発達凸凹男子が、授業参観で初めてほめられた日こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。小学校時代は「ワガママ」「協調性がない」と見られて、実年齢より精神的に幼いように扱われることが多かった、うちの長男。でも、中学校に進学して出会った外国人の先生の視点からは、同じ1人の子が全く違う姿に映ったようです。今回のコラムは、ある授業参観日での目からウロコのエピソードと、そこから私が気づいたことをお伝えしたいと思います。出典 : 授業参観日…それは、それまでの私にとって、正直憂鬱な学校イベントに他なりませんでした。だって、小学校時代のうちの長男ときたら、低学年ではキョロキョロよそ見したり、足をモゾモゾしたり、消しゴムを三角定規でみじん切りにしたり…。そして、机の上のピタゴラ装置からうっかり鉛筆を落としては、ガタガタと1人で忙しそうにしていたので、私は少々肩身が狭かったのです。…あ、こっち見てニッコニコで手を振っている。ヤ・メ・テ〜!高学年では、じっと座ってノートを取れるようになったものの、実験やグループワークでは「余計なことをしないのが、自分ができる最大の協力」だと学習してしまい、班行動の蚊帳の外で終始つまらなそう…。本来は好奇心とアイデアいっぱいの長男の、そんな大人しい姿を見るのは親として忍びなくもありました。そして、授業終わりの休み時間などに、担任の先生から「あ、〇太郎くんのお母さん!ちょうど良かった。ちょっとお話したいことが…」なんて声をかけられると、ギクリとしたものです。ところが、私立中学に進学した長男の、ある日の授業参観日のこと。長男の学校は「授業参観週間」があり、その中でならいつ参観してもいいので、長男が「外国人の先生の英語の授業が超楽しい」というから、その時間に合わせて授業を見に行くと…。あの長男が見違えたように、活き活きと挙手をして積極的に発言し、グループワークの時間も皆の意見を不器用ながらもまとめて、リーダーシップの欠片を発揮しているではありませんか!そして、授業が終わると、外国人先生が私のほうに”Hello!"とフレンドリーに近づいてきたので、過去の経験から、思わず身構えそうになりましたが、私が長男の保護者だと分かると、とても親しげに嬉しそうに、先生は長男のことをほめ始めました。出典 : 「彼は素晴らしいね。自分の意見がしっかり言えて、とても大人びていますね」なんとか聞き取れた外国人先生のそんな言葉に、私は我が耳を疑いました。…え!?人違いでは?小学校時代、長男は「ワガママ」「協調性がない」と見られて、同級生達より精神的に幼いように扱われることが多かったので、私は「うちの長男は口は達者だけど、精神面では凸凹の凹があるのかな?」と、思っていました。だから、彼が「大人びている」なんて評されたのは、私の育児史上初の出来事だったので、わが子がほめられた嬉しさよりも、驚きのほうが大きかったのです。でも、母の目から見れば、長男は中学で突然精神的に急成長したわけでもなく(多少は、まあ)、相変わらずのマイペースな宇宙人ぶりで、正直、小学校時代と中身はほぼ同じ。これは一体どういうこと!?その後も、外国人先生は、長男が休み時間などに積極的に話しかけて来て、ゲーム好きな先生と身振り手振りを交えた英語で楽しく雑談をしていることや、長男がどんどん意見を言ってくれるので、授業がしやすいことなどを教えてくれました。私はそこで、フと気がついたのです。「これは、長男自身が変わったのではなくて、この外国人の先生のものの見方や価値観が、小学校の日本人の先生方とは180度違うから、長男の個性をとても好意的に受け止めてくれているんだ」と。文化や価値観の違いで、短所は長所になる出典 : 以前私は、海外在住歴のある知人から、「外国では、はっきり意思表示しなかったり、周りを見ながら自分の態度を決めるのは、”幼稚”だと思われる」と聞いたことがあります(お国にもよるでしょうが…)。確かに、私が見学した、ある小学生向けの体験講座では、遠慮がちな子ども達の態度に、外国人講師の方が「周りを見ないの!自分が思ったことを言えばいいの!」って、少々ムッとされていたことも。日本だと、自己主張せずに周りに合わせることは、「我慢強い」「協調性がある」「大人の対応」等と評価されることが多いでしょう。実際、小学校時代の長男も、たまには先生からほめらることもあったのですが、それは大抵「よく我慢したね」「苦手なことをよく頑張ったね」といった内容がほとんどで、辛抱強く周りとの衝突を避けられたら「〇太郎君、成長しましたね」と喜ばれました。そして長男は、授業中に元気よくトンチンカンな質問をしたり、「おれはこう思う!」と自分の意見を強く主張したり、あるいは他の人の意見に異議を唱えたりすると、失笑されたり、少々困惑されることが多かったようで、だんだんと発言自体をしなくなっていきました。ところが、中学の外国人先生の目から見れば、多少的外れな意見でも黙っているよりはずっとマシで、はっきり自己主張したり、人と違った意見を言えることのほうが、「大人びている」ように映るのでしょう。こういった空気感の教室では、長男は自分の個性を無理に抑え込む必要はなく、失敗を恐れずに遠慮なく発言できるので、授業参加が楽しくなったのだと思います。この日の出来事で、「その環境の文化や価値観、相手のものの見方の違い次第で、短所は長所になるのだ」と、私は改めて実感しました。出典 : ただし、私は日本式の価値観や学校教育を批判したいわけではありませんし、主に欧米的な外国式の価値観による教育が、全てにおいて「優れている、進んでいる」とまでも思いません。なぜなら、日本式の我慢強さや協調性の豊かさに価値を置いた、和を重んじる文化があるからこその、利点やいい面もたくさんあるからです。例えば、日本では、新型コロナウイルスの感染拡大が、都市部の人口密度の高さや高齢化などの不安要素が多い中でも、大部分の諸外国に比べて、これまでかなり抑えられてきたといえるでしょう。それは、「他人や家族に迷惑をかけてはいけない」と、一人ひとりが地道にマスク・手洗いを続け、大部分の人が自分勝手な行動を控えて、(暗黙を含む)ルールや順番を律儀に守って社会的な混乱や衝突を避けてきたことが、大きく貢献しているからではないでしょうか。こういった規律の高い国民性は、幼児教育・義務教育の間から、長年に渡って園・学校での集団行動等を通して、根気よく地道に培われてきた成果だと私は思います。現在高校生になったうちの長男も、以前は「日本は同調圧力が強くてオレには生きづらいから、将来外国で働きたいな〜」なんてボヤいていたのですが、コロナ後の経験を通して、日本の清潔で衛生的で、安心・安全度の高い環境の価値を見直したようで、「やっぱり、地元で進学・就職しようかな」なんて思い始めています。ですから、「どちらがより優れているか」ではなくて、ただ単に「文化や価値観の違い」によって、全く同じ1人の子の個性の見え方・受け止められ方が大きく変わってくる…というだけなのではないでしょうか。たとえ今、わが子が学校でほめられなくても出典 : ただ、今置かれている環境とその子の個性との相性次第で、周りから好意的・肯定的に受け容れられることもあれば、"問題児”として映ってしまうこともあるでしょう。ですから、わが子が学校でほめられる経験が少なかったり、集団行動が苦手で注意や叱責を受けやすいお子さんを育てている方は、お子さん自身と同じように、子育てに自信をなくしがちかもしれません。「協調性」や「我慢強さ」に価値を置く環境の中では、のびのびと個性を発揮できないお子さんも少なからずいることでしょう。でも、それは「1つの価値観」の中での「1つの見え方」に過ぎないのだと思います。たとえ、今いる場所でわが子がほめられなくても、環境次第・相手のものの見方次第で、その子の短所が長所に変わる可能性はいくらでもありますから。きっといつか、お子さんの素晴らしい個性のいいところを分かってくれる人や、その子に合った環境に出会えるはずです。それまで凸も凹も、大事に大切にされますように…。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年06月11日今だから言える小学校時代の「プール」での思い出Upload By かなしろにゃんこ。現在は23歳になったADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太。最近は「あのころはどう思っていたの?」と本人に話を聞いてコラムを書いています。そんな息子はまれに「今だから言うけど」と、とんでもエピソードをぶっちゃけることがあります。先日も「えー何やってんのよー」というものがありました。その中のひとつ『プールの話』を今回はお話しします。リュウ太はボディイメージがうまくできなくて5年生まで泳げませんでした。ですが、プールの授業は大好きで毎回参加をしていました。ですが小4のとき、プールに参加するために必要な体温や保護者のサインを記入する手帳を家に忘れてしまい参加できないことがたびたびありました。Upload By かなしろにゃんこ。ADHDあるあるなのでしょうか?普段から忘れ物に気を付けていても避けられないことがあります。水着バッグはきちんと持参したのに手帳を忘れてプールに入れない!そんな悲劇にリュウ太のテンションはダダ下がり!そんなときはプールサイドで漢字や算数のドリルをやりながら、みんなの泳ぎを見学することになっていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。プールに入れないリュウ太が思いついたこととは!?忘れ物をした自分が悪いのですが、自分以外の人が楽しそうにプールに入っている姿にリュウ太は怒り心頭。「ドリルなんかやってられるか!だいたいプールサイドって眩しすぎて文字が読めないし書けないんだよ!」とブツブツ。『そうだ!ドリルをやらなくていい方法がある!』何かをひらめいたリュウ太はドリルを持ちながらプールから上がってきたみんなのところへ寄っていきました。そして話したり、じゃれたりしながら水が溜まった場所にわざとドリルを落として水浸しに!「ドリルが濡れちゃった、これじゃできません!」とリュウ太は堂々とドリルをやらなくていい大義名分を手に入れました。先生も「濡れたのなら仕方ないな」とそのときは大目に見てくれたのですが、その後もリュウ太はプールに参加できないときには毎回その手を繰り返し使い…当然ながら先生に故意にやっていることがバレて怒られる結果となりました。Upload By かなしろにゃんこ。この一件で『同じ手は3度通じないんだな』『ズルをするとすぐにばれるんだな!』と気がついたそうです。母は「普通は2回目にズルしたときに3回は怪しまれるからやめよう!」と考えるでしょう!とツッコミました。泳げないのでプールは苦手なのかと思っていたら、みんなと遊ぶ自由時間が楽しくてプールが大好きだったリュウ太。小学校時代を振り返って話してみると気づくことがいろいろあります。普段は周りの子と仲良くできないこともありましたが、水の中では裸のつき合いもありふざけ合って遊べたようでリュウ太にとってはプールの授業は大切な時間だったのかもしれません。Upload By かなしろにゃんこ。そのあと高学年、そして中学へ進んだときにはきちんと自分で自主的に検温して水泳参加カードに記入するようになりました。これもプール授業のおかげかな?と今振り返り、改めて思いました。このコラムをかいた人の著書LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月10日2、3年生のときの担任の先生は、親子共々相性ピッタリ!広汎性発達障害の娘は、小学5年生。小学2年生から特別支援学級に在籍し、娘を見てくれた担任の先生は、今年で3人目です。Upload By SAKURA特に小学2、3年生を担当してくれた先生は、1年生のとき、次年度(2年生)からの特別支援学級在籍が決まってからの慣らし時間も含めて、長い時間を娘と過ごしてくれました。私も娘も、この先生が大好きでした。娘のことをいつも褒めてくれ、私のことをいつも労ってくれる優しい先生で、「不安なことや心配なことはいつでも連絡ください」とメールアドレスも教えてくれ、私の個人的な相談にもたくさん乗ってくれました。Upload By SAKURA細かいことによく気がつく先生で、特別支援学級専用の連絡帳もつくってくれ、「今日は○○をしました」「○○を頑張りました」「○○の話をしました」という話を、先生は毎日びっしりと、書き込んでくれました。私からは、家であったことやパニックを起こしたときはその詳しい内容も書き、先生はそれを参考にしながら娘に接してくれていたそうです。密に連絡を取り合っていたおかげか、娘は日々とても安定していて、先生のことを、とても信頼していました。すっかり慣れた先生が代わる!?新しい先生に望んだことは…そんな先生が、担任ではなくなったのは、小学4年生のとき。私は、卒業まで見てほしいと思っていたので、正直とても残念でした。小学4年生、新しく担任になったのは、男の先生。娘は、学校内でその男の先生と何度も話したことがあるようで、問題なさそうでしたが、私はまったく面識のない先生でした。見た感じちょっと怖そうで、今までのように気軽にやり取りができるような雰囲気の先生ではありませんでした。Upload By SAKURAそこで私は、前任の先生と、新しい先生と、私の三人での面談をお願いしました。前任の先生から娘の特性を聞いていたようでしたが、私からも、もう一度、娘の特性や、こだわり、パターン、落ち着く方法などを話しました。Upload By SAKURAそして私は、前任の先生と2年間続いていた連絡帳を、新しい先生にも引き続きやってほしいと頼みました。気軽に言える雰囲気ではないからこそ、連絡帳なら書けると思ったのです。面談のおかげか、新しい先生は娘の特徴をよく理解して、対応してくれました。異性の先生というのもあって、電話での話はいつもぎこちないものになっていましたが、連絡帳はいつも丁寧に書いてくれていて、どんな会話で盛り上がったかなども書かれていました。前任の先生よりは、直接のコミュニケーションが少なめではありましたが、娘がパニックを起こしたときや、不安なときの情報の共有は、連絡帳でしっかりできていました。Upload By SAKURA新しい5年生の担任の先生とも、密に情報共有。そして今年度、小学5年生になり、また担任の先生が代わりました。今度は、新しく小学校に赴任してきた女の先生。感染症予防対策などピリピリした時期だったので、面談をお願いするべきか迷っていたのですが、4年生のときの先生が新しい先生と私を、新学期が始まる前に会わせるため、3人での面談をセッティングしてくれました。さらに、娘の情報も共有してくれ、連絡帳の継続も決めてくれ、とてもスムーズに話が進みました。Upload By SAKURA新年度が始まって、2ヶ月経ちましたが、情報の共有と連絡帳のおかげで先生とはとても密にやり取りができています。娘の特性上必要なフォローも、こちらが言う前にしてくれますし、娘も新しい先生にすっかり慣れました。私の経験上、新年度が始まる前の(前任、新任の両先生を含めた)面談と、密にやり取りができる連絡帳というのは、必要不可欠だったと感じています。特に連絡帳は、親としての不安も解消され、言いにくいことも気軽に書けます。来年の担任の先生がどうなるかわかりませんが、引き続きこの二つは続けたいと思っています。皆さんも、定期面談の機会を、是非活かしてみてください。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月09日わが家の長女は仮死状態で生まれた影響で、発達障害があります。そのため、2歳離れた次女と同じように子育てをしているような状態でした。そんな長女と次女の子育てと、ある日の長女の行動に感動した出来事をお伝えしたいと思います。 長女は次女よりも手がかかる長女は、そしゃく・言語障害などの発達障害があります。そのため、自分でじょうずに食事ができないため、年齢が上がってからも離乳食に近い食事を作り、赤ちゃんのように食べさせてきました。 また、トイレの感覚もわからないようで、何年もトイレトレーニングを続けたりと、赤ちゃんと同じような状態。2歳離れた妹が生まれたのですが、赤ちゃんの次女よりも長女に手がかかる状況で毎日を過ごしていました。 姉妹同じように子育てをしている状態2歳違いの姉妹ですが、同じように子育てをしているような状態の日々。一緒にごはんを食べさせてあげて、一緒におむつを替えて、一緒に寝かしつけて……。 さらに、次女が2歳ごろになると、魔の2歳児が2人いる状態で、かなり大変な毎日になりました。2人とも「自分でやりたい」という意思が強くなり、お互いにライバル心も芽生え、お世話は大変でしたがその分お互いに成長したようにも感じました。 