離婚すれば夫婦は他人になります。結婚している間は夫婦が共同で財産を築いたり子供の世話をしたりするものですが、離婚するとそうはいきません。離婚のときには、お金や今後のことについて夫婦間で取り決めをしておく必要があります。今回は、離婚時に取り決めする条件について説明しますので、参考にしてください。離婚の条件を決めないと離婚は成立しない?離婚の条件を詳細に決めなくても、離婚自体は可能です。しかし、後日トラブルになってしまうことがあります。離婚の条件とは?離婚のときに取り決めする条件としては、次のような事項があります。親権養育費面会交流財産分与慰謝料年金分割親権、養育費、面会交流は子供がいる場合に必ず決めなければならない条件です。財産分与、慰謝料、年金分割については、必要があれば取り決めしなければなりません。離婚届を出すだけで離婚はできる離婚を希望する場合、夫と妻の両方が署名捺印した離婚届を役所に提出するだけで、協議離婚という形で離婚ができます。離婚届には夫婦のどちらが親権者になるかを記載する欄はありますが、その他の条件については記載の必要はありません。子供がいる夫婦は親権者を決めなければ離婚できませんが、その他の条件については特に決めなくても離婚は成立します。とにかく離婚さえできればいいと条件を話し合わないまま離婚届を出してしまう人もいますが、離婚するなら条件面をしっかり取り決めしておくべきです。離婚の条件を決めておかないと後でトラブルになりがち条件を話し合っていないと、離婚後に「あのお金はどうなったのか?」などとトラブルになってしまう可能性があります。子供がいる場合には、「養育費を払って」「子供に会わせろ」といったことでも揉めてしまいがちです。離婚後もその都度話し合いができればまだ良いですが、お金については時効があるものもあるので注意が必要です。離婚する時点で、条件を取り決めしておきましょう。離婚の条件の決め方は?離婚の条件の決め方は、協議離婚と調停離婚で違います。協議離婚の場合には話し合いで協議離婚をするときには、夫婦の話し合いで離婚の条件を自由に決めることができます。相手の言いなりになって不利な条件を飲んでしまわないよう、自分の権利はきちんと主張しましょう。どんな条件が適切かがよくわからない場合には、弁護士などに相談するのがおすすめです。自分で話をしづらい場合には、弁護士に依頼して協議を代行してもらう方法もあります。離婚調停になったら裁判所で離婚調停で離婚するときには、条件についても裁判所で決めてくれます。裁判所では、夫婦が公平になるよう条件を調整してくれます。調停で提示された条件に納得しなければ応じる必要はありません。ただし、妥当な条件であるにもかかわらず拒否し続けると、調停不成立になって離婚自体ができなくなることがあります。離婚の条件は書類に残しておく調停離婚の場合には、裁判所で離婚の条件を調停調書にしてくれます。一方、協議離婚の場合には、離婚の条件が書面に残りません。後日のトラブルを防ぐために、離婚協議書を作成しておきましょう。離婚協議書は公正証書に慰謝料などお金の支払いについては、誓約書を書いてもらおうと考えている人もいると思います。通常の書面では相手が任意に払ってくれない場合に、裁判を起こさないと強制執行ができません。離婚時に公正証書を作成しておけば、裁判を経ずに給与差押などができます。養育費の支払いがある場合にも、支払期間が長期間になってしまうので、公正証書を作成しておきましょう。子供がいる場合に決めておくべき親権・養育費・面会交流離婚するときにまだ未成年の子供がいる場合には、親権、養育費、面会交流について取り決めが必要です。[adsense_middle]親権を決める時の注意事項親権とは未成年の子供について行使できる親としての権限です。監護養育、財産管理、法律行為(契約など)の代理などが該当します。婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は単独親権となるため、父母のどちらが親権者になるかを決めなければなりません。離婚時には話し合いで親権者を決めることができますが、離婚後に親権者を変更したい場合には裁判所を通す必要があります。離婚時に納得できる形で決めておきましょう。養育費は算定表を参考に必要な額を請求養育費については、一般に裁判所の養育費算定表を参考に金額を決めます。と言っても、必要な金額は各家庭の事情によって異なるはずです。算定表の金額にこだわらず、何にいくら必要かを見積もって、夫婦でどう分担するかを話し合いましょう。離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子供が成人するまでは養育費の請求が可能です。しかし、相手と連絡が取りにくくなってしまうこともあるので、離婚時にきちんと決めておきましょう。面会交流はできるだけ柔軟な形で面会交流については、頻度や面会の方法、費用の負担などを決めておきます。子供を頻繁に会わせられない事情がある場合には、写真を送ることなどを決めておきましょう。子供が小さいと、急な病気で予定通り面会ができないこともあると思います。回数などを細かく決めてしまうとかえって揉めることになってしまいがちです。面会については、ある程度柔軟な形で決めておくのがおすすめです。夫婦の財産があれば財産分与をする財産分与とは、結婚している間に夫婦共同で築いた財産を、夫と妻それぞれの財産に分けることです。財産分与の割合は夫も妻も2分の1財産分与の割合は、原則として夫も妻も2分の1ずつです。婚姻中に形成された財産であれば、名義にかかわらず半分ずつになるよう分けてかまいません。専業主婦でも財産の半分をもらうことができます。後日支払いの場合には公正証書にする現金や預金は今あるものを分けるだけで済みますが、家の価値を精算する場合や将来受け取る退職金を分ける場合などは、手元に現金がなく、支払いが離婚後になることもあるでしょう。支払いが先になる場合には、支払日と支払方法を決めて公正証書にしておくのがおすすめです。財産分与は2年以内しかできない離婚時に財産分与の取り決めをしなかった場合、離婚後も2年以内なら請求が可能です。2年を経過してしまうと請求が困難になってしまうので請求のし忘れがないように気を付けましょう。慰謝料は離婚の理由によって発生する慰謝料は離婚のときに必ず払わなければならないようなものではありません。慰謝料が発生するケースでは、取り決めしておいた方が良いでしょう。[adsense_middle]法律上の離婚原因を作った側が支払う離婚になったことについて一方に法的な責任がある場合、他方は慰謝料を請求することができます。たとえば、夫の浮気が原因で離婚になった場合には、妻は夫から慰謝料を受け取れます。協議離婚する場合には、慰謝料の取り決めも当事者間で自由です。必ずしも支払義務がないようなケースでも、解決金という意味で一方が慰謝料を払うこともあります。慰謝料の金額はいくら?慰謝料の金額についても、夫婦の話し合いで自由に決められます。参考までに、離婚慰謝料の相場は200~300万円です。一般的な相場と比べてあまりにも高すぎる慰謝料を受け取ると、贈与税が課税されるリスクがあります。裁判になった場合には、慰謝料の金額は様々な要素によって変わります。慰謝料としていくら請求したらよいかわからない場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。慰謝料には時効がある慰謝料請求権には時効があり、離婚後3年以内でないと請求できません。慰謝料を分割払いしてもらうこともできますが、取り決め自体は離婚後3年以内にしておく必要があります。年金分割は夫婦間の取り決めだけではできない専業主婦やパートだった人は、老後の年金が少なくなってしまいます。離婚時には年金分割についても取り決めしておきましょう。年金分割とはどんな制度?年金分割は、結婚していた期間中の厚生年金保険料納付記録を離婚時に夫婦で分け合える制度です。たとえば、ずっと専業主婦だった人の場合、厚生年金保険料を納付していないので、老後にもらえる年金がかなり少なくなってしまいます。夫の分の保険料納付記録を分けてもらうことで、老後の年金を増やせます。年金分割には、次の2つの方法があります。年金事務所での手続きが必要年金分割をする場合には、年金事務所での手続きが必要です。合意分割をする場合には夫婦の合意が必要ですが、夫婦が合意した離婚協議書や公正証書を残しておくだけでは年金分割されません。老後の年金は、日本年金機構にある標準報酬のデータにもとづき算定されます。年金分割の合意をしたら、離婚後に年金事務所でそのことを証明し、標準報酬のデータを変更してもらう必要があります。年金分割の期限は2年年金事務所での年金分割の手続き(標準報酬改定請求)は離婚後2年以内でないとできません。また、離婚後2年以内であっても、相手が死亡して1か月経てばできなくなってしまいます。年金分割をする場合には、離婚後速やかに年金事務所に行って手続きをしておきましょう。条件の有利・不利にこだわりすぎず、WinWinな離婚を目指そう離婚の際には、夫婦間で条件を話し合わなければなりません。自分ばかりが有利になるように考えていると、相手の納得を得られず、離婚までが長引いてしまいます。不利な条件に妥協する必要はありませんが、相手の立場も考え、お互いにとって良い形の円満離婚を目指しましょう。
2020年03月11日離婚する前と離婚する後とでは、お金の事情が変わってきます。離婚するときに夫婦で話し合うことも、お金のことがメインになるはずです。今回は、離婚時にもらえるお金やかかるお金についてまとめています。もらえるお金を増やしたり、かかるお金を減らしたりするポイントについても説明していますので参考にしてください。離婚するときに相手からもらえるお金は?離婚するときには、財産分与や慰謝料など、相手に請求できるお金があります。財産分与では妻も半分をもらえる離婚するときには、夫婦が婚姻中に築いた財産を分けることになります。財産分与の割合は、原則として夫も妻も2分の1ずつです。たとえば、結婚してから夫名義で貯金していた場合でも、その半分を妻は分けてもらうことができます。将来の退職金も分けてもらえる退職金というのは、その職場に勤務していた期間の給料の一部が退職時にまとめて支払われるものと考えられています。夫が将来受け取る退職金には婚姻期間中の給料分が含まれているので、妻にはそのうちの2分の1を分けてもらう権利があります。夫がもらう退職金の半分をもらえるというわけではなく、婚姻期間に相当する部分の2分の1です。わかりやすくするために簡略化した例になりますが、勤務期間が25~65歳の40年間婚姻期間が35歳~55歳の20年間夫が定年退職時に1,000万円の退職金をもらうというケースで考えてみましょう。この例では、会社に勤務していた40年のうち20年が婚姻期間です。この場合には、退職金の20/40=1/2、すなわち1,000万円の1/2である500万円が婚姻中に夫婦が築いた財産ということになり、財産分与の対象になります。妻は夫に対し、将来の退職金の財産分与として、500万円の1/2である250万円を請求できます。なお、退職までにかなりの期間がある場合には、将来の退職金の分与を請求できないことがあります。大まかな目安として、退職まで10年以内なら請求可能と考えてかまいません。慰謝料をもらえるケースとは?離婚時に慰謝料の受け渡しをするのは、原則として一方が法律上の原因を作って離婚に至ったケースになります。浮気で離婚したら慰謝料請求できる離婚で実際に慰謝料が払われているケースのほとんどは、不貞行為があったケースです。たとえば、夫の浮気を理由に離婚に至った場合には、妻は夫に慰謝料を請求できます。理由なく一方的に離婚を要求された場合にも慰謝料請求できる?離婚原因がないのに、一方的に離婚を要求されることもあると思います。このような場合には、慰謝料について考える以前に離婚に応じる必要がありません。実際には、相手の離婚要求に応じざるを得ないようなケースもあると思います。話し合いで協議離婚する場合には、相手に浮気などの離婚原因がない場合でも、婚姻を一方的に破棄されたことについて慰謝料を払ってもらう形で解決するケースが多くなっています。慰謝料の相場は?慰謝料の金額は一概には言えませんが、離婚慰謝料の相場は200~300万円です。協議離婚の場合には、お互いが納得していればいくらに決めてもかまいません。相場を参考に200万円程度で合意している人が多くなっています。ただし、慰謝料として一般的な感覚から考えて高すぎる場合、贈与税が課税されてしまうリスクもあります。慰謝料の金額について迷っている場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。年金分割はどうなる?年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金保険料納付記録を離婚時に夫婦で分ける制度です。夫の方の収入が多い場合には、年金分割をすることで妻の年金が増えるケースが多くなります。たとえば、婚姻期間中専業主婦だった妻は厚生年金保険料を納めていないので、将来の年金が少なくなってしまいます。保険料納付記録を分割してもらうことで、年金受取額を増やすことができます。年金分割の手続きをした場合には、将来の年金受取額が増えることになり、離婚時点でお金がもらえるわけではありません。新生活の準備にかかる費用離婚後の新生活の準備費用についても考慮しておきましょう。[adsense_middle]賃貸住宅には初期費用がかかる離婚後、今の家に住み続ける人や実家に帰る人以外では、賃貸住宅を借りる人が多いと思います。賃貸住宅の契約をするときには、まとまった費用がかかります。初期費用とはどんなもの?相場は?契約時に必要になるのは、家主さんに支払う敷金・礼金や前払い家賃、不動産会社に支払う仲介手数料、家賃保証を利用する場合の保証料などです。地域によっても変わってきますが、これらを合わせると30~50万円程度になることが多くなっています。引っ越し費用はどれくらい必要?よほど荷物が少ない場合を除き、引っ越しをするときには引っ越し業者に頼むことになるでしょう。引っ越し業者の費用は荷物の量によっても変わってきますし、業者や時期によってもばらつきがありますが、一般には5~10万円程度です。離婚手続きにかかる費用離婚の際には様々な手続きが必要になり、費用がかかるものもあります。専門家への相談費用離婚について役所などの無料相談を利用して相談する方法もありますが、無料相談で教えてもらえることは限られています。弁護士や離婚カウンセラーに相談すれば、個別の事情を汲み取った上での具体的なアドバイスを受けられます。離婚にまつわるお金のことについては、FPに相談することも可能です。専門家に相談する場合には、30分5,000円程度の相談料がかかります。初回30分程度は無料になることもあるので問い合わせてみましょう。離婚協議書・公正証書作成費用離婚届を提出するだけで成立する協議離婚では、夫婦間で取り決めした内容が書面に残りません。将来のトラブルを防止するためには、取り決めした内容を離婚協議書として書面にしておくことが重要です。なお、離婚協議書を公正証書にしておけば証拠としての効力が強くなり、お金の支払いに関しては強制執行も可能になります。公正証書を作成するためには、公証役場での手続きが必要です。離婚協議書を自分で作成すれば費用はかかりませんが、公正証書にすれば公証役場での公正証書作成費用として5~10万円程度がかかります。離婚協議書・公正証書作成を弁護士や行政書士に依頼した場合には、別途3~10万円程度の報酬を払う必要があります。離婚調停にかかる費用夫婦間の話し合いで協議離婚するのが難しい場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。この場合には、申立手数料として1,200円、1,000円程度の郵便切手代がかかります。離婚調停は自分ですることもできますが、弁護士に依頼することも可能です。弁護士に頼む場合には、報酬として40~60万円程度がかかります。家の名義変更の登記費用離婚の際の財産分与で家の名義を変える場合には、法務局で登記手続きをするために、登録免許税と司法書士報酬が必要になります。財産分与の登録免許税は、物件の固定資産評価額の2%です。たとえば、固定資産評価額が1,000万円の家の名義を変えるときには、20万円の登録免許税がかかることになります。司法書士報酬は依頼する司法書士によって変わりますが、相場としては5~6万円です。離婚後にもらえるお金離婚後の生活設計を考えるために、離婚後にもらえるお金についても把握しておきましょう。[adsense_middle]夫からもらえる養育費子供がいる場合には、離婚した後に別れた夫から養育費をもらうことになります。養育費の金額は離婚時に夫婦間で取り決めしておくべきですが、取り決めしていない場合でも請求は可能です。養育費の相場は?養育費については、裁判所で用意されている算定表を参考に、必要な分をしっかり請求するようにしましょう。子供がいる場合にもらえる公的な手当子供がいる場合には、次のような公的な手当を受給できることがあります。児童手当中学3年までの子供がいる家庭に支給される手当で、金額は子供1人につき月額1万円または1万5,000円(※年齢等によって変わる)です。所得制限は高めに設定されているので、離婚後はほとんどの人が受給できます。離婚前に夫が受給していた場合、離婚後妻が子供を引き取るなら妻に受給者を変更する手続きが必要です。児童扶養手当高校3年(18歳)までの子供がいるひとり親家庭に支給される手当で、前年度の所得によって支給額が変わります。所得が多い場合には、支給の対象にならないこともあります。児童育成手当東京都独自の制度で、高校3年(18歳)までの子供がいるひとり親家庭に、子供1人につき月額1万3,500円が支給されます。所得制限はありますが、児童扶養手当よりも高く設定されています。離婚後の生活費が必要な場合には?離婚後、元夫には子供の生活費として養育費を請求できますが、自分の生活費は請求できません。ただし、小さい子供がいる・病気であるなど、離婚後すぐに働けないような事情がある場合には、離婚後も当面の間の生活費を払ってもらう取り決めもできます。これは扶養的財産分与と呼ばれる方法です。扶養的財産分与として生活費を払ってもらえるのは、離婚後3年程度です。離婚でもらえるお金を増やし、かかる費用を抑えるポイント離婚するときには、もらえるお金をできるだけ増やし、かかる費用を抑えたいと思うはずです。離婚の際のお金のことで気を付けておきたい点はどんなことでしょうか?離婚でもらえるお金を増やすには?離婚に関してもらえるお金には、離婚した相手からもらうお金と、手当として行政から支給されるお金があります。相手からもらえるお金を増やす方法まずは自分がどれだけのお金をもらえる権利があるのかを把握し、相手としっかり話し合うことが大切です。話し合いが難しい場合には、離婚調停を申し立てれば家庭裁判所で調整を行ってもらえます。手当をもらう手続きは速やかに手当については手続きを忘れないようにしましょう。手続きが遅れると手当の支給開始も遅れてしまい、その分もらえるお金が少なくなってしまいます。養育費は保証制度も活用離婚後の養育費の支払いを確保するために、最近注目されているのが養育費保証制度です。これは、取り決めした養育費が支払われなかった場合に保証会社が立て替えてくれるというもので、相手への督促や差押え手続きも保証会社の方に任せられます。養育費保証を利用するには保証料が必要になりますが、養育費保証の保証料について補助金が出る自治体もあります(2020年2月現在、兵庫県明石市、大阪府大阪市、滋賀県湖南市。東京都及び大阪府全域でも開始予定)。離婚でかかる費用を抑えるには?離婚でお金がかかるのは、住居費や専門家の費用がメインになります。住居費は公営住宅や家賃補助を活用して節約住居費を抑えるためには、市営住宅や県営住宅などの公営住宅を利用するのがおすすめです。また、ひとり親家庭向けの家賃補助や住宅手当がある地域もあるので、こうした制度が利用できる地域に住む方法もあります。弁護士費用が不安な場合には?離婚について相手と争っているけれど弁護士を付けるお金がない場合、自分で離婚調停を申し立てれば費用をほとんどかけることなく、家庭裁判所で解決できます。弁護士が必要な場合には、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談や費用立て替え制度を利用すると良いでしょう。公正証書作成の補助金がある自治体も養育費支払いに関する公正証書作成については、補助金が出る自治体もあります(2020年2月現在では、大阪府大阪市、滋賀県湖南市)。一時的に費用がかかっても公正証書を作成しておいた方が、養育費を確保できる可能性が高くなるのでよく検討しましょう。離婚にまつわるお金に関するまとめ離婚を考えたときには、どれくらいのお金をもらえるのか、かかる費用はどれくらいなのかを見積もっておきましょう。子供のいる女性の場合は特に、離婚後の生活設計をしっかりしておくことが重要です。焦って離婚をするのではなく、離婚後の自分の収入や養育費の目途を立ててから離婚するようにしましょう。
