今年4月からの「働き方改革」で、パートも有給休暇の取得が義務化される。そんな「働き方改革関連法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。昨年6月に成立した「働き方改革関連法」によって、今年4月から、有給休暇の年5日間取得が義務化されます。有給休暇と聞くと、正社員の特権のように感じる方もいるかもしれませんが、実は、パートの方が有給休暇を取る権利は、これまでもありました。しかし実際には、有給休暇を取りづらいと感じたり、なかには「パートには有給休暇がない」と思い違いをしている方もいたと思います。4月からは、権利より重い義務になりますから、皆さん、休めます。詳しく見ていきましょう。有給休暇の義務化の対象は、正社員やアルバイト、パートなどの区別なく、「1年間に有給休暇を10日間以上持っている方」です。フルタイムで働く正社員や契約社員なら、入社後6カ月以上たつと対象になります。いっぽうパートは、1週間に働く時間や日数によります。まず、週30時間以上働くパートは、フルタイムと同様、入社後6カ月以上たつと対象になります。次に、週4日働くパートは、入社後3年半以上たつと、また、週3日働くパートは、入社後5年半以上たつと、それぞれ、有給休暇が年10日となり、取得義務化の対象になります。勤務日が週2日以内のパートは残念ながら、対象ではありません。有給休暇は働く方の権利です。パートの方もしっかり有給休暇を取って、ゆとりのあるワークライフバランスの実現を目指したいものです。
2019年02月22日株式会社オリエンタルランドは1日(金)、2019年度下期以降、新たな雇用区分「テーマパークオペレーション社員」を導入することを決定した。これによりパート・アルバイトから正社員への道が拡大することになる。「テーマパークオペレーション社員」とは、テーマパークのオペレーション業務に特化するもので、最前線でゲストサービスにつながる役割を担い、同社に勤務する準社員(=パート・アルバイト)を中心に、全ての従業員の中から採用条件を満たす希望者を対象に選考をしていくという。準社員(=パート・アルバイト)が勤務日数・時間帯を選択、ひとつの職種を担当するのに対して、「テーマパークオペレーション社員」はフルタイムで、複数の職種を担当する。今般の制度改正によって、キャストの働き方の選択肢を広げ、多様な働き方ができる環境を整備する目的がある。長期持続的なテーマパークの成長を目指すことが使命の同社にとって、2022年度の東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクトの開業以降を見据え、キャストを雇用し続けていくことは重要なミッションとなっている。同社は「『テーマパークオペレーション社員』を導入することで、キャストが長期にわたり安心してテーマパークを舞台に活躍できる環境を提供し、人財力の強化と安定的な雇用を実現してまいります」とコメントしており、「キャストが複数の職務を経験し、より広い視野を持ち、ゲストサービスの幅を広げることで、テーマパーク全体のオペレーション力やホスピタリティを更に高め、今まで以上にゲストの皆さまに楽しい時間をお過ごしいただけるよう努めてまいります」と新たな雇用区分導入を説明。なお「テーマパークオペレーション社員」の給与などの処遇は現在のところ未定であり、「今後、役割に応じて検討してまいります」としている。(text:cinemacafe.net)
2019年02月07日2019年4月から働き方改革関連法が施行されますが、みなさんの周りでは、働き方改革は進んでいますか? あからさまなパワハラ、セクハラに対しては比較的目が厳しくなっていますが、いざ男と女が1対1になると、いろいろなことが繰り広げられているようです! 今回は、anan総研メンバーに聞いたセクハラ実態をご紹介します!文・オリ子【アンアン総研リサーチ】枕営業って本当にあるの!?anan総研調べ。なんとこのご時世においても約30%が枕営業に誘われたことがあるという回答に! いったいどのようなシュチュエーションで起きたのでしょうか。リアルな声をきいてみました!最低! 上司からが意外に多い?現代もまだいたクズ上司セクハラエピソード「仕事の上司から、『次の仕事を君に任せたいから、打ち合わせがしたい』とメールがあり、『ぜひ、お願いします!』と返信したら、『○○ホテルのロビーに集合でいい?』と言われた。断ったら、翌日から仕事場で無視され、その仕事が終わる時に、『お前みたいな女は絶対成功できない』と言われた」(33歳・その他)「数年前の話ですが、上司から『ラブホ行こうよ〜』と軽いノリで言われました。飲みもサシで誘われたので、一度は行ったもののさすがに2回目は怪しく思い断ったら、その翌週に朝一で呼び出されて、上司の言うことを聞かないのはあり得ない、という趣旨の説教を1時間受けました。その後、そのことをその上の上司に報告したら、『誘われる女が悪い』と言われたことを鮮明に覚えています。大手企業ですが、その会社は1年弱でやめました」(33歳・会社員)パワーを利用して部下と肉体関係を持ちたいと、ありえないことを考えている上司はいまだにいるようです。最近では、パワハラ、セクハラに対しての制裁がかなり厳しい社会になってきているので、それに気づいて少しは変わってきてほしいですよね。最後に、実際に誘われてセックスしたことありますか!?誘われて断っている人が圧倒的ではありますが、約10人に1人は性行為に至っているという結果になりました。また、一度で終わらず何度もしているという回答も! お互い了承のうえで良い関係になっているなら良いですが、少し続きが気になるところですね。しっかり声を上げることも大切に!社会でいろいろなことが叫ばれていても、男と女が2人きりになると状況は複雑になってしまうこともあります。最近はさまざまな方面で女性が声を上げやすい環境を整える取り組みが行われています。今後、セクハラに遭う人をなくすためにも、また権利を対等にするためにも、何かあれば大きく声を上げられる社会になってほしいですね。いずれにせよ、自分の身を守る方法を知って、Noとしっかり言える人間としてたくましく生きたいものです。©Milkos/Gettyimages©courtneyk/Gettyimages
2019年01月25日’19年も止まることがない、現役世代への「負担増」の波。法改正の内容を把握せずしては、家計を守ることもできないはず。新年を迎えた今こそ、知識を身につけておこう。「“いざなぎ超え”の好景気といわれていますが、生活に還元されているとはいえません。’19年からは、4月の社会保障制度改革と10月の消費税増税により、国民はより負担を強いられます。さらに、4月から施行される『働き方改革関連法』により、大企業に勤める会社員は、軒並み残業代がカット。年収は確実に減少するため、5月以降“生活が苦しい”と感じる世帯は増えるでしょう」そう解説するのは、経済評論家の加谷珪一さん。’19年は、多くの法改正により、家計への負担が大きく変わってくる。「さまざまな負担から家計を守るためには、法改正ごとに、その制度が自分の家族にとって負担を増やすものなのか、それとも賢く利用することで負担を減らすことができるのか、つねに意識することが重要です」さっそく、加谷さん、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんとともに、’19年上半期の“お金にまつわる法改正”を見ていこう。【1月】■国際観光旅客税「今年4月に国会で可決・成立した新法『国際観光旅客税』(=出国税)が、’19年1月7日から施行されます。飛行機や船などで出国する際、1回1,000円がチケット代金に上乗せされることになります。卒業旅行や家族旅行を春先に考えている人には直結します。さらに、旅行代金には比較的高額の消費税がつきものですから、10月以降はさらに海外旅行費が家計を悩ませるかもしれません」(加谷さん)【4月】■産前産後の国民年金保険料免除自営業者や無職の人など(国民年金第1号被保険者)が出産する際、予定日または出産月の「前月から4カ月間」は国民年金保険料が免除される制度が、4月1日から施行される。来年に出産を控える世帯にとっては、“負担減”といえそうだ。「対象となるのは、’19年2月1日以降に出産した人。たとえば2月に出産した場合、1月から4月分まで、保険料を納めなくても、納付したとみなされることになり、6万5,000円ほどお得に。期間は最長で4カ月ですが、双子などの多胎児の場合、最長6カ月間免除されます。申請のためには必要書類を提出しなければなりませんが、4月には年金機構のサイトからダウンロードできるようになるはずですし、年金事務所などで直接求めてもよいでしょう」(中村さん)■後期高齢者医療制度、元被扶養者の均等割の軽減措置終了夫が後期高齢者医療制度(=75歳以上)に加入する前日まで、夫の会社の健康保険などの被扶養者だった人(妻)は、現状では保険料の均等割額が5割軽減されていた。しかし、’19年4月1日以降は、同制度に加入して2年でその軽減措置が終了することに。「もともと’17年度までは『7割』軽減されていたものが、現状では『5割』となり、さらに『2年間で終了』と、負担は確実に増えています。会社の健康保険などの被扶養者だった人は、均等割額が軽減されているはず。自分の負担が増えるかどうかは、都道府県の後期高齢者医療広域連合に相談してみましょう。知らないうちに保険料が増額しているなんてことがないように」(中村さん)■働き方改革関連法「4月以降は、従業員が時間外労働の限度基準(月45時間、年間360時間)を超えると、雇用主に罰則が適用されることになります。残業代カットによる年収減は深刻で、たとえば年収400万~500万円の人が、およそ10%程度、つまり40万~50万円減ることもあるんです」(加谷さん)また、転職や就職を考えている場合、主婦や学生に「落とし穴が仕掛けられているかもしれない」と指摘するのは、中村さんだ。「『実際の労働時間の長短にかかわらず、契約した労働時間を働いたことにする』=『裁量労働制』を採用している企業があります。そういった企業には、今回の新法は適用されませんから、『弊社は裁量労働制を導入しています』と会社に言われたら、要注意です」裁量労働制には「残業時間の賃金」や「休日出勤の手当」など細かい基準があるのだが--。「いわゆる“ブラック企業”のなかには、『ウチは裁量労働制だから、いくら働いても残業代は出ないよ』などと言いだすところがあるかもしれないので、再就職の際には、企業の内情をできるだけ把握したいところです」(中村さん)上半期に起こる4つの法改正のうち、3つは「負担増」。加谷さんは「GWに浮かれた出費をしていると、夏以降厳しい生活が待っている」と指摘する。
2019年01月07日この時期になると、毎年のように「年末調整」や「翌年分の扶養親族等の申告書」が当たり前に出てくるようになります。ここでは、同じように出てくる疑問として「扶養に関する4つの壁」があります。「扶養に関する4つの壁」とは、扶養配偶者や扶養親族として、世帯主の扶養(生計を維持してもらっている状態のこと)に入ることが出来る上限となる所得金額のことで、各種法令(後程解説します)で定められています。今回は、この「扶養に関する所得の壁」がどのようなものであるかを解説したうえで、どのような場合であれば、扶養から外れたほうが有利になるかについて説明します。扶養の所得の壁とは?扶養の所得の壁は、大きく分けると、所得税法によって規定されている「税法の所得の壁」と健康保険法などで規定されている「社会保険の所得の壁」に分かれます。それぞれの壁はそれぞれの趣旨をもって設定されている壁です。それぞれの壁の趣旨を理解したうえで、もっとも最適な働き方について考えていく必要があるといえます。「収入」と「所得」は全く別物扶養の壁を考えていくうえでは「収入」ではなく「所得」の金額が判断材料とされます。収入は「総支給額」を表しており、年収とは「1年間における収入の合計」となります。これに対して、所得とは「各種税金や社会保険料を差し引いた後の金額」を表します。そのため、収入と所得は全く別物であり、各種制度を受けられるかどうかの判断基準が所得金額を基準に行われているということです。このことを踏まえたうえで、実際に扶養制度における4つの壁とは何かを説明します。扶養制度における、具体的な4つの壁とは1. 103万円の壁この金額を超えてしまうと、配偶者控除(課税対象額から38万円を控除することが出来る所得控除のこと)の適用を受けることが出来なくなります。扶養親族である場合は、扶養控除(扶養親族1人当たり38万円から63万円までの範囲内で控除できる所得控除のこと)の適用が受けられなくなります。配偶者控除とは、配偶者に対する所得控除のことで「38万円」が控除されます。他の扶養親族に対する所得控除とは区別して、配偶者の扶養控除として所得控除の金額を計上しているものです。2. 106万円の壁(正式には105.6万円の壁)平成28年10月より、この金額(月額8.8万円)を超えると、厚生年金保険・健康保険などの社会保険に強制加入しなければなりません。3. 130万円の壁この金額を超えてしまうと、社会保険における扶養親族とはみなされなくなります。(つまり、自分で社会保険の保険料を納めなければならなくなるということです)4. 141万円の壁この金額を超えてしまうと、配偶者特別控除(配偶者の年間所得金額が「38万円超76万円以下」であるときに受けることが出来る所得控除のこと)も受けることが出来なくなり、配偶者に関する所得控除がなくなります。配偶者特別控除とは、配偶者の年間合計所得が38万円超76万円以下である場合、その配偶者の所得金額に応じて控除額が決められている所得控除です。具体的な控除額は配偶者の所得金額に応じて「38万円」から「2万円」と変化します。所得税法の規定の壁世間的にも最もなじみが深い「103万円の壁」は、所得税法上、所得税が課税されない上限額のことで、「給与所得控除額(最低65万円)」と「基礎控除額(38万円)」の合計金額が103万円となるから「103万円の壁」と呼ばれています。給与所得控除額とは、給料等の収入に係る所得税の計算をするうえで、所得金額を調整するために定められた控除額です。給与所得の収入金額の合計によって控除額が変化しますが、最低限度額が65万円とされています。基礎控除とは、所得税の計算上、課税対象とされた金額から控除することが出来る金額(これを「所得控除」といいます)の一つで、「38万円」が所得税の課税対象金額から必ず控除されます。なお、住民税にも基礎控除がありますが、こちらは「33万円」となります。また、もう一つの役割として「配偶者控除の適用を受けることが出来る所得の上限」というものがあります。これは、夫(妻)の所得税の計算上、「配偶者控除」として38万円の所得控除が受けるためには、配偶者である「妻(夫)」が所得税の計算対象となる金額が0円(非課税者)であること(つまり、「扶養」されている状態であること)が必要になるため、非課税になる所得の上限額としての基準としての役割も併せ持っています。しかし、年間所得額が1円でもある場合(年間所得合計が38万円を超える場合)は、配偶者控除の適用は受けられませんが、その代わりに「配偶者特別控除」という所得控除の適用を受けることになります。社会保険は106万円と130万円の2つの壁が存在社会保険における不要の壁は「106万円の壁」と「130万円の壁」の2つが存在します。この2つの壁は、平成30年度より所得税法が一部改正される関係で非常に大きな意味を持つようになりました。また、社会保険における壁は、「収入金額」が基準となるため、税法の扶養の壁とは考え方が異なります。「106万円の壁」は社会保険に加入する義務の基準106万円の壁とは、「厚生年金保険に加入する必要があるかどうかの基準」となる収入金額です。厚生年金保険は、平成28年10月より加入対象者が拡大され、その加入要件の一つに、「月額賃金が8.8万円以上」というものがあり、年額に換算すると「105.6万円」となりますが、実質的には、年収が「106万円」を超えてしまうと、社会保険に加入することが義務付けられてしまうということになります。「130万円の壁」は健康保険の扶養親族等の範囲の基準130面円の壁とは、「健康保険における扶養親族として認められるかどうか」の目安となる収入金額です。健康保険の扶養親族等に該当するための要件の一つに「年間収入が130万円未満であること」が規定されています。そのため、健康保険の被扶養者となるために、年間収入が130万円未満でなる必要があり、それを超えてしまうと、自分で国民健康保険等の医療保険に加入手続きをしなければならなくなります。「扶養範囲内」と「社会保険加入」どちらがお得?ここまで扶養の壁の種類について説明しましたが、具体的に「年収がいくらを超えると社会保険に加入する方が有利」又は「年収がいくらまでであれば、扶養の範囲内で働く方が有利」となるかを検証していきます。年収が130万円(月平均:約10.8万円)の場合標準報酬月額:110,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:110,000 × 10% × 1/2=5,500円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)10,065円/月年間の手取り額:(108,000-5,500-10,065)× 12ヶ月=1,109,220円/年年収が150万円(月平均:約12.5万円)の場合標準報酬月額:126,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:126,000 × 10% × 1/2=6,300円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)11,529円/月年間の手取り額:(125,000-6,300-11,529)×12ヶ月=1,286,052円/年年収が170万円(月平均:約14.1万円)の場合標準報酬月額:142,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:142,000 × 10% × 1/2=7,100円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)12,993円/月年間の手取り額:(141,000-7,100-12,993)×12ヶ月=1,450,884円/年これらの金額から、所得税・住民税などの税金などが控除されるため、実際の手取り総額は上記金額よりも少なくなります。まとめ扶養の範囲内で収入を抑える形で働く方法がよいか、会社の社会保険に加入して収入をより上げる方がよいかは、その人が現在置かれている状況によって異なります。働きたくても働くことが出来ない状態(産前産後の女性や育児休業中の女性など)であれば、必然的に扶養されることになりますが、働くことが出来るようになってきてからについて、この問題が生じてくるところだと考えられます。現在も労働環境が大きく変化しており、また、扶養制度に関する改正が行われてきています。その中で、どのような働き方をしていきたいのか?ということをしっかりと考えたうえで、今後のライフスタイルを考えていくことが必要とされます。