ある出来事に感動して涙…そんなある日、姉妹たちと公園で遊んでいると、男の子が木の棒を振り回しながら次女のほうに近付いてきました。私が次女のほうに向かおうとすると、近くで遊んでいた長女が勢いよく妹のほうまで走っていき、妹をギューっと抱きしめて、男の子に向かって大きい声で叫んで追い返したのです。その姿を見て、「お姉ちゃんとしての自覚があるんだ……」と私は胸が熱くなり、感動して涙が出ました。 今でも、喧嘩をしたり一緒に遊んだりと、お互いに切磋琢磨しながら、姉妹一緒に成長しています。姉が妹を思いやり、妹が姉を思いやる心がどんどん育っています。これからも、そんなわが子たちの成長が楽しみです。 監修/助産師REIKOイラストレーター/まっふ著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2021年06月08日”機嫌がよくても悪くても”止まる宿題たちUpload By 丸山さとこ※濃度の高い水溶き片栗粉を作ると、急激な変形に対しては固体のように反応するダイラタント流体になる。おもしろい実験として”液体の上を走る実験”などが有名。学校から帰ってくると、おおむね機嫌のよいコウです。「家が一番落ち着くし好きなんだ~」というコウは、「家に帰ってきた時点である程度うれしくなる」と言います。コウの機嫌が良いと親の私もうれしくなりますが、機嫌が良いときのコウは”気になること・思いついたこと・今日あったできごと”で頭がいっぱい!おしゃべりが止まらなくなってしまいます。Upload By 丸山さとこ止まらないおしゃべりに反比例して止まっていく手元…そして進まない宿題たちに、「止まってるよー」「その話はあとでゆっくり聞かせてね」「時計見て。時間大丈夫?」などと頻繁な声がけをしてしまう私です。私から声をかけられる度に「そうだね!」「あ、そうだった」と宿題を再開するコウですが、10秒もたたない内に「そういえばね…」が始まります。機嫌はいろいろでも「やることをやる」ためにおしゃべりが止まらなくなってしまうコウには、今のところタイマーが効いています。Upload By 丸山さとこ「タイマーが鳴るまでは、図書室や美術館と同じように黙って静かに行動しよう」とすることで、「今は黙ってる時間だった!」と思い出しやすいそうです。その時々のようすを見ながら、「30分集中するぞ!」「今は15分かな~」というようにコウが時間を決めてタイマーをセットしています。コウの場合、機嫌が悪いときは疲れが溜まっていることが多いため、小さく休憩をはさみながら作業を進めるようにしています。Upload By 丸山さとこその際、漢字の書き取りなら各行の冒頭部分だけ書いたり、算数なら問題(式)だけを書き写したりしておくと、あとで「何してたんだっけ?」とならずに進められるようです。また、”目線を大きく動かして書き写す作業”が苦手なコウにとっては苦手な作業を分割することで楽になるところもあるようです。何をどうやってもできない日はある…!?以上のようにコンディションを整えたり工夫をしたりしても、どうしても宿題が進まない日はあります。「漢字ドリル3時間コース」「半分も終わらない内に力尽きる計算ドリル」などはわが家にとって”あるある”なパターンです。Upload By 丸山さとこ”絶対に出さないといけない”とすれば入浴や就寝などの日常生活が圧迫されるものの、”できたらでいいよ、なるべく出そうね”などとフワッとした態度でいるわけにもいかないのが宿題です。親の私としても、『促しはするけれど…強制したところで地獄絵図だしな~!!』というジレンマを抱えつつ見守る毎日の中、”やれるだけやろう”という曖昧な方針になってしまいがちな、わが家の宿題事情でした。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月07日答えを導くための支援の手立てにーー『子どものつまずきからわかる 算数の教え方』放課後等デイサービスなどで学習支援に関わった筆者・澳塩渚さんが数多く見てきた『算数のつまずき』。この本は子どもたちの発達によってどのように数理解が進むのかを理解し、子どものつまずきをアセスメントしながら必要なサポートに取り組めるようにつくられました。数学を学ぶ前に理解しておきたい数理解のステップを①大きい・小さい ②まとめる・分ける ③対応させる ④数えていくつ ⑤合成・分解と5つに分類し、項目ごとに丁寧に説明。小学校入学後に算数でつまずきを抱えてしまった場合、このステップをさかのぼってチェックすることによって子どもがどこでつまずいているのかわかり、適切な支援を行うことができます。もちろん、足し算、引き算、九九、わり算、小数や分数、時計の読み方、文章問題の解き方など小学校4年生程度で学習する内容をつまずきやすいポイントの例を挙げ、かわいいイラストを交えつつ丁寧に説明。子どものやる気を引き出す手助けになりそうな、数の理解をサポートする商材の紹介もあります。これから小学校に入学する子、今まさに算数を学んでいる子、そしてうまく学べないまま学年が上がってしまった子の『学びなおし』にもおすすめの一冊です。レシピ70点×育児書では教えてくれない子育てエッセイ『食べないっ子も、いただきます!うちのやさしいかいじゅうごはんレシピ』「毎日の食事を楽しんでほしい」そんな気持ちから生まれた料理研究家ママと感覚過敏をもつ長男とのごはん時間を描いたエッセイ本です。発達遅滞の診断と感覚過敏のある、著者・あまこさんの長男・そうりくん。料理には興味があっても食事にはあまり関心がないそうりくんのおうちでの「7つのルール」など楽しく食事をするためのヒントがたくさん詰まっています。朝ごはん、おやつ、お弁当、夕ごはん、行事ご飯などカラー写真と共に70レシピが掲載。キャンプレシピなどもあり、どれも簡単につくれておいしそうなものばかりです。食材を食べやすくする工夫、食器などのお役立ちツールなども紹介されています。そうりくんの成長の様子や、子どもの偏食に詳しい田部絢子先生に聞いた食事の「こまった」を解決する子どものごはん支度が楽になる5つの視点など、子どもの食事に困りごとを抱えている保護者の方に読んでいただきたい一冊です。怒りを笑いに変える!?『ぼく、わたしのトリセツ』大阪の小学校で教師を務めている著者の松下隼司氏が、アンガーマネジメント(怒りの感情のコントロール)を突き詰めるなかで編み出したテクニックを絵本化したのが『ぼく、わたしのトリセツ』です。この本にはいつも怒られてばかりの『ぼく』と『わたし』の扱い方が描かれています。一度拗ねてしまうとたとえ自分が悪かったとしても謝ることができない子。そんな男の子にどうやったて接したらいいでしょうか。それは給食の時間に話を聞いてあげること。スムーズに問題が解決します。さらには『おかわりタイム』の時間が効果的。あっという間に謝ってくれるでしょう。謝ったら“メガもり”にしてあげてください。このように『ごめんなさいが言えない子』『けんかばっかりしてしまう子』『つい、えらそうにしてしまう子』などなど、ご家庭でも悩みの多い問題に対して、ユーモアを交えた解決方法を提示しています。自分の怒りの感情をコントロールしようとアンガーマネジメントの資格を取得し、ファシリテーター、キッズインストラクターの資格も取得した著者が行きついた『怒りを笑いに変える』ということ。子どもをついつい怒ってしまう…そんな保護者の方にぜひ読んで頂きたい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月05日療育と園の連携で私が感じた効果Upload By koto娘が通っている事業所は、保育所等訪問支援事業を行っているので、制度を利用する手続きもスムーズでした。園での困りごとや娘に対しての接し方、対処法などを直接それぞれの先生同士で話し合っていただいたり、訪問して園での様子を見ていただいたりしていました。定期的な訪問ではなく、困りごとが強く出ているときにお願いしていました。私も一緒に行くわけではないので、娘の様子や園との話し合いの内容などは訪問後に教えていただきました。特性のある子への接し方や対処法を直接専門家の先生と相談できるので、園のほうから連携をお願いされることも。また、特性のある子への接し方は定型発達の子にとっても分かりやすい接し方だったりするので、他の子たちも園生活や学校生活がスムーズになることも多いようです。例えば、次の行動に移るまでに時間がかかってしまったり、切り替えが遅かったりする娘。療育の先生と園の先生で連携をとっていただき、分かりやすいようにタイマーを利用してもらっていました。それによって、あとどれくらいでお昼ごはんを食べ終われば良いか、工作をあとどれくらいで完成させれば良いかなど、本人にとって分かりやすくなったようで、次の行動への切り替えがスムーズになったこともありました。この取り組みはクラスのほかの子にとっても効果的だったようです。ありがたい専門家の方の存在Upload By koto特性のある子を育てている保護者は、その子と何年も向き合っているとはいえ、専門家ではないため対処法が分からないという状況もたくさんあると思います。私もその1人です。園での困り感を先生やほかの人から相談されたけれど、どう対処していいか分からず困ってしまったとき。間に入って連携を取ってくださる専門家の先生がいると、とても安心です。トラブルなども、子どもから聞く話と先生から聞く話、ほかの子から聞く話では違っていたりすることがあります。間に入って冷静な判断をしてもらえると改善することが明確になったり、頭が冷えることもあるので、連携をとってくださる先生の存在はとてもありがたいものです。また、学校や園の先生からしても、保護者には直接言いにくい困り感などがあったとき。連携の先生に相談していただくこともできるので、両者にとってメリットがあると思います。保護者だけではつい感情的になってしまったり、どうしていいか分からず頭を抱えてしまう場面でも、専門の先生が間に入ってくれることで、スムーズに解決できることが多いのではないでしょうか。もし、通っている療育機関が保育所等訪問支援事業を行っていないとしても、相談に乗ってもらったり、対処法や接し方を教えていただいて、それを家や学校で試してもらうこともできます。1人で抱え込まないよう、利用できる制度があれば頼ったり相談してみても良いと思います。過ごしやすい環境や状況を協力してつくっていくUpload By kotoいずれにしても子どもや先生、クラスの子たちが過ごしやすい環境や状況を、協力してつくって行くことが大事なので、園や学校の先生との良好な関係性が必要だと思います。頻繁に訪問をしてもらったり、連携をとっていただくのは先生方にとっても大変なことなので、日ごろからどちらの先生とも情報交換を自身で行い、試行錯誤しながら解決していければと思っています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月04日仕事での学校との出会い僕が最初に「学校」というものに触れたのは、児童精神科医として勤務しはじめてすぐのころでした。当たり前ですが、発達障害や不登校の子どもは学校でも困ったことが発生します。ですから、患者さんが先生方やスクールカウンセラーと一緒に外来を受診することもありました。ところが、僕が小学校を卒業したのはその時点で20年以上前です。外来で話を聞いても「この子が困っている学校って、そもそもどんな場所だったっけな…」とあまりうまく想像ができませんでした。そこで「現場では実際にどう困っているのか」に興味が湧き、折に触れて「学校に行ってみたいです」という話をしていました。学校から仕事が来たそんなことをあちこちで言っていると、少しずつですが学校から仕事の依頼を頂くようになりました。教員向けの研修講師や、ケースのコンサルティング(困っている子どもの様子を観察して教員にアドバイスする仕事)です。そうやって少しだけ学校に出入りするようになった僕は、そこで3つのことを感じました。1 先生たちは納得していない2 自分で見ないと分からないことがある3 やっぱり学校は良い場所だ学校で仕事をして気づいたこと研修では一般的な話もしますし、質問があった場合には具体的なケースの対応策などもお話しします。熱意があって前向きな先生は一生懸命聞いてくださるのですが、全体研修ではそんな先生ばかりではありません。うしろのほうで眠そうにしているベテランの先生や、明らかに興味のなさそうな管理職の先生もおられました。僕が国立病院の医師として「外部講師」に招かれ、話をしている限り、研修を受けても意識は変わらないんだろうなと思いました。その場では「貴重なお話をありがとうございました」とお礼を言ってくださっても、職員室では「あんなことできるわけない」と話しているのではないかと。そこで僕は「外の人」ではなく「中の人」になればいいんじゃないかと思ったのです。先生方がなぜ興味が持てないのか、なぜ納得できないのか、どうすればできるようになるのか。僕が外から偉そうなことを言ってるだけではだめなのではないかと。学校の様子は、診療中には子ども本人や保護者の方から伺います。しかし、見たことのないものは想像することができません。先ほども書きましたが、僕が自分の学校に行っていたのは20年前の話で、しかもいま働いている場所ではありません。時代も地域も違う学校のことを想像するのは難しい。実際に見てみた学校では「授業中立ち歩くってこういうことか」「この位置関係だと先生が個別に指示するのは難しいな」など、現場を見るからこそ気づくこともたくさんありました。僕が学校に行ってみた一番の感想は「学校は良いところだ」です。たくさんの子どもたちが生活を紡いでいて、彼らの成長を願っている大人たちが一生懸命に働いている。一見つまらなく感じるかもしれないような、小さなこと一つひとつを大人と子どもがお互いの視点から悩み、より良い人生になることを願っている。こういう「素敵な祈り」がある場所に、もっと触れていたいなと感じました。学校の「中の人」になりたいそんなエピソードもあり、僕は学校の「中の人」になる方法はないかと考えました。そうやって悶々としていたある日、友達のスクールカウンセラーから「精神科医はスクールカウンセラー採用試験の受験資格あるよ」という話を聞きました。なぜ採用対象に医師が入っているのかは謎でしたが、一も二もなく採用試験に申し込み、無事に東京都教育委員会に採用されました。中の人になってみて思うのは、やはり現場を知らずにコメントをしても実効的ではないということ。そとからの「こうあるべき」と学校現場がマッチしないことはしばしばありますし、全体の流れの中でしか分からないこともあります。定期的に見ているからこそ分かることや、先生たちの考え方、思い、できることとできないこと。教育行政のカタさや、一方でどういう方法ならその難しさをクリアできるのかなど、新しい学びがたくさんあります。(詳しくは次回以降で触れられればと思います)また、実際に働いてみると学校現場は楽しく、生き生きとしたものだと感じています。(ただ、子どもたちのエネルギーを浴びてものすごく疲れますが…笑)※厳密にはスクールカウンセラーは「学校の中の人」ではない立ち位置なのですが、僕的には「中の人=学校で定期的に働いてる人」でいいかな、という整理です。とにかく学校はいい!しつこいようですが、学校というのは本当に素敵な場所です。たくさんの大人が、たくさんの子どもの成長と幸せを願っています。(保護者の方によってはそうは思えないこともあると思いますが、基本的には学校関係者は善良で前向きな方が圧倒的に多いと思います)そういう場に身を置くことによって、また僕自身も子どもたちの未来に思いを馳せられる。誰かの暮らしの中で働くと、こういう楽しみがあるのだなと感じています。