2020年03月01日今回の解説は住宅ローンですが、もしも離婚した時にどうなるのかという事についてです。現在日本人の2割に当たる方が離婚を経験するそうです。その時に自宅を購入していたらローンはどの様に処理すればいいのか、解決しなければならない事案ですね。様々な契約形態別に解説しますので、もしもの際は本記事を思い出して頂ければと思います。離婚する事になった!支払いは?まずはローン名義の確認をもしも離婚する事になったらどうなるでしょう。同じ家に住み続ける事は、ほぼ難しい状況になるかと思います。また家や土地を切り分けて、こっちは夫、こっちは妻と出来ません。この様に離婚した時に、まず確認しておくのはローン名義が誰になっているのかという事を把握する必要があります。名義は誰?夫?妻?ローン契約のパターンは?離婚してしまうと、それぞれが別の生活を歩むことになりますが、ここで住宅ローンの支払いという壁に当たります。一体誰の名義で借入をしているのか、誰が支払いの義務を負うのかという事を明らかにしておかなければ後々トラブルになりますので、一旦契約名義をしっかりと確認しておきましょう。一般的なパターンは下記の通りになるかと思います。パターン①夫が主債務者、妻は何も無し(保証会社による保証を受けている)パターン②夫が主債務者、妻は連帯保証人パターン③夫婦共に連帯債務者上記のパターン毎に想定されるケースを解説していきましょう。パターン①の場合この契約形態であれば、夫1人のローン名義なので支払いの義務は夫にあります。例えば離婚し、夫がそのまま家に住み続ける場合、ローンを払い続ける方法で問題は解決しますね。この時、気を付けるポイントとしては、離婚協議の上で、妻が家に住む事になった場合です。住宅ローンの名義は夫のままで、妻が家にいる状態ですと、もしも夫が支払いを滞ってしまったら、最悪の場合家が競売にかけられる事になります。妻には支払いの義務が無いので、夫に支払ってくれと言っても、もし支払いが出来ない・しない等に直面したら生活が一変してしまいます。この様な場合は注意が必要になりますので、しっかりと話し合いをしておく事が非常に重要です。ローン名義の変更は出来るの?ここで、住宅ローンの契約名義変更について解説しておきます。住宅ローンの名義変更はほぼ出来ないと言えます。理由は、融資をする際に、本人の資力を審査して貸し付けを行いますが、名義人が変わるということは、名義人の資力が変わるという事になります。サラリーマンだった夫に対して融資はできたけど、パートの妻に同じ金額で融資はできませんよね。但し、妻の年収などが夫と等しい、若しくはそれ以上あるという場合は認められる可能性もあります。金融機関によって出来る、出来ないなどの社内規定が存在しますので、一概に言えませんが、名義変更が出来そうな場合は金融機関に事前に相談しておきましょう。パターン②の場合このケースでは連帯保証人として妻の名前が入っています。ここで、連帯保証人を解説しておきますね。連帯保証人とは借主と同等の債務を負う人の事です。通常は借主に返済の義務が生じますが、もし、借主の返済が滞ったら、連帯保証人が同じ返済金額を支払わなければなりません。この時、借主に請求して下さいという事は通用しないので返済放棄する事もできません。住宅ローンを組む際に、保証会社でなく連帯保証人を求めてくるケースもあります。融資の際は連帯保証人としてサインは出来ますが、実際離婚するとなった場合は連帯保証人を外す事はできません。出来ないというより、別の連帯保証人を付けてくれと、金融機関からは言われる可能性が非常に高いと思われます。理由として、主債務者の返済能力だけでは債権を保全する事が難しい為、もしもの際の連帯保証人という考え方です。金融機関としては必ず返済頂きたいと考えますので、「じゃあ連帯保証人外しましょうかね」とはなりません。どうしても外れたい、外したいのであれば別の方を立てる必要がでてきますので、この点も注意は必要になります。パターン③の場合このケースは先程の連帯保証人と違って、夫婦共に連帯債務者となっています。先に連帯債務者について解説しておきますね。連帯債務者とは、夫婦それぞれが、独立して1つのローンを組む事です。例えば借入額4,000万円を希望した場合、夫が2,500万円、妻が1,500万円でそれぞれ住宅ローンを組み、4,000万円を借りる方法です。尚、それぞれが支払い日に支払う事になり、連帯保証人とは異なる事を憶えておいて下さい。もし連帯債務者で住宅ローンを組み、離婚するとなった場合は、ローン名義はそれぞれにありますので、離婚しても、家に住めなくなってもローンはそのまま残る事になります。このケースは一番問題が多く、例えば妻がそのまま家に住み、夫は離れるとします。ローン名義はそれぞれですので、家に住んでいる妻は当然支払いますが、家にいない夫は支払いの義務だけが残り、別の生活になります。この時パターン①と同様に夫の支払いが滞った場合、どうなるでしょう。金融機関としては夫に対し請求をする事になりますが、ローン名義は夫であっても土地や建物に名義分の担保設定がされていますので、最悪差押え等のケースに発展しかねません。離婚する際に協議等重ねるかと思います。住む事を主張するのも大事ですが、支払いの点は綿密に話し合いをしておいた方が良いでしょう。離婚する際の住宅ローン名義の注意点離婚をする事により、意外な所で問題が発生するのがこの住宅ローンです。先程のパターン別解説にも書きましたが、連帯保証人を外す事は難しいですし、名義変更は原則不可であると考えておいた方が良いですね。そして、他の注意点として、次の様なケースが挙げられます。「養育費を貰わない代わりに家を貰った」という事です。この場合ローンの名義云々以前に養育費という名目で支払いの所在が少しあやふやになります。ローン名義は誰のものになっているのかをしっかり確認する事は大事ですが、ローンの支払いが滞ってしまえば家には住む事は不可能になりますので、この点は注意しておきましょう。また離婚協議した際に公正証書等を作成し、支払いの件や養育費の件を残す事があります。ここからは私の個人的な見解を書いておきますので、参考にして頂ければと思います。[adsense_middle]FP田中の個人的な見解もし離婚し、公正証書に話し合いの結果を残すとします。ローン返済も同じように記録します。しかし、支払いが困難になった時、いくら公正証書があったとしても返済は出来ません。どういう事かと言うと、別れても資力、財力があれば公正証書は有効に使えますが、もし、大病し支払えなくなった、仕事をリストラされた、など考えすぎなのかもしれませんが、その場合、公正証書があっても支払いの義務はありますが、現実に支払えないという事です。実はこの話、過去に一度だけ相談があったクライアントさんの事例なんです。ご相談に来たのは元奥様で、パターン①で養育費の代りに家を貰う約束だったそうです。しかし、元夫は支払いが出来なくなり、どうしたものかという相談でした。この様な結果になってしまった方もいらっしゃいますので、話し合いも慎重に慎重を重ねる事が良いのかもしれませんね。名義に関するまとめここまでは住宅ローン名義のパターン別解説を行ってきました。名義によっては手続き出来る事、出来ない事がある事がお分かり頂けたと思います。また離婚する事によって、全ての事がスムーズにいかない事もあるという過去のお話をさせて頂きました。しっかりリスク想定しておく事が重要ですね。持ち家、マンションを売却する方法ここからの解説は、家を残すのではなく、売却し円満に解決する方法についてです。先程までの解説はローン名義が誰なのか?という点で解説しました。また家をそのまま残す前提の解説になります。ここからは売却し、お金に換えられるのであればという話ですので、最後までお付き合い下さいね。[adsense_middle]財産分与で残りのローンを返済財産分与って皆さんは聞いた事はありますか?何だか、誰か亡くなった時に行うイメージがあるのではないでしょうか?相続みたいなイメージがありそうですが、ここで財産分与について補足しておきたいと思います。財産分与とは財産分与とは、結婚して夫婦で生活している期間に、夫婦で協力して築き上げてきた財産をそれぞれの貢献度によって分けましょうという制度の事を言います。貢献度と言っても、一般的には2分の1ずつに分ける事が多く、分ける事の出来る財産は下記の通りです。預貯金生命保険の解約金車両不動産、家財道具退職金有価証券etc.車両や住宅、預貯金等はどちらか一方の名義ですが、離婚する際は共同で築き上げた事とされる為、しっかりと2分の1になります。また結婚前に保有していたものに関しては財産分与の対象財産から外れますので、管理はしっかりとしておきましょう。財産分与でどうやって返済するの?財産分与で返済する方法、手順を解説します。但し、必ず売却できるものではありませんので、注意点も含め話を進めていきますね。手順①住宅の価格を調査しましょうまず、今住んでいる家の価値を知る事からスタートします。家を売却したら、いくらになるのか査定をしてもらいましょう。この時、所有の名義やローンは誰の名義等分かっておけば、後々の話もしやすくなりますので、合わせて確認しておきましょう。手順②価格が分かったら今の残債と比較先程の手順で価格の査定が終わったら、今の住宅ローン残高と比較してみましょう。借入の金利水準が高いと、残高が減っていない可能性もありますので、ローンの償還表や金融機関に残高照会をかけるのも良いかもしれません。手順③売却価格と比較の結果で取るべき道に進む手順②で比較の結果次の2通りになるかと思います。A:売却価格の方が残高よりも高い(つまり儲かる)B:売却価格よりも残高の方が高い(売ってもローンが残る)参考までに、Aの場合を「アンダーローン」と言い、Bを「オーバーローン」と言います。返済が可能なのはアンダーローンの場合のみ先程の手順で進めた場合、アンダーローンになったとします。この場合は売却しても利益が発生する事になりますので、残った利益を財産分与で2分の1にする事で、高額なローンが残る事もありません。この時注意としては、戸建てかマンションでは売却の価格が異なりますので補足します。通常戸建ては郊外に建つ事が多く、マンションは駅や都心に近い場所に建ちます。売れ筋として高く売れるのはマンションになります(売却のタイミングや居住年数にもよります)。駅の近く、都心ではあらゆるアクセスが簡単で利便性がかなり高い為、高額で売れる事もあります。また買い手も見つかり易い為、将来売却を考えている方はマンションなど一つの選択肢かもしれませんね。戸建ての場合は売却と言っても、ある程度新築であれば買い手も見つかるかもしれませんが、劣化が早い為、住宅そのものが傷みやすい点もありますので気を付けておいて下さい。この様にアンダーローンで売却できれば、住宅ローンの名義が誰であってもお金の心配をする事はなくなりますので、一安心できそうですね。オーバーローンだったらどうするの?もしもオーバーローンであれば売却は難しいでしょう。むしろローンの残高を残したままになりますので、残高次第といったところでしょう。但し、どうしても売却したいという事であれば、この場合専門性のある弁護士に依頼し任意売却という方法で売却する事も可能です。また他の方法として、オーバーローンである事が分かった場合、賃貸物件として貸し出す事も有る様です。この時、借り手がいた場合、賃料が発生しますよね。この賃料を2分の1ずつ双方が受け取るといった事例もありますので、もしもローン名義が双方の場合で残高が少ないなどであれば考慮してみるのも良いでしょう。しかし、借り手がいなくなった時がリスクになりますので、残高の確認は必須です。離婚時の住宅ローンに関するまとめ今回の記事は離婚に直面した場合の住宅ローンについてでした。原因は色々ありますが、お金のトラブルは誰もが極力避けたいところですよね。もしも自分がそうなった時に、自分の身は自分で守るしかありませんので、今回の記事が知識として役立てば幸いです。
2020年02月08日相続財産管理人は、相続する人がいない財産を管理します。あまり聞き慣れない言葉ですが、どんなときに関与することになり、どんな仕事をするのでしょうか?本記事では、相続財産管理人を置くべきパターンや就任までの大まかな流れを説明します。相続財産管理人って誰?どんな制度?相続があっても、相続財産管理人が必ず置かれるわけではありません。相続財産管理人が関与するのは、比較的特殊なケースです。相続人がいない・全員放棄の財産を管理する相続財産管理人が関与するのは、相続人が1人もいないか、相続人全員が相続放棄して財産を引き継ぐ人がいない場合で、必要性がある場合にのみ選任してもらえます。死亡した人が土地や建物、預貯金などの財産を持っていないなら、相続手続き自体必要ないので選任も不要です。誰がなる?申立時には候補者を推薦できますが、候補者が選ばれるとは限りません。家庭裁判所の名簿に掲載されている弁護士などの専門家が選ばれるのが一般的です。相続財産管理人を置くべきケース相続財産管理人が必要な場合としては、次のようなパターンが考えられます。(1) 特別縁故者が存在同一生計だった人や療養看護に努めた人など、特別の間柄だった人(特別縁故者)がいる場合です。特別縁故者が財産分与請求の申立をすれば、遺産の一部や全部をもらえる可能性がありますが、この請求の前提として相続財産管理人が必要です。(2) 借金を残している死亡した人が誰かからお金を借りていたら、お金を貸した人(債権者)は遺産から返済を受ける権利があります。もし相続人が1人もいなければ、債権者は「お金を返してくれ」と言う相手がいません。このような場合、相続財産管理人が付けば、遺産から返済してもらえます。(3) 全員が相続放棄した相続放棄した人も、新たに相続人になった人が遺産を管理可能になるまでは、遺産の管理を継続しなければなりません。すべての相続人が相続放棄した場合には管理義務を逃れられないので、負担をなくすためには相続財産管理人を選任してもらう必要があります。(4) 国や地方公共団体による用地買収死亡した人の土地を引き継ぐ人がおらずそのままになっているとき、国や地方公共団体が用地買収のために相続財産管理人選任を申し立てることもあります。役割と権限相続財産管理人の主な役割は、死亡した人の財産の清算です。たとえば、借金の支払いをしたり、預金の払い戻しをしたりします。清算完了後、残った財産は国のものになるので、これを国庫に帰属させる手続きも行います。どんなことができる?相続財産管理人は、自らの判断で保存行為(財産の現状を維持する行為)や管理行為(物の性質を変えない範囲で利用・改良する行為)を行う権限を持ちます。一方、処分行為を行う場合には権限外行為となり、裁判所の許可を受けなければなりません(※下表参照)。申立件数は増加している下のグラフは、平成21年から平成30年までの10年間に新規で受け付けられた相続財産管理人事件数です。グラフを見てわかるとおり、近年事件数は右肩上がりで増えています。亡くなるときに家族や親戚がいない人が増えていることが考えられ、この傾向は今後続くものと思われます。相続財産管理人選任申立方法は?おひとりさまの残した土地や建物、預貯金などがそのままになっている場合には、利害関係人などが申し立てれば、相続財産管理人を選任してもらえます。就任までの流れと必要書類を知っておきましょう。[adsense_middle]就任までの流れ相続財産管理人が就任するまでの流れは、大まかには次のとおりです。1. 申立書を提出死亡した人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書と必要書類を出します。2. 審理出された書類にもとづき、申立を認めるか却下するかの審理が行われます。3. 審判審理の結果、相続財産管理人を置くべきとなったときには、裁判所が適当な人物を選び、審判を出します。4. 公告相続財産管理人が選任されたら、裁判所は遅滞なくこれを公告するものとされています。準備すべき書類次のような書類を揃えて提出します。家事審判申立書戸籍謄本相続放棄申述受理証明書住民票除票(または戸籍附票)遺産に関する資料候補者の住民票等家事審判申立書裁判所のホームページにあるものをダウンロード・印刷して記入します。財産目録も添付します。戸籍謄本死亡した人の出生から死亡までのもののほか、相続人がいないことがわかる戸籍・除籍・改製原戸籍謄本すべてが必要になります。なお、法定相続証明制度を利用し、法定相続情報一覧図の写しを提出してもかまいません。法定相続情報証明制度とは、あらかじめ戸籍謄本の束を法務局に提出しておき、法務局で交付を受けた法定相続情報一覧図を提出する方法です。相続放棄申述受理証明書相続放棄により相続人がゼロになったケースでは、相続放棄申述受理証明書を添付します。住民票除票(または戸籍附票)死亡した人の最後の住所を証明するものが必要です。住民票はマイナンバーの記載のないものを提出します。遺産に関する資料遺産としてどんなものがあるのかがわかる資料が必要です。不動産がある場合には登記事項証明書及び固定資産評価証明書、預貯金がある場合には残高証明書等を添付します。候補者の住民票等候補者を指定する場合には、候補者の住所がわかるものを出します。住民票はマイナンバーの記載がないものが必要です。申立は自分でできる?申立の際には、戸籍謄本の収集に労力がかかります。第3順位までの相続人が1人もいないということを証明するためには、かなりの数の戸籍が必要になることがあります。忙しくて時間がない場合や手続きに自信がない場合には、弁護士や司法書士に依頼するとよいでしょう。相続財産管理人選任にかかる費用は?相続財産管理人の選任手続きには費用がかかります。実際に申立をする場合には、費用を上回るメリットがあるかどうかを検討しましょう。申立時の印紙代や切手代は?相続財産管理人選任事件で必要な収入印紙は800円分、切手は裁判所によって異なりますが数千円程度です。さらに、選任後は官報公告が行われるので、公告料金4,230円も納める必要があります。予納金も必要。相場はどれくらい?申立の際の印紙や切手はそれほど高額ではありません。しかし、相続財産管理人の報酬に充てる予納金も納める必要があり、これが高額です。金額は事案によって異なりますが、数十万円から100万円程度になります。相続財産管理人の報酬は相続財産から支払われべきものなので、清算後余剰があれば予納金は戻ってきますが、財産状況によっては戻ってこないこともあります。お金をかけても手続きするメリットがあるかを考えてから申立しましょう。おひとりさまは遺言を書いておく相続財産管理人選任の手続きは、面倒な上に費用がかかります。自分が死んだ後財産を引き継ぐ人がいないおひとりさまは、遺言を書いておくと、周囲の人に迷惑をかけずに済みます。遺言を書くときには、自筆証書遺言や公正証書遺言の形にし、法律的に無効にならないようにしておきましょう。相続財産管理人に関するまとめ身近で身寄りがない人が残した財産があり、自分に利害関係があれば、相続財産管理人の選任申立てを検討してみましょう。もし自分が特別縁故者の立場なら、財産を受け取れる可能性もあります。ただし、費用がかかるので、どれくらいのメリットがあるかを考えておかなければなりません。身寄りがいないおひとりさまは、周囲への負担がかからないよう、誰に財産を譲るかの遺言を書いておくことも考えましょう。
2020年01月31日家族が亡くなることはあまり考えたくないものですが、いつかは起こるのが相続です。身近で誰かが亡くなったとき、自分は財産をもらえるのか、もらえるとしたらいくらくらいになるのかは気になるでしょう。本記事では相続人や相続割合について、法律上のルールがどうなっているのかを説明します。遺産をもらう人はいったい誰?死亡した人は物を所有できません。死亡した人の物、すなわち遺産を誰が引き継いで所有するかは法律で決まっています。法定相続人は配偶者と血族の一部死亡した人(被相続人)の権利や義務を引き継ぐ人は民法で決まっており、法定相続人と呼ばれます。法定相続人になれるのは、親族のうち、配偶者(夫・妻)、子供、父母、兄弟姉妹です。ただし、配偶者以外には次の表のとおり優先順位があります。夫・妻以外の親族は、血族(血のつながっている人)で、義母や義父、義兄弟は含まれません。一方、養子縁組していれば、血はつながっていなくても法律上は血族と同じ扱いになります。離婚しても親子の関係は変わらないので、前妻の子は一緒に暮らしていなくても相続人です。生物学上の親子関係があっても、認知していなければ法律上親子ではないので、お互いに相続人にはなりません。子供と兄弟姉妹には代襲がある子供の方が被相続人よりも先に死亡していることがあります。このようなケースでは、死亡した子供の子供、つまり被相続人の孫が子供の立場を引き継ぎます。このうように下の世代へと相続する資格が引き継がれることを代襲相続といい、第1順位と第3順位で起こります。第1順位では子供が死亡していれば孫、孫が死亡していればひ孫と、どこまでも下の世代へと続きます。一方、第3順位の方は、兄弟姉妹が死亡していてもその子供(甥・姪)までで代襲は終わりです。父母とも亡くなっていれば祖父母父親と母親の両方が死亡している場合に、祖父母のうちの誰かが生きていれば相続人になります。第2順位は、直系尊属のうち最も近い世代の人ということです。相続できる財産の割合は?民法では、相続できる財産の割合も定められています。相続人の組み合わせで割合が変わる相続人は複数いる場合がほとんどです。そのため、誰がどれだけ財産をもらうかという割合も決まっており、これを法定相続分といいます。相続人の組み合わせとしては、配偶者のみ、配偶者と血族、血族のみの3パターンがありますが、それぞれについて次の表のような割合になります。同順位の人が複数いる場合相続分は、同順位の相続人全員での割合です。【例1】妻、長男、次男が相続人→妻1/2、長男1/4、次男1/4【例2】夫、父、母が相続人→夫2/3、父1/6、母1/6代襲相続人がいる場合子供が死亡して孫が代襲するケースでは、死亡した子供の相続分を孫が引き継ぎます。たとえば、死亡した子供の相続分が4分の1で孫が2人いれば、孫1人あたり8分の1となります。実際にもらえる割合は遺産分割協議で決まる民法上のルールにもとづき、具体的な遺産の分割方法は相続人同士が話し合いで決めることになります。遺産を分けるためには話し合いが不可欠相続割合は法律で決まっていますが、死亡した人が残した財産が自動的に分割されるわけではありません。そもそも、遺産の中には土地や建物など簡単に分けられないものが多いという問題があります。遺産を分けるためには、実際には相続人の話し合い(遺産分割協議)が必要です。分け方を決める際に、各相続人は法定相続分をもらう権利を主張できます。生きている間の贈与や貢献度も関係してくる相続人の中に、生前に被相続人から多額の贈与を受けている人がいたり、被相続人の財産形成に貢献している人がいる場合には、そのまま分けるとかえって不公平です。そのため、多額の贈与を受けている場合には「特別受益」、財産形成への貢献がある場合には「寄与分」として相続割合の修正が行われます。民法のルールと違う分け方をしてもいい遺産分割協議では、相続人全員が納得していれば、民法のルールと違った割合で遺産を分けてもかまいません。ただし、必ず全員同意がしていなければならず、一部の人だけで決めても無効です。分け方で争いになったら裁判所で解決相続人間の協議がまとまらないことがあります。遺産の分け方で争いになったら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、裁判所の関与のもと調停の場で話し合うことができます。調停でも話がまとまらない場合、裁判官が遺産分割審判という形で分け方を決めますが、審判では法定相続分どおりになるのが通常です。審判になった場合、分けにくい不動産は競売でお金に換えなければならない可能性もあります。法定相続人がいないケースではどうなる?相続人になれるのは、夫・妻と、子供や孫、父母や祖父母、兄弟姉妹や甥・姪です。それ以外の家族や親族は原則として財産をもらえません。ただし、特別縁故者が財産をもらえることがあります。[adsense_middle]相続する人がいない財産は国のものになる相続人が一人もいないときには、死亡した人の財産は誰のものにもならず、国庫に帰属します。ただし、自動的に国のものになるのではなく、相続人の不存在を確認したり、亡くなった人に対して債権を持っている人に申し出てもらったりする手続きを踏まなければなりません。家族でなくても財産分与を受けられることがある相続人は1人もいないけれど、被相続人と特別の関係にあった人(特別縁故者)がいるというケースがあります。特別縁故者がいる場合、その人が財産をもらえることがあります。特別縁故者とは、被相続人との間で次の要件をみたす人です。生計を同じくしていた人療養看護に努めた人その他特別の関係にあった人特別縁故者が相続財産をもらうには、特別縁故者自らが家庭裁判所に相続財産分与の申立てをする必要があります。申立て後、裁判所が特別縁故者と認めてくれた場合には、財産の一部や全部をもらえます。法定相続人がいても遺言が優先ここまで相続割合について民法上のルールを説明してきました。しかし、被相続人が遺言を残していれば、民法上のルールどおりにはならない点に注意しておきましょう。法定相続人でも財産をもらえないことがある被相続人が自筆証書遺言、公正証書遺言などの法律上有効な遺言を書いていた場合、遺言に従って財産が引き継がれます。親族ではない第三者に財産を譲る遺言が書かれていれば、その第三者が財産を引き継ぐことになります。また、遺言では相続割合の指定もできるので、法定相続分ではない割合が指定されていれば、遺言どおりになります。遺留分は確保されている相続人のうち兄弟姉妹以外の人には、遺留分と言って最低限の取り分があります。遺留分の割合は次のとおりです。遺留分がある場合でも、自動的に遺留分が確保されるわけではありません。遺言により自分がもらえるはずの財産をもらうことになった人に対し、遺留分を返還するよう請求する手続きが必要です。なお、2019年6月30日以前に死亡したケースでは遺留分を現物で返してもらうのが原則ですが、法改正により2019年7月1日以降に死亡したケースについては、遺留分を金銭で返してもらうのが原則となっています。相続割合に関するまとめ民法上相続割合は決まっているので、この割合にもとづき話し合いで遺産を分ける必要があります。ただし、相続人全員が納得していれば、民法上のルールどおりで分けなくてもかまいません。遺言があれば遺言どおりに財産の引き継ぎが行われるので、民法上の相続割合は関係がなくなります。遺言があっても兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があることも認識しておきましょう。
