汗などの症状を伴い、意識を失うことも。横になって休むことなどで治りますが、転倒により怪我をしてしまわないよう注意が必要です。監修/助産師 松田玲子著者:マンガ家・イラストレーター ママぺい2020年生まれの男の子のママです!関西在住です。インスタグラムで、私(ママぺい)、夫(パパぽん)、息子(子ぽん)の日常のお絵描きを更新してます!
2023年06月26日姿勢維持のサポートグッズを試すもうまくいかず…ゆきみ(以下、ーー):小学2年生、自閉スペクトラム症のある長男けんとは、姿勢維持が苦手。食事のときは、まっすぐな姿勢で食べていられることが多いのですが、それ以外のときは椅子に座ると姿勢が悪くなってしまいます。特別支援学級での授業を見学させていただくと、机に伏せてしまったり、座面に膝をのせてエビぞりのような姿勢をとったり、あぐらをかいたり…と、まっすぐに座れている時間がとても少なかったのです。通っている学校の交流級での授業は、姿勢維持を大事にされているようで、サポートをしてくださる先生が、2~3分間に1回くらいの頻度で姿勢を正していました。Upload By ゆきみ学校から「姿勢の維持が難しいです」と何度も指摘があり、インターネットや本で調べて、いくつかのサポートグッズや対策方法を試してみました。骨盤サポートクッションを購入したり、椅子の足に「踏む感覚」を得られるゴムひものようなものを張ってみたり、小さなツブツブのついたバランスクッションを敷いてみたりしました。今もそれらを愛用していますが、それでも姿勢を維持するのが難しい現状です。さらに何かやれることはあると思いますか?何をどうしたらいいのか、もう分かりません。Upload By ゆきみ100%ではなくても…まずは環境調整をしてみましょう野田先生:すでにいろいろ試されたようなので、一周まわっている前提でお答えさせていただきます。姿勢が崩れやすい理由や背景はさまざまです。例えば、・人間には筋肉の緊張をとらえるセンサーがあり、ある程度、適切な筋肉の張りを自動的に保てるようになっているのですが、張りを保つのに努力が必要で、疲れやすい人がいる。・感覚的に姿勢が崩れていることに気づきにくい人がいる。・椅子と机の高さがあっていないなど、適切な大きさや形の道具を使えていない場合がある。・学習レベルが合っていない場合がある。難しくて分からない、つまらない、だと姿勢を保ちにくい。・多動性や衝動性が高く、じっとしているのが難しかったり、ちょっとした刺激で動いてしまったりする。など。姿勢が崩れることにはお子さまなりの理由があることを理解し、対応方法を考えることが大切です。アプローチの方法としては…・椅子や机の高さが身体に合っているか、確認する。・環境調整という意味でいうと、椅子に滑り止めシートを敷くと、頑張らなくても腰が椅子の前の方に滑りにくくなり、姿勢維持が楽になることがある。(クッションを使用する場合、クッションが滑るようならクッションの下に敷き、身体が滑るようならクッションの上に敷く)・感覚を求める傾向がある場合、足元に人工芝などの感覚刺激を入れられるものを置いてみると、感覚が入り落ち着く子どももいる。・合理的に立ってもいい時間をつくる。例えば授業中、答案用紙を教室の後ろや廊下に貼り、答え合わせをしに席を立つ時間をあえてつくることで、立つことへの感覚を満たすことができるのです。ほかにも、机上の勉強の前にトランポリンなどで5分ほど身体を動かすと、椅子に座れる時間が長くなるお子さんもいらっしゃいます。Upload By ゆきみ環境調整によって、無理のない形で座れる状況をつくり、適応的な形で身体を動かせる機会や環境をつくることが大切です。100%ではなくても、うまく場面を選んで姿勢を変えられればいいですね。すぐにできるように、というより…ーー:低緊張などで姿勢を維持するのが苦手な方は、今後もずっとこのままなのですか?野田先生:もともと筋肉の張りが緩めという可能性もありますが、「思春期に入り身体が大きくなって筋肉がついた」、「スポーツを始めた」など、身体の発達、経験でも変わってきますので必ずしも現状から変わらないわけではありません。Upload By ゆきみーー:身体を動かすことが大切なんですね?野田先生:手押し相撲、つなひき、手押し車、座りながらキャッチボール、マットを登るなどの遊びの中で体幹を使う場面を増やしてあげると、支えがしっかりしてくる可能性もあります。ただし、姿勢を保つための身体の変化には時間がかかります。「すぐにできるように」というよりも、特性を理解したうえで、「将来的には身体の成長やスポーツの経験などで少しずつ身体が変化することで、もしかしたら今よりも楽に姿勢維持ができるようになるかもしれない」と頭に入れながら、今は環境調整や遊びなどできるところから取り組まれたらいいと思います。ーー:ごはんのときだけ姿勢が崩れにくいのは理由があるのでしょうか?野田先生:活動の種類に応じたモチベーションの違いが関連しているのかもしれませんね。また、人は自然とその人にとっての合理的な動作や姿勢をとることが多いです。けんとさんの場合、ごはんを食べるときの道具の使い方や口にもってくる動作が、姿勢を保つことにフィットしているのかもしれませんね。対談を終えて対談後、家では滑り止めシートを試してみました。様子を見ていると骨盤サポートクッションからお尻がずり落ちている印象だったので、上側に敷くことに。以前よりズリズリ前にいかなくなり、姿勢をまっすぐできる時間が長くなった気がします。ほかにも身体を動かしてから勉強をしてみたり、途中で身体を動かす時間をつくるようにしています。最近、自ら椅子の前にバランスボールを持ってきて、足をのせてビョンビョンさせているときがあります。もしかしたら好みの感覚なのかもしれません。Upload By ゆきみけんとは人の話を聞くことが苦手です。学校の授業では「聞く」ことが多く、モチベーションを保つことが難しいのかなと思います。最近はテストのときや、書写で字をキレイに書く場面では、自ら姿勢をキレイにしてやり始めることがあるそうなので、持久力はないけれど「やらないといけないときはやる」と思うようになってきたのかもしれません。身体の使い方を遊びの中で身につけていくことで、天気がいい日はアスレチックのある公園へ行くようにしています。先生からの教えを胸に、「すぐできるように」というより、「いつかできるように…」という気持ちでやっていこうと思います。執筆/ゆきみコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月26日もうすぐ夏本番を迎え、注意しなくてはいけないのが熱中症です。最悪の場合、命を落とす危険性のある熱中症ですが、どのような対策をすることで防ぐことができるのでしょうか?JFA医学委員会の「スポーツ救命部会」の部会員で、東京オリンピックサッカー男子日本代表チームドクター、いわきFCのチームドクターとしても活動する福島理文先生(順天堂大学循環器内科准教授)に、「熱中症対策」について話をうかがいました。夏に屋外で活動するサッカー関係者、必読の内容です。(取材・文鈴木智之)<<関連記事:【梅雨時期も要注意】気温30度以下でもなる熱中症-知って防ぐ熱中症の正しい知識-サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■熱中症の症状熱中症とは、高温や湿度の高い環境に長時間いることで、体内の熱を外に逃がす調節機能が働かなくなった結果、体の熱が上がりすぎたり、体温が調節できなくなる状態を言います。熱中症の症状としては、以下のような症状が起きます。・めまい・吐き気・頭痛・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の汗・倦怠感(だるさ)・虚脱感(無気力になること)進行すると意識障害やけいれん、手足の運動障害などが起きます。なかでも気をつけたいのが、子どもの熱中症です。福島先生は「運動中の熱中症の多くが、10代の子どもたちなんです」と注意を呼びかけます。「サッカーの会場で熱中症になり、頭痛を訴える子やピッチで吐いてしまう子、ひどくなると、自分の力で飲み物を飲むことができない子などがいます。子どもは汗をかく機能が未発達で、更に小さなお子さんの場合は、背が低い分地面から強烈な照り返しを受けてしまうので注意が必要です」子どもの場合、熱中症に対する知識が少なく、大人ほどこまめに水分をとらないことや、積極的に日陰に入らないといったことも影響しています。大人が目を配り、声をかけてあげるのが良さそうです。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■湿度と風に注目!マスクしながらの運動は熱中症リスクが上がる熱中症対策の目安にしたいのが、WBGTと呼ばれる暑さ指数です。湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温からなる指標で、サッカーの現場では専用の器械で計測しています。「熱中症というと、強烈な日差しや高い気温の下でなりやすいイメージがあると思いますが、湿度の高さも関係します。湿度が高いときや風が弱いとき、無風のときは、身体から熱を放散しにくくなり、体温が上がりやすくなってしまうのです」炎天下でマスクを着用するのも、熱中症のリスクがあるようです。「口元をマスクで覆うと、通気性が悪く酸素も取り込みづらくなり、二酸化炭素を吐き出しにくくなります。また、乾燥しにくいので、水分をとることを先延ばしにしてしまうこともあります。熱中症対策の観点からは、夏の暑い屋外では、マスクを外すことをおすすめします」■スポーツドリンクで水分と栄養を摂取熱中症対策として、サッカーの活動中に大切なことが2つあります。それが水分補給と身体冷却です。水分には大きく分けて水、スポーツドリンク、経口補水液と3種類ありますが、福島先生は「汗を大量にかくと、ナトリウムやカリウムが失われるので、それらが含まれているスポーツドリンクや経口補水液が望ましい」と言います。「スポーツドリンクにはブドウ糖も入っているので、エネルギーの補給になり、水分や塩分を効率的に吸収しやすくなります。経口補水液はナトリウムやカリウムの濃度がスポーツドリンクよりも高いので、熱中症になりそうな場面で使用すると良いと思います。クエン酸が含まれているものだと、疲労回復にも適しています」身体を冷やすことも、熱中症対策として効果があるようです。「選手の人数分、氷を用意するのはなかなか難しいことなので、水をかけてうちわで扇ぐだけでも効果があると思います。水分の蒸発とともに熱が体から逃げていくので効果があります。動脈や静脈がたくさん集まっている手のひらや足を冷やすのは特に効果的なので、バケツに氷水を作って手を入れたり、凍っている保冷剤を手で持つのも、身体を冷やす効果が期待できます」■衣類で熱から身体を守る、目を守るためにサングラスも日光を長時間浴びると、日焼けをし、疲労を感じます。それを防ぐために、帽子やインナーを着用するのも、熱中症対策として効果的なようです。「帽子は直射日光を防ぐことができますし、熱を放散しやすい素材で作られている、長袖のインナーを着ることで、直射日光をガードできます。インナーは汗を吸収し、通気性の良い素材のものを選ぶといいでしょう」大人の場合、目から入る紫外線にも気をつけたいもの。とくに長時間グラウンドにいる指導者にとって、目の健康を守ることはとても大切です。「将来的に視力が落ちるリスクを考えると、目を守ることはすごく重要です。指導者の方のように、毎日グラウンドに出て、強烈な日差しを浴びる環境に長時間いる人は、UVカットのサングラスをかけたほうがいいと思います」以上が、サッカーの現場でできる、熱中症対策の主な方法です。そして、熱中症対策でなにより大切なのは健康管理だそう。とくに睡眠不足や朝食をとっておらずエネルギーが不足している状態で激しい運動をすると、熱中症のリスクが高まるので、規則正しい生活を心がけましょう。「睡眠はとても大切です。睡眠不足だと体力が落ち、熱中症のリスクが高まります。しっかり睡眠時間を確保し、栄養をとること。その上で水分補給や身体冷却などを活用していただければと思います。」暑い夏を健康に乗り切り、サッカー選手としてレベルアップするためにも、健康管理を見過ごすことはできません。親子で体調に目を向けて安全に活動し、"成長の夏"を過ごしましょう!サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年06月23日子どもを2人産んでから体重が4kg増え、身長165cmで59kg。おデブとまではいかないけど、おなか周りのお肉が気になっていました。もうすぐ40歳、ますます筋肉や代謝が落ちる前にスタイルアップしたいと思い、一念発起してダイエットをしたところ……! どのような方法でダイエットしたかをお伝えします。体重ではなく体脂肪を意識する私がダイエットをしようと決意したのは、見た目以外にも理由があります。体重や姿勢の悪さで膝や腰に負担がかかり、痛みを感じるようになっていたのです。まずは自分の体ときちんとしたダイエット法を知るために、区のスポーツセンターに行き、InBodyという体成分分析装置で、筋肉量や脂肪量を詳しく調べてもらいました。結果、私は脂肪を1kg減らし、筋力を2kgつけるといいとのこと。体幹の筋力が弱かったのです。そこで、プランクや片足バランスなどの体幹トレーニングを毎日6分間おこないました。 間食は高たんぱくなものを私は昔から甘い物が大好き。特にストレスが溜まると食べたくなります。子どもがお昼寝したときと就寝後、スイーツを食べることがクセになっていました。でも、このような生活をしていたら絶対に痩せられません!私は買い置きするおやつを子どもしか食べないラムネやグミのみにし、甘い物を食べるのは友人などと楽しく食べるときだけにしました。最初の3週間は本当にキツかったです。でも、だんだんと体が欲しなくなり、少量でも満足できるようになりました。そして、食べるのであれば筋肉のためにヨーグルトや小魚など、たんぱく質が豊富な物を選ぶようにしました。 子どもを寝かしたあとにウォーキングダイエット前は子どもが寝たら、テレビの前で何かおやつを食べていました。最初はテレビを見ているとどうしても何かつまみたくなってしまったので、寝ている子どもは夫に任せて、毎晩40分ほどのウォーキングに行くことにしたのです。 思えば子どもなしで自分のペースで歩くなんて久しぶり。音楽を聴いたりラジオを聴いたりしながらのウォーキングは思いのほか楽しく、ストレス発散にもなりました。 ダイエットを始めてから5カ月したころに、もう一度InBodyで測定をしました。結果、体重はマイナス4kg、脂肪はマイナス2.3kg、筋力はマイナス0.7kgでした。つまり、筋肉をあまり減らさずに脂肪だけ減らせたということでダイエットは大成功! 今後はこの体重を維持しつつ、筋力アップを目指して頑張りたいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラスト/sawawa監修/助産師 松田玲子著者:小川恵子5歳と1歳の姉妹の母。育児サークルの幹部や習い事、執筆活動など、精力的に育児を楽しんでいる。