2018年12月25日「夫がある日突然、事故や病気で亡くなったらどうしよう」と、不安に思う妻は多い。夫の死後、喪主として葬儀を仕切り、身の回りの物を処分したり、手続きをしたりと、やることがたくさんある。その間、食べていかなければならないので、悲しんでばかりもいられないのが本音だろう。「何から手をつけていいのかわからない、という声をよく聞きます。お葬式でかかった費用の清算、扶養されていれば年金の手続き、健康保険の名義変更、預貯金、民間の保険の解約の手続きなどをしますが、国や勤め先などから、もらえるお金があるのを知らないで、余計なお金を使うケースを見かけます。手続きがスムーズにできるように事前に知っておきましょう」そうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。「夫が死んだらもらえるお金」全リストは次のとおりだ。【1】制度=埋葬料/手続き先=健康保険/受給要件、対象=葬儀を行った人に対して支払われる。【2】制度=葬祭費/手続き先=国民健康保険/受給要件、対象=葬儀を行った人に対して支払われる。【3】制度=遺族基礎年金/手続き先=国民年金/受給要件、対象=18歳未満の子どもがいる配偶者と子ども。【4】制度=遺族厚生年金/手続き先=厚生年金/受給要件、対象=年収が850万円未満の妻、子など。【5】制度=寡婦年金/手続き先=国民年金/受給要件、対象=妻が60~64歳の期間受け取れる。【6】制度=死亡退職金・弔慰金/手続き先=会社、勤務先/勤務してきた功労に対して支払われる。弔慰を示して支払われる。【7】制度=遺族補償給付/手続き先=労働基準監督署/受給要件、対象=仕事中に事故や病気で死んだら支払われる。【8】制度=死亡保険金・入院給付金/手続き先=民間の生命保険/受給要件、対象=入院日数などに応じて支払われる。そして大事なのは、夫が死んでから月々の収入がどのくらい少なくなるのか把握すること。夫が亡くなってから月々の生活費はどうなるのか?「入るお金(遺族年金・妻の収入)」-「衣食住、水道光熱費など」=「足りない分」で書き出してみよう。「入るお金」は、「夫が死んだらもらえるお金リストの3~5で計算した遺族年金の金額。そして、妻がパートに出ていたら月々の給料があてはまる。次に「衣食住、水道光熱費」など、出ていくお金をチェックしよう。特に、衣食住、水道光熱費以外に、ポイントとなってくるのは「居住費」と「妻の働き方」。持ち家の人は、住宅ローンを組んでいるので「団体信用生命保険」(団信)が適用になる。団信とは、住宅ローンを組むときにセットで契約するもので、ローンの契約者である夫が亡くなった時点で、ローンの残高分は保険を使って金融機関に支払われる仕組みになっている。「居住費については、持ち家の場合、一戸建てであれば固定資産税、マンション住まいなら固定資産税にプラスして管理費・修繕積立金が毎月1万~2万円かかってくる程度で済みます。一方、賃貸に住んでいる人は、家賃の負担がかかってくるので、その差はとても大きくなります。また、妻自身がパートに出ていても、勤め先の健康保険や厚生年金に加入していなければ、国民健康保険と国民年金に入ることになり、子どもの国保分と合わせると月2.5万~3万円と大きな負担になります」
2018年11月08日アラサーは、男女ともに確かなキャリアを積み重ねて行きたい年代。しかし女性にとっては、結婚、妊娠、出産、復職など、ひとつの仕事を継続して行うことが難しい、男性にはわからない深い悩みを抱える年齢でもあります。妊娠出産を遅らせると心配ごとも増えるし、妊娠出産を選べば妊活などで会社に迷惑をかける可能性も。今回は、そんな悩めるアラサー女子が選ぶべき、アラサー女子がリアルに働きやすい職場の特徴を、経験者の声を交えてご紹介します。文・オリ子アラサー女子がチェックすべき会社の特徴とは!?出産後、復職している女性が何人いるか「同じ職場の夫と結婚し、今は育休中ですが、産休後に戻ってきている女性も少なく、私も初めての育児なので復職しようか悩み中。もちろんお金も欲しいし、次に子連れで雇ってくれる会社探すのも大変だから戻るのが現実的だとは思うけど」(33歳・営業事務)求人項目で、「産休後復職実績あり」と記載のある求人も多く見かけますが、それを見越してその会社を狙う場合、ちゃんと人事に実績数を聞くことは大事かもしれません、1度でもあれば、「実績あり」と書いている企業も多数あります。事前のヒアリングが大切ですね。テレワークは本当にOKか「以前いた会社はテレワーク可と書いてあったので入社したが、実際に入社すると全然している人もおらず、行いずらい雰囲気でした。今いる会社は、主婦も多く週5日リモートワークで子育て、仕事をこなしているので、子どもがいない女性でもテレワークがそこまで気兼ねなくできていいと思う。ただ、日本人独特の罪悪感はあるけれど(笑)」(33歳・その他)「私は週に4日間在宅勤務をしていますが、友だちのなかには、在宅勤務可能と謳っている企業に勤めているのに結局できず、往復2時間かけて移動して、子育てしているママ友も。やはり、転職前に実態を知るのは大事ですね」(36歳・営業事務)働き方改革に合わせて国も推進しているテレワーク。さまざまな勤怠管理ツールで、在宅勤務も手軽にできるようになっていますが、実際にその企業で可能なのか、確認することも大切。こちらも、産後復帰と同様、しっかりと利用比率を企業に確認しておくのがよいでしょう。「学習支援」、「不妊治療実績」、「子どもの病欠による休みOK」など福利厚生がしっかり活用されているか「うちの会社は大手で、外資企業みたいに不妊治療支援のための福利厚生などがあるものの、実際に男の上司に言いづらいし、相談できない環境。形ばかりでアラサー女子に魅力的な福利厚生を謳っている企業より、しっかりと実績のある企業を調べて転職するのをおすすめします!」(36歳・その他)ポイントは、謳い文句じゃなく実際に行われているかどうか!最近、どこにいっても働き方改革が謳われており、採用のためのキーワードにも、「うちの会社は働き方改革が進んでます!」と見せている企業も多数あります。しかし、実態が伴っていなかったり、人材不足で急いで人が欲しいために少しオーバーに福利厚生を書いているケースも多いよう。転職は、最後は自己責任ですからしっかりと事前調査を行いましょう。©Poike/Gettyimages©MangoStar_Studio/Gettyimages
2018年11月02日「働き方改革」という言葉自体は、すっかり浸透していますよね。自分の会社はブラック企業、ホワイト企業なんて飲み会のネタになったりするほど、今や働きやすさはとても重要なキーワード。しかし、実際どれくらいの人が改善を実感しているのでしょうか。今回は、アラサー女子の働き方に関するアンケートをご紹介します!文・オリ子 グラフ・王悠夏【アンアン総研リサーチ】アラサー女子から見た働き方改革ってどう?2016年に安倍内閣が働き方改革を提唱してから、2年が経ち、推進するための法律も整ってきました。実際、どのような変化が起きているのでしょうか。そこで、20~30代女性が集まる総研メンバーにアンケートを実施し、調査をしてみました!anan総研調べ意外にも4割以上のアラサー女子が、「働き方改革が浸透してきている」と実感しているようです。確かに最近、夕方の帰宅ラッシュが少し早くなっている気もしますが、具体的にどう浸透していると感じているのでしょうか。働き方改革で、アラサー女子のライフスタイルはどう変わっているの?帰る時間が早くなった「必ず特定の時間に帰らねばならなくなった」(27歳・その他)「20時以降に働いてはいけないような雰囲気に会社がなってきた。残業時間が長いと上から注意が入るようになった。また、とにかく残業をしなくなった(月10時間もしていないかも!) 」(年齢非公開・その他)「残業申請が必要になった」(25歳・公務員)「表向き残業禁止でも、仕事量は変わらないので家に持ち帰っている社員が多い。しかも残業代は出ない」(30歳・自由業)「取引先の担当者さんが、働き方改革で18時以降は電話含め対応ができなくなった。実際に仕事の量は変わっていないので良いのか悪いのか……」(35歳・その他)働き方改革で最も重要視されている施策のひとつ、残業時間の削減。多くの企業が残業時間削減のため、さまざまな施策を行っているようです。休める日が増えた「年間で必ず3連休を取らないといけない制度ができた。今まで仕事中に病院とかに行きづらかったけれど行きやすい環境になってきた」(非公開・その他)「月に1日休日ができた」(32歳・会社員)「休日日数の管理が厳しくなった」(29歳・会社員)働き方改革関連法でも進められている有給休暇取得。今までは有給休暇を使えずに毎年蓄積されていくか、数年後には消滅してしまっていたという方も多かったのではないでしょうか。最近はその傾向も減って、より有給休暇が取得しやすい雰囲気になってきているようです。テレワークがすすんだ「ノマドスタイルの働き方ができる」(32歳・経営)「リモートワークが進み自宅で勤務できる。会社のドライブに外からアクセスできる」(34歳・会社員)「マイクロソフトのチャットシステムが導入されオンライン会議が楽になった」(34歳・会社員)ITのおかげで、オフィス以外での仕事がしやすくなっている昨今。テレビ会議やチャットで遠隔地にいてもその場にいるように仕事ができるのは助かりますよね。最近では、悪天候による急な交通機関の乱れが予想できる前夜に、一斉にテレワークを全社員に指示する会社もあるのだとか。職種によっては難しいかもしれませんが、電車の移動時間も削減されるし、ぜひテレワークはもっと浸透してほしいですね!いっぽう、働き方改革が進んでいないと感じている女性の声は?結局、家で隠れて残業「ノー残業デーができた代わりに土曜日に出勤している」(30歳・専門職)「残りの仕事を家に持ち帰ってる人やタイムカードを切って働く人がいる。時短への風当たりが少しきつい感がある」(34歳・公務員)「サービス残業は黙認されている」(28歳・その他)最も多く聞かれたのが、形だけは残業が減ったことになっているけれど、結局社外のカフェや自宅で仕事をしなくてはいけない状態になっているという声。この、いわば隠れ残業、どうにかなくせる施策ができるといいですね。セクハラ、パワハラは黙認されがち!「建築業界で働いている友だちは男社会なので、セクハラとパワハラは当たり前にあるといっていました」(29歳・会社員)「実際にはパワハラやセクハラは黙認されている」(28歳・その他)「同僚の男性で、本人は意識せずともセクハラのような発言、タッチをしてくる人がいる。会社には匿名で告発できる制度があるが、少人数のチームで仕事をしているので、みんなで一緒に働くことを考えたら言えない。また、上司もそういうのは面倒と考えるタイプなので、言っても自分の評価が下がりそうで言えない」(32歳・マーケティング)日本企業独特の文化なのかもしれませんが、上司からのセクハラ、パワハラにはなかなか声を上げづらい雰囲気がありますよね。また、同僚、部下からの不快な行為も、今後一緒に仕事をしていく関係を考えると、結局言わずに我慢してしまうケースも多々あるのではないでしょうか。女性が声を上げても守られる環境作りをしてほしいものですね。働き方改革は、まだまだ課題あり!大手企業を中心に、進み出しつつある働き方改革。しかし、まだまだ女性にとっては声を上げづらい環境があったり、結局家でお持ち帰り残業をしてしまったりと、進んでいるようで実は根本的な課題が山済みな気がします。アラサー女性は、家事に育児にと忙しくなっていく時期ですが、キャリア設計がしやすい会社がもっと増えていくことに期待したいです!©imtmphoto/Gettyimages©BraunS/Gettyimages©Art Wager/Gettyimages
2018年10月08日芸能界やテレビ局は、スタッフの働き方が極めて特殊な業界ですので、一般的な労務管理のマニュアルや契約書の雛型はほとんど通用しません。 例えば、ある1つのテレビ番組の制作チームは、複数の番組制作会社のスタッフで構成されるのが一般的です。それでは、制作会社Aのディレクターと、別の制作会社BのADが一緒にロケに行くことになった場合、誰がそのADの勤務時間を管理するのでしょうか?制作会社Aのディレクターの判断で、ロケの途中で勝手に帰らせたりできるのでしょうか?災害現場での取材なら、安全管理は誰が責任を持つのでしょうか?そもそも、指揮命令関係がないはずの別会社のディレクターからの指示に、ADは従う必要があるのでしょうか?どれも非常に難題です。 また、番組制作に関わる会社同士の権利義務関係も大変複雑です。番組制作には、テレビ局や制作会社、芸能プロダクションだけでなく、キャスティング会社やリサーチ会社も関わっています。各社は互いにどういった契約を交わしているのでしょうか?そもそも、契約を交わしているのでしょうか?交わしていても、その番組制作に必要な業務と照らし合わせて、適切な内容が反映された契約書なのでしょうか?リサーチ会社が手に入れた一般人(素人の出演者ら)の個人情報は、誰がどのように管理し、どの範囲で、どういった用途で公開できるのでしょうか?(企画会議に使うため?オンエアのため?) キャスティング会社は、番組の企画が中止になってしまった場合には、報酬は受け取れるのでしょうか? タレントと芸能プロダクション間の契約にも、難しい問題が多いです。最近は、給料が不当に安いことや、やりたくない仕事を半ば強制された、などということが問題になっています。確かにそれ自体は是正が必要です。しかし、タレントはタレントで、ほかの業界では想像もつかないような好待遇を受けている部分もあります(マネージャーがいたり、送迎があったり、仕事が少ないタレントは一般企業では考えられないほど休日があることも珍しくありません)。仮に、タレントと芸能プロダクションの契約に雇用契約とみなされるほどの指揮命令関係がある場合でも、このように一般的な雇用契約とはまったく異なる状況があります。 以下では、テレビ番組制作会社や、芸能プロダクションでよく起きる法律問題について、Q&A形式で紹介していきます。 業務委託スタッフの残業代や休日出勤手当てについて Q.当番組制作会社では、ディレクターはすべて雇用ではなく、業務委託として契約しているのですが、この場合には残業代や休日出勤の手当ては支払わなくてよいのでしょうか?との指摘が入りました。どうすればよいでしょうか? A.業務委託であれば、雇われているわけではなくフリーランスですので、原則、労働基準法は適用されません。したがって、残業代や休日出勤手当は支払わなくてよいと思われます。 しかし、本当にそのディレクターは単なる業務委託スタッフといえるのでしょうか?実際にはフリーで動いているのではなく、ほかのチーフディレクターやプロデューサーの指示に従って仕事をしているのではないでしょうか?ある程度決まった時間に会社に来て、決まった時間拘束されているのではないでしょうか?このような状況の場合、実質的には指揮命令関係があるとみなされ、雇用契約と同一視される可能性があります。そうなると、残業代などの支払い義務が生じる可能性もあるので注意する必要があります。重要なのは、「雇用」「業務委託」といった契約の名称ではなく、その実態です。 現場取材におけるADの労務管理について Q.当番組では、複数の制作会社からフリーのディレクターが来ており、ADは1つの制作会社の社員、というスタッフ構成になっています。報道番組の取材にフリーのディレクターと制作会社のADの2人で行ってもらっているのですが、何か問題はあるでしょうか? A.テレビ番組制作の現場では、複数の番組制作プロダクションからスタッフが来て、ディレクターやAD業務を行うのは当たり前であり、質問にあるような取材のシチュエーションも日常的にあります。 別会社に所属する2人で取材に行くこと自体に問題はありませんが、懸念されるのはADの労務管理です。まず、そのADが所属する制作会社の上司は、ADがいつどこにいるのか、時間はどのくらい拘束されているのか、必ず把握している必要があります。しかし、取材の内容によっては思わぬ時間がかかったりすることもあります。そのようなケースでは、フリーのディレクターは、直接指揮命令関係があるわけではないADに対し、帰ってよいとか、まだ業務を続けてほしい、などといった指示をすることができません(実際にはしているでしょうが、厳密にいえばその立場にはありません)。しかし、プロデューサーが帰宅している時間であれば、確認がとれません。かといって、そんな確認に気を取られて肝心の取材がおろそかになれば、他局、他メディアに遅れをとってしまいます。非常に難しい問題ですが、こういった場合には、突発的なものでない限り、プロデューサーやそのADが所属する制作会社のディレクターが、ADの労務管理上起き得る問題を事前に把握し、あらかじめ適切な指示をしておくしかないでしょう。そして、フリーや他社スタッフも含めた番組全体のグループLINEを作るなどして、誰もADの状況を把握していないような状態を作らないようにすることが重要です。また、災害現場の取材などでは、制作会社はADに対する安全配慮義務も負っているので、手柄ほしさに危険な取材を無理に行わないよう徹底させることも忘れてはいけません。 スタッフの職務専念義務についてQ.当番組制作会社では、スタッフの勤務態度の悪さが悩みの種です。音楽を聴きながら仕事をしたり、少し目を離すとほかの番組のスタッフと喫煙所で長話、といったことは当たり前になってしまっています。いくら緩い業界とはいえ、何とか改善できないでしょうか? A.通常の雇用契約では、就業規則などで、スタッフは勤務時間中は職務に専念しなければならない、という職務専念義務が定められています。 会社はスタッフに労働の対価として給料を支払うのですから、スタッフが勤務時間に職務に専念するのは、当然のことです。ところが、テレビ業界の場合は当然ではありません。ディレクターは食事に出かけるとなかなか帰ってこない、疲れ切ったADはトイレで寝ている(テレビ局には「トイレで寝ないでください」という貼紙がされていたりします)、ということが常態化してしまっています。こういう状況になりがちなのは、長時間勤務が自明のものとして体に染みついているので、勤務しながら休む、楽しむ、という感覚に慣れきっているからではないかと考えられます。スタッフを管理する側の上席者も、昔は同じような経験をしているはずなので、特に違和感を感じることもないのです。また、テレビ業界には、フリーのディレクターなど、雇われていない業務委託スタッフが多いということも、緩い雰囲気になりやすい要因の一つとして挙げられると思います。