2020年01月25日相続に関するご相談の中で非常に多いのが、どこまでが相続財産の対象となるのかという質問です。相続財産は非常に広い範囲まで対象となりますが、一方で対象から外れる財産もあるため一般の方にはわかりにくいのかもしれません。また、遺産分割の対象と相続税の課税対象となる遺産も微妙に違ってくるため、これから相続手続きをする人は概要についてきちんと理解しておくことが大切です。そこで本記事では、相続財産の対象や種類、相続税の課税関係について詳しく解説します。相続財産の基本的な範囲相続が発生したときに遺産分割の対象となる財産は非常にたくさんありますが、基本的には金銭に限らず物など経済的に価値があるものすべての財産が対象になると考えた方が無難です。代表的な財産についてまとめてみました。現金普通預金、定期預金不動産(自宅、投資用物件など)株式仮想通過金自動車美術品骨董品貴金属基本的に金銭に見積もることができるすべての財産が遺産分割の対象となります。マイナスの財産も対象遺産分割をする際に忘れてはならないのが、借金などのマイナスの財産の相続です。相続が発生すると皆さんプラスの財産についてはしっかりと調査されているのですが、マイナスの財産に関することが頭から抜けてしまっているケースがあるため注意しなければなりません。亡くなった方がしていた借金については、本人が亡くなっても消滅するわけではなく相続人に対して引き継がれることとなります。具体的には次のようなマイナスの財産があります。未払いのクレジットカード自動車ローン住宅ローン(団体信用生命保険に加入していればチャラになる)医療費の支払いその他のローンキャッシング個人間の貸し借りマイナスの財産を配分する時の注意点遺産分割の話し合いではプラスの財産をどう分けるかだけではなく、マイナスの財産についても誰が責任を持つのか一緒に話し合うことになります。ただし、ここで注意しなければならないのはマイナスの財産についてはあくまで相続人間でしか対抗できないということです。例えばプラスの財産であれば、相続人全員で話し合って合意していればどのような割合で誰が相続しようが何ら問題はありません。ところがマイナスの財産についてはちょっと違います。例えば長男と次男がいて、1億円の預金と1億円の借金があったとして、遺産分割で預金と借金を全部長男が相続して次男は何も相続しないということで合意したとします。その後長男が1億円の預金で1億円の借金を全額返済すればよいのですが、万が一使い込んでしまい返済ができなくなってしまうと、債権者は長男だけでなく次男にも法定相続分の1/2については請求できるのです。借金の相続についてはあくまで相続人間の内輪での決め事に過ぎず、債権者にとっては「そんなの知るか」ということになるため、速やかに借金が完済されなければ、たとえ1円も相続していない相続人であっても、債権者から法定相続分に対応した分の借金返済を迫られるので気をつけましょう。借金の相続から逃れる方法何も相続しない人で相続財産に借金がある場合については、上記のように借金の返済だけ債権者から迫られる可能性があります。そこで、債権者からの請求を逃れる方法として相続放棄という手続きが有効です。相続放棄とはあらゆるすべての財産についての相続権を放棄して、最初から相続人ではなかった状態にするという手続きのことで、一切の財産を相続できなくなる代わりに借金の返済についても義務を免れます。そのため何も財産を相続しない場合で相続財産に多額の借金がある場合については、できるだけ相続放棄の手続きをしておいた方がいいでしょう。相続放棄は家庭裁判所に申し立てすることで比較的簡単にできます。取り扱いを間違いやすい遺産について以下の財産は、遺産分割の対象から外れると誤解されているケースが多いため注意が必要です。軽自動車軽自動車の相続についてカーディーラーなどに相談すると、「相続人さん単独で名義変更できるので遺産分割の対象ではないですよ」と案内されることがあるようですが、実はこれ間違いです。確かに軽自動車の名義変更は相続人全員の署名捺印等の必要がないため、やろうと思えば相続人のうち誰か1人が書類を書いて勝手に出しても名義変更ができます。ただこれはあくまで手続き上の問題であって、法的には軽自動車についても遺産分割の対象です。勝手に名義を変えてしまうと他の相続人との間でトラブルになる可能性があるほか、あとで相続放棄をしようとしてもできなくなってしまうため十分注意しましょう。税金関係所得税や住民税、固定資産税など未払いのままになっている故人あての税金についても相続の対象となるため相続人が納税しなければなりません。ただ、マイナスの財産としてプラスの財産から差し引くことは可能です。祭祀関係の財産仏壇や仏具、お墓や墓石などの財産のことを祭祀財産といい、遺産分割とは別で考えることとなります。具体的には祭祀継承者を決めてその人が相続することになるのですが、決め方については遺言書に指定されていればその内容に従い、指定がなければ相続人で話し合って決めるなどその地域の慣習などをもとに決めていきます。ちなみに祭祀財産には相続税はかかりません。生命保険は相続税の課税対象?遺産分割と相続税申告において取り扱いが異なるのが生命保険です。生命保険は誤解したまま手続きを進めていると、相続税の申告漏れが発生する可能性もありますので注意しなければなりません。生命保険の保険金は、保険契約において受取人に指定している人固有の財産という扱いを受けるので、遺産分割の対象からは外して話し合うことになります。そのためか保険金には相続税が課税されないと思い込んでいる人がいるのですが、実は保険金は相続税の課税対象なんです。[adsense_middle]保険料を誰が負担していたか生命保険に対して課税される税金は3種類あります。契約の仕方によって異なりますので、生命保険を受け取る際には注意が必要です。ポイントは、誰が保険料を負担していて誰が保険金を受け取るかということです。保険料を自分で支払って保険金も自分で受け取る場合については、支払った保険料と受け取った保険金の差額に対して所得税が課税されます。保険料の負担者、被保険者(保険をかけられる人)、受取人がすべて別人の場合、保険料の負担者から受取人に対して保険金相当額の贈与があったとみなされて、保険金に対して贈与税が課税されます。保険料負担者と被保険者が同じで受取人だけ別人の場合は、保険金に対して相続税が課税されます。また、保険料負担者と被保険者、受取人がすべて別人の場合において保険料負担者が死亡した場合は、解約返戻金相当額に対して相続税が課税される点にも注意が必要です。このように生命保険は課税される税金が3種類あるため、保険金を受け取る前に自分はどの税金を支払う必要があるのかよく確認しましょう。生命保険の非課税限度額生命保険で受け取る保険金については、500万円×法定相続人の人数分の非課税枠がありますので、受け取った保険金がその金額以下であれば相続税は非課税です。そのため、生命保険を使って相続税対策をするのであれば、非課税となる金額を予め計算したうえでその金額におさまるよう保険契約を調整するとよいでしょう。生命保険で愛人と相続税でもめる!?世の中には生命保険の受取人を家族とは関係のない愛人に指定している人も少なくありません。受取人は相続人以外でも指定はできますので、保険契約としては何ら問題はりませんが相続税申告の際にかなりの確率でトラブルとなります。というのも、保険金を受け取る愛人からしてみると自分がいくら受け取っているのか相続人に知られたくないはずです。ところが相続税を計算するためには、愛人が受け取った保険金も含めて計算しなければならないため、愛人から保険金の金額を聞き出さなければなりません。また、愛人は相続人ではないものの保険金を受け取ることで相続税を納税しなければならなくなるのですが、そのことを理解できていない人が非常に多いです。相続税申告は本来納税する人が全員で申告するのですが、愛人がそれを拒否することが多く、相続税を正しく計算できないというトラブルが起きてしまいます。この場合は仕方がないので相続人と愛人で別々の申告書を作成して相続税申告をするしかないのですが、申告書の金額がずれるケースが非常に多いので税務調査の対象になる確率がかなり上がると考えた方がよいでしょう。遺産から控除対象となる葬儀費用の種類についてプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた金額が相続税の課税対象になるとお話しましたが、この時に控除できるマイナス財産の中に葬儀費用も含めることができます。ただ、葬儀に関連した費用であればなんでも認められるわけではありません。葬儀費用に含まれるもの次の費用については葬儀費用として相続税の申告の時にプラスの財産から控除することが可能です。火葬にかかる費用埋葬にかかる費用遺体の回送、運搬費用お通夜、告別式の費用葬儀費用に含まれないもの次の費用については葬儀費用には認められないため、プラスの財産から控除することができません。香典返し法事にかかる費用墓地やお墓の購入費用ポイントはお墓の購入費用です。お墓は生前に本人が購入すれば相続税を非課税にできますが、死後になってしまうと購入費用をプラスの財産から差し引けなくなりますので注意しましょう。相続財産に関するまとめ今回ご紹介したように遺産分割の対象となる財産と相続税の課税対象となる財産は微妙に異なりますので、認識を間違えないよう注意が必要です。遺産分割や相続税申告をする際には、話し合いや手続きを進める前に相続財産に漏れがないかを入念に確認することが重要で、慌てて先に進めると後で新たな財産が見つかってトラブルになります。まずは徹底的に財産調査を行ったうえで財産の仕分けをして、そこから協議に入るとよいでしょう。
2020年01月20日専業主婦の女性は、自分名義の不動産がなく、預貯金もあまりないということが多いのではないでしょうか?もし離婚することになったら、夫の財産を分けてもらうことができます。ただし、分けてもらえる期間は限定されていますので、注意しておきましょう。本記事では、財産分与の時効について説明し、請求期間が過ぎてしまった場合の対処法についてもご紹介します。離婚するなら夫の財産を分けてもらおう離婚するときの財産分与について、概要をおさらいしておきましょう。別れるときには財布を1人ずつに分ける財産分与とは、結婚している間に夫婦2人で築いた財産を、離婚するときに夫、妻それぞれの財産に分けることです。結婚している間には夫婦で協力してお金を稼ぎます。サラリーマンの夫の給料も、妻が支えているからこそ得られるものなのです。こうしたことから、結婚している間に稼いだお金は2人のものとして扱われます。離婚すると他人になるわけですから、1つになっている財布を2つに分ける必要があります。半分ずつ平等になるように分ける離婚するときには、夫も妻も平等に2分の1ずつになるように財産を分けるのが原則です。親から相続したものは対象外婚姻している間にどちらかの親が亡くなり、親の預貯金や不動産を相続していることがあります。親から相続したものは、分ける必要はありません。放棄することもできる家やお金を必ず半分ずつに分けないといけないわけではありません。例えば、夫が預金を持っているとき、妻は半分を請求できますが、請求するかどうかは任意で放棄することもできます。放棄する方法は?請求しないまま時効になれば、放棄したのと同じことになります。また、離婚協議書を作って放棄することもできます。離婚協議書には通常、以下のような内容を入れます。甲及び乙は、本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、今後財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず相互に財産的請求をしない。また、甲及び乙は、本契約に定めるほか相互に何らの債権債務がないことを確認する。上記のような条項が入っていれば、それ以降は何も請求できません。財産分与は別居時の財産が基準財産は変動するので、いつの時点を基準にするのかを知っておかなければなりません。別居が先行していれば別居時が基準財産分与では、離婚時点で存在している財産を分けるのが原則です。しかし、離婚の前に別居期間がある場合、別居している間は2人で協力して財産を築いているとは言えません。別居が先行しているときには、別居時が財産を分ける基準時点になります。例外的に離婚時が基準になることも別居してからも家計が別々になっておらず、夫と妻の協力関係があるようなケースでは、離婚時点の財産を分けるべきでしょう。どのようにしてよいかわからない場合には、専門家に相談するのがおすすめです。財産分与請求の方法離婚するときには、不動産や預貯金を持っている側に対して、半分分けてもらうよう請求できます。離婚後に不動産などを分けてもらうこともできる元夫名義になっている不動産や預金などを、離婚後に分けてもらうことも可能です。元夫と直接話し合いができるなら、連絡をとって交渉しましょう。もし相手が話し合いに応じてくれなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。財産分与請求調停の申立て方法調停を申し立てる方法は、次のとおりです。財産分与には請求期間がある!元夫に財産を分けてもらいたい場合、請求できる期間が決まっています。時効になってしまうと、もらえるはずのものがもらえなくなってしまいます。[adsense_middle]別れた元夫から何ももらってない!今でも何か請求できる?専業主婦の方の中には、自分には稼ぎがないので家などをもらうことはできないと思っている人も少なくないかもしれません。ですが、上にも書いたとおり、専業主婦であっても財産の半分をもらう権利があります。既に離婚は成立しているけれど、元夫から何ももらっていないという場合、もらえるものがないかを考えてみましょう。住宅ローン支払い中の家があるなら住宅ローンが残っている家でも、売却してプラスになるようなら、プラスになった部分の半分をもらえます。家を売却せず、元夫がそのまま家に住み続けてローンを払っている場合でも、財産分与は可能です。たとえば、家の売却価格が2000万円でローン残高が1600万円の場合、400万円はプラスになります。元妻は400万円の半分の200万円を元夫に現金で払ってもらうことができます。財産分与はいつまでにする?既に離婚が成立していても元夫に家の権利などを譲ってもらうことはできます。ただし、いつまででも請求できるわけではありません。法律上の期限が決まっています。財産分与の時効の条文民法768条では次のように定められています。協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。請求期間はいつまで?民法768条2項を見ると、離婚の時から2年を経過したら、家庭裁判所に請求できない旨が書かれています。これは、調停などを申し立てできるのが2年以内という意味です。この2年という期間は、厳密には時効ではなく除斥期間と呼ばれるものです。時効と除斥期間の違い時効はいろいろな理由で中断(リセット)されます。時効の場合、2年と書かれていても期間が延びることがあります。一方、除斥期間には中断がありません。2年と定められている場合、2年が過ぎると権利行使ができなくなります。民法768条の2年は除斥期間なので、延びることはありません。たとえば、2018年10月1日に離婚した場合、2020年9月30日までに家庭裁判所に申し立てしなければならないということです。期限後に分けてもらうことは不可能?財産分与は必ずしも裁判所を通してする必要はありません。当事者同士が話し合いで財産分けをするならば、期限後も可能です。期限後は税金がかかることも!裁判所を通さず、当事者同士の話し合いで財産分けをするなら、離婚から2年を過ぎていても可能です。ただし、税金の問題が発生することがありますから覚えておきましょう。贈与税が課税されるおそれがある贈与税とは、無償で財産を受け取ったときに課される税金です。年間110万円を超える贈与を受けた場合、原則として贈与税がかかります。財産分与には贈与税はかからない財産分与は夫婦のお金を清算する手続きなので、贈与ではありません。そのため、通常は贈与税がかからないことになっています。税金逃れと判断されるリスクがある離婚から10年経って元夫から元妻に財産の受け渡しをした場合、当事者同士が「これは財産分与だ!」と主張しても、税務署は納得してくれない可能性があります。財産分与という名目で非課税贈与ができてしまうと、税金逃れのために財産分与をしようと考える人も出てくるので、課税上不都合が生じてしまいます。元夫婦ならいつまでも財産分与ができるとは考えないようにしましょう。贈与税がかかるのはいつまで?別れた後何年以内なら贈与税がかからないという明確な基準があるわけではありません。ですが、2年を過ぎると贈与税がかかる可能性があると認識しておきましょう。話し合いの場合にも、期間内に手続きしてしまうのが安心です。離婚前に分けるのもリスクがある財産分与は、離婚と同時か離婚した後2年経つまでにするものです。離婚が成立する前に財産を分けてしまうと、財産分与とは言えず、やはり贈与とみなされてしまうことがあります。まだ離婚するかどうかがわからないのに、焦って不動産の名義を変えたり預金を移し替えたりは、できるだけしない方が無難です。離婚前であれば生活費を払ってもらうことができるので、お金が足りなければ生活費を請求することで対処しましょう。期限が過ぎてしまった場合の対処法離婚から2年を経過してしまうと、裁判所を通じて財産分与の請求をすることはできません。元夫名義の不動産をもらわないないまま請求期間が経過してしまったと仮定して、対処法を考えてみましょう。調停ではなく話し合いで合意すればOK請求期間が過ぎても、話し合いによる財産分与は可能です。元夫と連絡がとれる場合には、話し合いを申し入れてみましょう。元夫と話し合いが困難な場合には?元夫と話し合いができない状況なら、弁護士に代理人になってもらって交渉する方法があります。ただし、離婚から長期間経過していると、元夫が拒否した場合に財産分与として請求することは困難です。元夫名義の不動産をどうしても譲って欲しいなら、買取りも視野に入れる必要があります。あらかじめ取り決めしていれば期間経過後に名義変更も可能住宅ローン支払い中の不動産は、財産分与により譲ってもらうことができても、ローン完済まで名義変更が不可能なケースがあります。このようなケースでは、離婚時に財産分与の取り決めとローン完済後に名義変更する約束をして公正証書にして残しておくのが有効です。期間経過後も登記はできる?期限後も法務局で財産分与登記を申請することは可能です。登記申請については司法書士に頼むことができるので、離婚協議書や公正証書を持参して相談しましょう。財産分与の時効に関するまとめ離婚するときに財産分与をしていなくても、2年以内なら財産分与請求ができます。期限を過ぎてしまうと、相手が任意に応じてくれない限り、財産分与は難しくなってしまいます。離婚するときには、必ず財産分与の取り決めをし、公正証書を作成しておきましょう。取り決めさえしていれば、2年の期間を過ぎてからの名義変更も可能です。