2023年05月18日子どもたちの技術に差があって、トレーニングがスムーズにいかない。レベルで分けた方が良いのか、同学年は一緒に練習させた方が良いのか。というお悩みをいただきました。同じ悩みは多くのチームで聞かれますが、みなさんはどうしていますか。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが指導のアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<サイドバックの攻撃を活かす攻撃が特徴のチーム、小4に2トップと中盤のポジショニングを教えるのが難しい。どうすればいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。少年団で指導をしています。相談したい年代はU-9です。チーム内でも技術に差があります。鳥かごやパス練習でもスムーズにいかない部分があります。このような場合、うまい子、そうでない子に分けてやるべきですか?それとも同学年同チームであれば混合してやるべきでしょうか?<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。9歳なので3年生でしょうか。練習はスムーズにいかないからこそやるものです。練習がうまくいくのであれば、その練習はする必要はないとも考えられませんか。うまくいくことがいいわけではありません。■子どもには「さまざまな環境」が必要小学生年代の練習の運び方として「М―T―М(マッチ・トレーニング・マッチ)」を日本サッカー協会が推奨しているのはご存知かと思います。練習の最初に試合(ミニゲーム)をやって、手をつけたほうが良さそうな課題を抽出してそれを練習する。そして、そこを意識しながら、最後に再び試合をします。この場合、試合でこのあたりがうまくいかなかったけど、どうする?と子どもたちと相談しながら練習を進めます。その際に「じゃあ今日はこんなメンバーでやろうか」と、技術が進んでいる子どもとそうでない子に分けてやってもらうことがあってもいいでしょう。その逆で、どちらの層も混ざって行うこともある。さまざまな環境を用意してあげましょう。この「さまざまな環境」が子どもには必要です。エコロジカルアプローチ「運動学習理論」(※)をご存知ですか。指導者が環境設定することで、子どもは自分で学んでゆくと言われています。この考え方を参考にする指導者がいま増えています※参考:『エコロジカル・アプローチ「教える」と「学ぶ」の価値観が劇的に変わる新しい運動学習の理論と実践』 植田文也 ・著サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■安易に技術の優劣で分けるのではなく、チームスポーツであることを意識させる環境づくりをつまり指導者の役割は、環境の設定なのです。例えば何かを行う人数グループ分けも、練習の「環境」に入ります。4人でやるほうがいいのか、2人なのかといった設定を、簡単ではなく、かといって凄く難しいものではなく、全員が楽しみながらトライできるものにしてください。最初からできてしまうのであれば、それはトライにならないのでそこの見極めが必要です。「グループ分けはこうしたほうがいい」というものはありません。上手い子とそうでない子が混ざると、例えばこんなことが起きます。上手い子がわがままになります。自分より技術が劣る子にボールを預けるとミスすることが増えるので、周囲の状況を見ずに、仲間にパスもせず、自分で勝手にドリブルしてしまいます。だからといって安易に技術の優劣で分けて練習するのではなく、そこで「サッカーはチームスポーツだよね?どうやってみんなで点を取るか考えるスポーツだよね」といったことを伝える機会にもなります。そういう部分を育ててあげてください。■小さいころに技術習得に時間を割きすぎると、大きくなってから認知や判断の時間にもっと時間がかかる過去にも申し上げたように、日本は止める、蹴るといった足元の技術指導から入ります。そうではなく、サッカーの入り口に立つ子どもたちには、サッカーの認知や判断する力を養うための環境を設定することが必要です。欧州などとは育て方が逆なのです。小さいころに技術が大事だからとそこに時間を割き過ぎてしまうと、少しずつ体が大きくなってフルパワーで蹴ると、ボールのコントロールが難しくなります。学年が上にいくと、小さいときは上手かったのに試合に出られなくなるなど、漏れてくる中学生や高校生が出てきます。認知や判断する力をつける練習をもっと増やさなくてはいけません。欧州では、大きくなってパワーがでてくるときに、もう一度技術をやり直します。コーチはひとり一人見てあげています。ところが、日本の中高生は、部活動やクラブで「勝つか負けるか」が最優先になる環境にいます。そのチームの戦術に当てはまる子どもは試合に出られますが、そこから外れると使ってもらえません。プロになったり日本代表になる選手の中に、Jクラブのユースに上がれなかった例は少なくありませんが、上記のような背景があるのです。■インサイドキック一つ取ってみても、一人ひとり有効な蹴り方が違うまた、技術差があるのが悩みのようですが、これも先ほどお伝えした運動学習理論に基づくと、以下のことが言えます。同じことを繰り返す反復練習が技術の習得に役立つと、長い間言われてきました。たとえそうだとしても、子どもたち一人ひとり有効な蹴り方は違ってきます。なぜなら骨格や筋肉の付き方や質も違うからです。例えば、同じインサイドキックを蹴るにしても、使う筋肉は変わるためひとり一人に合ったように動かすことを学んだほうが良い。要するに「はい、みんなこうやろう」といった全員一緒にやっても効果は期待できません。全員一斉指導は通用しないのです。例えば、手の上におぼんを乗せて、いっぱいいっぱいに水の入ったコップを移動させるとします。おぼんを目の高さに持ってくるとき、へその高さに持ってくるとき、左右に平行に移動させるとき。たったそれだけの動きでも、何百もの筋肉や神経が動いています。そして、人ぞれぞれで使っている神経や筋肉、肩関節の可動域も異なります。前述したように、集団指導は限界があります。であれば、指導者の皆さんはどう解決なさいますか?■元日本代表監督オシムさんらのトレーニングは理にかなっていた(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)そこには、現在多くの指導者が始めている「考えさせる」指導が有効です。自分で考え、深めて思考し「こうしてみよう」と選択する習慣をつけるほうが、技術の定着が早く、応用も効きます。欧州の有名な監督、オシムさんやハリルホジッチさんらの考えさせるトレーニングは、理に適っていたと言えます。どうか、子どもに自ら考えさせる習慣をつけ、さまざまなトレーニング環境を用意することに努めてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年04月14日2月28日(火)、ベビーカレンダーは公式YouTubeチャンネルにて、家事や育児の合間にできる動画シリーズ「産後太り解消エクササイズ」の「腰痛解消ストレッチ」を公開しました。このシリーズは、座ったまま、寝転んだままできるものを中心に、音声オフでも一緒にトライできるので寝かしつけの合間にもできちゃいます!ぜひ毎日一緒にトライしてみてくださいね! 本編では、部位ごとに分けて産後太りを解消するエクササイズを紹介。今回紹介するのは、育児や家事で酷使することが多い「腰痛」にアプローチするストレッチ。第1回で紹介した骨盤まわりを整えるストレッチをプラスすれば、より血流も良くなって代謝もアップ! 痩せやすい体が叶いますよ♪ 布団の上でできちゃう!腰痛解消♪ストレッチ<エクササイズ動画シリーズの特徴>・1日たった2~3分だけ!2~3つの動きを繰り返すだけなので、無理のない範囲でトライできます。 ・音声オフでも音声だけでもできる!家事中は「音声だけ」、寝かしつけ中は「音声なし」でもおこなえます。 ・子どもを寝かしつけしながらできる!座ったまま、寝転んだままできるメニューがメインです。子どもを寝かしつけする横でトライできちゃいますよ。 「腰痛解消」ストレッチのポイント「子どもを抱っこするたびに腰が痛む…」「腰痛が慢性化している…」「代謝が落ちた気がする…」 そんな方は要チェック! まずは座った状態で梨状筋(お尻の奥の筋肉)を伸ばすストレッチからスタート。余裕がある人は、顔を横に向ける動きをプラスするとより効果的(体が硬い人は無理のない範囲でおこないましょう)。 次に、膝立ちになって股関節を伸ばすストレッチをおこないます。この2つの動きを取り入れるだけで、お尻や股関節まわりをほぐしながら、腰痛解消を目指せます! 「腰が重い……」。そんなときは、ぜひ寝る前にトライしてみてくださいね! エクササイズの効果をより高めたいなら、まずは骨や筋肉を良い状態に整えることが大事。ベースとなる骨盤まわりからアプローチして、姿勢を正していくところから始めてみましょう! 骨盤まわりをほぐすストレッチも紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。 ▼詳しくは動画からチェック♪ ベビーカレンダーでは、さまざまな出産にフォーカスしたドキュメンタリーシリーズや、赤ちゃんとママの1日に密着したルーティン動画も公開中!
2023年03月26日てんかんと診断されたらどんな治療をする?てんかん発作の種類や治療薬、全般てんかんに処方される薬「バルプロ酸ナトリウム」って?てんかんとは、脳の一部または全体がなにかのきっかけで過剰に興奮してしまう病気です。この興奮は「発作」とよばれ、意識を失ってしまうものや痙攣のほかさまざまな症状があり、発作は一度ではなく繰り返し起こります。100人に1人の割合で起こるという身近な病気で、3歳以下での発症が特に多く18歳までに80%が発症するといわれています。しかし、近年では高齢者の脳血管障害によるてんかん発作も増えています。てんかんの原因の多くは特定されていませんが、現在ではてんかんの約80%が薬による治療で発作のコントロールが可能といわれています。このコラムでは、てんかんの発作の種類や、それぞれの発作のに対して処方される薬について解説します。また、全般てんかんに処方される「バルプロ酸ナトリウム」について、詳しくお伝えします。てんかんは、診断されると長く服薬が必要になることが多いため、最初に本当にてんかんなのか、またどのようなてんかんなのかを見極め、長期的な治療の見通しを立てることが重要になります。脳波、MRI検査はもちろんですが、本人や発作を目撃した人からの情報も大切です。発作を目撃すると動揺してしまうと思いますが、冷静に発作の様子を動画で撮影するなどすると問診の際症状を伝えやすくなります。てんかんの治療方法には服薬と外科治療があります。外科治療は、抗てんかん薬では発作を抑えることができない「難治性てんかん」に行うことがあり、完治が期待できる場合もありますので、早期の診断が大切です。一方、薬で発作のコントロールができる場合は、正しい服薬によって就学・就労といった社会生活への影響を最小限にすることが治療の主な目標となります。てんかんには大きく「全般てんかん」「部分てんかん」の2つがあります。全般てんかんは大脳の広い範囲(全般発作)が、部分てんかんは脳の一部(部分発作)が、興奮状態になり発作が起こるものです。全般てんかんの発作は、意識がない場合がほとんどですが、部分てんかんの発作は意識があるもの、ないものがあります。またそれぞれ「特発性」「症候性」にさらに分類でき、「特発性」とは脳に損傷がなく年齢に関係して発症するてんかん、「症候性」とは脳の損傷(異常)により発症するてんかんになります。Upload By 発達障害のキホン全般発作に対してはバルプロ酸ナトリウム、部分発作に対してはカルバマゼピンが第一選択薬として広く使用されています。Upload By 発達障害のキホン【全般性強直間代発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・フェニトイン・ラモトリギン・イーケプラ・トピラマートなど【欠神発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・エトスクシミドなど第二選択薬・クロナゼパム・ラモトリギンなど【強直発作、脱力発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマートなど【ミオクロニー発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・クロナゼパム第二選択薬・レベチラセタム・トピラマート・ピラセタム・フェノバルビタール・クロバザムなど単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作と概ね3種類ありますが、薬に大きな違いはありません。Upload By 発達障害のキホン第一選択薬・カルバマゼピン第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマート・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・ガバペンチン・フェニトインなど参考:てんかんの薬物治療|てんかん情報センター参考:日本神経学会てんかんの薬・バルプロ酸ナトリウムは、どういうてんかん発作に処方される?効能、効果、用法、用量は?バルプロ酸ナトリウムは、全般発作に有効な抗てんかん薬です。全般発作とは脳の広い範囲、または全体が興奮して起こる発作になります。発作の始まりに意識を失うことも多いです。全般発作には以下のような種類があります。Upload By 発達障害のキホン強直間代発作突然発症して強直発作と間代発作を起こします。発作後に30~1時間位の眠りにつくことも多く、その後は普段通りに戻ることが多いです。意識のもうろう状態による事故などに注意が必要です。・症状強直発作:突然意識を失い、口を食いしばる、手足を伸ばした状態で全身が硬くなり呼吸が止まった状態は数秒~数十秒間続く間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げ、手足を曲げたり伸ばしたり、一定のリズムでけいれんが起きる。数十秒で終わることが多いが、1分以上続く場合もある欠神(けっしん)発作数十秒間意識がなくなる発作です。けいれんを起こしたり倒れたりはしないが、会話などの途中で突然意識がなくなる場合も。周りの人が気づきにくく、集中力や注意力がないなどと思われることがあります。・症状突然意識がなくなりぼんやりした目つきになる呼びかけに反応しないまぶたがピクピクする脱力発作崩れるように倒れてしまうことがありますが、発作の持続時間は数秒と短く、発作と気づかれにくいです。・症状全身の筋肉の緊張の低下、消失ミオクロニー発作一部分の筋肉が一瞬ピクっと収縮する瞬間的症状のため、自覚することも少ない発作です。ですが、連続して起こることもあり、転倒したり持っているものを投げ飛ばしてしまう強い症状が出ることもあります。寝起きや寝入りに多く起こる傾向があります。・症状全身、あるいは手足の一部分の筋肉が一瞬収縮するどの全般発作も第一選択薬としてバルプロ酸ナトリウムが選ばれることが多いです。先発医薬品ではデパケン、デパケンR、セレニカR、バレリンなどが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてはバルプロ酸ナトリウム(商品名)があります。主な作用機序としては、神経の興奮を抑える作用を持つγ-β酪酸(GABA)を分解する酵素(GABAトランスアミナーゼ)の働きを抑制して、脳内のGABA濃度を維持・増加させ、発作を抑えると考えられています。Upload By 発達障害のキホン前述したように、バルプロ酸ナトリウムは全般てんかんの第一選択薬として広く使われています。全般てんかんには子どもに多い欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作、強直発作などがあり、こうした発作に対して用いられます。また、てんかんの症状には、脳の異常な興奮が原因となって怒りやすくなったり、すぐ機嫌が悪くなったりするような症状もあります。こうした症状は双極性障害の躁状態でも起こりうることですが、バルプロ酸ナトリウムはこうした性格行動障害に対しても効果を示します。