2021年06月01日小3で聴覚過敏の診断Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ聴覚過敏と診断されたときに聞いた、「内耳の成長とともに、聴覚過敏が改善されることもある」という医師の話を思い出し、「これはもしや良くなる傾向では?」と勝手に浮かれてしまいました。今春、5年生になり、コロナ禍の不安な新生活は続いていきます。すると…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ再びイヤーマフが必要に再び、イヤーマフが手放せなくなった娘イロハ。いったんは「快方に向かっているのでは?」と勝手に思い込んでいた私は、娘の発言に多少ショックは受けましたが、聴覚過敏は、ストレスや疲れが大きく関係することもあるのだということを思い出しました。考えてみれば、大人の私でさえ、なかなか収まらないコロナ禍でストレスを抱えています。昨年からマスク生活を強いられ、本来ならば一番友達と密に遊びたい時期だというのに、距離を取り大声を控える生活は、小学生にとって苦労の多い生活だと思います。新しい生活をスタートした娘には、過敏にならざるを得ない環境下なのだろうと理解し、あせらずゆっくり見守ることにしました。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月31日特別支援教育コーディネーターとは?特別支援教育は、発達障害を含めた障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けて、校内外の関係機関のネットワークやチームワークによって一人ひとりのニーズに合わせた支援を実現するという教育の考え方です。改正学校教育法の施行に伴い、平成19年4月1日より全国の学校・園で特別支援教育が本格的に実施・推進されています。特別支援教育コーディネーターは各学校や園に配置され、特別支援教育の推進のため、主に以下の役割を担っています。・校内委員会の企画・運営・関係諸機関・学校内関係者との連絡・調整・保護者からの相談窓口特別支援教育コーディネーターは、教諭が兼ねています。小学校・中学校の場合は担任をしている先生、養護教諭の先生、特別支援学級の先生が、こども園・幼稚園の場合、役職上の主任である教諭が特別支援教育コーディネーターを担当することが多いようです。自分の学校や園における特別支援教育コーディーネーターがわからない場合、学校や園に問い合わせてみてください。特別支援教育の推進について(文部科学省)特別支援教育コーディーネーターの具体的な仕事内容は?出典 : 特別支援教育コーディネーターは、保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また、学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担う者として位置付けられます。(1)学校内の関係者との連絡調整・校内委員会の推進特別支援教育コーディネーターは校内委員会(※)の企画・運営を担い、協議を円滑にできるようにしていきます。また、支援を必要とする児童・生徒の情報を収集し、必要に応じて特別支援教育支援員 、スクールカウンセラー等、学校内の専門スタッフとつなげる連絡調整役を担います。保護者や担任の先生とともに具体的な支援内容や方針の確認等を行うケース会議を実施したり、児童・生徒の個別指導計画を作成し、実施、評価、改善を行う役割も担います。※校内委員会:児童生徒の担任の先生のほか、校長、教頭、学年主任等、養護教諭などで組織され、効果的な指導や対応に向けて情報を共有し、全校的な支援体制をとるもの(2)外部の関係機関との連絡調整特別支援教育コーディネーターは、外部の専門家チームや、医療・福祉の関係機関等との連絡調整が必要になった場合の窓口となります。地域の医療・福祉の関係機関等やそれらが提供している支援内容について情報を収集・整理し、必要に応じて教員や保護者へ情報を伝えます。(3)保護者に対する相談窓口保護者に対する学校の相談窓口となり、保護者を支援します。併せて、通常学級の中で教育上特別の支援を必要とする児童・生徒に効果的な教育的支援を行うために、対象児童の保護者だけでなく全ての保護者に対して特別支援教育の重要性についての理解の推進を図っていきます。(4)担任への支援・進級時の引き継ぎ調整担任の先生に対して相談に応じたり、助言したりするなどの支援を行います。また、児童・生徒の進級時には、新旧の各学級担任間で教育上特別支援を必要とする児童などに対する指導方針が異なることのないよう、校長の指示のもと、その調整を行います。(5)巡回相談員や専門家チームとの連携巡回相談員及び専門家チームとの連携を図り、支援内容の改善につなげていきます。特別支援学校においても特別支援教育コーディネーターは、保護者や関係機関に対する学校の窓口、また、学校内の関係者や福祉、医療等の関係機関との連絡調整の役割を担います。加えて、各学校の教員の専門性や施設・設備を活かし、地域における特別教育に関する相談を受けるセンター的役割があります。地域の小・中学校への支援や、地域内の特別支援教育の核としての関係機関との連絡調整を行い、ネットワークの構築や協力関係を推進するための情報収集・情報共有を行います。特別支援教育コーディネーター実践ガイド(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 )発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン(文部科学省)保護者から相談してもいいの?合理的配慮を受けたいときは?出典 : 特別支援教育コーディーネーターには、保護者からの相談窓口を担う役割があります。子どもの学校の様子が気になるときや支援内容を相談したいとき、担任の先生以外にも、特別支援教育コーディーネーターに直接相談するという方法があります。通常学級に通っていても、発達の気になる子どもへの配慮や支援、特別支援学級への移籍についての内容等も特別支援教育コーディーネーターに相談することができます。また「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」(文部科学省)には、以下のような記載があります。特別支援教育コーディネーターは、各学級担任とともに、児童本人や保護者等から、現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明を受けるなど、合理的配慮の提供に当たっての相談窓口としての役割も果たします。特別支援教育コーディーネーターは保護者から合理的配慮についての相談を受けると、その内容を担任の先生へと共有し、配慮を受けられる環境づくりを助言することになります。合理的配慮を受けたいが担任の先生に相談しづらい、どのように伝えるべきかわからない、などあれば、特別支援教育コーディネーターに最初に相談してみると良いでしょう。まとめ出典 : 特別支援教育コーディーネーターは保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また、学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担い、子どもたちのニーズに合わせた支援をサポートします。発達の気になる子に対する支援や合理的配慮について、保護者から相談を受ける窓口でもあるため、必要に応じて相談してみてください。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月30日人づきあいがヘタだったADHD息子、自己主張を解放してトラブル⁉Upload By かなしろにゃんこ。ADHDで広汎性発達障害がある息子のリュウ太は保育園時代から人間関係でうまくいかないことばかりでした。小学校時代は自分の趣味のことを話したくて早口でしゃべって周りに聞いてもらえなかったり、趣味が周りと合わなくて話の輪に入っていけなかったり、みんなと同じ話題に合わせることもしませんでした。その結果、親しい友人は少なく、周りとはケンカばかりで、楽しい会話などできず相手に対して暴言ばかり言ってしまうという状態でした。ですが、息子が中学生のころ、私が発達障害の自助会での勉強会で教えてもらった「発達障害がある人向けのコミュニケーションと人づきあいのルール」を息子に伝えるようにしていくと友人が一人二人と増えていきました。Upload By かなしろにゃんこ。自分の趣味の話はセーブをして友人の趣味に寄り添う方法を取っていたことで友人間のケンカやトラブルはほとんど起きなくなりました。しかし、車の整備士を目指すための専修学校高等課程に進学してからは、これまで自分の趣味の話をセーブしてきた反動か?同じ車が好きな者同士が集まる場所で、リュウ太は自分の興味のある話題を話したり、自己主張するようになっていったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。得意な車の会話を武器に積極的に話をしていった結果、たくさんの友人ができました。Upload By かなしろにゃんこ。これはリュウ太が会話上手だったからではなく、同じ趣味を持つ者同士という環境の中では『時系列で話せない』『要点のまとめがヘタ』『語彙力が乏しい』など多少コミュニケーションに難があっても、共通の話題で盛り上がれることが大きく、また明るく話しかける姿勢が功を奏したのだと思います。リュウ太もマニアックな会話が思う存分できて毎日学校が楽しかったと言います。その反面、専修学校にはくせの強い人も多く、中には楽しそうにしているリュウ太を疎ましく思っている人もいたようで嫌がらせもありました。出るくぎは打たれるというやつでしょうか。Upload By かなしろにゃんこ。同じクラスのA君には、物を取られたり壊されてしまうということがありました。B君は、リュウ太が嫌がるような言葉を投げつけてきたり、金銭を要求することもあったといいます。A君もB君も目立つタイプで影響力が強いために、学校の友人も助けづらそうな様子だったということもあり、リュウ太も「困ったことが起きても一人で解決しようと友人に相談することはなかった」と言います。小中学校のときからいじめてくる人に対して抵抗して負けずに戦ってきたリュウ太。助けを求めず自分で解決しようと思っていたようですが、嫌がらせがエスカレートしてくると「学校にイヤなヤツがいるから学校を辞めたい」と言うようになったため親子間で話しあうことにしました。リュウ太の話を聞くと、A君・B君が関わってくるのは、リュウ太のことが気になっているから故なのかなと感じました。Upload By かなしろにゃんこ。いじめたときにどんな反応をするんだろう?暴力や脅しが効いているか?リュウ太の反応を見て、優越感だけではなく罪悪感も感じているのかもしれない。自分の中にあるさまざまな気持を確認する手段となっているのかもしれないーー。息子たち同士での解決は難しそうだと感じ、学校の先生に相談してみたものの、人間関係のことは自分たちで乗り越えるようにという方針であまり力になってくれない様子。そこで、「暴力と金銭を要求する子に対して弁護士に相談することにします」と伝えたところ、先生も介入してくれるようになり、相手に注意をしてくれました。A君は保護者が謝罪に応じてくれましたが、B君は元々学校にあまり来ない状態でもあったためか退学となり、いじめ問題は一旦は解決しました。私は学校が対応してくれなかったらいじめ対策専門の弁護士に相談しようと思っていました。Upload By かなしろにゃんこ。しかし、リュウ太自身も変わらないことには、根本的な解決にはならないのではないかと思いました。そこで、私は『リュウ太には目をつけられやすい特性がある』と言うことについて話をすることにしたのです。集団の中では目立たずに過ごすこと、そのために➀自己主張を再びセーブすること②大きな声で喋らないようにすること集団の中でうまく渡っていく方法をアレコレと伝えても覚えられませんし実践できないものです。ですから2つだけ伝えることにしました。リュウ太が持つADHDの天真爛漫な個性を殺してしまうのはかわいそうなので、あくまで集団の中で自己主張をしないキャラの演技をするだけだよ!としました。Upload By かなしろにゃんこ。この方法を実践したそのあとは学校での人間関係で大きなトラブルもなく過ごし卒業することができました。そのことがあったからかリュウ太は人の心理というものを調べたりして距離を置いてつきあう方法なども考えるようになったと言います。自分が他人にどう思われているのかなんてわかりませんから、失敗しながらパターンで覚えるしかないですよね。表現することが求められる場所では目立っていいけれど、そうでない日常では目立つことは目をつけられやすくなるーーということを理解して成長していってほしいと思うのでした。現在23歳になったリュウ太、今は思いっきり趣味の話をしたいときは同じ趣味の人が集まるオフ会や集会に行くようにしているそうです。そこは自分よりも年上の人が多く集まる場所なので主張などは控え目にしているそうです。まだまだ人づきあいを学んでいる最中です。このコラムをかいた人の著書LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月29日前回の話はこちらわが家が住んでいる地域の小中学校は情緒学級がなく、次男のように知的発達の遅れがなく、情緒面でのつまづきがある子どもは通常学級で週一度の特別支援教室に通います。今から4年前に、通常学級での集団生活が始まった次男は、社会生活に適応できず苦労しました。ちょうど、療育センターの新患受け入れが再開され、正式にADHDの診断がおり、特別支援教室にも通えるようになりましたが…。医療と教育の環境は整い始めたものの、問題は家庭での関わり方でした。たちはだかる小1の壁。できないことに目がいきガッカリ…Upload By スガカズ集中して学習に取り組めないこと、集団生活が難しいこと、特定の音に敏感などの原因から学校ではさまざまな困りごとがありました。私は少しでも学校生活を円滑に過ごせるように、他者との摩擦が減るように奔走しますが、親ががんばった分、子どもができなかったことにがっかりする日々でした。次男に合った支援を模索しますが視覚優位であるものの視覚支援は当てはまらず、大人しく他害のない自閉症スペクトラムの長男に合っていた方法も、次男には合わないことが多かったです。自分の子が小学校でほかの子に迷惑をかけているという焦り通常学級なので、クラスのほとんどは定型発達の子どもたちです。席を立たず頑張って授業を受けている姿、クラスのお友達と休み時間に外遊びに出て、チャイムが鳴ったら教室に戻ってきてまた授業を受ける…そんなメリハリのついた行動がとれる子どもたちの前で壁を蹴る次男。そんな状況を目にし、「周りに迷惑をかけている」「どうしたらこの問題が解決するのだろうか」と頭を悩ませていました。そうこうしているうちに2学期になりました。運動会の練習や勉強のレベルが難しくなったこともあり、次男のストレスがますます溜まっていきます。子どもたちが寝静まったあとに「今日も叱ってしまった。本当は叱りたくないのに…」と落ち込みましたが、朝になると同じことの繰り返し…。もがけばもがくほど抜け出せない負のスパイラルにおちいっていました。そんなある日、忘れもしない経験をします。ようやく気づけた次男の本音Upload By スガカズある日の放課後、小学校に隣接している学童から1本の電話が入りました。(当時は放課後等デイサービスを利用しておらず、長男と同じ学童に通っていました)どうやら学童を無断で休んで遊びにいこうとしていたところ、学童の先生が見つけて連れ戻してくれたようです。気分がのらないようだから、学童を休ませようと、次男を迎えにいきました。すると次男の様子がおかしいことに気がつきました。次男はこわばった表情でモゴモゴと口元を頻繁にゆがませていました。私はその様子を見て「チック症だ」と理解しました。「次男は最近のことについて何か話していましたか?」と私が学童の先生に尋ねると、先生はうなずき、次男が話していた内容を教えてくれました。てっきり「お母さんに叱られるのが嫌だ。」と話していたのかと思いきや…根本的な原因は違っていたのです。次男の本音は、「もっとお母さんにかまってほしい」Upload By スガカズお母さんにとっての一番になりたい。自分を見て欲しい。うまくいかないことばかりで怒っちゃう。もっとお母さんと遊びたい。もっとお母さんに甘えたい。…でもそんなこと言えない。妹と弟はまだ小さいからお母さんが大変なのわかってるんだ。オレにはお兄ちゃんがいるからいいんだ。次男が学童の先生に言った言葉には、そんな『どうにも解消できない気持ち』が込められていると感じました。私はようやく自分の育児の中途半端さに気がつきました。家に帰ってから次男に今までの行動について心の底から謝罪しました。Upload By スガカズ次男は人とケンカしたときに、「いいよ」「ごめんね」がなかなか言えない子でした。ですが、この日はハッキリと、私の目を見て、大きな声で「いいよ!」と言ってくれたのです。発達障害のある子どもは、さまざまな特性から生きづらさを感じ、問題行動をおこしやすいです。ですが、本来は人を思いやれるやさしい子だったと改めて気づけました。「下のきょうだいを優先したことで、寂しい思いをさせていた。その分次男と仲良く遊んだり、思っていることを肯定するべきだった。」2年にわたった次男とのわだかまりがこの日から少しずつ解消されていったように思います。あのとき次男がチック症になっていなかったら…自分の言葉で私への気持ちを先生に伝えていなかったらどうなってたのだろうといまだに思います。自らヘルプを出してくれた次男に感謝しています。紆余曲折ありましたが現在小5になりました。