2019年11月16日専業主婦の方は、離婚したくてもお金の問題でなかなか踏み切れないことが多いと思います。本記事では、専業主婦の離婚で経済的な不安を解消する方法について説明します。離婚を考えている専業主婦の方に参考にしていただければ幸いです。専業主婦の離婚。何から準備したらいい?専業主婦が離婚することになったら、引っ越し先を探すよりも仕事を探す方が先です。離婚後は、自分で働いてお金を稼がなければなりません。旦那と別れたら、その後どうする?夫の収入で生活している専業主婦も、離婚すれば夫に頼ることはできません。離婚するなら、自分で収入を得る手段を考えておく必要があります。子供がいれば子供を養っていくためのお金も要るでしょう。離婚後の生活設計についてきちんと考えておくことは必須です。無職のまま離婚するのはリスクがある離婚するまで専業主婦だった人は、自分で働いて稼ぐことを優先的に考えましょう。離婚して一段落してから仕事を探そうと考えていても、すぐに条件のいい仕事が見つかるかどうかはわかりません。できれば、離婚する前に仕事を見つけて、実際に働いてやっていけることを確認してから離婚するのがおすすめです。仕事を「見つける」のと「続ける」のとは違う仕事を見つけることはできても、その仕事が続けられるとは限りません。結婚前は働いていた人も、ブランクがあれば仕事のカンを取り戻すのに時間がかかります。たとえやりたかった仕事でも、職場の人間関係が合わずに辞めざるを得ないこともあります。少なくとも数か月程度は働いてみて、生活のペースを掴むことが大事です。無職だと子供の親権を取るのが大変?無職のままだと子供の親権が取れないのではないかと心配な人も多いでしょう。離婚時に無職の専業主婦でも、子供の親権を取ることはできます。母親に収入がなくても、父親が養育費として子供の生活費を払えば問題ないからです。しかし、養育費だけで生活していれば、養育費の支払いが滞った途端に生活に困ってしまいます。まずは働いて自分で稼ぐ手段を確保することを考えましょう。離婚するまで無職だった人はどれくらい?厚生労働省が行った平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、離婚により母子世帯になった人のうち、母子世帯になる前から就業していた人の割合は全体の76.5%です。離婚する人のうち4人に1人は、離婚するまで無職だったことになります。専業主婦が離婚後の仕事を探すならお金を稼ぐと言っても、どんな仕事でも良いわけではありません。専業主婦が離婚後の仕事を探すときの注意点を知っておきましょう。必要な収入を確保できる仕事を離婚後は、自分の就労収入のほか、養育費や手当で生活費を賄わなければなりません。生活していくのにどれくらいの費用がかかるのかを見積もり、毎月いくら稼いだら生活費に困らないかをシミュレーションしてみましょう。給料だけに注目しない離婚後に経済的な不安がある場合、とにかく時給や給料の良い仕事に目が行ってしまいがちです。しかし、お金に惑わされずに、続けやすい仕事を選ばなければなりません。ハードな仕事は賃金がよくても、長くは続かないからです。子供がいる場合には、子育てとの両立も考える必要があります。その場しのぎの仕事ではなく、安定して長く働けそうな職場を選びましょう。元の職場に復帰できない?育休を取っていた人なら当然元の職場に復帰できますが、一旦退職した人も、元の職場に復帰できないか相談してみるとよいかもしれません。すぐに正社員は無理でも、パートでなら戻って来てほしいと言われることがあります。元いた職場なら状況がわかっているので続けやすいはずです。正社員になれる仕事や資格を取れる仕事がおすすめ継続的に安定した収入を得るには、正社員として働くのがいちばんです。子供が小さい場合、いきなり正社員で働くのは難しいこともあるかもしれません。パートで働く場合でも、いずれ正社員として採用してもらえる見込みがあるかどうかは確認しておきましょう。仕事を続けることで、他の会社でも通用するスキルや資格が得られるとより安心感があります。今高収入を獲得することを目指すよりも、経験を積み上げていくことで将来的に収入が増えるかどうかを基準に判断するとよいでしょう。離婚後に手当はどれくらいもらえる?離婚後シングルマザーになる人は、手当も収入源の1つになります。シングルマザーがもらえる手当には、以下のようなものがあります。[adsense_middle]児童扶養手当児童扶養手当は高校生までの子供がいるシングルマザーに全国共通で支給される手当です。支給される金額は、所得に応じて変わります。児童扶養手当の月額児童扶養手当の月額は、物価スライド制の適用により変動します。2019年4月以降の児童扶養手当の月額は、次のようになっています。専業主婦だった人は2年目以降金額が減る児童扶養手当は前年度の所得を基準に計算するので、離婚まで専業主婦だった人は初年度は全部支給です。しかし、働いて収入が増えていれば、2年目以降は一部支給となり金額が減ります。初年度の金額を基準に生活設計していると、2年目以降は生活費が足りないということにもなってしまいます。児童扶養手当として受け取るお金は使ってしまうのではなく、貯金に回すのがおすすめです。児童手当児童手当は中学3年までの子供がいる世帯に全国一律で支給される手当です。母子家庭に限ったものではありませんが、離婚後に受給するときには手続きが必要になります。児童手当の月額児童手当の月額は、次のようになっています。3歳未満:1万5,000円3歳から小学校修了まで:1万円(第3子以降1万5,000円)中学生:1万円受給者の変更を忘れずに!児童手当は離婚する前からもらっているものですが、受給者が夫(父)になっていることが多いと思います。離婚後、妻(母)が子供を養育する場合には、受給者を変更する手続きが必要です。離婚して母親が親権者になっても、児童手当の受給者が自動的に変わるわけではありません。そのままにしていると、離婚後も児童手当が夫の口座に振り込まれます。離婚したら役所に行って受給者変更の手続きをしておきましょう。その他の手当や助成制度自治体によっては、母子家庭向けの住宅手当や家賃補助を行っているところがあります。その他にも、母子家庭に対してお金の面での支援をする制度はいろいろあります。離婚前に役所で確認しておくとよいでしょう。養育費を請求する方法は?子供がいるシングルマザーにとっては、養育費も大事な収入源です。離婚後は元夫に毎月養育費を払ってもらいましょう。養育費は子供の生活費離婚して子供と別に住むことになった父親にも、子供を養う義務はあります。子供の生活費は両親が収入状況に応じて負担するものです。元夫には養育費を請求しましょう。離婚するときに養育費を決めて公正証書に離婚するときには、夫婦で養育費についてもきちんと話し合っておくべきです。取り決めした内容は、公正証書にして残しておきましょう。養育費の決め方養育費は必ずしも「月○万円」という形で決めなければならないわけではありません。子供の成長に合わせて金額を増額したり、ボーナス月には余分に払ってもらったりすることもできます。大学進学費用のようにまとまってかかるお金については、別に取り決めしておくとよいでしょう。それぞれの家庭の状況に応じた支払いプランを立てておくと、払う側も準備がしやすくなります。離婚するときに養育費を決めていない場合離婚時に養育費を取り決めしていなくても、子供が成人するまではいつでも養育費を請求できます。離婚後に元夫との間で養育費の話し合いができない場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てましょう。離婚後すぐに働けない場合には?専業主婦だった人も、離婚したら元夫に養ってもらうことはできないので、自分の生活費は自分で稼ぐ必要があります。どうしても離婚後すぐに働けない場合には、扶養的財産分与を受けるという方法があります。[adsense_middle]当面の間元夫に生活費を払ってもらうことも可能子供がまだ小さいのに預け先がない場合、自分が病気の場合などは、離婚してもすぐに働けません。このような状況ではできるだけ離婚を避けた方が無難ですが、離婚せざるを得ないこともあるでしょう。離婚してもすぐに働けない場合には、扶養的財産分与を受ける方法があります。扶養的財産分与とは扶養的財産分与は、将来にわたってお金を払ってもらう形で、元夫の財産を分けてもらう方法です。財産分与では通常離婚時に夫婦が持っている財産を分けますが、財産がなければ無職の専業主婦は直ちに困ってしまいます。専業主婦だった人も、扶養的財産分与として元夫に当面の間の生活費を払ってもらうと、働けるまでの期間を安心して過ごしやすくなります。いつまでも養ってもらえるわけではない扶養的財産分与として元夫に生活費を払ってもらえるのは3年程度です。また、元夫婦間には扶養義務はないので、年間110万円を超える生活費を受け取ると、贈与として課税されるリスクもあります。離婚後もいつまでも元夫に生活費を払ってもらっていいわけではありません。できるだけ早く自分で生活の目途を立てるようにしましょう。離婚してお金に困らないため大切なこととは?女性は離婚するときに、経済的な不安が大きくなるのも無理はありません。日本は現状、女性が一人で子供を育てていくのには厳しい社会です。離婚後女性がお金に困らないために大切な考え方をお伝えします。お金の正常な流れを作ることを意識離婚するときには、手元にまとまったお金がなければ不安になります。けれど、離婚時に慰謝料や財産分与でお金をもらっても、それだけで一生生活できることは普通はないでしょう。離婚するときには、今ある動かないお金に注目するよりも、今後入ってくるお金や出て行くお金に注目することが大事です。極端な話、貯金がなくても、必要な支出を賄えるだけのお金が継続的に入ってくれば生活はできます。貯金の数字にこだわるよりも、お金の循環を意識するようにしましょう。もちろん、不測の事態が生じることもありますから、ある程度の貯金は必要です。けれど、シングルマザーの場合には、まず正常なお金の流れを作り出すことを優先した方がよいと思います。具体的には、自分で働いて安定した収入を得ることと、養育費を確保することが大切です。ネットワークを作るお金はあるにこしたことはありませんが、お金がたくさんあれば不安が解消できるのかと言えば、実はそうではありません。悩みを相談できる人がいることや、助けてもらえる人がたくさんいることは、大きな安心感につながります。離婚したら何となく後ろめたくて、人付き合いを避けてしまう人もいると思います。ですが、離婚は決して恥ずかしいことではありません。離婚したからこそ、ネットワークを広げた方がよいでしょう。人に助けてもらった恩は、後で返すことができます。困ったときには遠慮せずに人に頼り、自分に余裕があるときは積極的に人のためにできることをしましょう。そうやって信頼関係を深めていけば、単にお金があるだけよりも豊かな人生を送ることができます。専業主婦の離婚に関するまとめ専業主婦が離婚するときには、自分で稼げる手段を見つけておくことが最優先です。離婚後の生活に必要な金額を見積もり、それを賄うために毎月継続的に入ってくるお金を確保しましょう。離婚後生活に困らないためには、信頼できる友人・知人のネットワークを作っておくことも必要です。困ったときに助けを求めることを躊躇しないよう、普段から自分も人のために役立つことをしておきましょう。
2019年11月05日「“介護離婚”の多くは熟年離婚になりますが、熟年離婚は経済的に厳しいのが現実です。それでも精神の解放を求めて『離婚したい!』と思うなら、一度きりの人生、後悔のないようにしてほしいですね」そう語るのはマネーセラピストの安田まゆみさん。最後の手段ともいえる、介護離婚という難しい結論。そんな介護離婚についての知っておくべきお金の話を安田さんに聞いた(会社員の夫を持つ専業主婦」を想定)。「まず、婚姻中に夫婦が築いた共同財産は離婚時に財産分与の対象になり、基本は夫婦半々。預貯金のほか夫の厚生年金や結婚後に購入した自宅などが対象です」(安田さん・以下同)一聞すると収入の少ない主婦にとっては福音だが、いざ試算すると現実は甘くない。「たとえば40~50代の夫婦なら、子どもにお金がかかる時期なので、いざ介護離婚となっても預貯金が少ないことがほとんど。仮に自宅を売却しても多くはローンの残債もあり、1,000万円も残ればいいほうです。そうすると、妻がもらえるのは500万円にすぎません。介護が始まると身動きがとれなくなることが多いので、不安がある人はいまのうちに正社員などの安定した職を得て、かつ共同財産の額を増やしておきましょう」離婚には初期費用も必要だ。「安く見ても引っ越し関連で80万円。また、裁判や調停費用に備えて、80万円は用意しておきたいところです」いっぽう60代以降ともなると、就職は難しい。そのため、夫の退職金などまとまった財産があればそれを分け、あとは年金分割でやりくりすることが基本になる。「現在、夫婦合わせた年金の支給額は月に22万~23万円ぐらいです。そのうち、仮に妻の年金受給額が老齢基礎年金(6.5万円)と結婚前に加入していた厚生年金を合計した7万円だとしたら、夫の受給額は差し引き約15万円。このうち、年金分割の対象になるのは夫の老齢基礎年金分を除いた8.5万円のなかから、勤めていた期間のうちの結婚期間分だけなので、妻がもらえるのは半分で多くても4万円弱。つまりこの場合、離婚後の年金収入は7万円+4万円強で月11万円と少しです。財産分与があれば手元のお金は増えますが、離婚後も数十年生きることを考えれば、1カ月あたりのプラスは数万円でしょう」なお、夫に介護を丸投げされたことが離婚の火種になったとしても「それで慰謝料を請求するのは難しいでしょう」と安田さん。離婚を検討するなら、まずは“いまできること”を考えてみよう。
2019年06月07日夫婦仲が悪くなると、会話もなくなり、「家庭内別居」と呼ばれる状態になることがあります。家庭内別居になったら、そのことを理由に離婚できるのでしょうか?本記事では、家庭内別居が離婚理由として成立するかどうかについて説明します。家庭内別居から離婚する場合の注意点についても知っておきましょう。家庭内別居とはどんな状態?誰でも一度は耳にしたことがある「家庭内別居」。いったいどのような状態なのかを知っておきましょう。家庭内別居の定義「家庭内別居」は法律用語ではありませんが、一般によく使われている言葉です。「家庭内別居」に、厳密な定義はありません。夫婦としての関係は破綻しているにもかかわらず、離婚することなく同居している場合に、「家庭内別居」と呼ばれます。家庭内別居の状態では、夫婦間に会話が全くなくなっているのが普通です。寝室はもちろん、食事も別々というケースもあります。家庭内別居が続くと熟年離婚になりがち日本では、離婚率自体はそれほど上がっているわけではありませんが、離婚全体に占める熟年離婚の割合が増えています。家庭内別居が続くと、夫婦関係修復が困難になり、熟年離婚になる可能性が高くなります。家庭内別居の夫婦がどれくらいいるのかのデータをとるのは困難ですが、熟年離婚が増えていることで、家庭内別居も増えていることが推測されます。家庭内別居になるケースとは?別居や離婚との違いを知っておこう「家庭内別居するくらいなら、離婚した方が良いのでは?」と思うかもしれません。しかし、離婚や別居の選択ができず、家庭内別居となることはよくあります。家庭内別居になるケースとしては、次のような場合が考えられます。別居したいけれどできない理由がある夫婦の関係性が悪くなると、離婚するか否かの結論を出す前に、まず別居という選択肢をとることもあります。しかし、別居すると経済的困難が生じる場合や、持家があってどちらも出て行きたくない場合などは、すぐに別居というわけにもなかなかいきません。このような場合には、家庭内別居せざるを得ないことになります。離婚したいけれど親権について決まらない子供がいる場合、離婚時にどちらが親権者になるかを決めなければなりません。親権を取りたい場合、離婚前でも子供と別居すれば不利になってしまいます。離婚時の親権が不安な場合にも、家庭内別居することがあります。明確な原因がなく家庭内別居になることもある家庭内別居になった原因がよくわからないことも珍しくありません。結婚生活に不満やストレスを感じている場合、いつの間にか夫婦の会話がなくなり、生活も別々になってしまうということがあります。家庭内別居は何年か続くと離婚理由になる?離婚をするときに問題になるのが、離婚理由です。家庭内別居が離婚理由になるかどうかを知っておきましょう。裁判で離婚するには離婚理由が必要離婚理由とは、裁判になった場合に離婚が認められる理由(法定離婚原因)です。離婚理由がなくても双方が合意すれば協議離婚ができますが、一方が離婚に納得しない場合には、離婚理由が必要になります。家庭内別居はそれだけでは離婚理由にならない別居が長期間続いている場合には、法定離婚原因のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。長期間の別居により、婚姻関係は実質的に破綻していると考えられるからです。家庭内別居を長期間続けた場合でも、別居の場合と同様、婚姻関係は破綻していると思うかもしれません。しかし、家庭内別居というだけでは、婚姻関係は破綻しているとはみなされないのが通常です。[adsense_middle]家庭内別居で離婚が認められるケースとは?家庭内別居自体を理由に離婚することはできませんが、次のようなケースでは離婚できる可能性があります。浮気がきっかけになっている家庭内別居となったきっかけが離婚理由となるようなものであれば、離婚は可能です。たとえば、どちらかの浮気をきっかけに、家庭内別居になることもあるでしょう。浮気(不貞行為)は離婚理由になりますから、浮気をきっかけに家庭内別居になった場合には離婚できます。生活費を渡さないたとえ家庭内別居の状態であっても、婚姻中である以上、夫婦は生活費を分担する義務(婚姻費用分担義務)があります。家庭内別居中、相手が必要な生活費を渡してくれないなら、悪意の遺棄として離婚理由に該当します。家庭内別居を終わらせるにはどうすればいい?家庭内別居を終わらせるには、夫婦関係を修復するか、離婚を進めるか考える必要があります。家庭内別居からの夫婦関係修復は可能?家庭内別居になったとしても、夫婦関係修復が不可能なわけではありません。ただし、放っておいて自然に修復できる可能性はきわめて低いでしょう。また、家庭内別居が長引くほど、修復が難しくなってしまうことは言うまでもありません。夫婦関係修復をしたいなら、自分から相手に働きかけることが必要です。会話が全くなくなっているなら、あいさつからでも始めてみましょう。いきなり面と向かって関係修復について話し合うよりも、ちょっとしたきっかけから少しずつ会話を増やしていく方が効果的です。家庭内別居からの離婚の切り出し方家庭内別居になっている場合でも、離婚については慎重に切り出した方がよいでしょう。協議離婚するには、夫婦が離婚に合意しなければなりません。たとえ家庭内別居であっても、相手が離婚にNOと言えば、簡単に離婚はできないということです。「婚姻関係は実質的に破綻しているんだから、相手は離婚に応じれくれるはず」という思い込みは危険です。強引に離婚を進めようとすれば、相手は意固地になって離婚を拒否することもあります。相手の気持ちも確認しながら話を進めるようにしましょう。家庭内別居で離婚する場合の注意点家庭内別居の後、離婚することになれば、慰謝料や財産分与で夫婦の関係を清算しなければなりません。家庭内別居後の離婚で注意すべきことを確認しておきましょう。①家庭内別居中の浮気でも慰謝料が発生する家庭内別居では夫婦としての関係が破綻しているため、どちらかが浮気をする可能性も高くなります。家庭内別居になっている状態で浮気をした場合、慰謝料が発生するのかという問題があります。婚姻関係が実質的に破綻していれば、不貞行為は認められず、慰謝料は発生しないのが原則です。そのため、別居している夫婦の場合には、一方が浮気をしても、他方が慰謝料請求できないことがあります。家庭内別居の場合には、裁判になっても、婚姻関係が破綻しているとまではみなされないのが一般的です。家庭内別居中に浮気をすれば、離婚時に慰謝料請求される可能性があります。②家庭内別居は財産分与には影響を与えない財産分与では、離婚時の夫婦の財産を2分の1ずつに分けるのが原則です。しかし、離婚する前に別居が先行している場合には、別居時が財産分与の基準時となります。離婚前に家庭内別居の期間があっても、家庭内別居が開始したときを基準として財産分与を行うということはありません。通常どおり、別居時や離婚時を基準として財産分与を行います。家庭内別居に関するまとめ家庭内別居は、別居とは違います。同居している以上、婚姻関係が破綻しているとはみなされにくく、通常は離婚原因にもなりません。家庭内別居の状態で浮気をしたとしても、不貞行為として慰謝料が発生する可能性があります。家庭内別居から離婚したい場合には、相手と話し合って、離婚に合意する必要があります。夫婦関係の清算のため、きちんと話し合いをし、円満離婚を目指しましょう。離婚問題で困ったら専門家に相談することが大切親権や養育費・慰謝料など、離婚問題でお悩みの場合は法律のプロに相談することをおすすめします。でも、どうやって法律のプロを探せばよいのか戸惑う方も多いはず。。日本法規情報では、日本全国3000人以上の専門家の中からあなたの要望に沿った専門家を案内することが可能です。もちろん、相談窓口や専門家案内は無料なので、まずはお気軽に相談することをおすすめします。
2019年06月05日離婚を考えているけれど、すぐに離婚を進めるのではなく、当面の間別居したいと思うこともあるでしょう。別居するときには、生活費の問題や、将来離婚するときのことも考えておかなければなりません。本記事では、離婚前に別居する際には、どのような点に注意しておいたらよいかを説明します。離婚の前段階として、必要な準備をした上で別居をしましょう。離婚前に別居した方がいいケースとは?離婚の前に、婚姻関係を続けたまま別居という選択肢をとることがあります。離婚前に別居した方がいいのは、次のようなケースです。離婚した方がよいかどうか迷っている離婚は子供や周りの人への影響も大きいですから、簡単に決めるべきではありません。「もう離婚するしかない」と思っても、別居して冷却期間を置くことで、「もう一度頑張ってみよう」という気持ちになることがあります。離婚したいけれど相手が離婚に応じてくれない離婚は一人でできるわけではなく、原則的に相手の同意が必要です。相手の同意がない場合には、法律上の離婚原因(浮気など)がない限り、離婚はできません。離婚を希望する理由としては、「性格の不一致」を挙げる人が最も多くなっています。しかし、性格の不一致はそれだけでは法律上の離婚原因になりませんから、相手が応じてくれないと離婚は困難です。このような場合、長期間別居すれば、法律上の離婚原因である「婚姻が継続し難い重大な事由」に該当する可能性が高くなり、離婚が認められやすくなります。どれくらいの年数別居すれば離婚できる?何年別居すれば離婚できるかについては、明確な基準があるわけではありません。一般には3年程度の別居で離婚できると言われますが、あくまでケースバイケースです。たとえば、長期間別居していても頻繁に会っているような場合には、夫婦関係が破綻しているとは言えず、離婚しにくくなります。今すぐではなくタイミングの良い時期に離婚したい離婚すると、名字を変えたり転居したりすることもあります。子供がいる場合などは特に、進級や進学のタイミングに合わせて離婚したいと思うことが多いでしょう。お互いが離婚に合意していてもすぐに離婚届は出さない場合、一緒に暮らすのも窮屈ですから、離婚までの間は別居を選ぶことがあります。とにかく離れたい相手の浮気があった場合などには、とりあえず相手に出て行ってほしいと思ったり、自分が実家に帰りたいと思ったりすることもあるでしょう。離婚するかどうかは後で考えるとして、とりあえず一緒にいたくないので別居するケースもあります。DVを理由に離婚したい相手のDVがある場合、離婚の話をすれば余計に暴力をふるわれる可能性があります。DVの場合には、別居して安全な場所に避難してから離婚手続きを進めるべきです。DVのケースでは、相手に居場所が知られると危険なこともあるでしょう。各地域に設けられている配偶者暴力相談支援センター(DV相談支援センター)に相談すれば、別居や離婚について情報を提供してもらえるほか、一時的に避難できるシェルターも紹介してもらえます。別居するなら生活費を請求しよう別居して世帯が分かれると、お金の管理もそれまでと同様にはいかなくなります。別居中でも相手に生活費を払ってもらうことはできます。別居するなら、生活費の請求も忘れないようにしましょう。夫婦は別居中も婚姻費用の分担義務がある別居していても夫婦であることには変わりありません。夫婦は助け合って生活するのが前提ですから、別居中も生活費(婚姻費用)の分担義務があります。別居により足りなくなる生活費は、相手に請求することが可能です。別居中に生活費として請求できる金額別居中、生活費としてどれくらい請求できるかは、裁判所が用意している婚姻費用算定表を参照して決めることができます。生活費には、衣食住にかかる費用のほか、医療費や教育費なども含まれます。お金の取り決めは書面にしておくのが安心別居中の生活費については、夫婦間できちんと取り決めをしておきましょう。口約束では守ってもらえない可能性がありますから、「別居合意書」として書面に残しておくのが安心です。別居合意書には、別居期間、受け渡しする生活費の金額、子供との面会のルールなどを記載しておきましょう。別居合意書は、公証役場で公正証書にすることもできます。公正証書にしておけば、約束どおりの支払いがない場合に、強制執行することも可能になります。生活費を払ってくれない場合には調停を申し立てる相手が別居中の生活費を払ってくれない場合、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てする方法があります。婚姻費用分担請求調停を申し立てると、裁判所で相手と生活費の金額について話し合うことができます。話し合いで合意できない場合には、審判手続きに移行し、裁判官が婚姻費用の額を決定します。裁判所で婚姻費用が決まった場合には、裁判所で調停調書や審判書が作られます。相手が約束どおり生活費を払ってくれない場合には、調停調書や審判書にもとづき強制執行が可能です。[adsense_middle]別居する場合に注意しておくべきこととは?別居するときには、将来離婚するときのことも考えておきましょう。別居する場合の注意点をピックアップしてみます。別居を理由に慰謝料を請求されることもある夫婦は民法上、同居する義務があります。正当な理由がなく一方的に別居した場合、同居義務違反となり、離婚時に慰謝料請求される可能性があります。離婚の慰謝料の相場は50万円から300万円程度です。慰謝料発生の原因が同居義務違反のみの場合には、慰謝料はそれほど高額にはなりませんから、50万円程度と考えるとよいでしょう。別居する場合にも、できれば相手と話合いをし、承諾を得た方が安心です。別居合意書を作成しておけば、別居について両者が合意していることの証拠にもなります。なお、DVの場合には、相手の同意を得る必要はありません。身の安全の確保を最優先にしましょう。財産分与は別居時点が基準になる離婚するときには、夫婦の財産を分ける財産分与を行います。財産分与は、離婚時の財産が基準になるのが原則です。しかし、別居が先行している場合には、別居時が財産分与の基準時になります。たとえば、別居時点で夫名義の預金残高が1,000万円であった場合、離婚時点に残高が600万円に減っていたとしても、1,000万円を基準に財産分与します。他の財産がないと仮定すると、夫は妻に対して、600万円のうち500万円を渡さなければならないことになります。ただし、すべてのケースにおいて別居時が基準となるわけではありません。裁判になった場合、不動産や株式など価格が変動する財産については、離婚時が基準になることが多くなっています。財産分与については、原則として別居時を基準としながら、状況に応じてケースバイケースの判断をするということです。長期間別居していれば相手の方から離婚を要求される可能性も長期間別居を続けると、他の離婚理由がなくても、離婚が認められやすくなります。長期間の別居により夫婦関係が破綻しているとみなされ、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されるからです。相手が浮気した場合、有責配偶者である相手の側からは原則として離婚を請求できません。しかし、浮気の後長期間別居すると、相手の側から離婚を請求される可能性も出てきます。離婚したくない場合でも、相手との関係修復を図らないまま長期間別居を続けていると、離婚させられてしまうことがありますから注意しておきましょう。離婚前の別居に関するまとめ離婚前に別居するときには、生活費について取り決めしておきましょう。別居後に離婚を考えているときには、慰謝料や財産分与についても意識しておくべきです。離婚しないまま長期間別居を続けると、そのこと自体が離婚原因になります。夫婦としてやっていく意思がない場合には、どこかで離婚の覚悟を決めた方がよいでしょう。困ったら誰かに相談することが大切親は一人で悩まず、誰かに相談することも大切です。学校にはスクールカウンセラーもいるでしょうし、地域で相談機関も用意されているはずです。何もかも一人で抱え込む必要はありません。誰かに相談して助けを求める力も、親には必要ということを知っておきましょう。