さらに、こめかみや目のあたりが発作的にズキズキと拍動性の痛みを感じる片頭痛などにも用いられています。ただし成人とは異なり、12歳~17歳の小児片頭痛患者を対象とした臨床試験では有効性を示す十分な科学的根拠は得られていません。バルプロ酸ナトリウムは以下のような錠剤、顆粒、シロップ、徐放性製剤とさまざまな剤形があり、患者の状態や治療の目的に合わせたさまざまな選択がなされます。・バルプロ酸ナトリウム錠100mg・バルプロ酸ナトリウム錠200mg・バルプロ酸ナトリウムシロップ5%・バルプロ酸ナトリウム細粒20%・バルプロ酸ナトリウム細粒40%例えばシロップ剤は、主に小児に投与することを目的としており、バルプロ酸ナトリウムの特異な臭いとわずかな苦味があるために服用しやすくなるよう甘味がつけられています。また、徐放性製剤の場合は服用してから長時間かけて薬剤が放出されるよう設計されているために、血中濃度を一定に保ち、服用回数をコントロールすることができます。用量ですが、通常1日量8〜24mL(バルプロ酸ナトリウムとして400〜1,200mg)を1日2〜3回に分けて経口投与します。ただし、どのような剤形が選択されるか、またそれの服薬量は、患者の状態に応じた医師の治療方針に基づくものであり、勝手な薬剤の増減や停止をおこなってはいけません。医師の判断に基づかないで服薬を減らしたりやめたりすることで発作が起こってしまったり、回復が遅れるなどの不利益が生じることがありますので、必ず医師の指示に従いましょう。バルプロ酸ナトリウムの副作用は眠気、ふらつき、吐き気、食欲不振、けん怠感などがあります。副作用は飲み始めに多く、やがて軽減することが多いのですが、症状が強い場合は医師に相談してください。重い副作用として、まれに肝臓への悪影響(劇症肝炎などの重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝など)があります。肝機能障害などがある場合は肝障害が強くあらわれる場合があるので、必ず医師に伝えましょう。また、食欲亢進し体重が増えることがあります。カルバペネム系抗生物質などは併用禁忌、そのほかさまざまな薬と相互作用を起こしやすいです。飲み合わせによって、バルプロ酸ナトリウムの作用が強まったり弱まったりするので、服薬中の薬は必ず医師に報告しましょう。バルプロ酸ナトリウムは胎児の形成に影響を与えたり、産まれてきた子どもの発達に影響を及ぼすことがあるので妊娠可能な年齢の女性、妊娠中の女性に処方する場合には注意が必要です。妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方されます。処方される場合は、できるかぎり単剤で、かつ必要最小限の容量となり、妊娠前の女性には血中濃度の安定をはかるため徐放錠で600mg/日以下が望ましいとされています。そして、妊娠期間中は、血中濃度の変化を注意深く観察する必要があります。まとめてんかんの約80%は服薬でコントロールができます。てんかんかもしれないと思ったら、すぐに医師の診察を受けましょう。抗てんかん薬にはさまざまな薬がありますが、バルプロ酸ナトリウムは代表的な抗てんかん薬です。医師の指示に従って、正しく服用しましょう。
2023年03月22日もう気温は一桁なのに!?クラスで残り2人の半袖になったコウ。Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)のあるコウの感覚には、過敏と鈍麻の両方があると感じることがしばしばです。子どもが好んで食べる一般的なお菓子を「甘すぎて食べられない」と言って拒んだかと思えば、私や夫が顔をしかめるほど酸っぱい果物を全く平気で平らげたりするので、私も「好みの問題ではないのだろうな」と思って見守っているところがあります。そんな彼には、味覚のほかにも鈍麻を感じることがあります。主に寒さに対してです。小学生のころは若干暑さに対しても鈍いところがありましたが、年齢が上がるに従って次第に暑がりになっていきました。昨年は、冬が近づき朝の気温が一桁になってからも半袖で登校していたため、それを見た夫にしょっちゅう「見ているこっちが寒いわ!」と言われていました。私も「もう気温も一桁だし長袖にしたら?」と言いましたが、コウは「全然寒くない。長袖着たら暑くて倒れちゃうよ」と半袖登校を続けていました。Upload By 丸山さとこついにクラス内の半袖登校が2人になったとき、コウを除いた1人は筋肉がしっかりついたガッチリ体系の男子で『確かに寒くはないのかも』と思うビジュアルの生徒でした。そこのところ、コウは筋肉控えめの細身な男子であるため見た目の「寒そう!!」な印象が強く、実際体温もそう高くはないため、私と夫は『本当に寒くないのだろうか?』と心配していました。寒いときに(寒さを感じなくても)暖かい恰好をすることは大切!「本当~に寒くないの?」と心配する両親の思いと毎朝の口出しをよそに、毎朝元気いっぱいに登校していくコウ。せめてと思い長袖のシャツを持たせるようにしましたが、彼は一向に着替えようとしません。「最後の1人になるか、最高気温も一桁になるかしたら、あきらめて着替えてほしい」と伝えたところ、それは了承してもらえたためひとまず見守ることにしました。Upload By 丸山さとこそんなある日のこと、帰ってきた彼が少し鼻をぐずつかせているのを見ました。すかさず「これは流石に体が冷えてるんじゃないの~?」と突っ込むと、「うーん、そうなのかな…?」とピンとこない様子のコウ。「感覚的には納得いかないかもしれないけど、ここはお母さんを信じて上着を着てみてよ。きっと鼻水止まるから」と上着と靴下を渡すと、しぶしぶといった調子ではあるものの着てくれました。Upload By 丸山さとこ「どうかな。暖かい恰好すると、少し体がホッとしない?」と聞くと、「う~~~ん…」とよく分からない様子のコウでしたが、次第に鼻のグズつきは落ち着いていったため「確かに体が冷えていたのかも」と納得してくれました。こうして、コウは『自分の感覚』と『実際に体に受けているダメージ』は必ずしもリンクしているとは限らないと(少しだけ)納得してくれました。『自分としては全く寒いと感じていない気温』も体を冷やして鼻水を出させることがあるのだと気づいたことは、コウにとって大きな経験になったようです。「これと同じように、『自分としては全く暑くない気温』が熱中症を招くこともあるし、『自分としては全く酸っぱくない果物』が歯にダメージを与えることもあるんだよ」と話すと、いつもより真剣に聞いていました。Upload By 丸山さとここれ以降、コウは・クラスメートの半数以上が服装を変えたら調整用の衣類をリュックに入れる・自分と同じ服装が10人になったら衣服を調整すると大まかなルールを決めました。雪が降る季節になってからも学ランの下にセーターを着るなどの対応ができるようになり、「寒さを感じるかどうか」以外に「(気温として)寒い日かどうか」も気にするようになりました。再び暖かくなったころに適宜脱いで調節することができるか様子を見つつ、本人なりの基準で対応しようとしているコウを見守っていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)感覚の過敏と鈍麻の偏りの問題は本当に難しいですね。感じ方の違いについては原則本人の感じ方を尊重して、不快を避けて、快を増やしていくのがよいと思います。ただし健康面や安全に関わるところは、具体的な介入も必要です。エピソードで伺ったように、衣服の調節についてはしばしば問題になります。寒暖を感じる感覚に鈍麻があると、周囲から見ると寒暖に合わない服装をしていたり、エピソードのように実際に暑すぎたり寒すぎたりして、熱中症になる、風邪をひくといった実害が起きることもあります。また大人から言われれば脱ぎ着できても自分で服装を調節するのはなかなか難しいかもしれません。自分の感じ方を否定されるように一方的に服装のことを指摘されてしまうと、「別に暑くないし(寒くないし)!」と抵抗されることもあるかもしれません。エピソードで聞かせていただいたように本人の暑さ・寒さの感じ方以外の指標…たとえば天気予報の最高気温・最低気温と対応した調整や、暦の上での目安、体温を測ってみる、震えや汗など体のサイン…などを具体的に知識として知ったり、経験して実感していく中で、寒暖による衣服の調節のスキルを大人になるまでに身に着けていけるといいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月16日2月9日(木)、ベビーカレンダーは公式YouTubeチャンネルにて、家事や育児の合間にできる動画シリーズ「産後太り解消エクササイズ」の「下半身スッキリ♪ストレッチ」を公開しました。このシリーズは、座ったまま、寝転んだままできるものを中心に、音声オフでも一緒にトライできるので寝かしつけの合間にもできちゃいます!ぜひ毎日一緒にトライしてみてくださいね! 本編では、部位ごとに分けて産後太りを解消するエクササイズを紹介。今回紹介するのは、産後とくに気になる「下半身スッキリ♪ストレッチ」。前回紹介した骨盤まわりを整えるストレッチをプラスすれば、より血流も良くなって代謝もアップ! 痩せやすい体が叶いますよ♪ 今回は、その場ですぐにできる下半身スッキリ♪ストレッチ!<エクササイズ動画シリーズの特徴>・1日たった2~3分だけ!2~3つの動きを繰り返すだけなので、無理のない範囲でトライできます。 ・音声オフでも音声だけでもできる!家事中は「音声だけ」、寝かしつけ中は「音声なし」でもおこなえます。 ・子どもを寝かしつけしながらできる!座ったまま、寝転んだままできるメニューがメインです。子どもを寝かしつけする横でトライできちゃいますよ。 「下半身スッキリ」エクササイズのポイント「お尻が大きくなった気がする…」「足のむくみがひどい…」「パンツのウエストがキツイ…」 そんな方は要チェック! うつ伏せになったらすぐできるお尻まわりの筋肉を鍛えるエクササイズでは、引き上った美尻を目指せます! また、仰向けに寝転がってタオルを足に引っかけておこなうストレッチをプラスすれば、足のむくみ解消にも♪ エクササイズの効果をより高めたいなら、まずは骨や筋肉を良い状態に整えることが大事。ベースとなる骨盤まわりからアプローチして、姿勢を正していくところから始めてみましょう! 骨盤まわりをほぐすストレッチも紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。 ▼詳しくは動画からチェック♪ ベビーカレンダーでは、さまざまな出産にフォーカスしたドキュメンタリーシリーズや、赤ちゃんとママの1日に密着したルーティン動画も公開中!
2023年02月21日乳幼児健診(0歳児健診)とは?健診を受けるとなにが分かるの?乳幼児健診(0歳児健診)は身長や体重を測るだけではなく、赤ちゃんが健康に成長・発達しているかを確認し、栄養状態、先天性疾患を含む病気の有無、予防接種の時期や種類の確認などを行い、疾病の早期発見・早期治療につなげる上で役立てられています。乳幼児健診は日本では1960年代から関東を中心に少しずつ広まってきました。心臓や子宮がんなどの単一臓器の「検診」と違って乳幼児健診は全身を診るので健康診断を略して「健診」と呼ばれています。このコラムでは乳幼児健診はいつ受けるのか、どんな検査をするのか、どんな持ち物を用意すれば良いのかなどの情報と、首のすわりが遅い、視線が合いづらい、お座り、寝返りなどができないなど、どのような場合に要観察になるのか、気になる発達の目安について解説します。乳幼児健診(0歳児健診)のスケジュールとは?全部で何回受診する?0歳児に行われる主な健診は、次の4回です(※)。1ヶ月健診3、4ヶ月健診6、7ヶ月健診9、10ヶ月健診母子健康法により「1歳6ヶ月」と「3歳」の健診は法的義務とされています。0歳児での健診は義務化はされていないものの、3、4ヶ月健診はほとんどの自治体で実施されています。また、自治体から指定されていない月齢でも、任意で乳幼児健診を受けることが可能です。保護者の都合等で当日健診に行けない場合は、かかりつけ医にも相談してみてください。(※)自治体によって異なる場合があります。ここでは、一般的な健診スケジュールと健診内容、要観察になる目安を紹介しています。1ヶ月健診主に発育・発達の具合を診ます生後1ヶ月の健診は、母体の状態を診るための産後健診と合わせ、主に出産した産院で行われます。チェックするのは次のような項目です。基本的には1日30g以上体重が増えているか成長を確認します。つまり産科退院時より1ヶ月経って1kg以上体重が増えていれば問題ありません。身長を測る際に両脚を伸ばすと股関節脱臼しやすいので注意が必要です。モロー反射(原始反射)が左右対称かどうか、鎖骨骨折や四肢麻痺の有無を確認します。難聴がある場合は反射が出ず、音過敏がある場合は反射の頻度が多くなります。臍ヘルニア(でべそ)と湿りを指摘された場合は、小児科を受診しましょう。臍ヘルニアはスポンジ圧迫法、湿っていれば硝酸銀で焼いて外来のみで修復可能です。斜頸の場合、曲がっているほうの首の横の筋肉(胸鎖乳突筋)が張っています。股関節脱臼があるとオムツを替えるときなどで股を広げたときにコリっという音がします。いずれの場合も症状があれば、整形外科へ紹介されることがあります。新生児は足を伸ばすと股関節脱臼しやすいので、なるべくがに股にして抱っこをしましょう。便の色が白いと、胆汁の出ない胆道閉鎖症の可能性があるため、小児外科を紹介されます。一過性ならばロタウイルスの検査が必要です。個人差はありますが、母乳の場合はやまぶき色で比較的軟らかく、ミルクの場合は薄めの黄色で比較的硬くと、母乳とミルクとでは便の色や硬さは異なります。3、4ヶ月健診主に首のすわりを中心に確認します2ヶ月になるとほとんどの赤ちゃんはうつぶせで頭を地面から離して上げられます。4ヶ月で首がすわっていなければ、運動発達の遅れがある場合があるので小児科で精査が必要です。原始反応とは、さまざまな刺激によって無意識的に反応する反射動作です。赤ちゃんの脳の発達により、自然に消えていく原始反射ですが、反対に言えば、原始反射が消えていない場合は、次の発達に移行できないと言われています。また、そのような場合には成長や発達に何か問題がある可能性も考えられるので、小児科の神経専門外来の受診を勧められることがあります。斜頸は傾いている側の首の横にある筋肉(胸鎖乳突筋)が張っていたり、股関節脱臼があると股を広げたときにコリっという音がしたりするなど、症状があれば、整形外科へ紹介されることがあります。臍ヘルニア(でべそ)または湿りを指摘された場合は、小児科を受診しましょう。臍ヘルニアはスポンジ圧迫法、湿っていれば硝酸銀で焼いて外来のみで修復可能です。ガラガラなどの握り方に左右差があれば、麻痺の可能性があるため、小児科の神経専門外来へ紹介されることがあります。1ヶ月でもほほえみ反応はありますが、あやしたときに声を出して笑えるかどうか、ミルクを飲ませるときに親と視線を合わせるかどうかがチェックポイントとなります。視線が合いづらいなどの場合は、要観察となります。6、7ヶ月健診主に運動(筋)や神経(脳)の発達を診察します5ヶ月から7ヶ月くらいになるとゴロゴロと寝返りができますが、原始反射が残っていると寝返りの妨げになってしまうこともあります。原子反射が消失していない場合、脳に何か問題がある可能性が考えられるので、小児科の神経専門外来を紹介される場合があります。まだお座りが安定していない場合でも両手をついて座りますが、徐々に背筋が伸びて手をつかないで座れるようになっていきます。欲しいものに手を伸ばして取るとき、親指が使えるかどうかを確認します。