時々クールダウンが必要なものの、自分の気持ちに正直で、愛敬のある友達思いな子に変化していきました。今でも寝る前にはハグをして、「大好きだよ」と伝えています。Upload By スガカズLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月28日前回のお話はこちら3回目の保育所等訪問支援3回目の保育所等訪問支援はむっくんが年中の夏から冬にかけて月に1度、半年間継続で受けました。目的は小学校生活を見据えての支援を模索することです。これまでの保育所等訪問支援では、むっくんが困っている場面を思うように見てもらえなかったことから、このときは行事の練習、制作活動、運動遊び、集団でのレクリエーション、給食の様子など、むっくんの苦手な活動を積極的に取り入れ見てもらいました。小学校生活へ向けて、たくさん貰ったアドバイスUpload By ウチノコ3歳、4歳で受けたときは園内の環境調整についての指摘が多かったのですが、年中では本人の自立や、成長を促す取り組み、また特性とどう折り合いをつけるかという視点でのアドバイスをたくさんいただきました。たくさんありすぎて紹介しきれずもどかしいのですが、その中でも「むっくんは人の役に立つことが大好きで、人が喜ぶ姿がトークン(ご褒美)になります。タダだからラッキーね!だからたくさん関わって、助かったよ、ありがとうをいっぱい伝えてあげてね」というアドバイスは、むっくんは人との関りが苦手な子だけどそれでもこの子は人が好きなのだなぁと思えてとても嬉しかったです。Upload By ウチノコ先生と支援者を繋ぐ実はこのときの担任の先生は当初むっくんへの接し方が掴めず、とても悩んでいらっしゃいました。むっくんは先生の不安そうな様子にますます大荒れしてしまい、私も頻繁に面談したりと、本当に大変な年中さんスタートでした。Upload By ウチノコですが、月1の保育所等訪問支援のたびに先生は次々とむっくんの取り扱い方法を学んでいかれました。適切な関わり方が増えるたびに、驚くほどむっくんは穏やかになり、先生も自信をつけていかれました。保育所等訪問支援が終わるころには、むっくんは別人のように落ち着き、先生との信頼関係も確実なものにかわりました。この変化には、支援員さんもびっくりされていました。Upload By ウチノコ保育園では、支援員さんからのむっくんへのアドバイスがほかのクラスの先生方にも共有されており、接し方が難しいほかの子どもたちにも応用されているようでした。むっくんが卒園した今も、知識は先生方の財産としてむっくんの後輩たちの生活を支えています。さらに、担任の先生はその後、支援員さんとの繋がりがきっかけになり、市の保育士の研修会で講師としてむっくんへの取り組みを発表されました。発達障害がある子への適切な関わり方は、子ども個人を尊重し大切にする関わり方です。これは、発達障害の有無にかかわらず、どの子に対しても好ましい関わり方だと私は感じています。すべての子どもたちが、丁寧に大人にかかわってもらいながら成長していけたら、こんな素敵なことはありません。専門家と先生を繋げるということは、私が思う以上のプラスの影響をあたえるのだなと驚いたとともに、本当に受けてよかったと思っています。Upload By ウチノコ施設への接し方を学ぶむっくんは関わり方が難しく手がかかる子だったことから、私の心は保育園に対して「申し訳ない」でいっぱいになるときがありました。もう少しこうしてほしいと思うことがあっても「申し訳ない」が先行して言い出せないときもありました。保育所等訪問支援も、迷惑になっているのではないかとドキドキしていたこともあります。だけど、保育所等訪問支援を通して学んだ知識のおかげで、むっくんの行動を観察して考える力がつきました。そのおかげで施設に何を伝えたら理解が得られるのか少しわかるようになりました。さらに、支援員さんの姿から保育園との話し合いでは、どのように伝えれば伝わるのかということも学ぶことができました。おかげで、今は何かあっても、施設側とスムーズに話し合えるようになりました。伝えることは迷惑ではなく、回り回れば先生やたくさんの子どもたちを幸せにするチャンスにも成りえるのだと今は思っています。Upload By ウチノコおわりに私にとってもむっくんにとっても保育所等訪問支援は、とても貴重な体験でした。環境の整った療育教室で学べることも多岐にわたります。だけど整っていない日常生活の中でのアドバイスだからこそ、学べたこともたくさんあったように思っています。支援員さんとの出会いに、今も本当に感謝しています。さて、4話にもわたるお話を読んでくださってありがとうございました。発達障害の子の集団生活での心配は尽きることがないかと思いますが、集団生活でのサポートに悩んだとき、こんな選択肢もあることを心に留めておいていただけたら幸いです。Upload By ウチノコ発達ナビライターによる園生活の困りごとエピソードを集めました。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月27日埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスおりひめでは、生活における基本動作や能力を習得し、集団生活や社会生活に適応できるよう学んでいきます。晴れた日は、おりひめオリジナルの散歩コースで外歩きや、スポーツで身体を動かし、体力の向上を図ったり、音楽・絵画などを通して、感性を磨き魅力的な内面になるよう成長を見守ります。宿題や自学習などは、保護者の方のニーズに沿い個別に対応。本人や家族の気持ちに寄り添い、サポートしています。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見るUpload By 発達ナビ施設情報児童発達支援では、生活における基本動作や能力を習得し、集団生活や社会生活に適応できるよう支援を行っています。基本的な物の名前を学んだり、リトミックを通じて表現のバリエーションを増やすほか、アートにも触れあうことで、新しい発見に驚き感動する、豊かな感性を育むよう取り組んでいます。本人やご家族の気持ちを尊重しながら、おともだちや職員との交流を通し、人と繋がることの楽しさを知るきっかけづくりをします。延長保育もあります。埼玉県の児童発達支援事業所をもっと見る大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報未就学専門の療育機関です。工作・公園遊びなど、ルールのある遊びを行う集団療育、マッチングや微細運動・絵カードなどを使って、手先の不器用さの改善や言葉の発達を促す個別療育を行っています。また、子どもたちにさまざまな体験をして欲しいという思いから、公園遊び・工作・科学実験・粘土遊び・運動・音楽遊びなど、毎日多様なイベントを開催しています。お子さんが楽しく取り組めるよう、保育士や児童心理学等を学んだ経験豊富なスタッフが、笑顔あふれる施設でサポートしています。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2021年05月26日おしゃれが大好きな女の子。広汎性発達障害の小学5年生の娘は、おしゃれが大好き。幼稚園のときから、将来の夢はファッションデザイナーです。服や髪飾り、可愛い小物や布にも興味津々で、おしゃれな服を着るのも好きですし、自分でデザインをして描くのも大好きです。私の服装もよく見ていて、「可愛い」「こっちがいい」という話もよくします。Upload By SAKURAおしゃれが好きなのに、自分の身なりに興味なし?そんなおしゃれにうるさい娘なのですが、不思議なことに…自分の見た目は、全然気にしないところがあります。Upload By SAKURA髪がボサボサなのに、そのまま出かけようとしたり、肌着が出たまま学校に行こうとしたり。顔に何かついていたり、傷があったり、お腹がポッコリ出ていたり、姿勢が悪くても、まったく気にしません。幼稚園のころは、まだ幼いからそこまで気にしないんだと思っていたのですが、小学生になっても、見た目や服装のだらしなさが、直ることはありませんでした。鏡を見ていない!毎日毎日、髪の乱れや、ぐちゃぐちゃな服装を注意しても、自分からは絶対に直すことはない娘。発達障害の特性なのか「小学生なんだから、ちゃんとしなきゃ」という言葉は響きません。Upload By SAKURAなぜ見た目や服装を、きれいにしなければいけないか…絵カード…絵本…さまざまな方法で教えましたが、娘は変わりません。そのとき、気がつきました。娘は、鏡を見ないのです。自分の姿を確認しなくていい?私は主人と相談し、娘の部屋に姿見(鏡)を設置しました。そして「着替えたら必ずこの鏡で確認すること」と話しました。Upload By SAKURAしかし、娘はなかなか鏡を見てくれません。そこで、おしゃれな服を買ってあげたら、自分の姿を見るのではないかと思い、新しい服を購入しました。娘は大喜びで着替えましたが…Upload By SAKURA娘は、私に対して「どう?」と聞いただけで、そのまま遊び始めました。そこで、もう一つ気がつきました。娘は、おしゃれな服に興味はあるけど、その服を着た自分を、確認しないのです。よくよく思い出してみたら、娘は「顔に何かついているよ」と指摘したときも、「どこ?」と聞くだけで、鏡を確認しに行くことはありません。そこで、服が乱れている状態でスマホで写真を撮って見せてあげたのですが、娘は自分の服の乱れに全然気がつきませんでした。Upload By SAKURA本人は、めんどくさそうだけど、身だしなみは大事!どうやら娘は、頭の中で自分を想像しているだけで満足しているようでした。Upload By SAKURAこの会話をした後も、娘は鏡を見に行きませんでした。娘にとって、鏡はさほど重要なものではないようでした。と、いってもそのまま放置していては、だらしない恰好を外で見せることになってしまいます。現在私たちは協力し、ことあるごとに「鏡見てきてごらん」と娘に声かけをしています。Upload By SAKURA娘は毎回めんどくさそうに、鏡に向かっています。最近、ようやく洋服のシャツが出なくなってきました。でも、長い時間見ないため、学校出発直前に髪のボサボサを注意しなければならないことが多々あります。最近は、「顔を洗うときに、1分は自分の顔を見つめて」と言っています。娘は『えー…』と言いながら、無言で鏡の前に不機嫌そうに立っています。この声かけが、効果を見せるのかわかりませんが、気長に続けていきたいと思っています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月25日イヤイヤ期ってどんな時期?イヤイヤ期とは、1歳半ごろから3歳ごろにかけて続く「第一次反抗期」のこと。イヤイヤ期真っ盛りの2歳は、「魔の2歳児」とも言われます。海外では「恐怖の2歳(テリブル・ツー)」と言われていて、イヤイヤ期の激しさは万国共通であることがわかります。イヤイヤ期の子どもは、日常生活のさまざまな場面で「イヤ!」「きらい!」と拒否したり、なんでも自分でやりたがったり、大声で泣きわめいて要求を通そうとしたりと、何をするにも一筋縄ではいきません。「やるといったのに、結局やらない」「できなくて泣き叫ぶ」こうした行動に振り回されてクタクタになってしまう、という声もよく聞かれます。ほかにも、「急に食べ物の好き嫌いが多くなった」「いやなことがあると、たたいたり、物を投げたりする」「服装へのこだわりが強く、自分で選んだ服しか着ない」など、イヤイヤのタイプは実にバリエーション豊かです。大人からすれば、「どうしてそんな行動を?」と思うことも、子どもにとってはどうしても譲れない場合もあります。この時期の子どもは、まだ自立への最初の一歩を踏み出したばかりです。さらに脳も発達途中で、知的な働きをする大脳皮質や、コミュニケーションや社会性をつかさどる大脳辺縁系の働きも未熟。気持ちがコントロールできなかったり、その場にそぐわない行動をしてしまうのも、2歳前後の年齢ならば当然のことなのです。イヤイヤ期の子どもたちは、体はスラリとしてすっかり赤ちゃんを卒業したように見えますが、だからといって急に大人と同様になるわけではありません。まだ本能のおもむくままに動く時期なのだと考えると、子どもの行動にイライラすることが減るかもしれません。イヤイヤ期はなぜ起こる?イヤイヤ期の「困った」行動は、どれも自我が確立してきたことの表れと考えられます。1歳半ごろになると、ママと一心同体だった赤ちゃん期は卒業。ママと自分は違う人間である、ということに気づき始めます。2歳になるころには、運動能力も知的な発達もかなり進み、自己主張はますます強くなります。ただ、「こうしたい!」というイメージははっきりしていても、まだまだ不器用で、手先や体のコントロール能力も発達途上です。語彙力も不足しているので、自分の思いをうまく伝えられないことも多いのです。やりたい気持ちは満々なのに、実力が伴わないことにイライラしてしまうのがイヤイヤ期、とも言えるでしょう。大変なイヤイヤ期ですが、もちろん永遠に続くわけではありません。3歳ごろになると少しずつ社会性が身につき、少しなら我慢することもできるようになります。自分ができること、できないことの予測も立てられるようになり、だんだんとイヤイヤ期を卒業していきます。なんでもイヤイヤでお手上げ!保護者はどうしたら?「自我の芽生え」「自立の一歩」とはわかっていても、日々のイヤイヤに応戦するのは大変ですね。「早くしなさい!」「自分でやるっていったんだから、最後までやりなさい!」と叱ってばかりでは、保護者も疲れてしまいます。かといって、イヤイヤ期の子どもに理屈を説いたり、効率のよい方法を教えようとしても、それは無理というもの。きちんとしつけなくては、と焦る必要もありません。この時期に心がけたいのは、子どもの「やりたい」という強い気持ちを受け止めてあげることです。そして、「やりたい」が「できた!」という達成感へとつながるように、環境を整えていきましょう。たとえば、日々の身支度。洗面台には踏み台を置き、タオルも手が届く位置にかけておけば、スムーズに手洗いができます。靴に左右がわかるシールを貼ったり、子どもの洋服は引き出しの一番下の段に入れて自分で出せるようにする、なども一案です。お子さんのイヤイヤに繋がりやすいポイントを観察して、先回りして自分でできる環境をつくっておくことで、子どもの「できた!」をサポートしましょう。また、かんしゃくを起こしたときには、ぜひ子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。「イヤだったんだね」「自分で開けたかったんだよね」、こんなふうに代弁してもらうことで、ぐちゃぐちゃになっていた気持ちも整理されます。そして、だんだんと自分でも言葉で気持ちを伝えられるようになっていきます。子どもの言葉に、おうむ返しで答えるのもおすすめです。たとえば、「帰らない! まだ遊ぶ」とダダをこねられたら、「そっか、まだ遊びたいんだね」とくりかえしてみましょう。保護者が自分の言葉を否定しないで聞いてくれる、と思うことができれば、子どもの心はすーっと安心します。イヤイヤが吹き荒れていた心が静まれば、自分から「おうちに帰る」という言葉が出ることも。そんなときは、思いっきり抱きしめて、たっぷりほめてあげましょう。してほしくない行動ではなく、適切な行動にフォーカスするのもストレスのない方法です。たとえば、食べ物をポイポイ投げるのは、してほしくない行動のひとつという保護者も多いのではないでしょうか。こうした行動を目の前にすると、つい「ダメ! やめなさい!」と叱りたくなりますが、これはかえって逆効果のこともあります。ママやパパが構ってくれたと、嬉しくなって何度も同じことを繰り返すことも少なくないからです。してほしくない行動には過剰に反応をせず、正しい行動ができたときにほめてみましょう。大好物だけを集めたメニューを用意して、投げずに完食したら「今日は投げなかったね、えらいね!」「ピカピカに食べられて、すごい!」と笑顔でほめます。投げるよりも、投げないほうが注目してもらえる、とわかると、次も投げないようにしよう、と思うものです。適切な行動ができたらほめることを続けていくと、いつのまにかしてほしくない行動は減っていきます。発達障害がある子の「イヤイヤ」にはどう向き合う?「イヤイヤが激しすぎるのは、もしかしたら発達障害があるからでは?」「うちの子は2歳を過ぎてもまったく手がかからないけれど、イヤイヤ期がなくても問題ない?」子どもの発達には個人差が大きく、乳幼児期の診断は難しいと言われます。明確な診断は受けていないものの気になっている、というご家庭もあるでしょう。ここでは、発達障害のある子のイヤイヤ期について見ていきましょう。