Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビユーザーの皆様新年あけましておめでとうございます!発達ナビでは、2018年も価値のある記事をお届けしてきたいと思っております。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。新年のお年玉企画として、人気の本を、合計51名様へプレゼントいたします。気になっていたけれどまだ読んでいなかった!という本があったら、この機会にぜひご応募ください。ご応募は締め切りました(1/9 10:00更新)新年お年玉企画!合計51名様へ、人気の本をプレゼントします出典 : ご紹介している本の中から、ご希望のものを選んでご応募ください。応募方法は記事の最後でご紹介しています。発達ナビ連載ライター陣の書籍・コミック発達ナビでの連載でも、ADHDのあるリュウ太くんとの毎日を描くかなしろにゃんこ。さん。このコミックでは、思春期・反抗期を迎えたリュウ太くんとのエピソードが満載です。ケンカっぱやい、忘れ物が多い、衝動性などの特性があるリュウ太くん。ついに家のお金に手をつけてしまいます…。それでもやっぱりかわいいわが子に、かなしろにゃんこ。さんは、どう向き合ったのでしょうか。2017年10月発売。かなしろにゃんこ。さん直筆の絵柄とサイン入りコミックを5名様にプレゼントします。かなしろにゃんこ。さんのページこの本の著者、モンズースーさん自身も、小さなころから生きづらさを抱えた発達障害当事者。そして二人の子どもは、ともに発達障害グレーゾーンでした。本書のテーマは、幼稚園・小学校就学などをめぐる進路問題。子どもにとって最善の道とは何か…悩みながらも子どもとともに進んでいく姿は、多くの共感を呼んでいます。2017年9月発売、第1作『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』(2016年5月発売)の続編です。モンズースーさんのサイン入りで3名様にプレゼントします。モンズースーさんのページしおりさんの息子・カムくんには、先天性サイトメガロウイルス感染症、難聴、発達障害、睡眠障害などがあります。手話も1語しか使わず、自分の思いを言葉で表すことや、人と目を合わせることも苦手だけれど、人が大好きで甘えん坊です。いろんな困難はあるカムくんだけれど、愛情に包まれながら成長していく姿をほのぼのとしたタッチで描いた4コマ漫画集です。2017年5月発売。しおりさん直筆の絵柄とサイン入り。さらに、絵柄入りのオリジナルポストカードも一緒に、5名様にプレゼントします!さんのページLITALICO発達ナビでの連載でも、子育てや声かけのコツ、支援ツールの工夫、学校や園とのかかわり方などを紹介している楽々かあさんこと、大場美鈴さん。そんな楽々かあさんのアイディアがたくさん詰まった本がこの2冊です。ご自身の子育ての経験から生まれたさまざまな工夫は、今すぐ使いたいものばかり。困った時のサポート役になってくれそうです。いずれも、心があたたかくなる直筆メッセージ&サイン入りで、それぞれ5名様にプレゼントします。楽々かあさんのページ子どもをのびのび育てるためには?日本各地で講演活動を行う立石さんは、特別支援学校の高等部に通う息子さんを育てる母親でもあります。子どもの人生は、学校卒業後、そして親がサポートできなくなったあとも続きます。子どもに合った療育をすることの大切さや、周りへの伝え方、学校選びについてなど、将来を見据えてどのように育て、周りの人とかかわっていくのかなどが書かれています。まだ小さなお子さんを育てる保護者にとって、先輩ママからのアドバイスをもらえ、前向きに進んでいく一助となる一冊になりそうです。合計5名様にプレゼントします!立石美津子さんのページ発達ナビで取材をさせていただいた方の書籍・コミック発達障害のADD(注意欠如障害)であることを公表している、モデル・俳優の栗原類さん。この本は、15万部突破となった栗原さんの自叙伝的エッセイ『発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由』(KADOKAWA)を、活字が苦手な方やお子さんにも親しみやすいようにマンガ化し、2017年12月に発売されました。マンガパートは酒井だんごむしさんが担当し、やわらかなタッチで描かれています。各話の間には栗原さん自身による文章に、母親の栗原泉さん、主治医の高橋猛先生のコメントを交えたミニコラムも収録され、発達障害特性ゆえに生じる困難さや疲れやすさとその対応方法、将来の自立に向けた想いなどが語られています。合計3名様にプレゼント!10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学時代に不登校となり、高校進学しない道を選んだ彼が見つけた「ぼくにしかできないこと」とは、鋭敏な味覚と嗅覚、こだわりを生かして研究・焙煎したオリジナルコーヒーづくりでした。2017年12月に発売となったこの本では、自身の発達障害と向き合い、自分だけの仕事を見つけるまでの岩野さんの歩みが描かれています。特性を強みに変え、好きなことを仕事にしたら、障害がなくなったという彼の生き方は多くのことを教えてくれます。合計5名様にプレゼント!仕事のストレスをきっかけにうつ病を発症、さらには大人になってからアスペルガー、ADHDと診断された著者である岩本さん自身が、症状を軽減させるために自己分析し、実践してきた過程をご紹介しています。特に発達障害のある成人の方に役立つ内容です。著者のサイン入りで5名様にプレゼントします。発達障害のある子を育てる保護者におすすめの名作・話題の書籍自閉症のある子・光くんと母親の日々を描いた名作コミックは、テレビドラマ化もされました。発達ナビでも、モンズースーさんが、このマンガのシーンと絡めながら子育てエピソードを連載中です。今回は、2017年に新装版として発売された<誕生・幼児篇/保育園篇>と<小学校低学年篇>をセットで5名様にプレゼントします。同年代の女の子に比べ、性の知識が乏しくなりがちでトラブルにも巻き込まれやすいといわれるアスペルガー症候群のある女の子(アスピーガール)。彼女たちの心や体を守るための生き方、考え方、対応策などが紹介されています。アスペルガー症候群のある女の子が一人でも読み進められるように、分かりやすい内容となっています。思春期を迎えるお子さんへ、どのように伝えたらいいか分からないときや、一緒に話をしたいときなどの助けとなってくれそうです。応募方法下記の「ご応募はコチラから」ボタンをクリックすると、応募フォームに移動します。フォームにて、ご希望の商品をお選びいただいた上で、ご自身のメールアドレスを入力してください。応募人数が上限に達した場合は抽選となります。応募は何回でもできますが、当選はお一人様につき1冊(又は1セット)となります。応募締め切りは、2018年1月9日10:00です。応募は締め切りました。当選された方にのみご連絡をしますので、h-navi.jpドメインからのメールが受信可能なメールアドレスでご応募ください。※当選された方には、別途プレゼントの送付先をお伺いします(期日までにご返信いただく必要があります)。※当選者は厳正な抽選のうえ決定いたします。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
2018年01月03日LITALICO発達ナビの「施設情報」ページはもうご利用になりましたか?施設情報ページでは、全国の放課後等デイサービスや児童発達支援事業所などを簡単に探すことができます。各施設の特徴や、利用者の声も合わせて知ることができるので、お子さんにぴったりの施設を探すことができます。今回も、いま空きがある放課後等デイサービス・児童発達支援施設をピックアップ!気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてくださいね。発達ナビ「施設情報」東京都 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報ハッピートライアングル竹ノ塚教室では、ビジョントレーニングやリトミックを中心とした身体発達トレーニングを行っています。さらに、50種類以上の豊富な遊具類や、オーダーメイドで製作した教材を使った認知発達トレーニング、社会性や心の成長を支援するパーソナルトレーニングを実施。月ごとの会報や連絡帳を通じて、親御さんと教室が連携できる体制が整っています。東京都の児童発達支援施設をもっと見る神奈川県 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報ALPsでは、ABA(応用行動分析)の理論に基づいた小規模集団支援と個別支援を実施しています。経験豊富な臨床心理士がお子さんのレッスンを担当するため、さまざまなケースに柔軟に対応できます。小規模集団支援は、保育園や療育センターと併用することも可能。保護者さんの困り感にも応えられる体制が整っています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラスセンター北教室は、2018年1月に開所予定の教室です。お子さんそれぞれの発達段階に応じた課題に楽しく取り組むことができるよう、多様な教材を用意しています。自己肯定感を伸ばし、楽しい気持ちで通うことができる教室づくりを目指し、お子さんのお困りごとに合わせた療育を実施していく予定です。神奈川県の児童発達支援施設をもっと見る埼玉県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービス ハビープラス 大宮教室では、一人ひとりのカラーを大事にし、お子さんの特性に合った指導方法で支援を行っています。お子さんの発達状況やご家族のご意向に合わせて個別支援計画を作成し、多彩な療育プログラムを提供。また高校生を対象にした就職支援・進路指導では、就労移行支援で蓄積したノウハウを活用しながらサポートを行っています。Upload By 発達ナビ施設情報ハビープラス川口教室では、好きなことや得意なことを生かし、成功体験を増やすことで自信に繋げることを目指し、支援を行なっています。また、「絵手紙をかこう」「クリスマスリースを作ろう」など、お子さんが楽しみながら成長できるようなイベントも頻繁に開催。「好き」を「大好き」に。「得意」を「自信」に変わるようにサポートを行っています。Upload By 発達ナビ施設情報ハビープラス川越教室では、お子さんの特性に合った指導方法により、放課後や長期休暇中の生活を楽しみながら成長できる支援を実践しています。科学実験や季節のイベント、プログラミング講座など興味関心に合わせてプログラムを実施。支援の様子は随時モニターやマジックミラーで確認することができます。埼玉県の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報わーくぷらすジュニアでは、お子さんが育つ上で重要な知能・心・身体の3点の発達を大切にしています。楽しみながら学べる環境を提供し、機能訓練や学習、遊び、音楽などから心身ともに社会生活に順応できるよう支援を行っています。スタッフは全員が国家資格保有者。お子さん一人ひとりの課題に応じた機能訓練やリハビリを実施しています。Upload By 発達ナビ施設情報チャイルドハート東大阪は、体育科教員経験者が主体となり、運動療育と学習プログラムを提供しています。また、学校生活での悩みや不安感を聞き出し、必要に応じて学校や親御さんと会議の場を作って情報共有ができるような体制も整えています。相談に乗ったり、勉強をみたりできる、兄貴的存在となれるスタッフたちを集めて、運営を行っています。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報お子さんにのびのびと成長してほしいという思いをもとに、それぞれのカラーを大事にした指導を目指しています。子どもの成長にとって何が一番良いのかをご家族の方々と一緒に考え、個別支援計画を作成し、支援を行います。集中力や感性を養うあそびや体力や体幹を鍛えるあそびなど、さまざまなあそびを通して学べるプログラムで、成功体験を増やして子どもの自信を育みます。Upload By 発達ナビ施設情報チャイルドハート新深江では、療育に10年関わっているスタッフが中心となってプログラムを組み立てています。生活面・ソーシャルスキル・運動療育と幅広いプログラムを実施。スタッフはお子さんと一緒に遊びながらプログラムを進めつつも、安全と衛生を常に高いレベルで保つように徹底しています。Upload By 発達ナビ施設情報ハビー心斎橋教室では、一人ひとりの個性を大切にし、お子さんに合わせた環境設定や支援を行なっています。教育や福祉の業界での経験が豊富な、保育士、幼稚園教諭、特別支援学校教諭、児童指導員などのスタッフが在籍し、お子さんに寄り添い笑顔を増やせるような支援を心がけています。Upload By 発達ナビ施設情報チャイルドハート豊中桜塚は、言語聴覚士、保育士、不登校児支援を経験してきた教職課程修了者など、専門性のあるスタッフで構成されており、早期療育の重要性を意識した療育の場を提供しています。教室内では予定を視覚化して提示し、お子さんが次の行動をイメージしやすいように工夫しています。また、乳幼児期の粗大運動の重要性に注目し、サイバーホイールを使って楽しく身体を動かせるプログラムも実施しています。大阪府の児童発達支援施設をもっと見る兵庫県 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報ハビー神戸三宮教室では、現段階でお子さんの成長にとって何が一番良いのかをご家族の方々と一緒に考え、 楽しく学べる環境を提供しております。ご家族の皆様の心に寄り添える支援を目指し、スタッフ一同が協力し連携をもって、一人ひとりの個性を大切にしたプログラムを作成していきます。また、スタッフそれぞれの専門性に加え、専門家を招いての特別研修なども実施し、スキルアップに日々取り組んでいます。兵庫県の児童発達支援施設をもっと見るおわりにいかがでしたか。気になる施設がありましたら、「~のページを見る」のボタンを押してみてくださいね!詳細のページから直接お問い合わせをすることも可能です!今後も掲載施設数はどんどん増える予定ですので、ぜひお住まいの地域のページもチェックしてみてください!
2017年12月20日スクールカウンセラーとは出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家です。教員とともに親子をサポートするほか、教員への指導・心のケアも行っており、近年、学校現場でニーズが高まっています。スクールカウンセラーの仕事内容等、詳細については、こちらの記事をご覧ください。スクールカウンセラーとして働くことができるのは、基本的には、臨床心理士、精神科医、大学教員が多いです。また、今後は新しく誕生した心理職初の国家資格である公認心理師も、スクールカウンセラー業務を担うこととなりそうです。これらの資格を持つスクールカウンセラーは、まさに、学校現場における臨床心理の専門知識に基づき、心のケアを行う専門家といえます。参考:厚労省|資料6「スクールカウンセラー」についてスクールカウンセラーに相談できる問題とは?出典 : スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。くわしくは以下の記事をご覧ください。ここでは、スクールカウンセラーに相談できる子どもの問題について、いくつかの具体的な問題をご紹介します。例えば、友人関係のトラブルやいじめ、成績低下などが積み重なり、何らかのきっかけにより、学校を休むようになり、不登校になってしまう場合があります。特に、発達障害がある子どもは、周囲の理解のなさや不適切な対応により人間関係がうまく構築できない、学習についていけないといった状況が進み、結果として不登校に至ってしまう可能性が指摘されています。そして、不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行してしまう場合があります。不登校・ひきこもりが発達障害や精神疾患による困りごとに起因している場合、その困りごとへの対処を行わない限り、根本的な解決は難しいといわれています。発達障害や精神疾患についての専門知識が豊富なスクールカウンセラーの関与は、不登校を根本的に解決するために望ましいといえるでしょう。出典 : 発達障害がある子ども、または、グレーゾーンの子どもは、勉強や仕事の理解や進め方、注意の集中や持続の偏り、対人関係でのすれ違いなど、生活に支障が出るような特性や困りごとを抱えていることが多くあります。発達障害の特性があることに気づかなかったり、気づいていても適切なサポートを受けられなかったりすると、周囲に理解されず怒られたり非難を受けたりするなど、失敗体験を積み重ねてしまいます。その結果、本人の自尊心や、やる気が失われてしまい、それが二次障害につながることがあります。スクールカウンセラーへの相談をきっかけに、相談センター(保健センター、子育て支援センターや児童発達支援事業所)や医療機関のような専門機関とつながるケースもあります。これらの連携の下に、家族や学校が適切な対処をすることによって、上記のような困難を解消することが可能となります。何らかの心の問題を抱えている子どもは、その原因が家庭にある場合があります。家庭での問題についても、スクールカウンセラーに相談をすることができます。この場合、子ども自身が相談することができるほか、保護者が相談に行くこともできます。誰がスクールカウンセラーに相談できるの?出典 : 就学期のお子さんを育てている、悩める保護者の方には、「スクールカウンセリング」は、子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、というイメージがあるかもしれません。以下のコラムを書いた、発達ナビライターで漫画家のかなしろにゃんこ。さんもそんな風に感じていました。しかし、スクールカウンセラーによるカウンセリングの対象者には、子ども(児童・生徒)だけでなく、保護者や教職員も含まれます。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできますが、それだけでなく、子ども・保護者・教職員の三者間を取り持つ役割を担っています。例えば、保護者の相談をきっかけとして、スクールカウンセラーが、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行うことがあげられます。スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所です。スクールカウンセラーの池田先生は、子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、無理やり子どもを連れていくのではなく、まずは親がカウンセリングを受けてみることをおすすめしています。実際のカウンセリングの現場とは?出典 : では、スクールカウンセラーは、実際にはどんなふうに問題を解決してくれるのでしょうか?発達ナビのコラムを執筆してくださっているライターさんや、國學院大學教授で元スクールカウンセラーの池田行伸先生の経験談を中心に、スクールカウンセリングの現場から、その様子をご紹介します!発達ナビライターのkaoruさんは、息子さんが集団に適応できなくて一番大変な時に、スクールカウンセラーに2つのことを薦められました。1つは、プレイセラピー、もう1つは、スペシャルタイムでした。これを実践してみたところ、大正解!学校生活や療育、診察などで疲れた子どもにとって、心から楽しいと思える癒しの時間になり、お子さんの成長にも良い影響があったようです。スクールカウンセラーのアドバイスで、子どもの精神状態や親子関係に良い影響が生まれたケースです。次に、國學院大學教授・元スクールカウンセラーの池田行伸先生が担当した事例をご紹介します。相談者は、不登校の女の子と、その母親でした。池田先生が、「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけても、女の子は無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。しかし、約半年のカウンセリングを継続する中、それまで一言も発しなかった彼女は、ついに自分から話し始めました。一見意味のないようにみえたカウンセリングでも、子どもにとっては自分を見つめるきっかけになったり、保護者の心の安定につながったりと、継続することで良い影響をもたらすことがあるのですね。詳しい考察は、こちらの記事をご覧ください。子どもを思うあまり、学校と保護者の関係がこじれてしまうこともあります。その結果、家庭対学校の構造ができてしまうと、なかなか対立は解消できないケースも多いようです。”平静さを保っているように見えても、心の底ではお互い分かり合えない複雑な感情を抱いている。そんな状態では、学校は家庭がもっとしっかりやるべきだと考えるし、家庭は学校が悪いから自分の子がおかしくなったと考えるわけで、お互いの不信感がつのるばかりです。”このような状況をどのように解決すれば良いのでしょうか?以下の記事にはそんなときの解決のヒントとしてスクールカウンセラーが紹介されています。スクールカウンセラーは、保護者や他の教職員と利害関係が存在しない「第三者性」「外部性」を有する専門家です。当事者が多数いて問題が複雑になってしまった場合などこそ、調整役としてのスクールカウンセラーの存在意義が発揮されるのです。学校と保護者が、子どもに関する問題について対立してしまい、当事者同士ではなかなか解決できない時には、スクールカウンセラーを利用してはいかがでしょうか。出典 : 発達障害児の概念が生まれ個別の支援が叫ばれるようになってから、教育現場では、個の教育的ニーズ(必要性)に合った教育というスローガンが生まれ、教育する側も努力が求められるようになりました。以下の記事では、スクールカウンセラー・池田先生が関係したある学校での心ある教師たちの進化と実践が紹介されています。その学校では、ある日、女子生徒が教室で口論になり、カッとなって椅子を壊してしまう事件が発生しました。その生徒の担任の事例検討会においての相談をきっかけに池田先生が支援し、問題行動がみられなくなるまでが語られます。子どもの問題を解決しようとする熱心な教員がいても、適切な方法をとれるとは限りません。このような場合に、スクールカウンセラーが心理の専門知識や生徒・学校・保護者からの多面的な聞き取りの結果を踏まえ、教員に対して適切なアドバイスをすることで、望ましい解決を実現することが可能となるのです。池田先生のもとへ、担任教師が相談に来ました。4年生にもなるのに5分と椅子に座っていられない男子生徒がいるという相談でした。池田先生は、まずは生徒の親と話す機会を設けて欲しいと担任にお願いし、母親との面会を実施します。母親の話を聞くと、母親も問題行動に悩んでいたことがわかります。スクールカウンセラーとして、医療機関への相談を進めることにしました。保護者としては、薬の副作用など、心配は尽きないと思います。そんな時、スクールカウンセラーは、子どもの様子の観察や教職員の意見を踏まえたうえで、薬物療法の役割や、代替案の有無を説明し、信頼のおける専門医選びをするなど、丁寧なコミュニケーションをしてくれることが期待できます。日ごろの心配などの親の不安を受け止め、寄り添ってくれる存在になることでしょう。スクールカウンセラーのこのような丁寧なコミュニケーションこそが、問題を解決に導いてくれるのです。スクールカウンセラーに相談するには?上手く活用するポイントって?出典 : 池田先生はスクールカウンセラーの活用をこうすすめています。”国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。”以下の記事では、予約方法や活用のポイントについてもわかりやすく紹介しています。スクールカウンセラーは常駐しているわけではないため、予約が必要な場合がほとんどです。余裕をもって相談に行けるよう予約できるといいでしょう。また、当日までに、メモなどの準備をしていくと、聞きたいことに漏れがなく、スムーズに相談できます。準備については以下の記事をご参照ください。まとめ出典 : スクールカウンセラーは、心理の専門家であり、子ども・保護者・教員の困りごとの把握や相談を主に行っています。そして、その上で、第三者的立場からの子ども・保護者・教員に対するアプローチをし、困りごとや問題を解決することができます。教育現場では、近年、発達障害児の概念が生まれた結果、個別の支援が叫ばれるようになりました。そのため、子ども一人ひとりの異なる個性に合わせた教育を可能とするために必要な配慮や支援をすること(=合理的配慮)が求められています。スクールカウンセラーは、このような個の特性に応じた教育を可能にするために、重要な役割を担っているといえるでしょう。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者の方々は、気軽にスクールカウンセラーを利用してみたらいかがでしょうか。
2017年12月13日Upload By 発達ナビニュース即日完売の「究極のコーヒー」。焙煎したのは、15歳の少年でした2017年4月、群馬県桐生市に、小さな珈琲焙煎店 「HORIZON LABO」(群馬県桐生市)が誕生しました。コーヒーを焙煎するのは、アスペルガー症候群のある15歳の少年、岩野響さん。彼には幼いころから、調味料の違いもすぐに分かってしまうほどの鋭敏な味覚と嗅覚がありました。その特別な感性で生み出されたコーヒーは、たちまち評判になったのです。10歳で診断を受け、中学校で大きな壁にぶつかった岩野さんは不登校となりました。そんな時、両親の知人がくれた”小さなコーヒーの焙煎器”との出会いがきっかけとなり、人生の転機を迎えます。それ以降、岩野さんは、持ち前の鋭い味覚と嗅覚を生かして焙煎を行うようになります。そして、コーヒー界のレジェンド「大坊珈琲店」の大坊勝次さんとの出会いをはじめ、さまざまな人との交流を通して、いつしか「コーヒー屋さんをオープンしたい」と思うようになっていきました。発達障害のぼくにしかできないことを綴った『15歳のコーヒー屋さん』が発売岩野さんが、どのように自身の発達障害特性と向き合ってきたのか。家族や周囲の人々との対話、コーヒーとの出会い……”ぼくができることから、ぼくにしかできないことへ”という思いを胸に、好きなことを仕事にできるようになるまでには、どのような日々があったのか。幼少期からの生い立ちやさまざまな出会い、両親の言葉とともに綴られた本が、この度発売されることになりました。■幼少期のぼく・ぼくはアスペルガー症候群・「育てる」より「サポート」でいいほか■大きな壁にぶつかった中学時代・教室にも、部活にも、ぼくの居場所がない・できることに目を向けたら、可能性が広がったほか■働くことで新しい世界が広がる・ぼくがコーヒーに目覚めたきっかけ・15歳の4月にどうしてもオープンさせたかった・焙煎士が適職だと確信した理由ほか■ぼくの仕事はコーヒー焙煎士です・人見知りのぼくもコーヒーのことなら饒舌に・自分の好きなことを仕事にしているから障害がないほか(目次より)特性を強みに変え、好きなことを仕事にしたら、障害がなくなったーそんな岩野さんの生き方は、多くのことを教えてくれます。「HORIZON LABO」オリジナル、月替りの焙煎コーヒーの通販がスタート!出典 : 年春にオープンした「HORIZON LABO」は、想定をはるかに超える数の来店があり、現在は、岩野さんが焙煎研究に専念できるよう店舗での直販は休止されています。ですが、手回し焙煎器と大型焙煎器を使い分け、通常の倍以上の時間をかけて焙煎されるコーヒーを求める声は大きく、通販カタログ「毎日が発見ショッピング」のオンラインストアで購入することができるようになりました。毎月1種類だけ販売される、季節に合わせたオリジナルのコーヒーを通販で手に入れることができます。 COFFEE Roaster Laboratory「今月のHORIZON COFFEE」を、発達ナビで毎月紹介!Upload By 発達ナビニュース発達ナビでは、これから毎月「HORIZON LABO」の月替わりコーヒーをご紹介していきます。12月の月替わりコーヒーは、甘味、苦み、酸味のバランスがすばらしいフレンチロースト。「つめたい/丸い/儚い/けむる/飴色の光淡い、僕の冬の記憶。甘味、苦味、酸味。それぞれが共存しあう淡い味わいと香りを感じていただけたらと思います」(岩野さん)岩野さんの物語とともに、この季節にぴったりの極上のコーヒーを、ぜひ味わってみてください。
2017年12月07日食事にこだわりがある娘との生活出典 : 物心がつくころから娘は味覚が鋭く、食事にとてもこだわりを持っていました。私が作る料理も「これはイヤ」と一度言い出したら決して食べません。こんな場合の常套手段である「ちょっとだけ食べさせて大げさにほめる」とか「細かくして他の料理に混ぜる」ということは思いつきはしたものの、実行には移せずじまい。私自身がアスペルガー症候群で、演技のようなやり取りが苦手だったり、料理を上手にこなすことができなかったりしたことも関係していると思います。娘は、スーパーのお惣菜を「薬品臭いにおいがする」「独特な味がしてイヤ」と受け付けないので、私は手抜きもできなくて常にイライラ。逆に、気に入った食材、たとえばお餅などは、1週間くらい食べ続けてみたり、また突然食べなくなったりといった調子で、どうしたらいいのかわからず、正直疲れ切っていました。保育所に通うようになってからは、給食で栄養バランスが少しでも良くなればと気が楽になっていたのですが、小学校2年生からは不登校になって食事の管理がぜんぶ親にかかってくることになりました。自分の食事も3食作れない私にとって、娘の栄養バランスを考えることは荷が重すぎて、それだけでイライラ・憂うつな気持ちでいっぱいでした。それに加えて不登校ならではの独特な問題が出てくるようになったのです。娘の昼夜逆転生活。その食事はというと…出典 : 不登校になった子どもたちは心身ともに疲れ切っているうえに、学校に行けない自分を責めて、みんなが活動的に過ごす昼間に起きていることを苦痛に感じるようになるケースがよく見られるといいます。それゆえ昼夜逆転の生活になることが多く、食事をとることにも意欲がなくなり、好きなものしか口にしなくなったり、まったく食べなくなったりすることもしばしばあるそうです。娘も例にもれずきちんとした食事はしなくなり、カップ麺や冷凍食品、コンビニで売られているスパゲティやたこ焼き、レトルトハンバーグばかりを欲しがるようになりました。初めのうちは私も「好きなものばかり偏って食べていて大丈夫なのかな?」「私が弁当を作って置いておかなくてはいけないんじゃないか」と思い詰めていました。しかし、次第に私自身が体調も崩してしまったので、それ以上の手間をかける気力もなく、何とかしたいと思ってもどうしようもない状況が続いたのです。昼夜逆転の生活… 不登校のカテゴリを閲覧して…時がたつにつれ、娘に思わぬ変化が…出典 : 結局、娘には電子レンジと電気ポットの使い方を教え、好きな冷凍食品やカップ麺を買い置きして自分で好きに食べてもらうことにしました。一旦、それでいいと割り切ったのです。様子を見ながら、私が家にいるときにガスコンロを使って袋ラーメンや、鍋で温めるタイプの冷凍食品を自分で作れるようにステップアップしていきました。意外にも、娘はそうした生活を楽しんでいました。私の手を煩わせることなく好きなものを好きなときに食べられることは、「自分でも食べていくことができる」という自信を娘に与えたようです。そしていつからでしょうか、次第に娘は料理に興味を持つようになりました。ネットで見つけた料理マンガや動画サイトの料理実況動画が楽しかったらしく、マンガやスマートフォンを見ながら少しずつ料理をするようになったのです。中学生になってからはお菓子や家庭料理など、作れるレシピもどんどん広がり、さまざまな食材に自分から興味を持つようになりました。食事へのこだわりは残っているけれど出典 : 娘は今でも冷凍食品もコンビニの食品も大好きで、それで食事を済ますことも多いです。スーパーのお惣菜もなぜか相変わらず苦手なまま。だけど、料理に興味を持ったことで「世の中には食べてみると案外おいしいものがたくさんある」と知り、今ではずっといろいろなものを食べられるようになりました。「これ、苦手だと思っていたけど食べてみたら案外おいしいなぁ」というのが口癖みたいになっている姿を見ると、娘の成長を実感せずにはいられません。私も冷凍食品などに頼ることへの抵抗は薄れ、食べることを楽しめるようになった娘の様子を安心して見守ることができるようになりました。おそらく、娘のこだわりを否定するのではなく、それはそれで尊重しながら成長とともに経験を積んで変わっていくのを待つのがよかったのでしょうね。また、我が家の場合は、不登校・引きこもりという体験を通して、心の状態と食べることが密接につながっていることを実感することができました。本人が心地よく過ごせることを第一に考えて無理強いはしないこと。これが一番大切だと思っています。
2017年12月05日LITALICO発達ナビの「施設情報」では、24時間いつでも施設に直接WEB問い合わせすることが可能です!また、各施設の特徴や、利用者の声も合わせて知ることができるので、お子さんにぴったりの施設を探すことができます。今回は、神奈川、千葉、栃木、大阪で、いま空きがある放課後等デイサービス・児童発達支援施設をピックアップ!気になる施設を見つけたら、「ページを見る」をクリックして、詳しい情報をチェックしてみてください。発達ナビ「施設情報」神奈川県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報おもちゃ箱かなざわは今年の9月に新しく開所した教室で、児童発達支援施設も併設しています。専門性を持ったスタッフによるキッズヨガや作文教室、音楽レクリエーションなどをはじめ、TEACCH、ソーシャルスキルトレーニング、学習支援、感覚統合療法などの支援プログラムも充実しています。また、子どもたちに提供するおやつは手作り。料理教室主催の先生がレシピ監修をおこなっている自信作です。神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報おもちゃ箱かなざわは今年の9月に新しく開所した教室で、放課後等デイサービスも併設しています。保育所勤務経験のある管理者が中心となって、小学校就学前に必要なスキルを遊びを通して学べるようなプログラムを実施しています。子どもたちに提供するおやつは、料理教室の先生がレシピ監修を行っており、「体に優しく心に楽しく成長をサポートする」をモットーに、素材にこだわり手作りで作製しています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス 相模原教室では、幼児教育の「コペル」で使用している教材を数多く使用したプログラムを準備しています。豊富なオリジナル教材、フラッシュカード等を使用し、認知課題・ことばのプログラム・ソーシャルスキルトレーニングなど、お子さんに合わせてバラエティに富んだプログラム内容を実施しています。また、児童指導員、保育士幼稚園教諭を始め、コペルで認定を受けた指導員が在籍。お子さんの特性に合わせた療育を行っています。神奈川県の児童発達支援施設をもっと見る千葉県 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報BRIDGE新検見川では、生きる力の教室としてバランスのとれた支援を行っています。「子どもたちへの可能性を導く架け橋となる」の理念のもと、身体発達トレーニング、認知発達トレーニング、パーソナルトレーニングの3つの柱で支援プログラムを実施中です。ほぼすべてのスタッフは児童指導員及び保育士。また子育ての経験のあるスタッフも多く在籍しています。保育所等訪問支援では、就園前後・修学前後のスムーズな「移行支援」ができるよう、集団の中での課題を解消し、子どもたちの健やかな成長を促します。千葉県の児童発達支援施設をもっと見る千葉県 その他の発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報興学社高等学院では「自分らしく、君らしく」を校訓に掲げ、不登校傾向だった生徒や発達に課題のある生徒、人間関係の構築に苦手さを感じている生徒や心の病気に苦しむ生徒を積極的に受け入れています。普通高校卒業資格取得はもちろん、子どもたちが高校卒業後の社会で力強く生きていくための素地を培う教育を実践しています。自由選択授業の種類が80種以上あり、自分に合った学びを選択できるほか、希望生徒にはWISC-Ⅳ検査を実施するなど、個々に適したアプローチをできる体制を整えています。千葉県のその他支援施設をもっと見る栃木県 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズメソッド宮の内店では、オンライン学習ソフトやマインクラフト・イラストレーターといったツールを使った学習スタイルを用意。また工作や実験なども行い、巧緻性や創造性、ソーシャルスキルの向上を促しています。室内は「パソコン室」「実験工作室」「学習室」「メインホール」の4つに別れており、集中して活動に取り組めるようにしています。保育士や教員を中心に、就労支援などの福祉現場で経験を積んだスタッフも在籍。お子さんが無理なく落ち着いて活動できるように配慮しています。Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズメソッド小山駅東店では、社会性を身に着けるためのソーシャルスキルトレーニングや、工場の作業を真似たロールプレイングや作業訓練の活動を実施。保育士や教員免許取得者などのスタッフが在籍しており、児童がチャレンジしているビジネス文書検定では、スタッフも一緒に受験するなどの取り組みをしています。“働く”とは何かを知ってもらいたいという思いから、どんな分野の職業があるか調べる活動を行うなど、将来を見据えた支援を行なっています。Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズメソッド真岡東店では、「個別療育」と「グループ療育」の2つを中心に、どうやったら楽しく療育ができるか考え、日々の支援を行っています。スタッフは、保育士や教員を中心に、臨床心理士など、専門性の高いスタッフが在籍。また、リトミック指導員のスタッフも在籍し、本格的なリトミックを実施しているほか、「教育版ボーカロイド」を導入しており、タブレット端末で簡単に作詞・作曲体験が出来るなど、音楽に触れる活動を積極的に実施しています。栃木県の放課後等デイサービスをもっと見る栃木県 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズパーク小山駅東店では、親離れをする年齢を決め「働ける・稼げる・生活できる」を目標に、療育に力を入れています。ソーシャルスキルトレーニングや作業訓練のほか、外出を通して集団行動や時間の把握方法を学ぶ機会を作っています。放課後等デイサービスとも隣接しており、そこに通う児童との交流も実施。スタッフは、児童発達支援管理責任者のほかに保育士や教員免許取得者などが在籍していて、多様な教材を使い子どもたちへの支援を行っています。Upload By 発達ナビ施設情報グローバルキッズパーク真岡東店では、療育グッズを幅広く取り入れ、支援に活用しています。こちらが何種類か候補を出し、最後は子ども自らが選んだアイテムを使って療育を行うので、楽しい時間を過ごすことができます。さらに、ブランコやトランポリンなど感覚統合につながる遊具も利用可能です。療育では臨床心理士が中心となり、どうやったら楽しく療育が出来るかを考え、一人ひとりのお子さんにあったプログラムを組んでいます。栃木県の児童発達支援施設をもっと見る大阪府 放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスたんぽぽ園は、アットホームさが最大の魅力。家庭的な雰囲気で、安心して通所できる事業所を目指しています。また療育とは親御さんと二人三脚で行っていくものだと考えており、親御さんのお話を聞き、寄り添うことも大切にしています。小さな頃からの成功体験の積み重ねが将来の大きな自信に繋がっていくと考え、子どもたちがのびのびと学べる環境作りはもちろん、一人ひとりに合わせた楽しく明るい療育を目指しています。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府 児童発達支援施設Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援たんぽぽ園では、子どもが安心して通うことができるアットホームな環境で、日常生活の基盤を構築することや、小学校に進級するためのお手伝いなどを行っています。子ども一人ひとりが何に興味があるのかを理解した上で、強要せずその子のペースに合わせた指導を実施。焦らず地道な努力を積み重ねる、それが私たちのやり方です。療育は保育士、幼稚園教諭の資格を持った指導員が実施し、園の独りよがりな療育にならないよう、スタッフ同士で密な情報共有に努めています。大阪府の児童発達支援施設をもっと見るおわりにいかがでしたか。気になる施設がありましたら、「~のページを見る」のボタンを押してみてくださいね!空き状況や教室見学について、ページから直接お問い合わせをすることも可能です。今後も掲載数がどんどん増えてゆきますのでお楽しみに!