うまくつかめない場合は、小児科の神経専門外来や整形外科へ紹介される場合もあります。斜頸は傾いている側の首の横にある筋肉(胸鎖乳突筋)が張っていたり、股関節脱臼があると股を広げたときにコリっという音がしたりするなど、症状があれば、整形外科へ紹介されることがあります。顔に布をかけるとそれを取ろうとする様子、足の裏が床についたときピョンピョンする様子を確認します。何らかの問題があれば、要観察となります。9、10ヶ月健診主に運動と心の発達を確認します手をつかずに安定して座れるかを確認します。背中がそって座れないことがあるような場合は、リハビリなどを検討することもあります。9、10ヶ月では座卓や椅子などにつかまって立つことができるようになる子どもも多いです。お馬さんごっこのような四つん這いで「はいはい」ができるかチェックします。ずりばい、シャフリング、高這いなどを行う子どももいます。なかなかはいはいをしようとしない場合、お腹の下に座布団やクッションを入れ、四つん這いの姿勢から訓練するといいでしょう。パラシュート反射とは、突然転びそうになったとき、とっさに手を前について体を打たないようにする反射のことです。側方と前方の確認が行われます。前方パラシュート反射は体を抱き上げ、逆さにして頭から落下するような姿勢にすると、両腕を伸ばし、両手のひらを開く動作がみられます。側方パラシュート反射は座っている状態で右、左に倒したときに倒れる方に腕を伸ばし、手のひらをつく動作がみられます。8ヶ月ごろからみられます。親指と対立した指で物をつかめるか、いわゆるUFOキャッチャーのようにつまめるか確認します。大人のまねをする様子、人見知りの有無、「アーウー」などの喃語の発達(1字か2字か)、アイコンタクトの有無を確認します。日頃、嚥下でむせることが多い場合は、言語聴覚士による嚥下訓練が必要になる場合があります。8ヶ月前後から前歯が生えてきます。定期的な歯磨きをしてあげましょう。子どもに虫歯が多い場合などネグレクトを疑われる場合があります。上あごよりも下あごが出ている反対咬合の場合は、口腔外科へ相談をするといいでしょう。アイスの棒のようなもの(木の舌圧子)を噛ませて調整することもあります(使用の前に口腔外科や歯医者などで正しい使い方を教わりましょう)。逆に1歳を過ぎてもおしゃぶりをしすぎると、下あごよりも上あごが出すぎて出っ歯になる傾向があるので要注意です。保護者が子育てに困難を感じるようなら、いつでもいいので早めに保健師さんへ相談してみましょう。乳幼児健診の持ち物、時間などは?当日慌てないように事前に持ち物や時間を確認しておきましょう。母子手帳の健診ページは、必ず左側のチェック項目の当てはまるところに〇を記入しましょう。「子育てに困難を感じますか?」の問いで、「はい」「どちらともいえない」に〇をつけても、健診の際には「様子を見ましょう」で終わってしまうことも多いので、困難のある場合には早めの医療機関の受診をおすすめします。乳幼児健診の持ち物は健康保険証乳児医療証母子手帳乳児健康診査受診票などです。その他、いつものお出かけと同様におむつ、タオル、お着替えなどを持っていくとよいでしょう。乳幼児健診の時間は自治体によって違います。時間が選べるようなら、赤ちゃんが疲れておらず、また機嫌が良く、昼寝の時間を避けた午前中がおすすめです。乳幼児健診で発達の遅れなどを指摘されたときは?健診で何らかの問題を指摘された場合は、「様子を見る」だけではなく、下記の対応を進めましょう。可能ならできる限り、早めに小児科の神経専門外来などを受診して、医師の診察を受けることも重要です。1.助言・事後指導2.センターによる継続支援地区担当保健師による個別支援、フォローアップ教室による集団支援、個別発達相談、親子心理相談など3.関係機関との連携による継続支援地域の子育てグループ、保育園・幼稚園、医療機関、療育相談センター、児童相談所など発達のために家庭でできること赤ちゃんは数ヶ月の差で、体格や能力などに大きな違いが出てくるものです。そのため、成長に合わせた離乳食や接し方、遊びなどを選んであげることが大切です。月齢ごとに保護者の方に取り組んでほしいことをご紹介します。3、4ヶ月ごろに家庭で取り組んでほしいこと離乳食の知識や準備をしましょう。ミルクアレルギーの場合は下痢をしやすいです。アレルギーの心配があれば、かかりつけ医で血中IgE値のチェックをしましょう。絵本や身近な興味のあるおもちゃを使って遊びましょう。また、いろいろな姿勢をさせる、笑顔のやり取りもおすすめです。地域とつながっていくことが大切です。ご近所さんや公園、児童館などでほかの親子とコミュニケーションを取るといいでしょう。6、7ヶ月ごろに家庭で取り組んでほしいこと触れ合い、遊び、スキンシップなどを積極的に行い、遊びのバリエーションを増やしましょう。離乳食が始まるこの時期は、子どもが食に興味を持つよう、保護者がおいしそうに食事を食べる姿を見せるのがおすすめです。母親が父親に育児を教えるなどし、父親が積極的に育児に参加できる環境を作っていきましょう。抱っこばかりせず寝返りで移動できる喜びを養いましょう。床に落ちているものを口にするのでキレイに片づけましょう。また、段差から落ちるので柵などを設けましょう。9、10ヶ月ごろに家庭で取り組んでほしいこと歯が生え始める離乳食後期のこの時期は、離乳食を手づかみで食べさせましょう。前歯で噛みきり、歯ぐきでつぶす練習も大切です。話すことはできなくても、親の言葉を理解し始めるので、積極的に言葉をかけてあげましょう。TVをはじめ電子メディアの見過ぎなどにも注意が必要です。離乳食が3回に増えたり、行動範囲が広がったり、お世話内容の幅が出てきたりするので、夫婦の役割(お願い事)を確認しておくと安心です。環境面では誤飲、転倒、お風呂場での溺水など、家庭内の事故に気をつけましょう。例えば、トイレットペーパーの芯の中を通る大きさのものは誤嚥する可能性があるので、与えないようにするなどです。特に誤飲で多いのはボタン電池、ホウ酸団子、洗剤、灯油、タバコ、コイン、薬剤包装(PTP)など。床に落ちているものは何でも口にするので、日頃からの整理整頓が重要です。階段や縁側から落ちないように柵も設けましょう。お風呂では残り湯での溺水が多いので、ドアを施錠するなどの対策も忘れずに。日頃から成長過程を把握しておきましょう乳幼児健診(0歳児健診)は医師(必ずしも小児科医とは限らない)をはじめ、歯科医師、保健師、助産師、看護師、心理士、栄養士、歯科衛生士など、 母子保健に関与する専門家に相談できる貴重な機会です(※自治体により相談できる専門家は違います)。気になっていることや育児への不安やストレスがあれば、ぜひ相談してみてください。そのためにも、日頃から赤ちゃんの成長過程を把握し、相談したいことは母子手帳などにメモをしておくといいです。きっと、後々の思い出にもなることでしょう。
2022年12月30日食べる・飲み込む力はどう成長していく?食べる(摂食)という行為は、噛むこと(咀嚼・そしゃく)と飲み込むこと(嚥下・えんげ)がセットになっています。実はダウン症のある人は、噛まずに飲み込んでしまう「丸のみ」が習慣化している場合が少なくありません。では、丸のみするとどのような問題があるのでしょうか?詳しく解説をしていきます。私たちは普段、食べるときに、その一つひとつの行動を確認しながら食べることはないかもしれません。だから、正しい食べ方を子どもに伝えようとしても、何からどう伝えていいか分からないことが多いものです。まずは栄養源を体の中に取り込むための「食べる」という行為は、どんなプロセスを経るのかをみてみましょう。1. 食べ物が口に入るまえに、食べ物を認知します。目で見ることで多くの情報を処理して、手や食具を使って食べ物を口に運びます。2. 次に、食べ物を口に取り込み、かみ砕き、だ液とまぜて「食塊」にします。3. この食塊を、舌を使ってのどのほうへと送り込みます。このときは口が閉じています。4. ごっくんと飲み込むことで、のどから食道へ送り込みます。このときに気道が閉じていないとむせてしまいます。5. 食道に入った食塊は胃へと送られていきます。このプロセスが「摂食」と「嚥下」です。食べる・飲み込むという行為は、練習しなくても誰もが獲得できる機能にみえますが、ダウン症のある子どもや障害のある子どもの場合、正しい食べ方を獲得するためにさまざまなトレーニングが必要になることがあります。摂食嚥下は、口の中だけの課題ではなく、全身の成長・発達が大きく関係しています。まず首が座っていることが重要です。頭がぐらぐらしていると、食べ物に目の焦点を合わせて見ることができないので、口にものを入れることが上手にできません。また、原始反射が消えていることが摂食には必要です。哺乳のための一連の反射の1つである乳首を吸うための吸てつ反射が残っていると、スプーンを口に入れようとしたときに口を閉じてしまいます。舌の挺出反射が残っていると舌で押し戻してしまう、といったことが起こります。ほかにも、鼻呼吸がうまくできるようになること、食べ物を舌と歯と頬でバランスを取りながら噛んだりつぶしたりするという動作ができることなど、成長・発達していくことで、摂食・嚥下はできるようになっていきます。なぜダウン症のある子どもは摂食嚥下機能が弱いの?それではなぜダウン症のある子どもは、食べたり飲み込んだりがうまくいかないのでしょうか。ダウン症の特性と合わせてみていきましょう。まず、発達がゆっくりであることがあげられます。食べ物をあげようとしても、舌が前に出やすいために、食べ物をのせたスプーンを舌で押し戻そうとしてしまいます。これは、発達がゆっくりなため原始反射が消えていくのもゆっくりだからということもあります。まずは原始反射が消えるのを待ってから、離乳食を開始します。全身の筋力の緊張が低いために、噛む力が弱い場合もあります。ダウン症のある人は筋の緊張が弱く、噛む力も強くないこともあります。このため、口に入った食品をよく噛んで食べるということがむずかしく、食べたものをそのまま飲み込んでしまうことが起こります。噛み合わせの問題がある場合もあります。ダウン症のある人は、上下の前歯が噛み合わず、開いた状態(開咬・かいこう)や受け口(反対咬合)などの歯並びになりやすく、上下の歯のかみ合わせが悪いことがあります。口の中の形状的な理由がある場合もあります。上あごがせまくて高いということから、舌がうまく使えないことも多くあります。通常は、飲み込むときに舌は上あごに接触しながら食べ物をのどの方へと送り込みます。しかしその舌の動きがうまくできなかったり、上あごが高くて舌が十分に届かなかったりする場合があります。すると、上あごに食べ物が残っていたり、食べるときに空気を一緒に飲み込んでしまったりすることがあります。鼻で呼吸ができずに、口呼吸になってしまうのも原因の一つです。摂食嚥下のプロセスの中で、大事なことは、食べ物を口の中で噛んで飲み込むまでの間、上下の口唇が閉じていることです。食べ物を口の中で噛むときに口が開いていると食べこぼしの原因となります。また、のどへと送り込むことやごっくんするときは、口が開いたままではできません。一口量の認知の問題もあります。身体面の特性だけでなく、認知力も食べ方に影響します。一口サイズがどのくらいなのかがよく分からないために、大きく食べ物をかじりとり、そのままよく噛まずに食べてしまうということがあります。こうした特徴から、食べ物を大きい塊のまま口の中に入れて、筋力が弱いためにうまくかみ砕くことができず、食べ物をそのまま飲み込んでしまう「丸のみ」をしやすいことが、ダウン症のある人の摂食嚥下の特徴となります。ダウン症のある人に多い、丸のみはなぜいけないの? デメリットについてよく噛まずに、食べ物を丸のみすることが、なぜよくないことなのか、もう少し詳しく見てみましょう。食品を一口大に噛みちぎることができたとしても、そのまま噛まなければ大きすぎるので、のどに詰まってしまうことがあります。のどの奥で、呼吸をするための気道と食べ物を胃に送るための食道に分かれていますが、丸のみした食べ物がのどでつかえてしまうと、その気道をふさいでしまい窒息してしまいます。食物は、本来は口の中でこまかく噛み砕かれ、消化酵素を含む唾液とまざった状態で胃に運ばれます。ところが、丸のみしてしまうと食べ物はそのまま胃に運ばれてしまうので、胃腸での消化に負担がかかります。胃でもよくこなれないまま腸へと進むと、下痢や便秘の原因にもなります。こうして消化器に負担がかかると、栄養が体にうまくとりこまれなくなり、長期的には栄養障害を起こすことになります。ごくたまに、よく噛まないで呑み込んでしまうこともあっても仕方ありませんが、それが毎食のことになると、健康状態を損ねることにつながってしまうのです。丸のみしないためにできることは?丸のみしないようにするためにできることとは、どのようなことでしょうか。成長発達に合わせてのステップをしっかり踏むことが重要です。ダウン症のある人の成長・発達はゆっくり進みます。口の中の発達も同様です。離乳食の進め方もその子のお口の成長をよく観察して、ゆっくり進めてください。歯の生え方と同時に、舌の動きをよく観察しましょう。舌が乳首を吸うときのように前後にだけ動いているうちは、うまく咀嚼ができないということでもあります。また、首がすわり、おすわりが少しずつ安定してくる様子、姿勢の観察もしてください。そして、「おいしいものを食べたい」という積極的な意欲があることが大切です。心身ともに成長している様子をよく観察して、離乳を進めて、よく噛んで飲み込むというプロセスを練習していきます。このことが、丸のみを予防することにつながっていきます。成長、発達に合った離乳食を用意することも重要です。離乳初期は、唇をしっかり閉じてごっくんができることを確認しましょう。口に入った食べ物を舌で前から後ろへ送り込んで食べます。なめらかにすりつぶした状態のものが適しています。トロトロしたおかゆやポタージュ状のものから始めます。離乳中期は、ごくやわらかい食べ物を唇を使って口の中に取り込み、舌を上あごの前のほうに押しつけてつぶして食べます。あごを上下に動かして「もぐもぐ」できるようになります。やわらかく茹でたにんじんや豆腐などが適しています。離乳後期になると、歯ぐきによるすりつぶしができるようになります。唇・舌・歯・あご・ほおの動きが上下左右と複雑に動かせるようになっていきます。なめらかな肉団子やご飯粒などを一口ずつ咀嚼することができます。離乳後期のころには、自分で食べたいという意欲も出てきて、いわゆる「手づかみ食べ」が始まりますが、このことは道具を使って食べるようになるための大事なプロセスでもあります。自分で食べたいという意欲を伸ばしてあげましょう。歯ぐきによる噛める程度のかたさのものが適しています。このときに、食べ物に夢中になって丸のみしていないかよく見て上げて、「カミカミしてね」と声をかけ、大人も一緒に口を動かして食べる様子を見せるといいでしょう。食事をあげるときには、スプーンの上手な使い方があります。間違ったあげ方をすると食べづらいためにうまく咀嚼ができなくなってしまいます。スプーンを使う時の理想的なプロセスをご紹介します。① 食べ物を見せて、口に近づけます。口を開けてくれたら、下唇にスプーンの底面をつけて、上唇がしっかり下がってくるのを待ちましょう。② スプーンの前のほうに乗せた食べ物を赤ちゃんが口で捉えたと感じたら、すっとスプーンをまっすぐにして引きます。このときスプーンに食べ物が残っていてもかまいません。スプーンのボールの部分が平らで、口の大きさに見合ったスプーンを選ぶことも大切です。③ 口を動かしてごっくんと飲み込むのを待って、次のひとさじを与えます。飲み込まないうちに次のスプーンを出すことはやめましょう。気をつけたいのは、口からスプーンを引き抜くとき。スプーンを上唇になすりつけるように上のほうに向かって引き抜くのはやめましょう。あごがあがって飲み込みにくくなります。もう一つ大切なのは姿勢です。前のめりになったり、仰向けに寝過ぎた姿勢にならないようにしてあげましょう。まだ体を自分で支えられない子どもには、座位保持椅子などの背もたれや頭頸部が安定する椅子で、前のめりになったり、首が後屈した姿勢にならないようにしてあげましょう。一人で椅子に座れるようになったら、椅子に深く座り、足が床や足乗せ台についているようにします。足がプラプラしていると力も入らず姿勢も崩れやすくなります。筋力が弱いダウン症のある子どもの場合は、支えて上げることも必要ですし、普段から体をよく動かして腹筋をはじめとする筋力をつけることも大切です。こうして食べるときには、話しかけながら楽しく食べさせましょう。一方的に食べさせるばかりでなく、大人が食べる様子を見せ、一緒に楽しむのも良い方法です。そのときには少しオーバーな動きで口を動かして見せてあげるとより良いです。実際に食事をするとき以外に、舌やあごの動きをトレーニングすることも大切です。間接的な訓練として、バンゲード法などがあります。バンゲード法は、子どもの口の周り、すなわち頬、唇、舌の筋肉を手で伸ばしたり、縮めたりして動きをよくしてあげる方法です。食べるための必要な筋肉の働きを促すことができます。食べるという行為を、あらためて教えることは難しいかもしれません。細かいプロセスに分解して子どもに伝えることが必要ですが、考え過ぎるとかえって混乱することもあるでしょう。一度、専門家による摂食指導を受けることをおすすめします。まとめ丸のみしないで食べられるようになるためには、まず正しい食べ方を覚えることから。適切なひと口とはどのくらいの量なのか、毎回よく噛んで飲み込めているかを確認して、上半身を起こして食べましょう。食べ方を教えてあげることも大切ですが、「もぐもぐ」「かみかみ」「ごっくん」という声かけは笑顔で、「楽しく食べる」ことも忘れずに。丸のみを習慣化しないことで、健康においしく食事ができるようになれるといいですね。