発達障害は、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つのタイプに分けられます。いずれも脳の働き方に偏りがあるために起きると考えられていて、周りからは理解されにくい障害ともいわれています。発達障害がある子の中には、感覚が過敏である特性がある子も多く、光や色、音、においなどの刺激を受け取りすぎてしまう傾向があります。あざやかな色が並ぶ場所に恐怖を覚えたり、さまざまな音が頭に響くように感じられて耳をふさぎたくなったり、あるいは逆に聴覚への反応性が低く、呼びかけに応じにくい、というケースも。感覚過敏による症状は多岐にわたります。こうした感覚の偏りがあると、些細なことでも不快感が高まりやすくなります。ただ、感覚は人それぞれでその不快さなどが他者からはわかりづらい上に、子ども自身も不快さを自覚できていなかったり、言葉にして説明することが難しかったりする場合があります。発達障害のある子の中には、言葉の発達がゆっくりめである子も多く、その場合、なぜ不安なのか、なにがいやなのかをうまく伝えることができません。感覚過敏の不快感に加え、保護者や周囲の人にわかってもらえないもどかしさから、かんしゃくをおこしたり、泣き叫んで表現するしかない、ということも多いのです。大きな音を嫌がったり、白い紙をまぶしがったりなどの様子が見られたら、なるべく刺激が少なくなるように工夫してみましょう。そして、「大きな音がするとびっくりしちゃうね」「ピカピカしていると、まぶしいかな?」などと言葉にしながら、子どもの感覚や気持ちに寄り添うコミュニケーションを心がけます。かんしゃくがおきてしまったときには、気持ちを落ちつけることを優先しましょう。ゆっくり静かに「いやだったんだね、もうだいじょうぶだよ」と声をかけたり、抱きかかえて別の場所に移動したり、気分を変えられるようにサポートします。また、発達障害のある子の中には、「いつもと違う」ことが苦手な子も多くいます。お散歩コースがいつもと違う、ごはんのあとの牛乳が麦茶になっていた、こうした小さな変化でも不安感が大きくなって爆発してしまうことも。「子どもにいろいろな体験をさせてあげたい」「週末は遠出をして、普段はできないことをさせてあげたい」と思うのも親心ですが、子どもはいつもと同じお散歩コースのなかでもたくさんの発見をしているものです。お子さんに「急な変化に弱い」という特性がありそうだと感じたら、なるべく日々のルーティンを守って、子どもが安心できるように心がけましょう。スケジュールの見通しをあらかじめ伝えておくのも、おすすめです。「いつもは公園で遊ぶけど、今日は雨だからおうちで遊ぼう」「これからじいじとばあばが来るから、お散歩は夕方にいこうね」。直前に知らされるより、あらかじめ予定がわかっていたほうが心の準備ができるのは、大人も子どももいっしょですね。予定を伝えるときには、言葉で知らせるだけではなく、目で見てわかる情報をあわせて用いると、より理解しやすい場合があります。イラストや写真を並べて予定表をつくったり、数字がわかるお子さんには番号を振って手順を伝えたりするのもよいでしょう。こだわりが多くて毎日スムーズにいかない…そんなときに出来る工夫は?もしかして「思っていたことと違う!」という状況に驚いている?…そんなときに出来る工夫は?先の見通しが持ちにくいお子さんの場合、遊びやテレビの時間を終わりにするときなどに行動や気持ちの切り替えができず、つまずくこともあります。そのような様子が見られる場合は、時計やタイマーなどを事前に見せておき、終わりの時間の予告をしておくなどの工夫も大切です。「ゼロになったら終わりだよ」などと伝えながらタイマーを一緒にセットすれば、お子さんも心の準備ができるかもしれません。指示に従って行動することが難しいかんしゃくがおきてしまったら?対応は「クールダウンが優先」どんなに先回りして対策していても、どうしてもイヤイヤ、かんしゃくをゼロにはできません。激しいかんしゃくを前にすると、ついつい怒ったり、あれこれ声をかけたりしてしまいがちですが、声かけによって、よりかんしゃくが激しくなってしまうこともあります。まずはお子さんがクールダウンできることを優先しましょう。安全を確保しながら、興奮の元となっているものから遠ざけ、可能であれば場所を移動したり、静かに様子を見守ります。落ち着いてきてから声かけをしてあげられるとよいでしょう。イヤイヤ期の子どもが、おもちゃを奪ったり、公共の場で騒いだり、大人がしてほしくない行動をしたからといって、「ちゃんとしつけなきゃ」とあせる必要はない時期です。イヤイヤをしだしたら、大人は「いやだったね、こまったね」と共感して、その子の気持ちを受け止めてあげれば十分です。そしてその子が楽しくできること、穏やかでいられる時間を大切に、環境を整えていくことを考えましょう!レスパイトサービスを活用して上手に息抜きを理不尽なイヤイヤが続くと、ついムッとしてしまったり、感情的になって後で自己嫌悪に陥ってしまう、という声もよく聞かれます。声を荒げてしまうことがあっても、ときどきなら思い悩まなくても大丈夫。ただ、疲れやストレスがたまってきたときには、一人で抱え込まないことが大切です。親も休日には子育てから解放されたくなることはあります。しんどい時は無理せず、一時保育やファミリーサポート、シッターサービスなど、発達障害のある子どもの育児で利用できる、レスパイトサービスの利用を考えてみましょう。「レスパイト」とは、小休止や息抜きを意味する英語で、育児や介護で疲れたときに一時的に休息をとることを指す言葉です。レスパイトサービスについては、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。ポジティブにとらえて、イヤイヤ期を乗り切ろうイヤイヤ期の子どもたちは、保護者が言って聞かせてもまったく聞く耳を持たないことも多くあります。でも、保護者が一方的に叱ったり、抑えつけようとすれば、子どもはますます反発するばかりです。ひとくちにイヤイヤ期といっても、表現の仕方は一人一人違うものです。わが子はどんなタイプなのか、どんなポイントでかんしゃくを起こすのかをよく観察すると、イヤイヤを回避するための準備もできるようになります。それでも、ひとたびイヤイヤスイッチが入ってしまえば、ある程度ほうっておくしかないのもこの時期の子どもたちです。「今はこういう時期」と割り切って、「イヤイヤしているな〜」と一歩引いた目でみられると、気持ちもラクになるかもしれません。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月25日精神科へ行くとき発達が気になるわが子のことで、保護者の方が精神科に相談に行こう!と思っても、「診察でどんなことを相談したらよいのだろう」と迷っていたり、困っていたりしているのではないかと思います。あるいは連れて行くわが子になんと言ったらよいかと思っているかもしれません。ここでは、発達が気になる子どもの保護者の方が精神科に行くことについて、ちょっと考えてみたいと思います。そのうえで精神科でできることについてもすこし考えてみました。そもそも、受診前の保護者の思いは?とても前向きです。おそらくすでにいろいろと学ばれ、ある程度は医療的にどういった診断がつくかも想定されているかもしれません。そのうえで、自身も家族もきちんと理解したうえで、できれば関係者と手を携え、わが子のそだちを応援していきたい、という思いがあるのでしょう。その場合は、医療はきちんとその子の発達の様子を聞き取り、どういった関わりをしていくことが、よりよいかを一緒に相談し、可能な範囲で周辺の関係者とも連携をしていくことになるでしょう。でも…どんなに学んでも、どれほど頑張ろうとしても、本当は、わが子の思いに寄り添い、理解して関わりたい、それが一番の望みではないでしょうか。診断が付いた、関わりも整理できた、味方も得た。でも…本当は気になるわが子がなにを感じて、どう思って日々を送っているか、それが知りたいと思っているのではないかと思ったりしています。確かにわが子の様子も気になるが、まだなにを相談したいか、あるいはもう少しそだちの様子をみてから判断したいと思っている。でも、まだあれができない、これが遅い、あれが心配、これをどうしたら、と言われると、なにもしていない保護者のように思われているような気がする。医療に行ってなんになるという思いと、行くことで、わが子の様子がある程度はっきりするのかもしれない、という揺れる思いでいるかもしれません。だから…なんとなく、今いろいろなことがはっきりしてしまうことに、その後になにをしたらよいのかに、ただちょっと不安だったりしています。家族でも、段々と育っていくのではないかと、いう話になったり、周囲の様子を見て焦ったり、日々揺れています。だから…自分が、これをはっきりさせたいと思ってしまうと、どんどん、待ったなしでことが進んでしまうのではないかと、不安ばかりです。でも…もし、相談に行って、この揺れる思いがちょっと落ち着いて、わが子のそだちに向き合えるようなことになれば、いいなと思っているかもしれません。だから…きっと保護者として知りたいのは、わが子に今なにをすることができるのか、するべきなのか、という示唆なのではないかと思います。そもそも精神科ではなにをしてくれるの?上記のように、保護者はそれぞれ複雑な思いを抱えています。診断もさることながら、わが子にどう関わっていくべきかを知りたい、そして周囲にも理解してもらいたいという思いは一緒かもしれません。精神科は医療のひとつなので、当然病気を治すことに力点を置いてはいます。でもその一方で、困っていることを整理して、ちょっと生活をよくしたいと思う方々へのお手伝いもするところです。つまり、日々の生活をすこしでも過ごしやすくすることです。そのために、もつれているような糸を、一緒にほぐしたいと思っています。もつれは、保護者とわが子の関わりにあるかもしれません。保護者同士、家庭内にもつれがある場合もあります。関係者ともつれているかもしれません。わが子が他の子どもたちとの間でもつれている場合もあるでしょう。それは、それぞれによって異なります。そのもつれをほぐすために、医師は、その子の思いに想像を巡らし、保護者、関係者の思いに近づくために、面接をします。面接や心理検査、いろいろな情報を取得して、その子の言動や考え方を理解しようとします。一見奇妙に見える言動も、こちらの思いが届いていないように見える様子にも、一定の仮説を立てていきます。ひょっとしてこの子は、こんな風に物事を感じて、あんな風に考えているのかもしれないな、と想像し、日々の現実から検証します。想像が外れたら、また別の想定をして、できるだけその子の思いに近づこうとします。その過程で保護者や関係者が感じている、その子理解との検証をしていきます。ある人のその子理解と、別な人の理解は決して同じではないでしょう。かんしゃくを起こした子がいます。ある人はお腹がすいて不機嫌なんだと思うかもしれません。また別の人は好きなメニューでないから、また別の人は早く家にかえりたいから、他にも、さっきの遊びが思うように行かなかったからと、それぞれがその子の思いを代弁します。でも本人はちょっと眠たかったけどそれをうまく言葉で伝えられず、そしてちょっと寝ていいよと、誰も言ってくれないので、かんしゃくを起こした。でもそれは、その子が『眠たい』と言わない限り、なかなかわかり得ないことです。決めつける前に、いろいろとこれまでの経験から一緒に協力して推測する情報交換することで、その子理解は深まります。曖昧ななかでも精神科に相談しようと思った時点で、なにかしら漠然とした思いが保護者にはあるはずです。その思いを言葉にすることで、徐々に輪郭をはっきりとさせて、曖昧な相談が確認したい項目へと整理されていきます。診察室で大切にしていることできるだけ個々の不安や心配事に近づき、整理するお手伝いをしていきたいのです。でもその思いは個々に異なります。両親が来たときも、それぞれの保護者が不安に感じていることは別々なものです。保護者が発達の気になる子どもをつれて受診されたとき、僕は子どもに向かって「今日ここに来ることを、どんな風に説明されたの?」と確認します。ほとんどの子どもは、首をかしげます。「聞いていないのかもしれないね」、「ここは、生活しているなかで困ったこと、いやなこと、心配なこと、相談したいと思っていることを相談する場所なんだ」と伝えます。「もしかして、お父さんやお母さんが、なにか君が相談したいことがあると感じたのかもしれないね」と付け加えることもあります。いずれにしても、多くの子どもは、最初は「ないよ」と話します。初対面の大人に、気楽にべらべらと相談できるほうが、心配な位ですから、僕は「ないか、よかった。今はない。でも、もしこれからなにかあったら、相談しようね。ここはそのための場所だから」と伝えます。「じゃ、同じように今日はお父さんやお母さんからも、心配なことがあれば相談したいので、ちょっと待っていてね」と、子どもにはプレイルームへ移動してもらいます。もっとも、切羽詰まっている子どもの場合は、最初の関わりでたくさんの困りごとを語ることもあります。その場合は、診察室での面接を続けていきます。プレイルームに移動した場合でも、スタッフと遊びながら、ちょっと困ったことを口をしたりすることもあります。そのときは、スタッフは、それを相談したらいいんだよと後押しします。診察室では保護者の困りごとを聞きます。発達のうえで「気になっている」ところ、そして今日、受診するまでにあった思いを聞き取り感じ取りたいと思います。診察室は、子どもの、そして保護者の、今困っているこが語られるところです。そうしたことが、できるだけ肩の力が抜けて相談できるよう、環境、雰囲気を大切にしたいと思っています。精神科は生活相談する場所でもあります。生活相談は多種多彩です。漫画(ドラマ化もされた)『深夜食堂』のマスターの台詞に「できるものなら、なんでもつくるよ」というのがあります。生活相談も「できるだけのことはするよ」というようなことです。同時に子どもたちや保護者、関係者にも「できることはしてね」と思っています。できること、でいいのです。
2021年05月25日前回のお話はこちら劇の発表会、コウの涙と復帰の理由は…?Upload By 丸山さとこ今回は、前回のコラムでお話した『発表会でトラブル発生(?)事件』の続きです。保育園の発表会にて”変身するきつね”を演じていたコウ。他の子どもたちが次々と被り物を変えて現れる中、パネル裏から一向に出てこないコウは一度舞台を降り、先生の助けを得て何とか変身完了!無事踊りを終え、その後のフィナーレにもしっかり登場していました。無事発表会も終わったあとでコウと先生から聞いた話を総合すると、草むらのパネルのうしろに並んでいた被り物の向きが(多分ほかの子の手が当たったことで)いつもと逆になっていたのが原因だったとのこと。分かりそうで分からない理由に「え、どういうことですか?」と詳しく尋ねていくと、次第に事件の全容が見えてきました。それぞれ子どもたちの頭のサイズに合わせた被り物の内側には名前が書いてあり、通常はそれらの名前が見える向きで並べられていたそうです。Upload By 丸山さとこそれが逆向きになることで名前が隠れ、コウが「自分の被り物がない!」とパニックになってしまったのが一連の動きの真相だったと知り、納得しました。多分、コウ以外の子であれば被り物を手に取って名前を確認したり、最後に残った1つを被って出たりしたのだろうと思います。それらの発想もなく「名前が見えない→自分の分の被り物がない」と”見たまま”に判断して泣いて舞台を降りるところも、そこまで泣いたのに「自分の名前の被り物があったから」と再び舞台に上がって踊るところも、『コウだなぁ…』と感心しました。大丈夫ではなくても、心配はしなくていいのかもしれない当時のコウは、見通しが立たずパニックになりやすかった反面、アッサリとした切り替えの良さがありました。Upload By 丸山さとこ劇で見たコウの姿はその最もたるものという感じで、「あぁ、何だかんだ、この人なりのペースで何とかやっていくのかもしれないなぁ…」と、薄っすらとした不安が薄っすらとした希望で打ち消される(?)ような気持ちになりました。その後コウは、成長に伴い少し見通しが立つようになりました。そのことで減ったパニックもあれば、見通しが立つことで起きるパニックは増えたりもしていて、中々一筋縄ではいかないコウとの毎日です。Upload By 丸山さとこ「何で!?さっきはなかったのに!」と混乱する息子を見ながら「園児のころの『あるんならそれでいいや』という割り切りは、あれはあれでありがたかったんだなー!」としみじみしていた小学校低学年を過ぎ、今コウは小学6年生。コウが”自分の見える範囲の情報をもとにした予測”でパニックを起こす姿を見ると、『私も同じようなことをやっているのだな』と思うことがあります。私よりもっと今の状況や遠い先のことや全体図が見えている人からすれば、私の姿は「そんなに慌てなくても大丈夫だよ(慌てても仕方ないよ)」と言いたくなるものなのではないかな?と思うのです。成長の見通しは”仮の姿”現在のコウも、探し物が見つからないときに私から「そこにあるよ」と教えられると、とっさに「え!何で?さっきはなかったのに!!」となることはしばしばあります。Upload By 丸山さとこけれど、高学年になってからは「あるんだからそれが事実か…多分よく見てなかったんだろな…」と、経験から客観的に自分を振り返ることも増えてきました。思いがけない成長を見せることもあれば、成長したことで一見”後退したように見える”こともあるコウの姿を見ていると、私が立てる見通しは仮の姿でしかないのだな…と思います。あてにならない見通しであっても立てないことには向かう先が見えませんし、見通し自体は大切ですが、それと平行して”今現在のコウ”を丁寧に(一歩引いて)見ることを忘れないようにしていきたいです。Upload By 丸山さとことはいえ、何かと「大丈夫なのー?このままだとヤバいのでは…!?」と焦ってしまいがちな私です。『先のことを見据えつつ”今現在のコウ”が生活しやすくなるようにサポートしよう』と取り組む中で、コウの保育園生活を助けてくださった先生方に改めて感謝を感じる、園生活の思い出でした。発達ナビライターによる園生活の困りごとエピソードを集めました。