2017年11月29日精神科医・山科先生におすすめの本を聞きました!精神科医で中央大学教授の山科満先生。クリニックでの診察・カウンセリングも精力的に行い、臨床現場と心理学教育をつなぐ臨床研究に取り組んでいらっしゃいます。発達ナビのコラムの監修者としてもご活躍いただいています。そんな山科先生に、精神医学についての理解を深められる2冊を伺いました。いずれも豊富なエピソードと筆者の深い洞察力で、一般の読者でも興味を持って読める、おすすめの本です!『「こころ」の本質とは何か統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』「この挑戦的なタイトルに惹かれて発刊間もない頃に偶然手に取り、以来私にとってバイブルとなった本です。発達障害に向き合うにあたっての「考え方」を教えてもらいました。発達障害に関する臨床経験も知識も、今よりもずっと乏しかった頃は(今でも多いとは言えませんが)、私はほとんどこの本を頼りに臨床を行っていました。学部の1年生の授業でもテキストとして使っています。」(山科満先生)学習院大学教授の滝川一廣さんは『子どものための精神医学』(医学書院)や『家庭のなかの子ども 学校のなかの子ども』(岩波書店)などの著作でも知られる児童精神科医です。2004年に刊行された本書では、統合失調症、自閉症、不登校の3つを取り上げ、「こころ」の本質とは何かを考えます。「こころの病は決して異常ではなく、人間のこころの本質のある現れである」という考えに立つ滝川一廣さん。自身が臨床の現場で感じたことやエピソードなどを交えながらわかりやすい筆致で語られ、精神医学の入門書としても読みやすい本です。『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』「著名な脳神経外科医(にして著述家)による患者のインタビューを元に構成された本ですが、タイトルになっている「火星の人類学者」とは、『我自閉症に生まれて』で有名なテンプル・グランディンの話です。彼女は自分を「火星からやってきた人類学者」に喩え、周囲の出来事を徹底的に観察分析し、頭の中にデータベースを構築することで適応力を向上させていったのだと説明しています。大学生まで生き延びたアスペルガーとおぼしき人にこの本を読んでもらうと、「自分のことだ」と言われることがしばしばあります。(山科満先生)『レナードの朝』でも知られる脳神経科医サックス博士が出会った7人の患者についてのエッセイで、全米で大ベストセラーとなった本です。自閉症のある動物学者テンプル・グランディンをはじめ、トゥレット症候群の外科医、色彩感覚を失った画家など、障害が才能となって開花した人が登場します。サックス博士は7人と診察という形で交流を重ね、そのエピソードと彼らそれぞれへの理解を深い洞察力を持って描いています。障害とその人の個性や才能との境目はどこにあるのか、そもそも境目はあるのだろうか…様々なことを考えさせてくれるエッセイです。山科満先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部山科満(やましなみつる)中央大学文学部教授。精神科医,臨床心理士。専門は青年期精神医学、精神分析的精神療法。大学教員となって,発達障害傾向ゆえに不適応に陥っている若者の多さに驚き,発達障害と本腰を入れて向き合うようになった。山科満さんのページ|LITALICO発達ナビ
2017年11月07日スクールカウンセラーってどんなお仕事?専門家・池田行伸先生(國學院大学)に、詳しくお聞きしました!Upload By かなしろにゃんこ。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者のみなさんにとって「スクールカウンセリング」はどんなイメージがありますか?子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、と思っていませんか?スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所なんです。今回、学校現場で、たくさんの子どもや保護者の方々と関わってきた、國學院大學・人間開発学部子ども支援学科池田行伸先生(特別支援教育士スーパーバイザー) にインタビューをさせていただきました。インタビュー担当は、私、かなしろにゃんこ。です(ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太の母・職業は漫画家)。思春期真っ只中の息子との関わりに苦戦する私…「もっと早くスクールカウンセラーのことを知って活用していたら!」と強く思いました。今回のコラムでは、池田先生にスクールカウンセリングについてや、発達障害がある思春期の子どもとの関わり方をお聞きしました。スクールカウンセリングの方法・対象は?誰が相談できるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 一般的なカウンセリングでは、言葉のキャッチボールをしながら相談者の悩みを聞いていきます。鏡に自分を映すように、徐々に自分のことが見えてきて、相談者が自分自身で解決策に気がついていけるようになります。スクールカウンセラーは、一対一のカウンセリングに加え、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行ったり、保護者と教職員双方を取り持つ役割としても機能しています。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできます。その他にも校内会議等への参加や相談者への心理的な見立てや対応、時には事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなど多岐にわたっています。この制度が始まった背景には、いじめや不登校の子が増えてきて、児童・生徒とその保護者の心のケアが必要になってきたことがあります。現在は全国の小中高にカウンセラーが配置されるようになってきました。参考:スクールカウンセラーについて |文部科学省利用の仕方って?相談料金はかかるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。カウンセリングは予約制で、「〇月〇日にスクールカウンセラーが来ますよ」というお知らせを学校が保護者に配付するきまりになっています。それを見て予約する方法が一般的です。学校に電話して日程を教えてもらい電話で予約することもできます。基本的に午前10時~夕方4時まで学校にいますよ。子どもがカウンセリングに行きたがらない場合は?Upload By かなしろにゃんこ。ーとにかく、カウンセリングは最初が肝心だそう!池田先生: スクールカウンセリングの対象者は、保護者や教師も含まれとても間口が広いのですが、「子どもを無理やり連れてくるのだけはやめてください」と、大人たちにお願いしています。特に、親がいくらカウンセリングを受けろといっても、子ども自身が受ける必要を感じていないときは絶対受けてくれないものです。池田先生: 子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、まずは親がカウンセリングを受けてみるといいです。スクールカウンセラーは、親御さんの心のケアも大切にしています。そして、親が自分の体験を「カウンセラーとこんな話をしたよ」「こんな人で、こんなことがあったよ」と子どもに伝えていくことで、徐々に子どもも「そういう場所なんだ、わたしも・僕も行ってみようかな」という気になってきます。子どもの気持ちが動くのを待って、行く気になったら親と一緒に行けばいいのです。カウンセリングに来る保護者は圧倒的に母親が多いです。父親は仕事で忙しい場合が多いのと、カウンセリングに否定的な考えを持っていることも、ままありますね。しかし、スクールカウンセリングに行った妻の報告を毎回聞いていたら、カウンセリングに対してポジティブな変化が起きるお父さんもいて、「じゃあ、夕方の時間帯に家族で行ってみようか!」となり、相談後「怒ってばかりの育て方を変えよう」と、子育てを見直すきっかけになったケースもあります。いつからカウンセリングに行き始めるといいですか?Upload By かなしろにゃんこ。ーファーストステップである「初見」の時期はとても大切だそう。池田先生: 思春期には、様々なハードルを超えないと本人のカウンセリングまでたどり着かないことも、よくあります。なので、なるべくお子さんが低学年のときから親がスクールカウンセリングに通っておくといいですね。子どもは「自分のことを思って通ってくれているんだな」と分かります。もし思春期で少し反抗的になったとしても、「親は自分を守ってくれる存在だ」という信頼関係がすでに形成されているので、それが安心感の礎となり、支えになってくれます。池田先生: 親子の信頼があれば、思春期以降大きく違いが出ます。それは発達障害がある子でも定型発達の子でも同じく大事なことです。カウンセリングを受けることは思春期の親子関係にも役立ちます。保護者側の反抗期への心構えも、早めにカウンセリングに行き始めることで形成されてゆきます。子ども側も、高校生になると徐々に人格が出来上がってきますが、その前からカウンセリングを受けていると、自分のことを他人に話せるように成長してきます。ー早めの相談が大事なんですね。一方、反抗期に突入してから、いざカウンセリングを受けても、カウンセラーだけでは解決できない複雑な内容となっていることもあるといいます。池田先生: 小学校では、いじめやからかいを受けてひとりぼっちの子に話しかけることがあります。そういったケースでも、「いじめられたの?」とは聞きません。たあいのない雑談をして少し話すだけなんですが、気持ちがらくになって、もう少し学校でがんばってみようかなと思ってくれたりするのです。大学にも学生相談室があり、学生のさまざまな悩みを聞いてくれます。カウンセリングは、小・中・高だけでなく、教育現場全般に必要になってきているんです。池田先生: 学校生活に関わる深刻な悩みについても、まずは友達のように話を聞きます。忘れ物が多くていつも注意されて落ち込んでいる子が「どうしても忘れちゃうんだよね…」と相談してきたとします。それに対して「みんなも忘れ物するよ、君はみんなよりも頻度が少し多いだけで、忘れちゃうのは仕方ないよね~」と言うと「なんでわかるの!?そうなんだよ!」と打ち解けてくれます。ーまずは”子どもに共感することが大切”という姿勢で、接し方も配慮してくれるんですね!いつ行っても大丈夫?居場所として使ってもいいのですか?出典 : 池田先生: 基本的には予約制ですが、イヤなことがあったらすぐにカウンセリングルームに来てくれればいいんです。そういう場所が子どもには必要です。カウンセリングルームにずっといる子もいます。「ここに来ると教室に帰ってこない」なんて、教師が嫌がることもありますけれど(笑)発達障害がある場合、お医者さんなどにも繋いでいただけますか?出典 : 池田先生: 児童、生徒と先生それに保護者の橋渡しをするのも仕事ですから、発達障害の傾向があるお子さんをお持ちの親御さんから発達障害の診断について相談されれば、医療機関を紹介することもあります。教師から聞いた生徒の学校の様子をまとめて紹介状と一緒にお渡しすることもあります。卒業後や学校以外でもカウンセリングを受けたいという方には一般のカウンセリングルームを紹介することもあります。とにかく、発達障害がある子の保護者の方は特に、大変なことも多いですから、人に任せられることはどんどん任せてください。いろんな手段を使って「親子関係をフレンドリーにしておく」ことが、思春期や受験、就職へと続く未来のためにもいい結果を生みます。ーなるほど…将来を見据えても、スクールカウンセラーは積極的に利用していきたいですね。「ママ友」に関する相談も、のっていただけますか?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: もちろんOKです。ママ同士のいじめトラブルの相談も増えています。発達障害の傾向にあるお子さんを持つお母さんは、やはり周りのママから言われるんですよ。子どもの悪口メールが回ってくることもあるんです。ママ同士の情報網ってスゴイですからね。子どもが発達障害の傾向がある場合、子育ての悩みは誰にも相談できなかったりします。そんなときはスクールカウンセラーにお話ししてください、そのために我々はいるんです。先ほども言いましたが無料なんですから利用しなくちゃ損です(笑)学校での指導にモヤモヤする場合、話をきいてもらえますか?Upload By かなしろにゃんこ。ー学校の先生に「こういう接し方はやめてほしい」と思っていても、言いづらく遠慮してしまうこともあります…池田先生: 特に発達障害がある子どもの保護者は、(普段学校に迷惑をかけてばっかりで申し訳ない…)と思っている方も多いので、余計にそうです。学校での行き過ぎた指導への不満がある保護者はとても多いです。そういうときもぜひスクールカウンセラーに相談してほしいですね。教師に面と向かって言ってしまうとケンカになってしまうようなことも、スクールカウンセラーが間に入って指導方法を変更してもらうように掛け合います。それも我々の仕事のひとつです。ー中学では特に、先生にクレームなんてつけたら内申書に響くんじゃないかって思って心配する親が多くいます。池田先生: 内申書の心配はよく上がる相談です。スクールカウンセラーは、学校組織とは独立した第三者機関です。安心してまずはカウンセラーへ相談してください。逆にカウンセラーを介さずに、先生に言いたいことをぶちまけてしまうとガチンコの対決になってしまいます。そうなると間に立つ子どもは立場がないんですよ。それでは子どもが苦しむことになりますから、ケンカでエネルギーを使わないで欲しいのです。カウンセラーは、困り感のある子どもたちへの適切な指導方法の資料を教師に渡して一緒に指導方法を考えますし、学校の会議でも提案していきます。例えば、パニックになる子がいたらパニックにならないようにする方法を教師と一緒に相談したり、具体的な方法を一緒にさぐります。池田先生: 子どもを取り巻く環境の質を上げていくのが、スクールカウンセラーの今後の使命です。そして質のいいスクールカウンセラーを育てるのも私たちの仕事です。子どもが気軽に一人で相談できるようになるために、まずは保護者がスクールカウンセリングを体験してみてください。せっかくの制度ですから、気軽にドアをノックしてみることが大切です。この記事が保護者の方の利用へのハードルを下げる一助となることを、切に願っています。―子どもたちと保護者のこれからに向けて、ためになるお話をありがとうございました!
2017年11月06日スクールカウンセラーとは?出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家を言います。様々な心の問題をもつ人たちを、専門的な知識や技法を使って支援する役割を担っています。近年は教職員に対する心のケアや研修も行ったり、事件や事故が発生した時に被害児童・生徒のサポートを行ったりと、より幅広い業務が求められています。スクールカウンセラーは、平成7年(1995年)に国が打ちだした「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始めました。その後、いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから、子どもの心をケアする重要性が広まり、全部の公立小中学校で、スクールカウンセラーの配置が進められてきました。平成28年時点でスクールカウンセラーは2万5500校の公立小中学校に配置されていて、これは全公立小中学校の約93%にあたります。また私立の小中学校・高等学校は、公立小中学校がスクールカウンセラーに関する事業を始める前からスクールカウンセラーを配置し始めています。そのため、小中学校全体として、スクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えてきています。平成28年チーム学校の構想における心理職の役割-文部科学省佐藤誠・高塚雄介・福山清蔵/著『続 電話相談の実際 各論編 (相談シリーズ) 』双文社/2005スクールカウンセラーの仕事内容って?出典 : 具体的に、スクールカウンセラーはどんな仕事をしているのでしょうか。スクールカウンセラーとして最も中心的な仕事が、児童・生徒や保護者へのカウンセリング対応です。カウンセリングは児童生徒・保護者からの希望で行われたり、担任教員からの紹介で行われたりとさまざまです。児童生徒の場合、カウンセリング内容は友人関係に関するものが多く、他には担任教員との関係、家庭での悩みなどがあるようです。また、発達障害があり学校生活で困り感を抱いている子どもへのSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、災害や環境変化などによるストレスに対して心のケアをなど、様々な支援を行います。保護者の場合、子どもの友人関係や学校生活での問題行動に関する相談のほか、直接言いづらい学校への不満について相談することで、スクールカウンセラーから学校側へ指導方法について掛け合ってもらうこともできます。また、家庭状況に関するカウンセリングを行うこともあります。担任教員には直接言いにくい悩みも、第三者であるスクールカウンセラーになら話しやすいのではないでしょうか。スクールカウンセラーは、中立な立場から、教員と保護者の関係を調整する役割を担ってくれています。スクールカウンセラーは、教員に対してもカウンセリングを実施することがあります。カウンセリングは、支援が必要な児童生徒・保護者に対し、教員がどうサポートしていけばよいのかに関するアドバイスが主な内容です。他にも、教員自身に悩みがある時のケアもスクールカウンセラーが行い、教員がより快適に働けるように相談や助言をすることがあります。カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子ども達が快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子ども達の生活現場へ実際に足を運ぶことも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。授業や昼休みの様子だけでなく、クラブ・委員会活動、学童保育にも足を運び、子ども達の様子を確認し、学校生活を送る環境として適切かどうか確認します。スクールカウンセラーは、心のケアが必要になった対象者の支援だけでなく、何か問題が発生するのを防ぐためにさまざまな活動をします。例えば、「スクールカウンセラーだより」のような配布物を作り、スクールカウンセラーという相談窓口の認知を広めたり、児童・生徒・保護者・教職員などにアンケート調査をし、ストレスチェックを行ったりします。また、スクールカウンセラーは、その多くが臨床心理士の資格をもつ専門家です。そこで、その知識を生かして、保護者・教員向けに、児童・生徒の心のケアや、よりよい教育相談のための研修を行うこともあります。石村 郁夫 /著『カウンセリングのすべてがわかる-カウンセラーが答える本当の心理学- (ぐっと身近に人がわかる) 』技術評論社/2010スクールカウンセラーになるには?出典 : 基本的にスクールカウンセラーになる人は、臨床心理士、精神科医、大学教員のいずれかが多いです。スクールカウンセラーの募集・採用は、各都道府県・指定都市ごとに行っています。文部科学省は、スクールカウンセラーの資格要件を以下のように定めています。「スクールカウンセラー」(1)財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士(2)精神科医(3)児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者「スクールカウンセラーに準ずる者」(1)大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者(2)大学若しくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験を有する者(3)医師で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者このような条件のもと、書類と面接によって選考が行われます。スクールカウンセラーの割合として一番多いのは、臨床心理士です。学校における教育相談に関する資料|平成27年-文部科学省また、2017年9月15日に公認心理師法が施行されたことによって、心理職初の国家資格「公認心理師資格」が誕生しました。誕生したばかりの資格であるため、各自治体は順次対応していくようですが、これからはスクールカウンセラーの条件として公認心理師も追加されることが予想されます。スクールカウンセラーにどんな相談ができるの?出典 : スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。例えば、次のようなことについて相談することができます。・不登校・いじめ問題・家庭環境・教職員との関係・暴力行為・非行・不良行為・心身の健康・保健・児童虐待・学業・進路・友人関係・発達障害・貧困対策・小中連携・校内研修・教育プログラムなど平成27年度スクールカウンセラー等活用事業実践活動事例集このような問題に対して、スクールカウンセラーはどのように関わり、解決を目指しているのでしょうか。具体的な事例を元にご紹介します。小学校2年生のA君は、落ち着いて集団の活動に取り組むことができません。担任のB先生は、授業中すぐに席を離れてしまうA君をつい叱ってしまい、自分の指導に行き詰まりを感じていました。母親との相談の中で、自分の正直な気持ちを伝えたB先生は、スクールカウンセラーとの相談を勧めました。最初は懐疑的だった母親も、継続したカウンセリングの結果、自分の子どものありのままを受け入れられるようになりました。さらに、アトピー性皮膚炎の受診と合わせて訪ねた専門医から、LDとの診断を受け、以前は自分の子を好きになれず、手もつなげなかった母親が「この子のためなら何でもしてやりたい」と強く感じるようになり、対応も穏やかになって行きました。B先生も、カウンセラーのコンサルテーションを受け「ほめるときはうんとほめ、叱るときははっきり分かるように短く叱る」という対応を続けた結果、クラスの友達も担任のまねをして、A君をほめることが多くなりました。帰りの会などでも「叩いたけど謝ってくれた」「ちゃんとイスに座っていた」など良いことを取り上げて発言し、それにつれて、A君の行動は次第に落ち着いてきました。この事例では、スクールカウンセラーが、「落ち着いて集団の活動に取り組むことができない」児童・「自分の子どもを受け入れることができない」保護者・「児童へどう指導してよいかわからず、つい叱ってしまう」教員それぞれに介入しています。学校生活での問題は、児童・生徒、保護者、教員の誰か1人の問題ではなく、さまざまな問題や背景が絡み合って発生します。スクールカウンセラーの強みは、臨床心理の専門知識を生かしつつ、問題に対して多方面からアプローチできる点にあると言えます。元気がなさそうな本人の様子に気づき、スクールカウンセラーが声をかけたところ、「小学校 4 年生までは仲が良かった友達から、無視されるようになった」と話す。話しかけても、「無視してないよ。」と言われるが、たびたび無視されることが続いた。原因が分からず、今まで楽しかった学校が、楽しくなくなってしまった。■スクールカウンセラーの取り組みと児童の変化5月:スクールカウンセラーとの相談を開始。・いつ無視がはじまったのか、何の時間だったのか、具体的にどんな無視の仕方だったのかなど詳細を話してもらった。・それにともなって、どんな気持ちがしたかを丁寧にききとっていった。・「また仲良くなって楽しい学校にしたい」という本人の希望を確認し、その目的に向けて一緒に考えていこうと話した。・困ったことがあった時は、周りの人を頼っていいこと、そして、それはとても大事なことであると伝えた。5月中旬:どのような無視なのかを一緒に考えていく・話をしていくうちに、相手の無視の仕方に特徴があることがわかった。・無視をしてくるのは特定の時間だけであることがわかった。・相手はどうやら”無視しているつもりはない”と思っていることがわかった。5月下旬:相手と無視について話し合う・無視について整理できたので、直接相手と話し合ってみることを提案し、スクールカウンセラーも同席した。・相手は無視のしぐさに全く気付いておらず、言われて初めて気付いた。そのしぐさが無視ではないということを本人が理解できた。・お互い仲良くしたい気持ちがあることを確認した。・無視されたと思うことはなくなり、楽しく学校に通っていると、後日、本人から報告があった。子どもにとって、友人関係の悩みは学校へ行くことが苦しくなるほど大きな問題です。スクールカウンセラーの多くは、子どもの学校での過ごし方を把握するために、学校生活の様子を見回っています。その中で、ちょっとしたトラブルの存在を早く見つけ、早期解決を目指すことで、深刻な問題に発展することを予防しています。スクールカウンセラーに相談するには?出典 : 実際に、「スクールカウンセラーに相談したい!」と思ったら、どのように申し込み、カウンセリングを受ければよいのでしょうか。以下では、多くの学校が実施している、カウンセリングまでの流れを紹介します。ただし、学校ごとに、スクールカウンセラーに相談を依頼するための方法は異なりますので、必ず自分の子どもの学校のスクールカウンセラーに関する決まりなどを確認するようにしましょう。スクールカウンセラーに相談したいと思ったら、多くの学校ではまず、事前にカウンセリングの予約をする必要があります。現状、スクールカウンセラーはほとんどが非常勤であるため、多くの学校はスクールカウンセラーが来校する日を決めています。平成27年3月9日(月)中央教育審議会チーム学校作業部会(第4回)「スクールカウンセラーの役割と活動の在り方」カウンセリングの予約をするには、担任教員またはスクールカウンセラー担当教員へ連絡を取るか、「スクールカウンセラーだより」のなどの配布物に記載している連絡先へ、直接連絡する必要があります。多くのスクールカウンセラーは、定期的に学校の様子や心のケアに関するアドバイス、カウンセリング可能日時などを記載した「スクールカウンセラーだより」をつくっています。このような配布物をチェックして、スクールカウンセラーのスケジュールを確認するようにしましょう。カウンセリングが決まったら、限られた時間で悩みや話したいことを満足に話し合うことができるように、前もって話したいことを考えたり、メモなどに簡単にまとめておいたりするとスムーズです。カウンセリングは親子で受けるのはもちろん、親だけ、子どもだけというケースも可能です。親だけでスクールカウンセラーに会い、家庭での子育てに関して相談することもできます。何か悩みや困りごとがある時、相談場所の一つとしてスクールカウンセラーの存在を覚えておくとよいでしょう。まとめ出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場で臨床心理の専門知識に基づき、児童生徒・保護者・教員に対してカウンセリングや支援の手助け、心のケアを行う専門家です。学校で何か相談するとなると、最も身近な担任教員を思い浮かべがちですが、場合によっては担任教員も当事者であることが考えられます。そんな時、スクールカウンセラーに相談すると、当事者が抱える問題を客観的に、そして専門的に解決してもらうことが期待できます。保護者のみでスクールカウンセラーと話すことも可能なので、子どもの学校生活や家庭での過ごし方など不安に思った際に相談してみると、解決の手立てが見つかるかもしれません。子どもの学校生活、不安だけど誰に話したらよいかわからない…担任教員には相談しづらい悩みがある…そんな方は、スクールカウンセラーに一度相談してみてはいかがでしょうか。
2017年11月01日井上雅彦先生に聞いた、発達障害のある子を育てるパパママにおすすめしたい本!鳥取大学の井上雅彦教授は「応用行動分析学(ABA)」の専門家。発達ナビでは「親子のヒント」や「発達障害のキホン」コラムの監修などを担当しています。発達障害のある子どもや保護者への支援経験も豊富な井上先生に、子どもへの接し方や障害への理解が深まる本を紹介していただきました!『つながろ!―にがてをかえる?まほうのくふう』「自分の苦手なことに工夫をしたり、得意に変えていくことが絵本で学べる本です。発達障害があるないに限らず、多くの親子にぜひ読んでほしい本。」(井上雅彦先生)友達のまいちゃんには発達障害がある。どんなふうにしたらまいちゃんや、先生やクラスのみんながわかりやすくなるのか、どうしたら苦手なことがなくなるのか、「まほうのくふう」を考えよう…子どもへの説明にも使えるわかりやすい絵本です。発達障害とはどんなもの?苦手なことはどんなこと?という障害への理解はもちろん、当事者だけでなく、先生やまわりの友達も一緒に困りごとを解決するヒントがつまったインクルーシブ絵本です。『家庭で無理なく対応できる 困った行動Q&A: 自閉症の子どものためのABA基本プログラム4』「親御さんが一番気になり、またストレスを感じるのが困った行動ではないでしょうか?自傷やこだわりなどがある時、おうちで無理なく解決できるヒントをわかりやすく紹介しています。」(井上雅彦先生)「応用行動分析学(ABA)」とは発達障害児療育のベースになっている理論のひとつです。行動の背後にある原因を分析することで、その子の困りごとを解決していこうとする考え方です。本書は家庭でもできるABAについて、具体的に書かれたシリーズの4冊目。保護者が特に困る癇癪や感覚過敏、自傷などへの対処法がわかりやすく紹介されています。『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント―4人のわが子が教えてくれたこと』「堀内さんは、発達障害のあるお子さん4人を育てたお母さん。子育てのコツや工夫が満載です。堀内さんが子育ての中で経験則から発見し、得られた知見は研究や教育原理で得られる示唆とも一致すると思います。」(井上雅彦先生)アスペルガー症候群、ADHD、LDという発達障害の診断を受けている4人のお子さんを育てる堀内さん。本書では、それぞれ特性やタイプの違うお子さんとの毎日の奮闘から編み出した「こんなふうにしたらいいんだ」という工夫を紹介しています。こだわり、パニック、不登校…小学校入学以来、堀内家はさまざまな“問題”に直面しますが、タイトル通り、ハッピーに暮らそうと前向きな堀内さん。勇気と子育てへのヒントがもらえる本です。井上雅彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部井上雅彦(いのうえまさひこ)鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授応用行動分析学自閉症支援士エキスパート井上研究室ホームページ井上先生が監修したコラムはコチラ!|発達ナビ