業務委託スタッフは誰かに労務管理される立場になく、職務専念義務も負っていないので、自分が任された仕事をこなしさえすれば、好きなときに好きなことをしてよいのですが、同じ現場にいる雇われスタッフがこれを真似したり、管理する側も誰がフリーで誰が雇われなのか把握していなかったりするので、このようなことが起きるのです。雇われスタッフとフリーが混在し、同じ仕事をしているため、雇われスタッフだけに職務専念義務を果たさせる、というのは簡単なことではありません。しかし、雇われスタッフには会社は高い残業代を支払うわけですから、その対価として、勤務時間には職務に専念しなければならない、ということを意識させるべきです。まずは雇われスタッフがどれだけ職務に専念しているのかをしっかり把握し、職務専念義務に違反している場合には、こまめに指導・注意を行うという体制作りから、始めてみてはいかがでしょうか。注意しても直らないようであれば、始末書を書かせるなど、軽い懲戒処分を行っていきましょう。長年染みついた感覚や、職場の慣習を変えるのは簡単なことではありませんが、スタッフの長時間労働の見直しが求められている昨今、職務専念義務の徹底についても、同じように厳しく見直しをしていく必要があるでしょう。 芸能プロダクションの法的紛争リスクについてQ.最近、芸能プロダクションとタレントのマネジメント契約をめぐっては、賃金が不当に低かったり、望まない芸能活動をさせられたりする、など色々と問題が起きていますが、当プロダクションも契約内容を見直すべきでしょうか? A.恐らく大多数の芸能プロダクションでは、タレントとのマネジメント契約は、雇用契約ではなく業務委託契約などの形とし、雇っているのではなく1人の個人事業者としてタレントを扱っているのではないかと思います(そうでなければ、散々働かせているのに月給数万円、ということでは最低賃金を下回り、違法となってしまいます)。 しかし、このような業務委託契約の場合でも、働き方の実態が一般的な労働者と変わらない場合には、そのタレントは「労働者」として扱われます(実際に平成28年に厚生労働省労働基準局がその旨の文書を各種芸能関係の団体に送付していますし、裁判例でも雇用契約類似の契約、と認定されたものもあります)。そうすると、仕事を選べない若手の芸人、モデル、アイドルなどは、事務所の指揮命令に従って仕事をしているのが実情と思いますので、多くのケースで「労働者」と判断される可能性が高いのではないでしょうか。仕事を選べないタレントの数は、選べるタレントよりも圧倒的に多いわけですから、結果として多くのプロダクションが労使トラブル、法的紛争の多発リスクを抱えているということです。ご質問があったプロダクションでは、タレントとの間の指揮命令関係がどうなっているかわかりませんが、芸能界は人気商売ですので、タレントとの法的トラブルはプロダクションにとって即、致命傷となってしまう可能性もあります。そうなる前に、今のうちにタレント(マネージャーらスタッフも)の働かせ方や待遇などを見直し、労務管理が適切に行える体制を整え、紛争リスクを小さくしましょう。 タレント養成スクールの講師契約についてQ.当芸能プロダクションでは、タレントをマネジメントするだけでなく、タレントの養成スクールも運営しています。養成スクールを運営するにあたっては、タレントに講師になってもらっていますが、講師として契約する際に注意すべき点はありますか? A.養成スクールの講師は、多くはタレントか、タレントを目指して裏方に回った方々だと思います。また、大半はプロダクションに雇われた講師ではなく、フリーランスで、タレント業などの合間を縫って講師をしています。この講師達とプロダクションの関係には、多くの問題があります。 まず、演技でも歌でもお笑いでも、芸能において基本的に重要なのはセンスであり、講師が何を指導するか、生徒に何を身につけてもらうかが、はっきりしない場合が多いということです。要するに、決まった正解がないのです。そうすると、講師が勝手な講義・指導をしていると生徒から苦情が入っても、プロダクションから注意することは難しくなります。講師の独りよがりではないか?と思われるような指導が、見方によっては正解といえるかもしれないからです。講師の指導に不満を持った生徒が大量にやめてしまい、数十万、数百万の受講料相当額の損害賠償請求する必要が出てくる、ということも考えられます。その場合でも、講師に何をどう指導してほしいのかが、事前に明確になっていなければ、講師の契約違反を問えず、損害賠償請求することもできない、という事態に陥りかねません。ほかにも例えば、講師が生徒に手を出してしまった場合などはどうなるでしょう。生徒たちにとって、講師は基本的に憧れの対象ですから、あり得ないケースとはいえません。関係がうまくいっているうちは問題にはなりませんが、講師と生徒の関係がこじれてしまったら、周囲を巻き込んだトラブルに発展することもあります。生徒や生徒の親から、講師だけでなくプロダクションが責任を追及される可能性があるのです。プロダクションは講師を雇用しているわけではないので、講師を指導するというのは立場的に難しいのですが、責任追及される場面では、「雇っていないフリーランスの講師なので…」という理屈は通用しない場合もあります。こうした問題が起こらないように、プロダクションと講師の契約では、指導の内容や禁止事項を明確に定め、特に生徒に対する責任を、契約段階で講師に自覚させておくことが重要です。また、そもそも講師を人選する段階で、上記のようなリスクを想定しながら進めていく必要があるでしょう。 タレントの移籍問題についてQ.私はアイドルとしてタレント活動をしていますが、今所属している芸能プロダクションの待遇が悪いので移籍を検討しています。しかし、今のプロダクションとの間のマネジメント契約を見ると、事務所を辞める場合には、一定期間タレント活動を禁止するという条項が設けられており、事実上移籍が難しくなっています。そもそも、このような条項を設けることは法律違反ではないのでしょうか? A.タレント、中でも特にアイドルは、アイドルとして活動できる期間はそれほど長くありません。一定期間、芸能活動を禁止するという条項は、実質的には移籍を禁止するような条項であるといえます。 このような条項の設定が、法律上、一律に許されないというわけではありません。もっとも、職業選択の自由という憲法上の権利を制約する内容にあたるため、裁判に至れば、このような条項は無効と解釈される可能性は高いでしょう(裁判例でもこのような条項を無効としたものがあります)。したがって、移籍を希望するタレントの方々は、上記のような条項を含む契約を交わしてしまっている場合でも、多くのケースでは、そのような条項には拘束されないはず、というのが法的な側面からの回答となります。しかし、ここからが問題です。法的な問題はクリアできても、退社をめぐって事務所と揉めてしまった場合、果たしてそのタレントの移籍はうまくいくのでしょうか。芸能界、テレビ業界は非常に狭い世界なので、大手プロダクションと揉めてしまった場合は、ほかのプロダクションも受け入れに二の足を踏むかもしれませんし、番組、テレビ局も使いづらい、というのが実情です。そうなると、契約条項の法的問題は解決できても、業界の暗黙のルールを乗り越えられずに移籍ができない、という状況になってしまう可能性があります。この問題は、テレビ業界、芸能界の体質によるものなので、完全な解決を望むのは難しいです。しかし、例えば退社時、弁護士に間に入ってもらうなどすれば、単純に移籍を認めさせるだけでなく、その後も不利益な扱いをされないというところまで含めて、プロダクションと綿密に協議し、円満な解決を目指すことが可能になります。その際は、単に抽象的に芸能活動を阻害しないという約束をするだけではなく、具体的な番組や、プロダクションなどを想定しながら話し合っていくことが大切です。 執筆/シティ総合法律事務所会田岳央(「弁護士」というと、敷居が高く、話しにくいと思われるかもしれませんが、我々自身、そういう弁護士は苦手で、親身に温かく皆様のお悩みをお聞きする温かい法律事務所であると自負しておりますので、どうぞご安心して、何でもお気軽にご相談ください。)【弁護士が語る!】テレビ番組制作会社や、芸能プロダクションでの働き方の難しさはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【弁護士が語る!】テレビ番組制作会社や、芸能プロダクションでの働き方の難しさはシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年09月27日プロレスラー、棚橋弘至さんは美しい。言葉を変えると、色気がある。鍛え上げられた肉体もそう感じさせる理由のひとつだが、艶っぽい表情にぐっとくるのは、私だけではないだろう。戦いの最中、相手の膝を集中攻撃するとき、棚橋さんは鬼になって、サディスティックな表情を浮かべる。相手の技を受け続けて、ボロボロになっているとき、棚橋さんの表情は切なくて、それでもなんとか希望をつかむんだといった、諦めない感情がにじみ出ている。一方、メディア出演で見せる、爽やかな笑顔。何十本もの取材対応後に行った『DRESS』での取材中にも、「ちょっと飴食べてもいいですか?血糖値を上げたくて(笑)」と、癒やし系の笑顔を見せてくれた。■棚橋弘至さん演じる悪役レスラー「ゴキブリマスク」あの独特のやわらかく、温かい微笑みは、棚橋さんがデビューして約20年、背負ってきたものや戦ってきたものの重さを現していると思う。幾多のつらい経験を乗り越え、自分自身と闘ってきた人の笑みなのだ。膝や肩、首、腕……棚橋さんは体中に爆弾を抱えている。年間150試合を超える戦いを20年近くも続けてくれば、満身創痍の状態になるのも無理はない。それでも戦い続け、夏の祭典「G1 CLIMAX 28」では今年、3度目の優勝を果たした。この戦いを見て涙した人は数多くいるだろう。優勝おめでとうございますと伝えると、「がんばったでしょ?」とにっこり微笑んだ棚橋さんは、9月21日公開の映画『パパはわるものチャンピオン』に主演する。演じるのは、10年前まで団体のトップレスラーだった大村孝志。彼は今、悪役レスラー「ゴキブリマスク」として戦っている。■「かつてのエース」に自分を重ねて「映画の仕事が来ました、と言われたときは『映画?マジすか!?』で1回目、『主演です』と言われて2回目、『パパはわるものチャンピオン』の主演ですと言われて3回目。3回びっくりしましたね」目を細めて優しく微笑んだ。お子さんの学校での読み聞かせ行事で、原作の絵本を読んだことがあり、そこで描かれている白タイツのコスチューム、金髪にメッシュ、筋骨隆々のプロレスラー、ドラゴン・ジョージは棚橋さんそのもの(※)だったことから、驚くのも無理はない。※岩崎書店の『パパはわるものチャンピオン』特設サイトでも、絵本の作者・板橋雅弘さんが「ドラゴン・ジョージは棚橋さんをイメージして描いた」と言及している。ただ、棚橋さんが演じたのは現在のエース、ドラゴン・ジョージ役ではなく、かつてのエースだった大村ことゴキブリマスク。オカダ・カズチカさんという強すぎる次世代の出現や度重なる怪我による欠場で、2015年頃から棚橋さんは自身が望むような結果を出せずにもがいていた。それは大村という、かつてのエースに重なる部分があったのではないか。■好きな仕事を理解してもらえない苦しみ「大村は僕に近かった、というのもあって、大村を演じる意識はあまりなかったです。むしろ、怪我の苦しみを誰よりもわかっているぶん、無理なく大村になれたというか。自分がエースだったという過去の栄光に引っ張られて、悪役のゴキブリマスクとして戦うことに誇りを持てない感覚は出せるかな、と感じていました」自分の役割を当の自分が受け入れられない、という状態はしんどい。正義のヒーローから悪役へという流れは、見る人によっては「落ちぶれた」と感じるかもしれないし、悪役の必要性を知らない子どもからすると、「正義のヒーローのほうがカッコいい」となるのも無理はない。実際、息子の祥太(寺田心)から「悪者のパパなんて大嫌いだ」「(悪者の)仕事なんてやめてほしい」など、純粋な気持ちをぶつけられるつらいシーンもある。プロレスが好きだから戦っていて、それを仕事にできているから、家族と生きていける。にもかかわらず、仕事を理解してもらえない苦悩を抱える大村の姿を見るのは悲しかった。■仕事に誇りを持ち始める……心境の変化も見てほしい「家を出る前に、家族から『危ないことしないでね』と言われることがあります。いやいや、これから危ないことしに行くんですよ、って思うんですけど(笑)、どんな試合をしてもいいけど、自分の脚で歩いて帰ってきてね、というメッセージだと捉えています」棚橋さんには、ふたりのお子さんがいる。彼らは幼いころから「お父さんはプロレスラー」だと理解していて、大きな試合はときどき見にきていたという。そんな棚橋家とは違い、大村家では祥太に自身がプロレスラーであること、加えて悪役をしていることを隠していたが、ひょんなことから大村=ゴキブリマスクだと、祥太にバレてしまう。劇中で、祥太から否定の言葉を投げかけられ、祥太の部屋の前に立ち尽くす大村の背中は、とても大きいはずなのに妙に小さく見えて、やりきれない気持ちになった。ただ、タッグパートナーのギンバエマスク(田口隆祐)や祥太、彼の友達とのやりとりのなかで、少しずつではあるけれど、大村は悪役の仕事に誇りを持ち始める。「(大村の)そんな心境の変化が伝わればいいなと思います」と話す棚橋さんに、どのシーンがそれを象徴しているのか尋ねると、少し間があった。棚橋さんは言葉を一つひとつ、丁寧に選ぶ。厳選した技を一つひとつ、見る者にわかりやすく繰り出す棚橋さんの態度は、リング外でもリング内でも変わらない。とても真摯な人なのだ。「あぁ、治療院でのシーンですね。担当医から『先のことを考えて』と言われたとき、食い気味に『先なんてない!』と返したら、監督からOKが出たんですよね。本当は静かな声で『先なんてない』でも良かったんですけど。アドリブだったので、やるじゃん、俺!って思いました」あははと朗らかに笑う。目尻にできる笑いジワが、やっぱり温かくて、太陽みたいで眩しい。■過去の栄光に引っ張られない先なんてない!は棚橋さんの心の奥底にある感情が、無意識に流れ出たものかもしれない。来年にはデビュー20周年、11月に42歳を迎える棚橋さんにとって、一つひとつの試合はもちろん、一瞬一瞬が貴重だ。プロレスが他の競技と比べて、“現役”でいられる期間が長いとはいえ、10年後もリングに立っていられるのか。ファンはデビュー30周年目の棚橋さんも見たいと望むけれど、未来のことは誰にもわからない。「20年近くプロレスをしてきて変わってきたのは、今の自分を受け入れるというか、今持っているハイフライフロー、ドラゴン・スクリューなどの得意技を活かしてどう戦うか、ということ。あれもこれもできたのに……という過去の自分に引っ張られるんじゃなくて、これだけ使えばいいとわかっていたら戦略を立てられる。G1もそういう感覚で戦ってきました」プロレスの話になると、表情がきりりと引き締まる。棚橋さんはプロレス界の今のトレンドを「足し算、掛け算みたいなプロレス」と表現する。たしかに、いろいろな技を繰り出し、「えっ、こんな技もあるの!?」と観客を沸かせるレスラーは少なくない。引き出しの多さに圧倒されることもある。■チャンピオンはみんなに“次”を見せる立場一方で、棚橋さんが目指すのは「引き算、割り算みたいなプロレス」だ。自身を「反骨心がすごい。それは昔から」と話す。時代に逆行したそのプロレスはシンプルで、わかりやすい。いろいろなものを削ぎ落とし、一つひとつ磨き抜かれ、高められた技を見せているとも言える。「G1でチャンピオンになった僕は、“次”を見せないといけない。周りはトップをとった後は何をしてくれるんだ?と期待していますから。一番になるのはゴールじゃなくてスタート。一番になった者はそこから波風を立てないといけないんです」取材中、『パパはわるものチャンピオン』の劇場が75館になった(2018年8月22日時点)と聞いて、「えーっ!そんなに増えたんですか!嬉しい!」と無邪気な表情を見せた棚橋さん。映画でも“トップ”をとったら、第二弾、第三弾を期待してもいいですか?編集後記棚橋さんは映画初主演について「日々、プレッシャーとの闘いでした」と振り返った。監督がOKと言うまで気が抜けないのは当然だが、自分のなかに「演技の正解」がなく、何が正解なのかわからない状態で演じるのは、暗い夜道を明かりなしで歩くようなものだろう。「めちゃくちゃ不安でしたよ」と強調した。それでも座長だからこそ、演技力では引っ張れなくても、現場を盛り上げて良い空気づくりに注力し、できることを全力でやりきったという。正解は見えてきましたかと問うと、「正解は見えてこなかったです。たぶん見つからない」。演技にもプロレスにも人生にも、正解なんてものはないのかもしれない。無我夢中で走っているとき、正解なんて見えてこないのかもしれない。それでも力を出し切って向き合うことで、自分がしてきたことを正解にしていけばいいのだ。そう思わせてくれたひとときでした。Text・Photo/池田園子■作品情報映画『パパはわるものチャンピオン』2018年9月21日(金)より全国公開出演:棚橋弘至、木村佳乃、寺田心、仲里依紗、他原作:『パパのしごとはわるものです』『パパはわるものチャンピオン』(作:板橋雅弘、絵:吉田尚令)監督・脚本:藤村享平主題歌:高橋優『ありがとう』(ワーナーミュージック・ジャパン/unBORDE)配給:ショウゲート(C)2018『パパはわるものチャンピオン』製作委員会