2021年05月24日今後のことについて悩む「PP団」の幹部。そこに現れた『仲間』に翻弄され…カフェ・レインボーが臨時休業。みんな様子がいつもと違い…!?Upload By 荒木まち子レンジャーたちを苦しめる最大の敵、その正体は…Upload By 荒木まち子執筆後記梅雨や台風の季節、朝晩の温度差が大きい時期は発達(ビンカン)さんたちはさまざまな症状が現れてつらいですよね。ちなみに喘息持ちの私は台風の発生が天気予報よりも先にわかります笑レンジャー漫画は折り返し地点まできました。最終話まで楽しんでいただけたら幸いです。(来月はお休みします)LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月23日小1の9月、放課後等デイサービスに通い始める小学校に入学したばかりのころ、通級以外の療育や習い事には通っていませんでした。塾や放課後等デイサービスの見学に行くも、ミミの反応がイマイチだったので申し込まなかったんです。少し経って療育を受けられるところをネットで探していると、近所に放課後等デイサービスがオープンするとわかり、体験を申し込みました。ミミは担当の先生のことが大好きになり、楽しくて仕方ない様子。1時間があっという間に過ぎました。ミミが自分から「通いたい!!」と言ったのですぐ申し込みました。Upload By taeko放課後等デイサービスの後、ミミは満足そうにしていて、毎週楽しく通っていました。1ヶ月が過ぎ、2年生の男の子と一緒に活動することに。S君はミミをリードしてくれて、お互いに良い関係になりそうだなと楽しみに思いました。初日は良い感じで終了。ところが、2回目からミミの「指摘グセ」が出始めました。S君はおっとりした性格。負けず嫌いなミミは、勝てると思って?上から目線でいろいろ言います。さらに、初めて取り組む負けそうな活動は、「やらない」と言うように。ヒヤヒヤするけど、マジックミラー越しに様子を見守っていました。S君のママと子どもの話ができて私は楽しかった…。今思うと、ミミは楽しくなかったのかもしれない。Upload By taeko少しずつ態度に変化が…3ヶ月くらい経ったころ、放課後等デイサービスの方針で、ミミが大好きな先生との関わりを少しずつ減らしていくと知りました。ミミにも早めに伝えました。その影響もあってか、ミミの放課後等デイサービスでの乱れが目立つように。部屋に入るのを嫌がる、椅子に座らず床に寝そべる、パーテーションの後ろに隠れる、ホワイトボードに書かれた文字を消す、今日の活動内容を知り、興味が湧かなかったら全く取り組まないなど。S君が「やろうよ」と誘ってくれても効果なし。パパと行ったときもグダグダで、パパから怒鳴られてしまい涙を流して帰ってきたのでパパに頼むのはやめました。やりたくない気持ちや、興味のないことはやらなくても仕方ない、と思って私は叱らないで見守りました。工作で太巻をつくる活動があった日も、ミミはつくりませんでした。S君は頑張ってつくり、できた太巻をお母さんに渡していました。ミミは私に「つくって欲しかった?」と聞いてきたので「ううん、ミミは太巻好きじゃない(食べない)からつくりたくないんだよね、いいよ」とは言ったものの、何でつくらないのかなと思ってしまいました。その後もグズグズが続いて…。ボール遊びは好きだけど、新しいルールの場合は参加しない。先生に対しての言葉遣いが荒い。保育園のころに通っていたリトミックや運動療育で、何の活動にも参加しなかったときのことを思い出しました。Upload By taeko個別指導が合うのかも?4月から2年生になり、引き続き通級と放課後等デイサービスに通うミミ。放課後等デイサービスは先生が変わり、再び個別指導になりました。個別といっても、同じ部屋にパーテーションを隔てて3組で活動しています。隣が気にならないかと心配したけど、同年代の友達と競い合うことなく安心して取り組んでいます。ミミには個別のほうが合っているのかも。通級はどうなるかな?2年生のミミをゆっくり見守っていきたいです。Upload By taekoLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月21日考えないわけにはいかない、「きょうだい児」の妹のことUpload By かさはらあやこ障害や病気がある子の兄弟姉妹のことを〝きょうだい児〟といいます。私がこの言葉を知ったのは 自閉症について調べるようになってからなので、一般的にみるとたぶん知らない人の方が圧倒的に多いだろうし、当事者の気持ちになって考えることなど身近にいない限りはないと思います。そして自閉症育児に奮闘しているわたしが、きょうだい児について悩んでいると言ったら、周囲の人はきっとこういいます。まだ小さいのに考えすぎ大丈夫育て方次第そう、そうかもしれない。でも、考えないわけにはいかないのです。兄に手がかかって我慢を強いてしまうのではないか。しつけが不平等になってしまうのではないか。好きな人と結婚できないのではないか。この先に感じるであろう疑問や将来への不安に、しっかり耳を傾けてあげられるだろうか。食事中に首をひたすら振る兄をみて喜んで笑いながら真似をする。突然泣き叫んで酷い癇癪を起こす兄を不思議そうにみつめる。おもちゃを奪い合った後にこちらに視線を投げてくる…。そんな娘に、なんと声をかけてあげればいいのか、どうやって接していけばいいのか、ずっとずっと悩んできました。医者から言われた「誤学習をする可能性がある」Upload By かさはらあやこ娘が1歳になったばかりのころ、息子の通院している病院で、娘について「みたところ発達が非常に良いので、早く集団に入れたほうがいい。誤学習をする可能性がある」と言われました。兄の真似をして首を振ったり、兄が食事を口に運んでもらう様子をみて自分で食べなくなったり、〝誤学習〟に心当たりがあったわたしは、とても焦りました(その日のうちに某幼児教材を契約したくらい焦りました)。翌日に児童発達支援の先生が、「私はそれを誤学習だとは思わない」とはっきり言ってくださったため、モヤモヤした気持ちは打ち消すことができましたが、医者からの「誤学習」という強いワードは心の中から消えることがなく、いまも、ことあるごとに脅かされています。妹が保育園でお友達を押してしまった。押し寄せる不安Upload By かさはらあやこ4月から保育園に入園。慣らし保育が終わって少し落ち着いたころ、妹がお友達に対して「だめ!やだ!」と言ったり、ときには手が出て、押してしまったりする案件が発生。家で遊んでいるとき、兄におもちゃを奪われることが多い妹は、大きな声を出して抵抗し、奪い返しに行きます。兄も、こだわりのあるおもちゃであれば何度でも奪いに行き、奪い奪われ癇癪を起こし、妹は大声で泣く。そんなことが目の前で起こっているとき、両者にどう声を掛けていいのかわからず、ただ呆然と見ているしかない状態で、こちらに余裕がないときは特に、息子に癇癪を起こされては困ると、「いっちゃんはいいの!」と兄を庇うこともあり…。そのせいで、「だめ!いいの!」と、娘も混乱しているような言葉を発しながら、おもちゃを奪うようになってしまいました。私が母親だから、兄が自閉症だから、というような家庭環境のせいで、このまま娘が保育園という社会の中で、横暴な振る舞いをするようになったらどうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだろう。そんな気持ちが一気に押し寄せてきて、涙が止まりませんでした。きっと正解なんてない。関わってくれる人たちと一緒にUpload By かさはらあやこすぐに保育園の担任の先生に相談し、それから児童発達支援の先生方にも相談。先生方はすぐに時間を割き、真剣に話を聞いてくれました。そして、いま私が悩んでいる娘の行動は問題行動ではなく、年齢的には相応しい2歳児の遊びであり、コミュニケーションの取りにくい兄とのやり取りの一つであること。物を取られるかもしれないという不安感をなくすため、取られても戻ってくる見通しを持たせる遊びを取り入れて、物の永続性を学習させる。家庭でのルールを少し緩和する(兄によしとすることを妹にもよしとする)。など〝私に対しての〟具体的なアドバイスをくれました。(先生方、本当にありがとうございました!!)〝きょうだい児〟の問題に関しては、同じように悩んでいるひとたちが数多く存在すると思います。沢山いるはずなのに、〝きょうだい児・喧嘩・正しい声の掛け方〟と検索しても、欲しい答えは見つかりません。どう声をかけたらいいのか。どう接したらいいのか。正解なんてないのだと思います。だから、・聞いてもらう・色々な人の意見を聞いて考える・いまはやりすごす(成長を待つ)・目を瞑ってなんとか乗り越える・一人で悩みすぎないそんなことが必要なのだと思いました。そして、この問題に関しては、成長と共に悩みの種類も変化し、一生悩みは尽きない気がします。自分ひとりで抱え込むのではなく、関わってくれている人たちみんなに育ててもらうつもりで悩みとうまく付き合っていかなくてはと思います。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年05月20日【追加アンケート】3つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】21アイテムから「ほしい!あったらいいな」を教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。なんと1,100名を超える方からご回答をいただきました。「たくさんほしいものがあって、1つしか選べなくて困る…」など、みなさまからの投稿コメントやご要望のお声も嬉しく拝見しました。ありがとうございました。今回は人気の高かった順に、次の5つに商品化アイテム候補を絞りました。1.椅子の姿勢崩れを防ぐ「両面滑り止め付きクッション」2.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」3.“1人になりたい”がかなう「室内テント」4.勉強道具もゲームも持ち運び「お片づけ収納ラック」5.曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」今回多くの共感をいただいた5つの「欲しいグッズ」の中から、具体的な商品化に向けて、以下の3つのアイテムについて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートを実施いたします。アンケートを通して、発達ナビユーザーのみなさまと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答をお願いいたします!次の3つです。(所要時間:約10~15分)・感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」・“1人になりたい”がかなう「室内テント」・曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」※ご自身に関係のある箇所だけお答えいただいても結構です※5月31日(月)まで※上記アンケート回答ボタンを押すと、株式会社フェリシモが実施するアンケートサイトページへ遷移します
2021年05月19日連載に込めた思いこんにちは。加藤路瑛です。僕自身、感覚過敏の特性があることから13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。発達ナビで感覚過敏に関するコラムの連載を担当することになりました。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。Upload By 加藤路瑛僕は現在15歳、高校1年生です。自分が感覚過敏だと気がついたのは中学1年生のときでした。振り返れば、小さいころから感覚過敏だったと思います。しかし、感覚は他人と比較できません。音に敏感、靴下がはけない、給食が食べられない…いろいろな感覚の過敏さがあったのだと思いますが、これが僕の日常であり、他の人も同じように苦痛を感じながら我慢しているのだと思ってしました。そして、我慢できないのは僕が弱いのだと思っていました。ただ、何が苦痛なのかも小学生のころはわかりませんでした。「何かイヤ」そのような表現しかできなかったので、わがままな子だと思われていたと思います。小学生までは、自分の感覚による不快感は表現できませんでしたし、感覚過敏という言葉も知りませんでした。今、感覚過敏という言葉を知り、感覚過敏で悩む人や家族と交流する中で、ようやく自分の感覚について言語化できるようになってきました。まだ自分の感覚の困りごとを表現できない小さな子の代弁者として、発達ナビで感覚過敏について語りたいと思います。第1回目は、僕が感覚過敏を知るきっかけとなった話をしたいと思います。保健室に通う日々中学に入学し、少しずつ学校生活に慣れてきたころ、教室にいると具合が悪くなることが多くなり、気がつけば保健室に頻繁に向かうようになりました。頭が痛いのです。保健室で休んでいると体調は良くなります。原因は自分でも良くわかりませんでした。しばらくそんな日が続き、2学期になりました。夏休み明け、教室は賑やかです。みんなが楽しそうに話し、笑い声が溢れます。耳に女子生徒の笑い声が届いたとき、痛みを感じました。どうも、クラスメイトの甲高い笑い声に反応して頭痛がするようなのです。保健室の先生にその事実を話してみました。「もしかすると、聴覚過敏なんじゃないかな?デジタル耳栓というものがあって、それをつけると頭痛がしなくなるかもしれない。あとで、デジタル耳栓の資料を探して担任の先生にお伝えしておきます」という話になりました。デジタル耳栓の資料をもらい、家に帰って母に話してみました。デジタル耳栓とは、環境騒音を防ぐ電池式の耳栓です。話し声などは聞こえるので授業などで使用しても先生の声は聞こえるという説明でした。どんなものか分からないので、まずは買ってみることにしました。Upload By 加藤路瑛デジタル耳栓をすると、エアコンから聞こえる空調音が消えました。時計の音、外から聞こえる車の音。そういう雑音が消えました。話し声はしっかり聞こえました。ただ、ワイヤレスではなくコード付きでしたので、コードのこすれる音が耳に入り快適とはいえませんでした。でも、これで学校にいるときの体調不良が治るなら、まずは使ってみたいと思いました。デジタル耳栓を使うことのカミングアウト保健室の先生と担任の先生にデジタル耳栓を使いたいと話しました。先生側からの提案だったのでもちろん使用の問題はなく、担任の先生は、学年や担当教科の先生に僕がデジタル耳栓を使うことを説明してくださいました。1つの課題は、クラスメイトの反応でした。黙って使用すれば、イヤホンで授業中に音楽を聴いている人に見えるかもしれません。クラスのみんなにも、デジタル耳栓を使うことを知ってもらう必要があると先生に言われました。担任の先生は理科の先生でした。ある日のホームルーム。先生は、音が聞こえる仕組みや音域の話など、聴覚の説明をしながら、デジタル耳栓の効果など科学的に説明してくれました。そして、「これから加藤さんはデジタル耳栓を使うのでよろしくお願いします」と話してくださいました。