2017年10月27日小学校から不登校だった娘のフリースクールでの過ごし方出典 : アスペルガー症候群の診断を受けている中学校3年年生の娘は、小学校2年生のときから学校には通っていません。自宅でもほとんど勉強をしてこなかった娘ですが、「高校には行きたい」と自ら訴え、特別支援コーディネーターの先生にも相談し、来年からは通信制高校に行くことが決まりました。合わせて、自宅から通える場所にある、技能連携校にも通うことに。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。娘が通う予定の技能連携校では、フリースクールとしての機能も持っており、高校入学までのあいだは、ここに通うことになりました。フリースクールでの1日はというと出典 : 娘の行くこのフリースクールでは、ピアノ教室と提携していて生徒は無料でレッスンを受けることができます。好きな曲をピアノの先生に聞いてもらって、 それを先生が聴き取って、弾き方を教えてくれます。先生のモットーは「音楽は楽しむもの。 譜面も見ないで自分の好きな曲をまずは弾いて楽しむ」なんだとか。だから、みんなピアノの時間が大好きだそうです。娘もまずは15分ほど先生とピアノを弾きます。特にピアノに興味がなかった娘ですが、自分の大好きなゲーム音楽を弾けるようになるのは楽しいようです。それから学習スペース(特に決まってないのですが)で、校長先生か教頭先生と一緒に勉強します。2人とも元小学校の先生で、塾講師のキャリアも長いので教え方が上手。学校と比べて生徒の自主性を重んじ、いくらできなくても決して声を荒げるようなことはありません。なので、怒られることが怖くてたまらない娘も安心して教わっています。小学校2年生で学力が止まっている娘は、レベルにあったプリントを1枚ずづ取り組んでいきます。たとえば、1桁 + 1桁の計算問題、また別の日は4年生くらいの漢字の読み問題。時間にしてわずか20分くらいで終わってしまう内容です。時にはほかの生徒さんも交えておやつタイム。ジュースとお菓子を頂きながらホッコリと休憩。そして1日は終了。滞在時間は全部合わせて1時間程度です。1回20分の勉強って効果があるのだろうか?出典 : 娘は満足そうなのですが、親としてやはり気になるのが勉強時間。「え、こんなちょっとでいいの?」と思うのが正直なところです。「ただでさえ人より遅れてるのに」って。でも、校長先生が言うには「学校のように、1日6時間も座って興味のないことも勉強するより、こうやって少しずつ集中して勉強したほうが効率がいいんですよ。」この言葉に疑いを持ったわけではありませんが、どうしても腑に落ちず、娘の主治医である思春期外来の先生にも勉強時間について聞いてみたのです。すると、「娘さんのような子どもたちは、普通の学校のようにカリキュラムを組んで、これをこなさないと次にいけないとなると絶望的な気持ちになります。 今のやり方がいいと思いますよ」とのこと。そういえば、以前娘の支援に関わってくれた先生にも同じようなことを指摘されたことを思い出しました。その人が言うには、ただ漫然と課題を与えられても、いつまでやり続ければいいのかわからず、不安になってしまう。だから、全体図を見せて今はここをやっているんだよと教えてあげることが大切だと言うのです。確かに、今の娘の学習の遅れは大きく、どれくらい勉強したら追いつけるのか本人も分からず不安になっている様子が見受けられます。だからこそ、フリースクールでの小学校1年生レベルから徐々に始められる環境、先生が「大丈夫、ちゃんと追いつくからね」と言ってくれる環境があることで、過度な負担や不安に悩むことなく学習を進めることができるのだと気づくことができました。在校生・卒業生たちとの交流も!出典 : フリースクールも技能連携校も、スペースやスタッフはみんな同じです。なので、娘が勉強している側で高校生や、遊びに来た卒業生が娘に勉強を教えてくれることもあります。また、先日は卒業生に仕事の体験談を聞いたりして、とても話が盛り上がっていたそうです。そうして世代を超えた交流ができるのも魅力の1つだと感じました。また、そうやって高校生たちと交流することで、実際に通うことになる技能連携校に馴染んでいくことができるのも、校長先生の狙いだけあって、さすがと思います。実際、娘はフリースクールに入ってから「学校(フリースクール)の予定表ちょうだい」と言ってくるようになり、すっかりフリースクールに所属意識を抱いているようです。思い返せば、小学校を卒業するときには、中学生になる不安で体調も悪かった娘。でも中学を卒業する今回は、気持ちもすこぶる安定していており、私もホッとしています。あきらめないでよかった出典 : このフリースクールに出会うまでには、さまざまな機関を頼り、そして失敗を繰り返してきました。今回やっと娘に合うところに出会うことができ、あきらめずチャレンジを続けてきたことは間違いではなかったと思うことができます。娘に起こったなによりの変化は、「私には行くところがある」という安心感による気持ちの安定だと思います。また、同時に、来春から通う技能連携校の様子を内部からまじまじと見て、見通しがたったことも大きな理由でしょう。こうした要素が合わさったことによって、娘は希望を持って、春を迎えることができると思います。小学校から中学校に進学する際、不安から体調やメンタルを大きく崩した経験があるだけに、中学3年生になるのが怖かった私。でも、笑顔でいつも通り過ごしている娘を見て、本当によかったと胸をなで下ろしています。
2017年10月23日小学校を即退学!学校が合わなかった少年エジソン出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。【偉人の凸凹学】3回目は、出ました!発明王トーマス・アルバ・エジソン!「なぜ1+1は2になるの?」「なぜ風は吹くの?」「なぜ魚はおぼれないの?」「なぜ星は落ちてこないの?」好奇心の塊・少年エジソンは、小学校に入るや否や、教科書丸暗記スタイルのエングル先生を質問攻めにして困らせ、「落ちこぼれ」「問題児」のレッテルを貼られてしまいました。それに怒ったゴッドマザー・母ナンシーは「もういい!私が家で勉強を教えます!」と啖呵を切り、わずか3ヶ月で学校を退学したエピソードは有名ですね。そして後に起業したエジソンは、蓄音機、白熱電球、キネトスコープなど、生涯で1913件もの特許発明を成し、文字通り「発明王」として、歴史に名を残しました。彼は、それまでの人類の生活を、自分自身のアイデアですっかり明るく変えてしまったのです。…あれ?定番の偉人伝としてよく知られたエジソンの生涯ですが、「小学校退学」と「発明王」の間が、スッポリ抜けていませんか?一体その間、何をしてたんでしょうね。実は、母ナンシーの言葉どおり、エジソンはお母さんと一緒に家で勉強していたのです。学校が合わずに「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまったエジソン。でも、学校の勉強が、勉強の全てではありません。母ナンシーは、エジソンの旺盛な好奇心に応えつつ、学ぶことの楽しさを家庭で教えていきました。これこそが「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」という教育の、ひとつの考え方なのです。そして、この時期に培われた知識と経験が、後の発明の源となり、起業家としても成功する人間性の土台となりました。エジソンと母ナンシーは、一体どんな勉強をしていたのでしょうか。学ぶことが好きになるヒントとともに探っていきたいと思います。ゴッド・マザー母ナンシーの決断。ホームスクーリングって…?Upload By 楽々かあさんまず、「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」とは、一言で言えば「学校に通わずに家庭を拠点とした学習を行っていくこと」です。実は、ホームスクーリングは、世界的に「教育のひとつの選択肢」として公的に認められている国・地域が多くあります。上の世界地図は、「ホームスクールの合法性」マップです(緑:合法、黄:ほぼ全域で合法、あるいは実践されているが論争中、赤:非合法/オリジナル作成者: Zginder、2010年版)。現在アメリカでは、220万人(2015年現在)の子どもが家庭で学んでいます。その中には一流大学に飛び級で合格するほど優秀なホームスクール出身者もいるようです。不登校やいじめ、経済的・宗教的・文化的理由…などから、やむを得ず家庭で学習を行うこともあります。でも、英才教育やギフテッド教育の一環としての、積極的・自発的な選択も多いのだそうです。その学習のスタイルはまさに「自由」ですから、特定の勉強法はありません(ただし、単位取得のテストや、在籍校への報告義務がある場合もあります)。通信教材で教科書に添った学習、ネットや外部スクールなどを活用する学習、才能を育てるための独自の教育などなど、そこには「学び方はひとつではない」世界があります。ホームスクーリング「ホームスクーリング」Wikipedia参考:「アメリカのホームスクーリング事情から考える学校の存在意義について」一般社団法人こたえのない学校そういった世界的な流れもあり、最近日本でも、ホームスクーリングを選択するご家庭が、少しずつ増えて来ているようです。…とはいえ、2017年2月に施行された「教育機会確保法」では、不登校を「休んでも良い」と認めたものの、学校以外の学習を義務教育の一環として認めることは盛り込まれず、公的には十分な受け皿が整っていないのが現状のようです。実はうちでも、学校の勉強に意欲を失っていた当時3年生の長男が、エジソンの伝記マンガを読んで「おれは、こういう風にかあちゃんと家で勉強したい。それならできる気がする」とぽつりと言ったことがあります。でも私は、「ホームスクーリングって素敵だな」と思っていても、「いざ、実行」となると、結構な茨の道が予想され、弟妹への影響まで考えると、思い切ることができませんでした。ただ、それから現在まで、日常生活の中でエジソン親子式の学習法を「できる範囲で」取り入れてみることによって長男も「勉強が楽しい」と言うようになりました。オールC評価だった、学校の成績も上がってきましたよ。では、具体的に、少年エジソンと母ナンシーの家庭での学習法をみてゆきましょう。「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)NHK解説委員室・解説アーカイブス学ぶことって楽しい!「生きる力・考える力」を育てるエジソン親子の学習法エジソン親子の学習法は、『天才エジソンの秘密母が教えた7つのルール』(ヘンリー幸田・著、講談社)という本が詳しく、元小学校教師でもあった母ナンシーの先見の明と懐の深さ、そして、キラキラした瞳の少年エジソンの「生きた学び」の姿が伝わってきます。エジソンは、慣れ親しんだ家で、母や家族に見守られながら、後の発明につながる膨大な知識と経験を、着実に蓄えてゆくのです。出典 : まず、学校をやめたエジソンに与えられたのは、大量の本。百科事典や歴史書、化学実験に関する本や、世界の名作の数々…そして、自宅の物置小屋を改造した、実験のための専用の地下室でした。例えば、「なぜ、アヒルの卵がヒナになるの?」と、身近に不思議さを感じたら、まず実際に自分で卵を温めてみました。でも、うまくいかない…そこで、お母さんと一緒に百科事典を調べると、3週間以上も温めなくてはならないことが分かります。そして、それを調べる過程で、鳥の生態について多くの知識を得ることができた…といった具合です。全てこの調子で、エジソンは自分のペースで好奇心の赴くままに学んでゆき、高校生用の化学実験の本を片手に実験を繰り返すなど、まさに「毎日が自由研究」状態。こうして自ら、興味を持ったことや不思議に思ったことを、教科書や学年にとらわれずに、気が済むまで徹底的に掘り下げて、その周辺の知識や実際の経験とつなげることによって、学びを広めていったのです。現代の一般家庭では実験用の地下室までは難しいかもしれませんが、好きなことに集中しやすい環境を整えてあげるといいかもしれません。例えば、リビングの一角に趣味の専用コーナーを作ってあげたり、必要な道具や関連書籍を買い揃えて、いつでも手に取れるようにしてあげる…など。また、現代ではインターネットが手軽な百科事典として、気になったことをいつでも調べることができます。でも、膨大な情報から有益なものを取り出すのは結構コツと経験がいるので、お子さんが調べたいことがあったら、どんなキーワードで探せばいいか、どんなサイトの信頼性が高そうか、などをそばで助言してあげるといいでしょう。出典 : 地下室で化学実験を夢中で繰り返していたエジソンは、次第に「もっと実験材料を買いたい!」と思うようになりました。でも、エジソン一家の家計は楽ではありません。ここで母ナンシーの素晴らしさは、エジソンに、実際に仕事をさせてみたことです。当時は、子どもが働くのは珍しくなかったのですが、なんといっても「あの」エジソン君ですからネ。それまで、運河に落ちたり、火事を起こしたり、何度も危ない目に遭ってきたワケです。…それを考えると、「ウチの裏庭の野菜を売ってみたい!」と提案する我が子に、「名案ね!」と背中を押せる母ナンシーは相当な度胸です。「かわいい子には旅をさせよ」の実践ですね。そして、少年エジソンは町へ出て、野菜を売り始めます。すると、単に家で採れた野菜を持っていったのでは売れないことを知ります。そこには、それぞれの人々の生活があり、ニーズがあり、需要と供給のバランスでものの値段が決まる…という経済の原則を、「体感」して知ってゆくのです。実際の経験を積み重ねた学びは、何ものにも代え難い財産になります。この後も、何度か危なっかしいことをしながらも、少年エジソンは、列車の中で自分で発行した新聞『The Weekly Herald』を売るなど、「いいこと思いついた!」を次々と実践してゆきました。その中で、さまざまな立場や境遇の人達の、生の声を拾い上げた経験が、後に、世の中のニーズに応える商品開発の原点になったように思います。でも、そこまでできなくても、日常生活の中でお手伝いや買い物等を通じてもプチ体験を積んでゆけます。お手伝いでお駄賃をもらい、近所の駄菓子屋に行って、お店の人とお話する…などでも充分「生きた学び」になります。また、お子さんと一緒にスーパーで「ずっと天気が悪かったから、野菜が高いね」「この中で、一番おトクなのはどれかな?」「カゴいっぱいで何円くらいでしょう〜?」等と会話するのもいいでしょう。こういった物価の実感は、算数の単位間違いなど、テストの回答ミスを減らすのにも役立つと思いますよ。そして、エジソン親子の学習法の中で、私が最も素晴らしいと思うのが「親子の対話」の時間です。2人は、書物による膨大な知識と実際の経験を、対話しながらアウトプットして整理し、より本質的な理解を深めていったようです。エジソン親子はこの時間を心から楽しんでいたのだそうです。あるときは、エジソンが魅了されたギリシャのヘレニズム文化について、あまりの楽しさに時間を忘れ、夜が更けるまで2人で語り合ったんだとか。実は、エングル先生がエジソンの質問攻めに匙を投げたように、好奇心旺盛な子の知的な疑問につき合うには、大人のほうも、相当勉強し、余裕がないとできないことだと思います。実際に、こういう子を相手にしているとよく分かるのですが、次々と湧いて出る好奇心の芽を伸び放題にすると、うちの庭の雑草のように収拾がつかなくなってしまうのです。大人は、必ずしも答えを用意する必要はなくても、より広い視野に立ち、物事の本質を見極め、全体像を把握する「知の地図」を持っていないと、迷子になってしまうでしょう。現代では「夕飯までに宿題を終わらせなきゃ!」「洗い物が終わったら、明日の時間割の支度をさせて、ハミガキさせて…」なんて、毎日時間に追われながら子育てしていると、子どものとりとめのない話に根気よくつき合うこともなかなかできませんよね。こういった時間に縛られない教育ができるのも、ホームスクーリングの大きな魅力です。ですが、正直子どもの話についていけない(私もです!)、毎日忙しくてとても無理、という場合、習い事等で「その道のプロ」に教えてもらうなど、誰かにアウトソースしてしまうのもひとつの手です。また、お子さんの話をほどほどに聴きながら、考えを客観的に見つめる「鏡」になってあげるだけでも良いでしょう。好奇心旺盛な子が興奮気味でとりとめのない話をする時に、まずは、「うんうん」「そーなの」「それで、それで?」と相づちをうってあげると、気持ちが落ち着きやすくなると思います。それから、「それってつまり、◯◯ってコト?」「それって例えばどういうこと?」など、話の要点を確認したり、具体例を質問すると、自分の考えを把握しやすくなるでしょう。また、「お母さんはこう思う」「もしかしたら、こう考える人もいるかも」と、自分や他人の立場からの意見を伝えていくと、次第に、物事を多角的に検証する姿勢が身につくかもしれません。Upload By 楽々かあさんまた、うちではこんな時、筆談も併用しています。言葉だけではうまく伝わらないことも、図にしたり、絵にしたり、要点を箇条書きにすると、子どもが伝えたいことを共有しやすくなります。連想ゲームが止まらない子には、マインドマップやふせんメモなどを使って、考えを整理する習慣づけもいいと思います。得た知識を他の人と共有することは、本当に良い勉強になりますし、何より、人と話すことや学ぶことが好きになるでしょう。本当はどんな子だって、学ぶことが大好きのハズ!出典 : こんな豊かな子ども時代を過ごした「元・落ちこぼれ」エジソンは、ご存知のように明るく輝ける人生を歩みました。母ナンシーが61才でこの世を去った後も、晩年まで、母の面影と心の対話を続けていたことが、記録にも残っているそうです。もしかしたら、少年時代、お母さんと夜更けまで語り合ったひとときが、偉大な彼の人生の中で最も幸せな時間だったのかもしれませんね。でも、エジソン親子は、やっぱり特別な人たちなのでしょうか?確かに「いいと思ったことを実際にやってみる」行動力と、失敗にめげずに挑戦し続ける情熱には、天性の素質があるかもしれません。でも、本来子どもは、どんな子だって、好奇心いっぱいで学ぶことが大好きな生き物なんです。もし、今「勉強」に対して、あんまり良い印象を抱けないお子さんがいたら、こんな自由で豊かな、エジソン親子のホームスクーリングの考え方を、できる範囲で、少しでも日常生活に取り入れると、勉強という言葉のイメージがちょっぴり変わるかもしれませんね。だって勉強って、本当は、もっと楽しくて、ワクワクするものなんですから。「天才エジソンの秘密 母が教えた7つのルール」ヘンリー幸田・著(講談社)コミック版世界の伝記「エジソン」吉田健二・著(ポプラ社)学習漫画 世界の伝記「エジソン―魔術師といわれた発明王」三上篤夫、かたおか徹治・著(集英社)
2017年10月19日児童相談所は悩める親子のための相談機関出典 : 児童相談所は、子どもに関するあらゆる問題の解決のために、児童福祉法に基づいて設置された専門的な相談機関です。18歳未満の子どもに関することであれば、本人・家族・学校の先生・地域の住民等、どんな立場からでも相談することができます。児童相談所のスタッフは児童福祉司(ソーシャルワーカー)、児童心理司、医師などの専門家から構成され、すべての都道府県と政令指定都市に設置されています。児童相談所の仕事は、子どもに関するあらゆる問題の相談窓口として相談に応じ、周辺の機関との連携によって必要な援助を行っていくことです。具体的には、親の事情や子どもの問題行動等による子育ての悩み、障害児福祉、虐待の対応などの問題に対して、助言や治療の補助、さまざまな手当ての案内などの支援を行います。いきなり学校や病院に相談することは気が引けるけれど、自分だけでは解決が難しいという時、誰かに相談に乗ってほしい時には、相談先の一つとして児童相談所を検討してみてはいかがでしょうか?次の章からは、児童相談所が取り扱う相談内容と支援方法を具体的に説明していきます。子どもの性格・行動、健康、進路など...子育てに関するお悩みへの児童相談所の支援出典 : 子育てをしていると、たくさんの悩みが出てきますよね。児童相談所では、子どもの性格や行動、健康管理、進路など幅広い困りごとに対応した支援が用意されています。・保健相談未熟児、虚弱児、内部機能障害、小児喘息、その他の疾患(精神疾患を含む)等がある子どもに関する相談・育成相談悪癖(チック、夜尿)や生活習慣、困った行動(家庭内暴力など)、不登校、性格上の問題(内気、友達と遊ばない、わがまま)への対処の相談・育事、しつけの相談遊び、性教育などに関する相談継続的な支援によって状況の回復が見込める場合は、在宅のまま支援が行われます。訪問型の相談や助言や施設の紹介、施設利用の際のアセスメントを行ったりします。他にも、子育ての情報に関するセミナーをしているところもあるので、ぜひチェックしてみてください。その他にも、メンタルフレンドというサービスがあります。メンタルフレンドとは、心に傷を負った子どもを、遊びや学習の手伝いをしながらケアをする青年ボランティアのことです。児童相談所の運営指針について:図表|厚生労働省HPメンタルフレンドとは?|東京都福祉保健局カウンセリングや手当、施設の紹介など、障害のある子どもに対する児童相談所の支援出典 : 子どもに知的発達の遅れ、肢体不自由、ことばの遅れ、虚弱、自閉傾向があるのではないかなどと気になったときには、児童相談所に相談してみましょう。児童相談所に相談すると、所属の児童福祉司や医療機関等が協議し、障害の疑いがあるかどうか、重軽度などを調べます。支援が必要とされる障害が認められた場合は、児童相談所から様々な支援を受けられるようになります。・1歳6ヶ月、3歳の健康診査において知的発達面に詳しい検査が必要だと診断された場合は、児童相談所が助言と指導を担当します。・医師、児童福祉司などによる訪問相談、発育相談会、親子へのカウンセリングが行われます。・「子どもの困った行動にどう対応すればいいのか分からない」「周りからの理解が得られず子育てがつらい」などの相談について専門家が具体的な提案をしたり、心理的なケアを施します。知的障害などの都合を配慮した金銭的な手当のことを特別児童扶養手当と呼びます。この手当を受けられるかの判定は役所の児童福祉課か児童相談所です。認定請求を行う本人または都道府県等児童福祉主管課のいずれかから診断書の作成を求められた児童が対象となります。療育手帳とは、知的障害のある方に付与される障害者手帳です。知的障害のある方が一貫した療育・援護を受けられるよう、様々な制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。児童相談所では、療育手帳の申請受付、調査、交付を担当しています。ただし、療育手帳は自治体によって名称が変わることがあるので窓口で確認してみましょう。子どもに必要な支援に合わせて、近隣の施設を紹介します。ここで紹介される施設は、就学中の子どもの学習をサポートする放課後デイサービスや、必要な日常生活の支援や技術の指導をする社会福祉施設等があります。また、どうしても保護者が育てることが困難だと判断した場合には障害児福祉施設が引き取り、18歳までは生活の援助をしていく場合もあります。虐待問題に対する児童相談所の支援出典 : 虐待の疑いのある家庭が近くにある、自分が虐待の被害者である、虐待してしまっているのではないかと悩んでいる、など虐待に関する相談に対応します。児童相談所が持っている役割をいくつか羅列していきます。虐待の疑いがある場合や、SOSを出したい場合には児童相談所に通告をしましょう。全国の児童相談所共通ダイヤルである「189」(イチハヤク)に電話をかけると近隣の児童相談所に繋がります。通話料は通告者の負担となりますが、相談は無料です。通告を受けた後は、児童相談所の専門的なスタッフが、行政や民生委員、学校などの関係機関を巻き込んで家庭の様子を調べます。虐待の有無や重軽度を調べて必要な措置を検討した後、関係機関を巻き込んでの支援を開始します。調査の結果に応じて、在宅支援と社会的養護の2種類の支援が施されます。在宅支援の場合、民生委員による定期的な訪問相談、ペアレントトレーニング、カウンセリングなどの保護者向けサポートや、学校・保育施設での子どもへのヒアリングなどを通して、虐待の再発を防ぐと同時に、家族関係を改善することを目指します。社会的な養護とは、子どもを分離する必要性が認められた場合に児童養護施設や里親に預けることです。一時保護の第一の目的は、子どもの安全を守るためです。他にも保護者も子どもと一時的に離れることで落ち着いたり、援助を受けるきっかけになったり、子どもにも安全な環境にいることでより正確な情報を聞き取ることが期待されます。このような理由から、必要がある場合は児童相談所が子どもを保護することが認められています。親子の関係修復が望める時は、再び家族が統合されることもあります。虐待は子どもの生命に関わる問題であるため、調査から行動措置において児童相談所は強い権限を持っています。子どもを育てることが難しい家庭のための養護相談出典 : 虐待と同様、様々な事柄によって子どもを育てることが難しい家庭があります。養育困難とみなされる場合には、以下のような事例が挙げられます。・父または母等保護者の家出、失踪、死亡、離婚、入院をした子ども・稼働及び服役等による養育困難な子ども・棄児、迷子、虐待を受けた子ども、親権を喪失した親の子、 後見人を持たぬ児童等環境的問題がある子どもこのように、やむなく家庭での育成が難しくなった子どもを一時保護所や児童養護施設で保護したり、または里親に預けたりします。一時保護、里親制度って?子どもが健やかに育つための制度とは出典 : 虐待をはじめ家庭内で問題が生じ、かつ子どもと保護者の分離が必要だと判断された場合には、社会的養護という措置が取られます。一時保護とは、児童相談所が必要を認めた時に子どもを一時保護所に一時保護するか、警察署、福祉事務所、児童福祉施設、里親などに保護を求めることを言います。一時保護の必要がある場合について、厚生労働省は次のように定義をしています。(1) 緊急保護ア棄児、迷子、家出した子ども等現に適当な保護者又は宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合イ虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合(虐待を受けた子どもについて法第27条第1項第3号の措置(法第28条の規定によるものを除く)が採られた場合において、当該虐待を行った保護者が子どもの引渡し又は子どもとの面会若しくは通信を求め、かつこれを認めた場合には再び虐待が行われ、又は虐待を受けた子どもの保護に支障をきたすと認める場合を含む。)ウ子どもの行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼし若しくはそのおそれがある場合(2) 行動観察適切かつ具体的な援助指針を定めるために、一時保護による十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある場合(3) 短期入所指導短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導等が有効であると判断される場合であって、地理的に遠隔又は子どもの性格、環境等の条件により、他の方法による援助が困難又は不適当であると判断される場合つまり、子どもを身の危険から守る場合と問題行動について詳しい調査が必要な場合、集中的なケアが必要な場合に一時保護が行われるということです。一時保護された子どもは、保護施設の中で勉強、遊び、スポーツなどをしたり、年齢や成長に応じた生活習慣が身につくような生活指導を受けたりしながら過ごします。他にも、様々な事情により家庭で生活することができない子どものための里親制度があります。子どもが家庭的な環境の下で成長できるように、官民連携で制度を進めています。児童相談所に助けを求めるときは?出典 : 児童相談所は全ての都道府県と政令指定都市にあります。地域によっては「児童相談所」の名称ではない場合もあります。なにか児童相談所に相談したいことがあるときは、最寄りの相談所に電話をするか訪問してみましょう。訪問するときは、事前に電話で予約をすることもできます。下の一覧表から最寄りの児童相談所を探すことができます。全国児童相談所一覧|厚生労働省また、児童相談所には虐待かもと思った時などにかけられる全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」があります。この番号に電話をかけて音声案内に従うと、最寄りの児童相談所につながります。出典 : 児童相談所はなぜ強い権限を持っているのか出典 : 児童相談所は仕事の性質上、強い権限を持っています。その仕事内容から、措置についてあまり明らかにされないこともあります。それはなぜなのでしょうか。児童相談所の特性から考えてみましょう。・子どものプライバシーを扱う仕事児童相談所は子どもとその家族をめぐる問題を扱うため、プライバシーの扱いは最も重要な事項の一つと言えるでしょう。そのため、具体的な仕事内容をあまりオープンにしていないと同時に、虐待で一時保護をされた場合には、たとえ保護者であっても子どもの状況を教えることはできません。・子どもの命や健やかな育ちをを守る役割を担う児童相談所は子どもの命に関わる問題を扱っており、一時保護をする最終的な決定権限を与えられています。そのため、子どもの命が危ないと判断された場合には、保護者の了解が無くても子どもを連れていくことも許されています。「児童相談所一時保護所の現状と課題」|和田一郎児童相談所の措置に納得できない...そんな時はどこに頼る?出典 : 前の章の通り、児童相談所は子どもを守るための強い権限を持っています。一方で昨今は子どもに関する問題の増加に伴い、児童相談所の慢性的な人員不足や、せっかく児童相談所に情報があっても警察や学校など他の機関との連携システムが整っていないことなど、さまざまな課題が問題点として挙げられることもあります。これらの問題のために、すべての人にとって納得できる判断や対応ができているとは言い切れない面があるかもしれません。もし、児童相談所での相談ができなかったり、児童相談所の決定や支援内容に不服があったりする場合、どうすればよいのでしょうか?・対応が間に合わないとき「相談をしたいのに対応が遅い...」児童相談所に相談が立て込んでいたりすると、相談をしてもなかなか対応してもらえないことがあります。そのようなときは市区町村の子育て支援課や地域の子育て支援センターでも、同様の支援を受けられます。・障害児療育の対応ができる職員がいないとき障害児の療育など、専門性が求められる相談には、対応できる職員がいない場合もあります。そのような場合には、各市区町村の障害福祉課、地域の障害児等療育支援事業所、相談支援事業所にて、施設の紹介や療育を受けられます。・事実が無いのに疑いをもたれてしまったとき子どもの特性や保護者の特徴によっては、虐待の事実が無くても疑いがあるという理由で一時保護措置がなされる場合がないわけではありません。不服申し立てという制度があり、児童相談所による一時保護の正当性について第三者に審査をしてもらうことができます。審査にあたっては、第三者機関が一時保護を決定するにあたって使用された資料や子どもの言動の記録、保護者に関する情報などを使います。ここに挙げている支援のほかに、自治体ごとに提供される支援の種類もあるでしょう。自分が持つ悩みごとにはどのような支援が受けられるか、児童相談所のほかにどこで相談できるのかなどを確認しておくと、もしもの時にもあわてずにすむのではないでしょうか。このように、児童相談所の判断に納得できない場合にも他の相談所や不服申し立て措置をとるなどの手段が考えられるでしょう。まとめ出典 : このコラムでは、児童相談所の役割や、具体的な支援の内容、困った時の相談・利用方法について紹介しました。児童相談所という名前は一度は聞いたことがあるものの、何をしているのかは今イチわかりにくい、と感じる人もいるかもしれません。児童相談所の役割としては、子どもの権利を守り、健やかな育成のため、専門性をもって相談や支援にあたるということが第一に挙げられます。具体的な業務内容としては、子どもの健康管理や障害児福祉、虐待の対応など多岐に渡っており、子育てに関するあらゆる相談口の窓口としての役割を担っています。一人では解決が難しいことでも、専門機関の力を借りれば解決の糸口が見つかるかもしれません。困った時は、ぜひ一度、些細なことでもいいので相談してみてはいかがでしょうか。