2019年05月28日「同い年で58歳のご主人が、あと2年でいま勤めている会社を定年退職すると聞いています。そこで、いまから定年後のライフプランについて夫婦で話し合いを進めているそうです」(黒木の知人)昨年、映画『終わった人』で定年を迎えたサラリーマン夫を支える妻役を演じて話題になった、女優の黒木瞳(58)。私生活でも、まさに同じ境遇に立っているようだ。黒木は今年1月、雑誌のインタビューでこう語っている。《会社員が会社に行かなくなると、夫婦のあり方も変わってくるだろうなって》(『終活読本ソナエ』19年1月16日発売号)前出の知人はこう続ける。「定年後はカルチャーセンターなどで習い事をしたり2人で旅行に行ったりと夫婦共通の趣味を作ることが、かねてから黒木さんの夢だったそうです。ご主人は定年後のことをあまり考えていないそうで、黒木さんが『いまからちゃんと準備しておかないと!』と、促しているのだといいます」終活カウンセラー協会代表理事の武藤頼胡さんは、定年を控える夫婦についてこう語る。「多くの日本人男性は仕事一筋で、現役時代は趣味らしい趣味もなく、休日に会う友人もない。なので定年後に突然、毎日8~9時間の余暇ができても何をしていいか分からないんです。逆に女性の場合、とくに専業主婦なら習い事やランチ会など自分の生活スタイルを持っている人が多い。そこにいきなり旦那さんが入ってくることを邪魔だと感じ、それが熟年離婚に繋がってしまうことも。だからこそ定年前に夫婦で話し合うことが大事なんです」黒木は夫婦で話し合いを進めるなかで、自然と“終活”にも興味を持ち始めたという。「お葬式やお墓をどうするか、財産分与はどうなるのかというような基本的なことから少しずつ勉強しているといいます。自宅にある高価な衣装や宝石も何がどこにあるのかきちんと把握するため、整理をし始めたそうです」(前出・知人)2年後に夫が定年を迎えたタイミングで、黒木自身も仕事のスタイルを変えていくつもりだという。「黒木さんはここ数年で、いままで以上に家族の時間を大事にしたいという思いが増したといいます。女優業も監督業も、やりたいことはやり尽くした。ご主人の定年に合わせて、少しずつ仕事をセーブしていく予定だと聞いています」(映画関係者)夫婦で描く“第2の人生”は準備期間から始まっている――。
2019年02月27日離婚をするときに、弁護士への相談を考えることがあります。離婚裁判になった場合には、弁護士への依頼は必須でしょう。また、離婚協議や離婚調停も、弁護士に依頼した方がよい場合があります。弁護士に相談するとなると、気になるのが弁護士費用です。本記事では、離婚でかかる弁護士費用の種類や相場について説明します。離婚で弁護士に相談する際の参考にしていただければ幸いです。離婚でかかる弁護士費用の種類弁護士に依頼したときにかかる費用のしくみは、わかりにくくなっています。まずは、弁護士費用のかかり方について知っておきましょう。法律相談料の相場は30分5,000円弁護士には、単発の法律相談もできます。離婚を依頼するかどうか迷っている場合には、法律相談を受けてから考えましょう。弁護士事務所(法律事務所)の中には、初回無料で離婚の相談ができるところも多くなっています。ただし、無料相談できるのは、30分から1時間程度になります。弁護士に法律相談する場合の費用の相場は、30分につき5,000円です。相談料を払えば通常何度でも相談できますが、あくまで相談だけで、具体的な手続きをとってもらうことはできません。書類の作成をしてもらう場合にも、別途料金を払う必要があります。弁護士費用は主に着手金と報酬金弁護士に事件を依頼したときに払う費用は、着手金と報酬金に分かれます。着手金依頼時に最初に支払うお金です。弁護士に依頼しても必ず希望どおりの結果になるとは限りませんが、着手金は結果に関係なく払うことになります。報酬金事件終了時に払うお金です。結果の成功の程度に応じて金額が変わります。印紙代などの実費は別途請求される弁護士に調停や裁判など裁判所での手続きをとってもらう場合には、裁判所に支払う印紙代や切手代が発生します。これらの実費は、立替金として、着手金や報酬とは別に請求されます。実費としては、このほかに、通信費や交通費、日当などが発生することがあります。協議離婚を弁護士に依頼した場合の費用の相場弁護士に離婚を依頼できるのは、裁判所に調停や裁判を起こす場合に限りません。協議離婚も弁護士に依頼できます。協議離婚を弁護士に依頼するメリット離婚したいけれど、相手方と直接話し合うのが困難な場合、弁護士に話し合いの代理人を依頼できます。特に、DVやモラハラの場合、自分で話をすれば相手に言われるままの条件で離婚に応じてしまいがちなので、弁護士に代わりに交渉してもらった方がよいでしょう。離婚についての話し合いが困難なときには、弁護士に依頼するのではなく、調停を申し立てる方法もあります。しかし、離婚調停は成立するとは限りません。成立する場合でも何か月も時間がかかってしまうのが通常です。弁護士に協議離婚を依頼すれば、スムーズに離婚条件の合意ができ、早期に協議離婚ができることがあります。弁護士に依頼して協議離婚が成立した場合には、離婚協議書も作成してもらえるので、将来のトラブルにも備えられます。協議離婚の着手金と報酬弁護士に協議離婚の交渉を依頼する場合、着手金の相場は20~30万円程度です。報酬金は、財産分与や慰謝料として獲得できた額によって変わってきますが、20~40万円程度になることが多くなっています。離婚協議書作成のみを依頼した場合の弁護士費用離婚条件について夫婦間で合意ができている場合、弁護士に依頼して離婚協議書を作成してもらうことができます。弁護士に離婚協議書作成のみを依頼する場合には、着手金と報酬という形で費用を払うのではなく、10万円程度の手数料を払うのが一般的です。離婚協議書は、公証役場で公正証書にすることもできます。公正証書を作成するときには、弁護士の手数料とは別に、公証人手数料がかかります。公証人手数料の金額は公正証書の内容によって変わりますが、通常は2~5万円程度です。離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用の相場離婚調停は、弁護士に依頼しなくても、自分ですることもできます。しかし、弁護士に依頼すれば、調停が有利に進む可能性が高くなります。離婚調停を弁護士に依頼するメリット離婚調停では、指定された期日に裁判所に行って、これまでの経緯やこちらの言い分を調停委員に説明しなければなりません。弁護士に依頼すれば、論点を整理した主張書面を提出した上で、必要な説明を行ってくれます。自分だけで対処する場合には、調停委員を前にするだけで緊張することもあります。書面を作成するにしても、どのようにまとめれば効果的かがわかりません。自分の言いたいことがきちんと伝わらなければ、調停で不利になってしまうこともあり得ます。特に、相手方に弁護士がついた場合には、相手方のペースでどんどん進められてしまう可能性があります。こちらもできるだけ早く弁護士に依頼した方がよいでしょう。離婚調停でかかる弁護士費用の相場離婚調停を弁護士に依頼する場合には、同時に離婚協議も行ってもらえることが多くなっています。この場合、着手金の相場は20~30万円程度、報酬金は獲得額によって変わりますが、20~40万円程度になるのが一般的です。離婚調停でかかる印紙代・切手代家庭裁判所に離婚調停を申し立てるときには、印紙代として1,200円がかかります。なお、離婚調停中の生活費を請求したい場合、離婚調停と同時に婚姻費用分担請求調停を申し立てることも可能です。婚姻費用分担請求調停を申し立てる場合には、印紙代として追加で1,200円がかかります。切手代は裁判所によって異なりますが、1,000円程度です。離婚審判になるケースとかかる費用離婚審判とは、離婚調停が成立しない場合に、裁判官が職権で離婚を成立させる手続きです。調停不成立になった場合、通常はそのまま終了します。しかし、些細な意見の食い違いで調停が成立しない場合には、審判に移行され、審判で離婚が決まることがあります。なお、婚姻費用分担請求調停が不成立のときは自動的に審判に移行し、審判で婚姻費用の額が決まります。離婚審判は申し立てが必要な手続きではないので、印紙代等もかかりません。弁護士費用についても、審判は調停の延長として、特に区別されていないのが通常です。離婚裁判を弁護士に依頼した場合の費用相場離婚調停が成立しない場合、離婚するには離婚裁判を起こさなければなりません。離婚裁判となると、自分で対処するのは困難です。離婚裁判で弁護士がやってくれること離婚裁判を弁護士に依頼した場合、裁判所に提出する訴状を作成してもらえます。訴訟を提起する前提として、証拠集めを手伝てもらうことも可能です。裁判期日には、弁護士が代理人として法廷に行ってくれますから、自分が毎回出廷する必要はありません。離婚裁判においては、専門知識をもつ弁護士が主張を展開することで、有利な条件で離婚が成立する可能性が高くなります。離婚裁判でかかる弁護士費用の相場離婚裁判から弁護士に依頼した場合、着手金として30~40万円程度がかかります。調停から依頼して裁判になった場合には、裁判の着手金は割引になるのが一般的です。報酬金は獲得額によって変わるのでばらつきがありますが、少なくとも20~30万円程度はかかります。離婚裁判でかかる印紙代・切手代離婚裁判の印紙代は、訴訟で請求する内容によって変わってきます。離婚のみを請求する場合には1万3,000円ですが、財産分与を請求する場合には1,200円、養育費を請求する場合には1人につき1,200円、慰謝料を請求する場合には慰謝料の金額に対応した額(例160万円以下の場合には1万3,000円)が加算されます。切手代は裁判所によって異なりますが、6,000円程度になります。なお、離婚裁判に勝訴した場合には、かかった費用を相手方に請求できますが、弁護士費用については自己負担になります。離婚で弁護士に依頼した場合:まとめ離婚を弁護士に依頼した場合、調停までで解決するなら、実費を含めてもかかる費用は50~70万円程度です。裁判になった場合には、請求する慰謝料や財産の額が高額であれば、100万円以上かかることもあります。離婚については初回無料で相談できる弁護士も多いので、まずは相談してみて、費用も見積もりしてもらいましょう。
2019年01月27日女性が熟年離婚する場合には、老後の資金が足りなくなることに不安を感じるはずです。老後の資金になるものと言えば、主に年金と退職金。年金には離婚時年金分割の制度が用意されていますが、退職金の分割制度はありません。ただし、退職金は財産分与により分けてもらえる可能性があります。ここでは、離婚時に夫の退職金を財産分与してもらう方法について説明します。退職金は金額も大きいですから、老後の資金として忘れずに確保しておきましょう。離婚時に退職金を分割してもらえるケースとは?婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚の際に財産分与の請求ができます。夫が勤務先から退職金をもらう場合には、退職金も財産分与の対象となり、妻も退職金を分割してもらう権利があります。会社員や公務員と離婚するなら退職金も分けられる会社員や公務員は、勤務先を退職するときに、退職金をもらえることが多いでしょう。退職金は、給料の後払い的性質を持つものです。婚姻期間中に夫が受け取った給料には妻の貢献も入っているため、夫婦が共同で築いた財産と考えられます。退職金は、給料の一部を貯金しているようなものです。婚姻期間中に夫婦でした貯金が財産分与の対象となるのと同様に、退職金についても、婚姻期間中に貯金したと考えられる部分は、財産分与の対象になります。将来受け取る退職金も離婚時の財産分与の対象離婚時に夫が既に退職金を受け取っている場合、残っていれば当然分けてもらうよう請求できます。また、離婚時にまだ退職金を受け取っていない場合でも、退職金を分割してもらえる可能性があります。将来の退職金を分割してもらえるのは、退職まであと少しで、退職金をもらえるのがほぼ確実と思われる場合になります。この場合、退職後に離婚すれば退職金を分割してもらえるのに、退職前に離婚すると分割してもらえないとなると不合理だからです。離婚時に20代や30代の場合には、今の会社に定年まで勤めるかどうかはきわめて不明確です。定年まで勤めたとしても、必ず退職金をもらえるという保証もありません。このような場合には、退職金を分けてもらうことはできないことになります。何歳以降の離婚なら退職金を分けてもらえるのかなどの明確な基準はありません。判例では、退職まで概ね10年以内であれば、将来の退職金の財産分与が認められるケースが多くなっています。将来の退職金を分与する場合の支払時期夫が将来受け取る退職金の財産分与について合意をした場合、離婚時にその金額を前もって払ってもらってもかまいません。しかし、実際に退職金を受け取っていないので、夫側は払えるだけの現金を持っていないことが多いでしょう。離婚時に払えない場合には、将来退職金を受け取った時期に支払う旨の合意をしておきます。なお、将来受け取るはずのお金を前もって払ってもらう場合、本来の受け取り時までに生じる利息を差し引きし、現在の価値に直すという処理をします。これが「中間利息控除」と呼ばれるものです。将来の退職金を離婚時に受け取る場合、中間利息控除を行うため、受取金額が少なくなります。離婚後も2年以内なら財産分与請求が可能離婚時に退職金の財産分与について決めなかった場合、離婚後に退職金の分与を請求することも可能です。ただし、財産分与請求には、離婚後2年以内という期限がありますから、注意しておきましょう。なお、離婚後2年以内というのは、家庭裁判所に財産分与の調停や審判を申し立てる期限です。離婚後2年以内に申し立てさえしておけば、調停・審判中に離婚後2年が経過しても問題ありません。離婚時に分割する退職金はどうやって計算する?財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつです。しかし、退職金の分与割合は、必ずしも半分ずつとは限りません。退職金のうち財産分与できるのは、婚姻期間中の給料に相当する部分のみです。既に退職金を受け取っている場合の計算方法離婚時に既に退職金が支払われている場合には、退職金額が確定していますから、計算も比較的簡単です。具体的には、次のようになります。結婚した後でその会社に就職した場合退職金の全部が婚姻期間中に築いた財産ということになります。退職金の全額が財産分与の対象となり、妻は退職金の半分の請求が可能です。結婚する前からその会社に勤務していた場合退職金の全部ではなく、勤務期間のうち婚姻期間が占める割合分が財産分与の対象になります。たとえば、勤務期間が30年で婚姻期間が20年の場合には、退職金の3分の2が財産分与の対象となり、妻は退職金の3分の1の請求が可能です。将来の退職金を財産分与する場合の計算方法将来の退職金については、金額が確定していません。分与額の計算について明確なルールが定まっているわけではありませんが、一般には次の2つのどちらかの考え方にもとづき計算します。1. 離婚時に退職したと仮定して算出される退職金を基準にする離婚時点で自己都合退職したと仮定して、就業規則や退職金規程を参考に、退職金を計算します。仮に算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。2. 定年退職時に受け取りが予想される退職金を基準にする定年退職まで勤務したと仮定して受け取る退職金額を試算します。算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。離婚するまで共働きだった場合の退職金の計算方法共働きの場合でも、夫の退職金の分与を請求できます。一方で、自分の退職金も夫に分与しなければならない可能性があります。夫婦双方の退職金が財産分与の対象になる場合、財産分与の対象となる額を合計して2分の1ずつ分ける形で調整することになります。離婚までに別居期間がある場合の退職金の計算方法離婚の前から別居している場合、財産分与については、原則として別居時の財産を基準にします。退職金も、婚姻期間のうち別居時までの期間に相当する部分が財産分与の対象となります。離婚後に退職金を払ってもらえないときに差押えはできる?将来の退職金の財産分与について離婚時に合意をしても、手元に現金がなければ、実際に受け取ったときの支払いにせざるを得ません。約束した退職金を将来必ず払ってもらうためには、差押えなどの強制執行が可能な形にしておくのが理想です。退職金の財産分与で差押えを可能にするには、次のような方法があります。離婚調停で退職金について取り決めする離婚時に退職金の財産分与を行う場合、分与額の計算は複雑です。計算方法によって分与額も変わってくるため、話し合いで簡単に合意できないことも多いでしょう。離婚自体に合意しているけれど離婚条件で合意できない場合にも、家庭裁判所の離婚調停で解決することが可能です。離婚調停では、裁判官・調停委員のアドバイスにもとづき、退職金の分与方法を決めることができます。調停が成立すれば、裁判所で調停調書を作成してもらえます。この場合、約束どおり退職金を払ってもらえない場合には、調停調書にもとづき差押えが可能です。協議離婚する場合には公正証書を作成金銭の支払いに関する約束を公正証書にしておけば、公正証書にもとづき差押えが可能になります。離婚時には、退職金の支払いや他の合意事項について、離婚公正証書を作成しておきましょう。なお、差押えを可能にするためには、支払金額が確定していなければなりません。「退職金の2分の1の金額を支払う」というだけの取り決めでは、具体的な金額が特定できず、そのままでは差押えができないことになります。協議離婚する場合でも、将来の退職金の財産分与については、専門家に相談した上で取り決めするのがおすすめです。離婚時に退職金を分割してもらう方法:まとめ退職金は財産分与の対象になります。夫が定年退職するまで概ね10年以内で退職金をもらえるのがほぼ確実なら、夫が将来受け取る退職金を分けてもらうことも可能です。退職金は金額も大きいため、どう分けるかで争いになりがちです。話し合いで合意できない場合には、調停を利用する方法もあります。老後の資金として重要なものの1つですから、安易に妥協しないようにしましょう。