そのおかげか、デジタル耳栓をつけていても、クラスメイトに何か言われることもありませんでした。しかし、残念なことに甲高い声をシャットダウンする機能はありませんでしたので、僕の頭痛は頻繁に発生しました。授業中は、みんながノートをとる筆記音や、電気や空調の「ジー」とか「ゴー」というような雑音はなくなり集中できました。感覚過敏を知ったときの解放感保健室の先生に「聴覚過敏」」という言葉を教えてもらいネットで調べました。すぐに「感覚過敏」という言葉にたどり着きます。感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さのある状態をいいます。・苦手な音があるって頭痛がする。・ニオイに敏感で、いろんなニオイが混ざった場所にいられない。・レストランは食べ物が混ざったニオイがして苦手。・食べられるものがほとんどない。・靴下が痛くて履けない自分のさまざまな困りごとや不快感が、感覚過敏の症状にあてはまっていました。「僕は感覚過敏だったんだ」そう思ったときの納得感。今までのつらさの原因がわかった解放感は言葉では表現が難しいですが、曇っていた視界がクリアになった瞬間でした。自分が自分でないような感覚、暗闇の中をよくわからないまま歩いていた状態、そんな説明し難い状況が本当に吹き飛んだのです。聴覚過敏、小さい子が表現するのは難しい僕は中学に入ってから、女子生徒の甲高い声で頭痛がすることに気がつきましたが、症状が出たのが中学生というわけではありません。振り返れば、小学生のころから頭痛持ちでした。頭が痛いことは伝えられますが、その理由を分析することはできませんし、どんなときに起こるのかも考えることはできませんでした。とにかく頭が痛いのです。たとえ、苦手な音が何なのか自覚できたとしても、聴力に問題がないとか、普段は問題なく生活できていれば、「ちょっと神経質な子」「わがままな子」と思われる可能性もあります。僕は中学生で気がつき、自分の状況を冷静に先生に相談することができました。もし、僕が、教室で不快な音があったとして、急に耳を塞いでしゃがみこんだり、「うるさい」と怒鳴れば問題児扱いされたかもしれません。小さい子が苦手な音があって辛いということを親や先生に伝えるのは難しいことだと思います。ですから、子どもと不快のもとが何なのか話し合える環境が大事だと思います。僕は、自分の経験から、自らの感覚の過敏さを表現できない子のために、「感覚過敏研究所」で感覚過敏をキャラクター化して、感覚過敏マークを作っています。缶バッジにして販売もしています。Upload By 加藤路瑛参考:感覚過敏研究所の感覚過敏缶バッジの詳細感覚過敏缶バッジを手にしながら、生徒たちが「私の中にコアラ(味覚過敏)がいる」「僕はウサギ(聴覚過敏)」と自分の過敏さを見つめ、生徒同士で語り合えたという事例を、感覚過敏缶バッジを活用してくださっている学校の先生から連絡いただいたこともあります。このように過敏さを視覚化し、自分の中にある困りごとを表現できるようになることが感覚過敏の困りごとを解決する一歩だと僕は思っています。僕の聴覚過敏対策僕の場合は、デジタル耳栓では聴覚過敏の困りごとのすべては解決できませんでした。15歳、高校生になった今、僕は通信制高校への進学を選択したので、教室での賑やかな音で悩まされることはありません。日常生活では、かなりの多くの時間をヘッドホンで音楽を聴いたり、動画視聴しています。自分の好ましい音に囲まれて生活しています。Upload By 加藤路瑛聴覚過敏用のシールは桃色とこげ茶があります。また、状況に応じて、ノイズキャンセリングのイヤホンも使っています。ほぼ環境音はガードできています。このレベルのノイズキャンセリング機能が備わったイヤホンが中学1年生のときにあったのなら、僕の中学校生活はもう少し快適だったかもしれません。ノイズキャンセリング機能はこれからも進化していきます。ぜひ、テクノロジーの進化も利用して、聴覚過敏の困りごとを解消してほしいと思います。まとめ第1回目の連載はいかがだったでしょうか?感覚は目に見えず、他人と比較できないから、苦しさをうまく表現できませんし、他人に伝えるのも難しいです。小さい子だったらなおさらです。僕も自分の感覚について向き合えるようになったのは中学生になってからです。感覚過敏研究所の所長として、たくさんの人の感覚過敏の話を聞くようになって、ようやく冷静に分析できたり、対策を考えられるようになりました。大人の方や専門家の方が解説する感覚過敏とは違う視点で、当事者として、子どもの代表として、感覚過敏についてお伝えしていきたいと思います。次回のコラムもお楽しみに!LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!参考:感覚過敏研究所
2021年05月18日「できるけど疲れる」ことがたくさんある筆者が吉川先生を知ったのは、2018年11月にNHK総合で放送された『発達障害って何だろうスペシャル』だった。千原ジュニアさんや南沢奈央さんらをMCに据え、スタジオには小島慶子さんのほか、筆者がテレビ取材もさせていただいた“トリプル発達障害”の漫画家・沖田×華さんも出演。そこでの吉川先生の発言に、思わず膝を打った。「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」(吉川先生番組内で)誤解を恐れずに言えば、吉川先生はちょっと異質的な存在だ。元々教員になりたかったが、学校教員の文化が自分に合わないことに高校時代に気づき、子どもの精神科医という道を選んだ。大学教員などを経て「自分は研究者向きではない」と感じたといい、現在では多くの発達障害当事者や養育者に支持されている。Upload By 桑山 知之「“正確さを犠牲にした分かりやすさ”っていうのを意識しているんです。専門の研究者って、正確さを大事にしなきゃいけない立場ですよね。正確さを犠牲にできないじゃないですか。でも僕は研究者ではないから、『誤解を招きかねないけど分かりやすい』ということがいくらか許される立場なんです。研究者になってしまうとできない表現や書き方ができるというのが、研究者ではない医者の特権かなと」(吉川先生)確かに、前述の「できるけど疲れる」ことがたくさんあるというのは、それに当てはまらないケースがあるのも事実だ。しかしながら、発達障害の苦しみを理解するうえでは非常に分かりやすい表現だといえる。福祉や法律といったあらゆる領域をまたいでいるからこその見識の深さを、自身は「ひとつの領域を突き詰めるというのがあんまりできなくて……」と謙遜する。Upload By 桑山 知之この子、発達障害かも?まずは「人手集め」から我が子にADHDや自閉症スペクトラム障害のような特性がみられた場合、多くの養育者はまず子どものことを理解しようと、発達障害の知識を蓄えることからスタートしてしまいがちだ。しかし、吉川先生によれば、まず「人手をできる限りたくさん集める」ことが入口として一番“無難”だという。「人手が足りないときに知識だけ集めたり、トレーニングだけ受けたりすると、わりとややこしいことになるんですよね。例えばこの子に何か新しいことを好きになってもらおうとすると、ちょっと演出しないと難しいよって。お母さんが歯磨きをしたあとに、すぐに僕もやる!ってなる子は歯磨きを覚えさせるのも難しくないんだけど、真似っこしたい気持ちが弱い子に対しては歯磨きって楽しいんだよっていうか、何かひと手間ふた手間かけないと歯磨きが好きにならないし、できるようにならないかもしれない。だから今、この子の子育てで何かを好きにさせるためにもできるようになるためにも、もっと言うと虫歯にさせたり怪我をさせたりしないためにも、余分に人手が要りますよねっていうところを共通認識にしていくことが入口なんですよね」(吉川先生)Upload By 桑山 知之あくまで順序としては人手、すなわちマンパワーを集めることが最優先事項。それがひと段落したあと、知識や技術を身につけていく。そのためにも、家族以外からサポートを受けることが精神的な支えになるそうだ。一般的には母親が先に気づいて父親はあとからついてくることが多いが、夫婦間だけでなく祖父母世代との間でも「足並みが揃うまでに時間がかかる」ことは多い。「早い時期に関わる支援者はつい子どもの特性とか子どもに対する関わり方をどんどん伝えたくなるんですけど、それよりも先にどうやってお父さんと足並みを揃えるのか、おじいちゃんおばあちゃんへの説明をどうしようか、っていう相談に応じていただいたほうがいいと思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之「できたら褒める」は要注意「挑戦したら褒める」にシフトをドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』を放送したのは2019年5月。発達障害は、ここ5年ほどの間に急速な認知が広がったように筆者は感じている。こうした中、人手を含めたリソースの供給などが追いついていないと吉川先生は話す。「社会の認め方もそうですけど、当事者やその身近な方の認め方も確実に変わってきているというのは、確実にそうですね。ただ、変わってきているのも、いいところも悪いところも両方あるかなって思っています。必要な方が援助にたどり着きやすくなったってことはあると思うんですが、急速に知識だけが広がってきたので、支援のためのリソースがまだ充分足りていない。文化の変化というか、そういう人たちがたくさんいるんだっていうのを含んだ“文化の成熟”っていうのも遅れているんじゃないかなと」(吉川先生)Upload By 桑山 知之吉川先生は、発達障害の有無にかかわらず子育てをする中でつい陥りがちなことがあると指摘する。それは、「できたら褒める」ということだ。「できたら褒められるっていうのを子どもが学びすぎると、大人が好きなのは完成と達成と勝利だけと思ってしまうんですよね。そうすると、どうせ達成できないから僕はやらない!ということになってしまう。発達障害のあるお子さんの中には、難しそうな課題は手を出さなくなる子が一定の割合でいるんです。どちらかというと、『挑戦したら褒める』作戦でいく方が、子どもを育てやすくなると思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之完成と達成にフォーカスするよりも、何かに取り掛かり始めたところで応援することに軸足を置いた方が育てやすいという。特に、きょうだいの中に発達障害と定型発達の子がいたり、知的障害のある子がいる場合、完成と達成を評価してしまうと他方への褒め方が見つからなくなる。それよりも、挑戦に対して「ナイストライ」「いいチャレンジだったね」と声を掛ける方が“辻褄が合いやすい”と吉川先生は話している。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年05月17日いっちゃん誕生!タケルはお兄ちゃんにいっちゃんが生まれたのは、タケルが6歳のとき。年齢が離れているせいか、あまり嫉妬などすることもなく「赤ちゃんは起きました。どうしますか?」「それは赤ちゃんの分もありますか?赤ちゃんに持っていきましょうか?」と、一緒に世話をしてくれるお兄ちゃんになりました。いっちゃんの方も、そんなタケルによく懐いてくれました。しかし、そんないっちゃんにも、すでに1歳児の時点でASDのある子に特徴的な行動が現れていました。例えば…・抱っこを嫌がる・小さな音にも敏感で、不快な音が聞こえると泣きわめく・なかなか寝ない、一旦寝付いてもすぐ起きる・夜泣きとは違う寝ぐずりグズが生後2ヶ月目からずっと続く(今でも!)・物の形がわかる絵を描く、曲を8小節以上覚えてハミングで再現できる・喃語が出たのは5ヶ月前後だけ、それ以降ほとんど喋らない…などです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ※これらは、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこの様な部分があったからといって、即、発達障害があるというわけではありません。念のため。お兄ちゃんの担当医師に気になることを聞いてみたそこであるとき、お兄ちゃんのタケルが通っていた療育センターの医師に、タケルの診察のついでに聞いてみました。私「妹の方も兄と似たような何らかの傾向があるように思えるんですが」医師「うーん、兄妹とはいえアスペルガー自体あまり見られない症例なのでその可能性は低いと思うのですが…現状何か困ってます?」私「困っているかというと…こんなに寝なくて大丈夫かと思うぐらいで、困ってはないです。まだ1歳児だし」医師「1歳だとまだ本人との意思疎通も難しいですし、3歳ぐらいで一度調べてみたら良いんじゃないですか?何かありましたらまたお知らせいただくということで」そんな会話があってから1年ほど経って、いっちゃんが3歳になったころ、そのときの医師に担当してもらい、改めて診察と知能検査などを受けました。結果は「広汎性発達障害の疑い」(後にASDに統合)とのこと。そのまま同じ療育センターで、定期的な診察と、主に粗大運動を鍛える療育を受けることになりました。いっちゃん本人に当時のことを聞いてみると…Upload By 寺島ヒロいっちゃんはお兄ちゃんが側にいたこともあって、物心つく前から「自分には発達障害があるんだ」ということは知ってはいました。しかし、早いうちから説明や療育を受け…いわば先回りして環境が整えられたため、大きな躓きを意識することはなかったようです。これが吉と出るかどうか、まだまだわからないことかもしれませんが、いっちゃんの成長に寄り添いながら「発達障害とは何か」一緒に考えていけたらなと思います。
2021年05月16日前回のお話はこちら2回目の保育所等訪問支援2回目の保育所等訪問支援を受けたのは4歳の冬、年少クラスのときでした。1回目の保育所等訪問支援から1年経ち、むっくんの成長に合わせた新たな支援策を求めて受けることに決めました。訪問は1回目と同じ支援員さんと今回は更に作業療法士さんも来てくださって、1年前との比較や、身体的発達などを見ていただきました。せっかくなら、対応に困る場面を見てもらいたいのに、この日も落ち着いていたむっくん。次はストレスがかかる時期に来てもらおうと心に誓いました。Upload By ウチノコ身体的発達についての指摘「やりたくない」ではなく「できない」?この頃のむっくんはイスにじっと座れない姿が目立っており、作業療法士さんから体幹が弱く体を自力で支えられないのでは?という指摘を受けました。また、折り紙などの制作活動を拒否する様子に、手先の不器用さのため「やりたくない」のではなく「できない」のではないか?という指摘も受けました。Upload By ウチノコ指摘のおかげで、低緊張や不器用さなど本人の努力でどうにもできない理由があると知り、関わり方を考えるきっかけになりました。また、対処法も教えていただき、担任の先生は即実践して下さいました。Upload By ウチノコ今も実践している癇癪対応アドバイスまた、当時むっくんは先生から注意を受けると癇癪を起こしがちで、どう対応するか悩んでいました。その様子を見てもらったところ、むっくんは感覚過敏が強いため「正面に立って、注意する」と視覚と聴覚の刺激が入り刺激過多となってしまう。その恐怖感から癇癪を起しているように思うと指摘を受けました。対処法は、例えば視界に入らないよう斜め後ろから近づき、名前を読んで注意するなど、できるだけ刺激を減らしてあげて下さいとのこと。実践してみると、癇癪がなくなるわけではありませんが様子に変化が見られ、こんなことで変わるのかととても驚きました。この方法は今も実践しています。Upload By ウチノコ親だけでなく、先生も悩んでいるあの頃、むっくんへの関わり方はとても難しく、私はよく担任の先生と話し込んでいました。その中で、私と同じように担任の先生も悩んでいるのだなぁと感じることも多々ありました。先生も長い時間をむっくんと過ごします。真剣に向き合うほどに、悩むことも多かったと思います。だけど、専門家に直接相談できる私とは違い、先生にはむっくんのことを専門家に相談できるチャンスはそうありません。Upload By ウチノコ保育所等訪問支援の後、先生から「関わり方への不安や悩みを支援員さんに相談できました」と笑顔で報告をいただきました。親には言いづらいこともたくさんあったと思います。先生が専門知識を持つ第三者に相談できる機会はとっても重要なのだなぁと感じました。先生の安心がむっくんの安心を維持し、むっくんの園生活を支えてくれたように私は思っています。誰に対しても「できていることを認める」支援員さんからは困り感への指摘ばかりではなく、むっくんの成長や、保育園側の好ましい対応についてもたくさん報告を受けました。気が付けなかった成長を知り、むっくんのことをより愛おしくなったり。先生方の努力を知り、先生たちがむっくんをとても大切にしてくださっているとしみじみと感じたり。おかげで、改めて先生にお礼を伝えることもできました。Upload By ウチノコ「できていること」と「できていないこと」だと、つい「できていないこと」に注目しやすくなります。だけど、発達障害の子どもたちへの関わり方のキーワードは「できていることを認める」です。そしてこれは発達障害の子ども達だけでなく、大人も子どもも、全ての人に当てはまることでもあります。親だって、頑張りを認めてもらえるから頑張れる時ってありませんか?Upload By ウチノコ支援員さんがむっくんや保育園の「できていること」に注目し、その努力を肯定して私に伝えて下さったことは、私の保育園への信頼を深めることに繋がりました。親と保育園が子どもにとってより良い支援を本音で相談しあうには、信頼関係が大切です。2回目の保育所等訪問支援は支援員さんにその橋渡しをしてもらえた、とても貴重な経験となりました。次回は最終回、年中クラスでの半年間の継続保育所等訪問支援のお話、継続だからこその経験になりました。Upload By ウチノコ