2017年09月26日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。スクールカウンセラーに相談してみたい、利用したいと思っているという相談をよく受けます。しかし、「どんなことを聞かれるのか」や「利用すること自体が悪いことをしているようで……」と感じる人も多いです。日本ではカウンセリングを受けるという習慣がまだまだ浸透していないということが、このような迷いを生じさせる理由になっているのではないかと思います。スクールカウンセラーは、精神科医や臨床心理士などの心理学を専門に学んだ人たちです。怖くはありませんから、利用したい・話したいと思っているなら迷わずに利用してほしいと思います。●どんなことを相談できる?スクールカウンセラーは、学校内の相談室にいて、教員とも保護者とも違う立場から話を聞いて客観的に受け止めてくれます。学校によっては、週に1回、または月に数回などの割合で来校するケースがあります。このような場合は、予約が必要になるようです。スクールと付くために、学校に関することだけしか話を聞いてくれないのではないかと思われがちですが、実はさまざまな話を聞いてくれます。子どもと保護者を主としていますが、時に教員も利用する ことがあります。たとえば、・子育ての悩み・学校生活での悩み・家庭の悩み・友だち関係の悩みなどです。自分だけで悩んでいると不安になりますから、思い切って相談してみましょう。●こんなメリットがある「スクールカウンセラーを利用してメリットってあるの?」という方もいらっしゃいますが、メリットはあります。・抱えている悩みや不安感を聞いてもらえる(話を聞いてもらうことはストレス解消になります。「心が軽くなる」と表現する人がいるくらいです)・悩み事を多方面から客観的に見てくれるので、自分では思いつかなかったことを助言してくれる・カウンセリングで話したことは守秘義務 があるので、他言される心配がない・さまざまなアドバイスをもらえる・費用がかからないなどがメリットとして挙げられます。●注意しておきたい点メリットが多いのは良いことですが、注意しなければならない点もあります。まず、一番に理解してもらいたいこととして、カウンセリングの内容が子どもと学校生活に関係ある場合において、教員と情報を共有しなくてはならない ということです。その際、最初に話があるかと思います。私は、子どものカウンセリングを行うことがあります。状況によりますが、学校に関係する情報がある場合、担任に情報を共有することがあります。もちろん保護者に確認を取ってからですし、子ども本人にも話を通してからです(状況例:不登校の場合など)。話をしてほしくないことは、「このことは言わないでほしい」と一言いっておくといいでしょう。●おわりに人は、悩みごとを誰かと共有しようとしますが、それができない場合もあると思います。だからといって一人で抱え込むことは良くありません。小さくても悩みは悩みです。学校に通っているお子さんがいるなら、スクールカウンセラーを活用することをおすすめします。心の専門家と話をすることはストレス解消にもなりますし、さまざまなアドバイスをもらえます。今は、カウンセラーに頼ることに慣れていない人が大半だと思います。これを機に利用してみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『ストレスから子どもを守る本』富田富士也・著●ライター/桜井涼●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年09月20日学校へ行かなければ、どうなるんだろう?出典 : いつの頃からか娘は小学校へ行くのを渋るようになりました。学校から帰ると疲れ果てて荒れ狂い、登校前日には足の痛みを訴えて泣くようになりました。学校へ行かすのはもう限界かな、と私が感じていた小学校3年生の2学期の初め、娘は自ら「学校をやめる」という決断を下しました。今でも学校に籍はあり、先生との交流を続けてはいますが、一般的には不登校と呼ばれる状態が続いています。わが家では学校に行かないことを後ろ向きに捉えるのではなく、「学校に行けないなら家で楽しく学ぼう!」と前向きに考えています。なので「不登校」という言葉ではなく「ホームスクール」という言葉を使うようにしています。そして、娘に続いて息子も幼稚園をやめることになり、365日親である私が子どもたちと共に過ごすホームスクールをはじめてから、ちょうど一年が経ちました。その中で、子どもたちにも私にも大きな変化がありました。ホームスクールを始める前、学校生活を楽しんで育った私の頭にあったのは学校へ行かないデメリットばかりでした。・ 小学校にも適応できない子が、社会に適応していけるのだろうか・ 同学年の友達に揉まれることでしか学べないこともあるのではないだろうか・ 365日子どもが家にいることに、自分は耐えられるのだろうか・ 勉強はどうすればいいんだろう・ いつか子どもが学校に行きたいと思ったとき、戻る場所はあるのだろうかそんなことばかりを考えていたような気がします。しかし、少しずつ子どもたちが365日家にいる生活に馴染んでゆく中で、学校に行かずに過ごすメリットも見えてきたのです。「自分と他人の違い」は家の中ならじっくり学べる!出典 : わが家は『安心して過ごせない場所には行かなくてもよい』という方針で子どもたちを育てて来ましたので、ホームスクールを始めるにあたって、まずは家の中を「子どもたちが安心できる場所」にする必要がありました。もちろん、それまでも子どもたちにとって一番安心できる場所は家だったのですが、ずっと家族が家にいると、親も子も一人になる時間がほとんどなくなり、そのストレスから摩擦が増えてしまいます。時間はたっぷりありますので、問題が起こった時は、親子でゆっくりと話し合いました。私が一方的に指図をするのではなく、「どうすればいいと思う?」とみんなで考えるところから始めたのです。そうやって、1つ問題を解決すると、また次の問題が発生します。でも、問題に対して皆で工夫しながらストレスの少ない暮らしを模索してゆくことで、今まで受け身だった子どもたちも、徐々に時間の使い方を自分で決め、必要なときには助けを求められるようになりました。自閉症スペクトラム+ADHDの診断がおりているわが家の子どもたちは、その特性から他人の動向に注意を払ったり、他人の気持ちを推察することが苦手です。なので、トラブルが起こるたびに話し合い、どういうケースでどういったコミュニケーションをすればいいかを一つひとつ学んでいきました。「自分の物を使われるのは、お姉ちゃんにとってはとても辛いことだ」「弟にはこういう風に接すればパニックを起こさずに意思疎通ができる」このように、身近な人でも自分とは違うこだわりや、苦手があるということを学べる時間を作れたことは、子どもたちにとって、大きなメリットとなっています。学校ではできないような、子ども達に合わせた勉強法!勉強は私が見ることで、それぞれの特性に沿った学び方を考えられるようになりました。言語優位のアスペルガーである娘には、とにかく興味のある分野の本をたくさん図書館で借りてくることで、飛躍的に知識量が増えました。自分に自信が持てない娘の場合、努力の成果が目に見える形であらわれる方が向いていることがわかり、学年を越えた漢字検定などにチャレンジしています。ADHD要素が強く、すぐに注意が逸れてしまう息子にはドリルを少量ずつ与え、目標時間を決めてタイマーを使います。終わったらすぐに丸つけをして、間違った問題は一緒に解くことで「やりとげる」ことができるようになってきました。視覚優位の息子には文字から学ぶよりも、iPadのアプリやDVDなどを使った学習の方が正確な情報を速くインプットできることがわかり、デジタル機器も積極的に活用しています。また、発達性協調運動障害を併せもつ息子は上手に文字を書くことができません。そこで、計算問題では読みずらい文字を書いたとしても不問とし、文字を書く練習は別ですることにしました。どの教科でもキレイな字で書くことを求められる学校の宿題には、きっと耐えられなかったことでしょう。子どもの特性に合わせて学習を進められるのも、ホームスクールの大きなメリットだと考えられます。こうして安心して過ごせる場所を作り、楽しく学習できる環境を整えることで、子どもたちは精神的にとても安定しました。学校や幼稚園に行っている間は疲れ果て、心を荒し、どんどん表情がなくなっていっていた子どもたち。しかし、今では毎日のびのびと笑いながら、嬉しいときにはくるくると踊りながら過ごしています。心に余裕が生まれたことで、いろんなことに意欲的に取り組めるようになってきました。「レールから外れてしまった」ことに対する不安を払しょくすることはできませんが、何よりも大切なことは子どもたちが楽しく健康に生きることだと、子どもたちの笑顔に励まされる日々です。「学校に行きたくない」という選択は、身を守るためのSOSかも知れない出典 : 残念なことに、9月1日は子どもたちの自殺が最も多い日だといわれています。「学校をやめる」と決断する前の娘も、顔中にチックが出て、絶えず足が痛み、全身からSOSが出ている状態でした。「普通は学校へ行きたくないと言っても『行きなさい』って言われるでしょ?私は『行かなくてもいいよ、ここにいればいいんだよ』って言ってもらえて救われた。あともうちょっとで、心が死んでしまうところだった。」「本当に学校に行かなくなっても責められなかった。学校から逃げてダメな人間だと思っていたけど、毎日幸せだからこれでいいんだなと思えるようになった。」娘は今、そんな風に話しています。学校生活を楽しめる人にとって、学校はとても素敵な場所でしょう。でも、心が苦しくて張り裂けそうになっている子供には、「行かなくてもいいよ」「体が辛いときと同じように、心が辛いときも休めばいいんだよ」という選択肢を示してあげることは、とても大切なことだと思うのです。そして「行かない」という選択をした子どもたちが自分を責めることなく、安心して過ごせる環境を整えていくことが、親にできる最大のサポートではないでしょうか。子どもたちが命をかけてまで行かなければならない場所など、一つもありません。同時に「行かない」という決断を下すことも、とても勇気のいることです。子どもたちが、ギリギリのところで必死に出したSOSを受け止めてあげませんか?「なぜ行けないんだ」と子どもを責めるのではなく、ゆっくりとお茶を飲んだりお喋りをしたりして、お子さまを安心させてあげることから始めませんか?大切なのは、どこで生きるかではなく、どう生きるか。私はそう思います。学校に行かなければすべてが終わるわけではありません。ホームスクールで心を回復させたわが家の子どもたちは、習いごとを増やしたり放課後等デイサービスに通うことで、新しい居場所や友達を見つけて、新しい一歩を踏み出しはじめています。いろんな状況のご家庭があると思いますが、今一度、親としてお子さまに「どんな風に生きてほしい」のかを考えてみませんか。そして、お子さまが「どう生きたいのか」を聞き出してみてください。そうやって言葉にすることで、大切にすべきものが見えてくるといいですね。
2017年09月17日娘の通う塾から「娘さん、実はもう2週間ほど塾に来てません」という連絡を受けたのは2ヶ月ほど前のこと。エーーッと、完全に寝耳に水であった。というか私の知るかぎり、娘は過去2週間、行ってきまーすと意気揚々と家を出て、私がお迎えに行けば、ちゃんと塾の入った建物の入口で待っていた。「テスト難しかった~」なんて疲れた様子を見せてもいたのだ。だからきっと何かの間違いだろう、タイムカードを押していないだけだろうと思ったが、念のため本人に「行ってるよね?」と確認。すると、あろうことか娘は露骨に目を泳がせる。「え……えええ!? 行ってなかったの!?」私に問い詰められ、バツが悪そうに下を向いた娘、すぐに真実を白状した。なんでも、塾に行くと言って家を出て、その足で毎度、近所の図書館に足繁く通っていたというのだ。そして私がお迎えに行く時間の少し前に、本人も塾の入ったビルの入口まで出向いていた、と。不器用だとばかり思っていた娘が、まさかそんな風に私の目を欺いていたとは……お母さん大ショック。行きたくない理由はと尋ねると、教室の環境が生理的に受け付けない、ということらしい。悲しいかな、そう言われても今ひとつピンとこない。そもそも塾には、娘が入りたいと言うので入ったのだった。そりゃ人間だから、考えが変わることだってある。自分に合う合わないは、実際入ってみなきゃわからないだろうとも思う。だけど一方で、勉強や塾通いなんて楽しいばかりというわけにはいかないだろうし、仮にも受験をしようと考えているのならある程度の忍耐も必要だ。私は根っからの文化系なので根性論は基本的に受け付けないけど、そうはいっても、目の前のハードルを越える瞬間や、一つ何かを成し遂げようときは、基本的にはしんどさを伴うのも事実。だから、悩んだものの、このときは塾に行かなかったことを結構強く叱って、辞めるのはダメ、ということにした。それで娘は、露骨に気乗りしない表情で、再び塾に通うようになったのだけれども、しばらくすると、やっぱりまた同じように、行ってきますと家を出て、塾には行っていない、ということが起きた。当然ながらまた私に叱られて、でも、その後もやっぱり塾に行かなかった。これだけ叱られても尚行かない、テコでも行かないを貫くというのは、こりゃもう相当嫌なんだろうということがさすがに分かって、塾を辞めることにしたのだ。今は塾に行く代わりに、友人の伝手で紹介してもらった大学生の家庭教師の先生に来てもらっている。塾の方も決して悪い塾ではなかったと思うけど、今の環境の方が娘には合うようで、休みたいとも言わず、熱心に勉強に取り組んでいる。結果的には正しい選択をしたと思っている。例年9月1日、新学期を迎える日に、学校に行くのを苦に自殺する子どもがとても多いそうだ。今年は特にこの件に注目が集まり、ブログやTwitterで著名人を含む大勢の大人が、子どもに自殺を思いとどまるよう呼びかけた。それでも、やっぱり昨日今日で、子どもの相次ぐ自殺の報道を何件か目にした。何かの記事で識者の方がお話されていたところによると、特に夏休み前、1学期の終わりの方に不登校気味となっていた子どもには、新学期が始まってしばらくの間、注意が必要だそうだ。対岸の火事としてこういった報道に触れれば、子どもが死ぬほど学校を嫌がっているのに、周りの大人にどうしてそれが伝わらなかったのかと歯がゆく感じたりもする。けれど、娘の塾の一件を経た今、子どもの直面している事態の深刻さを正確に把握するのは、たとえ親であったとしても、とても難しいことだと感じる。ここまでは頑張りが効く、ここから先はダメ、がわかりやすいゲージなんかで表示されればどんなにいいだろうと思うけど、そういうわけにもいかないので、子どもが学校や塾など、行くべき場所に「行かない」という主張をしたとき、親は「逃げるな」と背中を押すべきか、もしくは子どもの主張をのむべきか、難しい判断を迫られる。子どもの出すサインはそれぞれ違うだろうから決して一括りに語れないのが難しいところだ。ただ、娘の塾の一件で私が一つ得た学びは、子どもの「行かない」は必ずしも逃げじゃないのかもしれない、ということだ。というのも、考えてみれば子どもは、なにも好き好んで大人に叱られたいと思っているはずはなく、本来なら大人に言われるままに学校や塾に行って、叱られたり、つつかれたりしないでいることが、基本的には最も快適には違いない。塾をサボって図書館にいた娘も、図書館の快適な空間を心から楽しめていたわけでは決してないはずで、いつか私に真実がばれて、例によってこっぴどく叱られるときのことを考えて、いつだって胃の痛くなる思いを抱えていたのだろうと思う。そして現にバレて何度も怒られている。それでも尚「行かない」を続けた娘は、結果として本人の強い意志を、積極的に体現して見せたと思うのだ。私たち大人はつい、子どもが行くべき場所に行かないことを「逃げ」と言い、消極的な行動のように見てしまう。だけど、実は子どもたちの「行かない」は彼らの快適な暮らしや、自尊心や、ときに命を守るための、ある種の攻めの一手、戦いかもしれない。たまたまクラスの子たちと同じ方向に向かっていないだけで、本人は別の方向に、本人なりの全力で走っているかもしれないのだ。「行かない」子ども達は、周囲の大人からの執拗な「行きなさい」にも負けない、不屈の精神を持っている。根性がある。快適でない環境から、勇敢にも脱出しようとしている。彼らのこういった積極的な選択を、私達大人はもっと正当に評価し、尊重するべきだと思うのだ。イラスト:片岡泉
2017年09月05日「みんなの学校」の木村先生をお招きしてパネルディスカッションを実施Upload By 発達ナビ編集部大阪府大阪市住吉区に公立小学校「大空小学校」という学校があります。この学校は2006年にできた新しい学校で「みんながつくるみんなの学校」を合言葉にしており、特別支援学級は設けず、発達障害や知的障害のある子どもたちもみんなと同じ教室で学んでいます。障害がない子どもたちも、様々な個性を持った子どもたちと一緒に過ごす中で多くのことを学ぶことができます。そんな大空小学校ですが、不登校の子どもはゼロ。まさに地域の「みんなの学校」なのです。今回発達ナビでは、この大空小学校の初代校長であった木村泰子先生(現在はご退職)とのパネルディスカッションイベントを開催しました。Upload By 発達ナビ編集部パネルディスカッションのテーマは「みんなの社会をいかに生きてはたらくか」。「障害のない社会をつくる」をビジョンとして掲げ、障害者への就労支援サービス、子どもの可能性を拡げるソーシャルスキル&学習教室、そしてこの発達ナビの運営などを行っている株式会社LITATLICOより、発達ナビ編集長の鈴木悠平と学校での教員経験もある社員・木村彰宏の2名が、障害のある方の社会への参加・参画に向け共生社会の実現を目指し、障害者雇用にも重点を置く特例子会社 薬樹ウィル株式会社(薬樹株式会社)代表取締役の吉澤靖博さんがパネラーとして参加し、木村泰子先生とともに4名でディスカッションを行いました。木村先生、冒頭から「そもそもあんたらの言う障害って何なん?」という問題提起を行い、波乱の幕開けです。会社が主語になってるうちは、その会社の本当の目的は達成されないUpload By 発達ナビ編集部木村先生:まず先にひとこと言いたいんですけど、皆さん自己紹介でね、いろいろむつかしいこと言ってましたけど、なんでそんなん考えてから行動するんかなと思うんですよ。私には子供たちから教えてもらった「事実」しか自分の中にありません。もちろんいろんな研究から学びたい気持ちはあるから勉強はするんですけど、生徒と向き合って目の前で起こる出来事って、9割は勉強したこととちゃうんですよね。木村彰宏:なるほど…では今日のパネルディスカッションでは「みんなの社会をいかに生きてはたらくか」について話をしていきたいと思っているんですが、まず子供たちの行きつく先として、「仕事」や「会社」について、先生はどのような考えを持っていますか。木村先生:そうですね、ふつうでええんちゃいますか、ふつうの会社で。逆にね、「とてもええ会社やね」と言われてしまうような会社やと、世間と遠くなってしまうんですよ。みんなの学校もそうです。「ええ学校やね」と言われることでふつうの学校ではなくなってしまうんです。Upload By 発達ナビ編集部たとえば、大空小学校では教育委員会に加配の先生は要求しなかったんです。というのも、支援のプロの先生がいると子供を分断してしまうんですね。どういうことかというと、「私は支援担当やから」って加配の先生が対象の子どもにぴったりひっついてまうと、その子は他の子どもから分断されてまうんです。そうなると大空の他の子どもたちは、私に「あの先生おかしいから教えたり」「じゃま」「校長先生出番やで」って言うてきますわ。じゃあこの加配の先生が、どうして対象の子どもにぴたっとひっついてしまうか。それは先生自身が「主語」になってもうてるからですね。つい自分が働いたという成果をつくりたがってしまうんです。だけどね、先生が頑張ってようとサボってようと、子どもが貧困であろうと障害があろうと、目の前の子どもたちが安心して地域の学校で学んでいる。この事実をつくるということが、私らの目的です。つまり、主語は先生じゃなくて子供なんですよ。主語を子供に変えたら、私らがやるべきことは何かおのずから見えてきたんです。この共通認識が出来てから、仕事はスリムになりましたし、チームはブレなくなりましたね。だから言いかえると、「会社」が主語になってるうちは、その会社の本当の目的は達成されないんじゃないんじゃないでしょうかね。障害って何?ほんまに分かって言うとる?Upload By 発達ナビ編集部鈴木:「特別支援の担当なんです」ってことで、障害のある子どもを道具にして自分の居場所や仕事をつくってしまわないようにってことですね。木村先生:あとね、そのあんたらの言う「障害」って何やと思って言ってます?今日ここに来てる皆さんはどう思てます?来場者:障害は個性…木村先生:じゃあ個性ってなに?会場:沈黙木村先生:あのね、私大空小学校を退職してから2年なんですけど、この2年間、知らんことや知りたくなかったことばかり知るんですよ。もうね、やさしく綺麗事を言ってる時間ないんですよね。学校に行けない子どもやその家族がものすごくたくさんいて苦しんでいることを知ってしまったから。障害って何?って聞かれたときに、答えることが出来る自分がいないなら障害を語るべきじゃないんじゃないでしょうか。だいたいね、インクルーシブとかいいながら特別支援教育をすすめていくことで、余計分断が起こってるでしょ。大空小学校では障害という言葉は使ったことないです、意識して使わないようにしてたんじゃなくて、使う必要がなかったんです。「ユウトにほんまに障害があるんですか?」Upload By 発達ナビ編集部木村先生:大空小学校にね、ユウト(仮名)っていう子がいるんです。彼は発達障害の診断があって、手帳も持っていて、入院していて大空小学校に来るまでは院内学級で過ごしていたんですね。そんなユウトが担任の先生に、学校の運動会に誘われたんです。彼はお母さんとわくわくしながら運動会に行きました。するとね、学校の子どもに「お前なにしに学校来てん。学校来たかったら頭ブチ割って脳みそ交換してからこいや」って言われたそうなんですよ。その日はユウトとお母さんは帰りました。そんなユウトが大空小学校に来てね、他のお友達、もちろんお友達が出来て、みんなで日々ドッジボールをして遊んだりして過ごす日ようになったんですよ。でもある日、ドッジボールでアウトかセーフか、他の子どもと揉めたんです。大空小学校の子どもたちは、困ったら職員室に行って相談したらなんとかなると思ってます。だからその日もユウトたちは職員室に来たんですね。そしてユウトは言うたんです、「校長先生、こいつらに俺は障害者や言うてくれ」って。「健常の人間は障害のある俺に譲るべきや」って。Upload By 発達ナビ編集部私は言いました、「分からん」って。そしたらユウトが言うんです、「校長のくせに障害もわからんのんか。勉強しろや。校長クビや」って。だから私は言い返してやりました、「じゃあユウトは障害って何か分かっとんか、あんたが説明しいや」と。そしたらね、ユウトは「俺の主治医は病院の副院長や。そいつが障害者やって言って俺は手帳を貰ったんや。だから俺は障害者や、障害のある俺は守られるんや」って言うんです。「私はそんなん信じへん」って言うたりました。そしたらね、ユウトは「医者が言ったんや、俺は校長より医者を信じる」って言うんですよ。もうね、私、「じゃあ私が副院長に会いに行って障害って何か聞いてくるわ。」って半分以上ハッタリで言うたんです、もうええ分かったってユウトも引くかなって。そしたらユウトは「ほんまに行けよ」って言うんです。もうね、私副院長のところ行ってきましたよ。もちろん本来は校長が病院に行っても、個人情報ですから色々話を聞くことは出来ません。でもユウトの場合は、支援の方針を考える「ケース会議」を開く対象になっているので、会議を開いてもらい、関係者の一人として会議に参加させてもらってきました。で、黙って会議で話を聞いてたんですよ。でも納得できない話ばっかりだったので、思わず最後に口から出てしまったんですね。「先生、ユウトにほんとに障害があるんですか」って。本当の意味で「違い」を理解するということUpload By 発達ナビ編集部木村先生:「ユウトにほんまに障害があるんですか?」って聞いたとき、主治医の方は一瞬は怒ってました。でもね、失礼なこと言ってるのは分かるけど、これ聞かなユウトとの関係が繋げへんから。私は続けて言いました、「私はユウトを見ていて彼を障害があると思えません。彼にもし障害があるというレッテルが貼られるのであれば、彼以外の子供たちほとんどみんなにレッテルが貼られなあかんと思います」ってね。そしたら主治医の先生は「個人的な見解を述べれば、彼に障害があるとは思いません。でも彼は生まれてから成長するにつれて、毎年毎年、彼が生きている周りの環境から常にバッシングを受けて、確実に二次障害が生じている子供です」っておっしゃられたんです。社会が、学校という本来みんなに開かれている場が変わらない限り、二次障害を受けている子供が発達障害という診断を受け、インクルーシブといいながら特別支援教育が取り入れられることで、子どもたちがどんどん分断されていく。その流れのものすごい加速が起こっている。「障害」という言葉で、ひとりの人が生きている毎日の営みをひとくくりにしてスルーしている間は、本当の意味の「違い」を理解するのはむつかしいんちゃうやろかって思います。困ってるときは助けがほしいUpload By 発達ナビ編集部木村(彰):大空小学校のような、職員間や地域の方との間など、仕事で困ったときに頼れる人がいるネットワークがある職場ってどうやって実現出来たんですか?僕も悩んでいるのですが…木村先生:その質問は正直私には答えられないんで、一緒に働いていた教員が今日客席にいるので彼女に答えてもらいます。塚根先生(大空小学校・元教員):そうですね…正直大空小学校に赴任して子どもたちと出会う前は、これまでの経験という引き出しで子どもたちに対応出来ると思っていたんです。でもね、現実はどうしようもなかった。自分には出来ないと思った。そしたら、自分には出来ないと思っている先生は私だけじゃなかったんです。どん底に落ちはしましたが、周りと共有することで、「どうせ上手く出来へんのやったら笑って帰ろかー」みたいな、開き直りがうまれました。それにね、教員みんな、大空小学校では困ってたんで。新任の先生とも上下関係じゃなくていっしょのスタートになったのがよかったですね。「家でむしゃくしゃしているよりは、学校行ったほうがいい」って感じで同僚同士繋がっていったし、困ってるときは助けがほしいじゃないですか。そうやって地域の人とも繋がっていきました。木村先生:一回ね、「この中で本当に辞められる人間はおるか」って話をしたんですよ。ひとりだけいました、その人はローンがなかったんですね(笑)辞められへんのに辞めたい辞めたい言って、先生が苦しい顔しとったら、そんな学校子供は楽しいと思えます?辞められるんなら辞めてもええけど、辞められへんのやったら自分を変えるしかない。どっちかやなって。Upload By 発達ナビ編集部主語はだれ?目的はなに?Upload By 発達ナビ編集部司会:来場者の方からの質問です。企業はカスタマーが主語になっているでしょうか。社員が主語になってはいませんか。吉澤さん:いい質問ですね。ただ顧客と企業はサービスと対価を循環させる関係ですので、お客さま至上主義を第一としている会社もそれはそれであやしいと僕は思っています。何が第一かじゃなくて、全部大事。木村(彰):今のお話を聞いて、学校現場で子供を主語にすることで先生の不満もどこかに出てくることもあるのかなとは思いました。木村先生:子供を主語にして、すべての子どもが自分の働く学校で前を向いて安心して学んでいるという事実を見て、その職場が嫌になる先生いますか?いませんよね。子供が主語になっているという事実が、すべての教職員の幸せにつながるんです。そもそも今のような質問が出るっていうのが衝撃で、「みんなの社会をいかに生きてはたらくか」が今日のテーマだったかと思うんですけど、私ちょっと企業の皆さんに質問してもいいですか?皆さん障害者の就労支援や障害者雇用に力を入れてる企業で働いているとのことでしたが、じゃあ障害者雇用の目的って何ですか?と私は問いたいです。Upload By 発達ナビ編集部鈴木:僕は障害者雇用制度は制度的な経過措置に過ぎないと思っています。わざわざ障害者と健常者、枠を分けなくてもいっしょに働ける環境がつくれたらいいと思います。木村先生:じゃあ、障害者と健常者が一緒に働く職場をつくるその目的は何ですか?鈴木:ひとつは障害者健常者関係なく、働きたい人が働けるということ、そのことが当たり前に権利として保障されていることが大前提だと考えています。そしてもうひとつは、あえて健常者とでこぼこが大きい人たちとで分けて考えたときに、その両方が一緒に働く社会のほうが単純により面白いサービスや価値がつくれると思っています。木村先生:通常の雇用と障害者の雇用、そもそもは働くことでひとりの人が幸せになれるんだよってところに共通点があるじゃないですか。ひとりの人が幸せになる手段として障害者雇用がある。この目的と手段さえ混同されなければ問題はないんですよ。だけど制度があるから障害者を雇用せなあかんという、雇用すること自体が企業にとって目的になると、むつかしさが生まれる。学校現場も全く同じなんですよ。今ってインクルーシブ教育をせなあかんということで、インクルーシブ教育が目的で、子どもたちが手段になってますよね。そうじゃなくて、ひとりの子どもが安心出来る学校現場をどうつくるか、ひとりの人が安心して暮らせる出来る社会をどうつくるかが大切なことだと思っています。どこにも正解はないし、そんなたいそうなこと私にはわからないんですが、私の考えとしては、答えを人に求めないで自分自身が変わることが大事だと思っています。学校現場も社会と見れば、例えば、学校があかんだの、家庭があかんだの、地域があかんだの、他をあかんって言うのは簡単なんですよ。でも、それぞれ立場の違いはあるかと思いますが、学校、家庭、地域、どの立場にいても子どもにとってはひとりの大人であるということは共通してるんですね。人に求めないで、自分はどうしたらいい?って考えて、自分で出来ることをやって、ひとりで無理なら他の人頼って。まずは自分で動くこと、これは誰にでも出来ることだと思います。そこからじゃないですかね。あなたも子どもからみたらひとりの大人「私には時間がない、学校に行けない子どもやその家族がものすごくたくさんいて苦しんでいることを知ってしまったから。」そうおっしゃる木村泰子元校長の、ヒリヒリとした切迫感をどう受け止めるか。「まずは自分が動くこと」を最前線で動いている木村元校長に提示され、それぞれ立場は違えど子どもにとっては大人は大人であるという事実を再確認させられたのでした。あなたは何をしますか?何からはじめますか?9月のイベントのお知らせ: 発達ナビ保護者会(東京・神奈川・埼玉・千葉)発達ナビ会員のうち、保護者の方々を対象とした情報交換会・茶話会が開催決定!保護者さん同士で集まり情報収集の場をつくることで、お子さんとの生活をより良くするきっかけを得てもらうことを目的としています。「“発達が気になる子どもの子育て”の悩みを話せる人がいない。」「辛いとき、他の人はどうしているのだろう?」「通所支援施設はどうやって選べばいいの?」など、悩みや困っていることを話してみませんか?ぜひお気軽にご応募ください!「発達ナビ保護者会〜地域資源活用セミナー〜」日時・会場:以下、応募フォームをご参照ください。9月は、東京・神奈川・埼玉・千葉にて開催予定です。募集人数:30名程度参加費用:500円(お茶菓子付き)募集締切:各回、開催日の前日まで*プログラム予定*・講義: 地域資源や支援施設の選び方、活用方法について・講義: 保護者を取り巻く環境・困りごとについて・グループワークを通した情報交換・フリートーク・活用できる支援機関の紹介など※ 参加費お支払い方法は後ほどご案内いたします。※ 応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。※ 参加可否につきましては、お申込み後1週間以内にご連絡します。
2017年09月04日学校が始まりました。とは言っても午前中で終わるので本番は2日目からかな? 今朝は私も子供たちもアタフタしてました(笑)。(左手でボタン押しちゃってるのすみません)正確には体操着や外履きは今日持って行かなくても良かったのですが、赤白帽子持っていくついでに体操着も一緒に持っていくってことになり、内履きと外履きはセットで持って行きたいよねってことになったりと、そんな感じでここまでもりだくさんな荷物になってしまいました(汗)。これで学校までは歩くのきつそうだと思って送ってあげたんですが、同じことを考えているママさんがたくさんいたようで、学校の前には車がいっぱい止まってました(笑) 。明日から絵の具道具とかも少しずつ運んでいく予定です。こまめとのまめは大丈夫だったけど、すでに学校の靴が小さくなってる子もいたようで、夏休み中に買いなおしたってお母さんもいましたし、子供の成長ってすごいですね! 夏休みが終わる前に一回履かせてみるのをおすすめします!