2018年09月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年09月04日連日報道される「パワハラ」レスリングの監督による選手への言動や、大学のチアリーディング部の監督による選手への言動が、「パワハラ問題」として報じられています。報道されている内容が真実であるとすれば、もちろん良くないことだろう、ということはわかります。しかし、皆さんの中にも疑問を感じられた方もいるのではないでしょうか。「これってパワハラなの?」パワハラの定義とはパワハラとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間などの様々な優位性を背景に行われるものも含まれる)を背景に、業務の適正な範囲(個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワハラには当たらない。)を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう、されています。例えば、上司が部下に対して、「バカ」、「あほ」、「死ね」、「小学生以下か」、「給料泥棒」、「お荷物」、「目ざわり」、「いてもいなくても同じ」、「いつ辞めてもらったってかまわない」などの人格否定をする発言がパワハラに該当するのはイメージがわきやすいですね。では、監督・コーチと選手との間ではどうでしょうか。同じ職場で働いているわけでもないし、労働契約もないし、従業員でもないし、それでもパワハラに該当するのでしょうか?パワハラの定義は、もはや意味がないそもそもパワハラの定義に該当するか否かを考えてもあまり意味がありません。パワハラに該当しないからといって責任を免れることできるわけではないからです。やってはいけないことをやってしまえば当然、責任を取らなければならないのです。内容によっては、刑事上の暴行、傷害、名誉棄損等に該当し得ますし、民事上も不法行為の損害賠償の対象になるでしょう。もはや、「パワハラ」という言葉自体にあまり意味がないのです。パワハラという言葉は、今や、社会的に、職場環境的に、法的に、許されない行為という意味で広く用いられるようになったということです。政府が公表、パワハラ報告書なお、パワハラについては、働き方改革実行計画において、「職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う」ことが示されました。このようにパワハラ防止は、働き方改革においても重要な課題として位置づけられ、それを踏まえて平成30年3月30日、「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書が公表されました。職場における、どのような言動やどのような要素がある場合に職場のパワハラに該当するのかについて、具体例も記載されています。ぜひ、一度、ご覧になってみてください。 執筆/杜若経営法律事務所 岸田鑑彦(【使用者側専門40年の圧倒的な実績】【市ヶ谷駅徒歩3分】【弁護士9名在籍】【総合力とチームワーク】杜若経営法律事務所は使用者側労働問題の解決に圧倒的な自信がございます。)監督やコーチから、選手に対する言動はパワハラなの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。監督やコーチから、選手に対する言動はパワハラなの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年08月21日海外で抱かれている「日本」のイメージといえば、寿司やてんぷらといった料理にカワイイ、サムライ、そしてアダルトビデオ(AV)。中国ではTwitterのようなSNS「Weibo」が広く利用され、なかでもダントツにフォロワーの多い日本人は、元セクシー女優の蒼井そらさんです。2018年8月中旬現在1892万人のフォロワーを有しています(ちなみに、経営者として中国人から支持されている稲森和夫さんのフォロワーは1200万人)。中国でも高い人気を誇るこの元セクシー女優が8月、ある企業のイメージキャラクターに着任しました。その際、赤いネッカチーフを着用していたことで、中国共産党青年団のWeiboアカウントにより非難を受けます。この事件を受け、中国のメルマガ「中国婦女報」は「人の注目を集めたくて、結果として自らのブランドイメージを貶めるような人選をしてしまっている。しかしそんな企業は実は今回のこの1社だけではない」といった内容の記事を紹介。いくつかの「セクシー女優起用により企業に対するイメージをかえってゆがめてしまった例」を伝えています。■企業の顔に選ばれてきた、日本のセクシー女優たち中国では日本のセクシー女優をキャンペーンキャラクターに起用するケースも少なくありません。また、小さな企業だけでなく、上場企業でも起用の実績があります。今回の報道では複数の例を挙げています。上述の蒼井そらさんは2012年、上海の隣に位置する浙江省の銘茶「西湖龍井」の全国キャラクターを務めました。記事では、この人選に関するネット上の声として、「このように辱められたお茶はもう二度と飲まない」といったネガティブなものを紹介しています。2013年には、ナスダックに上場しているネットイース社のプロダクトのイメージキャラクターとして、当時セクシー女優として活動していた沖田杏梨さんを起用しています。2年前の2016年北京モーターショーでは、江鈴汽車のイメージキャラクターとしてセクシー女優の滝澤ローラさんが登場し、多くのファンを惹きつけたとしています。ただし、この人選はブランドのイメージアップにつながったかというと決してそんなことはなく、同社がモーターショーで発表した新SUVの売れ行きは惨憺たるものだったと伝えています。中国でも全盛を極めているオンラインゲーム、モバイルゲームにおけるセクシー女優の起用は枚挙に暇がありません。さらに記事では、アパレル系ECサービスを展開する凡客の新年会に蒼井さんが招かれたことや、2014年には同じくセクシー女優の波多野結衣さんがとあるゲーム会社の新年会に登場し、会場が沸き立ったことを例に挙げています。ネット業界では新年会にセクシー女優を招くことがデフォルトになっているのか?そんなことをする業界は世界中を見ても中国のネット業界だけではないのか?とも批判しています。■セクシー女優の起用は忌避すべきことなのか?セクシー女優をイメージキャラクターとして起用するのは、忌避すべきことなのでしょうか?自ら望んでその道を志す人、あるいは始まりはなんであったとしても、それに誇りを持って演じている役者はたくさんいるはずです。セクシー女優だから、あるいは元セクシー女優だからという理由だけで、女性本人に劣悪なイメージを負わせる必要はないと筆者は考えます。その上でなお、企業イメージとして、性的なものを想起させることがイメージダウンにつながる場合や、「性行為=消費するべきもの」というイメージを与える可能性のあるセクシー女優を避ける判断はあってしかるべきでしょう。ただし後者については、筆者はセクシー女優本人の観点がより重要となるのではないかと考えます。「性行為=消費」という観念に対し、セクシー女優だからといって賛同しているとも限らないはずです。過去に出演している作品から、そのイメージを拭えない場合もあるかもしれません。そうであってもなお、その出演者であった女優が「私の考えは違う」と主張する場合にはむしろ、彼女は自分の考え方を変えたのだという点を評価されるかもしれません。今回8月にニュースとなった蒼井そらさんがイメージキャラクターを務めたのは「男性用品」のブランドであり、精力剤などを取り扱っています。この点で、当該ブランドと彼女が背負うイメージには大きな齟齬はありません。記事中の他の例で挙げられていたような「ブランドのイメージダウン」といった指摘は今回のケースには当てはまらないようです。実際のところ、中国共産党青年団により指摘されたのは「赤いネッカチーフの着用」でした。そして、この出来事について、8月20日時点で、彼女のWeibo上では特に言及はありません。ファンとのコミュニケーションに用いられているWeiboにおいて自ら何かを釈明する必要はない、その程度の出来事であったことがうかがえます。本稿で紹介したニュースの内容は、セクシー女優の起用をネガティブにとらえるものですが、「中国の企業が日本のセクシー女優をキャンペーンに起用している」という事実からはむしろ、実際の中国社会は性産業に従事する女性が表舞台に出ることを肯定的にとらえているとも言えるのではないでしょうか。そのとき、彼女たちが作品で演じている人物とそれらが描くイメージは、どこまで作品の外の女優に波及されるのが適切なのでしょうか。セクシー女優という存在にネガティブなレッテルを貼り、それを生涯負わせるのではなく、演技経験のある者として、人格のある彼女自身をイメージキャラクターに起用できるのならば、それはむしろ健全な社会の在り方のようにも筆者には思えるのです。
2018年08月20日両親とも、娘の「過労死」をいまも受け入れられない。政治の動きは2人の気持ちをさらに逆なでする。若者を中心にこれだけ“犠牲者”が続出しているのに、6月29日、頑張って働く労働者を死に追いやるような働き方改革関連法案が成立してしまったからだ。「働き方改革」として、法案を総理自らが旗を振って進めたことに対する怒りも収まらない。大好きな仕事によって、未来を奪われた娘の無念を晴らすために、過労死根絶を目指して両親は今日も発言を続ける――。佐戸家のリビングダイニングに面した広めの和室で、’13年に過労のため31歳で急逝したNHK記者・佐戸未和さんはにこやかな笑顔を浮かべていた。親しい友人とハワイ旅行した際、撮影されたその遺影の脇には、お骨も安置されていた。「お墓は作ったのですが……。寂しく真っ暗なところに未和1人おくなんて、そんな気持ちになれません。私か家内が死んだとき、一緒に連れていくことにしています」父・守さん(67)は、ポツリと言った。母・恵美子さん(68)も続けてこう語る。「戒名はつけませんでした。未和は遠くになんか行っていないし。私達の心の中にずっと生きているし、いつも一緒です」’05年4月、NHKに入局した未和さんは、恵美子さんいわく「みんなから愛されて、いつのまにか人の中心にいるタイプ」。新人研修の集合写真でも、桜の木の下で仲間が一列に立つ真ん中で、1人、ゴロンと横たわり、ピースサインで笑っていた。5月に配属された初任地は、鹿児島放送局だった。事故や事件、台風などの災害現場にも足を運び、いじめ問題にも切り込んだ。「社会的弱者に寄り添う未和らしい取材もありました。鹿児島のパナソニック関連工場閉鎖のとき、解雇された側に立ったレポートは印象に残っています」(守さん)頑張り屋の彼女は、鹿児島弁も使いながら取材先に食い込み、記者として評価されるようになった。鹿児島で5年勤務した後、首都圏放送センターに異動になり、未和さんは都庁クラブに配属された。’13年1月、アルジェリアでイスラム系武装集団による人質拘束事件が起き、未和さんは、犠牲になった日本企業・日揮の取材でトイレにも行けない状況が続いた。「膀胱炎になっても病院に行けないというので、心配していました」(恵美子さん)6月には都知事選、続く7月には参議院選があり、未和さんは取材に忙殺される日々が続いた。7月21日に参議院選の取材を終え、23日には、横浜放送局へ異動する彼女の歓送会が開かれた。亡くなったのは、歓送会から帰宅した後とされている。直接の死因は、うっ血性心不全だった。第一発見者は未和さんの婚約者だった。未和さんと連絡が取れず、心配になって、マンションに駆けつけたときには、すでに死後1日半近くがたっていた。「熱暑の真夏に、1日半も部屋に放置されて、肌の色は変わってしまっていました。若いと余計に体も膨らんでしまうそうです。あのかわいい未和が、変わり果てた姿で……」(恵美子さん)29日に通夜、30日に告別式が営まれ、のべ1,000人が参列した。だが、葬儀が終わっても、家族には釈然としない思いだけが残った。恵美子さんは、未和さんの病歴や薬を調べた。父・守さん(67)は、NHKから娘の勤務表を取り寄せた。「愕然としました。これは何だ!と、怒りが湧いてきました」(守さん)それは、長年メーカーで、管理職として働いてきた守さんにとって、信じがたい勤務表だった。未和さんは、5月末から最後の出勤日となった7月22日まで、休日はほとんどなく、都議選の6月、参院選の7月は勤務時間が10〜25時という日が何度も記載されていた。「記者の勤務時間はすべて自己申告で、1日15時間以上は申告できないそうです。未和は、ほとんどの日で15時間ピッタリ。実際は、それ以上、働いていたのではないかと疑問に思いました」(守さん)守さんは、NHKにパソコンや携帯電話の記録、タクシーの利用状況の提出を求めた。複数の資料を照らし合わせて浮かび上がってきたのは、未和さんの過酷な労働状況だ。勤務時間が連日10〜25時となっているのに、朝6時台に自宅から都庁までタクシーに乗っていたり。携帯メールの受信記録では、深夜2時、3時にも、選挙の候補者の情報が寄せられていたという。調べるうちに真夏の炎天下、候補者や政党の演説に同行し、街頭調査や出口調査、局内での夜間の票読み会議、番組での選挙レポートと、未和さんの奮闘ぶりも見えてきた。「1月に膀胱炎を患っていたからでしょうか。連日35度を超す猛暑のなか、未和は余分な水分をとろうとせず、薄いスイカでしのいでいたそうです」(恵美子さん)選挙戦での綿密な取材が評価され、葬儀の日付で未和さんに、報道局長特賞が贈られたが、娘の過重労働が明らかになるにつれ、両親のNHKに対する不信は募った。「殉職のような扱いで、腹が立ちます。『他社に先んじて、当確を打ち出した』ことが称されていますが、数分、数秒、早く結果を出すことに、どれほどの意味があるのでしょう。こんなもののために未和は死んだのかと思うと、本当にやりきれません」(恵美子さん)両親が執念でたどった未和さんの足跡を一目見た弁護士は、「これは過労死の疑いが非常に強いです」と、即答。未和さんの死から10カ月後の’14年5月、過労死と認定された。労災認定の過労死ラインは80時間とされている。しかし、未和さんの直近1カ月の残業時間は、認定されただけで159時間。両親が調べた結果では、209時間にも上っていた。過労死認定はでたものの、両親には何の達成感もなく喪失感と苦しみのほうがはるかに大きかった。恵美子さんは、それから3年ほど、精神のバランスを崩し、長期の療養と入退院を繰り返している。「子が先に逝く悲しみは、食べたい、飲みたい、生きたいといった“したい”欲望すべてを奪います。ベランダから飛び降りようと何度も思いました。気づけば独り言をブツブツ言っています。自分が壊れていくのがわかりました」(恵美子さん)’17年3月、ようやく症状が落ち着いて退院すると、恵美子さんは過労死遺族も参加するシンポジウムに足を運ぶようになった。「家に閉じこもりきりでは、気がめいるばかりですから」(恵美子さん)’15年12月、電通の高橋まつりさん(享年24)が自殺し、’16年に過労死認定されてから、過労死は大きな社会問題になっていた。しかし、NHKは、電通事件は大きく報じても、自局の未和さんのことには触れもしない。労働問題専門の解説委員さえ未和さんの過労死の事実を知らなかった。「局内で未和の過労死は周知されていなかったんです。それは未和の命が軽く見られているということじゃないでしょうか」(恵美子さん)昨年の命日にはNHKから直前になっても連絡がなかった。「このままでは未和の過労死がNHKの中で風化してしまう」。両親の危機感はつのり、守さんは報道センター長に局内での周知を要求した。その後NHKと両親の間で何度か話し合いがもたれ、10月4日の『ニュースウォッチ9』での公表につながった。番組最後のたった2分の報道だった。6月には、上田良一会長が謝罪したが、それで、両親が納得できたわけではない。13日に、夫妻も記者会見に臨み、NHK側が番組で「遺族側の意向で公表を控えた」とした説明に、異論を唱えた。とはいえ、昨年12月、NHKが発表した「NHKグループ働き方改革」に、守さんはひとつの成果を感じていた。「会長自ら先頭に立ち、働き方改革を進めたことは、前進だと思っています。未和の死が背景にあると思います」(守さん)
2018年07月29日残業200時間超……’13年7月に過労のため31歳で急逝したNHK記者・佐戸未和さん。今国会での“過労死促進法案”成立に、両親は再び怒りと悲痛の叫び声をあげる――。「大事な娘を先に失った親の気持ちがわかりますか。未和の誕生日の6月26日、命日の7月24日が近くなると、特に悲しくなります。私はいまでもお薬を飲まないと眠れません。無理にでも眠って、ようやく見る夢のなかでも、私はやはり悲しんでいて、悲しい気持ちのまま朝が来る。そうしてまた、つらい一日が始まるんです」つらい気持ちのまま、母・恵美子さん(68)は先月まで、国会に連日通っていた。安倍首相が最重要法案と位置付けた働き方改革関連法案の審議を見つめるためだ。「1カ月だったら休日出勤も含めて100時間の残業上限なんてとんでもない。80時間だって、それ以下でも亡くなる方はいるんです。過労死遺族は、抗議の気持ちを伝えるために通い続けましたが、国会議員の先生方は、遺族が傍聴していることを知りながら、答弁中に頻繁に出入りしたり、スマホを見たり、居眠りしたりと真剣さがなく、怒りでいっぱいになりました」(恵美子さん)6月29日、賛成多数で働き方改革関連法は成立した。いまも悲しみに暮れる母親らが見守るなか、過労死促進の可能性がある法案が通ってしまった。結婚も決まっていた。新たな人生のスタートを前に、未和さんは胸をときめかせていたはずだ。すぐそこに見えていた輝くばかりの彼女の未来。それを、無残に断ち切った過重労働による過労死。’05年4月、NHKに入局した未和さん。5月に配属された初任地は、鹿児島放送局だった。鹿児島で5年勤務した後、首都圏放送センターに異動になり、未和さんは都庁クラブに配属された。’13年、6月に都知事選、続く7月には参議院選があり、未和さんは取材に忙殺される日々が続いた。7月21日に参議院選の取材を終え、23日には、横浜放送局へ異動する彼女の歓送会が開かれた。亡くなったのは、歓送会から帰宅した後とされている。直接の死因は、うっ血性心不全だった。29日に通夜、30日に告別式が営まれ、のべ1,000人が参列した。だが、葬儀が終わっても、家族には釈然としない思いだけが残った。恵美子さんは、未和さんの病歴や薬を調べた。父・守さん(67)は、NHKから娘の勤務表を取り寄せた。「愕然としました。これは何だ!と、怒りが湧いてきました」(守さん)それは、長年メーカーで、管理職として働いてきた守さんにとって、信じがたい勤務表だった。上司が部下一人一人の残業時間をチェックし、深夜勤務や休日出勤には常に注意を払い、社員の労働時間の管理をきちんとする、それが普通ではないのか。ところが、未和さんは、5月末から最後の出勤日となった7月22日まで、休日はほとんどなく、都議選の6月、参院選の7月は勤務時間が10〜25時という日が何度も記載されていた。「記者の勤務時間はすべて自己申告で、1日15時間以上は申告できないそうです。未和は、ほとんどの日で15時間ピッタリ。実際は、それ以上、働いていたのではないかと疑問に思いました」(守さん)守さんは、NHKにパソコンや携帯電話の記録、タクシーの利用状況の提出を求めた。複数の資料を照らし合わせて浮かび上がってきたのは、未和さんの過酷な労働状況だ。勤務時間が連日10〜25時となっているのに、朝6時台に自宅から都庁までタクシーに乗っていたり。携帯メールの受信記録では、深夜2時、3時にも、選挙の候補者の情報が寄せられていたという。「主人は夜になると、提出された資料を何度も見返しながら、涙を流していたんです」(恵美子さん)調べるうちに真夏の炎天下、候補者や政党の演説に同行し、街頭調査や出口調査、局内での夜間の票読み会議、番組での選挙レポートと、未和さんの奮闘ぶりも見えてきた。「1月に膀胱炎を患っていたからでしょうか。連日35度を超す猛暑のなか、未和は余分な水分をとろうとせず、薄いスイカでしのいでいたそうです」(恵美子さん)選挙戦での綿密な取材が評価され、葬儀の日付で未和さんに、報道局長特賞が贈られたが、娘の過重労働が明らかになるにつれ、両親のNHKに対する不信は募った。「殉職のような扱いで、腹が立ちます。『他社に先んじて、当確を打ち出した』ことが称されていますが、数分、数秒、早く結果を出すことに、どれほどの意味があるのでしょう。こんなもののために未和は死んだのかと思うと、本当にやりきれません」(恵美子さん)両親が執念でたどった未和さんの足跡を一目見た弁護士は、「これは過労死の疑いが非常に強いです」と、即答。未和さんの死から10カ月後の’14年5月、過労死と認定された。労災認定の過労死ラインは80時間とされている。しかし、未和さんの直近1カ月の残業時間は、認定されただけで159時間。両親が調べた結果では、209時間にも上っていた。過労死認定はでたものの、両親には何の達成感もなく喪失感と苦しみのほうがはるかに大きかった。今年1月から、過労死遺族たちと国会にほぼ毎日、傍聴に通い「働き方改革関連法案」の行方を見守ってきた恵美子さんはこう話す。「労働者側ではなく、企業側に都合のいい法案が通ってしまったのは残念です」(恵美子さん)年収約1,000万円以上の専門職は、労働時間の規制を外すという「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」。年収上限が将来的には下がり、過重労働を増長させるとの指摘が識者からある。しかし、議論もほとんどないまま衆参両議院であっさりと通過、成立したのだ。「寝る時間もなく働くと、人は死ぬ。過労で、ある日突然死ぬんです。仕事は、人が幸せに生きるためのものなのに、それで人が死ぬなんて。遺族の沈黙は、次の犠牲につながります。未和は過労死根絶の人柱になったのだと思い、労働者の働き方が本当に変わるまで訴え続けていきます」(恵美子さん)