2022年09月30日この記事では赤ちゃんの発語について、医師監修のもと解説します。平均的な言語の発達段階と比べて、「うちの子はなかなかしゃべらない」と気にしているパパやママもいると思いますが、首すわりやハイハイ、歩くなどの身体的な成長よりも、言語の発達には個人差があります。かわいいわが子が声を発するようになると、それだけで感極まってしまうパパやママも多いのではないでしょうか。「もっとしゃべってほしい」「いつからしゃべるようになるのだろう」と気になってしまうのも無理はありません。また、同じ月齢の赤ちゃんがじょうずにしゃべっていると、焦る気持ちにもなるかもしれません。そこで今回は、赤ちゃんがいつごろからしゃべれるのかについてお話ししていきます。 赤ちゃんがおしゃべりじょうずになっていく過程赤ちゃんは、生後2カ月ごろになると「クーイング」と呼ばれる声を出し始めます。「アー、ウー」といったような特に意味のない言葉を、機嫌の良いときなどに発するようになります。自分でしゃべる練習を始めているので、声を返してあげましょう。生後6カ月過ぎになると、喃語や奇声が増えてきます。最初は簡単な母音から始まり、次第に「マムマム」など子音も含まれるようになります。生後8カ月ごろには喃語の種類が増え、少しずつ意味のある1語を話すようになることが多いです。生後10カ月ごろになると、パパやママが発する簡単な言葉の意味を理解できるようになります。自分でしゃべることはできませんが、欲しい物を指さしたり特定の喃語でママを呼んだりと、言葉を操る準備が進みます。その後、1歳になるころには意味のある1語をしゃべる赤ちゃんが多くなり、1歳半~2歳ころになると2語文をしゃべることも珍しくありません。2語文が上達すると「ママ、すき」など意味のわかる文章になるため、会話のキャッチボールも弾みやすいです。3歳になれば語彙力も増え、発音もしっかりしてくるためスムーズにしゃべれるようになります。 赤ちゃんのおしゃべりをサポートする方法赤ちゃんの言語の発達は、単に脳の発達だけでなく心の発達にも大きく影響を受けています。赤ちゃんが自分で「もっとパパやママとおしゃべりしたい」「自分の要求を伝えたい」と思うようになると、言葉が発達していくのです。つまり、うまくしゃべれるようになるには成長を待つのではなく、親が関わって言葉の発達をサポートしてあげることが大切です。例えば、赤ちゃんが声を発したとき、返事をして視線をあわせてあげましょう。「じょうずだね~」など、通じなくても良いので声かけるようにします。生後3カ月ごろからは赤ちゃんの目も見えているので、ニコニコと笑顔を向けてあげると良いです。こうすると、赤ちゃんは自分の言葉で親が反応してくれる、笑顔になってくれることを学びます。声を出すのが楽しくなり、脳も言語による刺激を受けるため発達します。離乳食で口や顎の筋肉が鍛えられます。筋肉が発達すると言葉をよりスムーズに発しやすくなるため、おしゃべりもじょうずになります。 赤ちゃんがしゃべったらこう反応しよう赤ちゃんのおしゃべりは、まず聞いた言葉をまねすることから始まります。実はパパやママ、きょうだいなどが話す言葉をよく聞いているので、遊び感覚で話しかけるようにしましょう。赤ちゃんは音や動きに反応しやすいため、歌やダンスなどを取り入れつつたくさんの言葉をかけてあげると効果的です。また、赤ちゃんがしゃべったら、大げさにリアクションを返してあげるのも喜びます。赤ちゃんは、自分のおしゃべりで家族の反応が返ってくるのがおもしろくなり、声を出すようになります。 赤ちゃんがしゃべらないときは?平均的な言語の発達段階と比べて、「うちの子はなかなかしゃべらない」と気にしているパパやママもいると思いますが、首すわりやハイハイ、歩くなどの身体的な成長よりも、言語の発達には個人差があります。おしゃべりが早い赤ちゃんと遅い赤ちゃんでは、半年以上も差が出ることも珍しくありません。しゃべるのが遅い赤ちゃんでも、発達が遅れているとは限りません。1歳になってもしゃべらなかったとしても、言葉の意味そのものは理解しているケースが多いです。例えば、絵本などを見せて「ブーブーはどれ?」などと聞いてみましょう。自動車の絵を指させば、言葉は理解しているため心配する必要はありません。意味が理解できていれば、あとは自然としゃべりだすのを待ってあげることも大切です。 2歳を過ぎてもしゃべらない場合は注意が必要です。この場合は発達に問題がある可能性も捨てきれないため、できるだけ早く専門医に相談しておくと安心です。多くは1歳半健診で言葉の発達のチェックをするので、そこで専門医療機関に紹介されたりします。 まとめ赤ちゃんがいつからしゃべりだすかは、個性にもよります。成長にしたがって一気にしゃべり始める赤ちゃんも多いので、待ってあげることも大切です。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。
2022年09月15日川崎病と診断された生後11カ月の娘のあ~ちゃん。治療をおこなうものの再び発熱してしまい……。二度目の治療とともに、転院の可能性があることを告げられたときのお話。 下がらない熱…転院の可能性も…?特に4歳以下の乳幼児に多く見られ、原因不明の病気と言われている「川崎病」と診断された娘のあ~ちゃん。心臓の血管や心臓の筋肉の炎症を予防する「免疫グロブリン療法」をおこなうものの、再び発熱してしまい……!? 全身の血管に炎症がおきることで、さまざまな症状があらわれる病気「川崎病」と診断されたあ~ちゃん。心臓の血管や心臓の筋肉の炎症を予防するための療法「免疫グロブリン」をおこなうものの、再び発熱してしまいます。 もう一度、免疫グロブリン療法を試し、それでも熱が下がらないときは、病気の原因と考えられる炎症性物質(サイトカイン)を除去するため血漿(けっしょう)交換の治療をおこなうことがあります。 転院の可能性があることも告げられ、苦しそうなあ~ちゃんの横で、「ただただ自分の無力さを感じた」というゆうかあさん。このときのゆかあさんの気持ちを考えると、胸が張り裂けそうですね……。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。著者:マンガ家・イラストレーター ゆかあさん3人の子育て中のワーキングマザーです。怒らない育児に憧れを抱いているけど実践できていない短気な母です。
2022年09月13日子どもの滑舌が悪い原因は?声を出すことやその声の出し方自体のことを「発声」と呼び、ことばを発音することを「構音」と呼びます。例えば、一つの話しことばについて、喉頭音源(こえ)の性質を指すものを「発声」、言語音(ことば)としての性質を指すものが「構音」となります。この構音がうまくできないことを、私たちは一般的に「滑舌が悪い」と言います。たとえば、「さかな」を「しゃかな」、「おかあさん」を「おかあしゃん」、「りんご」を「ご」とだけ言うことなどがあります。こうした滑舌がうまくいかないという状態は、どうして起こるのでしょうか。物事の名前を覚えて、それを正確に発音することによって、自分が思っている物事を相手に伝え、相手が伝えようとしている物事を理解する、これが「しゃべる」ということです。そこには、物事には名前があると理解して名前の知識を蓄えるインプットと、相手に伝わるような構音ができることによって声にするアウトプットがあります。この両方がうまくいったときに「上手にしゃべる」ことができた、となります。このアウトプットがスムーズにできるという意味で構音が正しくできていることが「滑舌が良い」という状態です。では、私たちがふだん何気なくしている構音は、どのようにできるようになったのでしょうか。赤ちゃんが最初に出す声は、泣き声で、ほぼ母音だけで構成されています。母音とは、のどから出るそのままの音で、舌や歯・あごなど口腔内の器官の動きに妨げられずに出る音です。赤ちゃんは、成長と共に周りの音を聞き分けられるようになり、自分へ話しかけてくれる人の声の様子を聞きながらまねをして、だんだんに発音できる音を増やします。日本語の五十音の子音、カ・サ・タ・ナ・ハ・マ・ヤ・ラ・ワの各行の一音一音は、それぞれ、唇を閉じたり開いたり、舌の奥や舌先上あごの奥の柔らかい部分(軟口蓋)をコントロールしたり、といった複雑な動きによって構音が可能となります。大人でも、初めて外国語を習ったときに、日本語にはない「th」や「f」のような音に関しては、たくさん練習をした記憶があるのではないでしょうか。それと同じことを、ことばを話し始めた子どもは日々トレーニングしています。一生懸命発音して、通じたという経験や、通じなくて困ったり、大人に直されたりという経験を経て、発音する力は成長し、滑舌(構音)はよくなっていくといわれています。構音には、口の中の動きが大きく関係し、食べるときの口の中の動きの成長と連動しています。生まれてすぐの赤ちゃんは、反射的に口の中であごと舌の動きを組み合わせて、乳首を吸うことにより栄養源である母乳やミルクを摂取しています。大脳の発達と共に、生後5~6カ月ごろから離乳が始まります。離乳とは文字通り乳離れのことです。ミルクを飲んでいる時の乳児型嚥下から固形の食べ物を飲み込む(成熟型嚥下・せいじゅくがたえんげ)動きが獲得され、その後、舌による押しつぶし、さらに歯茎でのすりつぶしができるようになり、奥歯が生えるとかんで(咀嚼・そしゃく)食べる動きの練習が始まります。この過程で、舌の位置や動き方が変わっていきます。最初は軟らかいペースト状のものから始めますが、硬いものを咀嚼するようになると、顎の動き方も上下だけでなく左右も含めて複雑な動きをするようになります。この口の中の動きが複雑にできるようになることが、構音と連動します。たとえば、横から見た時の舌先が下の歯と同じ位置にある状態ではタ行の音を出すことができません。また、口が閉じない状態では、マ行・パ行などの音を出すことができません。鼻呼吸ができるようにならないと、ナ行の音は出ません。離乳が始まり固形物を食べるようになると、口を閉じて食べ物を飲みこむ(嚥下する)という動きをするようになります。このときに、鼻呼吸がうまくできていることが大事だと言われています。唇を閉じていられるということは、鼻呼吸ができている証拠でもあります。赤ちゃんはいろいろな音が口から出る、ということを実験していきます。唇を閉じたまま息を吐き、「ぶぶぶ~」と唇を震わせると音が出る、という発見をするでしょう。この「ぶぶぶ」という音は、やがて唇のコントロールがうまくできるようになると、パ行、バ行、マ行などのさまざまな音へと進化します。正しい発音のお手本を何回繰り返し聞かせてみても、なかなかうまくできない、何を言いたいのかはわかるけれども、特定の音がうまく出せなかったり、違う音を発音してしまう子どももいます。はじめは個性だと思っていた話し方も、4~5歳ごろになると、構音がうまくできないのかもしれないと保護者が気づく、ということがあります。特に小学校に上がるまえ、幼稚園・保育園の年長クラスのころや、「就学相談」が開始されるころになると、この「滑舌」が気になって相談されるケースが増えます。滑舌が悪くなってしまう原因は?それでは、なぜ滑舌が悪くなってしまうのでしょうか。いくつかのケースが考えられます。構音できるようになるために大事なことは、まねをすること。そのためには、音が聞こえていることが大切です。もし、音がよく聞こえていなければ、まねをすることもできないでしょう。音が聞こえない、聴力に問題があるケースには、耳そのものの器官としての働きがよくないケースの「伝音性(でんおんせい)難聴」と、耳は聞こえているけれども、内耳の奥にある音を脳に伝える「神経系」の働きがよくないケースの「感音性(かんおんせい)難聴」があります。伝音性難聴の場合には、中耳炎などの病気が原因となる場合や、音を感知する部分の奇形などの場合があります。感音性難聴の場合には、特定の音域がうまく感受できない、複数の音の聞き分けが難しいなどのケースもあります。いずれにしても、音がよく聞こえなければ、声をまねすることもうまくできないことが多いと言われています。構音は、唇や舌、あごといったパーツの複雑な動きによって形成されます。舌の位置が下がったまま(低位舌)だと、正しい発音ができないです。唇を閉じることができず、舌が低緊張で常に舌で歯を押している場合は出っ歯(前突)、上下の歯がかみ合わない(開咬)、すきっ歯(歯間離開、空隙歯列)などといった歯並びが悪くなる原因にもなります。舌の大きさ、歯列の形(歯並び)、上あごやのどの形などが、構音には大きく影響します。体のパーツの形や大きさに関しては、成長に伴って解決されることもありますが、生まれつきの特性による場合もあります。その中には、舌小帯(ぜっしょうたい)が極端に短いというケースもあります。舌の裏側と口の底と下あごの歯ぐきの内側をつないでいるヒダが舌小帯で、この部分が短いと、口を開けたときに舌先を上あごに触れさせることができず、サ行・タ行・ラ行が正しく構音できない場合があります。また、前歯がないと、サ行の発音がしにくくなります。歯と歯茎も構音に欠かせないところです。発音するためには口の中のさまざまな筋肉をコントロールしますが、この筋肉をコントロールする力、つまり筋力そのものが弱いとうまく構音できないことがあります。先天性の疾患などにより全身の筋力が弱いことが、滑舌が悪くなる原因となることもあります。滑舌の問題以前に、ことばを発しようとしない場合や、ことばの意味をよく理解できていない場合などは、知的な発達の遅れや偏りが原因の場合もあります。難聴もなく、口の中の機能や形態の問題がなくても、滑舌がよくないということもあります。耳の聞こえや、口の中の形態や機能、筋力や知的な発達の遅れなどは、子ども自身にある先天的な疾患などが原因ということは少なくありません。ですが、生まれつきだからとそのままにしておくのではなく、療育やトレーニングによって、ある程度改善することが可能だといわれています。