2017年09月02日不登校の子どもたちの高校進学事情出典 : 不登校の親の会でこんな話を聞いたことがあります。不登校の子どもたちは「高校には行きたい」と希望するものの、なかなかパンフレットを見ようとしなかったり、学校見学に行っても門の前でUターンしてしまことがあるそうです。だから進学が決まるのがギリギリになるケースが多いと言います。我が家のアスペルガー症候群の診断を受けている娘も小学校2年生から不登校。中学校2年生まではほとんど勉強もすることなく毎日を過ごしてきました。そんな娘も中学校3年生になり進路を考える段階にさしかかっています。実は中学2年生のとき、特別支援コーディネーターの先生が、娘に合いそうな高校を3つセレクトしてくれていました。しかし、その頃の娘は、進学を現実のこととして考えるのは難しい様子で、自分からパンフレットを見ることはありませんでした。時期が早かったというのもあったでしょうが、「ああ、親の会で聞いた通りだな」と思った私は、「高校のパンフレットはここに置いておくよ」と声だけかけて、しばらく待っていました。親の会の先輩お母さんたちからは、「親は早めに準備しておくといいけれど、逆に子どもたちはそっとしておいた方がいい。」「進学したいと口では言っていても、気持ちが追い付いていないことがあるから、子どもに言われたときにすぐ資料を用意できるようにしておいて、あとは見守る方がいいよ」と聞いていました。だからパンフを開こうとしない娘を深追いしても、余計に心を閉ざしてしまうと思い、そっとしておくことにしたのです。進路を決めるまでの気持ち出典 : つの学校を提案された時点では、「せっかく先生が選んでくれた学校だから信頼できる。全部見てみたい。」と積極性を見せていた娘。そんな言葉とは裏腹に、自らのパンフレットを開くのは、かなりのパワーが必要だったようです。ひとたびパンフレットを見てしまったら、それまで漠然としていた未来が急に現実味を帯びて、ありありと迫って来るように感じられたのでしょう。娘の「ちょっと待って、もうちょっとだけこのままでいさせて」という気持ちがうかがえます。「そのうち見るから」といいながら憂鬱そうにパンフが入った袋を置く娘。その姿を見て「高校のことを考えるのって、この子にとってはこんなに負担のかかることなんだ。」と思い知りました。「パンフレットを見るだけなら簡単でしょ」と無理やり娘に見せようとする気持ちがわき起こらなかったわけではありません。それをしなかったのは、脳裏に浮かぶ先輩ママの体験談の数々があったから。不登校ならではの葛藤、本人たちも精一杯頑張ろうとしているのにうまくいかないつらさあることを知っていたので、「私も気長に頑張ろう」と思ったのでした。そんなとき、ソーシャルワーカーの方と面談中の「娘の高校の件で悩んでいる」と言うと、「梅雨までに一緒に見学に行ったほうがいいですよ。梅雨に入ってしまえば動きにくくなりますし。」とアドバイスされました。ソーシャルワーカーは娘とも面識があり、我が家の内情をよく知っています。娘をそっとしておこうという気持ちはあったとはいえ、信頼している福祉のプロからのアドバイスなら試してみようと、思い切って私は娘に期限を提示することにしたのです。「梅雨までに一つだけでも見学に行きたいから、どこに行ってみたいか5月中に決めてくれる?」すると、娘もお尻に火が付いたのか5月後半から学校案内のパンフレットを見始め、末日までに「この高校を見に行きたい」と言ってきたのです。いざ見学へ出典 : 娘が選んだその学校は自宅から自転車で通うことができます。そこはもともと塾だったところで、今は通信制高校の技能連携校になっています。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。とてもアットホームな雰囲気で、小さな教室がいくつかあり、授業は昼から行われていました。制服もなく、生徒さんが好きなときに来て、自分のペースで学習している、そんな様子でした。学校は頻繁に出かけるなじみのある地域にあったので、娘はいつものTシャツにジャージ素材の半パン、草履といった格好で、気負った様子もなく家を出ました。ただし、非常用の腹痛の薬はしっかりかばんにいれていたところを見ると、不安の気持ちがなかったわけではないのでしょう。学校の入り口についても、「入り口はここだよ~」「お~」という感じでリラックスしています。2人で雑居ビルのワンフロアにある学校に入ると、校長先生がニコニコして応接スペースに案内してくれました。ここの校長先生は息子さんの不登校を経験しており、不登校に理解の深い方です。在校生が入れてくれたお茶を飲みながら、さりげなく校長先生と娘の面談が始まりました。「ここは昼から1時間だけ授業があります。できれば週5日来てくれたらいろいろな勉強ができますが、しんどかったらもっと少なくても大丈夫。」という話を聞いて娘もホッとしたようです。応接スペースからも、教室の様子をうかがうことができ、学校の雰囲気がよくわかった娘は安心したようです。あまり学校らしくないというか、小さな塾といった雰囲気なのもよかったのでしょう。学習室も見せてもらいました。棚にはカリキュラムに沿ったプリントと、それを理解するための教科書や参考書がセットで置いてあって、来ている子は順番に黙々とこなしていました。娘が「私は勉強していないから小1からやらないといけないかもしれない」というと、「大丈夫。みんな小学校の勉強から始める子がほとんどだからね。」と言われました。実際、小1レベルから対応しているそうです。また話の最中にびっくりしたことがありました。面談中に「体育の時間はテーマパークに行ったり、 ボウリングに行ったりするんだよ」という話が出ました。すると、娘は「それは行かなくてもいいですか。 人が多くてザワザワしていたり、トイレにすぐに行けないようなところに行くのは嫌なんです。」 とはっきり答えました。初めて会った先生に、はっきり自分の気持ちを言葉にした娘を見るのは初めてで、その様子から娘がいかにリラックスしているかわかりました。また、そこの学校に入る予定の人には、慣れるためと少しずつ勉強を始めるために付設するフリースクールに入ることを勧めていると聞かされました。どうやら普通のフリースクールというよりここの学校の補助的な役割をする塾みたいなもので、スタッフも場所も、この学校と一緒ということです。校長先生の「学校に入るまでここで少しずつお勉強してみませんか?」というお誘いに、「どうする?」と娘に聞いたら「行く」と即答。結局、その日のうちにフリースクールに入学することになりました。帰ってから、「どこが気に入ったの?」と聞くと「うーん、なんとなく。 ママもそんな感じやろ」と最初は言っていましたが、しばらく経つと「あのゆるい雰囲気がいい」「電車に乗らなくてすむのがいい」とポツリポツリと語っています。彼女にとって安心できる場所だと判断したのでしょうね。進路が決まってから出典 : それからすぐに週1回フリースクールに通うことになったのですが、1回行くととても疲れるようで、次週はお休みすることが多いです。だいたい月3回ペースでしょうか。私も本人が「もういいよ」と言うまで続ける覚悟で毎回付き添っています。毎回疲れ果てているものの、雰囲気はやっぱり合っていたようで、リラックスして過ごしているなと感じます。ことあるごとに「ママ、高校の予定表ある?」と聞いてきたりして、積極的に高校のことを意識しているようです。心はすでに高校に行ってますね。親としては、中学を卒業しても行くところができて一安心といったところです。フリースクールに行くようになったのもうれしいですね。あとは体力と学力が少しずつでもついてくれればいいのですが、それこそ気長に待とうと思います。不登校の子どもの進路について娘の場合、早いうちから進学する学校の候補を知れたことが大きな助けになったと思います。それによって余裕を持って娘の気持ちが熟すのを待つことができました。また親の会で不登校の子どもの傾向を知っていたことで、無理強いはせず、大切なことは面と向かって本人と話し合うことにつながりました。これらの経験から、早めに学校の先生と進路について話し合うことをお勧めしたいと思います。また親の会などで口コミ情報を聞くのもおすすめです。そうすることで将来のことがイメージできて、親も落ち着いて受験生となった子どもと向き合うことができます。また、この時期には本人の気持ちの揺れも起こることがあると思います。余裕を持って準備をしておけば、子どもも入学に備えて心構えをすることができるので、自分の希望やライフスタイルに合った学校を落ち着いて選べるメリットがあると思います。不安な気持ちに押しつぶされそうなのは親だけではありません。不登校の本人も不安と戦っています。葛藤のさなかにいる子どもを叱咤するのではなく、認めてあげながら次の一歩を一緒に考えてあげることが、進学という大きな節目を乗り越える力になるのかもしれません。
2017年09月01日楽しい夏休み、実は困りごとがいっぱい!出典 : 子どもと一緒にいられるのが楽しくて、遊びに行く計画を立てたり、親子の時間を大切にしたり…夏休みにしたいこと、わくわくすることがたくさんある一方で、夏休みは親子にとって楽しいだけじゃなく、お悩みも多いようです。ずっとお家でお世話をするパパママにとっては、結構ストレスがたまりますよね。特に、こだわりが強かったり、発達障害の特性がある子どもと過ごす夏休みは、やっぱり疲れてしまうことやうまくいかなくて悩むことだってきっとあるはず。そこで、発達ナビでは、と題して、親子の夏のお悩みをご紹介しました。今年の夏を振り返って、思い当たることはありませんか?夏は時間がたっぷりある分、家庭での計画と見通しが何より大切です。そしてそれがうまくいくには、ちょっと工夫がいることも。親子のストレスがたまらない方法、生活リズムを保つコツ、子どもの特性に合わせた環境調整と接し方など、具体的な対処法も合わせて取り上げています。普段の生活に活かせることもたくさんあるので、今年の夏休み、終わってみたら「ちょっと反省…」という親子も是非参考にしてくださいね!夏休みの宿題、うまく進めるポイントは?出典 : 夏休みの宿題、トラブルなく終わりましたか?楽しいイベントがたくさんあって、しかも暑くて集中できない夏休み。発達ナビで行ったアンケートでは、ユーザーさん自身も子どもの頃には追い込む派が多かったようですが…Upload By 発達ナビ編集部いつの時代も、子どもにとってイヤな宿題を計画的に、うまく進めるのは難しいですよね。また、子どもの特性によっても、苦手なことがあると、なかなか一人で進めるのは難しいでしょう。がんばっていてもできないと、自己肯定感も下がってしまいます。せっかくの夏が、終わらない宿題で台無しにならないよう、夏休みの宿題に悩む親子の役に立つ、さまざまな工夫を宿題の種類別に集めました!夏休みの宿題がうまくいくポイントは以下の3つ。1. 子どもの特性に合わせた環境調整&構造整理どんな宿題が、どれだけ残っているか、宿題の見える化をします。その後、工程をスモールステップに分解します。また、勉強机からおもちゃなどを片づけるなどの環境調整も効果的です。2. 怒らないで済む方法で親のストレスも軽減宿題がうまくこなせていないと、保護者としては、つい注意したくなりますね。でも、叱ると逆効果になったり、親子の仲が険悪になるだけ、ということもあるでしょう。そんなときには夏休みの宿題にも「北風と太陽」式のコツをご紹介します。3. 学校の先生に合理的配慮を相談するがんばっているのにできない場合、学校の先生へ相談してみましょう。宿題を単なるつらい失敗体験にしないことも大切です。取り組み方や教材、量や難易度の調節をしたり、デジカメや計算機などのツールを使ったりするとうまくいくこともあります。この3つの基本となるポイントを押さえ、自由研究のネタ探し、読書が苦手な子の読書感想文に便利なツール、不器用さんの工作攻略法など、個別のトラブルに応えるヒントもたっぷりご紹介していますよ!夏の体調管理。気をつけたい病気もいろいろ出典 : 厳しい暑さが続く夏。この時期の子どもたちは夏バテに始まり感染症や熱中症、皮膚炎などにかかりやすく、健康管理に気を配る必要があります。発達障害の特性による困りごともあるでしょう。そんな夏に覚えておきたい健康管理法をご紹介したのがこの記事です!夏休みで生活リズムが崩れがちだと抵抗力も落ちてしまいます。また感覚過敏が皮膚トラブルにつながったりするなど夏の健康上の困りごともいろいろ。また、体調不良に無頓着だったり、具合が悪くても自分でSOSが出せないなどといった場合、まわりの家族の健康管理がとても重要になってきます。夏には熱中症や感染症、食中毒など重症化しがちな夏の病気もあります。命にかかわることもあるので、何かある前にしっかり予習して対策をたてることがとても大切ですね。夏休み明けも要注意!新学期前後にできることは?出典 : 子どもにとっても自由に過ごしていた夏休みから一転、毎日学校や園に通う生活に急に戻るのはつらいもの。新学期を前に、生活・環境の変化に戸惑いや不安を感じ、学校や幼稚園などに行くのを嫌がる子どもが増える傾向にあります。生活リズムが崩れていたり、休み前から人間関係がうまくいっていないなどのストレスがあると、体調不良や不登校などに発展してしまう場合もあります。この記事では、発達障害のある子どもが新学期前後でつまずきやすいポイントをご紹介しながら、スムーズに新学期を迎えられるように夏休み中にできることをまとめました。もし、すでに新学期が始まり子どもが行き渋りを見せている場合も学校生活や人間関係に不安がある場合、親と離れることに不安がある場合、学校へ行くことを面倒がっている場合それぞれについてヒントをご紹介しています。夏休み、みんなの体験談出典 : 発達ナビでは「夏休み」をテーマにさまざまなアンケートを行いました。ユーザーのみなさんからは夏休みの様子が垣間見えるコメントがたくさん寄せられました。実際にみんながどんなことに困っているのか、共感できるお悩みもたくさん。また、それぞれのお家で実践している具体的な工夫には、今すぐ使えそうな実践的なものも。アンケートの回答をのぞいてみてはいかがでしょうか?いくつか抜粋してご紹介します。【アンケート】夏休みに感じた「やっぱりわが子が1番カワイイ!」と感じたエピソードを教えて!みんなのアンケート|夏休みに感じた「やっぱりわが子が1番カワイイ!」と感じたエピソードを教えて!夏休み中、私が帰ってくるとみーんな私に集まってゴロゴロ、ベタベタ。うざったいような、可愛いような。笑夏休みに長男が習得した、褒めて欲しいときに頭を下に下げて言う、『褒めて』とナデナデ要求ポーズは最高に可愛いです(^^)ちくしょー!可愛いなこのやろー!そうそう。そのキャンプで冷蔵庫付きロッジに宿泊していたのですが、バーベキューの時に、長男に冷蔵庫の中にあるものを取ってきてもらいました。一生懸命取って来てくれたのですが、その後でロッジを見ると、ドアは開けっ放し、冷蔵庫の扉も開けっ放し。これが家なら、怒ってしまったのかもしれないのですが、キャンプという環境のおかげか、笑ってしまい、長男らしいなと思っていました。その時に、不思議と可愛いなあという感情に近いものを感じました。もしかすると、同じ行動や言動でも環境が違うと、全く別の見え方が出来るのかなあと、ちょっと感慨深かったです。【アンケート】夏休みのゲーム事情、1日に何時間ぐらいやってる?みんなのアンケート|夏休みのゲーム事情、1日に何時間ぐらいやってる?ルールを守らなかった事をきっかけに、思い切って「夏休みの間はゲーム禁止」にしてみました。キレて暴れたりするかなーと思っていましたが、意外に穏やかに過ごしています。もちろん、ゲームを取り上げた私の責任として、ゲームに代わる遊びに付き合ったり、お出掛けしたりしています。大変ですが、お互いイライラせずに済んでいます。【アンケート】家族全員が休みのときの「息抜き」「癒やしの時間」を教えて!みんなどうやって息抜きしてる?みんなのアンケート|家族全員が休みのときの「息抜き」「癒やしの時間」を教えて!みんなどうやって息抜きしてる?息抜きが無いんです!朝一でご飯して、子供起こして、食べさせて、ゴミ出して、仕事行って、帰りに買い物するんです。「あぁ…このまま帰っても、座る事も出来ず怒鳴られながらご飯かぁ~」って、毎日、毎日、玄関が怖くてツラいです(/_;)/。タマの休みも1日中家事!家事!家事!こんなに家事をしてるのに、一つも終わらないし、なんでもポイポイ平気で投げ捨てられる…あードコか遠くに行きたい!もしくは、ドコまでも遠くに行きたい!なかなか難しい!でも意識して癒しタイムを作ろうとしなかったら、きょうだいでけんかばかりだし、旦那はムスコにダメ出しばかり。なので、最近は寝る前のおしゃべりタイムで笑ってから寝るようにしてます。笑えるネタがない時は、こどものいい所、褒めてあげたい所を歌にしてあげるとゲラゲラ笑ってくれます。不登校の子どもたちは、「みんなが学校に通っているのに通えない」学期中は自分を責める気持ちになってしまうことも少なくありません。長い夏休みはそうした気持ちからも少し解放されて、友達と遊んだり、堂々と外出する貴重な機会なのです。「夏休みにためたエネルギーはきっと将来の力になると私は信じています。」というライターのヨーコさんの言葉どおり、思い出をたくさん作り、普段できない体験を積むことで、子どもたちは大きく成長するのだと思います。不登校の子どもに限らず、そんな子どもの姿を見る、パパママの喜びに気づせてくれる素敵な体験談です。「夏休み作品展」で子どもの作品をご紹介!出典 : 【夏休み作品展】この夏つくった子どもの作品をみんなにシェアしよう!夏休み、子どもが作った作品を発達ナビのアンケートで募集しました!とことん好きな物を作る喜びいっぱいの作品、大人が思いつかない自由なイメージやアイデアが光る作品、親子でいっしょにすご過ごした楽しさが伝わる作品…どれも力作ばかりです。発達ナビのコラムでは、集まった作品の中から、発達ナビに関わる3人が選んだ作品を表彰!どれもこれも、お子さんの個性が詰まった素敵な作品たち、ぜひご覧ください♪夏休みイベント情報まとめ出典 : 夏休みは、普段より子どもと一緒に過ごす時間が増えるため、子どもを連れてどこか遊びに行きたい、夏の思い出をつくってあげたいと考えている親御さんも多いのではないでしょうか?この記事では発達障害のある子どもが楽しめるような夏のイベントと、イベント参加時に気をつけたいことを中心にご紹介しています。毎年恒例のイベントなどもありますので、興味のある方は来年チェックしてみてはいかがでしょうか?そのほかに、2017年の夏に開催されたイベント情報のご紹介も合わせてご覧ください。まとめ出典 : 長い休み期間をスムーズに過ごすには、さまざまなトラブルや困りごとが隠れている場合もあります。でも、それらのトラブルはちょっとした工夫やアイデアで、その子にあった解決法が見つかることもあるのです。今回ご紹介したヒントに活用していただけるものはあったでしょうか?うまくいった、楽しかった夏休みの経験は、子どもを成長させてくれます。もし、夏休み中にうまくいかないことがあったとしても、そのつまずきの理由を振り返ってみて、これからの生活に活かせるヒントがないか、ぜひ探してみてください。
2017年08月30日夏休みが明けていよいよ新学期…スムーズに迎えるには?出典 : 楽しかった夏休みもそろそろ終わり、再び学校・幼稚園生活が始まります。夏休み明けの新学期は久しぶりに会った先生や友達と夏の思い出話をしたり、学校行事の準備が始まったりと、夏休み前とはまた違う楽しみがあります。一方で、新学期が始まる時期は、夏休みから新学期の始まりという生活・環境の変化に戸惑いや不安を感じ、学校や幼稚園などに行くのを嫌がる子どもが増える傾向にあります。特に発達障害がある子どもは生活や環境の変化に敏感なことが多かったり、切り替えが難しかったりする特性から、夏休み前後での学校生活の変化に強い不安を感じることがあります。また、夏休みに親子で過ごす時間が多かった分、「パパ・ママと一緒にいたい」という思いから学校や幼稚園へ行きたがらなくなってしまうこともあります。このような登校・登園しぶりが続き、夏休み明けに不登校になったというケースも少なくありません。平成26年文部科学省・不登校生徒に関する追跡調査研究会「不登校に関する実態調査」新学期を楽しくスムーズに迎えるには、夏休み中から新学期を見据えた準備が大切です。次から新学期前後に何でつまずくのか、そして夏休み中にどんな対策をすればよいのかについて解説します!発達障害のある子どもが新学期前後でつまずきやすいポイントって?出典 : 新学期前後、発達障害のある子どもは、どんなことに困ることが多いのでしょうか。これらの困りごとが積み重なり、新学期の登校・登園しぶりにつながることもあるため、子どもがつまずきやすいポイントを把握しておくことが大切です。学校や幼稚園のない夏休みは、睡眠が不規則になったり、運動不足になったりすることから生活リズムが乱れることが多くあります。発達障害がある子どもの中でも時間の感覚を上手くつかめず、切り替えが苦手という特性がある場合、それが夏休み中の生活の乱れにつながってしまうことがあります。夜更かしがくせになり朝に起きられない、お菓子や清涼飲料水をたくさん食べたり飲んだりしている、冷房の効いた室内でだらだら過ごしている…このような生活を夏休み期間に送っていると、新学期が始まった途端に規則正しい生活に戻そうとしても難しく、学校や幼稚園へ行くモチベーションの低下につながることがあります。夏休みの宿題は発達障害のある子どもにとって何かと困りごとが起こりやすいと言われています。宿題を進めることが難しく、夏休み終盤になってもたくさん残ってしまうことも少なくありません。宿題が終わっておらず、先生にも出せないことを自覚していると、学校に行くこと自体がおっくうになる可能性も考えられます。また、宿題を夏休み前半に一気に終えた子どもの場合、宿題を終えた以降学習をしない期間が続くと、家庭学習をしない習慣がついてしまい、授業の始まりに憂うつ感を抱くこともあります。新学期は夏休み前の学校生活と全く同じリズムで進むわけではありません。夏休み明けは運動会をはじめとした学校行事の準備や練習が入ってきたり、時間割や担当する先生が新学期をきっかけに変わったりするなど、学校生活のパターンに変更が出てくることもありますよね。このような学校生活のパターンに関する変化に戸惑ったり、切り替えるのが難しかったりすることをきっかけに学校へ行きたくなくなってしまうこともあります。夏休み中は学校・幼稚園がある時より友達に会う機会が減る子どもが多いと思います。久しぶりに会う友達となんだかぎくしゃくしてしまったり、夏休み前に関係がうまくいっていない友達と会うことに不安を感じてしまったりなど、人間関係への不安から学校へ行くことに抵抗を感じてしまうケースも少なくありません。新学期に向けて夏休み中にやっておきたいことって?出典 : 夏休みのような長期休みが続くと、休み明けになかなか身体がついていかなかったり、学校や幼稚園に毎日通っていた時のような元気ややる気がでなかったりします。新学期をスムーズに迎えるには、夏休み中に何を心がければ良いのでしょうか。新学期が近づいてきたら改めて、生活リズムが著しく崩れていないかチェックしましょう。具体的には、きちんと睡眠をとれているか、食事は3食食べているか、運動不足になっていないかなどを確認するとよいですね。睡眠が不規則になり、昼夜逆転してしまっている、食欲がなくなっている、エアコンの効いた部屋でゲームばかりしているなどの様子が見られたら、新学期の始まりに間に合うように少しずつ改善していきましょう。学校や幼稚園のある日を想定して、登校・登園時間に間に合うように起床や身支度を済ませる、きちんと起床できるような時間に布団に入って身体を休める習慣をつける、学校のプールや図書館の夏休み開放日に行ってみる、学校まで親子で散歩してみる、というような夏休み中からの工夫が、新学期を万全な体調でスタートさせるコツです。夏休みの宿題には教科のワークやドリル・プリントから自由研究、読書感想文などさまざまな種類があり、親子で苦労するということもあるのではないのでしょうか。これらの宿題を夏休み終了間近に追い込んで終わらせる…ということを避けるためにも、新学期が近づいてきたら、改めて指定された宿題の内容と、どのくらい終わらせられたかをチェックしましょう。宿題は終わっているものの、しばらく勉強している様子が見られない場合は、新学期に向けて少しでも勉強する習慣を復活させると授業が開始した時に戸惑うことなく学習できます。新学期に学ぶ内容を簡単に予習してみたり、好きな教科のワークから取り組んでみたりするのも良いでしょう。発達ナビ親子のヒント‐小学校‐「宿題をやらない」夏休みが明けた新学期は、学校行事の準備が入って変則的な時間割になったり、時間割の一部が変更されたりすることがあります。このような変化を新学期に入ってから知ると、こだわりや切り替えに対する苦手意識がある子どもにとっては強い不安感につながることがあります。そのため、夏休み明けの学校生活の見通しをあらかじめ子どもに伝えておくことが大切です。新学期に入る前にどのような変更があるのかわかると、子どもの安心感につながります。教えてもらえる範囲で、担任の先生から新学期での変更点を教えてもらうことも良い方法でしょう。親子のヒント‐幼稚園・保育園‐「新しい環境になじめない」親子のヒント-小学校‐「変化に対応することが苦手」およそ1ヶ月ほどある夏休み。その間ずっと友達と会っていないと、新学期に友達とどう接すれば良いかわからなくなり、ついぎくしゃくしてしまう子どももいるかもしれません。子ども自身に抵抗がなければ、夏休み中も友達と遊ぶ機会を設けたり、学童施設や児童館、子ども向けイベントなどの同年代の子どもと関わることができる場所へ出かけたりすることをおすすめします。このような機会をつくることは、子どもが新学期も友達とスムーズに学校生活を送ることにつながるだけではなく、親自身がリフレッシュすることにもつながります。新学期を気持ちよくスタートできるよう、時間のある夏休みのうちに学校や幼稚園などで使う道具や身につけるものがちゃんと使えるかどうか確認することも大事です。文房具や制服・体操服、サブバッグなど、子どもが安全に使うことができるか今一度点検してみましょう。もし新調する必要があるものがあったら休み中に対応することができますし、新学期へのモチベーションアップにちょっとした道具を新調してあげるのも良いかもしれませんね。新学期、子どもが登校・登園を嫌がったらどうする?出典 : いざ新学期に入り、子どもが学校や幼稚園へ行くのを嫌がった時、保護者としてはどのように対応すればよいのでしょうか。対応方法は、子どもが学校や幼稚園に行くことを嫌がっている理由によって異なります。学習や成績に関して不安だったり、友達などとの人間関係に難しさを感じたりしている場合、夏休み明け再び学校へ行くことに抵抗を感じることがあります。学習への不安から学校へ行きしぶる場合、子どもが学習面の何に困り感を抱いていて、それをどのように解消すればよいかを具体的に考え、実践する必要があります。学校と連携し、子どもの学習への自信を高めてあげることが登校につながる可能性があります。人間関係など、学習以外の不安が原因の時は、そもそも原因が何なのかしっかり把握することが大切です。併せて子どもの特性も理解し、その特性に合う解決方法を学校や医師・カウンセラーなどとの連携のもとに考えていくことが重要になります。夏休みは、学校や幼稚園へ通っている時より親子で過ごす時間が増えます。それゆえ、新学期が始まると保護者と離れて過ごす時間が再び増えることに不安を感じ、登校・登園を嫌がる場合があります。これは特に幼稚園に通う年齢の子どもや小学校低学年の子どもを中心に見られます。子どもにこのような保護者との分離不安が見られる場合、親子で過ごす時間を増やし、少しずつ子どもの不安を和らげてあげることが大切です。親子で登校したり、子どもが学校や幼稚園にいる様子を見守ってあげたりして、子どもの安心感を少しずつ増やしていきましょう。学校生活・学習・人間関係どれもこれといった悩みがないにも関わらず学校へ行きたがらない場合、長期休みの間で学校へ行く意欲が減り、無気力状態になっていることが考えられます。このような場合、保護者が家から学校へ送ってあげたり、先生や友達が迎えに来てくれたりすると登校することが多いため、保護者や先生側から積極的に関わっていくことで登校への意欲が戻ってくるかもしれません。他にも学校で新しい遊びやクラブ活動・委員会活動に誘ってみたり、家庭や学校でその子どもに何かしらの役割を持たせたりすることで学校へ行くモチベーションの回復につながることがあります。四日市市教育委員会‐不登校の子どもへの指導の手引き‐01不登校とは(不登校の定義とタイプわけ)親子のヒント‐幼稚園・保育園‐「登園を嫌がって泣く」まとめ出典 : 新学期は学校行事やイベント、またその準備のため生活に変更点が増えたり、同級生や先生と久しぶりに再会し、再び集団生活を送るなど、子どものストレスや心身の不安定につながりやすい時期です。新学期突入をきっかけに心身のバランスが崩れてしまわないよう、子どもの特性に合わせ、夏休み中から新学期を見据えた準備をすることが大切です。また新学期前後は、子どもが学校や幼稚園で過ごすうえで困りごとが起きていないか、特に注意して見守ることを心がけましょう。夏休み中からの準備と新学期前後の目配りを通して、子どもが新学期も元気に学校や幼稚園に行けるよう、サポートしていきたいですね。