2018年07月29日自分の好みや体型に合ったファッションを、思い切り楽しみたい――。こんなありふれた願いを、「身体に障がいがある」という理由で諦めなくてはいけない人たちがいます。「障がい者用のダサい服は、もう着たくない」そんな声を聞いて立ち上がったのが、ファッションデザイナーで「a.ladonna.(アラドナ)」の代表、加藤千晶(かとう・ちあき)さん。ファッションブランド「a.ladonna.」の代表を務める加藤千晶さん。「障がいのある人のために服を作ろうとすると、どうしても“介護者に寄り添った服”になってしまう。それは機能的なだけで、デザインとしてはダサいことが多いんです」加藤さんはこう話します。その現実を目の当たりにしたとき、培ってきた自身のデザインが役に立てるかもしれないと一念発起。“障がいのある方と共に着られる服”をテーマに、新しいライン「a.ladonna.+(アラドナプラス)」を立ち上げました。ここでは、そんな加藤さんの怒りを抱えながら疾走したアパレル時代、人から必要とされる喜びに目覚めた今、そして一歩先に描いたビジョン……など、彼女のヒストリーに迫ります。■“怒り”が仕事への原動力だった——加藤さんが幼い頃から描いていたというデザイン画を拝見したのですが、「本当に子どもが描いたの?」とつっこみたくなる完成度の高さでした。ちゃんと描き始めたのは小学校4年生くらいの頃です。“お絵描き”という感覚ではなく、ちゃんと“デザイン”というものを意識していたのを憶えています。デザインの背景にあるストーリーまで鮮明に思い描いていましたね。加藤さんが小学生時代に描いていた、洋服のデザイン画。「このデザイン画が、私の今の仕事の原点になっています」と話しながら見せていただいた。「こんな髪型のこんな人が、こんなポージングで着ているんじゃないか」というような(笑)。——視点がもはやプロ並みですね。デザイナーさんはやはり、そういう感覚でお仕事をされている方が多いのでしょうか。「こんな人が、こんな風に身にまとってくれたら素敵なんじゃないか」というところからデザインするのが理想の姿だと私は思っています。でもファッション業界も大きく変わってきていて……。ファストファッションが大量に入ってきてからは、やはりブランドからそんな余裕がなくなってしまったように見えます。去年売れたデザインをアレンジするとか、他社で売れているデザインをコピーするとか、そんな方法が一般的になったのかな。——そうしたファッション業界の変化を、加藤さんはどのように捉えていたのでしょうか?職人の技術によってつくられるファッションに憧れを持って飛び込んだからこそ、20代は本当に苦悩の日々でした。業界に対しても、自分の会社に対しても、世の中に対しても、とにかく不満だらけ。怒りを原動力にしてデザインを描いていました。特に疑問に感じていたのは、「技術はないけれど価格が安い」という理由で縫製がどんどん海外へ発注され、日本の職人さんたちがことごとく食べていけなくなったこと。今日履いているこのブーツ、何度も修理し直しているんですが、20代の頃お世話になった職人さんに作ってもらった当時のブランドのサンプルなんです。加藤さんが職人さんに作ってもらったブーツ。20代の頃からメンテナンスをしながら履き続けている。——素敵ですね。とても味があるというか。当時、私が任されていたブランドの靴を作っていた方の作品です。小さなブランドでしたけど、親身になってどんなお願いにも答えてくれて、アドバイスもしてくれて……。でもある日その方から電話がかかってきて。「加藤さん、来年の展示会の分、作れなくなった。もう、(店が)回らんわ」と言われました。業界のコスト削減の煽りをモロに受けてしまったんですよね。その後その工場は倒産して、連絡が取れなくなってしまった。そのとき、私の中で糸が切れちゃったんです。こんな正直者がバカを見る世界、嫌だなって。それでポーンと会社を辞めてしまいました。■たどり着いたのは“身体障がい者の方と共に着られる服”——ご自身のブランドである「アラドナ」を立ち上げられたのは、どんなことがきっかけだったんですか?他業界に転職しようと思ったんですけど、やっぱり経験がないからことごとく面接で落とされてしまって。貯金が千円もなくなって「あ、死ぬな」って思ったときに、もう一度自分にじっくり向き合ってみたんです。そこで気づいたのは、私は決して洋服が嫌いになったわけじゃないということ。自分の置かれた環境が許せなかったけど、小さい頃からあんなに大好きだった服を、結局は嫌いになれないということでした。だけど会社に戻る気にはなれない。それならつくってしまおう、と。——貯金千円以下のところから会社を立ち上げるのは大変だったのでは?まずは商社と契約をして、フリーデザイナーとしてデザインを売ることから始めました。2年間で資金を貯めて、以前お世話になっていた工場や職人さんに連絡をして。「ひとりで会社をつくろうと思うんですけど、予算もないし、手広くもできないんです」ということを正直に伝えたところ、何人かの方が力を貸してくれて、なんとか立ち上げることができました。今から10年前、29歳のときです。——その10年の間に加藤さんがたどり着いたのが、“身体障がい者の方と共に着られる服”だったのですね。そうなんです。ブランドを立ち上げて、細く長くデザインをつくり続けていくうちにたどり着いたのが、流行にとらわれず使い捨てでもない、男女問わず自由気ままに着られる服でした。どんな体型の方も着こなせるようにファスナーの代わりにゴムのデザインバリエーションを増やしたり、肌触りの良い素材を使用していたのですが、その発想がバリアフリーとしての機能と合致して。たまたま私がつくっている服を見た福祉関係の知人が、「これって障がいのある人でも着られそう。そういうラインつくれないの?」と声をかけてくれて、3年前に“身体障がい者の方と共に着られる服”「アラドナプラス」として発足。そこからは、生地屋さん、縫製屋さん、モニターの皆さんと何度も意見を交わしパターンを引き直しながら、ようやく最近、最初のサンプルが完成したんです。■介護者のためだけに作られた服に、一石を投じたい——これまで普通のアパレルしか経験のない中で、難しい挑戦だという感覚はありませんでしたか?むしろ「自分こそ役に立てるかもしれない」と思いました。ユニバーサルデザインではなく通常のアパレルで経験を積んでいて、ハイファッションまで網羅する技術もある。着やすくてスタイリッシュな服なら、私に任せて欲しい!と思ったんです。着る人ではなく、介護する人のためだけに考えられたデザインって例えば、(脱がしやすくするために)洋服に巨大なファスナーリングがついていたりする。私だったら絶対にそのようなデザインにはしませんから。——巨大なファスナーリング、たしかにデザイン的にはいけてないですね……。やはり障がいのある方の中には、服に対して不満を抱えているケースが多いですか?多いですね。特に女性でユニバーサルデザインの服を好んで着ている方って、本当に少ないんですよ。理由はひとつ。とにかく「ダサい」から。こんな服を着るくらいなら、着にくいけれど一般の市販服を我慢して着たほうがいいという方が多いんです。特別扱いして欲しくない、健常者と同じ服が着たい、と。——おしゃれを楽しみたい人にとって、選べる服が少ないのは悲しいですよね。今回ブランドのモデルを務めてもらった女性は、右半身麻痺の障がいがある方なんです。「アラドナプラス」では、クラウドファンディングにて資金を募っている。ブランドのモデルを務めている女性も当事者のひとり。もともとおしゃれが大好きだったのに、「車椅子に座ってしまったら、どうせデザインなんて見えない」「普通の服を買ってもひとりでは着られない」といった理由で買い物にも行かなくなって、どんどん閉鎖的な性格になってしまったそうなんです。そうやって諦めなくてはいけないことが増えていくのって、すごく悲しいなと思って。気に入ったものを身につけている時って、本当に気分がいいじゃないですか。そういう、ささやかだけどすごく大切な喜びを取り戻してもらうための架け橋になりたいな、と。■“自立服”の確立を目指して——怒りが原動力だった20代の頃と比べると、ずいぶん仕事へのスタンスが変化したのでは。そうですね。ずっと「打倒・ファストファッション!」みたいな反骨精神でやってきたんですけど、最近やっと“競争”じゃなくて“共存”なのかな、と思えるようになりました。マジョリティが必要とするところじゃなくて、そこからこぼれたところで求めてくれている人たちがいるなら、そこを埋めていくのが私の役割なんだと今は思います。あとはやっぱり、助けてくれた職人さんたちへ恩返しがしたいという気持ちが強いですね。——「アラドナプラス」への挑戦が、自分のビジョンを明確にしてくれたんですね。そうですね。今クラウドファンディングで出資を募ってるのですが、なかなか一筋縄にはいかないと感じることもあります。でもすべて自分で決めてやっているし、我慢だとは思っていません。長期戦になるとは思うけれど、待てるようになりました。実は、挑戦してみたいことがもうひとつあって。「アラドナプラス」には“自立服”という側面もあるんですけど、高齢者の方にもどんどん着ていただきたいと思っているんです。障がいのある方と同じように、“自分で選んで自分で着られる”という体験が、高齢者の方が自分らしくおしゃれを楽しむことができるきっかけにも繋がるはず。高齢者数がピークを迎える2025年までに、この自立服というジャンルを確立させることが今の目標なんです。こうやって新しいビジョンを描いては、逆算しながら生きている。それが私らしい生き方なのかな、と今は思います。クラウドファンディングは7月31日まで実施中です。支援はこちらから!取材・Text/波多野友子Photo/小林航平加藤千晶プロフィールファッションデザイナー・衣裳作家/a.ladonna.合同会社代表/一児の母ブランド名:CHIAKI-a.ladonna.JAPAN/ a.ladonna.+“ひとりからみんなへ 日本から世界へ” 環境や労働問題などを解決するため、ALL-WINの価値観でファッション業界から新たな基準を創り、未来の子供たちに美しい地球と心身を残していくことをミッションとしている。同じ価値観の企業とも契約を交わし、イノベーションやプロジェクトを生み出し中。 webサイト:
2018年07月27日みなさん、1か月のお小遣いはどれくらいですか?新生銀行の調査によると、男性会社員の1か月のお小遣い額は39,836円。なんと前年より2,408円も増加していることが判明!これって皆さんがちょっとリッチになったということ!?今回は、ついつい気になってしまうサラリーマンのお小遣いについてのお話です。■ お小遣いアップは飲食代に反映されている!?昨年度と比較すると1か月2,000円以上もアップした男性会社員のお小遣い。Graphs / PIXTA(ピクスタ)20代では、昨年より6,641円もアップの42,018円というからさらに驚き。お小遣いがアップしたということは、ランチ代や飲み代などの飲食費が増えたのでしょうか?調査によると男性会社員の1日の平均ランチ代は、前年比20円減少の570円。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)しかし、直近3年間では大きな金額の幅は見られず、お小遣いがアップしてもランチにお金をそこまでかけない(大体同じ金額のものを食べる)ことが考えられます。確かにお昼の時間は限られていますし、この結果は頷けますよね。飲み代はどうでしょうか。jazzman / PIXTA(ピクスタ)男性会社員の1回の飲み代は平均5,410円。1回の飲み代×1か月の平均飲み回数(約2.3回)を算出してみると、1か月の飲み代は前年比531円アップの12,506円という結果に。飲み代アップはプレミアムフライデー導入の効果!?では、個人支出がアップした理由を探ってみましょう。■ 「働き方改革」によって個人支出が増えていく?お小遣いアップの背景で、まず考えられるのは”賃金の上昇”ですが……。CORA / PIXTA(ピクスタ)経済産業省の調査によると、「平成29年度に賃上げを実施した企業」は、調査に回答した企業の86%。大企業においては3年連続で2%を超える賃上げが実施されており、今後もサラリーマンの賃金は緩やかな上昇が見込まれます。しかし、消費者物価指数は上昇しており、この緩やかな賃金の伸びでは、物価の上昇に追いつかない状況が続いています。つまり物価の上昇を見込んだ賃上げがされない限り、個人支出拡大に繋げることは難しいと考えらます。それでは、2018年6月に成立した「働き方改革関連」法はどうでしょうか?Obst / PIXTA(ピクスタ)調査によると、男性会社員の37.8%が「職場で働き方改革があった」と回答し、働き方改革によって支出が増えたと回答した割合は46.9%と半数近くが支出アップということが分かりました。特に仕事後の時間を自由に使える独身者であれば、定時退社できると、ちょっと買い物して帰ろうかなとか、ノー残業デーなどが増えれば、友人と予定を合わせて飲みに行く機会はますます増えそうですよね。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)実際に、20代の男性会社員に焦点を当ててみると、働き方改革によって支出増と回答した割合はなんと60%超え。働き改革による個人支出の拡大は、特に若い世代が鍵を握っていることが分かります。個人支出アップ=お小遣いアップ!?定時退社の推奨、残業を減らす、有給休暇の取得、働き方改革は、個人支出の動機付けに大きく関わっていることは間違いなさそうです。【参考】※男性会社員のお小遣いは過去3年続いた37,000円台から39,836円に上昇-「2018年サラリーマンのお小遣い調査」結果について※働き方改革の実現に向けて-厚生労働省※平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」
2018年07月20日女優の有村架純が10日、都内で行われた東芝のノートパソコン「dynabook」新CM発表会に出席した。ノートパソコン「dynabook」シリーズやIoTサービスを展開する東芝クライアントソリューションは、CMキャラクターに有村架純を起用した新CM「dynaboo「採用面接」」編をこの日から放映開始。有村が採用面接を受ける志望者役を熱演しており、有村のコメントをフックに同シリーズの特長を訴求していく内容となっている。CMで着用したスーツ姿で登場した有村は「キャリアウーマンという設定だったので、スーツを着るのも新鮮だったし、新人さんとは違った気持ちで撮影できたので楽しかったです」とCMで演じたキャリアウーマン風のキャラクターに満足げで、「短いバージョンを何本か撮影させてもらいました。ちゃんとポイントとなるワードをしっかりと印象づけることができたと思います」とCMの出来には自信。CMでも登場したdynabookの新シリーズについては「すごいですよね。もうパソコンの前で顔を認証してから1~2秒してすぐにインできたのでビックリしちゃいました」と最新の機能に驚いた様子で、イベント中には一日社員に任命され、同社のダイナブック事業部働き方改革推進室の室長に就任して「各企業様が働き方の改善策を練っている途中だと思います。少しでも何か貢献できればと思いますし、大変光栄に思っています」と笑顔を見せた。同CMでは3人の面接官と共演した有村。「目の前にいらっしゃる3人の面接官を演じた方たちと撮影の合間にアイコンタクトをとりながら『頑張りましょう!』と目で会話していたのを覚えています」と振り返り、現実の世界では「人を見た時にその人がどういう性格かを見抜くのは難しいと思いますが、お芝居で相手の表情を読んだりすることが多いので、普段の生活から少し意識はしているところでもありますね」と話していた。