滑舌が気になったときには、どこに相談したらいい?滑舌は、訓練することである程度の改善ができます。その指導をしてくれるのが言語聴覚士(speech therapist:ST)です。言語聴覚士は、耳の聞こえ、発声、呼吸、認知、咀嚼・嚥下にかかわる機能に関しての専門家です。言語聴覚士とつながるためには、子どものかかりつけの小児科、耳鼻咽喉科などから紹介してもらうことができます。また、ほかの病気でかかっている場合であれば、脳神経外科、神経内科、形成外科、リハビリテーション科、歯科からの紹介ということもあります。「言語外来」「ことばの外来」を設置している病院もあります。滑舌をよくするために、家庭でできることは?滑舌をよくすることは、言語聴覚士の指導が大切ですが、それだけでよくなるということでもありません。家庭での子どもとの「関わり」、「やりとり」が話せるようになる基礎をつくります。子どもが何かに興味を示しているときに、興味の対象について、言葉掛けをしてみましょう。たとえば、りんごを見ていたら、「これはりんごだよ」と教えて「おいしそうなりんごだね」「このりんごは甘いかな?」などと、さまざまなことばで声をかけます。このとき、子どもがまねをして「ご」とだけでも言えたなら、「そうだね、りんごだね」と答えて「やりとり」を続けましょう。ここで「『ご』じゃなくて、『りんご』だよ」などと否定したり、正しく言い直させたりしなくて大丈夫です。単語の一部しか発音できない場合、何がその原因となっているのか、専門家と相談してみることも大切です。構音に苦手があり、歯並びや上あごの形状や筋力の問題、聴力の問題などがある場合は、専門家による診断・治療が必要であったり、指導によってサポートしていくことがあります。そのほかにも、吃音や場面緘黙症など、心の発達の面からのアプローチが必要な場合もあります。発音の練習や構音に関わる筋肉のトレーニングについて筋力が足りなくて滑舌がうまくいかない場合には、ある程度トレーニングすることが必要です。たとえば、口の周りの筋(口輪筋)を強化する口の締まりをよくする運動や、舌の位置を確認しながら動かし方を学習するトレーニングなどがあります。ただ、こうしたトレーニングや口の中の運動を子どもにさせようとしても、なかなかやりたがらない、習慣化することが難しいということもあります。その場合には、「この動き、できるかな?」とクイズやゲームのようにしてみたり、ことば遊びをしてみたり、好きなキャラクターや絵本を使って誘ってみたりなど、遊びの延長でトライしていきましょう。子どもが楽しみながら、遊びの中でトレーニングを積み重ねていくことが重要です。舌先を前歯の後ろの上あごに当てます。これが唇を閉じた時の正しい舌の位置であることを覚えましょう。もし、鼻が詰まっているなど鼻呼吸がうまくできていない場合は、舌先がここにあるのは苦しいはずです。嫌がったりできなかったりしたら、耳鼻科を受診してください。そのほか、舌を押し上げる、左右に動かすなどがしっかりできるように筋力をアップすることが大切ですが、自ら舌(あるいは唇・頬)の筋肉を動かせない、または動きが弱い方に対して、舌(あるいは唇・頬)の動きを身につける「バンゲード法(筋刺激訓練法)」といった訓練があります。舌運動機能の発達に遅れがみられるお子さんでは食べ物を噛む、送り込み、飲み込めむといった摂食嚥下機能に問題がみられることが多いです。摂食嚥下機能向上のためにも、舌の筋力を強化することが大切で、そのための器具などもあります。これらの訓練方法については、病院歯科や大学病院などある摂食嚥下外来などにご相談ください。日常的に口が「ぽかん」と開いているお子さんには、口唇閉鎖力を鍛えるトレーニングがあります。大きめのボタンを用意し、ボタン穴に糸や紐を通します。ボタンの部分を口にくわえさせ、上下の唇を閉じます。ひもを引っ張ったときに、ボタンが口から出ないようにします。また、同様のトレーニングができるような器具もあります。このような方法で、唇と頬の筋肉を鍛えることができます。こうしたトレーニングも、言語聴覚士や歯科での指導を受けることで、その子に合った方法を見つけることができるでしょう。ただ、月に数回の指導だけでは、口の中の状態を鍛えていくのは難しいものです。日々の積み重ねが必要なので、親子共に楽しく続けられる方法を探しましょう。そして、おしゃべりするときは、滑舌ばかりを気にしないで、楽しいコミュニケーションを大切にしてください。伝えたいことがある、聞いてほしいことがある、おしゃべりが楽しいと感じることが、何よりも大切です。まとめ子どもの滑舌が悪い、構音がうまくできていないと感じたときには、小児科や耳鼻科、歯科を通じて、言語聴覚士の指導を受けられるようにしましょう。とはいえ、専門家におまかせではなく、日々の積み重ねが必要です。構音は、心の成長と共に体の機能の成長やトレーニングによって発達していきます。親子で楽しく続けられる工夫をしていきましょう。
2022年07月06日発達性協調運動症(発達性協調運動障害)について相談できる機関Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン子どもの不器用さが気になったら子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、地域に設置されている下記のような施設に相談に行きましょう。保健センターは市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て支援センターは子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。発達障害者支援センターは発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。参考:発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンターここでは、相談支援と発達支援などを行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)への支援を受けられる機関上記の相談先で医療機関紹介してもらえることもあります。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で、療育機関を紹介してもらえることも多くあります。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用はさまざまです。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)の支援・治療方法作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動症のある子どもは、一つひとつの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動症の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。家庭でもできること家庭でもできることは多くあります。家庭でさまざまなサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、遊びの中で手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭でできることとしては、以下のような取り組みが一例として考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えられるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろいろな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶここで紹介した方法はあくまで一例であり、ほかにもさまざまな方法がありますまた、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。ICD-10では「発達性協調運動障害」となっておりましたがICD-11からは「発達性協調運動症」と名称が変更になるため一部表記を併記しております。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について
2022年06月05日子どもを2人産んでから体重が4kg増え、身長165cmで59kg。おデブとまではいかないけど、おなか周りのお肉が気になっていました。もうすぐ40歳、ますます筋肉や代謝が落ちる前にスタイルアップしたいと思い、一念発起してダイエットをしたところ……! どのような方法でダイエットしたかをお伝えします。体重ではなく体脂肪を意識する私がダイエットをしようと決意したのは、見た目以外にも理由があります。体重や姿勢の悪さで膝や腰に負担がかかり、痛みを感じるようになっていたのです。まずは自分の体ときちんとしたダイエット法を知るために、区のスポーツセンターに行き、InBodyという体成分分析装置で、筋肉量や脂肪量を詳しく調べてもらいました。結果、私は脂肪を1kg減らし、筋力を2kgつけるといいとのこと。体幹の筋力が弱かったのです。そこで、プランクや片足バランスなどの体幹トレーニングを毎日6分間おこないました。 間食は高たんぱくなものを私は昔から甘い物が大好き。特にストレスが溜まると食べたくなります。子どもがお昼寝したときと就寝後、スイーツを食べることがクセになっていました。でも、このような生活をしていたら絶対に痩せられません!私は買い置きするおやつを子どもしか食べないラムネやグミのみにし、甘い物を食べるのは友人などと楽しく食べるときだけにしました。最初の3週間は本当にキツかったです。でも、だんだんと体が欲しなくなり、少量でも満足できるようになりました。そして、食べるのであれば筋肉のためにヨーグルトや小魚など、たんぱく質が豊富な物を選ぶようにしました。 子どもを寝かしたあとにウォーキングダイエット前は子どもが寝たら、テレビの前で何かおやつを食べていました。最初はテレビを見ているとどうしても何かつまみたくなってしまったので、寝ている子どもは夫に任せて、毎晩40分ほどのウォーキングに行くことにしたのです。 思えば子どもなしで自分のペースで歩くなんて久しぶり。音楽を聴いたりラジオを聴いたりしながらのウォーキングは思いのほか楽しく、ストレス発散にもなりました。 ダイエットを始めてから5カ月したころに、もう一度InBodyで測定をしました。結果、体重はマイナス4kg、脂肪はマイナス2.3kg、筋力はマイナス0.7kgでした。つまり、筋肉をあまり減らさずに脂肪だけ減らせたということでダイエットは大成功! 今後はこの体重を維持しつつ、筋力アップを目指して頑張りたいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラスト/sawawa監修/助産師 松田玲子著者:小川恵子5歳と1歳の姉妹の母。育児サークルの幹部や習い事、執筆活動など、精力的に育児を楽しんでいる。
2022年05月10日柔道整復師による施術を行う徳永接骨院(神奈川県相模原市、院長:立林 幸汰)では、長引く自粛生活で増えた、猫背によって起こる身体の不調、それを家庭で防ぐオンラインケアプログラムをリリースしました。院長の施術風景【猫背が原因で不登校に?中学生の不調が増えている】コロナ禍で自粛生活が長引き、中学生を中心に身体の不調を訴える人が増えています。感染拡大を防止するために、中学校の部活動も、活動日数や時間が制限されるようになりました。本来であれば外で活動していたはずの時間も、今では家で過ごす生徒が大半です。さらに、子供たちの遊び方も自粛生活に適応し、変化しています。友達同士でネットやビデオ通話を繋ぎ、オンラインゲームを活用することで、家から出ずとも「一緒に遊ぶ」ことが可能になったのです。その結果、運動不足や長時間同じ姿勢で座り続けるせいで猫背の姿勢が定着し、肺が膨らみにくく呼吸も浅くなり、あらゆる不調に繋がっています。肩こりや首こりを始め、頭痛、めまい、不眠症など自律神経が絡んだ不調も増えているのが事実です。体調不良により、週に何度も学校を休む子供も出てきています。【コロナ禍以前の2.4倍!中学生の来院が激増】実際に当院でも、コロナ禍以前の2019年と比較し、2020年は2倍、2021年は2.4倍、中学生の来院が増えました。肩こり、頭痛、不眠など、ケガとは違い、本人に明確な原因が思い当たらない不調を訴える子供ばかりです。昨年の11月中旬くらいから、肩こりや頭痛を常に訴えるようになった中学2年の男子生徒がいます。のどが詰まる感じや、全身のダルさもありました。野球部の活動が減り、ゲームやタブレットの時間が明らかに増えていたそうです。施術で首や肩にある筋肉の緊張を取り、エクササイズと日常生活指導を行った結果、1週間で頭痛を感じないようになりました。不眠や身体のダルさから、週に2回程度学校を休むような状況だった中学3年の男子生徒。体育以外の運動がほぼゼロになり、毎日3時間のオンラインゲームが習慣化されていたそうです。首や肩に加え、肋骨の間にある筋肉の緊張を取り、同じくエクササイズや日常生活指導を行いました。こちらは施術開始から2週間経ち、学校を休まず以前と同様に過ごせるまでに回復したのです。雑誌掲載の実績院長の問診風景【通院不要!プロの施術が学べる動画プログラムをリリース】ただ、計画通り順調に通院できる子ばかりではありませんでした。「体がダルすぎて外に出られない」「親の都合が合わずに送迎できない」などの理由から、通院継続が難しいケースもあったのです。そこで、通院しなくても家庭でケアができるように、オンライン動画プログラムを作成しました。各10分程度、全11章の動画プログラムです。エクササイズやストレッチを12種類、施術のやり方を3種類、その他日常生活で意識するべきポイントなどを収録しています。LINEでの無料相談や実際の施術1回無料などの特典を付け、14,490円(税込)で販売中です。施術の現場で評判の良かったエクササイズやストレッチ方法と、実際に院長が行う施術のやり方を学べる内容にしました。4月から販売サイトをリニューアルし、特に好評だったエクササイズを一つ見られるようにしています。エクササイズを実践した中学生から「簡単な体操だから続けられたし、良くなった」、お母さまから「一見揺らしているだけのやり方でも、良くなることに驚いた」というお声をいただきました。猫背が原因で起こる不調を予防するには、「同じ姿勢を長時間続けない」「深呼吸をたまに行う」「こまめに水分補給をする」といったセルフケアが大切です。自律神経失調症自宅で改善プログラム 販売ページ= 実際のエクササイズ例《自律神経失調症自宅で改善プログラム 商品概要》定価:14,490円(税込)形式:動画コンテンツ内容:11動画(約170分)(1)講座の効果的な活用方法(2)自律神経失調症とは?(3)改善の3つのポイント(4)現状を整理する(5)姿勢を改善するケア(6)深い呼吸を取り戻す方法(7)寝姿勢と睡眠を改善する(8)意識すべき生活習慣(9)家族間でできる施術のやり方(10)改善度合いを判断する(11)治り方の道筋と全てのポイントおさらい【接骨院概要】医院名 : 徳永接骨院(院長=立林 幸汰)所在地 : 〒252-0206神奈川県相模原市中央区淵野辺3-22-2 シルキーコダマ1F事業内容: 接骨・整体URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年04月06日言葉の発達にはどんな段階がある?おむつを替えても、おっぱいをあげても、ゆらゆら抱っこでも泣きやまない! 