2017年08月21日子どもが中学生になると思春期を迎え、いろいろな問題も出はじめます。その中で不登校になる子どももいるでしょう。昔は、学校へ行かないなんて言語道断でした。そんな甘えは許されない、親が首に縄をつけてでも引っ張っていく…。そういう感覚が強かったんじゃないかしら。でも、いまは状況が違ってきているようです。無理をせず様子をみる、というのが大きな流れのような気がしますね。確かに、子どもがイヤがる場所に何が何でも通わせる、というのはよくないと思いますよ。その子にしてみたら学校に通うことが死ぬほどつらいのかもしれません。大人にはわからない子どもなりの事情もあるでしょう。そういう気持ちを親が無視することは、子どもの信頼を裏切ることになります。もちろん、親は子どもの将来を心配すればこそ学校へ通わせようとするのよね? でも、世間の体裁を気にする気持ちが、その中に隠れている場合もあると思うのよ。「みんな、ふつうに登校しているのに、なぜうちの子だけ…」という感情が出てきてしまうのね。 その気持ちもわかるけれど、これだけ時代のスピードが速いんです。親側の意識を変える必要もあるんじゃないかしら? 過去の常識にしばられて子どもの可能性をつぶしてしまっては、何にもなりませんからね。特に、いまの時代は選択肢が多いでしょう?転校したり、フリースクールへ通わせることもできます。その子に合った学校へ通わせてあげられれば、それがいちばんです。もちろん、ただのワガママに親が振り回されるようではいけませんよ。そんなことをしていたら、それこそ子どもの生きていく力を奪うことになります。親は、子どもがひとりで生きていくために必要な「たくましさ」を育む責任があるの。甘やかされて困るのは、その子自身ですからね。とにかく、一度くらい不登校になったからといってあきらめないこと。学校は、ひとつだけではないんです。子どもに学校を選ばせ、自分が選んだからには最後まで通わせる、という選択もあります。大事なのは、家に引きこもらせないこと。他人と触れ合う機会をなくすことは、子どもにとって大きな損失ですからね。ただ、それでも引きこもってしまった場合は専門家へ早めに相談するなどして、長引かせないことを考えてください。子どもには子どもなりの理由があるはずです。親が子どもと根気よく向き合うことが、何よりも大事なことですからね。 2017年下半期の運勢を≪全網羅≫新宿の母が贈る珠玉の人生鑑定
2017年08月18日夏休みを挟むと、学校に行きたがらなくなる子どもたちが増えますよね。長く休んでしまったせいでちょっとダルいな、学校が面倒くさいな……という程度ならいいのですが、もし本格的な不登校になる可能性があるなら、じっくりと向き合わなければなりません。今回は、学校に適応できない子どもたちを支える場所“フリースクール ”を紹介します。フリースクールとはいったいどのような場所で、どんなメリットがあるのでしょうか。経験者の声も集めてみました。●フリースクールは子どもの安全な居場所フリースクールは、何らかの理由で学校に行けない子どもたちの居場所 のことです。文部科学省の定める“学校”の基準を満たしていないため、正規の学校とは認められていません。しかし、だからこそ学習指導要領に縛られない、自由な学習プログラムを展開できます。これが、フリースクールの最大の魅力。教科学習に重きが置かれる一般的な“学校”は、近年の脱ゆとり施策のもとに年々厳しさを増してきています。授業時間は増え、休みは減り、子どもたちにかかる負担も増加する一方です。しかし、フリースクールではこういった画一的な指導を行う必要がありません。他者と交流しつつ、自分の好きなことを自由に学ぶのがフリースクールの主なプログラム。そのため、子どもたちは過度の負担を感じることなく、安心して過ごせるのです。●サポート校とフリースクール、どう違うの?学校以外の子どもの居場所といえば、“サポート校”と呼ばれるものもありますね。サポート校とフリースクールには似たようなイメージがありますが、実際には大きく異なります。ふたつの違いをまとめてみました。●サポート校主な目的は、通信制高校に通う生徒が3年間で確実に卒業できるように支援することです。そのため、入学できるのは通信制高校の生徒や、高卒認定試験を目指す子どもたちに限られていることがほとんど。予備校や学習塾が運営していることが多く、活動内容も学習支援がメイン になります。場所によってはあたかも学習塾のような雰囲気のところもあるようです。●フリースクール主な目的は、学校になじめず傷ついた子どもたちの精神的なサポート です。入学資格は特に設けられておらず、不登校児全般を広く対象としています。個人やNPO法人が運営していることが多く、活動内容はスクールによってさまざま。勉強だけでなく、遊びや季節行事もたくさん行われます。●「心が休まった」「費用が高い」……経験者の話実際に通っていた人やその保護者は、フリースクールをどのように捉えているのでしょうか。インタビューしてみました。『いじめにあって不登校になった私は、中学1年の夏から3年の春まで、私立のフリースクールに通いました。普通の学校と全然違い、いろんなタイプの人がいて、誰もが「ありのまま」を認めてもらえる 場所でした。毎日の活動で何をするか・しないかは自分で決めることができたし、決めたことにとやかく文句を言ってくる人もいなかったのでとても安心でした。おかげで心をじっくりと休めることができ、中3のゴールデンウイーク開けにはもとの学校に戻れました。今でもスクール時代の仲間とたまに飲みに行ったりしますよ』(30代女性/パート)これはまさにフリースクールの成功事例といえますね。子どもたちには本来、生まれ持っての回復力が備わっています。学校になじめないことで傷ついたとしても、安心・安全な場所でゆっくりと休むことができれば、自然とふたたび羽ばたくことができるのでしょう。また、お子さんをフリースクールに入れた方からはこんな話が聞けました。『のびのびした泥んこ系幼稚園を卒園した息子。地元の公立小学校に入ったとたん、画一的な教育と理不尽な評価、無意味な規律ばかりの毎日で日に日にぐったりしていったんです。息子なりに頑張って通学してはいましたが、勉強にはすぐについていけなくなりました。ストレスから体調を崩しはじめ、1年生の夏休み開けには泣きながら「僕もう学校はイヤ……」と言い出したため、フリースクールに通わせるようにしました。スクールでは一人ひとりの理解度に合わせた教育がなされ、できたことは徹底的に褒めてもらえます。わからない問題があっても決して叱られず、理解できるまで根気よく教えてくれるんだそうです。遊びも取り入れながら楽しく学ぶことができ、息子は本来の屈託なさを取り戻すことができました』(40代女性/主婦)『フリースクールは費用がネックですね。うちの娘が通っているスクールは、入会金が5万5千円。毎月の月謝が4万円 かかります。お金を出し惜しむべきではないってことは百も承知です。でも、「いつまでここに通わせなきゃいけないのかな……」と思うことは正直ありますね』(40代男性/会社員)残念ながら、現行の制度ではフリースクールに対する政府の助成は行われていません。かかる費用はスクールによってピンキリですが、中には高額な入会金や月謝を請求するところもあるようです。ちなみに、平成27年3月に行われた文部科学省による調査では、月謝の平均額は約3万3千円という結果が出ています。家庭の経済状況によっては、希望するスクールに通わせることができない可能性もありますね。公的支援の拡充が期待されるところです。----------小学生、中学生の子どもたちは「学校が世界のすべて」であるかのような錯覚を持ってしまいがちです。そんな中で、学校以外の安全な居場所があることは、学校にうまく適応できない子どもたちの希望になるのではないでしょうか。子どものためのさまざまな選択肢のひとつとして、フリースクールはおおいに検討の余地がある施設といえますね。【参考リンク】・小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査 | 文部科学省(PDF)()●文/パピマミ編集部●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年08月14日似た者同士の母と娘、二人揃って図形問題が解けない!出典 : アスペルガー症候群の診断がおりている9歳の娘は、言語IQが150を越えています。日々、ひっきりなしにお喋りをしたり、本を読み続けたり、頭の中にある言葉をパソコンに入力し続けたりしています。彼女の生活は言葉に埋めつくされていると言っても過言ではないほどです。このような状態ですから、言葉で物事をとらえるのは非常に得意なのですが、一方で算数の図形問題で頭を悩ませることが増えてきました。図形問題にはほとんど文字情報がありませんので、まず見ただけで拒否反応を示します。そして、1枚のプリントを終わらせるのに1時間以上かかるうえに、間違いを連発してしまうこともしばしばあります。そんなときは、自分を否定する言葉を吐きながら、目に涙を浮かべて問題と戦っているのです。そんな娘と同じような特性がある私は、昔から図形の問題が壊滅的に苦手でした。算数の計算自体は得意でしたので、図形問題ができなくても、特に成績が悪くなることも問題視されることもなく、なんとかやり過ごしてきました。私そっくりに生まれた娘には図形で苦労をさせまいと、算数のセンスがアップする!と謳われているオモチャや幼児教育の教材を取り入れてきたのですが、残念ながら娘にその効果が表れることはありませんでした。私も苦手な分野なので、解き方を上手く娘に説明することができません。夫に「教えてあげて」とプリントを渡すと「え、これは図を見れば簡単にわかる問題でしょ?」と言われる始末。どうして娘と私は、図形問題をスムーズに解くことができないのでしょうか?空間認知能力が低いと算数にも影響が出る!?出典 : 図形の理解に必要なものの1つに「空間認知能力」が挙げられます。空間認知能力とは、人や物の位置を立体的に把握する能力のことで、方角・距離・大きさ・広さなどを的確に理解し把握する役割を果たします。地図から目的地までの経路を探すのが得意な人や、山登りのルートなどを俯瞰して理解できる人は、この空間認知能力が高いといえるかもしれません。逆に、この能力が低いとどうなるのでしょう?自分と物との距離を上手く測れないため、自分の家の中であっても壁やドアに頻繁にぶつかってしまったり、お店に入って違う出口から出てしまうと帰る方向が分からなくなったりするのです。そして、勉強の面でいえば、字を枠の中におさめて書くことができなかったり、筆算をする時に桁がずれてしまったり、手本を見ながら線を書き写せない、という問題が出てくるのです。娘は、この空間認知能力の低さゆえに、表に出れば道に迷い、筆算をすれば桁がずれ、図形を見ても上手く全体像をとらえられないという問題にぶちあたっているのです。問題を構成するひとつひとつの要素は理解できているのです。平行・垂直、同位角・錯覚、三角形の内角の和、多角形の内角の和の求め方。それぞれはわかっているのに、それがまとまった状態で提示されると、途端に混乱してしまうのです。三角定規の一つひとつの角度は覚えていても、それが重なった状態の問題が出ると、娘の頭はショート寸前となり、自分だけの力で解くには膨大なエネルギーが必要となります。読字障害で、言葉のまとまりを意味としてとらえることが困難なタイプがあるように、私や娘の場合それが図形で起こっているのかもしれないなと思うようになりました。さらに気づいた「ワーキングメモリ」との関係出典 : また私たち親子に共通するこの苦手さには、「空間認知能力」だけでなく「ワーキングメモリ」も関係しているのではないかと考えるようになりました。ワーキングメモリは日本語では「短期記憶」や「作業記憶」と呼ばれています。何かを考えたり、作業を行ったりするときに必要な情報を一時的に置いておく場所であり、この情報を元に人は行動をするのですが、このワーキングメモリには「言語性ワーキングメモリ」と「視覚性ワーキングメモリ」があるそうです。言語性ワーキングメモリ = 言語化できる情報を保持・操作する場所視覚性ワーキングメモリ = 言語化できない情報を視覚イメージとして保持・操作する場所そして、頭の中で映像や画像を思い描いたり操作したり、思考する場所を「視空間スケッチパッド」と呼ぶそうです。私は医者でも学者でもありませんので、すべてをきちんと理解することも説明することもできませんが、脳の中にこのような領域があるのだと知ったことで、娘の困難さの原因が少しわかったような気がするのです。おそらく、娘も私も言語性ワーキングメモリの領域は通常よりも多く、視覚性ワーキングメモリの領域はとても少ないのだと思います。以前のコラムでも書きましたが、私は他人の顔を覚えることができません。大切なわが子の顔さえも、思い浮かべることができないのです。新たに出会った人について記憶する場合は、まずその人の名前を漢字で聞き、頭の中にその名前のラベルがついた文字情報を放り込んでいき、言葉で記憶するのです。娘も他人の顔をおおざっぱにしか見分けられていないようで、「おじいさん」「若い女の人」などのくくりで人を判別しているため、テレビに出てくる人を近所の人だと言い張ったり、逆に道を歩いている普通の人を「絶対にあのドラマに出ていた俳優さんだ」と言ったりします。これはおそらく、視覚性ワーキングメモリの領域が少ないため、視空間スケッチパッドに人の顔をきちんと展開することができないのが原因ではないでしょうか。そして、視覚性ワーキングメモリの働きが弱いために、算数の問題に出てくる図形を全体像として頭に思い浮かべることができず、問題を解くための手立てを探すところまでたどり着けないというのが、図形問題が解けない原因になっているのかも知れません。親子で勉強することで生きるヒントが見つかるかも!出典 : さて、図形の苦手さの原因は努力不足や経験不足ではなく、脳の構造の問題であるらしいというところに辿り着きました。「泣くほど辛いのなら、いったん図形問題から離れてもいいよ」と娘に声をかけたのですが、娘は「普通の4年生が理解できることは私も理解したい」と言うので、工夫をしながら図形問題に取り組むことになりました。図形を見ると少しチックが出るようになったのですが、本人が「やる」と決めたことなので、ストレスがかかり過ぎないように様子を見ながら進めていきたいと思います。娘は学校に行かずに家で勉強をしていますので、教えるのは私か夫ということになります。複雑な問題は夫に任せて、簡単な問題や何度か繰り返している問題は私が教えています。視覚性ワーキングメモリが低いとなると、得意な言語性ワーキングメモリを使って解いた方が娘にとっては楽になるはずですので、図形を見ながら一つひとつ言葉で説明をし、手順を言語化していきます。普通であれば、言語でだらだらと説明するより図にした方がわかりやすいから図にしてあるはずなのに、わざわざ言語に戻して理解するというのもなかなか独特で面白い特徴ですよね。そう考えることができるようになったのは、「できない」ことにフォーカスをあてるのではなく、「どう工夫すればできるようになるか」という思考にシフトチェンジできたからではないかと思います。また、立体的な感覚をつかむため、マインクラフトという三次元の世界でブロックで建物を建てたり、旅に出たりするゲームを始めました。夢中になって遊んでいるうちに苦手な分野のトレーニングができるのはとてもステキなことで、自分の子供時代と比べると、何かを学ぶための選択肢がたくさんあって、よい時代になったなと嬉しく思います。出典 : お子さまの宿題を見てあげるとき、不登校のお子さまに勉強を教えるとき。もし、正解か不正解かだけに注目していらっしゃる方がいたら、少し見方を変えてみませんか?勉強でつまづいてしまったとき、努力だけでは克服できない原因が隠されているかも知れません。どのような工夫をすれば乗り越えられるのかを考えることで、子どもが心地よく生きていくためのヒントが見えてくることもあるのです。親も子も、「勉強する」というとつい構えてしまいがちですが、親が子を知り、子が自分自身の特性を知る良いチャンスだと思って、前向きに取り組んでみるのもいいかも知れませんね。
2017年08月13日不登校支援から生まれた一冊の絵本出典 : 「なぜ学校に行かなければならないの?」「どうしてみんなと一緒じゃなければいけないの?」子どもから「なぜ?」と問いかけられた時、あなたならどうしますか?簡単に答えられそうで、よくよく考えると難しい…今回ご紹介するのは、そんな子どもの「なぜ?」と向き合う中で生まれた、『僕のナゼ、私のナゼ』という絵本です。奈良県北葛城郡にある「自遊空間ゼロ」という子どもと保護者のためのフリースペースを運営している桐生敏明さんが企画・編集をし、5月に編集工房DEPから発行されました。この絵本が生まれたきっかけは、桐生さんとつながりのある北海道のNPOを訪れた際に出会った一人の不登校児の疑問でした。その疑問は、「なぜ学校に行かなければいけないの?」といういたって、シンプルな疑問だったと言います。自遊空間ゼロは、桐生さんが陶芸教室などの親子のつながりを育むためのイベントを開催しています。その活動の根幹には、子どもとその保護者が一緒に過ごせる場所を提供したいという桐生さんの強い想いがあります。活動を続ける中で、「自然と不登校児と触れ合う機会が増えた」という桐生さん。ある時、北海道に住む昔からの知り合いを訪ねることがありました。そこで出会った不登校児の一人から「『なぜ学校に行かなければならないの?』と聞かれたんです。子どもたちの『なぜ?』という素直な疑問に対して大人はどう接すればよいのかを自分でもしばらく悩みました」(桐生さん)。そして、この子どもが抱く疑問との向き合い方を考えるうちに、不登校児の保護者たちから気づいたことがありました。「なぜ、不登校になってしまったの?」「どうすれば、学校に行くようになるの?」といった子どもの不登校の問題に、何とか「正しい答え」を出そうとするあまり、いつしか自分自身の本当の気持ちを忘れてしまう。自分の「なぜ?」に対して、模範解答を求めるあまり、もがき苦しむ。そんな保護者たちの姿です。「不登校の子どもと向き合い続けることは、保護者にとっても苦しいこともあると思います。子どもの問題を考えるあまり、大人のほうが自分と向き合えなくなってしまうことがあるんです」(桐生さん)答えを探すことは、もちろん大きな意味があります。しかし、それだけではなく自分が感じた「なぜ?」はどうしてうまれたのかを考えることも必要になることがあります。一度、子どものことに縛られずにまずは自分の置かれている環境や気持ちを素直に整理する時間を大人自身が持つことが大事なのではないか?そんな時間を持つ何かきっかけになるものはないか?そう考えた桐生さんは、子どもの実際の「なぜ?」を主題に、この絵本を作ることにしました。子どもたちのリアルな疑問を描くために、北海道や大阪の子どもたち七人に「なぜ?」と感じたことを教えてもらうなど協力もしてもらいました。大人になったら忘れてしまうような、子どもが抱く素直な疑問が一冊の絵本にまとまっています。自遊空間ZEROイルカたちと始まる「ナゼナゼ・パズル」Upload By 発達ナビ編集部絵本は、主人公のカエデという女の子が夢の中でイルカになってしまうところから始まります。何頭ものイルカたちと遊ぶ中で、カエデは「ナゼナゼ・パズル」を提案します。「カエデッ、それナゾナゾの間違いじゃないの?」「ちがうの!みんなが、自分の中に眠っている<ナゼ>を探し出すの。自分は<ナゼ>生きているのか、とか、<ナゼ>死ぬのか……とか」(同書8Pより)その提案を聞いたイルカたちはもちろん戸惑います。しかし、サカナしか探してこなかったイルカたちが自分の「なぜ?」を探し始めますそして、日常での「なぜ?」をお互いに交換していきます。だれも答えはわからないし、正解もない。そんな子どものとき、誰しも一度は考えたことのある「なぜ?」が並びます。「ナゼナゼ・パズル」は、みんなの「なぜ?」が出揃ったら、それぞれが自分にとって一番大事な「なぜ?」を選びます。最終的にイルカたちが選んだ一番大事な「なぜ?」はさまざまです。「私はナゼ生まれてきたの?」「僕はナゼ日本に生まれてきたのか?」「ナゼ、人は死にたいと思うの?」「そう思うことは、間違いなの?」など。大人が子どもに聞かれたら少し戸惑ってしまうような「なぜ?」ばかりですでは、実際、こうした「なぜ?」を問われたら、大人はどう答えるべきなのでしょうか?正解だけが大事じゃない。「なぜ?」との向き合い方桐生さんは「正解を伝えることが重要ではない」と言います。絵本の中でもそれが示されています。この世には人の数だけ考え方があります。だから、もしかしたら「正解」は存在しないのかもしれません。どんなことに対しても、ただ、多くの人が信じている、イコール正解というだけで……。(同書P53より)確かに、「周りの意見」が正解につながるとは限りません。自分で考えて、悩んで見つけた答えがその子にとっての一つの答えになることもあります。さらに、その答えも見つかるものと決まっているわけではありません。「まわりの大人たちの一つの役割は、その子が抱いた一つの『なぜ?』を、本人が逃げずに向き合えるようサポートをすること」(桐生さん)。一緒に悩む時間を過ごしたり、素直に「答えがわからない」など、考え方を伝えてあげるだけでも、身近な大人ができるコミュニケーションの一つです。「(これまでの活動を通して)不登校になるなど問題が起きるということは、自分と向き合い始める大きな機会にもなるのではないかと感じました。それは、子どもに限った話ではなく、子どもたちの問題に関わる大人たち自身が自分と向き合う機会にもなります」(桐生さん)この絵本には、桐生さんの「子どもたちが自分と向き合うことの大切さはもちろん、まわりの大人たちも自分自身と向き合う機会にしてほしい」という想いが込められています。実際の子どもたちが抱いた「なぜ?」が絵本の中でどのように、語られているのかは一つの見どころです。その疑問を見たときに、大人になった今の自分は何を感じるのか?子どもの時の純粋な好奇心や疑問を思い出す機会になるかもしれません。
2017年08月09日ひきこもりとは出典 : ひきこもりとは、学校や仕事などに行かず、家族以外の人との交流をほとんどしないで家庭に長期間ひきこもっている状態のことを指します。平成22年に厚生労働省により公表された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている場合としてひきこもりの定義がなされています。ひきこもりに至った理由や要因は人によって様々ですが、上記のガイドラインによる定義では、統合失調症などの精神疾患によって家にこもっている状態とは区別されています。ただし実際には確定診断がなされる前の統合失調症のある人などが含まれている可能性もあると考えられています。ひきこもりによって社会参加の回避が長期化すると、社会生活への復帰のハードルも高くなってしまいます。本人自身や家族が大きな不安を抱えている場合も少なくありません。しかし、近所の目や家族内での偏見や無理解が少なくないという現状もあります。そのため支援を受けずに家庭内で解決しようとするあまり、状況がさらに長期化し解決が難しくなってしまうことがあるのです。現在、日本には推計でほとんど家からでないひきこもり状態にある人が約23.6万人、自分の用事の時だけ外出する準ひきこもりの人が約46.0万人、合わせて約69.6万人もの人が広義のひきこもり状態にあると言われています。この事態を受け、厚生労働省をはじめ、行政もひきこもりへの支援を推進しています。出典:『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』p.6出典: 平成26年版子ども・若者白書(全体版)子どものひきこもりは不登校と関連が深い出典 : 就学年齢にある子どもの場合、ひきこもりになるきっかけとして、学校に行かない不登校との関連があると考えられます。不登校は子どもにとっての社会的活動である学校生活や交友関係と関連する学校という環境からの回避行動と考えることができます。不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行してしまう場合があります。そして一度ひきこもりの状態になると、不登校も長期化する場合が少なくありません。つまり子どもの頃にひきこもり状態になると、その間に学校で教育を受ける機会を失ってしまったり、居場所を失ってしまったり、進学・就職するハードルが高くなってしまうこともあります。そのため、不登校からひきこもりへと進行しないようにし、もしひきこもりになってしまった場合もできるだけ早く解決することが重要になってきます。大人のひきこもりは長期化に伴う高齢化が問題に出典 : 平成28年9月に内閣府が発表した「若者の生活に関する調査報告書」によると、ひきこもり状態になったのは20~24歳の頃と答えた人が34.7%ともっとも多く、ひきこもりがいまや子どもだけでなく、大人の問題でもあることは明白です。大人のひきこもりの場合、学校でのつまづきなどをきっかけに子どもの頃からひきこもりが続いている人もいれば、就職や仕事で社会になじめず成人後にひきこもり状態になった人もいます。就労や就学しない若者を指すニートという言葉もあります。ひきこもりのなかにはニートの人もいますが、ひきこもりとニートは厳密には違います。現在、ひきこもりの高齢化・長期化が問題視されています。ひきこもり状態が長期化した結果、35歳以上のひきこもりが増加していると言われています。先ほどの調査報告書は16~35歳以上を対象にしたものですが、5年以上ひきこもり状態が継続している人が46.9%と非常に高い割合を示しています。長期化している場合、それだけ社会復帰も難しくなります。また、子どもが35歳以上となると、その親も60歳を超えていることも予想され、金銭面・精神面でひきこもりを支える家族の高齢化も問題となってきます。自分が亡くなった後のひきこもりの子どもに関して不安を感じる親も少なくありません。出典:若者の生活に関する調査報告書ひきこもりの原因出典 : ひきこもりのきっかけや要因は様々です。本人の性格や甘え、子育てのせいと結び付けられがちですが、それらは決定的な物ではなく、単純にそれだけが原因でひきこもりが生じるわけではありません。『平成26年版子ども・若者白書(全体版)』による調査では、病気や仕事・学業でのつまずきがきっかけとして多いことがわかります。Upload By 発達障害のキホン出典:平成26年版子供・若者白書子どもは成長するに従い、自立とスキルを求められるようになります。他者と折り合いをつけ、円滑にコミュニケーションをとること。勉強や将来に向けての進学・就職に成功すること。様々なプレッシャーのなかで、外=社会での居場所を失い外に出られなくなった場合、家の中にひきこもらざるを得なくなってしまうのです。つまり、どの子どもでも、ひきこもりになる可能性はあるということです。きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験・就職活動の失敗などの様々な挫折経験が挙げられますが、きっかけがよくわからない場合も少なくありません。一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に関係しているケースも考えられます。不登校が長期化してひきこもりになることもあります。最近は、背景に発達障害が関係していることもあるという報告もあります。家族としては、どうしても「なぜひきこもりになったのか」が気になり、突き止めたくなるでしょう。ですが、「どうしてひきこもりになったのか」「何のせいでひきこもっているのか」と原因探しをすることは、ひきこもり状態の解決にはあまり意味がないかもしれません。ひきこもりの解決のためには「なった要因」よりも「ひきこもり状態からどうして抜けだせないのか」を考え、支援する必要があるのです。ひきこもりと精神疾患の関係は?出典 : 定義上ではひきこもりは精神疾患の症状ではない場合のことを指しています。ですが、ひきこもり状態の中には、精神疾患と何らかの関連がある場合も考えられます。この場合、いくらひきこもりを脱しようと頑張っても、根本にある精神疾患や障害の治療や支援をしないと、解決できないことがあります。そこで、ひきこもり状態の裏になんらかの精神疾患や障害が隠れていないかどうか注意することが非常に重要です。精神疾患とひきこもり状態の関係には以下の3つのパターンが考えられます。ひきこもりの人の中には、精神疾患の症状のために家から出られないのに、そのことに気づかず、見過ごされている状態の人が0ではないと考えられています。つまり、精神疾患からひきこもり状態を引き起こしているが未診断という状態です。不安障害や統合失調症、双極性障害、うつ病などは症状としてひきこもり状態を伴いやすい精神疾患です。これらはひきこもりと対処法が全く異なります。また治療が必要な場合もあるので注意が必要です。単なる「ひきこもり」と誤解しているうちに疾患が進行しないよう、早期に精神科に相談する必要があります。なかでも統合失調症は鑑別が難しい精神疾患です。統合失調症の陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれて他の人とのコミュニケーションが難しくなり、ひきこもり症状が生じることがあります。この状態を単なるひきこもりと誤解されてしまうことがあります。統合失調症の主な症状としては、幻覚や妄想、幻聴なども挙げられます。これらの様子が見られる際には、精神科の受診をおすすめします。ただし、ひきこもり状態でも妄想などが現れる場合もありますので、統合失調症かどうかは医師による慎重な判断が必要です。