2018年07月11日音声メディア「Voicy(ボイシー)」の人気番組『#つれづれあやにー』。株式会社Queendom代表取締役社長、あやにーさんが配信しています。今回は、独立、起業、副業などをがんばる人を応援するこの番組の第140回をレビュー。あやにーさんがTwitterでもよく質問を受けるという「自分の価格の決め方」がテーマです。■価格を決める方法はふたつ第140回のタイトルは「自分自身で価格をつけるときのポイントは?」。フリーランスや副業を持っている人、起業した人、それぞれにとって自分の価格を決めるのはとても難しい作業だ。これに対するあやにーさんの回答はごく簡単なもので、「当事者が思う金額で決めればいい」というもの。あやにーさん自身はシンプルにふたつの決め方をしているという。ひとつは「売り上げたい金額で決める」というもの。「10日で1万円を稼ぎたいのであれば1日1000円稼げばいい。1000円稼ぐためには1日でどれだけ稼働すればいいのかを考えるのもひとつの方法です」ふたつめは自分を時給で考える方法。「例えば、イベントなどは“本番の時間だけ”を考えて見積もりを出してしまいがちですが、基本的に準備やフォローアップの稼働時間も考えないと」こうすることによって、金額の最低ラインを決められるので、断る基準も作ることができるというわけだ。実際、自分の仕事は人に見えていない部分もたくさんある。価格の提案を先方をされる場合は「見えている部分」でしかどうしても金額が安いと感じてしまう。自分がどのような作業をし、どれだけの時間を割いているのかを認識する上でも、時給で考えるのは良い方法と言えるのかもしれない。■なぜ「無料」にすると良くないのか「友達だからちょっと安くしてほしい」「仕事に自信がないので無料でやります」なんて話になったことはないだろうか。しかし、あやにーさんは「それはいけない」と話す。実際に、「やってはいけないことのひとつ」と感じている人も多いのではないだろうか。あやにーさんが「いけない」という理由は、相手に「自分は無料の価値のものを受け取っているんだ」と思わせてしまうから。そこから有料にしたり、価格を上げたりすると、顧客は容易に離れていくという。「価格が上がることに不信感があるんですよね、お客さんって」仕事は信用が大事だけど、価格を上げることって信用を失うことにつながる。確かに、野菜の高騰などがあったとしても、急にレストランのメニューが値上がりすれば、「あそこのお店に行くのはもうやめよう」となる気がしないでもない。割引についても同じで、「これまでは特別価格だったので、次回からは価格が上がります!」というと、じゃあ最初からその価格にしておいてほしい、ということになるのだそうだ。確かに、安くて早いレストランが値上げしたら、少し足が遠のいてしまう、のもわからなくもない。ただ、すべての無料・割引が良くないというわけではない。「唯一、割引・無料としてやってもいいことは宣伝」とあやにーさん。例えば、お友だちを紹介してもらったら割引など、割引をしたことによって、相手がメリットを与えてくれるならOK、ということだ。宣伝にお金を使っても思ったような成果が上がるとは限らない。相手も「無料でやってもらったから」ということで、ギャランティを支払う代わりに丁寧に宣伝活動をしてくれるかもしれない。自分の考えた通りに金額をつけるというのは、ごく自然なことのようで難しい。高いと感じられてしまったらどうしようと思うが、あやにーさんは「コストパフォーマンスは顧客が決めるもの」と言う。見合った金額と思えば、購入してくれるし、高いと思えば、購入しない。無理のない金額設定で、自分が望む顧客層を掴めることができるのかもしれない。
2018年06月20日2017年4月28日に渋谷にオープンした複合施設、「SHIBUYA CAST.」。都会のど真ん中にあるこの場所で、血縁にも地縁にもよらない「拡張家族」になることを目的に、共に暮らし、共に働く集団がいる。名前は「Cift(シフト)」。現在のメンバーは39名。半数以上が起業をしていたり、フリーランスのような形で働いている。ファシリテーター、弁護士、映画監督、美容師、デザイナー、ソーシャルヒッピー、木こり見習いなどなど、全員の肩書きを集めると100以上に。大多数のメンバーがCift以外にも、東京から地方都市、海外まで、様々な場所に拠点を持っていてその数も合わせると100以上になる。メンバーのうち約半数は既婚者で、何人かは離婚経験者。2人のメンバーはパートナーや子どもも一緒にCiftで暮らしている。そうした“家族”も含めると、年齢は0歳から50代にわたる。バックグラウンドも活動領域もライフスタイルも異なる39人が、なぜ渋谷に集い、なぜ「拡張家族」になることを目指しているのか。本連載では、CiftのメンバーでありこれまでにBe inspired!で記事の執筆もしてきたアーヤ藍が、多様なメンバーたちにインタビューを重ねながら、新しい時代の「家族」「コミュニティ」「生き方」を探っていく。アーヤ藍Photo by Jun Hirayama最終回となる第6回目は、世界的なニュースメディア「ハフポスト日本版(HUFFPOST)」ブランド・マネジャー/ニュースエディターの笹川かおりさん。2017年11月から、「家族のかたち」という特集をはじめ、その取材を進めるなかでCiftと出会い、メンバーにも加わった笹川さん。家族の形をはじめ、多様性のある社会や暮らし方について、そして、個人個人の変化と社会の変化の結びつきについて、アーヤと対談形式で語り合った。笹川かおりさんニュースメディアに移って気づいたジェンダー・ギャップアーヤ藍(以下、アーヤ):ハフポストに入る前はどんなことをしていたの? 笹川かおり(以下、笹川):高校生くらいからずっと編集者になることが夢だったんだ。カルチャー女子で映画とかがすごく好きだったから、雑誌や本をよく読んでたんだけど、編集者って会いたい人に会いにいけて、行きたいところに行って、自分が教えてもらったことを人に伝えて還元できて最高!って思ってね。 新卒で出版社に入社して、途中転職もしつつ、約9年間は出版社で働いてた。やりたかったカルチャーやエンターテインメント、ライフスタイルの本を手がけられたし、仕事はすごく楽しかったんだけど、出版業界にいて紙媒体だけで伝えることに限界を感じて、ウェブメディアに挑戦してみたいって思ったんだよね。ちょうどその頃にハフポスト(※当時の名称はハフィントンポスト)が日本に上陸することになって、良いご縁で立ち上げ初期のタイミングでジョインさせてもらったの。そこから今5年くらい経ったところかな。アーヤ:ハフポストではどんな取材に力を入れてきたの? 笹川:出版からニュースメディアの世界に来て一番びっくりしたのが、記事の主語が、男性ばかりだったこと。政治のニュースも経済のニュースも。フロントページは男性の写真ばっかりで、この国の意思決定者は男性なんだって実感した。出版社で働いていた時は、出産後に働いている人もいっぱいいたし、年齢とか性別関係なくヒットを出した編集者が評価される世界だった。だからあまりジェンダー・ギャップを意識したことがなかったんだよね。でも世の中はだいぶ違うらしいって気づいて、そのあたりからジェンダーのイシューが自分事になっていったかな。 それでジェンダーや働き方についてしばらく取材を続けていくうちに、ふっと隣をみたら、LGBTQっていう女性よりもっと生きづらそうなマイノリティの存在に気づいた。ちょうどアメリカで同性婚が認められて、渋谷区や世田谷区で同性パートナーシップ制度の議論が始まった頃だったこともあって、反響も大きくていろんな切り口から取材をしていったよ。特集の原点は「戸籍制度をロックに批判したい」という思い笹川:ハフポストは「ダイバーシティ」を掲げて、“一人ひとりが自分らしく生きること”を大切にしているのだけど、私はニュースやライフスタイルのカテゴリーを通じて、自分事として捉えられるようなイシューから広げていっている感じかな。子どもが生まれてからは子育て世代の課題に関心が強まったし、ベビーカーを押して歩くようになってからは、車椅子の人たちのことも考えるようになった。自分の人生が多様に広がると、共感できるポイントが増えるなって感じているよ。仕事と子育てでいっぱいいっぱいだったから、第3の場所に入ってみたアーヤ:Ciftは「家族のかたち」の連載を進めるなかで知ったの? 笹川:そうそう。「家族のかたち」がスタートしたのが去年の11月で、その月にBe inspired!編集長の平山 潤くんに出会ったんだけど、特集の話をしたら、「拡張家族っていうのがありますよ」ってCiftのことを教えてもらったんだ。その後同僚からも、さおたん(※神田沙織)を紹介されたりして、翌月に取材に来た感じ。だからきっかけは平山くん(笑)。 アーヤ:ウェブメディア同士で情報交換しているとは思わなかった! 笹川:ハフポストとBe inspired!、方向性が似ている発信もあるけど、ハフポストは、ユーザーとの対話も大切にしてるけど、政治とか経済とか「社会を変える」っていう立ち位置の発信もしてる。一方、平山くんは、「僕らは政治とかは簡単に変えられないので、目の前の経済や暮らしから変えていく」っていう話をしていて、その等身大な感じは大事だなって思ったんだよね。私自身ちょうど育休から復帰したところで、自分の目の前の暮らしがいっぱいいっぱいなのに「社会のために…」って発信しているのはアンバランスに思えて…。自分の足元の暮らしを見直すきっかけをもらったかな。 アーヤ:Ciftに入ろうって思った一番のポイントはどこにあったの?取材先に自分が入り込むってなかなかないでしょ? 笹川:私、結構マイペースで一人の時間も好きだから、何年か前の私だったら入っていなかったと思う。でもちょうど自分が「うまくいっていない」って感じていた時期だったんだよね。はたから見れば、子育てしながら働くことができているように見えると思うけど、インプットの時間が全然とれなくて枯渇感があったし、仕事と子育てだけでいっぱいになっている自分にモヤモヤしてた。Ciftは穏やかで安心安全を感じられる場でありながらも、ユニークな働き方、暮らし方をしている人が多いし、そのメンバーと対話をする機会も多いから、新しい世界が広がる感じがしたんだよね。Ciftコモンスペースでの夕食タイム。時に熱く、時にゆるやかに対話をしている大人たちのすぐそばで、子どもたちも遊ぶPhoto via Cift笹川:それに「家族のかたち」の連載で、「血のつながらない家族も家族だし、いろんな家族のかたちがある」って発信しているのに、自分の家族は夫と子どもの核家族。言っていることと自分のリアルが違うって思ってね。血がつながらない人たちと家族になるってどういうことなんだろうとか、ともに子育てするっていうのがどういう感じなんだろうっていうのを、肌感覚でわかってみたいって思った。 あとは、子どもがいたことが一番大きかったかな。以前保育の専門家に取材したとき、小さい子はママとか保育士さんとか、若い女性と接する時間がすごく長いけど、世の中はもっと多様だから、小さい頃からいろんな面白い人に会わせてあげることが一番って言っていたんだ。Ciftはおもしろい大人が集まっているから、みんなが遊んでくれたら、それだけで子どもにとってすごい財産になるだろうなって思った。5月19日に開催されたCift1周年イベントでは、「拡張子育て」をテーマとしたセッションで笹川さんもトークをした。Photo via Cift「知らない」から怖くて遠ざけたくなるアーヤ:暮らしを共にすると、一緒に過ごす時間の長さも頻度も違うもんね。私は独身で子どもがいないけど、時々30分とか1時間とかCiftキッズたちと一緒に過ごすのはいいリフレッシュになるし、違う視点をもらえたり、視野が広がる感じもするんだよね。だから「負担をシェアする」っていう感じではなくて、むしろエネルギーをもらっている感じがしてる。 あと自分のなかで発見だったのが、この間電車のなかで泣いている子がいた時、即座に笑いかけられたんだよね。それまで気にかかりはしても「笑いかけて泣きやまなかったらどうしよう…」って思っちゃって、行動できなかった。でもCiftで小さい子たちと過ごすなかで、「子どもって泣くのは自然なことなんだ!」って知ったからできたんだと思う。 笹川:わかる。私も子どもが生まれるまでは、友達のお子さんとか抱いて、泣いちゃうとすぐ返していたから(笑)。個人の「10分」の変化が、社会の変化に繋がるアーヤ:Ciftに入ってみての発見や感じていることはある? 笹川:長屋みたいに、一つの家の延長上に頼りになる人たちがいるっていうのは、すごい安心感があるんだなって知った。仕事と家しか居場所がないっていう人が今の社会では大半だと思うけど、それってすごく不安定なことだと思う。第3の安心できる場所があることってすごく意味があるんじゃないかな。 やっぱり自分に余裕がなかったり満たされていないと、人への優しさって生まれないと思うんだよね。不安だと自衛に走っちゃう。Ciftが大事にしていることでもあるけど、一番大切なのは「個人の意識」が変わることなんじゃないかなって思う。それに、そういう発信のほうが今求められているという感覚もあるかな。全6回にわたった、拡張家族ハウス“Cift”メンバーたちへのインタビュー。記事で取り上げたのは約40人いるメンバーのうち、たった6人だが、紹介できていないメンバーも含め、一人ひとり、Ciftに参加した経緯も、Ciftで過ごしたこれまでの日々での気づきや変化も異なる。共通しているのは、程度の差はあれども、従来の「家族」の枠を越えることを厭わず、「それまでの日々からの変化」を自ら選択したことだろう。Ciftという場は、新しい家族の形に挑戦する一つの事例であり、まだ「実験」の道半ばだ。ここがあらゆる人に共通の「正解」の場ともならないだろう。だが一人ひとりの能動的な挑戦とそれによる個々人の変化は、Ciftの枠をも越え、各々のフィールドやコミュニティで、新しい種としてまた芽吹いていくだろう。そしてその蓄積はいつか社会をも変えうるのではないだろうか。CiftWebsite|FacebookKaori Sasagawa(笹川かおり)出版社を経て、2013年からハフポスト日本版ニュースエディター。副編集長を経てブランド・マネージャー。働きかた、ジェンダー、LGBTQのほか、ライフスタイル領域の記事を執筆、イベントを企画している。特集「だからひとりが好き」「家族のかたち」「アタラシイ時間」などを担当。1児の母。鉄子。果て好き。猫好き。▶︎これまでのCiftの連載はこちら・#1 平和のための“ホーム”を渋谷につくる「建てない建築家」・#002 「人生が楽になった」。一児の母が39人の大人が住む家で子育てして気付いた“家族には正解はない”ということ・#003 “我慢と孤独”を抜け出した女性が「39人の家族」で見つけた、“ゆとり”を持ち寄ることで得られる豊かさ・#004 「子どものために用意されたものは、大人にもいいはず」24歳の鍼灸師が“他人の子ども”と暮らして気づいたこと・#005 長野と東京の2拠点生活をする男性が、「ホテルで一人暮らし」から「39人との共同生活」にシフトした理由▶︎オススメ記事・「失恋」を理由に会社で有給を取ることが、日本で当たり前になるべき理由・現代社会で軽視されがちな“感情”の大切さをアートを通じて思い出させてくれる「ビジュアル哲学者」All photos by Shiori Kirigaya unless otherwise stated. Text by Ayah AiーBe inspired!
2018年06月09日主婦がパートを始めるなら、やはり「主婦歓迎」の求人を狙いたいもの。ただでさえ大変な家事と仕事の両立は「働きやすい場所」で始めるのがベストだからです。でも、そもそも主婦歓迎の求人ってどうやって見分けるの?求人情報って小さいけど、どこを見たらいいの?と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、限られた情報で「主婦歓迎」の求人を見つけるコツを解説します!どうして「主婦向け求人」を選ぶと良いのか?求人情報の読み解き方をご紹介する前に考えたいのが、なぜ、「主婦は主婦向け求人を探すと良いのか」。それは、主婦をターゲットとしている求人は主婦にとって働きやすい労働条件であることが多く、ブランクからの復帰でも無理なく働ける可能性が高いからです。一般的に、求人情報には必ず、想定しているターゲットや人物像があります。具体的には、主婦なのか、学生なのか、年齢はどれくらいで、どんな経験を持った人か。企業が求める仕事内容や役割から、求める人物像を絞ってターゲットを設定し、作られるのが求人広告だからです。そのため、ターゲットに合致した人はその分採用されやすく、また、労働条件的にも働きやすい可能性が高いです。逆に、合致していない求人に応募した場合、採用されにくい上に勤務条件が合致しないことも多いのです。たとえば、学生アルバイトを想定している仕事に応募したところ、土日勤務必須で家族と全然予定が合わなくなってしまった……などのミスマッチも起こりがち。もちろん仕事に求めることは個人によって異なりますが、「働きやすい環境で仕事がしたい」と主婦が思ったなら、主婦向け求人が王道、というわけです。求人情報を見る時に知りたい、詳細チェックポイントでは、限られた情報のなかで「主婦が採用ターゲットに入っている」と知るには、一体どんなところを見ると良いのでしょうか。いくつかチェックポイントを上げてみましょう。●チェックポイントその1:写真に写っているのはどんな人?まずチェックしたいのは、写真。写っているのはどんな人でしょうか。イラストの場合なら、描かれているのはどんな人でしょうか。年齢や性別はどのくらいか、学生か主婦かというと、どちらに近そうかをチェックしてみましょう。例外もありますが多くの場合、求人情報に使用する画像は、ターゲットと近いものが選ばれます。たとえば同じコールセンタースタッフでも、学生のアルバイトが多い場所と主婦が多い場所かは異なります。「写真に写っている人が自分に近いか?」といった視点はひとつの判断材料となるでしょう。なかにはイメージ画像を使っているところも多いため、これだけで判断はできません。●チェックポイントその2:募集の内容、主婦向けのキーワードには、どんなものがある?主婦向けの求人情報に、自然に出てくるキーワードというものがあります。たとえば、「ブランク歓迎」「パート」「子供」「扶養内」などの言葉がその一例。学生向けの短時間勤務の場合「アルバイト」という言葉を使うことがほとんどで、「パート」「パート勤務」と表現することはほとんどありませんよね?また、育児で退職した主婦が対象の言葉として「ブランク」といった表現もあります。こうしたキーワードが求人情報に出てくる場合は、仕事内容や勤務形態が一見主婦向けに思えないようなものであったとしても、主婦をターゲットとして想定している場合がほとんどです。●チェックポイントその3:モデルシフトは?求人情報には、参考となるシフト時間が載っている場合が多いです。このときチェックしたいのが、そのシフト時間。モデルシフトとして表示されているのが「平日の日中」であれば、主婦をターゲットとしている可能性があります。特に10:00~16:00の間は、子どもが学校や幼稚園に行っている間に働きたい主婦に人気の時間。この時間帯にモデルシフトが設定されている場合は、主婦向けの求人が多いので、ぜひチェックしてみましょう。●チェックポイントその4:どんな媒体に載っているか求人の内容を見ると同時に、そもそも「どこに載っているか」も大事な視点。最近では、求人誌やアルバイト募集サイトに加え、ママ向けや主婦向けの求人サイトもありますので、そうした媒体に掲載している求人情報であれば、そもそも主婦が対象ということがわかりやすいはず。「この求人は、どんな人を採用したいんだろう」と考えることが大事ここでご紹介したのは、あくまで「働きやすい職場に出会うための」ひとつの視点。極論をいえば主婦がまったくターゲットではない求人情報でも、経験やスキルによっては歓迎ということも多いため、この限りではありません。ただ、主婦がターゲットとされている求人の場合、「家族の予定で休むことがある」「子供の急な体調不良が起こり得る」といった主婦特有の事情を理解してくれる職場であることが多く、採用された後も何かと融通がききやすいのは事実です。「なんとなく」探すよりも、「自分が採用ターゲットに近い」職場に応募すると、採用される確率も高まります。気になる求人情報を見つけたら、まずは「この求人は、どんな人を採用したいんだろう?」と考える癖をつけてみて。きっと、働きやすい職場に出会える確率が高まりますよ!