2019年01月21日女性が離婚するとき、いちばん考えておかなければならないのが、生活費の問題ではないでしょうか?離婚後は働いて収入を得るにしても、一人で子供を育てていくのは大変です。離婚前に別居する場合には、別居中の生活費も気になるでしょう。今回は、離婚前や離婚後の生活費を相手にどこまで請求できるかについて説明します。離婚を考えるなら、必要なお金を確保する方法を知っておきましょう。離婚するまでの生活費は当然に請求できる離婚するまでには準備期間も必要です。離婚前に、とりあえず別居期間を設けることも多いでしょう。別居中も夫婦である以上、生活費の請求は可能です。離婚するまでは生活費の支払い義務がある離婚するまでは法律上も夫婦ですから、たとえ別居しても相手に生活費を請求できます。民法には、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(760条)という夫婦の婚姻費用分担義務が定められているからです。婚姻費用とは、夫婦と子供の生活費とされており、衣食住の費用のほか、医療費や子供の教育費なども含まれます。これらの費用は、夫婦が収入に応じて分担するものとされているため、自分一人で負担する必要はないのです。離婚前の生活費の計算方法婚姻費用として請求できる額について、実務では「養育費・婚姻費用算定表」を用いて計算します。養育費・婚姻費用算定表を見れば、夫婦の収入や子供の人数別に生活費の相場がわかります。ただし、生活費の金額は、本来、それぞれの家庭の事情によって異なるものです。算定表に該当しないケースもありますし、算定表の額は一般に少なすぎるとも言われています。婚姻費用としていくら請求したらよいかわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。離婚前に生活費をもらえないなら調停も可能離婚前に相手に生活費を請求しても払ってもらえないときには、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。調停で話し合っても相手が生活費の支払いに応じないなら、そのまま審判に移行されることになり、裁判官が生活費の額を決定します。調停や審判で婚姻費用が決まった場合には、裁判所で調停調書や審判書が作成されます。裁判所で決まった婚姻費用を払ってもらえないときには、調停調書や審判書にもとづき強制執行も可能です。離婚前の生活費を話し合いで決めるなら公正証書を別居する際に生活費について話し合いをして取り決めした場合、取り決めの内容を公証役場で公正証書にすることもできます。婚姻費用について公正証書にしておけば、調停調書や審判書がある場合と同様、支払いがないときの強制執行が可能になります。離婚後の子供の生活費は養育費として請求可能養育費とは、離婚後子どもにかかる生活費のことです。離婚の理由にかかわらず、子供の生活費については、別居する方の親に対して当然に請求ができます。親は子供の生活費を負担する義務がある民法上、親は未成熟子(経済的に自立していない子供)に対する扶養義務があるとされています(820条、877条1項)。夫婦が離婚しても、子供と親との関係は変わりません。同居していなくても、子供の生活費を負担する義務があるということです。扶養義務には、「生活保持義務」(自分と同水準の生活をさせる義務)と「生活扶助義務」(自分の生活に余裕がある範囲で助ける義務)の2種類があります。親の未成熟子に対する扶養義務は、より強力な「生活保持義務」とされています。「生活に余裕がない」という理由で、養育費の支払い義務を免れることはありません。妻が子供を引き取る場合には、当然夫に対して養育費を請求できます。離婚後子供にかかる生活費の相場養育費として請求できる額は、婚姻費用と同様、裁判所の養育費・婚姻費用算定表で相場を知ることができます。ただし、養育費・婚姻費用算定表の金額をもらえば、十分というわけではありません。子供の習い事や塾費用、私立高校の学費など、算定表ではカバーされていないものも多くあります。養育費を請求するときには、離婚後にかかる子供の生活費をしっかり見積もり、それを夫婦でどう負担するかを話し合うことが大切です。養育費については、こちらの記事をご参照ください。協議離婚なら公正証書で養育費の支払いを確保協議離婚の場合には、養育費についても話し合いで決めることになります。取り決めした証拠を残し、かつ、支払いがなかった場合に強制執行を可能にするために、公正証書を作成しておきましょう。妊娠中の離婚で生活費は請求できる?妊娠中に離婚した場合、出産・育児のためしばらく働けないこともありますから、生活費が不安です。離婚時に相手に請求できるお金は、きちんと請求するようにしましょう。妊娠中の離婚でも養育費は請求可能結婚している間に妊娠した場合、たとえ出産前に離婚したとしても、子供は法律上も別れた夫の子として扱われます(民法772条)。また、子供の親権は原則として母親が持つことになりますから、父親である別れた夫に養育費を請求することが可能です。扶養的財産分与として離婚後の生活費をもらう夫には、別れた妻の離婚後の生活費を負担する義務はありません。ただし、離婚時に扶養的財産分与として夫に当面の間の生活費を支払ってもらう取り決めをすることは可能です。扶養的財産分与を請求できるのは、3年程度になります。協議離婚で扶養的財産分与の取り決めをしたときには、養育費と合わせて公正証書にしておきましょう。慰謝料を請求する浮気など相手が一方的に離婚原因を作った場合には、慰謝料を請求できます。慰謝料請求は証拠がなければ困難なことが多いので、証拠を集めておきましょう。熟年離婚で生活費を確保する方法熟年離婚の場合には、老後の生活費の確保についても考えておかなければなりません。年金や退職金などはもちろん、老後のために準備しているお金があれば、離婚の際にきちんと分けておきましょう。年金分割で老後の年金を確保熟年離婚の場合には、年金分割で老後の年金を増やすことも忘れないようにしましょう。年金分割は、離婚後2年以内に手続きする必要があります。年金分割については、こちらの記事をご参照ください。将来の退職金や私的年金の財産分与を受ける夫が退職間近なら、将来受け取る退職金についても財産分与できます。確定拠出年金、個人年金、国民年金基金などの私的年金に加入して保険料を払っている場合も同様に、受け取り時期が将来であっても、財産分与が受けられる可能性があります。老後の生活費として準備しているお金など、財産分与を受けられるものがないかを確認しておきましょう。離婚時に生活費を請求するときの注意点離婚前や離婚後に相手に生活費を払ってもらうときには、次のような点に注意しておきましょう。過去の生活費を請求することはできない婚姻費用については、原則として、過去の分を遡って請求することはできません。離婚が決まってから離婚までの生活費の支払いを要求しても、相手が任意に応じてくれない限り、支払いを受けるのは困難です。離婚調停をする場合には、調停成立まで時間がかかることが多いので、婚姻費用分担請求も同時に申し立てておきましょう。なお、過去の生活費の支払いを受けていない場合、財産があれば、財産分与で調整することは可能です。離婚後に生活費をもらうと税金がかかる可能性も離婚後は、夫婦は他人になってしまうので、お互いの扶養義務は消滅します。たとえ扶養的財産分与であっても、離婚後に別れた夫から年間110万円を超える生活費を受け取ると、贈与税がかかる可能性があります。なお、養育費については、未成熟子に対する扶養義務にもとづくものですから、贈与税の課税対象にはなりません。離婚の生活費に関するまとめ別居していても、離婚成立までは別れた夫に生活費を払ってもらうことができます。離婚後は原則として生活費の請求はできません。ただし、子供にかかる費用については、養育費として当然に請求できます。離婚時には、慰謝料や財産分与、年金分割などを請求できることもあります。請求できるお金はもれなく請求し、生活費を確保するようにしましょう。
2019年01月16日協議離婚するときには、離婚協議書を作成しておくと安心です。養育費など金銭の支払いがある場合には、支払確保のために、離婚協議書を公正証書にしておきましょう。本記事では、離婚協議書を公正証書にする作り方、必要書類、費用などについて詳しく説明します。離婚公正証書を作成した方がよいケースとは?離婚公正証書とは、離婚協議書を公正証書の形で作成したものです。公正証書には、通常の契約書や合意書にはない効力があります。協議離婚するなら離婚協議書を作成離婚協議書とは、協議離婚する際に夫婦間で取り決めした事項を記載した合意書です。調停離婚など裁判所を通じて離婚する場合と違って、協議離婚は離婚届を出すだけでできるので、取り決め事項の書面が残りません。口約束で別れてしまうと後々トラブルになることがあるので、離婚協議書を作って残しておきましょう。公正証書とは?離婚協議書と公正証書の違い離婚協議書は、公正証書にすることもできます。公正証書とは、公証人に依頼して作成してもらう文書です。公証人とは、公証役場で文書の認証などの業務を行っている公務員になります。公正証書を作成するときには、当事者が公証役場に出頭し、公証人に本人確認や意思確認を受けます。契約書や合意書を公正証書の形で作成すれば、偽造などを疑われる可能性もきわめて低くなるということです。離婚公正証書は、離婚協議書に比べて証明力が高くなります。離婚の際に合意した条件を離婚公正証書にしておけば、「そんな約束はしていない」という言い訳ができなくなってしまいますから、相手に約束を守らせる上でも効果的です。養育費の確保には公正証書が有効離婚協議書を公正証書にした方がよいのは、離婚後に養育費などのお金の支払い義務が残るケースです。というのも、公正証書には、強制執行認諾約款を付けることができるからです。強制執行認諾約款とは、「本証書に記載の金銭債務の履行をしないときは、強制執行を受けることを認諾する」といった条項です。公正証書に強制執行認諾約款を入れておけば、裁判などを経ることなく、公正証書にもとづき強制執行ができます。慰謝料などは離婚時に一括払いすることも多いですが、養育費はほとんどの場合、長期間にわたって支払いを続けることになります。途中で支払いがされなくなるリスクも高いですから、公正証書を作成し、強制執行に備えるのが安心です。離婚公正証書作成の流れ協議離婚で公正証書を作成するまでの大まかな流れは、次のようになります。1. 離婚条件の合意夫婦で離婚協議をし、離婚の条件及び公正証書作成について合意をします。2. 公証役場に依頼公証役場は全国に約300か所ありますが、どこに依頼してもかまいません。公証役場がどこにあるかは、日本公証人連合会のホームページで検索できます。3. 事前打ち合わせ・作成日時の決定離婚公正証書に記載する内容について、公証人と事前に打ち合わせをします。また、公証役場に行って公正証書を作成する日時を決定します。4. 公正証書作成あらかじめ予約した日時に夫婦で公証役場に行き、内容を確認の上、公正証書の原本に署名押印します。離婚公正証書の必要書類公証役場で離婚公正証書を作成してもらう際には、次のような必要書類を提出しなければなりません。戸籍謄本離婚前の夫婦は同じ戸籍に入っているので1通でかまいません。離婚届を出した後に公正証書を作成する場合には、戸籍は別になっているため、それぞれの戸籍謄本が必要です。身分証明書・認印公正証書作成時には、本人確認のため、身分証明書の提示が求められます。運転免許証があれば、免許証を出しましょう。免許証がない場合には、顔写真入りのパスポートやマイナンバーカードなどを提示します。身分証明書がなければ、印鑑証明書と実印をセットにして本人確認してもらいます。なお、公正証書作成当日には、認印も持参する必要があります。代理人が出頭する場合の必要書類当事者本人が公証役場に出頭できない場合には、代理人が出頭することも可能です。ただし、1人が夫婦双方の代理人を兼ねることはできません。代理人が出頭する場合には、委任状、本人の印鑑証明書、代理人の身分証明書が必要です。その他の資料公正証書の内容によって、資料の提出を求められることがあります。たとえば、不動産の財産分与がある場合には、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書の課税明細)が必要です。公正証書で年金分割の合意をする場合には、年金分割のための情報通知書や基礎年金番号がわかる書類を提出します。離婚公正証書の作成費用公正証書を作成するには、費用がかかります。公正証書作成費用の目安を知っておきましょう。公証役場で公証人手数料がかかる公証役場で公正証書を作成してもらうときには、公証人手数料を支払う必要があります。公証人手数料の主なものは、公正証書作成手数料です。その他に、正本・謄本作成費用(用紙代)や送達費用(公正証書の送付手続きにかかる費用)などが加算されます。公正証書作成手数料目的物の価額(公正証書に記載した支払金額や財産額など)によって変わります。(以降略)公正証書作成手数料は、養育費、慰謝料、財産分与などの種類別に計算し、合計します。養育費については、10年を超える場合には10年で計算します。離婚公正証書の公証人手数料は2~5万円程度離婚公正証書作成時に支払う公証人手数料は、一般には2~5万円程度です。公正証書作成を行政書士、司法書士、弁護士等の専門家に依頼した場合には、別途専門家の報酬が発生します。離婚公正証書の内容と文例離婚公正証書には、主に、次のような事項を記載します。なお、通常は夫を「甲」、妻を「乙」、子を「丙」「丁」などとします。離婚の合意離婚の合意をすること及び離婚届の提出方法などを記載します。甲及び乙は協議離婚することとし、本証書作成後、甲又は乙において速やかに離婚届を提出する。養育費養育費の金額、支払期間、支払方法を記載します。振込の場合には、振込手数料の負担についても書きます。甲は乙に対し、丙の養育費として、○○年○月から○○年○月まで、毎月末日限り、1か月当たり金○万円ずつを、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は、甲の負担とする。財産分与財産分与がある場合には、内容を記載します。不動産の名義変更が必要になるケースでは、登記費用の負担についても書いておきます。甲は乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、甲所有の下記土地・建物を分与することとし、財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。ただし、登記手続費用は甲の負担とする。慰謝料慰謝料の支払いがあるときには、支払方法等を記載します。分割払いの場合には、強制執行に備えるため、期限の利益喪失条項を入れておきます。甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として、金○○円を支払う義務があることを認め、これを下記のとおり分割して支払う。(中略)甲が前項の分割金の支払を怠り、その遅滞額が金○万円に達したときは、甲は乙からの通知催告を要せず、当然に期限の利益を喪失し、直ちに乙に対し、既払金を除く前項給付金全額を一時に支払う。面会交流子供がいる場合には、別居する親との面会交流についても定めておきます。乙は甲に対し、甲が丙と月1回程度面会交流することを認める。面会交流の具体的な日時、場所、方法等については、甲と乙が、丙の意思を尊重し、かつ、丙の福祉に十分配慮して協議決定するものとする。清算条項公正証書に記載した以外の債権・債務がないことを明確にする清算条項を入れておくことができます。清算条項を入れた場合には、双方とも、追加の請求などはできなくなります。甲乙は、本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、今後財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず相互に財産的請求をしない。また、甲乙は、本証書に定めるほか相互になんらの債権債務がないことを確認する。まとめ:離婚公正証書は必ず作成しよう協議離婚で養育費の支払いがある場合には、公正証書を作成しておきましょう。公正証書作成には手間や費用がかかりますが、支払いを確保するには有効な手段です。公正証書作成は、行政書士等の専門家に依頼できます。専門家に依頼した場合には、公正証書原案の作成や必要書類の取り寄せ、公証人との打ち合わせなどを任せられます。離婚に関する以下記事もおすすめ☆
2019年01月11日老後の資金としてまず確保しておきたいのが年金です。サラリーマン家庭で夫の方が妻よりも収入が多い場合、妻は離婚時に年金分割を受けることにより、将来の年金受取額を増やせます。本記事では、年金分割のしくみについてわかりやすく説明します。年金分割の手続きの大まかな流れについても知っておきましょう。離婚時年金分割制度って何?離婚時年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金保険料納付記録(納付実績)を離婚時に分け合う制度です。年金分割では、年金そのものを分けるのではなく、分けるのはあくまで保険料の納付実績になります。公的年金(国民年金・厚生年金)は、保険料の納付実績に応じて給付額が決まります。たとえば、夫が会社員(国民年金第2号被保険者)、妻が専業主婦(国民年金第3号被保険者)の場合、妻は保険料を負担していないため、婚姻期間中の納付実績がありません。このようなケースでは、妻は離婚すると、将来の年金受取額が少なくなってしまいます。離婚時に年金分割により夫の保険料納付実績を分割してもらえば、専業主婦の妻も、将来の年金受取額を増やすことが可能です。離婚時の年金分割の対象となる年金は?離婚時年金分割は、国が運営・管理している公的年金に関する制度です。「年金」と名の付くものがすべて対象になるわけではありません。公的年金でも国民年金は対象外離婚時年金分割制度の対象となるのは、公的年金のうち、厚生年金(旧共済年金含む)のみです。自営業などで婚姻期間中夫婦共ずっと国民年金の第1号被保険者だった場合には、年金分割はできません。私的年金は年金分割ではなく財産分与をする私的年金(公的年金に上乗せする目的で加入する年金)も、年金分割の対象外です。企業年金(確定給付年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金など)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、国民年金基金、民間の保険会社の個人年金などは私的年金なので、年金分割はできません。私的年金のうち、結婚している間に夫婦で保険料を払った部分については、財産分与ができる可能性があります。私的年金を財産分与する場合には、将来私的年金を受け取った時点で受け渡しするか、受取見込額を計算して離婚時に清算する方法などを検討しましょう。離婚時の年金分割の種類とは?年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。手続きする前に、どちらに該当するのかを把握しておきましょう。①合意分割夫婦が合意することにより、婚姻期間中の納付実績を多い側から少ない側へ分割する方法が「合意分割」です。合意分割は、婚姻期間全体が対象になります。共働き夫婦の場合でも、夫の方が収入が多いなら、合意分割をして妻の年金受取額を増やすことが可能です。②3号分割平成20年4月1日以降に国民年金の第3号被保険者だった人(専業主婦)は、平成20年4月1日以降の納付実績については、相手との合意なしに分割が受けられます。これを「3号分割」といいます。3号分割ができる人も、平成20年3月31日以前の納付実績については、合意分割によらなければ分割が受けられません。なお、合意分割の対象期間に3号分割の対象となる期間が含まれているときには、合意分割を請求した時点で、3号分割の請求があったものとみなされます。離婚の際の年金分割に相場はある?年金分割では、年金そのものを分けるのではありませんから、分割してもらう金額の相場というのはありません。年金分割で分けるのは保険料の納付実績で、割合を指定して分けることになります。※以下、夫婦のうち夫の方が収入が多いと仮定して説明します。年金分割の按分割合とは?年金分割で保険料の納付実績を分けるときには、「按分割合」を指定します。按分割合とは、夫と妻の納付実績の合計を100%と仮定した場合の、年金分割後の妻の持分です。「夫の納付実績の○%をもらえる」という意味ではありません。婚姻期間中、妻に保険料の納付実績がない場合(専業主婦の場合)、按分割合50%とすると、夫の納付実績の半分をもらうことになります。一方、妻にも保険料納付実績がある場合(共働きの場合)、按分割合50%は、妻が元々持っている持分と夫から受け取る分を合わせて50%ということです。合意分割の按分割合年金分割では、妻の持分が夫の持分を超える指定はできません。そのため、合意分割で定めることができる按分割合の上限は、どの夫婦でも50%(2分の1)となります。按分割合の下限については、妻が元々持っている持分によって変わります。年金分割をしても、妻は元々持っている持分を奪われることはないからです。按分割合の範囲妻が婚姻期間中ずっと専業主婦だった場合には、妻が元々持っている持分は0%なので、0~50%の範囲内で按分割合を指定します。共働きで妻が元々25%の持分を持っている場合には、妻の25%は確保されるので、指定できる按分割合の範囲は25~50%です。合意分割の按分割合に相場はある?合意分割では、当事者同士で按分割合を決められますから、50%以外の割合にすることも可能です。しかし、当事者間の話し合いで合意できず、裁判所の審判や調停になった場合には、通常は50%の割合に指定されます。相手が按分割合50%の合意分割に応じてくれない場合には、裁判所に申し立てをした方がよいでしょう。3号分割の按分割合3号分割の場合には、按分割合は50%と決まっています。3号分割の対象期間については、年金事務所で年金分割の請求をすれば、妻は自動的に50%の持分の分割を受けられます。別居期間のある場合の年金分割婚姻期間中に別居期間があっても、年金分割は原則どおり上限50%の按分割合でできます。年金分割では、特別な事情がない限り、按分割合の上限50%が減らされることはありません。長期間別居していても、特別な事情には該当しないとされるのが通常です。離婚時の年金分割はどうやって手続きする?年金分割をするときには、事前に準備をした上で、離婚後に年金事務所で請求手続きをする必要があります。年金分割の手続きの流れ1. 「年金分割のための情報提供請求書」の提出年金事務所に行き、「年金分割のための情報提供請求書」を書いて提出します。2. 「年金分割のための情報通知書」の受け取り日本年金機構から「年金分割のための情報通知書」が自宅に郵送されてきます。3. 夫婦間の合意または調停・審判申立て(合意分割の場合)合意分割をする場合には、夫婦間の合意が必要です。話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に審判または調停を申し立てて、按分割合を決めます。4. 「標準報酬改定請求書」の提出(年金分割の請求)年金事務所で「標準報酬改定請求書」を提出し、年金分割の請求手続きを行います。合意分割の場合には原則として当事者2人で年金事務所に行かなければなりませんが、年金分割の合意について記載された公正証書や公証人の認証を受けた年金分割合意書、裁判所の調停調書や審判書を持参すれば、分割を受ける側だけで手続きできます。5. 「標準報酬改定通知書」の受け取り年金機構から「標準報酬改定通知書」が届いたら、年金分割の手続きは完了です。年金の受給時には、分割された納付実績にもとづき年金が支払われます。年金分割の期限は?年金分割で最も気を付けておかなければならないのが請求期限です。たとえ夫婦間で年金分割の合意をしても、期限までに年金事務所で請求手続きをしなければ、年金分割は受けられません。離婚後2年以内に年金事務所での手続きが必要年金分割の手続きは、離婚した日の翌日から2年を経過すると、それ以降はできません。離婚後に年金分割の合意をすることも可能ですが、離婚後2年以内に必ず年金事務所に行って、標準報酬改定請求書を提出する必要があります。なお、離婚届を出す前に年金分割の請求をすることはできません。相手の死亡後1か月を経過すれば請求できない離婚から2年経っていなくても、相手が死亡して1か月を経過すると、年金分割の請求はできなくなります。離婚すれば、相手が亡くなっても連絡が来ないこともあるでしょう。年金分割の手続きを先延ばしにしていると、相手が知らない間に亡くなっていて、年金分割が受けられないこともあります。年金分割の手続きは、離婚後速やかにすませておきましょう。まとめ年金分割で年金を増やせるのは、専業主婦だけではありません。共働きでも、年金分割をしておけば、年金受給額が増えることがあります。熟年離婚でなくても、多少は年金が増えるメリットがありますから、離婚の際には年金分割を検討しましょう。