泣き続ける赤ちゃんを前に「言葉で気持ちを伝えてくれたら…」と途方に暮れた経験を持つ保護者のみなさんも多いのではないでしょうか。一般的に、赤ちゃんが意味のある言葉を話し始めるのは10ヶ月〜1歳半ごろですが、実はその前から言葉の発達は始まっています。赤ちゃんの言葉の発達の流れを見ていきましょう。新生児のころの赤ちゃんは、泣くことで、空腹や排泄など不快な状態を表しています。ただ、これはパパやママ、周りの大人に向けて訴えているわけではなく、単純に不快な状態にあることを表しているだけだと考えられます。泣くとおむつを交換してもらえる、おっぱいやミルクを飲ませてもらえる、やさしくあやしてもらえるという経験を重ねることで、「泣くこと」が表現手段になるということを学んでいきます。また、大人は赤ちゃんに語りかけるとき、自然に高い声になるかもしれません。「マザーリース」と呼ばれるもので、赤ちゃんにとって聞き取りやすい高音域の声です。少し高めの声で語りかけると、安心したような穏やかな表情を見せることもあります。赤ちゃんは名前を呼んであげると初めの字の母音に反応することが多いです。例えば「なお」という名前の赤ちゃんなら、初めの字は「な」であり、その母音は「NA」の「A」なので「あ」に反応するのです。「みさ」という赤ちゃんなら「み(MI)」の「い(I)」に反応します。名前を呼ぶことで親子の愛着は深まり、名前を聞いて脳が反応することで言語への準備が早くなるのではないかと推測できます。(発達障がいに困っている人びと鈴木直光著幻冬舎ルネッサンス新書刊より一部抜粋)参考:『発達障がいに困っている人びと』 (幻冬舎ルネッサンス新書 )著者:鈴木直光生後2ヶ月ごろになると、赤ちゃんは「くー」「あー」といった柔らかい声を出すようになります。これは、赤ちゃんが心地よさを感じているときに多く発するもので、クーイングと呼ばれています。クーイングは、音を発する器官の発達が進んできている証拠でもあります。まわりの人がが同じように「くーだね」「あーなんだね」などと返してあげると、さらに声を出したり、大人の真似をして大きな口を開けたりすることもあります。喃語とは、赤ちゃんが発する2つ以上の音を含む声のこと。喃語が出始めたころよく聞かれるのは、「あーあー」「うーうー」など、母音の発声です。徐々に「まんまん」「あむあむ」など母音と子音の組み合わさった声が出せるようになり、さらに「ぱっぱ」「ばばば」など、破裂音や濁音も発声できるようになります。赤ちゃんは喃語を通して、発声や音の調整、肺からの空気のコントロールなどを学んでいます。骨格がしっかりし、声帯も発達することで、喃語の発音もはっきり、長くなっていきます。喃語は出始めから3〜4ヶ月で徐々に少なくなり、その替りに指さしや身振り手振りが増えていきます。表情も豊かになり、嬉しい、楽しいなど自分の気持ちを伝えられるようになります。まだ意味のある言葉は出ませんが、赤ちゃんの中には周囲の大人の語りかけが蓄積されていて、言葉を話す一歩手前まで近づいています。「まんま」は食べ物を意味している、「ぶっぶー」は車のことというように、特定の音声と意味の結びつきが分かるようになると、一語文として発せられるようになります。喃語と似ているように思えますが、違いは意味のともなう言葉である、ということ。周囲の大人が赤ちゃんにたくさん語りかけをすることで、赤ちゃんの脳のなかにいろいろなものの名前がインプットされていきます。一語文が出る時期にも、かなりの個人差があります。遅くとも2歳までに意味のある言葉が出るようになれば問題ないと言われています。言葉がゆっくりめかなと思ってもあまり心配せず、たくさん話しかけ、この時期ならではの親子のコミュニケーションを楽しみましょう。二語文とは、「まんま、ちょうだい」など、2つの単語からなる文のこと。一語文が出るようになって6〜8ヶ月が経つと、徐々に二語文でのおしゃべりも盛んになっていきます。最初は片言で、大人からすると「宇宙語」のように思えるかもしれませんが、徐々にはっきりと話すことができるようになります。ほかの発達に特に心配がなく、大人の言葉を理解できているならば、二語文が出るのがゆっくりでもあまり心配せずに見守りましょう。遅くとも3歳までに二語文が出れば問題ないと言われています。いろいろな遊びや体験が言葉の芽を育む大人が新しい言語を習得したいと思ったら、何冊ものテキストで文法を学んだり、リスニングや発音の特訓をしたりと、猛勉強を覚悟しなければなりません。ところが、赤ちゃんたちは授業やトレーニングを受けることなく、自然と言葉を理解し、話せるようになっていきます。赤ちゃんが、意味のある言葉=一語文を話すようになるのは10ヶ月から1歳半ごろが目安ですが、一語文が出る以前から赤ちゃんはたくさんの言葉を理解しています。まわりの人たちが赤ちゃんにむかって自然に発する声かけを振り返ってみると、赤ちゃんの体験を言葉に置き換えてあげるものが多いですね。「おなかすいたね」「お外は気持ちいいね」「もう眠いかな?」。大人の声かけ、さまざまな遊び、日常生活のなかでの何げない体験が、すべて赤ちゃんの言葉の芽となってゆっくりじっくり育っていきます。8〜9ヶ月ごろになると、「あーあー!」など声を出しながら、気になるものを指さすことが増えてきます。ママやパパの注意をひくように、見てほしい方向を指しながら、コミュニケーションをとろうとするのです。また、このころから、まわりの人の言葉をマネするような光景もよく見られます。ママが「まんま」というと「まんまん!」と言ったり、「ブーブー来たね」と言うと「ぶっぶ!」と真似したり、まるで意味のある会話のようなやりとりもできるようになってきます。さらに、そろそろ意味のある言葉を話せるようになるころには、大人が指をさすと、その指ではなく指先がさし示すものを見るようになります。これは「共同注意」と言って、スムーズなコミュニケーションの土台ともなるものです。共同注意ができるようになれば、言葉が出てくるのもすぐそこです。言葉が出るようになるまでには、喉や骨格、口元の筋肉などの体の発達に加え、人や周囲に興味、関心を持ち、気持ちを伝えたいと思うようになる心の発達、そして毎日の中での言葉のインプットと、たくさんの要素が複雑に関係しあっています。発語がゆっくりめでも、無理に話すようにトレーニングしようとするのは逆効果になりかねません。その子なりの発達を見守りながら、たくさん語りかけ、その時期ならではの親子のコミュニケーションを楽しんでいくことが大切です。子どもが何か言葉を発したら、親はその都度反応してあげましょう。発達障害があると発語が遅れる?言葉の発達には、個人差が大きいものです。それだけに、周囲の子と比べて「わが子の発語が遅いかも?少ないかも?」と感じて心配になる方も多いでしょう。発語の遅れには、いくつかの原因が考えられます。まずチェックしたいのは、聴覚障害が隠れていないかどうかの確認です。赤ちゃんは、日々周囲の大人が話す言葉を聞くことで、物には名前があること、自分の気持ちを表現することを学んでいきます。けれど、聴覚に障害があると、言葉をインプットすることができません。聴覚障害の有無は、赤ちゃんに音を聴かせて脳の反応を見るABR(聴性脳幹反応)検査によって確認します。相手の口元を見ていることが多いです。聴覚障害がないのに著しく発語が遅れている場合は、何らかの知的発達の遅れの可能性があります。脳の機能に何らかの障害があることが原因で、言葉の意味は理解しているけれど、うまく発語につながらない、というケースもあります。また、知的発達症のある子どもには筋緊張が低下しているケースがあり、筋緊張が低下していると、口の周りの筋肉をうまくコントロールしづらくなるため、発語の遅れにつながることもあります。口や舌、声帯など、声を出すために重要な部位に何らかの異常があることで、決まった音を正しく発音できないことを「構音障害」と言います。不正咬合や口唇口蓋裂、舌小帯短縮症、脳性麻痺による顔面の筋肉の過緊張などが原因となります。適切な治療や言語療法士(ST)によるトレーニングによって改善をめざします。サ行がタ行になるケースが多いですが、マ行、ラ行、カ行などが含まれる言葉が言えるかどうかなどもポイントです。難聴や知的発達症などの原因がなく、運動発達に異常が見られないのに、言葉の発達だけが遅れるものを「発達性言語症(発達性言語障害)」と呼びます。発語の遅れはあるものの、指さしや身振りなどによる非言語性のコミュニケーションは問題なく行えるのが特徴です。発達性言語症のうち、言葉の理解は進んでいて、大人が言うことに身振りや手ぶりで答えられるタイプは「表出性言語障害」と言われます。このタイプは、保育園や幼稚園など、集団生活をすることで発語が出やすくなります。一方、発語だけでなく、言葉の理解も遅れる「受容性言語障害」の場合は、言語療法士(ST)による療育も検討する必要があります。赤ちゃんは、生まれた直後から自分に語りかけられる声、言葉をシャワーのように浴びて育ちます。そして、「あーあー」「ばばば」といったクーイングや喃語、宇宙語のような初めてのおしゃべりに大人が反応し、言葉を返してくれることで、双方向性のコミュニケーションを学びます。ところが、周囲から話しかけられることが少なかったり、テレビや動画の視聴時間が長かったりすると、赤ちゃんは双方向性のコミュニケーションを学ぶことができません。近年、生活環境による言語の発達遅延も指摘されるようになっています。この電子メディアの使いすぎが乳幼児の言葉の遅れにつながるとも言われています。テレビやゲームを利用すると子どもがおとなしく見てくれることが多いので、保護者は楽に感じますが、コミュニケーションの機会が減ってしまいます。また、テレビを見ていないのにつけっ放しにするのも雑音が多くなり、集中しづらい特性があるお子さんにとって生活しづらい環境となっているかもしれません。トランプ、かるた、ボードゲームなど会話のできるアナログ的な遊びや外の公園で遊具、ボール遊び、三輪車などができる機会をなるべく増やすようにしましょう。テレビを消し、赤ちゃんとコミュニケーションをとることは今すぐにでもできる方策だといえます。(一部日本小児科学会雑誌第108巻第4号平成16年「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 提言 | 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」より)このように、発語の遅れにはさまざまな原因が考えられます。1歳半健診、3歳健診などで言語の遅れを指摘されたときには、運動面を含めた全体の発達が遅れているのか、言語の発達だけに遅れがあるのかなど、その原因や背景を確認する必要があります。全体の発達が遅れている場合は、精神運動発達遅延と呼ばれ、何らかの基礎疾患が隠れている場合もあります。さまざまな検査によって原因を見極め、治療や療育を進めていきます。言葉の発達の遅れが気になったときは、まずは専門家のもとで聴力に問題がないかなど、原因を調べることが重要です。また、ご家族だけで不安や心配を抱え込まず、小児科医、保健師、専門家に相談してみましょう。必要なトレーニングがあれば、無理のない範囲で取り入れていくといいでしょう。参考:日本小児科学会雑誌|第108巻 第4号/平成16年4月1日参考:日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 提言 | 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です聴覚障害以外の原因によって言葉が遅れた子への接し方聴覚に問題はない場合は、次の1〜6のような接し方を意識してみるのがおすすめです。「矯正しよう」「早くしゃべれるように訓練しよう」と思うと、親子ともにコミュニケーションが苦痛になってしまうこともあります。日常のなかで、言葉を使ったコミュニケーションが増えるよう、楽しみながら取り組んでいけるといいですね。1言語刺激を豊富にして言語環境に子どもの分かりやすい言葉で繰り返し話しかけましょう。家族のも本来の自分よりおしゃべりになる意識で会話を増やしていきましょう。2子どもの発声や発語に必ず対応子どもが声を出したり、言葉を発したら、必ず「そうだね!」と相づちをうったり、「◯◯だね」とくりかえしたりして、親子の会話を楽しんで。コミュニケーションは楽しい、と思える状況をたくさんつくることが大切です。3言い直しをさせない間違いを指摘されてばかりでは、だんだんとしゃべることに苦手意識を持ってしまうことも。乳幼児期は言葉や発音が間違っていても、直す必要はありません。4発語器官の運動能力を発達させるような遊びを口やのどを使うような遊びや日常動作は、楽しみながら発語のトレーニングにもなっておすすめです。外から帰ってきたらうがいを習慣にしたり、ストローで飲み物を飲んだり、笛のおもちゃで遊んだりすることで、自然と発語器官の運動能力が向上します。5言葉を使わざるを得ない状況をつくる子どもが指さしやジェスチャーで伝えようとしてきたら、「ボールかな?くまさんかな?」など、子どもが答えやすい質問を投げかけておしゃべりを促しましょう。6社会性の発達を促す公園や支援センターなど、ほかの子どもたちの遊びの輪に混ざれるような場所に行くなど、家族以外の人と交流を持てる機会をつくりましょう。言葉の発達は個人差が大!ゆっくり見守って言葉の発達は早めの子どももいれば、ゆっくりの子どももおり、かなり幅があるものです。クーイング、喃語、一語文などが出る月齢の目安も、あくまで平均値ととらえましょう。言葉の発達が遅れる理由としては、大きく「個人差」「聴力の障害」「何らかの障害」などと考えらます。ただ、この中でも最も多いのは個人差です。3歳までなかなか言葉でのコミュニケーションができなかった子どもも、幼稚園に入園してしばらくすると、よくおしゃべりするようになった、というような例もたくさんあります。あせらずおおらかな気持ちで見守っていきましょう。