2021年05月14日『年少だから仕方ない』が通用しなくなった年中さん自閉症と知的障害を合わせ持つほぺろう。2~3歳頃が癇癪のピークで眠っている時以外は一日中ずっと爆音で泣き続ける様な子どもでした。保育園の年少さんのときも癇癪は治らず、私が知る以上に先生やお友達に大変な迷惑をかけていただろうと推測されます。そんなほぺろうですが、年中さんに進級した途端 何故か格段に癇癪が減り(ほぺろうの心境の変化は私にもわからない)、ずっと苦労してきた母子分離も平気になって随分と接しやすくなりました。変更が苦手で場所見知り・人見知りの激しいほぺろうが 進級に伴うクラス替えに適応できるか心配していましたが、園児数の少ない保育園だったことが幸いして 元々異年齢の子や他クラスの先生との交流が多かったおかげで クラスや先生が変わっても案外気持ちが崩れずに乗り越えられました。気持ちが落ち着き周りが見える様になってきたのか、ほぺろうはクラス活動やお片付けなど いろいろできることが増えて、凄く嬉しい成長!…なのに、素直に喜べない私がいました。Upload By ぼさ子何故なら、年少さんのときはほかの子と差を感じても『年少だから仕方ない』と私は勝手に逃げ道を作って自分に言い聞かせていたのですが、年中はもうお兄さん!今までの言い訳は通用しなくなったのです。できることが増えたとは言え、お喋りも行動も 同じ歳の子はおろか 歳下の年少さんの方が上回っていて、差を感じるどころか劣等感を持たずにいられませんでした。園児数の少ない保育園なので年中・年少クラスが合同になり、どうしても年少さんとの比較に目が行ってしまいます。Upload By ぼさ子年少さんにお世話されている息子を目撃!!その時母は…ある日のお迎え時、帰りの会終了後 お迎えを待つ間遊ぶために園児たちが広場に移動するというタイミングでした。ほぺろうのクラスは年中・年少合同だったので、年中さんと年少さんは二人一組のペアになって手を繋ぎ、年中さんがリードして年少さんをお世話するという形で場所移動していました。年少さんを気遣いながらリードしていく年中さんは立派なお兄さんお姉さんの顔で、私は頼もしくも微笑ましく遠くから眺めていました。でも1組、違和感のあるペアが…。なんか小っちゃい子がデッカい子を引っ張ってる!言わずもがな、それはほぺろうペア。「ほぺろう、こっちだよー」「ほぺろう、ママ来てるよーカバン持ったー?」と、しっかりとしたお世話されっぷり。当のほぺろうは上の空…。同じ歳の子と差を感じたりするのは大分慣れた気でいたけど、まさか歳下の子にまで面倒見てもらってるとは!!Upload By ぼさ子コロナ禍で保護者が園内の様子を見られる機会は例年よりグッと減ってしまっていたので この現場を目撃したのは偶然。でも、ほぺろうが歳下さんにお世話されているなんて きっと日常茶飯事なんだろうな…。情けないやら劣等感やらで、私はチョッピリ泣いてしまいました。気持ちをラクにしてくれた加配の先生の接し方お喋りができる子であれば 自分でママやパパに保育園での出来事を話してくれることが多いと思いますが、発語の無いほぺろうはそれが一切ありません。そんなほぺろうの代わりに加配の先生が毎日 保育園での出来事をお話ししてくれるのですが、先生の話が面白くて お迎え時間は私のお楽しみタイム。私が先生の話が好きな理由は、「今日は何ができた」とか「ここが成長した」という内容の話も混じえつつ、成長のことばかりに価値を置いているのではなく『ほぺろうと一緒に過ごすこと自体を先生が楽しんでくれている』と感じさせてくれるからでした。Upload By ぼさ子「成長していないとダメだ」と焦っている私に対し、先生は『ありのままのほぺろう』を受け入れてくれていて それがとても嬉しかったのです。ほぺろうのことを好きでいてくれる先生がいて、助けてくれるお友達がいて、ほぺろうも園生活を楽しんでいて…もしかしたら、『劣等感』というのは私一人の空回りなのかも知れません。現在は年長さん。劣等感がないと言ったら嘘になるけど…ほぺろうが年長さんになった現在、『一番上のお兄さん』になってしまったプレッシャーと劣等感がないと言ったら嘘になります。いつまでもドンと構えられない未熟な私…。でも ほぺろうから見たら、劣等感とかゴチャゴチャ考えているのは私だけであって、「そんな考え方をされるのは迷惑!」って怒られるかなーなんて想像したりします。残り一年の園生活、ほぺろうにはどんどん世界を広げて 癇癪で思うように過ごせなかった年少時代を補うくらい、目一杯楽しんで欲しいと願っています。Upload By ぼさ子
2021年05月13日新5年生!新しい学年のスタート!広汎性発達障害の娘は、10歳。4月から、小学5年生になりました。新しく始まった学年…、と言っても大きな変化はありません。娘は去年と同じく、引き続き特別支援学級の在籍。交流学級は、児童数も少なく、1クラスしかないので、クラス替えはありません。変わったことといえば、特別支援学級のメンバーが少し変わったことと、特別支援学級の担任が、新任の先生になったことでした。このような(人の)変化は全く平気な娘。(特別支援学級の)新しい先生にも、新しいメンバーにも、すぐ慣れて、始業式には、楽しい様子を報告してくれていました。毎年恒例の不安定が始まった。しかし、毎年、新年度はとても情緒不安定になる娘。去年は、長い休暇明けの新年度で、生活のリズムが崩れ、ちょっとしたことで泣くことが多くありました。今年もやってくるのだろうか…覚悟して構えていましたが、やはりやってきました。Upload By SAKURA今まで明日の準備は、娘に自分でやってもらい、あとからこっそりランドセルを確認していました。いつもは、私がチェックしてもしっかり準備ができていて、フォローすることは多くなかったのですが、新年度が始まってからは、「連絡帳を入れ忘れる」「薬を忘れる」「体操服を忘れる」ということが多く、補助なしでは忘れものだらけになる状態。以前は、連絡帳も自分でチェックできていたのですが、最近は、連絡事項を見忘れることが多くなりました。Upload By SAKURA今まで、し忘れていたことでも、あとから私が指摘すると「わかったー」という反応してくれていたのですが、情緒不安定なせいか、ちょっとした指摘で絶望し、泣き、パニックを起こすようになりました。Upload By SAKURA独り言は今までもあったのですが、その回数が極端に多くなり、ひどいときには、私がしゃべっていても自分の世界から抜け出せず、私の声に反応することなく、独り言を続けています。心の不安定が、身体に現れるようになり…そういった不安定さから、私とのやり取りがうまくいかなくなり、私も私でイライラ…。結果、衝突も増え、私と娘は言い合いばかりするようになりました。Upload By SAKURA私との衝突が増えたせいか、娘は精神的不安定な状態が身体にも現れるようになり、持病のアトピーが悪化したり、蕁麻疹が出たりするようになりました。肌がどんどん荒れていく姿を、私はただただ見ることしかできませんでした。状況を良くしたいけど…私が何か指摘するたび、ストレスから皮膚を掻きむしる娘。悪化しないようにするため、「言い過ぎないように言い過ぎないように…」と、私は自分に制御をかけるようになりました。そのうちに、私は娘のことに対応した後、目が真っ赤に充血するようになりました。Upload By SAKURA私はこの状況を少しでも良くするために、娘の不安定を解消しようと試行錯誤しますが、少し前から思春期&反抗期状態の娘に、療育グッズはもはや効きません。Upload By SAKURA毎年、何かしらありますが、今年は特に激しい気がしています。いつも、時間が経てば勝手に不安定から抜け出しているので、今はただ、嵐が過ぎるのを待っている状態です(笑)去年は5月末には元通りでしたが、今年はどうかな~…。
2021年05月12日Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太の中学時代のまんがコラムをこれまでにいくつか公開してきましたが、今回は後に就職に繋がる『進路選択』について考えるきかっけになったリュウ太の『ヤル気スイッチエピソード』になります。小さい頃から電車や車が好きで中学2年生になるとなかなかのマニアになりつつあったリュウ太は車の専門誌を読んだり、地域を走るJRや私鉄電車の乗車制覇をしたりしていました。同じ小学校出身でリュウ太と同じ趣味を持つ2つ年上のお兄さんが近所に住んでおり、そのお兄さんは電車が好きで鉄道マンになるための学校に通っていました。「鉄道マンになる専門の学校があるんだね~」、「どんな学校なのかね~」と親子で気になっていました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太中2のある日、お兄さんのママにどんな学校か聞いてみると、「普通科と運輸科と機械科があって普通科の授業と専門的な授業のカリキュラムがある学校だよ!オープンスクールがあるから行ってみるといいよ!」と教えてもらいました。そこは上野駅の側にある創立120年以上の学校で日本に鉄道が敷かれるようになって産業化が進む中、鉄道員を育てる役割を担ってきた学校でした。鉄道ビジネスのノウハウを学ぶ運輸科は普通科と同じく進学にも対応できるカリキュラムがあり、機械科では自動車の整備を学ぶことができるとのことでした。(現在は機械科はありません)リュウ太にとっては好きな分野の学校でしたが、最初は高校ってどんなところかイメージがわかなかったらしく親に引っ張られるがままにオープンスクールについていったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。その頃のリュウ太はまだ中2でしたが、私は早めに学校見学をしていく中で進学への意識が芽生えたりヤル気を刺激できるんじゃないかと考えていました。運輸科では運転シミュレーターソフトを使った体験ができたり、校内にミニ鉄道が走っていたりオープンスクールで校内が華やかに飾られて楽しい雰囲気もありリュウ太は大興奮!機械科の教室では車のエンジンを組むデモンストレーションをしていたりしてリュウ太は「オレこの学校に入りたい!」と目を輝かせていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。いつもダメダメな息子ですが、その様子を見て母は心の中で「よしよし、計画通りだわ!やりたいことが見つかり、これで勉強を頑張る方向にいくわね」と鼻息荒く、久々に大きく期待していたのでありました。学生さんたちがワイワイやっている出店で焼きそばを食べながら「運輸科と機械科どっちがいいと思う?オレ電車好きだけど自分に合うのは機械科かもしれない」と選択しはじめたのでした。予想外に進路のことを考えてくれているんだなと焼きそばを食べながら母はテーブルの下で「よっしゃー!」とガッツポーズ。Upload By かなしろにゃんこ。帰りに機械科にもう一度寄って在学生に機械科のカリキュラムやこの科を選択してみた感想を聞いたりしました。質問に答えてくれた先輩は「車が好きなら楽しい科ですよ!でも自分は機械に強いと思っていたけれど、やはり大変、電気やエンジンなど正直ついていけないな~と思うこともありますよ」と言います。このコメントをリュウ太自信はどう感じたのか聞いてはいませんがオレがやれるだろうか?と少しは感じたかもしれません。しかし、この日をきっかけにリュウ太は専門に学べる学校に意識が向いたと感じています。パンフレットではわからない、志望する学校の雰囲気を直に感じに行くのはとても良い経験になるな、と思いました。親は子どものやる気に合わせて学費の準備も始めなければなりませんから、校風を見て高い学費を払う価値があるものか判断することも重要だと感じています。Upload By かなしろにゃんこ。その後、死んでも勉強はやりたくないと拒否してきたリュウ太が個人塾に通うようになり、ゆっくりですが次第に変化が出てきたのでした。中3の進路相談で提出物ができていないことや、成績が悪いことで志望するその学校は難しいと先生に言われて諦めましたが、自分が目指せる範囲で自動車整備士の専修学校高等課を選択することになりました。自分が好きなことでしか努力ができないですから、普通科以外の道もあることを視覚で感じさせることでヤル気に繋がったのではないかと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。しかし提出物が致命的にダメで泣けてきます、一つもできていないのでした。トホホ…。……提出物で玉砕した経験から専修学校では提出物をほどほどに守り、やるようになったのでした(笑)現在リュウ太は4月で23歳となり、車の整備士として地域にある自動車販売店のサービスで働いています。自分が好きなことを続けた結果、それが就労に繋がっていきました。
2021年05月11日集団行動が苦手なコウの姿に、不安を覚えた保育園時代Upload By 丸山さとこ保育園に着くと、まず下駄箱で靴を履き替え教室に入り、連絡帳を出してシールを貼ります。それから歯磨きセットやタオルを指定のフックにかけたりするのですが、コウは年中になってからもそれらの”登園後の支度”にもたつくことがありました。年少から通っている子はもちろんのこと、年中から入園した子であっても数週間もたてば1人で(ときに周りの子を見ながら)支度をすることができます。Upload By 丸山さとこ動きが止まったり所在無げにウロウロしたり、カゴの中の連絡帳などをそろえようとして涙目になったりするコウの支度を手伝いながら、「来年には年長、次は小学生…まだ1年半あるとはいえ、この調子で進学して大丈夫なのだろうか…?」と薄っすら不安を感じたことを覚えています。発表会で起きたハプニングに、コウのとった行動は…そんな園生活最後の発表会で劇を演じているのを見ていたときのことです。コウが演じるきつねが草むらに隠れて変身して出てくるシーンになり、コウ以外の子どもたちは次々と被り物を変えて現れました。ところがコウは一向に出てきません。Upload By 丸山さとこ「あれ?」と思ったころ、明らかに泣き顔のコウが草むらを出て舞台袖に降りていきました。さっと先生が駆け寄り、コウと何かを話しつつパネル裏に行くのを見て、「これは途中退場もあり得るかな…どうしたんだろう?」と首を傾げていると、コウが被り物を変えて出てきました。泣き顔のままではありますが、涙を袖でぬぐいつつダンスをしています。「あそこで『もう駄目だ!』とならずに続行できたんだ!?」…と驚きつつも心の中で応援し、無事発表会は終了。そのあとに先生に伺ったお話から、彼にとっては予想外のハプニングが起きていたことが分かりました。コウと先生からの話を総合すると、草むらのパネルの後ろに並んでいた被り物を子どもたちが取っていくときに、コウの被り物に当たってしまい、向きが”いつもと逆”になってしまっていたのが原因だったようです。Upload By 丸山さとこ最初に「コウ君の被り物の向きが逆になっていたので、『自分のがない!』って思って慌てちゃったみたいです」と先生からお話を伺ったときは、「いくらコウでも、逆向きになったくらいで混乱するかな?緊張していたからかな?」と思いました。ところが、話を詳しく聞いていった結果見えてきた理由はいかにもコウらしいもので、「なるほど~!そうなるとコウは混乱しただろうな~!」とパネル裏の光景が目に浮かぶ私でした。次回のコラムでは、”被り物はそこにあるのに「自分のがない!」となった理由”について詳しく書いていきます。
2021年05月10日ヲタママだっていーじゃない!
4人の子ども育ててます
子育て楽じゃありません