2019年01月03日離婚したいのに相手が応じてくれない場合、裁判になったら費用がかかるのが心配でしょう。ここでは、離婚裁判でかかる費用の相場や費用が用意できない場合の対処法について説明します。裁判費用が払えないという理由だけで離婚をあきらめることのないよう、知識を持っておきましょう。離婚で裁判になるケースはどれくらい?日本では、話し合いによる協議離婚が大半で、裁判になるケースはかなり少なくなっています。離婚で裁判になるのは3%未満厚生労働省の人口動態統計によると、平成29年度の離婚件数の総数は21万2,262件で、離婚の種類別の内訳は次のとおりです。上記の表からわかるように、日本では離婚の約9割は協議離婚です。また、裁判する前に調停を経なければならない「調停前置主義」が採用されているため、調停までで離婚が決まるケースが多く、協議離婚と調停離婚で全体の97%を占めます。なお、審判離婚とは調停で合意できない場合に、裁判所が職権で離婚を決める手続きです。離婚に合意しているものの一部の条件で折り合いがつかないようなケースでは、調停から審判に移行され審判離婚となることがあります。離婚裁判になるのは、協議離婚が不可能で、調停や審判でも決着がつかなかった場合ですから、全体の3%にも満たないということです。ほとんどの場合、調停をすれば離婚問題は決着します。裁判になっても和解離婚となるケースが多い離婚裁判になった場合でも、判決まで行くケースはむしろ少数で、裁判上の和解により離婚が成立するケースが多くなっています。平成29年度のデータでも、判決離婚は1%であるのに対し、和解離婚は1.6%となっています。ちなみに、認諾離婚とは、裁判になった後、被告が原告の要求を全面的に受け入れて離婚が成立することですが、まれなケースです。離婚裁判でかかる費用の種類とは?離婚裁判でかかる費用は、大きく分けると、裁判所に払う費用と弁護士費用の2つになります。そのうち大半を占めるのが、弁護士費用です。裁判所に払う費用裁判所に訴状を提出するときに、次のような費用がかかります。収入印紙代裁判所に訴えを提起するときには、法律で定められた手数料を収めなければなりません。手数料の額は訴訟で争う内容や請求する金額によって変わります。離婚裁判では、離婚のみを請求する場合には、手数料の額は1万3,000円です。財産分与を請求する場合には1,200円、養育費を請求する場合には1人につき1,200円が加算されます。離婚と同時に慰謝料を請求する場合には、慰謝料の金額に対応する手数料と離婚の手数料(1万3,000円)のうち多い方に、財産分与や養育費の分を加算する扱いになります。手数料は、収入印紙を訴状に貼って納付します。郵便切手代訴状と一緒に、裁判所からの連絡用の郵便切手(予納郵券)も提出する必要があります。予納郵券の切手の種類や組み合わせ、枚数は裁判所ごとに決まっており、金額も多少違いますが、概ね6,000円程度です。弁護士費用離婚裁判を進めるためには専門的な知識が欠かせませんから、弁護士に依頼した方がよいでしょう。弁護士に払う弁護士費用は、着手金と報酬金の2つに分かれます。現在、離婚の弁護士費用に統一基準はなく、依頼する弁護士によって費用は変わります。着手金弁護士に事件を依頼したときに払う費用です。裁判で敗訴になった場合でも、着手金は返金されません。日弁連が2008年に行ったアンケートによると、弁護士に離婚訴訟から依頼した場合に払った着手金は30万円前後という回答が52.7%、20万円前後が26.4%となっています。報酬金成功報酬とも呼ばれるもので、事件終了時に、成功の程度によって支払う費用です。報酬金は、固定された金額に、慰謝料や財産分与で獲得した金額に応じた額を上乗せした形で請求されるのが一般的です。日弁連のアンケートでは、離婚訴訟からの依頼で払った報酬金は、30万円前後が37.1%、20万円前後が20.1%、50万円前後が17.1%、40万円前後が16.5%と、ばらつきがあります。その他の費用交通費や通信費などの実費を負担しなければなりません。弁護士に遠方の裁判所などに出張してもらう場合には、交通費とは別に日当を請求されることもあります。裁判所に払う費用も、通常は弁護士に立て替えてもらうことになるため、請求されたら払う必要があります。離婚裁判でかかる費用の総額たとえば、離婚裁判で、離婚と財産分与、子2人分の養育費を請求する場合の収入印紙代は、次のようになります。1万3,000円(離婚請求)+1,200円(財産分与)+1,200円×2(養育費)=1万6,600円これに予納郵券代約6,000円を足すと、裁判所に払う費用は約2万3,000円です。弁護士費用として、着手金30万円、報酬金30万円を払うとすると、かかる費用の総額は約63万円となります。離婚裁判の費用はどっちが負担する?裁判費用というのは安くはありませんから、相手のせいで離婚になった場合には、裁判費用も相手に請求したいでしょう。離婚の裁判費用の負担については、次のようなルールがあります。裁判に勝てば訴訟費用は相手に請求できる一般に、弁護士が訴訟を提起するときには、被告に対して、本来の請求に加え、訴訟費用の請求もします。これを受けて、原告が勝訴した場合には、「訴訟費用は被告の負担とする」という判決が出るのが通常です。訴訟を提起する時点では勝ち負けはわかりませんから、訴訟費用も一旦は自分で払わなければなりません。裁判に勝った場合には、後で相手に訴訟費用を請求できます。弁護士費用は自己負担裁判で相手方に請求できる「訴訟費用」には、弁護士費用は含まれません。相手方に請求できるのは、裁判所に払った収入印紙代や郵便切手代などにとどまります。裁判で勝っても、自分が依頼した弁護士に払う弁護士費用は自己負担です。離婚裁判の費用が払えないならどうする?お金がないからと言って、裁判をあきらめる必要はありません。まとまった費用が用意できなくても、離婚裁判をすることは可能です。弁護士費用は分割払いできることも離婚裁判で、裁判所に払う手数料は、分割払いできません。一方、弁護士費用については、少数ですが、分割払いに応じてもらえる事務所もあります。弁護士費用の分割払いの可否については、ホームページに記載されていないこともありますから、直接問い合わせてみましょう。法テラスで弁護士費用を立て替えしてもらえる法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に余裕がない人のために、弁護士費用の立て替えを行っています。収入や資産などの要件をみたしていれば、着手金、報酬金、必要な実費を法テラスに立て替えてもらえます。法テラスに立て替えてもらったお金を返すときには、月5,000円から1万円程度の分割払いが可能で、利息や手数料はかかりません。離婚事件の場合には、配偶者の収入や資産が加算されないので、要件をみたすケースが多くなります。弁護士費用が用意できない場合には、法テラスに相談してみましょう。なお、法テラスの立て替え制度が利用できるのは、法テラスと契約している弁護士に依頼した場合のみです。どの弁護士でも立て替えてもらえるわけではありませんので注意しておきましょう。まとめ離婚裁判をすれば、高額の費用がかかります。離婚するときには、早めに弁護士などの専門家に相談し、裁判になる前の解決を目指しましょう。離婚裁判になった場合、弁護士費用の支払いが困難なら、法テラスの立て替え制度を利用する方法もあります。弁護士費用を払っても、裁判をした方が慰謝料や財産分与で受け取れる金額が多くなることもありますから、あきらめないようにしましょう。
2018年12月23日離婚するときにはお金の問題が発生しますが、そのうちの1つが慰謝料です。「離婚の際には必ず慰謝料をもらえるの?」「慰謝料の相場はいくらくらい?」など、離婚の慰謝料に関してはさまざまな疑問があると思います。本記事では、離婚の慰謝料について説明しますので、離婚を考える際の参考にしていただければ幸いです。離婚の際に慰謝料がもらえるケースとは?離婚の際には、慰謝料の受け渡しをすることがあります。離婚するときには、必ず慰謝料が発生するわけではありません。離婚で慰謝料がもらえるケースについて知っておきましょう。慰謝料は離婚原因を作った側に請求できるお金慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金のことを言います。離婚で慰謝料が発生するのは、夫婦のどちらか一方が離婚原因を作った場合です。相手の行為により離婚やむなしとなってしまった場合には、離婚による精神的苦痛を被ったことになりますから、慰謝料を請求できます。慰謝料は、民法上は不法行為にもとづく損害賠償金です。慰謝料を請求するためには、相手の行為が違法であることが前提になります。精神的苦痛を受けていても、相手の行為が違法とまでいえない場合には、原則的には慰謝料は発生しません。慰謝料が発生するのは浮気やDVの場合が多い慰謝料が発生する典型的なケースは、一方の浮気(不貞行為)により離婚する場合です。ただし、夫婦の両方が浮気したダブル不倫の場合には、違法行為が相殺されることになり、通常は慰謝料は発生しません。また、暴力(DV)も違法行為ですから、暴力を受けた側は慰謝料請求が可能です。モラハラも言葉の暴力と言えますから、慰謝料請求が認められる余地はあります。そのほかに、裁判で離婚の慰謝料が認められた例としては、性的不能、性交渉拒否、一方的な別居などがあります。慰謝料の支払義務がなくても慰謝料を払うことはある一方が離婚原因を作ったというわけでなくても、離婚の際に慰謝料の受け渡しが行われることはよくあります。たとえば、離婚したい側が、慰謝料を払う代わりに相手の了承を得るようなケースです。この場合には、離婚すること自体の慰謝料と考えることもできるでしょう。また、妻が離婚後すぐに自立できない場合に、夫から扶養の意味でお金を払うこともあります。このような場合を扶養的財産分与と呼ぶこともありますが、慰謝料名目で支払いを行うこともあります。離婚の慰謝料の相場はどれくらい?離婚で慰謝料は、お金に換算して払う必要があります。精神的苦痛は目に見えませんから、慰謝料の算定は簡単ではありません。離婚の慰謝料の金額はケースバイケース慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金ですから、精神的苦痛が大きいほど慰謝料の金額は高くなるはずです。と言っても、精神的苦痛の程度をはかるのは実際には困難ですから、過去の裁判例を参考にして金額を考えることになります。裁判では、違法行為の程度、婚姻期間、支払う側の資力、請求する側の自立の程度、夫婦の年齢、子供の有無などさまざまな要素から慰謝料が算定されます。離婚の慰謝料は、金額がいくらと決まっているものではなく、あくまでケースバイケースです。離婚の慰謝料の相場は200~300万円程度離婚の際に、慰謝料としてどれくらいの金額払われているかという近年の統計データはありません。一般には、離婚の際には、200~300万円程度を慰謝料として受け渡すケースが多いと言われています。しかし、上にも書いたとおり、慰謝料の金額は簡単に算定できるものではありません。慰謝料の金額を決める際には、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。離婚の際に慰謝料をもらう方法は?離婚の際に慰謝料を請求できるケースでも、実際どのようにして払ってもらったらよいかがわからないという人もいると思います。離婚の際に慰謝料をもらう方法を知っておきましょう。離婚の慰謝料は話し合いで決めてもいい夫婦間の話し合いにより離婚の合意ができれば、離婚届を出すだけで協議離婚ができます。協議離婚では、慰謝料の金額や支払方法についても、自由に決められます。慰謝料の金額が一般的な相場より高くても低くても、基本的には問題ありません。慰謝料の一括払いが困難な場合には、分割払いの取り決めも可能です。話し合いで慰謝料を決めたら離婚協議書や公正証書を作っておく協議離婚の場合、慰謝料については、離婚届に書くわけではありません。慰謝料などの離婚の条件は、後日のトラブル防止のために、離婚協議書にして残しておくようにしましょう。慰謝料を分割払いにする場合には、約束どおり払ってもらえない可能性がありますから、公正証書にしておくのがおすすめです。お金の支払いについて公正証書にしておけば、支払いがなかった場合に、強制執行の手続きをとることもできます。話し合いで決められないなら離婚調停をする話し合いで慰謝料を払ってもらえない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。離婚自体には合意しているけれど、条件面で折り合いがつかない場合にも、離婚調停の申し立ては可能です。離婚調停で慰謝料の支払いについて同意が得られれば、慰謝料を払ってもらえます。調停で決まった内容は、裁判所で調停調書にしてくれますから、調停調書にもとづき強制執行も可能です。慰謝料請求には証拠が必要離婚調停でも慰謝料の支払いについて同意が得られない場合、最終的に裁判を起こすことができます。ただし、裁判で慰謝料を払わせるには、証拠が欠かせません。相手が慰謝料の支払いを拒否しているなら、証拠をとっておかなければ、払わせるのは難しくなってしまいます。たとえば、相手の不貞行為が原因の離婚で慰謝料を請求したい場合、不貞行為の証拠をとっておく必要があります。離婚が決まってからでは証拠もとりにくいですから、早い段階で証拠をとっておき、慰謝料請求に備えましょう。離婚の慰謝料請求の時効とは?離婚の慰謝料は、離婚が成立した後でも請求可能です。ただし、慰謝料には時効があるので注意しておきましょう。不法行為の慰謝料の時効慰謝料は、不法行為にもとづく損害賠償金です。民法では、不法行為による損害賠償請求権を行使できる期間について、次の①②のいずれか先に到来する方と定められています(724条)。損害及び加害者を知ったときから3年不法行為のときから20年離婚成立から3年以内なら慰謝料請求が可能離婚の際の慰謝料については、通常、具体的な不法行為があった時点ではなく、離婚成立時が時効の起算点になります。なお、離婚の場合は相手(配偶者)がわかっていますから、20年(上記②)というのは関係なく、離婚成立から3年(上記①)で時効になります。たとえば、不貞行為が原因で離婚に至った場合、不貞の事実や相手を知ったときから4年経っていても、離婚から2年しか経っていなければ、元配偶者に慰謝料請求することは可能です。不貞相手への慰謝料請求の時効不貞行為の場合には、配偶者の不貞の相手にも慰謝料請求ができます。不貞相手に慰謝料請求する場合には、離婚成立の時期に関係なく、不貞の事実や相手を知ったときから3年が時効となります。なお、不貞行為のあったときから20年経過した後で相手がわかった場合には、慰謝料請求はできません。離婚の慰謝料に税金はかかる?離婚で慰謝料を受け取った場合には、税金がかかるかどうかが気になると思います。慰謝料への課税の有無は、基本的には次のようになります。離婚の慰謝料は原則的に非課税慰謝料をもらっても、無償で財産をもらったわけではありませんから、贈与税はかかりません。また、慰謝料のような損害賠償金は、所得税も非課税となっています。離婚の際に慰謝料をもらっても、原則的に税金はかかりません。現金以外で慰謝料を払った場合には課税されることがある離婚の際の慰謝料を現金で払うかわりに、不動産を譲渡したようなケースでは、次のような税金の課税対象になることがあります。譲渡所得税不動産が購入時より値上がりしていれば、譲渡した側は譲渡所得があったものとみなされ、譲渡所得税が課税されます。なお、譲渡所得税では3000万円の特別控除が受けられるため、実際には税金が発生しないこともあります。不動産取得税不動産の所有権を取得したときには、不動産取得税の課税対象です。離婚の際の清算的な財産分与では不動産取得税は課税されませんが、慰謝料がわりの不動産の譲渡は課税される可能性があります。まとめ離婚するとき、相手が一方的に離婚原因を作った場合には、慰謝料請求ができます。どちらが悪いというわけではない離婚の場合には、慰謝料請求して強制的に払わせることはできません。ただし、夫婦間の話し合いによって慰謝料の取り決めをするのは自由です。相手が任意に慰謝料を払ってくれるという場合には、受け取ってかまいません。慰謝料が発生するケースでも、金額の算定は難しいところがあります。離婚の際に慰謝料の受け渡しをしたい場合には、弁護士などに相談するのがおすすめです。
2018年12月12日太平洋戦争のさなかだった1945年に初演されて以来、劇団の節目節目に再演されてきたことなどから、文学座が“財産演目”と位置付ける『女の一生』。かつては主人公・布引けい役を足かけ46年にわたり、じつに計947回も務めた杉村春子の代名詞のような作品だったが、その後同役は平淑恵、荘田由紀を経て、2年前に山本郁子に引き継がれた。2016年の公演は各地鑑賞団体(会員制)の主催だったため、一般向けの本公演としては初となる山本主演版が本日10月23日(火)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで幕を開ける。日本がようやく近代的な資本主義国家となり始めた明治38年、天涯孤独の身の上だった布引けいは、清国との貿易で一家を成した堤家に拾われる。闊達な気性を見込まれて長男伸太郎の妻となり、名実ともに堤家の一員となったけいだが、やがて時は流れ……。森本薫が描いているのは、明治の終わりから第二次世界大戦終了までの激動の時代を生き抜いたけいの、文字通り“女の一生”。もとより普遍的なテーマを、2014年の公演から演出を手がける鵜山仁が、より現代に通じる作品に仕上げている点も見どころだ。公演は10月28日(日)まで。文: 町田麻子
2018年10月23日メディアで見聞きするようになった「モラハラ」。モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略で、肉体的な被害が及ぼされることのあるDV(ドメスティック・バイオレンス)とは異なり、精神的な暴力を指します。言葉や態度によって相手の心を傷つけるため、被害を受けた人は精神的に深いダメージを受けることに。ひどい場合には正常な判断力さえ奪われてしまうのです。このページでは、モラハラ夫・妻と離婚を考えたとき、離婚に至るまでの流れと手順についてご紹介いたします。モラハラ認定される行為とはモラハラには、ふたつの段階があります。初期段階は、加害者が被害者を思うとおりに動かしたいという「支配」です。言葉巧みに相手が自分の言うとおりになるような言動を繰り返すことで、被害者の考えや行動を誘導していきます。被害者が反論をするようなそぶりを見せると、第2段階に移行します。第2段階は、加害者側に暴力性が芽生えているため、第1段階に比べて嫌味や暴言が増える特徴があります。「だからおまえはダメなんだ」「あなたってバカだよね」と否定する言葉を繰り返されることで、被害者はだんだん「わたしが悪いせいだ」と思い詰めていってしまうのです。なお、こうした言葉は、決して怒鳴り散らすように言われるケースばかりではありません。そのため、被害者本人が自覚を持ちづらくもあるのです。また、言葉を一切かけない「無視」や、イライラを露わにし続ける態度もモラハラの一種です。なぜモラハラが起きるのかモラハラの加害者の傾向としてあげられるのが、自己愛の強さです。これには育ちかたも影響しており、小さい頃からちやほやされて育った人の中には、「自分が1番正しい」という意識から相手を自然と見下してしまう人がいます。また、自己肯定感が健全に育まれなかった人も、モラハラ加害者になってしまうことがあります。他者から否定をされたときに過敏に反応し、夫婦間や子どもに対して暴発してしまうことがあるんです。 モラハラ夫・妻と離婚する流れモラハラ加害者との関係性は、時間をかければよくなるとは言い切れないものです。自分自身の精神を守るためにも、離婚は有力な選択肢といえるでしょう。協議離婚モラハラに限らず、離婚を考えた際はまず協議離婚を試みます。しかし、長くモラハラを受け続けてきた被害者が加害者と対等に話し合うことは困難。やっとのことで切り出したところで、加害者側に「誰のおかげで生きてこられたんだ!」「何を甘えたことを言っているんだ、だからあなたはダメなんだ」と返されてしまうことも多いです。話し合いが成立しない場合は、言いくるめられてしまう前に、調停や裁判を選びましょう。離婚調停夫婦だけでの解決が難しい場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。この際に重要なポイントは、「証拠」です。身体的暴力性が見られないモラハラは、第三者から被害の程度が判断しづらい特徴があります。さらに、モラハラは家庭内でのみ行われるケースが多いので、夫婦に共通の知り合いがいたとしても、実情が知られにくいという特徴も。そのため、離婚を考え始めたら、以下の証拠を集め始めましょう。自分への暴言の録音データものに当たる様子の動画相手が送ってきたメールやLINEの文面被害の様子を記したもの(日記、SNSへの投稿履歴など)相手にこれまでに行ってきた改善要求の手紙やメールなど第三者から見て、加害の異常性がわかる証拠を示すことが大切です。調停員の前では人当たりが良い態度をとられるケースも多いため、冷静に被害について説明する必要があります。裁判離婚モラハラでの離婚の場合、調停を申し立ててもスムーズに進められるケースはあまり多くはありません。しかし、裁判に持ち込む前には調停を申し立てなければいけないことを覚えておきましょう。裁判での離婚では、法律で定められている離婚理由かどうかが判断の基準となります。モラハラは、民法770条1項の5つ目にあげられている「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまります。重大な事由とは、「性格の不一致・暴力・性的異常・浪費・犯罪」など。モラハラは夫婦間コミュニケーションの問題だとされてしまうケースもあるため、できるだけモラハラ問題に強い弁護士を立てましょう。慰謝料は請求できるのかモラハラでの離婚の場合も、慰謝料は請求可能です。相場は数十万円~300万円程度。金額は婚姻期間の長さや子どもの有無のほか、モラハラの回数・期間・程度によっても異なります。少しでも高い金額を望むのであれば、客観的な証拠をきちんと提示することが必要です。財産分与はどうなるのか離婚理由が何であれ、財産分与はできます。2分の1ずつ分割するケースが大半です。親権はどうなるのか離婚をする際、夫婦間でトラブルになりがちなのが親権です。一般的に、母親のほうが獲得しやすいため、モラハラ加害者が妻で、夫が親権を取得したい場合には難しいということを頭に入れておきましょう。とはいえ、父親が親権を得られないわけではありません。父であれ母であれ「子どもにとってこちらのほうが養育者として適任」と判断されれば良いのです。モラハラは、弱い立場の相手に向かいがちです。離婚後は子どもに矛先が向かないとも限りません。そうしたことも合わせながら、「自分のほうが親権者としてふさわしい」とアピールしたいですね。弁護士に相談長い期間モラハラ被害を受けていると、正常な思考回路で物事を考えられなくなっている可能性もあります。これまで相手に虐げられてきた分、加害者を目の前にすると、洗脳されたような状態に舞い戻ってしまうことも。法的なアドバイスも含め、自分が不利にならないためには、弁護士に相談することが有効です。法テラスなど、無料で相談にのってもらえるサービスもあるため、まずは弁護士に相談してみましょう。弁護士の選びかた先述のとおり、モラハラは「離婚するほどのことではない」とされてしまうケースもあります。調停や裁判になった際は、モラハラ問題に詳しい弁護士を選びましょう。過去にどういった離婚トラブルを解決してきたかを調べた上で、親身になってくれる弁護士を選んでくださいね。 参考:
2018年06月14日よく「子どもがいない夫婦は離婚率が高い」という言葉を耳にしませんか?最近は子なし夫婦が増加傾向にあるため、実際のところはどうなのかと気になりますよね。今回はそんな子なし夫婦の離婚事情について考えてみましょう。 子なし夫婦は離婚しやすい?世間的に「子はかすがい」と言われています。子どもは夫婦の仲をつなぎとめてくれる存在だという意味ですが、それでは逆に「子どもがいないと離婚しやすい」ということになるのでしょうか。厚生労働省の「表3親権を行わなければならない子の有無別及び夫妻の国籍別にみた届出月別離婚件数及び構成割合 -平成20年-」によると、平成20年(2008年)の子どもの有無による離婚件数は以下のとおりでした。子どもあり:143,834件子どもなし:107,302件単純に件数を比較すると子どもあり夫婦のほうが多いです。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」の結果とつきあわせて見ると、子どものいない夫婦は全体のわずか6.4%(2010年時点)。にも関わらず、子なし夫婦の離婚件数は総数の約43%にものぼります。離婚率としては子なし夫婦のほうが高いと言えるでしょう。 子なし夫婦の離婚原因それでは子どもがいない夫婦の離婚原因にはどのようなものがあるのでしょうか。性格の不一致子どものいるいないに関わらず、「性格の不一致」は離婚原因としても多いですよね。付き合っていた時はそれほど気にならなかったことでも、同じ家にて一生一緒に生活していくと考えた中で、我慢できなくなってしまうこともあるのでは。子どもがいると子どものために離婚を避け、多少のことは目をつぶって夫婦生活を続けるかたも多いかもしれません。しかし子どもがいない場合は、離婚という選択肢が出やすいのではないでしょうか。子どもが欲しいか否かどちらかの子どもに対する強い希望により、合わなくて離婚するケースも考えられます。「子どもが欲しい」と「子どもが欲しくない」という問題は、夫婦の人生を左右するほど重大なことです。結婚相手と「子どもに対する価値観」が合わないと、結婚生活を続けるのは大変でしょう。子どもがいないと不倫しやすい?妻が妊娠中に夫が別の女性と不倫……という話はよく聞きますが、子どもがいない場合はどうなのでしょうか。まず、子どもがいないのでお互いの自由時間が多くなりますし、金銭的にも余裕ができます。さらに片方が専業主婦(主夫)の場合は、いくらでも不倫のチャンスがあるということですね。また、相手が「子どもが欲しくない」と言った場合、セックスレスになる恐れも。それが夫婦の不仲を引き起こすきっかけへとなったり、欲求を他へ発散するために不倫をしてしまう可能性もあるかもしれません。ただし、不倫をしてしまうのは、夫婦関係が円満ではないことが原因のひとつであると考えられます。子どものいるいないに関わらず、夫婦の信頼関係を強くすることが大切ですね。 子なし夫婦が離婚しやすい3つの理由それでは子どもがいない夫婦がどうして離婚しやすいのか、その理由について考えてみます。1. 子どもがいないので後腐れない離婚することで子どもの心を傷つけないのかといった、子どもの今後について悩まずに済みます。子どもに会わせるために面会交流するなど、元夫もしくは元妻と連絡を取り続ける必要もなし。さらに子どもがいないため、比較的再婚もしやすいでしょう。2. 経済的な負担が少ない子どもの養育費が必要ないため、共働きであればなおさら経済的な不安も少ないでしょう。出費も自分だけの生活費で済みます。専業主婦であっても、子どもがいないため新しい仕事が見つけやすいです。3. 揉めるポイントが少ない子どものいる夫婦が離婚時に揉めるポイントといえば、「親権」のこと。子どもが妻と夫のどちらについていくのかなどを争うことがないので、すんなりと離婚の手続きができます。 子なし夫婦の離婚で揉めやすいポイント離婚時に揉めるようなら、家庭裁判所で離婚調停を行うことをおすすめします。調停委員が夫婦の間に入って話を進めてくれるので、顔を合わせることなくスムーズな話し合いができるといわれています。それでは子どものいない夫婦は、いったいどのようなことで揉めてしまうのでしょうか。慰謝料慰謝料が発生する条件は、ざっくりですがこのようなものがあります。不倫や浮気DVモラハラセックスレス悪意の遺棄(生活費を入れない・理由のない別居・健康なのに働かないなど)などもしこれらのことが原因で離婚するのなら、慰謝料がもらえるかもしれません。話し合いで解決しないのなら、調停で支払いを求めましょう。ただし証拠がないと長引く恐れがあります。財産分与結婚している間に、夫婦の合意や協力で得た財産(家や車や預貯金など)を「共有財産」といいます。それを清算して夫婦で分配することを「財産分与」といいます。割合に明確な基準はありませんが、共働きの場合は50%になることが多いのだとか。専業主婦の場合は貢献していたということで30~50%になるそうですが、いずれにしても話し合いは必須です。揉めて調停まで行く場合は、自分の貢献度をしっかり伝えたり、共有財産をもれのないよう清算したり、現在のお金の状態を把握しておきましょう。調停委員から妥当な金額などアドバイスを受けることができます。 家族の形や夫婦の形がさまざまあるように、人によって幸せの形も違います。子どもがいる人生やいない人生、そのメリットやデメリットも人によって異なります。子どもがいない夫婦のほうが離婚しやすい傾向にあるとはいえ、子どもがいることが理由で離婚できない夫婦は、はたして幸せなのかと考えると何とも言えませんよね。「子どものために」と、離婚したい気持ちを我慢して夫婦生活を続けるのは、並大抵のことではありません。将来仮面夫婦になってしまう恐れも。子どもがいないというのは、それだけ人生の選択肢が増えるということでもあります。自分たちにとって何が幸せなのかを追求することで、夫婦生活もより良くなるのではないでしょうか。夫婦が納得できる生きかたができるとよいですね。 参考:「表3親権を行わなければならない子の有無別及び夫妻の国籍別にみた届出月別離婚件数及び構成割合 -平成20年-」「第15回出生動向基本調査」
2018年05月19日連日ニュースなどで騒がれている「不倫」ですが、自分の身に起こらないとは限りません。考えたくないけど、もしかしたら夫が不倫しているかも……なんとなく女の勘が働くときってありますよね。もしも怪しいことがあったら、「夫に不倫されたら別れるか・別れないか」を今のうちから考えてみましょう。 1. 本当に夫が不倫していたらもし本当にそんなことがあった場合、自分が別れたいかどうかを今のうちに考えておきましょう。具体的に「別れる・別れない」をイメージして、これからの生活を思い浮かべてみると、わかりやすいかもしれません。子どものこと別れたら子どもが悲しむ、でも別れず喧嘩ばかりしたら子どもに悪影響かも。お金のこと別れたら子どもを引き取ってシンママでやっていけるか。将来子どもの希望する進路まで行かせることができるか。養育費は払ってくれるだろうか。世間体別れたら離婚歴ができてしまう。両親や友人はどんな反応をするか。苗字や住所を変えなければいけない。自分の幸せのこと別れて自由になったほうが幸せか、許して一緒に暮らしたほうが幸せか。しかし、自分と子どものことを裏切った人と一緒になれるだろうか。ストレスはどのように解消される?別れたらこのストレスもスッキリするのだろうか。別れず夫婦でぶつかり合えば、いつかは許せる日が来るだろうか。冷静なときだからこそ考えられることはたくさんあります。 2. 「もし不倫していたら別れたい」と思った場合さまざまなことを考慮した上で「別れたい」と思ったら、万が一のときのために、今のうちにできること、準備できることを考えておきましょう。子どもを引き取った場合育てられる?まずどこに住むかがポイントですね。頼れる実家があるのか、それとも子どもを転校させないためにも近場で暮らすのか。また、子どもが「父親」の存在を求めたときにどうするのか、どう説明するのかも考えておく必要があります。財産の整理はできている?離婚をしたら、共有財産を清算する「財産分与」を行います。これをきっちりしておかないと、もらえるはずのお金ももらえなくなります。夫婦どちらかの名義の口座や車・家電や家具などが対象なので、整理しておきましょう。住宅ローンがある場合、誰が払うのか、名義は誰にするのかも問題になってきます。自分に安定的な職はあるかこれからは一馬力で子どもを養わなければいけません。専業主婦のかたや扶養内のパートのかたは、これから安定した職に就けるかが非常に重要です。土日祝が休みかどうか、融通か利くかどうかもチェックポイント。条件の良いところがなければ、子どもの預け先も確保する必要があります。公的支援について子どもをひとりで育てるとなったときには、さまざまな公的支援を受けることができます。お金・就職・住む所・生活のことなどあるので、ぜひそういった支援について勉強しておきましょう。 3. 「別れたくない」と思った場合現実的に離婚は難しい、まだ夫に情があるなどで「別れたくない」と思ったときは、自分の気持ちの整理をする必要があります。不倫は、なかったことにできませんよね。イチから夫婦関係を作り直していくことになります。もしかしたらマイナスからかもしれません。夫とは毎日顔を合わせるので、日々ストレスも積み重なりますし、ふとした瞬間に思い出してしまうことも。そんな「夫から裏切られた」という思いを、癒やすことはできるのでしょうか。また、夫への愛情を保つことができるのでしょうか。仮面夫婦とならないのでしょうか。他の人たちはどのように精神的なケアをやってきたのかご紹介します。どこかに吐きだすカウンセラーなどの第三者やノートに、自分の気持ちを吐きだしてみてはいかがでしょうか。相談や解決策などを求めず、今の気持ちを吐露していっぱい泣きましょう。「夫を許すことができない」という自分の心情を、正直に話すことも大切です。時間が薬「早く立ち直らなきゃ」「今まで通りにしなきゃ」と焦っても、気持ちがついていかないと苦しいだけ。いつかまた夫婦で笑い合える日がくることを願って、今は自分を大切にしましょう。当時は心に響かなかった言葉やアドバイスも、月日が経ってから聞いてみると気持ちが落ち着くこともあります。気分転換をするなにか夢中になれるものが見つかると良いですね。裁縫やゲーム、スポーツなど。ぼーっとしていてもできるものや、時間を忘れられるほど熱中するものに出会えると、嫌なことを考えてしまう時間を少しでも減らすことができます。子どもを愛する子どもの存在は大きいですよね。それはきっと夫も同じはず。子どもから癒しパワーをたくさんもらいましょう。子どもの笑顔を見ると、前向きな気持ちになれるかも。 別れると決めたのなら、その覚悟と準備がなによりも大切です。考えることや決めることはたくさんあるので、漏れのないように念入りにしましょう。別れないと決めたのなら、自分の気持ちとどう向き合っていくのかを考えて。どちらにしても、納得のいく形で解決すると良いですね。 参考:財産分与公的支援など
2018年02月17日俳優・船越英一郎(57)との離婚が成立した女優の松居一代(60)が15日、都内で会見を開き、自身の口から離婚成立を報告。船越への思いを聞かれると「大っ嫌いです!」と話した。泥沼離婚騒動を繰り広げていた2人は、13日に東京家裁で行われた第2回離婚調停で離婚が成立。14日に船越の所属事務所がFAXで発表したところ、松居はブログで「約束事が破られました」とつづり、報道関係者に向けて会見の開催を伝えた。会見では「(離婚成立について)12月16日まで他言してはいけない。一切公にしてはいけないというお約束が交わされていました」と説明。「ところが、昨日の朝スポーツ新聞の一面で記事が載り、お昼過ぎにはホリプロ様の書面がみなさまに届いたと思います」と言い、「ウソだろって思いました。あれほど厳粛にお約束を交わしたのに。腰が抜けるほどびっくりしました」と話した。そして、自らの口で報告するために会見の開催を決意し、「12月13日、第2回の調停で、おかげさまで、大変うれしく喜ばしいことなんですが、離婚が成立しました」と報告。「私の新しい未来の扉が開きました。とってもうれしいです」と満面の笑みを見せ、ガッツポーズや万歳を連発した。離婚条件として船越に謝罪を求めていたことについて聞かれると、「謝罪は身近な人という感じがするんですが、私にとって別の星の人。別の世界の人。赤の他人だと思っているので、謝罪は必要なくなりました」と答え、「私の中で一番守らないといけないものはただ一つ、財産分与です」と明言。「財産分与はなし」とのことで、「私の一番願っている形」と喜んだ。船越への思いを聞かれると、「まったく何もありません。まったく私とは無関係の人」「赤の他人」ときっぱり。かける言葉を聞かれると、「かける言葉な何もありません。大っ嫌いです。大嫌いな人にかける言葉はないでしょ? 大っ嫌いです!」と強い口調で語った。
2017年12月15日俳優の船越英一郎(57)が14日、所属事務所を通じ、13日に妻でタレント・松居一代(60)との調停離婚が成立したことを報告した。船越英一郎船越が所属するホリプロは、FAXで「12月13日、東京家庭裁判所において、双方の当事者出席のもと、第2回の離婚調停が行われ、合意に達し、調停離婚が成立したことをご報告申し上げます」「調停の詳しい内容はお話しできませんが、慰謝料、財産分与はありません」と説明。また、「船越が建築費の一部を負担して建てた自宅についてですが、具体的な金額はお知らせできないものの、相当な財産評価を前提に、松居さんが船越の持分を買い取ることになりました」とし、「一部報道に『財産分与については、松居側が船越側の財産を買い取る方向で合意したとみられる』とありましたが、上記譲渡に財産分与の趣旨は全く含まれておらず、そのような事実は一切ありません」と否定。「皆さまにおかれましては、今後とも船越英一郎をよろしくお願い申し上げます」と結んだ。
2017年12月14日先日、大手保険会社が「いい夫婦の日(11/22)」にちなんで、夫婦のへそくりに関するアンケートを実施したというニュースがありました。その平均はなんと116万円!これは、2013年の調査以来、最高額なのだそうです。へそくりとはつまり「配偶者に内緒でためているお金」のことですが、法律的には、一体誰の財産になるのでしょうか?■へそくりはいったい誰のもの?結婚してから離婚するまでの間に夫婦が協力して築き上げた財産を「共有財産」といい、それ以外の財産、すなわち夫婦の一方が結婚前から所有していた財産や、夫婦の協力とは関係なく取得した財産を「特有財産」といいます。特有財産は、それを取得した本人のものであり、離婚の際にも財産分与として配偶者に分け与える必要がありません。へそくりが特有財産として認められるかどうかについては、捻出元によって結論が異なります。■家計が別の場合、同一の場合まず、共働きで家計を別にしている場合です。たとえば、家計を全く別にしている、あるいはお互いの収入からそれぞれ決まった金額を家計に入れ、残りは自由に使って良いなどというとり決めをしている場合に、自身の収入の余剰分からためたへそくりは、特有財産として認められる可能性が高いでしょう。次に、共働きではあるが家計は同一という場合や、専業主婦の場合です。夫婦の生活費をやりくりしてためたへそくりは、夫婦で協力して築いた財産と考えられるため、共有財産となる可能性が高いです。しかし、小遣い制を採用していて、生活費とは別の小遣いの中からへそくりをためていた場合には、夫婦間の取り決めにより本来好きに使って構わないとされているものなので、特有財産として主張できる可能性があるといえます。■結婚前からの貯金や、宝くじが当選した場合は?独身時代にためていた貯金や、親からの贈与や相続によって取得した財産などは、夫婦の協力によって築いた財産とはいえないので、特有財産になります。また宝くじの当選金は、偶然によって得られるものであり、夫婦の協力によって築いた財産とは言い難いため、基本的には共有財産には該当せず、購入した者の特有財産になるでしょう。しかし、夫婦共同で積み立てたお金を使って購入した場合など、宝くじの購入経緯によっては、共有財産と認められる可能性はあります。■まとめコツコツとためたへそくりの全額を、自分のために使いたいと思うこともあるかもしれません。しかし、そうした使い方が原因で、夫婦げんかに発展してしまうリスクも考えられます。へそくりに関して、法律上の解釈は今回ご説明した通りなのですが、夫婦円満のためには、日頃から協力してがんばってきた自分たちへのご褒美として、家族で旅行に出かけたり、おいしいものを食べにいったりするために使うのも良いかと思います。監修協力:弁護士法人アディーレ法律事務所 (東京弁護士会所属)
2016年12月13日先週、アンジェリーナ・ジョリーがブラッド・ピットとの離婚を申請、6人の子どもをめぐる親権争いが深刻化しそうな気配だが、財産分与に関しては婚前契約によって問題なく解決することになりそうだ。夫妻の総資産額は約4億ドルだが、2014年8月23日(現地時間)に結婚する前に交わした婚前契約で、それぞれの資産はきっちりと分けられている。夫妻は合わせて12の不動産を所有しているが、いずれも婚前に購入したもので、家7軒はブラッド、2軒はアンジェリーナが所有し、ニューヨークのアパートとニューオリンズの邸宅、フランスのワイン畑は結婚前に共同で購入している。この3軒をどのように分けるのかは明らかにされていないが、セレブ同士の結婚には欠かせない婚前契約にしたがって解決するものと思われる。問題はアンジェリーナが単独親権を望んでいる件。15歳のマドックス、12歳のパックス、11歳のザハラ、10歳のシャイロ、8歳になる双子のノックスとヴィヴィアンは現在、アンジェリーナと一緒にいる。マドックスとの口論から、虐待疑惑が持ち上がっているブラッドだが、本人は口論は認めたものの暴力はふるっていないと主張している。アンジェリーナは現在子どもたちとロサンゼルスに新しく借りたベッドルーム5室の邸宅で生活中。ブラッドの電話番号からの着信を拒否、一切連絡を絶っている。(text:Yuki Tominaga)
2016年09月27日エヌ・アール・アイ・サイバーパテント(NRIサイバーパテント)は11月2日、アイアールディー(IRD)が開発した特許事務所向けの知的財産管理システム「NAVI OFFICER/N」の独占販売契約を締結し、2015年12月1日から提供を開始すると発表した。「NAVI OFFICER/N」は、大手特許事務所を向け知的財産管理システム「NAVI OFFICER」で提供していた機能のうち、利用頻度が高い機能を中心に、汎用化・スリム化を行った製品。特許事務所業務に必要不可欠な機能をシステムのカスタマイズ不要で導入することが可能。主な搭載機能は以下の通り。受任業務に必要な期限の管理、年金管理、包袋管理事務所員のスケジュールや工程の管理各種ドキュメントや請求情報の管理、レターや宛名ラベルの印刷また、知的財産情報サービス「NRIサイバーパテントデスク2」の特許情報とシームレスに連携し、日本に加えて米国・中国・欧州の特許・国際公開の公表や、日本特許・実用新案の最新の経過情報(テキスト、フロー図)を参照することができる。価格は、所員数に応じた価格体系になっており、税別200万円からとなっている。同社は、今後3年間で100事務所の導入を目指すとしているほか、将来的には「NRIサイバーパテントデスク2」や企業向け知的財産管理システム「TOPAM NV」との連係・強化も行っていく予定としている。
2015年11月02日東芝は10月8日、特許業務支援サービス「特許業務ソリューション」のラインアップに、知的財産に関わる業務を支援するクラウドサービス「知財管理サービス」を追加し、提供を開始した。新サービスは、企業内の知的財産の管理部門や特許事務所における発明提案管理、出願手続管理、契約管理、評価情報管理などを支援するクラウドサービス。同社は、これまで、企業の知財管理業務の効率化から知財戦略立案業務までを支援する「特許業務ソリューション」を、パッケージソフトウェアとクラウドサービスの組み合わせで提供してきたが、今回「知財管理サービス」をラインアップに追加することで、発明提案から権利満了まで特許のライフサイクル全般をクラウドサービスでサポートできるようにした。新サービスでは、クラウドにより、システム全体の運用負荷を軽減できるほか、ユーザーがシステムの規模にかかわらず早期に利用開始が可能。また、特許、実用新案、意匠、商標の出願管理情報をクラウド上で一元管理することで、特許事務所との情報共有も容易になったという。さらに、発明通信社のインターネット特許情報検索サービス「HYPAT-i2」との連携や、東芝の日本語解析技術をベースとした自動分類・分析による業務支援クラウドサービス「Eiplaza/DA」との組み合わせで、発明、出願時の公知例や先行技術の検索・分析、出願手続や権利維持での評価・判断を的確に実施できるとしている。新サービスの価格は、知財管理サービス 基本ライセンス(特許/実用新案/意匠/商標の管理機能、知財ユーザー2ユーザー付き)で、初期設定費25万円、 月額利用料12万円~となる(いずれも税別)。
2015年10月09日明治安田生活福祉研究所はこのほど、「女性の相続と財産」に関する調査結果を発表した。調査は3月21日~24日、全国の40代~60代の男女4,800名(男女各年代及び相続経験の有無ごとに200名ずつ抽出)を対象に、インターネットにて行われた。○介護は女性が中心父親を主に介護していた人について調べた結果、男女ともに「母」が最多回答となり、その割合は5割強~6割弱と、半数を超えた。そこで、「母」以外の介護者としてはどういう人がいるのか調べたところ、回答者が長男の場合は「その妻(父から見て嫁にあたる)」が介護に携わっているケースが多かったが、「姉や妹のいる長男」では、姉や妹が介護をしているケースも目立った。一方、回答者が長女の場合は、「あなた(回答者自身)」が介護に携わるケースが多く、一人っ子の女性の場合では3割を超える結果となった。続いて、母親の介護についても同様に調べた結果、「あなた(回答者自身)」や「あなたの兄弟姉妹」など、子どもによる介護が多く、父親の介護に比べて多様なパターンが見られた。また、回答者が長男の場合は、「あなた(回答者自身)」や「妻」が主な介護者である場合が多く、特に「一人っ子」の場合では「あなた(回答者自身)」が主な介護者であり、その割合は42.0%にのぼった。一方、回答者が長女の場合では、「あなた(回答者自身)」が主に母の介護に携わっている割合が高く、「兄や弟のいる長女」で42.2%、「妹のみいる長女」は50.0%、「一人っ子」の場合では70.1%にのぼり、介護の多くが「女性に依存している」実態が浮き彫りとなった。○親の遺産相続は長女よりも「男兄弟」の方が多い!?次に、父母が死亡した際の遺産相続について調査を実施。今回は父親が先に亡くなったケースの結果を見てみると、一次相続(父母のどちらかが先に死亡した際の相続)で最も多く遺産を相続できたのは、主に介護をした「母」。法廷相続分が高いことや、残された「母」の今後の生活費となることからも当然の結果と言えるよう。また、男性の場合は他の兄弟姉妹よりも「長男」がより多くの遺産を相続できているが、女性の場合は兄や弟がいた場合には「長女」よりも兄や弟がより多く相続していることがわかった。続いて、遺った母親が死亡した際の二次相続についても調べた結果、基本的に長男や長女である「あなた(回答者自身)」がより多く遺産を受け取れてはいるものの、「兄や弟のいる長女」の場合では、兄や弟の方が多く受け取っていることが明らかに。女性は男兄弟よりも相続で不利であることがうかがえる結果となった。
2015年09月04日私、「サレ妻予備軍」になりました。
編集部の「これ、気になる!」
兄の連れてきた婚約者は…