2018年05月29日「職場では動揺が広がっています。私も就職のときは手厚い福利厚生を考えて選びましたから、今回の『住宅手当』の廃止は正直ショックです。たしかに正社員と非正規社員の格差があることはわかっていました。でも、まさか正社員の福利厚生が減らされることになるとは……」 呆然とした様子でそう語るのは日本郵政グループの会社に勤める30代の一般職の男性社員だ。 日本郵便やゆうちょ銀行、かんぽ生命などを傘下に持つ日本郵政グループ(以下、日本郵政)は、福利厚生制度として正社員に支給している「住宅手当」を10月から一部廃止することを決定した--。 これまで日本郵政の社員がアパートやマンションなどの賃貸住宅に住んでいた場合、「住宅手当」として月に最大2万7,000円が支給されていた。しかし「住宅手当」が段階的に撤廃されることで、将来的に、年間約32万円もの手当が消えることに! さらに正社員だけに支給されてきた「寒冷地手当」や「遠隔地手当」なども削減される。一方的に“手当”の廃止を言い渡された前出の男性社員の怒りはおさまらない。 「そもそも日本郵政は、オーストラリアの物流会社の買収に失敗して4,000億円の損失を出しています。経営陣の過失を社員に押しつけたように思えてなりません。とくに『住宅手当』の廃止は一般職が対象。正社員のなかでも、総合職よりも立場の弱い一般職に負担を押しつけたとしか思えない。長年にわたって手当をもらってきた会社の上層部から言われても、到底納得できません」 日本郵政の方針変更について、全国紙の経済部記者は次のように分析する。 「今年1月に『非正規という言葉を、この国から一掃していく』と演説した安倍首相が推し進める『働き方改革関連法案』は、’19年度から大企業での施行を目指しています。その前に、早々に非正規社員の待遇改善を打ち出したのは日本郵政による“忖度”のようなものです。また、日本郵政の非正規社員が待遇是正を東京地裁と大阪地裁に訴えていました。両裁判所が、住宅手当や家族手当などの処遇も含め、正社員との格差は違法との判決を下したことも背景にあります」 日本郵政の一部手当の廃止は一企業のことだと安心するのは早計だ。正社員と非正規社員合わせて約40万人もいる日本郵政の“決断”が、どのような形でほかの企業に波及するのか――。今後に注目したい。
2018年05月09日ワークライフバランスが叫ばれる昨今、短時間で効率良く仕事をこなす能力が重要。もっと仕事の能力を上げたい、そして次のステージにステップアップしたい。そんな自分になるために実践したい、簡単12メソッドをご紹介!数字をクリアすることが、やる気や実力を育みます。残業して頑張ることが良しとされたのは過去のこと。今は限られた就業時間の中できちんと結果を出せる人が評価される世の中。ダラダラと労働しないよう、タイムマネジメントできる自分になるにはどうしたらいいのでしょう?「仕事をマクロで見る目線を持つことが大事です。目先の忙しさにとらわれてしまうと、本当の意味での仕事の優先順位を見誤ることも多い。自分に任された仕事だけでなく、チームや部など全体が目指すところを考えると、これまでとは違う角度で仕事を見られるようになりますよ」と言うのは、働き方コンサルタントの池田千恵さん。広い視野で仕事を見ること、そして仕事を“数字”に置き換えることが、“仕事をする自分、バージョンアップ”に繋がる、と分析します。「仕事って、頑張ったり努力をしたりする割に、実力がどの程度上がっているのか、非常にわかりづらい。人間は達成感を得て初めて、成長を実感できるもの。目標を数値化すると、達成できたかどうかはもちろん、目標が何%クリアできているかなどが、目で見てわかるようになる。なのでまずは、仕事のメドや目標を、時間や数量といった“数字”に置き換えてみることから始めましょう」【仕事のタイムマネジメント力を上げる12のメソッド】出かける準備中、30分間スマホをオフにする。【始動が早くなる】朝の準備時間は常にバタバタで、少しでも油断すると出発が遅くなる。「そんな中でのスマホは鬼門。気がつくと10分、20分あっという間に経ってしまいます。メールや気になるサイトのチェックは通勤時間中にやればいいこと。スマホに触らない時間を30分作ることで、準備に集中でき、忘れ物などもなくなります」出社前、あえて1つ用事を作り、通常より早く家を出る。【遅刻しない体質になる】朝、常にギリギリになってしまう人は、例えば朝ごはんを外で食べるなど、会社に行く前に外で1つ用事を作ってみる。「楽しい予定を作ることで、早起きが苦でなくなります。その結果、余裕を持って会社に行けるように。一般的に朝早く来ている人は、“仕事ができる人”なイメージを抱かれやすい。そういう意味でも得です」仕事を始める前に、その日の退社時刻を決める。【集中力が磨かれる】仕事の後に約束があると、何が何でもその時間までに仕事を終わらせる努力をしますが、何も予定がないと、ついダラダラ仕事をしてしまいがち。「“終わったら帰ろう”はダメ。毎日自主的に“終業デッドライン”を決め、その時刻に退社するためにはどうすればいいか、逆算して仕事を組み立てる思考回路に切り替えましょう」あらゆる目標を数値化する。【進行を把握する力がつく】人は何か目標があると頑張れるもの。それは仕事においても同じこと。「今日の目標、今週の目標というように、常に何か目標を立て、それを常に数字で考えましょう。到達度を把握しやすくなりますし、もし達成できなかった場合でも、あとどのくらいで達成できたかがすぐわかるので、次の仕事に活かせます」緊急か、重要か。スケジュールを4つに色分けして整理する。【仕事の優先順位がクリアに】仕事のタスク、何から手を付けるかは、4つに色分けをして考える。「ベクトルは緊急か緊急でないか、そして重要か重要でないか。例えば、打ち合わせなど“緊急で重要なもの”は赤、新規顧客リスト作成といった“緊急ではないけれど重要なもの”は緑というように、色で分けてみると、何から手を付けるべきかが明確に」デイリーなタスクにかかる時間を計ってみる。【自分の仕事速度&こなせる量を把握できる】例えば朝のメールチェックなど、毎日、あるいはよくやる仕事にかかる時間を計ってみると、些末な作業でも、意外と自分が思っているより多くの時間を費やしていることがわかる。「人は自分の作業時間を短く見積もりがち。仕事の速度とこなせる量を把握することで、安請け合いからの“うっかり残業”的な事故を防げます」思いついたアイデアややりたいことを、常にまとめておく。【突然のチャンスをモノにできる】仕事でこんなことをやってみたい、実現できたらいいな、と思う企画やアイデアは、メモ程度でもいいので、常にリスト化しておくことが大事。「ステップアップのタイミングはいつ来るかわかりません。“何かいいアイデアない?”と言われたとき、すでにリストがあれば、サッと提案ができる上、やる気も買ってもらえます」添付ファイルのDLとメール返信は、即座にやる。【先方からの印象が格段に上がる】マクロで見て考える仕事の優先順位とは別に、単純作業は後回しにせず、反射神経的にすぐ済ませるクセをつける。「データを拝受した報告、簡単なお礼など、“考えなくてもできる返信”は、メールを受けたらすぐ済ませる。また添付ファイルも受け取ったらすぐダウンロード。“仕事ができる人”の印象を持ってもらえます」企画書や資料は、2段階上の上司に向けて作成する。【仕事の決裁が早くなる】一人の上司が見たあと、さらにその上の上司のチェックを必要とする書類や企画書の場合、全員が読みやすい内容にまとめることで、かかる時間を短くできる。「直属の上司はもちろん、その上の人が何を求めているかまで想像すると、上までスムーズに通る書類が作れます。会社勤め時代、私は常にこれを心がけていました」日々のルーティンや自分ルールを、月に1度見直す。【時間のロスが一定以上に増えない】いつもやっている仕事ほど、改めて見直すと無駄な部分が浮かび上がってくる。「例えば会議で、前回のおさらいに使う時間がある場合、それぞれが確認してくることで省くことが可能。あるいは“これがやりやすい”と決めたルールも、もっと短時間でできる道が見つかる場合も。惰性になりがちなことほど、定期的に見直しを」月間の予定を見て余裕ができそうな日は早めにブロック。【メリハリのある働き方が実現できる】メリハリをつけて働くためには、“余白のある時間”を持つことも大切。「週間とは別に、月間の予定表に主な予定を書き込むと、あまり忙しくない日が見えてくるので、その日を先に赤で囲み、そこにはなるべく予定を入れないようにしてみる。自由な日があると思うとそれだけでワクワクし、仕事を頑張れるものです」何事もすぐに決断するクセをつける。【決断が速くなり、精度も上がる】仕事が長引く原因の一つに、優柔不断があると池田さん。「決めることを先送りにしていると、いつまでたっても終わらない。まずは小さなことから、すぐに決める、というクセづけを。たとえその決断が間違いでも決断するという力は確実につきますし、積み重ねれば判断力自体の精度も向上。仕事にかかる時間も短縮できます」いけだ・ちえ働き方コンサルタント。著書に『朝の余白で人生を変える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が。※『anan』2018年4月25日号より。イラスト・伊藤ハムスター取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年04月22日こんにちは。赤澤 えるです。思い出の服を持ち寄る連載『記憶の一着』、第9回です。たくさんの服が捨てられる世の中で、残る服って何だろう。それはどうして残るのだろう。それを手放す時ってどんな時…?服の価値、服の未来、ゲストのお話をヒントに考えていく連載です。本日のゲストはスタイリスト・清水文太くん。スタイリストとしての活動だけでなく、アート展示やZINE制作、コラム執筆など、アーティストやライター活動でも知られる彼。バイイングした古着や生み出したオリジナルグッズなどを並べたポップアップストアも、開催の度に注目されています。服への価値観や、想像を絶する壮絶な過去、マイノリティとして堂々と生きている現状について、包み隠さずありのままを語ってくれました。東京ファッションの最先端を生きる彼が選ぶ、「記憶の一着」とは?赤澤えると清水文太氏▶︎赤澤えるのインタビュー記事はこちら最悪な家庭環境の中で出会った『記憶の一着』とは赤澤 える(以下、える):『記憶の一着』について聞かせてください。清水 文太(以下、文太):このコートです。ANREALAGE(アンリアレイジ)というブランドのもの。これは高校生の時、初めてのバイト代で頑張って買いました。中学生の時にショーの写真や映像を見て感動して、その後たまたまANREALAGEのフラッグシップに行った時に好きになって。当時憧れだったブランドです。このコートは13万くらいなんだけど受注会の時に勢いで頼みました。える:文太くんの言う「お金が無い」っていうのはお小遣いが貰えないっていうレベルじゃないように聞こえる。文太:生活に困窮していてごはんを食べるお金も交通費すらも無い状況だった。学校まで電車に乗るお金もなかったから、往復5時間半もかかる道のりを毎日歩いて通っていました。教科書もなかったし、ごはんも交通費もなくて家も最悪だったし、もうどうすれば良いんだろうって思ってた。える:そんなに壮絶だったとは思ってなかった…。文太:その前も結構酷かったけどね。でも服が好きとか欲しいって気持ちはずっとあった。たまにもらえる500円を持って原宿まで歩いて行って、古着屋の100円コーナーで掘り出し物がないか漁ってました。俺がそういう状況っていうことがどこからか知られて、瞬く間に学校中に広まって、教科書をみんなが買ってくれたり、「お弁当1つ多く買っちゃったからあげるよ」とか言ってごはんを恵んでくれたり、そういうあたたかいこともあった。預けられたその家での生活は1年半くらい続いたかな。その後は、今住まわせてもらっている家。える:今の家にはどういう経緯で?文太:苦しかった時代によく遊びに行ってた家で、俺そこから歩いて帰る途中に体調を崩して倒れちゃったんです。救急車で運ばれるってなったけどそうすると警察に連絡がいく。そうなると児童相談所に行けって言われる。でも児童相談所には半年前に行ったけど環境が良くなった実感なんて少しも無くて信じてなかったんです。今住まわせてもらっている家の人は俺のことをすごく気にしてくれていて、児童相談所にも一緒に行ってくれていたから状況をよく知っていたの。その時はもう行く場所がないって思ったけど「家に住みなさい」って言ってくれて、迎え入れてくれました。える:物凄い苦難を乗り越えてきたんだね。文太:家でみんなでごはんを食べるとか、ベッドがあるとか脚を伸ばして寝られるとか、最初は変な感覚だった。苦しい思いをしたから有り難みが分かるのかなと思います。だから服を捨てるなんて考えがないのかも。そんな概念ないです。服を捨てたら俺、何のために生きてるんだろうって思っちゃう。そう考えると無駄にしてしまう人になってしまうよりこっちの方が良かったって思えますね。思い返すと本当にあの時は毎日苦しくて先が見えなかった。このコートはそんな環境なのにも関わらず必死に手に入れたコートだからこそ、思い入れが深いです。「今のファッションとリンクするか」って言われたらそうじゃないところもあると思うんだけど。他に持ってるコートも好きなんだけどね、これは違う。これだけは絶対に人に渡せないな。何をどうやっても好きになる対象って変えられないえる:この服をもし手放すとしたらどんな時?文太:もし、だよね?俺は子どもの支援をしたいと元々思っていて、俺が設立したその場所に集まった子から欲しいって言われたらあげるかな。それもポンってあげるんじゃなくて、その子が20歳になったらとかそう言うタイミングであげたい。える:文太くんは子ども欲しいって思う?文太:欲しい。俺は男同士で恋愛をする人、“ゲイ”だから今すぐは無理なんだろうけど、技術が進歩して俺と俺の彼氏の遺伝子を持った子どもができたら一番良い。純粋にそう思う。養子も考えたけど、引き取られた先が男同士のカップルってなったら、今の日本だと子どもが傷つくかもしれないよね。どう見られるかとか俺自身は気にしてないけど。養子に関しては、児童支援の夢が叶った場でそのくらいの気持ちを持って子どもと接することの方が俺には良い気がしてます。だから、俺の子どもなら俺の遺伝子でつくりたいかな。俺らの遺伝子でできた子どもだったとしても絶対何か言われちゃうだろうからもう仕方ないけどね。それに養子でも自分の子どもに変わりはないし愛せるから、養子も良いと思ってるけど。難しいね。まぁどうなったとしても、俺は色々な面において全てに責任を持って子どもを育てたい。今の気持ちを素直に話すとそんな感じかな。もしかしたら将来異性愛者に変わるかもしれないし。える:私の友達にも同性同士の恋愛をしている人が何人かいるけど、みんなそれぞれ少し苦しそうな印象を受ける。色々なところにハードルがあるというか。海外でもラクなことではないだろうけど、日本国内では特に窮屈そう。ただその人を愛してるってだけなのに変なのって思う。同性同士の恋愛を理解できないっていう人の言っていることも全てわからないわけではないけど、人が人を好きっていうことに必要以上にルールがあるのってやっぱりおかしい。不倫しているわけじゃないんだし。文太:日本じゃ結婚もできないしね。どんなに愛し合って長年一緒にいても、入院しても面会する権利がないとか、親族として何かに参列することにも権利がないとか、そういう現状。パートナーシップ制度みたいなのもあるけど、何故か結婚するのに金がかかったりする。金?俺らだって男女のカップルと変わらない人間同士だけど?って思う。でもこれは日本だけじゃないから、今は我慢時かなって感じ。海外の歴史ある有名ブランドが同性同士のキス写真を使った時にものすごい数のヘイトコメントが来ていて、それを見て日本だけじゃなくて世界的に難しい問題なんだと思った。こういうのって社会全体の意識が変わっていかないとなかなか解決しない。だから俺もこういうことを隠さずに仕事したり、今こうやって答えたりしてるんです。清水文太=ファッションじゃないえる:これからの仕事でやっていきたいことってある?文太:俺、別に服だけにこだわってないんですよね。だから服と農業とか、服と児童福祉とか、そういうリンクの仕方で仕事を続けたい。今はまず顔を売りたい。そうじゃないと次に繋がらないから。「清水文太=ファッション」じゃなくて10年後は違うことをやってても良いって思ってるから、あまり難しく考えていないです。える:農業とか、その発想はどこから生まれてくるの?文太:農業は、通ってたのが農業高校だったし園芸部で畑に関わることをやっていて面白いと思ったからかな。あと、スタイリングさせてもらっている「水曜日のカンパネラ」のコムアイが元々そういうことをやってたから詳しくて、単純に食べ物を自分で作ってみたいなって思っていて。児童福祉は、自分の家庭環境が悪かった経験から。俺の働き方や形態も特殊だから色々参考になったら良いな。正社員っていう働き方がまだまだ世の中的に強いけどそうじゃない働き方っていっぱいあるし。こういう働き方をしていても、こういう恋愛やファッションをしていても、家が借りやすいとか暮らしやすいとかそういう日本にしていけたら良い。マイノリティでも普通に生きられるっていう選択肢を増やしたい。「文太さんのおかげで毎日頑張れてます」って言ってくれる人がたくさんいるから、その人たちのためなら何でも頑張れるって思います。える:しかもそういう人の中にもファッションが好きな人は確実にいて、モノを大切にする人だってちゃんと存在するんだよね。文太:そうそう。日本の給料が上がるか、良いとされているものがもう少し手に取りやすくなるか、どっちかしかないのかも。どちらにしても俺は“服を捨てる”って行為が嫌。単純に勿体無いし、他の選択肢ないの?っていつも思う。「服はゴミじゃねぇんだよ」って思う(笑)せっかく自分の元に迎えたんだから、捨てるくらいなら集めて何か作っちゃいなよって感じ。捨てるっていう行動が無駄すぎる。そういう意味ではファストもハイも一緒。もっと買い方から考えなよって思います。える:最後に1つ質問。文太くんは自分のブランドを作りたいって思う?文太:思うことはある。けど、今は色々経験しておきたい。経験していく中でその構想が1つにまとまっていけば良いし、そうやって1ランク上にいけたら理想だよね。良い大学、良い企業、っていうことだけがステータスっていう風に思っている人たちと真逆にいるし、俺は色々な意味でマイノリティ。俺はもうあまり気にしないけど世の中の人はそうじゃないから、俺がどんどん経験値を増やして前に進んでいく姿で勇気付けられたら今は一番良いと思います。Eru Akazawa(赤澤 える)Twitter|InstagramLEBECCA boutiqueブランド総合ディレクターをはじめ、様々な分野でマルチに活動。特にエシカルファッションに強い興味・関心を寄せ、自分なりの解釈を織り交ぜたアプローチを続けている。また、参加者全員が「思い出の服」をドレスコードとして身につけ、新しいファッションカルチャーを発信する、世界初の服フェス『instant GALA(インスタント・ガラ)』のクリエイティブディレクターに就任。▶︎これまでの赤澤えると『記憶の一着』・#008「未来の自分が納得できる服が欲しい」。25歳のアーティストが“ただ可愛い服”よりも、古着が好きな理由・#007 ガールズバンド「suga/es」佐藤ノアの『記憶の一着』・#006 マカロニえんぴつ はっとりの『記憶の一着』・#005 読者モデル 荒井愛花の『記憶の一着』・#004 音楽家 永原真夏の『記憶の一着』▶︎オススメ記事・「無条件で子どもを愛してあげて」。10歳のドラッグクイーンと母に学ぶ“自分らしく生きることの大事さ”・“平和ボケ”の日本人へ。社会がいう“正しい答え”ではなく、自分にあった答えを探すための冊子を作る若者All photos by Ulysses AokiText by Eru AkazawaーBe inspired!