統合失調症の治療には一般的に、薬物治療を併用しながら心理社会的療法(リハビリテーション)が行われます。参考書籍:斎藤環・畠中雅子/著『ひきこもりのライフプラン』(2012年岩波書店/刊)精神疾患の症状から、人間関係のトラブルや強いストレスを引き起こし、二次的な障害としてひきこもり状態になる場合もあります。近年、発達障害とひきこもりの因果関係が指摘されることが多くあります。発達障害のある人が特性を理解されないまま不適切な環境にいることで、環境との不適応を起こし、二次障害としてひきこもり状態になってしまう場合が少なくないのです。広汎性発達障害・自閉症スペクトラムのある人はコミュニケーションの困難を感じることがあります。そのため思春期以降、複雑化する学校生活や人間関係などがうまくいかず、ひきこもり状態になってしまう場合があります。ADHDのある人も、不注意や衝動性といった特性が社会適応を困難にしたり、叱責を受けて自己肯定感が低くなってしまうことが、ひきこもりにつながりやすいと言われています。また、学習障害(LD)のある人は、学習でのつまずきが学校への忌避感や自己肯定感の低下を引き起こし、ひきこもりやすくなると言われています。発達障害の根本的な治療法は現代の医学では確立していませんが、周りの理解や環境調整、スキルトレーニングなどによって困りごとが軽減すると言われています。それらの適切な対応をすることで、二次障害としてのひきこもりを起こさないようにしたり、ひきこもり状態から早期に抜け出せるようにすることが重要です。また、ひきこもりの人の中にも、その背景に発達障害が隠れていることに気がついていない人も一定数いると考えられます。発達障害である場合、様々な社会的支援が受けられる場合もあります。幼少期の生育歴などに発達障害に該当する様子がなかったかなど、一度専門機関に相談してみるとよいでしょう。参考:ひきこもりと発達障害|星野仁彦参考書籍:村尾泰弘/編『ひきこもる若者たち』(2005年,至文堂/刊)長期間にわたるひきこもり状態や孤立から、しばしば二次障害的に精神疾患の症状が出現することもあります。ひきこもり状態にある人のなかには、ひきこもりをやめたいのにやめられなかったり、家族とぶつかったり、近所の人の目を気にしたりなど、「ひきこもっていること」そのものに対して強いストレスを感じている場合があります。これらが心身に悪い影響を及ぼし、対人恐怖症状や強迫症状、被害念慮(妄想)、うつ状態などがあらわることがあり、しばしばそれらがひきこもりから抜け出すことをより困難にします。また家庭内暴力などの問題行動を引き起こすこともあります。これらの症状は、何らかの理由でひきこもり状態を脱すると急速に快方に向かうとも言われています。参考書籍:斎藤環/著『ひきこもり救出マニュアル』(2002年PHP/刊)ひきこもりはずっと続くの?出典 : 近年ひきこもりの高齢化が問題化しています。社会との接点がないまま長期化し、なかなかひきこもりから抜け出せずに、つらい思いをしている当事者や家族もいます。そのため、ひとたび子どもがひきこもりになると、「親である私たちが亡くなったらこの子はどうするんだろう」「このままひきこもりがなおらないのではないか」と心配してしまうのも無理はありません。ですが、本人は、ひきこもりを何とかしたいと考えている場合が多いのです。現在、社会復帰に向けた様々なサポートもあります。子どもに対する対処法を知ったり、専門家による支援を活用することで、ひきこもりから抜け出せる可能性も高くなります。これから、ひきこもり状態になった場合の相談先や支援方法について詳しくご紹介します。ひきこもりを脱するために何ができるのか、考えてみましょう。ひきこもりは家庭内で抱えこまず専門家に相談を出典 : ひきこもりが長期化し、こじらせてしまう一因には、「引きこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」と家族で問題を抱え込むことがあります。日本社会に根強い「世間の目を気にする」「家のことは家族で解決する」という文化が、背景にあると考えられますが、そういった家族の気持ちが一層本人を家から出にくくしてしまうことがあるようです。また、ひきこもりは時に家庭内暴力や家族内での対立を生んだりします。誰にも言えずに家族だけで解決しようとすると、周りの家族にとっても大きな精神的なストレスになります。そんな時に頼りになるのが、専門家や支援団体などの相談支援です。地域の相談支援を行っている機関をご紹介します。電話での相談を行っている場合もありますので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。・ひきこもり地域支援センター…ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有するのが「ひきこもり地域支援センター」です。センターには社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などがひきこもり支援コーディネーターとして配置されます。相談支援や訪問支援を早期に行うことで、適切な支援につながることを目的にした施設です。参考:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省全国ひきこもり地域支援センター設置状況・精神保健福祉センター…精神保健福祉全般にわたる相談をおこなっています。こころの健康についての相談、精神科医療についての相談などとともに、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談も可能です。電話や面接で相談できますが、事前の予約が必要なこともあるのでホームページなどで確認しましょう。全国の精神保健福祉センター一覧・保健所…地域の保健所でひきこもりの相談支援を行っている場合があります。電話相談、面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。また、相談者の要望によっては、保健師に家を訪問して相談してくれる場合もあります。保健所一覧その他、児童相談所、福祉事務所、発達障害者支援センターなどの福祉機関などに相談してもよいでしょう。家族会や当事者会では同じ悩みを持つ方と出会い、相談できます。相談会やイベントなども多数行っています。ひきこもりの支援を行う特定非営利組織(NPO)などもあり、電話相談を行っているところもあります。全国ひきこもり家族会連合会ひきこもり電話相談引きこもりを支援する民間業者などもありますが、高額な費用がかかったり、無理に家から出させるなどの不適切な扱いをされたり、近年トラブルも増えています。利用する場合は慎重に、契約前に事前に見学するなどして活動内容をチェックし、閉鎖的な環境でないか、信頼できるかなどしっかり確認するようにしましょう。こころの問題や身体症状が強く出ている場合など、精神科、心療内科、小児科などの医療機関に相談しましょう。心理カウンセリングを行っているところもあります。本人が受診を拒む場合や外出できないときには、まずは家族の相談を受け入れてくれる医療機関もあります。ひきこもりの人と家族が受けられる支援出典 : ひきこもり支援のゴールとは、ひきこもり状態を抜け出し社会参加ができるようになることです。目標とする社会参加とは、働くことであったり、家の外に親密な対人関係を持つことだったり、居場所を作ることだったり、様々です。ひきこもりの段階で支援は変わります。その過程は人によってことなりますが、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」で紹介されているような支援ステップを踏むことが多いようです。Upload By 発達障害のキホン「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」|厚生労働省ひきこもりの支援は多くの場合、家族の相談からスタートします。ひきこもりの支援が始まるこの時期、まずは相談に来た家族への支援や、本人がどのような状況にあり、どのような支援が必要かのアセスメントが行われます。・家族支援家族の面談や、訪問支援などを通して、必要な支援を探り、関係機関との連携などが行われます。まずは家族が相談機関に定期的に相談を続けることが第一歩となります。・個人療法当事者本人が支援を受けられる状態になると、個人的な心の支援がはじまります。本人が相談に行ったり、本人への訪問支援を受け入れたり、精神科などでの治療やカウンセリングを受けたりといった段階です。具体的な個人療法についてはケースや技法によって様々ですが、当事者の抱える罪悪感や孤立感によりそい、支援を受けようと動き出した本人の気持ちを支えることを基本とします。・集団療法次のステップはグループでの活動です。精神保健機関や医療機関での集団精神療法やデイ・ケアなどの利用、フリースクールやフリ―スペースなどで家族以外の人と接します。ひきこもりの当事者の中には同世代の人とのコミュニケーションが苦手な人もいます。まずは同じ悩みを持つひきこもりの人と接することがよいトレーニングになることもあります。また、これらの場が居場所として機能します。・社会復帰に向けた就労支援グループでの活動をするうち、就労したい・外出して活動したいという気持ちが芽生える場合があります。そのような場合には就労支援などの社会参加にむけた支援が始まります。就労支援としてはハローワークをはじめ、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、ヤングワークプラザ、学生職業総合支援センター、職業訓練校などが挙げられます。家族がひきこもりになったときの対処法出典 : 家族がひきこもり状態になった時、どのように接し、サポートすればよいのでしょうか?・本人がどのような気持ちかを理解する親や家族は誤解しやすいのですが、本人は「怠けたいから」「働きたくないから」ひきこもっているのではありません。むしろ「ひきこもりをやめたいのにできない」と悩み、家族に対しても申し訳なさや引け目を感じています。・本人が安心してひきこもれる環境をつくるゲームをずっとしている、散らかった部屋で昼夜逆転の生活をしているといった子どもの「だらしない生活」の様子は、親からすると不愉快で、注意してやめさせたい状況です。ですが「家から出す」ために叱りつけたり無理やり学校や職場に連れ出したりすることは、逆効果になることがあります。本人にとって、家の中での家族とのつながりさえなくなると、社会とのつながりが完全に断絶されることになるのです。家族との対立や口論などが続くと、家族とさえ話せない孤立した状況を生み出します。昼夜逆転の生活も、家族と顔を合わせたくないという理由から引き起こされる場合もあります。まずは家を居心地の良い、安全にひきこもれる環境にすることが、ひきこもりの初期の段階では重要なサポートとなります。「家が居心地がよすぎると、いっそうひきこもるのではないか」と家族は不安になりますが、本人は十分に苦しみ、抜け出したいと葛藤しています。家族はそれ以上のストレスを与えないようにし、信頼関係をもって支えるようにしたいものです。・金銭面での支え方お小遣いを要求する場合も、家族としてはなかなか受け入れがたい状況かもしれません。ですが、お店に行って買い物をすることも社会参加の一つです。子どもがお金を使う機会を持たせることは、外とのつながりを保つためにも重要です。お小遣いを渡すと際限なく要求するのではないか、特に大人の場合、ギャンブルなどにつぎ込むのではないかと心配する親御さんもいます。お小遣いを渡す場合、以下のようにルールを決めることが重要です。・お小遣いは、十分に与える・金額は必ず、一定にする・その額については、本人と相談して決める斎藤環/著『ひきこもり救出マニュアル』(2002年,PHP研究所/刊)p.372より引用また、お小遣いの使途については、本人に任せ、家族は口出ししないようにします。・ストレスを抱えこまないひきこもりの原因は親や家族のせいではありません。ですが、なんとか解決したいと奔走したり、子育ての仕方が悪かったのではと悩んだり、ひきこもりは家族にとって大きなストレスとなります。また「世間の目」が気になる親御さんも少なくないでしょう。特にお母さんは自分を責め、「子どもがひきこもっているのに…」と自分の楽しみや外出を控える方もいるようです。また、親子が家に閉じこもり、子どもが親に頼り切ることで「共依存」という依存関係に陥ることもあります。そのような事態を避けるためにも相談機関に相談したり、家族自身がストレスをため込まないように息抜きをしたりしましょう。本人に社会との接点を持つモデルをみせるためにも、家族で閉じこもらないことが重要です。・家庭内暴力への対応ひきこもり状態の1~2割に家庭内暴力が伴うことがあると言われています。家族の場合、本人への遠慮や表ざたにしたくないことから容認したり、第三者の介入を拒んだりしてしまいがちですが、密室化してしまうことが最も解決を困難にします。家庭内暴力への対処は「開示・通報・避難」を基本とします。まず、家族が暴力を絶対に許さない姿勢を示します。そして「暴力が起きたらおさまるまで家族は家を出る」「暴力が起きたら警察に通報する」と予告します。実際に暴力が起きたら、脅しで終わらないように毅然とした態度で宣言通りにすることが重要です。家族が避難する場合、本人が「見捨てられた」と感じないように、暴力が起きていないうちに避難しない、避難したら外から電話などで連絡する、タイミングを見て一時帰宅をするなどの対処をするとよいでしょう。家族だけでの対処が難しい場合がありますので、専門家に相談することもおすすめします。出典:斎藤環・畠中雅子/著『ひきこもりのライフプラン』(2012年,岩波書店/刊)まとめ出典 : 家族が突然ひきこもりになったら、驚き、なんとかして解決したいと思うのは自然なことかもしれません。家族の気持ちとして、一日中家にいる本人に対して怠けている、甘えていると感じたり、叱咤激励して家から出すことを考えたりすることもあるでしょう。しかし、ひきこもりをしている本人は心の中に強い葛藤を抱えています。不安や焦燥、絶望を感じ非常につらい状況にいることに思いを馳せることが重要です。ひとたびひきこもり状態が長引くと、つらい精神症状が生じる、生活の自立が難しくなるなど、さらに問題が現れることがあります。また、周りの家族もストレスや本人を支える負担が大きくなってしまいます。そのような事態を避けるためにも、ぜひ、早期に専門機関などへ相談しましょう。多くのひきこもりのケースの解決は家族の相談から始まります。家庭内で抱えこまず、周りの支援を受けながら、ひきこもりを抜け出す方法を一緒に考えていきましょう。
2017年07月31日愛するわが子にはできるだけ幸せになってほしいというのは、子どもを持つ親なら誰しも考えることではないでしょうか。熾烈な受験戦争や就職活動など年代ごとに競争が行われているだけに、心配な気持ちをもつのも仕方ないのかもしれません。しかし、親の期待が大きすぎるために、子どもがそれを負担に感じてしまうこともあります。また、あれこれと大切に育ててきたにも関わらず、子どもが思ったような成果を出せないことがあると、失望してしまう親もいるでしょう。今回は、手塩にかけて育てた子どもが期待通りにならなかった人の声と、その対処法をご紹介します。●(1)正しいレールに乗ってくれなかった『小学校受験をさせて、いわゆる人気校に入学させることができました。合格するためにお金や時間は惜しまず、そのためにさまざまな努力を続けてきたのです。しかし中学に入って徐々に成績がさがり、高校では学校に行かない日が増えてきました。最終的に不登校となり、きちんとした企業に就職するという夢は叶わなくなってしまいました。「こんなはずじゃなかった。こんな子、私の子じゃない」とまで思ってしまいましたね。普通の幸せを願っているだけだったのですが』(40代女性/パート)有名な大学を出て、一流の企業に就職し、平穏な結婚をするのが幸せだと思っている親は少なくないでしょう。しかし、子どもが自分で行った選択を尊重することも重要です。子どもの人生は子どものものであり、決して親のものではありません。親は、レールを敷いてそれに乗せるのではなく、あくまで見守ることに徹する のです。「夜更かしする」「学校を休む」「勉強をしない」というのは、すべて子どもが選んだこと。それを認めず、「親の教育が悪かった」と思い込むのは、エゴと言うほかないでしょう。たとえ親の望んだレールが一般的には正しいものだったとしても、子どもの成長には失敗することも必要なのです。●(2)身に付かなかった生活習慣『健康な体と規則正しい生活習慣さえあれば、他にはなにもいらないと思っていました。最低限のしつけができていれば外で恥ずかしい思いをすることもないでしょうし。しかし、私の思いは子どもに伝わらなかったようで、散らかし放題の部屋に暴力的な態度。一人暮らしを始めてからは外食や弁当ばかりできちんとした食事も取っていないようです。これまでの私の努力はなんだったのでしょうか……』(40代女性/主婦)わが子のこととなると、日頃の些細なことも気になってしまうという親は多いでしょう。あらゆる行動にケチをつけ、望み通りの行動ができなければ叱責する……。しかし、これを受けた子どもはどう感じるでしょうか。そもそも、規則正しい生活などをそもそも望んでいなかった可能性もあるでしょう。それに加え、押し付けられ、さらには批判までされるとあれば、反抗する気持ち になっても仕方ありません。「恩着せがましい」とさえ言えるのではないでしょうか。●(3)苦手なことが多い子どもになってしまった『うちの子は他の子どもたちより「できないこと」「苦手なこと」が多いように感じます。普通のことができないというか……。それが原因でいじめのターゲットになってしまうようなことがあれば、後悔してもしきれません。子どもをきつく叱ることも多いですが、その後「どうしてわかってくれないの?できるようにならないの?」と自己嫌悪してしまいます。かといって、褒めて伸ばすというのも違う気がして、子育てに自信がありません』(30代女性/事務)親というものは、子どもの欠点を見つけると心配になり、平穏な状態ではいられなくなります。「あれはしちゃダメ」「どうしてこんなこともできないの」という言葉は、「他のみんなができることを当然のようにやってほしい」という思いがあるからです。これは“否定”することを意味します。しつけや教育を、欠点をなくすことだと思っているから です。しかし、親の失望は子どもを次第に無力にしていきます。弱みを見つけて指摘するのは簡単です。人と違う部分を探して、それがおかしいと言うだけ。反対に、強みというものは人と違うからこそ強みなのであり、それを見つけ、良い部分だと考えることは簡単ではないでしょう。しかし、これは褒めればいいということでもありません。結果に着目して褒めることは、子どもが親の目を気にして行動することにつながるためです。大切なのは、子どものことをよく観察し、しっかりと対話することです。----------いかがでしたか?最近では毒親という言葉も注目され、親のあり方というものが考え直されているのかもしれません。安易に叱るのは簡単です。時には我慢を強いられることもあるかもしれませんが、忍耐強く向き合ってみることが大切ではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年07月31日「みんなの学校」の元校長・木村泰子先生と教育を考える、スペシャルな一週間出典 : みなさんは、「みんなの学校」という映画をご存知ですか?「みんながつくるみんなの学校」を合言葉に、そこに通う子どもや先生はもちろん、地域の人一人ひとりが「自分の学校」をつくりあげた、大阪市立大空小学校の日々を追ったドキュメンタリー映画です。2015年2月に映画が公開されるとたちまち話題となり、公開が終了した今なお、この映画を一人でも多くの人にいてほしいと願う人たちによって、毎週のように全国どこかで自主上映が行われています。大空小学校では、発達障害や知的障害のある子どもたちが、みんなと同じ教室で学んでいます。そのため、障害がない子どもたちは、様々な個性を持った子どもたちと一緒に過ごすことで、多くのことを学ぶことができます。一方で、私たちが暮らす社会には今なお、たくさんの問題を抱えているように思います。それにもかかわらず、多くの人がこの社会を自分がつくっていると自覚することなく、日常に追われています。「みんながつくるみんなの学校」があるのであれば、「みんながつくるみんなの社会」がなければなりません。そのような問題意識から、大阪市立大空小学校、元校長の木村泰子先生と、同元教諭の塚根洋子先生をお招きし、これからの「みんなの学校・みんなの社会」のあり方について、共に考え学ぶ場が企画されました。題して、「みんなの学校」元校長・木村泰子先生と学ぶ夏休みスペシャルウィーク8/6-8/10の間、一つでも多くの学校が「みんなの学校」になるように、そして私たちの社会が「みんなの社会」となるよう、たくさんの学びや行動のきっかけを届けることを目的に、教育・仕事・デザイン・マイノリティ・メディア、様々なテーマのイベントが催されます!ご興味のあるイベントにぜひ参加してみてください。Upload By 発達ナビニュース木村泰子(キムラヤスコ)大阪市出身。武庫川学院女子短期大学(現武庫川女子大学短期大学部)卒業。「みんながつくるみんなの学校」を合言葉に、子ども、保護者、地域住民、教職員一人ひとりがつくる大阪市立大空小学校の初代校長を9年間務めた。「すべての子どもの学習権を保障する学校」として、その取り組みを描いたドキュメンタリー映画「みんなの学校」が話題となった。2015年春に退職し、現在は全国各地での講演活動、教員研修、執筆などで多忙な日々を送る。著書に『「みんなの学校」が教えてくれたこと』(小学館)『不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる21世紀を生きる力』(水王舎)などがある。Upload By 発達ナビニュース塚根洋子(ツカネヨウコ)38年間の教職生活で大空小学校の9年間を終え卒業。在職中トリプルPファシリテーターの資格習得。退職後アートセラピストの資格を習得し、少しでも子どもや大人の心に向き合えるようにと学び中。モットーは「変わる自分 変われる自分 いいねぇ」。現在、木村泰子さんと共に、大阪にて毎月「みんながつくるみんなの学集会」の講師を務めるとともに講演活動も行っている。8/8(火)は「みんなの学校」 × LITALICOの対談イベント!Upload By 発達ナビニュース今回のスペシャルウィークでは、発達ナビの運営会社であるLITALICOと「みんなの学校」のコラボが実現!木村先生とのトークセッションを開催します。発達ナビの運営会社であるLITALICOは、「障害のない社会をつくる」をビジョンとして掲げ、障害者への就労支援サービス、子どもの可能性を拡げるソーシャルスキル&学習教室、ものづくりに特化した教育を行うIT×ものづくり教室などを運営しています。コラボイベントのテーマは、「みんなの社会をいかに生きてはたらくか」ゲストは、「大阪市立大空小学校」元校長の木村泰子先生と、同元教諭の塚根洋子先生障害のある方の社会への参加・参画に向け共生社会の実現を目指し、障害者雇用にも重点を置く薬樹ウィル株式会社(株式会社薬樹特定子会社)代表取締役の吉澤靖博さんLITALICOからは、「LITALICO発達ナビ」編集長の鈴木悠平学校での教員経験もある社員・木村彰宏の2名が登壇します。また、当日は冒頭、参考映像としてドキュメンタリー版「みんなの学校」(45分/関西テレビ)を上映します。【開催概要】日時:8月8日(火)18時~22時(18時から映像上映、19時よりセッションスタート)場所:LITALICOセミナールーム(中目黒)〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー16F参加費:無料主催:みんなの学校みんなの社会(任意団体)協力:株式会社LITALICO/薬樹ウィル株式会社協賛:株式会社クリックネット【お申込み方法】下記申し込みフォームよりお申し込みください。当日の対談の様子は、発達ナビのFacebookページでもライブ配信します!遠方でご参加が難しい方は、以下のページから中継をお楽しみください。発達ナビのFacebookページはこちら「みんなの学校」夏休みスペシャルウィークのイベントを一挙にご紹介!以下では、LITALICOとのコラボイベント以外も含めた、スペシャルウィーク全体のイベントをご紹介します!Upload By 発達ナビニュース現役教員、学生、社会人らが共に過ごしながら、これからの社会でどう生きてはたらく力を獲得できるのか、「みんなの学校」をつくってきた木村泰子先生と塚根洋子先生と一緒に考えます。対象:大学生、教員、企業などで教育に関わる方場所: BLR伊東( 〒414-0055 静岡県伊東市岡354JR伊東駅より徒歩 )募集人数:30名参加費(予定):学生18,000円社会人28,000円(宿泊費・食事含む、現地までの交通費は含まず)※2日目の夜(18時)までの参加、2日目午後(13時)からの参加も受け付けます。その場合参加費はそれぞれ8,000円引きとなります。※初日、3日目の遅刻早退も可能ですが、料金は変わりません。※交通費参考東京~伊東JR快速利用(2時間)片道2270円新宿~伊東小田急+JR利用(3時間)片道1550円【1日目】15:00現地集合15:30オリエンテーション・自己紹介ワーク…18:00調理実習~夕食21:00プログラム・ワークショップ【2日目】8:00 朝食9:00 プログラム・ワークショップ12:00昼食13:00プログラム・ワークショップ18:00調理実習~夕食21:00プログラム・ワークショップ【3日目】8:00 朝食をとりながらの振り返り10:00チェックアウト解散【お申込み】参加をご希望の方は下記よりエントリーをお願いします。Upload By 発達ナビニュース立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科の協力による企画です。同大学院に所属する教員と木村先生のパネルディスカッションを行ったうえで、参加者の皆さんも加わったグループディスカッションを実施、これからの社会をいかにデザインしていくかを考えます。【開催概要】日時:8月9日(水)13時~17時場所:立教大学池袋キャンパス参加費:無料主催:みんなの学校みんなの社会(任意団体)協力:立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科【立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科】世紀の市民社会が直面する諸問題に現実的に取り組み、新しい市民的知の結集と協働のネットワークの力によって、“いかに対処すべきか”の具体的な方法論を系統的な理論と実践として探求する、新しいタイプの大学院。NPO/NGOやソーシャルビジネス、企業の社会的責任(CSR)、海外協力団体の運営、企業・自治体から地球レベルに至る危機管理に関する専門知識、方法論、マネジメント能力、グローバルな視野を有し、変化する社会状況に的確に対応できる総合的な判断力を備えた専門家=ソーシャルデザイナーを育成。【お申込み方法】下記申し込みフォームよりお申込みください生きづらさを感じている色とりどりの人たちが車座になって、「私のまぜこぜ・生きづらさ」を、ぶっちゃけトーク。 木村先生と東ちづるさん(予定)と一緒に、笑って泣いて、ワクワクドキドキの2時間です!2017年8月6日(日)~10日(木)の5日間、映画「みんなの学校」で、その教育実践が話題となった大阪市立大空小学校元校長の木村泰子先生と、同元教諭の塚根洋子先生をお招きし、これからの「みんなの学校・みんなの社会」の在り方について、共に考え、学びます。本プログラムの一環として、誰も排除しない「まぜこぜの社会」をめざして、アートや音楽、映像などのワクワクを通じて活動する一般 社団法人 Get in touch(代表:東ちづる)協力。 生きづらさ感じている色とりどりの人たちが車座になって、「私のまぜこぜ・生きづらさ」を、ぶっちゃけトーク。 木村先生と東ちづるさん(予定)と一緒に、笑って泣いて、ワクワクドキドキの2時間です!【開催概要】日時:8月9日(水)19時~21時場所:渋谷董友ビル2Fホール(キユーピー本社ビル内)参加費:1,000円主催:みんなの学校みんなの社会(任意団体)協力:一般社団法人 Get in touch/キユーピー株式会社【お申込み方法】下記申し込みフォームよりお申込みくださいUpload By 発達ナビニュースこれからの社会を生きる力として求められる「メディア・リテラシー」の大切さについての、下村健一さんの特別講座です。下村さんは、TBS報道局アナ(スペースJ、等)を15年、フリーキャスター(筑紫哲也NEWS23、サタデーずばッと、等)を10年務めた後、内閣広報室の中枢メンバーとして約2年半、民主・自民の3政権で首相官邸の情報発信に従事されました。また、東京大学・慶應義塾大学・関西大学で各3~4年の教職を経て、現在は白鴎大学客員教授の他、小学教科書の執筆など、幅広い年代の子ども達のメディア・情報教育に携わっておられます。特別講座の後、「想像力のスイッチを入れよう!」と題し、「他者への想像力」を大切にした教育実践をされてきた木村泰子先生とのミニ対談も開催します。【参考文献(ともに下村さんの著書)】・10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー・想像力のスイッチを入れよう (世の中への扉)【開催概要】日時:8月10日(木)9時30分~11時40分場所:立教大学池袋キャンパス(詳細は参加者の方にお知らせします)対象:どなたでもご参加いただけます参加費:無料主催:みんなの学校みんなの社会(任意団体)協力:下村健一事務所協賛:株式会社クリックネット【お申込み方法】下記申し込みフォームよりお申込みくださいUpload By 発達ナビニュース「すべての子どもが、その子にとって 素晴らしい教育を受けることができる社会の実現」を目指す、認定NPO法人Teach For Japan(以下、TFJ)のフェロー(派遣教師)といっしょに「目の前の子どもひとり一人に私たちはどう関わることができるのか」を考える対話イベントです。当日は、TFJのフェローによる現場での体験スピーチのほか、長年現場で子どもたちに関わってきた木村泰子先生、塚根洋子先生からのエピソードを伺った後、参加者全員で「全校道徳」を行います。※全校道徳とは、大空小学校が毎週月曜日の朝に実践する、1年生から6年生までがグループになり、車座で答えのない問いについて考える会です。【開催概要】日時:8月10日(木)13時~17時場所:立教大学池袋キャンパス(予定。変更の可能性があります)参加費:無料主催:みんなの学校みんなの社会(任意団体)協力:Teach For Japan/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科(予定)協賛:株式会社クリックネット【お申込み方法】下記申し込みフォームよりお申込みください