2022年04月03日運動神経のいい子と悪い子の特徴の違いはどこにあると思いますか?「親の私が運動オンチだから、子どもの運動神経も悪い」「スポーツが得意な子は、パパ・ママの運動神経が遺伝している」「運動神経のいい子は、赤ちゃんの頃から運動神経がいい」と考えているとしたら、とても残念なことです。なぜならば、運動神経の良し悪しは遺伝しませんし、生まれつき運動神経が悪い人は存在しないからです。今回は、「運動神経のいい子の特徴」についてじっくり考えてみました。運動神経のいい子 特徴1:運動環境がいい。遺伝ではない!運動神経のいい子 特徴2:プレゴールデンエイジに運動能力を伸ばしている運動神経のいい子 特徴3:幼少期に「36の基本動作」を習得している運動神経のいい子 特徴4:さまざまな運動をしている運動神経のいい子 特徴5:複数のスポーツを経験している運動神経のいい子 特徴6:自己肯定感が高い運動神経のいい子 特徴1:運動環境がいい。遺伝ではない!運動神経のいい子と悪い子の違い――じつは「遺伝」や「生まれもった才能」が原因ではありません。スポーツ科学の第一人者で、日本女子体育大学学長の深代千之氏は著書『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』のなかで、「生まれつき運動神経が悪い人はいない」と断言しています。では、そもそも運動神経とはどんな神経なのでしょう?深代氏は運動神経について、「運動の指令が脳から筋肉まで送られるときの “情報の通り道” 」と定義しています。また、脳から命令が出て運動につながるまでの神経システムは「神経系」と呼ばれていて、以下のような仕組みで体を動かしているようです。私たちの神経系は、脳と脊髄(せきずい)からなる「中枢神経系」と、そこから出る信号を末端まで送る「末梢神経系」に分かれています。運動神経は、この末梢神経系の一部に必ずあるものです。運動神経がなければ、手を思い通りに動かして文字を書くことも、箸でご飯を食べることもできません。運動神経の有無に個人差はなく、誰にでも同じように備わっているものなのです。そう説明すると、運動に苦手意識のある方は、「脳からの指令を伝達するスピードが遅いはずだ」と思うかもしれません。しかし、脳から筋肉に情報を伝える「伝導速度」にも個人差はありません。(引用元:深代千之(2018),『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』, カンゼン.)※太字は編集部が施したなるほど、運動神経は誰にでも備わっていて、生まれつきの運動神経によいも悪いもないようです。ではなぜ子どもは「運動神経のいい子」と「運動神経の悪い子」に分かれてしまうのでしょう?それはずばり「運動環境の違い」です。深代氏は著書のなかで、「運動神経のいい子」と「運動神経の悪い子」の違いについて、スポーツや運動に必要な “動きのパターン” を経験しているかどうか、つまり、「脳の神経回路をたくさんつくったかどうか」という「後天的な環境の違いによって決まる」と述べています。「運動神経のいい子」は、さまざまな動きのパターンを経験し、運動の基礎となる脳の神経回路を育んでいるのです。この動きのパターンを習得する機会が多ければ多いほど、「運動神経のいい子」になると深代氏は言っています。子どもの運動神経をよくしたいのであれば、動きのパターンをたくさん獲得できるような環境が必要なのですね。次項では、運動神経のいい子の環境について説明します。運動神経のいい子 特徴2:プレゴールデンエイジに運動神経を伸ばしている運動神経がいい子の運動環境について考えてみましょう。運動神経を鍛えるには、年齢や発達段階に適した運動をすることがなによりも大切です。「ゴールデンエイジ」という言葉を聞いたことはありますか?ゴールデンエイジとは、一生に一度だけ訪れる「運動神経が伸びる黄金期」です。この時期に運動環境を整えることで、子どもの運動神経がぐんと伸びると言われています。ゴールデンエイジの年齢については、専門家によって1、2歳の差があるようですが、トップアスリートや子ども向けの運動能力アップトレーニングを行なっているアークアスリート代表・樋口彰美氏は、6~12歳頃をゴールデンエイジと定義しています。またゴールデンエイジ前後の「プレゴールデンエイジ」「ポストゴールデンエイジ」も、子どもの運動神経の発達においてとても重要です。プレゴールデンエイジ(3~6歳頃)神経系(神経回路)の発達が著しい時期。多種多様な動きを経験することで神経系が発達します。プレゴールデンエイジ期にさまざまな動きを経験しなかった子どもは、次のゴールデンエイジで運動神経を高めることができません。 ゴールデンエイジ(6~12歳頃)あらゆる動作を短時間で覚えられる時期。新しい動作を何度か見ただけですぐに身につけること(即座の習得)も可能です。しかもこの時期に覚えた動きは一生忘れません。ただし「プレゴールデンエイジに多種多様な動きを経験している」ということがポイント。プレゴールデンエイジ期に張りめぐらされた神経回路があるからこそ、ゴールデンエイジ期に運動能力が一気に伸びるのです。 ポストゴールデンエイジ(12~14歳頃)脳が発達し、理解力も備わってくるポストゴールデンエイジ期。試合を振り返り反省点を挙げたり、複雑な動作のトレーニングが可能となったりします。また、骨格や筋力、心肺機能の成長も著しい時期なので、走り込みなどスタミナをつけるトレーニングの効果も表れやすくなります。 運動神経のいい子は、神経系の発達が著しいプレゴールデンエイジ期に多種多様な動きを経験し、たくさんの神経回路をつくっていると言えるでしょう。神経系は12歳頃までゆるやかに発達を続けます。もし子どもが6歳を過ぎてしまったとしても、がっかりすることはありません。いまからでも、子どもの運動神経を伸ばすことは可能ですよ!運動神経のいい子 特徴3:幼少期に「36の基本動作」を習得しているでは、運動神経のいい子はプレゴールデンエイジ期にどんな動きを身につけているのでしょう。幼少期の遊びと運動能力に関する研究の第一人者・中村和彦氏(山梨大学理事)は、著書『運動神経がよくなる「からだ遊び」』のなかで、人間の基本的な動きは「36種類に分類できる」とし、以下の「36の基本動作」を幼少期からバランスよく身につけることが望ましいと述べています。(引用元:嬬恋村 子育て支援サイト|遊びが学び~子どもたちの生きる力を育てるまちづくり~)「36の基本動作」は、頭や首の位置をコントロールしたり体のバランスをとったりする「バランス系動作」、体の重心を移動させる「移動系動作」、手や足、道具を操作する「操作系動作」の3つに分かれます。たとえば、鬼ごっこには「歩く」「走る」「くぐる」「よける」などの動きが含まれますし、布団の上でこちょこちょと親子でくすぐり合いをする遊びには、「押さえる」「つかむ」「組む」などの動作が含まれます。中村氏が「運動神経のいい子は、幼少期に生活動作や遊び、運動のなかでさまざまな動きを経験し、多種多様な動作を獲得している」と述べているように、プレゴールデンエイジ期の動作習得が子どもの運動神経を伸ばすカギとなるのです。運動神経のいい子 特徴4:さまざまな運動をしている次は、運動神経のいい子の特徴として、具体的にどんな運動をしているのかを考えていきましょう。文部科学省が公開している『幼児期運動指針ガイドブック』などを参考に、いくつかの運動を取り上げてみます。■鬼ごっこ走る、止まる、かわす、追いかける、急な方向転換など、さまざまな動きを習得できるのが「鬼ごっこ」です。文部科学省が掲げる幼児期運動指針でも、「幼児期に必要な多様な動きの獲得や体力・運動能力の基礎を培う運動」として鬼ごっこが取り上げられています。また鬼ごっこはひとりではできません。友だちとルールを決める、協力し合って逃げるなど、運動神経だけでなくコミュニケーション能力も向上しますよ。■ボール遊び投げる、つかむ、蹴る、持つ、運ぶ、打つ、捕る、押す、引くなど、ボール遊びによって習得できる基本動作は無限大。『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』著者である高橋宏文氏は、「神経に刺激を与える最高のトレーニング」としてキャッチボールをすすめています。野球ボール、ドッチボールなど、大きさの違うボールを投げてみましょう。また、ゴムボールを手の平で打ったり、かかとや太ももでボールを蹴ったりするような、いつもと違うボール遊びも運動神経がよくなりますよ。<キャッチボールの効果について詳しく説明しています!↓↓↓>『自らの体を自在に動かす“7つの能力”と「運動センス」を高める意外な方法』■縄跳び「縄跳びは幼児にとってかなり高度な運動」と話すのは、運動が苦手な子のための運動教室・スポーツひろば代表の西薗一也氏。特に、「体は跳び上がっているのに縄を持つ手は下ろしている」という動作が難しいのだそう。ほかにも、縄のコントロール、ジャンプのタイミング、ジャンプのときの足首の使い方など、コツをつかむまでに時間がかかる動きばかり。焦らずに、子どものペースでチャレンジしてみてください。持久力もつきますよ!<『うんどうの絵本 なわとび』著者・西薗一也先生が練習方法を教えます↓↓↓>『「跳べた!」という強烈な体験が自己肯定感を押し上げる。“プロ直伝”縄跳び練習方法』■スキップ「スキップには足が速くなるポイントがギュッと詰まっている」と言うのは、元プロバスケットボール選手の翁長明弘氏。自身が代表を務めるバスケットボールスクール Sports Intersection Basketball Academyでもスキップ運動を積極的に取り入れているそうです。未就学児や低学年の子どもは、何度も楽しく「スキップ競争」をしているうちに、自然にかけっこが速くなるのだとか。翁長氏はスキップで鍛えられる力を以下のように説明しています。【高いスキップで鍛えられる力】高いスキップをするには、足で地面をしっかりと踏み込み、大きく振った腕で体を引き上げる必要があります。この腕振りは、速く走るためにかかせない「推進力」を生み出す動きです。そして、高く跳ぶために地面を強く蹴る力は、走るときの蹴り出し力と同じ。ジャンプ力アップにも効果◎。【速いスキップで鍛えられる力】速いスキップでは「瞬発力」が鍛えられます。速いスキップをするには、体を前へ、速く運ぶ動きが必要です。この動作が速くなればなるほど、かけっこも速く走れるようになりますよ。鬼ごっこ、ボール遊び、縄跳び、スキップ。この4つは子どもの発達や運動に関する専門家がこぞって推奨している運動遊びです。「ほかにももっと運動遊びを知りたい!」という親御さんは、前述した「36の基本動作」を組み合わせた運動が約300メニューもあるオンライン運動教室 「へやすぽ」レッスンをチェックしてみてはいかがでしょう。運動神経のいい子 特徴5:複数のスポーツを経験している「運動神経のいい子は “特定の” スポーツを習っている」と考える人は多いでしょう。しかしじつは、トップアスリートになるような運動神経の持ち主は、子どもの頃に “複数の” スポーツを経験していたというデータがあるのです。早稲田大学スポーツ科学学術院教授の広瀬統一氏は、「国際レベルの選手のほうが、国内・地域レベルの選手に比べ、幼少時代のスポーツ経験が豊富」と述べています。またNBAとアメリカ代表チームを統括している「USAバスケットボール」の2団体も、広瀬氏と同様の考えを発表しています。どうやら、複数のスポーツ経験が子どもの「多様な運動」につながっているようです。お子さまの運動神経を伸ばすためのスポーツ教室をいくつか紹介します。■スイミング:ティップネス・キッズ(3歳~)頑張る力や向上心など、体の成長だけでなく心も成長できるスイミングスクール。その秘密は、たくさんの「できた!」を体感できる独自のプログラムにあります。大谷翔平氏(プロ野球選手)、錦織圭氏(プロテニス選手)、荒川静香氏(プロフィギュアスケーター)など、数多くのアスリートが幼少期に習っていたスイミング。体験レッスンから始めてみませんか。■野球:ベースボールスクールポルテ(3歳~)元横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清氏が推薦する、地域密着型のベースボールスクール。「安全」「教育」「指導」の厳しい研修を受け、責任を持ったプロ正社員が子どもたちを伸ばします。叱っても子どもは伸びません。ほめることでやる気と責任感が出てくるのです。参加した全員が活躍できる野球スクール。■サッカー:リベルタサッカースクール(3歳~)全国約1,500か所、約20,000人の子どもが通っているサッカースクールで、アドバイザーを務めるのは元サッカー日本代表の城彰二氏。サッカー未経験の子、スポーツに自信がない子、内気な子でも、通っているうちにチャレンジ精神や自主性が身につきます。もちろん、体幹や瞬発力などの運動神経も鍛えられますよ。■空手:東京空手倶楽部(3歳~)すべてのコースに脳科学理論を取り入れ、画期的な練習メニューを提供している空手教室。「ジャンケン」と、空手技である「突き」「蹴り」「受け」の動作を組み合わせるなどの、脳を刺激する練習メニューが多数。空手は両手両足をすべて使うスポーツです。東京空手倶楽部で運動神経をアップさせてみませんか。<代表・瀧川英治氏インタビューはこちら↓↓↓>【脳に“刺激”を与えて集中力をキープする『東京空手倶楽部』のトレーニング!瀧川英治先生インタビュー】■バスケットボール:Sports Intersection Basketball Academy(3歳~)プレゴールデンエイジ期に「多様な動き」「体を動かす楽しさ」を経験してもらうため、【アクティブkids(幼稚園)クラス】【小学校低学年クラス】では、バスケットボールの練習以外にも「運動神経をよくするためのプログラム」を積極的に取り入れている、Sports Intersection Basketball Academy。前述した「スキップ競争」のほか、「手つなぎ鬼」や「ドリブル鬼ごっこ」など、遊び要素満載のプログラムは子どもたちに大人気。ゴールデンエイジまでに、急なストップや方向転換などの動作を習得できれば、バスケットボールだけでなくあらゆるスポーツで活躍できるでしょう。「運動神経はどんな子でもよくなります!」と前出の中村氏は著書『運動神経がよくなる「からだ遊び」』のなかで断言しています。平日はパパと公園でサッカー、週末はスイミングと空手、そしてたまにオンライン運動レッスンなんていうのもいいかもしれません。きっとお子さまは、「運動神経のいい子」になるはずですよ。運動神経のいい子 特徴6:自己肯定感が高い最後にお伝えする「運動神経のいい子の特徴」は、「自己肯定感が高い」ということです。文部科学省が公開している『幼児期運動指針ガイドブック』によると、「積極的に体を動かす幼児は、『やる気』『我慢強さ』『友だち関係が良好』『社交的』など前向きな性格傾向」にあるのだそう。また、幼少期は特に「生活のなかで運動が占める割合」が高いため、運動場面での評価は子どもにとって大きな価値があります。ですから、「運動場面における成功体験」が増えれば増えるほど、子どもは「自分はできる」という感覚や自信が増えていくのです。「『できた!』という経験は自信につながり、子どもの自己肯定感を高めます。すると、子どもはもっともっと新しい挑戦をしたくなる」と翁長氏も言うように、運動神経のいい子は、成功体験と挑戦を繰り返しながら成長しているのですね。***今回は「運動神経のいい子の特徴」を6つご紹介しました。筆者自身、「運動神経のいい子は遺伝子がいいに違いない」と信じていたので、このコラムを執筆しながら、「プレゴールデンエイジ期にもっと公園に連れて行けばよかった、家のなかで〇〇をすればよかった……」と後悔の嵐です。親が運動オンチでも、環境次第で子どもの運動神経はどんどんよくなるのですね!ゴールデンエイジ期もすでに終盤に差し掛かっている娘ですが、まだ遅くないかもしれません。【運動神経のいい子 特徴4】にある、「縄跳び」から始めたいと思います。(参考)深代千之(2018),『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』, カンゼン.中村和彦(2013),『運動神経がよくなる「からだ遊び」』, PHP研究所.Daiwa House|スポーツキッズ×アクティブ土間のある家子どもの運動能力を高める“ゴールデンエイジ”とは?嬬恋村 子育て支援サイト|遊びが学び~子どもたちの生きる力を育てるまちづくり~文部科学省|幼児期運動指針ガイドブック (9分2)文部科学省|幼児期運動指針ガイドブック (9分3)STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|自らの体を自在に動かす“7つの能力”と「運動センス」を高める意外な方法STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「跳べた!」という強烈な体験が自己肯定感を押し上げる。“プロ直伝”縄跳び練習方法公益財団法人日本スポーツ協会|幼児期からのアクティブチャイルドプログラムCHILD RESEARCH NET|運動の苦手な子をめぐってJ-CASTニュース|子どもの「スポーツ英才教育」は危ない早くから専門競技を決めるとケガばかりイトマンスイミングスクール|幼児期の運動能力強化に力を発揮する水泳!東スポWeb|“水泳で五輪に行けた”二刀流・大谷の驚くべき運動能力文部科学省|学校体育実技指導資料第4集「水泳指導の手引(三訂版)」
2022年02月24日4人の子ども育ててます
子育て楽じゃありません
良妻賢母になるまでは。