2018年04月20日「今年から、配偶者控除・配偶者特別控除の制度が改定されました。従来の“103万円の壁”が消え、新たに“150万円の壁”が現れています。昨年までの配偶者控除は、妻の年収が103万円以下のとき、夫の年収から38万円が控除され、その分、夫の税金が安くなるという制度でした。ですから、103万円を超えないように働く、それが女性にとって『壁』となっていたのです」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。改定された、配偶者控除・配偶者特別控除の制度。今年からは、夫が38万円の控除を受けるための妻の年収要件が、103万円以下から150万円以下に引き下げられた(夫と妻が逆でも同様)。そんな配偶者控除について、荻原さんが解説してくれた。 「配偶者控除は、女性が働くときに意識する方が多いです。それが150万円に拡大されても、実はその前に、社会保険に関する“130万円の壁”が存在します。妻の年収が130万円以上になると、夫の社会保険の扶養を外れ、妻自身が職場の社会保険に加入しなければならないというものです」(荻原さん・以下同) また、’16年10月からは、社会保険に関して“106万円の壁”も登場した。従業員501人以上の企業で、年収が106万円以上になるなどの条件を満たすと、社会保険の加入が義務付けられる。 「このように、働く女性の前に今あるのは、税金面の150万円の壁と、社会保険に関わる106万円、130万円の壁です。このうち、負担が大きい社会保険の壁なので、配偶者控除改定の検討段階から、『社会保険料を見直さないと、配偶者控除の拡大だけでは、女性の働き方を変えられない』という意見もありました」 先日、興味深いアンケート結果が発表された(’18年2月・しゅふJOB総研)。配偶者控除の改定は73.1%の人が「知っている」と回答。認知度は低くない。 「ところが、『’18年は年収いくらまで働くか』という問いには、夫の会社で家族手当が支給される場合、その支給要件であることが多い『103万円以下』と答えた方が23.9%。また、夫の社会保険の扶養から外れない『130万円まで』が19.1%と、これまでと働き方を変えない方が目立ちます」 夫が会社員の場合、パート勤めの妻が年収を130万円までに抑え、夫の社会保険の扶養でいれば、妻は保険料を負担しなくて済む。 「ですが、妻の収入が増え、自分で職場の社会保険に加入すると、保険料は地域や収入によりますが、年15万円程度はかかります。社会保険に加入することで、老後の年金が増えるなどのメリットがあるとわかっていても、目先の負担を抑えたい方が多いのです。いっぽう、新しい配偶者控除の限度まで働く『150万円以下』は8.6%にとどまりました。やはり、『収入を増やすより負担を避けたい』思いを反映しているのだと思います」
2018年04月06日働く女性にとって、より大きな「壁」となっているのが社会保険料。負担は増やさず収入は上げたい人が、「壁」を越えない程度で収入アップを目指すにはーー。 「今年から、配偶者控除・配偶者特別控除の制度が改定されました。従来の“103万円の壁”が消え、新たに“150万円の壁”が現れています。昨年までの配偶者控除は、妻の年収が103万円以下のとき、夫の年収から38万円が控除され、その分、夫の税金が安くなるという制度でした。ですから、103万円を超えないように働く、それが女性にとって『壁』となっていたのです」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。改定された、配偶者控除・配偶者特別控除の制度。今年からは、夫が38万円の控除を受けるための妻の年収要件が、103万円以下から150万円以下に引き下げられた(夫と妻が逆でも同様)。 「配偶者控除は、女性が働くときに意識する方が多いです。それが150万円に拡大されても、実はその前に、社会保険に関する“130万円の壁”が存在します。妻の年収が130万円以上になると、夫の社会保険の扶養を外れ、妻自身が職場の社会保険に加入しなければならないというものです」(荻原さん・以下同) また、’16年10月からは、社会保険に関して“106万円の壁”も登場した。従業員501人以上の企業で、年収が106万円以上になるなどの条件を満たすと、社会保険の加入が義務付けられる。 「このように、働く女性の前に今あるのは、税金面の150万円の壁と、社会保険に関わる106万円、130万円の壁です。このうち、負担が大きい社会保険の壁なので、配偶者控除改定の検討段階から、『社会保険料を見直さないと、配偶者控除の拡大だけでは、女性の働き方を変えられない』という意見もありました」 夫が会社員の場合、パート勤めの妻が年収を130万円までに抑え、夫の社会保険の扶養でいれば、妻は保険料を負担しなくて済む。 「ですが、妻の収入が増え、自分で職場の社会保険に加入すると、保険料は地域や収入によりますが、年15万円程度はかかります。社会保険に加入することで、老後の年金が増えるなどのメリットがあるとわかっていても、目先の負担を抑えたい方が多いのです。しかし、『負担が増えないなら、もっと働いて収入を増やしたい』のではないでしょうか。そんな方には『ダブルワーク』という手が使えます。特に負担の大きい社会保険料を増やさず、ダブルワークを駆使して収入をアップさせる裏技を考えてみましょう」 では、どんな方法があるのか。荻原さんが教えてくれた(今の仕事を本業、新たに追加する仕事を副業とする。また、具体的例は東京都在住で、職場の保険は協会けんぽの想定)。 【タイプA】 「夫が自営業などで今、国民健康保険と国民年金に加入している方は、働く時間を増やし、職場の社会保険に加入することをおススメします。たとえば、年収120万円のAさんの場合は国民健康保険に年約8万円と、国民年金は一律で年約20万円、合わせて年約28万円の保険料を払っています。Aさんは翌年、パート時間を延ばし、年収を135万円に増やして、職場の社会保険に加入しました。保険料は、健康保険や厚生年金などを含めて、年約20万円でした。年収が15万円増えて、社会保険料が8万円減りましたから、トータルで年23万円、年収がアップしました」 【タイプB】 「職場の社会保険に加入した方は、加入前より社会保険料の分、手取りが減りますから、もっと働いて収入を増やそうとするのが王道でしょう。従業員501人以上の企業で働くBさんは、年収が106万円以上になったので、社会保険に加入しました。年収106万円の社会保険料は年約16万円。これを差し引いたBさんの手取りは約90万円です。その前年の年収は100万円でしたから、収入は増えたのに社会保険料を負担したために手取りが減る“働き損”に陥っていました。そこで、翌年は働く時間を増やし、年収を130万円に上げました。そのときの社会保険料は年約20万円ですから、手取りは110万円。Bさんの働き損はなんとか解消されました。これ以降、働き損はありませんが、年収が140万円に増えると、社会保険料も年約21万円と、徐々に増えていきます」 【タイプC】 「そこでBさんは、先の会社で年収130万円の働き方を続けながら、別の会社で副業パートを始めることにしました。社会保険は1人1保険が原則です。本業で社会保険に加入している方は、本業の収入によって保険料が決まります。本業の収入を変えないように働けば、社会保険料は変わらないのです。Bさんは、週1日4時間だけ副業を行い、年に約19万円を稼ぎました。本業の収入が増えれば、タイプBのように社会保険料も増えていきますが、副業での収入アップなら、保険料の負担を増やさず、実入りを増やすことができる裏ワザです」 【タイプD】 「手作りアクセサリーなどのネット販売や、自宅でデータ集計やホームページ制作などを請け負うなど、自営業的な副業を行う方も増えています。タイプCの方と同様、社会保険料は本業の収入で決まります。副業の収入が本業を超えなければ、保険料負担が変わらず、副業の分、収入が増やせる、2つ目の裏ワザです」 【タイプE】 「夫の社会保険の扶養を外れたくない方は、年収130万円未満が決まりです。しかし、パート先が従業員501人以上の企業の場合、年収が106万円以上になると社会保険に加入しなければならないため、それ以下に抑えている方もいるでしょう。そんな方は、別の会社で副業パートを始めるという3つ目の裏ワザがあります。両方の年収合算で130万円までなら、夫の扶養のまま、社会保険料は負担ゼロです。ただし、副業の収入が増え、年収が130万円以上になると、扶養を外れることになります。本業、副業共に社会保険の加入要件を満たしていない場合は、国民健康保険と国民年金への加入となり、職場の社会保険より負担が大きいです。注意してください」
2018年04月06日1950年創業のスイスの家具メーカー、ヴィトラ(Vitra)は、伊勢丹新宿店にて開催される「2018 花々祭」の期間中、同店本館5階リビングデコールで「ヴィトラ ホームオフィス ストーリー(Vitra Home Office Story)」を開催。イラストレーター長場雄とともに、心地良く、クリエイティビティーを刺激する理想のホームオフィスを提案する。©Yu Nagabaヴィトラは世界的なデザイナーの創造性と自社の開発力によって製品とコンセプトを生み出し、そのデザインの力を通してホーム、オフィス、公共スペースの空間の質の向上に貢献。最先端の働き方を研究し、製品や環境のコンセプトとデザインに落とし込む挑戦を続ける同ブランドが今回、心地良くもクリエティビティを引き出すホームオフィスを提案。自宅やデスクに向かう時間が多いにもかかわらず、時代を牽引するクリエイティブな活動と創作、そして他業界とのコラボレーションを続けるイラストレーター長場雄とともに、ヴィトラのデスクとタスクチェアを使い、長場自身の理想のデスク、自宅における理想のホームオフィスを作り上げる。 Vitra Home Office Story -ヴィトラ アクセサリーコレクション-「Tray」(6,000円)本イベントでは、2018年1月にメゾン・エ・オブジェで発表したばかりのジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)による新作アクセサリーも登場。日本初公開、先行発売として会場に並ぶ。なお、期間中特典として、ヴィトラのタスクチェア、アクセサリーコレクションのインテリア雑貨などヴィトラ製品を税込1万800円以上、または会場で販売する長場雄の作品集購入者を対象に、ヴィトラのオリジナルトートバッグがプレゼントされる。春の新生活を前に最新の機能性だけではなく、デザインの力と楽しさによってそれぞれの人生を豊かにする働き方のヒントを探しに、伊勢丹新宿店本館5階リビングデコールにぜひ足を運んでみては。【イベント情報】ヴィトラ ホームオフィス ストーリー会期:2月21日〜3月6日時間:10:30〜20:00会場:伊勢丹新宿店本館5階リビングデコール
2018年02月21日2018年、早くも2か月近くが過ぎました。前回に引き続き、年が変わってチェックしておきたいお金の話題としては、2018年から改正したりスタートする、新たな制度について。今回はあなたの「働き方」にも関わるかもしれない「150万の壁」についてお話します。103万→150万へ!「150万の壁」とは?【はぴマネレッスン】vol. 55以前2017年10月からスタートした「106万の壁」については下記の記事でご紹介しましたが、「扶養に入りながら仕事をする女性」の働き方に大きく関わってくる、「配偶者控除」に適用される妻自身の年間所得の金額が改正となりました。記事はこちら。今まで妻の年間所得が103万円以下の場合、妻の所得税がかからず、夫の年収に対しても「配偶者控除」と呼ばれる控除が適用されるため、所得税の負担が軽減されることにつながることから「税金の壁」とも呼ばれていました。今回の「150万円の壁」とは、その年間所得103万円のボーダーラインが変更になり、年間150万円まで働いても夫が満額の控除を受けられるようになるということ。これにより、今まで以上に働きたい女性が増えるのでは、と期待がされているのですが……一概に「150万まで働けるようになった!」と働き方を見直す前には注意点もあります。まずはその変更によって注意しておきたいところを考えてみました。新たな「150万の壁」。注意しておきたいところって?まず注意しておきたい1点目は、いわゆる「壁」と呼ばれてた妻の年間所得である103万円から150万円に変更されたのはあくまで「税金面」のこと。どういうことかというと、「配偶者手当」がある企業では、要件に「年収103万円以下」という記載がもともとある場合にはその金額を超えても税金の控除は受けられるようになりますが、企業から支給される配偶者手当は受けられなくなってしまいます。また、2つ目は「社会保険料」にも注意です。扶養に入る企業の規模によっても社会保険料がかかる金額が変わってきますが、妻の年間所得が、主に大企業の場合で「106万円」、中小企業の場合で「130万円」を超えると、所得税や住民税という「税金」かからなくとも、社会保険料などの負担がかかってきます。注意点・夫に対する「配偶者特別控除」が適用されない。・妻に対しては「厚生年金」、「健康保険」が自己負担になる、など。しかし、かといって「じゃあ、結局は150万まで働いたら損なの?」というともちろんそういったわけではありません。今回の新たな制度改正で考えたいのは「どんな働き方が自分にとって良いか?」ということです。新たに変わる制度を知ったうえで、それぞれの家庭に合わせた働き方を!今まで「壁」とされていた年間所得の103万円が150万円に引き上げられたことにより、それらを含めて新たにこれからの働き方を考えるうえで「家庭にとってのベスト」を考える良い機会にもつながります。一般的に、税金、社会保険料などを扶養を超えて自分で払ったうえでプラスになる金額は年間所得が「160万円」ともいわれています。新たに働き方を見直し、「もっと働きたい!」、「将来を考えて家庭で合計の所得をしっかりと増やしたい!」と見直しを検討している方であればこの金額を目指し、働き方を見直すのもひとつの手かもしれません。ただ、一概に「働き方を増やせばいい」というわけではなく、家庭の時間を優先する、お子さまとの時間を大切にしながら扶養に入った働き方を維持する、など家庭にとって「ベスト」な働き方はそれぞれの家庭にしかわかりません。それゆえ、今回の制度改革は、夫婦間で納得して年間の働き方を考える大切な機会ともいえそうです。このような「配偶者控除」にはまだまだ税制面での課題もたくさん残されているため、これからまた改正される可能性も大きく、その都度しっかりと理解しておくことが大切です。以上、はぴマネレッスンvol. 55でした。(C)Eva Katalin Kondoros/Gettyimages(C)Peopleimages/Gettyimages(C)Bobex-73/Gettyimages
2018年02月20日ダウンタウンの松本人志(54)が2月18日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演。芸能人などの働き方について公正取引委員会が報告書をまとめたというニュースに言及した。 報告書では、現在の働き方に独占禁止法違反のおそれがあると指摘している。司会の東野幸治(50)は朝日新聞の記事を読み上げ、「移籍しようとした事務所に圧力をかけた。芸名を使用させなかった。辞めた芸能人の悪行を流布してテレビ局などとの契約成立を妨害した」と、一例を挙げた。 これに松本人志(54)は「そろそろ変わらないとあかん時期に来ていることは間違いない」と発言。「タレント側が組合をつくるのか、第三者委員会じゃないですけれども、そういう人が間に入るかしないと」と提言し、「若い人ですごく安い給金で大変で、でも辞めるのも怖い……みたいな人は、いっぱいいるだろなと思います」と話した。 ただし松本は、芸能事務所が育成のための投資を回収する必要性があるという点にも同調。「事務所側も、せっかく売れたのに『ほんなら、変わりますわ!』ってやられたら、たまったもんじゃないぜ、というのはわかる」とコメントした。 いっぽうで、松本自身も「ワイドナショー」の出演料を知らないと告白。山﨑夕貴アナ(30)が驚き、「明細を確認しないんですか?」と尋ねると、「それは聞けないというか、ブラックボックスなんです」と答えた。 同じ吉本興業の東野によると、出演料が松本の手にわたるまでに事務所を仲介するため、出演料の元値は本人に知らされないのだという。「一連の流れを他の(事務所の)人は知っている」とも明かした。 松本が「ホンマはだめなんですよね?」と、レギュラー出演している犬塚浩弁護士に尋ねるも、「ものを売るときに仕入れ値をオープンにはしませんから……」と返答。納得できない松本に「吉本からなんぼかもらっているでしょ?」とツッコミを入れられていた。
2018年02月18日俳優の舘ひろし(67)ら「石原プロモーション」の所属俳優が2月3日、横浜・総持寺で豆まきを行った。同寺には故・石原裕次郎さんの墓所があり、毎年石原プロの俳優が豆まきに参加している。 「そこで何か発表事がある場合もあり、毎年、各メディアも取材に訪れるのが恒例となっています」(ワイドショー関係者) 豆まき後には囲み取材が行われた。高校時代はラグビー部に所属していた舘。先月の全国大学選手権で9連覇した帝京大ラグビー部が学年に関係なく雑務を行っていることに触発されたとして、「石原プロは体育会をやめます」と宣言。「僕も今日、お茶を入れようとしたけど、分からなかった。今年は僕がお茶をサービスするような会社にしたい」と語った。 それを受け、後輩の徳重聡(39)は「いえいえ、僕が阻止します!」。金児憲史(39)も「舘さんの入れてくれたお茶、飲みづらい……」と苦笑していた。 「石原プロといえば裕次郎さん、渡哲也さんとバリバリの体育会系気質が受けつがれてきました。しかし政府が進める“働き方改革”の流れを受け、事務所も変わりつつあるのでしょう。所属タレントの仕事の幅を広げたいこともあり、舘さんが先陣を切って報道陣に“変革”をアピールしたようです」(取材記者) 堅い役からコメディーまでこなせる舘だけに、“公約”実現の可能性があるかも!?
2018年02月08日私の愛すべき家族
右手に指輪をする夫
兄の連れてきた婚約者は…