2017年07月21日中学不登校だった僕が出会った“通信制高校”。そこは、自分の興味を思いっきり追求できる場所だったUpload By 吉開拓人こんにちは、現在大学生で、プログラマーとしても活動している吉開拓人といいます。これまで、ベンチャー企業でのロボットの開発などに携わってきました。開発に携わったロボット「Gatebox」今でこそ、大学生活にエンジニアの仕事にと充実した毎日を送っている僕ですが、実は中学から約3年半の不登校経験があります。そんな僕がプログラミングに打ち込み、そして大学進学という目標を持てた理由の一つには、「通信制高校」という選択肢があったことがあると思います。通っていたのは、長野県にある通信制高校「コードアカデミー」。国語や数学といった通常の高校の授業科目だけでなく、プログラミング教育に力を入れた学校です。2014年に開校されたばかりでまだ歴史は浅く、僕が卒業第一期生です。コードアカデミーでの日々はとても充実していました。自分の好きなことや楽しいことに3年間ずっとノンストップで取り組むことができただけでなく、面白い生徒にたくさん出会えましたし、その人たちから普通の高校に通う以上の良い刺激をたくさん受けとることができました。今回は、僕自身の「コードアカデミー」での高校生活をお話し、不登校であったり、学校に行く理由を見出せないでいる中高生の後輩たちに向けて、通信制高校のポジティブな活用方法をお伝えできればと思います。「勉強する目的が分からない」ー3年半の引きこもりから、プログラミングという道に出会うまで出典 : 通信制高校へ通うようになったキッカケは中学生のころまでさかのぼります。僕は中学生1年生の時から、家に引きこもるようになりました。学校に行かなくなった理由は人間関係などではなく、「勉強する目的が分からない」から。小学校と違い中学にあがってから大きく変わるのは勉強への姿勢。周りは受験モードに切り替わり、勉強に力を入れる人が増えていきます。友達が塾に行き始めるのをみて「自分も勉強をがんばらなくては」と焦燥感をかんじ勉強に向かってみたものの、目的を定めずに何かをすることが苦手だった僕は、目的のない受験勉強をし続けることに対しもやもやとした疑問を抱き始めます。そしてついに中学一年の秋、糸が切れたように通学ができなくなってしまい、そこから3年以上もの間引きこもり生活が続きました。ですが今振り返ると、この不登校経験は僕の人生のターニングポイントとなったかけがえのない時間だったと思います。一日中ゲームをしていた僕に、父が「そんなに好きなら、自分でゲームを作ってみれば?」とプログラミングの専門書を買ってくれ、僕がエンジニアになるきっかけを与えてくれたからです。※詳しくは、以前発達ナビでインタビューしていただいたコラムでお話していますので、こちらも併せてご覧いただけると嬉しいです。プログラミングに特化した通信制高校がある?ニュースを見てすぐに入学を決意出典 : 引きこもり始めて3年の月日が経った頃、「まだ学校に行きたくはない」と中学卒業後も家で過ごしていた時のこと。ふと目にしたのが“通信制高校「コードアカデミー」開校”のニュースでした。コードアカデミーは、日本でも稀なプログラミング科目を導入した高校です。国語や数学、英語といった普通科目とプログラミング科目の授業はネットで受講し、メールで課題を提出。あとは半年に一度、約5日間長野県にある本校で授業とテストを受けて単位を修得します。卒業に必要な単位を取れれば高校卒業資格が取得できるので、大学を受験する事が出来ます。さきほどお話した通り、不登校生活で一番力を入れてたのがプログラミングの勉強だったこともあり、このニュースを見たときは飛び上がるような気持ちになったのを覚えています。将来のために今以上のプログラミング技術が学べるかも…ここだったら自分のやりたいことに向かって努力できるはず。高校に通うならここしかない!不登校になる前と違い、勉強することに大きな目的を持てた瞬間でした。すぐさま資料請求し、願書を提出。入学が認められ、記念すべき第一期生としてコードアカデミーに入ることになりました。コードアカデミー高等学校通信制高校のイメージを変えてくれたのは、魅力的な同級生との出会い出典 : 「やりたいことができる!」と入学を決めたものの、正直に言うと僕自身も通信制高校にまったくネガティブなイメージを持っていなかったといえばウソになります。就職や進学には明らかに不利だし、世間にもあまり良いイメージは持たれていない…全日制の高校には確実に劣ると思っていました。少し不安な気持ちも残ったまま入学式初日を迎えた僕ですが、そんなイメージを180度変えてくれた出会いがありました。コードアカデミーの本校は長野県にあり、そこで行われた入学式の日のことです。同じく第一期生として入学式に参加していたK君と出会いました。彼は通信制高校に対してとてもポジティブな考え方を持っていたんです。「通信制高校と普通の高校の違いは、時間を自由に使えること。好きなように予定を入れて行動できる。やりたいことのために時間を有効活用できるのは大きなメリットだ。」社会問題やインターネット文化に興味があった彼は、とても好奇心旺盛。学校外でやりたい事がたくさんあった彼は、昼間の時間を「やりたい事」に使うために通信制高校を選んだのだそうです。昼間の時間は、気になるビジネスに取り組んだり、旅に出たりとアクティブに過ごしたいと張り切っていました。彼の考えは僕にとってとても衝撃的で、それでありながら僕の胸にストンと落ちるものでした。「平日の時間を有効に使えること」をどう活用するか、それが高校生活を有意義なものにするかキーポイントになっているのではないか……だったら、僕も彼のように通信制高校の環境をポジティブに活かせるように行動すればいい。この考えに出会ってから、僕の通信制高校に対するイメージは大きく変わり、結果、高校生活も充実したものになっていきました。自分で目的を持って通信制高校を“活用”してみたところ…出典 : ここからは、実際に僕が「コードアカデミー」で行動してみて体感した、通信制高校のメリットをご紹介したいと思います。学校の中の友達や繋がりは大事ですが、それだけに限られてしまうと、思考も限定されてしまいます。僕はできるだけ外に出ました。フリーランスのエンジニアの方々に会ったり、カフェで店員さんとおしゃべりしながら作業したり、平日に開催されるイベントに参加したり…通信制の平日の時間が使えるというメリットをフル活用したのです。全日制高校と違って単位制で履修の時間を自由に決めることができるからこそできたことです。また、僕は空いていた平日の時間の大半を「仕事」の時間に使っていました。働く目的は、遊ぶお金がほしいからではなく、将来に向けてプログラミング技術を磨くこと。むしろお金はおまけのような感覚でした。高校生でもプログラマーとして働ける会社を見つけて勤務していたのですが、そこで学んだことはとても大きかったです。毎日社会人といっしょに仕事をする機会をもてるのは、まさに通信制高校ならではのメリットだと思います。ほぼ毎日仕事をしていましたが、働くこと自体が楽しくて仕方なかったので、遊ぶ時間は必要ありませんでした。プログラマーとしての業務に必要なのは「コミュニケーション」と「勉強」です。仕事を通じて、その2つのスキルはどんどん磨かれていきました。この経験は社会人スキルとして一生活きていくでしょう。新しい人に会って新しい友達が出来ると、新しい情報を知る事が出来ます。そして多くの人から自分の知らない世界を教えてもらうことにより、自分のやりたいことが新しく見つかる場合もあります。もちろん時間はたっぷりあるので、そのやりたいことにすぐさま取り組むこともできます。やりたいことにフットワーク軽く、自分の満足のいくようにひたすら模索できるのは時間を自由に使える環境があったおかげだと思っています。今の大学に行くことができたのも、志望大学の先輩方に会って将来の夢を語り、受験の相談に乗っていただけたから。夢の実現のために自由に動ける時間が得られたのは、とても良かったと思っています。僕の高校時代は自由そのものでした。そして何も出来ないのび太くんだと思っていた自分でも、時間の使い方を理解し、使いこなす事が出来れば、どんなことでも出来るようになると分かりました。エンジニアは生涯勉強し続けなければいけない職業です。勉強し続けるには仕事と休みの合間に勉強の時間を作らなければいけません。それは自分の限られた自由をマネジメントするということです。高校時代、平日いつ・どこに行き、誰と会うのも自由。全て自分で選択して生活してきたお陰で、自分の自由をマネジメントする癖が付きました。その能力はこれから先、エンジニアの僕にとって大きく役に立ってくれるはずです。不安も失敗もあった。でも勇気を持って挑戦すれば、その経験はきっと自分の財産になるUpload By 吉開拓人そんな高校生活を経て、僕は今年4月に慶應義塾大学の総合政策学部に入学しました。「目的のない勉強」が嫌で学校に行かなくなった僕にとって、大学の「目的のある勉強」は楽しくて仕方がないです。興味はテクノロジー以外の分野にも広がっており、今後も高校生活で得られた行動力をもとに活動の幅を広げていきたいと思っています。僕の高校生活を転換させてくれたKくんは、在学中、自分の興味の赴くまま全国を駆け回り、フィールドワークをしていました。卒業後は早稲田大学に進学。そんな彼の最近の口癖は「情報は足で稼ぐもの」、まさに有言実行を貫いていました。Kくんだけでなく、他にも自分の興味のある領域を研究する時間に使い、学問を究めるため大学に進んだ人もいます。このように、みんな自力で進路切り開いていきました。大学生、社会人となるにつれて、ますます学習が大切になっていきます。それを両立させるためにも、僕らが通信制高校で身に付けた「自分の時間を管理」する能力が役に立ってくれるはずです。通信制高校に入って将来が不利になるのでは……と心配になることもあるでしょう、でも実は、全日制高校でなければ出来ないことより、通信制高校でなければ出来ないことの方がたくさんあると思っています。もちろん僕も、ただ順風満帆な高校生活を送っていたわけではありません。たくさん失敗もしました。でも、その失敗も今の自分には必要不可欠なことだったと思っています。そのおかげで、最近は失敗するのがそんなに恐くなくなりました。上手く活用すれば、普通の高校生が見たこと無いような景色を見たり、やれない事をやったり、出会えない人と友達になれます。時間と場所の制約がなければ自由な発想力が身につきます。その結果、好きなことを仕事にしたり、好きな分野を研究したり、興味を持ったことは何でも挑戦出来るんです。この高校生活で得られたモノは、ずっと自分の武器になるはずです。もし高校の勉強に時間を奪われ、自分のやりたいことが出来ないと感じているなら、通信制高校の入学を検討するのもいいかもしれません。僕の体験談が、少しでもお子さんやご自身の進学先選びの参考になれば幸いです。
2017年07月14日臨床発達心理士とは?出典 : 臨床発達心理士とは、人の発達・成長・加齢に寄り添い、発達心理学等の専門的な知識を生かして健やかな育ちを支援する専門家です。また、赤ちゃんからお年寄り、子育て中の保護者や障害のある人など、幅広い世代、状況の人たちを支援対象としていて、人の生涯発達に関する臨床に携わる幅広い専門家に開かれた民間資格です。人は年齢を重ねていくなかで、自分自身や家族関係、友人関係、学校生活や就職などさまざまな悩みや問題に直面します。それらの問題は環境や時間の経過、またその時々の支援の在り方によっても変化していきます。したがって、生涯発達の中で出会うさまざまな問題の解決にあたっては、まず問題を正しく理解し、それに基づいて適切な支援を行う専門家が求められます。そこで誕生したのが「臨床発達心理士」の資格です。現在、「~心理士」「~カウンセラー」などの名がついた心理士の関連資格は70以上にものぼると言われています。そのうち「臨床」という名称を持つ資格はいくつかありますが、「発達」という名前が付いているのは臨床発達心理士だけです。つまり、さまざまな心理職のうち発達を専門とする資格ともいえるでしょう。参考:一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構[編] 臨床発達心理士わかりやすい資格案内[第3版](金子書房.2017)参考:本郷一夫「臨床発達心理士の専門性と果たすべき役割」臨床発達心理士になるには?出典 : 「臨床発達心理士」資格は、学会連合資格「臨床発達心理士」認定運営機構が認定している民間資格です。臨床発達心理士の資格を取得するには、受験資格を満たしたうえで年に1度、9~12月にかけて行われる資格審査に合格しなければいけません。資格取得までの流れとしては、申請書類の購入、申請手続き、一次審査(書類/筆記/業績等)、二次審査(口述審査)、資格認定といったステップがあります。1. 発達心理学を中心とした心理学諸分野の科学的・理論的な知識2. 人間が実際に発達する場に関する社会的・実践的な知識3. 人間の発達をアセスメントし支援する臨床的な知識・技能これらを習得するための基礎となる学問領域は「発達心理学」または「発達心理学隣接諸科学」です。具体的には発達心理学、その他心理学、教育学、保育学、福祉学、小児科学、医学、看護学、リハビリテーション学、発達障害学、保健体育学、体育心理学、スポーツ健康科学、人間社会学、人間学、児童学、応用人間科学、コミュニケーション学、児童教育学社会学などです。2017年度から資格申請制度が新しくなり、申請タイプが5つにまとめられました。1. 発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または終了後3年未満2. 臨床経験が3年以上あり、かつ発達心理学隣接諸科学の大学院を修了している3. 臨床経験が3年以上あり、かつ発達心理学隣接諸科学の学部を卒業している4. 大学や研究機関で研究職をしている5. 公認心理師を取得している変更点としては以下の2つがあげられます。・国家資格である「公認心理師」資格取得者が申請できること。・「公認心理師」資格が心理学系大学卒業以上を前提としていることから、発達心理学諸科学の大学や、短期大学や専門学校を卒業した人が申請できるタイプを廃したこと。ただし、公認心理師資格は2018年度以降習得可能であるため、経過措置として2019年度までは旧制度での申請も受け付けています。資格申請をするにあたって、自分の受けた教育歴と臨床発達支援に関する実践の経験年数に合わせて、以下に示す申請タイプの中から最も自分にあったタイプを適切に選びましょう。また、資格を取得すると、「日本臨床発達心理士会」に入会するとともに全国に20ある支部のどこかに所属することが義務づけられます。さらに、資格の有効期間は5年で資格更新をすることも義務付けられています。資格更新は、試験ではなく資格取得後に十分な研修を積んだか、高い専門性を保持することに努めたかがポイントに換算され審査されます。出典:資格取得までの流れ|一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構出典:資格申請新制度のご案内|一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構出典:資格更新ガイドライン|一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構参考:一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構[編]わかりやすい資格案内(金子書房.2017)p18~41臨床発達心理士スーパーバイザーとは、臨床発達心理士になろうとしている人や臨床発達心理士になった人(スーパーバイジー)に対して、スーパービジョン(指導者から教育を受ける過程)を通して支援し、育成する役割を担う人のことです。申請要件は以下の3つになります。1. 臨床発達心理士の有資格者2. 臨床発達心理士資格取得後、5年以上関連する業務・活動を継続3. 臨床発達心理士資格を1回以上更新している出典:臨床発達心理士スーパーバイザーとは|一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構臨床発達心理士はどのような人を支援するの?出典 : 臨床発達心理士は赤ちゃんから高齢者までの年代の人を対象として発達を支援する人の資格です。そのため、支援の対象はとても幅広いです。具体的に以下のようなケースが支援の対象となることが多いです。・新生児、乳幼児と保護者・自閉症スペクトラム、知的障害、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害・知的障害の診断を受けた人・育児不安、虐待、不登校、引きこもりなどの現代的問題を抱える人・「気になる子」、障害の有無/グレーゾーンかの判断に対して悩みを持つ人・社会適応や成人期・老年期の悩みを持つ人臨床発達心理士の活躍の場と具体的な支援出典 : 「臨床発達心理士」資格のある人が特定の職場にいるわけではありません。赤ちゃんから高齢者を対象として発達を支援する人のための資格であることから、資格を持つ人の活躍する場は多岐にわたります。以下では、支援対象の年代別に具体的な職場やどのような仕事をしているのかを紹介していきます。・新生児医療の場:育児不安の解消、愛着形成への援助など・保育所/幼稚園:保育者、保育カウンセラー、特別支援教育コーディネーターとしての業務など・家庭支援センター:親子広場スタッフ、子育て講座の講師、家庭相談スタッフなど・保育巡回相談:主に行政からの委託で保育所、幼稚園を巡回・乳児院/児童養護施設:カウンセリング、セラピーの実施など・保健所/保健センター:妊娠中に両親学級の講師やグループワークのスタッフ、乳幼児健診および発達が気になる子どものフォローなど・小中学校/高校/大学:教師として特別支援教育コーディネーターの業務など・スクールカウンセラー:校内相談業務、保護者支援、校内研修会講師など・教育委員会:教育相談、就職相談等の相談業務、心理検査の実施など・発達支援センター:障害児童やグレーゾーンの子どものアセスメント、相談、療育など・放課後デイサービス:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など・学童保育所:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など・学童相談室:大学等での学生相談室でのアセスメント・児童相談所:心理判定、相談、指導業務など・特別支援学校:教育のアセスメント、指導評価の実施、保護者支援、教育機関への巡回相談など・特別支援学級/通級指導教室/言葉の教室:教育のアセスメント、教育支援計画作成、校内特別支援コーディネーター業務など・障害者施設/作業所:セラピー、カウンセリング、家族支援など・高齢者施設:カウンセリング、セラピー、心理検査の実施など・企業:企業内相談業務、心理調査など・病院・クリニック(小児科・精神科・診療内科等):患者・保護者へのカウンセリング、患者へのセラピー、心理検査の実施など上記の職種以外に、臨床発達心理士以外の資格を保持しているひとは、職種の幅にも広がりがあります。臨床発達心理士の中には、他の資格や免許も有しながら職務に就いている場合も多いので、純粋に心理職として働いているケースばかりではありません。例えば、家庭裁判所で調査官として仕事をする人、震災時に現場に赴いて支援をする人、研究者として働く人の中にも、臨床発達心理士の資格を生かして仕事をしている人が多くいます。臨床発達心理士の視点を持って、両者の領域で培われた専門性を活かして活動しているのです。しかし、医師免許を有している場合でない限り、臨床発達心理士は医療行為全般(薬を用いた治療や障害かどうかの確定診断をすること)はできません。また医師にかかる場合は、健康保険が適用されますが、臨床心理士に相談する場合は基本的には健康保険が適用されません。参考:一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構[編]わかりやすい資格案内[第3版](金子書房.2017)p89.90臨床発達心理士による発達障害に対するアセスメント出典 : 有効な支援を行うためには、その問題を解決するために情報を集め、それをもとにその人にあった支援の方法を計画していく必要があります。これをアセスメントと言います。ここでは、一つの例として発達障害の支援計画を立てるための代表的なアセスメントについて具体的に説明していきます。◇対象の支援ニーズに関する情報収集聞き取りや観察によって生育歴や育児についての情報や、発達の経過、現在の行動や状況など日常生活に関する情報を集め、支援ニーズを知ることから始まります。これは、保護者や保育者、家族などと共同で行うことが望ましいです。◇対象を取り巻く環境に関する情報収集園や施設に通っている場合は、それらの環境に関する情報を収集する必要があります。また、家庭環境や地域環境についての情報の収集も、支援を考える際に重要になっていきます。これらの情報をもとに問題の暫定的な把握をしたうえで、発達状態の情報を収集します。◇知能検査知能検査ではおもにIQ(知能指数)の値を指標とすることが多いです。従来は、精神年齢と生活年齢をもとにもとめる比例IQを用いることが多かったですが、最近では、同年代の平均との隔たりをもとにもとめる偏差IQが中心になってきています。知能検査を行う目的は認知発達の水準を科学的・客観的に評価することで、その人の得意分野、不得意分野を分析することです。知能検査の結果からわかるその人の得意、不得意分野から療法の方向性を決定するために使われます。代表的な知能検査に以下のようなものがあります。・ウェクスラー式知能検査・田中ビネー知能検査◇発達検査発達検査では日常生活や対人関係などにおける子どもの発達基準を数値で表したDQ(発達指数)を算出します。子どもが成長していくには、発達段階に適したアプローチが必要になります。そのため、発達段階を客観的に知るための手段として発達検査は使われます。ただし、発達指数の値だけで子どもの発達状態を判断をすることはありません。あくまでものさしの一つであり、発達検査から分かる能力のバランスや日常生活の様子などを総合して子どもの発達状態を把握します。代表的な発達検査には以下のようなものがあります。・新版K式発達検査・乳幼児精神発達診断法◇スクリーニング検査発達障害に関するスクリーニング検査は、どの精密検査を行うべきかの判断や潜在的な発達遅れや発達障害の可能性を検査するために行われます。スクリーニング検査は、たくさんある発達障害のうち、その子どもに当てはまる可能性がある障害を絞り込むためのものです。スクリーニング検査には網羅性が重要視されるため、正確性はそれほど高くはありません。仮に検査で陽性が出たとしても精密検査するかどうかの判断基準になるだけで、発達障害であることが確定するわけではないということに注意が必要です。スクリーニング検査は乳児健康診査、1歳6ヶ月健康診査、3歳児健康診査などの場でも活用されています。代表的なスクリーニング検査には以下のようなものがあります。・STRAW・M-チャート・ADHD-RS・LDI-R・PARS◇行動観察臨床発達心理士は言葉をかけた時の子どもの反応や、話し方、質問を正しく理解しているのかなどのさまざまな反応をできるだけ詳細に観察して、子どもの特徴やくせを見つけようとします。日常場面における観察だけでなく、臨床発達心理士が状況設定した場面における観察も行うこともあります。上記の生活情報と発達状態の情報をふまえて、それぞれの特徴にあった支援計画を立てていきます。本人に対する支援や保護者への支援だけでなく、施設との連携体制を確立させたり、担当保育者などへの支援計画を立てたりすることもあります。参考:藤崎 真知代「育児・保育現場での発達とその支援 (シリーズ臨床発達心理学) 」(ミネルヴァ書房.2002)p66-70臨床発達心理士と臨床心理士との違いは?出典 : これまでの説明にあるとおり、「臨床発達心理士」とは、赤ちゃんからお年寄り、子育て中の保護者や障害のある人など、幅広い世代、状況の人たちの発達・成長・加齢に寄り添い、人の健やかな育ちを支援する専門家です。それに対して、「臨床心理士」とは、同じ心理系の民間資格ですが、不登校や二次障害、精神障害などのこころの問題をかかえた人に対する心理療法や、こころの問題を予防するための研究にもとづいて、人のこころにアプローチする専門家です。つまり、得意とする支援対象やケースに違いがあります。しかし、どちらの資格も、医療・教育・保健・福祉分野においては活躍の場が同じこともあり、両方の資格を取得することでより広い視点でより広い職域において活躍することができます。支援を受ける人は、一人ひとりの発達の特徴に寄り添った支援をしてくれる専門家を見つけることが大切になってきます。出典:臨床心理士とは|日本臨床心理士資格認定協会臨床発達心理士と公認心理師出典 : いままでは、心理学系の国家資格はありませんでした。そのため近年、心理学系の国家資格をつくろうとする動きがありました。その結果、公認心理師法という法律が平成27年9月9日に成立して、9月16日に公布されました。公認心理師法は、公認心理師という国家資格を定めるとともに、国民の心の健康を増進させていくことを目的にした法律です。公認心理師法の大部分は公布の日から2年以内に施行されることになっています。厚生労働省によれば、平成29年9月15日までに施行される予定になっています。また、第1回国家試験は、平成30年までに実施する予定と発表されています。公認心理師はさまざまな分野にまたがる領域横断的な汎用性のある資格です。それに対して、臨床発達心理士は、臨床発達心理学・発達臨床支援の専門性を有する資格です。公認心理師の資格取得には以下のいずれかに該当する必要があります。1. 「公認心理師になるために必要な科目」を心理学関係の大学と大学院を出て修了する2. 大学で公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業し、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設で、規定の期間以上心理関係の仕事に従事するまた、公認心理師の職域としては、保健医療、福祉、教育、司法・法務・警察、産業・労働の5領域があげられています。この資格は、医師免許や法曹資格同様に、国家試験に合格し一度取得してしまえば終身その身分が保障されるという考えも多く、臨床発達心理士をはじめとした心理系の取得と併せて資格を取得する人が多くなることが予想されています。参考:公認心理師について|厚生労働省参考:一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構[編]わかりやすい資格案内[第3版](金子書房.2017)p10-15まとめ出典 : 臨床発達心理士とは、人の発達・成長・加齢に寄り添い、発達心理学などの専門的な知識を生かして幅広い年代、状況の人たちの健やかな育ちを支援する専門家です。発達支援を必要としている方の困りごとにあった相談先や、サポートを受けられる場の選択肢のひとつとして、臨床発達心理士があるということを知っていただき、よりよい支援を受けられるきっかけになれば幸いです。また、資格制度の変更があったり、新しく公認心理師という国家資格が認定されたりと、手続きや選択が複雑に感じられますが、だからこそ今後より一層発達領域の専門資格として、臨床発達心理士の技能がとても重要な役割を担います。発達支援の仕事をしたいと考えている方が、その専門性の高さを活かしてご活躍されることを願います。
2017年07月12日ムスメちゃんとオコメちゃん
猫の手貸して~育児絵日記~
うちはモフモフ暮らし